JP4960210B2 - ニッケル粉末およびニッケル粉末の製造方法 - Google Patents

ニッケル粉末およびニッケル粉末の製造方法 Download PDF

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本発明は、水などの溶媒中にて安定した分散性が得られる金属ニッケル粉末とその製造方法に係り、特に、導電ペースト用に用いる金属ニッケル粉末に関する。
従来、銀、パラジウム、白金または金などの貴金属粉末、あるいはニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、またはタングステンなどの卑金属粉末は、電子材料用の導電ペーストとして、特に積層セラミックスコンデンサの内部電極用として用いられている。一般に、積層セラミックスコンデンサは、誘電体セラミックス層と内部電極として使用される金属層とを交互に積層し、誘電体セラミックス層の両端に、内部電極の金属層に接続される外部電極が接続された構成となっている。ここで、誘電体層として使用されるセラミックスとしては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウムなどの誘電率の高い材料を主成分とするものが用いられている。
一方、内部電極を構成する金属としては、前述の貴金属粉末あるいは卑金属粉末が使用されるが、最近はより安価な電子材料が要求されるため、卑金属を利用した積層セラミックスコンデンサの開発が盛んに行われており、特にニッケル粉末が代表的なものである。
積層セラミックスコンデンサの一般的な製造方法としては、チタン酸バリウム等の誘電体粉末を有機バインダと混合し懸濁させ、ドクターブレード法によりシート状に成形して誘電体グリーンシートを作成する。一方、内部電極とする金属粉末を有機溶剤、可塑剤、有機バインダ等の有機化合物と混合し、金属粉末ペーストを形成して、これを上記グリーンシート上にスクリーン印刷法で印刷する。その後、乾燥、積層および圧着を順次行い、加熱処理にて有機成分を除去(脱バインダ)した後、1300℃前後またはそれ以上の温度で焼成する。その後両端に外部電極を焼き付けて、積層セラミックスコンデンサを得る。
積層セラミックスコンデンサは、電子機器の高性能化、小型化、大容量化、高周波化に対応するため、小型化、多層化、薄層化が急激に進んでいる。この動向に伴い、積層セラミックスコンデンサの内部電極の厚みも薄層化が進み、例えば、1μmを切る厚さまで進んでいる。その結果、金属粉末ペースト用のニッケル粉末の粒径に対する要求はより細かくなり、0.4μm以下、さらには0.2μm以下、0.1μm以下となりつつある。
金属粉末の粒径が細かくなると、その表面活性は向上する。このため、粒径が細かいニッケル粉末は、水などの溶媒に分散させた場合、分散性が悪く、凝集粒子が多くなる。このような粉末を、例えば湿式による分級(液体サイクロン)を行った場合、分級装置内で目詰まりを起こすなど、非常に生産効率の悪いものとなる。
このようなニッケル粉末の溶媒中での凝集を防止する手段として、ニッケル粉末の表面を界面活性剤などで処理を行うことが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。しかしながら、このニッケル粉末表面を界面活性剤などで処理を行う方法は、界面活性剤の種類によっては、脱バインダ工程以降も残留し、ニッケル粉の焼結を阻害する可能性がある。
また、ニッケル粉末の水懸濁液を湿式磨砕処理によって粉末表面の被膜を一旦剥離することにより、水酸化ニッケルと酸化ニッケルからなる均一な表面被膜を形成することが知られている(特許文献3参照)。
一方、積層セラミックス製造過程における脱バインダ工程でのバインダの熱分解挙動は重要である。例えば、特許文献4に開示されているように、脱バインダ工程において、ニッケル粉末表面の触媒活性によって一部のバインダの熱分解が加速されることが判明している。そして、この熱分解に伴う急激なガス発生が積層セラミックスコンデンサの構造欠陥を引き起こす原因として知られている。なお、特許文献3においては、脱有機バインダ工程途中で起きる有機バインダの熱分解についての検討はなされていない。
また、特許文献5には、デラミネーションを防止できるニッケル粉が開示されている。具体的には、炭酸水溶液で処理され、平均粒径が1.0μm以下であり、酸素含有量が0.3〜2.0重量%であり、表面層全周の厚みが2〜10nmの酸化被膜を有するニッケル粉である。しかしながら、特許文献5では溶媒中での分散性に関する検討はされていない。このニッケル粉は、炭酸水溶液中で処理した後、酸化性雰囲気下で熱処理を行うことによって得られる。熱処理条件は、通常200〜400℃、加熱処理時間は30分〜2時間である。
国際公開WO00/03823号公報 特開2002−317201号公報 特開2004−353010号公報 特開2006−024539号公報 国際公開WO2004/020128号公報
したがって、本発明の目的は、水などの溶媒中での分散性が改善され、良好にフィルター処理を行うことができ、さらに積層セラミックスコンデンサ製造過程での脱バインダ工程においてバインダの良好な熱分解挙動が得られるニッケル粉末を提供することにある。
本発明は、表面に、10nmより大きく20nm以下のニッケル酸化物被膜を有することを特徴とするニッケル粉末である。特に、本発明のニッケル粉末は、導電ペーストに用いるのに好適である。
さらに、本発明は、請求項1に記載のニッケル粉を溶媒に分散後、フィルターを通過させることを特徴とするニッケル粉末の製造方法である。
本発明のニッケル粉末は、水などの溶媒中での分散性が良く、良好にフィルター処理を行うことができる。また、これによって得られる導電ペーストは、積層セラミックスコンデンサ製造過程での脱バインダ工程において良好な熱分解挙動を示すため、積層セラミックスコンデンサの内部電極用として好適である。
本発明のニッケル粉末は、その表面に、10nmより大きく20nm以下のニッケルの酸化物被膜を有することを特徴とする。ニッケルの酸化物の厚さがこの範囲より薄いと、十分な分散性が得られない。一方、上記範囲より厚いと、ニッケルの酸化物被膜が剥れ、均一な酸化物被膜を有するニッケル粉末が得られない。したがって、ニッケルの酸化被膜の厚さを10nmより大きく20nm以下、より好ましくは12nm以上16nm以下とすることで、ニッケル粉末の表面活性が抑制されるため良好な分散性が得られ、例えば、粗粉を除去するために遠心力を用いた分級手段(液体サイクロン)などを行っても、分級装置内での目詰まりの発生を抑制でき、効率のよい処理が可能となる。
また、本発明のニッケル粉末を用いたペーストは、表面に10nmより大きく20nm以下のニッケル酸化物の被膜を有するため、ニッケル粉末の表面活性が抑制され、脱バインダ工程における低温でのバインダの部分的な熱分解による急激なガス発生を防止することができる。ニッケル粉の脱バインダ工程中における低温でのバインダの部分的な熱分解の程度を示す評価方法として、熱重量減少率の測定が挙げられる。例えば、エチルセルロース/ターピネオール=1/9(重量比)の割合となるように80℃においてこれらを溶解して作製した樹脂液4gを、ニッケル粉10gに混練する。このペーストをポリエチレンテレフタレート製のフィルムに膜厚50μmとなるように塗布した後、大気雰囲気下、120℃で30分間乾燥する。その後、この塗膜をフィルムから剥離し、細かく砕いたものを、熱重量−示差熱分析装置を用いて、不活性雰囲気下で、5℃/分の昇温速度で400℃まで加熱を行う。このとき得られる熱重量変化の時間微分の挙動を比較すると、熱分解開始時の傾きが樹脂単独時よりも緩やかとなる。
したがって、本発明の製造方法によるニッケル粉末は、分散性がよく、さらには積層セラミックスコンデンサの製造過程において優れた焼成挙動を示すという効果を奏す。
(ニッケル粉末の製造)
上述の本発明のニッケル粉末は、気相法や液相法など公知の方法により製造することができる。特に塩化ニッケルガスと還元性ガスとを接触させることによりニッケル粉末を生成させる気相還元法、あるいは熱分解性のニッケル化合物を噴霧して熱分解する噴霧熱分解法が、生成する金属微粉末の粒子径を容易に制御することができ、さらに球状の粒子を効率よく製造することができるという点において好ましい。
また、ニッケル粉末の粒径は、特に限定されるものではないが、0.05μmから1μmのものが一般的である。
このような気相還元法によるニッケル粉末の製造装置の模式図を図1に示す。ニッケル粉末気相還元法においては、気化させた塩化ニッケルのガスと水素等の還元性ガスとを反応させるが、固体の塩化ニッケルを加熱し蒸発させて塩化ニッケルガスを生成させてもよい。しかしながら、塩化ニッケルの酸化または吸湿防止、およびエネルギー効率を考慮すると、金属ニッケルに塩素ガスを接触させて塩化ニッケルガスを連続的に発生させ、この塩化ニッケルガスを還元工程に直接供給し、次いで還元性ガスと接触させ塩化ニッケルガスを連続的に還元してニッケル微粉末を製造する方法が有利である。
気相還元反応によるニッケル粉末の製造過程では、塩化ニッケルガスと還元性ガスとが接触した瞬間にニッケル原子が生成し、ニッケル原子同士が衝突・凝集することによって超微粒子が生成し、成長する。そして、還元工程での塩化ニッケルガスの分圧や温度等の条件によって、生成するニッケル微粉末の粒径が決まる。上記のようなニッケル粉末の製造方法によれば、塩素ガスの供給量に応じた量の塩化ニッケルガスが発生するから、塩素ガスの供給量を制御することで還元工程へ供給する塩化ニッケルガスの量を調整することができ、これによって生成するニッケル微粉末の粒径を制御することができる。
さらに、金属塩化物ガスは、塩素ガスと金属との反応で発生するから、固体金属塩化物の加熱蒸発により金属塩化物ガスを発生させる方法とは異なり、キャリアガスの使用を少なくすることができるばかりでなく、製造条件によっては使用しないことも可能である。したがって、気相還元反応の方が、キャリアガスの使用量低減とそれに伴う加熱エネルギーの低減により、製造コストの削減を図ることができる。
また、塩化工程で発生した塩化ニッケルガスに不活性ガスを混合することにより、還元工程における塩化ニッケルガスの分圧を制御することができる。このように、塩素ガスの供給量もしくは還元工程に供給する塩化ニッケルガスの分圧を制御することにより、ニッケル粉末の粒径を制御することができ、粒径のばらつきを抑えることができるとともに、粒径を任意に設定することができる。
上記のような気相還元法によるニッケル粉末の製造条件は、平均粒径1μm以下になるように任意に設定するが、例えば、出発原料である金属ニッケルの粒径は約5〜20mmの粒状、塊状、板状等が好ましく、また、その純度は慨して99.5%以上が好ましい。この金属ニッケルを、まず塩素ガスと反応させて塩化ニッケルガスを生成させるが、その際の温度は、反応を十分進めるために800℃以上とし、かつニッケルの融点である1453℃以下とする。反応速度と塩化炉の耐久性を考慮すると、実用的には900℃〜1100℃の範囲が好ましい。
次いで、この塩化ニッケルガスを還元工程に直接供給し、水素ガス等の還元性ガスと接触反応させるが、窒素やアルゴン等の不活性ガスを、塩化ニッケルガスに対し1〜30モル%混合し、この混合ガスを還元工程に導入してもよい。また、塩化ニッケルガスとともに、または独立に塩素ガスを還元工程に供給することもできる。このように塩素ガスを還元工程に供給することによって、塩化ニッケルガスの分圧が調整でき、生成するニッケル粉末の粒径を制御することが可能となる。還元反応の温度は反応完結に十分な温度以上であればよいが、固体状のニッケル粉末を生成する方が取扱いが容易であるので、ニッケルの融点以下が好ましく、経済性を考慮すると900℃〜1100℃が実用的である。
このように還元反応を行いニッケル粉末を生成させたら、次は生成ニッケル粉末を冷却する。冷却の際、生成したニッケルの一次粒子同士の凝集による二次粒子の生成を防止して所望の粒径のニッケル粉末を得るために、窒素ガス等の不活性ガスを吹き込むことにより、還元反応を終えた1000℃付近のガス流を400〜800℃程度までに急速冷却させることが望ましい。その後、生成したニッケル粉末を、例えばバグフィルター等により分離、回収する。
また、噴霧熱分解法によるニッケル粉末の製造方法では、熱分解性のニッケル化合物を原料とするが、具体的には、硝酸塩、硫酸塩、オキシ硝酸塩、オキシ硫酸塩、塩化物、アンモニウム錯体、リン酸塩、カルボン酸塩、アルコキシ化合物などの1種または2種以上が含まれる。このニッケル化合物を含む溶液を噴霧して、微細な液滴を作るが、このときの溶媒としては、水、アルコール、アセトン、エーテル等が用いられる。また、噴霧の方法は、超音波または二重ジェットノズル等の噴霧方法により行う。このようにして微細な液滴とし、高温で加熱して金属化合物を熱分解し、ニッケル粉末を生成させる。このときの加熱温度は、使用される特定のニッケル化合物が熱分解する温度以上であり、好ましくは金属の融点付近である。
液相法による金属微粉末の製造方法では、硫酸ニッケル、塩化ニッケルあるいはニッケル錯体を含むニッケル水溶液を、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物中に添加するなどして接触させニッケル水酸化物を生成させ、次いでヒドラジンなどの還元剤でニッケル水酸化物を還元し金属ニッケル粉末を得る。このようにして生成した金属ニッケル粉末は、均一な粒子を得るために必要に応じて解砕処理を行う。
以上の方法により得られたニッケル粉末の表面に酸化被膜を形成する際、表面に水酸化膜や酸化膜がない状態で用いると、ニッケル粉末表面に均一な膜を形成することができる。
例えば、以上の方法で得られたニッケル粉末を、炭酸水溶液中に懸濁させて処理を行う。炭酸水溶液で処理することにより、ニッケル表面に付着している塩素などの不純物が十分に除去されるとともに、ニッケル粉末の表面に存在する水酸化ニッケルなどの水酸化物や粒子同士の摩擦などにより表面から離間して形成された微粒子が除去されるため、表面に均一な酸化ニッケルの被膜を形成することができる。
炭酸水溶液中に懸濁して処理する際、気相還元法、噴霧熱分解法によるニッケル粉末の製造方法では、生成したニッケル粉末を通常純水で洗浄するが、その洗浄を炭酸水溶液で行う方法、あるいは純水洗浄後の水スラリー中に炭酸ガスを吹き込むか、あるいは炭酸水溶液を添加して処理することもできる。特に、気相還元法を採用した場合、純水洗浄の途中あるいは後に、スラリー状態において炭酸水溶液と接触して処理することが、製造過程の簡略化の面において有利である。
この炭酸水溶液での処理は、pH5.5〜6.5の範囲、好ましくはpH5.5〜6.0である。炭酸水溶液中での処理をpH5.5未満で行った場合には、ニッケル粉末の表面に不均一な酸化皮膜が生成しニッケル粉末の焼結性を低下させることになる。また、ニッケル粉末自体が溶解し、表面の荒れが生じる。pH6.5を超えて行った場合には、ニッケル粉末の表面に付着、もしくは吸着した水酸化物を除去することができず、乾燥後に残存した水酸化物が不均一な酸化皮膜となる。
このようにしてニッケル粉末を炭酸処理した後、そのニッケル粉末を乾燥する。乾燥方法は公知の方法を採用することができ、具体的には高温のガスと接触させ乾燥する気流乾燥、加熱乾燥および真空乾燥などが挙げられる。これらのうち、気流乾燥は粒子同士の接触による酸化皮膜の摩耗がないため、好ましい方法である。また、ニッケル粉末の表面に均質な酸化皮膜を形成させるためには、短時間で水分を除去して乾燥することが望ましい。
この乾燥したニッケル粉末を、さらに酸素分圧を制御した環境下で熱処理を行い、表面に10nmより大きく20nm以下のニッケルの酸化物を形成する。例えば、流動攪拌機などを用い、攪拌を行いながら、酸素分圧を制御した雰囲気下で、熱処理を行う。熱処理温度が一定の条件において、ニッケル粉末の処理時間がある程度以上経過すると、ニッケル粉末と反応する酸素量はほぼ0となる。したがって、熱処理温度、熱処理時間は、ニッケル粉末のサイズ、酸化被膜の厚さに応じて決定される。このときの熱処理温度としては、通常200〜400℃であり、好ましくは200〜300℃、より好ましくは200〜250℃である。また、熱処理時間は、通常1時間〜10時間である。
このようにして得られたニッケル粉を再度、水などの溶媒に分散する。その後、フィルターを通過させることにより、粗粉や連結粒の除去を行う。ニッケル粉の分散性が良好なため、効率よく粗粉や連結粒の除去を行うことができる。フィルトレーションには、公知の方法を用いることができ、フィルターは、有機高分子製(ナイロン、ポリプロピレン、四フッ化エチレン樹脂、セルロース、メラミン、フェノール樹脂、アクリルなど)、金属製、無機化合物製のフィルターを用いることができる。なお、フィルターの効率を上げるため、フィルターを通過させる前に、その他の分級手段、例えば遠心力を用いた分級手段(液体サイクロン)などを行ってもよい。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。本実施例における平均粒径、表面被膜、焼結挙動は以下の方法により評価を行った。
a.平均粒径の評価
走査電子顕微鏡によりニッケル粉末の写真を撮影し、その写真から粒子200個の粒径を測定してその平均値を算出した。なお、粒径は粒子を包み込む最小円の直径とした。
b.表面被膜の評価
透過電子顕微鏡にてニッケル粉末の表面を撮影した。得られた粒子30個の写真から表面の膜厚を測定した。撮影条件は、加速電圧が300kV、倍率が900000倍である。
c.フィルトレーションの評価
ニッケル粉100gを水1900gに投入し、5wt%のニッケル粉スラリーを作成する。目開き5μmのナイロンメッシュフィルターにより吸引ろ過を行う。フィルター上に残ったニッケル粉を不活性雰囲気下で120℃、30分で乾燥、その重量を計測し、その通過率((100(g)−フィルター上のニッケル粉の重量(g))/100(g))を評価した。
d.バインダの熱分解挙動の評価
(1)樹脂液の作製
ターピネオール(ヤスハラケミカル(株)社製)450gを80℃に加温し、エチルセルロース(ダウ・ケミカル社製、商品名:STD20)50gを溶解させた。溶解後、加圧濾過機でナイロンメッシュ(目開き:1μm)による濾過を行った。
(2)ペーストの作製
ニッケル粉10gと上記の樹脂液4gをアルミナ乳鉢に秤量し、らいかい機を用いて1時間混練した。
(3)塗膜の作製
作製したペーストを、アプリケータを使用して、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムに塗布した(膜厚:50μm)。このフィルムを乾燥機にて、大気雰囲気下、120℃で30分間乾燥した。乾燥後、塗膜をフィルムから剥離し、細かく砕いて評価試料とした。
(4)評価
熱重量−示差熱分析装置(TG−DTA、TG8120:株式会社リガク社製)にて、不活性雰囲気(アルゴンガスフロー;100ml/分)で5℃/分の昇温速度で400℃まで加熱し、その際の重量変化を測定した。
e.酸素濃度の測定方法
金属ニッケル微粉末をニッケル製のカプセルに充填し、これを黒鉛ルツボに入れ、アルゴン雰囲気下でニッケル粉の融点以上に加熱し、このとき発生した一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にした後、赤外線分光分析(IR)により定量し、金属ニッケル微粉末中の酸素濃度を求めた。
[ニッケル粉末の調製]
図1に示すニッケル粉末製造装置の塩化炉1内に、出発原料である平均粒径5mmの金属ニッケルショットMを充填するとともに、加熱手段11で炉内雰囲気温度を1100℃とした。次いで、ノズル12から塩化炉1内に塩素ガスを供給し、金属ニッケルショットMを塩化して塩化ニッケルガスを発生させ、この後、ノズル13から供給した窒素ガスを塩化ニッケルガスに混合した。そして、塩化ニッケルガスと窒素ガスとの混合ガスを、加熱手段21で1000℃の炉内雰囲気温度とした還元炉2内に、ノズル22から流速2.3m/秒(1000℃換算)で導入した。
これと同時に、ノズル23から還元炉2内に水素ガスを流速7Nl/分で供給して塩化ニッケルガスを還元し、ニッケル粉末Pを得た。さらに、還元工程にて生成したニッケル粉末Pに、ノズル24から供給した窒素ガスを接触させ、ニッケル粉末Pを冷却した。
この後、ニッケル粉末Pを分離回収して純水で洗浄し、ニッケル粉末スラリー中に炭酸ガスを吹き込んでpH5.5とし、常温下においてニッケル粉末を炭酸水溶液中で60分処理した。その後、気流乾燥機で乾燥処理した。
[実施例1]
上記のニッケル粉末を空気フロー中で220℃、1時間の攪拌加熱処理を行った。
[比較例1]
特に処理を行わなかった。
[比較例2]
上記のニッケル粉末を空気フロー中で200℃、1時間の攪拌加熱処理を行った。
得られたニッケル粉末の特性を表1に示す。
Figure 0004960210
粉末表面の酸化物膜の膜厚とフィルトレーション通過率の評価結果を表2に示す。表2に示されるように、膜厚を12〜16nmとすることによりフィルトレーション通過率が改善されることがわかる。
Figure 0004960210
得られた粉末を上記のdの方法により、バインダの熱分解挙動を評価した。熱重量変化の時間微分曲線は、樹脂単独では約260℃から熱分解を開始し、約340℃で極大となる。実施例1の熱重量変化の時間微分曲線は、樹脂単独と同様であった。一方、比較例1の熱重量変化の時間微分曲線も同様に約260℃から熱分解を開始するものの、樹脂単独と比較して傾きは急であり、極大値も約315℃と、樹脂単独および実施例1と比較して、低温側にシフトした。また、比較例2の熱重量変化の時間微分曲線も同様に、極大値は約333℃と、樹脂単独および実施例1と比較して、低温側にシフトした。したがって、本実施例におけるニッケル粉末は、バインダの熱分解時における急激なガス発生を伴わないので、積層セラミックスコンデンサ製造過程での脱バインダ工程において良好な熱分解挙動が得られることが推定できる。
本発明の実施例で用いたニッケル粉末の製造装置の縦断面図である。
符号の説明
1 塩化炉
11 加熱手段
12 塩素ガス供給ノズル
13 窒素ガス供給ノズル
2 還元炉
21 加熱手段
22 塩化ニッケル移送ノズル
23 水素ガス供給ノズル
24 窒素ガス供給ノズル
M 原料のニッケル粉末
P 製造されたニッケル粉末

Claims (3)

  1. 表面に、10nmより大きく20nm以下の膜厚のニッケルの酸化物被膜を有することを特徴とするニッケル粉末。
  2. 前記ニッケル粉末が導電ペースト用であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉末。
  3. 請求項1に記載のニッケル粉を溶媒に分散後、フィルターを通過させることを特徴とするニッケル粉末の製造方法。
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