JP5816820B2 - マイクロ波加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被加熱物にマイクロ波を放射して誘電加熱する電子レンジ等のマイクロ波加熱装置に関するものである。
代表的なマイクロ波加熱装置の電子レンジは、代表的なマイクロ波発生手段であるマグネトロンから放射されたマイクロ波を導波管を介して金属製の加熱室の内部に供給し、加熱室内部に置かれた被加熱物を誘電加熱するものである。よって加熱室内部のマイクロ波の電磁界分布が不均一であると、被加熱物を均一に加熱することができない。
そこで、被加熱物を均一に加熱する方法として、テーブルを回転させて被加熱物自体を回転させる構成や、被加熱物は固定したままでマイクロ波を放射するアンテナのほうを回転させる構成など、何らかの駆動部を用いて被加熱物に放射されるマイクロ波の向きを変えながら加熱して均一化をはかる方法が一般的であった。
一方、構成を簡単にするために駆動部を持たずに均一加熱する方法が期待されており、時間的に電界の偏波面が回転する円偏波を利用する方法が提案されている。本来、誘電加熱は誘電損失を有する被加熱物をマイクロ波の電界によって加熱する原理に基づくため、電界が回転することは均一化に効果があるものと考えられる。たとえば具体的な円偏波の発生方法としては、特許文献1には図21のように導波管1上で交差するX字型の円偏波開口2を用いる方式が示され、特許文献2には図22のように導波管1上で直交する向きの二つの長方スリット状の開口3、4を対向させつつも離して配置する方法が示され、特許文献3には図23のように導波管1に結合させたパッチアンテナ5の平面形状に切り欠き6を設ける方法が記載されている。
また、円偏波とは無関係であるが、特許文献4には図24のように複数の長方スリット140、141、142、143を波長の1/4の間隔で配列し、互いに相違する位相で放射させる例が示されている。
米国特許第4301347号明細書 特許第3510523号公報 特開2005−235772号公報 特開平10−284246号公報
しかしながら、前記従来のマイクロ波加熱装置は、特許文献1〜3のいずれの場合においても、円偏波を利用してはいるものの、駆動部無しにできるほどの均一効果はないという問題があった。いずれの特許文献も、円偏波と駆動部の相乗効果で従来の駆動部のみよりも均一になるということを記載しているに過ぎない。具体的には、特許文献1では図21のように導波管の終端に位相シフター7と呼ばれる回転体を有し、特許文献2では被加熱物を回転させるターンテーブル(図示せず)を有し、特許文献3ではターンテーブル8に加えてパッチアンテナ5をも回転させて攪拌機として利用する構成を記載している。いずれも円偏波を用いれば駆動部無しにできるとは記載されていないのである。これは、もし円偏波で駆動部を無しにすると、一般的な駆動部有りの構成(たとえばテーブルを回転
させるとかアンテナを回転させるなどの構成)に比べて均一性が劣るためである。
本発明は前記課題を解決するものであり、駆動部を用いないで、被加熱物を均一に加熱できるマイクロ波加熱装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段と、マイクロ波を伝送する導波管と、前記導波管から前記加熱室内にマイクロ波を放射する複数のマイクロ波放射部とを有し、前記導波管内には定在波を生じ、前記複数のマイクロ波放射部は、前記導波管の伝送方向に管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置し、隣接する前記複数のマイクロ波放射部に対向する定在波が逆位相の関係にならないよう構成し、前記導波管内の定在波位置を安定させるための定在波安定手段を有し、前記定在波安定手段は複数とし、伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置し、伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置した少なくとも二つの定在波安定手段(導波管の終端部側から数えて第一の定在波安定手段、第二の定在波安定手段)と、伝送方向に管内波長の略1/3の間隔で配置した少なくとも四つのマイクロ波放射部(導波管の終端部側から数えて第一のマイクロ波放射部、第二のマイクロ波放射部、第三のマイクロ波放射部、第四のマイクロ波放射部)を有し、第一の定在波安定手段と第二の定在波安定手段の間に第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部を配置する構成としている。
上記構成により、一般に導波管内の定在波は伝送方向に管内波長の1/2毎に腹(最大の振幅を生じる部位)や節(振幅をほとんど生じない部位)を繰り返し、管内波長の1/2だけ離れた二か所を比較すると振幅が同じで逆向きの波が生じる逆位相の関係となるが、本発明では複数のマイクロ波放射部を管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置することで、隣接するマイクロ波放射部に対向する定在波は逆位相の関係(管内波長の略1/2の奇数倍の間隔)にはならないので、その結果、隣接するマイクロ波放射部から加熱室内に向けて放射されるマイクロ波も逆位相にならず、互いのマイクロ波放射部の間が弱くなるようないわゆる干渉による打消し合いを防ぐことができ、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
本発明のマイクロ波加熱装置は、複数のマイクロ波放射部を管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置することで、隣接するマイクロ波放射部に対向する定在波は逆位相の関係(管内波長の略1/2の奇数倍の間隔)にはならないので、その結果、隣接するマイクロ波放射部から加熱室内に向けて放射されるマイクロ波も逆位相にならず、互いのマイクロ波放射部の間が弱くなるようないわゆる干渉による打消し合いを防ぐことができ、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の斜視図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の断面図(a)平面断面図(b)正面断面図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置に適用される導波管を説明する斜視図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置に適用される導波管の終端部を放射境界としたシミュレーション結果(a)シミュレーションモデルの平面イメージ図(b)庫内の電界強度分布の平面断面図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置に適用される円筒形状の定在波安定手段を説明する斜視図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置に適用される半球状の定在波安定手段を説明する断面図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置と比較するための別の形態のマイクロ波加熱装置の断面図(a)平面断面図(b)正面断面図 本発明の実施の形態1と別の形態の特性の違いを説明する説明図(a)本発明とは別の形態で食品を加熱したときの温度分布図(b)同加熱むらの模式図(c)本発明の実施の形態1で食品を加熱したときの温度分布図(d)同加熱むらの模式図 本発明の実施の形態1における隣接する開口間ピッチPによる特性の違いを説明する説明図(a)電磁界解析のモデルイメージ図(b)P=λg/2での解析結果のコンタ図(c)P=λg/3での解析結果のコンタ図 本発明の実施の形態2におけるマイクロ波加熱装置の断面図(a)平面断面図(b)正面断面図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部を示す関係説明図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部の課題を説明するための本実施の形態3を用いない場合の被加熱物載置における課題説明図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置の加熱室へ被加熱物を載置した時の関係説明図 本発明の実施の形態4におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部を示す関係説明図 本発明の実施の形態4におけるマイクロ波放射部の電流遮断有効幅を説明する模式図 本発明の実施の形態5におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部を示す関係説明図 本発明の実施の形態5におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部配置の関係説明図 本発明の実施の形態5におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部配置を簡易化した関係説明図 本発明の実施の形態5におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部配置を簡易化した関係説明図 本発明の実施の形態6におけるマイクロ波加熱装置の開口形状を説明する模式図 従来のX字型の開口で円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図 従来の直交する二つの長方スリットで円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図 従来のパッチアンテナで円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図 従来の導波管と長方スリットを有するマイクロ波加熱装置の構成図
第1の発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段と、マイクロ波を伝送する導波管と、前記導波管から前記加熱室内にマイクロ波を放射する複数のマイクロ波放射部とを有し、前記導波管内には定在波を生じ、前記複数のマイクロ波放射部は、前記導波管の伝送方向に管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置し、隣接する前記複数のマイクロ波放射部に対向する定在波が逆位相の関係にならないよう構成し、前記導波管内の定在波位置を安定させるため
の定在波安定手段を有し、前記定在波安定手段は複数とし、伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置し、伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置した少なくとも二つの定在波安定手段(導波管の終端部側から数えて第一の定在波安定手段、第二の定在波安定手段)と、伝送方向に管内波長の略1/3の間隔で配置した少なくとも四つのマイクロ波放射部(導波管の終端部側から数えて第一のマイクロ波放射部、第二のマイクロ波放射部、第三のマイクロ波放射部、第四のマイクロ波放射部)を有し、第一の定在波安定手段と第二の定在波安定手段の間に第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部を配置している。
上記構成により、一般に導波管内の定在波は伝送方向に管内波長の1/2毎に腹(最大の振幅を生じる部位)や節(振幅をほとんど生じない部位)を繰り返し、管内波長の1/2だけ離れた二か所を比較すると振幅が同じで逆向きの波が生じる逆位相の関係となるが、本発明では複数のマイクロ波放射部を管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置することで、隣接するマイクロ波放射部に対向する定在波は逆位相の関係(管内波長の略1/2の奇数倍の間隔)にはならないので、その結果、隣接するマイクロ波放射部から加熱室内に向けて放射されるマイクロ波も逆位相にならず、互いのマイクロ波放射部の間が弱くなるようないわゆる干渉による打消し合いを防ぐことができ、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
また、一般にマイクロ波放射部が増えると導波管内のマイクロ波が外部へ放射されやすくなり、マイクロ波が次々と放射されることで導波管内の定在波を維持しにくくなり定在波の状態が不安定になっていき、その結果それぞれのマイクロ波放射部に対向するマイクロ波の位相が狙いの位相からシフトしてしまうことが考えられるが、定在波安定手段を有することで定在波の乱れを抑制し、複数のマイクロ波放射部に狙い通りの位相で定在波を対向させることができ、それぞれのマイクロ波放射部から狙い通りの位相のマイクロ波を加熱室内に向けて放射させることができるため、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
また、一般に管内定在波が生じるときには管内波長の1/2の整数倍毎に同じ振幅が繰り返されるはずであるが、定在波安定手段を複数として伝送方向に管内波長の略1/2の整数倍の間隔で配置することで確実に管内定在波の周期性を持たせることができ、定在波の乱れを抑制し、複数のマイクロ波放射部に狙い通りの位相で定在波を対向させることができ、それぞれのマイクロ波放射部から狙い通りの位相のマイクロ波を加熱室内に向けて放射させることができるため、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
さらに、管内波長の略1/2の間隔でそれぞれ節を生じさせる二つの定在波安定手段(第一の定在波安定手段と第二の定在波安定手段)の丁度中央には一つの腹が生じる。また同じ二つの定在波安定手段(第一の定在波安定手段と第二の定在波安定手段)の間に管内波長の略1/3の間隔の二つのマイクロ波放射部(第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部)を配置するから、二つのマイクロ波放射部(第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部)は節でもなく腹でもない位相にそれぞれ配置されることになるが、どちらかと言えば節に近くなる。なぜならば二つのマイクロ波放射部(第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部)を二つの定在波安定手段(第一の定在波安定手段と第二の定在波安定手段)に対して均等(センター振り分け)に配置したと仮定すると、マイクロ波放射部から節までの距離は((管内波長の略1/2)−(管内波長の略1/3)
)/2≒管内波長の1/12となり、マイクロ波放射部から腹までの距離は(管内波長の略1/3)/2≒管内波長の1/6となり、腹までの距離よりも節までの距離のほうが半分くらいに近い距離になる。一方、同様に計算すると、第一のマイクロ波放射部と第四のマイクロ波放射部はほぼ同位相の腹になる。なぜならば、たとえば第一の定在波安定手段による節位置を基準に考えると、第二のマイクロ波放射部から基準の節までは管内波長の1/12と先ほど求めた通りであり、第二のマイクロ波放射部から第一のマイクロ波放射部までは管内波長の1/3であることから、基準の節から第一のマイクロ波放射部までは(管内波長の略1/3)−(管内波長の略1/12)≒管内波長の1/4となり、基準の節からみてこれは丁度腹となる位置関係である。また同様に第四のマイクロ波放射部も腹になり、特に第一のマイクロ波放射部と第四のマイクロ波放射部の距離は、管内波長の略1/3×3≒管内波長、であるから両者は同位相になる。以上により、第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部はいずれも節に近く、第一のマイクロ波放射部と第四のマイクロ波放射部は同位相でいずれも腹に近く、四つのマイクロ波放射部をこれらのセンターから見て、伝送方向に対称な位相関係にでき、その結果伝送方向に均等に放射できる可能性を高めることができる。
第2の発明のマイクロ波加熱装置は、複数のマイクロ波放射部は、伝送方向に管内波長
の略1/3の間隔で配置する構成としている。これにより、確実に第一の発明の効果が得られる。即ち、本発明では複数のマイクロ波放射部を管内波長の略1/3の間隔で配置することで、隣接するマイクロ波放射部に対向する定在波は逆位相の関係(管内波長の略1/2の奇数倍の間隔)にはならないので、その結果、隣接するマイクロ波放射部から加熱室内に向けて放射されるマイクロ波も逆位相にならず、互いのマイクロ波放射部の間が弱くなるようないわゆる干渉による打消し合いを防ぐことができ、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。さらに第一の発明では隣接しない離れた二つのマイクロ波放射部に着目したときには逆位相の関係になる恐れがあり、それは距離が離れているので可能性は低いとはいうものの打消し合う危険性が残る。一方、第二の発明では、たとえ隣接しないどんなに離れたマイクロ波放射部の間隔を見てもどこにも逆位相の関係は存在せず、絶対に打消し合わないようにできる。なぜならば、マイクロ波放射部が四つ以上ある場合、一つ目と二つ目の間隔はλg/3、一つ目と三つ目の間隔は2λg/3、一つ目と四つ目の間隔はλgとなり丁度一波長分の間隔となって、四つ目は一つ目と完全に同じ位相に戻ることになり、以降は同様の位相関係を繰り返すからである。よってどこにも管内波長の略1/2の奇数倍の間隔は起こらない。
の発明のマイクロ波加熱装置は、定在波安定手段は、導波管内に定在波の節を生じさせる構成とし、導波管の終端部まで伝送方向に管内波長の略1/2の整数倍の距離に配置する構成としている。これにより、元々導波管の終端部は常に電界が0のため定在波の節になるのに加えて、管内定在波が生じるときには終端部から管内波長の1/2の整数倍毎に節を繰り返すはずであるが、定在波安定手段を導波管の終端部から管内波長の略1/2の整数倍の距離に配置することで確実に節を形成させることができ、定在波の乱れを抑制し、複数のマイクロ波放射部に狙い通りの位相で定在波を対向させることができ、それぞれのマイクロ波放射部から狙い通りの位相のマイクロ波を加熱室内に向けて放射させることができるため、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
の発明のマイクロ波加熱装置は、第二の定在波安定手段から伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置した第三の定在波安定手段を有し、導波管の終端部と第一の定在波安定手段との間に第一のマイクロ波放射部を配置し、第二の定在波安定手段と第三の定在波安定手段の間に第四のマイクロ波放射部を配置する構成としている。これにより、いずれも節となる導波管の終端部と第一の定在波安定手段との間に第一のマイクロ波放射部を配置することで、第一のマイクロ波放射部をより確実に腹にできるとともに、伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置した第二の定在波安定手段と第三の定在波安定手段の間に第四のマイクロ波放射部を配置することで、第四のマイクロ波放射部もより確実に腹にできるので、確実に第の発明の効果が得られる。
の発明のマイクロ波加熱装置は、第一のマイクロ波放射部と第四のマイクロ波放射部を管内定在波の略腹の位置に配置し、第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部を管内定在波の腹にも節にもならない位置に配置する構成としている。これにより、四つのマイクロ波放射部の位相をある程度特定できるので、より確実に第6の発明、第7の発明の効果を得ることができる。
の発明のマイクロ波加熱装置は、複数のマイクロ波放射部は、導波管の幅方向の中央(管軸)にかからない開口で構成し、管軸の少なくとも片側に配置する構成としている。これにより、導波管の幅方向については、最も一般的なTE10モードの導波管において、導波管の幅方向の中央(管軸)で電界が最大、かつ両端で電界が0となり、もし開口が管軸を横切ると電界の最大のポイントを横切ることになり、一つの開口から大量のマイクロ波を放射してしまい、他の開口で均等に分け合うはずの分が残らない危険性があるが、本発明では開口が管軸にかからないので、一つの開口からの放射量を抑え、複数の開口でバランスよく均等に放射できる。よって本発明の構成により、加熱室内に向けて複数の開口から広範囲に同等量のマイクロ波を放射させることができるため、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
の発明のマイクロ波加熱装置は、複数のマイクロ波放射部は、管軸の両側に対称に配置する構成としている。これにより、幅方向にも複数の配置として、より多数の開口を構成することができる。導波管の幅方向については、最も一般的なTE10モードの導波管において、導波管の幅方向の中央(管軸)で電界が最大、かつ両端で電界が0となり、管軸に対して対称な特性を持つので、開口を管軸の両側に配置すると互いに同等量のマイクロ波を放射しやすい関係にある。よって本発明の構成により、伝送方向にも幅方向にも多数の同等量を放射できるマイクロ波放射部を有することになり、加熱室内に向けて広範囲に同等量のマイクロ波を放射させることができるため、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
の発明のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波放射部は、円偏波を放射する構成としている。これにより、マイクロ波放射部を中心として円偏波特有の360度全方向に回転する電界を発生させ、中心から渦を巻くようにマイクロ波が放射され、円周方向を均一に加熱することができる。よって、複数のマイクロ波放射部から円偏波を放射することで加熱室全体に対しても均一にマイクロ波を放射でき、複数のマイクロ波放射部を並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室内の被加熱物を均一に加熱することができる。
の発明のマイクロ波加熱装置は、円偏波を放射するマイクロ波放射部は、二つの長孔が交差する略X字状の構成としている。これにより、簡単な構成で確実に導波管から円偏波を放射することができる。
以下、本発明に係るマイクロ波加熱装置の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態のマイクロ波加熱装置においては電子レンジについて説明するが、電子レンジは例示であり、本発明のマイクロ波加熱装置は電子レンジに限定されるものではなく、誘電加熱を利用した加熱装置、生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置などのマイクロ波加熱装置を含むものである。また、本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
(実施の形態1)
図1、図2は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。図1は全体構成を示す斜視図、図2(a)は上から見た断面図、図2(b)は正面から見た断面図である。
代表的なマイクロ波加熱装置である電子レンジ101は、代表的な被加熱物である食品(図示せず)を収納可能な加熱室102と、マイクロ波を発生させる代表的なマイクロ波発生手段であるマグネトロン103と、マグネトロン103から放射されたマイクロ波を加熱室102に導く導波管104と、導波管104内のマイクロ波を加熱室102内に放射するマイクロ波放射部として導波管104の上面に設けた八つの開口105a,105b,105c,105dと、食品(図示せず)を載置する載置台107とを有している。加熱室102は横長の直方体で、載置台107は加熱室102の底面全体を覆う構成で、
開口105a,105b,105c,105dが庫内に露出しないように塞ぎつつ、上面をフラットにして使用者が食品(図示せず)の出し入れがしやすいとか、汚れがついたときにふき取りやすくしている。ここで載置台107は、開口105からのマイクロ波を加熱室102内に放射させるため、ガラスやセラミックなどマイクロ波が透過しやすい材料で構成する。導波管104と加熱室102の接続は、導波管104のマイクロ波の伝送方向を加熱室102の幅方向に向けて接続する。開口105は、長孔を交差させたX字状の形状により円偏波を放射できる開口とし、導波管104の幅方向の中央(管軸)108にはかからないように幅方向に対称に配置している。また管軸108は加熱室102の底面109の前後方向の中心と一致させ、八つの開口105a,105b,105c,105dは加熱室102の底面109の左右方向の中心110に対して対称に配置し、以上により加熱室102の底面109に対して、開口105a,105b,105c,105dは前後・左右とも対称に配置される。また開口105a,105b,105c,105dは、導波管104の伝送方向に管内波長λgの略1/3の間隔で配置している。また導波管104内には管内定在波が生じるが、これはマグネトロン103の発振周波数と導波管104の形状によって決まる管内波長λgの1/2ごとに腹と節を繰り返すもので、導波管104の終端部111は必ず節となる。ここで図2(b)には導波管104内に管内定在波のイメージを図示している。定在波安定手段112a,112b,112cは導波管104内に突出する導電性材料からなり、いわゆる整合素子として知られるスタブチューナーなどとよく似た構成であり、管内定在波の節の位置、即ち終端部111から管内波長λgの略1/2ずつの間隔で合計3個配置され、終端部111側から数えて第一の定在波安定手段112a,第二の定在波安定手段112b,第三の定在波安定手段112cとする。また、開口105a,105b,105c,105dも、同様に終端部111側から数えて第一の開口105a,第二の開口105b,第三の開口105c,第四の開口105dとする。このとき加熱室102の底面109の左右方向の中心110に対して、第一の定在波安定手段112aと第二の定在波安定手段112bが対称になるように導波管104を構成しており、その結果、図2(b)のように管内定在波の腹が中心110に位置することになる。また第一の開口105aは終端部111と第一の定在波安定手段112aの間の管内定在波の腹に位置し、第四の開口105dは第二の定在波安定手段112bと第三の定在波安定手段112cの間の管内定在波の腹に位置し、第二の開口105bと第三の開口105cは管内定在波の腹にも節にもならない位置に位置することになる。また図1のように、開閉可能なドア116を有し、ドア116を閉めることで、マイクロ波は導波管104と加熱室102で閉空間を形成し、閉じ込められたマイクロ波は必ず何らかの定在波を生じるものである。
以上の構成をもとに動作を説明する。マグネトロン103から放射されたマイクロ波は、導波管104内を伝送されて一部は開口105a,105b,105c,105dから加熱室102内に放射されるが、残りは終端部111で反射される。また加熱室は閉空間のため加熱室102内のマイクロ波の一部が逆に開口105a,105b,105c,105dから導波管104内に戻ることも少なからずあると考えられる。その結果、導波管104と加熱室102内に何らかの定在波が発生する。特に導波管104については、終端部111での反射が優位であれば管内波長λgによる定在波を生じやすいと考えられる。特に被加熱物が大量とかマイクロ波を吸収しやすい条件では、加熱室から開口105a,105b,105c,105dを通じて導波管104内に戻るマイクロ波の量が少ないので定在波が安定する。逆に被加熱物が少量とかマイクロ波を吸収しにくいなどの条件で、さらに本実施例のように開口の数が多いなどの場合は、開口105a,105b,105c,105dと加熱室102の連通により管内定在波が乱されることになり、ちょっとした被加熱物の分量や材質や置き方などの違いによっても変化するから、開口位置での管内定在波の振幅や位相が固定できず、よって各開口からの放射量が勝手に増減してコントロールできなくなる可能性がある。そのため加熱室102内に全体に均一に放射することができなくなる可能性がある。しかし本実施の形態では、導波管104内に定在波安定手
段112a,112b,112cを配置しているので、管内定在波の節位置を固定させることができ、その結果それぞれの開口位置での振幅や位相も固定できる。また開口105a,105b,105c,105dの構成により、マイクロ波は加熱室102内に円偏波として放射される。円偏波は、開口105a,105b,105c,105dを中心として周方向に電界を回転させながら放射されるもので、図2(a)に示す通り開口105a,105b,105c,105dは加熱室102の底面109に対して前後方向にも左右方向にも対称に配されているので、前後にも左右にも均等にマイクロ波が放射され、周囲に均一に放射される。
ここで円偏波について説明する。円偏波は、移動通信および衛星通信の分野で広く用いられている技術であり、身近な使用例としては、ETC(Electronic Toll Collection System)「ノンストップ自動料金収受システム」などが挙げられる。円偏波は、電界の偏波面が進行方向に対して時間に応じて回転するマイクロ波であり、円偏波を形成すると電界の方向が時間に応じて変化し続けて、電界強度の大きさは変化しないという特徴を有している。この円偏波をマイクロ波加熱装置に適用すれば、従来の直線偏波によるマイクロ波加熱と比較して、被加熱物を特に円偏波の周方向に対して均一に加熱することが期待される。なお、円偏波は回転方向から右旋偏波(CW:clockwise)と左旋偏波(CCW:counter clockwise)の2種類に分類されるが、加熱の分野では特に性能に違いはない。
円偏波としては特許文献1や特許文献2のように導波管壁面の開口で構成するものや、特許文献3に示されたようなパッチアンテナで構成するものがあるが、本実施の形態の開口105a,105b,105c,105dは、特許文献1に示されたものと同様に導波管104の上面(H面)に形成して円偏波を放射するものである。
円偏波はもともと通信の分野での利用が主なので、開放空間への放射を対象としていることから、反射波が戻ってこないいわゆる進行波で論じられるのが一般的である。一方、本実施の形態のマイクロ波加熱装置は、導波管104と加熱室102によって外部とは遮蔽された閉空間への放射となり、反射波が戻ってきて合成される導波管内の定在波を論じているが、開口からマイクロ波が放射される瞬間には定在波のバランスがくずれ、再び安定した定在波に戻るまでの間は進行波が発生していると考えられる。したがって、開口を円偏波放射形状とすることで、前述の円偏波の特長を利用することが可能となり、加熱室102内の加熱分布をより均一化することができる。
なお、方形の導波管104に設けた開口から円偏波を出力するためには、図2に示す例のように、幅を持ったスリット2本を中央で交差させ、マイクロ波伝送方向に対し45度傾けた形状を、導波管104のマイクロ波伝送方向の管軸108を通らない位置に配置する構成が望ましい。
ここで図3を用いて導波管について説明する。図3は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置に適用される導波管を説明する斜視図である。最も単純で一般的な導波管は、図3のように一定の長方形の断面(幅a、高さb)を伝送方向に伸ばした直方体からなる方形導波管で、マイクロ波の自由空間での波長をλ0としたときに、導波管の幅a(マイクロ波の波長λ0>a>λ0/2)、高さb(<λ0/2)の範囲に選ぶことにより、TE10モードでマイクロ波を伝送することが知られている。
TE10モードとは、導波管104内において導波管の伝送方向には磁界成分のみが存在して電界成分のない、H波(TE波;電気的横波伝送 Transverse Electric Wave)における伝送モードのことを指す。なお、TE10モード以外の伝送モードがマイクロ波加熱装置101の導波管104に適用されることは殆どない。
ここで導波管内の管内波長λgの説明に先立って、自由空間の波長λ0について説明する。自由空間の波長λ0は、一般的な電子レンジのマイクロ波の場合は約120mmとして知られている。しかし正確には自由空間の波長λ0は、λ0 = c/fで求まり、cは速度で光の速度3.0*10^8[m/s]で一定であるものの、fは周波数で2.4〜2.5[GHz](ISMバンド)の幅がある。マグネトロンは、ばらつきや負荷条件によって発振周波数fが変化するので、結局は自由空間の波長λ0も変化し、最小120[mm](2.5GHz時)から最大125[mm](2.4GHz時)まで変化する。
導波管の話に戻ると、自由空間の波長λ0の範囲も考慮して、一般的には導波管の幅aを80〜100mm、高さbを15〜40mm程度に選ぶことが多い。このとき図4の上下の幅広面を磁界が平行に渦巻く面という意味でH面126と呼び、左右の幅狭面を電界に平行な面という意味でE面127と呼ぶ。ちなみにマイクロ波が導波管内を伝送されるときの波長は、管内波長λgとしてあらわされ、λg=λ0/√(1−(λ0/(2×a))^2)となり、導波管の幅a寸法によって変化するが、高さb寸法には無関係に決まる。ちなみにTE10モードでは、導波管の幅方向の両端(E面)127で電界が0、幅方向の中央で電界が最大となる。よってマグネトロン103は電界が最大となる導波管の幅方向の中央(図2で示した管軸108上)に結合させる構成となる。
ちなみに本実施の形態の開口105a,105b,105c,105dは、図2(a)のように、長孔を直交させてX字状を為す開口で、導波管104のH面の中央(管軸)108から片側に偏らせて配置することで円偏波を発生できる形状であり、H面のどちらに寄せるかで電界の回転方向が異なり、右旋偏波か左旋偏波に分かれることになる。
以下、円偏波を放射するX字状の開口の特徴について説明する。図4はシミュレーション結果である。シミュレーションなので実際とは異なり、加熱室128の壁面をすべて放射境界(マイクロ波が反射しない境界条件)とし、開口129が1つだけの簡単な構成で、導波管130の終端部131も放射境界(マイクロ波が反射しない境界条件)としたものである。図4(a)は上から見たモデル形状、図4(b)は解析結果であり上から見た加熱室内の電界強度のコンタ図である。図4(b)を見ると、円偏波らしく電界が渦を巻いており、開口129を中心として導波管130の伝送方向132(紙面の左右方向)、導波管の幅方向133(紙面の上下方向)とも均等な電界分布を発生すると思われる。
ここで、開放空間の通信分野と閉空間の加熱の分野では、いくつか異なる点があるので説明を加える。通信分野では、他のマイクロ波との混在を避けて必要な情報のみを送受信したいから、送信側は右旋偏波か左旋偏波のどちらかに限定して送信し、受信側もそれに合わせた最適な受信アンテナを選ぶことになる。一方、加熱の分野では、指向性を有する受信アンテナの代わりに特に指向性のない食品などの被加熱物がマイクロ波を受けるので、マイクロ波が被加熱物全体に均等に当たることのみが重要となる。よって加熱の分野では右旋偏波と左旋偏波が混在しても問題はないが、逆に被加熱物の置き位置や形状によって不均等な分布になるのをできるだけ防ぐ必要がある。たとえば図4のように単一の開口129だけしかない場合、被加熱物を開口129の真上に置くと良いが、前後あるいは左右にずらして置くと、どうしても開口129に近い部位が加熱されやすく、遠い部位は加熱されにくく、結果として加熱ムラが生じてしまう。よって円偏波開口を複数にするほうが望ましい。本実施の形態では、図2のように、八つの開口105a,105b,105c,105dを加熱室に対称にバランスよく配置しているのは前述の通りである。
ここで図5、図6を用いて定在波安定手段について説明する。
図5は図3で説明した導波管104に、定在波安定手段134,135を配置したもの
である。定在波安定手段134,135は円筒形状でアルミやステンレスなどの導電性材料からなり、導波管104のH面126の幅方向の中央に溶接あるいはビス留め等により接続固定されるものである。このような構成の定在波安定手段134,135は、導波管104内の突出部としてマイクロ波の伝送を一部妨げるものと思われるが、結果として、定在波安定手段134,135の位置で定在波の節になりやすいとわかってきた。よって逆に、定在波の節にしたい位置に定在波安定手段134,135のような突出部を設けることで、定在波の位置を変化させず安定させる効果がある。この定在波安定手段134,135の構成は、いわゆる整合素子として知られるスタブチューナーなどとよく似た構成であり、形(特に高さ)と位置を微調整することで、定在波の節を確定させつつ整合もできるというような、二つの機能を併せ持つことも可能と思われる。図5では定在波安定手段134のほうが定在波安定手段135よりも高さが高い例を示しているが、特に限定されるものではなく形状については適宜最適化すればよい。また図5では、定在波安定手段134,135の距離を、管内波長λgを用いて(λg/2)×nとし、nは整数とすることで、二か所に節を作ることができ、特に定在波安定手段134,135の間にはきれいな定在波が存在する。たとえばn=1では、定在波安定手段134,135が節で両者の中央が腹となり、n=2では、定在波安定手段134,135が節で両者の中央も節となる。よってnを整数とすれば定在波安定手段134,135の間にきれいな定在波をたてることができる。
図6は他の定在波安定手段の例で、別部品ではなく導波管104のH面をプレス等によりしぼって導波管104の内部に突出させた半球状の定在波安定手段136の構成例である。この場合は定在波安定手段を導波管材料そのもので形成できるので、図5の例と比べて定在波安定用の別部品を不要とできる効果がある。
ここで図7〜図9を用いて、本発明の構成により、隣接するマイクロ波放射部の間が弱くなるようないわゆる干渉による打消し合いを防ぐ効果について説明する。
図7は本発明と比較するための別の形態のマイクロ波加熱装置(六つの開口、λg/2ピッチで配置)の断面図であり、(a)平面断面図、(b)正面断面図である。本実施の形態(図2、八つの開口、λg/3ピッチで配置)と大きく異なるのは、六つの開口137a,137b,137cを導波管の伝送方向に管内波長λgの1/2の距離で配置していることである。当初の思惑として、管内波長λgの1/2の距離で配置するとすべての開口が管内定在波の同じ大きさの位置(向きはλg/2ごとに反転)に位置するので同じ量のマイクロ波を放射できるだろうから、もっとも均一に加熱できると思っていたが、実際はそうではなかった。
図8は本発明の実施の形態(八つの開口、λg/3ピッチで配置)と別の形態(六つの開口、λg/2ピッチで配置)の特性の違いを説明する図である。(a)本発明とは別の形態(六つの開口、λg/2ピッチで配置)で食品(冷凍ピラフ)を加熱したときの温度分布図、(b)同、加熱むらの模式図、(c)本発明の実施の形態(八つの開口、λg/3ピッチで配置)で食品(冷凍ピラフ)を加熱したときの温度分布図、(d)同、加熱むらの模式図である。(a)(c)はそれぞれの構成で冷凍ピラフを一定時間加熱したあとにサーモビュアで上から表面温度を測定したもので、(a)別の形態(六つの開口、λg/2ピッチで配置)の方が紙面の上下方向(ピラフの前後方向)に未加熱の領域138が多く残っているが、(c)本発明の実施の形態(八つの開口、λg/3ピッチで配置)ではさほどではなくかなり均一化されている。これを模式的に表すと(b)(d)のように見えるし、明らかに本発明の実施の形態(八つの開口、λg/3ピッチで配置)の方が別の形態(六つの開口、λg/2ピッチで配置)よりも分布が良いと言える。
この原因を調べるため、電磁界解析を行った。図9は隣接する開口139a,139b
間のピッチPによる特性の違いを説明するものであり、(a)電磁界解析のモデルイメージ図、(b)P=λg/2での解析結果のコンタ図(図8の別の形態に相当)、(c)P=λg/3での解析結果のコンタ図(図8の本発明の実施の形態に相当)である。(b)ではやはり開口139a,139bの間が弱いらしく、特に開口から紙面の上下方向に離れるにしたがって互いに反対方向に拡散していくように見える。一方(c)では開口139a,139bのピッチがλg/3と狭いにも関わらず、(b)ほどの干渉は見られないどころか一体化(図9(c)で開口間が繋がっているように見える)して放射されているようである。よって単に距離が近いから干渉するのではなく、管内定在波の位相との関係で干渉していると考えられる。この理由を考察すると、ピッチがλg/2では、開口139a,139bが管内定在波の同じ大きさの位置ではあるものの向きが逆向きの位置であるために、間が弱くなるような干渉(打ち消しあい)が起こっていると考えられる。一方ピッチがλg/3では、開口139a,139bが逆向きの位置ではないために、間が弱くなるような干渉(打ち消しあい)が起こらないと考えられる。
以下に、本実施の形態における作用、効果を説明する。
本実施の形態の電子レンジ101は、被加熱物を収納する加熱室102と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段としてのマグネトロン103と、マイクロ波を伝送する導波管104と、導波管104から加熱室102内にマイクロ波を放射する複数のマイクロ波放射部としての開口105a,105b,105c,105dを有し、導波管104内には定在波を生じ、複数の開口105a,105b,105c,105dは、導波管104の伝送方向に管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置する構成としている。これにより、一般に導波管内の定在波は伝送方向に管内波長の1/2毎に腹(最大の振幅を生じる部位)や節(振幅をほとんど生じない部位)を繰り返し、管内波長の1/2だけ離れた二か所を比較すると振幅が同じで逆向きの波が生じる逆位相の関係となるが、本発明では複数の開口105a,105b,105c,105dを管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置することで、隣接する開口に対向する定在波は逆位相の関係(管内波長の略1/2の奇数倍の間隔)にはならないので、その結果、隣接する開口から加熱室102内に向けて放射されるマイクロ波も逆位相にならず、互いの開口の間が弱くなるようないわゆる干渉による打消し合いを防ぐことができ、複数の開口105a,105b,105c,105dを並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室102内の被加熱物を均一に加熱することができる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、複数の開口105a,105b,105c,105dは、伝送方向に管内波長の略1/3の間隔で配置する構成としている。これにより、確実に第一の発明の効果が得られる。即ち、本発明では複数の開口105a,105b,105c,105dを管内波長の略1/3の間隔で配置することで、隣接する開口に対向する定在波は逆位相の関係(管内波長の略1/2の奇数倍の間隔)にはならないので、その結果、隣接する開口から加熱室102内に向けて放射されるマイクロ波も逆位相にならず、互いの開口の間が弱くなるようないわゆる干渉による打消し合いを防ぐことができ、複数の開口105a,105b,105c,105dを並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室102内の被加熱物を均一に加熱することができる。さらに第一の発明では隣接しない離れた二つの開口に着目したときには逆位相の関係になる恐れがあり、それは距離が離れているので可能性は低いとはいうものの打消し合う危険性が残る。一方、第二の発明では、たとえ隣接しないどんなに離れた開口間の間隔を見てもどこにも逆位相の関係は存在せず、絶対に打消し合わないようにできる。なぜならば、開口が四つ以上ある場合、一つ目と二つ目の間隔はλg/3、一つ目と三つ目の間隔は2λg/3、一つ目と四つ目の間隔はλgとなり丁度一波長分の間隔となって、四つ目は一つ目と完全に同じ位相に戻ることになり、以降は同様の位相関係を繰り返すからである。よってどこにも管内波長の略1/2の奇数倍の間隔は起こらない。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、導波管104内の定在波位置を安定させるための定在波安定手段112a,112b,112cを有する構成としている。これにより、一般に開口が増えると導波管104内のマイクロ波が外部へ放射されやすくなり、マイクロ波が次々と放射されることで導波管104内の定在波を維持しにくくなり定在波の状態が不安定になっていき、その結果それぞれの開口に対向するマイクロ波の位相が狙いの位相からシフトしてしまうことが考えられるが、定在波安定手段112a,112b,112cを有することで定在波の乱れを抑制し、複数の開口105a,105b,105c,105dに狙い通りの位相で定在波を対向させることができ、それぞれの開口105a,105b,105c,105dから狙い通りの位相のマイクロ波を加熱室102内に向けて放射させることができるため、複数の開口105a,105b,105c,105dを並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室102内の被加熱物を均一に加熱することができる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、定在波安定手段112a,112b,112cは、導波管104内に定在波の節を生じさせる構成とし、導波管104の終端部111まで伝送方向に管内波長λgの略1/2の整数倍の距離に配置する構成としている。これにより、元々導波管104の終端部111は常に電界が0のため定在波の節になるのに加えて、管内定在波が生じるときには終端部111から管内波長の1/2の整数倍毎に節を繰り返すはずであるが、定在波安定手段112a,112b,112cを導波管104の終端部111から管内波長λgの略1/2の整数倍の距離に配置することで確実に節を形成させることができ、定在波の乱れを抑制し、複数の開口105a,105b,105c,105dに狙い通りの位相で定在波を対向させることができ、それぞれの開口105a,105b,105c,105dから狙い通りの位相のマイクロ波を加熱室102内に向けて放射させることができるため、複数の開口105a,105b,105c,105dを並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室102内の被加熱物を均一に加熱することができる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、定在波安定手段112a,112b,112cは複数とし、伝送方向に管内波長λgの略1/2の間隔で配置する構成としている。これにより、一般に管内定在波が生じるときには管内波長λgの1/2の整数倍毎に同じ振幅が繰り返されるはずであるが、定在波安定手段112a,112b,112cを複数として伝送方向に管内波長の略1/2の整数倍の間隔で配置することで確実に管内定在波の周期性を持たせることができ、定在波の乱れを抑制し、複数の開口105a,105b,105c,105dに狙い通りの位相で定在波を対向させることができ、それぞれの開口105a,105b,105c,105dから狙い通りの位相のマイクロ波を加熱室102内に向けて放射させることができるため、複数の開口105a,105b,105c,105dを並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室102内の被加熱物を均一に加熱することができる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、伝送方向に管内波長λgの略1/2の間隔で配置した少なくとも二つの定在波安定手段(導波管の終端部側から数えて第一の定在波安定手段112a、第二の定在波安定手段112b)と、伝送方向に管内波長の略1/3の間隔で配置した少なくとも四つのマイクロ波放射部(導波管の終端部側から数えて第一の開口105a、第二の開口105b、第三の開口105c、第四の開口105d)を有し、第一の定在波安定手段112aと第二の定在波安定手段112bの間に第二の開口105b、第三の開口105cを配置する構成としている。これにより、管内波長λgの略1/2の間隔でそれぞれ節を生じさせる二つの定在波安定手段(第一の定在波安定手段112a、第二の定在波安定手段112b)の丁度中央には一つの腹が生じる。また同じ二つの定在波安定手段(第一の定在波安定手段112a、第二の定在波安定手段112b)
の間に管内波長の略1/3の間隔の二つのマイクロ波放射部(第二の開口105b、第三の開口105c)を配置するから、二つのマイクロ波放射部(第二の開口105b、第三の開口105c)は節でもなく腹でもない位相にそれぞれ配置されることになるが、どちらかと言えば節に近くなる。なぜならば二つのマイクロ波放射部(第二の開口105b、第三の開口105c)を二つの定在波安定手段(第一の定在波安定手段112a、第二の定在波安定手段112b)に対して均等(センター振り分け)に配置したと仮定すると、開口から節までの距離は((管内波長の略1/2)−(管内波長の略1/3))/2≒管内波長の1/12となり、開口から腹までの距離は(管内波長の略1/3)/2≒管内波長の1/6となり、腹までの距離よりも節までの距離のほうが半分くらいに近い距離になる。一方、同様に計算すると、第一の開口105aと第四の開口105dはほぼ同位相の腹になる。なぜならば、たとえば第一の定在波安定手段112aによる節位置を基準に考えると、第二の開口105bから基準の節までは管内波長の1/12と先ほど求めた通りであり、第二の開口105bから第一の開口105aまでは管内波長の1/3であることから、基準の節から第一の開口105aまでは(管内波長の略1/3)−(管内波長の略1/12)≒管内波長の1/4となり、基準の節からみてこれは丁度腹となる位置関係である。また同様に第四の開口105dも腹になり、特に第一の開口105aと第四の開口105dの距離は、管内波長の略1/3×3≒管内波長、であるから両者は同位相になる。以上により、第二の開口105bと第三の開口105cはいずれも節に近く、第一の開口105aと第四の開口105dは同位相でいずれも腹に近く、四つの開口105a,105b,105c,105dをこれらのセンターから見て、伝送方向に対称な位相関係にでき、その結果伝送方向に均等に放射できる可能性を高めることができる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、第二の定在波安定手段112bから伝送方向に管内波長λgの略1/2の間隔で配置した第三の定在波安定手段112cを有し、導波管104の終端部111と第一の定在波安定手段112aとの間に第一の開口105aを配置し、第二の定在波安定手段112bと第三の定在波安定手段112cの間に第四の開口105dを配置する構成としている。これにより、いずれも節となる導波管104の終端部111と第一の定在波安定手段112aとの間に第一の開口105aを配置することで、第一の開口105aをより確実に腹にできるとともに、伝送方向に管内波長λgの略1/2の間隔で配置した第二の定在波安定手段112bと第三の定在波安定手段112cの間に第四の開口105dを配置することで、第四の開口105dもより確実に腹にできるので、確実に第6の発明の効果が得られる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、第一の開口105aと第四の開口105dを管内定在波の略腹の位置に配置し、第二の開口105bと第三の開口105cを管内定在波の腹にも節にもならない位置に配置する構成としている。これにより、四つの開口105a,105b,105c,105dの位相をある程度特定できるので、より確実に第6の発明、第7の発明の効果を得ることができる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、複数の開口105a,105b,105c,105dは、導波管104の幅方向の中央(管軸108)にかからない開口で構成し、管軸の少なくとも片側に配置する構成としている。これにより、導波管104の幅方向については、最も一般的なTE10モードの導波管104において、導波管104の幅方向の中央(管軸108)で電界が最大、かつ両端で電界が0となり、もし開口が管軸108を横切ると電界の最大のポイントを横切ることになり、一つの開口から大量のマイクロ波を放射してしまい、他の開口で均等に分け合うはずの分が残らない危険性があるが、本発明では開口105a,105b,105c,105dが管軸108にかからないので、一つの開口からの放射量を抑え、複数の開口105a,105b,105c,105dでバランスよく均等に放射できる。よって本発明の構成により、加熱室内に向けて複数の開口105a,105b,105c,105dから広範囲に同等量のマイクロ波を放射させる
ことができるため、複数の開口105a,105b,105c,105dを並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室102内の被加熱物を均一に加熱することができる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、複数の開口105a,105b,105c,105dは、管軸108の両側に対称に配置する構成としている。これにより、幅方向にも複数の配置として、より多数の開口を構成することができる。導波管104の幅方向については、最も一般的なTE10モードの導波管において、導波管104の幅方向の中央(管軸108)で電界が最大、かつ両端で電界が0となり、管軸108に対して対称な特性を持つので、開口を管軸の両側に配置すると互いに同等量のマイクロ波を放射しやすい関係にある。よって本発明の構成により、伝送方向にも幅方向にも多数の同等量を放射できる開口105a,105b,105c,105dを有することになり、加熱室102内に向けて広範囲に同等量のマイクロ波を放射させることができるため、複数の開口105a,105b,105c,105dを並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室102内の被加熱物を均一に加熱することができる。
また、本実施の形態の電子レンジ101は、開口105a,105b,105c,105dは、円偏波を放射する構成としている。これにより、開口105a,105b,105c,105dを中心として円偏波特有の360度全方向に回転する電界を発生させ、中心から渦を巻くようにマイクロ波が放射され、円周方向を均一に加熱することができる。よって、複数の開口105a,105b,105c,105dから円偏波を放射することで加熱室102全体に対しても均一にマイクロ波を放射でき、複数の開口105a,105b,105c,105dを並べるだけで駆動部を用いなくても加熱室102内の被加熱物を均一に加熱することができる。
さらに、本実施の形態の電子レンジ101は、円偏波を放射する開口105a,105b,105c,105dは、二つの長孔が交差する略X字状の構成としている。これにより、簡単な構成で確実に導波管104から円偏波を放射することができる。
なお、従来の特許文献4には図24のように複数の長方スリットを波長の1/4の間隔で配列し、互いに相違する位相で放射させる例が示されている。図24によれば、まず隣接する開口140と開口141はそれぞれ正弦波のピーク(腹)と正弦波の0(節)の関係であり、また隣接する開口142と開口143もそれぞれ正弦波のピーク(腹)と正弦波の0(節)の関係であり、さらに開口141と開口142を見ても正弦波の0(節)と正弦波のピーク(腹)の関係であり、つまり隣接する開口がすべて振幅の異なる腹と節の関係にある。よって隣接する開口間での干渉は起こらないが、注目すべき点が一つある。それは開口140と開口142であり、互いに腹同士で位相が逆向きである。つまり隣接はしないが少し離れた開口間で逆位相が生じる構成になる。加えて特許文献4では図24からも明らかなように開口140,141,142,143は長方スリットで構成されており、もしも本実施の形態のように円偏波を放射させようとして長方スリットを二つの長孔が交差する略X字状の構成に置き換えるとすると、隣接する開口の端部(X字の端部)が接してしまい、実際には構成できないと思われる。以上により、従来の特許文献4に基づく構成では、やはり干渉が起こりうるということと、円偏波構成にはできないということもあり、本発明のように管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置するほうが優れている。
なお、本実施の形態において、開口あるいは定在波安定手段の間隔を論じる場合、導波管104の伝送方向に管内波長λgの略1/2などという表現を用いているが、管内波長λgの略1/2というのは、ある程度の範囲を許容できるはずである。導波管内のマイクロ波は管内波長λgになっているので、管内波長λgの1/8程度のずれなら大きな変化のない許容範囲と考える。なぜならば、正弦波で考えた時に、波長の1/4ずれると、最
大あるいは最小が0に、0が最大あるいは最小にまで変化することになり、大きな変化と考えられる。しかしその半分に相当する、波長の1/8程度なら大小関係の入れ替わりはほとんど無く、同じ傾向が維持されると考えられるからである。管内波長λgはλg=λ0/√(1−(λ0/(2×a))^2)であり、自由空間の波長λ0は前述の通り120〜125mm、本実施の形態の導波管の幅a=100mmとした場合、管内波長λgは150mm(2.5GHz)から160mm(2.4GHz)となり、その1/8は、18.75〜20mmである。よって伝送方向に管内波長λgの略1/2というのは、丁度管内波長λgの1/2(≒75〜80mm)を基準として、管内波長λgの1/8のさらに1/2のずれまでを許容範囲とする。具体的には、ずれの許容範囲は9.375〜10mmである。よってずれの許容範囲を考慮すると、管内波長λgの1/2は、最小65mm〜最大90mmとなる。
なお、本実施の形態のように導波管の伝送方向に関する開口間の距離を論じる場合、特に断りが無い場合はそれぞれの開口のセンターを導波管壁面に沿って結ぶ直線距離のうちの伝送方向成分のみを考えるものとし、センターの位置は開口の重心位置とする。
なお、本実施の形態では、図2のように両端の開口105a,105dを管内定在波の腹位置として説明したが、それに限定されるものではない。ただし、腹位置とするほうがより多くのマイクロ波を放射しやすい傾向があるので、開口が密集する中央と比較して外側にある両端の開口105a,105dを腹位置としてマイクロ波を出やすくしておく方が庫内全体の分布は均一になりやすい効果がある。
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。図10(a)は上から見た断面図、図10(b)は正面から見た断面図である。前述の実施の形態と同等の構成や機能については、発明のポイントでないものは説明を省略する。
マグネトロン201から放射されたマイクロ波を加熱室202に導くL字状に曲げられた導波管203と、導波管203内のマイクロ波を加熱室202内に放射するマイクロ波放射部として導波管203の上面に設けた開口204,205,206,207と、食品(図示せず)を載置する載置台208とを有している。空間209は、開口204と載置台208との間に一定の距離を確保するために加熱室202の底面210の中央部分を下方に突出させ、載置台208を空間209の上部にパテやパッキン等を使って固着することにより、開口204,205,206,207が露出しないように塞いでいる。このとき、載置台208は底面210より幾分小さい。開口204,205,206,207は導波管203の幅方向の中央(管軸)211にかからず、管軸211からみて片側にのみ配置する構成である。これにより開口204,205,206,207は、加熱室202の底面210および載置台208の前後方向に対して対称な配置となる。また開口204,205,206,207は伝送方向には少しずつピッチが異なる構成とし、P1とP3は管内波長λg/3より少し大きくし、P2は管内波長λg/3より少し小さくしている。このピッチの微調整の効果については、別の実施の形態の説明の中で後述する。また管内定在波を安定させるため、導波管の終端部212から管内波長の略3/2だけ離れた位置に定在波安定手段213を有することで管内定在波の節を固定する構成であり、開口204,205,206,207の中央と、導波管の終端部212と定在波安定手段213の中央が、それぞれ加熱室202の底面210および載置台208の左右方向の中心線214に一致するように接続している。これにより開口204,205,206,207は、加熱室202の底面210および載置台208の左右方向に対しても対称な配置となる。
開口204,205,206,207は、長孔を交差させたX字状の形状により円偏波
を放射できる開口とし、導波管203のセンターである管軸211にはかからないように配置している。
(実施の形態3)
図11は、本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部を示す関係説明図、図12は、本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部の課題を説明するための本実施の形態3を用いない場合の被加熱物載置における課題説明図、図13は、本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置の加熱室へ被加熱物を載置した時の関係説明図である。
以下、その動作、作用を説明する。なお、図面において、(実施の形態1)〜(実施の形態2)と同一動作を示す部分は同一番号を付与している。また、(実施の形態3)における基本的な動作は(実施の形態1)〜(実施の形態2)と同様である。
本実施の形態においては、図11(c)に示すように、マイクロ波放射部301の開口部を加熱室の左右方向の対称軸601と交差しない位置に設けている。図11(c)を見れば明らかなように導波管壁電流は対称軸601と管軸901の交点に最も集中した状態となっている。一方で、一般にマイクロ波加熱装置では、マイクロ波の加熱室内分布が比較的良好になり易い加熱室の中心に被加熱物を載置することが推奨される。ここで図12(c)のようにマイクロ波放射部301と対称軸601が交差している場合、導波管壁電流が最も集中している加熱室の中央は単に加熱集中が起こり易いだけでなく、導波管306を伝送するマイクロ波が開口部を通して放射された後、マイクロ波放射部301から最も近い距離で被加熱物302に直接当たることになる。この状況で、じゃがいものような小さな塊状の被加熱物302が載置される場合、被加熱物302の下部に加熱が集中し過加熱が発生し易くなってしまうことになる。
この状況を回避するためには図11(c)に示すマイクロ波放射部配置が有効である。図11(c)のように、マイクロ波放射部301の開口部を対称軸601と交差しない位置に設ける配置とすれば、導波管壁電流が最も集中する加熱室中央に、じゃがいものような小さい塊状の被加熱物302が載置されても、導波管306を伝送するマイクロ波が、マイクロ波放射部301から最も近い距離で被加熱物302に直接放射される状況を回避でき、被加熱物302の下部に加熱が集中し過加熱となる状況を防ぐことができる(図13)。
以上のように、本実施の形態においては、マイクロ波放射部301を構成する開口部を対称軸601と交差しない位置に設けることにより、加熱室の中央部に載置された小さい塊状の被加熱物302の下部へのマイクロ波の直接放射を防ぐことができる。
なお、導波管306内の定在波を安定させるために、導波管306内に(実施の形態1,2)で説明したような定在波安定手段を配置してもよい。
なお、マイクロ波放射部301を閉塞した状態で、導波管306の導波管軸方向における電界分布を測定することで導波管306内の定在波状態を特定し、得られた定在波位置に合うように対称軸601を設定すれば、実験的に対称軸601を設定することもできる。
また、マイクロ波加熱装置において、被加熱物302の載置位置として推奨され易い加熱室の中央における加熱効率を向上できるように、加熱室中央に加熱基準としたい負荷量の被加熱物302(例えば直径19センチの円柱容器に入れた1Lの水)を載置した状態で、導波管306内の電界分布を測定することで導波管306内の定在波状態を特定し、
得られた定在波位置に合うように対称軸601を設定すれば、加熱基準負荷に合わせた対称軸601を設定することもできる。
なお、加熱室の凹凸構造や使用者の載置利便性などから、被加熱物推奨載置位置を加熱室の中央としない場合、対称軸601はそれに合わせて加熱室の中心から外れた位置としてもよい。
(実施の形態4)
図14は、本発明の実施の形態4におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部を示す関係説明図、図15は、本発明の実施の形態4におけるマイクロ波放射部の電流遮断有効幅を説明する模式図である。
以下、その動作、作用を説明する。なお、図面において、(実施の形態1)〜(実施の形態3)と同一動作を示す部分は同一番号を付与している。また、(実施の形態4)における基本的な動作は(実施の形態1)〜(実施の形態3)と同様である。
本実施の形態においては、図14に示すように、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の開口部の幅を、対称軸601に隣接しないマイクロ波放射部301の前記開口部の幅よりも大きく設定している。
マイクロ波放射部301の開口部が管壁電流を遮ることで電界303が発生し、開口下の磁界(導波管壁電流は磁界に直交する方向に流れる)に垂直なマイクロ波放射方向に、マイクロ波放射部301の開口を通してマイクロ波が放射される。
したがって、開口部の幅を図15(a)から図15(b)のように大きくすると、管壁電流を遮るための電流遮断有効幅b1502は、電流遮断有効幅a1501よりも狭くなることになるため、管壁電流を遮ることを基点して発生する電界の発生が抑制され、マイクロ波放射部301からのマイクロ波放射が抑制されることになる。
この原理を、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の開口部の幅に適用し、対称軸601に隣接しないマイクロ波放射部301の開口部の幅よりも大きく設定することにより、マイクロ波放射部301から放射されるマイクロ波の量を抑えて、加熱室の中央部に載置されたじゃがいものような小さい塊状の被加熱物302の下部へのマイクロ波集中を緩和することが可能となる。
以上のように、本実施の形態においては、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の開口部の幅を、対称軸601に隣接しないマイクロ波放射部301の開口部の幅よりも大きく設定することにより、マイクロ波放射部301から放射されるマイクロ波の量を抑えて、加熱室の中央部に載置されたじゃがいものような小さい塊状の被加熱物302の下部へのマイクロ波集中を緩和することができる。
なお、導波管306内の定在波を安定させるために、導波管306内に(実施の形態1,2)で説明したような定在波安定手段を配置してもよい。
なお、マイクロ波放射部301を閉塞した状態で、導波管306の導波管軸方向における電界分布を測定することで導波管306内の定在波状態を特定し、得られた定在波位置に合うように対称軸601を設定すれば、実験的に対称軸601を設定することもできる。
また、マイクロ波加熱装置において、被加熱物302の載置位置として推奨され易い加
熱室の中央における加熱効率を向上できるように、加熱室中央に加熱基準としたい負荷量の被加熱物302(例えば直径19センチの円柱容器に入れた1Lの水)を載置した状態で、導波管306内の電界分布を測定することで導波管306内の定在波状態を特定し、得られた定在波位置に合うように対称軸601を設定すれば、加熱基準負荷に合わせた対称軸601を設定することもできる。
なお、加熱室の凹凸構造や使用者の載置利便性などから、被加熱物推奨載置位置を加熱室の中央としない場合、対称軸601はそれに合わせて加熱室の中心から外れた位置としてもよい。
なお、実験上、開口幅拡大の効果は10%程度大きくすることで、実調理結果として目に見える効果が確認できるため、幅拡大は10%以上を目安とするとよい。
なお、このように対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の開口部の幅を、対称軸601に隣接しないマイクロ波放射部301の開口部の幅よりも大きく設定することで、小さい塊状の被加熱物302の下部へのマイクロ波集中を抑える方法は、加熱室中央付近の開口部面積を拡げることに繋がるため、小負荷への加熱集中を抑えるだけでなく、加熱室中央に置いた負荷の大きい被加熱物302(例えば直径19センチの円柱容器に入れた1Lの水)への効率を高める効果もあることは言うまでもない。
(実施の形態5)
図16は、本発明の実施の形態5におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部を示す関係説明図である。以下、その動作、作用を説明する。なお、図面において、(実施の形態1)〜(実施の形態4)と同一動作を示す部分は同一番号を付与している。また、(実施の形態5)における基本的な動作は(実施の形態1)〜(実施の形態4)と同様である。
本実施の形態においては、図16に示すように、マイクロ波放射部301を均等配置した時(図16(b))、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の配置間隔が管内波長の4分の1(λg/4)より大きい場合に(図16(a)および(b))、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の間隔を均等配置間隔よりも狭く設定している(図16(c))。このようにマイクロ波放射部301の間隔を狭くすることで、図16(d)のように加熱室中央にじゃがいものような小さい塊状の被加熱物302が載置された場合の被加熱物302下部への加熱集中を緩和することが出来る。この加熱集中緩和理由については図17、図18を用いて説明を行う。
図17(a)は図16(c)と同じ図であり、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の間隔を均等配置間隔よりも狭く設定した状態を示している。この間隔を狭くした4つの隣接したマイクロ波放射部301は、図17(b)および図17(c)に示すように斜めに配置した2つのマイクロ波放射部に分解できる。そして、この斜めに配置されたマイクロ波放射部は、一般的に知られている方向性結合器における開口配置と同様の配置となっている。ここでは、被加熱物302下部への加熱集中を緩和できることを説明することが目的であるので、説明を簡単にするため、方向性結合器の原理については、図18(g)に示すような上下に並んだ第1の導波管1801と第2の導波管1802を第1のマイクロ波放射部1803と第2のマイクロ波放射部1804で接続する単純な構成を用いて基本的な考え方を説明することとする。
図18において、1801は第1の導波管、1802は第2の導波管、1803は第1のマイクロ波放射部、1804は第2のマイクロ波放射部、1805は第1の導波管1801の入力部、1806は第1の導波管1802の出力部、1807、1808は第2の
導波管の出力部、1809は第1のマイクロ波放射部1803からマイクロ波が直接放射される放射位置、1810は第2のマイクロ波放射部1804から放射されたマイクロ波が第2の導波管の出力部1807へ向けて進行しマイクロ波放射部1803への到達する到達位置、1811は第2のマイクロ波放射部1804からマイクロ波が直接放射される放射位置、1810は第2のマイクロ波放射部1804から放射されたマイクロ波が第2の導波管の出力部1808へ向けて進行しマイクロ波放射部1804へ到達する到達位置である。
ここで、図18(a)は放射位置1809におけるマイクロ波波形、図18(b)は到達位置1810におけるマイクロ波波形、図18(c)は図18(a)と図18(b)の合成波形で振幅は0となる。これは、第2のマイクロ波放射部1804から放射されたマイクロ波が到達位置1810へ到達する迄に、第1のマイクロ波放射部1803から第2のマイクロ波放射部1804への距離(λg/4)を行き来することから半波長(λg/2)分の位相がずれて合成されるためである。なお、この合成波形は第1のマイクロ波出力部直上の出力を表すことになる。
また、図18(d)は放射位置1811におけるマイクロ波波形、図18(e)は到達位置1812におけるマイクロ波波形、図18(f)は図18(d)と図18(e)の合成波形で振幅は図18(d)および図18(e)の2倍となる。これは、第1のマイクロ波放射部1803から放射されたマイクロ波が到達位置1812へ到達する迄の移動距離が同じであり同位相で合成されるためである。なお、この合成波形は第2のマイクロ波出力部直上の出力を表すことになる。
図18(c)、図18(f)、図18(g)を見れば、マイクロ波放射部を方向性結合性のある配置とすることで、マイクロ波放射部からの出力は方向性をもって2つのマイクロ波放射部に挟まれた領域の外側へ向かって放射されることが分かる。
次に第1のマイクロ波放射部1803と第2のマイクロ波放射部1804に挟まれた領域における振幅について図19を用いて説明する。図19において1901は第1のマイクロ波放射部1803と第2のマイクロ波放射部1804の中点である。図19(a)は第1のマイクロ波放射部1803から放射されたマイクロ波が第2の導波管1802の出力部1808へ向けて進行し中点1901へ到達した時のマイクロ波波形、図19(b)は第2のマイクロ波放射部1804から放射されたマイクロ波が第2の導波管1802の出力部1807へ向けて進行し中点1901へ到達した時のマイクロ波波形、図19(c)は図19(a)および図19(b)の合成波形である。合成された波の振幅は図19(a)および図19(b)の単独の振幅より大きく方向性結合後の2倍の振幅よりも小さくなる。
したがって、方向性結合する開口配置の場合は、第1のマイクロ波放射部1803と第2のマイクロ波放射部1804に挟まれた領域の外側に放射方向が拡げられる上に、挟まれた領域の合成振幅もやや弱くなるため、2つのマイクロ波放射部の間に、じゃがいものような小さい塊状の被加熱物が置かれた際、下部へのマイクロ波集中を緩和することが可能となる。
なお、現実のマイクロ波加熱装置では、第1の導波管1801のマイクロ波放射部から放射される先は、第2の導波管1802ではなく広い空間を備えた加熱室であり、この空間を伝搬するマイクロ波の波長は導波管の管内波長ではなく、マイクロ波発生手段の発振波長となるため、管内波長の4分の1波長の距離を置いても理想的な方向性結合状態にはならない。また、マイクロ波放射部301の間隔もマイクロ波放射部301の大きさの制約により、4分の1波長まで近づけることができない場合も発生する。しかしながらこう
いった場合でも、マイクロ波放射部の間隔を対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の間隔を均等配置間隔よりも、4分の1波長にできる限り近づけるよう狭く設定した状態とすることで、図16(d)のように加熱室中央にじゃがいものような小さい塊状の被加熱物302が載置した際に、被加熱物302下部への加熱集中を緩和できることが実験的にも確認できている。
以上のように、本実施の形態においては、マイクロ波放射部301を均等配置した時、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の間隔が管内波長の4分の1(λg/4)より大きい場合は、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の間隔を均等配置間隔よりも狭くすることにより、マイクロ波放射部301からのマイクロ波放射方向を変更し、加熱室の中央部に載置された小さい塊状の被加熱物302の下部へのマイクロ波集中を緩和することができる。
なお、導波管306内の定在波を安定させるために、導波管306内に(実施の形態1,2)で説明したような定在波安定手段を配置してもよい。
なお、マイクロ波放射部301を閉塞した状態で、導波管306の導波管軸方向における電界分布を測定することで導波管306内の定在波状態を特定し、得られた定在波位置に合うように対称軸601を設定すれば、実験的に対称軸601を設定することもできる。
また、マイクロ波加熱装置において、被加熱物302の載置位置として推奨され易い加熱室の中央における加熱効率を向上できるように、加熱室中央に加熱基準としたい負荷量の被加熱物302(例えば直径19センチの円柱容器に入れた1Lの水)を載置した状態で、導波管306内の電界分布を測定することで導波管306内の定在波状態を特定し、得られた定在波位置に合うように対称軸601を設定すれば、加熱基準負荷に合わせた対称軸601を設定することもできる。
なお、加熱室の凹凸構造や使用者の載置利便性などから、被加熱物推奨載置位置を加熱室の中央としない場合、対称軸601はそれに合わせて加熱室の中心から外れた位置としてもよい。
なお、このように、対称軸601に隣接するマイクロ波放射部301の間隔を均等配置間隔よりも狭くすることにより、マイクロ波放射部301からのマイクロ波放射方向を変更し、加熱室の中央部に載置された小さい塊状の被加熱物302の下部へのマイクロ波集中を緩和する方法は、加熱室中央付近の開口部面積を同一にできるため、小負荷への加熱集中を抑えるだけでなく、加熱室中央に置いた負荷の大きい被加熱物302(例えば直径19センチの円柱容器に入れた1Lの水)への効率を維持する効果もあることは言うまでもない。
(実施の形態6)
図20は、本発明の実施の形態6におけるマイクロ波加熱装置の開口形状を説明する模式図である。
特に、マイクロ波放射部として円偏波を放射する開口の形状について、少なくとも2本以上のスリットにより構成される開口について述べる。開口411〜417のように、2本以上のスリットにより構成されており、このうちの少なくとも1本のスリットの長辺をマイクロ波の伝送方向(矢線418)に対して傾いた形状となっていれば良い。よって、開口415および開口416のように交差していない形状や、開口414のように3本のスリットにより構成されている形状でも良い。
なお、2本のスリットにより構成されている開口の最良な形状の条件としては以下の3点が挙げられる。
1点目は、各スリットの長辺の長さは導波管419内の管内波長λgの約1/4以上であることである。
2点目は、2本のスリットはお互いに直交していることおよび伝送方向418に対して各スリットの長辺が45°傾いていることである。
3点目は、導波管419の伝送方向418に平行かつ開口の中心を通る直線を軸として考えた時に、電界の分布が軸対称とならないことである。例えば、TE10モードでマイクロ波を伝送している場合においては、導波管419の幅方向420の中心線となる管軸421を対称軸として電界が対称に分布しているので、開口の形状が管軸421に対して軸対称とならないように(すなわち開口の中心が管軸421上にこないように)配置することが最良の条件となる。
また、図20には長孔が直交するものばかりを示したが、長孔を直交させずに傾斜させて構成することによりX字が押しつぶされたような形状とした場合でも、真円から変形し楕円となるものの、円偏波を放射することができる。
また、図20の開口413のようなL字型、開口415のようなT字型の構成にすることで、特許文献2のように離して配置するときにも応用できる可能性がある。特許文献2によれば図22(b)のように、二つのスリットは直交関係でなくても30度程度なら傾けても良いとも示されている。
また、長孔とは言うものの、長方形に限定されるものではない。開口のコーナー部にRをつけるとか楕円状にするなどしても円偏波を発生することも可能である。基本的な円偏波開口の考え方としては、一方向に長めでその直角方向には短めである長細い形状のものを二つ組み合わせればよいと推察される。
以上のように、本発明のマイクロ波加熱装置は、マイクロ波を被加熱物に均一に照射することができるので、食品の加熱加工や殺菌などを行うマイクロ波加熱装置などに有効に利用することができる。
101 電子レンジ(マイクロ波加熱装置)
102,128,202 加熱室
103,201 マグネトロン(マイクロ波発生手段)
104,130,203,306,419 導波管
105a 第一の開口(マイクロ波放射部)
105b 第二の開口(マイクロ波放射部)
105c 第三の開口(マイクロ波放射部)
105d 第四の開口(マイクロ波放射部)
108,211,421,901 幅方向の中央(管軸)
111,131,212 終端部
112a 第一の定在波安定手段
112b 第二の定在波安定手段
112c 第三の定在波安定手段
129,139a,139b,204,205,206,207,301,411,412,413,414,415,416,417 開口(マイクロ波放射部)
134,135,136,213 定在波安定手段
302 被加熱物

Claims (9)

  1. 被加熱物を収納する加熱室と、
    マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段と、
    マイクロ波を伝送する導波管と、
    前記導波管から前記加熱室内にマイクロ波を放射する複数のマイクロ波放射部とを有し、前記導波管内には定在波を生じ、前記複数のマイクロ波放射部は、前記導波管の伝送方向に管内波長の1/4を超えて1/2に満たない間隔で配置し、隣接する前記複数のマイクロ波放射部に対向する定在波が逆位相の関係にならないよう構成し
    前記導波管内の定在波位置を安定させるための定在波安定手段を有し、
    前記定在波安定手段は複数とし、伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置し、
    伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置した少なくとも二つの定在波安定手段(導波管の終端部側から数えて第一の定在波安定手段、第二の定在波安定手段)と、伝送方向に管内波長の略1/3の間隔で配置した少なくとも四つのマイクロ波放射部(導波管の終端部側から数えて第一のマイクロ波放射部、第二のマイクロ波放射部、第三のマイクロ波放射部、第四のマイクロ波放射部)を有し、第一の定在波安定手段と第二の定在波安定手段の間に第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部を配置する構成としたマイクロ波加熱装置。
  2. 複数のマイクロ波放射部は、伝送方向に管内波長の略1/3の間隔で配置する構成とした請求項1記載のマイクロ波加熱装置。
  3. 定在波安定手段は、導波管内に定在波の節を生じさせる構成とし、導波管の終端部まで伝送方向に管内波長の略1/2の整数倍の距離に配置する構成とした請求項1または2記載のマイクロ波加熱装置。
  4. 第二の定在波安定手段から伝送方向に管内波長の略1/2の間隔で配置した第三の定在波安定手段を有し、導波管の終端部と第一の定在波安定手段との間に第一のマイクロ波放射部を配置し、第二の定在波安定手段と第三の定在波安定手段の間に第四のマイクロ波放射部を配置する構成とした請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
  5. 第一のマイクロ波放射部と第四のマイクロ波放射部を管内定在波の略腹の位置に配置し、
    第二のマイクロ波放射部と第三のマイクロ波放射部を管内定在波の腹にも節にもならない位置に配置する構成とした請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
  6. 複数のマイクロ波放射部は、導波管の幅方向の中央(管軸)にかからない開口で構成し、管軸の少なくとも片側に配置する構成とした請求項ないしのいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
  7. 複数のマイクロ波放射部は、管軸の両側に対称に配置する構成とした請求項記載のマイクロ波加熱装置。
  8. マイクロ波放射部は、円偏波を放射する構成とした請求項ないしのいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
  9. 円偏波を放射するマイクロ波放射部は、二つの長孔が交差する略X字状の構成とした請求項記載のマイクロ波加熱装置。
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