以下、本発明に係る撮像装置の実施形態について図面を用いながら説明する。図1から図3は、本発明に係る撮像装置の実施例であるデジタルカメラ10の外観図であり、図1は正面図、図2は背面図、図3は上面図である。図1に示すように、本実施例に係るデジタルカメラ10のカメラボディCBの正面には、撮影レンズ(フォーカスレンズを含む)を備えており、本体部であるカメラボディCBと着脱自在の鏡胴ユニット1と、測距用レンズと測距用素子を含む測距ユニット2と、ストロボ発光部3と、リモコン受光部4と、を配置してなる。カメラボディCBの一方の側面部には、メモリカード装填室および電池装填室の蓋5が設けられている。
図2に示すように、本実施例に係るデジタルカメラ10のカメラボディCBの背面には、操作キー部6と、撮影レンズによって撮像素子に結像された被写体像を画像データとして表示する画像データ表示部であるLCDモニタ7と、電源スイッチ8と、ズームボタン9と、を配置してなる。
また、図3に示すように、本実施例に係るデジタルカメラ10のカメラボディCBの上面には、レリーズボタンであるSW1と、デジタルカメラ10の動作モードを切り換えるモードダイアルSW2が配置されている。デジタルカメラ10が有する動作モードには、撮影モードと再生モードがあり、撮影モードには、オートフォーカス撮影モード、マニュアルフォーカス(MF)撮影モードなどがある。
また、図3に示すように鏡胴ユニット1には、フォーカスレンズを手動で操作するためのフォーカスリング11が配置されている。フォーカスリング11は、正面視円形の鏡胴ユニット1の周方向に回動する部材である。フォーカスリング11が回動されると、鏡胴ユニット1の内部に配置されているフォーカスレンズが撮像素子の光軸方向前後(紙面上下方向)に移動する。このフォーカスレンズによって、撮像素子の結像面における被写体像の合焦度合いを調整することができる。
次に、本発明に係る撮像装置の機能ブロックの例について図4を用いて説明する。本発明に係る撮像装置の各種動作(処理)は、後述するROM109に予め記憶されているプログラムと、デジタル信号処理IC(集積回路)等として構成されるデジタルカメラプロセッサ104(以下、単に「プロセッサ104」という。)によって制御される。プロセッサ104は、第1の撮像信号処理ブロック104−1,第2の撮像信号処理ブロック104−2,CPU(中央処理ユニット)ブロック104−3,ローカルSRAM(SRAM:スタティックランダムアクセスメモリ)104−4,USB(ユニバーサルシリアルバス)ブロック104−5,シリアルブロック104−6,JPEGコーデック(CODEC)ブロック104−7,リサイズ(RESIZE)ブロック104−8,画像信号表示ブロック104−9、およびメモリカードコントローラブロック104−10を有してなる。これら各ブロックは相互にバスラインで接続されている。
プロセッサ104の外部には、RAW−RGB画像データ、YUV画像データおよびJPEG画像データを保存するためのSRAM(シンクロナスランダムアクセスメモリ)103、RAM107、内蔵メモリ120および制御プログラムが格納されたROM109が配置されており、これらはバスラインを介してプロセッサ104に接続されている。
鏡胴ユニット1は、ズーム(ZOOM)レンズ1−1aを有するズーム光学系1−1、フォーカス(FOCUS)レンズ1−2aを有するフォーカス光学系1−2、絞り1−3aを有する絞りユニット1−3およびメカニカルシャッタ(メカシャッタ)1−4aを有するメカシャッタユニット1−4、を備えている。ズーム光学系1−1,フォーカス光学系1−2,絞りユニット1−3およびメカシャッタユニット1−4はそれぞれズーム(ZOOM)モータ1−1b、フォーカス(FOCUS)モータ1−2b、絞りモータ1−3bおよびメカシャッタモータ1−4bによって駆動される。これらズームモータ1−1b、フォーカスモータ1−2b、絞りモータ1−3bおよびメカシャッタモータ1−4bの各モータはモータドライバ7−5によって駆動され、モータドライバ7−5はCPUブロック104−3によって動作が制御される。
また、モードダイヤルSW2によってマニュアルフォーカス(MF)モードが選択されているときには、フォーカスレンズ1−2aは、フォーカスリング11(図3参照)が回動操作されることによって移動する。
鏡胴ユニット1のズームレンズ1−1aおよびフォーカスレンズ1−2aは、撮像素子の一例であるCCD101の撮像面上に被写体像を結像するための撮影レンズを構成する。CCD101は、被写体像を電気的な画像信号に変換してF/E−IC(フロントエンドIC)102に向けて出力する。
F/E−IC102は、CDS(相関2重サンプリング部)102−1、AGC(自動利得制御部)102−2およびA/D(アナログ−デジタル)変換部102−3を有してなる。F/E−IC102は、CCD101から入力された画像信号に対して、所定の処理を施し、デジタル画像信号として出力する。このデジタル画像信号は、プロセッサ104の第1の撮像信号処理ブロック104−1に入力される。
F/E−IC102に係るこれらの信号処理動作は、第1の撮像信号処理ブロック104−1から出力されるVD信号(垂直駆動信号)とHD信号(水平駆動信号)によって、処理のタイミングが制御される。TG(タイミングジェネレータ)102−4は、VD信号とHD信号に応じて上記の信号処理動作が行われるように制御をする。
第1の撮像信号処理ブロック104−1は、CCD101からF/E−IC102を経由して入力されたデジタル画像信号に対して、ホワイトバランス調整およびγ調整等の信号処理を行う。また、上述したように、F/E−IC102の信号処理動作を制御するTG102−4に対して、VD信号およびHD信号を出力する。
プロセッサ104のCPUブロック104−3は、音声記録回路115−1による音声記録動作を制御する。音声記録回路115−1は、マイクロホン(マイク)115−3で変換されマイクロホンアンプ(マイクAMP)115−2によって増幅した音声信号を、CPUブロック104−3の指令に応じて記録する。
また、CPUブロック104−3は、音声再生回路116−1の動作も制御する。音声再生回路116−1は、CPUブロック104−3の指令により、適宜なるメモリに記録されている音声信号をオーディオアンプ(オーディオAMP)116−2で増幅してスピーカー116−3に入力し、スピーカー116−3から音声を再生出力する。
また、CPUブロック104−3は、ストロボ回路114を制御して動作させることによりストロボ発光部3から照明光を発光させる。また、CPUブロック104−3は、被写体距離を測定する測距ユニット2の動作も制御する。
さらに、CPUブロック104−3は、プロセッサ104の外部に配置されたサブCPU(SUB−CPU)108にも結合されており、サブCPU108は、リモコン受光部4,操作キー部6およびブザー113にもそれぞれ結合されている。サブCPU108はリモコン受光部4を介して受光したリモコン信号をCPUブロック104−3に伝達する。また、操作キー部6にて行われた操作に応じた信号をCPUブロック104−3に伝達する。
USBブロック104−5は、USBコネクタ122に結合される。シリアルブロック104−6は、シリアルドライバ回路123−1を介してRS−232Cコネクタ123−2に結合される。
画像信号表示ブロック104−9は、LCDドライバ117を介してLCDモニタ7に結合され、また、画像信号表示ブロック104−9は、ビデオアンプ(AMP)118を介してビデオコネクタ119にも結合される。
メモリカードコントローラブロック104−10は、メモリカードスロット121のカード接点に結合されている。メモリカードがこのメモリカードスロット121に装填されると、メモリカードの接点に接触して電気的に接続され、装填されたメモリカードに画像ファイルを記憶する。
次に、上述のように構成された撮像装置の動作について説明する。操作キー部6に含まれるモードダイヤルSW2がマニュアル撮影モードに設定されると、サブCPU108を経由してCPUブロック104−3がモードダイヤルSW2の設定を検知し、CPUブロック104−3がモータドライバ7−5を制御して、鏡胴ユニット1を撮像可能な位置に移動させる。さらに、撮像素子であるCCD101、F/E−IC102およびLCDモニタ7等の各部に電源が投入されて動作開始状態となる。動作開始状態になると、各部の電源が投入されて、ライブビューモードでの動作が開始される。
ライブビューモードでは、鏡胴ユニット1の撮影レンズを介して撮像素子であるCCD101に結像した被写体像を、画像データとして所定のフレームレート(例えば60フレーム毎秒)でLCDモニタ7に表示する。
CCD101の受光面に結像された被写体像は、電気信号(画像信号)として出力される。この電気信号は、R(赤)・G(緑)・B(青)のアナログ信号である。このRGBアナログ信号がCDS102−1に入力されて、AGC102−2を介してA/D変換器102−3においてデジタル信号に変換される。変換されたRGBデジタル信号は、プロセッサ104内の第2の撮像信号処理ブロック104−2が具備するYUV変換手段によってYUV画像データに変換される。
変換されたYUV画像データは、フレームメモリとしてのSRAM103に記録される。なお、第2の撮像信号処理ブロック104−2は、RGBデジタル信号(画像信号)にフィルタリング処理等の適切な処理を施してYUV画像データに変換する。このYUV画像データは、CPUブロック104−3により読み出され、画像信号表示ブロック104−9を介してビデオアンプ118およびビデオコネクタ119を介して外部表示装置(テレビジョン等)に出力されて表示される。あるいは、LCDドライバ117を介してLCDモニタ7へ出力されて表示される。
ライブビューモードの開始とともに、第1の撮像信号処理ブロック104−1が、取り込んだRGBデジタル信号から、合焦の度合いを示すフォーカス評価値および被写体の明るさを示す輝度値を作成する。フォーカス評価値と輝度値は、デジタルカメラ10が撮像をするために取得する被写体像に関する情報である。なお、フォーカス評価値は、CCD101が出力する全画像領域に係る画像信号を対象として算出してもよいが、一部の画像領域に係る画像信号を対象として算出してもよい。例えば、画角の中央付近の一定の画像領域に係る画像信号を用いてフォーカス評価値を算出してもよい。
ここで、フォーカス評価値について説明する。CCD101の受光面に結像された被写体像が「合焦状態にあるとき」と「合焦状態ではないとき」とを比較すると、被写体像が合焦状態にあるときは、その被写体像に含まれるエッジ部分が鮮明なので、このエッジ部分に係る隣接画素間の輝度値の差は大きくなる。一方、被写体像が合焦状態ではないときは、その被写体像に含まれるエッジ部分が不鮮明になるので、このエッジ部分に係る隣接画素間の輝度値の差は小さくなる。つまり、合焦状態にあるときは、被写体像に係る画像信号に含まれる空間周波数の高周波成分が最も高くなる状態である。
フォーカス評価値は、隣接画素間の輝度値の差、すなわち被写体のコントラストに基づいた情報であり、例えば変位量に対する微分値のように、高周波成分の高さを反映した値であるから、フォーカス評価値が極大値になるフォーカスレンズ1−2aの位置が、合焦状態となる撮影レンズの位置となる。MF操作時は、フォーカスリング11を撮影者が操作し、フォーカスレンズ1−2aを移動させて結像状態の調整をする。このフォーカスレンズ1−2aが移動されている間も、上記のように所定のタイミングで画像信号が読み出されており、それぞれの画像信号に応じてフォーカス評価値が算出される。
ここで、フォーカス評価値とフォーカスレンズ1−2aの位置の関係を図5のグラフを用いて説明する。図5のグラフは、横軸をフォーカスレンズ1−2aの位置とし、縦軸をフォーカス評価値の大きさとしたものである。図5においてグラフG1は、フォーカスレンズ1−2aの位置が無限遠から至近の間で移動するときに、所定の時間間隔で算出されたフォーカス評価値の大きさの変化を示している。図5に示した例では、フォーカス評価値は、初期のレンズ位置(例えば無限遠)から、フォーカスリング11の操作によって、フォーカスレンズ1−2aが至近側へと移動すると、これに応じて大きくなる。フォーカス評価値は合焦位置で極大になり(傾きがゼロになり)、さらにフォーカスレンズ1−2aを移動させると、フォーカス評価値が小さくなる。
実際の合焦調整の操作は、いわゆるピンボケの状態からピントが合う方向に徐々にフォーカスレンズ1−2aを動かしていき、合焦状態を一度通過してから若干戻す、というようにフォーカスリング11の操作が行われる。そして、フォーカスリング11の操作がされると、合焦度合が変化するのでフォーカス評価値は変化し、合焦状態になった後は、フォーカスリング11の操作は行われないので、フォーカス評価値は一定の値となる。
フォーカス評価値は隣接画素間の輝度値の差、すなわち、被写体のコントラストに基づく情報である。よって、被写体の状態が変化せず、かつ、フォーカスリング11の操作がされないときには、フォーカス評価値は変化しないはずである。
一方、輝度値(Yデータ)は、コントラストに関係なく、撮像素子であるCCD101から出力された画像信号であるRGB信号に対して、第2の撮像信号処理ブロック104−2におけるYUV変換処理によって算出される。この輝度値は前述のとおり、デジタルカメラ10が「撮像をするために取得する被写体像に関する情報」の一つである。つまり輝度値は、画像信号に含まれている被写体や背景の明るさの度合いに変化が無ければ、ほぼ一定となる。言い換えると撮影しようとしている被写体を含んだ構図に変化がなければ、輝度値はほぼ一定となる。
このように、F/E−IC102、第1の撮像信号処理ブロック104−1、第2の撮像信号処理ブロック104−2を有してなる情報取得手段によって、被写体像に関する情報が取得されて、第2の撮像信号処理ブロック104−2を有してなるフォーカス情報作成手段によってコントラスト情報であるフォーカス評価値が作成され、また、第2の撮像信号処理ブロック104−2によってコントラスト情報以外の情報(例えば輝度値)が作成される。
フォーカスリング11が操作されたことを検出するには、輝度値とフォーカス評価値の変動パターンを合わせて判定すればよい。ここで、輝度値とフォーカス評価値の変化と、フォーカスリング11の操作検出の関係について図6のグラフを用いて説明する。図6(a)は輝度値の経時変化の例を示すグラフであって、横軸を時間軸とし、縦軸を輝度値の大きさとしている。図6(b)は、フォーカル評価値の経時変化の例を示すグラフであって、横軸を時間軸とし、縦軸をフォーカス評価値の大きさとしたものである。
被写体に大きな変化がなければ、図6(a)に示すように、輝度値グラフG2はほぼ一定になる。実際には、測定誤差により微妙に変化するが、グラフG2のように一点鎖線で示した幅(所定の値b)の範囲内での変動であれば、輝度値はほぼ変わらず、被写体像に変化はないと判定することができる。
一方、フォーカス評価値グラフG3は、時刻Aから時刻Bの間に、所定の画像信号取得タイミング(例えば4回)が到来しているときに、この間のフォーカス評価値の変動量が所定の値aを超えている。すなわち、所定の画像取得タイミングの間で、輝度値グラフG2の変動が第2の閾値である所定の値bを超えることがなく、フォーカス評価値グラフG3の変動量は第1の閾値である所定の値aを、所定の回数以上に越えているので、フォーカスリング11が操作されて、合焦調整操作が行われていると判定することができる。
つまり、被写体情報に含まれるコントラスト情報(フォーカス評価値)と、コントラスト情報以外の情報(例えば輝度値)の、それぞれについての変化量を判定した結果、フォーカス評価値が所定の変動幅以上の変動をしているときに、輝度値が所定の変動幅以内で略一定であれば、被写体は変化しておらず、フォーカスリング11によってMF操作が行われていると判定することができる。
そこで、時刻Bの経過時から合焦状態確認画面を表示すればよい。合焦状態確認画面の詳細は後述する。その後、MF操作が継続されてフォーカス評価値は変動し続けている間(時刻Bから時刻C)は、合焦状態確認画面が表示され続ける。
MF操作を止めたとき(時刻Cの後)、フォーカス評価値の変動量が所定の値aよりも小さくなる。画像信号取得タイミングが所定の回数分経過する時刻Dまでの間において、一度も所定の値aを超える変動をしていないときは、MF操作が終了していると判定することができる。ただし、すぐに合焦状態確認画面の表示を止めるのではなく、時刻Dの経過後に終了タイマがセットされて、所定の時間の経過を待つ。時刻Dから時刻Eに至る間で、フォーカス評価値の変動量が所定の値aを超えないときは、MF操作が終了していると判定し、合焦状態確認画面の表示から、通常のライブビュー表示に戻す。
上記の判定処理は、プロセッサ104内の演算手段によって構成される変化検出手段によって実行される。
次に、本発明に係る撮像装置において実行される撮像処理の例について、図7のフローチャートを用いて説明する。以下に説明する撮像処理は、MF操作が行われたときにライブビュー画像を合焦状態を確認しやすい表示にする処理に係るものである。図7において各処理ステップを(S101)、(S102)・・・のように表記する。まず、MFモードが選択されていることを確認する処理が行われる(S101)。MFモードが選択されていなければ、本処理は終了する(S101のNO)。MFモードが選択されていれば(S101のYES)、フォーカス評価値の変化カウンタ(α)をリセットする(S102)。変化カウンタαは、フォーカス評価値が所定の変動幅を超えて変動した回数をカウントするために用いる。
続いて、画像信号読み出しタイミングの判定をする(S103)。ライブビュー表示に用いられる画像データは、上述したように、CCD101が出力した画像信号をF/E−IC102を介して第1の撮像信号処理ブロック104−1が所定のタイミングで読み出した画像信号から生成される。この画像信号の読み出しタイミング(フレームレート)は、例えば60フレーム毎秒である。つまり、約16ミリ秒ごとに、第1の撮像信号処理ブロック104−1はF/E−IC102から画像信号を読み出している。
そこで、処理S103においては、この約16ミリ秒ごとの読み出しタイミングであるか否かを判定し、読み出しタイミングであれば(S103のYES)、次の処理に移行し、読み出しタイミングでは無ければ(S103のNO)、処理をループする。
続いて、輝度値が算出される(S104)。輝度値は、読み出された画像信号をRGB信号からYUV信号に変換することで算出され、被写体の状態に変化がなければ、輝度値もほぼ一定になる。輝度値の算出は、画像信号の全領域に対して行ってもよいが、画像信号を複数の領域に区分けをして、画像領域ごとに算出した輝度値を用いて後段の処理を行ってもよい。また、画像の中央部分の所定の領域の輝度値のみを用いて後段の処理を行ってもよい。
続いてフォーカス評価値を取得する(S105)。フォーカス評価値はすでに説明をしたとおり、隣接画素間の輝度値の差分に基づいて算出される。取得された輝度値とフォーカス評価値は、例えばRAM107に順次記憶されて、続く処理に用いられる。
続いて、フォーカス評価値の変化量(変動幅)を算出し、この変化量が第1の閾値である所定の値aを超えているか否かを判定する(S106)。フォーカス評価値の変化量は、例えば、最新に取得されたフォーカス評価値から、一つ前のタイミングで取得されたフォーカス評価値を差し引いた値とする。この変化量が所定の値aよりも小さければ(S106のNO)、本処理を終了する。変化量が所定の値aよりも大きければ(S106のYES)、次の処理に移行する。
続いて輝度値の変化量(変動幅)が第2の閾値である所定の値b以下であるか否かを判定する(S107)。輝度値の変化量は、例えば、最新の画像取得タイミングに係る輝度値から、一つ前の画像取得タイミングに係る輝度値を差し引いた値とする。この変化量が所定の値bよりも大きければ、被写体像が大きく変化している状態であるから、MF操作をしている状態にはないと判定することができる。「被写体像が大きく変化している状態」とは、例えば、撮影レンズの向きを変えたり、被写体が移動している状態である。この状態はMF操作をしているときではなく、その前段階である。よって、輝度値の変化が所定の値(b)よりも大きいときは(S107のNO)、本処理を終了する。
輝度値の変化量が、所定の値b以下であれば(S107のYES)、フォーカス評価値の変化は大きいが(S106のYES)、輝度値は変化をしていない状態であるから(S107のYES)、MF操作を行っている可能性がある。よって、それを判定するための指標として、フォーカス評価値の変化カウンタ(α)をカウントアップする(S108)。
続いて、変化カウンタαが所定の値、例えば、4以上であるか否かを判定する(S109)。変化カウンタαが4よりも小さければ、処理をS103に戻す。一方、変化カウンタαが4以上であれば、MF操作が行われていると判定し(S109)、合焦状態表示開始処理を実行する(S110)
ここで、処理S109において変化カウンタαの閾値として「4」を用いている理由を説明する。本実施例に係るデジタルカメラ10は、既に説明をしたように、画像信号の読み出し間隔が約16ミリ秒である。一般に操作部材を操作したときの反応時間は50ミリ秒から100ミリ秒が適切といわれている。この反応時間は経験則から得られている。反応時間が50ミリ秒よりも短いと、ノイズによる誤動作の恐れが生じ、また、反応が過敏であると感じられるので不適である。また、反応時間が100ミリ秒よりも長いと反応が鈍いと感じられるので不適である。
そこで、変化カウンタαの閾値を「4」に設定して、MF操作が行われているか否かを判定することで、最適な反応時間を再現することができる。本発明に係る撮像装置は、MF操作が行われているときは、ライブビュー表示を所定の方法で合焦状態表示処理を行うものであるから、上記の最適な反応時間をもってMF操作が行われたことの反応としての合焦状態確認画面表示開始処理を行う(S110)。
合焦状態確認画面表示開始処理(S110)は、フォーカスリング11が操作されたことが検知されたことによって(S109のYES)、合焦状態の調整を行いやすくするための「合焦状態確認画面」を生成して、LCDモニタ7に表示する処理である。合焦状態確認画面は、例えばライブビュー表示の一部を拡大する表示である。この拡大表示する画像領域は、画面の中心から所定の範囲を拡大領域としてもよいし、フォーカス評価値を、全撮影領域を分割した領域ごとに算出する場合は、最も変動が大きい領域を拡大領域としてもよい。または予めユーザにより設定された位置を中心とした所定の範囲を拡大領域としてもよい。
次に、合焦状態確認画面表示開始処理(S110)が実行されたときに、LCDモニタ7に表示される合焦状態確認画面の表示例について、図を用いて説明する。図8は、LCDモニタ7に表示されている画像の合焦状態確認画面の表示例を示すイメージ図である。図8(a)は、LCDモニタ7の表示領域の中央付近と、拡大表示される領域を示す領域枠71を表している。領域枠71は、被写体像に重ね合わせて表示されてもよいし、表示されなくてもよい。
図8(b)は、領域枠71に表示されていた画像をLCDモニタ7の表示領域の大きさに合うように拡大して表示する拡大画像71aの例を示すイメージ図である。図8(b)に示すように、本実施例に係る撮像装置は、フォーカスリング11の操作がされていることを検知したときに、合焦状態確認画面表示開始処理(図7のS110)によって、LCDモニタ7に表示されている画像のうち、中央付近の所定の領域に表示されている画像をLCDモニタ7の表示領域に合わせて拡大して表示することができる。
次に、合焦状態確認画面表示開始処理(図7のS110)が実行されたときにLCDモニタ7に表示される合焦状態確認画面の別の表示例について説明する。図9は、LCDモニタ7に表示されている画像の合焦状態確認画面の別の表示例を示すイメージ図である。図9(a)は、図8(a)と同様に、LCDモニタ7の表示領域の中央付近と、拡大表示される領域を示す領域枠71を表している。
図9(b)は、領域枠71に表示されていた画像を拡大し、拡大されていない元の画像に重ね合わせてLCDモニタ7に表示する拡大画像71bの例を示すイメージ図である。図9(b)に示すように、本実施例に係る撮像装置は、フォーカスリング11の操作がされていることを検知したときに、合焦状態確認画面表示開始処理(図7のS110)によって、合焦調整を行いたい画像部分のみを拡大して表示しつつ、その周囲の画角に含まれる画像も同時に確認しながら、MF操作を行って合焦調整をすることができる。
次に本実施例に係る撮像装置において実行される合焦状態表示終了処理の例について、図10のフローチャートを用いて説明する。合焦状態確認画面表示開始処理(図7のS110)は、フォーカス評価値と輝度値の変動をソフトウェア処理に検知しているので、MF操作が終わった状態の検知もソフトウェア処理によって実行される。
合焦状態確認画面表示開始処理(図7のS110)が開始された後、変化カウンタαをリセットする処理を行う(S201)。続いて、画像信号の読み出しタイミングの判定をし(S202)、読み出しタイミングであれば(S202のYES)、次の処理に移行する。読み出しタイミングで無ければ、処理をループする(S202のNO)。この間、合焦状態確認画面表示開始処理(図7のS110)は継続している。
続いて、読み出された画像信号からフォーカス評価値が算出されて(S203)、RAM107に順次記憶される。続いて、フォーカス評価値の変化量(変動幅)が所定の値aを超えているか否かの判定をする(S204)。フォーカス評価値の変化量は、例えば、最新に取得されたフォーカス評価値から、一つ前のタイミングで取得されたフォーカス評価値を差し引いた値とする。この変化量が所定の値aよりも大きければ(S204のYES)、MF操作は継続していると判定し、当該処理を終了する。変化量が所定の値aよりも小さいときは(S204のNO)、フォーカス評価値の変化カウンタ(α)をカウントアップする(S205)。
続いて、変化カウンタαが所定の値を超えているか否かを判定する(S206)。ここで所定の値とは「4」である。変化カウンタαが4より大きいときは、MF操作は継続している可能性があるので、処理をS202に戻す(S206のNO)。変化カウンタαが4以上であるときは、約64ミリ秒に渡ってフォーカス評価値が変動していないことを表しているので、MF操作が行われていない状態であると判定することができる(S206のYES)。
変化カウンタαが所定の値「4」を超えてすぐに合焦状態確認画面表示開始処理(図7のS110)をやめることもでき得るが、MF操作を一旦止めて合焦状態表示画像を確認している状態の後に再度MF操作を開始する可能性がある。このとき、約64ミリ秒で合焦状態確認画面表示開始処理(図7のS110)を停止すると、ユーザにとって不便が生じる可能性がある。
そこで、本実施例に係るデジタルカメラ10は、変化カウンタαが4以上であれば(S206のYES)、まず終了タイマをセットする(S207)。次に、画像信号の読み出しタイミングを判定して、読み出しタイミングであれば(S208のYES)、読み出された画像信号からフォーカス評価値を算出し(S209)、RAM107に順次記憶させる。読み出しタイミングでなければ、処理をループする(S208のNO)。
続いて、フォーカス評価値の変化量(変動幅)が所定の値aを超えているか否かを判定し、変化量が所定の値aよりも大きければ(S210のNO)、MF操作が再開されたと判定し、当該処理を終了する。このとき、合焦状態確認画面表示開始処理(図6のS110)は継続される。変化量が所定の値aよりも小さいとき(S210のNO)、終了時間が経過しているか否かを判定する(S211)
処理S211の判定条件に用いる「時間」は、1秒から30秒の間である。この時間は、予め任意に設定すればよい。この設定された時間が、MF操作が終了したことを検出した後に、合焦状態確認画面表示を継続させる時間となる。終了時間が到来または経過していないときは(S211のNO)、処理をループさせる。終了時間が到来または経過しているときは(S211のYES)、合焦状態確認画面表示終了処理(S212)が実行されて、通常のライブビュー画像に戻る。
このように、本実施例に係る撮像装置(デジタルカメラ10)は、画像信号のコントラスト情報基づいたフォーカス評価値の変化と、コントラスト情報以外の情報である輝度値の変化を合わせて判定することで、フォーカスリング11が操作されているか否かを判定することができる。そのため、レンズ部にフォーカスリング等のMF操作部材が操作されたことを電気的に検知する検知機構を設ける必要がない。また、着脱可能なレンズユニットを換装することができる撮像装置において、本体部とレンズ部に電気的接点を設けることなく、最適なタイミングでMF操作を検知し、これに応じて合焦状態を確認する画面を表示することができる。
次に、本発明に係る撮像装置において実行される撮像処理の別の例について、図11のフローチャートを用いて説明する。図11において各処理ステップを(S101)、(S102)・・・のように表記し、既に説明をした図7に係る処理と同じ処理については、同じ符号を付し、異なる処理を重点に説明する。
図1および図4に示したように、本実施例に係る撮像装置であるデジタルカメラ10は測距ユニット2を備えている。測距ユニット2は、2つの測距用レンズと、これに対応する測距用の撮像素子を有し、プロセッサ104にて実行される演算手段によって測距情報を作成する測距手段を構成する。この測距手段によって。2つ測距用の撮像素子に結像した被写体像の視差を算出し、被写体までの距離を示す情報(距離情報)を作成する。
MFモードが選択されている状態において(S101のYES)、フォーカス評価値の変化カウンタ(α)がリセットされ(S102)、画像信号読み出しタイミングが判定される(S103)。
読み出しタイミングであれば(S103のYES)、CPUブロック104−3が測距ユニット2から測距データを取得し(104a)、続いて読み出された画像信号からフォーカス評価値が作成される(S105)。算出された距離データとフォーカス評価値は、例えばRAM107に順次記憶されて、続く処理に用いられる。
続いて、フォーカス評価値の変化量(変動幅)が算出されて、この変化量が所定の値aを超えているとき(S106のYES)、測距データの変化量が所定の範囲(c)以下であるか否かを判定する(S107a)。
測距データの変化量は、例えば、最新の画像取得タイミングで取得された測距データから、一つ前の画像取得タイミングで取得された測距データを差し引いた値とする。この変化量が所定の値(c)よりも大きければ、デジタルカメラ10と被写体の位置関係が大きく変化している状態であると推定できるから、このときにフォーカス評価値が変動をしていても、MF操作によるものではないと判定することができる。
測距データの変化量が、所定の値(c)以下であれば(S107aのYES)、フォーカス評価値の変化は大きいが(S106のYES)、測距データは変化をしていない状態であるから(S107aのYES)、MF操作を行っている可能性がある。よって、それを判定するための指標として、フォーカス評価値の変化カウンタ(α)をカウントアップする(S108)。
この変化カウンタαが所定の値を超えていれば(S109のYES)、MF操作が行われていると判定して、合焦状態表示開始処理を実行する(S110)
このように、本実施例に係る撮像装置(デジタルカメラ10)は、画像信号のコントラスト情報の変化と、コントラスト情報以外の情報である距離データの変化を合わせて判定することで、フォーカスリング11が操作されているか否かを判定することができる。その結果、レンズ部にフォーカスリング等のMF操作部材が操作されたことを電気的に験しする検知機構を設ける必要がない。また、着脱可能なレンズユニットを換装することができる撮像装置において、本体部とレンズ部に電気的接点を設けることなく、最適なタイミングでMF操作を検知し、これに応じて合焦状態を確認する画面を表示することができる。
次に、本発明に係る撮像装置において実行される合焦状態表示開始処理(S110)において、表示部に表示される合焦状態確認画面の別に実施例について説明をする。合焦状態確認画面は、被写体の合焦状態をより容易に確認し、MF操作部の操作によって合焦状態を調整するために用いるものであるから、表示部に表示される被写体画像の輪郭部分(エッジ部分)を確認(視認)しやすい表示にすればよい。
例えば、図12に示すエッジ抽出手段によって、画像信号からエッジ部分のみを抽出する信号処理を行い、エッジ抽出手段1041から出力された画像信号を用いて輪郭線のみを表示する画像を作成し、合焦状態確認画面として表示すればよい。エッジ抽出手段1041は、画像信号から算出された輝度値に対して所定のフィルタ処理を行う手段である。例えば、プロセッサ104の第2の撮像信号処理ブロック104−2において実行される。エッジ抽出手段1041が備えるフィルタは、ハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタであればよい。
図13に、LCDモニタ7に被写体画像70が表示されている例を示す。図13において、机の上に置かれているコーヒーカップXが被写体である。図13に示した被写体画像70の輝度値をエッジ抽出手段1041によってフィルタ処理をした画像の表示例を図14に示す。図14において、LCDモニタ7には、輪郭線のみが表示されたエッジ抽出画像70aが表示されている。この画像70aは被写体画像70におけるエッジ部分(輪郭線)を明るくそれ以外を暗く表示しているので、エッジ部分(輪郭線)が白く表示されている。この白く表示されているエッジ部分(輪郭線)が鮮明になるように、フォーカスリング11を操作させることで、合焦状態に近づけることができる。
エッジ抽出画像には、その他のバリエーションもある。例えば、図15に示すように、拡大される画像領域を示す領域枠71(図8参照)に相当する部分のみ、エッジ抽出画像とし、それ以外は通常の画像表示とする被写体画像70bを用いることもできる。
また、例えば、図16に示すように、領域枠71に相当する部分のみを拡大し、エッジ抽出画像として表示する被写体画像70cを用いることもできる。
以上のように本実施例に係る撮像装置は、フォーカスリング11が操作されていることを検出したときにLCDモニタ7に表示する画像として、エッジ部分を抽出した画像によって合焦状態確認画面を表示することで、より簡単に合焦状態の確認をさせることができる。
次に、本発明に係る撮像装置において実行される合焦状態表示開始処理(S110)において、表示部に表示される合焦状態確認画面のさらに別に実施例について説明をする。
例えば、図17に示す輪郭強調手段1042によって、画像信号からエッジ部分のみを抽出する信号処理を行ったものと、原画像信号とを加算した画像信号を用いて合焦状態確認画面として表示を行えばよい。輪郭強調手段1042は、画像信号から算出された輝度値に対して所定のフィルタ処理を行うことでエッジが抽出された画像と、フィルタ処理が行われていない原画像を合成して出力する手段である。輪郭強調手段1042は、例えば、プロセッサ104の第2の撮像信号処理ブロック104−2において実行される。輪郭強調手段1042が備えるフィルタは、ハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタであればよい。
図18において、LCDモニタ7に被写体画像70が表示されている例(a)と、輪郭強調手段1042によってフィルタ処理を施された画像の表示例(b)を示す。図18(b)において、LCDモニタ7には、輪郭強調画像70dが表示されている。輪郭強調画像70dは被写体画像70におけるエッジ部分を強調して表示している。よって、輪郭部分以外は白く表示され、輪郭部分が黒く表示されている。この黒く表示されている輪郭部分が鮮明になるように、フォーカスリング11を操作させることで、合焦状態に近づけることができる。
輪郭強調画像には、その他のバリエーションもある。例えば、図19に示すように、拡大される画像領域を示す領域枠71(図8参照)に相当する部分のみ、輪郭強調画像とし、それ以外は通常の画像表示とする被写体画像70eを用いることもできる。
また、例えば、図20示すように、領域枠71に相当する部分のみを拡大し、エッジ抽出画像として表示する被写体画像70fを用いることもできる。
以上のように本実施例に係る撮像装置は、フォーカスリング11が操作されていることを検出したときにLCDモニタ7に表示する画像とし、エッジ部分を強調した画像によって合焦状態確認画面を表示することでより簡単に合焦状態の確認をさせることができる。
以上説明をした本発明に係る撮像装置によれば、MFに用いるフォーカスリングの操作を電気信号によって検知することなく、撮像素子から出力される画像信号に係る「撮像のために取得する被写体像に関する情報」の変化を把握することで、MF操作を検出することができる。これによって、複雑な構成を用いることなく、MF操作時に被写体画像を合焦状態が視認しやすい表示にさせることができる。
また、合焦状態をより確認し易くさせるために、MF操作時に被写体画像の「エッジ部分の画像」や、また、「エッジ部分を強調した画像」を表示することもできる。
また、元の画像と「エッジ部分の画像」、または、元の画像と「エッジ部分を強調した画像」を重ねて表示することで、合焦状態の確認をより行いやすい画像を表示させることもできる。