JP2007022071A - 帯電防止用積層体 - Google Patents

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Shingo Itai
信吾 板井
Nobuyasu Shinohara
宣康 篠原
Takayoshi Tanabe
隆喜 田辺
Hiromi Shimomura
宏臣 下村
Takao Yashiro
隆郎 八代
Tetsuya Yamamura
哲也 山村
Akitsugu Tatara
了嗣 多田羅
Shin Hatori
慎 羽鳥
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Abstract

【課題】各種基材の表面に、帯電防止性、硬度、耐擦傷性、及び透明性に優れた硬化膜層を有する帯電防止用積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも、基材と、下記成分(A)〜(D)を含有する液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層と、を有する積層体。
[液状硬化性組成物]
(A)一次粒径が20nm以下であり、かつ二次粒径が50nm以下である錫含有酸化インジウム(ITO)を主成分とする粒子
(B)分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)溶剤
【選択図】図2A

Description

本発明は、帯電防止用積層体に関する。さらに詳しくは、硬化性に優れ、かつ、各種基材、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロ−ス樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、セラミックス、スレ−ト等の表面に、帯電防止性、硬度、耐擦傷性及び透明性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層を含む帯電防止用積層体に関する。
従来、情報通信機器の性能確保と安全対策の面から、機器の表面に、放射線硬化性組成物を用いて、耐擦傷性、密着性を有する塗膜(ハードコート)や帯電防止機能を有する塗膜(帯電防止膜)を形成することが行われている。
また、光学物品に反射防止機能を付与するために、光学物品の表面に、低屈折率層と高屈折率層との多層構造(反射防止膜)を形成することが行われている。
近年、情報通信機器の発達と汎用化は目覚しいものがあり、ハードコート、帯電防止膜、反射防止膜等のさらなる性能向上及び生産性の向上が要請されるに至っている。
特に、光学物品、例えば、プラスチックレンズにおいては、静電気による塵埃の付着の防止と、反射による透過率の低下の改善が要求されており、また、表示パネルにおいても、静電気による塵埃の付着の防止と、画面での映り込みの防止が要求されるようになってきている。
これらの要求に対して、生産性が高く、常温で硬化できることに注目し、放射線硬化性の材料が種々提案されている。
このような技術としては、例えば、イオン伝導性の成分として、スルホン酸及びリン酸モノマーを含有する組成物(特許文献1)、連鎖状の金属粉を含有する組成物(特許文献2)、酸化錫粒子、多官能アクリレート、及びメチルメタクリレートとポリエーテルアクリレートとの共重合物を主成分とする組成物(特許文献3)、導電性ポリマーで被覆した顔料を含有する導電塗料組成物(特許文献4)、3官能アクリル酸エステル、単官能性エチレン性不飽和基含有化合物、光重合開始剤、及び導電性粉末を含有する光ディスク用材料(特許文献5)、シランカップラーで分散させたアンチモンドープされた酸化錫粒子とテトラアルコキシシランとの加水分解物、光増感剤、及び有機溶媒を含有する導電性塗料(特許文献6)、分子中に重合性不飽和基を含有するアルコキシシランと金属酸化物粒子との反応生成物、3官能性アクリル化合物、及び放射線重合開始剤を含有する液状硬化性樹脂組成物(特許文献7)、一次粒子径が100nm以下の導電性酸化物微粉末、該導電性酸化物微粉末の易分散性低沸点溶剤、該導電性酸化物微粉末の難分散性低沸点溶剤、及びバインダー樹脂を含有する透明導電性膜形成用塗料(特許文献8)等を挙げることができる。
さらに、液晶表示パネル、冷陰極線管パネル、プラズマディスプレー等の各種表示パネルにおいて、外光の映りを防止し、画質を向上させるために、低屈折率性、耐擦傷性、塗工性及び耐汚染性に優れた硬化物からなる低屈折率層を含む反射防止膜が求められている。
これら表示パネルにおいては、付着した指紋、埃等を除去するため表面をエタノール等を含侵したガーゼで拭くことが多く、耐擦傷性が求められている。また、付着した指紋、埃等が容易に拭き取れる耐汚染性も求められている。
特に、液晶表示パネルにおいては、反射防止膜は、偏光板と貼り合わせた状態で液晶ユニット上に設けられている。また、基材としては、例えば、トリアセチルセルロース等が用いられているが、このような基材を用いた反射防止膜では、偏光板と貼り合わせる際の密着性を増すために、通常、アルカリ水溶液でケン化を行う必要がある。
従って、液晶表示パネルの用途においては、耐久性において、特に、耐アルカリ性に優れた反射防止膜が求められている。
反射防止膜の低屈折率層用材料として、例えば、水酸基含有含フッ素重合体を含むフッ素樹脂系塗料が知られている(例えば、特許文献9〜11)。
しかし、このようなフッ素樹脂系塗料では、塗膜を硬化させるために、水酸基含有含フッ素重合体と、メラミン樹脂等の硬化剤とを、酸触媒下、加熱して架橋させる必要があり、加熱条件によっては、硬化時間が過度に長くなり、使用できる基材の種類が限定されてしまうという問題があった。
また、得られた塗膜についても、耐候性には優れているものの、耐擦傷性や耐久性に乏しいという問題があった。
そこで、上記の問題点を解決するため、少なくとも1個のイソシアネート基と少なくとも1個の付加重合性不飽和基とを有するイソシアネート基含有不飽和化合物と水酸基含有含フッ素重合体とを、イソシアネート基の数/水酸基の数の比が0.01〜1.0の割合で反応させて得られる不飽和基含有含フッ素ビニル重合体を含む塗料用組成物が提案されている(例えば、特許文献12)。
しかし、上記公報では、不飽和基含有含フッ素ビニル重合体を調製する際に、水酸基含有含フッ素重合体の全ての水酸基を反応させるのに十分な量のイソシアネート基含有不飽和化合物を用いず、積極的に当該重合体中に未反応の水酸基を残存させるものであった。
このため、このような重合体を含む塗料用組成物は、低温、短時間での硬化を可能とするものの、残存した水酸基を反応させるために、メラミン樹脂等の硬化剤をさらに用いて硬化させる必要があった。さらに、上記公報で得られた塗膜は、塗工性、耐擦傷性についても十分とはいえないという課題があった。
特開昭47−34539号公報 特開昭55−78070号公報 特開昭60−60166号公報 特開平2−194071号公報 特開平4−172634号公報 特開平6−264009号公報 特開2000−143924号公報 特開2001−131485号公報 特開昭57−34107号公報 特開昭59−189108号公報 特開昭60−67518号公報 特開昭61−296073号公報
しかしながら、このような従来の技術は、それぞれ一定の効果を発揮するものの、近年における、ハードコート、帯電防止膜、反射防止膜としての全ての機能を十全に具備することが要請される硬化膜としては、必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
例えば、上述の先行技術文献にあるような従来の技術には、下記のような問題があった。特許文献1に記載された組成物は、イオン伝導性物質を用いているが帯電防止性能が十分ではなく、乾燥により性能が変動する。特許文献2に記載された組成物は、粒径の大きい連鎖状の金属粉体を分散させるため透明性が低下する。特許文献3に記載された組成物は、非硬化性の分散剤を多量に含むため、硬化膜の強度が低下する。特許文献5に記載された材料は、高濃度の帯電性無機粒子を配合するため、透明性が低下する。特許文献6に記載された塗料は、長期保存安定性が十分ではない。特許文献7には、帯電防止性能を有する組成物の製造方法について何らの開示がない。特許文献8に記載された塗料を塗布、乾燥して透明導電性膜を形成した場合、バインダーの配合物からなる有機マトリックスに架橋構造を設けていないため、有機溶剤耐性が十分とは言えない。
帯電防止性能を高めるために導電性粒子の配合量を多くすることは容易に想到し得るが、その場合、硬化膜による可視光吸収の増加により透明性が低下するとともに、紫外線透過性の低下により硬化性が低下したり、基材との密着性、塗布液のレベリング性が損なわれるという問題を避けることができなかった。一方、導電性粒子の配合量を少なくすると、充分な帯電防止性能が発現しない。
本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、導電性粒子の配合量が少なくても、充分な帯電防止性能を発現することができ、硬化性に優れ、かつ、各種基材の表面に、帯電防止性、硬度、及び耐擦傷性に優れ、透明性と表面抵抗値を両立させた塗膜(被膜)を形成し得る液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層を有する帯電防止用積層体、特に帯電防止機能を有する反射防止膜積層体を提供することを目的とする。
本発明は、さらに、耐擦傷性及び耐汚染性に優れた反射防止積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意研究した結果、特定の粒径を有する導電性粒子、分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物、光重合開始剤、及び溶剤を含有した組成物を硬化させてなる硬化膜層を有する積層体により、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、特定のエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体とシリカ粒子を含む硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる低屈折率膜を組み合わせることにより、反射防止積層体の耐擦傷性及び耐汚染性が改善されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の積層体及び積層体の製造方法を提供するものである。
[1]少なくとも、基材と、
下記成分(A)〜(D)を含有し、かつ、成分(A)の含有量が、全固形成分中5〜40重量%である液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層と、
を有する積層体。
[液状硬化性組成物]
(A)一次粒径が20nm以下である錫含有酸化インジウム(ITO)を主成分とする粒子
(B)分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)溶剤
[2]前記成分(A)が、表面処理剤により表面処理された酸化物粒子である上記[1]又は[1]に記載の積層体。
[3]前記表面処理剤が、2以上の重合性不飽和基、下記式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する化合物である上記[2]に記載の液状硬化性組成物。
−X−C(=Y)−NH− (1)
[式中、Xは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Yは、O又はSを示す。]
[4]帯電防止機能を有する光学用部品である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]反射防止膜である上記[4]に記載の積層体。
[6]表面抵抗値が1×1013Ω/□以下である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記積層体が、基材上に、少なくとも帯電防止層及び低屈折率層が、基材に近い側からこの順に積層されている反射防止膜であって、
前記硬化膜層が、帯電防止層である上記[5]又は[6]に記載の積層体。
[8]前記帯電防止層の屈折率が、前記低屈折率層の屈折率より高い上記[7]に記載の積層体。
[9]さらに、基材上に、ハードコート層が形成されている上記[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]前記低屈折率層が、
下記成分(G)及び(H):
(G)1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、
水酸基含有含フッ素重合体と、
を反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、
(H)シリカを主成分とする粒子、
を含む硬化性樹脂組成物の硬化物である上記[7]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[11]前記水酸基含有含フッ素重合体が、下記構造単位(a)20〜70モル%、(b)10〜70モル%及び(c)5〜70モル%を含んでなり、かつ、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000である上記[11]に記載の積層体。
(a)下記式(11)で表される構造単位
(b)下記式(12)で表される構造単位
(c)下記式(13)で表される構造単位
Figure 2007022071
[式中、R11はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR12で表される基(R12はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
Figure 2007022071
[式中、R13は水素原子又はメチル基を、R14はアルキル基、−(CH2)−OR15若しくは−OCOR15で表される基(R15はアルキル基又はグリシジル基を、cは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
Figure 2007022071
[式中、R16は水素原子又はメチル基を、R17は水素原子又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
[12]前記水酸基含有含フッ素重合体が、さらに、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)0.1〜10モル%を含む上記[10]又は[11]に記載の積層体。
(d)下記一般式(14)で表される構造単位
Figure 2007022071
[式中、R18及びR19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
[13]前記成分(H)が、表面にエチレン性不飽和基を有するシリカ粒子である上記[10]〜[12]のいずれかに記載の積層体。
[14]前記成分(H)が、
下記式(22)で表されるケイ素化合物及び下記式(23)で表されるケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物からなり、平均粒径が5〜50nmである多孔質シリカ粒子(H1)
SiX ・・・(22)
29 SiX4−j ・・・(23)
(Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を示す。R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基、jは1〜3の整数を示す。尚、式(22)のX及び式(23)のXは、同一であっても異なっていてもよい。)
である上記[10]〜[13]のいずれかに記載の積層体。
[15]前記成分(H)が、
下記式(22)で表されるケイ素化合物、下記式(23)で表されるケイ素化合物及び下記式(24)で表されるケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物からなり、平均粒径が5〜50nmである多孔質シリカ粒子(H2)
SiX ・・・(22)
29 SiX4−j ・・・(23)
30 SiX4−k ・・・(24)
(Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を示す。R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基、jは1〜3の整数を示す。R30は炭素数1〜12のフッ素置換アルキル基、kは1〜3の整数を示す。尚、式(22)のX、式(23)のX及び式(24)のXは、同一であっても異なっていてもよい。)
である上記[10]〜[13]のいずれかに記載の積層体。
[16]前記多孔質シリカ粒子(H1)が、前記式(22)で表されるケイ素化合物及び前記式(23)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、前記加水分解物及び/又は加水分解縮合物が、式(22)で表されるケイ素化合物67〜99モル%及び式(23)で表されるケイ素化合物33〜1モル%の反応物からなる、上記[14]に記載の積層体。
[17]前記多孔質シリカ粒子(H2)が、前記式(22)で表されるケイ素化合物、前記式(23)で表されるケイ素化合物及び前記式(24)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、前記加水分解物及び/又は加水分解縮合物が、式(22)で表されるケイ素化合物60〜98モル%、式(23)で表されるケイ素化合物1〜30モル%及び式(24)で表されるケイ素化合物1〜20モル%の反応物からなる、上記[15]に記載の積層体。
[18]基材上に、下記成分(A)〜(D)を含有する液状硬化性組成物を塗布し、放射線を照射することによって、該組成物を硬化して得られる硬化膜層を形成する工程を含む積層体の製造方法。
[液状硬化性組成物]
(A)一次粒径が20nm以下であり、かつ二次粒径が50nm以下である錫含有酸化インジウム(ITO)を主成分とする粒子
(B)分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)溶剤
本発明によれば、硬化性に優れ、かつ、各種基材の表面に、帯電防止性、硬度、耐擦傷性、及び透明性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜を有する帯電防止用積層体を提供することができる。
従来、錫含有酸化インジウム(ITO)を用いて十分な導電性を得るには高価な錫含有酸化インジウム(ITO)粒子を高含有量(通常60重量%程度)で配合する必要があったが、本発明によれば、錫含有酸化インジウム(ITO)粒子の含有量が低くても、充分な導電性を発現させることができ、帯電防止性能に優れた硬化膜を有する帯電防止用積層体を得ることができる。
また、本発明によれば、微細な錫含有酸化インジウム(ITO)粒子を用いることにより、その含有量を低く抑えても、硬化膜の充分な表面抵抗値と透明性とを両立させることができ、本発明の積層体は、帯電防止機能を有する光学用部品、特に帯電防止機能を有する反射防止膜として有用である。
さらに、特定の構成を有する低屈折率層を形成することにより、耐擦傷性及び耐汚染性に優れた反射防止積層体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明の積層体は、少なくとも、基材と、下記成分(A)〜(D)を含有する液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層とを有することを特徴とする。
[液状硬化性組成物]
(A)一次粒径が20nm以下であり、かつ二次粒径が50nm以下である錫含有酸化インジウム(ITO)を主成分とする粒子
(B)分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)光重合開始剤
(D)溶剤
また、本発明の積層体の好ましい態様・用途である反射防止膜は、基材上に、少なくとも上記硬化膜層からなる帯電防止層及び低屈折率層が、基材に近い側からこの順に積層されている反射防止膜であり、前記低屈折率層が、下記成分(G)及び(H)を含む硬化性樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする。
(G)1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体と、を反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体
(H)シリカ粒子
I.積層体
本発明の積層体の最も基本的な構成を図1に示す。本発明の積層体1は、基材10及び前記液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層12を有する。
本発明の積層体は、少なくとも基材10及び硬化膜層12を有していればよく、目的に応じて種々の層を設けてもよい。目的に応じて設けられる層については、後述する。
本発明の積層体1は、優れた耐擦傷性、密着性を有する硬化膜層12を有しているため、特にハードコートとして有用である。
また、本発明の積層体1は、フィルム状、板状、又はレンズ等の各種形状の基材上に優れた帯電防止機能を有する硬化膜層12が配設されていることにより帯電防止用積層体として有用である。
本発明の積層体の適用例としては、例えば、CRT、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、エレクトロルミネッセンス表示パネル等の各種表示パネル用の帯電防止機能を有する反射防止膜(以下、「帯電防止機能付き反射防止膜」ともいう)としての利用、プラスチックレンズ、偏光フィルム、太陽電池パネル等の帯電防止機能付き反射防止膜としての利用等を挙げることができる。
(1)硬化膜層
本発明の積層体の基材上に設けられる硬化膜層は、下記液状硬化性組成物(以下、単に「組成物」又は「帯電防止層形成用組成物」ということがある)を硬化させて得られ、積層体に導電性膜としての機能及び/又はハードコートとしての機能を付与することができる。
以下、本発明で用いる液状硬化性組成物(帯電防止層形成用組成物)について具体的に説明する。
1.成分(A)
本発明に用いられる成分(A)は、錫含有酸化インジウム(以下、単に「ITO」ということもある)粒子である。成分(A)は、本発明の組成物を硬化させて得られる硬化膜に導電性(帯電防止性)を付与するために必須の成分である。また、ITO粒子の一次粒径は20nm以下であり、かつ二次粒径は50nm以下である。ITO粒子の粒径を上記のように設定することにより、導電性(帯電防止性)を確保すると同時に硬化膜の透明性をも維持することが可能となる。ITO粒子の一次粒径及び二次粒径がそれぞれ20nm及び50nmを超えると、得られる硬化膜の透明性が損なわれるおそれがある。
ITO粒子の一次粒径は、好ましくは15nm以下であり、二次粒径は、好ましくは40nm以下である。
成分(A)のITO粒子の一次粒径は、後述する表面処理の有無にかかわらず、その形状が球状である場合、透過型電子顕微鏡で測定した値であり、形状が針状のように細長い場合には短軸を透過型電子顕微鏡で観察し、数平均の粒径として求めた値である。
成分(A)のITO粒子の二次粒径は、後述する表面処理の有無にかかわらず、動的光散乱式粒径分布測定装置によって求めた値である。
このようなITO粒子の粉体としての市販品としては、例えば、富士化学(株)製 商品名:ITO粉末等を挙げることができる。
成分(A)として用いられるITO粒子は、粉体又は溶媒に分散した状態で用いることができるが、均一分散性が得易いことから、溶媒中に分散した状態で用いることが好ましい。
成分(A)として用いられるITO粒子を溶媒に分散した市販品としては、例えば、富士化学(株)製 商品名:ハウトフォームNID−20等を挙げることができる。
成分(A)として用いられるITO粒子は、溶剤への分散性を向上させるために、表面処理剤等で表面処理されたITO粒子であってもよい。
ここで、表面処理剤としては、例えば、アルコキシシラン化合物、テトラブトキシシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキシアルミニウム等を挙げることができる。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルコキシシラン化合物の具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の分子内に不飽和二重結合を有する化合物群、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の分子内にエポキシ基を有する化合物群、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の分子内にアミノ基を有する化合物群、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の分子内にメルカプト基を有する化合物群、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアルキルシラン類等を挙げることができる。これらの表面処理剤の中では、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等が、表面処理されたITO粒子の分散安定性の点で好ましい。
また、表面処理剤としては、有機樹脂と共重合又は架橋反応する官能基を有するもの(反応性表面処理剤)も好ましい。このような表面処理剤としては、上述した分子内に不飽和二重結合を有する化合物群や、2以上の重合性不飽和基、下記式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する化合物が好ましい。
−X−C(=Y)−NH− (1)
[式中、Xは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Yは、O又はSを示す。]
上記式(1)に示す基は、好ましくは、ウレタン結合[−O−C(=O)−NH−]、−O−C(=S)−NH−及びチオウレタン結合[−S−C(=O)−NH−]からなる群から選択される少なくとも1種類の基である。
このような表面処理剤としては、例えば、分子内にウレタン結合[−O−C(=O)NH−]及び/又はチオウレタン結合[−S−C(=O)NH−]並びに2以上の重合性不飽和基を有するアルコキシシラン化合物を挙げることができる。具体的には、下記式(2)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2007022071
式中、Rはメチル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、Rは水素原子又はメチル基、mは1又は2、nは1〜5の整数、Xは炭素数1〜6の2価のアルキレン基、Yは鎖状、環状、分岐状いずれかの炭素数3〜14の2価の炭化水素基、Zは(n+1)価の鎖状、環状、分岐状いずれかの炭素数2〜14の2価の炭化水素基である。Z内には、エーテル結合を含んでもよい。
式(2)に示す化合物は、メルカプトアルコキシシラン類、ジイソシアネート類及び水酸基含有多官能(メタ)アクリレート類を反応させて製造することができる。
好ましい製造方法としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン類とジイソシアネート類との反応によりチオウレタン結合で結合した中間体を製造後、残存するイソシアネートと水酸基含有多官能(メタ)アクリレート類との反応によりウレタン結合で結合した生成物とする方法を挙げることができる。
尚、ジイソシアネート類と水酸基含有多官能(メタ)アクリレート類との反応により初めにウレタン結合で結合した中間体を製造後、残存するイソシアネートとメルカプトアルコキシシラン類とを反応させることによっても同一生成物は得られるが、メルカプトアルコキシシラン類と(メタ)アクリル基との付加反応が併発するため、その純度が低くなり、また、ゲル状物を形成することがあり好ましくない。
式(2)に示す化合物の製造に用いるメルカプトアルコキシシラン類としては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。中でも、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
メルカプトアルコキシシラン類の市販品としては、例えば、東レダウ・コーニング(株)製 商品名:SH6062を挙げることができる。
また、ジイソシアネート類としては、例えば、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ビスフェノールAジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等を挙げることができる。中でも、2,4−トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが好ましい。
ポリイソシアネート化合物の市販品としては、例えば、三井日曹ウレタン(株)製 商品名:TDI−80/20、TDI−100、MDI−CR100、MDI−CR300、MDI−PH、NDI、日本ポリウレタン工業(株)製 商品名:コロネ−トT、ミリオネートMT、ミリオネートMR、HDI、武田薬品工業(株)製 商品名:タケネート600等を挙げることができる。
また、水酸基含有多官能(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。このうち、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、式(2)に示す化合物中の2以上の重合性不飽和基を形成する。
これらのメルカプトアルコキシシラン類、ジイソシアネート類、水酸基含有多官能(メタ)アクリレート類は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
式(2)に示す化合物を製造する場合の好ましいメルカプトアルコキシシラン類、ジイソシアネート類、水酸基含有多官能(メタ)アクリレート類の配合割合は、メルカプトアルコキシシラン類に対するジイソシアネート類のモル比が、好ましくは、0.8〜1.5、さらに好ましくは、1.0〜1.2である。このモル比が0.8未満であると、組成物の保存安定性が低下することがあり、1.5を超えると、分散性が低下することがある。
また、ジイソシアネート類に対する水酸基含有(メタ)アクリレート類のモル比が、好ましくは、1.0〜1.5、さらに好ましくは、1.0〜1.2である。このモル比が1.0未満であると、ゲル化することがあり、1.5を超えると、帯電防止性が低下することがある。
式(2)に示す化合物の製造は、通常、アクリル基の嫌気性重合を防止し、アルコキシシランの加水分解を防止するため、乾燥空気中で行うことが好ましい。また、反応温度は0℃から100℃が好ましく、さらに好ましくは、20℃から80℃である。
式(2)に示す化合物の製造時には、製造時間を短縮することを目的にウレタン反応で公知の触媒を添加してもよい。触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、オクチル錫トリアセテートを挙げることができる。触媒の添加量は、ジイソシアネート類との合計に対して、0.01重量%〜1重量%である。
また、式(2)に示す化合物の熱重合を防止する目的で、製造時に熱重合禁止剤を添加してもよい。熱重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン等を挙げることができる。熱重合禁止剤の添加量は、水酸基含有多官能(メタ)アクリレート類との合計に対して、好ましくは、0.01重量%〜1重量%である。
式(2)に示す化合物の製造は、溶媒中で行うこともできる。溶媒としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン類、ジイソシアネート類、水酸基含有多官能(メタ)アクリレート類と反応せず、沸点が200℃以下の溶媒の中から適宜選択することができる。
このような溶媒の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、トルエン、キシレン等の炭化水素類を挙げることができる。
本発明では、(A)ITO粒子の存在下、上記の表面処理剤を加水分解することにより、表面処理されたITO粒子を製造することができる。好ましい製造方法は、(A)ITO粒子、表面処理剤、及び有機溶媒の混合物に水を加え、加水分解する手順で調製する方法である。
この製造方法では、表面処理剤の加水分解により、アルコキシ基が、一旦シラノール基(Si−OH)に変換され、このシラノール基がITO粒子上の金属水酸化物(M−OH)と反応し、メタロキサン結合(M−O−Si)を形成することにより、表面処理剤がITO粒子上に固定されると推定される。
表面処理剤の配合量は、(A)ITO粒子100重量部に対して、好ましくは、0.1〜50重量部、さらに好ましくは、1〜35重量部である。表面処理剤が0.1重量部未満であると、硬化膜の耐摩耗性が十分でないことがあり、50重量部を超えると帯電防止性能が不足することがある。
水の配合量は、表面処理剤中の全アルコキシ当量に対して、好ましくは、0.5〜1.5当量であり、表面処理剤100重量部に対して、0.5〜5.0重量部添加することが好ましい。用いる水は、イオン交換水又は蒸留水が好ましい。
加水分解反応は、有機溶媒の存在下、0℃〜成分の沸点以下の温度、通常、30〜100℃で、1時間から24時間加熱攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては、予め有機溶媒に分散した(A)ITO粒子を用いる場合はそのままで行うことができるが、別途有機溶媒を添加してもよい。
尚、加水分解を行う際、反応を促進するため、触媒として、酸又は塩基を添加してもよい。
酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、蟻酸、蓚酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の有機酸や、テトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を挙げることができる。
塩基としては、例えば、アンモニア水、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができるが、好ましい触媒は、酸であり、より好ましくは有機酸である。これら触媒の添加量はアルコキシシラン化合物100重量部に対して、好ましくは、0.001重量部〜1重量部、より好ましくは0.01重量部〜0.1重量部である。
尚、加水分解反応の終了時に脱水剤を添加することにより、(A)ITO粒子上への表面処理剤の加水分解物の固定をより効果的に行うことができる。
脱水剤としては、有機カルボン酸オルトエステル及びケタールであり、具体的には、例えば、オルト蟻酸メチルエステル、オルト蟻酸エチルエステル、オルト酢酸メチルエステル、オルト酢酸エチルエステル等及びアセトンジメチルケタール、ジエチルケトンジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、シクロヘキサノンジメチルケタール、シクロヘキサノンジエチルケタール、ベンゾフェノンジメチルケタール等を挙げることができる。中でも、好ましくは有機カルボン酸オルトエステル類であり、さらに好ましくはオルト蟻酸メチルエステル、オルト蟻酸エチルエステルである。
これらの脱水剤は、組成物中に含まれる水分量と当モル以上10倍モル以下、好ましくは当モル以上3モル以下加えることができる。当モル未満であると、保存安定性向上が十分でないことがある。また、これら脱水剤は、組成物の調製後加えることが好ましい。これにより、組成物の保存安定性及び表面処理剤の加水分解物中のシラノール基と(A)ITO粒子との化学結合形成が促進される。
このような表面処理剤で表面処理された(A)ITO粒子は、溶剤中で極めて良好な分散性を有することから、表面処理剤は、シロキシ基(Si−O−)を介した化学結合により、(A)ITO粒子の表面に固定されていると推定される。
尚、本発明では、反応性表面処理剤で表面処理された(A)ITO粒子を、特に反応性粒子(RA)と称する。
成分(A)の配合量は特に制限されないが、本発明の組成物の固形分全量100重量%中、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜35重量%である。成分(A)が表面処理されている場合も同じである。配合量が5重量%未満では、帯電防止性が劣る場合があり、40重量部を超えると、塗膜の製膜性が劣る場合がある。ここで、成分(A)の配合量は、その固形分としての配合量をいい、分散媒を含まない。
2.成分(B)
本発明に用いられる成分(B)は、分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物であり、本発明の組成物を硬化して得られる硬化膜に成膜性、透明性を付与する成分である。このような成分(B)を用いることにより、優れた耐擦傷性、有機溶剤耐性を有する硬化物が得られる。
成分(B)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。
(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート、及びこれらの化合物を製造する際の出発アルコール類のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレートが好ましい。これら(B)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分(B)の配合量は、本発明の組成物の固形分全量100重量%中、好ましくは55〜94重量%、より好ましくは60〜92重量%である。成分(B)の配合量が55重量%未満では、得られる硬化物の透明性が劣る場合があり、94重量%を超えると、帯電防止性が劣る場合がある。
3.成分(C)
成分(C)は、光重合開始剤であり、本発明の組成物に放射線を照射して硬化させる際に、硬化速度を高めるために添加する。
尚、本発明において、放射線とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等を意味する。
成分(C)の配合量は、本発明の組成物の固形分全量100重量%に対して、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。成分(C)は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
成分(C)としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド等を挙げることができる。
4.成分(D)
本発明に用いられる成分(D)は溶剤であり、本発明の組成物の流動性を調節するための成分である。
本発明の組成物中の成分(D)である溶剤は、組成物の固形分全量の濃度が、0.5〜75重量%となるように添加することが好ましい。即ち、(D)溶剤の添加量としては、本発明の組成物の固形分全量を100重量部としたときに、33.3〜19,900重量部の範囲内であることが好ましい。この理由は、(D)溶剤の添加量が33.3重量部未満となると、組成物の粘度が増加して塗布性が低下する場合があり、一方、19,900重量部を超えると、得られる硬化物の膜厚が薄過ぎて、十分な硬度が発現しない場合があるからである。
溶剤の種類は、特に限定されるものではないが、通常、常圧での沸点が200℃以下の溶剤が好ましい。具体的には、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、アミド類等が用いられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等を挙げることができる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。エーテル類としては、例えば、ジブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等を挙げることができる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等を挙げることができる。炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等を挙げることができる。アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
尚、成分(A)のITO粒子が分散媒に分散した状態の分散液である場合、その分散媒を、成分(D)の溶剤としてそのまま用いてもよく、分散媒とは別の溶剤のみを用いてもよいし、さらに分散媒と別の溶剤とを併せて成分(D)の溶剤として用いてもよい。
5.その他の重合性不飽和基を有する化合物
本発明の組成物には、成分(A)〜成分(D)以外の成分として、その他の重合性不飽和基を有する化合物(成分(E))を必要に応じて配合することができる。ここで、成分(E)とは、分子内に重合性不飽和基を1つ有する化合物である。
成分(E)の具体例としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、下記式(3)で表される化合物等が挙げられる。
CH−C(R)−COO(RO)−Ph−R 式(3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、Phはフェニレン基を示し、pは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す。)
成分(E)の市販品としては、アロニックス M−101、M−102、M−111、M−113、M−114、M−117(以上、東亜合成(株)製);ビスコート LA、STA、IBXA、2−MTA、#192、#193(大阪有機化学(株)製);NK エステル AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G(以上、新中村化学工業(株)製);ライトアクリレート L−A、S−A、IB−XA、PO−A、PO−200A、NP−4EA、NP−8EA(以上、共栄社化学(株)製);FA−511、FA−512A、FA−513A(以上、日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
6.非導電性粒子
本発明では、液状硬化性組成物が分離、ゲル化等の不具合を起こさない範囲で、非導電性粒子、又は非導電性粒子とアルコキシシラン化合物とを有機溶媒中で反応させて得られる粒子を併用してもよい。
非導電性粒子を成分(A)であるITO粒子と併用することにより、帯電防止機能、即ち、硬化膜としたときの表面抵抗として1013Ω/□以下の値を維持しながら、耐擦傷性を向上させることができる。
このような非導電性粒子としては、具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム等の酸化物粒子、又はケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、及びセリウムよりなる群から選ばれる2種類以上の元素を含む酸化物粒子を挙げることができる。
非導電性粒子の一次粒径は、透過型電子顕微鏡観察によって求めた値として、好ましくは、0.1μm以下であり、さらに好ましくは、0.001〜0.05μmである。0.1μmを超えると、組成物中で沈降が発生したり、塗膜の平滑性が低下することがある。
非導電性粒子を本発明の組成物に配合する場合、非導電性粒子とアルコキシシラン化合物とを有機溶媒中で加水分解した後混合してもよい。この処理により、非導電性粒子の分散安定性が良好になる。非導電性粒子とアルコキシシラン化合物との有機溶媒中での加水分解処理は、前述の成分(A)である酸化物粒子の処理方法と同様にすることができる。
非導電性粒子の市販品として、例えば、酸化ケイ素粒子(例えば、シリカ粒子)としては、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレーク等を挙げることができる。
また、酸化アルミニウム(アルミナ)の水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:アルミナゾル−100、−200、−520;酸化ジルコニウムの分散品としては、住友大阪セメント(株)製(トルエン、メチルエチルケトン分散のジルコニアゾル);酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製 商品名:ニードラール;アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、等の粉末及び溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテック等を挙げることができる。
非導電性粒子の配合割合は、本発明の組成物の固形分全量100重量%中、好ましくは0.1〜35重量%、より好ましくは1〜30重量%である。
7.添加剤
本発明の組成物には、その他の添加剤として、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、滑材等を必要に応じて配合することができる。酸化防止剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:イルガノックス1010、1035、1076、1222等、紫外線吸収剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:チヌビン P234、320、326、327、328、213、329、シプロ化成(株)製 商品名:シーソーブ102、103、501、202、712等、光安定剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:チヌビン292、144、622LD、三共(株)製 商品名:サノ−ルLS770、LS440、住友化学工業(株)製 商品名:スミソーブ TM−061等を挙げることができる。
このようにして得られた本発明の組成物の粘度は、通常25℃において、1〜20,000mPa・sであり、好ましくは1〜1,000mPa・sである。
前述の通り、本発明の組成物の溶剤(D)を除く固形分含量は、0.5〜75重量%の範囲内であることが好ましい。固形分含量が0.5重量%未満であると、得られる硬化物の膜厚が薄過ぎて、十分な硬度が発現しない場合があり、75重量%を超えると組成物の粘度が増加して塗布性が低下する場合がある。
8.帯電防止層形成用組成物の調製方法
本発明の液状硬化性組成物は、上記成分(A)〜(D)、及び必要に応じて、上記その他の重合性不飽和基を有する化合物、非導電性粒子、その他の添加剤を加えて混合することにより得られる。
9.硬化膜層の形成方法
本発明の積層体の硬化膜層は、上述の帯電防止層形成用組成物を上記基材に塗布、乾燥した後に、放射線を照射して、組成物を硬化させることにより得ることができる。
得られた硬化膜層の表面抵抗は、1×1013Ω/□以下であれば十分な帯電防止性能を発揮でき、通常は、1×1012Ω/□以下、好ましくは1×1010Ω/□以下、より好ましくは1×10Ω/□以下である。表面抵抗が1×1013Ω/□を超えると、帯電防止性能が十分でなく、埃が付着し易くなったり、付着した埃を容易に除去できない場合がある。
尚、上記範囲の表面抵抗値を有する硬化膜層の上に、後述する低屈折率層等を形成した場合の本発明の積層体(帯電防止機能付き反射防止膜)の表面抵抗は、通常1×1013Ω/□以下、好ましくは1×1010Ω/□以下、より好ましくは1×10Ω/□以下である。
帯電防止層形成用組成物の塗布方法としては特に制限はないが、例えば、ロールコート、スプレーコート、フローコート、デイピング、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の方法を適用することができる。
帯電防止層形成用組成物の硬化に用いる放射線の線源としては、組成物を塗布後、短時間で硬化させ得るものである限り特に制限はない。
可視光線の線源としては、例えば、直射日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また、紫外線の線源としては、例えば、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また、電子線の線源としては、例えば、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式等を挙げることができる。
α線、β線及びγ線の線源としては、例えば、60Co等の核***物質を挙げることができ、γ線については、加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は、1種単独で、又は2種以上を同時に照射してもよく、また、1種以上の放射線を、一定期間をおいて照射してもよい。
硬化膜層の膜厚は、0.05〜30μmであることが好ましい。タッチパネル、CRT等の最表面での耐擦傷性を重視する用途では比較的厚く、好ましくは2〜15μmである。一方、光学フィルムの帯電防止膜として用いる場合、好ましくは0.05〜10μmである。
また、光学フィルムへ用いる場合、透明性が必要であり、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
(2)基材
本発明の積層体に用いられる基材は、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木材、スレート等特に制限はなく、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、放射線硬化性という生産性の高い、工業的有用性を発揮できる材料として、例えば、フィルム、ファイバー状の基材に好ましく適用される。特に好ましい材料は、プラスチックフィルム、プラスチック板である。そのようなプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン/ポリメチルメタクリレート共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、トリアセチルセルロース樹脂、ジエチレングリコールのジアリルカーボネート(CR−39)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、環化ポリオレフィン樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)等を挙げることができる。
尚、成分(A)の錫含有酸化インジウム(ITO)粒子が基材側に偏在し、より高い導電性(耐電防止性)が得られることから、帯電防止層形成用組成物を塗布する基材は、帯電防止層形成用組成物が塗布される表面に易接着処理を施したポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材が好ましい。
このような易接着処理としては、コロナ放電処理、易接着層塗布処理等の処理が挙げられる。
好ましい易接着処理された市販の基材としては、ポリエステルフィルムA4300(東洋紡績(株)製)等が挙げられる。
基材の厚さは、目的に応じて適宜設定すべきであり特に限定されないが、通常30〜5000μm、好ましくは50〜2000μmの範囲である。
II.帯電防止機能付き反射防止膜
次に、本発明の積層体を、帯電防止機能を有する反射防止膜として用いる場合の各層の構成を、図2A〜図2Iを参照しながら説明する。
光学物品に反射防止機能を付与する場合、基材、又はハードコート処理された基材等に、低屈折率層を形成する方法、又は低屈折率層と高屈折率層との多層構造を形成する方法が有効であることが知られている。
本発明の積層体を帯電防止機能付き反射防止膜として用いる場合の第一の形態を図2Aに示す。帯電防止機能付き反射防止膜2は、基材10の上に、前記液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層である帯電防止層12を形成し、さらにその上に低屈折率層18を形成してなる。第一の形態では、帯電防止層12は、帯電防止機能、ハードコート層としての機能を併せ持っている。第一の形態では、帯電防止層12の屈折率が、低屈折率層18の屈折率より高いことが必要である。
別の形態として、本発明の反射防止膜2の帯電防止層12は、ハードコート層としての機能も果たすことができるが、別途、ハードコート層を設けることもできる。この場合、ハードコート層11は、帯電防止層12と低屈折率層18との間に設けられる。この場合、ハードコート層11の屈折率は、低屈折率層18の屈折率より高くなければならない。これらの態様を図2Cに示す。
本発明の積層体を帯電防止機能付き反射防止膜として用いる場合の第二の形態を図2Dに示す。第二の形態では、帯電防止機能付き反射防止膜2は、基材10の上に、前記液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層である帯電防止層12を形成し、さらにその上に高屈折率層16及び低屈折率層18をこの順に形成してなる。第二の形態では、帯電防止層12は、帯電防止機能及びハードコートとしての機能、さらには中屈折率層としての機能を併せ持つこともある。第二の形態において、帯電防止層12が中屈折率層としての機能を有するためには、帯電防止層12の屈折率が、高屈折率層16の屈折率より低く、低屈折率層18の屈折率よりも高いことが必要である。
第二の形態でも、第一の形態と同様に、別途、ハードコート層を設ける形態も可能である。ハードコート層11は、帯電防止層12と高屈折率層16との間に設けることができる。これらの形態を図2Fに示す。
本発明の積層体を帯電防止機能付き反射防止膜として用いる場合の第三の形態を図2Gに示す。第三の形態では、帯電防止機能付き反射防止膜2は、基材10の上に、前記液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層である帯電防止層12を形成し、さらにその上に中屈折率層14、高屈折率層16及び低屈折率層18をこの順に形成してなる。第三の形態では、帯電防止層12は、帯電防止機能及びハードコートとしての機能を併せ持っている。
第三の形態でも、第一の形態と同様に、別途、ハードコート層を設けることも可能である。ハードコート層11は、帯電防止層12と中屈折率層14との間に設けることができる。これらの形態を図2Iに示す。
上記帯電防止機能付き反射防止膜の第一から第三の形態において設けられる、帯電防止層以外の層及び基材について説明する。
(2)低屈折率層
低屈折率層は、その厚さが0.05〜0.20μmの範囲内で、屈折率が1.30〜1.45の層である。なお、本発明における屈折率とは、25℃における589nmの屈折率をいう。
低屈折率層に使用される材料としては、目的とする特性が得られれば特に限定されるものではないが、例えば、含フッ素重合体を含有する硬化性組成物、アクリルモノマー、含フッ素アクリルモノマー、エポキシ基含有化合物、含フッ素エポキシ基含有化合物等の硬化物を挙げることがでる。また、低屈折率層の強度を上げるために、シリカ微粒子等を配合することもできる。
本発明の積層体を反射防止膜として用いる好ましい態様では、後述する成分(E)及び(F)を含有する硬化性樹脂組成物を用いて低屈折率層を形成する。
(3)高屈折率層
高屈折率層は、その厚さが0.05〜0.20μmの範囲内で、屈折率が1.55〜2.20の範囲内である。
高屈折率層を形成するために高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することができる。
金属酸化物粒子の具体例としては、アンチモン含有酸化錫(ATO)粒子、錫含有酸化インジウム(ITO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、アンチモン含有ZnO、Al含有ZnO粒子ZrO粒子、TiO粒子、シリカ被覆TiO粒子、Al/ZrO被覆TiO粒子、CeO粒子等を挙げることができる。好ましくは、アンチモン含有酸化錫(ATO)粒子、錫含有酸化インジウム(ITO)粒子、リン含有酸化錫(PTO)粒子、Al含有ZnO粒子、Al/ZrO被覆TiO粒子である。これらの金属酸化物粒子は、一種単独又は二種以上の組み合わせで使用することができる。
また、高屈折率層にハードコート層の機能を持たせることもできる。
(4)中屈折率層
3種以上の屈折率を有する層を組み合わせる場合に、屈折率が1.50〜1.90であって、低屈折率層より高く、高屈折率層より低い屈折率を有する層を中屈折率層と表す。中屈折率層の屈折率は、好ましくは、1.50〜1.80、より好ましくは、1.50〜1.75である。中屈折率層は、その厚さが0.05〜0.20μmの範囲内である。
中屈折率層を形成するために、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することができる。
金属酸化物粒子の具体例としては、アンチモン含有酸化錫(ATO)粒子、錫含有酸化インジウム(ITO)粒子、ZnO粒子、アンチモン含有ZnO、Al含有ZnO粒子、ZrO粒子、TiO粒子、シリカ被覆TiO粒子、Al/ZrO被覆TiO粒子、CeO粒子等を挙げることができる。好ましくは、アンチモン含有酸化錫(ATO)粒子、錫含有酸化インジウム(ITO)粒子、リン含有酸化錫(PTO)粒子、Al含有ZnO粒子、ZrO粒子である。これらの金属酸化物粒子は、一種単独又は二種以上の組み合わせで使用することができる。
低屈折率層と高屈折率層を組み合わせることにより反射率を低くすることができ、さらに、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層を組み合わせることにより、反射率を低くすることができるとともに色目(ギラツキ)を減らすことができる。
(5)ハードコート層
ハードコート層の具体例としては、SiO、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の材料から構成するのが好ましい。また、これらの樹脂にシリカ粒子を配合してもよい。
ハードコート層は積層体の機械的強度を高める効果がある。ハードコート層の厚さは、
通常0.5〜50μm、好ましくは1〜30μmの範囲である。又はドコート層の屈折率は、通常1.45 〜1.70、好ましくは1.45〜1.60の範囲である。
(6)基材
本発明の積層体を反射防止膜として用いる場合の基材の材料は、透明であることが必要であり、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン/ポリメチルメタクリレート共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、トリアセチルセルロース樹脂、ジエチレングリコールのジアリルカーボネート(CR−39)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、環化ポリオレフィン樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)等を挙げることができる。
尚、前述したように、成分(A)の錫含有酸化インジウム(ITO)粒子が基材側に偏在し、より高い導電性(耐電防止性)が得られることから、易接着処理を施した基材が好ましい。このような易接着処理としては、コロナ放電処理、易接着層塗布処理等の処理が挙げられる。
好ましい易接着処理された市販の基材としては、ポリエステルフィルムA4300(東洋紡績(株)製)等が挙げられる。
基材の厚さは、特に限定されないが、通常30〜300μm、好ましくは50〜200μmの範囲である。
(7)その他の層
本発明の積層体の製造において、他の要求、例えば、ノングレア効果、光の選択吸収効果、耐候性、耐久性、転写性等の機能をさらに付与するために、例えば、1μm以上の光散乱性の粒子を含有する層を加えること、染料を含有する層を加えること、紫外線吸収剤を含有する層を加えること、接着層を加えること、接着層と剥離層を加えること等が可能であり、さらに、これらの機能付与成分を本発明で用いる帯電防止層形成用組成物及び/又は低屈折率層形成用組成物の1成分として加えることも可能である。
本発明の積層体は、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック筐体、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のためのハードコ−ティング材;各種基材の接着剤、シ−リング材;印刷インクのバインダー材等として好適に用いることができる。
これらの層は一層のみ形成してもよく、また、異なる層を二層以上形成してもよい。
また、低、中、高屈折率層の膜厚は、それぞれ通常60〜150nm、ハードコート層の膜厚は通常1〜20μm、帯電防止層の膜厚は通常0.05〜30μmである。
本発明では、層の製造方法は、公知の塗布と硬化、蒸着、スパッタリング等の方法により製造できる。
III.低屈折率層
本発明の積層体を反射防止膜として用いるためには、少なくとも、上記硬化膜層の上に低屈折率層を形成する必要がある。本発明の積層体に形成される低屈折率層は、(G)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体及び(H)シリカ粒子を含有する硬化性樹脂組成物(以下、「低屈折率層形成用組成物」ということがある)からなる硬化物であることが好ましい。
以下、成分(G)及び(H)について説明する。
1.成分(G)
低屈折率層形成用組成物に用いるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体(G)は、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを、反応させて得られる。
(1)1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物
1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物としては、分子内に、1個のイソシアネート基と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を含有している化合物であれば特に制限されるものではない。
尚、イソシアネート基を2個以上含有すると、水酸基含有含フッ素重合体と反応させる際にゲル化を起こす可能性がある。
また、上記エチレン性不飽和基として、後述する硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができることから、(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。
このような化合物としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネートの一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、このような化合物は、ジイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて合成することもできる。
ジイソシアネートの例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネアート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
尚、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、大阪有機化学(株)製 商品名 HEA、日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA、PET−30、東亞合成(株)製 商品名 アロニックス M−215、M−233、M−305、M−400等を入手することができる。
(2)水酸基含有含フッ素重合体
水酸基含有含フッ素重合体は、好ましくは、下記構造単位(a)、(b)及び(c)を含んでなる。
(a)下記式(11)で表される構造単位。
(b)下記式(12)で表される構造単位。
(c)下記式(13)で表される構造単位。
Figure 2007022071
[式中、R11はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR12で表される基(R12はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
Figure 2007022071
[式中、R13は水素原子又はメチル基を、R14はアルキル基、−(CH2)−OR15若しくは−OCOR15で表される基(R15はアルキル基又はグリシジル基を、cは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
Figure 2007022071
[式中、R16は水素原子又はメチル基を、R17は水素原子又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
(i)構造単位(a)
上記式(11)において、R11及びR12のフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロシクロヘキシル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基が挙げられる。また、R12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
構造単位(a)は、含フッ素ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような含フッ素ビニル単量体としては、少なくとも1個の重合性不飽和二重結合と、少なくとも1個のフッ素原子とを有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としてはテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン等のフルオロレフィン類;アルキルパーフルオロビニルエーテル又はアルコキシアルキルパーフルオロビニルエーテル類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)、パーフルオロ(イソブチルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;パーフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)等のパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの中でも、ヘキサフルオロプロピレンとパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)又はパーフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)がより好ましく、これらを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
尚、構造単位(a)の含有率は、構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたときに、20〜70モル%である。この理由は、含有率が20モル%未満になると、本願が意図するところの光学的にフッ素含有材料の特徴である、低屈折率の発現が困難となる場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性、透明性、又は基材への密着性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(a)の含有率を、25〜65モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
(ii)構造単位(b)
式(12)において、R13又はR14のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ラウリル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R15のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
構造単位(b)は、上述の置換基を有するビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このようなビニル単量体の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、n−オクチルビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル若しくはシクロアルキルビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、構造単位(b)の含有率は、構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたときに、10〜70モル%である。この理由は、含有率が10モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(b)の含有率を、20〜60モル%とするのがより好ましく、30〜60モル%とするのがさらに好ましい。
(iii)構造単位(c)
式(13)において、R17のヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
構造単位(c)は、水酸基含有ビニル単量体を重合成分として用いることにより導入することができる。このような水酸基含有ビニル単量体の例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類、アリルアルコール等が挙げられる。
また、水酸基含有ビニル単量体としては、上記以外にも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を用いることができる。
尚、構造単位(c)の含有率を、構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたときに、5〜70モル%とすることが好ましい。この理由は、含有率が5モル%未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の有機溶剤への溶解性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が70モル%を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性、及び低反射率性等の光学特性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(c)の含有率を、5〜40モル%とするのがより好ましく、5〜30モル%とするのがさらに好ましい。
(iv)構造単位(d)及び構造単位(e)
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(d)を含んで構成することも好ましい。
(d)下記式(14)で表される構造単位。
Figure 2007022071
[式中、R18及びR19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
式(14)において、R18又はR19のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が、ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等の炭素数1〜4のフルオロアルキル基等が、アリール基としてはフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等がそれぞれ挙げられる。
構造単位(d)は、前記式(14)で表されるポリシロキサンセグメントを有するアゾ基含有ポリシロキサン化合物を用いることにより導入することができる。このようなアゾ基含有ポリシロキサン化合物の例としては、下記式(15)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007022071
[式中、R20〜R23は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基又はシアノ基を示し、R24〜R27は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はアルキル基を示し、d、eは1〜6の数、s、tは0〜6の数、yは1〜200の数、zは1〜20の数を示す。]
式(15)で表される化合物を用いた場合には、構造単位(d)は、構造単位(e)の一部として水酸基含有含フッ素重合体に含まれる。
(e)下記式(16)で表される構造単位。
Figure 2007022071
[式中、R20〜R23、R24〜R27、d、e、s、t及びyは、上記式(15)と同じである。]
式(15)、(16)において、R20〜R23のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、R24〜R27のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
本発明において、上記式(15)で表されるアゾ基含有ポリシロキサン化合物としては、下記式(17)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2007022071
[式中、y及びzは、上記式(15)と同じである。]
尚、構造単位(d)の含有率を、構造単位(a)〜(c)の合計を100モル部としたときに、0.1〜10モル部とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1モル部未満になると、硬化後の塗膜の表面滑り性が低下し、塗膜の耐擦傷性が低下する場合があるためであり、一方、含有率が10モル部を超えると、水酸基含有含フッ素重合体の透明性に劣り、コート材として使用する際に、塗布時にハジキ等が発生し易くなる場合があるためである。
また、このような理由により、構造単位(d)の含有率を、0.1〜5モル部とするのがより好ましく、0.1〜3モル部とするのがさらに好ましい。同じ理由により、構造単位(e)の含有率は、その中に含まれる構造単位(d)の含有率を上記範囲にするよう決定することが望ましい。
(v)構造単位(f)
水酸基含有含フッ素重合体は、さらに下記構造単位(f)を含んで構成することも好ましい。
(f)下記式(18)で表される構造単位。
Figure 2007022071
[式中、R25は乳化作用を有する基を示す]
式(18)において、R25の乳化作用を有する基としては、疎水性基及び親水性基の双方を有し、かつ、親水性基がポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル構造である基が好ましい。
このような乳化作用を有する基の例としては下記式(19)で表される基が挙げられる。
Figure 2007022071
[式中、gは1〜20の数、fは0〜4の数、uは3〜50の数を示す]
構造単位(f)は、反応性乳化剤を重合成分として用いることにより導入することができる。このような反応性乳化剤としては、下記式(20)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007022071
[式中、g、f及びuは、上記式(19)と同様である]
尚、構造単位(a)〜(c)の合計を100モル部としたときに、構造単位(f)の含有率を、0.1〜5モル部とすることが好ましい。この理由は、含有率が0.1モル部以上になると、水酸基含有含フッ素重合体の溶剤への溶解性が向上し、一方、含有率が5モル%以内であれば、硬化性樹脂組成物の粘着性が過度に増加せず、取り扱いが容易になり、コート材等に用いても耐湿性が低下しないためである。
また、このような理由により、構造単位(f)の含有率を、0.1〜3モル部とするのがより好ましく、0.2〜3モル部とするのがさらに好ましい。
(vi)分子量
水酸基含有含フッ素重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで、テトラヒドロフランを溶剤として測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000であることが好ましい。この理由は、数平均分子量が5,000未満になると、水酸基含有含フッ素重合体の機械的強度が低下する場合があるためであり、一方、数平均分子量が500,000を超えると、後述する硬化性樹脂組成物の粘度が高くなり、薄膜コーティングが困難となる場合があるためである。
また、このような理由により、水酸基含有含フッ素重合体のポリスチレン換算数平均分子量を10,000〜300,000とするのがより好ましく、10,000〜100,000とするのがさらに好ましい。
(3)反応モル比
エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体は、上述した、1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とを、反応させて得られる。1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物と、水酸基含有含フッ素重合体とは、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.1〜1.9の割合で反応させるのが好ましい。この理由は、モル比が1.1未満になると耐擦傷性及び耐久性が低下する場合があるためであり、一方、モル比が1.9を超えると、硬化性樹脂組成物の塗膜のアルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。
また、このような理由により、イソシアネート基/水酸基のモル比を、1.1〜1.5とするのが好ましく、1.2〜1.5とするのがより好ましい。
硬化性樹脂組成物における、(G)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常1〜95重量%である。この理由は、添加量が1重量%未満となると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためであり、一方、添加量が95重量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の耐擦傷性が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(G)成分の添加量を2〜90重量%とするのがより好ましく、3〜85重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
2.成分(H)
(1)シリカを主成分とする粒子
本発明で用いる低屈折率層形成用組成物には、シリカを主成分とする粒子を配合することができ、低屈折率層形成用組成物の硬化物の耐擦傷性、特にスチールウール耐性を改善することができる。シリカを主成分とする粒子としては、数平均粒径1〜100nmのシリカを主成分とする粒子が好ましい。粒径は、透過型電子顕微鏡により測定する。(H)成分の粒径は、5〜80nmが好ましく、10〜60nmがさらに好ましい。
これらシリカを主成分とする粒子としては、公知のものを使用することができ、また、その形状も特に限定されない。球状であれば通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、球状に限らず、不定形の粒子であってもよい。固形分が10〜40重量%のコロイダルシリカが好ましい。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
シリカを主成分とする粒子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、MEK−ST−S、MEK−ST−L、IPA−ZL、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。
また、コロイダルシリカ表面に化学修飾等の表面処理を行ったものを使用することができ、例えば分子中に1以上のアルキル基を有する加水分解性ケイ素化合物又はその加水分解物を含有するもの等を反応させることができる。このような加水分解性ケイ素化合物としては、トリメチルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、1,1,1―トリメトキシ−2,2,2−トリメチル−ジシラン、ヘキサメチル−1,3−ジシロキサン、1,1,1―トリメトキシ−3,3,3−トリメチル−1,3−ジシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−ジメチルメトキシシリル−ポリジメチルシロキサン、α−トリメチルシリル−ω−トリメトキシシリル−ポリジメチルシロキサンヘキサメチル−1,3−ジシラザン等を挙げることができる。また、分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物を使用することもできる。分子中に1以上の反応性基を有する加水分解性ケイ素化合物は、例えば反応性基としてNH基を有するものとして、尿素プロピルトリメトキシシラン、N―(2−アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン等、OH基を有するものとして、ビス(2−ヒドロキシエチル)―3アミノトリプロピルメトキシシラン等、イソシアネート基を有するものとして3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等、チオシアネート基を有するものとして3−チオシアネートプロピルトリメトキシシラン等、エポキシ基を有するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等、チオール基を有するものとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。好ましい化合物として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
(2)好ましい態様(表面にエチレン性不飽和基を有するシリカ粒子)
本発明に用いられるシリカ粒子は、エチレン性不飽和基を有していることが好ましい(以下、「反応性シリカ粒子」という)。反応性シリカ粒子の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上述の数平均粒径が10〜100nmのシリカ粒子と、反応性表面処理剤とを反応させて得ることができる。
ここで、表面処理剤としては、例えば、アルコキシシラン化合物、テトラブトキシシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトライソプロポキシアルミニウム等を挙げることができる。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
表面処理剤の具体例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の分子内に不飽和二重結合を有する化合物や、下記一般式(21)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2007022071
式中、R26はメチル基、R27は炭素数1〜6のアルキル基、R28は水素原子又はメチル基、aは1又は2、bは1〜5の整数、Aは炭素数1〜6の2価のアルキレン基、Bは鎖状、環状、分岐状いずれかの炭素数3〜14の2価の炭化水素基、Zは(b+1)価の鎖状、環状、分岐状いずれかの炭素数2〜14の2価の炭化水素基である。Z内には、エーテル結合を含んでもよい。
シリカ粒子がエチレン性不飽和基を有していることにより、UV硬化系アクリルモノマーと共架橋化することができ、耐擦傷性が向上する。
(3)好ましい態様(多孔質シリカ粒子)
低屈折率層形成用組成物に用いるシリカ粒子としては、多孔質シリカ粒子が好ましい。
多孔質シリカ粒子として、第一の多孔質シリカ粒子(H1)又は第二の多孔質シリカ粒子(H2)を使用することがより好ましい。第一の多孔質シリカ粒子(H1)は下記式(22)で表されるケイ素化合物及び下記式(23)で表されるケイ素化合物の、加水分解及び/又は加水分解縮合により得られる。即ち、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、かつ式(23)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合することにより得られる。式(22)で表されるケイ素化合物及び式(23)で表されるケイ素化合物は、混合して同時に加水分解及び/又は加水分解縮合してもよいし、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、ついで、式(23)で表されるケイ素化合物を加えてさらに加水分解及び/又は加水分解縮合してもよい。第二の多孔質シリカ粒子(H2)は、下記式(22)で表されるケイ素化合物、下記式(23)で表されるケイ素化合物及び下記式(24)で表されるケイ素化合物の加水分解及び/又は加水分解縮合により得られる。即ち、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、かつ式(23)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、かつ式(24)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合することにより得られる。式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物は、混合して同時に加水分解及び/又は加水分解縮合してもよいし、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、ついで、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物を加えてさらに加水分解及び/又は加水分解縮合してもよい。
SiX ・・・(22)
29 SiX4−j ・・・(23)
30 SiX4−k ・・・(24)
式(22)、(23)及び(24)中、Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、カルボキシル基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基であり、好ましくはアルコキシ基、ハロゲノ基であり、より好ましくはアルコキシ基である。また、式(22)、(23)及び(24)のXは、同一でも異なってもよい。
式(22)で表される化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラクロロシラン等を挙げることができる。
式(23)中、R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基であり、好ましくはビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、アクリロキシプロピル基、アクリロキシブチル基、メタクリロキシエチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシブチル基である。
式(23)中、jは1〜3の整数であり、好ましくは1〜2である。
式(23)で表される化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
式(23)で示される化合物を使用することで、多孔質シリカ粒子はエチレン性不飽和基を含むものとすることができる。エチレン性不飽和基を含むことにより、硬化性組成物を硬化せしめた硬化膜を有する本発明の反射防止膜の耐擦傷性が向上する。
式(24)中、R30は炭素数1〜12のフッ素置換アルキル基であり、好ましくは炭素数3〜12のフッ素置換アルキル基であり、より好ましくは炭素数3〜10のフッ素置換アルキル基である。
式(24)中、kは1〜3の整数であり、好ましくは1〜2である。
式(24)で表される化合物としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、2−パーフルオロヘキシルメチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロヘキシルエチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、2−パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、3,3−ジ(トリフルオロメチル)−3−フルオロプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
式(24)で示される化合物を使用することで、多孔質シリカ粒子は含フッ素アルキル基を含むものとすることができる。含フッ素アルキル基を含むことにより、硬化性組成物を硬化せしめた硬化膜の耐汚染性を向上させることができる。
尚、式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物は、それぞれ、2種以上用いてもよい。
第一の多孔質シリカ粒子(H1)において、式(22)で表されるケイ素化合物及び式(23)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、式(22)で表されるケイ素化合物/式(23)で表されるケイ素化合物は、好ましくは、67〜99/1〜33(モル%)、より好ましくは70〜98/2〜30(モル%)の割合で加水分解及び/又は加水分解縮合される。
第二の多孔質シリカ粒子(H2)において、式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び(24)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、式(22)で表されるケイ素化合物/式(23)で表されるケイ素化合物/式(24)で表されるケイ素化合物は、好ましくは、60〜98/1〜30/1〜20(モル%)、より好ましくは65〜96/2〜20/2〜15(モル%)の割合で加水分解及び/又は加水分解縮合される。
本発明で使用される第一及び第二の多孔質シリカ粒子(H1)、(H2)は、平均粒径が5〜50nmであり、好ましくは5〜45nmであり、より好ましくは5〜40nmである。平均粒径は、数平均粒径であり、透過型電子顕微鏡観察像により測定する。また、「多孔質」とは、比表面積が50〜1000m/gであること、好ましくは50〜800m/gであり、より好ましくは100〜800m/gであることを意味する。比表面積は、BET法により測定する。
平均粒径が上記範囲内であれば、得られる塗膜の可視光領域での散乱が抑制できる。また、多孔質化であることにより、密度が低下し、このような多孔質シリカ粒子を含む膜の屈折率が低くなる。
多孔質シリカ粒子(H)は、以下に説明する製造方法により得られる。
第一又は第二の多孔質シリカ粒子(H1)、(H2)は、水、炭素数1〜3のアルコール、塩基性化合物、並びに酸アミド、ジオール及びジオールの半エーテルから選ばれる少なくとも1種の存在下で、それぞれ、上記式(22)で表されるケイ素化合物及び式(23)で表されるケイ素化合物、又は上記式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物を、加水分解及び/又は加水分解縮合して製造できる。
塩基性化合物として、例えばアミン化合物が用いられ、具体例として、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等を挙げることができる。好ましくはアンモニア、エタノールアミン、水酸化テトラメチルアミン等が用いられる。
これらの塩基性化合物は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
酸アミド、ジオール又はジオールの半エーテルは、水及びアルコールと相溶性を有することが好ましい。
酸アミドとして、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が用いられ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが用いられる。
ジオールとして、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール等が用いられ、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコールが用いられる。ジオールの半エーテルとして、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルが用いられる。
本発明で使用される多孔質シリカ粒子は、合成時に酸アミド、ジオール又はジオールの半エーテルを共存させることで粒子を多孔質化することができる。
反応液中の式(22)のケイ素化合物及び(23)のケイ素化合物又は式(22)〜(24)のケイ素化合物の合計濃度は、完全加水分解縮合物換算で通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%である。ここで、「完全加水分解縮合物換算」とは、ケイ素化合物が完全に加水分解縮合したと仮定して計算した理論値であり、式(22)のケイ素化合物及び(23)のケイ素化合物又は式(22)〜(24)のケイ素化合物のXを、Xの1/2モルの酸素原子に置換した場合の重量に相当する。粒子合成時のケイ素化合物の濃度を上記範囲にすることで、粒子の粗大化を防ぎ、平均粒径5〜50nmの粒子とできる。
式(22)のケイ素化合物及び式(23)のケイ素化合物、又は式(22)のケイ素化合物、式(23)のケイ素化合物及び式(24)のケイ素化合物は同時に混合して加水分解及び/又は加水分解縮合させてもよく、また、水、炭素数1〜3のアルコール、塩基性化合物、並びに酸アミド、ジオール及びジオールの半エーテルから選ばれる少なくとも1種の存在下で、式(22)で表されるケイ素化合物を加水分解及び/又は加水分解縮合し、ついで、それぞれ、式(23)で表されるケイ素化合物、又は式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物を加えてさらに加水分解及び/又は加水分解縮合させてもよい。
加水分解及び/又は加水分解縮合の反応温度は、使用するアルコール及び酸アミド類の沸点及び反応時間を考慮して任意に決めることができる。反応時間は式(22)で表されるケイ素化合物、式(23)で表されるケイ素化合物及び式(24)で表されるケイ素化合物の種類、反応速度、塩基の種類と量等に依存してその最適値は変化する性質のものであり、限定されない。
得られた加水分解及び/又は加水分解縮合反応液に有機溶媒を加え、さらに必要に応じて不要な成分を蒸留や液液抽出等の方法で除去することにより、多孔質シリカ粒子が有機溶媒に分散した分散液を得ることができる。
また、分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。
多孔質シリカ粒子(H)の樹脂組成物中における配合量は、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常5〜99重量%配合され、10〜98重量%が好ましく、15〜97重量%がさらに好ましい。5重量%未満であると、硬化膜としたときの硬度が不十分となることがあり、99重量%を超えると、十分な膜の強度が得られないことがある。尚、粒子の量は、固形分を意味し、粒子が溶剤分散液の形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
(4)任意添加成分
本発明で用いる低屈折率層用組成物には、必要に応じて下記成分を添加することができる。
(I)少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物及び/又は少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物
硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物及び/又は少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物を添加することもできる。
(1)少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレート化合物
この化合物については、分子内に少なくとも2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。このような例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、「U−15HA」(商品名、新中村化学社製)等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
尚、これらのうち、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(2)少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物
この化合物については、少なくとも1個以上の(メタ)アクリロイル基を含有する含フッ素(メタ)アクリレート化合物であれば特に制限されるものではない。このような例として、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で或いは2種以上組み合わせて使用することができる。
(I)成分の添加量については、特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して通常0〜90重量%である。この理由は、添加量が90重量%を超えると、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜の屈折率が高くなり、十分な反射防止効果が得られない場合があるためである。
また、このような理由から、(I)成分の添加量を80重量%以下とするのがより好ましく、60重量%以下の添加量とするのがさらに好ましい。
(J)活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物
本願発明では、活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物を添加することもできる。活性エネルギー線の照射又は熱により活性種を発生する化合物は、硬化性樹脂組成物を硬化させるために用いられる。
(1)活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物
活性エネルギー線の照射により活性種を発生する化合物(以下「光重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する光ラジカル発生剤等が挙げられる。
尚、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型な観点から、紫外線を使用することが好ましい。
(i)種類
光ラジカル発生剤の例としては、例えばアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、カルバゾール、キサントン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジル、又はBTTBとキサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン、その他の色素増感剤との組み合わせ等を挙げることができる。
これらの光重合開始剤のうち、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等が好ましく、さらに好ましくは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルメチル)−1−ブタノン等を挙げることができる。
(ii)添加量
光重合開始剤の添加量は特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して0.01〜20重量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.01重量%未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20重量%を超えると、硬化膜の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。
また、このような理由から、光重合開始剤の添加量を、有機溶剤以外の組成物全量に対して0.05〜15重量%とすることがより好ましく、0.1〜15重量%とすることがさらに好ましい。
(2)熱により活性種を発生する化合物
熱により活性種を発生する化合物(以下「熱重合開始剤」という。)としては、活性種として、ラジカルを発生する熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
(i)種類
熱ラジカル発生剤の例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
(ii)添加量
熱重合開始剤の添加量についても特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物全量に対して0.01〜20重量%とするのが好ましい。この理由は、添加量が0.01重量%未満となると、硬化反応が不十分となり耐擦傷性、アルカリ水溶液浸漬後の耐擦傷性が低下する場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20重量%を超えると、硬化膜の屈折率が増加し反射防止効果が低下する場合があるためである。
また、このような理由から、有機溶剤以外の組成物全量に対して熱重合開始剤の添加量を0.05〜15重量%とするのがより好ましく、0.1〜15重量%の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
(K)有機溶媒
硬化性樹脂組成物には、さらに有機溶媒を添加することが好ましい。このように有機溶媒を添加することにより、薄膜の反射防止膜を均一に形成することができる。このような有機溶媒としては、炭素数1〜8のアルコール系、炭素数3〜10のケトン系、炭素数3〜10のエステル系の有機溶媒が好ましく使用でき、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メタノール、エタノール、t−ブタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が特に好ましい例として挙げられる。これらの有機溶媒は一種単独又は二種以上の組み合わせで使用できる。
有機溶媒の添加量についても特に制限されるものではないが、有機溶剤以外の組成物100重量部に対し、100〜100,000重量部とするのが好ましい。この理由は、添加量が100重量部未満となると、硬化性樹脂組成物の粘度調整が困難となる場合があるためであり、一方、添加量が100,000重量部を超えると、硬化性樹脂組成物の保存安定性が低下したり、あるいは粘度が低下しすぎて取り扱いが困難となる場合があるためである。
添加剤
硬化性樹脂組成物には、本発明の目的や効果を損なわない範囲において、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、(H)成分以外の無機充填剤若しくは顔料、染料等の添加剤をさらに含有させることもできる。
(5)低屈折率層形成用組成物の調製方法
本発明で使用される硬化性樹脂組成物は、上記(G)エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体及び上記(H)成分、又は必要に応じて上記(I)成分、(J)成分、(K)有機溶剤、及び添加剤をそれぞれ添加して、室温又は加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。ただし、加熱条件下で混合する場合には、熱重合開始剤の分解開始温度以下で行うことが好ましい。
(6)低屈折率層形成用組成物の硬化方法
低屈折率層形成用組成物の硬化条件についても特に制限されるものではないが、例えば活性エネルギー線を用いた場合、露光量を0.01〜10J/cm2の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、露光量が0.01J/cm2未満となると、硬化不良が生じる場合があるためであり、一方、露光量が10J/cm2を超えると、硬化時間が過度に長くなる場合があるためである。
また、このような理由により、露光量を0.1〜5J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましく、0.3〜3J/cm2の範囲内の値とするのがより好ましい。
また、低屈折率層形成用組成物を、加熱して硬化させる場合には、30〜200℃の範囲内の温度で、0.5〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材等を損傷することなく、より効率的に耐擦傷性に優れた反射防止膜を得ることができる。
また、このような理由から、50〜180℃の範囲内の温度で、1〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃の範囲内の温度で、1〜60分間加熱するのがさらに好ましい。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下において、部、%は、特に断らない限り、それぞれ重量部、重量%を示す。
製造例1:液状硬化性組成物1の製造
紫外線を遮蔽した容器中において、錫含有酸化インジウム分散液(富士化学(株)製 ハウトフォームNID−20、分散溶媒 イソプロピルアルコール、錫含有酸化インジウム20重量%、平均一次粒径13nm、以下、ITO粒子−1と称する場合がある。)50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA 以下B−1と称する場合がある。)86部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2.5部、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2-モルフォリノプロパン−1−オン1.5部、イソプロピルアルコール141.8部及びプロピレングリコールモノメチルエーテル51.3部、を50℃で2時間攪拌することで均一な溶液の液状硬化性組成物1を得た。この組成物をアルミ皿に2g秤量後、170℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30重量%であった。また、この組成物を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、10重量%であった。
製造例2及び3:液状硬化性組成物2及び3の製造
同様の操作法により、表1に示す液状硬化性組成物2及び3を得た。
尚、表1中、ITO粒子及び分散剤の配合量は添加した分散液中の固形分量のみを表し、分散媒は溶剤の配合量に含まれる。
Figure 2007022071
表1中の略称の内容を下記に示す。
ITO粒子−1:富士化学(株)製 ハウトフォーム NID−20(一次粒径:13nm、二次粒径:25nm IPA分散体)
分散剤1:富士化学(株)製 ハウトフォーム NID−20に含まれる分散剤
ITO粒子−2:シーアイ化成(株)製 ナノテック(一次粒径:25nm、二次粒径:80nm EtOH分散体)
分散剤2:シーアイ化成(株)製 ナノテックに含まれる分散剤
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
IPA:イソプロパノール
EtOH:エタノール
製造例4:特定有機化合物(Aa)の調製
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレート1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40重量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を有する有機化合物(特定有機化合物(Aa))を得た。生成物中の残存イソシアネート量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550cm−1の吸収ピーク及び原料イソシアネート化合物に特徴的な2260cm−1の吸収ピークが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660cm−1のピーク及びアクリロキシ基に特徴的な1720cm−1のピークが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、この組成物には、下記式(25)及び下記式(26)で示される化合物が合計で773部含まれるほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が混在している。
Figure 2007022071
Figure 2007022071
(式中、Acrylは、アクリロイル基を示す。)
製造例5:多官能アクリレートの調製
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物について、製造例4と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1重量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、この組成物には、下記式(27)で示される化合物(B−1)75部が含まれるほか、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が混在している。
Figure 2007022071
(式中、Acrylは、アクリロイル基を示す。)
製造例6:重合性不飽和基を有する有機化合物が結合した反応性シリカ粒子ゾルの製造
シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製MEK−ST−L、数平均粒子径0.05μm、シリカ濃度30%)143g(シリカ粒子として43g)、製造例4で製造した特定有機化合物(Aa)を含む溶液2.8g、蒸留水0.1g、p−ヒドロキノンモノメチルエーテル0.01gを混合し、65℃で加熱攪拌した。4時間後、オルト蟻酸メチルエステル1.0g添加し、さらに1時間加熱することで、固形分31%の反応性シリカ粒子ゾルを得た。
製造例7:水酸基含有含フッ素重合体の製造
内容積1.5Lの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル465g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)138.5g、エチルビニルエーテル37.5g、ヒドロキシエチルビニルエーテル46.0g、ノニオン性反応性乳化剤として「アデカリアソープER−30」(旭電化工業株式会社製)180.0g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサンとして「VPS−1001」(和光純薬工業株式会社製)9.0g及び過酸化ラウロイル1.5gを加え、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン86.0gを加え、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は2.9×10Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が2.0×10Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出しオートクレーブを開放し、固形分濃度30.0%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い220gの水酸基含有含フッ素重合体を得た。
製造例8:エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の製造
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例7で得られた水酸基含有含フッ素重合体を70.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK520gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート22gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.2gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0%であった。
製造例9:低屈折率層形成用組成物1の調製
製造例6で得られた反応性シリカ粒子ゾル20g(反応性粒子として6.2g)、製造例8で得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体101.0g(エチレン性不飽和基含有フッ素重合体として15.2g)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート1.7g、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(C−2)1.2g、製造例5で得られた式(27)で示される化合物0.4g、有機共重合物含有特殊シリコン(フローレンAC−901、共栄社化学株式会社)0.1g、メチルイソブチルケトン505.6gを加え、室温にて1時間攪拌し、低屈折率層形成用組成物1を得た。製造例1と同様に固形分含量を求めたところ、4重量%であった。
製造例10:多孔質シリカ粒子の合成
石英製セパラブルフラスコ中に、テトラエトキシシラン22.24g、メタノール841.97g、プロピレングリコール30.00gを加え、均一に混合した後、アンモニアの1%水溶液101.00gを添加した。その後、溶液を攪拌しながら40℃で8時間反応させ、さらにビニルトリメトキシシラン0.92g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SZ−6030)1.54gを添加し40℃で1時間反応させた。次いで、2−パーフルオロヘキシルエチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製TSL8257)2.33gを添加し40℃で1時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、メチルイソブチルケトン1000.00gとシュウ酸の0.1%水溶液1000.00gとを加え、攪拌、静置した。2層に分離した上層を取り分け、ロータリーエバポレーターで固形分濃度5%となるまで濃縮し、多孔質シリカ粒子溶液を得た。
上記で得られた多孔質シリカ粒子溶液の1gにエタノール10gを加えて混合後、透過型電子顕微鏡用カーボングリッド上に1滴を滴下し、次いで室温で24時間乾燥し、日本電子社製フィールドエミッション電子顕微鏡JEM−2010Fを用いて観察を行い、多孔質シリカ粒子の粒径を測定したところ、平均粒径20nmであった。
多孔質シリカ粒子溶液の10gをアルミ皿に取り、150℃のホットプレート上で1時間乾燥し、多孔質シリカ粒子1の粉末サンプルを得た。得られた多孔質シリカ粒子粉末のBET比表面積をQuantachrome Instruments社製AUTOSORB−1を用いて測定したところ、比表面積は200m/gであった。
製造例11:低屈折率層形成用組成物2の調製
製造例8で得たエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のMIBK溶液を56g(エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体として8.5g)、製造例10で得られた多孔質シリカ粒子分散液を1750g(多孔質シリカ粒子として87.5g)、光重合開始剤として2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン4g、MIBK700gを、攪拌機をつけたガラス製セパラブルフラスコに仕込み、23℃にて1時間攪拌し低屈折率層形成用組成物2を得た。製造例1と同様に固形分含量を求めたところ、4重量%であった。
実施例1
反射防止積層体1の製造
製造例1で得られた液状硬化性組成物1を、ワイヤーバーコータ#20を用いて、表面易接着処理が施されたポリエステルフィルムA4300(東洋紡績(株)製、膜厚188μm)上に塗工し、オーブン中、80℃、3分間の条件で乾燥した。次いで、大気中、メタルハライドランプを用いて、1J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、帯電防止ハードコート層を有するフィルムを作製した。帯電防止ハードコート層の膜厚を触針式表面形状測定器により測定したところ、3μmであった。この帯電防止ハードコート付フィルム上に、製造例9で得られた低屈折率層形成用組成物1を、ワイヤーバーコータ#3を用いて塗工し、オーブン中、80℃、1分間の条件で乾燥した。次いで、窒素雰囲気下で、メタルハライドランプを用いて、1J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、低屈折率層を形成させて反射防止積層体1を作製した。得られた反射防止積層体1の反射率から低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
実施例2
反射防止積層体2の製造
低屈折率層形成用組成物1の代わりに製造例11で得られた低屈折率層形成用組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止積層体2を作製した。実施例1と同様に低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
実施例3
反射防止積層体3の製造
液状硬化性組成物1の代わりに製造例2で得られた液状硬化性組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様にして反射防止積層体3を作製した。実施例1と同様に低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
実施例4
反射防止積層体4の製造
低屈折率層形成用組成物1の代わりに製造例11で得られた低屈折率層形成用組成物2を用いたこと以外は実施例3と同様にして反射防止積層体4を作製した
比較例1
反射防止積層体5の製造
液状樹脂組成物1の代わりに製造例3で得られた液状硬化性組成物3を、ワイヤーバーコーター#40を用いて基材上に塗布したこと以外は実施例1と同様にして反射防止積層体5を作製した。実施例1と同様に低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
比較例2
反射防止積層体6の製造
低屈折率層形成用組成物1の代わりに製造例11で得られた低屈折率層形成用組成物2を用いたこと以外は比較例1と同様にして反射防止積層体6を作製した。実施例1と同様に低屈折率層の膜厚を算出したところ、0.1μmであった。
評価例
実施例1〜4、比較例1〜2で得られた反射防止積層体1〜6について以下の特性を評価した。
(a)全光線透過率及びヘーズ
硬化膜フィルムの全光線透過率(%)及びヘーズ(%)を、カラーヘーズメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。得られた結果を表2に示す。
(c)表面抵抗
硬化膜フィルムの表面抵抗(Ω/□)を、ハイ・レジスタンス・メーター(アジレント・テクノロジー(株)製 Agilent4339B)、及びレジスティビティ・セル16008B(アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、印加電圧100Vの条件で測定した。得られた結果を表2に示す。
(d)反射率
得られた反射防止積層体の反射率を、分光反射率測定装置(瞬間マルチ測光システム、MCPD−3000 大塚電子(株)製)により、波長400〜800nmの範囲で絶対反射率を測定して評価した。波長550nmにおける反射率を表2に示す。
(e)耐擦傷性テスト1(スチールウール耐性)
反射防止積層体のスチールウール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール(株)社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で10回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。得られた結果を表2に示す。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
(f)耐擦傷性テスト2(布擦り耐性)
反射防止積層体の布擦り耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、不織布(BEMCOT S−2、旭化成工業社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重1000gの条件で20回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。得られた結果を表2に示す。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
(g)耐薬品性テスト(エタノール耐性テスト)
硬化膜のエタノール耐性テストを次に示す方法で実施した。即ち、エタノールを染み込ませた不織布(BEMCOT S−2、旭化成工業社製)を学振型摩擦堅牢度試験機(AB−301、テスター産業(株)製)に取りつけ、硬化膜の表面を荷重500gの条件で20回繰り返し擦過し、当該硬化膜の表面における傷の発生の有無を目視で、以下の基準で確認した。得られた結果を表2に示す。
○:硬化膜の剥離や傷の発生がほとんど認められない。
△:硬化膜に細い傷が認められる。
×:硬化膜の一部に剥離が生じ、又は硬化膜の表面に筋状の傷が発生した。
Figure 2007022071
表2の結果から、一次粒径が20nm以下であり、かつ二次粒径が50nm以下である錫含有酸化インジウム(ITO)を主成分とする粒子(ITO粒子−1)を用いた実施例1〜4は、全光線透過率が高く、ヘーズが低く、表面抵抗も低く、かつ耐擦傷性、耐薬品性にも優れていることがわかる。
本発明によれば、硬化性に優れ、かつ、各種基材の表面に、帯電防止性、硬度、耐擦傷性、及び透明性に優れた硬化膜を有する帯電防止用積層体を提供することができる。
本発明の積層体は、例えば、タッチパネル用保護膜、転写箔、光ディスク用ハードコート、自動車用ウインドフィルム、レンズ用の帯電防止保護膜、化粧品容器等の高意匠性の容器の表面保護膜等主として製品表面傷防止や静電気による塵埃の付着を防止する目的でなされるハードコートとして、また、CRT、液晶表示パネル、プラズマ表示パネル、エレクトロルミネッセンス表示パネル等の各種表示パネル用の帯電防止機能付き反射防止膜として、プラスチックレンズ、偏光フィルム、太陽電池パネル等の帯電防止機能付き反射防止膜として利用することができる。
本発明の積層体は、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック筐体、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のためのハードコ−ティング材;各種基材の接着剤、シ−リング材;印刷インクのバインダー材等として好適に用いることができる。
本発明の積層体の基本的構成を示す模式図である。 本発明の帯電防止機能付き反射防止膜の第一の形態を示す模式図である。 本発明の帯電防止機能付き反射防止膜の第一の形態の別の形態を示す模式図である。 本発明の帯電防止機能付き反射防止膜の第二の形態を示す模式図である。 本発明の帯電防止機能付き反射防止膜の第二の形態の別の形態を示す模式図である。 本発明の帯電防止機能付き反射防止膜の第三の形態を示す模式図である。 本発明の帯電防止機能付き反射防止膜の第三の形態の別の形態を示す模式図である。
符号の説明
1:積層体
2:帯電防止機能付き反射防止膜
10:基材
11:ハードコート層
12:硬化膜層又は帯電防止層
14:中屈折率層
16:高屈折率層
18:低屈折率層

Claims (17)

  1. 少なくとも、基材と、
    下記成分(A)〜(D)を含有し、かつ成分(A)の含有量が、溶剤を除く全成分中5〜40重量%である液状硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜層と、
    を有する積層体。
    [液状硬化性組成物]
    (A)一次粒径が20nm以下である錫含有酸化インジウム(ITO)を主成分とする粒子
    (B)分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物
    (C)光重合開始剤
    (D)溶剤
  2. 前記成分(A)が、表面処理剤により表面処理された酸化物粒子である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記表面処理剤が、2以上の重合性不飽和基、下記式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する化合物である請求項2に記載の積層体。
    −X−C(=Y)−NH− (1)
    [式中、Xは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Yは、O又はSを示す。]
  4. 反射防止膜である請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 表面抵抗値が1×1013Ω/□以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記積層体が、基材上に、少なくとも帯電防止層及び低屈折率層が、基材に近い側からこの順に積層されている反射防止膜であって、
    前記硬化膜層が、帯電防止層である請求項4又は5に記載の積層体。
  7. 前記帯電防止層の屈折率が、前記低屈折率層の屈折率より高い請求項6に記載の積層体。
  8. さらに、基材上に、ハードコート層が形成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記低屈折率層が、
    下記成分(G)及び(H):
    (G)1個のイソシアネート基と少なくとも1個のエチレン性不飽和基とを含有する化合物、並びに、水酸基含有含フッ素重合体を反応させて得られるエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体、
    (H)シリカを主成分とする粒子、
    を含む硬化性樹脂組成物の硬化物である請求項6〜8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記水酸基含有含フッ素重合体が、下記構造単位(a)〜(c)の合計を100モル%としたときに、(a)20〜70モル%、(b)10〜70モル%及び(c)5〜70モル%を含んでなり、かつ、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量が5,000〜500,000である請求項9に記載の積層体。
    (a)下記式(11)で表される構造単位
    (b)下記式(12)で表される構造単位
    (c)下記式(13)で表される構造単位
    Figure 2007022071
    [式中、R11はフッ素原子、フルオロアルキル基又は−OR12で表される基(R12はアルキル基又はフルオロアルキル基を示す)を示す]
    Figure 2007022071
    [式中、R13は水素原子又はメチル基を、R14はアルキル基、−(CH2)−OR15若しくは−OCOR15で表される基(R15はアルキル基又はグリシジル基を、cは0又は1の数を示す)、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基を示す]
    Figure 2007022071
    [式中、R16は水素原子又はメチル基を、R17は水素原子又はヒドロキシアルキル基を、vは0又は1の数を示す]
  11. 前記水酸基含有含フッ素重合体が、上記構造単位(a)〜(c)を100モル部としたときに、さらに、アゾ基含有ポリシロキサン化合物に由来する下記構造単位(d)0.1〜10モル部を含む請求項9又は10に記載の積層体。
    (d)下記一般式(14)で表される構造単位
    Figure 2007022071
    [式中、R18及びR19は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアリール基を示す]
  12. 前記成分(H)が、表面にエチレン性不飽和基を有するシリカ粒子である請求項9〜11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記成分(H)が、
    下記式(22)で表されるケイ素化合物及び下記式(23)で表されるケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物からなり、平均粒径が5〜50nmである多孔質シリカ粒子(H1)
    SiX ・・・(22)
    29 SiX4−j ・・・(23)
    (Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を示す。R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基、jは1〜3の整数を示す。尚、式(22)のX及び式(23)のXは、同一であっても異なっていてもよい。)
    である請求項9〜12のいずれか1項に記載の積層体。
  14. 前記成分(H)が、
    下記式(22)で表されるケイ素化合物、下記式(23)で表されるケイ素化合物及び下記式(24)で表されるケイ素化合物の加水分解物及び/又は加水分解縮合物からなり、平均粒径が5〜50nmである多孔質シリカ粒子(H2)
    SiX ・・・(22)
    29 SiX4−j ・・・(23)
    30 SiX4−k ・・・(24)
    (Xはそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲノ基、イソシアネート基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を示す。R29は炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数4〜8のアクリロキシアルキル基又は炭素数5〜8のメタクリロキシアルキル基、jは1〜3の整数を示す。R30は炭素数1〜12のフッ素置換アルキル基、kは1〜3の整数を示す。尚、式(22)のX、式(23)のX及び式(24)のXは、同一であっても異なっていてもよい。)
    である請求項9〜12のいずれか1項に記載の積層体。
  15. 前記多孔質シリカ粒子(H1)が、前記式(22)で表されるケイ素化合物及び前記式(23)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、前記加水分解物及び/又は加水分解縮合物が、式(22)で表されるケイ素化合物67〜99モル%及び式(23)で表されるケイ素化合物33〜1モル%の反応物からなる、請求項13に記載の積層体。
  16. 前記多孔質シリカ粒子(H2)が、前記式(22)で表されるケイ素化合物、前記式(23)で表されるケイ素化合物及び前記式(24)で表されるケイ素化合物の合計を100モル%としたとき、前記加水分解物及び/又は加水分解縮合物が、式(22)で表されるケイ素化合物60〜98モル%、式(23)で表されるケイ素化合物1〜30モル%及び式(24)で表されるケイ素化合物1〜20モル%の反応物からなる、請求項14に記載の積層体。
  17. 基材上に、下記成分(A)〜(D)を含有する液状硬化性組成物を塗布し、放射線を照射することによって、該組成物を硬化して得られる硬化膜層を形成する工程を含む積層体の製造方法。
    [液状硬化性組成物]
    (A)一次粒径が20nm以下である錫含有酸化インジウム(ITO)を主成分とする粒子
    (B)分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物
    (C)光重合開始剤
    (D)溶剤

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