JP5810528B2 - 転写フィルム、樹脂積層体及びそれらの製造方法 - Google Patents

転写フィルム、樹脂積層体及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は転写フィルム、樹脂積層体及びそれらの製造方法に関する。
アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂は工業用資材、建築用資材等の各種資材として広く使用されている。特に近年では、その透明性と耐衝撃性の観点から、CRT、液晶テレビ、プラズマディスプレイ等の各種ディスプレイの前面板等として使用されている。
近年、前面板においては各種機能付与が求められている。その要求機能の一つとして反射防止機能が挙げられる。反射防止機能は、前面板に写る室内の蛍光灯等の反射光を低減し、画像をより鮮明に表示するための機能である。反射防止機能の付与方法としては、例えば、前面板の表面に反射防止層を形成する方法が挙げられる。また、反射防止層の表面には、更に、撥水機能及び撥油機能を有する汚れ防止(防汚)機能を付与することが求められるようになっている。反射防止層の表面に汚れが付着するとその箇所の変色が際立ってしまい、画像表示部材の視認性低下につながるためである。
このような状況において、可撓性の小さなプラスチック板等の基材表面に各種機能層を形成させる方法として、例えば、特許文献1に開示されているように、プラスチックフィルムの片面に少なくともハードコート層(b)と薄膜塗付層(c)を有し、プラスチックフィルムの他の面に粘着層(d)を有する耐スクラッチ性、防汚性、反射防止性等に優れたフィルムを基材表面に貼り合わせる方法が知られている。しかしながら、機能層を形成するための基材となるプラスチックフィルムが存在するため、ヘーズ値の上昇、切断時のフィルム剥離の問題、二次加工性が困難であるという問題、耐久試験(80℃)中にフィルムと基材界面に気泡が発生する問題等があった。
これらの問題を解決するため、例えば、特許文献2には、材料の表面に、転写法により機能性層を積層し機能性層を付与するために使用される防汚層、機能性層を基材の一方の面に順に設けた、防汚層中のフッ素の質量割合が前記機能性層より前記基材側に多く分布している機能性層転写フィルムが提案されている。
前記防汚層を形成するための一つの方法として、パーフルオロアルキル防汚剤が従来使用されている。しかしながら、これを直接印刷のように塗付する湿式法にて防汚層を形成した場合、防汚層中のフッ素の質量割合が前記機能層側に多く分布したものとなり、転写後に得られる材料表面には充分な防汚機能を付与することができないという問題があった。特許文献2にはこの問題を解決するために、プラズマCVD法等の乾式法により防汚層付き転写フィルムを作製する手法が提案されている。しかしながら、特許文献2に開示された方法は製造コストが高く、更なる改良が求められていた。
前記乾式法の問題を解決する方法として、例えば特許文献3には、プラスチックフィルムの片面に離型層、防汚性を有する機能性層、反射防止層及び接着層が順次積層された反射防止用転写フィルムが提案されている。しかしながら、前記転写フィルムに使用される離型用フィルム(離型層を有するプラスチックフィルム)の離型される表面は表面張力が高いことから、基材上に転写して得られる積層体の防汚性としては、撥水性には優れるものの、撥油性については不十分であった。
このような状況において、表面張力が高いフィルムを使用し、反射防止層等の機能層の積層が可能であり、湿式法による防汚層が形成された、撥水性及び撥油性に優れ、且つ、透明性、耐擦傷性及び耐汗性に優れた樹脂積層体を提供可能な転写フィルムの出現が求められていた。
特開2000−94584号公報 特開2005−96322号公報 特開2003−103680号公報
本発明の目的とするところは、表面張力が高いフィルムを使用し、反射防止層等の機能層の積層が可能であり、湿式法による防汚層が形成された、撥水性及び撥油性に優れ、且つ、透明性、耐擦傷性及び耐汗性に優れた積層体を提供可能な転写フィルム、及びその製造方法を提供することである。また、撥水性及び撥油性に優れ、且つ、透明性、耐擦傷性及び耐汗性に優れた樹脂積層体及びその製造方法を提供することである。
本発明に係る転写フィルムは、透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜が積層された転写フィルムであって、前記防汚硬化膜の透明基材フィルムと接していない面の水接触角(1)が100度以下であり、前記防汚硬化膜の透明基材フィルムと接している面の水接触角(2)が90度以上で、トリオレインの接触角(α)が55度以上であり、前記防汚硬化膜が、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)と、無機微粒子とを含む防汚組成物を硬化してなり、前記防汚組成物中に含まれるパーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の量は、前記防汚組成物中の固形分100質量部中に、10質量部以上、75質量部以下である。
本発明に係る転写フィルムは、透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜が積層された転写フィルムであって、防汚硬化膜の透明基材フィルムと接している面のX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)が0.110以下である。
本発明に係る転写フィルムは、前記無機微粒子表面が、加水分解性シラン化合物で表面処理されている。
本発明に係る転写フィルムは、前記パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)が、下記式(1)で示される化合物である。
Figure 0005810528

(式中、Wはパーフルオロポリエーテル基を表す。)
本発明に係る転写フィルムは、前記防汚硬化膜が低屈折率成分を含有する。
本発明に係る転写フィルムは、前記防汚硬化膜の透明基材フィルムと接していない面に接着層が積層されている。
本発明に係る転写フィルムは、透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜及び機能層が順次積層された転写フィルムであって、機能層が、低屈折率層、高屈折率層、ハードコート層及び帯電防止層から選ばれる少なくとも1層を含む。
本発明に係る転写フィルムは、前記機能層の防汚硬化膜と接していない面に接着層が積層されている。
本発明に係る転写フィルムは、前記接着層が熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂塗膜層又は活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層である。
本発明に係る転写フィルムの製造方法は、透明基材フィルムの表面に防汚組成物を塗布して防汚膜を形成する工程と、前記防汚膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する工程と、を含む。
本発明に係る転写フィルムの製造方法は、前記透明基材フィルムが芳香族ポリエステル化合物からなる。
本発明に係る転写フィルムの製造方法は、透明基材フィルムの表面に防汚組成物を塗布して防汚膜を形成する防汚膜形成工程と、前記防汚膜の表面に、アルコール、エステル、エーテル、ケトンから選ばれる少なくとも1種の液状有機化合物を塗布する液状有機化合物塗布工程と、前記塗布した液状有機化合物を揮発させる揮発工程と、防汚膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する防汚硬化膜形成工程と、を含む。
本発明に係る樹脂積層体の製造方法は、前記転写フィルムの接着層と樹脂基材とを接着する工程と、前記防汚硬化膜から前記透明基材フィルムを剥がし樹脂積層体を得る工程と、を含む。
本発明に係る樹脂積層体の製造方法は、前記接着層が活性エネルギー線硬化性混合物を含み、前記転写フィルムの接着層と樹脂基材とを接着する工程の後、接着層に対し活性エネルギー線を照射し、前記活性エネルギー線硬化性混合物を硬化させて硬化塗膜層とする。
本発明に係る樹脂積層体は、前記樹脂積層体の製造方法により製造される樹脂積層体であって、露出している防汚硬化膜表面の水接触角が90度以上、トリオレインの接触角(α)が55度以上であり、X線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)が0.110以下である。
本発明によれば、表面張力が高いフィルムを使用し、反射防止層等の機能層の積層が可能であり、湿式法による防汚層が形成された、撥水性及び撥油性に優れ、且つ、透明性、耐擦傷性及び耐汗性に優れた積層体を提供可能な転写フィルムを提供できる。また、撥水性及び撥油性に優れ、且つ、透明性、耐擦傷性及び耐汗性に優れた樹脂積層体を提供できる。
[透明基材フィルム]
本実施形態で使用される透明基材フィルムは、本実施形態の転写フィルムを後述する樹脂基材の表面に積層した後に剥離して除去される。透明基材フィルムとしては、従来転写用剥離フィルムとして使用されているもの、例えば、活性エネルギー線透過性フィルム等を使用することができる。また、本実施形態においては、透明基材フィルムとして表層に剥離層を有する積層フィルムを使用することができる。
透明基材フィルムとしては、透明基材フィルムの表面に防汚組成物を塗布して防汚膜を形成する際にハジキ欠陥(塗膜の一部に下地が露出する現象)が発生せず、良好な製膜性を有する観点から、透明基材フィルム又は剥離層の表面の臨界表面張力が40mN/m以上である活性エネルギー線透過性フィルムが好ましい。
尚、本実施形態において、臨界表面張力はZismanプロットにより算出することができる。即ち、表面張力が異なる数種の標準液を調製し、これらの標準液をフィルムの表面に滴下して標準液とフィルム表面との接触角(θ)を測定する。得られた接触角(θ)からcosθ値を算出し、このcosθ値と標準液の表面張力の値とをプロットし、このZismanプロットの直線とcosθ=1で示される直線との交点における表面張力の値を臨界表面張力とする。
透明基材フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等の合成樹脂フィルム、これらの複合フィルム状物又は複合シート状物及びそれらに剥離層を積層したものが挙げられる。透明基材フィルムとしては、PETフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム(以下、「PENフィルム」という)、ポリブチレンテレフタレートフィルム(以下、「PBTフィルム」という)、ポリブチレンナフタレートフィルム(以下、「PBNフィルム」という)、ポリトリメチレンテレフタレートフィルム(以下、「PTTフィルム」という)等に代表される、芳香族ポリエステル化合物からなるフィルムへ直接防汚膜を形成することが好ましい。透明基材フィルムとしては、PETフィルム、PENフィルムがより好ましい。これらフィルムへ直接防汚膜を形成することにより、防汚組成物中に含まれるパーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の量が少ない場合にも、透明基材フィルムと接している面の水接触角(2)及びトリオレインの接触角(α)を高くすることが可能である。その結果、擦傷性を向上させる成分を多量に添加でき、樹脂積層体表面の擦傷性が良好となる。
透明基材フィルムの厚さとしては特に制限はないが、しわ、亀裂等のない転写フィルムを容易に製造できる観点から4μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましく、30μm以上が更に好ましい。また、透明基材フィルムの厚さとしては、コスト、紫外線透過率の観点から500μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、120μm以下が更に好ましい。
透明基材フィルム表面からの防汚硬化膜の剥離性が低い場合には、透明基材フィルム表面に剥離層を設けても良い。透明基材フィルム表面に剥離層を形成する場合、剥離層形成材料としては、公知の剥離層を形成するためのポリマーやワックス等を適宜選択することができる。
剥離層の形成方法としては、例えば、メラミン系、尿素系、尿素−メラミン系、ベンゾグアナミン系等の樹脂、及び界面活性剤を有機溶剤又は水に溶解させた塗料を、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等の公知の印刷法で透明基材フィルムの表面に塗布、乾燥又は硬化させて形成する方法が挙げられる。
剥離層の厚さは、例えば、0.1〜3μm程度である。剥離層が適度の厚みを有すると、防汚硬化膜から透明基材フィルムが剥離し易くなる傾向にあるため好ましい。一方、剥離層が厚すぎなければ、転写前に透明基材フィルムから防汚硬化膜が剥離しにくくなる傾向にあるため好ましい。
[防汚硬化膜]
防汚硬化膜は防汚組成物を硬化させた膜であり、防汚硬化膜の透明基材フィルムと接していない面の水接触角(1)(以下、「水接触角(1)」という。)は100度以下である。水接触角(1)は、好ましくは80度以上、95度以下である。水接触角(1)を100度以下とすることにより、防汚硬化膜の表面に後述する接着層や機能層を形成する際にハジキ欠陥の発生を抑制することができる。ここで防汚硬化膜は、部分硬化物(防汚組成物中の硬化性化合物の一部が反応して硬化したもの)を含んでもよい。
水接触角(1)を80度以上とすることにより本実施形態の樹脂積層体中の防汚硬化膜と機能層、硬化塗膜層または熱可塑性樹脂塗膜層との界面の状態を良好とすることができる。また、防汚硬化膜の表面に反射防止機能を有する機能層を形成した場合には、転写後の樹脂積層体表面の反射防止機能が良好となる。
また、防汚硬化膜の硬化度は、防汚組成物の硬化反応が進むとともに大きくなり、水接触角(1)も大きくなる。防汚硬化膜は、防汚組成物の未反応物を含むものであってもよく該防汚組成物の硬化反応によって硬化が進行可能な状態であってもよい。
防汚硬化膜は、透明基材フィルムと接している面の水接触角(2)(以下、「水接触角(2)」という。)が90度以上であり、透明基材フィルムと接している面のトリオレインの接触角(α)(以下、「トリオレインの接触角(α)」という。)が55度以上である。水接触角(2)は95度以上が好ましい。トリオレイン接触角(α)は60度以上が好ましい。水接触角(2)を90度以上、トリオレインの接触角(α)を55度以上とすることにより、転写後の樹脂積層体表面の防汚硬化膜の表面の指紋、皮脂、ファンデーション等の汚れを目立ち難くすることができる。
防汚硬化膜は、透明基材フィルムと接している面のX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)が、0.110以下であることが好ましい。転写後の積層体表面の防汚硬化膜の表面の指紋、皮脂、ファンデーション等の汚れを目立ち難くすることができるためである。
水接触角(1)の測定は転写フィルムの状態で測定される。水接触角(2)、トリオレインの接触角(α)、透明基材フィルムと接している面におけるX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)は、転写後の樹脂積層体表面の測定により得ることができる。なお、水接触角(2)、トリオレインの接触角(α)、透明基材フィルムと接している面におけるX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)は、樹脂積層体の製造条件には依存しない。具体的な測定方法については後述する。
防汚硬化膜の膜厚としては、本実施形態で得られる樹脂積層体表面の撥水性、撥油性、耐擦傷性の観点から、10nm以上が好ましく、60nm以上がより好ましい。また、光学特性の観点から、1.3μm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、110nm以下がさらに好ましい。
[防汚組成物]
防汚硬化膜を構成する防汚組成物(以下、「防汚組成物」という。)としては、熱硬化性及び活性エネルギー線硬化性から選ばれる少なくとも1種の硬化性を有するものが挙げられる。
防汚組成物の成分としては、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)が挙げられる。なお、モノマー(A)はパーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを、同一化合物内にそれぞれ独立に有する。パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の具体例としては、例えば、ジイソシアネートを3量体化させたトリイソシアネート(C)(以下、「トリイソシアネート(C)」という。)と活性水素含有化合物(D)とを反応させることにより得られるパーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A−1)(以下、「化合物(A−1)」という。)が挙げられる。
トリイソシアネート(C)を得るために使用されるジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の、イソシアネート基が脂肪族骨格に結合したジイソシアネート及びトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の、イソシアネート基が芳香族骨格に結合したジイソシアネートが挙げられる。
活性水素含有化合物(D)としては水酸基等の活性水素を含む化合物が挙げられる。活性水素含有化合物(D)の具体例としては、1つの活性水素を有するパーフルオロポリエーテル(D−1)(以下、「ポリエーテル(D−1)」という。)及び活性水素と炭素−炭素二重結合とを有する単量体(D−2)(以下、「単量体(D−2)」という。)が挙げられる。
ポリエーテル(D−1)としては、例えば、パーフルオロポリエーテル基及び1つの分子末端に1つの水酸基を有する化合物が挙げられる。ポリエーテル(D−1)の具体例としては、下記式(2)に示される化合物が挙げられる。
Figure 0005810528

(式中、Xはフッ素原子、Y及びZはそれぞれフッ素原子又はトリフルオロメチル基、aは1〜16の整数、cは0〜5の整数、b、d、e、f及びgは0〜200の整数、並びにhは0〜16の整数である。)
前記式(2)において、a〜hの数値が大きすぎなければ分子量が大きくなり過ぎず、溶解性が良好となる傾向がある。一方、a〜hの数値が小さすぎなければ撥水性及び撥油性が良好となる傾向がある。
単量体(D−2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、本実施形態において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
化合物(A−1)の合成法としては、例えば、トリイソシアネート(C)の一つのイソシアネート基にポリエーテル(D−1)を反応させ、残りの二つのイソシアネート基に単量体(D−2)を反応させることにより得ることができる。該反応はトリイソシアネート(C)にポリエーテル(D−1)及び単量体(D−2)を同時に反応させてもよいし、順次反応させてもよい。
化合物(A−1)の具体例としては、前記式(1)に示される化合物が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)は、前記式(1)で示される化合物であることが撥水性、撥油性が良好である観点から好ましい。
パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の他の例としては、イソシアネート基と1個もしくは2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを同一化合物内に有する化合物(E)と、分子末端に少なくとも一つの活性水素を有するパーフルオロポリエーテル(F)とを反応させて得られる化合物(A−2)(以下、「化合物(A−2)」という。)を用いてもよい。分子末端に少なくとも一つの活性水素を有するパーフルオロポリエーテル(F)は、市販品を用いることができ、例えばパーフルオロポリエーテルジオールとして、ソルベイソレクシス社製、商品名:FLUOROLINK D10H,FLUOROLINK D,FLUOROLINK D4000等が挙げられる。
イソシアネート基と1個もしくは2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを同一化合物内に有する化合物(E)は、市販品を用いることができ、例えば昭和電工(株)製、商品名:カレンズBEI(1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート)、カレンズAOI(2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート)、カレンズM01(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)等が挙げられる。
化合物(A−2)としては、例えば、化合物(E)のイソシアネート基と化合物(F)の水酸基とが結合した化合物として、一分子内に一つのパーフルオロポリエーテル基と一つ又は二つの(好ましくは二つの)ビニル基(又は(メタ)アクリロイルオキシ基)とを独立に有する化合物を用いることができる。ここで「独立に」とは、パーフルオロポリエーテル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とが直接結合していないことを意味する。
防汚組成物中に含まれるパーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の量は、当該組成物中の固形分100質量部中に、10質量部以上、75質量部以下含まれることが好ましい。かかる範囲内であれば、当該組成物を用いて形成された防汚硬化膜を転写して得られた樹脂積層体の表層の撥水性、撥油性および硬度が良好となる。即ち、水接触角(2)が90度以上でトリオレインの接触角(α)が55度以上となる。ここで「固形分」とは、溶剤を除く成分のことをいう。
防汚組成物を塗布する透明基材フィルムが芳香族ポリエステル化合物からなる場合、防汚組成物中に含まれるパーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の量は、当該組成物中の固形分100質量部中に、10質量部以上含まれることが好ましく、12質量部以上含まれることがより好ましい。また、50質量部以下含まれることが好ましく、30質量部以下含まれることがより好ましい。該防汚組成物では、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の含有量が少ないため、良好な樹脂積層体の表層の撥水性、撥油性を維持した状態で、硬度を更に向上させることが可能である。これにより工程数を少なくすることができ、コストの観点からも好ましい。さらに、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の含有量が少ないため、硬化度を上げても水接触角(1)を低く保つことが可能であり、反射防止性能とハジキ欠陥のバランスがより良好となる。
また、後述するように、防汚組成物を塗布した後、液状有機化合物を塗布し乾燥させて硬化させる手法の場合にも、透明基材フィルムへ直接塗布する場合と同様に、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の量は、防汚組成物100質量部中に、10質量部以上含まれることが好ましく、12質量部以上含まれることがより好ましい。また、50質量部以下含まれることが好ましく、30質量部以下含まれることがより好ましい。かかる範囲であれば良好な樹脂積層体の表層の撥水性、撥油性を維持することが可能である。
本実施形態においては、防汚組成物中には、本実施形態で規定される水接触角(1)及び水接触角(2)を有する防汚硬化膜を得る観点から、無機微粒子(B)が含まれることが好ましい。防汚組成物中の無機微粒子(B)の含有量としては、25質量部以上、90質量部以下が好ましい。なお、無機微粒子(B)の「微粒子」とは、平均粒子径が1nm〜200nmの粒子を示す。平均粒子径は粒度分布測定装置SALD−7100(製品名、島津製作所(株)製)で測定した値とする。
無機微粒子(B)の具体例としては、コロイダルシリカ、多孔質シリカ、中空シリカ、フッ化マグネシウム、氷晶石等の低屈折率微粒子及びZrO、TiO、NbO、ITO、ATO、SbO、In、SnO及びZnO等の高屈折率微粒子が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂積層体として、撥水性及び撥油性だけでなく、反射防止性能を併せ持たせる場合には、防汚膜を硬化させて得られる防汚硬化膜を低屈折率機能層として機能させ、防汚硬化膜の下層に高屈折率層を形成させることができる。この構成の樹脂積層体はコスト的に有利となる。
前記樹脂積層体を得る場合、防汚硬化膜に低屈折率成分を配合することができる。低屈折率成分としては、例えば、無機微粒子(B)のうち、屈折率1.5以下の低屈折率微粒子を用いることが好ましい。また、後述するように、無機微粒子(B)の表面の加水分解処理が容易に行える観点から、シリカ微粒子が好ましく、屈折率が低く、反射率を低下させやすい点で中空シリカがより好ましい。なお、本実施形態において、屈折率とはプリズムカプラー(メトリコン(株)製、モデル2010)を用いて594nmレーザーにより測定した値である。
無機微粒子(B)としては、防汚硬化膜における水接触角(1)を低くし、水接触角(2)をより高くすることができる観点、及び防汚硬化膜の強度を向上できる観点から、無機微粒子表面が加水分解性シラン化合物で表面処理されているものが好ましい。
無機微粒子(B)の表面に加水分解性シラン化合物を反応させる際の混合比率としては、本実施形態で得られる転写後の樹脂積層体の表面の撥水性、撥油性、耐擦傷性、耐汗性の観点から、加水分解性シラン化合物と無機微粒子(B)との合計量に対し無機微粒子(B)が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
加水分解性シラン化合物としては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加水分解性シラン化合物以外にも、例えば、公知の界面活性剤を併用することができる。例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
防汚組成物が不飽和結合を有するモノマー(A)を含有する場合、加水分解性シラン化合物としては、不飽和結合を有していることが防汚硬化膜における水接触角(2)をより高くすることができる観点から好ましい。
本実施形態においては、本実施形態で得られる樹脂積層体の表面の耐擦傷性向上の観点から、防汚組成物中に、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(以下、「架橋成分」という)を添加してもよい。防汚組成物中の架橋成分の量としては、防汚組成物中の固形分100質量部中に0〜30質量部含まれることが好ましい。
架橋成分としては、例えば、1モルの多価アルコールと2モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物、及び多価カルボン酸又はその無水物と多価アルコールと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物等が挙げられる。
1モルの多価アルコールと2モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物の具体例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキルジオールジ(メタ)アクリレート;及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等の3官能以上のポリオールポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
多価カルボン酸又はその無水物と多価アルコールと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物において、多価カルボン酸又はその無水物と多価アルコールと(メタ)アクリル酸の組合せ(多価カルボン酸又はその無水物/多価アルコール/(メタ)アクリル酸)としては、例えば、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸が挙げられる。
分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物のその他の例としては、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートの3量化により得られるポリイソシアネート1モルに対して2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の活性水素を有するアクリル系単量体3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート等のポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチレン]イソシアヌレート;エポキシポリ(メタ)アクリレート;及びウレタンポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの架橋成分は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
防汚組成物が活性エネルギー線硬化性組成物である場合、防汚組成物中には光開始剤を配合することができる。光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等のリン化合物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等のリン化合物が、防汚硬化膜の水接触角(1)を低くできる観点から好ましい。
光開始剤の添加量としては、防汚硬化膜の紫外線照射による硬化性の観点から、防汚組成物の全固形分100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましい。また、光開始剤の添加量としては、防汚硬化膜の色調を良好とし、防汚性を良好とする観点から、10質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましい。
防汚組成物が熱硬化性組成物である場合、防汚組成物中には熱硬化剤を配合することができる。熱硬化剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;及びラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等の有機過酸化物系重合開始剤が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態においては、防汚組成物には、必要に応じて、スリップ性向上剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、HALS等の光安定剤等の各種添加剤を配合することができる。添加剤の配合量としては、防汚硬化膜の透明性の観点から、防汚組成物の全固形分100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
本実施形態においては、防汚組成物の固形分濃度を調整するために、防汚組成物中に希釈溶媒を添加することができる。希釈溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール及び2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールが挙げられる。
防汚組成物の固形分濃度としては0.1〜20質量%が好ましい。防汚組成物の固形分濃度を前記範囲とすることにより、防汚組成物の貯蔵安定性を良好とすることができ、所望の膜厚にコントロールし易くなる。
[接着層]
本実施形態において、接着層は本実施形態の転写フィルムと後述する樹脂基材とを接着するための層である。接着層は本実施形態の転写フィルムの防汚硬化膜の、透明基材フィルムと接していない面に積層される場合、及び樹脂基材の、転写フィルムが積層される面に積層される場合のいずれでもよい。接着層としては、例えば、熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂塗膜層及び活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層が挙げられる。
[熱可塑性樹脂塗膜層]
熱可塑性樹脂塗膜層を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系樹脂、塩化ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、ポリアミド系樹脂、クマロンインデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、ブチラール樹脂、ロジン系樹脂及びエポキシ系樹脂が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[硬化性塗膜の層]
硬化性塗膜の層を形成するために使用される活性エネルギー線硬化性組成物としては、前述した防汚組成物に添加される分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物(架橋成分)、前記光開始剤などを含む組成物が挙げられる。
[機能層]
本実施形態の転写フィルムとしては、必要に応じて、防汚硬化膜に、低屈折率層、高屈折率層、ハードコート層及び帯電防止層から選ばれる少なくとも1層を含む機能層を積層したものとすることができる。
本実施形態の転写フィルムの防汚硬化膜上に前記機能層を積層させる場合、反射防止機能を付与させるために、防汚硬化膜の下に低屈折率層及び高屈折率層を形成させることもできる。しかし、防汚硬化膜を低屈折率としたもの(以下、「防汚低屈折率膜」という。)とすることにより、防汚硬化膜と高屈折率層の2層で反射防止機能を付与することができる。
本実施形態の転写フィルムに形成することができる防汚硬化膜と機能層との組み合わせ(防汚硬化膜/機能層)の具体例としては、防汚硬化膜/ハードコート層、防汚硬化膜/帯電防止層、防汚硬化膜/ハードコート膜層/帯電防止層、防汚硬化膜/帯電防止層/ハードコート層、防汚硬化膜/低屈折率層/高屈折率層、防汚硬化膜/低屈折率層/高屈折率層/ハードコート層、防汚低屈折率膜/高屈折率層、防汚低屈折率膜/高屈折率層/中屈折率層、防汚低屈折率膜/帯電防止層、防汚低屈折率膜/高屈折率層/ハードコート層、防汚低屈折率膜/帯電防止層/ハードコート層、防汚低屈折率膜/帯電防止層/高屈折率層、防汚低屈折率膜/高屈折率層/帯電防止層及び防汚低屈折率膜/ハードコート層が挙げられる。
低屈折率層を形成する成分としては屈折率が1.3〜1.5程度のものが好ましい。低屈折率層を形成するための原料となる低屈折率層用硬化性組成物としては、例えば、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等のシロキサン結合主体の縮合重合系硬化性化合物を含有する硬化性組成物が挙げられる。シロキサン結合主体の縮合重合系硬化性化合物の具体例としては、シロキサン系樹脂のシロキサン結合の一部が水素原子、水酸基、不飽和基及びアルコキシル基から選ばれる少なくとも1種で置換された化合物が挙げられる。
本実施形態においては、低屈折率層の大幅な低屈折率化ができる観点から、低屈折率層用硬化性組成物中にコロイダルシリカを添加することが好ましい。コロイダルシリカとしては、多孔質シリカの微粒子及び非多孔質シリカの微粒子から選ばれる少なくとも1種の微粒子を分散媒に分散させてコロイド溶液としたものが挙げられる。多孔質シリカとしては、粒子内が多孔性又は中空であり、内部に空気を含有した低密度のシリカが挙げられる。中空シリカの屈折率は1.20〜1.40であり、通常のシリカの屈折率1.45〜1.47に比較して低い。従って、本実施形態において低屈折率層の屈折率を低下させるために、中空シリカを使用することが好ましい。
本実施形態の転写フィルムにおいて、防汚硬化膜の下に低屈折率層を積層させる場合、防汚硬化膜と低屈折率層を合わせた膜厚としては、視認される波長の反射光を十分抑制できる観点から、50〜200nmが好ましく、70〜150nmがより好ましい。
高屈折率層を形成する成分としては屈折率が1.55〜2.0程度のものが好ましい。高屈折率層を形成するための原料となる高屈折率層形成用化合物としては、例えば、それ自体加水分解して金属酸化物を形成し、しかも緻密な膜を形成することが可能な金属アルコキサイドが挙げられる。金属アルコキサイドの具体例としては、下記式(3)で示される化合物が挙げられる。
式(3)
M(OR)
(式中、Mは金属を表し、Rは炭素数1〜5の炭化水素基を表し、mは金属Mの原子価であり、3又は4を表す。)
金属Mとしては、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム及びスズが挙げられる。これらの中ではチタンが好ましい。前記式(3)で示される金属アルコキサイドの具体例としては、チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンn−プロポキサイド、チタンイソプロポキサイド、チタンn−ブトキサイド、チタンイソブトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムイソプロポキサイド、アルミニウムブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイド、スズt−ブトキサイド、ジルコニウムエトキサイド、ジルコニウムn−プロポキサイド、ジルコニウムイソプロポキサイド及びジルコニウムn−ブトキサイドが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態においては、金属酸化物を形成することが可能な金属アルコキサイドを使用する場合、金属アルコキサイドに酸化錫及びアンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化インジウム及びスズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛及びアルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、五酸化アンチモン等の金属酸化物微粒子を添加することができる。これらの金属酸化物微粒子の中でも、高屈折率層の屈折率をより高くできる観点から、高屈折率の金属酸化物微粒子の少なくとも1種を高屈折率層形成用化合物に配合することが好ましい。また、これらの金属酸化物微粒子は帯電防止性能を有しているため、本実施形態の樹脂積層体に帯電防止機能を付与する観点からも好ましい。
本実施形態においては、高屈折率層を形成するための原料となる高屈折率層形成用化合物としては、前記の化合物以外に、接着層を形成するための原料と同様の活性エネルギー線硬化性組成物中に高屈折率の金属酸化物微粒子を配合した組成物が挙げられる。この組成物は生産性が良好な観点から好ましい。高屈折率層形成用化合物として活性エネルギー線硬化性組成物を含有するものを使用する場合は、公知の硬化法により硬化させることができる。この場合、高屈折率の金属酸化物微粒子として、表面処理された高屈折率の金属酸化物微粒子を用いることが好ましい。
高屈折率層の膜厚としては0.1〜10μmが好ましい。この範囲の膜厚とすることにより本実施形態の樹脂積層体の表面が良好な表面硬度を有し、本実施形態の樹脂積層体の透明性を良好なものとすることができる傾向にある。また、この範囲の膜厚とすることにより、本実施形態の樹脂積層体中に帯電防止層を設けて帯電防止機能を付与する場合においても良好な帯電防止性能を付与することができる傾向にある。
帯電防止層を形成する成分としては、例えば、π電子共役系導電性有機化合物、導電性微粒子等の電子伝導型の化合物及びイオン伝導型の有機化合物が挙げられる。これらの中でも、環境の変化を受け難く導電性能が安定し、特に低湿環境下でも良好な導電性能を発現できる観点から、π電子共役系導電性有機化合物、及び導電性微粒子等の電子伝導型の化合物が好ましい。
π電子共役系導電性有機化合物の具体例としては、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン及び混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)が挙げられる。これらの中でも、ポリチオフェンが好ましい。
導電性微粒子の具体例としては、カーボン系微粒子、金属系微粒子、金属酸化物系微粒子及び導電被覆系微粒子が挙げられる。
カーボン系微粒子としては、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等のカーボン繊維及び膨張化黒鉛粉砕品のカーボンフレークが挙げられる。
金属系微粒子としては、例えば、アルミニウム、銅、金、銀、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル等の金属及びそれらの金属を含有する合金の粉末並びに金属フレーク、鉄、銅、ステンレス、銀メッキ銅、黄銅等の金属繊維が挙げられる。
金属酸化物系微粒子としては、例えば、酸化錫、アンチモンをドープした酸化錫(ATO)、酸化インジウム、スズをドープした酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛及び五酸化アンチモンが挙げられる。
導電被覆系微粒子としては、例えば、球状又は針状の酸化チタン、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、マイカ、シリカ等の各種微粒子の表面を酸化錫、ATO、ITO等の帯電防止成分で被覆した導電性微粒子及び金、ニッケル等の金属で表面処理されたポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂微粒子が挙げられる。
前記導電性微粒子は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記導電性微粒子の中でも、電子伝導型である、金、銀、銀/パラジウム合金、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属系微粒子及び酸化錫、ATO、ITO、酸化亜鉛、アルミニウムをドープした酸化亜鉛等の金属酸化物系微粒子が好ましい。これらの中で、金属酸化物系微粒子がより好ましい。
導電性微粒子の一次粒子の質量平均粒径としては1〜200nmが好ましく、1〜150nmがより好ましく、1〜100nmが更に好ましく、1〜80nmが特に好ましい。尚、導電性微粒子の平均粒径は光散乱法や電子顕微鏡写真観察による方法により測定できる。
帯電防止層を形成する場合、後述する樹脂積層体の防汚硬化膜側の表面抵抗値は1010Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。帯電防止層形成用成分として活性エネルギー線硬化性化合物を含有するものを使用する場合は公知の硬化法により硬化させることができる。
高屈折率層には、界面強度向上のためアミノシラン、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを添加しても良い。
ハードコート層を形成するための原料としては、活性エネルギー線硬化性化合物を含有するラジカル硬化性化合物及びアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等の縮合重合系の硬化性化合物を含有する縮合硬化性化合物が挙げられる。これらの硬化性化合物は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記硬化性化合物は、例えば、電子線、放射線、紫外線等の活性エネルギー線の照射又は加熱により硬化することができる。本実施形態において、ハードコート層として活性エネルギー線硬化性化合物を含有するラジカル硬化性化合物を使用する場合は、生産性及び物性の観点から、紫外線によって硬化する方法が好ましい。
ハードコート層用活性エネルギー線硬化性組成物としては、例えば、前述した分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物及び前記光開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が挙げられる。
光開始剤の添加量としては、紫外線照射による硬化性の観点から、ハードコート層用活性エネルギー線硬化性組成物中の活性エネルギー線硬化性化合物100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、得られるハードコート層の良好な色調を維持できる観点から、10質量部以下が好ましい。
ハードコート層用活性エネルギー線硬化性組成物中には、必要に応じて、スリップ性向上剤、レベリング剤、無機微粒子、紫外線吸収剤、HALS等の光安定剤等の各種の添加剤を添加することができる。添加剤の添加量としては、得られる樹脂積層体の透明性の観点から、ハードコート層用活性エネルギー線硬化性組成物100質量部に対して10質量部以下が好ましい。
ハードコート層の膜厚としては1〜20μmが好ましい。ハードコート層の膜厚をこの範囲とすることにより、十分な表面硬度を有し、ハードコート層によるフィルムの反りが少なく、外観も良好である傾向にある。
[液状有機化合物]
本実施形態で使用される液状有機化合物としては、アルコール、エステル、ケトン及びエーテルから選ばれる少なくとも1種の液状有機化合物が挙げられる。なお、液状とは常温常圧時の状態を示す。液状有機化合物は防汚膜の表面に塗布され、その後揮発されることによって、防汚組成物中のパーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の含有量が少ないにも係わらず良好な撥水性及び撥油性を示す樹脂積層体が得られる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール及び1−メトキシ−2−プロパノールが挙げられる。これらの中でも、得られる樹脂積層体の表面の撥水性及び撥油性の観点から、エタノール、i−プロパノール及び1−メトキシ−2−プロパノールが好ましく、i−プロパノールがより好ましい。
ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン及びγ−ブチロラクトンが挙げられる。これらの中でも、得られる樹脂積層体の表面の撥水性及び撥油性の観点から、メチル−i−ブチルケトンが好ましい。
エーテルとしては、例えば、エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン及び2−メチルテトラヒドロフランが挙げられる。これらの中でも、得られる樹脂積層体の表面の撥水性及び撥油性の観点から、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(ブチセロ)が好ましい。
エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル及び(メタ)アクリル酸t−ブチルが挙げられる。これらの中でも、得られる樹脂積層体の表面の撥水性及び撥油性の観点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
これらの化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本実施形態においては、液状有機化合物の常圧での沸点は200℃以下が好ましい。本実施形態においては、液状有機化合物中に、必要に応じて、スリップ性向上剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、HALS等の光安定剤、光開始剤、熱開始剤、アミン類、無機微粒子、有機微粒子、バインダー等の各種添加剤を添加することができる。
[転写フィルム]
本実施形態の転写フィルムは透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜が積層されたものである。本実施形態の転写フィルムは、必要に応じて防汚硬化膜の透明基材フィルムと接していない面に接着層を積層させたものとすることができる。
また、本実施形態の転写フィルムは、必要に応じて防汚硬化膜の透明基材フィルムと接していない面に、機能層を積層させたものとすることができる。更に、本実施形態の転写フィルムは、必要に応じて前記機能層の面に接着層を積層させたものとすることができる。
本実施形態においては、転写フィルムの透明基材フィルムと接していない面に、必要に応じて公知の保護フィルムを積層することができる。
[樹脂基材]
本実施形態で使用される樹脂基材としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、メタクリル酸メチル単位を主構成成分とする共重合体、ポリスチレン及びスチレン−メチルメタクリレート共重合体の成形品が挙げられる。樹脂基材は、必要に応じて着色剤、光拡散剤等の添加剤を含有することができる。樹脂積層体の厚みとしては、機械的強度の観点から、0.2mm以上が好ましく、生産性の観点から、10mm以下が好ましい。
[樹脂積層体]
本実施形態の樹脂積層体は、樹脂基材の表面に、接着層の硬化膜である硬化塗膜層と、防汚硬化膜とが順次積層された積層体である。即ち、転写フィルムの接着層と樹脂基材とを接着後、透明基材フィルムを剥離することで得られる積層体である。また、本実施形態においては、必要に応じて硬化塗膜層と防汚硬化膜との間に機能層を形成することができる。
本実施形態の樹脂積層体は、露出している防汚硬化膜表面の水接触角(2)が90度以上で、トリオレインの接触角(α)が55度以上である。これにより、指紋、皮脂、ファンデーション等の汚れが目立たない。
また、本実施形態の樹脂積層体が機能層として反射防止機能を有する層が積層されている場合には、汚れ付着時の、反射色の際立った変色及び画像表示部材の視認性低下が起こりにくい観点から、樹脂積層体の表面の水接触角(2)が95度以上で、トリオレインの接触角(α)が60度以上であることが好ましい。
本実施形態の樹脂積層体の、露出している防汚硬化膜表面における、X線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)は、0.110以下であることが防汚硬化膜の表面の指紋、皮脂、ファンデーション等の汚れを目立ち難くすることが可能である観点から好ましい。以下、転写フィルム及び樹脂積層体の製造方法について詳細に説明する。
[防汚膜形成工程]
透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜を形成するための防汚組成物の塗膜層である防汚膜の形成方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、前記防汚組成物を塗布し、希釈溶媒を含有する場合には希釈溶媒を乾燥により除去して防汚膜を形成する。
防汚組成物を透明基材フィルムの表面に塗付する方法としては、例えば、流延法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バキュームスロットダイコート法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、フローコート法、カーテンコート法、フィルムカバー法及びディッピング法が挙げられる。
[防汚硬化膜形成工程]
前記防汚膜形成工程で形成された防汚膜は、防汚硬化膜形成工程において、例えば、熱硬化法及び活性エネルギー線硬化法から選ばれる少なくとも1種の硬化法により硬化処理され、防汚硬化膜が形成される。これにより転写フィルムが得られる。該防汚硬化膜の透明基材フィルムと接していない面の水接触角(1)は100度以下であり、該防汚硬化膜の透明基材フィルムと接している面の水接触角(2)は90度以上、トリオレインの接触角(α)は55度以上である。
防汚硬化膜を活性エネルギー線硬化法により形成する場合の活性エネルギー線としては、例えば、電子線、放射線及び紫外線が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化の条件としては、例えば、空気存在下で、ピーク照度1〜1000mW/cm、積算光量1〜1000mJ/cmの硬化条件が挙げられる。
防汚膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する段階としては、樹脂基材に転写フィルムを積層する前の段階とすることが挙げられる。
転写フィルムに積層された熱可塑性樹脂塗膜層又は硬化性塗膜の層に対し、加温処理及び硬化処理から選ばれる少なくとも1種の処理を施すことにより接着層又は接着層の硬化膜を形成する際に、防汚硬化膜中の部分硬化物を硬化させてもよい。また、転写フィルムに機能層を積層する際の機能層形成工程で機能層を形成する材料に対し、加温処理及び硬化処理から選ばれる少なくとも1種の処理を施す際に防汚硬化膜中の部分硬化物を硬化させてもよい。更に、接着層又は接着層の硬化膜を形成する工程及び機能層形成工程の両方の工程で、防汚硬化膜中の部分硬化物を硬化させてもよい。
[液状有機化合物塗布工程]
防汚膜形成工程の後、液状有機化合物塗布工程、揮発工程を経て、防汚硬化膜形成工程を行うことができる。液状有機化合物塗布工程において、防汚膜が形成された透明基材フィルムの防汚膜の表面に前記液状有機化合物を塗布して液状有機化合物の塗膜を形成させる。
防汚膜の表面に液状有機化合物を塗布する方法としては、例えば、流延法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バキュームスロットダイコート法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、フローコート法、カーテンコート法、フィルムカバー法及びディッピング法が挙げられる。これらの中でも、防汚膜へのダメージを抑制する観点からバキュームスロットダイコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、フローコート法、カーテンコート法及びディッピング法など非接触の方法が好ましい。
[揮発工程]
本実施形態における揮発工程で、防汚膜の表面に塗布された液状有機化合物を揮発させる。液状有機化合物を揮発させる方法としては、例えば、室温以上の温度で、常圧又は減圧下で揮発させる方法が挙げられる。なお、液状有機化合物が完全に揮発しておらず、一部残存していても良い。
[接着層形成工程]
本実施形態の接着層形成工程において、転写フィルムの防汚硬化膜、又は機能層を有する場合には機能層の表面に、接着層である熱可塑性樹脂塗膜層又は硬化性塗膜の層を形成することができる。
熱可塑性樹脂塗膜層を形成するために使用される接着層形成材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解させた熱可塑性樹脂溶液を使用することができる。熱可塑性樹脂を溶解する溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール及びトルエンが挙げられる。
熱可塑性樹脂塗膜層の形成方法としては、例えば、転写フィルムの防汚硬化膜、又は機能層を有する場合には機能層、の表面に前記熱可塑性樹脂溶液を塗付した後、溶剤を除去することにより熱可塑性樹脂塗膜層を形成する方法が挙げられる。前記熱可塑性樹脂溶液を塗付する方法としては、例えば、前記防汚組成物を塗布する方法などが挙げられる。
本実施形態においては、熱可塑性樹脂塗膜層を樹脂基材の表面に形成させることもできる。この場合、樹脂基材の表面に前記熱可塑性樹脂溶液を塗付した後、溶剤を除去することにより形成することができる。
接着層を形成するために活性エネルギー線硬化性組成物を使用する場合、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層を形成する方法としては、例えば、転写フィルムの防汚硬化膜、若しくは機能層を有する場合には機能層の表面、又は樹脂基材の転写フィルムが積層される表面に、前記活性エネルギー線硬化性組成物を塗付して硬化性塗膜の層を積層する方法が挙げられる。前記硬化性塗膜の層を形成する方法としては、前述の熱可塑性樹脂塗膜層を形成する方法と同様の方法が挙げられる。
[機能層形成工程]
本実施形態においては、転写フィルムとして防汚機能だけでなく、反射防止機能、耐擦傷性機能、帯電防止機能等の各種機能を付与させる場合には、機能層形成工程で透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜を形成した後に、該防汚硬化膜の表面に機能層を形成することができる。
防汚硬化膜の表面に機能層を形成する材料を塗付する方法として、例えば、前記防汚組成物を塗布する方法などが挙げられる。機能層を形成する材料を塗付して得られた塗膜は、塗膜の種類に応じて加熱処理、溶剤揮発処理及び各種硬化処理から選ばれる少なくとも1種の処理が施されることにより機能層が形成される。
[樹脂基材ラミネート物]
本実施形態において、樹脂基材ラミネート物は樹脂基材の表面に接着層としての熱可塑性樹脂塗膜層、防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層されたもの、又は樹脂基材の表面に接着層としての熱可塑性樹脂塗膜層、機能層、防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層されたものである。
[樹脂基材ラミネート物形成工程]
本実施形態においては、接着層として熱可塑性樹脂塗膜層を使用する場合には、樹脂基材ラミネート物形成工程で転写フィルムの熱可塑性樹脂塗膜層と樹脂基材とを接着して樹脂基材ラミネート物を製造する。熱可塑性樹脂塗膜層は転写フィルムにあらかじめ設けてもよいし、樹脂基材にあらかじめ設けても良い。
樹脂基材と転写フィルムとを接着する方法としては、例えば、ゴムロールで圧着する方法が挙げられる。圧着に際しては、例えば、5〜15MPaの条件で圧着することができる。また、転写フィルムとの密着性の観点から、接着する樹脂基材の表面を40〜125℃に加温しておくことが好ましい。
[活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物]
本実施形態において、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物は、樹脂基材の表面に、接着層としての活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層、防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層されたもの、又は樹脂基材の表面に、接着層としての活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層、機能層、防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層されたものである。
[活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程]
本実施形態においては、接着層として活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層を使用する場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程で、転写フィルムの硬化性塗膜の層と樹脂基材とを接着して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を得る。硬化性塗膜の層は転写フィルムにあらかじめ設けてもよいし、樹脂基材にあらかじめ設けても良い。
樹脂基材と転写フィルムとを接着する際にエアーの巻き込みを防ぐために、過剰量の硬化性塗膜の層を形成するための材料を使用して硬化性塗膜の層を形成した状態とすることが好ましい。樹脂基材と転写フィルムとを接着する方法としては、接着層として熱可塑性樹脂塗膜層を使用する場合と同様の方法が挙げられる。
[熱可塑性樹脂塗膜層含有転写フィルム積層体]
本実施形態においては、熱可塑性樹脂塗膜層含有転写フィルム積層体は樹脂基材の表面に、接着層としての熱可塑性樹脂塗膜層、防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層され、一体化されたもの、又は樹脂基材の表面に接着層として熱可塑性樹脂塗膜層、機能層、防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層され、一体化されたものである。
[熱可塑性樹脂塗膜層含有転写フィルム積層体形成工程]
本実施形態においては、熱可塑性樹脂塗膜層含有転写フィルム積層体形成工程において、樹脂基材ラミネート物形成工程で得られた樹脂基材ラミネート物を、加圧処理及び加温処理から選ばれる少なくとも1種の処理により樹脂基材と接着層である熱可塑性樹脂塗膜層と防汚硬化膜又は機能層とを一体化させる。
加圧方法としては、例えば、ゴムロールで圧着する方法が挙げられる。加圧条件としては、例えば、5〜15MPaが挙げられる。加温処理方法としては、例えば、樹脂基材を加温する方法が挙げられる。加温条件としては、例えば、40〜125℃が挙げられる。加温条件を前記条件とすることにより、転写フィルムと樹脂基材との密着性を良好とすることができ、樹脂基材の過度の溶解による硬度低下もなく、熱可塑性樹脂塗膜層の黄変も少ない傾向にある。
樹脂基材を加温する際の樹脂基材の表面温度は加熱部の設定温度、加熱時間等により調整することができる。また、樹脂基材の温度の測定方法としては、例えば、非接触型表面温度計による方法が挙げられる。
尚、本実施形態においては、熱可塑性樹脂塗膜層含有転写フィルム積層体形成工程を樹脂基材ラミネート物形成工程と同時に実施してもよい。
本実施形態においては、必要に応じて、前記加温処理の際に防汚硬化膜の硬化を促進させ、充分に硬化させた防汚硬化膜を得ることもできる。また、本実施形態においては、必要に応じて、前記処理に加えて活性エネルギー線を照射して防汚硬化膜の硬化を促進させ、充分に硬化させた防汚硬化膜を得ることもできる。
[硬化塗膜層含有転写フィルム積層体]
本実施形態において、硬化塗膜層含有転写フィルム積層体は樹脂基材の表面に、接着層の硬化膜として硬化塗膜層、防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層されたもの、又は樹脂基材の表面に、接着層の硬化膜として硬化塗膜層、機能層、防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層されたものである。なお、硬化塗膜層は、接着層として使用される活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層を硬化させたものである。
[硬化塗膜層含有転写フィルム積層体形成工程]
本実施形態においては、硬化塗膜層含有転写フィルム積層体形成工程において、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して硬化塗膜層を形成することができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物への活性エネルギー線の照射は転写フィルムを介して実施することができる。また、樹脂基材の形状に応じて、必要に応じて樹脂基材側から活性エネルギー線を照射してもよい。
硬化塗膜層を形成するための活性エネルギー線としては、例えば、紫外線が挙げられる。紫外線を照射する場合の光源としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ及び蛍光紫外線ランプが挙げられる。硬化塗膜層を形成するための活性エネルギー線照射条件としては、例えば、ピーク照度100mW/cm以上及び積算光量10mJ/cm以上の条件が挙げられる。
本実施形態においては、硬化塗膜層を形成する際に、必要に応じて防汚硬化膜の硬化を促進させ、充分に硬化させた防汚硬化膜を得ることもできる。
[樹脂積層体形成工程]
本実施形態の樹脂積層体は、樹脂積層体形成工程において、熱可塑性樹脂塗膜層含有転写フィルム積層体又は硬化塗膜層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離することにより得られる。
熱可塑性樹脂塗膜層含有転写フィルム積層体又は硬化塗膜層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離するに際しては、例えば、室温にて透明基材フィルムを熱可塑性樹脂塗膜層含有転写フィルム積層体から公知の方法により剥離することができる。
本実施形態の転写フィルムを用いて得られる樹脂積層体は、例えば、屋外で使用される画像表示部材や、指紋、皮脂、ファンデーション等が付着し易い、携帯電話、携帯情報端末、ノートブック型パソコン等の前面板としての使用に好適である。
以下、実施例により本実施形態を説明する。尚、実施例及び比較例で使用した化合物の略称は以下の通りである。また、以下において、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
「TAS」:コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸(モル比1/2/4)縮合混合物(大阪有機化学工業(株)製)
「C6DA」:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名)
「M305」:ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成(株)製、商品名)
「M400」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製、商品名)
「オプツールDAC」:パーフルオロポリエーテル基及び活性エネルギー線反応性基を有するフッ素基含有ポリエーテル化合物の溶液(ダイキン工業(株)製、固形分濃度20%、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール溶液、商品名)
「DAROCUR TPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン(株)製、商品名)
「IRGACURE819」:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン(株)製、商品名)
「IRGACURE907」:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・ジャパン(株)製、商品名)
「KBM503」:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製、商品名)
「スルーリアS」:中空シリカゾルのイソプロピルアルコール(IPA)分散体(固形分濃度20%)(日揮触媒化成(株)製、商品名)
「PGM」:1−メトキシ−2−プロパノール(和光純薬(株)製、商品名)
「IPA」:i−プロパノール(和光純薬(株)製)
「エタノール」:(和光純薬(株)製)
「MIBK」:メチル−iso−ブチルケトン(和光純薬(株)製)
「ブチセロ」:エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(和光純薬(株)製)
「MMA」:メタクリル酸メチル(三菱レイヨン(株)製)
「トルエン」:(和光純薬(株)製)
「n−ヘキサン」:(和光純薬(株)製)
「ELCOM MR−1009SBV P−30」:五酸化アンチモンゾルのIPA分散体(日揮触媒化成(株)製、商品名)
「アクリライトEX001」:メタクリル樹脂板(三菱レイヨン(株)製、商品名)
「パンライトAD−5503」:ポリカーボネート樹脂板(帝人化成(株)製、商品名)
「トスガード510」:加熱硬化型撥水ハードコート塗料(固形分濃度21%)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、商品名)
「PH−91」:プライマー塗料(固形分濃度4%)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、商品名)。
本実施形態で実施した評価方法を以下に示す。
(1)樹脂基材の温度
樹脂基材の表面温度の測定には、非接触型表面温度計((株)チノー製、ハンディ型放射温度計IR−TA(商品名))を使用した。
(2)全光線透過率及びヘーズ値
日本電色工業(株)製HAZE METER NDH2000(商品名)を用いてJIS K7361−1に示される測定法に準拠して、樹脂積層体の全光線透過率を測定し、JIS K7136に示される測定法に準拠してヘーズ値を測定した。
(3)耐擦傷性
(耐擦傷性評価法1)
#0000のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パッドを樹脂積層体の防汚硬化膜の表面に置き、1kgの荷重下で20mmの距離を10回往復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差(Δヘーズ)を下記式より求め、試験後のサンプル表面の傷の本数を数えて耐擦傷性を評価した。
[Δヘーズ(%)]=[擦傷後のヘーズ値(%)]−[擦傷前のヘーズ値(%)]
(耐擦傷性評価法2)
#0000のスチールウールを装着した直径25.4mmの円形パッドを樹脂積層体の防汚硬化膜の表面に置き、1kgの荷重下で20mmの距離を20回往復擦傷し、擦傷前と擦傷後のヘーズ値の差(Δヘーズ)を下記式より求め、試験後のサンプル表面の傷の本数を数えて耐擦傷性を評価した。
[Δヘーズ(%)]=[擦傷後のヘーズ値(%)]−[擦傷前のヘーズ値(%)]。
(4)反射防止性
転写後の樹脂積層体の防汚硬化膜が積層されていない面をサンドペーパーで粗面化した後に艶消し黒色スプレーで塗ったものを評価用サンプルとした。分光光度計((株)日立製作所製、商品名:U−4000)を用いて、入射角5°及び波長380〜780nmの範囲でJIS R3106に示される測定法に準拠してサンプルの防汚硬化膜の表面の反射率を測定した。得られる反射率曲線の最も反射率の低い波長(ボトムの波長)及びボトムの波長における反射率(ボトムの波長反射率)を求めた。また、樹脂積層体の防汚硬化膜の表面に指紋を付着したときの反射色の変化の有無を以下の基準で評価した。
◎:反射色の変化が認められない。
○:反射色の変化がわずかに認められる。
×:反射色の変化が認められる。
(5)防汚性
防汚硬化膜の防汚性を下記の水接触角、トリオレインの接触角及び油性インキ拭き取り性により評価した。
(a)水接触角
23℃及び相対湿度50%の環境下において、防汚硬化膜の表面にイオン交換水0.2μLの1滴を滴下し、携帯型接触角計(Fibro syetem ab社製、商品名:PG−X)を用いて水と防汚硬化膜との接触角を測定し、水接触角を求めた。尚、水接触角(1)は転写フィルムの防汚硬化膜の表面の接触角を測定し、水接触角(2)は転写後の、樹脂積層体の防汚硬化膜の表面の接触角を測定した。
(b)トリオレインの接触角
イオン交換水の代わりにトリオレインを使用したこと以外は水接触角の測定の場合と同様にして、トリオレインの接触角を求めた。尚、トリオレインの接触角(α)は転写後の、樹脂積層体の防汚硬化膜の表面の接触角を測定した。
(c)油性インキ拭き取り性
転写後の、樹脂積層体の防汚硬化膜の表面に、油性インキとして「マイネーム」(黒色)((株)サクラクレパス製、商品名)で線を書き、3分後に「キムタオル」(日本製紙クレシア(株)製、商品名)で拭き取り、その際の油性インキの拭き取れ具合を目視により以下の基準で評価した。
◎:5回の拭き取りにより完全に拭き取ることができる。
○:5回の拭き取りではわずかに線の跡が残る。
×:5回の拭き取りでは一部又は全部の油性インキが付着したままである。
(6)密着性
JIS K5600−5−6に準拠して、25マスの碁盤目の剥離評価を4箇所で実施し、100マスの中で剥離せずに残ったマスの数で樹脂積層体の防汚硬化膜の密着性を評価した。
(7)防汚硬化膜の膜厚
樹脂積層体の厚み方向にミクロトームで幅100nmのサンプルを切り出し、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製JEM−1010(商品名))で樹脂積層体の断面を観察し、防汚硬化膜の膜厚を測定した。
(8)耐汗性
JIS L0848の汗に対する染色堅ろう度試験方法のA法に準じて人工汗液を調製した。樹脂積層体を50×50mmの大きさにカットして評価用サンプルとした。次いで、脱脂綿を30×30mmの大きさにカットし、評価用サンプルの上に乗せ、注射器を使用し、人工汗液を脱脂綿に垂らして脱脂綿を湿らせた。そのサンプルを温度45℃及び相対湿度95%の恒温恒湿機に96時間放置した後に取り出し、樹脂積層体の表面を水洗浄した後に目視評価により以下の基準で耐汗性を評価した。
○:変色が認められない。
×:変色が認められる。
(9)防汚硬化膜の表面の表面抵抗値
超絶縁抵抗計(東亜ディーケーケー(株)製、商品名:ULTRA MEGOHMMETER MODEL SM−10E)を使用し、測定温度23℃及び相対湿度50%の条件で、樹脂積層体の防汚硬化膜の表面の印加電圧500Vでの通電1分後の表面抵抗値(Ω/□)を測定した。尚、測定用の樹脂積層体としては、予め温度23℃及び相対湿度50%で1日間調温、調湿したものを用いた。
(10)防汚硬化膜と機能層、硬化塗膜層または熱可塑性樹脂塗膜層との界面の状態
樹脂積層体の厚み方向にミクロトームで幅100nmのサンプルを切り出し、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM−1010(商品名))で樹脂積層体の断面を観察し、樹脂積層体中の防汚硬化膜と機能層、硬化塗膜層または熱可塑性樹脂塗膜層との界面の状態を下記基準で評価した。
○:界面が明確に存在し、不明瞭な箇所は認められない。
×:界面が不明瞭な箇所がある。
(11)防汚硬化膜の表面におけるX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)の評価
転写後の、樹脂積層体の防汚硬化膜の表面における窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)を、X線光電子分光分析により測定した。組成比は、全構成元素(C1s、N1s、O1s、F1s及びSi2p)についてXPSスペクトルを取得し、そのピーク面積値を用いて求めた。得られた組成比からN/Fを算出した。(測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ESCA−LAB 220iXL X線源:Alターゲットを用いたモノクロ線源電圧:10kVフィラメント電流:16mA 試料チャンバー内真空度:1×10−9Torr)。
[製造例1]加水分解処理及び縮合反応処理されたシリカゾル(1)の製造
撹拌機及び冷却管を備えた4ツ口フラスコ反応容器にスルーリアSを63g仕込み、次いでKBM503を12g添加した。その後、攪拌しながら水4.4g及び0.01mol/l塩酸水溶液0.1gを順次添加し、80℃で2時間加熱を行った。次いで、反応系を減圧状態にして固形分濃度が40%となるまで揮発分を留出させた後、トルエン38gを添加して80℃で2時間加熱した。その後、反応系を減圧状態にして固形分濃度が60%となるまで揮発分を留出させ、更に80℃で2時間加熱し、加水分解処理及び縮合反応処理されたシリカゾル(1)を製造した。
シリカゾル(1)は白濁した液体であり、固形分濃度は60%であった。尚、固形分濃度は、シリカゾル(1)を3日間80℃の環境にて加熱乾燥し、乾燥前後の質量差から計算により求めた。また、シリカゾル(1)中の無機微粒子の割合(%)は、使用した加水分解性シラン化合物と無機微粒子との合計100部に対する無機微粒子の質量割合から求めた。
[製造例2]加水分解処理及び縮合反応処理されたシリカゾル(2)の製造
KBM503を8g添加したこと以外は製造例1と同様にして加水分解処理及び縮合反応処理されたシリカゾル(2)を製造した。
[製造例3]加水分解処理及び縮合反応処理されたシリカゾル(3)の製造
KBM503を16g添加したこと以外は製造例1と同様にして加水分解処理及び縮合反応処理されたシリカゾル(3)を製造した。
[製造例4〜17]防汚組成物(1)〜(14)の調合
防汚組成物として、表1、2、3、4、6、7に示す防汚組成物(1)〜(14)を調合した。なお、防汚組成物(9)は、トスガード510をPGMで希釈した固形分濃度が1%の加熱硬化型撥水ハードコート塗料溶液である。
[実施例1]
厚さ100μmのメラミン剥離層付きPETフィルム((株)麗光製、商品名:AC−J)の表面に防汚組成物(1)を10バーコーターを用いて塗布し、80℃で15分間乾燥させて防汚膜を形成した。尚、メラミン剥離層の臨界表面張力は44mN/mであった。該防汚膜の膜厚は、防汚組成物(1)の固形分濃度、塗布量及び塗布面積から計算して93nmであった。
前記防汚膜が積層されたPETフィルムを、出力40Wの蛍光紫外線ランプ((株)東芝製、商品名:FL40BL)が進行方向に対して垂直に2本設置されたランプユニットの下20cmの位置を2.8m/分の速度で通過させ、防汚膜を硬化させて防汚硬化膜とし、転写フィルムを製造した。防汚硬化膜を形成したときの紫外線硬化条件としては、積算光量は10mJ/cmで、ピーク照度は1.5mW/cmであった。製造された転写フィルムの防汚硬化膜の表面の水接触角(1)は82度であった。
次いで、TASを35部、C6DAを30部、M305を10部、M400を25部及びDAROCUR TPOを2部混合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。これを10号バーコーターを使用して前記転写フィルムの防汚硬化膜の表面に塗付し、接着層(1)を形成した。尚、防汚硬化膜の表面に接着層(1)を形成する際にハジキ欠陥は発生しなかった。
60℃に加温した樹脂基材の表面に、前記転写フィルムを、接着層(1)を介して重ね合わせた。樹脂基材としては板厚が2mmのアクリライトEX001を使用した。次いで、接着層(1)の厚みが15μmとなるように、JIS硬度40°のゴムロールを用いて接着層(1)中の活性エネルギー線硬化性組成物をしごき出しながら気泡を含まないように圧着させ、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を製造した。尚、接着層(1)の厚みは活性エネルギー線硬化性組成物の供給量及び展開面積から算出した。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を、60℃に加温した状態で60秒間経過させた後に、PETフィルムを介して出力9.6kWのメタルハライドランプの下20cmの位置を2.5m/分の速度で通過させ、接着層(1)の硬化を行い硬化塗膜層とし、硬化塗膜層含有転写フィルム積層体を製造した。硬化塗膜層含有転写フィルム積層体を製造するための硬化条件としては、積算光量は570mJ/cmで、ピーク照度は220mW/cmであった。
その後、硬化塗膜層含有転写フィルム積層体からメラミン剥離層付きPETフィルムを剥離して樹脂積層体を製造した。該樹脂積層体中の硬化塗膜層の膜厚は13μmであった。評価結果を表1に示す。
前記樹脂積層体の全光線透過率は93%、ヘーズ値は0.4%であり、透明性に優れていた。前記樹脂積層体の防汚硬化膜の擦傷性試験(耐擦傷性評価法1)の結果、表面のΔヘーズは0.05%であり、傷の本数は1本であった。また、擦傷性試験(耐擦傷性評価法2)の結果、表面のΔヘーズは0.15%であり、傷の本数は3本であった。樹脂積層体の密着性は良好であった。樹脂積層体の防汚硬化膜の表面の水接触角(2)は105度であり、トリオレインの接触角は65度であった。樹脂積層体の防汚硬化膜の表面の油性インキ拭き取り性も5回の拭き取りで完全に拭き取れるレベルであった。樹脂積層体の防汚硬化膜の表面の耐汗性については、変色は認められなかった。樹脂積層体の防汚硬化膜の表面のボトムの波長は600nmであり、ボトムの波長反射率は2.0%であった。樹脂積層体の防汚硬化膜の表面に指紋を付着しても反射色の変化は見られなかった。
[実施例2]
防汚膜が積層されたPETフィルムを9.6kWの高圧水銀ランプ(出力設定50%)の下20cmの位置を9m/分の速度で通過させ、防汚膜を硬化させて防汚硬化膜とする際の紫外線硬化条件を表1に示す条件に変更した。それ以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表1に示す。尚、防汚硬化膜の表面に接着層(1)を形成する際にハジキ欠陥は極めてわずかな面積発生した。
[実施例3]
防汚膜が積層されたPETフィルムを6m/分の速度で通過させ、防汚膜を硬化させて防汚硬化膜とする際の紫外線硬化条件を表1に示す条件に変更した。それ以外は実施例2と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表1に示す。尚、防汚硬化膜の表面に接着層(1)を形成する際にハジキ欠陥は極めてわずかな面積発生した。
[実施例4〜8]
防汚組成物(1)の代わりに防汚組成物(2)〜(6)を使用した。それ以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例1と同様にして接着層(1)形成前の転写フィルムを製造した。次いで、以下に示す組成の高屈折率導電性ハードコート層用組成物を、アプリケーター(クリアランス:メモリ4)を用いて、前記転写フィルムの防汚硬化膜の表面に塗付し、80℃で10分間乾燥させて高屈折率導電性ハードコート層用塗膜を形成した。尚、高屈折率導電性ハードコート層用塗膜を形成する際、ハジキは発生しなかった。
<高屈折率導電性ハードコート層用組成物の組成>
ELCOM MR−1009SBV P−30:160部
M400:52部
IRGACURE907:5部
IPA:290部。
前記高屈折率導電性ハードコート層用塗膜を形成した転写フィルムを、9.6kWの高圧水銀ランプの下20cmの位置を2.5m/分の速度で通過させて高屈折率導電性ハードコート層用塗膜の硬化を行い高屈折率導電性ハードコート層として、高屈折率導電性ハードコート層が積層された積層体を製造した。
前記高屈折率導電性ハードコート層が積層された積層体の高屈折率導電性ハードコート層の表面に実施例1と同様にして接着層(1)を形成し、樹脂積層体を製造した。評価結果を表1に示す。該樹脂積層体の防汚硬化膜の表面抵抗値は4×1010Ω/□であり、帯電防止性能を有していた。
[実施例10]
実施例9と同様にして高屈折率導電性ハードコート層が積層された積層体を製造した。高屈折率導電性ハードコート層が積層された積層体の高屈折率導電性ハードコート層の表面に、下記接着層用熱可塑性樹脂溶液を、10号バーコーターを用いて塗付した後、80℃で15分間乾燥して溶剤を揮発させ、接着層(2)の形成された転写フィルムを製造した。
<接着層用熱可塑性樹脂溶液の組成>
アクリル樹脂「BR−80」(三菱レイヨン(株)製、商品名):2部
メチルイソブチルケトン:49部
IPA:49部。
次いで、樹脂基材として板厚が2mmのアクリライトEX001を使用し、樹脂基材の表面に前記転写フィルムを、接着層(2)を介して重ね合わせた。この後、油圧成形機(庄司鉄鋼(株)製)を用いて、油圧成形機の上部及び下部の設定温度を120℃として10MPaの圧力で10分間プレスした。転写フィルムの表面に熱電対を取り付けて転写フィルムの表面温度を測定したところ、プレス10分後の表面温度は100℃であった。次いで、圧力をかけた状態で30℃まで冷却した後にメラミン剥離層付きPETフィルムを剥離して高屈折率導電性ハードコート層が積層された樹脂積層体を製造した。評価結果を表1に示す。該樹脂積層体の防汚硬化膜の表面抵抗値は4×1010Ω/□であり、帯電防止性能を有していた。
[実施例11]
樹脂基材として板厚が2mmのパンライトAD−5503を使用した。それ以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表1に示す。
[実施例12〜15]
硬化塗膜層含有転写フィルム積層体を製造するときの硬化条件を表1に示す条件とした。それ以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表1に示す。
[実施例16]
C6DAを40部、M305を60部及びDAROCUR TPOを1.0部混合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製し、接着層(3)を形成した。それ以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
防汚組成物(1)の代わりに防汚組成物(8)を使用した。それ以外は実施例3と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表3に示す。防汚硬化膜の表面に接着層(1)を形成する際にハジキ欠陥は多数発生し、接着層(1)が形成された面積は極めて小さかった。評価結果を表3に示す。
[比較例2]
厚さ100μmのメラミン剥離層付きPETフィルム((株)麗光製、商品名:AC−J)の表面に、防汚組成物(9)を、10号バーコーターを用いて塗付し、90℃で90分間乾燥、硬化させて防汚硬化膜を形成した。該防汚硬化膜の膜厚は加熱硬化型撥水ハードコート塗料溶液の固形分濃度、塗布量及び塗布面積から計算して100nmであった。防汚硬化膜の表面の水接触角(1)は102度であった。
次いで、防汚硬化膜の表面にプライマー塗料としてPH−91を塗付してプライマー層の塗膜を形成しようとしたが、ハジキが多数発生し、プライマー層の塗膜が形成された面積は極めて小さかった。この後、プライマー層の塗膜が部分的に形成されたPETフィルムを10分間室温で放置した後に90℃で60分間乾燥させてプライマー層を形成した。
次いで、転写フィルムのプライマー層を形成させた面に実施例1と同様に接着層(1)を形成した。更に、該転写フィルムを用いて実施例1と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表3に示す。
[実施例17]
冷却管を備えたナスフラスコに、イソシナネート基含有アクリレート化合物(昭和電工(株)製、製品名:カレンズBEI)2.6gと、パーフルオロポリエーテル化合物(ソルベイソレクシス社製、製品名:FLUOROLINK D10H)8gと、ジブチル錫ジラウリレート0.005gとを添加し、50℃で6時間攪拌し、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A−2)を含む白濁粘性液体を調製した。該溶液にメチルエチルケトンを添加して固形分濃度が20質量%となるように希釈し、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A−2)を含む液体を調製した。
次に、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A−2)を含む液体を用い、表2に示す配合成分および配合比に従って防汚組成物(7)を調製した。その後、防汚組成物(1)の代わりに防汚組成物(7)を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂積層体を作製した。評価結果を表2に示す。
[実施例18]
厚さ100μmのメラミン剥離層付きPETフィルム((株)麗光製、商品名:AC−J)の表面に、防汚組成物(10)を、10号バーコーターを用いて塗布し、80℃で15分間乾燥させて防汚膜を形成した。尚、メラミン剥離層の臨界表面張力は44mN/mであった。該防汚膜の膜厚は、防汚組成物(10)の固形分濃度、塗布量及び塗布面積から計算して93nmであった。
前記防汚膜の上にアプリケーター(クリアランス;メモリ5)を用いて液状有機化合物としてIPAを塗布し、液状有機化合物の塗膜を形成した後に、80℃で15分加熱し、IPAを揮発させた。次いで、防汚膜が積層されたPETフィルムを、9.6kWの高圧水銀ランプ(出力設定50%)の下20cmの位置を、9m/分の速度で通過させ、防汚膜を硬化させて防汚硬化膜とし、転写フィルムを製造した。このときの積算光量は100mJ/cmで、ピーク照度は130mW/cmであった。
次いで、TASを35部、C6DAを30部、M305を10部、M400を25部及びDAROCUR TPOを2部混合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。これを、10号バーコーターを用いて前記転写フィルムの防汚硬化膜の表面に塗布して接着層(1)を形成した。尚、防汚硬化膜の表面に接着層(1)を形成する際にハジキ欠陥は発生しなかった。
60℃に加温した樹脂基材の表面に、前記転写フィルムを、接着層(1)を介して重ね合わせた。樹脂基材としては板厚が2mmのアクリライトEX001を使用した。次いで、接着層(1)の厚みが15μmとなるように、JIS硬度40°のゴムロールを用いて接着層(1)を構成する活性エネルギー線硬化性組成物をしごき出しながら気泡を含まないように圧着させ、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を製造した。尚、接着層(1)の厚みは活性エネルギー線硬化性組成物の供給量及び展開面積から算出した。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を、60℃に加温した状態で60秒間経過させた後に、PETフィルムを介して出力9.6kWのメタルハライドランプの下20cmの位置を2.5m/分の速度で通過させ、接着層(1)の硬化を行い硬化塗膜層とし、硬化塗膜層含有転写フィルム積層体を製造した。硬化塗膜層含有転写フィルム積層体を製造するための硬化条件としては、積算光量は570mJ/cmで、ピーク照度は220mW/cmであった。
その後、硬化塗膜層含有転写フィルム積層体からメラミン剥離層付きPETフィルムを剥離して樹脂積層体を製造した。該樹脂積層体中の硬化塗膜層の膜厚は13μmであった。評価結果を表4に示す。
[実施例19〜25]
液状有機化合物としてIPA(液状有機化合物(1))の代わりに表5に示す液状有機化合物(2)から(8)を使用した。それ以外は実施例18と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表4に示す。
[実施例26〜28]
防汚組成物(10)の代わりに表4に示す防汚組成物(11)〜(13)を使用した。それ以外は実施例18と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表4に示す。
[実施例29]
防汚膜の紫外線硬化条件を表4に示す条件に変更した。それ以外は実施例18と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表4に示す。
[比較例3]
実施例18において、液状有機化合物の塗布及び揮発を実施しなかった。それ以外は実施例18と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表6に示す。該樹脂積層体は、実施例で作製した樹脂積層体と比較して表面の防汚性が低下した。
[比較例4、5]
液状有機化合物としてIPA(液状有機化合物(1))の代わりに表5に示す液状有機化合物(9)、(10)を使用した。それ以外は実施例18と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表6に示す。比較例4、5では、液状有機化合物であるアルコール、エステル、エーテル及びケトンのいずれとも異なる液状有機化合物を使用して樹脂積層体を製造したが、該樹脂積層体は、実施例で作製した樹脂積層体と比較して表面の防汚性が低下した。
[実施例30]
厚さ100μmのPETフィルム((株)東洋紡、商品名:A4100)のPET表面に、防汚組成物(10)を、10号バーコーターを用いて塗布し、80℃で15分間乾燥させて防汚膜を形成した。尚、PET表面の臨界表面張力は42mN/mであった。該防汚膜の膜厚は、防汚組成物(10)の固形分濃度、塗布量及び塗布面積から計算して93nmであった。
前記防汚膜が積層されたPETフィルムを、9.6kWの高圧水銀ランプ(出力設定50%)の下20cmの位置を、9m/分の速度で通過させ、防汚膜を硬化させて防汚硬化膜とし、転写フィルムを製造した。防汚硬化膜を形成したときの紫外線硬化条件としては、積算光量は100mJ/cmで、ピーク照度は130mW/cmであった。
次いで、TASを35部、C6DAを30部、M305を10部、M400を25部及びDAROCUR TPOを2部混合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。これを、10号バーコーターを用いて前記転写フィルムの防汚硬化膜の表面に塗布し、接着層(1)を形成した。尚、防汚硬化膜の表面に接着層(1)を形成する際にハジキ欠陥は発生しなかった。
60℃に加温した樹脂基材の表面に、前記転写フィルムを、接着層(1)を介して重ね合わせた。樹脂基材としては板厚が2mmのアクリライトEX001を使用した。次いで、接着層(1)の厚みが15μmとなるように、JIS硬度40°のゴムロールを用いて接着層(1)を構成する活性エネルギー線硬化性組成物をしごき出しながら気泡を含まないように圧着させ、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を製造した。尚、接着層(1)の厚みは活性エネルギー線硬化性組成物の供給量及び展開面積から算出した。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を、60℃に加温した状態で60秒間経過させた後に、PETフィルムを介して出力9.6kWのメタルハライドランプの下20cmの位置を2.5m/分の速度で通過させ、接着層(1)の硬化を行い硬化塗膜層とし、硬化塗膜層含有転写フィルム積層体を製造した。硬化塗膜層含有転写フィルム積層体を製造するための硬化条件としては、積算光量は570mJ/cmで、ピーク照度は220mW/cmであった。
その後、硬化塗膜層含有転写フィルム積層体からPETフィルムを剥離して樹脂積層体を製造した。該樹脂積層体中の硬化塗膜層の膜厚は13μmであった。評価結果を表7に示す。
[実施例31、32]
防汚組成物(10)の代わりに表7に示す防汚組成物(13)、(14)を使用した。それ以外は実施例30と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表7に示す。
[実施例33]
厚さ100μmのPETフィルム((株)東洋紡、商品名:A4100)の代わりに、100μmのPENフィルム((株)帝人デュポン、商品名:テオネックス Q65)を使用した。それ以外は実施例30と同様にして樹脂積層体を製造した。評価結果を表7に示す。尚、PEN表面の臨界表面張力は43mN/mであった。
Figure 0005810528
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この出願は、2009年10月9日に出願された日本出願特願2009−235652及び2009年10月16日に出願された日本出願特願2009−239886を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

Claims (15)

  1. 透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜が積層された転写フィルムであって、
    前記防汚硬化膜の透明基材フィルムと接していない面の水接触角(1)が100度以下であり、
    前記防汚硬化膜の透明基材フィルムと接している面の水接触角(2)が90度以上で、トリオレインの接触角(α)が55度以上であり、
    前記防汚硬化膜が、パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)と、無機微粒子とを含む防汚組成物を硬化してなり、
    前記防汚組成物中に含まれるパーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)の量は、前記防汚組成物中の固形分100質量部中に、10質量部以上、75質量部以下である転写フィルム。
  2. 透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜が積層された転写フィルムであって、
    防汚硬化膜の透明基材フィルムと接している面のX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)が0.110以下である請求項1に記載の転写フィルム。
  3. 無機微粒子表面が加水分解性シラン化合物で表面処理されている請求項1又は2に記載の転写フィルム。
  4. パーフルオロポリエーテル基と窒素原子とを含有するモノマー(A)が、下記式(1)で示される化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写フィルム。
    Figure 0005810528
    (式中、Wはパーフルオロポリエーテル基を表す。)
  5. 防汚硬化膜が低屈折率成分を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の転写フィルム。
  6. 防汚硬化膜の透明基材フィルムと接していない面に接着層が積層された請求項1〜のいずれか1項に記載の転写フィルム。
  7. 透明基材フィルムの表面に防汚硬化膜及び機能層が順次積層された転写フィルムであって、機能層が、低屈折率層、高屈折率層、ハードコート層及び帯電防止層から選ばれる少なくとも1層を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の転写フィルム。
  8. 機能層の防汚硬化膜と接していない面に接着層が積層された請求項に記載の転写フィルム。
  9. 接着層が熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂塗膜層又は活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層である請求項又はに記載の転写フィルム。
  10. 透明基材フィルムの表面に前記防汚組成物を塗布して防汚膜を形成する工程と、
    前記防汚膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する工程と、を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の転写フィルムの製造方法。
  11. 透明基材フィルムが芳香族ポリエステル化合物からなる請求項10に記載の転写フィルムの製造方法。
  12. 透明基材フィルムの表面に前記防汚組成物を塗布して防汚膜を形成する防汚膜形成工程と、
    前記防汚膜の表面に、アルコール、エステル、エーテル、ケトンから選ばれる少なくとも1種の液状有機化合物を塗布する液状有機化合物塗布工程と、
    前記塗布した液状有機化合物を揮発させる揮発工程と、
    防汚膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する防汚硬化膜形成工程と、を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の転写フィルムの製造方法。
  13. 請求項またはに記載の転写フィルムの接着層と樹脂基材とを接着する工程と、
    前記防汚硬化膜から前記透明基材フィルムを剥がし樹脂積層体を得る工程と、を含む樹脂積層体の製造方法。
  14. 前記接着層が活性エネルギー線硬化性混合物を含み、
    前記転写フィルムの接着層と樹脂基材とを接着する工程の後、接着層に対し活性エネルギー線を照射し、前記活性エネルギー線硬化性混合物を硬化させて硬化塗膜層とする請求項13に記載の樹脂積層体の製造方法。
  15. 請求項13または14に記載の方法により製造される樹脂積層体であって、
    露出している防汚硬化膜表面の水接触角が90度以上、トリオレインの接触角(α)が55度以上であり、X線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)との組成比(N/F)が0.110以下である樹脂積層体。
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