JP5850664B2 - 前後加速度推定装置 - Google Patents

前後加速度推定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5850664B2
JP5850664B2 JP2011165375A JP2011165375A JP5850664B2 JP 5850664 B2 JP5850664 B2 JP 5850664B2 JP 2011165375 A JP2011165375 A JP 2011165375A JP 2011165375 A JP2011165375 A JP 2011165375A JP 5850664 B2 JP5850664 B2 JP 5850664B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acceleration
vehicle
road surface
value
longitudinal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011165375A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013028258A (ja
Inventor
章二 市川
章二 市川
圭亮 石野
圭亮 石野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2011165375A priority Critical patent/JP5850664B2/ja
Publication of JP2013028258A publication Critical patent/JP2013028258A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5850664B2 publication Critical patent/JP5850664B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

この発明は、加速度センサで検出した車両の前後加速度から重力加速度の影響を除く補正を行う前後加速度推定装置に関する。
車両では様々な車体姿勢制御を行うため、各種のセンサが用いられる。当該センサの中には、車両の前後加速度を検出する加速度センサ(以下「Gセンサ」ともいう。)が存在する。Gセンサによる前後加速度の検出値(以下「前後加速度検出値」又は「前後G検出値」という。)は、例えば、路面摩擦係数μ又は路面状態の推定の演算に用いられる(特許文献1)。
特許文献1では、急制動時における前後Gセンサ5の検出値に基づいて、低μ、高μ又は中μのいずれであるかを推定する(図35、[0119])。
また、推定された路面摩擦係数μ又は路面状態は、例えば、サスペンションの減衰力特性制御(特許文献1)や、車輪のロックを防止するアンチロックブレーキシステム(ABS)に関する制御(特許文献2)に用いられる。
特許文献2では、車体速度(VR0)と、所定の路面摩擦係数(μ)と、所定の定数(a)とに基づいて目標車輪速度(VWt)を算出する([0036]、[0037]、[0055])。そして、車輪速度が目標車輪速度になるように、各車輪のブレーキトルク(T)を制御する([0038]〜[0042]、[0056]〜[0060])。
特開平11−005421号公報 特開2009−274582号公報
上記のように、特許文献1では、急制動時の前後G検出値を用いて路面状態(低μ、高μ又は中μ)を推定するが、加速度センサの前後G検出値には路面の傾きや車両の傾きの成分が含まれてしまうため、特許文献1の方法では、前後G検出値の精度又は路面状態の推定精度に改善の余地がある。
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、車両の前後加速度又は路面摩擦係数若しくは路面状態の推定精度を向上させることが可能な前後加速度推定装置を提供することを目的とする。
この発明に係る前後加速度推定装置は、車両の前後加速度を検出する加速度センサと、加速操作又は減速操作が開始されたか否かを判定する加減速操作判定手段と、前記加速度センサにより検出された前記車両の前後加速度を取得して前記車両の前後加速度の補正値を演算する加速度推定手段と、を備え、前記加速度推定手段は、前記加速操作又は減速操作が開始されるまでは、前記加速度センサにより検出された前記車両の前後加速度の補正を行わず、前記加減速操作判定手段により前記加速操作又は減速操作が開始されたと判定されたとき、前記加速度センサにより検出された前記車両の前後加速度を取得し、取得した前記加速操作又は減速操作の開始時点における前記加速度センサの検出値と、その後の前記加速度センサの検出値との差を前記車両の前後加速度の補正値として演算し、前記車両の前後加速度の推定値として、前記加速操作又は減速操作の間、繰り返し算出することを特徴とする。
この発明によれば、例えば、重力加速度の成分を除いた車両の前後加速度(前後G)を推定することが可能となる。従って、車両の減速時又は加速時における前後Gに基づく制御のうち重力加速度の影響を除くことが好ましい制御(例えば、路面摩擦係数μの推定やABS制御)を高精度に行うことが可能となる。
例えば、車両が下り坂にある場合、重力加速度の成分(分力)が車両前方に付加される。このため、仮に車両が停止していても、加速度センサの検出素子は車両前方に変位する又は変位し易くなり、加速度センサは、車両前方の向きの加速度を検出する。従って、車両が下り坂を走行しているときは、前後加速度が重力加速度の分、大きく検出されることとなる。上り坂の場合は反対となる。また、路面が傾斜していなくても、積載物(乗員を含む。)の影響により車体が傾斜している場合も同様のことがいえる。この発明では、加速操作又は減速操作の開始時点における加速度センサの検出値と、その後の加速度センサの検出値との差を、前後加速度の推定値として算出する。このため、重力加速度の成分を除いた車両の前後加速度(前後G)を推定することが可能となる。
前記前後加速度推定装置は、さらに、前記前後加速度の推定値に基づいて路面摩擦係数又は路面状態を推定する路面推定手段と、同軸に配置された複数の車輪それぞれに対して独立してアンチロック制御を行う独立制御を実施するアンチロック制御手段とを備え、前記アンチロック制御手段は、前記路面摩擦係数又は前記路面状態に基づいて前記独立制御の禁止又は許可を判定してもよい。
上記によれば、例えば、重力加速度の影響を除いた状態で路面摩擦係数又は路面状態を推定することが可能となるため、路面摩擦係数又は路面状態の推定精度を向上させることが可能となる。その結果、例えば、路面摩擦係数が所定値を上回る場合にのみ独立制御を行う構成では、前後加速度センサの検出値が重力加速度の影響を含む場合であっても、当該影響を除くことにより、誤って独立制御を実行することを防止することが可能となる。従って、不適切な独立制御による車両の乱れを防止することができる。
前記減速操作又は加速操作の開始前における前記検出値の変化の方向と前記減速操作又は加速操作の開始以後における前記検出値の変化の方向とが同じ場合には、前記加速度推定手段は、前記前後加速度の推定値を小さくする補正を行ってもよい。これにより、上り坂若しくは下り坂の走行中であるとき又は積載物による車体の傾きが存在するとき等の前後加速度の推定精度をさらに向上することが可能となる。
この発明に係る路面推定装置は、車両の前後加速度を検出する前後加速度センサと、前記前後加速度を用いて路面摩擦係数又は路面状態を推定する路面推定手段と、前記車両のブレーキング又は加速を検出する車両状態検出手段とを備えるものであって、前記路面推定手段は、前記ブレーキング又は加速が開始された時点の前記前後加速度と、前記ブレーキング又は加速が続いている間におけるその後の前記前後加速度との差に基づいて、前記路面摩擦係数又は前記路面状態を推定することを特徴とする。
この発明によれば、ブレーキング又は加速が開始された時点の前後加速度検出値と、ブレーキング又は加速が付与され続けている間におけるその後の前後加速度検出値との差に基づいて、路面摩擦係数又は路面状態を推定する。従って、路面摩擦係数又は路面状態の推定精度を向上させることが可能となる。
この発明によれば、例えば、重力加速度の成分を除いた車両の前後加速度(前後G)を推定することが可能となる。従って、車両の減速時又は加速時における前後Gに基づく制御のうち重力加速度の影響を除くことが好ましい制御(例えば、路面摩擦係数μの推定やABS制御)を高精度に行うことが可能となる。
この発明の一実施形態に係る前後加速度推定装置としての電子制御装置を有する車両のブロック構成図である。 前記実施形態におけるブレーキ機械系の概略構成図である。 前記ブレーキ機械系を制御するフローチャートである。 前記実施形態においてABS制御等に応じてINバルブ、OUTバルブ及びレギュレータバルブの開閉制御及びポンプのオンオフ制御を示す図である。 路面摩擦係数μの推定及び独立制御の実行の要否判定を行うフローチャートである。 車両が平坦路から下り坂に入った後、減速操作が行われた場合の前後G検出値及び車両に発生する加速度の関係の一例を示す図である。 図6の制御の変形例を示す図である。
A.一実施形態
1.車両10の構成
(1−1)全体構成
図1は、この発明の一実施形態に係る前後加速度推定装置としての電子制御装置22(以下「ECU22」という。)を有する車両10(以下「自車10」ともいう。)のブロック構成図である。ECU22は、制動力制御装置12の一部を構成する。制動力制御装置12は、ECU22に加え、各種の検出を行うセンサ群14と、車輪18fl、18fr、18rl、18rr(以下「車輪18」と総称する。)に対して制動力Fbを付与するブレーキ機械系16とを有する。
(1−2)センサ群14
図1に示すように、センサ群14には、ヨーレートセンサ32、舵角センサ34、トルクセンサ36、車体速度センサ38(車速センサ)、車輪速センサ40a〜40d、前後加速度センサ42(以下「前後Gセンサ42」という。)、横加速度センサ44(以下「横Gセンサ44」という。)、第1操作量センサ46及び第2操作量センサ48を含む。
ヨーレートセンサ32は、車両10に発生しているヨーレートYrを検出する。舵角センサ34は、操向ハンドル50(ステアリングホイール)の舵角θsを検出する。トルクセンサ36は、操向ハンドル50にかかるトルクTQを検出する。
車体速度センサ38は、トランスミッションのカウンタシャフトの回転を検出する第1ホール素子(いずれも図示せず)と、当該第1ホール素子の出力に基づいて車体速度Vv[km/h]を演算する第1演算部(図示せず)とを備える。第1演算部は、ECU22に設けてもよい。
車輪速センサ40a〜40dは、各車輪18の回転を検出する第2ホール素子(図示せず)と、当該第2ホール素子の出力に基づいて各車輪18fl、18fr、18rl、18rrの車輪速度Vw1、Vw2、Vw3、Vw4(以下「車輪速度Vw」と総称する。)[km/h]を演算する第2演算部(図示せず)とを備える。第2演算部は、ECU22に設けてもよい。
前後Gセンサ42は、車両10に発生している前後加速度(前後G)を検出する。横Gセンサ44は、車両10に発生している横加速度(横G)を検出する。第1操作量センサ46は、アクセルペダル52の操作量θaを検出する。第2操作量センサ48は、ブレーキペダル54の操作量θbを検出する。
(1−3)ブレーキ機械系16
図2には、ブレーキ機械系16の概略構成図が示されている。図2に示すように、ブレーキ機械系16は、マスタシリンダ60、ホイールシリンダ62a〜62d、INバルブ64a〜64d、OUTバルブ66a〜66d、レギュレータバルブ68a、68b、サクションバルブ70a、70b、ポンプ72a、72b、ポンプモータ74、リザーバ76a、76b、ダンパ室78a、78b、チェック弁80a〜80d、82a、82b、84a、84b、86a、86b及び圧力計88を有する。
INバルブ64a〜64d及びレギュレータバルブ68a、68bはノーマルオープン型の電磁弁であり、OUTバルブ66a〜66d及びサクションバルブ70a、70bはノーマルクローズ型の電磁弁である。各バルブ64a〜64d、66a〜66d、68a、68b、70a、70bは、ECU22からの指令に基づき開閉する(詳細は図4等を参照して後述する。)。圧力計88は、配管90における圧力Piを検出する。
(1−4)ECU22
図1に示すように、ECU22は、ハードウェアとして、入出力部100、演算部102及び記憶部104を有する。本実施形態の演算部102は、記憶部104に記憶されているプログラムに基づきブレーキ機械系16を制御することにより、前後G補正・μ推定機能110、制動力制御装置機能112(以下「ABS機能112」という。)、トラクション制御機能114、横滑り防止機能116、回避操作支援機能118及び緊急ブレーキ機能120を実現する。
前後G補正・μ推定機能110は、前後Gセンサ42が検出した前後G(以下「前後G検出値」という。)を補正して前後G補正値(前後Gの推定値)を算出すると共に、当該前後G補正値を用いて路面摩擦係数μを推定する(詳細は図5等を参照して後述する。)。
ABS機能112は、ブレーキ機械系16から車輪18に対して制動力Fbが加えられている際(ブレーキ操作時)に車輪18のロックを防止する機能である。トラクション制御機能114は、駆動輪である車輪18のうち非ブレーキ操作時に過剰スリップ状態に陥りそうな駆動輪に対応したホイールシリンダ62a〜62dのブレーキ液圧Pbを制御する機能である。トラクション制御機能114は、例えば、加速時等の車輪18の空転を防ぐために用いられる。横滑り防止機能116は、車両10がカーブ等を旋回する際の横滑りを防止する機能である。
回避操作支援機能118は、運転者が自車10を障害物から回避させるために操向ハンドル50を操作する際、当該操作を補助する機能である。ここにいう補助とは、図示しない補助モータを用いて回避方向への操舵をアシストする機能や、操舵を行うべきではない操舵方向への操舵に前記補助モータを用いて抵抗を付与する機能を含む。
緊急ブレーキ機能120は、ブレーキアシスト機能122を含む。ブレーキアシスト機能122は、運転者によるブレーキペダル54の操作によって発生したブレーキ液圧Pbを通常よりも大きくする機能である。ブレーキアシスト機能122におけるブレーキ液圧Pbを増加させる手法としては、例えば、ポンプ72a、72bを用いたものや、マスタシリンダ60の液圧を増加させるアキュームレータやモータを用いたものを挙げることができる。
2.ブレーキ機械系16の制御
(2−1)ブレーキ機械系16の制御の流れ
図3には、ブレーキ機械系16を制御するフローチャートが示されている。ステップS1において、ECU22は、センサ群14から検出値を取得する。この際、センサ群14における各種センサの値は、ECU22においてそのまま用いることができるものと、演算部102での演算処理により具体的な数値を演算する必要があるものとが存在する。このため、ステップS1では、後者については、検出値を取得するのみならず、演算処理を実行し、より具体的な数値を得る。
ステップS2において、ECU22は、車両状態を演算する。ここでの車両状態としては、ブレーキ機械系16から車輪18に対して制動力Fbを付与している制動状態と、車両10が加速している加速状態と、運転者が操向ハンドル50を操作して舵角θsが変化している操舵状態と、上記いずれの状態でもない通常状態とが含まれる。従って、ECU22は、車両状態が、制動状態、加速状態、操舵状態又は通常状態のいずれであるかを演算する。当該演算には、ステップS1で取得した検出値を用いる。
ステップS3において、ECU22は、緊急ブレーキ機能120のモード(ブレーキモード)を選択する。本実施形態におけるブレーキモードとしては、通常モード及びブレーキアシストモードが含まれる。通常モードでは、通常のブレーキ液圧Pbが発生される。ブレーキアシストモードでは、通常のブレーキ液圧Pbに更なるブレーキ液圧Pbが付加される。ブレーキモードの選択は、ブレーキペダル54の操作に応じて行われる。例えば、ブレーキペダル54の操作量θbが閾値を下回るとき、通常モードを選択し、当該閾値を上回るとき、ブレーキアシストモードを選択する。或いは、ブレーキペダル54の踏力を図示しない踏力センサで検出し、当該踏力が閾値を下回るとき、通常モードを選択し、当該閾値を上回るとき、ブレーキアシストモードを選択する。
ステップS4において、ECU22は、ステップS3で選択したブレーキモードに応じてブレーキ機械系16による制動力Fbを演算する。例えば、通常モードが選択されている場合、ECU22は、ブレーキ機械系16による付加的な制動力Fbは発生させず、ブレーキペダル54の操作に応じた通常のブレーキ液圧Pbが発生するようにブレーキ機械系16による制動力Fbを制御する。
また、ブレーキアシストモードが選択されている場合、ECU22は、ブレーキペダル54の操作に伴って発生する通常のブレーキ液圧Pbに加える付加的なブレーキ液圧Pb(付加的な制動力Fb)を、ブレーキペダル54の操作量θb又は踏力に応じて演算する。
ステップS5において、ECU22は、ABS制御(ABS機能112)を実行するか否かを判定する。本実施形態では、ブレーキペダル54が踏まれると(操作量θbがゼロより大きいとき)、ECU22は、ABS制御を実行すると判定する。
ABS制御を実行しない場合(S5:NO)、ステップS8に進む。ABS制御を実行する場合(S5:YES)、ステップS6において、ECU22は、ABS制御で用いる制御パラメータを演算する。本実施形態における当該パラメータは、路面摩擦係数μ、目標スリップ率St及び目標車輪速度Vwtである。
路面摩擦係数μは、前後Gセンサ42が検出した前後G(前後G検出値)に基づいて算出される。すなわち、特許文献1の図35及び[0119]にも示されているように、ブレーキの作動状態(例えば、急制動状態)と前後Gに応じて路面摩擦係数μを推定することが可能である。なお、ブレーキの作動状態は、例えば、ブレーキ液圧Pb、ブレーキペダル54の操作量θb若しくは踏力等により判定可能である。また、本実施形態では、路面摩擦係数μの推定に用いる前後Gは、前後G検出値から重力加速度の影響を除く補正を行った前後G補正値である(詳細は図5等を参照して後述する。)。
さらに、本実施形態では、独立制御の要否を判定するため、路面摩擦係数μが低い状態(以下、この状態を「低μ」という。)と、路面摩擦係数μが高い状態(以下、この状態を「高μ」という。)を判定し、高μの場合、独立制御を実行し、低μの場合、独立制御を実行しない。独立制御は、同軸に配置された複数の車輪18(例えば、左前輪18flと右前輪18fr)それぞれに対して独立してアンチロック制御を行う制御である。
目標スリップ率Stは、車輪18のスリップ率Sの目標値である。スリップ率Sは、車体速度Vvと車輪速度Vwの差を車体速度Vvで除したものである{S=(Vv−Vw)/Vv}。本実施形態において、目標スリップ率Stは固定値とされる。代わりに、車両10が走行している路面の種類(アスファルト、砂利道等)、路面状態(ドライ、ウェット等)、車体速度Vv等により可変とすることもできる。なお、前記路面の種類は、例えば、ナビゲーション装置(ナビゲーション装置の機能を有する携帯情報端末を含む。)により取得することができる。前記路面状態は、例えば、前記路面摩擦係数μにより推定することができる。
さらに、本実施形態では、ブレーキモードとしてブレーキアシストモードが選択されており且つABS制御が実行されている場合、目標スリップ率Stを増加させる。ブレーキモードが通常モードからブレーキアシストモードに切り替わると、前方の障害物との接触の可能性が高くなる一方、運転者の操作により舵角θsが変更される可能性は低くなるといえる。このため、ブレーキモードがブレーキアシストモードに切り替わると目標スリップ率Stを増加させることで、舵角θsの変更が低い状況で車両10の減速度を高めることが可能となる。
目標車輪速度Vwtは、車体速度Vv及び目標スリップ率Stに応じて算出することができる。例えば、目標車輪速度Vwtが車体速度Vv以下となるように、目標車輪速度Vwtと車体速度Vvとの差を事前に設定しておき、当該差を用いて目標車輪速度Vwtを算出することができる。当該差は、目標スリップ率Stに応じて設定することができる。
図3のステップS7において、ECU22はバルブモードを選択する。本実施形態のバルブモードには、増圧モード、減圧モード及び保持モードがある。増圧モードは、ホイールシリンダ62a〜62dにかかるブレーキ液圧Pbを増大させるモードである。減圧モードは、ホイールシリンダ62a〜62dにかかるブレーキ液圧Pbを減少させるモードである。保持モードは、ホイールシリンダ62a〜62dにかかるブレーキ液圧Pbを保持させるモードである。
実際の車輪速度Vwと目標車輪速度Vwtとの差D1(=Vw−Vwt)が閾値THD1を下回ると、ECU22は、一時的に減圧モードを選択し、その後、車輪速度Vwが目標車輪速度Vwtと等しくなるまで保持モードを選択する。また、実際の車輪速度Vwが目標車輪速度Vwtを上回ると、ECU22は、増圧モードを選択し、その後、車輪速度Vwが目標車輪速度Vwtと等しくなるまで増圧モードを選択する。
ステップS8において、ECU22は、ステップS7で選択したバルブモードに応じて(S5:YESの場合)又はステップS4で演算した制動力に応じて(S5:NOの場合)、各バルブを制御する。
図4には、ABS制御等に応じてINバルブ64a〜64d、OUTバルブ66a〜66d、レギュレータバルブ68a、68bの開閉制御及びポンプ72a、72bのオンオフ制御を示す図である。図4に示すように、ABS制御を伴わない通常制御(パターン1)では、ノーマルオープン型のINバルブ64a〜64d及びレギュレータバルブ68a、68bはいずれも開(OFF)であり、ノーマルクローズ型のOUTバルブ66a〜66dは閉(OFF)である。また、ポンプ72a、72bはオフ(OFF)とする。
ブレーキアシスト制御を伴わないABS制御(パターン2)では、レギュレータバルブ68a、68bは開(OFF)とされ、ポンプ72a、72bはオン(ON)にされた状態で、実際の車輪速度Vwと目標車輪速度Vwtとの関係に応じてINバルブ64a〜64d及びOUTバルブ66a〜66dが開閉(ON/OFF)される。すなわち、車輪速度Vwが目標車輪速度Vwtを上回っている場合、INバルブ64a〜64dが開に、OUTバルブ66a〜66dが閉とされる。車輪速度Vwと目標車輪速度Vwtの差D1が閾値THD1を下回っている場合、INバルブ64a〜64dが閉に、OUTバルブ66a〜66dが開とされる。車輪速度Vwが目標車輪速度Vwtと等しい場合、INバルブ64a〜64d及びOUTバルブ66a〜66dいずれも閉とされる。
ブレーキアシスト制御を伴うABS制御(パターン3)では、レギュレータバルブ68a、68bは、マスタシリンダ60側とホイールシリンダ62a〜62d側との差圧に応じて開閉制御される。他にも、レギュレータバルブ68a、68bを比較的少ない駆動電流Irvにより少し閉じ、ポンプ72a、72bをオンにした状態で、パターン2と同様、実際の車輪速度Vwと目標車輪速度Vwtとの関係に応じてINバルブ64a〜64d及びOUTバルブ66a〜66dを開閉する制御であってもよい。これにより、ブレーキペダル54の操作に伴うブレーキ液圧Pbによる制動を基本としつつ、ブレーキアシスト制御によるブレーキ液圧Pbを発生させてブレーキペダル54の操作を補助することが可能となる。
(2−2)独立制御の実行の要否判定
図5は、路面摩擦係数μの推定及び独立制御の実行の要否判定を行うフローチャートである。本実施形態における独立制御は、同軸輪それぞれを独立してアンチロック制御を行う制御である。本実施形態では、左前輪18flと右前輪18frが同軸輪であり、左後輪18rlと右後輪18rrが同軸輪である。従って、独立制御を行っている場合、左前輪18flと右前輪18frのブレーキ液圧Pbの調整を独立して行うと共に、左後輪18rlと右後輪18rrのブレーキ液圧Pbの調整を独立して行う。また、独立制御を行っていない場合、左前輪18flと右前輪18frのブレーキ液圧Pbの調整を一致させると共に、左後輪18rlと右後輪18rrのブレーキ液圧Pbの調整を一致させる。
ステップS11において、ECU22(前後G補正・μ推定機能110)は、減速操作又は加速操作が開始されたか否かを判定する。減速操作又は加速操作が開始された場合(S11:YES)、ステップS12に進み、減速操作及び加速操作が開始されていない場合(S11:NO)、今回の処理を終える。
減速操作が開始されたか否かは、例えば、ブレーキランプ信号、ブレーキ液圧Pb、ブレーキペダル54の操作量θb及び車輪18の加速度の少なくとも1つに基づいて判定することができる。例えば、ブレーキペダル54の踏込みに伴って図示しないブレーキランプを点灯させるためのブレーキランプ信号が出力される場合、当該ブレーキランプ信号に応じて減速操作の開始を判定することができる。或いは、ブレーキペダル54の操作量θbが、減速操作を判定するための閾値を超えた場合、減速操作が開始されたと判定することもできる。或いは、車輪18の加速度ΔaVwが、減速操作を判定するための閾値THΔaVw1を超えた場合、減速操作が開始されたと判定することができる。
加速操作が開始されたか否かは、例えば、アクセルペダル52の操作及び車輪18の加速度ΔaVwの少なくとも一方に基づいて判定することができる。例えば、アクセルペダル52の操作量θaが最大値又はその近傍値になった場合、加速操作が開始されたと判定することができる。或いは、アクセルペダル52の操作量θaの単位時間当たりの変化量が、加速操作を判定する閾値を超えた場合、加速操作が開始されたと判定してもよい。また、車輪18の加速度ΔaVwが、加速操作を判定するための閾値THΔaVw2を超えた場合、加速操作が開始されたと判定することができる。
ステップS12において、ECU22(前後G補正・μ推定機能110)は、前後G検出値の基準値(以下「前後G基準値」という。)を設定する。減速操作又は加速操作が開始された時点に前後Gセンサ42から取得した前後G検出値が前後G基準値として設定される。
ステップS13において、ECU22(前後G補正・μ推定機能110)は、前後Gセンサ42からその後の前後G検出値を取得する。ステップS14において、ECU22は、前後G補正値を演算する。前後G補正値は、今回の前後G検出値と前後G基準値の差で定義される(前後G補正値=今回の前後G検出値−前後G基準値)。前後G補正値は、減速操作又は加速操作の開始以後の前後G検出値の変化量を示すものである。換言すると、当該変化量は、減速操作又は加速操作の開始以後における車両10の減速度又は加速度を示す(この点については図6等を用いて後述する。)。
ステップS15において、ECU22(前後G補正・μ推定機能110)は、前後G補正値に基づいて路面摩擦係数μを推定する。当該推定は、前後G補正値と路面摩擦係数μとの関係を事前にマップとして記憶部104に記憶しておき、前後G補正値に対応する路面摩擦係数μをマップから読み出すことにより行う。なお、例えば、減速操作又は加速操作の程度に応じて複数のマップを設けることもできる。
ステップS16〜S20では、前後G補正値に基づいて路面状態の推定及び独立制御の実施要否の判定を行う。すなわち、ステップS16において、ECU22(前後G補正・μ推定機能110)は、前後G補正値が閾値THG1以上であるか否かを判定する。閾値THG1は、低μと高μとを判別するための閾値である。換言すると、閾値THG1は、独立制御を行うか否かを判定するための閾値である。前後G補正値が閾値THG1以上であるとき(S16:YES)、ステップS17において、ECU22(前後G補正・μ推定機能110)は、路面が高μであると判定する。続くステップS18において、ECU22(ABS機能112)は、独立制御を実行すると判定する。前後G補正値が閾値THG1以上でないとき(S16:NO)、ステップS19において、ECU22(前後G補正・μ推定機能110)は、路面が低μであると判定する。続くステップS20において、ECU22(ABS機能112)は、独立制御を実行しないと判定する。
なお、ステップS17、S19の判定は、省略することもできる。また、前後G補正値と路面摩擦係数μとは対応関係にある。換言すると、所定の減速状態(又は加速状態)では、前後G補正値がわかれば、路面摩擦係数μを推定することができる。このため、前後G補正値を路面摩擦係数μに置き換えて路面状態の推定及び独立制御の実施の要否判定を行うこともできる。
ステップS21において、ECU22(前後G補正・μ推定機能110)は、減速操作又は加速操作が終了したか否かを判定する。減速操作が終了したか否かは、例えば、ブレーキランプ信号、ブレーキ液圧Pb、ブレーキペダル54の操作量θb及び車輪18の加速度の少なくとも1つに基づいて判定することができる。例えば、前記ブレーキランプ信号の出力停止に応じて減速操作の終了を判定することができる。或いは、ブレーキペダル54の操作量θbが、減速操作を判定するための閾値を下回った場合、減速操作が終了されたと判定することもできる。或いは、車輪18の加速度ΔaVwが、減速操作を判定するための閾値THΔaVw3を超えた場合、減速操作が終了したと判定することができる。
加速操作が終了したか否かは、例えば、アクセルペダル52の操作及び車輪18の加速度ΔaVwの少なくとも一方に基づいて判定することができる。例えば、アクセルペダル52の操作量θaが、加速操作の終了を判定するための閾値を下回った場合、加速操作が終了したと判定することができる。或いは、アクセルペダル52の操作量θaの単位時間当たりの変化量(負の値)が、加速操作の終了を判定する閾値を超えた場合、加速操作が終了したと判定してもよい。また、車輪18の加速度ΔaVwが、加速操作の終了を判定するための閾値THΔaVw4を超えた場合、加速操作が開始されたと判定することができる。
(2−3)前後G補正値の意味合い
図6には、車両10が平坦路から下り坂に入った後、減速操作が行われた場合の前後G検出値及び車両10に発生する加速度の関係の一例が示されている。時点t1から時点t2までは車両10は平坦路を走行している。時点t2以降は、車両10は、下り坂を走行し、時点t3において減速操作が行われる。
時点t1から時点t3までは、減速操作及び加速操作のいずれも行われていない。なお、理解を容易化するため、時点t1から時点t3までは、車両10の加速度はゼロのままとしている。なお、このように、減速操作をしていないにもかかわらず、下り坂において車両10の加速度をゼロにするには、例えば、図示しない回生機構を作動させてもよい。
上記のように、時点t1から時点t3までは車両10の加速度がゼロであるものの、前後Gセンサ42の検出値である前後G検出値は、時点t2になると下がる。これは、次のような理由による。
時点t1から時点t2までの間、車両10は平坦路を走行している。この場合、前後Gセンサ42の検出素子(図示せず)は、重力加速度の成分を検出しない。
一方、時点t2から時点t3までの間、車両10は下り坂を走行しており、車体は、図6中、右下に傾いている。この場合、前後Gセンサ42の検出素子は、図6中、右下に向かう方向の加速度を車両10の前方向の加速度として検出し、図6中、左上に向かう方向の加速度を車両10の後ろ方向の加速度として検出する。ここで、前後Gセンサ42の検出素子には、重力加速度(図6中、下方向)が作用する。このため、当該検出素子が、例えば、その測定原理上、車両10の前後方向に振動する等、重力加速度を連続的に検出するものである場合、仮に車両10が下り坂に停車中であっても、前後Gセンサ42は、重力加速度の成分を、車両10の前方向の加速度として検出する。
従って、時点t1から時点t3までの間は、車両10の加速度が一定であるにもかかわらず、前後Gセンサ42の検出値(前後G検出値)は、車両10が下り坂に入った後、車両10の前方向の値が大きくなる。なお、図6では、理解を容易化するため、車両10が下り坂に入ると、前後G検出値が低くなるように表示しているが、これは、車両10の前方向の前後G検出値が大きくなっていることを示している。
なお、上記のように、本実施形態では、減速操作又は加速操作が行われるまで前後G補正値の演算は行われない又は禁止される(図5のS11参照)。
時点t3において減速操作が行われると、車両10では図6中、右下に向かう方向に前後Gが増大する。これに伴って、前後Gセンサ42による前後G検出値がさらに大きくなる。
時点t3において減速操作が開始されたため、本実施形態では、時点t3における前後G検出値が前後G基準値として設定される(図5のS12)。その後、前後G検出値が大きくなるに連れて、その際の前後G検出値と前後G基準値との差(前後G補正値)が大きくなる。当該差(前後G補正値)は、前述した重力加速度の影響を排除した車両10の減速度(すなわち、前後G)を示すことになる。
このため、車両10が下り坂を走行中であっても、路面に対する各車輪18の相対速度(すなわち、減速度又は前後G)を検出することが可能となる。従って、車両10が下り坂を走行中であっても、車両10が平坦路を走行している場合と同様に、路面摩擦係数μを推定することが可能となる。
上記では、車両10が下り坂を走行中に減速操作が行われた場合について説明したが、車両10が下り坂を走行中に加速操作が行われた場合についても同様であることが理解されよう。すなわち、車両10が下り坂を走行中に加速操作が行われた場合、前後Gセンサ42の検出値(前後G検出値)には、重力加速度の成分が上乗せされて、見かけ上、前後G検出値が大きくなる。しかし、本実施形態では、前後G基準値とその後の前後G検出値の差である前後G補正値を用いて路面摩擦係数μ又は路面状態(低μ若しくは高μ)を判定するため、重力加速度の影響を除くことができる。
また、上記では、車両10が下り坂を走行中に減速操作又は加速操作が行われた場合について説明したが、車両10が上り坂を走行中に減速操作又は加速操作が行われた場合についても同様であることが理解されよう。車両10が上り坂を走行中である場合、前後Gセンサ42は、重力加速度の成分を、車両10の後ろ方向の加速度として検出することとなる。しかし、この場合も、本実施形態では、前後G基準値とその後の前後G検出値の差である前後G補正値を用いて路面摩擦係数μ又は路面状態(低μ若しくは高μ)を判定するため、重力加速度の影響を除くことができる。
3.本実施形態の効果
以上のように、本実施形態によれば、重力加速度の成分を除いた車両10の前後Gを推定することが可能となる。従って、車両10の減速時又は加速時における前後Gに基づく制御のうち重力加速度の影響を除くことが好ましい制御(例えば、路面摩擦係数μの推定やABS制御)を高精度に行うことが可能となる。
本実施形態では、ECU22(ABS機能112)は、路面摩擦係数μ又は路面状態に基づいて独立制御の禁止又は許可を判定する。上記によれば、重力加速度の影響を除いた状態で路面摩擦係数μ又は路面状態を推定することが可能となるため、路面摩擦係数μ又は路面状態の推定精度を向上させることが可能となる。その結果、路面摩擦係数μが所定値を上回る場合にのみ(高μである場合にのみ)独立制御を行う構成では、前後Gセンサ42の検出値が重力加速度の影響を含む場合であっても、当該影響を除くことにより、誤って独立制御を実行することを防止することが可能となる。従って、不適切な独立制御による車両10の姿勢の乱れを防止することができる。
本実施形態によれば、ブレーキング又は加速が開始された時点の前後G検出値と、ブレーキング又は加速が付与され続けている間におけるその後の前後G検出値との差(すなわち、前後G補正値)に基づいて、路面摩擦係数μ又は路面状態を推定する。従って、路面摩擦係数μ又は路面状態の推定精度を向上させることが可能となる。
B.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書、特許請求の範囲又は図面の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
1.車両10
上記実施形態では、車両10は四輪車であったが、これに限らず、例えば、二輪車、トラック、バス等であってもよい。また、各種の車両に限らず、作動時に前後Gセンサ42に重力加速度の成分が影響する構成であれば、本発明を適用可能である。そのような構成としては、例えば、飛行機、船舶等の移動体を挙げることができる。或いは、水平方向とそれ以外の方向に可動するロボットや製造装置も含まれる。
2.前後G補正値及び路面摩擦係数μの推定(前後G補正・μ推定機能110)
上記実施形態では、前後G検出値に基づく前後G補正値を利用して路面状態(低μ又は高μ)を判定したが、前後Gセンサ42の検出値(前後G検出値)から重力加速度の影響を取り除く補正をした後、路面摩擦係数μ又は路面状態を推定するものであれば、これに限らない。例えば、前後G検出値に基づき前後G補正値を算出し、前後G補正値に基づき路面摩擦係数μを算出し、当該路面摩擦係数μを、低μ及び高μを判定するための閾値と比較して低μと高μを区別してもよい。或いは、前後G検出値に基づいて路面摩擦係数μを推定し、推定した路面摩擦係数μをブレーキ液圧Pbの変化に応じて補正をした後、補正後の路面摩擦係数μを、低μ及び高μを判定するための閾値と比較して低μと高μを区別してもよい。或いは、ブレーキ液圧Pbの変化に応じて閾値THG1を設定し、設定した閾値THG1を前後G補正値と比較することにより、低μと高μを区別することもできる。
上記実施形態では、前後G補正値を独立制御の要否判定に用いたが、前後G検出値、路面摩擦係数μ又は路面状態を用いる制御についてであれば、別の用途に用いることもできる。例えば、特許文献2のように、目標車輪速度Vwtの演算に前後G補正値又は路面摩擦係数μを用いることもできる([0036]、[0037])。或いは、特許文献1のように、サスペンションの減衰力特性制御に前後G補正値又は路面摩擦係数μを用いることもできる(要約)。或いは、特開2010−058768号公報のような電子制御ブレーキシステム(EBD:Electronic Brake Force Distribution)における減速度に前後G補正値を用いることもできる。
上記実施形態では、減速操作又は加速操作が開始された時点の前後G検出値である前後G基準値と、その後の前後G検出値との単純な差を前後G補正値として算出したが、更なる補正を加えることも可能である。例えば、減速操作又は加速操作の開始前における前後G検出値の変化の方向と減速操作又は加速操作の開始以後における前後G検出値の変化の方向とが同じ場合には、前後G補正値(=今回の前後G検出値−前後G基準値)を小さくする補正を行うことができる。上り坂若しくは下り坂の走行中であるとき又は積載物による車体の傾きが存在するとき等の前後加速度の推定精度をさらに向上することが可能となる。
図7は、図6の制御の変形例を示す図である。すなわち、図7は、前後G補正値(=今回の前後G検出値−前後G基準値)に減少補正を加えた様子を示す。減少補正は、下り坂において減速操作が行われると、平坦路における減速操作よりも車両10に発生する加速度が大きくなること(車両10自体に加わる重力加速度が前後Gに影響すること)を考慮した補正である。具体的には、今回の前後G検出値と前後G基準値の差である前後G補正値(1次補正値)に所定の係数を乗算したものを新たな前後G補正値(2次補正値)として用いる。これにより、前後G補正値、路面摩擦係数μ及び路面状態(低μ及び高μ)の推定精度を向上させることが可能となる。なお、ここにいう所定の係数は、例えば、実験値又はシミュレーション値を用いることができる。また、当該所定の係数は、傾斜センサ(又は勾配センサ)で検出する車両10の前後傾きや、座席に設けた圧力センサ(又は重量センサ)で検出する積載物(乗員を含む。)の存否又は重量に応じたマップを用いることもできる。
上記実施形態及び図7の変形例では、減速操作又は加速操作を行っている際の路面の傾斜が一定であることを前提としたが、減速操作又は加速操作を行っている際に路面の傾斜が変化する場合がある。例えば、下り坂から上り坂に移動する場合や上り坂から下り坂に移動する場合が考えられる。そのような場合、前後Gセンサ42の検出値(前後G検出値)に含まれる重力加速度の分力も変化する。
そこで、水平面に対する車両10の傾きを検出する傾斜センサ(図示せず)を設けておき、その検出値が一定である場合又は検出値の変化が許容範囲内である場合にのみ、前後G補正値、路面摩擦係数μ及び路面状態(低μ及び高μ)の推定を行ってもよい。
或いは、車両10の傾きと重力加速度の分力との関係を示すマップを、記憶部140に予め記憶しておき、傾きに応じて前後G検出値を補正して用いることも可能である。例えば、上記のように、車両10が下り坂で減速操作を行っている場合、前後G検出値には重力加速度の分力が加算される。このため、前後G検出値は、見かけ上大きくなる。ここで、傾きに応じて算出した重力加速度の分力を、前後G検出値から差し引いたものを前後G補正値として用いることが可能である。
上記実施形態では、減速操作又は加速操作が行われた場合に前後G補正値の算出を行ったが、減速操作又は加速操作の一方のみを判定して前後G補正値を算出してもよい。また、減速操作又は加速操作に限らず、一定のブレーキング状態又は加速状態を検出して前後G補正値を検出してもよい。
なお、前後G補正値は、単に重力加速度の成分を除くためのみならず、車体のピッチングの状態(特に瞬間的なもの)を推定するため等にも用いることが可能である。
10…車両(自車)
22…ECU(前後加速度推定装置、路面推定装置)
42…前後加速度センサ
52…アクセルペダル(加減速操作判定手段、車両状態検出手段)
54…ブレーキペダル(加減速操作判定手段、車両状態検出手段)
110…前後G補正・μ推定機能(加速度推定手段、路面推定手段)
112…ABS機能(アンチロック制御手段)

Claims (3)

  1. 車両の前後加速度を検出する加速度センサと、
    加速操作又は減速操作が開始されたか否かを判定する加減速操作判定手段と、
    前記加速度センサにより検出された前記車両の前後加速度を取得して前記車両の前後加速度の補正値を演算する加速度推定手段と、を備え、
    前記加速度推定手段は、
    前記加速操作又は減速操作が開始されるまでは、前記加速度センサにより検出された前記車両の前後加速度の補正を行わず、前記加減速操作判定手段により前記加速操作又は減速操作が開始されたと判定されたとき、前記加速度センサにより検出された前記車両の前後加速度を取得し、取得した前記加速操作又は減速操作の開始時点における前記加速度センサの検出値と、その後の前記加速度センサの検出値との差を前記車両の前後加速度の補正値として演算し、前記車両の前後加速度の推定値として、前記加速操作又は減速操作の間、繰り返し算出する
    ことを特徴とする前後加速度推定装置。
  2. 請求項1記載の前後加速度推定装置において、さらに、
    前記前後加速度の推定値に基づいて路面摩擦係数又は路面状態を推定する路面推定手段と、
    同軸に配置された複数の車輪それぞれに対して独立してアンチロック制御を行う独立制御を実施するアンチロック制御手段と
    を備え、
    前記アンチロック制御手段は、前記路面摩擦係数又は前記路面状態に基づいて前記独立制御の禁止又は許可を判定する
    ことを特徴とする前後加速度推定装置。
  3. 請求項1又は2記載の前後加速度推定装置において、
    前記減速操作又は加速操作の開始前における前記検出値の変化の方向と前記減速操作又は加速操作の開始以後における前記検出値の変化の方向とが同じ場合には、前記加速度推定手段は、前記前後加速度の推定値を小さくする補正を行う
    ことを特徴とする前後加速度推定装置。
JP2011165375A 2011-07-28 2011-07-28 前後加速度推定装置 Active JP5850664B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011165375A JP5850664B2 (ja) 2011-07-28 2011-07-28 前後加速度推定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011165375A JP5850664B2 (ja) 2011-07-28 2011-07-28 前後加速度推定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013028258A JP2013028258A (ja) 2013-02-07
JP5850664B2 true JP5850664B2 (ja) 2016-02-03

Family

ID=47785745

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011165375A Active JP5850664B2 (ja) 2011-07-28 2011-07-28 前後加速度推定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5850664B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4827710B1 (ja) * 1968-08-14 1973-08-24
JPS62117573U (ja) * 1986-01-20 1987-07-25
JP2650305B2 (ja) * 1988-02-29 1997-09-03 日産自動車株式会社 アンチスキッド制御装置
JP2929441B2 (ja) * 1989-04-12 1999-08-03 富士通テン株式会社 アンチスキッド制御装置
JP3673284B2 (ja) * 1991-08-26 2005-07-20 トヨタ自動車株式会社 車両用ブレーキ装置
JP2000127936A (ja) * 1998-10-20 2000-05-09 Nisshinbo Ind Inc 車両のアンチロックブレーキ制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013028258A (ja) 2013-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4705519B2 (ja) 車両用ブレーキ圧制御装置
JP5177286B2 (ja) 車両の重量関連物理量推定装置及び制御装置
JP5405441B2 (ja) 車両制御装置
JP5850186B2 (ja) 車両重心状態判定装置および車両挙動制御システム
JP3610738B2 (ja) 車輪スリップ制御装置付き車両の挙動制御装置
JP2010253978A (ja) 車両制御装置
US8676463B2 (en) Travel controlling apparatus of vehicle
JP6272203B2 (ja) 車両用制御装置
JP5958643B2 (ja) 車両の基準運動状態量の演算方法
JP2004090744A (ja) ブレーキ圧力推定装置
JP2005271820A (ja) 車両のロールオーバ抑制制御装置
JP6379457B2 (ja) 自動二輪車両における路面摩擦係数推定装置およびそれを用いたアンチロックブレーキ制御装置
JP4508012B2 (ja) 車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法
JP2010188801A (ja) 車両の重心位置推定装置
JP2009241742A (ja) 横加速度の導出方法、横加速度の導出装置およびバーハンドル車両用ブレーキ制御装置
EP2106980B1 (en) Deriving method and deriving apparatus of lateral acceleration, and bar handle vehicle brake controller
JP6205875B2 (ja) 車両挙動制御装置及び車両挙動制御方法
JP5850664B2 (ja) 前後加速度推定装置
JP5698089B2 (ja) 制動力制御装置
JP2005271821A (ja) 車両の挙動制御装置
JP5839440B2 (ja) 制動力制御装置
US20140142831A1 (en) Braking force control system for vehicle
JP3700274B2 (ja) 車両用制御装置
JP2010284990A (ja) 車両の制動力制御装置
JP5122307B2 (ja) 車両の運動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140811

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141015

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150407

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150529

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5850664

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250