JP5826204B2 - 金属微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バーナーを用いた金属微粒子の製造方法に関する。
近年、携帯端末等の電子機器に利用される半導体実装技術の高密度化が進められている。上記半導体実装技術に使用される金属微粒子には、多種多様なニーズが存在する。具体的には、金属微粒子の用途に応じて、金属微粒子の粒子径、粒度分布、形状等に対する様々な要求がある。
特許文献1には、気相化学反応法を用いて、固体塩化ニッケルを昇華して得た塩化ニッケルガスを不活性ガスで希釈して還元炉に送り、これに水素ガスを接触させて還元反応を起こさせ、ニッケル超微粉を生成させる方法が開示されている。
特許文献2には、酸素もしくは酸素富化空気を用いて燃料を部分燃焼させることで炉内に高温還元雰囲気を形成し、バーナーの酸素比を調製すると共に前記バーナーにより生成した高温還元気流中に粉体状の金属化合物を噴出させて該金属化合物を加熱・還元することにより、粒径を制御した球状の金属超微粉を生成させる金属超微粉の製造方法が開示されている。
特許文献3には、バーナーにより炉内に形成された還元性火炎中に原料となる金属粉を吹き込み、火炎中で金属粉を溶融し蒸発状態とし、球状の金属超微粉を得る金属超微粉の製造方法が開示されている。
上記特許文献2,3に開示された金属超微粉の製造方法は、特許文献1に開示された方法と比較して、原料に塩化物を使用しないことや、火炎による直接加熱であるため、低コストかつ安全に金属超微粉を製造することが可能となる。
ところで、積層セラミックコンデンサ(Multi−Layer Ceramic Capacitor(以下、「MLCC」という))用内部電極に使用されるニッケル粉は、MLCCの小型化、高容量化に伴う内部電極層の薄層多層化を実現するために、0.1μm、或いはこれ以下の粒子径が求められている。
MLCCは、チタン酸バリウムを含む誘電体グリーンシートよりなる誘電体層と、ニッケル粉を含む導電ペーストよりなる内部電極層と、を交互に積層させて圧着し、次いで、加熱処理によって各層に含まれる有機成分を除去し、その後、高温に加熱して焼結させることで製造する。
MLCCを製造する際の焼結は、水素等を含む還元雰囲気で行われることが一般的である。焼結の際には、内部電極層を構成するニッケル粉、及び誘電体層を構成するチタン酸バリウムが体積収縮するが、ニッケル粉の方がチタン酸バリウムよりも焼結開始温度が低く、熱収縮率も大きいため、誘電体層と内部電極層とでの収縮挙動に差異が生じ、その結果クラックやデラミネーション等の構造欠陥が生じる恐れがあった。
さらに、ニッケル粉が小さくなると内部電極層の焼結開始温度がより低い温度で開始するため、誘電体層と内部電極層とでの収縮挙動の差異はより大きくなる。
上記理由により、ニッケル粉の小粒径化は、MLCC製造における焼結工程を難しくしている。つまり、ニッケル粉の小粒径化は、MLCCの歩留まり向上を難しくしている。
このため、ニッケル粉には、小粒径(例えば、0.1μm以下)であるとともに、誘電体層と内部電極層とでの収縮挙動の差異を小さくするため、チタン酸バリウムに近い焼結挙動を有することが望まれる。ニッケル粉の焼結特性を改善する技術は、工業的に大きな価値があると考えられる。
上記説明したような焼結工程における問題点を解決可能な技術として、例えば、特許文献4,5には、ニッケル粉に硫黄分を添加することでニッケル粉の焼結特性を改善可能な方法が開示されている。
具体的には、特許文献4には、表面を硫黄換算で0.02〜0.20重量%の硫黄又は硫酸基で被覆してなるニッケル粉末、及びニッケル粉末を、ニッケル粉末に対して0.02〜0.3 0重量%の水素化物及び/又は酸化物の形態である硫黄を含むガスと接触処理するニッケル粉末の製造方法が開示されている。
また、特許文献4には、密閉された容器内にニッケル粉と硫黄含有ガスとを封入し、数分間保持することで、硫黄がニッケルと反応して粒子表面に吸着することが開示されている。
特許文献5には、ニッケル微粒子を硫黄化合物の溶液で湿式処理して、ニッケル微粒子
に対して0.05〜1.0重量%の範囲の硫黄分を含有させるニッケル微粒子の製造方法が開示されている。
また、特許文献5には、ニッケル粉を、添加する硫黄含有量に相当する硫酸アンモニウム水溶液に加えてスラリー状にした後に加熱乾燥することが開示されている。
特開平4−365806号公報 特許第4304212号公報 特許第4304221号公報 特開2004−24465号公報 特開2007−191771号公報
しかしながら、特許文献4に開示されたニッケル粉末の製造方法では、ニッケル粉末を大量に生成する場合、ニッケル粉末の表面に硫黄を均一に被覆させることが困難であるという問題や、硫黄で被覆されたニッケル粉末の生産性が低いという問題があった。
また、ニッケル粉末への硫黄被覆工程では、硫化水素を大量に使用するため、排ガス処理が必須であることから、安全性の問題やニッケル粉末の製造方法が煩雑になってしまうという問題があった。
特許文献5に開示されたニッケル微粒子の製造方法では、添加する硫黄含有量に相当する硫酸アンモニウム水溶液にニッケル微粒子を加えてスラリー状にした後に、加熱乾燥させる。ニッケル微粒子は、乾燥凝集しているため、分散性が悪く、MLCCの内部電極層とするためペーストにして塗布した後、圧着させる際に、このニッケル微粒子の凝集粉が大粒子として振る舞い、上下の誘電体層を突き破るなどしてショートの原因になるという問題があった。
また、特許文献4,5は、ニッケル粉末の製造工程(ニッケル微粒子の製造工程)とは別の工程において、硫黄をニッケル粉末(ニッケル微粒子)に添加する方法であるため、工程数が増加して、煩雑になってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、安全を確保した上で、簡便な方法により、表層に硫黄が濃化した金属微粒子を製造可能な金属微粒子の製造方法を提供することを目的とする
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、バーナーの先端に形成される火炎に、金属微粒子の原料となる金属化合物粉体と、硫黄化合物と、を投入する原料及び硫黄化合物投入工程と、前記火炎により、前記金属化合物粉体を加熱・還元し、前記硫黄化合物を熱分解させることで、表層に硫黄を濃化した金属微粒子を形成する金属微粒子形成工程と、を含むことを特徴とする金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項2に係る発明によれば、前記原料及び硫黄化合物投入工程では、前記金属化合物粉体及び前記硫黄化合物の混合物を、前記バーナーの先端から前記火炎に投入することを特徴とする請求項1記載の金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項3に係る発明によれば、前記原料及び硫黄化合物投入工程では、前記金属化合物粉体と前記硫黄化合物とを別々に投入することを特徴とする請求項1または2記載の金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項4に係る発明によれば、前記原料及び硫黄化合物投入工程では、可燃性ガスを用いて、前記金属化合物粉体及び前記硫黄化合物の粉体を前記火炎に投入することを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項5に係る発明によれば、前記原料及び硫黄化合物投入工程では、前記硫黄化合物を溶媒に溶解させた硫黄化合物含有溶液を前記火炎に投入することを特徴とする請求項1または3記載の金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項6に係る発明によれば、バーナーの先端に形成される火炎に、金属微粒子の原料となる金属化合物粉体と硫黄とを投入する原料及び硫黄投入工程と、前記火炎により、前記金属化合物粉体を加熱・還元し、前記硫黄を昇華させることで、表層に前記硫黄を濃化した金属微粒子を形成する金属微粒子形成工程と、を含むことを特徴とする金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項7に係る発明によれば、前記原料及び硫黄投入工程では、前記金属化合物粉体及び前記硫黄の混合物を、前記バーナーの先端から前記火炎に投入することを特徴とする請求項6記載の金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項8に係る発明によれば、前記原料及び硫黄投入工程では、前記金属化合物粉体と前記硫黄とを別々に投入することを特徴とする請求項6または7記載の金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項9に係る発明によれば、前記原料及び硫黄投入工程では、可燃性ガスを用いて、前記金属化合物粉体及び前記硫黄の粉体を前記火炎に投入することを特徴とする請求項6ないし8のうち、いずれか1項記載の金属微粒子の製造方法が提供される。
また、請求項10に係る発明によれば、前記金属化合物粉体として酸化ニッケルの粉体を用い、前記金属微粒子生成工程では、粒径が0.1μm以下であり、かつ硫黄が表層に濃化したニッケル微粒子を形成することを特徴とする請求項1ないし9のうち、いずれか1項記載の金属微粒子の製造方法が提供される。
本発明の金属微粒子の製造方法によれば、硫黄化合物投入工程において、バーナーの先端に形成される火炎に、金属微粒子の原料となる金属化合物粉体と、硫黄化合物もしくは硫黄と、を投入し、金属微粒子形成工程において、火炎により、金属化合物粉体を加熱・還元するとともに硫黄化合物を熱分解することで、表層に硫黄が濃化した金属微粒子を形成するため、別途、金属微粒子に硫黄を含ませる工程を設ける必要がない。
よって、簡便な方法により、表層に硫黄が濃化した金属微粒子を作製することができる。
また、硫黄を含んだガスではなく、硫黄を含んだ粉体を用いることで、安全を確保した上で、表層に硫黄が濃化した金属微粒子を作製することができる。
さらに、本発明の金属微粒子の製造方法により得られる上記金属微粒子は、MLCCの材料として用いることが可能である。この場合、記金属微粒子は、電極層にペーストして焼結する際に収縮開始温度を高温側に改善し、収縮率を低減させることができる。
また、本発明の金属微粒子の製造方法は、乾式法であるため、本発明の金属微粒子の製造方法により得られた金属微粒子は、湿式法により作製された金属微粒子と比較して分散性を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る金属微粒子の製造方法において使用する金属微粒子製造装置の概略構成を模式的に示す図である。 図1に示すバーナーをA視した図(正面図)である。 図2に示すバーナーのB−B線方向の断面図である。 電界放出形走査電子顕微鏡で撮影した実施例1の金属微粒子の写真(SEM写真)を示す図である。 参考例及び実施例8のニッケル微粒子の焼結特性を示す図である。 実施例1〜10、及び参考例のニッケル微粒子に関する収縮率と収縮開始温度を硫黄濃度で整理した結果を示す図である。 実施例1〜10、及び参考例のニッケル微粒子に関する収縮率と硫黄濃度との関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の金属微粒子製造装置及びバーナーの寸法関係とは異なる場合がある。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る金属微粒子の製造方法において使用する金属微粒子製造装置の概略構成を模式的に示す図である。
本実施の形態の金属微粒子の製造方法を説明する前に、本実施の形態に係る金属微粒子製造装置10(図1参照)について説明する。
図1を参照するに、金属微粒子製造装置10は、バーナー11と、可燃性ガス供給源13と、原料及び硫黄化合物供給源14と、支燃性ガス供給源15と、水冷炉18と、窒素供給源21と、窒素供給ライン22と、ライン24と、バグフィルター26と、排気ライン27と、ブロワー28と、を有する。
バーナー11は、火炎12(高温還元火炎)を形成する先端面11Aが下面となるように配置されている。バーナー11の先端部は、水冷炉18の上端に収容されている。
上記高温還元火炎とは、燃料を部分燃焼させることで、水素と一酸化炭素を多く含む燃焼状態により形成された火炎のことをいう。なお、部分燃焼とは、酸素量不足条件下で酸化反応(燃焼)を部分的に行うことをいう。
図2は、図1に示すバーナーをA視した図(正面図)である。図3は、図2に示すバーナーのB−B線方向の断面図である。なお、図3では、バーナー11の先端部のみ図示する。
図2及び図3を参照するに、バーナー11は、原料及び硫黄化合物供給管32と、リング状部材33と、環状部材34と、第1の支燃性ガス供給経路35と、燃焼室36と、外筒37と、第2の支燃性ガス供給経路39と、原料及び硫黄化合物供給経路41と、複数の原料及び硫黄化合物噴出孔42と、複数の第1の支燃性ガス噴出孔44と、複数の第2の支燃性ガス噴出孔46と、を有する。
原料及び硫黄化合物供給管32は、円筒形状の部材である。原料及び硫黄化合物供給管32は、その中心軸がバーナー11の中心軸Cと一致するように配置されている。
原料及び硫黄化合物供給管32は、先端部32Aを有する。先端部32Aは、燃焼室36を区画し、かつバーナー11の中心軸Cと直交する面である先端面32aを有する。
リング状部材33は、先端部32Aの近傍に位置する原料及び硫黄化合物供給管32の外壁であって、かつ原料及び硫黄化合物供給管32の先端と後端との間に位置する部分に設けられている。リング状部材33は、原料及び硫黄化合物供給管32と環状部材34との間に配置されており、環状部材34の内壁と接触している。
リング状部材33は、その中心軸がバーナー11の中心軸Cと一致するように配置されている。
環状部材34は、円筒形状の部材であり、その内壁がリング状部材33と接触するように、原料及び硫黄化合物供給管32の外側に設けられている。環状部材34は、その中心軸がバーナー11の中心軸Cと一致するように配置されている。
環状部材34は、原料及び硫黄化合物供給管32から離間する斜め方向に突出する先端部34Aを有する。先端部34Aは、燃焼室36を構成する傾斜面34aを有する。
第1の支燃性ガス供給経路35は、原料及び硫黄化合物供給管32と環状部材34との間に形成された円筒状の空間である。第1の支燃性ガス供給経路35は、図1に示す支燃性ガス供給源15と接続されている。
第1の支燃性ガス供給経路35には、支燃性ガス供給源15から供給される第1の支燃性ガスが導入される。第1の支燃性ガス供給経路35は、複数の第1の支燃性ガス噴出孔44に第1の支燃性ガスを供給するための経路である。
第1の支燃性ガスとしては、例えば、酸素または酸素富化空気を用いることができる。
燃焼室36は、原料及び硫黄化合物供給管32の先端面32aと原料及び硫黄化合物供給管32の先端面32aとで区画された空間である。燃焼室36は、先端面32aからバーナー11の軸方向に離間するにつれて、開口径が広くなる円錐台形状とされている。
外筒37は、その先端の内壁が環状部材34の先端部34Aと接続されるように、環状部材34の外側に設けられている。
外筒37は、その内部にバーナー11の先端部を冷却するための冷却水が流れる冷却水用経路37Aを有する。
第2の支燃性ガス供給経路39は、環状部材34と外筒37との間に形成された円筒形状の空間である。第2の支燃性ガス供給経路39は、図1に示す支燃性ガス供給源15と接続されている。
第2の支燃性ガス供給経路39には、支燃性ガス供給源15から供給される第2の支燃性ガスが導入される。第2の支燃性ガス供給経路39は、複数の第2の支燃性ガス噴出孔46に第2の支燃性ガスを供給するための経路である。第2の支燃性ガスとしては、第1の支燃性ガスと同じガスを用いる。
原料及び硫黄化合物供給経路41は、原料及び硫黄化合物供給管32内に形成された円柱形状の空間である。原料及び硫黄化合物供給経路41は、図1に示す原料及び硫黄化合物供給源14と接続されている。
原料及び硫黄化合物供給経路41には、可燃性ガスにより輸送された後述する混合物Dが導入される。原料及び硫黄化合物供給経路41は、複数の原料及び硫黄化合物噴出孔42に可燃性ガスにより輸送された混合物Dを供給するための経路である。
複数の原料及び硫黄化合物噴出孔42(図2の場合、一例として、4個の原料及び硫黄化合物噴出孔42)は、原料及び硫黄化合物供給管32の先端部32Aを貫通するように設けられている。
複数の原料及び硫黄化合物噴出孔42の軸方向は、バーナー11の中心軸Cに対して傾斜している。複数の原料及び硫黄化合物噴出孔42は、原料及び硫黄化合物供給経路41と一体とされている。
複数の原料及び硫黄化合物噴出孔42は、燃焼室36に対して、バーナー11の中心軸Cから離間する方向に可燃性ガス及び混合物Dを噴出させる。
複数の第1の支燃性ガス噴出孔44(図2の場合、一例として、8個の第1の支燃性ガス噴出孔44)は、バーナー11の中心軸Cと平行な方向において、リング状部材33を貫通するように設けられている。複数の第1の支燃性ガス噴出孔44は、第1の支燃性ガス供給経路35と一体とされている。複数の第1の支燃性ガス噴出孔44は、燃焼室36に第1の支燃性ガスを噴出させる。
複数の第2の支燃性ガス噴出孔46(図2の場合、一例として、12個の第2の支燃性ガス噴出孔46)は、環状部材34の先端部34Aを貫通するように設けられている。
複数の第2の支燃性ガス噴出孔46の軸方向は、バーナー11の中心軸Cに対して傾斜している。複数の第2の支燃性ガス噴出孔46は、第2の支燃性ガス供給経路39と一体とされている。
複数の第2の支燃性ガス噴出孔46は、バーナー11の中心軸Cに向かう方向に、第2の支燃性ガスを噴出させる。
上記説明した複数の原料及び硫黄化合物噴出孔42、複数の第1の支燃性ガス噴出孔44、及び複数の第2の支燃性ガス噴出孔46は、バーナー11の中心軸Cに対して同心円状に配置されている。
図1を参照するに、可燃性ガス供給源13は、原料及び硫黄化合物供給源14と接続されている。可燃性ガス供給源13は、原料及び硫黄化合物供給源14に可燃性ガス(例えば、メタン)を供給する。
原料及び硫黄化合物供給源14は、バーナー11の原料及び硫黄化合物供給経路41(図3参照)と接続されている。原料及び硫黄化合物供給源14では、原料である金属化合物粉体と粉体の硫黄化合物とが十分に混合(均一に混合)された状態が維持されている。
可燃性ガス供給源13から可燃性ガスが供給された際、原料及び硫黄化合物供給源14は、バーナー11の原料及び硫黄化合物供給経路41に、金属化合物粉体と硫黄化合物とが十分に混合された混合物Dを供給する。
混合物Dを十分に攪拌するためには、例えば、粉体攪拌用のミキサーを用いることができる。金属化合物粉体と硫黄化合物とが不均一な状態で混合されていると、生成される金属微粒子の表層に含有される硫黄の濃度が不均一となってしまう。よって、金属化合物粉体と硫黄化合物とが均一となるように、十分に混合することが重要となる。
上記混合物Dを構成する金属化合物粉体としては、例えば、平均粒子径が5〜20μm程度のニッケル粉体(例えば、酸化ニッケルの粉体)、コバルト粉体、銅粉体、銀粉体、鉄粉体等を用いることができる。
また、混合物Dを構成する硫黄化合物としては、例えば、硫酸、硫酸塩、硫化塩等を用いることができる。
硫酸塩としては、例えば、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸アルミニウム、硫酸ニッケル等を用いることができる。また、硫化物としては、例えば、硫化ナトリウム、硫化水素ナトリウム等を用いることができる。
硫黄化合物の粒径は、例えば、1〜50μmの範囲内で適宜選択することができる。
なお、生成される金属微粒子を構成する金属とは異なる金属成分が、該金属微粒子に含まれることを望まない場合には、該金属微粒子と同じ金属イオンを有する硫酸塩或いは硫化物を用いるとよい。
支燃性ガス供給源15は、図3に示す第1及び第2の支燃性ガス供給経路35,39と接続されている。支燃性ガス供給源15は、第1の支燃性ガス供給経路35に第1の支燃性ガス(例えば、酸素または酸素富化空気)を供給すると共に、第2の支燃性ガス供給経路39に第2の支燃性ガス(例えば、酸素または酸素富化空気)を供給する。
水冷炉18は、その上端にバーナー11の先端部を収容している。水冷炉18は、その炉壁を水冷することで、内壁に金属化合物粉体及び金属微粒子が付着したり、成長したりすることを抑制する。
水冷炉18は、窒素供給源21から供給される窒素を水冷炉18内に導入するための複数の窒素導入穴(図示せず)を有する。
窒素供給源21は、窒素供給ライン22の一端と接続されている。窒素供給源21は、窒素供給ライン22を介して、水冷炉18内に窒素を供給することで、水冷炉18内に旋回流を形成する。
窒素供給ライン22は、その一端が窒素供給源21と接続されており、他端が複数に分岐されると共に、分岐された他端が水冷炉18の窒素導入穴(図示せず)と接続されている。窒素供給ライン22は、窒素供給源21から供給された窒素を水冷炉18内に導入するためのラインである。
ライン24は、その一端が水冷炉18の下端と接続されており、他端がバグフィルター26の上端と接続されている。ライン24は、生成された金属微粒子をバグフィルター26の上端に輸送するためのラインである。
バグフィルター26は、ライン24を介して、輸送された金属微粒子のうち、所望の大きさの金属微粒子を回収するためのフィルターである。
排気ライン27は、その一端がバグフィルター26の上端と接続されている。排気ライン27は、バグフィルター26の上端からガスを排気するためのラインである。
ブロワー28は、排気ライン27に設けられている。ブロワー28は、排気ライン27を介して、バグフィルター26の上端からのガスを排気する。
次に、図1〜図3を参照して、図1に示す金属微粒子製造装置10を用いた場合の本実施の形態に係る金属微粒子の製造方法について説明する。ここでは、一例として、原料及び硫黄化合物噴出孔42を介して、金属化合物粉体と粉体の硫黄化合物とが十分に混合(均一に混合)された混合物Dを火炎12に噴出させる場合を例に挙げて以下の説明を行う。
原料及び硫黄化合物供給源14において、ミキサー(図示せず)を用いて、金属化合物粉体と粉体の硫黄化合物とが均一に混合された混合物Dを形成する。混合物Dは、常に金属化合物粉体と粉体の硫黄化合物とが均一に混合された状態にしておく。
第1及び第2の支燃性ガス噴出孔44,46から第1及び第2の支燃性ガスを噴出させるとともに、原料及び硫黄化合物噴出孔42(言い換えれば、バーナー11の先端11A)から燃料ガスにより輸送された混合物Dを噴出させる。
支燃性ガスと可燃性ガスとで、火炎12が形成され、混合物Dを火炎12に投入することで、金属化合物粉体が加熱・還元され、硫黄化合物を熱分解する。
このとき、水冷路炉18内において、金属化合物粉体は、加熱・還元され金属微粒子となるとともに、硫黄化合物が熱分解して生じた硫黄が、金属微粒子の表層に濃化された状態となる。
水冷路炉18内において、生成された金属微粒子は、ライン24を介して、バグフィルター26に輸送される。
硫黄が表層に濃化した金属微粒子は、該金属微粒子の全体の硫黄の濃度が、0.15%以上となるように形成するとよい。このように、硫黄の濃度が0.15%以上となるように、硫黄を表層に濃化したニッケル微粒子は、例えば、MLCC向け内部電極として用いる際、焼結特性が改善される。
また、本実施の形態に係る金属微粒子の製造方法を用いることで、金属化合物粉体として酸化ニッケルの粉体を用いた場合、粒径が0.1μm以下であり、かつ硫黄を含有したニッケル粉体を形成することができる。
バグフィルター26では、その下端から、所望の大きさの金属微粒子を回収する。バグフィルター26内のガスは、その上部から排気ライン27を介して、排気される。
本実施の形態に係る金属微粒子の製造方法によれば、バーナー11の先端に形成される火炎12に、金属微粒子の原料となる金属化合物粉体と、硫黄化合物と、を投入し、次いで、火炎12により、金属化合物粉体を加熱・還元し、硫黄化合物を熱分解することで、硫黄が表層に濃化した金属微粒子を形成するため、別途、金属微粒子に硫黄を添加する工程を設ける必要がない。
また、硫黄を含んだガスではなく、硫黄化合物を用いることで、安全を確保した上で、硫黄が表層に濃化した金属微粒子を形成することができる。
なお、本実施の形態では、一例として、金属化合物粉体と、粉体の硫黄化合物とを十分に混合させた後、混合物Dとして粉体のまま硫黄化合物を火炎12に供給する場合を例に挙げて説明したが、これらを別々の噴出孔(図示していないバーナーに設けられた噴出孔)を介して、火炎に噴出させてもよい。
また、バーナー11に硫黄化合物を噴出する硫黄化合物噴出孔(図示せず)を設けるのではなく、別途、火炎12に粉体の硫黄化合物を供給可能な硫黄化合物供給部(図示せず)を設け、該硫黄化合物供給部から、火炎12に硫黄化合物を供給してもよい。
この場合、上記硫黄化合物供給部は、例えば、図1に示すバーナー11の先端の外周部に配置することができる。
さらに、金属化合物粉体と粉体の硫黄化合物とを別々の噴出孔から噴出させる場合には、硫黄化合物を窒素等の不活性ガスを用いて、気流搬送させるとよい。
また、本実施の形態では、一例として、粉体のまま硫黄化合物を火炎12に供給する場合を例に挙げて説明したが、硫黄化合物は、液体状態で火炎12に供給してもよい。
この場合、硫黄化合物の粉体を溶媒(例えば、水やエタノール等)に溶解させた硫黄化合物含有溶液を作製し、該硫黄化合物含有溶液を火炎12に投入する。
硫黄化合物含有溶液をよりよく混合させるため、例えば、スプレー等を用いて硫黄化合物含有溶液を霧化させたものを原料となる金属化合物に吹きかけながらミキサー等で混合するとよい。また、硫黄化合物含有溶液を火炎12に直接投入する際には、例えば、圧力噴霧によるスプレー噴射を用いるとよい。
さらに、本実施の形態では、水冷炉18を用いた場合を例に挙げて説明したが、これに替えて、耐火物構造の炉を用いてもよい。
また、本実施の形態では、一例として、金属化合物粉体と硫黄化合物とをバーナー11の先端に形成される火炎12に投入(原料及び硫黄化合物投入工程)する場合を例に挙げて説明したが、これに替えて、バーナー11の先端に形成される火炎12に、金属化合物粉体と硫黄とを投入(原料及び硫黄投入工程)してもよい。
この場合、火炎12により、金属化合物粉体を加熱・還元し、硫黄を昇華させることで、表層に硫黄を濃化した金属微粒子を形成(金属微粒子形成工程)。
また、上記原料及び硫黄投入工程では、金属化合物粉体及び硫黄の混合物を、バーナー11の先端から火炎12に投入してもよい。
さらに、上記原料及び硫黄投入工程では、金属化合物粉体と硫黄とを別々に投入してもよい。
また、原料及び硫黄投入工程では、可燃性ガスを用いて、金属化合物粉体及び硫黄の粉体を火炎12に投入してもよい。
このように、硫黄化合物に替えて、硫黄を用いた場合も硫黄化合物を用いた場合と同様な効果を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
(実験例1)
実験例1では、図2及び図3に示すバーナー11を含んだ図1に示す金属微粒子製造装置10を用いて、下記条件で、粉体の状態で硫酸ニッケル六水和物を火炎12に投入することで、ニッケル微粒子E1〜E3を形成した。
原料となる金属化合物粉体としては、粒径が7μmの酸化ニッケルを用いた。硫黄化合物としては、粉砕により粒径を5μmとした硫酸ニッケル六水和物の粉体を用いた。
粉体処理用ミキサー(日本コークス工業株式会社製、FMミキサー)を用いて、上記酸化ニッケルと硫酸ニッケル六水和物とを、均一となるように十分に混合して、混合物D1〜D3を作製した。
混合物D1は、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度が0.16%となるように、酸化ニッケルに対する硫酸ニッケル六水和物の量を調整して混合することで作製した。
同様に、混合物D2は、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度が0.27%となるように、混合物D3は、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度が0.37%となるように作製した。
実施例1では、下記条件を用いて、火炎12に混合物D1を投入することでニッケル微粒子E1を作成した。
実施例1では、可燃性ガス供給源13から3.0Nm/hの供給量でメタンを供給した。また、第1及び第2の支燃性ガスとして酸素を用い、第2の支燃性ガス噴出孔46からは、第1の支燃性ガス噴出孔44から噴出される酸素量の4倍の酸素を噴出させた。このとき、第1の支燃性ガス噴出孔44から噴出される酸素の量は、1.08Nm/hとした。また、酸化ニッケルの供給量は、1.0kg/hとした。
その後、ニッケル微粒子E1(ニッケル微粒子)の平均粒子径(nm)と、ニッケル微粒子E1全体に対する硫黄濃度(%)と、ニッケル微粒子E1の表層(表面から深さ数nm程度)の硫黄濃度(%)とを、下記手法により測定した。この結果を表1に示す。
ニッケル微粒子E1の平均粒子径(nm)は、電界放出形走査電子顕微鏡(「FE−SEM」ともいう、日本電子株式会社製のJSM−6700F)を用いて、複数の金属微粒子E1を観察し、無作為に観察した20000倍画像20視野を画像解析ソフト(Soft Imaging System GmbH製のScandium)を用いて解析することで取得した。
このとき、電界放出形走査電子顕微鏡で撮影した複数のニッケル微粒子E1の写真(SEM写真)を図4に示す。
ニッケル微粒子E1全体の硫黄濃度(%)は、株式会社堀場製作所社製のEMIA920を用いて、燃焼−赤外線吸収法により測定した。
金属微粒子E1の表層部分の硫黄濃度(%)は、日本電子株式会社製のJPS−9200を用いて、X線光電子分光分析により測定した。
実施例2では、混合物D1に替えて混合物D2を用いること以外は、実施例1と同様な条件を用いて、ニッケル微粒子E2を形成し、実施例1と同様な評価を行った。
実施例3では、混合物D1に替えて混合物D3を用いること以外は、実施例1と同様な条件を用いて、ニッケル微粒子E3を形成し、実施例1と同様な評価を行った。実施例2,3の結果を表1に示す。
表1を参照するに、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度を変化させる(言い換えれば、硫酸ニッケル六水和物の量を変化させる)ことで、ニッケル微粒子E1〜E3の全体及び表層の硫黄濃度を調整可能なことが確認できた。
また、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度を変化させてもニッケル微粒子E1〜E3の平均粒径に差は生じないことが確認できた。
(実験例2)
実験例2では、図2及び図3に示すバーナー11を含んだ図1に示す金属微粒子製造装置10を用いて、下記条件で、酸化ニッケルに硫酸ニッケル六水和物の水溶液を添加し、酸化ニッケルと硫酸ニッケル六水和物が均一になるよう混練したものを、火炎12に投入することで、ニッケル微粒子E4〜E8を作製した。
実験例1と同じ種類の酸化ニッケル及び硫酸ニッケル六水和物を用い、純水に溶解させることで、硫黄の濃度が4.6%の硫酸ニッケル水溶液Fを作製した。
実施例4では、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度が0.05%となるように、酸化ニッケル及び硫酸ニッケルの混合割合を調整したものを原料として、ニッケル微粒子E4を作製した。
同様に、実施例5では酸化ニッケルに対する硫黄の濃度が0.11%となるように、実施例6では0.16%、実施例7では0.27%、実施例8では0.37%となるように、酸化ニッケル及び硫酸ニッケル六水和物の水溶液を混合したものを火炎12に投入することで、ニッケル微粒子E5〜E8を作製した。
その後、実施例4〜8のニッケル微粒子E4〜E8に対して、実施例1〜3のニッケル微粒子E1〜E3と同様な評価を行った。この結果を表2に示す。
表2を参照するに、硫酸ニッケル六水和物の水溶液を酸化ニッケルに混合したものを火炎12に投入することで、ニッケル微粒子E4〜E8を作製する場合も、粉体の状態で硫酸ニッケル六水和物を酸化ニッケルに混合し、火炎12に投入した場合と同様に、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度を変化させる(言い換えれば、硫酸ニッケル六水和物の量を変化させる)ことで、ニッケル微粒子E4〜E8の全体及び表層の硫黄の濃度を調整可能なことが確認できた。
また、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度を変化させてもニッケル微粒子E4〜E8の平均粒径に差は生じないことが確認できた。
(実験例3)
実施例9として、図3に示すバーナー11の原料及び硫黄化合物噴出孔42から火炎12に対して酸化ニッケルを噴出させ、バーナー11の外側に配置された硫黄化合物供給部(図示せず)から粉体の硫酸ニッケル六水和物を火炎12に投入することで、ニッケル微粒子E9を作製した。実施例9では、上記以外は、図1に示す金属微粒子製造装置10を用いた。
実施例9では、実験例1で説明した酸化ニッケル及び硫酸ニッケル六水和物と同じ種類の酸化ニッケル及び硫酸ニッケル六水和物を用いた。
硫酸ニッケル六水和物の量は、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度が0.27%となるように設定した。また、酸化ニッケルは、0.5Nm/hの窒素で気流搬送させた。
その後、ニッケル微粒子E9について、先に説明した実施例1と同様な評価を行った。この結果を表3に示す。
実施例10では、実施例9で使用した装置を用いて、図3に示すバーナー11の原料及び硫黄化合物噴出孔42から火炎12に対して酸化ニッケルを噴出させ、バーナー11の外側に配置された硫黄化合物供給部(図示せず)から実験例2で説明した硫酸ニッケル水溶液Fを火炎12に投入することで、ニッケル微粒子E10を作製した。
このとき、酸化ニッケルに対する硫黄の濃度が0.27%となるように、硫酸ニッケル水溶液Fの供給量を調節した。
実施例10では、実験例1で説明した酸化ニッケル及び硫酸ニッケル六水和物と同じ種類の酸化ニッケル及び硫酸ニッケル六水和物を用いた。
その後、ニッケル微粒子E10について、先に説明した実施例1と同様な評価を行った。この結果を表3に示す。
表3を参照するに、酸化ニッケルと混合させることなく、酸化ニッケルと粉体状、或いは液体状の硫酸ニッケル六水和物とを別々に火炎12に投入する場合も、表層に硫黄が濃化したニッケル微粒子E9,E10を作製できることが確認できた。
(実験例4)
参考例として、図1に示す金属微粒子製造装置10を用いて、実験例1で説明した酸化ニッケルを用いるとともに、硫酸ニッケル六水和物を使用しないで、平均粒径が100nmのニッケル微粒子Gを作製した。
その後、参考例のニッケル微粒子G、及び実施例8のニッケル微粒子E8について、TMA測定を行った。この結果を図5に示す。
具体的には、熱膨張収縮挙動測定装置(株式会社リガク社製TMA8310)を使用し、水素3%−窒素97%還元雰囲気、昇温速度10℃/minの条件でニッケル微粒子E8,GにPVA水溶液を0.1%添加して成型した円柱形状ペレットの収縮挙動により、焼結開始温度を求め硫黄分を添加することで、ニッケル微粒子E8,Gの焼結特性を評価した。
図5を参照するに、硫黄を表面に濃化させたニッケル微粒子E8は、硫黄を含有していないニッケル微粒子Gの焼結挙動と比較して、収縮開始が高温側に移動し、収縮率が低減できることが分かった。
図6に、ニッケル微粒子に含まれる硫黄の濃度と収縮開始温度の関係を示す。図6に示すデータは、実施例1〜10、及び参考例のニッケル微粒子E1〜E10,Gに関する収縮率と収縮開始温度を硫黄濃度で整理した結果であり、ここでの収縮開始温度は、収縮率が−1.5%に達した点と定義した。
図6を参照するに、硫黄の濃度が0.15%以上で明らかに収縮開始温度が高温側に移動し、硫黄の濃度を増加させると収縮開始温度は、より高温になることが分かった。
図7にニッケル微粒子の硫黄濃度と収縮率との関係を示す。図7に示すデータは、実施例1〜10、及び参考例のニッケル微粒子E1〜E10,Gに関する収縮率を硫黄濃度で整理した結果である。
図7を参照するに、硫黄の濃度が0.15%以上で収縮率が明らかに低減し、硫黄の濃度を増加させると収縮率の低減効果が大きくなることが分かった。
上記図5〜図7に示す結果から、本発明の金属微粒子の製造方法は、焼結特性の改善に対して高い効果が得られることが確認できた。
本発明は、バーナーを用いた金属微粒子の製造方法に適用可能である。
10…金属微粒子製造装置、11…バーナー、11A…先端面、12…火炎、13…可燃性ガス供給源、14…原料及び硫黄化合物供給源、15…支燃性ガス供給源、18…水冷炉、21…窒素供給源、22…窒素供給ライン、24…ライン、26…バグフィルター、27…排気ライン、28…ブロワー、32…原料及び硫黄化合物供給管、32a…先端面、32A,34A…先端部、33…リング状部材、34…環状部材、34a…傾斜面、35…第1の支燃性ガス供給経路、36…燃焼室、37…外筒、37A…冷却水用経路、39…第2の支燃性ガス供給経路、41…原料及び硫黄化合物供給経路、42…原料及び硫黄化合物噴出孔、44…第1の支燃性ガス噴出孔、46…第2の支燃性ガス噴出孔、C…中心軸

Claims (10)

  1. バーナーの先端に形成される火炎に、金属微粒子の原料となる金属化合物粉体と、硫黄化合物と、を投入する原料及び硫黄化合物投入工程と、
    前記火炎により、前記金属化合物粉体を加熱・還元し、前記硫黄化合物を熱分解させることで、表層に硫黄を濃化した金属微粒子を形成する金属微粒子形成工程と、
    を含むことを特徴とする金属微粒子の製造方法。
  2. 前記原料及び硫黄化合物投入工程では、前記金属化合物粉体及び前記硫黄化合物の混合物を、前記バーナーの先端から前記火炎に投入することを特徴とする請求項1記載の金属微粒子の製造方法。
  3. 前記原料及び硫黄化合物投入工程では、前記金属化合物粉体と前記硫黄化合物とを別々に投入することを特徴とする請求項1または2記載の金属微粒子の製造方法。
  4. 前記原料及び硫黄化合物投入工程では、可燃性ガスを用いて、前記金属化合物粉体及び前記硫黄化合物の粉体を前記火炎に投入することを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の金属微粒子の製造方法。
  5. 前記原料及び硫黄化合物投入工程では、前記硫黄化合物を溶媒に溶解させた硫黄化合物含有溶液を前記火炎に投入することを特徴とする請求項1または3記載の金属微粒子の製造方法。
  6. バーナーの先端に形成される火炎に、金属微粒子の原料となる金属化合物粉体と硫黄とを投入する原料及び硫黄投入工程と、
    前記火炎により、前記金属化合物粉体を加熱・還元し、前記硫黄を昇華させることで、表層に前記硫黄を濃化した金属微粒子を形成する金属微粒子形成工程と、
    を含むことを特徴とする金属微粒子の製造方法。
  7. 前記原料及び硫黄投入工程では、前記金属化合物粉体及び前記硫黄の混合物を、前記バーナーの先端から前記火炎に投入することを特徴とする請求項6記載の金属微粒子の製造方法。
  8. 前記原料及び硫黄投入工程では、前記金属化合物粉体と前記硫黄とを別々に投入することを特徴とする請求項6または7記載の金属微粒子の製造方法。
  9. 前記原料及び硫黄投入工程では、可燃性ガスを用いて、前記金属化合物粉体及び前記硫黄の粉体を前記火炎に投入することを特徴とする請求項6ないし8のうち、いずれか1項記載の金属微粒子の製造方法。
  10. 前記金属化合物粉体として酸化ニッケルの粉体を用い、
    前記金属微粒子生成工程では、粒径が0.1μm以下であり、かつ硫黄が表層に濃化したニッケル微粒子を形成することを特徴とする請求項1ないし9のうち、いずれか1項記載の金属微粒子の製造方法。
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