JP2014089942A - マイクロ波加熱装置 - Google Patents

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昌之 久保
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Tomotaka Nobue
等隆 信江
Yoshiharu Omori
義治 大森
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    • H05B6/72Radiators or antennas
    • H05B6/725Rotatable antennas

Abstract

【課題】マイクロ波攪拌のための駆動部を用いない簡易的な構造で、被加熱物の加熱調理において、被加熱物の加熱分布を均一化するマイクロ波加熱装置を提供する。
【解決手段】導波手段201に複数配置される第一のマイクロ波放射部220と、マイクロ波発生手段202に最も近い進行波が支配的な領域に配置される第二のマイクロ波放射部221と、第二のマイクロ波放射部221が、単一に配置されるまたは、伝送及び電界方向に直交する方向に3以上の奇数で配置されることにより、進行波領域において偶数個のマイクロ波放射部が伝送及び電界に直交する方向に配置された場合に発生する各マイクロ波放射部からのマイクロ波放射の干渉による強電界領域の発生を低減及び抑制することができ、被加熱物の加熱分布をより均一化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、被加熱物にマイクロ波を放射して誘電加熱する電子レンジ等のマイクロ波加熱装置に関し、特にマイクロ波放射部の配置位置に特徴を有するマイクロ波加熱装置に関するものである。
マイクロ波により対象物を加熱処理するマイクロ波加熱装置の代表的な装置としては、電子レンジがある。電子レンジにおいては、マグネトロンなどのマイクロ波発生器において発生したマイクロ波が金属製の加熱室の内部に放射され、加熱室内部の被加熱物が放射されたマイクロ波により誘電加熱される。
従来の電子レンジにおけるマイクロ波発生器としては、マグネトロンが用いられている。マグネトロンにより生成されたマイクロ波は、導波管を介して加熱室内部に放射される。加熱室内部におけるマイクロ波の電磁界分布が不均一であると、被加熱物を均一にマイクロ波加熱することができない。
被加熱物を均一に加熱する手段として、被加熱物を載置するテーブルを回転させて被加熱物を回転させる構成、被加熱物を固定してマイクロ波を放射するアンテナを回転させる構成、または位相器によってマイクロ波発生器から発生するマイクロ波の位相を変化させる構成など、何らかの駆動部を用いて被加熱物に放射されるマイクロ波の向きを変えながら加熱して、均一化を図る方法が一般的であった。
一方、構成を簡単にするために駆動部を持たずに均一加熱する方法が期待されており、時間的に電界の偏波面が回転する円偏波を利用する方法が提案されている。本来、誘電加熱は誘電損失を有する被加熱物をマイクロ波の電界によって加熱する原理に基づくため、電界が回転することは均一化に効果があるものと考えられる。
例えば、具体的な円偏波の発生方法としては、特許文献1には図12のように導波管1上で交差するX字型の円偏波開口2を用いる方式が示され、特許文献2には図13のように導波管1上で直交する向きの二つの長孔の開口1301を対向させつつも離して配置する方法が示され、特許文献3には図14のように導波管1に結合させたパッチアンテナ1401の平面形状に切り欠き1402を設ける方法が記載されている。
例えば、従来のマイクロ波加熱装置では、導波管内部に回転アンテナ、アンテナシャフトなどが配置されており、アンテナモータによって回転アンテナを回転させながらマグネトロンを駆動することで、加熱室内のマイクロ波分布の不均一さを低減している。
また、特許文献1に記載されているように、マグネトロンの上部に回転可能なアンテナを設け、該回転アンテナの羽根に送風ファンからの冷却風をあてることにより、該送風ファンの風力でアンテナを回転させ、加熱室内のマイクロ波分布を変化させているマイクロ波加熱装置が提案されている。
一方、位相器を有する例として、マイクロ波加熱による被加熱物の加熱むらの低減と共にコストダウンおよび給電部の省スペース化を図った特許文献2に記載されているように、加熱室内部に円偏波を放射する単一のマイクロ波放射部を有したマイクロ波加熱装置が提案されている。
米国特許第4301347号明細書 特許第3510523号公報 特開2005−235772号公報
しかしながら、前記従来の構成の電子レンジのようなマイクロ波加熱装置では、なるべく簡易的な構造で、被加熱物を効率良く、ムラ無く加熱することが求められているが、これまで提案されていた構成では下記の問題があった。
なお、マイクロ波加熱装置、特に電子レンジは、高出力化の技術開発が進み、日本国内では定格高周波出力1000Wの製品が商品化されており、熱伝導によって食品を加熱するのではなく、誘電加熱を用いて直接食品を加熱するため、加熱むらが未解決の中での高出力化は加熱むらの問題をより顕在化させることになる。
前記従来の駆動部を有するマイクロ波加熱装置が抱える構造上の問題としては、下記の3点が挙げられる。1点目は、加熱むらを低減するためにテーブルまたはアンテナを回転させる機構を必要としており、このため回転スペースおよびテーブルまたはアンテナを回転させるモータなどの設置スペースを確保しなければならず、マイクロ波加熱装置の小型化を阻害していたことである。2点目は、テーブルまたはアンテナを安定的に回転させるために、該回転アンテナを加熱室の上部または下部に設ける必要があり、構造が制限されていたことである。3点目は、水蒸気加熱や熱風加熱などの種々の加熱機能を有する電子レンジの登場により、電子レンジの筐体内部に多くの構成部品が必要となることおよび、筐体内部の制御部品などの発熱量が多いため、十分な冷却性能を実現するために冷却用の風路を確保する必要となり、導波手段およびマイクロ波放射部の設置位置が制限されるため、加熱室内のマイクロ波分布が不均一になってしまうことである。
さらに、マイクロ波加熱装置におけるマイクロ波照射室であるアプリケータ内にテーブルまたは位相器の回転機構などを設置することは、マイクロ波による放電現象を引き起こし、信頼性を下げる。よって、これら機構を不要とするマイクロ波加熱装置が要求されている。
次に、前記従来の円偏波を利用したマイクロ波加熱装置は、特許文献1〜3のいずれの場合においても、駆動部を無しにできるほどの均一効果はないという問題があった。いずれの特許文献も、円偏波と駆動部の相乗効果で従来の駆動部のみよりも均一になるということを記載しているに過ぎない。
具体的には、特許文献1では図12のように導波管1の終端に位相シフター1201と呼ばれる回転体を有し、特許文献2では被加熱物を回転させるターンテーブル(図示せず)を有し、特許文献3では、図14のようにターンテーブル1403に加えてパッチアンテナ1401をも回転させて攪拌機として利用する構成を記載している。いずれも円偏波を用いれば駆動部無しにできるとは記載されていない。これは、もし円偏波で駆動部を無しにすると、一般的な駆動部を有した構成(たとえばテーブルを回転させる、アンテナを回転させるなどの構成)に比べて均一加熱性が劣るためである。
均一加熱性を向上させるための手段として、マイクロ波放射部を導波手段の伝送方向と伝送方向及び電界方向に直交する方向に複数配置することがある。前述のように、マイクロ波放射部を複数配置することで加熱室内への伝送方向、伝送方向及び電界方向に直交す
る方向それぞれに対してマイクロ波放射範囲を拡げることが出来ることから、加熱室内への均一なマイクロ波放射ができる。
しかし、マイクロ波放射部を導波手段の中でマイクロ波発生手段から伝送されたマイクロ波の進行波が支配的な領域において、導波手段の伝送方向及び電界方向に直交する方向にマイクロ波放射部が複数配置された場合、放射されるマイクロ波は指向性が強くなり、特に偶数個のマイクロ波放射部が配置された場合、それぞれのマイクロ波放射部から放射されたマイクロ波が干渉によって強めあい、マイクロ波放射部間の中心付近に伝送方向と反対方向に電界の強い領域が形成される。この強電界領域によって、被加熱物が局所的に過加熱となるなど、加熱むらが顕著になり、例えば、被加熱物の底面が焦げる等の調理性能悪化を引き起こす。
本発明は前記課題を解決するものであり、被加熱物を均一に加熱できるマイクロ波加熱装置を提供することを目的とする。特に、図12や図13のように導波管1の開口から円偏波を放射する場合、マイクロ波発生手段から伝送されるマイクロ波の進行波が支配的な領域において、導波管1のマイクロ波の伝送方向および電界方向に直交する方向に偶数個配置された場合の第二のマイクロ波放射部からのマイクロ波放射で発生する干渉を抑えるために、第二のマイクロ波放射部の数を単一または3以上の奇数個のマイクロ波放射部とする。マイクロ波放射部が単一に配置される場合、導波管におけるマイクロ波の伝送方向および電界方向に直交する方向へのマイクロ波放射をより強めるために、マイクロ波放射部の形状を変更する等の方法もある。上記の構成により、加熱室内のマイクロ波分布の均一化を図り、被加熱物の均一加熱できるようにすることを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段と、マイクロ波を伝送する導波手段と、前記加熱室内にマイクロ波を放射するマイクロ波放射部と、前記マイクロ波放射部が前記導波手段の伝送方向と伝送及び電界方向に直交する方向のそれぞれに複数個配置される第一のマイクロ波放射部と、前記第一のマイクロ波放射部より前記マイクロ波発生手段に近い領域に配置される第二のマイクロ波放射部と、前記第二のマイクロ波放射部が単一に配置されるマイクロ波放射部、または前記導波手段の伝送及び電界方向に直交する方向に3以上の奇数個で配置されるマイクロ波放射部である構成としている。
上記構成により、マイクロ波の進行波が支配的な領域で導波手段の伝送及び電界方向に直交するように偶数個配置された各マイクロ波放射手段から放射されるマイクロ波によるマイクロ波の干渉を抑えて、伝送方向と反対方向に発生する強電界領域を抑制することが可能となる。
また、第二のマイクロ波放射部が単一の場合でも、マイクロ波発生手段に最も近い位置に配置されるほどマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波が強くなるため、マイクロ波放射部を偶数個配置した場合に発生するマイクロ波の干渉による強電界領域をなくすことができると同時に均一加熱性の確保も可能である。
さらに、第二のマイクロ波放射部が3以上の奇数個で配置される場合において、中央に位置するマイクロ波放射部が導波手段の管軸上に配置されることにより、マイクロ波の干渉による強電界領域の発生が抑制され、過加熱領域を減少させることで、被加熱物の加熱均一化を図ることが出来る。
また、マイクロ波放射部の少なくとも1つが、少なくとも1つの長孔で構成され、前記長孔を有している前記マイクロ波放射部において、長孔の長手方向と前記導波手段の管軸
の交差角度により、マイクロ波放射部から加熱室内に放射されるマイクロ波の広がる方向が変化する。
なお、本発明において、長孔の長手方向と前記導波手段の管軸の交差角度とは、長孔の長手方向と前記導波手段の管軸によって形成される角度の中で、最も小さい角度のことを意味する。
特に、長孔の長手方向と前記導波手段の管軸の交差角度が45°より小さい場合、導波手段の伝送及び電界方向に直交する方向に指向性を持ったマイクロ波を放射し、長孔の長手方向と前記導波手段の管軸の交差角度が45°より大きい場合、導波手段の伝送方向及び伝送方向と反対方向に指向性を持ったマイクロ波を放射する。
これを利用することで、マイクロ波放射部からの導波手段に対してマイクロ波の伝送及び電界方向に直交する方向へのマイクロ波放射が強くなり、より加熱の均一化をはかることができる。
さらに、マイクロ波の進行波が支配的な領域で導波手段の伝送及び電界方向に直交するように配置された、少なくとも1つの長孔を有しているマイクロ波放射部において、少なくとも1つの長孔の長手方向の長さを、第一のマイクロ波放射部の長さより第二のマイクロ波放射部の長さの方を長くすることにより、マイクロ波放射部からの干渉による伝送方向の反対方向に発生する強電界領域を抑制すると同時に、前記第二のマイクロ波放射部からの伝送及び電界方向に直交する方向へのマイクロ波放射を強めることができ、被加熱物のより均一な加熱が可能となるマイクロ波加熱装置を実現することが出来る。
また、円偏波を放射するマイクロ波放射部を配置することにより、マイクロ波放射部から円偏波の特徴である広がりを持ったマイクロ波が放射され、被加熱物へのマイクロ波の放射をより広い範囲で均一化することができる。特に、円偏波によるマイクロ波加熱は、周方向に対しての均一加熱が期待できる。
さらに、円偏波を放射するマイクロ波放射部を2本以上の長孔により構成される単純な形状とすることにより、被加熱物の均一加熱だけではなく、駆動部のない簡易な構成で信頼性の向上および給電部の小型化を実現することができる。
本発明は、各マイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の干渉によって導波手段の伝送方向と反対方向に発生する強電界領域を減らすことが可能となり、均一加熱できるマイクロ波加熱装置を実現できる。
また、少なくとも1つの長孔を有しているマイクロ波放射部で、長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度が、45°より小さい構成とすることにより、導波手段の伝送方向だけでなく、特に伝送及び電界方向に直交する方向にそれぞれマイクロ波をより放射することが可能となり、被加熱物の均一加熱性を向上できる。
さらに、第二のマイクロ波放射部が単一の場合の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さが、第一のマイクロ波放射部を構成するマイクロ波放射部の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さよりも長いことにより、マイクロ波放射による干渉をなくし、強電界領域を抑制することが出来ると同時に、マイクロ波の伝送及び電界方向と直行する方向へのマイクロ波放射をより強くすることができ、被加熱物のより均一な加熱が可能となるマイクロ波加熱装置を実現することが出来る。
加えて、円偏波を放射するマイクロ波放射部を配置することにより、マイクロ波放射部から円偏波の特徴である広がりを持ったマイクロ波が放射され、被加熱物へのマイクロ波の放射をより広い範囲で均一化することができる。特に、円偏波によるマイクロ波加熱は、周方向に対しての均一加熱が期待できる。
さらに、円偏波を放射するマイクロ波放射部を2本以上の長孔により構成される単純な形状とすることにより、被加熱物の均一加熱だけではなく、駆動部のない簡易な構成で信頼性の向上および給電部の小型化を実現することができる。
本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の斜視図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部の上面図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の導波手段を説明する斜視図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の導波手段内の電界と磁界と電流の関係説明図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部と干渉による強電界領域の説明図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の第二のマイクロ波放射部の単一の形状及び配置に関する説明図 本発明の実施の形態2におけるマイクロ波加熱装置の第二のマイクロ波放射部の3以上の奇数個配置の場合における上面図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置の2つの長孔の長手方向と管軸の交差角度を変更したマイクロ波放射部の上面図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の指向性の関係説明図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部形状の説明図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置のマイクロ波放射部別形状の説明図 従来のX字型の開口で円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図 従来の直交する二つの長孔で円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図 従来のパッチアンテナで円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図
第1の発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段と、マイクロ波を伝送する導波手段と、前記加熱室内にマイクロ波を放射するマイクロ波放射部と、前記マイクロ波放射部が前記導波手段の伝送方向と伝送及び電界方向に直交する方向のそれぞれに複数個配置される第一のマイクロ波放射部と、前記第一のマイクロ波放射部より前記マイクロ波発生手段に近い領域に配置される第二のマイクロ波放射部と、前記第二のマイクロ波放射部が単一に配置されるマイクロ波放射部、または前記導波手段の伝送及び電界方向に直交する方向に3以上の奇数個で配置されるマイクロ波放射部であることにより、マイクロ波の進行波が支配的な領域に、マイクロ波放射手段が偶数個配置された際に、各マイクロ波放射部から放射されたマイクロ波が干渉し、マイクロ波の伝送方向と反対方向に発生する強電界領域の発生を抑制することができ、被加熱物の過加熱領域を減らすことができ、加熱の均一化を可能となる。
第2の発明は、特に第1の発明のマイクロ波を伝送する導波手段が、TE10モードを
伝送する矩形導波管とすることで、前記矩形導波管の幅方向と長手方向に複数配置されるマイクロ波放射部は、加熱室において、前記矩形導波管の幅方向と長手方向にマイクロ波放射を拡げることができ、被加熱物の均一加熱が可能となる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の第二のマイクロ波放射部の単一に配置されるマイクロ波放射部が、円偏波を放射する構成とすることで、マイクロ波の干渉による強電界領域の発生を抑制すると同時に、円偏波放射部の中心から渦を巻くようにマイクロ波が放射されるので、円周方向に均一に加熱することができ、被加熱物のより均一に加熱することが可能となる。
第4の発明は、特に、第1または第2の発明における第二のマイクロ波放射部の単一に配置されるマイクロ波放射部が、直線偏波を放射する構成とすることで、マイクロ波の干渉による強電界領域の発生を抑制すると同時に、より加熱したい方向へ指向性を持たせることが可能なため、加熱を均一化することができ、被加熱物の均一加熱性の向上が可能となる。
第5の発明は、特に、第1または第2の発明における第二のマイクロ波放射部の3以上の奇数個で配置されるマイクロ波放射部の中で、中央に位置するマイクロ波放射部が導波手段の管軸上に配置される構成とすることにより、中央のマイクロ波放射部からのマイクロ波放射が、マイクロ波の干渉による強電界領域の発生を抑制し、過加熱領域を減少させることで、被加熱物の加熱均一化を図ることが出来る。
第6の発明は、特に、第1から第4のいずれか1つの発明におけるマイクロ波放射部の少なくとも1つが、少なくとも1つの長孔で構成され、前記マイクロ波放射部の少なくとも1つの長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度を45°より小さい構成とすることで、マイクロ波放射部からの、マイクロ波の伝送及び電界方向に直交する方向へのマイクロ波放射がより強くなり、より広い領域で加熱することが可能となるため、マイクロ波の干渉による強電界領域を抑制すると同時に、被加熱物の均一加熱性をさらに向上させることができる。
第7の発明は、特に、第1から第4のいずれか1つの発明におけるマイクロ波放射部の少なくとも1つが、少なくとも1つの長孔で構成され、単一に配置される第二のマイクロ波放射部の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さが、第一のマイクロ波放射部の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さよりも長い構成であることで、マイクロ波放射の干渉を抑えて、導波手段の伝送方向と反対方向に発生する強電界領域を抑制すると同時に、伝送方向と伝送及び電界方向に直交する方向に対してマイクロ波放射を広範囲に放射することが出来、被加熱物の均一加熱性を向上することができる。
第8の発明は、特に、第1から第7のいずれか1つの発明の円偏波を放射するマイクロ波放射部が、二つの長孔が交差する略X字状の構成としている。これにより、簡単な構成で確実に円偏波を放射することができる。
以下、本発明に係るマイクロ波加熱装置の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態のマイクロ波加熱装置においては電子レンジについて説明するが、電子レンジは例示であり、本発明のマイクロ波加熱装置は電子レンジに限定されるものではなく、誘電加熱を利用した加熱装置、生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置などのマイクロ波加熱装置を含むものである。また、本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
(実施の形態1)
図1〜図6は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。
図1はマイクロ波加熱装置の全体構成を示す斜視図である。図1において、マイクロ波放射部102、加熱室103、載置台104、ドア105によりマイクロ波加熱装置101が構成されている。図2は、円偏波を放射するマイクロ波放射部102の配置位置の説明図である。図2において、マイクロ波はマイクロ波発生手段202により発生し、導波手段201内を伝送され円偏波を放射するマイクロ波放射部102から放射される。また、終端部203で反射して導波手段201内で定在波を形成する。マイクロ波放射部102の長孔は、長孔の長手方向204、長孔の長手方向204と導波手段の管軸211の交差角度205、マイクロ波の伝送方向207、マイクロ波の伝送方向と反対方向208、伝送及び電界。図3は導波手段201の一つである矩形導波管301の概略図である。図4は導波手段201の伝送モードと電界、磁界及び電流や定在波について説明した図である。図5は、導波手段201においてマイクロ波の進行波が支配的な領域に配置された各マイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波の干渉により発生する強電界領域501の説明図である。図5(a)については、マイクロ波放射部周辺の電界強度の時間変化をコンター図で表しており、図5(b)はマイクロ波加熱装置101を導波手段の管軸211に沿った平面で鉛直方向にきった断面において、電界強度をコンター図で表現している。これらの結果は電磁界解析による結果である。解析条件としては、加熱室壁面の境界条件を吸収境界、マイクロ波放射部の数は8としている。図6は第二のマイクロ波放射部221が単一である場合の配置と形状についての概略図である。
代表的なマイクロ波加熱装置である電子レンジは、被加熱物(図示せず)を収納可能な加熱室103と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段202と、マイクロ波発生手段202から放射されたマイクロ波を加熱室103に導く導波手段201と、導波手段201のH面302に設けた導波手段201内のマイクロ波を加熱室103内に放射するマイクロ波放射部102を有している。
また、図1に示すように電子レンジは、マイクロ波放射部102の上部をカバーしつつ被加熱物を載置する載置台104と、被加熱物の出し入れのためのドア105を有する。ここで、載置台104は、ガラスやセラミックなどマイクロ波が透過しやすい材料で構成する。
なお、マイクロ波発生手段202にはマグネトロン、導波手段201には矩形導波管301、マイクロ波放射部102には導波手段201に設けた開口部を用いることで上記の構成を容易に実現できる。
最初にマイクロ波加熱装置の概略動作について説明を行なう。使用者により加熱室103内に被加熱物が置かれ、加熱開始指示が行われると、マイクロ波加熱装置は、マイクロ波発生手段202であるマグネトロンから導波手段201内にマイクロ波を供給し、加熱室103と導波手段201とを接続しているマイクロ波放射部102を通じて、加熱室103内にマイクロ波を放射することで、マイクロ波加熱装置は被加熱物の加熱を行う。
なお、本発明において、マイクロ波放射部102から放射され被加熱物を直接加熱するマイクロ波を直接波と呼び、加熱室103の内壁で反射したマイクロ波を反射波と呼ぶ。
次に、図3を用いて電子レンジに搭載される代表的な導波手段201である矩形導波管301について説明する。最も単純で一般的な導波手段201は、図3のように一定の長方形の断面(幅a×高さb)を伝送方向207に伸ばした直方体からなり、マイクロ波の波長をλとしたときに、導波管の幅a(マイクロ波の波長λ>a>λ/2)、高さb(<
λ/2)の範囲に選ぶことにより、TE10モードでマイクロ波を伝送することが知られている。
TE10モードとは、矩形導波管301内において導波管の伝送方向207には磁界402成分のみが存在して電界401成分のない、H波(TE波;電気的横波伝送 Transverse Electric Wave)における伝送モードのことを指す。なお、TE10モード以外の伝送モードがマイクロ波加熱装置101の導波手段201に適用されることは殆どない。
電子レンジでは波長λは約120mmであり、一般的には幅aを80〜100mm、高さbを15〜40mm程度に選ぶことが多い。
このとき、図3の上下の面を磁界402が平行に渦巻く面という意味でH面302と呼び、左右の面を電界401に平行な面という意味でE面303と呼ぶ。なお、マイクロ波が導波管内を伝送されるときの波長は、管内波長λgと表され、λg=λ/√(1−(λ/(2×a))^2)となり、幅a寸法によって変化するが、高さb寸法には無関係に決まる。
また、TE10モードでは、導波手段201の幅方向の両端(E面303)で電界401が0、幅方向の中央で電界401が最大となる。よって、マグネトロンは電界401が最大となる導波手段201の幅方向の中央に結合させる構成とする。
上述の通り、2.45GHz近辺の周波数を用いるマイクロ波加熱装置である電子レンジにおいて、TE10モードでマイクロ波を伝送する場合、導波管の幅aを80〜100mmとすることが多い。
しかしながら、導波手段201の伝送及び電界方向に直交する方向209における加熱室103の寸法は、導波管の幅a寸法より大きいことが多いため、マイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波を伝送及び電界方向に直交する方向209に広げなければ、均一加熱を実現することは困難である。
よって、マイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波を伝送及び電界方向に直交する方向209に広げる技術は、重要である。
次に、マイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波を伝送及び電界方向に直交する方向209に拡げて放射する従来技術として、導波手段201内の電界401分布の概腹位置405にマイクロ波放射部102を配置する方法について説明する。
導波手段201として図3に示すような矩形導波管301を用いている場合、マイクロ波発生手段202から発生した進行波と、導波手段201の終端部203で反射した反射波が互いに干渉し、図4に示すように導波管内に定在波404が生じる。
なお、マイクロ波放射部102の位置する導波手段201内の定在波404の電界401の位相によって、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波の広がりは変化する。このマイクロ波の広がりが変化する原理については、以下で説明する。
まず、図4を用いて定在波404における電界401・磁界402・電流403の関係について説明する。進行波は電界401と磁界402の方向は90°ずれており、位相は同一である。これに対し、定在波404は電界401と磁界402の方向は90°ずれており、位相はπ/2ずれている。よって、定在波404が発生している矩形導波管301
内の電界401と磁界402の関係は図4のようになる。これは、定在波404の場合は、進行波が導波手段201の終端部203で反射する際に、電界401の位相がπ/2ずれることが主な原因である。なお、電流403は導波手段201の表面を磁界402に直交する方向に流れる。
定在波404が発生している矩形導波管301のH面302にマイクロ波放射部102を配置した場合の、マイクロ波の指向性についての原理説明を行なう。
図4に示すように導波手段201内の定在波404について、概腹位置405と概節位置406にマイクロ波放射部102が配置された場合について考える。本発明における腹および節とは、導波手段201の伝送方向207における電界401の強弱を指しており、伝送及び電界方向に直交する方向209における電界401の強弱を意味してはいない。
マイクロ波放射部102における電流403の伝送方向207成分と伝送及び電界方向に直交する方向209成分を考えた場合、概腹位置405に置かれたマイクロ波放射部102における電流403には伝送及び電界方向に直交する方向209成分が多い。
電流403の流れる方向と電界401が広がる方向は同一であるので、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波は、主に伝送及び電界方向に直交する方向209に広がる。
また、概節位置406に置かれたマイクロ波放射部102における電流403には伝送方向207成分が多い。このため、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波は、主に導波手段201の伝送方向207に広がる。
次に、導波手段201内の電界401の節位置について説明する。図4に示すような終端部203を備えた導波手段201内をマイクロ波が伝送する場合、マイクロ波の伝送方向207に定在波404が形成される。導波手段201は終端部203で閉じられているため、終端部203における振幅は0となる。また、マイクロ波発生手段202の供給側は、振幅最大値を示す自由端となる。
ここで、導波手段201内に存在する定在波404は、マイクロ波発生手段202が供給する発振周波数が基になった波である。したがって、導波手段201内に存在する定在波404の波長は、マイクロ波発生手段202の発振周波数によって生じる管内波長λgの約1/2となる。
よって、導波手段201内には、終端部203を基点として、管内波長λgの約1/2毎に定在波404の節位置が生じる。また、定在波404の腹位置は、隣り合う節位置のほぼ中間に存在する。
ただし、現実の導波手段201である導波管においては、マイクロ波発生手段202周辺の導波手段201内の電界401が安定しないことや、終端部203の状態が理想状態とならない場合が多く、理論値前後の管内波長λgを生じることがある。よって、現実の正確な導波管内の定在波404の波長は導波手段201内の振幅を実測するのが確実である。
次に、円偏波の特徴および円偏波を用いたマイクロ波加熱の利点について説明する。
円偏波とは、移動通信および衛星通信の分野で広く用いられている技術である。身近な
使用例としては、ETC(Electronic Toll Collection System)「ノンストップ自動料金収受システム」などが挙げられる。円偏波は、電界401の偏波面が電波の進行方向に対して時間に応じて回転するマイクロ波であり、円偏波を形成すると電界401の方向が時間に応じて変化し続けるので、加熱室103内に放射されるマイクロ波の放射角度も変化し続け、時間的に電界401強度の大きさが変化しないという特徴を有している。
前記の特徴により、従来のマイクロ波加熱装置に用いられている直線偏波によるマイクロ波加熱と比較して、広範囲にわたってマイクロ波が分散放射されて、被加熱物を均一に加熱することができるようになる。特に、円偏波の周方向に対して均一加熱の傾向が強い。
なお、円偏波は回転方向から右旋偏波(CW:clockwise)と左旋偏波(CCW:counter clockwise)の2種類に分類されるが、加熱性能に違いはない。
なお、円偏波に対して、導波手段201内のマイクロ波の電場および磁場の振動方向が一定方向であるのが直線偏波である。直線偏波を加熱室103内に放射する従来のマイクロ波加熱装置においては、マイクロ波分布の不均一さを低減するために、被加熱物を載置するテーブルを回転させる構造や、導波手段201から加熱室103へマイクロ波を放射するアンテナを回転させる構造などを設置する必要がある。
よって、従来の直線偏波を用いたマイクロ波加熱装置によるマイクロ波加熱で問題とされていた、直接波と反射波の干渉によって加熱室103内に生じる定在波404を緩和することが可能となり、均一なマイクロ波加熱を実現することができる。
なお、本発明における円偏波とは、マイクロ波放射部102からのマイクロ波の広がりが正確な真円となっている場合のみを意味しているのではなく、マイクロ波の広がりが楕円となっているなどの場合も含んでいる。つまり、電界401の方向が時間に応じて変化し続けることで、加熱室103内に放射されるマイクロ波の放射角度も変化し続け、時間的に電界401強度の大きさが変化しないという特徴を有しているものも円偏波と呼んでいる。
次に、円偏波の利用において、開放空間の通信分野と閉空間の加熱の分野では、いくつか異なる点があるので説明を加える。通信分野では、他のマイクロ波との混在を避けて必要な情報のみを送受信する必要があるため、送信側は右旋偏波か左旋偏波のどちらかに限定して送信し、受信側もそれに合わせた最適な受信アンテナを選ぶことになる。
一方、加熱の分野では、指向性を有する受信アンテナの代わりに、特に指向性のない食品などの被加熱物がマイクロ波を受けるので、マイクロ波が全体に均等に当たることのみが重要となる。
よって、加熱の分野では右旋偏波と左旋偏波が混在しても問題はないが、逆に被加熱物の置き位置や形状によって不均等な分布になるのをできるだけ防ぐ必要がある。例えば、単一の円偏波開口の場合、被加熱物を円偏波開口の真上に置くと良いが、前後あるいは左右にずらして置くと、円偏波開口に近い部位が加熱されやすく、遠い部位は加熱されにくく、結果として加熱むらが生じてしまう。よって、複数の円偏波開口を配置することが望ましい。
本実施の形態のようにTE10モードでマイクロ波を伝送している場合において、導波
手段201における導波手段の管軸211を境界にして、円偏波開口から放射される円偏波の方向が逆(右旋偏波および左旋偏波)になるが、このように配置することは通信分野では考えられないことであり、本発明で初めて実現させた加熱分野ならではの配置である。
なお、本実施の形態では、円偏波を放射するマイクロ波放射部102を、二つの長孔が交差する略X字状の構成としている。これにより、簡単な構成で確実に円偏波を放射することができる。
次に、マイクロ波放射部102を通して、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波の干渉について説明する。
任意の点でのマイクロ波の相互干渉は、各マイクロ波放射部102からのマイクロ波の広がり方向と任意の点までの距離の差および加熱室103内でのマイクロ波の波長によって決定される。なお、加熱室103内での波長の1/2の偶数倍(0を含む)の時に強め合い、奇数倍の時に弱め合う。一般的なマイクロ波加熱装置に用いられるマイクロ波の周波数2.45GHzの場合、加熱室103内などの空気中での波長は、約120mmである。
例えば、長孔の長軸方向と導波手段の管軸の交差角度205が、0°(長孔の長手方向204と導波手段の管軸211が平行)であるマイクロ波放射部102と交差角度205が、45°のマイクロ波放射部102を1つずつ配置した場合について考える。
長孔の長軸方向と導波手段の管軸の交差角度205が、0°の場合は、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波は、主に伝送及び電界方向に直交する方向209へ放射され、長孔の長軸方向と導波手段の管軸の交差角度205が、45°の場合は、伝送方向207と伝送及び電界方向に直交する方向209へほぼ均等に放射され、加熱室103内で相互干渉する。
上記の各マイクロ波放射部102から放射されたマイクロ波の相互干渉により、加熱室103内において局所的にマイクロ波の強弱が生じるが、各マイクロ波放射部102が有するマイクロ波の広がりが、顕著に変化することはない。
よって、加熱室103内のマイクロ波分布は、各マイクロ波放射部102から放射されたマイクロ波の広がりを足し合わせた分布に近いものとなる。
また、特にマイクロ波発生手段202に最も近い位置に配置されるマイクロ波放射部102において、マイクロ波発生手段202に近い位置では導波手段201内において伝送されるマイクロ波は進行波の状態でマイクロ波放射部102から放射される。また、導波手段201の終端部203に近い領域では定在波の状態になっている。逆に、マイクロ波発生手段202から離れた、導波手段の終端部203に近い領域ではマイクロ波が定在波となって存在している。マイクロ波が進行波である領域においてマイクロ波放射部102からマイクロ波が放射された場合、マイクロ波放射部102間の中央付近から導波手段201の伝送方向と反対方向に対して強電界領域が発生する。
図5において、強電界領域501の発生を電磁場解析により求めた結果を示した。図5(a)ではマイクロ波放射部から発生した電界の強度をコンター図で表している。図の右側から左側にマイクロ波が伝送されており、タイムステップがT3において、マイクロ波発生手段202に近い2つのマイクロ波放射部102間の中央から伝送方向と反対方向に強電界領域501が発生している。これは、進行波領域で配置された二つのマイクロ波放
射部102からマイクロ波が放射される際に干渉が起こり、マイクロ波放射部間の中央付近にマイクロ波の強めあいが伝送方向と反対方向に起こることから発生する。進行波の領域では、定在波の領域よりもマイクロ波放射の指向性が強くなり、マイクロ波の強めあいも顕著になる。図5(b)ではマイクロ波加熱装置101を導波手段の管軸211に沿った平面で鉛直方向にきった断面において、電磁場解析による電界強度の解析結果をコンター図で表したものであり、図には強電界領域501が発生している結果が求められた。ここでの解析条件は、加熱室壁境界は吸収境界である。
図6では上記のようなマイクロ波放射の干渉から発生する強電界領域501を発生させないために、第二のマイクロ波放射部221を単一のマイクロ波放射部とする構成となっており、このような構成では、マイクロ波の干渉をなくすことができ、強電界領域501は発生せず、被加熱物の過加熱を防止して均一加熱性を向上することができる。
図6(a)は、第二のマイクロ波放射部221が円偏波を発生させるマイクロ波放射部である場合を表しており、形状としては長孔を二つ組み合わせた略X字形状となっている。図6(b)は、第二のマイクロ波放射部221が前記略X字形状をしており、導波手段201の管軸211上に配置されている構成を表している。図6(c)は、第二のマイクロ波放射部221が、導波手段201の管軸211上に配置され、伝送方向207と並行なスリット形状をしている構成を表しており、図6(d)はスリットが伝送及び電界方向に直交する方向と平行な形状で構成されるものを表している。
以下に、本実施の形態における具体的な構成および作用、効果を説明する。
図2および図6に示すように、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101である電子レンジは、被加熱物を収納する加熱室103と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段202と、マイクロ波を伝送する導波手段201と、加熱室103内にマイクロ波を放射する第一のマイクロ波放射部220を導波手段201の伝送及び電界方向に直交する方向209に複数配置する構成としている。
また、第一のマイクロ波放射部220よりマイクロ波発生手段202に近い領域に第二のマイクロ波放射部221が配置されている。進行波が支配的な領域であるマイクロ波発生手段202に最も近い位置に配置された第二のマイクロ波放射部221は、少なくとも1つの長孔で構成されると共に、単一のマイクロ波放射部として、マイクロ波の干渉によって発生する強電界領域501をなくすことができ、被加熱物の均一な加熱が実現できる。
これは、マイクロ波の進行波が支配的な領域に、マイクロ波放射部が偶数個配置された際に、各マイクロ波放射部から放射されたマイクロ波が干渉し、マイクロ波の伝送方向と反対方向に発生する強電界領域の発生を抑制することができ、被加熱物の過加熱領域を減らすことができ、加熱の均一化を可能となる。
なお、第二のマイクロ波放射部221が、図6(a)で表されるような円偏波を発生させるマイクロ波放射部であっても、図6(b)、(c)、(d)で表されるような直線偏波を発生させるマイクロ波放射部であっても、マイクロ波の干渉をなくし、強電界領域501を抑制することができる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。
図7は、導波手段201と第一のマイクロ波放射部220と第二のマイクロ波放射部2
21とマイクロ波発生手段202との位置関係を説明する図であり、特に第二のマイクロ波放射部221がマイクロ波の伝送及び電界方向に直交する方向209に3以上の奇数個で配置され、中央のマイクロ波放射部が導波手段201の管軸211上に配置される構成について表している。図7(a)は管軸211上のマイクロ波放射部が伝送方向207に対して平行な方向のスリット上のものである構成を表し、図7(b)は管軸211上のマイクロ波放射部が、伝送及び電界方向に直交する方向209に平行なスリット形状をしている構成を表し、図7(c)は管軸211上のマイクロ波放射部が長孔2つを組み合わせた略X字状の形状をした構成のものを表している。
図7のように導波手段201の管軸211上に第二のマイクロ波放射部221を配置することにより、管軸211上からマイクロ波放射を発生させることで、伝送方向と反対方向208に発生するマイクロ波の干渉による強めあいの領域の発生が抑制される。
そのため、干渉による強電界領域501が発生することもなく、被加熱物の過加熱も抑制されるため、加熱均一性能の向上を図ることが可能となる。
なお、図面において、(実施の形態1)と同一動作を示す部分は同一番号を付与している。また、(実施の形態2)における基本的な動作は(実施の形態1)と同様である。
また、管軸211上に配置されるマイクロ波放射部は、図に示すように、スリット形状のものでも略X字状でも良い。
(実施の形態3)
以下に、本実施の形態における具体的な構成および作用、効果を説明する。
図8〜11は、本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置101の説明図である。
図8は、導波手段201と第二のマイクロ波放射部221とマイクロ波発生手段202との位置関係を説明する図であり、特に、第二のマイクロ波放射部221の少なくとも1つの長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205が、45°より小さい構成を表わしている。
また、図9は第二のマイクロ波放射部221の少なくとも2つの長孔の方向と導波手段の管軸の交差角度205と、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波の広がりの関係を説明した図であり、電磁場解析により求めた電界分布を表わしている。
また、図10は第二のマイクロ波放射部221の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さ216が、第一のマイクロ波放射部220の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さ215よりも長い構成を表している。
また、図11は第二のマイクロ波放射部221の形状が二つの略X字状のマイクロ波放射部をつなげた形状を表している。
なお、(実施の形態3)における基本的な動作は(実施の形態1)および(実施の形態2)と同様であるとして、発明の主要点でない限り説明を省略し、以下その動作、作用を説明する。
長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205により、導波手段201から加熱室103に放射されるマイクロ波の広がる方向が変化する原理について説明する。
マイクロ波放射手段が長孔の場合、長辺同士の距離は短辺同士の距離より短いため、電界は長辺同士間に生じ易い。
よって、長孔の長手方向204に直角な方向に電界分布が生じるため、長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205を変化させることにより、マイクロ波の広がる方向も変化する。
以上より、長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205が45°より小さい場合は、主に伝送及び電界方向に直交する方向209にマイクロ波が広がる。
また、長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205が45°より大きい場合は、主に伝送方向207にマイクロ波が広がる。
次に、図9においては、長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205を、25°から65°まで10°刻みで変化させた場合の、マイクロ波放射部102から加熱室103へ放射されるマイクロ波の分布を電磁界解析により求めた。
なお、本解析では時計回りに長孔の長手方向204を回転させているが、反時計回りの場合についても同様の結果が得られる。
図9に示すように、長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205が45°以下の場合はマイクロ波の放射が導波手段の伝送及び電界方向に直交する方向209へより顕著に発生していることが分かる。これに対して、長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205を45°以上とするとより伝送方向にマイクロ波放射が広がりを見せることがわかる。
以上より、長手方向に対して直角方向にマイクロ波の広がりが強く、長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205が45°を境にして、45°より小さい場合に、伝送及び電界方向に直交する方向209に放射されるマイクロ波の量が、伝送方向207へ放射されるマイクロ波の量より大きくなる。
よって、マイクロ波放射部102の少なくとも1つは、少なくとも1つの長孔で構成すると共に、少なくとも1つの長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205が、45°より小さい構成とすることにより、導波手段201の幅よりも外側にマイクロ波を広げることができ、マイクロ波の干渉による伝送方向と反対方向に発生する強電界領域501を減らすことになり、加熱室103内の被加熱物を均一に加熱することが可能となる。
以下本実施の形態における動作、作用を説明する。
本実施の形態のマイクロ波加熱装置101である電子レンジは、被加熱物を収納する加熱室103と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段202と、マイクロ波を伝送する導波手段201と、加熱室103内にマイクロ波を放射するマイクロ波放射部102を導波手段201の伝送方向及び伝送及び電界方向に直交する方向209に複数配置する構成としている。
図8に示すように、マイクロ波発生手段202からの距離が最も近い位置に配置される、第二のマイクロ波放射部221が、少なくとも1つの長孔で構成されると共に、また少なくとも1つの長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205が、45°より小さい構成としている。
このように実施の形態1と同様に第二のマイクロ波放射部221を単一にすることで加熱均一性を向上できることと、さらに、マイクロ波放射部102の少なくとも1つは、少なくとも1つの長孔で構成されると共に、少なくとも1つの長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度205が、45°より小さい構成により、導波手段201の伝送及び電界方向に直交する方向209にマイクロ波を広げることが可能となる。
さらに、図10のように第二のマイクロ波放射部221の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さ216が、第一のマイクロ波放射部220の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さ215よりも長い構成である場合、マイクロ波の干渉を抑えると同時に導波手段201の伝送及び電界方向に直交する方向209にマイクロ波を広げることが可能となり、加熱均一性の向上を図ることが出来る。
なお、第二のマイクロ波放射部221は、図11のような複数のX字上のマイクロ波放射部がつながった形状でも、放射されるマイクロ波の干渉を減らし、強電界領域501を少なくすることにより、被加熱物の均一加熱が可能となる。
また、第二のマイクロ波放射部221の少なくとも1つの長孔の短手方向の長さが、第一のマイクロ波放射部220の少なくとも1つの長孔の短手方向の長さより長くとも同じ効果が得られる。
さらに、マイクロ波放射部102を、長手方向長さを短くすると共に、X字の交点を長孔の長手方向中心と異なる位置にする形状やマイクロ波放射部の端部の角にRをつける形状などにおいても上記と同様な効果が得られる。
以上より、第二のマイクロ波放射部を単一または3以上の奇数個で配置することに加え、マイクロ波放射部の形状を変化させることで、進行波領域においてマイクロ波干渉を少なくすると同時に伝送及び電界方向へのマイクロ波の広がりを良くすることが可能となり、被加熱物の加熱分布をより均一化するマイクロ波加熱装置101を提供することができる。
なお、マイクロ波放射部102の数および位置が加熱室の中央210に対して対称である場合や、マイクロ波放射部102が長孔以外の形状の場合や、全てのマイクロ波放射部102が同一形状でない場合においても本発明に含まれる。
以上のように、本発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物への均一照射ができるので、食品加熱や殺菌などを行うマイクロ波加熱装置などに有効に利用することができる。
101 マイクロ波加熱装置
102 マイクロ波放射部
103 加熱室
104 載置台
105 ドア
201 導波手段
202 マイクロ波発生手段
203 終端部
204 長孔の長手方向
205 交差角度
207 伝送方向
208 伝送方向と反対方向
209 伝送及び電界方向に直交する方向
210 加熱室の中央
211 管軸
220 第一のマイクロ波放射部
221 第二のマイクロ波放射部
301 矩形導波管
302 H面
303 E面
401 電界
402 磁界
403 電流
404 定在波
405 概腹位置
406 概節位置
407 電界方向
501 強電界領域

Claims (8)

  1. 被加熱物を収納する加熱室と、
    マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段と、
    マイクロ波を伝送する導波手段と、
    前記加熱室内にマイクロ波を放射するマイクロ波放射部と、
    前記マイクロ波放射部が前記導波手段の伝送方向と伝送及び電界方向に直交する方向のそれぞれに複数個配置される第一のマイクロ波放射部と、
    前記第一のマイクロ波放射部より前記マイクロ波発生手段に近い領域に配置される第二のマイクロ波放射部と、
    前記第二のマイクロ波放射部が単一に配置されるマイクロ波放射部、または前記導波手段の伝送及び電界方向に直交する方向に3以上の奇数個で配置されるマイクロ波放射部であるマイクロ波加熱装置。
  2. マイクロ波を伝送する導波手段が、TE10モードを伝送する矩形導波管とした請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
  3. 第二のマイクロ波放射部の単一に配置されるマイクロ波放射部が、円偏波を放射する構成とした請求項1または2に記載のマイクロ波加熱装置。
  4. 第二のマイクロ波放射部の単一に配置されるマイクロ波放射部が、直線偏波を放射する構成とした請求項1または2に記載のマイクロ波加熱装置。
  5. 第二のマイクロ波放射部の3以上の奇数個で配置されるマイクロ波放射部の中で、中央に位置するマイクロ波放射部が導波手段の管軸上に配置される構成とした請求項1または2に記載のマイクロ波加熱装置。
  6. マイクロ波放射部の少なくとも1つが、少なくとも1つの長孔で構成され、前記長孔の長手方向と導波手段の管軸の交差角度を45°より小さい構成とした請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
  7. マイクロ波放射部の少なくとも1つが、少なくとも1つの長孔で構成され、単一に配置される第二のマイクロ波放射部の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さが、第一のマイクロ波放射部の少なくとも1つの長孔の長手方向の長さよりも長い構成である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
  8. 円偏波を放射するマイクロ波放射部は、2つの長孔が交差する略X字状の構成とした請求項1ないし7のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
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