JP5789998B2 - 二色性色素、該色素を含む液晶組成物、及び液晶素子 - Google Patents
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Description
液晶素子に用いられる二色性色素としては、アントラキノン系色素とアゾ系色素が知られている。一般的にアントラキノン系色素は、分子構造によりイエローからシアンまで種々の色を得ることができ、耐光性に優れているとされているが、吸光係数が小さく、吸収スペクトルがシャープであるという欠点がある。これに対してアゾ系色素は、一般的に二色比が高くかつ吸光係数が大きい。さらに吸収スペクトルがブロードであるため、他の二色性色素と混色して所望のブラックの液晶組成物を構成する用途において、混色する色素の数をアントラキノン系の色素に比べて少なくでき、かつ添加量が少なくても高コントラスト化が可能であるという利点を有する。
以上に鑑み、本発明の課題は、高いオーダーパラメーター(S値)を保持しつつ、長波長領域に吸収極大波長を有する、新規なアゾ系二色性色素を提供することにある。また本発明の他の課題は、新規なアゾ系二色性色素を用いることにより長波長領域までコントラストの高い表示を実現しうる、ゲストホスト方式の液晶組成物及びこれを含む液晶素子を
提供することにある。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(3)上記(1)又は(2)に記載の二色性色素及び液晶化合物を含有することを特徴とする液晶組成物。
(4)上記(3)に記載の液晶組成物を含む液晶層を有することを特徴とする液晶素子。
以下、本発明の二色性色素について詳細に説明する。
本発明の二色性色素は、下記構造式(I)で表される。
環Arは、チエノチアゾール環、1,4−フェニレン環、又は1,4−ナフチレン環を示す。複数の環Arは同一であっても異なっていてもよい。但し、少なくとも一つの環Arが1,4−フェニレン環である場合、他の環Arの少なくとも一つは1,4−ナフチレン環である。これらはいずれも置換基を有してもよい。
環Arが置換基を有する場合、置換基は特に限定されないが、例えばアルコキシ基、アルキル基等の電子供与性の基、又はシアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基などの電子吸引性の基、が挙げられる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜4であり、より好ましくは炭素数1〜3である。
アルキルスルホニル基としては、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基などの炭素数1〜10のアルキルスルホニル基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜4であり、より好ましくは炭素数1〜3である。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、好ましくはフッ素、塩素、臭素が挙げられる。
2.nについて
nは2以上の整数を示す。nは通常4以下であり、好ましくは2又は3である。nをこの範囲とすることにより、ホスト液晶に対する溶解性を高くでき、また製造を容易なものとすることができる。
3.R1について
R1は一価の置換基を示す(水素原子ではない)。R1は、低極性で分子長を伸張する構造や、液晶分子の部分構造とすることが好ましい。具体的にはR1は、R6−X−で表されることが好ましい。ここでR6はアルキル基又はアルコキシ基を表し、Xは直接結合又は二価の連結基を表す。
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、へキシルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が好ましく、中でも直鎖状のアルコキシ基が更に好ましく、炭素数3〜8の直鎖
状のアルコキシ基が特に好ましい。
Xが二価の連結基である場合、その構造は特に限定されないが、連結基Xが下記式で表される構造を含み且つ式中のアゾ基が構造式(I)の環Arに結合する場合を除く。
R1として好ましくは、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数3〜10、好ましくは炭素数3〜8の直鎖アルキル基;
4−プロピルシクロヘキシル基、4−ブチルシクロヘキシル基、4−ペンチルシクロヘキシル基、4−ヘキシルシクロヘキシル基、4−ヘプチルシクロヘキシル基等の炭素数9〜16、好ましくは炭素数9〜14の4−アルキルシクロヘキシル基;
4−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、4−ヘキシ
ルフェニル基等の炭素数9〜16、好ましくは炭素数9〜14の4−アルキルフェニル基;
4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ペンチルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ヘキシルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)フェニル基等の炭素数15〜22、好ましくは炭素数15〜20の4−(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル基;
4−プロピルオキシシクロヘキシル基、4−ブチルオキシシクロヘキシル基、4−ペンチルオキシシクロヘキシル基、4−ヘキシルオキシシクロヘキシル基、4−ペプチルオキシシクロヘキシル基等の炭素数9〜16、好ましくは炭素数9〜14の4−アルコキシシクロヘキシル基;
4−プロピルオキシフェニル基、4−ブチルオキシフェニル基、4−ペンチルオキシフェニル基、4−ヘキシルオキシフェニル基、4−ヘプチルオキシフェニル基等の炭素数9〜16、好ましくは炭素数9〜14の4−アルコキシフェニル基;
4−(4−プロピルオキシシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ブチルオキシシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ペンチルオキシシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ヘキシルオキシシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ヘプチルオキシシクロヘキシル)フェニル基等の炭素数15〜22、好ましくは炭素数15〜20の4−(4−アルコキシシクロヘキシル)フェニル基;
4−プロピルシクロヘキシルオキシカルボニル基、4−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、4−ペンチルシクロヘキシルオキシカルボニル基、4−ヘキシルシクロヘキシルオキシカルボニル基、4−ヘプチルシクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数10〜17、好ましくは炭素数10〜15の4−アルキルシクロヘキシルオキシカルボニル基;
4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル基、4−(4−ブチルシクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル基、4−(4−ペンチルシクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル基、4−(4−ヘキシルシクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル基、4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル基等の炭素数16〜23、好ましくは炭素数16〜21の4−(4−アルキルシクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル基;
4−プロピルシクロヘキシルオキシメチル基、4−ブチルシクロヘキシルオキシメチル基、4−ペンチルシクロヘキシルオキシメチル基、4−ヘキシルシクロヘキシルオキシメチル基、4−ヘプチルシクロヘキシルオキシメチル基等の炭素数10〜17、好ましくは炭素数10〜15の4−アルキルシクロヘキシルオキシメチル基;
4−プロピルシクロヘキシルカルボニルオキシ基、4−ブチルシクロヘキシルカルボニルオキシ基、4−ペンチルシクロヘキシルカルボニルオキシ基、4−ヘキシルシクロヘキシルカルボニルオキシ基、4−ヘプチルシクロヘキシルカルボニルオキシ基等の炭素数10〜17、好ましくは炭素数10〜15の4−アルキルシクロヘキシルカルボニルオキシ基;
プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基等の炭素数4〜11、好ましくは炭素数4〜9のアルコキシカルボニル基;
4−プロピルシクロヘキシルメチルオキシ基、4−ブチルシクロヘキシルメチルオキシ基、4−ペンチルシクロヘキシルメチルオキシ基、4−ヘキシルシクロヘキシルメチルオキシ基、4−ヘプチルシクロヘキシルメチルオキシ基等の炭素数9〜16、好ましくは炭素数9〜14の4−アルキルシクロヘキシルメチルオキシ基等が挙げられる。
R2及びR5は各々独立して一価の置換基を示す(水素原子ではない)。R2及びR5は本発明の性能を損なわない限りいかなる基でも良いが、具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などの炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜6である。なかでも炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。
R3及びR4は、各々独立して水素原子又は一価の置換基を示す。R3、R4として好ましくは水素原子、又は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等の炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基が挙げられる。より好ましくは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、更に好ましくは炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基である。
本発明の二色性色素は、ホスト液晶への溶解性及び応答速度の点から、分子量は通常3000以下であり、好ましくは1500以下である。また、分子量は450以上が好ましく、550以上がより好ましい。
7.好ましい例
本発明の二色性色素の好ましい一例は、構造式(I)中、少なくとも一つの環Arがチエノチアゾール環であり、nは2又は3である構造である。より好ましくは下記構造式(II)で表されるアゾ系二色性色素である。
また、本発明の二色性色素の好ましい他の例は、下記構造式(III)で表されるアゾ系
二色性色素である。
nが3である。
上記の例の化合物はいずれも、吸収極大波長の長波長化、高オーダーパラメーター、及びホスト液晶への高溶解性の点で好ましい。
以下に、本発明に係わる二色性色素の具体例を例示するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
本発明の二色性色素は、下記式に示す、中間体(IV)と中間体(V)とのアゾカップリ
ング反応により得ることができる。中間体(IV)は公知の方法により合成でき、例えば特開平10−60446に記載の方法に準じて合成できる。中間体(V)は公知の方法によ
り合成でき、例えば本願実施例に記載の方法で合成できる。
本発明の二色性色素の1種又は2種以上を、各種のホスト液晶化合物、又はそれらの化合物を含有するホスト液晶組成物に公知の方法で混合することにより、液晶組成物を調製することができる。具体的には、日本学術振興会第142委員会編「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年発行)の第154〜192頁及び第715〜722頁記載のネマチック或いはスメクチック相を示すビフェニル系、フェニルシクロヘキサン系、フェニルピリミジン系、シクロヘキシルシクロヘキサン系等の各種のホスト液晶化合物、又はそれらの化合物を含有するホスト液晶組成物などが挙げられる。
ホスト液晶化合物としては、例えば、下記構造式(VIII)〜(XII)で表されるNp型液晶化合物やNn型液晶化合物が挙げられる。
はピリミジン環を示し、qは1〜3の整数を示す。Zは、単結合、−CO−O−、−CH2CH2−、−CH=CH−、又は−C≡C−を示す。Y1及びY3は各々独立して、水素原子、又はフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を示し、Y2はフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を置換基として有する炭素数1〜7のアルキル基、同じくアルケニル基、同じくアルコキシ基、これらの置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルコキシ基を置換基として有するシクロヘキシル基、又はこれらの置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルコキシ基を置換基として有するフェニル基を示す。Y7及びY8は各々独立して、シアノ基、又はフッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を示す。Y11及びY13はシアノ基を示す。Y4、Y5、Y6、Y9、Y10、Y12、及びY14は各々独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は炭素数2〜10のアルコキシアルキル基を示す。〕
尚、本発明の液晶組成物としては、本発明の前記二色性色素以外の二色性色素、及び、コレステリルノナノエート等の、液晶相を示しても示さなくてもよい光学活性物質や、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。
本発明の二色性色素又はこれを含有する液晶組成物は、クロロホルム中での吸収極大波長が、好ましくは630nm以上、より好ましくは650nm以上、さらに好ましくは680nm以上、最も好ましくは690nm以上であり、長波長領域に吸収極大波長を有する。
尚、色素のオーダーパラメーター(S値)は、分光学的な測定に基づき、前述の日本学術振興会第142委員会編「液晶デバイスハンドブック」に記載の次式から求めることができる。
ここで、「A//」及び「A⊥」は、それぞれ、液晶の配向方向に対して平行及び垂直に偏光した光に対する色素の吸光度であり、S値は、理論上は0〜1の範囲の値をとり、その値が1に近づく程、ゲストホスト型液晶素子としてのコントラストが向上することとなる。
本発明の二色性色素を含有する液晶組成物を含む液晶層を、少なくとも一方が透明な2枚の電極付基板間に挟持することにより、液晶素子とすることができる。液晶素子としては種々の種類があり、本発明の二色性色素の適用範囲は特に限定されないが、例えば、松本正一、角田市良著「液晶の最新技術」(工業調査会、1983年発行)第34頁、J.L.Fergason,SID85Digest,68(1985)、日本学術振興会第
142委員会編「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989発行)第315〜329頁、等に記載されているHeilmeier型ゲストホスト、相転移型ゲストホスト等のゲストホスト効果を利用したものが挙げられる。
本発明の液晶素子の一例として、図1及び図2にアクティブ駆動方式の相転移モードゲストホスト型液晶表示素子の略示的断面図を示す。図1は液晶表示素子の電圧印加状態を表し、図2は電圧無印加状態を表す。図中、1は入射光、3は透明ガラス板、4は透明電極、5は配向膜、6は液晶化合物分子、7は二色性色素分子、9は反射層、10は反射光を示す。
〔二色性色素の合成〕
<中間体M04の合成>
でヨウ化メチル(6.99g、49.3mmol、2.5MR)を滴下し、室温にて4時間攪拌した。その後、再度60%水素化ナトリウム(760mg、19.7mmol、1.0MR)及びヨウ化メチル(2.80g、19.7mmol、1.0MR)を添加し、さらに12時間攪拌した。反応液を冷水(50ml)にゆっくりと滴下してクエンチし、酢酸エチル(60ml)にて抽出後、さらに水(30ml)にて2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過して得られた有機層を濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(吸着法、シリカゲル60N関東科学200ml、ヘキサン/酢酸エチル=20/1〜15/1)で精製して、中間体M04(2.01g、収率36%)を得た。
<化合物1の合成>
得られた中間体M08(2.36g、3.5mmol)をN−メチルピロリドン:N,N−ジメチルホルムアミド=5:1(150ml)に希釈し、5℃以下に保持し、ここに35%塩酸(0.989g、9.45mmol)及び亜硝酸ナトリウム(253mg、3.6mmol)水溶液を順次滴下した。3.5時間攪拌後、この反応液を、5℃以下を保った中間体M04(989mg、3.5mmol)のメタノール(20ml)溶液に滴下し、室温に戻してさらに1時間攪拌した。これに酢酸ナトリウム(5g)の水溶液を添加して30分攪拌し、反応液をろ過して黒色の固体として化合物1の粗体16.95gを取得した。この粗体をカラムクロマトグラフィー(吸着法、シリカゲル60N関東科学350ml、ヘキサン/クロロホルム=3/2〜1/1)で精製し、さらにクロロホルム−へキサンにて再沈殿し、トルエンにて懸洗した。さらにこの結晶を酢酸エチルにて懸洗し、化合物1(30mg、LC純度96%)を得た。質量分析(MALDI−MS)により、化合物1の水素付加分子イオンを確認した。
<化合物2の合成>
得られた中間体M09(1.50g、4.74mmol)に酢酸/プロピオン酸=17/8(60ml)を加え寒剤冷却し、ここに亜硝酸ナトリウム(425mg、6.16mmol)の98%硫酸(7.1ml)溶液を滴下した。30分攪拌しジアゾ液を得た。別容器で中間体M04(1.33g、4.74mmol)及び酢酸ナトリウム(10.7g、24mmol)のTHF/メタノール=1/1(15ml)溶液を氷冷し、これにジアゾ液を滴下した。30分攪拌後、室温に昇温し、水(50ml)を添加し、析出した固体を吸引濾過した。得られたケーキをメタノール及び水でかけ洗浄して、得られた粉末をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(吸着法、シリカゲル60N関東科学100ml、n−へキサン/クロロホルム=1/2〜0/1)で精製し、得られた粉末をTHF(10ml)及び酢酸エチル(30ml)にて再沈殿精製し、ろ過して得られた個体を乾燥し、化合物2(170mg、収率5%)を得た。質量分析(MALDI−MS)により、化合物2の水素付加分子イオンを確認した。
<化合物3の合成>
〔比較例2〕
<化合物4の合成>
〔二色性色素のλmax及びオーダーパラメーター(S値)の評価〕
100mlのメスフラスコに、化合物1〜4をそれぞれ1mg精密天秤で秤量し、クロロホルムを注ぎ1mg/100mlとなるよう調製後、色素を完全に溶解させた。この溶液を光路長1cmの石英セルに入れ、クロロホルムをリファレンスとして、分光光度計U4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用い、380nm〜780nmの吸光度を測定した。それぞれの吸収極大波長の値をλmax(CHCl3)として表1に示した。併せて参考例1、2として、二色性色素である化合物5及び化合物6のλmax(CHCl3)を表1に示す。
これらの結果を表1にS値及びλmax(液晶)として示した。
** 化合物6の吸収極大波長λmax(CHCl3)は特開平1−146960に記載のクロロホルム中での測定結果である。
表1から、本発明の構造式(I)で表されるアゾ系色素化合物1、2(実施例1、2)は、いずれもクロロホルム中での吸収極大波長が650nm以上であって、比較例1、2及び参考例1、2に比べて著しく長波長化が実現されていることがわかる。そして、化合物1、2を含む液晶組成物は吸収極大波長λmax(液晶)が650nm以上であり、かつ0.75以上という高いオーダーパラメーターを示しており、長波長化と高コントラストの両立を実現できることがわかる。
以上の結果から、本発明に係わる構造式(I)で表されるアゾ系二色性色素化合物は長波長領域の吸収極大波長と高オーダーパラメーターを両立する化合物であり、また本化合物を用いた液晶組成物及びこれを含む液晶素子は、無彩色であり長波長領域までコントラストの高い表示を実現することが裏付けられた。
3;透明ガラス基板
4;透明電極
5;配向膜
6;液晶化合物分子
7;二色性色素分子
9;反射層
10;反射光
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