JP5788672B2 - 放射線硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ被覆材、特に光ファイバのプライマリ材として好適な特性を有する液状硬化性樹脂組成物に関する。
光ファイバは、ガラスを熱溶融紡糸して得たガラスファイバに、保護補強を目的として樹脂を被覆して製造されている。この樹脂被覆としては、光ファイバの表面にまず柔軟な第一次の被覆層(以下、「第一次被覆層」ともいう。)を設け、その外側に剛性の高い第二次の被覆層(以下、「第二次被覆層」ともいう。)を設けた構造が知られている。1本のガラスファイバに第一次被覆層及び第二次被覆層を設けた構造を有する光ファイバを通常、光ファイバ素線というが、光ファイバ素線は、第二次被覆層の外側にさらに着色されたインキ層やアップジャケット層を有していてもよい。さらに、これらの樹脂被覆を施された複数の光ファイバ素線を結束材料で固めたテープ状光ファイバや光ファイバケーブルもよく知られている。
光ファイバ素線の第一次の被覆層を形成するための樹脂組成物をプライマリ材、第二次の被覆層を形成するための樹脂組成物をセカンダリ材、複数の光ファイバ素線の結束材料として用いられる樹脂組成物をバンドリング材と称している。また、複数のテープ状光ファイバや光ファイバケーブルをさらに結束材料でまとめる場合もあり、このとき用いられる結束材料もバンドリング材と称している。これらの樹脂被覆方法としては、液状硬化性樹脂組成物を塗布し、熱又は光、特に紫外線により硬化させる方法が広く用いられている。
これらの被覆材のうち、プライマリ材においては硬化物が柔軟であることが必要であり、第一次被覆層は、通常、1〜10MPaのヤング率を有している。さらにプライマリ材には、ガラスファイバに対する一次被覆であることから、樹脂液の安定性及び硬化物の耐水性に優れていることの他に、高速塗布性に優れている必要性から、特に安定した粘度特性が要求されている。このようなプライマリ材に有用な液状硬化性樹脂組成物としては、ガソリン等の有機溶剤中での膨潤性の低い脂肪族ウレタンオリゴマーを有する組成物(特許文献1)、脂肪族ウレタンオリゴマー及び炭化水素モノマーを含有する組成物(特許文献2)、特定のシランカップリング剤を配合した組成物(特許文献3)等が知られている。また、直鎖状アルキル基を有するアクリレートモノマーを採用することにより高速塗布性に優れた光ファイバのプライマリ材用液状硬化性樹脂組成物も知られている(特許文献4)。
セカンダリ材においては硬化物が剛直であることが必要であり、第二次被覆層は、通常、100〜1,000MPaのヤング率を有している。
光ファイバ素線の側面に局所的に圧力がかかった場合、その部分のガラスファイバのコアが小さな曲率で曲げを生じる結果、光損失を生じることが知られており、このような曲げを生じる現象をマイクロベンディング、マイクロベンディングによる光損失をマイクロベンディング・ロスと称している。マイクロベンディングを防止する目的で、低ヤング率の緩衝層(アップジャケット層)を設ける技術(特許文献5)や低ヤング率の一次被覆層と高ヤング率の二次被覆層を組み合わせる技術(特許文献6、7)などが知られている。特許文献6および7は、ウレタンアクリレート及びアクリレートモノマーを配合し、ヤング率が1.3MPa以下の硬化物を与えるプライマリ材を開示している。
特開平5−306146号公報 特開平5−306147号公報 特開2001−130929号公報 特開2005−263946号公報 特開平5−281431号公報 特表2006−528374号公報 米国特許出願公開公報第2003/0123839号
しかし、従来のプライマリ材は、マイクロベンディングを防止するために十分な柔軟性に不足している場合が多く、柔軟性は十分な場合であっても破断伸びや破断強度で表される機械的強度の面では十分ではなく、柔軟性(低ヤング率)と機械強度を両立できていなかった。
従って、本発明の目的は、光ファイバ素線のプライマリ材として好適な柔軟性(低ヤング率)と、高い機械強度(破断伸び、破断強度)を有する液状硬化性樹脂組成物を提供することにある。本発明のプライマリ材は、光ファイバ素線のマイクロベンディングを防止し、マイクロベンディング・ロスを低減するために有効である。
本発明者らは、前記特性を有する組成物を得るべく種々検討した結果、特定の製造方法により製造したウレタンオリゴマーと、エチレン性不飽和基を1個有する化合物を組み合わせた放射線硬化性組成物を用いて、これらの課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートと1価アルコールとの反応物を含むウレタンオリゴマー、又は脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンオリゴマーを50〜90質量%、(B)エチレン性不飽和基を1個有するモノマーを5〜45質量%含有し、かつ、(C)エチレン性不飽和基を2個以上有するモノマーの含有量が2質量%以下である光ファイバ第一次被覆層形成用の放射線硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、該放射線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる光ファイバ第一次被覆層、及び該第一次被覆層の外側に接して、ヤング率が1000MPa以上の光ファイバ第二次被覆層を有する、光ファイバ素線を提供するものである。
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、高速硬化性と高速塗布性に好適な組成物粘度を有している。また、プライマリ材として好適な柔軟性(低ヤング率)と、高い機械強度(破断伸び、破断強度)を有している。従って、本発明の組成物は、光ファイバ被覆材、特にプライマリ材として有用である。
[液状樹脂組成物]
本発明の液状硬化性樹脂組成物に用いられる成分(A)は、脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートと1価アルコールとの反応物を含むウレタンオリゴマー、又は脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンオリゴマーである。なお、本願明細書においてウレタンオリゴマーとは、ウレタン結合を有するオリゴマーであって、エチレン性不飽和基を有するウレタンオリゴマーであるウレタン(メタ)アクリレートやエチレン性不飽和基を有しないウレタンオリゴマーを包含する概念である。
成分(A)である脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンオリゴマーは、好ましくは、以下の成分(A3)を含んでおり、さらに好ましくは、以下の成分(A1)、(A2)および(A3)を含んでいる。成分(A1)〜(A3)は、上述した成分(A)の重合方法により混合物として合成することもできるし、別々に合成して混合することもできる。
成分(A1)は、ポリエーテルジオールに由来する構造単位を平均1.0個より多く有し、(メタ)アクリロイル基を2個有するウレタン(メタ)アクリレートであり、好ましくは、下記式(1)で表される構造を有している。
A−(ICN−POL)n−ICN−A (1)
成分(A2)は、ポリエーテルジオールに由来する構造単位を平均1.0個より多く有し、(メタ)アクリロイル基を1個有するウレタン(メタ)アクリレートであり、好ましくは、下記式(2)で表される構造を有している。
A−(ICN−POL)n−ICN−R1 (2)
成分(A3)は、ポリエーテルジオールに由来する構造単位を平均1.0個より多く有し、(メタ)アクリロイル基を有しないウレタンオリゴマーであり、好ましくは、下記式(3)で表される構造を有している。
2−(ICN−POL)n−ICN−R2 (3)
[上記式(1)〜(3)において、Aは、(メタ)アクリロイル基を有する有機基であり、好ましくは、水酸基含有(メタ)アクリレートに由来する基である。ICNは、ジイソシアネートに由来する構造単位であり、POLは、ポリエーテルジオールに由来する構造単位であり、R1及びR2は、(メタ)アクリロイル基を有しない有機基であり、nは、1.0より多い数であり、好ましくは1.1〜3.0であり、さらに好ましくは1.3〜2.5であり、特に好ましくは1.5〜2.0である。式(1)〜(3)のPOL、ICNおよびnの値はそれぞれ独立である。式(3)に複数存在するR2は、それぞれ独立である。「−」で示される結合はウレタン結合である。]
式(1)〜(3)のR1は、好ましくは、1価アルコール又はシランカップリング剤に由来する基であり、R2は、好ましくは、1価アルコールに由来する基である。
成分(A)である脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートと1価アルコールとの反応物を含むウレタンオリゴマーは、エチレン性不飽和基を有しないウレタンオリゴマーであって、好ましくは、前記式(3)で表されるウレタンオリゴマーである。
成分(A1)は、(メタ)アクリロイル基を2個有すため硬化物中で架橋構造を形成し、硬化物の機械強度を向上させることができる。成分(A2)は、(メタ)アクリロイル基を1個有するため、硬化物中で架橋構造は形成しないが樹脂マトリックスに結合しており、硬化物に柔軟性を付与することができる。また、式(2)のR1がシランカップリング剤に由来する構造単位である成分(A2)を含むことにより、硬化物のガラス密着性が改善される。成分(A3)は、(メタ)アクリロイル基を有しないため、硬化物中で共有結合を形成しておらず、硬化物に柔軟性を付与する上で特に有効である。
成分(A)のウレタンオリゴマーの合成で用いられるジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネートとして、例えば、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,5−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとして、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
このうち経済性及び安定した品質の組成物が得られる点から、芳香族ジイソシアネートがより好ましく、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートが特に好ましい。これらのジイソシアネートは単独で用いても、2種以上併用しても良い。
成分(A)のウレタンオリゴマーの製造に用いられるジオールとしては、特に限定されないが、脂肪族ポリエーテルジオールが好ましく、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール及び二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られる脂肪族ポリエーテルジオールなどが好ましい。
上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステルなどの環状エーテル類が挙げられる。
二種以上の上記イオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルジオールの具体例としては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドなどの組み合わせより得られる二元共重合体;テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシド及びエチレンオキシドの組み合わせより得られる三元重合体などを挙げることができる。
また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミンなどの環状イミン類;β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチドなどの環状ラクトン酸;あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルジオールを使用することもできる。
上記脂肪族ポリエーテルジオールは、例えばPTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学社製)、PPG400、PPG1000、EXCENOL720、1020、2020(以上、旭オーリン社製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂社製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土谷化学工業社製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B、EO/BO4000、EO/BO2000(以上、第一工業製薬社製)、Acclaim 2200、2220、3201、3205、4200、4220、8200、12000(以上、住友バイエルウレタン社製)等の市販品としても入手することができる。
これらの脂肪族ポリエーテルジオールのうち、1種又は2種以上の炭素数2〜4のイオン重合性環状化合物の開環重合体であって、平均分子量1000〜5000のジオールを用いるのが、樹脂液の高速塗布性と被覆材の柔軟性の両立の点から好ましい。このような好ましいジオール化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド及びイソブテンオキシドから選ばれる1種又は2種以上のオキシドの開環重合体であって、平均分子量1000〜4000のものが挙げられる。特に平均分子量1000〜3000のプロピレンオキシドの開環重合体が好ましい。
成分(A)のウレタンオリゴマーの合成で用いられる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、水酸基が第一級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第一水酸基含有(メタ)アクリレートという)、及び水酸基が第二級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第二水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いることが好ましい。水酸基が第三級炭素原子に結合した水酸基含有(メタ)アクリレート(第三水酸基含有(メタ)アクリレートという)はイソシアネート基との反応性に劣るため好ましくない。
第一水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
第二水酸基含有(メタ)アクリレートとして、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物も挙げられる。
成分(A)のウレタンオリゴマーの合成で用いられる一価アルコールとしては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール又はブタノールが好ましく用いられる。
成分(A)のウレタンオリゴマーの合成で用いられるシランカップリング剤としては、特に限定されないが、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。
成分(A)である脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートと一価アルコールとの反応物を含むウレタンオリゴマーの合成は、脂肪族ポリエーテルジオールの水酸基とジイソシアネートとを反応させた後、一価アルコールを反応させて行うことが好ましい。このような反応により、好ましくは、前記式(3)で表される両末端が一価アルコールで封止されたウレタンオリゴマーが得られる。
また、同じく成分(A)である脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンオリゴマーは、好ましくは、脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレート及びシランカップリング剤を反応させて得られるウレタンオリゴマーであることが好ましい。このような合成法により得られたウレタンオリゴマーは、好ましくは、式(3)で表される両末端が一価アルコールで封止されたウレタンオリゴマーを含んでいる。さらに好ましくは、式(3)で表されるウレタンオリゴマーに加えて、式(2)のR1がシランカップリング剤由来であるウレタン(メタ)アクリレート、式(2)のR1が一価アルコール由来であるウレタン(メタ)アクリレート及び式(1)で表されるウレタン(メタ)アクリレートを含んでいる。
成分(A)のウレタンオリゴマーを合成するときの脂肪族ポリエーテルジオール、ジイソシアネート、水酸基含有(メタ)アクリレート、シランカップリング剤及び一価アルコールの使用割合は、ポリオールに含まれる水酸基1当量に対してジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1.1〜3当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.2〜1.5当量、シランカップリング剤の反応部位が0.01〜0.2当量、一価アルコールの水酸基が0.01〜1当量となるようにするのが好ましい。このような比率で反応させることにより、前記式(1)、(2)および(3)で表されるウレタンオリゴマーの混合物を得ることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成において、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等から選ばれるウレタン化触媒を、反応物の総量に対して0.01〜1質量%を用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常5〜90℃、特に10〜80℃で行うのが好ましい。
ウレタンオリゴマー(A)は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、50〜90質量%、さらに35〜85質量%、特に50〜83質量%配合することが好ましい。50質量%未満では硬化物の柔軟性と機械強度がいずれも低下する場合があり、90質量%を超えると液状硬化性樹脂組成物の粘度が高くなることがある。
成分(A3)は、成分(A)の全量100質量%に1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましく、1〜5質量%であることが特に好ましい。
成分(A)中に占める成分(A3)の割合は、成分(A3)を含む硬化膜をテトラヒドロフラン(THF)に浸漬した場合に抽出される成分を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで定量化することにより求めることができる。具体的には、成分(A3)を含む硬化膜aからのTHF抽出物の量と、成分(A3)を実質的に含まない硬化膜bからのTHF抽出物の量との差異を、成分(A3)の量とする。硬化膜aと硬化膜bは、成分(A)以外は同一組成の組成物を同一条件で硬化して作製する。
成分(A3)の検量線は、成分(A)として既知量の成分(A3)のみを含む組成物から作製した硬化膜からのTHF抽出物を標準品として作成することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの詳細条件は、実施例に記載した方法に従う。このような方法により成分(A3)の量を測定できるのは、前記式(3)で表される両末端が一価アルコールで封止されたウレタンオリゴマーは、前記式(1)や式(2)で表されるウレタンオリゴマーと異なり、(メタ)アクリロイル基を有しないため、硬化膜からTHF中に抽出されると考えられるためである。
成分(A1)、(A2)、(A3)は、それぞれ成分(A)の全量100質量%に対して、成分(A1)が30〜60質量%、成分(A2)が30〜60質量%、成分(A3)が1〜20質量%であることが好ましく、成分(A1)が40〜50質量%、成分(A2)が40〜50質量%、成分(A3)が1〜10質量%であることがさらに好ましい。
本発明の組成物に用いられる成分(B)は、成分(A)以外のエチレン性不飽和基を1個有する化合物であり、典型的にはエチレン性不飽和基を1個有するモノマーである。成分(B)の具体例としては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。 これらの(B)成分の中では、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタムが硬化速度の向上の観点から好ましい。
また、上記の成分(B)の市販品として、アロニックスM−111、M−113、M−114、M−117(以上、東亞合成社製);KAYARAD、TC110S、R629、R644(以上、日本化薬社製);IBXA、ビスコート3700(大阪有機化学工業社製)等が挙げられる。
成分(B)は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、5〜45質量%、特に10〜30質量%配合するのが好ましい。
本発明の放射線硬化性樹脂組成物には、成分(C)として、成分(A)以外のエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物を配合することができる。成分(C)は、典型的にはエチレン性不飽和基を2個以上有するモノマーである。成分(C)の具体例としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加体のジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。また、市販品としては、例えばユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学社製);ビスコート700(大阪有機化学工業社製);KAYARAD R−604、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬社製);アロニックスM−210、M−215、M−315、M−325(以上、東亞合成社製)等が挙げられる。
成分(C)は、硬化物中の架橋密度を高くする効果を有するため、硬化物の機械強度を向上させることができる。しかし、成分(C)を過剰に配合すると硬化物のヤング率が過大となってプライマリ材として不適となる場合がある。このため、成分(C)の配合量は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、2質量%以下(0〜2質量%)、特に1.5質量%以下(0〜1.5質量%)にするのが好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物に用いる重合開始剤(D)としては、熱重合開始剤又は光重合開始剤を用いることができる。
本発明の樹脂組成物を熱硬化させる場合には、通常、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤が用いることができる。具体的には、例えばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物を光硬化させる場合には、光重合開始剤を用い、必要に応じて、さらに光増感剤を添加することができる。ここで、光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド;IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、DAROCUR1116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);LUCIRIN TPO(BASF社製);ユベクリルP36(UCB社製)等が挙げられる。また、光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル;ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
重合開始剤(D)は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、0.1〜10質量%、特に0.3〜7質量%配合するのが好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、発明の効果を阻害しない範囲内でシランカップリング剤(E)を配合することもできる。成分(E)としては、特に限定されず、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。また、ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド等を用いることもできる。その市販品としては、SH6062、SZ6030(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)、KBE903、603、403(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、被覆とガラスとの密着力の観点から、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらのシランカップリング剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
シランカップリング剤(E)は、本発明の液状硬化性樹脂組成物全量100質量%に対して、被覆とガラスとの密着力の維持の点から0.01〜2質量%、さらに0.1〜1.5質量%、特に0.5〜1.5質量%配合するのが好ましい。
また、上記成分以外に各種添加剤、例えば酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を必要に応じて配合することができる。
ここで、酸化防止剤としては、例えばIRGANOX1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ANTIGENE P、3C、Sumilizer GA−80、GP(住友化学工業社製)等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えばTINUVIN P、234、320、326、327、328、329、213(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Seesorb102、103、501、202、712、704(以上、シプロ化成社製)等が挙げられる。光安定剤としては、例えばTINUVIN 292、144、622LD、サノールLS−770、765(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、TM−061(住友化学工業社製)等が挙げられる。
また、界面活性剤としては、特に限定されないが、脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤が、光ファイバ素線を温水に浸漬した場合の欠損発生を効果的に抑制するため好ましく、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
本発明の組成物には、必要に応じて本発明の液状硬化性樹脂組成物の特性を損なわない範囲で他のオリゴマー、ポリマー、その他の添加剤等を配合することができる。
他のオリゴマー、ポリマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアミド(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシロキサンポリマー、グリシジルメタアクリレート等が挙げられる。
なお、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、熱及び/又は放射線によって硬化されるが、ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等であり、特に紫外線が好ましい。
本発明の液状硬化性樹脂組成物の粘度は、ハンドリング性、塗布性の点から25℃において0.1〜10Pa・s、さらに1〜8Pa・sが好ましい。
本発明組成物の硬化物は、低いヤング率を有するので光ファイバのプライマリ材として有用である。ここで、当該硬化物のヤング率は25℃において0.1〜0.9MPaであることが好ましく、0.3〜0.85MPaであることがさらに好ましい。硬化物のヤング率が上記範囲であることにより、マイクロベンディングを効果的に防止することができる。
本発明組成物の硬化物は、機械的強度においても優れている。当該硬化物の破断強度は、0.9〜10MPaであることが好ましく、1.4〜10MPaであることがさらに好ましく、2.0〜10MPaであることが特に好ましい。また、当該硬化物の破断伸びは、130〜250%であることが好ましく、150〜220%であることがさらに好ましく、180〜210%であることが特に好ましい。
本発明組成物を用いて形成した第一次被覆層を有する光ファイバ素線は、第一次被覆層の外側に接して、ヤング率が1,000MPa以上、好ましくは1,000〜2,000MPaである第二次被覆層を有することが好ましい。光ファイバ素線が上記構造を有することにより、より効果的にマイクロベンディングを防止することができる。光ファイバ素線は、公知の方法で製造することができるが、一般的には、溶融した石英母材を熱溶融して線引きしつつ、プライマリ材およびセカンダリ材を塗布し、放射線硬化して第一次被覆層及び第二次被覆層を形成することにより製造される。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、配合量は、特に記さない限り、質量部である。
合成例1 ウレタンオリゴマー(UA−1)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール889.82g、2,4−トリレンジイソシアネート76.27g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール2.02gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.08質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.53g、2−ヒドロキシエチルアクリレート26.31g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加して2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUA−1とする。UA−1は、下記式(4)〜(7)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)1.8−HEA (4)
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)1.8−Me (5)
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)1.8−Sil (6)
Me−TDI−(PPG3000−TDI)1.8−Me (7)
[式(4)〜(7)中、PPG3000は、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコールに由来する構造単位であり、TDIは、2,4−トリレンジイソシアネートに由来する構造単位であり、 HEAは、2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構造単位であり、Silは、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランに由来する構造単位であり、Meは、メタノールに由来する構造単位である。結合手「−」は、全てウレタン結合である。]
合成例2 ウレタンオリゴマー(UA−2)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール888.18g、2,4−トリレンジイソシアネート76.13g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール2.02gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.08質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン9.07g、2−ヒドロキシエチルアクリレート23.56g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加して2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUA−2とする。UA−2は、上記式(4)〜(7)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。
合成例3 ウレタンオリゴマー(UA−3)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール889.9g、2,4−トリレンジイソシアネート76.28g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール2.08gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.08質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.65g、2−ヒドロキシエチルアクリレート26.05g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加して2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUA−3とする。UA−3は、上記式(4)〜(7)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。
合成例4 ウレタンオリゴマー(UA−4)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール889.98g、2,4−トリレンジイソシアネート76.29g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール2.13gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.07質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.77g、2−ヒドロキシエチルアクリレート25.79g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加して2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUA−4とする。UA−4は、上記式(4)〜(7)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。
合成例5 ウレタンオリゴマー(UA−5)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール890.26g、2,4−トリレンジイソシアネート76.31g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール2.31gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.04質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン5.18g、2−ヒドロキシエチルアクリレート24.89g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加して2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUA−5とする。UA−5は、上記式(4)〜(7)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。
合成例6 ウレタンオリゴマー(UA−6)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール910.65g、2,4−トリレンジイソシアネート78.06g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール10.26gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUA−6とする。UA−6は、上記式(7)で表されるウレタンオリゴマーである。
合成例7 ウレタンオリゴマー(UA−7)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール(旭硝子社製 EXCENOL3020)83.972部、トリレンジイソシアネート7.196部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.023部、アクリル酸イソボルニル5.877部を仕込み、これらを撹拌しながら液温度を25℃とした。この際のポリプロピレングリコールとトリレンジイソシアネートのモル比は1:1.48である。ジブチル錫ジラウレート0.0375部を添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて45℃まで徐々に上げた。その後、液温度を50℃に上げて反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.15重量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メチルアルコール0.162部を添加し、液温度50℃にて攪拌し、反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.93重量%(仕込量に対する割合)以下となった後、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.243部、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.452部、ジブチル錫ジラウレート0.0375部を添加し、液温度65℃にて攪拌し、反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05重量%(仕込量に対する割合)以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUA−7とする。UA−7は、上記式(4)〜(7)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。
比較合成例1 ウレタンオリゴマー(UX−1)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール878.82g、2,4−トリレンジイソシアネート79.08g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.48質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.90g、2−ヒドロキシエチルアクリレート36.16g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加して、液温度60℃にて2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUX−1とする。UX−1は、下記式(8)及び(9)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)1.7−HEA (8)
HEA−TDI−(PPG3000−TDI)1.7−Sil (9)
[式(8)及び(9)中、PPG3000、TDI、HEA及びSilは、式(4)〜(7)と同様である。]
比較合成例2 ウレタンオリゴマー(UX−2)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール888.73g、2,4−トリレンジイソシアネート77.04g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.37質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン4.58g、2−ヒドロキシエチルアクリレート26.57g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加して、液温度60℃にて1時間反応させた。その後、メタノール2.04gを添加し、1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUX−2とする。UX−2は、前記式(4)〜(6)で表されるウレタンオリゴマーを主成分とする混合物である。UX−2は、前記式(7)で表されるウレタンオリゴマーを実質的に含んでいない。
比較合成例3 ウレタンオリゴマー(UX−3)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が1000のポリプロピレングリコール(旭硝子社製 EXCENOL1020)28.087部、数平均分子量が10000のポリプロピレングリコール(旭硝子社製 PREMINOL S 4011)1.545部、トリレンジイソシアネート29.153部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.022部、アクリル酸イソボルニル8.189部を仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃となるまで冷却した。液を冷却したまま、ジブチル錫ジラウレート0.0365部を添加した。その後、液を冷却し15℃にて、2−ヒドロキシプロピルアクリレート5.070部添加し、温度上昇が止まった時点で液温度を35℃まで上げて反応させた。残留イソシアネート基濃度が13.94重量%(仕込量に対する割合)となった後、ジブチル錫ジラウレート0.0365部を添加した。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート27.861部を液温度が70℃を超えないように徐々に添加した。2−ヒドロキシエチルアクリレート添加終了後、液温度70℃にて攪拌し、反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.1重量%(仕込量に対する割合)以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUX−3とする。
比較合成例4 ウレタンオリゴマー(UX−4)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が10000のポリプロピレングリコール60.9部、イソホロンジイソシアネート2.7部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.016部を仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃となるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.52部を添加した後、攪拌しながら液温度を1時間かけて35℃まで徐々に上げた。その後、液温度を50℃に上げて反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.80質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.80部を添加し、液温度約60℃にて撹拌し、反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUX−4とする。
比較合成例5 ウレタンオリゴマー(UX−5)の合成:
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量が3000のポリプロピレングリコール888.18g、2,4−トリレンジイソシアネート76.13g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.24gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が25℃になるまで加温した。ジブチル錫ジラウレート0.4gを添加した後、攪拌しながら液温度を30分かけて50℃まで徐々に上げた。その後1時間攪拌し、残留イソシアネート基濃度が1.36質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン9.07g、2−ヒドロキシエチルアクリレート23.56g、ジブチル錫ジラウレート0.399gを添加し、液温度60℃にて1時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が1.08質量%(仕込量に対する割合)以下となった後、メタノール2.02gを添加して2時間反応させた。残留イソシアネート基濃度が0.05質量%以下になった時を反応終了とした。得られたウレタンオリゴマーをUX−5とする。
UX−5の合成方法は、合成例2においてメタノールとγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルアクリレートの添加順序を変更した合成方法に該当する。
UX−5は、前記式(7)で表されるウレタンオリゴマーを実質的に含んでいない。
調製例1 セカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物の調製:
撹拌機を備えた反応容器に、比較合成例3で得られたウレタンオリゴマーUX−3を55.0g、比較合成例4で得られたウレタンオリゴマーUX−4を1.0g、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学製 IBXA)を5.0g、トリプロピレングリコールジアクリレート(日本化薬製 TPGDA)を26.0g、ビスフェノールA型エポキシジアクリレート(サートマー製 CN−120Z)を14.0g、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャルティケミカル製 Irgacure184)を0.50g、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF製 LUCIRIN TPO)を0.70gを入れ、均一な溶液になるまで液温度50度で撹拌してセカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1〜8、比較例1〜2
表1に示す組成の液状硬化性樹脂組成物を製造し、下記の方法に従い、物性値を評価した。
[評価方法]
(1)粘度:
実施例及び比較例で得られた組成物の25℃における粘度を、粘度計B8H−BII(トキメック社製)で測定した。
(2)ヤング率:
実施例及び比較例で得られた組成物の硬化後のヤング率を測定した。354μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。この硬化フィルムから延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度25℃、湿度50%の条件下で引張り試験機AGS−1KND(島津製作所社製)を用い、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/minで、2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。
(3)硬化速度:
実施例及び比較例で得られた組成物の硬化速度を測定した。200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で20mJ/cm2及び1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルム二種類を得た。この硬化フィルム二種類から、それぞれ延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度23℃、湿度50%にて、引張り試験機AGS−1KND(島津製作所社製)を用い、JIS K7127に準拠して引張試験を行った。引張速度は1mm/minで、2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。20mJ/cm2で硬化させた試験用フィルムのヤング率と500mJ/cm2で硬化させた試験用フィルムのヤング率の比を下記式より算出して、組成物の硬化速度を評価した。
硬化速度(%)=Y200/Y1000
[上記式中、Y200は、200mJ/cm2で硬化させたフィルムのヤング率であり、
1000は、1J/cm2で硬化させたフィルムのヤング率である。]
(4)破断強度および破断伸び:
200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これに空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。引張試験器(島津製作所社製、AGS−50G)を用い、試験片の破断強度および破断伸びを下記測定条件にて測定した。
引張速度 :50mm/分
標線間距離(測定距離):25mm
測定温度 :23℃
相対湿度 :50%
(5)ガラス密着力:
実施例及び比較例で得られた組成物のガラス密着力を測定した。354ミクロン厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射し硬化させ試験用フィルムを得た。この硬化フィルムから延伸部が幅10mm、長さ50mmとなるように短冊状サンプルを作成した。温度23℃、湿度50%下で7日間静置後に、同温度・湿度条件下で引っ張り試験機AGS−1KND(島津製作所株式会社製)を用いてガラス密着力試験を行った。引張速度は50mm/minで30秒後の抗張力からガラス密着力を求めた。
(6)ゲル分率:
200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これに空気中で1J/cm2のエネルギーの紫外線を照射して硬化させ、試験用フィルムを得た。硬化後、シートを温度23℃,湿度50%の恒温恒湿器内で24時間静置した。その後硬化物1.5gを切り取り円筒ろ紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いて温度80℃で12時間抽出した。抽出後、試料をろ紙ごと取り出し温度60℃・圧力1.34kPa以下で6時間真空乾燥を行った。試料をろ紙から取り出し重量を測定した。次式によりゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)=W1/W0×100
[上記式中、W0は、抽出前の試料の重量であり、W1は、抽出後の試料の重量である。]
(7)成分(A3)量の測定:
実施例2に記載の組成物を用いて、ヤング率測定の場合と同様の方法で試験用フィルムを作製した。試験用フィルム2gをテトラヒドロフラン(THF)20mlに浸漬して、23℃で24hr放置した後、THF中に抽出された成分量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の保持時間20〜29分の範囲内に含まれるピーク面積をP1とした。
また、成分(A3)を実質的に含まない硬化膜としては、実施例2のUA−2に替えて比較合成例5で得られたUX−5を用いた他は同一組成の組成物を用いて作製した試験用フィルムを用いた。同試験用フィルムから得たTHF抽出物を定量し、ピーク面積をP2とした。
GPCの条件は以下の通りである。
カラム:東ソー TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG3000HXLの4個のカラムの直列連結。
HPLC:東ソー HLC−8220
サンプル量:100μl
展開溶媒:THF
流速:1ml/min
検出方法:RI(測定波長は、ナトリウムのD線である)
一方、20mg、60mg又は100mgの成分(A3)である合成例6で得られたウレタンオリゴマーUA−6をそれぞれ8mlのTHFに溶解して同様の条件でGPCで分析し、同様のピーク面積を求めて成分(A3)検量線を作成した。
P1の値からP2の値を差し引いた値を上記検量線に当てはめてP1とP2の差異に相当する成分(A3)の量を定量した。
その結果、実施例2に用いた成分(A)であるウレタンオリゴマーUA−2全量に対して、その2.5質量%が成分(A3)であった。
(8)光ファイバ素線の欠損発生観察:
光ファイバ線引き装置(吉田工業社製)を使用して、一次被覆材として各実施例および比較例の組成物を用い、二次被覆材として調製例1で得られたセカンダリ材用液状硬化性樹脂組成物を使用して、下記条件でガラスファイバ上に一次被覆材と二次被覆材からなる2層の被覆層をコートして光ファイバ素線を調製した。光ファイバの線引き条件は以下のようにした。光ファイバの線径は、光ファイバそのものは直径150μm 、一次被覆材を被覆した時で200μm 、二次被覆材を被覆した時で260μm に調節した。光ファイバの線引き速度は120m/minとした。光ファイバに塗布した組成物を硬化するための紫外線照射装置としてORC社製UVランプ SMX3.5kwを使用した。紫外線硬化装置内の光ファイバを通す石英管には窒素ガスを10l/minの流量でパージした。
上記のファイバ素線を60℃下の温水に72時間浸漬た後、顕微鏡観察を行い、プライマリ材中にボイドが発生するか、または、プライマリ材と石英ガラスが剥離しているかどうか目視で判断した。
表中、
アロニックスM−113:ノニルフェノールEO変性アクリレート(東亞合成社製)。
Sumilizer GP:6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン(住友化学社製)。
サノールLS−765:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、光安定剤。
レオドール460V:花王ケミカル製、界面活性剤(テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット)。
表1から明らかなように、本発明の組成物は、光ファイバ被覆剤として適切な樹脂液粘度を有し、プライマリ材として好適な柔軟性を与えると共に、機械強度に優れていることがわかる。また、本発明の組成物は、プライマリ材に要求されるガラス密着力においても優れている。各実施例の組成物から調製された硬化物のゲル分率は、比較例に較べて低く、前記式(3)の構造を有するウレタンオリゴマーが含まれていることがわかる。一方、成分(A)に替えて成分(A)に該当しないウレタンアクリレートを用いた比較例1および比較例2では、硬化物の柔軟性において劣っている。

Claims (5)

  1. (A)(a1)脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートと1価アルコールとの反応物を含むウレタンオリゴマー、又は(a2)ポリエーテルジオールに由来する構造単位を平均1.0個より多く有し、(メタ)アクリロイル基を有しないウレタンオリゴマーを含むウレタンオリゴマーであって、脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンオリゴマーを50〜90質量%、(B)エチレン性不飽和基を1個有するモノマーを5〜45質量%含有し、かつ、(C)エチレン性不飽和基を2個以上有するモノマーの含有量が2質量%以下であることを特徴とする、光ファイバ第一次被覆層形成用の放射線硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(A)成分において、(a2)ポリエーテルジオールに由来する構造単位を平均1.0個より多く有し、(メタ)アクリロイル基を有しないウレタンオリゴマーを含むウレタンオリゴマーであって、脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタンオリゴマーが、脂肪族ポリエーテルジオールとジイソシアネートとの反応物と1価アルコールとを反応させた後に水酸基含有(メタ)アクリレート及びシランカップリング剤を反応させて得られるウレタンオリゴマーであることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバ第一次被覆層形成用の放射線硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の放射線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる光ファイバ第一次被覆層。
  4. ヤング率が0.9MPa以下である、請求項に記載の光ファイバ第一次被覆層。
  5. 請求項に記載の光ファイバ第一次被覆層の外側に接して、ヤング率が1000MPa以上の光ファイバ第二次被覆層を有する、光ファイバ素線。
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