JP2014229532A - マイクロ波加熱装置 - Google Patents

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Daisuke Hosokawa
大介 細川
吉野 浩二
Koji Yoshino
浩二 吉野
貞平 匡史
Tadashi Sadahira
匡史 貞平
昌之 久保
Masayuki Kubo
昌之 久保
大森 義治
Yoshiharu Omori
義治 大森
國本 啓次郎
Keijiro Kunimoto
啓次郎 國本
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Abstract

【課題】駆動部を用いない簡易的な構造で、広範囲に置かれた被加熱物または、加熱室の任意の場所に置かれた被加熱物に対して、局所的にマイクロ波集中させることを可能とし、効率よく加熱すること。【解決手段】導波手段201に設けられ加熱室103内にマイクロ波を放射し伝送方向204に配され開口で形成された複数の第一のマイクロ波放射部102と、少なくとも1つの第一のマイクロ波放射部102と離間して配され、開口で形成された第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106とを備え、第二のマイクロ波放射部107の開口の中心208が第一のマイクロ波放射部102の開口の中心208から、導波手段201の電界方向507以外の方向に設けられるマイクロ波加熱装置101である。【選択図】図1

Description

本発明は、被加熱物にマイクロ波を放射して誘電加熱する電子レンジ等のマイクロ波加熱装置に関し、特にマイクロ波放射部の構造に特徴を有するマイクロ波加熱装置に関するものである。
マイクロ波により対象物を加熱処理するマイクロ波加熱装置の代表的な装置としては、電子レンジがある。電子レンジにおいては、マグネトロンなどのマイクロ波発生器において発生したマイクロ波が金属製の加熱室の内部に放射され、加熱室内部の被加熱物が放射されたマイクロ波により誘電加熱される。
従来の電子レンジにおけるマイクロ波発生器としては、マグネトロンが用いられている。マグネトロンにより生成されたマイクロ波は、導波管を介して加熱室内部に放射される。被加熱物に対するマイクロ波分布を変化させる手段としては、被加熱物を載置するテーブルを回転させて被加熱物を回転させる構成や、被加熱物を固定してマイクロ波を放射するアンテナを回転させる構成、または位相器によってマイクロ波発生器から発生するマイクロ波の位相を変化させる構成が一般的であった。
また、同様の構成で局所的なマイクロ波集中が生じる電磁界分布を実現し、加熱室内の任意の場所に置かれた被加熱物に対して、高効率なマイクロ波加熱を実現する方法もあった。
一方、構成を簡単にするために駆動部を持たずに被加熱物に対するマイクロ波分布を変化させる方法として、時間的に電界の偏波面が回転する円偏波を利用する方法が提案されている。本来、誘電加熱は誘電損失を有する被加熱物をマイクロ波の電界によって加熱する原理に基づくため、電界が回転することは均一化に効果があるものと考えられる。
例えば、具体的な円偏波の発生方法としては、特許文献1には図13のように導波管1200上で交差するX字型の円偏波開口1202を用いる方式が示され、特許文献2には図14のように導波管1300上で直交する向きの二つの長孔の開口1301を対向させつつも離して配置する方法が示され、特許文献3には図15のように導波管1400に結合させたパッチアンテナ1401の平面形状に切り欠き1402を設ける方法が記載されている。
例えば、従来のマイクロ波加熱装置では、導波管内部に回転アンテナ、アンテナシャフトなどが配置されており、アンテナモータによって回転アンテナを回転させながらマグネトロンを駆動することで、加熱室内のマイクロ波分布の不均一さを低減している。
また、特許文献1に記載されているように、マグネトロンの上部に回転可能なアンテナを設け、該回転アンテナの羽根に送風ファンからの冷却風をあてることにより、該送風ファンの風力でアンテナを回転させ、加熱室内のマイクロ波分布を変化させているマイクロ波加熱装置が提案されている。
一方、位相器を有する例として、マイクロ波加熱による被加熱物の加熱ムラの低減と共にコストダウンおよび給電部の省スペース化を図った特許文献2に記載されているように、加熱室内部に円偏波を放射する単一のマイクロ波放射部を有したマイクロ波加熱装置が提案されている。
米国特許第4301347号明細書 特許第3510523号公報 特開2005−235772号公報
しかしながら、前記従来の構成の電子レンジのようなマイクロ波加熱装置では、なるべく簡易的な構造で、被加熱物を効率良く、ムラ無く加熱することが求められることが多いが、これまで提案されていた構成では下記の問題があった。
なお、マイクロ波加熱装置、特に電子レンジは、高出力化の技術開発が進み、日本国内では定格高周波出力1000Wが商品化されており、熱伝導によって食品を加熱するのではなく、誘電加熱を用いて直接食品を加熱するため、加熱ムラが未解決の中での高出力化は加熱ムラの問題をより顕在化させることになる。
<広範囲の加熱の必要性>
また、マイクロ波加熱装置、特に電子レンジは、広範囲に置かれた被加熱物を均一に加熱する性能が求められることが多い。
<スポット加熱の必要性>
さらに、形状や種類の異なる被加熱物を複数品同時に加熱する性能が求められることもある。この場合はマイクロ波を複数品に均一に放射するのではなく、形状が大きい、誘電率が低くマイクロ波を吸収しにくい、高い仕上がり温度が必要などの条件を有している被加熱物に多くのマイクロ波を放射する必要がある。よって、局所的なマイクロ波集中が生じるマイクロ波分布を実現する必要がある。
<中央加熱の必要性>
さらに、中央に置かれた被加熱物に対する高い加熱効率が求められることもある。例えば、IEC(International Electrotechnical Commission)標準規格では、マイクロ波加熱の加熱効率を表す指標として、加熱室の中央に置かれた水負荷に対する加熱性能を用いている。
次に、前記従来の駆動部を有するマイクロ波加熱装置が抱える構造上の問題としては、下記の3点が挙げられる。1点目は、加熱ムラを低減するためにテーブルまたはアンテナを回転させる機構を必要としており、このため回転スペースおよびテーブルまたはアンテナを回転させるモータなどの設置スペースを確保しなければならず、マイクロ波加熱装置の小型化を阻害していたことである。2点目は、テーブルまたはアンテナを安定的に回転させるために、該回転アンテナを加熱室の上部または下部に設ける必要があり、構造が制限されていたことである。3点目は、水蒸気加熱や熱風加熱などの種々の加熱機能を有する電子レンジの登場により、電子レンジの筐体内部に多くの構成部品が必要となることおよび、筐体内部の制御部品などの発熱量が多いため、十分な冷却性能を実現するために冷却用の風路を確保する必要となり、導波手段およびマイクロ波放射部の設置位置が制限されてしまうことである。
さらに、マイクロ波加熱装置におけるマイクロ波照射室であるアプリケータ内にテーブルまたは位相器の回転機構などを設置することは、マイクロ波による放電現象を引起こし、信頼性を下げる。よって、これら機構を不要とするマイクロ波加熱装置が要求されてい
る。
次に、前記従来の円偏波を利用したマイクロ波加熱装置は、特許文献1〜3のいずれの場合においても、駆動部を無しにできるほどの均一効果はないという問題があった。いずれの特許文献も、円偏波と駆動部の相乗効果で従来の駆動部のみよりも均一になるということを記載しているに過ぎない。
具体的には、特許文献1では図13のように導波管1200の終端に位相シフター1201と呼ばれる回転体を有し、特許文献2では被加熱物を回転させるターンテーブル(図示せず)を有し、特許文献3ではターンテーブル1403に加えてパッチアンテナ1401をも回転させて攪拌機として利用する構成を記載している。いずれも円偏波を用いれば駆動部無しにできるとは記載されていないのである。これは、もし円偏波で駆動部を無しにすると、一般的な駆動部を有した構成(例えば、テーブルを回転させるとかアンテナを回転させるなどの構成)に比べて均一性が劣るためである。
駆動部の無い構成で円偏波による均一加熱を実現する方法としては、マイクロ波放射部を設置した位置の導波手段内の管内定在波の位相と放射方向の関係(マイクロ波放射部を管内定在波の腹位置に配置するとマイクロ波は導波手段の幅方向に放射され、節位置に配置するとマイクロ波は導波手段の伝送方向に放射される関係)を用いて、マイクロ波の放射方向を定める方法や、マイクロ波放射部を少なくとも1つの長孔で形成し、長孔の長軸の方向と導波手段の管軸の交差角度とマイクロ波の放射方向の関係(交差角度が45°より小さい場合は、導波手段の伝送方向と比較して幅方向に強く放射され、交差角度が45°より大きい場合は、導波手段の幅方向と比較して伝送方向に強く放射される関係)を用いて、マイクロ波の放射方向を定める方法が挙げられる。
しかしながら、前者の場合は、マイクロ波放射部の設置位置が管内定在波の波長に大きく制限されるため、庫内の底面寸法によっては、最適な管内定在波の位相にマイクロ波放射部を配置することができないため、この技術を汎用的に用いることができない。
また、後者の場合は、一般的に電子レンジに用いられている導波手段内の伝送モードであるTE10モードでマイクロ波を伝送している場合、発信周波数に2.45GHzのマイクロ波を用いると導波手段の幅寸法を80〜100mm程度にすることが多い。このため、マイクロ波放射部の形状およびマイクロ波放射部を形成する長孔の長軸と方向と導波手段の管軸の交差角度が制限せれ、十分な均一加熱性能を実現できない。
本発明は前記課題を解決するものであり、駆動部を用いない簡易的な構造で、広範囲に置かれた被加熱物に対して均一な加熱分布を実現することや、加熱室の中央に置かれた被加熱物に対して高い加熱性能を実現することなどの、局所的なマイクロ波集中を実現するマイクロ波加熱装置の提供を目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室と、マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、マイクロ波発生手段で発生されたマイクロ波を伝送する導波手段と、導波手段に設けられ加熱室内にマイクロ波を放射し伝送方向に配され開口で形成された複数の第一のマイクロ波放射部と、少なくとも1つの第一のマイクロ波放射部と離間して配され開口で形成された第二のマイクロ波放射部を有したアンテナとを備え、第二のマイクロ波放射部の開口中心が第一のマイクロ波放射部の開口中心から、導波手段の電界方向以外の方向に設けている。
これにより、導波手段の伝送方向に構成した複数の第一のマイクロ波放射部から加熱室
内にマイクロ波を放射するので、加熱室の複数の位置から被加熱物にマイクロ波を放射することが可能となり、単一の第一のマイクロ波放射部による加熱と比較して、加熱室に置かれた被加熱物に対して広範囲に渡って、効率良くマイクロ波加熱をすることが可能となる。さらに、少なくとも1つの第一のマイクロ波放射部と離間して配され、開口で形成された第二のマイクロ波放射部を有したアンテナとを備え、第二のマイクロ波放射部の開口中心を第一のマイクロ波放射部の開口中心から、導波手段の電界方向以外の方向に設けることで、アンテナおよび第二のマイクロ波放射部の設置位置により、マイクロ波の放射方向を定めることができ、加熱室の中央に置かれた被加熱物に対して高効率で加熱することや、任意の場所を局所的に加熱すること、加熱室内に均一に分散するよう放射させることにより、均一加熱性能の向上が可能となる。さらに、第一のマイクロ波放射部から離間して第二のマイクロ波放射部を有したアンテナを配置することにより、庫内定在波分布を定めることで、第一のマイクロ波放射部のみで庫内定在波分布を定める際に生じる課題である、第一のマイクロ波放射部の設置位置が管内定在波の波長に大きく制限されることや、導波手段の幅寸法に上限があるため、マイクロ波放射部の形状が制限されることを解決することができ、均一加熱性能および任意の場所を局所的に加熱する性能を向上させること可能となる。
上記構成により、導波手段の伝送方向に構成した複数の第一のマイクロ波放射部から加熱室内にマイクロ波を放射するので、加熱室の複数の位置から被加熱物にマイクロ波を放射することが可能となり、単一の第一のマイクロ波放射部による加熱と比較して、加熱室に置かれた被加熱物に対して広範囲に渡って、効率良くマイクロ波加熱をすることが可能となる。
特に、広範囲に置かれた被加熱物に対して、均一加熱を行なう際には、上記の構成が有効であるが、その理由は、単一の第一のマイクロ波放射部を有した構成で広範囲に置かれた被加熱物を加熱する場合は、第一のマイクロ波放射部との距離が近いほど被加熱物が強く加熱される傾向があるからである。
さらに、少なくとも1つの第一のマイクロ波放射部と離間して配され、開口で形成された第二のマイクロ波放射部を有したアンテナとを備え、第二のマイクロ波放射部の開口中心が第一のマイクロ波放射部の開口中心から、導波手段の電界方向以外の方向に設けることで、第二のマイクロ波放射部を有したアンテナを設ける位置により第一のマイクロ波放射部からの放射方向を定めることができる。
第二のマイクロ波放射部の開口中心が第一のマイクロ波放射部の開口中心から、伝送方向に設けられている場合は、アンテナに第二のマイクロ波放射部を有していない場合と比較して、第一のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の伝送方向成分が増加する。
同様に、第二のマイクロ波放射部の開口中心が第一のマイクロ波放射部の開口中心から、伝送および電界方向に対して直角方向に設けられている場合は、アンテナに第二のマイクロ波放射部を有していない場合と比較して、第一のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の伝送および電界方向に対して直角方向の成分が増加する。
上記の構成により、第二のマイクロ波放射部を有したアンテナの設置位置によって、第一のマイクロ波放射部からのマイクロ波の放射方向を定めることで、加熱室の中央に置かれた被加熱物に対して高効率で加熱することや、任意の場所を局所的に加熱することが可能となる。
また、上記の構成を用いて第一のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波を第二の
マイクロ波放射部を有したアンテナの設置位置により、加熱室内に均一に分散するよう放射させることが可能となり、均一加熱性能の向上を図ることが可能である。
さらに、第一のマイクロ波放射部から離して第二のマイクロ波放射部を有したアンテナの配置により、加熱室内の庫内定在波分布を定めることが可能となり、第一のマイクロ波放射部のみで庫内定在波分布を定める際に生じる課題である、第一のマイクロ波放射部の設置位置が管内定在波の波長に大きく制限されることや、導波手段の幅寸法に上限があるため、マイクロ波放射部の形状およびマイクロ波放射部を形成する長孔の長軸方向と導波手段の管軸の交差角度が制限されることを解決することができ、均一加熱性能および任意の場所を局所的に加熱する性能を向上させること可能となる。
本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の斜視図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の上面図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の要部断面模式図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の導波手段を説明する斜視図 本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の導波手段内の電界と磁界と電流の関係説明図 本発明の実施の形態1における第一のマイクロ波放射部の開口中心から第二のマイクロ波放射部の開口中心までの導波手段の伝送方向の距離と第二のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の指向性の関係説明図 本発明の実施の形態2におけるマイクロ波加熱装置の上面図 本発明の実施の形態2におけるマイクロ波加熱装置の要部断面模式図 本発明の実施の形態2におけるマイクロ波放射部の形状の説明図 本発明の実施の形態2における第一のマイクロ波放射部の開口中心から第二のマイクロ波放射部の開口中心までの導波手段の伝送および電界方向に対して直角方向の距離と第二のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の指向性の関係説明図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波放射部の上面図 本発明の実施の形態3におけるマイクロ波放射部の要部断面模式図 従来のX字型の開口で円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図 従来の直交する二つの長孔で円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図 従来のパッチアンテナで円偏波を発生させるマイクロ波加熱装置の構成図
第1の発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室と、マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、前記マイクロ波発生手段で発生されたマイクロ波を伝送する導波手段と、前記導波手段に設けられ前記加熱室内にマイクロ波を放射し伝送方向に配され開口で形成された複数の第一のマイクロ波放射部と、少なくとも1つの前記第一のマイクロ波放射部と離間して配され開口で形成された第二のマイクロ波放射部を有したアンテナとを備え、前記第二のマイクロ波放射部の開口中心が前記第一のマイクロ波放射部の開口中心から、前記導波手段の電界方向以外の方向に設けられている。
これにより、導波手段の伝送方向に構成した複数の第一のマイクロ波放射部から加熱室内にマイクロ波を放射するので、加熱室の複数の位置から被加熱物にマイクロ波を放射することが可能となり、単一の第一のマイクロ波放射部による加熱と比較して、加熱室に置かれた被加熱物に対して広範囲に渡って、効率良くマイクロ波加熱をすることが可能となる。さらに、少なくとも1つの第一のマイクロ波放射部と離間して配され、開口で形成された第二のマイクロ波放射部を有したアンテナとを備え、第二のマイクロ波放射部の開口
中心を第一のマイクロ波放射部の開口中心から、導波手段の電界方向以外の方向に設けることで、アンテナおよび第二のマイクロハ放射部の設置位置により、マイクロ波の放射方向を定めることができ、加熱室の中央に置かれた被加熱物に対して高効率で加熱することや、任意の場所を局所的に加熱すること、加熱室内に均一に分散するよう放射させることにより、均一加熱性能の向上が可能となる。さらに、第一のマイクロ波放射部から離間して第二のマイクロ波放射部を有したアンテナを配置することにより、庫内定在波分布を定めることで、第一のマイクロ波放射部のみで庫内定在波分布を定める際に生じる課題である、第一のマイクロ波放射部の設置位置が管内定在波の波長に大きく制限されることや、導波手段の幅寸法に上限があるため、マイクロ波放射部の形状が制限されることを解決することができ、均一加熱性能および任意の場所を局所的に加熱する性能を向上させること可能となる。
第2の発明のマイクロ波加熱装置は、特に、第1の発明において、前記導波手段の電界方向以外の方向は、前記導波手段の伝送方向である。これにより、アンテナに第二のマイクロ波放射部を有していない場合と比較して、第一のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の伝送方向成分を増加させることにより、第一のマイクロ波放射部を配置できない導波手段の終端部の外側に第二のマイクロ波放射部を通じて、マイクロ波を放射することが可能となる。よって、庫内定在波分布においても導波手段の伝送方向に強くすることが可能となり、広範囲に置かれた被加熱物に対するマイクロ波加熱の均一性を向上できる。また、同様の理由により、導波手段の終端部の外側の一部を局所的に加熱することが可能となる。
第3の発明のマイクロ波加熱装置は、特に、第1の発明において、前記導波手段の電界方向以外の方向は、前記導波手段の伝送および電界方向に対して直角方向である。これにより、アンテナに第二のマイクロ波放射部を有していない場合と比較して、第一のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の伝送および電界方向に対して直角方向成分を増加させることにより、第一のマイクロ波放射部を配置できない導波手段の幅より外側に第二のマイクロ波放射部を通じて、マイクロ波を放射することが可能となる。よって、庫内定在波分布においても導波手段の伝送および電界方向に対して直角方向に強くすることが可能となり、広範囲に置かれた被加熱物に対するマイクロ波加熱の均一性を向上できる。また、同様の理由により、導波手段の幅より外側の一部を局所的に加熱することが可能となる。
第4の発明のマイクロ波加熱装置は、特に、第1の発明において、前記導波手段の電界方向以外の方向は、前記導波手段の伝送方向と伝送および電界方向に対して直角方向である。これにより、第一のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の伝送方向成分と伝送および電界方向に対して直角方向成分の両方を増加させることにより、第一のマイクロ波放射部から放射されるマイクロ波の任意の方向成分を増加させ、第一のマイクロ波放射部の配置に制限されることなく、加熱室の特定の部分を局所的に加熱することが可能となる。例えば、加熱室の中央に第一のマイクロ波放射部を有していない場合でも、任意の第一のマイクロ波放射部に対して、第二のマイクロ波放射部を有するアンテナを加熱室の中央側に配置することにより、加熱室の中央に置かれた被加熱物に対する加熱効率を向上させることが可能となる。特に、加熱室の中央に最も近い第一のマイクロ波放射部の開口中心と加熱室の中央を結ぶ直線状に第二のマイクロ波放射部の開口中心を設置することで効果的に加熱室の中央に置かれた被加熱物に対する加熱効率を向上させることが可能となる。
第5の発明のマイクロ波加熱装置は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明において、前記第一のマイクロ波放射部および前記第二のマイクロ波放射部のうちの少なくとも1方またはその両方が、円偏波を放射する構成とした。本構成の場合は、各円偏波放射部の中
心から渦を巻くようにマイクロ波が放射されるので、直線偏波を放射する放射部と比べてマイクロ波放射部上の被加熱物を円周方向に均一に加熱することができる。
第6の発明のマイクロ波加熱装置は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明において、前記第一のマイクロ波放射部および前記第二のマイクロ波放射部のうちの少なくとも1方またはその両方が、二つの長孔が交差する略X字状の構成とした。これにより、簡単な構成で確実に円偏波を放射することができ、信頼性の向上および給電部の小型化を実現することができる。
以下、本発明に係るマイクロ波加熱装置の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態のマイクロ波加熱装置においては電子レンジについて説明するが、電子レンジは例示であり、本発明のマイクロ波加熱装置は電子レンジに限定されるものではなく、誘電加熱を利用した加熱装置、生ゴミ処理機、あるいは半導体製造装置などのマイクロ波加熱装置を含むものである。また、本発明は、以下の実施の形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。
(実施の形態1)
図1〜図6は、本発明の実施の形態1におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。
図1は、全体構成を示す斜視図である。図2は、導波手段と第一のマイクロ波放射部と第二のマイクロ波放射部とアンテナとマイクロ波発生手段の位置関係を説明する図である。図3は、第一のマイクロ波放射部と第二のマイクロ波放射部を有するアンテナとの位置関係を説明する要部断面の模式図である。図4は、矩形導波管の寸法と伝送モードの関係を説明するための図である。図5は、矩形の導波手段内に生じる電界、磁界、電流の関係を説明するための図である。図6は、単一の第一のマイクロ波放射部に対して、第二のマイクロ波放射部を有するアンテナを配置した給電構成において、第一のマイクロ波放射部の開口中心と第二のマイクロ波放射部の開口中心との導波手段の伝送方向の距離(導波手段の伝送方向を正とする)と第二のマイクロ波放射部からのマイクロ波の放射方向との関係を説明するための図であり、この結果は電磁界解析により求めた。
<マイクロ波加熱装置の構成>
代表的なマイクロ波加熱装置101である電子レンジは、被加熱物(図示せず)を収納可能な加熱室103と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生手段202と、マイクロ波発生手段202から放射されたマイクロ波を加熱室103に導く導波手段201と、導波手段201のH面402に設けた導波手段201内のマイクロ波を加熱室103内に放射する第一のマイクロ波放射部102を有している。
また、図1に示すように電子レンジは、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107の上部をカバーしつつ被加熱物を載置する載置台104と、被加熱物の出し入れのためのドア105を有する。ここで、載置台104は、ガラスやセラミックなどマイクロ波が透過しやすい材料で構成する。
なお、マイクロ波発生手段202にはマグネトロン、導波手段201には矩形導波管401、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107には開口部を用いることで上記の構成を容易に実現できる。
<マイクロ波加熱装置の概略動作>
最初にマイクロ波加熱装置101の概略動作について説明を行なう。使用者により加熱室103内に被加熱物が置かれ、加熱開始指示が行われると、マイクロ波加熱装置101は、マイクロ波発生手段202であるマグネトロンから導波手段201内にマイクロ波を
供給し、加熱室103と導波手段201とを接続している第一のマイクロ波放射部102を通じて、加熱室103内にマイクロ波を放射することで、マイクロ波加熱装置101は被加熱物の加熱を行なう。
<間接波・直接波の定義>
なお、本発明において、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107から放射され被加熱物を直接加熱するマイクロ波を直接波と呼び、加熱室103の内壁で反射したマイクロ波を反射波と呼ぶ。
<矩形導波管寸法、TE10モードの説明>
次に、図4を用いて電子レンジに搭載される代表的な導波手段201である矩形導波管401について説明する。最も単純で一般的な導波手段201は、図4のように一定の長方形の断面(幅a×高さb)を伝送方向204に伸ばした直方体からなり、マイクロ波の波長をλとしたときに、導波管の幅a(マイクロ波の波長λ>a>λ/2)、高さb(<λ/2)の範囲に選ぶことにより、TE10モードでマイクロ波を伝送することが知られている。
TE10モードとは、矩形導波管401内において導波管の伝送方向204には磁界502成分のみが存在して電界501成分のない、H波(TE波;電気的横波伝送 Transverse Electric Wave)における伝送モードのことを指す。なお、TE10モード以外の伝送モードがマイクロ波加熱装置101の導波手段201に適用されることは殆どない。
電子レンジでは2.45GHz近辺の周波数を用いるので、波長λは約120mmであり、TE10モードでマイクロ波を伝送する場合、幅aを80〜100mm、高さbを15〜40mm程度に選ぶことが多い。
このとき、図3の上下の面を磁界502が平行に渦巻く面という意味でH面402と呼び、左右の面を電界501に平行な面という意味でE面403と呼ぶ。なお、マイクロ波が導波管内を伝送されるときの波長は、管内波長λgと表され、λg=λ/√(1−(λ/(2×a))^2)となり、幅a寸法によって変化するが、高さb寸法には無関係に決まる。
また、TE10モードでは、導波手段201の幅方向の両端(E面403)で電界501が0、幅方向の中央で電界501が最大となる。よって、マグネトロンは電界501が最大となる導波手段201の幅方向の中央に結合させる構成とする。
<導波管幅の上限による開口形状の制限>
上記の説明より、TE10モードでマイクロ波を伝送している場合、発信周波数に2.45GHzのマイクロ波を用いると導波手段201の幅寸法を80〜100mm程度にすることが多く、導波手段201の幅寸法は制限される。
このため、第一のマイクロ波放射部102の形状および第一のマイクロ波放射部102を形成する長孔の長軸の方向と導波手段の管軸207の交差角度が制限せれるため、十分な均一加熱性能を実現できない。
よって、第一のマイクロ波放射部102の形状および第一のマイクロ波放射部102を形成する長孔の長軸方向と導波手段の管軸207の交差角度に依存することなく、任意の方向へマイクロ波を放射させ、均一加熱性能および任意の場所を局所的に加熱する性能を向上させる技術は重要である。
<加熱室中央の負荷に対する加熱性能の重要性(置かれる頻度)>
なお、被加熱物は加熱室の中央206に置かれることが最も多く、さらに日本国内およびIEC(International Electrotechnical Commission)標準規格におけるマイクロ波加熱の効率測定試験では、加熱室の中央206に水負荷を置くように定められている。
よって、加熱室の中央206に置かれた被加熱物に対して、効率よくマイクロ波を集中させる技術は重要である。
<スポット加熱(複品加熱など)の重要性>
さらに、近年の電子レンジでは、形状や種類の異なる被加熱物を複数品同時に加熱する性能が求められることもある。この場合はマイクロ波を複数品に均一に放射するのではなく、形状が大きい、誘電率が低くマイクロ波を吸収しにくい、高い仕上がり温度が必要などの条件を有している被加熱物に多くのマイクロ波を放射する必要がある。
よって、加熱室の中央206に限らず、局所的に効率よくマイクロ波集中を生じさせる技術も重要である。
<管内定在波の腹・節位置>
次に、加熱室の中央206に置かれた被加熱物に対して効率よくマイクロ波を集中させる技術および加熱室の中央206に限らず、局所的に効率よくマイクロ波集中を生じさせる技術に応用可能な、第一のマイクロ波放射部102を配置する導波手段201内の定在波504の位相によるマイクロ波の放射方向を定める方法について説明する。
まず、導波手段201内の電界501の節位置について説明する。図5に示すような終端部203を備えた導波手段201内をマイクロ波が伝送する場合、マイクロ波の伝送方向204に定在波504が形成される。導波手段201は終端部203で閉じられているため、終端部203における振幅は0となる。また、マイクロ波発生手段202の供給側は、振幅最大値を示す自由端となる。
ここで、導波手段201内に存在する定在波504は、マイクロ波発生手段202が供給する発振周波数が基になった波である。したがって、導波手段201内に存在する定在波504の波長は、マイクロ波発生手段202の発振周波数によって生じる管内波長λgの約1/2となる。
よって、導波手段201内には、終端部203を基点として、管内波長λgの約1/2毎に定在波504の節位置が生じる。また、定在波504の腹位置は、隣り合う節位置のほぼ中間に存在する。
ただし、現実の導波手段201である導波管においては、マイクロ波発生手段202周辺の導波手段201内の電界501が安定しないことや、終端部203の状態が理想状態とならない場合が多く、理論値前後の管内波長λgを生じることがある。よって、現実の正確な導波管内の定在波504の波長は導波手段201内の振幅を実測するのが確実である。
<矩形導波管内の進行波・定在波、腹・節の指向性の原理説明>
次に、導波手段201内の電磁界分布および第一のマイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波の指向性について、導波手段201内の電界501分布の概腹位置505および概節位置506に着目して説明する。
導波手段201として図4に示すような矩形導波管401を用いている場合、マイクロ波発生手段202から発生した進行波と、導波手段201の終端部203で反射した反射波が互いに干渉し、図5に示すように導波管内に定在波504が生じる。
なお、第一のマイクロ波放射部102の位置する導波手段201内の定在波504の電界501の位相によって、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波の広がりは変化する。このマイクロ波の広がりが変化する原理については、以下で説明する。
まず、図5を用いて定在波504における電界501・磁界502・電流503の関係について説明する。進行波は電界501と磁界502の方向は90°ずれており、位相は同一である。これに対し、定在波504は電界501と磁界502の方向は90°ずれており、位相はπ/2ずれている。よって、定在波504が発生している矩形導波管401内の電界501と磁界502の関係は図5のようになる。
これは、定在波504の場合は、進行波が導波手段201の終端部203で反射する際に、電界501の位相がπ/2ずれることが主な原因である。なお、電流503は導波手段201の表面を磁界502に直交する方向に流れる。
定在波504が発生している矩形導波管401のH面402に第一のマイクロ波放射部102を配置した場合の、マイクロ波の指向性についての原理説明を行なう。
図5に示すように導波手段201内の定在波504について、概腹位置505と概節位置506に第一のマイクロ波放射部102が配置された場合について考える。本発明における腹および節とは、導波手段201の伝送方向204における電界501の強弱を指しており、伝送および電界方向に対して直角方向205における電界501の強弱を意味してはいない。
第一のマイクロ波放射部102における電流503の伝送方向204成分と伝送および電界方向に対して直角方向205成分を考えた場合、概腹位置505に置かれた第一のマイクロ波放射部102における電流503には伝送および電界方向に対して直角方向205成分が多い。
電流503の流れる方向と電界501が広がる方向は同一であるので、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波は、主に伝送および電界方向に対して直角方向205に広がる。
また、概節位置506に置かれた第一のマイクロ波放射部102における電流503には伝送方向204成分が多い。このため、導波手段201から加熱室103へ放射されるマイクロ波は、主に導波手段201の伝送方向204に広がる。
<腹・節位置配置で幅・伝送方向に放射させることの欠点>
しかしながら、マイクロ波の周波数が2.46GHzの場合、導波手段201内の定在波504の波長は約144mmであるので、概腹位置505および概節位置506は約77mm間隔でしか生じないため、第一のマイクロ波放射部102の設置位置は制限される。
例えば、導波手段201および加熱室103の固定位置が決まっており、加熱室の中央206に伝送方向204へマイクロ波を放射する第一のマイクロ波放射部102を配置しなければならない場合、導波手段201または加熱室103の寸法関係によっては、加熱
室の中央206に概節位置506がないことがある。
よって、導波手段201内の電界501の位相に大きく依存せず、導波手段201から加熱室103内に放射するマイクロ波の広がりを変化させる技術が必要不可欠となる。
<スリット角度と指向性の関係(原理説明)>
次に、第一のマイクロ波放射部102が少なくとも1つの長孔で形成されている場合の、長孔の長軸方向と導波手段の管軸207の交差角度によってマイクロ波の広がりが変化する原理について説明する。
導波手段201として図4に示すような矩形導波管401を用いている場合、マイクロ波発生手段202から発生した進行波と、導波手段201の終端部203で反射した反射波が互いに干渉し、図5に示すように導波管内に定在波504が生じる。
まず、図5を用いて定在波504における電界501・磁界502・電流503の関係について説明する。進行波は電界501と磁界502の方向は90°ずれており、位相は同一である。これに対し、定在波504は電界501と磁界502の方向は90°ずれており、位相はπ/2ずれている。よって、定在波504が発生している矩形導波管401内の電界501と磁界502の関係は図5のようになる。
これは、定在波504の場合は、進行波が導波手段201の終端部203で反射する際に、電界501の位相がπ/2ずれることが主な原因である。なお、電流503は導波手段201の表面を磁界502に直交する方向に流れる。
次に、図5に示したような電界501・磁界502・電流503の分布を有した導波手段201のH面402に、第一のマイクロ波放射部102として長孔を配置した場合を考える。
長孔が電流503の流れを遮ることにより、電流503が流れてきた側の長孔の周囲には電子がたまり、他方の長孔の周囲より電位が高くなる。片側の電位が高くなるため、他方の長孔の周囲との間に電界501が生じる。
マイクロ波放射部が長孔の場合、長辺同士の距離は短辺同士の距離より短いため、電界501は長辺同士間に生じ易い。
よって、長孔の長軸方向210に直角な方向に電界501分布が生じるため、長孔の長軸方向と導波手段の管軸207の交差角度を変化させることにより、マイクロ波の広がる方向も変化する。
以上より、長孔の長軸方向と導波手段の管軸207の交差角度が45°より小さい場合は、主に伝送および電界方向に対して直角方向205にマイクロ波が広がり、長孔の長軸方向と導波手段の管軸207の交差角度が45°より大きい場合は、主に伝送方向204にマイクロ波が広がる。
<スリット角度により指向性を調整することの欠点>
しかしながら、第一のマイクロ波放射部102が少なくとも1つの長孔で形成されており、長孔の長軸方向と導波手段の管軸207の交差角度によってマイクロ波の広がりが変化させる場合、第一のマイクロ波放射部102の形状が、導波手段201の寸法(特に幅寸法)に制限さることが挙げられる。
<アンテナについて>
よって、導波手段201の寸法(特に幅寸法)に制限されず、導波手段201内の電界501の位相に大きく依存せずに、導波手段201から加熱室103内に放射するマイクロ波の広がりを変化させる技術が必要不可欠となる。
そこで、本発明では、第一のマイクロ波放射部102と離間して形成された第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106を設け、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107の開口の少なくとも一部が重畳する構成としている。
これにより、導波手段201と載置台104との間の空間にアンテナ106を配置することで、導波手段201の寸法(特に幅寸法)に制限されることなく、導波手段201内の電界501の位相に大きく依存せずにマイクロ波の広がりを変化させる方法について述べる。
<開口付アンテナにより加熱中心が移動する原理>
第一のマイクロ波放射部102上に第二のマイクロ波放射部107を設けた場合、第一のマイクロ波放射部102から放射されたマイクロ波のうち、一部のマイクロ波は第二のマイクロ波放射部107を直接通過し、一部のマイクロ波はアンテナ106に平行な成分を有する方向へ反射または導波される。残りのマイクロ波はアンテナ106の第二のマイクロ波放射部107以外の面で反射する。または、アンテナ106に関与せず加熱室103に直接放射される。
上記のアンテナ106に平行な成分を有する方向へ反射または導波されるマイクロ波は、導波手段201から第一のマイクロ波放射部102を通過して、加熱室103へ放射される原理と同様に、第二のマイクロ波放射部107を通過して、加熱室103へ放射される。
よって、アンテナ106に平行な成分を有する方向へ反射または導波されるマイクロ波の一部と、第一のマイクロ波放射部102から第二のマイクロ波放射部107を直接通過するマイクロ波により、図6に示すように、第二のマイクロ波放射部107上の電界分布を強めることが可能となる。
<磁界アンテナの共振を利用して加熱中心を移動する原理>
また、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107が磁界型アンテナであり、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107との距離が、第一のマイクロ波放射部102から放射されたマイクロ波の空気中の波長λの2π分の1の場合においては、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107との間でマイクロ波の共振が生じる可能性がある。
なお、通常電子レンジで用いられる発振周波数である2.45GHzの場合は、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107との距離が、約20mm以内の場合に共振が生じる可能性がある。
共振を生じさせる条件としては、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107との距離、マイクロ波発生手段202の発振周波数、第一のマイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波の磁界分布、第二のマイクロ波放射部107の形状、第一のマイクロ波放射部102に対する第二のマイクロ波放射部の伝送方向と伝送および電界方向に対して直角方向205の距離を、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107との間のリアクタンス成分が0に近くなるように設定する必要がある。
共振が生じた場合には、第一のマイクロ波放射部102から放射された大部分が第二のマイクロ波放射部107を通過するため、より顕著に第二のマイクロ波放射部107上の電界分布を強めることが可能となる。
<開口からの距離と加熱強度の関係>
次に、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107と被加熱物間の距離によるマイクロ波加熱の強弱について説明する。
第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107から放射されたマイクロ波は、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107からの距離が長くなるに従って、マイクロ波の電界強度は低下する傾向がある。
よって、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107から見て、同一直線状に複数の被加熱物を置いた場合、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107に近い位置の被加熱物の方が、強く加熱される傾向がある。
<具体構成、作用・効果>
以下に、本実施の形態における具体的な構成および作用、効果を説明する。
図2に示すように、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101である電子レンジは、被加熱物を収納する加熱室103と、マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段202と、マイクロ波を伝送する導波手段201と、導波手段201に設けられ加熱室103内にマイクロ波を放射し伝送方向204に配され開口で形成された複数の第一のマイクロ波放射部102と、少なくとも1つの第一のマイクロ波放射部102と離間して配され、開口で形成された第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106とを備え、第二のマイクロ波放射部107の開口の中心208を第一のマイクロ波放射部102の開口の中心208から、導波手段201の電界方向507以外の方向に設けている。
これにより、導波手段201の伝送方向204に構成した複数の第一のマイクロ波放射部102から加熱室103内にマイクロ波を放射するので、加熱室103の複数の位置から被加熱物にマイクロ波を放射することが可能となり、単一の第一のマイクロ波放射部102による加熱と比較して、加熱室103に置かれた被加熱物に対して広範囲に渡って、効率良くマイクロ波加熱をすることが可能となる。
さらに、少なくとも1つの第一のマイクロ波放射部102と離間して配され、開口で形成された第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106とを備え、第二のマイクロ波放射部107の開口の中心208を第一のマイクロ波放射部102の開口の中心208から、導波手段201の電界方向507以外の方向に設けることで、図6に示すように、アンテナ106および第二のマイクロ波放射部107の設置位置により、マイクロ波の放射方向を定めることができ、加熱室の中央206に置かれた被加熱物に対して高効率で加熱することや、任意の場所を局所的に加熱すること、加熱室103内に均一に分散するよう放射させることにより、均一加熱性能の向上が可能となる。
さらに、第一のマイクロ波放射部102から離間して第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106を配置することにより、庫内定在波分布を定めることで、第一のマイクロ波放射部102のみで庫内定在波分布を定める際に生じる課題である、第一のマイクロ波放射部102の設置位置が管内定在波の波長に大きく制限されることや、導波手段201の幅寸法に上限があるため、マイクロ波放射部の形状が制限されることを解決することができ、均一加熱性能および任意の場所を局所的に加熱する性能を向上させること可能となる。
また上記の構成に加え、第二のマイクロ波放射部107の開口の中心208を第一のマイクロ波放射部102の開口の中心208から、導波手段201の伝送方向204に設けている。
これにより、アンテナ106に第二のマイクロ波放射部107を有していない場合と比較して、第一のマイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波の伝送方向204成分を増加させることにより、第一のマイクロ波放射部102を配置できない導波手段201の終端部203の外側に第二のマイクロ波放射部107を通じて、マイクロ波を放射することが可能となる。
よって、庫内定在波分布においても導波手段201の伝送方向204に強くすることが可能となり、広範囲に置かれた被加熱物に対するマイクロ波加熱の均一性を向上できる。また、同様の理由により、導波手段の終端部203の外側の一部を局所的に加熱することが可能となる。
なお、第一のマイクロ波放射部102の数および位置が加熱室の中央206に対して非対称である場合や、全ての第一のマイクロ波放射部102が同一形状でない場合、第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106が他の第一のマイクロ波放射部102上にも配置されている場合、第二のマイクロ波放射部107の形状およびアンテナ106の形状が同一でない場合においても本発明に含まれる。
また、第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106がモータなどの駆動部によって回転し、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107との位置関係が、瞬間的に本発明と同様の構成となる場合においても、同様の効果を得られるため、本発明に含まれる。
(実施の形態2)
以下に、本実施の形態2における具体的な構成および作用、効果を説明する。
図7〜図10は、本発明の実施の形態2におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。図7は、導波手段と第一のマイクロ波放射部と第二のマイクロ波放射部とアンテナとマイクロ波発生手段の位置関係を説明する図である。図8は、第一のマイクロ波放射部と第二のマイクロ波放射部を有するアンテナとの位置関係を説明する要部断面の模式図である。図9は、円偏波を放射するマイクロ波放射部の形状の例を示した図である。
図10は、単一の第一のマイクロ波放射部に対して、第二のマイクロ波放射部を有するアンテナを配置した給電構成において、第一のマイクロ波放射部の開口中心と第二のマイクロ波放射部の開口中心との導波手段の伝送および電界方向に対して直角方向の距離(導波手段の管軸側の方向を負とする)と第二のマイクロ波放射部からのマイクロ波の放射方向との関係を説明するための図であり、この結果は電磁界解析により求めた。
なお、図面において、実施の形態1と同一動作を示す部分は同一番号を付与している。また、実施の形態2における基本的な動作は実施の形態1と同様であるとして、発明の主要点でない限り説明を省略し、以下その動作、作用を説明する。
<円偏波、直線偏波とは>
初めに、円偏波の特徴および円偏波を用いたマイクロは加熱の利点について説明する。円偏波とは、移動通信および衛星通信の分野で広く用いられている技術である。身近な使用例としては、ETC(Electronic Toll Collection System)「ノンストップ自動料金収受システム」などが挙げられる。円偏波は、電界501の偏波面が電波の進行方向に対して時間に応じて回転するマイクロ波であり、円偏波
を形成すると電界501の方向が時間に応じて変化し続けるので、加熱室103内に放射されるマイクロ波の放射角度も変化し続け、時間的に電界強度の大きさが変化しないという特徴を有している。
前記の特徴により、従来のマイクロ波加熱装置に用いられている直線偏波によるマイクロ波加熱と比較して、広範囲にわたってマイクロ波が分散放射されて、被加熱物を均一に加熱することができるようになる。特に、円偏波を発生する第一のマイクロ波放射部102の直上に置かれた被加熱物に対して、円偏波の周方向に対して均一加熱の傾向が強い。
なお、円偏波は回転方向から右旋偏波(CW:clockwise)と左旋偏波(CCW:counter clockwise)の2種類に分類されるが、加熱性能に違いはない。
なお、円偏波に対して、導波手段201内のマイクロ波の電場および磁場の振動方向が一定方向であるのが直線偏波である。直線偏波を加熱室103内に放射する従来のマイクロ波加熱装置においては、マイクロ波分布の不均一さを低減するために、被加熱物を載置するテーブルを回転させる構造や、導波手段201から加熱室103へマイクロ波を放射するアンテナ106を回転させる構造などを設置する必要がある。
よって、従来の直線偏波を用いたマイクロ波加熱装置によるマイクロ波加熱で問題とされていた、直接波と反射波の干渉によって加熱室103内に生じる定在波504を緩和することが可能となり、円偏波を発生する第一のマイクロ波放射部102の直上に置かれた被加熱物に対して、均一なマイクロ波加熱を実現することができる。
<楕円偏波も含む>
なお、本発明における円偏波とは、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107からのマイクロ波の広がりが正確な真円となっている場合のみを意味しているのではなく、マイクロ波の広がりが楕円となっているなどの場合も含んでいる。
つまり、電界501の方向が時間に応じて変化し続けることで、加熱室103内に放射されるマイクロ波の放射角度も変化し続け、時間的に電界強度の大きさが変化しないという特徴を有しているものも円偏波と呼んでいる。
<円偏波の活用方法の違い(通信−加熱調理)>
次に、円偏波の利用において、開放空間の通信分野と閉空間の加熱の分野では、いくつか異なる点があるので説明を加える。通信分野では、他のマイクロ波との混在を避けて必要な情報のみを送受信する必要があるため、送信側は右旋偏波か左旋偏波のどちらかに限定して送信し、受信側もそれに合わせた最適な受信アンテナを選ぶことになる。
一方、加熱の分野では、指向性を有する受信アンテナの代わりに、特に指向性のない食品などの被加熱物がマイクロ波を受けるので、マイクロ波が全体に均等に当たることのみが重要となる。
よって、加熱の分野では右旋偏波と左旋偏波が混在しても問題はないが、逆に被加熱物の置き位置や形状によって不均等な分布になるのをできるだけ防ぐ必要がある。例えば、単一の円偏波開口の場合、被加熱物を円偏波開口の真上に置くと良いが、前後あるいは左右にずらして置くと、円偏波開口に近い部位が加熱されやすく、遠い部位は加熱されにくく、結果として加熱ムラが生じてしまう。よって、複数の円偏波開口を配置することが望ましい。
なお、第一のマイクロ波放射部102について本実施の形態のようにTE10モードでマイクロ波を伝送している場合において、導波手段201における導波手段の管軸207を境界にして、円偏波開口から放射される円偏波の方向が逆(右旋偏波および左旋偏波)になるが、このように配置することは通信分野では考えられないことであり、本発明で初めて実現させた加熱分野ならではの配置である。
<第一・第二の開口共に円偏波開口を用いる利点>
なお、第一のマイクロ波放射部102および第二のマイクロ波放射部107に円偏波を放射するマイクロ波放射部701を用いることにより、円偏波の特長である電界501の偏波面が電波の進行方向に対して直角方向成分を多く有することから、第一のマイクロ波放射部102から放射されたマイクロ波はアンテナ106に平行な成分を多く有している。
このため、前述の第二のマイクロ波放射部107に設けられた長孔の長軸方向と導波手段の管軸207の交差角度により定まる放射方向へ効果的にマイクロ波を広げることが可能となる。
<円偏波開口形状>
次に、円偏波を放射するマイクロ波放射部701のその他の形状について説明する。特にここでは、少なくとも2つ以上の長孔により構成される第一のマイクロ波放射部102について述べる。
形状の例を示した図9(a)〜(g)のように、2つ以上の長孔により構成されており、このうちの少なくとも1つの長孔の長辺をマイクロ波の伝送方向204に対して傾いた形状となっていれば良い。よって、図9の(e)および(f)のように交差していない形状や、図9の(d)のように3つの長孔により構成されている形状でも良い。
なお、2つの長孔により構成されている円偏波を放射するマイクロ波放射部701の最良な形状の条件としては以下の3点が挙げられる。
1点目は、各長孔の長辺の長さは導波手段201内の管内波長λgの約1/4以上であることである。2点目は、2つの長孔はお互いに中央部で交差していることである。3点目は、第一のマイクロ波放射部102においては、導波手段201の伝送方向204に平行かつ第一のマイクロ波放射部102の中心を通る直線を軸として、電界501の分布が軸対照とならないことである。
例えば、TE10モードでマイクロ波を伝送している場合においては、導波手段201における導波手段の管軸207を対称軸として電界501が分布しているので、第一のマイクロ波放射部102の形状が、導波手段201における導波手段の管軸207に対して軸対照とならないように配置することが条件となる。
<正Xの円偏波開口>
なお、本実施の形態では、円偏波を放射するマイクロ波放射部701を、二つの長孔が交差する略X字状の構成としている。これにより、簡単な構成で確実に円偏波を放射することができる。
<潰れXの円偏波開口>
また、図9の(a)に示したように、長孔を直交させずに傾斜させて構成することによりX字が押しつぶされたような形状の第一のマイクロ波放射部102とした場合でも、真円から変形し楕円となるものの、円偏波を放射することができ、放射されるマイクロ波に
指向性を持たせることができる。
また、第一のマイクロ波放射部102においては、上記の構成により、円偏波開口の長孔を小さくすることなく、第一のマイクロ波放射部102の中心をより導波手段201の端部に寄せることができ、導波手段201の伝送および電界方向に対して直角方向205に庫内定在波分布を強め、加熱室103の広範囲に置かれた被加熱物に対する均一加熱性能を向上できる。
<円偏波開口その他の形状>
また、図9の(e)および(f)に示したように、L字型やT字型に構成することで、特許文献2のように離して配置するときにも応用できる可能性がある。特許文献2によれば図14(b)のように、二つの長孔は直交関係でなくても30°程度なら傾けても円偏波が放射されると示されている。
また、図9の(b)、(c)、(d)、(e)および(g)に示したように、第一のマイクロ波放射部102においては、導波手段201の伝送方向204に平行な軸または、導波手段201の伝送および電界方向に対して直角方向205に平行な軸に対して、軸対称とならない形状の第一のマイクロ波放射部102においても円偏波を放射することが可能である。
また、長孔とは言うものの、長方形に限定されるものではない。開口のコーナー部にRをつけるとか楕円状にするなどしても円偏波を発生することも可能である。基本的な円偏波開口の考え方としては、一方向に長めでその直角方向には短めである長細い形状のものを二つ組み合わせればよいと推察される。
<H面に開口を配置>
なお、円偏波としては特許文献1や特許文献2のように導波管1200,1300壁面の開口1202,1301で構成するものや、特許文献3に示されたようなパッチアンテナ1401で構成するものがあるが、本実施の形態の円偏波を放射する第一のマイクロ波放射部102は、特許文献1に示されたものと同様に導波手段201のH面402に形成して円偏波を放射するものである。
なお、上述の通り、直線偏波と比較して、円偏波による加熱は円偏波を放射するマイクロ波放射部701上の被加熱物に対して、円周方向に均一に加熱することができる。特に導波手段201の伝送および電界方向に対して直角方向205に対称に配置すると渦の巻き方が互いに逆になるので、導波手段201の中央側での向きは同方向となり、打消し合うことがない。よって放射したマイクロ波の損失を低減することがでる。
<具体構成、作用・効果>
以下に、本実施の形態における具体的な構成および作用、効果を説明する。
図7および図8に示すように、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101である電子レンジは、第一のマイクロ波放射部102上に第二のマイクロ波放射部107の開口の中心208を第一のマイクロ波放射部102の開口の中心208から、導波手段201の伝送および電界方向に対して直角方向205に設けている。
これにより、アンテナ106に第二のマイクロ波放射部107を有していない場合と比較して、図10に示すように、第一のマイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波の伝送および電界方向に対して直角方向205成分を増加させることにより、第一のマイクロ波放射部102を配置できない導波手段201の幅より外側に第二のマイクロ波放射部107を通じて、マイクロ波を放射することが可能となる。
よって、庫内定在波分布においても導波手段201の伝送および電界方向に対して直角方向205に強くすることが可能となり、広範囲に置かれた被加熱物に対するマイクロ波加熱の均一性を向上できる。また、同様の理由により、導波手段201の幅より外側の一部を局所的に加熱することが可能となる。
また上記の構成に加え、第一のマイクロ波放射部102または第二のマイクロ波放射部107の少なくとも1つが、円偏波を放射する構成としている。
これにより、各円偏波放射部の中心から渦を巻くようにマイクロ波が放射されるので、直線偏波を放射する放射部と比べてマイクロ波放射部上の被加熱物を円周方向に均一に加熱することができる。
なお、第一のマイクロ波放射部102の数および位置が加熱室の中央206に対して非対称である場合や、全ての第一のマイクロ波放射部102が同一形状でない場合、第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106が他の第一のマイクロ波放射部102上にも配置されている場合、第二のマイクロ波放射部107の形状およびアンテナ106の形状が同一でない場合においても本発明に含まれる。
また、第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106がモータなどの駆動部によって回転し、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107との位置関係が、瞬間的に本発明と同様の構成となる場合においても、同様の効果を得られるため、本発明に含まれる。
(実施の形態3)
以下に、本実施の形態3における具体的な構成および作用、効果を説明する。
図11〜図12は、本発明の実施の形態3におけるマイクロ波加熱装置の説明図である。図11は、導波手段と第一のマイクロ波放射部と第二のマイクロ波放射部とアンテナとマイクロ波発生手段の位置関係を説明する図である。図12は、第一のマイクロ波放射部と第二のマイクロ波放射部を有するアンテナとの位置関係を説明する要部断面の模式図である。
なお、図面において、実施の形態1および実施の形態2と同一動作を示す部分は同一番号を付与している。また、実施の形態3における基本的な動作は実施の形態1および実施の形態2と同様であるとして、発明の主要点でない限り説明を省略し、以下その動作、作用を説明する。
<具体構成、作用・効果>
以下に、本実施の形態における具体的な構成および作用、効果を説明する。
図11に示すように、本実施の形態のマイクロ波加熱装置101である電子レンジは、第二のマイクロ波放射部107の開口の中心208が第一のマイクロ波放射部102の開口の中心208から、導波手段201の伝送方向204と伝送および電界方向に対して直角方向205に距離を有するよう設けている。
これにより、第一のマイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波の伝送方向204成分と伝送および電界方向に対して直角方向205成分の両方を増加させることにより、第一のマイクロ波放射部102から放射されるマイクロ波の任意の方向成分を増加させ、第一のマイクロ波放射部102の配置に制限されることなく、加熱室103の特定の部分を局所的に加熱することが可能となる。
例えば、加熱室の中央206に第一のマイクロ波放射部102を有していない場合でも、任意の第一のマイクロ波放射部102に対して、第二のマイクロ波放射部107を有するアンテナ106を加熱室の中央206側に配置することにより、加熱室の中央206に置かれた被加熱物に対する加熱効率を向上させることが可能となる。
特に、図11および図12に示すように、加熱室の中央206に最も近い第一のマイクロ波放射部102の開口の中心208と加熱室の中央206を結ぶ直線状に第二のマイクロ波放射部107の開口の中心208を設置することで効果的に加熱室の中央206に置かれた被加熱物に対する加熱効率を向上させることが可能となる。
また上記の構成に加え、第一のマイクロ波放射部102または第二のマイクロ波放射部107の少なくとも1つにおいて、円偏波を放射するマイクロ波放射部701は、二つの長孔が交差する略X字状の構成としている。
これにより、簡単な構成で確実に円偏波を放射することができ、信頼性の向上および給電部の小型化を実現することができる。
なお、第一のマイクロ波放射部102の数および位置が加熱室の中央206に対して非対称である場合や、全ての第一のマイクロ波放射部102が同一形状でない場合、第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106が他の第一のマイクロ波放射部102上にも配置されている場合、第二のマイクロ波放射部107の形状およびアンテナ106の形状が同一でない場合においても本発明に含まれる。
また、第二のマイクロ波放射部107を有したアンテナ106がモータなどの駆動部によって回転し、第一のマイクロ波放射部102と第二のマイクロ波放射部107との位置関係が、瞬間的に本発明と同様の構成となる場合においても、同様の効果を得られるため、本発明に含まれる。
以上のように、本発明のマイクロ波加熱装置は、被加熱物への均一照射ができるので、個食食品の加熱加工や殺菌などを行うマイクロ波加熱装置などに有効に利用することができる。
101 マイクロ波加熱装置(電子レンジ)
102 第一のマイクロ波放射部
103 加熱室
106 アンテナ
107 第二のマイクロ波放射部
201 導波手段
202 マイクロ波発生手段
204 伝送方向
205 伝送および電界方向に対して直角方向
208 開口の中心
507 電界方向

Claims (6)

  1. 被加熱物を収納する加熱室と、
    マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、
    前記マイクロ波発生手段で発生されたマイクロ波を伝送する導波手段と、
    前記導波手段に設けられ前記加熱室内にマイクロ波を放射し伝送方向に配され開口で形成された複数の第一のマイクロ波放射部と、
    少なくとも1つの前記第一のマイクロ波放射部と離間して配され開口で形成された第二のマイクロ波放射部を有したアンテナとを備え、
    前記第二のマイクロ波放射部の開口中心が前記第一のマイクロ波放射部の開口中心から、前記導波手段の電界方向以外の方向に設けられるマイクロ波加熱装置。
  2. 前記導波手段の電界方向以外の方向は、前記導波手段の伝送方向である請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
  3. 前記導波手段の電界方向以外の方向は、前記導波手段の伝送および電界方向に対して直角方向である請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
  4. 前記導波手段の電界方向以外の方向は、前記導波手段の伝送方向と伝送および電界方向に対して直角方向である請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
  5. 前記第一のマイクロ波放射部および前記第二のマイクロ波放射部のうちの少なくとも1方またはその両方が、円偏波を放射する構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
  6. 前記第一のマイクロ波放射部および前記第二のマイクロ波放射部のうちの少なくとも1方またはその両方が、二つの長孔が交差する略X字状の構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019087411A (ja) * 2017-11-07 2019-06-06 国立研究開発法人産業技術総合研究所 被加熱体の加熱領域制御方法、化学反応方法、及びマイクロ波照射システム
CN115665914A (zh) * 2022-12-22 2023-01-31 河北科技大学 多源微波加热装置
WO2023074551A1 (ja) 2021-10-27 2023-05-04 パナソニックIpマネジメント株式会社 マイクロ波加熱装置

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