JP2011149010A - 防汚硬化膜、転写フィルム、転写フィルムの製造方法、樹脂積層体及び樹脂積層体の製造方法 - Google Patents

防汚硬化膜、転写フィルム、転写フィルムの製造方法、樹脂積層体及び樹脂積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防汚性に優れた防汚硬化膜、防汚硬化膜が積層された転写フィルム及びその製造方法並びに防汚性に優れた防汚硬化膜が積層された樹脂積層体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】含窒素フッ素系モノマーを含有する防汚膜用組成物の塗膜を硬化して得られる防汚硬化膜であって、防汚硬化膜の表面におけるX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)の組成比(N/F)が0.110以下となる防汚硬化膜、防汚硬化膜を有する転写フィルム、防汚硬化膜を有する樹脂積層体及びその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は防汚硬化膜、転写フィルム、転写フィルムの製造方法、樹脂積層体及び樹脂積層体の製造方法に関する。
アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂は、工業用資材、建築用資材等として広く使用されている。特に近年では、その透明性と耐衝撃性の点から、CRT、液晶テレビ、プラズマディスプレイ等の各種ディスプレイの前面板として使用されるに至っている。
近年、前面板においては各種機能付与が求められている。例えば、携帯電話前面板、タッチパネルディスプレイ等の前面板では、前面板に映りこむ外光による反射光を低減して画像をより鮮明に表示するための機能である反射防止機能が付与されることが多い。しかしながら、これらの前面板の表面には使用時の皮膚接触により汚れが付着し、前面板の汚れが付着した箇所の色が際立って変色してしまい、画像表示部材の視認性低下につながることから、前面板の表面に防汚性を付与することが必須となっている。
このような状況において、可撓性の小さいプラスチック板等の基材表面に各種機能層を形成させる方法として、例えば、特許文献1に開示されているように、プラスチックフィルム(a)上の一面に少なくともハードコート層(b)と薄膜塗付層(c)を有し、プラスチックフィルムの他の面に粘着層(d)を有する耐スクラッチ性、防汚性、反射防止性等に優れたフィルムを基材表面に貼り合わせる方法が知られている。しかしながら、機能層を形成するための基材となるプラスチックフィルムが存在するため、ヘーズ値の上昇、切断時のフィルム剥離の問題、二次加工性が困難であるという問題、耐久試験(80℃)中にフィルムと基材界面に気泡が発生する問題等があった。
これらの問題を解決するため、例えば、特許文献2には、基材の一方の面に、防汚層及び機能性層を順に設けた、防汚層中のフッ素の質量割合が前記機能性層より前記基材側に多く分布している機能性層転写フィルムが提案されている。この転写フィルムを用いて、被転写体へ機能性層及び防汚層が転写された転写体が得られる。しかしながら、特許文献2に開示された方法は製造コストが高いという問題があった。
前記乾式法の問題を解決する方法として、例えば特許文献3には、プラスチックフィルムの片面に離型層、防汚性を有する機能性層、反射防止層及び接着層が順次積層された反射防止用転写フィルムが提案されている。
しかしながら、前記転写フィルムに使用される離型層を有するプラスチックフィルムの離型される表面は表面張力が高いことから、基材上に転写して得られる積層体の防汚性としては、撥水性には優れるものの、高度の撥油性を得ることについては記載されていない。
また、特許文献4には、基材表面と、活性エネルギー線透過性ポリオレフィンフィルムとの間にフッ素原子及び/又はケイ素原子を含有するラジカル重合性(メタ)アクリロイルオキシ基を有する光重合性化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物を介在させた状態で、活性エネルギー線照射により活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた後に前記ポリオレフィンフィルムを剥離して、基材表面に防汚硬化膜が積層された積層体を得ることが提案されている。
すなわち前記方法は、表面が低臨界表面張力を有する活性エネルギー線透過性ポリオレフィンフィルムで活性エネルギー線硬化性組成物を挟んだ状態で活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる方法であり、これにより良好な防汚性を有する防汚硬化膜を形成させることができる。しかしながら低臨界表面張力を有するポリオレフィンフィルムを使用するため、このフィルムと接する側が剥がれ易く、これを転写法の転写フィルムとして用いることは難しい。
特開2000−94584号公報 特開2005−96322号公報 特開2003−103680号公報 特開2003−47908号公報
本発明の目的は、撥水性及び撥油性(以下、「防汚性」という)に優れた防汚硬化膜、防汚硬化膜が積層された転写フィルム及びその製造方法並びに防汚性に優れた防汚硬化膜が積層された樹脂積層体及びその製造方法を提供することである。
本発明は、含窒素フッ素系モノマーを含有する防汚膜用組成物の塗膜を硬化して得られる防汚硬化膜であって、防汚硬化膜の表面におけるX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)の組成比(N/F)が0.110以下である防汚硬化膜である。
本発明は、含窒素フッ素系モノマーがイソシアヌレート型パーフルオロポリエーテルウレタンジアクリレートである前記防汚硬化膜である。
本発明は、防汚硬化膜が無機微粒子を含有する前記防汚硬化膜である。
本発明は、無機微粒子が中空シリカ又はコロイダルシリカである前記防汚硬化膜である。
本発明は、透明基材フィルムの表面に前記防汚硬化膜が積層された転写フィルムである。
本発明は、透明基材フィルムの表面に含窒素フッ素系モノマーを含有する防汚膜用組成物の塗膜を形成する防汚塗膜形成工程を経て得られる前記転写フィルムの製造方法である。
本発明は、透明基材フィルムの表面に前記防汚膜用組成物の塗膜を形成する防汚塗膜形成工程及び防汚膜用組成物の塗膜を部分硬化させて防汚部分硬化膜を形成する防汚部分硬化膜形成工程を経て得られる前記転写フィルムの製造方法である。
本発明は、透明基材フィルムの表面に前記防汚膜用組成物の塗膜を形成する防汚塗膜形成工程及び防汚膜用組成物の塗膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する防汚硬化膜形成工程を経て得られる前記転写フィルムの製造方法である。
本発明は、透明基材フィルムの表面に前記防汚膜用組成物の塗膜を形成する防汚塗膜形成工程、防汚膜用組成物の塗膜の表面に、アルコール系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物及びケトン系化合物から選ばれる少なくとも1種の、沸点が200℃以下の揮発性化合物を塗付する揮発性化合物塗付工程、揮発性化合物を揮発させるための揮発工程及び防汚膜用組成物の塗膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する防汚硬化膜形成工程を経て得られる前記転写フィルムの製造方法である。
本発明は、樹脂基材の表面に前記防汚硬化膜が積層された樹脂積層体である。
本発明は、樹脂基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層及び前記防汚硬化膜が順次積層された樹脂積層体である。
本発明は、前記の方法で得られた転写フィルムの防汚膜用組成物の塗膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して防汚膜用組成物の塗膜を硬化させて防汚硬化膜を形成すると共に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得られる樹脂積層体の製造方法である。
本発明は、前記の方法で得られた転写フィルムの防汚部分硬化膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して防汚部分硬化膜を硬化させて防汚硬化膜を形成すると共に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得られる樹脂積層体の製造方法である。
本発明は、前記の方法で得られた転写フィルムの防汚硬化膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得られる樹脂積層体の製造方法である。
本発明により、樹脂基材表面に塗付方式又は転写方式で防汚性に優れた防汚硬化膜を積層できることから防汚性に優れた樹脂積層体を低コストで得ることができ、各種ディスプレイの前面板等の防汚性が要求される各種用途に好適である。
含窒素フッ素系モノマー
本発明に使用される含窒素フッ素系モノマーとしては、例えば、活性エネルギー線硬化性含窒素フッ素系モノマーが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性含窒素フッ素系モノマーとしては、例えば、フッ素基含有ポリエーテル化合物と活性エネルギー線反応性基を有する化合物と含窒素系の官能基を有する化合物とを結合させたものが挙げられる。
フッ素基含有ポリエーテル化合物としては、例えば、パーフルオロポリエーテル基及び1つの分子末端に1つの水酸基を有する化合物が挙げられる。
フッ素基含有ポリエーテル化合物の具体例としては、下式(1)に示される化合物が挙げられる。
(式中、Xはフッ素原子、Y及びZはそれぞれフッ素原子又はトリフルオロメチル基、aは1〜16の整数、cは0〜5の整数、b、d、e、f及びgは0〜200の整数、並びにhは0〜16の整数である。)
活性エネルギー線反応性基を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
含窒素系の官能基を有する化合物としては、例えば、ウレタン、ラクタム、アミン、アミド、イミド、イミン、エナミン、ウレア、アニリン及びピロールが挙げられる。
尚、本発明において、「(メタ)アクリ」は「アクリ」又は「メタクリ」を意味する。
含窒素フッ素系モノマーの合成法としては、例えば、トリイソシアネートの一つのイソシアネート基にフッ素基含有ポリエーテル化合物を反応させ、残りの二つのイソシアネート基に活性エネルギー線反応性基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。
前記の反応はトリイソシアネートにフッ素基含有ポリエーテル化合物及び活性エネルギー線反応性基を有する化合物を同時に反応させてもよいし、順次反応させてもよい。
含窒素フッ素系モノマーの具体例としては、下式(2)に示されるようなイソシアヌレート型パーフルオロポリエーテルウレタンジアクリレート化合物が挙げられる。
(式中、Wはパーフルオロポリエーテル基を表す。)
本組成物
本組成物は含窒素フッ素系モノマーを含有するものである。本組成物中に含まれる含窒素フッ素系モノマーの量は、本組成物中の固形分100質量部中に、10質量部以上、50質量部以下、より好ましくは、12質量部以上、30質量部以下である。本組成物では、良好な樹脂積層体の表層の撥水性、撥油性を発現させることが可能である。この範囲を外れた場合は、良好な防汚性能が得られない。
本発明においては、本組成物中には、本防汚硬化膜に耐擦傷性、低屈折率性、耐汗性等の機能を付与するために無機微粒子を含有させることができる。
無機微粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、多孔質シリカ、中空シリカ、フッ化マグネシウム、氷晶石等の低屈折率微粒子;及びZrO、TiO、NbO、ITO、ATO、SbO、In、SnO、ZnO等の高屈折率微粒子が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して使用できる。
本防汚硬化膜に反射防止機能を併せ持たせる場合は、無機微粒子としては、屈折率1.5以下の低屈折微粒子を用いることが好ましい。
上記無機微粒子の中で、加水分解処理が容易に行えることからコロイダルシリカ、多孔質シリカ、中空シリカ等のシリカ微粒子が好ましく、中でも屈折率が低く、反射率を低下させ易いことから中空シリカを使用することがより好ましい。このような低屈折率微粒子を用いることにより防汚性低屈折率膜を単層で形成でき、コストの点で有利である。
また、無機微粒子としては、本防汚硬化膜の防汚性及び表面硬度の点で無機微粒子表面を加水分解性シラン化合物で処理したものが好ましい。
加水分解性シラン化合物と無機微粒子とを反応させる際の混合比率としては、本防汚硬化膜の防汚性、耐擦傷性及び耐汗性の点で、加水分解性シラン化合物と無機微粒子の合計100質量部に対して無機微粒子30〜70質量部が好ましく、40〜65質量部がより好ましい。
無機微粒子表面を処理するために使用される加水分解性シラン化合物としては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して使用できる。
本発明においては、本組成物中に光開始剤を含有することができる。
光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等のリン化合物が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して使用できる。
また本組成物には希釈溶剤を含有させてもよい。
本防汚硬化膜
本防汚硬化膜は本組成物の塗膜を硬化して得られる硬化膜であり、本防汚硬化膜の表面におけるX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)の組成比(N/F)は0.110以下である。
本防汚硬化膜の表面に存在する窒素原子(N)およびフッ素原子(F)は、含窒素フッ素系モノマーに起因している。防汚性の発現は、この含窒素フッ素系モノマーの表面存在量、前記モノマーの分子配向等によると考えられる。この配向状態は、NとFの組成比N/Fにより捉えることができる。この組成比N/Fは、例えば含窒素フッ素系モノマーがそのフッ素系官能基と活性エネルギー線反応性基をそれぞれ分子の両端に有しているような場合、前記モノマーのフッ素系官能基由来のFと活性エネルギー線反応性基と結合しているNの比率(組成比)となる。この組成比N/FはX線光電子分光法等の分析方法により検出される。本発明では、この組成比N/Fの値が特定値(0.110)以下であると、すなわちNよりもFの量が多いほど、防汚性に優れたものとなる。
本防汚硬化膜を得る方法としては、例えば、樹脂基材、透明基材フィルム等の基材の表面に本組成物を流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、フローコート法、カーテンコート法、フィルムカバー法、ディッピング法等の方法により塗付して得られる本組成物の塗膜を電子線、放射線、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化させる方法が挙げられる。
本防汚硬化膜を得るための本組成物の塗膜の硬化方法としては、樹脂基材の表面に本防汚硬化膜を転写法により積層させる場合には、転写前の硬化、転写後の硬化又は転写前の硬化及び転写後の硬化の併用のいずれの方法でもよい。
本転写フィルム(イ)
本転写フィルム(イ)は透明基材フィルムの表面に本組成物の塗膜が積層されたものである。
本転写フィルムを得る方法としては、例えば、本防汚塗膜形成工程を経て得る方法が挙げられる。
本転写フィルム(ロ)
本転写フィルム(ロ)は透明基材フィルムの表面に本防汚部分硬化膜が積層されたものである。ここで「部分硬化」とは、塗膜とした本組成物に活性エネルギー線を照射してその一部を重合させ硬化させることをいう。この部分硬化した塗膜表面は、べとべとした状態、あるいは押し跡が残る状態(タック性がある)である。
本転写フィルムを得る方法としては、例えば、本防汚塗膜形成工程及び本防汚部分硬化膜形成工程を経て得る方法が挙げられる。
本転写フィルム(ハ)
本転写フィルム(ハ)は透明基材フィルムの表面に本防汚硬化膜が積層されたものである。
本転写フィルム(ハ)を得る方法としては、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。
本転写フィルム(ハ)を得る第1の方法としては、本防汚塗膜形成工程及び本防汚硬化膜形成工程を経て得る方法が挙げられる。
また、本転写フィルム(ハ)を得る第2の方法としては、本防汚塗膜形成工程、本組成物の塗膜の表面に、アルコール系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物及びケトン系化合物から選ばれる少なくとも1種の沸点が200℃以下の揮発性化合物を塗付する揮発性化合物塗付工程、揮発性化合物を揮発させるための揮発工程及び本防汚硬化膜形成工程を経て得る方法が挙げられる。
透明基材フィルム
本発明で使用される透明基材フィルムは、本転写フィルム(イ)、(ロ)又は(ハ)を、後述する樹脂基材の表面に積層した後に、剥離して除去されるもので、従来転写用剥離フィルムとして使用されているものを使用することができる。
透明基材フィルムとしては、例えば、活性エネルギー線透過性フィルムが挙げられる。
また、本発明においては、透明基材フィルムとして、必要に応じて表層に離型層を有する積層フィルムを使用することができる。
透明基材フィルムとしては、透明基材フィルムの表面に本組成物の塗膜を形成する際にハジキ欠陥等がない良好な製膜性を得る点で、透明基材フィルム又は離型層の表面の臨界表面張力が40mN/m以上である活性エネルギー線透過性フィルムが好ましい。尚、臨界表面張力はZismanプロットにより算出することができる。即ち、表面張力が異なる数種の標準液を調整し、これらの標準液をフィルムの表面に滴下して標準液とフィルム表面との接触角(θ)を測定する。得られた接触角(θ)からcosθ値を算出し、このcosθ値と標準液の表面張力の値とをプロットし、このZismanプロットの直線とcosθ=1で示される直線との交点における表面張力の値を臨界表面張力とする。
透明基材フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等の合成樹脂フィルム、これらの複合フィルム状物又は複合シート状物及びそれらに剥離層を積層したものが挙げられる。
透明基材フィルムの厚さとしては、しわ、亀裂等のない転写フィルムの製造容易性の点で4μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましく、30μm以上が更に好ましい。また、透明基材フィルムの厚さとしては500μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、120μm以下が更に好ましい。
透明基材フィルムの表面に剥離層を形成させる場合の剥離層形成材としては、公知の剥離層を形成するポリマーやワックス等を適宜選択使用できる。
剥離層の形成方法としては、例えば、メラミン系、尿素系、尿素−メラミン系、ベンゾグアナミン系等の樹脂及び界面活性剤を有機溶剤又は水に溶解させた塗料を、グラビア印刷法、スクリ−ン印刷法、オフセット印刷法等の通常の印刷法で透明基材フィルムの表面に塗付、乾燥又は硬化させて形成する方法が挙げられる。
剥離層の厚さは、例えば、0.1〜3μm程度である。剥離層が薄すぎなければ、本防汚硬化膜から剥離し易くなる傾向にあり、好ましい。逆に剥離層が厚すぎなければ、転写前に透明基材フィルムから本防汚硬化膜が脱離しにくい傾向にあり、好ましい。
本防汚塗膜形成工程
本防汚塗膜形成工程において透明基材フィルムの表面に本組成物の塗膜を形成する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、本組成物を塗付し、希釈溶剤を含有する場合には希釈溶剤を乾燥により除去して本組成物の塗膜を得る。
揮発性化合物
本発明で使用される揮発性化合物としては、アルコール系化合物、エステル系化合物、ケトン系化合物及びエーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種の溶剤が挙げられる。
揮発性化合物は、本組成物の塗膜の表面に揮発性化合物を塗付した後に揮発性化合物を揮発させることによって、本組成物中の含窒素フッ素系モノマーの含有量が少ないにも係わらず良好な防汚性を示す樹脂積層体を得るために使用される。
アルコール系化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール及び1−メトキシ−2−プロパノールが挙げられる。これらの中で、得られる樹脂積層体の表面の防汚性の点で、エタノール、i−プロパノール及び1−メトキシ−2−プロパノールが好ましく、i−プロパノールがより好ましい。
ケトン系化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン及びγ−ブチロラクトンが挙げられる。これらの中で、得られる樹脂積層体の表面の防汚性の点で、メチル−i−ブチルケトンが好ましい。
エーテル系化合物としては、例えば、エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン及び2−メチルテトラヒドロフランが挙げられる。これらの中で、得られる樹脂積層体の表面の防汚性の点で、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが好ましい。
エステル系化合物としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル及び(メタ)アクリル酸t−ブチルが挙げられる。これらの中で、得られる樹脂積層体の表面の防汚性の点で、メタクリル酸メチルが好ましい。
これらの揮発性化合物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明においては、揮発性化合物の沸点は200℃以下が好ましい。
本発明においては、揮発性化合物中に、必要に応じて、スリップ性向上剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、HALS等の光安定剤、光開始剤、熱開始剤、アミン類、無機微粒子、有機微粒子、バインダー等の各種添加剤を添加することができる。
揮発性化合物塗付工程
揮発性化合物塗付工程においては、透明基材フィルムの表面に形成された本組成物の塗膜の表面に揮発性化合物が塗付される。
本組成物の塗膜の表面に揮発性化合物を塗付する方法としては、例えば、流延法、ローラーコート法、バーコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、フローコート法、カーテンコート法、フィルムカバー法及びディッピング法が挙げられる。これらの中で、本組成物の塗膜へのダメージを抑制する点で噴霧コート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、フローコート法、カーテンコート法及びディッピング法の非接触の方法が好ましい。
揮発工程
本発明においては、揮発工程で揮発化合物を揮発させる。
揮発化合物を揮発させる方法としては、例えば、室温以上の温度で、常圧又は減圧下で揮発させる方法が挙げられる。
本防汚硬化膜形成工程
本防汚硬化膜形成工程は本組成物の塗膜を硬化させて本防汚硬化膜を形成する工程である。
本組成物の塗膜を硬化させる方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射して硬化させる活性エネルギー線硬化法が挙げられる。
活性エネルギー線硬化法で使用される活性エネルギー線としては、例えば、紫外線が挙げられる。紫外線を照射する場合の光源としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ及び蛍光紫外線ランプが挙げられる。
活性エネルギー線の照射条件として、例えば、ピーク照度が1〜500mW/cmで積算光量が1〜2,000mJ/cmとする照射条件が挙げられる。
活性エネルギー線の照射は本組成物の塗膜の面及び透明基材フィルムの面から選ばれる少なくとも1面の方向から照射することができる。
樹脂基材
本発明で使用される樹脂基材としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、PET、メタクリル酸メチル単位を主構成成分とする共重合体、ポリスチレン及びスチレン−メチルメタクリレート共重合体の成形品が挙げられる。
樹脂基材には、必要に応じて着色剤、光拡散剤等の添加剤を含有させることができる。
樹脂積層体
本発明で得られる樹脂積層体は、樹脂基材の表面に本防汚硬化膜が積層された積層体である。
また、本発明においては、必要に応じて樹脂基材と本防汚硬化膜との間に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成することができる。
樹脂基材の表面に本防汚硬化膜が積層された樹脂積層体の製造方法としては、例えば、本防汚塗膜形成工程及び本防汚硬化膜形成工程を経て得る方法が挙げられる。
また、樹脂基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層及び本防汚硬化膜が順次積層された樹脂積層体の製造方法としては以下の3つの方法が挙げられる。
樹脂基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層及び本防汚硬化膜が順次積層された樹脂積層体を得る第1の方法としては、転写フィルム(イ)の防汚膜用組成物の塗膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して本防汚硬化膜を形成すると共に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得られる樹脂積層体の製造方法が挙げられる。
また、樹脂基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層及び本防汚硬化膜が順次積層された樹脂積層体を得る第2の方法としては、転写フィルム(ロ)の本防汚部分硬化膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して本防汚部分硬化膜を硬化させて本防汚硬化膜を形成すると共に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得られる樹脂積層体の製造方法が挙げられる。
更に、樹脂基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層及び本防汚硬化膜が順次積層された樹脂積層体を得る第3の方法としては、本転写フィルム(ハ)の本防汚硬化膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得る方法が挙げられる。
樹脂積層体の厚みとしては、機械的強度の点で0.2mm以上が好ましく、生産性の点で10mm以下が好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物
本発明で使用される活性エネルギー線硬化性組成物としては、例えば、1モルの多価アルコールと2モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物及び多価カルボン酸又はその無水物と多価アルコールと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物等が挙げられる。
1モルの多価アルコールと2モル以上の(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物の具体例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキルジオールジ(メタ)アクリレート;及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等の3官能以上のポリオールポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
多価カルボン酸又はその無水物と多価アルコールと(メタ)アクリル酸又はその誘導体とから得られるエステル化物において、多価カルボン酸又はその無水物と多価アルコールと(メタ)アクリル酸の組合せ(多価カルボン酸又はその無水物/多価アルコール/(メタ)アクリル酸)としては、例えば、マロン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、マロン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、コハク酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、アジピン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、グルタル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、セバシン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、フマル酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸、イタコン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールエタン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/トリメチロールプロパン/(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸/グリセリン/(メタ)アクリル酸及び無水マレイン酸/ペンタエリスリトール/(メタ)アクリル酸が挙げられる。
分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物のその他の例としては、トリメチロールプロパントルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネートの3量化により得られるポリイソシアネート1モルに対して2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、1,2,3−プロパントリオール−1,3−ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の活性水素を有するアクリル系単量体3モル以上を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート等のポリ[(メタ)アクリロイルオキシエチレン]イソシアヌレート;エポキシポリ(メタ)アクリレート;及びウレタンポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
活性エネルギー線硬化性組成物中には光開始剤を配合することができる。
光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等のリン化合物が挙げられる。
光開始剤の添加量としては、活性エネルギー線硬化性組成物の紫外線照射による硬化性の点で、活性エネルギー線硬化性組成物の全固形分100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1質量部以上が更に好ましい。また、光開始剤の添加量としては、樹脂積層体の色調を良好とし、防汚性を良好とする点で、10質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物
本発明において、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物は樹脂基材の表面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層、本防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層されたものである。
活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程
本発明においては、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程で、本転写フィルム(イ)、(ロ)又は(ハ)を、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層の面を介して樹脂基材と積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を得る。
樹脂基材と本転写フィルム(イ)、(ロ)又は(ハ)とを積層する際のエアーの巻き込みを防ぐためには、過剰量の活性エネルギー線硬化性組成物を使用して活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の層を形成した状態とすることが好ましい。
樹脂基材と本転写フィルム(イ)、(ロ)又は(ハ)とを積層する方法としては、例えば、ゴムロールで圧着する方法が挙げられる。
圧着に際しては、例えば、5〜15MPaの条件で圧着することができる。また、本転写フィルム(イ)、(ロ)又は(ハ)との密着性の点で、積層する樹脂基材の表面を40〜125℃に加温しておくことが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層
活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層は活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を活性エネルギー線により硬化したものである。
硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体
本発明において、硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体は樹脂基材の表面に、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層、本防汚硬化膜及び透明基材フィルムが順次積層されたものである。
硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程
本発明においては、硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程において、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成することができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物への活性エネルギー線の照射は本転写フィルムを介して実施することができる。また、樹脂基材の形状に応じて、必要に応じて樹脂基材側から活性エネルギー線を照射してもよい。
活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成するための活性エネルギー線としては、例えば、紫外線が挙げられる。紫外線を照射する場合の光源としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ及び蛍光紫外線ランプが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成するための活性エネルギー線照射条件としては、例えば、ピーク照度100mW/cm以上及び積算光量10mJ/cm以上とする条件が挙げられる。
本発明においては、転写フィルム(イ)又は(ロ)を使用する場合には、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成する際に、本組成物の塗膜又は本防汚部分硬化膜の硬化を併せて実施して本防汚硬化膜を得ることができる。
また、本発明においては、転写フィルム(ハ)を使用する場合には、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成する際に、必要に応じて、本防汚硬化膜の硬化を促進させて充分に硬化した本防汚硬化膜を得ることができる。
樹脂積層体形成工程
本発明で得られる樹脂積層体は、樹脂積層体形成工程において、硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離することにより得られる。
硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離するに際しては、例えば、室温にて透明基材フィルムを硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から公知の方法により剥離することができる。
本発明により得られる積層体は、ディスプレイの前面板等、各種用途に供される。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。尚、実施例及び比較例で使用した化合物の略称は以下の通りである。また、以下において、「部」は「質量部」を示す。
「IPA」:イソプロピルアルコール
「TAS」:コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸(モル比1/2/4)の縮合混合物(大阪有機化学工業(株)製)
「C6DA」:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
「M305」:ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成(株)製)
「M400」:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製)
「オプツールDAC」:固形分濃度20質量%の、イソシアヌレート型パーフルオロポリエーテルウレタンジアクリレート化合物の2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール溶液(ダイキン工業(株)製、商品名)
「DAROCUR TPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン(株)製、商品名)IRGACURE907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・ジャパン(株)製、商品名)
「IRGACURE819」:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン(株)製、商品名)
「KBM503」:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株)製、商品名)
「スルーリアS」:固形分濃度20質量%の、中空シリカゾルのIPA分散体(日揮触媒化成(株)製、商品名)
「PGM」:1−メトキシ−2−プロパノール(和光純薬(株)製、商品名)
「アクリライトEX001」:メタクリル樹脂板(三菱レイヨン(株)製、商品名)
「パンライトAD−5503」:ポリカーボネート樹脂板(帝人化成(株)製、商品名)
「中空シリカA」:スルーリアS100部に対しKBM503 12部を加水分解反応にて表面処理して得られた表面処理中空シリカ
「中空シリカB」:スルーリアS100部に対しKBM503 6部を加水分解反応にて表面処理して得られた表面処理中空シリカ
また、本発明においては、防汚硬化膜の表面におけるX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)の組成比(N/F)及び防汚硬化膜の表面の防汚性の評価を以下の方法により実施した。
(1)N/F
防汚硬化膜の表面における窒素原子(N)とフッ素原子(F)の組成比(N/F)を以下の条件でのX線光電子分光分析により得た。
測定方法では、全構成元素(C1s、N1s、O1s、F1s及びSi2p)についてXPSスペクトルを取得し、そのピーク面積値を用いて組成比を求めた。得られた組成比からN/Fを算出した。
<X線光電子分光分析の条件>
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製ESCA−LAB 220iXL
X線源:Mgターゲットを用いたモノクロ線源
電圧:10kV
フィラメント電流:16mA
試料チャンバー内真空度:1×10−9Torr
(2)防汚性
油性インク(黒字)として「マイネーム」((株)サクラクレパス製、商品名)で防汚硬化膜の表面上に線を書き、3分後に「キムタオル」(日本製紙クレシア(株)製、商品名)で拭き取り、その際の油性インクの拭き取れ具合を目視により以下の基準で防汚性を評価した。
◎:5回の拭取りで油性インクが完全に拭き取れる。
○:5回の拭取りでわずかに油性インクの線の跡が残る。
×:5回の拭取りで油性インクの一部又は全部が付着したままである。
[実施例1]
厚さ100μmのPETフィルム((株)麗光製、商品名:AC−J)の剥離層が積層されている面に、オプツールDAC20部、C6DA80部、DAROCUR TPO 0.5部及びIRGACURE819 0.5部を含有する防汚膜用組成物を、4号バーコーターを用いて塗付した後に80℃で15分間乾燥させて、防汚膜用組成物の塗膜を形成した。
上記で得られたPETフィルム表面に防汚膜用組成物の塗膜が積層された積層体を、出力9.6kWの高圧水銀ランプ(出力設定50%)の下20cmの位置を9m/分のスピードで通過させることにより、防汚膜用組成物の塗膜を硬化させてPETフィルムの表面に防汚硬化膜を形成させた。このときの積算光量は100mJ/cmで、ピーク照度は130mW/cmであった。得られた防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
なお、N/Fの値は前記フィルム上に形成された防汚硬化膜の表面を測定して得た。
[実施例2、9、10及び比較例1、4、5]
防汚膜用組成物として表1に示すものを使用した。それ以外は実施例1と同様にして防汚硬化膜を得た。得られた防汚硬化膜の評価結果を表1及び表2に示す。
[実施例3]
厚さ100μmのPETフィルム((株)麗光製、商品名:AC−J)の剥離層が積層されている面に、オプツールDAC50部、中空シリカA50部、DAROCUR TPO 0.5部及びIRGACURE819 0.5部を含有する防汚膜用組成物を、4号バーコーターを用いて塗付した後に80℃で15分間乾燥させて、防汚膜用組成物の塗膜を形成した。
得られたPETフィルム表面に防汚膜用組成物の塗膜が積層された積層体を、出力40Wの蛍光紫外線ランプ(東芝(株)製、商品名:FL40BL)が進行方向に対して垂直に2本設置されたランプユニットの下20cmの位置を2.8m/分のスピードで通過させることにより、防汚膜用組成物の塗膜を部分硬化させてPETフィルムの表面に防汚部分硬化膜を形成させた。このときの積算光量は10mJ/cmで、ピーク照度は1.5mW/cmであった。
次いで、上記で得られた防汚部分硬化膜の表面に、TAS35部、C6DA30部、M305 10部、M400 25部及びDAROCUR TPO 2部を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を10号バーコーターを用いて塗付して活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を形成し、転写フィルムを得た。
次いで、60℃に加温した2mm厚のアクリライトEX001の表面に、上記の転写フィルムを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜がアクリライトEX001と接触するように積層し、JIS硬度40°のゴムロールを用いて活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の厚みが15μmとなるように過剰分をしごき出しながら気泡を含まないように圧着させ、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を得た。
更に、得られた活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を60℃で60秒間加温した後、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物の転写フィルムの面を上にして出力9.6kWのメタルハライドランプの下20cmの位置を2.5m/分のスピードで通過させて、防汚部分硬化膜を硬化させると共に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を硬化させた後、PETフィルムを剥離し、樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の表面の防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
防汚膜用組成物として表1に示すものを使用した。それ以外は実施例3と同様にして樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の表面の防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例3において、PETフィルムの表面に形成された防汚膜用組成物の塗膜を硬化させないで(未硬化)、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を形成し、転写フィルムを得た。それ以外は実施例3と同様にして樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の表面の防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
[実施例5]
防汚膜用組成物として表1に示すものを使用した。それ以外は実施例4と同様にして樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の表面の防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例3において、PETフィルム表面に防汚膜用組成物の塗膜が積層された積層体を、出力9.6kWの高圧水銀ランプ(出力設定50%)の下20cmの位置を9m/分のスピードで通過させることにより、防汚膜用組成物の塗膜を硬化させてPETフィルムの表面に、防汚部分硬化膜の代わりに、防汚硬化膜を形成させた。このときの積算光量は100mJ/cmで、ピーク照度は130mW/cmであった。それ以外は実施例3と同様にして樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の表面の防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
防汚膜用組成物として表1に示すものを使用した。それ以外は実施例6と同様にして樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の表面の防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
[実施例7]
防汚膜用組成物として表1に示すものを使用した。それ以外は実施例3と同様にして樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の表面の防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
[実施例8]
厚さ100μmのPETフィルム((株)麗光製、商品名:AC−J)の剥離層が積層されている面に、オプツールDAC50部、中空シリカA50部、DAROCUR TPO 0.5部及びIRGACURE819 0.5部を含有する防汚膜用組成物を、4号バーコーターを用いて塗付した後に80℃で15分間乾燥させて、防汚膜用組成物の塗膜を形成した。
得られた防汚膜用組成物の塗膜の表面に、アプリケーター(クリアランス;メモリ5)を用いて揮発性化合物としてIPAを塗付した後に、80℃で15分間加熱して揮発性化合物を揮発させた。
次いで、得られたPETフィルム表面に防汚膜用組成物の塗膜が積層された積層体を、出力9.6kWの高圧水銀ランプ(出力設定50%)の下20cmの位置を9m/分のスピードで通過させることにより、防汚膜用組成物の塗膜を硬化させてPETフィルムの表面に防汚硬化膜を形成させた。このときの積算光量は100mJ/cmで、ピーク照度は130mW/cmであった。
得られた防汚硬化膜の表面に、TAS35部、C6DA30部、M305 10部、M400 25部及びDAROCUR TPO 2部を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を10号バーコーターを用いて塗付して活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を形成し、転写フィルムを得た。
次いで、60℃に加温した2mm厚のアクリライトEX001の表面に、上記の転写フィルムを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜がアクリライトEX001と接触するように積層し、JIS硬度40°のゴムロールを用いて活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の厚みが15μmとなるように過剰分をしごき出しながら気泡を含まないように圧着させ、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を得た。
更に、得られた活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を60℃で60秒間加温した後、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物の転写フィルムの面を上にして出力9.6kWのメタルハライドランプの下20cmの位置を2.5m/分のスピードで通過させて、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を硬化させた後、PETフィルムを剥離し、樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の表面の防汚硬化膜の評価結果を表1に示す。
[実施例11、12]
実施例1のPETフィルムの替わりに、2mm厚のアクリライトEX001を樹脂基材として使用した。それ以外は実施例1と同様にして防汚硬化膜を得た。得られた防汚硬化膜の評価結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例1のPETフィルムの替わりに、2mm厚のパンライトAD−5503を樹脂基材として使用した。それ以外は実施例1と同様にして防汚硬化膜を得た。得られた防汚硬化膜の評価結果を表2に示す。
[実施例14、15及び比較例6]
冷却管を備えたナスフラスコに、イソシナネート骨格含有アクリレート化合物(昭和電工(株)製、製品名:カレンズBEI)2.6gと、パーフルオロポリエーテル化合物(ソルベイソレクシス社製、製品名:FLUOROLINK D10H)8gと、ジブチル錫ジラウリレートを0.005g添加し、50℃で6時間攪拌した。得られたパーフルオロポリエーテル基と窒素原子を含有する含窒素フッ素系モノマーを含む白濁粘性液体へ、メチルエチルケトンを添加して固形分濃度が20質量%となるように希釈し、含窒素フッ素系モノマーを含有する液体を得た。
次に、この含窒素フッ素系モノマー含有液を表1に示す配合成分および配合比に従って使用した。それ以外は実施例1と同様にして防汚硬化膜を得た。得られた防汚硬化膜の評価結果を表2に示す。
なお、表中の「非転写基材」とは、防汚硬化膜を形成させるための透明基材フィルムまたは樹脂基材であり、かつ転写フィルムの基材ではないものを表す。
実施例1〜15から明らかなように、防汚硬化膜の表面のN/Fが0.110以下のものは、樹脂基材の表面に防汚膜用組成物を直接塗付して硬化させる塗付法による樹脂積層体だけでなく、転写フィルムを使用した転写法による樹脂積層体も防汚性が良好であった。
これに対して、比較例例1〜6から明らかなように、防汚硬化膜の表面のN/Fが0.110を超えるものは良好な防汚性を得ることができなかった。

Claims (14)

  1. 含窒素フッ素系モノマーを含有する防汚膜用組成物の塗膜を硬化して得られる防汚硬化膜であって、防汚硬化膜の表面におけるX線光電子分光分析による窒素原子(N)とフッ素原子(F)の組成比(N/F)が0.110以下である防汚硬化膜。
  2. 含窒素フッ素系モノマーがイソシアヌレート型パーフルオロポリエーテルウレタンジアクリレートである請求項1に記載の防汚硬化膜。
  3. 防汚硬化膜が無機微粒子を含有する請求項1又は2に記載の防汚硬化膜。
  4. 無機微粒子が中空シリカ又はコロイダルシリカである請求項3に記載の防汚硬化膜。
  5. 透明基材フィルムの表面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚硬化膜が積層された転写フィルム。
  6. 透明基材フィルムの表面に含窒素フッ素系モノマーを含有する防汚膜用組成物の塗膜を形成する防汚塗膜形成工程を経て得られる請求項5に記載の転写フィルムの製造方法。
  7. 透明基材フィルムの表面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚膜用組成物の塗膜を形成する防汚塗膜形成工程及び防汚膜用組成物の塗膜を部分硬化させて防汚部分硬化膜を形成する防汚部分硬化膜形成工程を経て得られる請求項5に記載の転写フィルムの製造方法。
  8. 透明基材フィルムの表面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚膜用組成物の塗膜を形成する防汚塗膜形成工程及び防汚膜用組成物の塗膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する防汚硬化膜形成工程を経て得られる請求項5に記載の転写フィルムの製造方法。
  9. 透明基材フィルムの表面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚膜用組成物の塗膜を形成する防汚塗膜形成工程、防汚膜用組成物の塗膜の表面に、アルコール系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物及びケトン系化合物から選ばれる少なくとも1種の、沸点が200℃以下の揮発性化合物を塗付する揮発性化合物塗付工程、揮発性化合物を揮発させるための揮発工程及び防汚膜用組成物の塗膜を硬化させて防汚硬化膜を形成する防汚硬化膜形成工程を経て得られる請求項5に記載の転写フィルムの製造方法。
  10. 樹脂基材の表面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚硬化膜が積層された樹脂積層体。
  11. 樹脂基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層及び請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚硬化膜が順次積層された樹脂積層体。
  12. 請求項6に記載の方法で得られた転写フィルムの防汚膜用組成物の塗膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して防汚膜用組成物の塗膜を硬化させて防汚硬化膜を形成すると共に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得られる樹脂積層体の製造方法。
  13. 請求項7に記載の方法で得られた転写フィルムの防汚部分硬化膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して防汚部分硬化膜を硬化させて防汚硬化膜を形成すると共に活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得られる樹脂積層体の製造方法。
  14. 請求項8又は9に記載の方法で得られた転写フィルムの防汚硬化膜側と樹脂基材とを、活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜を介して積層して活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物形成工程、活性エネルギー線硬化性樹脂基材ラミネート物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を含有する硬化性塗膜の硬化層を形成して硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体を形成する硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体形成工程及び硬化性塗膜硬化層含有転写フィルム積層体から透明基材フィルムを剥離する樹脂積層体形成工程を経て得られる樹脂積層体の製造方法。
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