JP5833428B2 - 積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は積層フィルムの製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す。)やポリエチレン−2,6−ナフタレート(以下PENと略す。)に代表される芳香族ポリエステルは優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、フィルムなどに幅広く使用されている。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートよりも優れた機械的特性、寸法安定性および耐熱性を有することから、それらの要求の厳しい用途、例えば高密度磁気記録テープなどのベースフィルムなどに使用されている。しかしながら、近年の高密度磁気記録テープなどでの寸法安定性の要求はますます高くなってきており、さらなる特性の向上、例えば温度や湿度などの環境変化に対する高度の寸法安定性が求められている。
ところで、特許文献1〜3には、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(以下PCTと略す。)からなるフィルムが、また、特許文献4には、PCTとPETとをブレンドすることが開示され、湿度膨張係数が小さく寸法安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを得られることが記載されている。
しかしながら、これらに記載された二軸配向ポリエステルフィルムは、湿度膨張係数は低いものの、温度膨張係数がいずれの方向も10ppm/℃以上ある温度変化に対する寸法変化が大きなものでしかなかった。
特開昭60−69133号公報 特開昭60−85437号公報 特開平3−67630号公報 特開昭60−203422号公報
本発明者らは、上記従来技術の有する問題を解決しようと、PCTの温度膨張係数を低減するためにPETやPENとの積層を研究したが、温度膨張係数を低減しようと高度に延伸しようとすると工程が不安定になってしまう問題があることが判明した。そこで、PCTとPENとをブレンドしたものについてさらに研究をしたが、こちらでは両者は相溶性が乏しく、また延伸性も異なることから、延伸されたフィルムは表面平坦性やカールなどの問題があることが判明した。そこで、さらにPCTとPENとの共重合についても研究したが、PCTによる湿度膨張係数の低減を十分に発現できるだけ加えると、塗布などの加工の際に、フィルムが延びやすく、一方で両者は相溶性が乏しく、また延伸性も異なることから、延伸されたフィルムは表面平坦性やカールなどの問題があることが判明した。さらに上記の場合、湿度膨張係数は低減するものの温度膨張係数の低減を達成できないという状況であった。
したがって、本発明の課題は、温度や湿度変化に対する寸法安定性と表面の平坦性とに優れ、フィルムのカールが小さく、しかも高温での加工性にも優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意研究した結果、特定の共重合芳香族ポリエステルをPENとブレンドしたものと、PENとを積層することで、上記課題を具備する積層フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、以下の1〜5の積層フィルムの製造方法が提供される。
1.フィルム層Aと全繰り返し単位の90モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるフィルム層Bを積層した積層フィルムの製造方法であって、
フィルム層Aを構成する樹脂成分Aが、
全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、15:85〜35:65の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、60:40〜90:10の範囲である樹脂A´と全繰り返し単位の90モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとを
全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、5:95〜20:80の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、15:85〜40:60となるように溶融混練し、二軸方向に延伸する積層フィルムの製造方法
2.フィルム層Aを構成する樹脂成分Aにおける樹脂A´とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとの重量比が10:90〜90:10の範囲である上記1記載の積層フィルムの製造方法
3.積層フィルムの厚み方向において、フィルム層Aが占める厚みとフィルム層Bが占める厚みとの比が、10:90〜80:20の範囲である上記1または2に記載の積層フィルムの製造方法
4.積層フィルム全体における、全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、3:97〜15:85の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、10:90〜30:70の範囲である上記1〜3のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
5.製膜方向および幅方向のヤング率がともに4.5GPa以上である上記1〜4のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
本発明によれば、特定の共重合芳香族ポリエステルをPENとブレンドしたフィルム層と、PENからなるフィルム層とを積層することで、温度や湿度変化に対する寸法安定性と表面の平坦性とに優れ、フィルムのカールが小さく、しかも高温での加工性にも優れた積層フィルムが提供される。
本発明の積層フィルムは、フィルム層Aとポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるフィルム層Bを積層した積層フィルムである。以下、フィルム層Aとフィルム層B、積層フィルムおよびその製造方法に分けて説明する。
<フィルム層B>
本発明におけるフィルム層Bは、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(以下、PENと称する。)からなることが、後述のフィルム層Aと積層したときの延伸性を揃え、表面の平坦性やカールを抑制し、さらに温度膨張係数を低減する上で必要である。
本発明におけるPENは、全繰り返し単位の90モル%以上、好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであるPENである。したがって、本発明におけるPENは、ホモポリマーであっても良いし、本発明の効果を損なわない範囲で、それ自体公知の共重合成分を共重合したものであっても良い。共重合成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分が挙げられる。
本発明におけるPENのP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度は、0.5〜1.1dl/g、さらに0.6〜1.1dl/gの範囲にあることが本発明の効果の点から好ましい。固有粘度が上限以上だと、粘度が高くなりすぎ、製膜時の押出機からの樹脂の押出が困難になる。また、固有粘度が下限以下だと、フィルムが脆化し、延伸が困難になる。
また、本発明におけるフィルム層Bは、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他の熱可塑性ポリマー、不活性粒子やワックスなどの滑剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、核剤を必要に応じて配合しても良い。なお、表面の平坦性をより高度に発現させる観点から、表面欠点を形成しやすいPENに対して非相溶の他の熱可塑性ポリマー、顔料、充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などは含有させないことが好ましい。また、積層フィルムにしたときの走行性や巻取り性を確保しつつ、表面の平坦性を確保する観点から、平均粒径が0.01〜0.5μmの不活性粒子を、0.001〜1.0質量%の範囲で含有させるのが好ましい。好ましい不活性粒子の平均粒径は、0.02〜0.4μm、さらに0.05〜0.35μmの範囲である。また、好ましい含有量は0.005〜0.5質量%、さらに0.01〜0.4質量%である。含有させる不活性粒子としては、シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレンなどの有機高分子粒子および球状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましく、特にシリコーン樹脂、架橋ポリスチレンおよび球状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。
<フィルム層A>
本発明におけるフィルム層Aは、全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、15:85〜35:65の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、60:40〜90:10の範囲である樹脂A´とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとを、全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、5:95〜20:80の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、15:85〜40:60となるように溶融混練したものである。
樹脂A´中のテレフタル酸成分が過度に少ないか、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の割合が過度に多いと、フィルムにした場合の湿度膨張係数がPENのそれと変わらなくなるほか、樹脂A´そのものの融点が高融点化するため、重合時も難しくなる。他方樹脂A´中のテレフタル酸成分が過度に多いか、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の割合が過度に少ないと、溶融混練を行う相手材のPENとの相溶性が悪くなり、表面があれるなど、フィルム特性上好ましくない。好ましい樹脂A´中のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比は、17:83〜33:67、さらに19:81〜31:69の範囲である。
また、樹脂A´中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が過度に少ないか、エチレングリコール成分の割合が過度に多いと、十分な湿度膨張係数の低減効果が得られなくなる。他方、樹脂A´中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が過度に多いか、エチレングリコール成分の割合が過度に少ないと、PENとの相溶性が悪化することで溶融混練した際の表面性が悪化する。したがって、好ましい樹脂A´中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比は、64:36〜86:14、さらに67:33〜83:17の範囲である。
なお、上記樹脂A´と溶融混練するポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、前述のフィルム層Bで説明したのと同様なことが言え、生産性の観点からは、フィルム層Bに用いるPENと同じものを用いることが好ましい。
そして、本発明におけるフィルム層Aは、前述の樹脂A´とPENとを溶融混練した樹脂Aからなり、この樹脂Aは、前述の通り、全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、5:95〜20:80の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、15:85〜40:60となるように溶融混練したものである。
樹脂A中のテレフタル酸成分が過度に少ないか、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の割合が過度に多いと、湿度膨張係数が低減しにくくなり、温度膨張係数が増加しやすくなる。他方樹脂A中のテレフタル酸成分が過度に多いか、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の割合が過度に少ないと、PENとの相溶性が悪化し表面があれる。好ましい樹脂A中のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比は、6:94〜17:83、さらに7:93〜15:85の範囲である。
また、樹脂A中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が過度に少ないか、エチレングリコール成分の割合が過度に多いと、十分な湿度膨張係数低減降が得られない。他方、樹脂A中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が過度に多いか、エチレングリコール成分の割合が過度に少ないと、ヤング率が得られにくくなる。好ましい樹脂A中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比は、16:84〜35:65、さらに17:83〜30:70の範囲である。
ところで、樹脂A´とPENとを溶融混練するのではなく、重合の段階で上記組成になるように初めから共重合した場合、塗布などの加工性が乏しく、ヤング率などの機械的物性も乏しいものとなりやすい。そのような観点から、溶融混練する樹脂A´とPENとの重量比は、10:90〜90:10の範囲、さらに20:80〜90:10の範囲、さらに30:70〜90:10の範囲であることが好ましい。
なお、本発明における樹脂A´および樹脂Aは、本発明の効果を損なわない範囲で、それ自体公知の他の共重合成分を共重合したものであっても良い。共重合成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分が挙げられる。
本発明における樹脂A´および樹脂AのP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(重量比40/60)の混合溶媒を用いて35℃で測定した固有粘度は、0.5〜1.1dl/g、さらに0.6〜1.1dl/gの範囲にあることが本発明の効果の点から好ましい。固有粘度が上限以上だと、粘度が高くなりすぎ、製膜時の押出機からの樹脂の押出が困難になる。また、固有粘度が下限以下だと、フィルムが脆化し、延伸が困難になる。
また、本発明におけるフィルム層Aは、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、他の熱可塑性ポリマー、不活性粒子やワックスなどの滑剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、離型剤、核剤を必要に応じて配合しても良い。なお、表面の平坦性をより高度に発現させる観点から、表面欠点を形成しやすい樹脂Aに対して非相溶の他の熱可塑性ポリマー、顔料、充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、層状ケイ酸塩などは含有させないことが好ましい。また、積層フィルムにしたときの走行性や巻取り性を確保しつつ、表面の平坦性を確保する観点から、平均粒径が0.01〜0.5μmの不活性粒子を、0.001〜1.0質量%の範囲で含有させるのが好ましい。好ましい不活性粒子の平均粒径は、0.02〜0.4μm、さらに0.05〜0.35μmの範囲である。また、好ましい含有量は0.005〜0.5質量%、さらに0.01〜0.4質量%である。含有させる不活性粒子としては、シリコーン樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレンなどの有機高分子粒子および球状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましく、特にシリコーン樹脂、架橋ポリスチレンおよび球状シリカからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることが好ましい。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、前述のフィルム層Aとフィルム層Bとを積層したものであり、積層構造は、フィルム層Aとフィルム層Bの2層積層フィルム、フィルム層Aの両面にフィルム層Bやフィルム層Bの両面にフィルム層Aを積層した3層積層フィルム、フィルム層Aとフィルム層Bとを交互に積層した多層積層フィルムであっても良い。多層積層フィルムの場合、フィルム層Aとフィルム層Bの合計層数は、カールなどを抑制し、延伸性をより高めやすいことから、8層以上、さらに10層以上、特に15層以上が好ましく、他方上限は特に制限されないが、生産工程の煩雑化を抑制する観点から、1000層以下、さらに500層以下、特に200層以下であることが好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、その厚み方向に見たとき、フィルム層Aが占める厚みとフィルム層Bが占める厚みとが、10:90〜80:20の範囲であることが、温度膨張係数と湿度膨張係数とをより高度に低減させやすいことから好ましい。さらに、好ましいフィルム層Aが占める厚みとフィルム層Bが占める厚みは、15:85〜80:20の範囲であることが好ましい。
そのような観点から、本発明の積層フィルムは、積層フィルム全体で見たとき、全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、3:97〜15:85の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、10:90〜30:70の範囲であることが好ましい。
積層フィルム全体で見たときの、テレフタル酸成分が過度に少ないか、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の割合が過度に多いと、十分な湿度膨張係数の低減効果が得られなくなる。他方積層フィルム全体で見た場合のテレフタル酸成分が過度に多いか、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の割合が過度に少ないと温度膨張係数が増加しやすく、さらにフィルムのヤング率も低下しやすい。好ましい積層フィルム全体で見たときの、テレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比は、4:96〜12:88、さらに5:95〜10:90の範囲である。また、積層フィルム全体で見たときの、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が過度に少ないか、エチレングリコール成分の割合が過度に多いと、十分な湿度膨張係数低減降が得られない。他方、樹脂A中の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が過度に多いか、エチレングリコール成分の割合が過度に少ないと、ヤング率が得られにくくなる。好ましい積層フィルム全体で見たときの、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比は、11:89〜25:75、さらに12:88〜20:80の範囲である。
ところで、本発明の積層フィルムは、表裏の表面粗さ(Ra)の差が1nm以上、さらに2nm以上異なることが、一方の表面で走行性や巻取り性を具備させつつ、他方の表面の平坦性をより高度に発現できるため好ましい。なお、表裏の表面粗さ(Ra)の差の上限は特に制限されないが、過度に差を持たせると、平坦な側の表面に平坦でない側の表面の形状が転写しやすくなるので、10nm以下であることが好ましい。そして、このような表面粗さに差を持たせる観点から、本発明の積層フィルムは、その厚み方向に非対称なフィルム層AとBとが非対象な層構成であることが好ましく、例えばフィルム層Aの厚み割合で見たとき、一方の表面からフィルムの中心部分までの割合と、他方の表面からフィルムの中心部分までの割合とが、厚み比で10%以上異なることが好ましい。
つぎに、本発明の積層フィルムの好ましい態様について、以下に説明する。
本発明の積層フィルムは、製膜方向(縦方向またはMD方向と称することもある。)および幅方向(フィルム面方向における製膜方向に直交する方向で、横方向またはTD方向と称することもある。)に延伸された二軸配向フィルムであることが好ましく、製膜方向及び幅方向におけるヤング率が、4.5GPa以上であることが、温度膨張係数を小さくし、高温での加工特性を高度に発現できることから好ましい。特に、磁気記録テープにベースフィルムに用いる場合、ヤング率を高める方向が積層フィルムの幅方向であることが、トラックずれなどを抑制できることから好ましい。
このような高いヤング率を有するフィルムを得るには、共重合芳香族ポリエステルとして、前述の特定量の1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート成分となるように重合されたものを直接用いるのではなく、1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート成分の割合が異なる2種以上のポリエステルを用意し、これらをブレンドし、さらにPENと積層すること、ヤング率を高めたい方向に高度に延伸すること、さらにより特定方向のヤング率を高めたい場合は、ヤング率を高めたい方向と直交する方向の延伸を緩和することなどが挙げられる。
本発明の積層フィルムは、少なくとも一方向、好ましくはフィルムの幅方向における温度膨張係数の関係を満足する方向の温度膨張係数が−5〜10ppm/℃、好ましくは−2〜10ppm/℃、さらに好ましくは−2〜7.5ppm/℃の範囲にあることが、特に磁気記録テープにしたときの寸法安定性の点で好ましい。上記上限を上回ると磁気テープにした場合に、温度条件によってトラックずれが起こり好ましくない。また上記下限を下回ると磁気テープとそれを読み取るヘッドの温度膨張係数の差が大きくなるため、これも読み取り誤差を大きくするため好ましくない。
本発明の積層フィルムは、少なくとも一方向、好ましくはフィルムの幅方向における温度膨張係数の関係を満足する方向の湿度膨張係数が1〜7ppm/%RH、好ましくは3〜7ppm/%RH、さらに好ましくは3〜6.5ppm/%RHの範囲にあることが、特に磁気記録テープにしたときの寸法安定性の点で好ましい。上記上限を上回ると磁気テープにした場合に、温度条件によってトラックずれが起こり好ましくない。
本発明の積層フィルムは、用いる用途に応じて適宜採用すればよいが、本発明の効果を発現しやすいことから、フィルム厚みが2〜15μmの範囲にあることが好ましい。特に、磁気記録テープのベースフィルムに用いる場合、2〜10μm、さらに2.5〜5μm、特に3〜4.7μmの範囲にあることが、カセットに入れるテープ長さを十分に確保して記憶容量を高める点と、フィルム製膜時の生産性の点から好ましい。
本発明の積層フィルムは、表面の平坦性に優れることから、少なくとも一方の表面は、表面粗さRaが10nm以下、さらに8nm以下であることが好ましい。また、磁気記録テープのベースフィルムに用いる場合、磁性層を形成する側の表面は、表面粗さRaが0.5〜4nmの範囲にあることが好ましく、走行性と巻取り性を高度に具備させるために、磁性層を形成しない側の表面は、表面粗さRaが3〜10nmの範囲にあることが好ましい。磁性層を形成しない側の表面粗さRaが上記上限を超えると、製膜時のハンドリング性は優れるものの、フィルムを巻き取った際に磁性層を形成する側の表面の平坦性が損なわれることがある。他方、上記下限を下回ると、フィルムのハンドリングが非常に問題になりえる。
本発明の積層フィルムは、後述の測定方法によって測定されるフィルムカールが−1〜1mm、さらに−0.5〜0.5mm、特に−0.3〜0.3mmであることが好ましい。カールが上限または下限を外れると、フィルムカールがきつくなりすぎ、例えばフィルム製膜工程上で切断などが起き、生産性が悪化する。また磁気テープを作成する際のハンドリング性も悪化する。このようなカールは、前述の特定の共重合芳香族ポリエステルをPENとブレンドしたフィルム層Aと、PENからなるフィルム層Aとを積層することで抑えることができる。
本発明の積層フィルムは、後述の測定方法で測定される110℃でのMD方向の塗布適性が、1%以下であることが好ましい。塗布適性が1%以下であることで、磁性層を塗布する工程など、高温で張力がかかる状態での加工において、フィルムにシワが入るのを抑制できる。また、より高温の条件やより高張力の条件で加工できるようにもなるので、より高速での加工が可能になり、生産性を向上することもできる。このような塗布適性は、前述の特定の共重合芳香族ポリエステルをPENとブレンドしたフィルム層Aと、PENからなるフィルム層Aとを積層し、製膜方向の延伸などを強化することで抑えることができる。
<積層フィルムの製造方法>
本発明の積層フィルムの好ましい製造方法について、以下説明する。
まず、前述の樹脂A´とPENとを用意し、これらを必要に応じて乾燥処理をした後、2台の押出機に供給する。具体的には、第1の押出機には、樹脂A´とPENとを目的の樹脂Aの組成になるように供給し、第2の押出機にはPENを供給し、溶融混練する。この際、エステル交換反応や分子量低下が過度に進行しないように、第1の押出機の溶融混練は得られる樹脂Aの融点(TmA:℃)以上TmA+50℃以下、好ましくはTmA+10℃以上TmA+30℃以下の温度で、第2の押出機の溶融混練はPENの融点(TmB:℃)以上TmB+50℃以下、好ましくはTmB+10℃以上TmB+30℃以下の温度で行い、比較的短時間、例えば20分以下で行うことが好ましい。
そして、このようにして溶融状態になった樹脂AとPENとを、例えばフィードブロックにて所望の層構成になるように溶融状態で積層し、ダイから回転している冷却ドラムの上に押出し、急冷して未延伸積層フィルムを製造する。
なお、前述のヤング率、温度膨張係数(αt)および湿度膨張係数(αh)を好ましい範囲にするには、その後の延伸を進行させやすくすることが必要であり、そのような観点から冷却ドラムによる冷却は非常に速やかに行うことが好ましい。そのような観点から、20〜60℃という低温で行うことが好ましい。このような低温にすることで、未延伸フィルムの状態での結晶化が抑制され、その後の延伸をよりスムーズに行える。
二軸延伸としては、逐次二軸延伸でも同時二軸延伸でもよい。ここでは、逐次二軸延伸で、縦延伸、横延伸および熱処理をこの順で行う製造方法を一例として挙げて説明する。まず、最初の縦延伸はフィルム層BのPENのガラス転移温度(TgB:℃)ないし(TgB+40)℃の温度で、2〜8倍に延伸し、次いで横方向に先の縦延伸と同様の温度で3〜10倍に延伸し、さらに熱処理としてPENの融点以下の温度でかつ(TgB+50)〜(TgB+150)℃の温度で1〜20秒、さらに1〜15秒熱固定処理するのが好ましい。なお、ヤング率を高めたい場合、温度膨張係数や湿度膨張係数を小さくしたい場合、その方向の延伸倍率を高くすること、その方向の延伸時の温度を低くすること、その方向に直交する方向の延伸倍率を小さくすることなどが有効である。
なお、前述の説明は逐次二軸延伸について説明したが、本発明の積層フィルムは縦延伸と横延伸とを同時に行う同時二軸延伸でも製造でき、例えば先で説明した延伸倍率や延伸温度などを参考にすればよい。
本発明によれば、本発明の積層フィルムをベースフィルムとし、その一方の面に非磁性層および磁性層がこの順で形成され、他方の面にバックコート層が形成することなどで高密度磁気記録テープとすることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明では、以下の方法により、その特性を測定および評価した。
(1)固有粘度
得られたポリエステルの固有粘度はP−クロロフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(40/60重量比)の混合溶媒を用いてポリマーを溶解して35℃で測定して求めた。
(2)ガラス転移点および融点
ガラス転移点、融点はDSC(TAインスツルメンツ株式会社製、商品名:Thermal lyst2100)によりサンプル重量10mg、昇温速度10℃/minで測定した。
(3)密度
得られたフィルムを一辺が3〜5mmの任意の形に切り出し、密度勾配管法で測定した。
(4)ヤング率
得られたフィルムを試料巾10mm、長さ15cmで切り取り、チャック間100mm、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件で万能引張試験装置(東洋ボールドウィン製、商品名:テンシロン)にて引っ張る。得られた荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。なお、測定は5回行い、その平均値をヤング率とした。
(5)温度膨張係数(αt)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ20mm、幅4mmに切り出し、SII製EXSTAR6000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、80℃で30分前処理し、その後室温まで降温させる。その後30℃から70℃まで2℃/minで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、次式より温度膨張係数(αt)を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値を用いた。
αt={(L60−L40)}/(L40×△T)}+0.5
ここで、上記式中のL40は40℃のときのサンプル長(mm)、L60は60℃のときのサンプル長(mm)、△Tは20(=60−40)℃、0.5は石英ガラスの温度膨張係数(×10−6ppm/℃)である。
(6)湿度膨張係数(αh)
得られたフィルムを、フィルムの幅方向が測定方向となるように長さ15mm、幅5mmに切り出し、BRUKER製TMA4000SAにセットし、30℃の窒素雰囲気下で、湿度20%RHと湿度80%RHにおけるそれぞれのサンプルの長さを測定し、次式にて湿度膨張係数を算出する。なお、測定方向が切り出した試料の長手方向であり、5回測定し、その平均値をαh(ppm/%RH)とした。
αh=(L80−L20)/(L80×△H)
ここで、上記式中のL20は20%RHのときのサンプル長(mm)、L80は80%
RHのときのサンプル長(mm)、△H:60(=80−20)%RHである。
(7)共重合量
グリコール成分については、試料10mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1(容積比)混合溶液0.5mlに80℃で溶解した。イソプロピルアミンを加えて、十分に混合した後にH−NMR(日立電子製 JEOL A600)にて80℃で測定し、それぞれのグリコール成分量を測定した。
また、芳香族ジカルボン酸成分については、試料50mgをp−クロロフェノール:1,1,2,2−テトラクロロエタン=3:1混合溶液0.5mlに140℃で溶解し、13C−NMR(日立電子 JEOL A600)にて140℃で測定し、それぞれの酸成分量を測定した。
(8)表面粗さ
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて測定倍率10倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetroProにより中心面平均粗さ(Ra:nm)を求める。
(9)カール
まず、フィルムを長手方向に170mm、幅方向に1/2インチ幅に切り出す。そして、水平方向に配置された2つのフリーロールにフィルムの表面粗さが平坦な側の表面を下にしてセットする。なお、フリーロールはフィルムと接する部分の外経が10mm、フリーロールの中心軸間の距離は10cmとし、フィルムの両端には、17.5g/mmの荷重をかける。次に、発光部と受光部を兼ね備えたキーエンス製レーザー変位計LK−G30を、フィルムの上方に配置し、レーザー光をフィルムの面方向に斜めに照射した。そして、フィルムの幅方向に沿って、フィルムの変位(距離)を計測する。
計測された変位について、フィルムの幅方向における両端の変位の平均値と、フィルム幅方向における中央部分で観測される極大値または極小値とを用い、前述の平均値と極大値または極小値との差異をカールの値とする。なお、表面粗さが平坦な側の表面を内側にしてカールしている場合はプラスの値とし、表面粗さが平坦な側の表面を外側にしてカールしている場合はマイナスの値とした。上記測定を、3つのサンプルについて行い、それらの平均値を算出してカールの値とした。
(10)塗布適性
得られたフィルムを、フィルムの製膜方向が測定方向となるように長さ20mm、幅4mmに切り出し、SII製EXSTAR6000にセットし、窒素雰囲気下(0%RH)、30℃で保持した後、2℃/minで150℃まで昇温して、各温度でのサンプル長を測定し、30℃で保持した後の昇温する前のフィルム長(L30)に対し、110℃におけるフィルム長(L110)から、以下の式にて、いてどの程度長さ方向に膨張したかを計算した。
塗布適性(%)=(L110−L30)/L30×100
[実施例1]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルと2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gのシクロヘキサンジメタノールを共重合せしめた共重合ポリエステルを得て、これを樹脂A´−1とした。
樹脂A’の各成分のモル比は、テレフタル酸成分:ナフタレンジカルボン酸成分が30:70、シクロヘキサンジメタノール成分:エチレングリコール成分が70:30であった。
一方、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルとジオール成分としてエチレングリコールとをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得て、これを樹脂B−1とした。
このようにして得られた樹脂A´−1と樹脂B−1を、重量比45:55になるようにブレンドし、樹脂A−1を得た。
このようにして得られた樹脂A−1と樹脂B−1を、押出機に供給して、樹脂A−1と樹脂B−1の吐出量を2:1となるようにし、300℃でダイから溶融状態でフィードブロックを用いて表1に示す厚みの層構成になるように2層に積層せしめ、回転中の温度60℃の冷却ドラム上にシート状に押し出し積層未延伸フィルムとした。なお、フィルム層Aには、平均粒径0.3μmの球状シリカ粒子を、フィルム層Aの質量を基準としたとき、0.15質量%となるように含有させ、フィルム層Bには、平均粒径0.1μmの球状シリカ粒子を、フィルム層Bの質量を基準としたとき、0.10質量%となるように含有させた。
そして、積層未延伸フィルムを、製膜方向に沿って回転速度の異なる二組のローラー間で、上方よりIRヒーターにてフィルム表面温度が135℃になるように加熱して、縦方向(製膜方向)の延伸を、延伸倍率4.6倍で行い、一軸延伸フィルムを得た。そして、この一軸延伸フィルムをステンターに導き、140℃で横方向(幅方向)に延伸倍率6.5倍で延伸し、その後200℃で3秒間熱固定処理を行い、厚さ4.5μmの積層二軸配向フィルムを得た。
得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例2]
表1に示すように、積層構成を2層から、フィルム層Aとフィルム層Bとを交互に積層した50層に変更した以外は実施例1と同様にして積層二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例3]
樹脂A´−1と樹脂B−1を重量比29:71になるようにブレンドし、樹脂A−2を作成し、この樹脂A−2を樹脂A−1の代わりに用いた以外は、実施例2と同様にして積層二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例4]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルと2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gのシクロヘキサンジメタノールを共重合せしめた共重合ポリエステルを得て、これを樹脂A´−3とした。樹脂A´−3の各成分は、モル比で、テレフタル酸成分:ナフタレンジカルボン酸成分が20:80、シクロヘキサンジメタノール成分:エチレングリコール成分が80:20である。
こうして得られた樹脂A´−3を用いて、樹脂A´−3と樹脂B−1とを重量比41:59になるようにブレンドし、樹脂A−3を作成し、この樹脂A−3を樹脂A−1の代わりに用いた以外は、実施例2と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[実施例5]
樹脂A´−1と樹脂B−1を重量比61:39になるようにブレンドし、樹脂A−4を作成し、この樹脂A−4を樹脂A−1の代わりに用いた。これを押出機上の吐出量で1:1になるように供給した以外は実施例2と同様にして積層二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[比較例1]
樹脂A´−1と樹脂B−1とを重量比97:3になるようにブレンドし、樹脂A−5を作成し、樹脂A−1の代わりに樹脂A−5を用いた以外は、実施例2と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[比較例2]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルと2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gのシクロヘキサンジメタノールを共重合せしめた共重合ポリエステルを得て、これを芳香族ポリエステルA´−5とした。樹脂A´−5の各成分のモル比は、テレフタル酸成分:ナフタレンジカルボン酸成分が80:20、シクロヘキサンジメタノール成分:エチレングリコール成分が80:20である。
こうして得られた樹脂A´−6と樹脂B−1を重量比38:62になるようにブレンドし、樹脂A−6を作成し、樹脂A−1の代わりに樹脂A−6を用いた以外は、実施例2と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[比較例3]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルと2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gのシクロヘキサンジメタノールを共重合せしめた共重合ポリエステルを得て、これをA´−7とした。樹脂A´−7の各成分のモル比は、テレフタル酸成分:ナフタレンジカルボン酸成分が80:20、シクロヘキサンジメタノール成分:エチレングリコール成分が90:10である。
こうして得られた樹脂A´−7と樹脂B−1を重量比35:65になるようにブレンドし、樹脂A−7を作成し、樹脂A−1の代わりに樹脂A−7を用いた以外は、実施例2と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[比較例4]
樹脂A´−7と樹脂B−1を重量比22:78になるようにブレンドし、樹脂A−8を作成し、樹脂A−7の代わりに樹脂A−8を用いた以外は、比較例3と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
[比較例5]
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸ジメチルと2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ジオール成分としてエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールをチタンテトラブトキシドの存在下でエステル交換反応を行い、さらに引き続いて重縮合反応を行って、固有粘度0.62dl/gのシクロヘキサンジメタノールを共重合せしめた共重合ポリエステルを得て、これを樹脂A´−9とした。樹脂A´−9の各成分のモル比はテレフタル酸成分:ナフタレンジカルボン酸成分が80:20、シクロヘキサンジメタノール成分:エチレングリコール成分が70:30である。
こうして得られた樹脂A´−9と樹脂B−1とを重量比が27:73になるようにブレンドし、樹脂A−9を作成し、樹脂A−1の代わりに樹脂A−9を用いた以外は、実施例2と同様にして二軸配向フィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルムの特性を表1に示す。
Figure 0005833428
表1中の表層A層は樹脂Aからなる最表層に位置するフィルム層Aの厚み、内層A層は最表層に位置しない各フィルム層Aの厚みを測定し、それらから算出した厚みの平均値、内層B層は最表層に位置しない各フィルム層Bの厚みを測定し、それから算出した厚みの平均値、表層B層は樹脂Bからなる最表層に位置するフィルム層Bの厚みを示す。また、表1中のTAはテレフタル酸成分、NDCはナフタレンジカルボン酸成分、CHDMはシクロヘキサンジメタノール成分、EGはエチレングリコール成分、RaBは最表層に位置するフィルム層Bの表面粗さ、RaAは最表層に位置するフィルム層Aの表面粗さ、CTEは温度膨張係数、CHEは湿度膨張係数を意味する。
本発明の積層フィルムは、優れた寸法安定性と表面平坦性とを有し、カールが小さく高温での加工性にも優れることから、高密度磁気記録テープのベースフィルムなどに、好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. フィルム層Aと全繰り返し単位の90モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートからなるフィルム層Bを積層した積層フィルムの製造方法であって、
    フィルム層Aを構成する樹脂成分Aが、
    全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、15:85〜35:65の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、60:40〜90:10の範囲である樹脂A´と全繰り返し単位の90モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートであるポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとを
    全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、5:95〜20:80の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、15:85〜40:60となるように溶融混練し、二軸方向に延伸する積層フィルムの製造方法
  2. フィルム層Aを構成する樹脂成分Aにおける樹脂A´とポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとの重量比が10:90〜90:10の範囲である請求項1記載の積層フィルムの製造方法
  3. 積層フィルムの厚み方向において、フィルム層Aが占める厚みとフィルム層Bが占める厚みとの比が、10:90〜80:20の範囲である請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法
  4. 積層フィルム全体における、全酸成分のテレフタル酸成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分のモル比が、3:97〜15:85の範囲で、全グリコール成分の1,4−シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール成分のモル比が、10:90〜30:70の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
  5. 製膜方向および幅方向のヤング率がともに4.5GPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
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