以下、図1〜図9を用いて、本発明の第1の実施形態による建設機械の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による建設機械の全体構成について説明する。なお、ここでは、建設機械として、油圧ショベルを例にとって説明する。なお、本発明は、旋回体を備えた建設機械全般に適用が可能であり、本発明の適用が油圧ショベルに限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態による建設機械の全体構成を示すシステム構成図である。
図1において、下部走行体10は、一対のクローラ11及びクローラフレーム12(図では片側のみを示す)、各クローラ11を独立して駆動制御する一対の走行用油圧モータ(図2で後述する走行用油圧モータ13,14)及びその旋回輪28等で構成されている。
上部旋回体20は、旋回フレーム21と、旋回フレーム21上に設けられた、原動機としてのエンジン22と、エンジン22により駆動されるアシスト発電モータ23と、旋回用電動モータ25と、アシスト発電モータ23及び旋回用電動モータ25に接続される電気二重層キャパシタ24と、旋回用電動モータ25の回転を減速する減速機26を含み、旋回用電動モータ25と旋回用油圧モータ27の駆動力により下部走行体10に対して上部旋回体20(旋回フレーム21)を旋回駆動させるための旋回装置29等で構成されている。なお、図1では旋回用油圧モータ27と旋回用電動モータ25の両方を搭載しているが、旋回用電動モータ25のみを搭載した構成でも良い。
また、上部旋回体20の前側には、作業機としてのフロント装置30が搭載されている。フロント装置30は、ブーム31と、ブーム31を駆動するためのブームシリンダ32と、ブーム31の先端部近傍に回転自在に軸支されたアーム33と、アーム33を駆動するためのアームシリンダ34と、アーム33の先端に回転可能に軸支されたバケット35と、バケット35を駆動するためのバケットシリンダ36等で構成されている。さらに、上部旋回体20の旋回フレーム21上には、前記の走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ27、ブームシリンダ32、アームシリンダ34、バケットシリンダ36等の油圧アクチュエータを駆動するための油圧を発生する油圧ポンプ(図2に示す油圧ポンプ41)、及び各アクチュエータを駆動制御するための、コントロールバルブ(図2に示すコントロールバルブ42)を含む油圧システム40が搭載されている。油圧源となる油圧ポンプ41はエンジン22によって駆動される。
次に、図2を用いて、本実施形態による建設機械の主要電動・油圧機器の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による建設機械の主要電動・油圧機器のシステム構成図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
エンジン22の駆動力は、油圧ポンプ41に伝達される。油圧ポンプ41は、コントロールバルブ42に油圧を供給する。コントロールバルブ42は、旋回操作レバー90からの指令に応じて、ブームシリンダ32、アームシリンダ34、バケットシリンダ36及び走行用油圧モータ13,14への動作油の吐出量及び吐出方向を制御する。また、コントロールバルブ42は、操作レバー90からの指令に応じて、旋向用油圧モータ27への動作油の吐出量及び吐出方向を制御する。旋回操作レバー90の指令は、油圧−電気信号変換デバイス77(例えば、圧力センサ)によって電気信号に変換され、コントローラ80に入力する。
コントローラ80が、出力する電気制御信号は、電気−油圧信号変換デバイス75により、油圧制御信号に変換され、コントロールバルブ42に供給される。
なお、旋回操作レバー90と、コントロールバルブ42との間には、パイロット圧信号遮断弁79が設けられている。通常、この遮断弁79は開いており、旋回操作レバー90の操作量に応じて、コントロールバルブ42が制御される。ロックレバー92がロック状態となるように操作されると、遮断弁79が閉じて、旋回操作レバー90と、コントロールバルブ42との間は遮断される。
アシスト発電モータ23は、発電機として機能する場合は、エンジン22により回転されることで発電し、アシストモータとして機能する場合は、後述の電気二重層キャパシタに蓄電された電力により駆動しエンジンをアシストするように構成されている。上部旋回体20を旋回駆動するモータとしては、旋回用油圧モータ27の他に、旋回用電動モータ25を備えている。旋回用電動モータ25と旋回用油圧モータ27の駆動力は、減速機26により減速して上部旋回体20に伝達され、上部旋回体20(図1に示した旋回フレーム21)は、図1に示した下部走行体10に対して旋回駆動される。
アシスト発電モータ23及び旋回用電動モータ25としては、三相交流電動モータ(3相同期モータ)を用いている。アシスト発電モータ23及び旋回用電動モータ25は、パワーコントロールユニット55及びメインコンタクタ56を介して、電気二重層キャパシタ24に接続されている。パワーコントロールユニット55は、コントローラ80によって制御される。旋回用電動モータ25は、レゾルバ等の回転速度検出手段25Aを備えている。回転速度検出手段25Aがレゾルバの場合、レゾルバは、旋回用電動モータ25の磁極位置を検出する。パワーコントロールユニット55は、検出された磁極位置に基づいて、旋回用電動モータ25の回転速度を算出する。パワーコントロールユニット55が旋回用電動モータ25を速度制御する場合、パワーコントロールユニット55は、旋回用電動モータ25の回転速度が、コントローラ80からの速度指令値となるように、インバータ52を制御して、旋回用電動モータ25の回転速度を制御する。なお、パワーコントロールユニット55によって算出された旋回用電動モータ25の回転速度の値は、コントローラ80に入力する。
パワーコントロールユニット55は、インバータ52,53と、平滑コンデンサ54と、チョッパ51とを備えている。また、メインコンタクタ56は、メインリレー57を備えている。なお、これらの詳細については、図3を用いて後述する。
なお、ON/OFFするスイッチ203及びモニタ202については、他の実施形態で用いられるものであり、後述する。
次に、図3を用いて、本実施形態による建設機械の電動システムの構成について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態による建設機械の電動システムの構成を示す電気回路図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
インバータ53は、例えばIGBTのようなスイッチング素子6個からなるブリッジ回路を備える。電気二重層キャパシタ24に蓄積された電圧は、チョッパ51により昇圧されてインバータ53に入力する。インバータ53は、コントローラ80からの指令を受けて、電流のON/OFFを繰り返し、パルス幅を変動させることで疑似的に三相交流を作り出し、アシスト発電モータ23を駆動する。なお、アシスト発電モータ23がエンジン22により駆動されて発電機として動作するときは、発電された交流電力は、インバータ53により整流され、チョッパ51により降圧されて、電気二重層キャパシタ24に蓄積される。
インバータ52も6個のスイッチング素子からなるブリッジ回路を備え、三相交流を電動モータ25に供給して駆動する。
チョッパ51は、例えば、2個のスイッチング素子とリアクトルからなり、コントローラ80からの指令を受けて2個のスイッチング素子を交互に開閉させることにより、キャパシタ24の電圧をインバータ53,52が動作可能な母線電圧に昇圧すると共に、母線電圧を所定の一定値付近に制御する動作を行う。母線電圧を安定させるために、平滑コンデンサ54が母線電圧のラインに設けられている。
キャパシタ24とチョッパ51の間の回路はメインコンタクタ56内のリレー57により開閉される。リレー57の開閉は、図2に示したコントローラ80からの指令により行われる。車体をキーOFFして停止させているような状態ではリレー57は開いている。また、メインコンタクタ56は、リレー動作時の突入電流を防止するための、抵抗などからなる突入電流防止回路58を備えている。
なお、モータの種類によっては、図3に示すインバータ回路52,53とは異なるスイッチング素子の構成が用いられることがあり、図3はあくまで例示である。
次に、図4及び図5を用いて、本実施形態による建設機械の電動システムに用いる電動モータの巻線の構成について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態による建設機械の電動システムに用いる電動モータの巻線の構成図である。図5は、本発明の第1の実施形態による建設機械の電動システムに用いる電動モータの回転数トルク特性の説明図である。
図4に示すように、旋回用電動モータ25は、スター結線された固定子巻線101,102を備えている。本実施形態では、旋回用電動モータ25は、巻線切り替え機能を備えている。
旋回用電動モータ25の各相の固定子巻線は、第1の巻線101と、第2の巻線102とから構成される。第1の巻線101と第2の巻線102は直列に接続され、さらに第2の巻線にはリレー103が並列に接続されている。リレー103にはノーマルクローズ型(B接点)を使用する。
図3に示したコントローラ80の巻線切替信号201がOFFの場合はリレー103は導通状態となり、第1の巻線101にのみ電流が流れることになる。
この状態の旋回用電動モータ25の回転数トルク特性は、図5に符号Aで示す通常特性となり、通常の旋回作業で使用する。通常特性の回転トルク特性では、大きな慣性を有する旋回体を駆動するために、低速域でのトルクを大きくし、ある速度域以降では定出力特性(トルクと速度の積が一定)になるようにトルクを減少させる。低速域でトルクが制限されているのは、過剰な電流が流れて旋回用電動モータ25やインバータが損傷するのを防ぐためである。なお、回転数の制限は、速度の上昇に伴う旋回用電動モータ25の逆起電力の大きさによって決まる。
一方、巻線切替信号201がONの場合はリレー103は非導通状態となり、第1の巻線101と第2の巻線102は直列に接続され、巻線数が増えることになるため、旋回用電動モータ25の回転数トルク特性は、図5に符号Bで示す低速‐高トルク特性になる。低速‐高トルク特性では、符号Aで示す通常特性に比べて、低速時のトルクが高トルクとなっている。その一方で、高回転側の回転数は低く抑えられている。
なお、リレー103をノーマルクローズ型にしておくと、巻線切替信号201のラインが断線した場合には通常の回転数トルク特性になるため、車体としては普通に旋回を行うことができる。
次に、図6〜図9を用いて、本実施形態による建設機械の電動システムにおける巻線切り替えの動作について説明する。
図6及び図8は、本発明の第1の実施形態による建設機械の電動システムにおける巻線切り替えの動作内容を示すフローチャートである。図7及び図9は、本発明の第1の実施形態による建設機械の電動システムにおける巻線切り替え時の動作内容を示すタイミングチャートである。
図6及び図7は、押し当て作業開始時における巻線切り替え処理の内容を示している。
図6において、コントローラ80は、押し当て時間判定用の変数Timerを初期化し(ステップS101)、制御周期dt毎にオペレータが旋回用のレバーを入力した際に発生する旋回パイロット圧Pと旋回パイロット圧の判定値Pminが比較されるとともに、旋回電動モータの実速度Nと0に近い速度の判定値Nminが比較される(ステップS102,ステップS103,ステップS104)。
旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以上で、かつ実速度Nが0に近い速度の判定値Nmin以下の場合は、ステップS105に移り、タイマーの値Timerがカウントアップされる。ステップS106では、カウントアップされた押し当て時間判定用の変数Timerと押し当て判定時間Tcを比較し、押し当て時間判定用の変数Timerが押し当て判定時間Tc以下である場合は、ステップS106からステップS102に戻る。ここで、押し当て判定時間Tcは、例えば、1,2秒としている。
旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以上で、かつ実速度Nが0に近い速度の判定値Nmin以下の状態が続き、ステップS106において、押し当て時間判定用の変数Timerが押し当て判定時間Tc以上となった場合は押し当て状態でかつ負荷が大きいと判断して、巻線切替信号をONにして自動的に低速‐高トルク特性に切り替わる(ステップS107)。
ステップS103において、旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以下、もしくはステップS104において、実速度Nが速度の判定値Nmin以上の場合は、ステップS110において押し当て時間判定用の変数Timerがリセットされて、ステップS102に戻る。
図7は、オペレータが押し当て作業をするためにレバーを操作した時の、旋回用電動モータの実速度Nと電動モータの出力するトルクTを示している。
図7において、横軸は時間を示している。図7(A)の縦軸は旋回パイロット圧Pを示し、図7(B)の縦軸は電動モータ実速度Nを示し、図7(C)の縦軸は電動モータトルクTを示している。
時刻t0において、押し当て作業をするためにレバーを操作して、バケットの側面を対象物に押し当てた場合に、負荷が大きい場合はレバーを入力しているにも関わらず、旋回体は停止している。そのため、旋回用電動モータの実速度Nは上がらない。この時に旋回用電動モータの出力しているトルクは、通常のトルク特性で出力することのできる最大トルクT1までになる。
時刻t1において、旋回パイロット圧Pが設定パイロット圧値Pmin以上となると、押し当て判定時間Tcの計測を開始する。そして、この状態が押し当て判定時間Tc以上続くと、時刻t2において、低速−高トルク特性に切り替わり、電動モータトルクは、トルクT1よりも大きいトルクT2まで出力できるようになるため、押し当て作業性が改善される。
このように、押し当て判定時間を設けることで、作業中に大きな負荷が加わっていると判断できるとともに、頻繁に巻線が切り替わるのを防止することが可能となる。低速高トルク特性に切り替わった場合は、オペレータにその事を知らせるために、モニタに特性が切り替わったことを表示するか、もしくはブザーのような音を出すような構成にしても良い。
図8及び図9は、押し当て作業終了後における巻線切り替え処理の内容を示している。
図8は、コントローラ80が、押し当て作業終了後に、低速‐高トルク特性から通常特性に巻線を戻す場合のフローチャートを示している。
ステップS121で押し当て作業終了判定用の変数Timerを初期化した後、制御周期dt毎に最初にロックレバー92が解除されているのかを判定する(ステップS122,ステップS123)。ロックレバー92がロック状態ということは、油圧信号が遮断されており、オペレータは作業を行うことができないことを意味している。そのため、最初にロックレバーの状態を判定し、ロック状態の場合は通常特性に巻線を切り替える。
ロックレバーが解除状態の場合は、旋回パイロット圧Pと旋回パイロット圧の判定値Pminが比較されるとともに、旋回電動モータの実速度Nと0に近い速度の判定値Nminが比較される(ステップS124,125)。
旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以下で、かつ実速度Nが0に近い速度Nmin以下の場合は、押し当て作業は終了していると考えられ、ステップS126に移り、押し当て作業終了判定用の変数Timerがカウントアップされる。そうでない場合は、ステップS130で作業終了判定用の変数Timerをリセットする。
ステップS127では、カウントアップされた押し当て作業終了判定用の変数Timerと押し当て作業終了判定時間Tfを比較する。旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以下で、かつ実速度Nが0に近い速度の判定値Nmin以下の状態が続き、ステップS127において、押し当て作業終了判定用の変数Timerが押し当て作業終了判定時間Tf以上となった場合は、押し当て作業終了と判断して、巻線切替信号をOFFにして自動的に通常特性に切り替える(ステップS128)。
図9は、押し当て作業が終了した時の、旋回用電動モータの実速度Nと旋回用電動モータの出力するトルクTを示している。
図9において、横軸は時間を示している。図9(A)の縦軸は旋回パイロット圧Pを示し、図9(B)の縦軸は旋回用電動モータ実速度Nを示し、図9(C)の縦軸は旋回用電動モータトルクTを示している。
レバー操作を止めると、コントローラ80の制御により、時刻t10において、図9(C)に示すように、旋回用電動モータは制動側のトルクを出す。これにより、図9(B)に示すように、旋回用電動モータの速度は減少する。
時刻t11において、図9(B)に示すように、実速度Nが0に近い速度の判定値Nmin以下の状態となり、押し当て作業終了判定用の変数Timerが押し当て作業終了判定時間Tf以上となった場合は、押し当て作業終了と判断して、時刻t12において、巻線切替信号をOFFにして自動的に通常特性に切り替える。通常特性への切り替えは、旋回用電動モータがほぼ停止していると考えられる速度になってから行う。
図6にて説明したように、本実施形態では、旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以上で、かつ実速度Nが0に近い速度の判定値Nmin以下の状態が続いた時、押し当て状態でかつ負荷が大きいと判断して、巻線切替信号をONにして自動的に低速‐高トルク特性に切り替えている。
ここで、旋回パイロット圧Pは、旋回用電動モータ(電動アクチュエータ)に加わる負荷の指令値である。また、旋回用電動モータの実速度Nは、旋回用電動モータ(電動アクチュエータ)に加わる負荷の測定値である。従って、本実施形態では、旋回用電動モータ(電動アクチュエータ)に加わる負荷に応じて、低速‐高トルク特性に切り替えている。
また、図4にて説明したように、本実施形態では、3相同期電動モータの各相の巻線として、巻線101と巻線102とを備えている。通常特性を得るときは、巻線101からなる第1の系統の巻線を使用する。また、低速‐高トルク特性とするときは、直列接続された巻線101と巻線102とからなる第2の系統の巻線を使用する。
以上のように、本実施形態では、コントローラ80は、電動アクチュエータに加わる負荷に応じて、二系統の巻線の内の一つに切り替えるようにしている。
以上説明したように、本実施形態によれば、電動アクチュエータに加わる負荷に応じて、二系統の巻線の内の一つに切り替えて、電動アクチュエータの特性を低速‐高トルク特性とすることができ、押し当て作業時で負荷が大きい場合に、低速‐高トルク特性に切り替えることで、押し当て作業の効率をあげることができる。また、必要のないときは低速‐高トルク特性には切り替えないため、インバータや旋回用電動モータの寿命への影響も少ない。
次に、図10〜図12を用いて、本発明の第2の実施形態による建設機械の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による建設機械の全体構成は、図1に示したものと同様である。また、本実施形態による建設機械の主要電動・油圧機器の構成は、図2に示したものと同様である。また、本実施形態による建設機械の電動システムの構成は、図3に示したものと同様である。また、本実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの巻線の構成は、図4に示しものと同様である。さらに、本実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図5に示したものと同様である。
図10は、本発明の第2の実施形態による建設機械の電動システムにおける巻線切り替えの動作内容を示すフローチャートである。図11及び図12は、本発明の第2の実施形態による建設機械の電動システムにおける巻線切り替え時の動作内容を示すタイミングチャートである。
本実施形態において、図6及び図7に示した第1の実施形態との相違点は次の通りである。本実施形態においては、押し当て時間Tcにより判定するのではなく、旋回パイロット圧の時間積分値により低速‐高トルク特性への切り替えを判定する。
その詳細を図10に示すフローチャートにより説明する。なお、図6と同じステップ番号は、同じ処理内容を示している。本実施形態では、ステップ205,S206及びS210が図6と異なる点である。
図10のステップS103〜S104において、旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以上で、かつ実速度Nが0に近い速度の判定値Nmin以下の場合は、ステップS205において旋回パイロット圧Pの積分値Aを求める。ステップS206では積分値Aと押し当て判定積分値Acを比較し、旋回パイロット圧Pの積分値Aが押し当て判定積分値Ac以下である場合は、ステップS206からステップS102に戻る。
旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以上で、かつ実速度Nが0に近い速度の判定値Nmin以下の状態が続き、ステップS206においてAが押し当て判定積分値Ac以上となった場合は、押し当て状態でかつ負荷が大きいと判断して、巻線切替信号をONにして自動的に低速‐高トルク特性に切り替わる(ステップS107)。
ステップS103において旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以下、もしくはステップS104において実速度Nが速度の判定値Nmin以上の場合は、ステップS210において旋回パイロット圧Pの積分値Aがリセットされて、ステップS102に戻る。
図11は、オペレータが押し当て作業をするためにレバーを操作した時の、旋回用電動モータの実速度Nと旋回用電動モータの出力するトルクTを示している。
図11において、横軸は時間を示している。図11(A)の縦軸は旋回パイロット圧Pを示し、図11(B)の縦軸は旋回用電動モータ実速度Nを示し、図11(C)の縦軸は旋回用電動モータトルクTを示している。
時刻t0において、押し当て作業をするためにレバーを操作して、バケットの側面を対象物に押し当てた場合に、負荷が大きい場合はレバーを入力しているにも関わらず、旋回体は停止している。そのため、旋回用電動モータの実速度Nは上がらない。この時に旋回用電動モータの出力しているトルクは、通常のトルク特性で出力することのできる最大トルクT1までになる。
時刻t1において、旋回パイロット圧Pが設定パイロット圧値Pmin以上となると、積分値Aの積分を開始する。そして、積分値Aが押し当て判定積分値Acになると、時刻t2において、低速−高トルク特性に切り替わり、電動モータトルクは、トルクT1よりも大きいトルクT2まで出力できるようになるため、押し当て作業性が改善される。
次に、図12を用いて、本実施形態の利点を第1の実施形態と比較して説明する。図12は、二つのパターンの旋回パイロット圧P1とP2の時間変化に対して、巻線を切り替えるタイミングを第1の実施形態と第2の実施形態とで比較したものを示している。図12では、実速度NはNmin以下であるとする。
図12(A)に示すように、第1実施形態では旋回パイロット圧がPmin以上であれば、保持時間の判定を始めてからのレバーの入れ方に関係なく(符号P1で示すレバーの入れ方の場合も、符号P2で示すレバーの入れ方の場合も)、切り替えタイミングは同じになる。
それに対して、図12(B)に示すように、本実施形態では、積分値Aの計算を始めてからのレバーの入れ方(符号P1で示すレバーの入れ方の場合と、符号P2で示すレバーの入れ方の場合と)により、切り替えまでのタイミングが変わる。符号P1で示す入れ方の場合、切り替えタイミングは時刻tx1となり、符号P2で示す入れ方の場合、切り替えタイミングは時刻tx2となる。
レバーを最大まで入力してから弱めた状態を保持する場合は、オペレータの意図する油圧ショベルの動作として、押し当て作業をするのにも大きなトルクを必要としていないと考えられるため、直ぐに巻線を切り替える必要はない。このように本実施形態では、レバー操作に伴うオペレータの意図する油圧ショベルの動作を考慮したうえで巻線を切り替えることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、電動アクチュエータに加わる負荷に応じて、二系統の巻線の内の一つに切り替えて、電動アクチュエータの特性を低速‐高トルク特性とすることができ、押し当て作業時で負荷が大きい場合に、低速‐高トルク特性に切り替えることで、押し当て作業の効率をあげることができる。また、必要のないときは低速‐高トルク特性には切り替えないため、インバータや電動モータの寿命への影響も少ない。
次に、図13を用いて、本発明の第3の実施形態による建設機械の構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による建設機械の全体構成は、図1に示したものと同様である。また、本実施形態による建設機械の主要電動・油圧機器の構成は、図2に示したものと同様である。また、本実施形態による建設機械の電動システムの構成は、図3に示したものと同様である。また、本実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの巻線の構成は、図4に示しものと同様である。さらに、本実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図5に示したものと同様である。
図13は、本発明の第3の実施形態による建設機械の電動システムにおける巻線切り替えの動作内容を示すフローチャートである。
本実施形態は、旋回用電動モータに速度を検出できるセンサがない場合の巻線切替方法である。一般的に電動モータにはレゾルバやエンコーダといった磁極位置検出センサが使用される。これらのセンサは磁極を検出するだけでなく、電動モータの速度の検出にも使用される。旋回用電動モータの始動時にはこれらのセンサによりステータに対するロータの磁極位置を検出することで、電動モータを停止状態からでも制御することが可能となる。しかし、これらのセンサを取り付けることは、電動モータの大型化、コストアップなどの影響を生じる。エアコン等の回転を持続させる用途で一般化している、磁極位置センサなしで電動モータを駆動するセンサレス制御の導入も考えられるが、センサレス制御を採用する場合停止状態からの起動時にどのように電動モータの磁極と位置とを検出するかといった検討を必要とする。このような検討課題は、図2に示すような旋回電動モータ25と旋回油圧モータ27の駆動力によって旋回を行う構成の揚合は、以下の方法で解決することができる。旋回始動時は油圧モータのみでトルクを出し、電動モータの速度が磁極位置を検出可能な値まで大きくなったところで、電動モータのセンサレス制御を行い、最終的には油圧モータと電動モータの合計トルクで旋回体を駆動する。
図13は、上記構成の建設機械において、押し当て判定時に巻線を切り替える際のフローチャートを示している。本実施形態では、旋回用電動モータの速度の代わりに、油圧モータの入口圧力Pa、出口圧力Pb、押し除け容積qから演算可能な油圧モータのトルクT0を判定に使用する。
その詳細を図13に示すフローチャートにより説明する。なお、図6と同じステップ番号は、同じ処理内容を示している。本実施形態では、ステップS304及びS305が図6と異なる点である。
第1の実施形態と同様に、先ずは旋回パイロット圧Pと旋回パイロット圧の判定値Pminが比較される(S103)。旋回パイロット圧によりコントロールバルブが制御され、油圧ポンプから油圧モータへ油が導かれる。
次に、コントローラ80は、ステップS304に移り、電動モニタが磁極位置を検出可能かを判定する。油圧モータにより磁極位置を検出可能な速度まで旋回用電動モータを駆動することができれば、旋回用電動モータのセンサレス制御が可能となり、油圧モータのトルクに通常特性で旋回用電動モータが出すことが可能なトルクを加えることができる。
次に、ステップS305に移り計算により求めた油圧モータのトルクT0と、油圧モータの出力可能な最大トルクに近いトルク判定値Tminが比較される。圧モータのトルクT0は、「(Pa−Pb)q/2π」として算出できる。ここで、油圧モータの入口圧力Pa、出口圧力Pb、押し除け容積qである。通常の旋回動作であれば、始動時に大きなトルクが必要となり、旋回体が動き出した後は大きなトルクは必要としない。逆に押し当て作業中で負荷が大きい場合は、旋回操作レバーを操作している間は、油圧モータは最大に近いトルクを出し続けることになる。
ステップS303〜ステップS305でYESの条件が全て成立するのは、旋回用電動モータの磁極位置が検出可能な速度で旋回体が駆動できる負荷の押し当て作業時で、かつ旋回用電動モータが通常特性で出すことのできるトルクを出力してもトルクが不足している時である。
なお、負荷が大きすぎて、旋回体が停止しているような状況では、旋回用電動モータのセンサレス制御が行えないため、本実施形態では巻線を切り替えることはできない。
ステップS305でYESの条件が成立した後は、ステップS105に移り第1実施形態と同様にTimerをカウントアップし、Timerが押し当て判定時間Tc以上となった場合に巻線切替信号をONにして、低速‐高トルク特性に切り替える。最終的に旋回体は油圧モータの出力するトルクに、低速‐高トルク特性で出力可能な旋回用電動モータのトルクを加えることができるため、押し当て作業性が改善される。
図6にて説明したように、本実施形態では、旋回パイロット圧Pが旋回パイロット圧の判定値Pmin以上で、かつ油圧モータのトルクT0がトルク判定値Tmin以上の状態が続いた時、押し当て状態でかつ負荷が大きいと判断して、巻線切替信号をONにして自動的に低速‐高トルク特性に切り替えている。
ここで、旋回パイロット圧Pは、旋回用電動モータ(電動アクチュエータ)に加わる負荷の指令値である。また、油圧モータのトルクT0は、旋回用電動モータ(電動アクチュエータ)に加わる負荷の測定値である。従って、本実施形態では、旋回用電動モータ(電動アクチュエータ)に加わる負荷に応じて、低速‐高トルク特性に切り替えている。
また、図4にて説明したように、本実施形態では、3相同期電動モータの各相の巻線として、巻線101と巻線102とを備えている。通常特性を得るときは、巻線101からなる第1の系統の巻線を使用する。また、低速‐高トルク特性とするときは、直列接続された巻線101と巻線102とからなる第2の系統の巻線を使用する。
以上のように、本実施形態では、コントローラ80は、電動アクチュエータに加わる負荷に応じて、二系統の巻線の内の一つに切り替えるようにしている。
以上説明したように、本実施形態によれば、電動アクチュエータに加わる負荷に応じて、二系統の巻線の内の一つに切り替えて、電動アクチュエータの特性を低速‐高トルク特性とすることができ、押し当て作業時で負荷が大きい場合に、低速‐高トルク特性に切り替えることで、押し当て作業の効率をあげることができる。また、必要のないときは低速‐高トルク特性には切り替えないため、インバータや電動モータの寿命への影響も少ない。
なお、これまでの実施形態の説明では、押し当て状態を自動的に判定するものとしているが、これ以外に、次のような場合にも、低速高トルクが必要とされる状態と判定することができる。すなわち、例えば、油圧ショベルが斜面に位置しており、アーム・ブームを伸ばした状態で、バケットを斜面の上方に旋回させようとすると、旋回モータの回転速度が小さく、その一方で、大トルクが必要となる。このような場合でも、本実施形態では、自動的にその状態を判定して、低速ー高トルク特性に切り替えることできる。
次に、図14及び図15を用いて、本発明の各実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの他の巻線の構成について説明する。
図14は、本発明の各実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの他の巻線の構成図である。図15は、本発明の各実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの他の回転数トルク特性の説明図である。
図4に示したように、3相同期モータである旋回用電動モータ25の巻線は、スター結線されている。図14は、3相のうちの1相分の巻線を示している。1相分の巻線として、固定子巻線101,102,104を備えている。本実施形態では、旋回用電動モータ25は、巻線切り替え機能を備えている。
旋回用電動モータ25の各相の固定子巻線は、第1の巻線101と、第2の巻線102と、第3の巻線104とから構成される。第1の巻線101と第2の巻線102と第3の巻線104は直列に接続され、さらに第2の巻線102にはリレー103が並列に接続され、第3の巻線104にはリレー105が並列に接続されている。リレー103,105にはノーマルクローズ型(B接点)を使用する。
図3に示したコントローラ80の巻線切替信号201,201AがOFFの場合はリレー103,105は導通状態となり、第1の巻線101にのみ電流が流れることになる。
この状態の旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図15に符号Aで示す通常特性となり、通常の旋回作業で使用する。通常特性の回転トルク特性では、大きな慣性を有する旋回体を駆動するために、低速域でのトルクを大きくし、ある速度域以降では定出力特性(トルクと速度の積が一定)になるようにトルクを減少させる。低速域でトルクが制限されているのは、過剰な電流が流れて旋回用電動モータやインバータが損傷するのを防ぐためである。なお、回転数の制限は、速度の上昇に伴う旋回用電動モータの逆起電力の大きさによって決まる。
一方、巻線切替信号201がONの場合はリレー103は非導通状態となり、第1の巻線101と第2の巻線102は直列に接続され、巻線数が増えることになるため、旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図15に符号Bで示す低速‐高トルク特性になる。低速‐高トルク特性では、符号Aで示す通常特性に比べて、低速時のトルクが高トルクとなっている。その一方で、高回転側の回転数は低く抑えられている。
さらに、巻線切替信号201と巻線切替信号201Aが共にONの場合はリレー103,105は共に非導通状態となり、第1の巻線101と第2の巻線102と第3の巻線104は直列に接続され、巻線数が増えることになるため、旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図15に符号Cで示す低速‐高トルク特性になる。符号Cの低速‐高トルク特性では、符号Bで示す低速ー高トルク特性に比べて、更に、低速時のトルクが高トルクとなっている。その一方で、高回転側の回転数は低く抑えられている。
なお、これまでの各実施形態では、オペレータの旋回レバー操作により自動的に巻線を切り替えていた。しかしながら、図2に示すように手動で巻線切替信号201をON/OFFするスイッチ203を設け、それによりオペレータの好きな時に特性を切り替えることができるような構成することもできる。オペレータとしては、自動的に低速高トルクが欲しい状態を自動的に判定されるよりは、自分の判定に基づいて低速高トルクが欲しいときに、スイッチ203を切り替えられるようにする。
このとき、低速‐高トルク特牲に切り替わった場合は、切り替わったことをモニタ202で視覚的に、もしくはブザーなどの音で聴覚的にオペレータに知らせるようにしても良い。
次に、図16を用いて、本発明の他の実施形態による建設機械の構成及び動作について説明する。ここでは、建設機械として、ホイールローダを例にとって説明する。なお、本実施形態による建設機械の主要電動・油圧機器の構成は、図2に示したものと同様である。また、本実施形態による建設機械の電動システムの構成は、図3に示したものと同様である。また、本実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの巻線の構成は、図4に示しものと同様である。さらに、本実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図5に示したものと同様である。
図16は、本発明の他の実施形態による建設機械の全体構成を示すシステム構成図である。
前述の例では、油圧ショベルに本発明を適用していたが、本発明は、油圧ショベル以外の旋回体を有する建設・作業機械全般に対して適用が可能である。例えば、後側フレーム300aに設けた走行用電動モータ301aを使用したホイールローダーについても、本発明を適用することが可能である。
ホイールローダでは、低速で高トルクが必要な場合として、コンバインストール状態の場合がある。ホイールローダを前進させ、バケットを土砂等に突入させると、走行モータ301の回転数は小さくなり、その一方で、必要トルクが大きくなる。このときも、図6にて説明したように、走行モータのパイロット圧Pが判定値Pmin以上で、かつ実速度Nが0に近い速度の判定値Nmin以下の状態が続くので、このとき、コンバインストール状態と判断して、巻線切替信号をONにして自動的に低速‐高トルク特性に切り替える。
以上説明したように、本実施形態によれば、電動アクチュエータに加わる負荷に応じて、二系統の巻線の内の一つに切り替えて、電動アクチュエータの特性を低速‐高トルク特性とすることができ、低速で負荷が大きい場合に、低速‐高トルク特性に切り替えることで、作業の効率をあげることができる。また、必要のないときは低速‐高トルク特性には切り替えないため、インバータや電動モータの寿命への影響も少ない。なお、上述の例では後側フレーム300aに走行用電動モータ301aを設けたホイールローダで説明したが、後側フレーム300aに設けた走行用電動モータ301aに替えて、前側フレーム300bに設けた走行用電動モータ301bとしたホイールローダとしても良い。
次に、図17及び図18を用いて、本発明の各実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータのその他の巻線の構成について説明する。
図17は、本発明の各実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータのその他の巻線の構成図である。図18は、本発明の各実施形態による建設機械の電動システムに用いる旋回用電動モータのその他の回転数トルク特性の説明図である。
図4に示したように、3相同期モータである旋回用電動モータ25の巻線は、スター結線されている。図17は、3相のうちの1相分の巻線を示している。1相分の巻線として、固定子巻線101,102,106を備えている。本実施形態では、旋回用電動モータは、巻線切り替え機能を備えている。
旋回用電動モータの各相の固定子巻線は、第1の巻線101と、第2の巻線102と、第3の巻線106とから構成される。第1の巻線101と第2の巻線102とは直列に接続され、第1の巻線101と第3の巻線106は並列に接続されている。さらに第2の巻線102にはリレー103が並列に接続され、第3の巻線106にはリレー107が直列に接続されている。リレー103にはノーマルクローズ型(B接点)を使用する。リレー107には、ノーマルオープン型を使用する。
図17に示したコントローラ80の巻線切替信号201,201BがOFFの場合はリレー103は導通状態となり、リレー107は非導通状態となるので、第1の巻線101にのみ電流が流れることになる。
この状態の旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図18に符号Aで示す通常特性となり、通常の旋回作業で使用する。通常特性の回転トルク特性では、大きな慣性を有する旋回体を駆動するために、低速域でのトルクを大きくし、ある速度域以降では定出力特性(トルクと速度の積が一定)になるようにトルクを減少させる。低速域でトルクが制限されているのは、過剰な電流が流れて電動モータやインバータが損傷するのを防ぐためである。なお、回転数の制限は、速度の上昇に伴う電動モータの逆起電力の大きさによって決まる。
一方、巻線切替信号201がONの場合はリレー103は非導通状態となり、第1の巻線101と第2の巻線102は直列に接続され、巻線数が増えることになるため、旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図18に符号Bで示す低速‐高トルク特性になる。低速‐高トルク特性では、符号Aで示す通常特性に比べて、低速時のトルクが高トルクとなっている。その一方で、高回転側の回転数は低く抑えられている。
さらに、巻線切替信号201がOFFで、巻線切替信号201BがONの場合はリレー103が導通で、リレー107も導通状態となり、第1の巻線101に第3の巻線106は並列に接続され、巻線数が減ることになるため、旋回用電動モータの回転数トルク特性は、図18に符号Dで示す高速‐低トルク特性になる。符号Dの高速‐低トルク特性では、符号Aで示す通常特性に比べて、更に、高回転が可能となるが、低速時のトルクが低トルクとなっている。
ホイールローダでは、2種類のモータ(走行用の高速型のモータと、作業用の低速高トルクのモータ)を備える場合がある。この場合は二台以上搭載するための車体スペースが必要となる。
それに対して、本実施形態では、一台の電動モータの巻線を切り替えるだけで良いので、車体スペースを節約できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、電動アクチュエータに加わる負荷に応じて、二系統の巻線の内の一つに切り替えて、電動アクチュエータの特性を低速‐高トルク特性とすることができ、低速で負荷が大きい場合に、低速‐高トルク特性に切り替えることで、作業の効率をあげることができる。また、必要のないときは低速‐高トルク特性には切り替えないため、インバータや電動モータの寿命への影響も少ない。
また、一台のモータで兼用でき、車体スペースを節約できる。