以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。以下では、本実施の形態の画像形成装置における、主としてトナー像の形成/転写に係る主要部を説明する。しかし、その他の必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、FAX装置、複写機、複合機等、種々の画像形成装置に本発明を適用可能である。
<画像形成部>
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト6に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PKを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
画像形成部PYでは、感光ドラム1Yにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト6に一次転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム1Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト6のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部PC、PKでは、それぞれ感光ドラム1C、1Kにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて同様に中間転写ベルト6に順次重ねて一次転写される。
中間転写ベルト6に一次転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置11で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、機体外部へ排出される。
中間転写ベルト6は、テンションローラ61、駆動ローラ62、及び対向ローラ63に掛け渡して支持され、駆動ローラ62に駆動されて所定のプロセススピードで矢印R2方向に回転する。
記録材カセット65から引き出された記録材Pは、分離ローラ66で1枚ずつに分離して、レジストローラ67へ送り出される。レジストローラ67は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、中間転写ベルト6のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。
二次転写ローラ64は、対向ローラ63に支持された中間転写ベルト6に当接して二次転写部T2を形成する。二次転写ローラ64に正極性の直流電圧が印加されることによって、負極性に帯電して中間転写ベルト6に担持されたトナー像が記録材Pへ二次転写される。
画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像装置4Y、4M、4C、4Kで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、実質的にほぼ同一に構成される。以下では、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用のものであることを示すために符号に付した添え字「Y、M、C、K」を省略して、総括的に説明する。
ここで、図4も併せて参照して説明する。図4は、画像形成部Pの制御系のブロック図である。図4では、画像形成部Pについては代表して1つを示してある。
画像形成部Pは、「像担持体」としての感光ドラム1の周囲に、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ7、クリーニング装置8を配置している(図4参照)。
感光ドラム1は、アルミニウムシリンダの外周面に負極性の帯電極性を持たせた感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。感光ドラム1は、近赤外光(960nm)の反射率が約40%のOPC感光体である。しかし、反射率が同程度であるアモルファスシリコン系の感光体等であっても構わない。
帯電装置2は、スコロトロン帯電器を用いており、コロナ放電に伴う荷電粒子を感光ドラム1に照射して、感光ドラム1の表面を一様な負極性の電位に帯電する。スコロトロン帯電器は、高圧電圧が印加されるワイヤと、アースにつながれたシールド部と、所望の電圧が印加されたグリッド部とを有する。帯電装置2のワイヤには、帯電バイアス電源(図示せず)から、所定の帯電バイアスが印加される。帯電装置2のグリッド部には、グリッドバイアス電源(図示せず)から、所定のグリッドバイアスが印加される。ワイヤに印加される電圧にも依存するが、感光ドラム1は、ほぼグリッド部に印加された電圧に帯電する。
露光装置3は、レーザビームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1の表面に画像の静電像を書き込む。電位センサ5は、露光装置3が感光ドラム1に形成した静電像の電位を検出可能である。現像装置4は、感光ドラム1の静電像にトナーを付着させてトナー像に現像する。
一次転写ローラ7は、中間転写ベルト6の内側面を押圧して、感光ドラム1と中間転写ベルト6との間に一次転写部T1を形成する。正極性の直流電圧が一次転写ローラ7に印加されることによって、感光ドラム1に担持された負極性のトナー像が、一次転写部T1を通過する中間転写ベルト6へ一次転写される。
クリーニング装置8は、感光ドラム1にクリーニングブレードを摺擦させて、中間転写ベルト6への転写を逃れて感光ドラム1に残った転写残トナーを回収する。
ベルトクリーニング装置68(図1参照)は、中間転写ベルト6にクリーニングブレードを摺擦させて、記録材Pへの転写を逃れて二次転写部T2を通過して中間転写ベルト6に残った転写残トナーを回収する。
詳細は後述するが、中間転写ベルト6、駆動ローラ62に対向した位置に、レジ検センサ99が配置されている。中間転写ベルト6上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーそれぞれによって形成される色ずれ補正用のテストトナー画像(以下、レジパターン(レジストレーションパターン))が形成される。本実施の形態の画像形成装置では、このレジ検センサ99により、レジパターンの形成位置を検出する。これによって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックそれぞれの色間のずれ量を算出し、そのずれが抑制されるように画像形成タイミング、光学系の位置を補正している。このレジパターンは、色ずれ補正に用いる「パターン画像」であり、以降、「レジパターンQP」と記す(図11)。
画像形成装置100には、操作部20が設けられている。操作部20は、表示器218を有している。操作部20は、画像読取部(リーダ部)AのCPU214(図1参照)及び画像形成装置100の制御部110に接続されている。使用者が、操作部20を通じて画像の種類や枚数等の諸条件を入力することができる。プリンタ部B(図1参照)は、それに応じて画像形成を行う。画像読取部Aはリーダ画像処理部108を有する。
<画像読取部>
図2は、リーダ画像処理部108における信号処理の流れを示すブロック図である。図3は、リーダ画像処理部108における各制御信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
図1に示すように、画像読取部Aは、原稿台ガラス102上に載置された原稿Gの下向き面の画像を読み取る。原稿Gの画像は、光源103に照明されて、光学系104を介してCCDセンサ105に結像される。CCDセンサ105は、3列に配列されたレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のCCDラインセンサ群により、ラインセンサ毎にレッド、グリーン、ブルーの色成分信号を生成する。光源103、光学系104及びCCDセンサ105を含む読み取り光学系ユニットは、矢印R103方向に移動することにより、原稿Gの画像をライン毎の電気信号データ列に変換する。
原稿台ガラス102上には、原稿Gを突き当てて位置決める突き当て部材107が設けられている。原稿台ガラス102上には、CCDセンサ105の白レベルを決定し、CCDセンサ105のスラスト方向のシェーディングを行うための基準白色板106が配置されている。CCDセンサ105によって得られた画像信号は、リーダ画像処理部108において画像処理された後、プリンタ制御部109に送られて画像処理される。
図2に示すように、リーダ画像処理部108において、クロック発生部211は、1画素単位のクロック(CLOCK信号)を発生させる。主走査アドレスカウンタ212は、クロック発生部211のクロックを計数して1ラインの画素ごとの主走査アドレスを生成する。主走査アドレスカウンタ212は、HSYNC信号でクリアされることにより、次の1ラインの主走査アドレスの計数を開始する。
デコーダ213は、主走査アドレスカウンタ212からの主走査アドレスをデコードして、シフトパルスやリセットパルス等の1ライン単位のCCD駆動信号を生成する。また、デコーダ213は、CCDセンサ105の1ライン読み取り信号における有効領域を表すVE信号、ライン同期信号HSYNCを生成する。
図3に示すように、VSYNC信号は、副走査方向の画像有効区間信号であり、論理“1”の区間において、画像読み取り(スキャン)を行って、順次、M、C、Y、Kの出力信号を形成する。VE信号は、主走査方向の画像有効区間信号であり、論理“1”の区間において主走査開始位置のタイミングをとり、主にライン遅延のライン計数制御に用いられる。そして、CLOCK信号は、画素同期信号であり、“0”→“1”の立ち上がりタイミングで画像データを転送するのに用いられる。
CCDセンサ105から出力される画像信号は、図2に示すように、アナログ信号処理部201に入力される。アナログ信号処理部201に入力された信号は、ここでゲイン調整、オフセット調整をされた後、A/Dコンバータ202で各色信号毎に8bitのデジタル画像信号R1、G1、B1に変換される。デジタル画像信号R1、G1、B1は、シェーディング補正部203に入力されて、基準白色板106の読み取り信号を用いた色毎のシェーディング補正を施される。
CCDセンサ105の各ラインセンサは、RGB相互に所定の距離を隔てて配置されているため、ラインディレイ回路204は、デジタル画像信号R2、G2、B2における副走査方向の空間的ずれを補正する。具体的には、B信号に対して副走査方向で、R、Gの各信号を副走査方向にライン遅延させてB信号に合わせる。
入力マスキング部205は、CCDセンサ105のR、G、Bのフィルタの分光特性で決まる読み取り色空間を、下記数式1のようなマトリックス演算を行ってNTSCの標準色空間に変換する。
光量/画像濃度変換部(LOG変換部)206は、ルックアップテーブル(LUT)ROMにより構成され、R4、G4、B4の輝度信号が、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の画像信号のM0、C0、Y0の濃度信号に変換される。ライン遅延メモリ207は、黒文字判定部(図示せず)で、R4、G4、B4信号から生成されるUCR、FILTER、SEN等の判定信号までのライン遅延分だけ、M0、C0、Y0の画像信号を遅延させる。
マスキング及びUCR回路208は、入力されたM1、C1、Y1の三原色信号により黒(K)の信号を抽出し、更にプリンタ部Bでの記録色材の色濁りを補正する演算を施す。そして、マスキング及びUCR回路208は、M2、C2、Y2、K2の信号を各読み取り動作の度に、順次、所定のビット幅(8bit)で出力する。これらの信号は、ビデオカウンタ220にも出力される。
γ補正回路209は、画像読取部Aにおいて、プリンタ部Bの理想的な階調特性に合わせるべく画像濃度補正を行う。γ補正回路209は、例えば、256バイトのRAM等で構成されたガンマ補正のLUT(階調補正テーブル)を用いて濃度変換を行う。空間フィルタ処理部である出力フィルタ210は、エッジ強調又はスムージング処理を行う。
<露光装置>
図4に示すように、画像形成装置100は、画像形成動作を統括的に制御する制御部110を有する。制御部110は、CPU(形成手段、検出手段、制御手段)111とRAM112とROM113とを有する。
露光装置3としては、回転ミラー有するレーザスキャナを用いた。露光装置3は、レーザ出力信号に対して所望の画像濃度レベルが得られるように、レーザ光量制御回路190が露光出力を決定する。また、γ補正回路209の階調補正テーブル(LUT)を介して生成された駆動信号に従って、パルス幅変調回路191により決めたパルス幅で2値のレーザ光が出力される。
予め求められたレーザ出力信号と画像濃度レベルとの関係から、所望の画像濃度が形成できるレーザ出力信号が、階調補正テーブル(LUT)としてγ補正回路209に記憶され、この階調補正テーブルに則ってレーザ出力信号が決定される。
図2に示す出力フィルタ210で処理されたM4、C4、Y4、K4の面順次の画像信号は、プリンタ制御部109に送られる。そして、露光装置3で、PWM(パルス幅変調)を用いた2値の面積階調により濃度階調を有する画像記録が行われる。
つまり、プリンタ制御部109のパルス幅変調回路191は、入力される画素画像信号毎に、そのレベルに対応した幅(時間幅)のレーザ駆動パルスを形成して出力する。高濃度の画素信号に対しては、より幅の広い駆動パルスを、低濃度の画素画像信号に対しては、より幅の狭い駆動パルスを、中間濃度の画素画像信号に対しては、中間幅の駆動パルスを各々形成する。
パルス幅変調回路191から出力された2値のレーザ駆動パルスは、露光装置3の半導体レーザに供給され、半導体レーザを、そのパルス幅に対応する時間だけ発光させる。従って、半導体レーザは、高濃度画素に対しては、より長い時間駆動され、低濃度画素に対しては、より短い時間駆動されることになる。
このため、感光ドラム1に形成される静電像のドットサイズ(面積)が、画素の濃度に対応して異なる。露光装置3は、高濃度画素に対しては主走査方向により長い範囲を露光し、低濃度画素に対しては主走査方向により短い範囲を露光する。従って、当然のことながら、高濃度画素に対応するトナー消費量は、低濃度画素に対するそれよりも大である。
<現像装置>
現像装置4は、非磁性トナーに磁性キャリアを混合した二成分現像剤を使用する二成分現像方式を採用する。非磁性トナー(トナー)は、スチレン系共重合樹脂をバインダとして、各色の色材を分散させたもので平均直径が5μmである。現像装置4は、二成分現像剤を攪拌して、磁性キャリアを正極性に、トナーを負極性にそれぞれ帯電させる。
図4に示すように、現像装置4は、紙面と垂直方向に延在する隔壁46によって、現像容器45内の空間が第1室(現像室)と第2室(攪拌室)とに区画される。第1室には、非磁性の現像スリーブ41が配置されており、現像スリーブ41の内側には磁界発生手段としてのマグネットが固定配置されている。
第1室には、第1のスクリュー42が配置され、第1のスクリュー42は、第1室中の現像剤を攪拌搬送する。第2室には、第2のスクリュー43が配置され、第2のスクリュー42は、第2室中の現像剤を攪拌しつつ第1のスクリュー42と逆方向に搬送する。第2のスクリュー43は、トナー搬送スクリュー32の回転によってトナー補給槽33から供給されたトナーを、既に現像装置4内にある現像剤に攪拌して現像剤のトナー濃度を均一化する。
隔壁46には、紙面の手前側と奥側の端部において第1室と第2室とを相互に連通させる一対の現像剤通路が形成されている。第1と第2のスクリュー42、43の搬送力により、一対の現像剤通路を通じて現像容器45内を現像剤が攪拌されつつ循環する。現像によってトナーが消費されてトナー濃度が低下した第1室内の現像剤が一方の現像剤通路を通じて第2室へ移動する。第2室内でトナーを補給されてトナー濃度が回復した現像剤が他方の現像剤通路を通じて第1室内へ移動する。
第1室内の二成分現像剤は、第1のスクリュー42によって現像スリーブ41へ塗布され、マグネットの磁力によって現像スリーブ41上に穂立ち状態で担持される。現像スリーブ41上の現像剤は、層厚規制部材(ブレード)によって層厚を規制された後に、現像スリーブ駆動手段44により現像スリーブ41の回転された現像スリーブ41に伴って感光ドラム1に対向した現像領域へ搬送される。
現像スリーブ41には、現像バイアス電源(不図示)から、負極性の直流電圧Vdcに交流電圧を重畳した現像バイアス電圧(振動電圧)が印加される。これにより、負極性に帯電したトナーが、現像スリーブ41よりも相対的に正極性になった感光ドラム1の静電像へ移転して静電像が反転現像される。
現像剤補給装置30は、現像装置4の上部に、補給用トナーを収容したトナー補給槽33を配置している。トナー補給槽33の下部には、モータ31により回転駆動されるトナー搬送スクリュー32が設置されている。
トナー搬送スクリュー32は、補給用トナーを、トナー搬送スクリュー32が配置されたトナー搬送路を通して現像装置4内に供給する。トナー搬送スクリュー32によるトナーの供給は、制御部110のCPU111が、モータ駆動回路(図示せず)を介してモータ31の回転を制御することにより制御される。CPU111に接続されたRAM112には、モータ駆動回路に供給する制御データ等が記憶されている。トナー補給槽33、モータ31、及びトナー搬送スクリュー32等が、現像剤補給装置30を構成する。
二成分現像剤のトナー濃度を検出するため、トナー検出手段として、トナー濃度センサ14が現像装置4に組み込まれている。トナー濃度センサ14は、現像装置4内を循環する現像剤に接触させて配置される。トナー濃度センサ14は、駆動コイルと基準コイルと検出コイルとを有しており、現像剤の透磁率に応じた信号を出力する。駆動コイルに高周波バイアスを印加すると、現像剤のトナー濃度に応じて検出コイルの出力バイアスが変化する。検出コイルの出力バイアスを、現像剤に接触していない基準コイルの出力バイアスと比較することで、現像剤のトナー濃度が検出される。
制御部110は、トナー濃度センサ14による検出結果を、ROM113に格納されている換算式を使用してトナー濃度に変換する。現像装置4内の現像剤のトナー濃度T/Dは、CPU111が、トナー濃度センサ14の測定結果に基づいて下記数式2により求める。
[数2]
(トナー濃度T/D)=(SGNL値−SGNLi値)/Rate+(初期T/D)
上記数式2において、SGNL値はトナー濃度センサの測定値、SGNLi値はトナー濃度センサの初期測定値(初期値)、Rateは感度である。初期T/D、SGNLi値は、初期設置時に測定したものを使用しており、Rateは、トナー濃度センサ14の特性として、ΔSGNLのT/Dへの感度を予め測定したものである。これらの定数(初期T/D、SGNLi値、Rate)は、制御部110のRAM112に記憶されている。
<紙間パッチ画像>
図5は、パッチ画像の形成工程の説明図である。図6は、パッチ画像の濃度の測定工程の説明図である。
制御部110(図4)は、連続画像形成における所定枚数(例えば、5000枚)の画像形成ごとに、画像間隔にパッチ画像Qを形成する。本実施の形態では、パッチ画像Qには2種類あり、その1つは、画像形成における画像濃度補正用の第1のパッチ画像(以下、「パッチ画像Q1」という)であって、複数の濃度(階調性)を有したパッチ画像である。もう1つは、色ずれ補正に用いるレジパターンQP(図11で後述)の濃度を決めるための第2のパッチ画像(以下、「パッチ画像Q2」という)であって、複数の濃度を有したパッチ画像である。パッチ画像Q1(図8)とパッチ画像Q2(図12)とは濃度域が異なっている。これらは後述する。パッチ画像Q1、Q2について、共通する内容に言及する場合は、単に「パッチ画像Q」と記す。
図4に示す制御部110は、露光装置3を制御してパッチ画像の静電像である「パッチ静電像」を感光ドラム1に書き込み、現像装置4により現像してパッチ画像Qを形成する。パッチ画像Qは、感光ドラム1の画像形成域外に形成される。
図4に示すように、プリンタ制御部109には、予め定められた画像濃度に対応した信号レベルのパッチ画像信号を発生させるパッチ画像信号発生回路であるパターンジェネレータ192が設けられている。パターンジェネレータ192からのパッチ画像信号を、パルス幅変調回路191に供給し、上記の予め定められた濃度に対するパルス幅を有するレーザ駆動パルスを発生させる。このレーザ駆動パルスを、露光装置3の半導体レーザに供給し、半導体レーザをそのパルス幅に対応する時間だけ発光させて、感光ドラム1を走査露光する。これによって、上記の予め定められた濃度に対するパッチ静電像が、感光ドラム1に形成される。このパッチ静電像は、現像装置4により現像される。
現像装置4の下流側で感光ドラム1に対向させて、パッチ画像Qの画像濃度を検出するための画像濃度センサ12が配置されている。画像濃度センサ12は、LED等の発光素子を備える発光部12aと、フォトダイオード(PD)等の受光素子をそれぞれ備える第1受光部(第1検知部)12bと第2受光部(第2検知部)12cとを有する。光学式センサである画像濃度センサ12は、発光部12aと、発光部12aから出射される感光ドラム1または感光ドラム1上に形成されるトナー像からの正反射光を受光する第1受光部12bと、乱反射光を受光する第2受光部12cとを有する。すなわち、第1受光部12bが感光ドラム1またはパッチ画像Qからの正反射光に応じた信号を出力するよう構成され、第2受光部12cが感光ドラム1またはパッチ画像Qからの乱反射光に応じた信号を出力するよう構成されている。画像濃度センサ12は、正反射光と乱反射光の両方の検知機能を併有する複合型のセンサであり、一体型構成によってコンパクトになっている。ただし、これらは別体に構成されていてもよい。
画像間のパッチ画像Qが画像濃度センサ12の下を通過するタイミングで発光部12aは光を出射する。受光部12b、12cは、その光が感光ドラム1またはパッチ画像Qで反射した反射光を受光し、受光量に応じたアナログ信号を出力する。
パッチ画像Qの反射率と感光ドラム1の表面の反射率とは異なっている。そのため、感光ドラム1からの反射光を受光することによる受光部12b、12cの出力レベルと、パッチ画像Qからの反射光を受光することによる受光部12b、12cの出力レベルとは異なる。制御部110のCPU111は、この出力レベルの差を用いてパッチ画像Qの濃度を検知(測定)する。
図6に示すように、画像濃度センサ12の受光部12b、12cに入射した、感光ドラム1またはパッチ画像Qからの反射光(近赤外光)は、アナログ電気信号に変換される。このアナログ電気信号は、制御部110に設けられたA/D変換回路114により、8ビットのデジタル信号に変換される。
図7(a)、(b)は、パッチ画像Qの画像濃度と第1受光部12bの出力、画像濃度と第2受光部12cの出力との各関係を示す図である。
図7に示すように、感光ドラム1上に形成したパッチ画像Qの画像濃度を段階的に変えたとき、形成されたパッチ画像Qの濃度に応じて画像濃度センサ12の出力が変化する。図7(a)には感光ドラム1からの正反射光の検知結果である第1受光部12bの検出値(mV)が示され、図7(b)には感光ドラム1からの乱反射光の検知結果である第2受光部12cの検出値(mV)が示されている。図7(a)、(b)では、例示としてイエローのパッチ画像Qの検出結果を示している。
有彩色であるイエロー、マゼンタ、シアンのパッチ画像Qの検出結果はおおよそ互いに同様の傾向を示す。しかし、ブラックのパッチ画像Qの検出結果はトナーから反射が起きないため、乱射光の検知結果は他の色とは大きく異なり、正反射光のような単調減少を示す。パッチ画像の光に880nmを用いる。この光をパッチ画像Qに照射した場合、色トナーは透明であるので、透明トナーでは光は吸収されず、トナー表面の反射及びトナー内部での屈折が起こり、光が散乱する。従って、色トナーでは、トナー量の増加に応じて散乱光の光量は増加していく。一方、黒トナーでは光が吸収されるため、トナー量の増加に応じて散乱光の光量は減少していく。
画像濃度が高くなるにつれて、感光ドラム1に形成されるパッチ画像Qによる面積被覆率が大きくなる。濃度が低いパッチ画像Qは、パッチ画像を構成する画素の密度が疎であるので、発光部12aから照射された光が感光ドラム1の表面に到達し、その反射光が第1受光部12bによって検出される。一方、濃度が高いパッチ画像Qは、パッチ画像を構成する画素の密度が密であるので、低濃度のパッチ画像Qに比べて発光部12aから照射された光が感光ドラム1の表面に到達し難い。そのため、図7(a)に示すように、パッチ画像Qの画像濃度が大きくなるに従って、正反射光の検知結果である第1受光部12bの出力が小さくなる。また、乱反射光の検知結果である第2受光部12cの出力は、トナー量の増加と共に減少する下地で反射された光と、トナー量の増加と共に増加するトナーにより反射された光の和になる。そのため、図7(b)に示すように、パッチ画像Qの画像濃度が増加する途中で少し小さくなるが、全範囲であまり大きく変化しない。
このような画像濃度センサ12の特性に基づき、画像濃度センサ12の出力から各色の濃度信号に変換するための濃度変換テーブルを含む各色専用のテーブル115aを予め用意してある。テーブル115aは、濃度変換回路115(図6)の記憶部に記憶されている。これにより、濃度変換回路115は、各色とも、精度よくパッチ画像濃度を読み取ることができる。濃度変換回路115は、濃度情報をCPU111へと出力する。
テーブル115aは、濃度安定化制御用の複数の濃度を有したパッチ画像Q1と、色ずれ補正用のレジパターンQPの濃度を決める(制御する)ためのパッチ画像Q2とで異なるテーブルとしている。これが本発明の主な特徴である。
具体的には、本実施の形態では、濃度安定化制御用のパッチ画像Q1の読み取りでは、以下で説明する係数であるk値を、イエローにつき1.05、マゼンタにつき1.16、シアンにつき1.00、ブラックにつき0.05に設定する。これにより、正反射光の検知を重視させ、低濃度域から高濃度域までの幅広い濃度域の検知精度を確保している。ここで、色ずれ補正の制御用のパッチ画像Q2の読み取りにパッチ画像Q1で用いたのと同様のk値を用いてしまうと、高濃度域の検知精度が低くなり、色ずれの精度が悪くなる傾向があった。
そこで、パッチ画像Q2の読み取りにおいては、後述するk値を、イエローにつき2.00、マゼンタにつき2.21、シアンにつき1.90、ブラックにつき0.10に設定する。これにより、乱反射光の検知を重視させ、高濃度域の検知精度を上げることができ、その結果、色ずれの少ない画像が得られる。これらを以下で詳述する。
<濃度安定化制御>
図8は、濃度安定化制御で用いられるパッチ画像Q1の一例を示す模式図である。パッチ画像Q1は、10レベル(段階)の濃度パッチ画像から成り立っていて、低濃度域から高濃度域を網羅するようになっている。この例では、濃度0.1〜1.2までの濃度パッチを形成している。上述のように、このパッチ画像Q1を画像濃度センサ12により検知する。正反射光の検知結果である第1受光部12bの検知出力を「p」、乱反射光の検知結果である第2受光部12cの検知出力を「s」と表記すると、検知結果は、p−k×sなる算出式によって演算(算出)される。この演算は、制御部110のCPU111が行う。
第1受光部12bの出力においては、実際には、正反射光以外にも乱反射光の成分も含まれる。そのため、真の正反射成分のみを取り出すためには、第1受光部12bの出力値pに対して、乱反射成分の出力値sを取り除く必要がある。そのためには、一見、p−sで算出すればよいことになる。しかし、乱反射の特性が、光源と検知センサの角度やトナーの特性によっても異なるため、出力値sに対して補正係数であるk値を乗算したものを引くことで正確な検知を行う。
上記算出式におけるk値は、センサ及びトナーによって一義に決定できる。しかしながら、このとき、k値を変化させることによって、検知結果における正反射成分に対する乱反射成分に重み付けを変更することが可能である。本実施の形態ではk値(正の値とする)を大きくすることで乱反射成分の重み付けを重くすることを可能とした式を用いた(p−k×s)。なお、重み付けの方向としては、濃度と検知結果出力との関係がとりやすい方向に決めればよい。
濃度安定化制御におけるパッチ画像Q1は、レジパターン濃度調整用のパッチ画像Q2よりも濃度域が広い。ここで、低濃度域はトナーの量が少ないために乱反射が少なく正反射が支配的である。トナーが下地を全て覆うまでの濃度域、例えば、濃度1.2程度までの領域においては、正反射成分での検知精度が高い。
そこで、パッチ画像Q1の検知におけるk値は、0.1〜1.2の濃度域での検知感度が最も高くなるような値に設定する。濃度安定化制御で使用するk値は、イエローが1.05、マゼンタが1.16、シアンが1.00、ブラックが0.05とした。イエローにおける、濃度と検知結果の関係を図9に示す。
図9に示すように、イエローについては、k値=1.05として、算出式p−k×sにより、パッチ画像Q1の画像濃度と検知出力(mV)との関係が規定される。なお、上述した図7は、パッチ画像Q1の検知結果を示すものであり、図7(a)、(b)が、それぞれ、図9における「p」、「s」の曲線に相当する。
図9に示すような出力と濃度との関係の濃度変換テーブル(p−k×s)を、予め実測により取得し、それをテーブル115aに格納しておく。そして、この濃度変換テーブル(p−k×s)を用いて、パッチ画像Q1の検知結果(出力)を濃度に変換することが可能である。
このようにして、各画像信号における画像濃度が上記のプロセスを経て得られる。図10に、パッチ画像Q1の画像信号と画像濃度との関係を示す。
図10に直線で示すように、本来、画像信号に対してターゲット濃度が得られるべきである。しかし、実際には、検知結果のようにターゲット濃度からずれた結果が得られる。この検知結果を画像形成装置として適切なターゲット濃度に変換するべく、検知結果のターゲット濃度に対しての逆関数を求める。この逆関数を、画像形成における画像信号にかければ、所望のターゲット濃度のような画像濃度が得られる。そこで、この逆関数を作成し、上述の階調補正テーブル(LUT)としてγ補正回路209に書き込み、これを以降の画像形成に使用する。
ここで、濃度安定化制御は、階調制御を指しており、本実施の形態では、5000枚のプリントごとに、10階調のパッチ画像Q1(図8)を形成する。そして、そのそれぞれの濃度が、画像形成時に所望の濃度に戻るように制御するものである。
<色ずれ補正>
次に、色ずれ補正について説明する。図1に示すレジ検センサ99は発光部材と受光部材を有している(図示せず)。レジ検センサ99は、中間転写ベルト6上に形成された色ずれ補正用のレジパターンQPを測定し、その位置を測定する。色ずれ補正用のレジパターンQPは、レジ検センサ99によって検知された後、二次転写ローラ64に転写され、二次転写ローラ64のクリーニング装置69によってクリーニングされる。クリーニング装置69は2本のファーブラシから成り立っており、+5.5μAの電流を印加(電源は不図示)して静電クリーニングする。
色ずれを検知するためのパターン画像としては、従来から様々なものが提案されているが、本実施の形態では、図11に例示するようなレジパターンQPを採用した。
基準の色(例えば、マゼンタ)のパッチで挟むように、合わせたい色のパッチを、それぞれ搬送方向に対して斜めに形成する。そしてレジ検センサ99によってそれぞれの位置関係を検知する。具体的には、図11中の距離A1、A2、B1、B2を検知する。
主走査方向のずれは、算出式{(B2−B1)/2−(A2−A1)/2}/2によって算出される。副走査方向のずれは、算出式{(B2−B1)/2+(A2−A1)/2}/2によって算出される。算出はCPU111によってなされる。
レジ検センサ99で検出した位置関係の結果がCPU111(図4)に送信される。CPU111が、上記算出式によって、主走査方向のずれ、副走査方向のずれを算出する。そして、CPU111は、主副のずれを補償するように、各色のプリンタ制御部109を制御し、感光ドラム1への画像露光の書き出し位置、タイミング、倍率補正を制御することで各色の位置ずれを合わせる。
本実施の形態では、マゼンタを基準として制御するため、マゼンタのプリンタ制御部109を色ずれの観点で制御することはない。上述のようなレジパターンQPの形成や色ずれ補正制御を全色に対して行なうことで、全色の色合せが可能である。本実施の形態では、レジパターンQPは紙間において感光ドラム1の画像形成域外に形成される。レジパターンQPは、300紙間ごとに形成され、且つ、各色について(KとM、CとM、YとM)形成され、制御される。
レジパターンQPは、その画像濃度が高ければ高いほど、下地である中間転写ベルト6との信号値の差分が取れるためSN比の点では好ましい。しかしながら、クリーニング装置69によるクリーニングが困難となる。
高い濃度のパッチでもクリーニングできるようにするためには、クリーニング装置69にコストをかけたり、クリーニングシーケンス等を用いて時間をかけたりする必要があり、好ましくない。従って、レジパターンQPは、レジ検センサ99で検知できる範囲で、可能な限り薄いほうが望ましい。この観点で望ましいレジパターンQPの濃度は、1.12である。そこで、本実施の形態では、1.12をレジパターンQPの目標濃度とし、パッチ画像Q2の濃度検知結果に基づいて、レジパターンQPを上記の目標濃度に制御する。
<色ずれ補正用のレジパターン濃度制御>
色ずれ補正用のレジパターンQPの濃度を、レジ検センサ99で検知できる範囲で、可能な限り薄くするようにするために、以下の制御を行う。本実施の形態では、制御部110は、レジパターンQPの濃度が1.12になるように制御する。
図12は、色ずれ補正に用いるレジパターンQPの濃度制御で用いられるパッチ画像Q2の一例を示す模式図である。パッチ画像Q2は、7レベル(段階)の濃度パッチ画像から成り立っていて、濃度1.12前後をカバーするようにしている。すなわち、最低濃度と最高濃度との中間の濃度が1.12となっている。パッチ画像Q2の濃度域は、パッチ画像Q1(図8)の濃度域に対して高濃度側に片寄っていて且つ狭い。このパッチ画像Q2を画像濃度センサ12により検知する。
基本的には、上述した濃度安定化制御におけるパッチ画像Q1と同じ方法でパッチ画像Q2の濃度を検出する。しかし、パッチ画像Q2の濃度検出で使用するk値は、イエローが2.00、マゼンタが2.21、シアンが1.90、ブラックが0.10とした。このときのイエローにおける、濃度と検知結果の関係を図13に示す。
ここで、k値は、1.12近傍の濃度の感度が最も高くなるような値に設定している。すなわち、上述のように、k値を大きくするほど乱反射成分の検知の比重が重くなる。そうすることで高濃度領域の検知精度を高めることができる。上記したように、レジ検センサ99で検知できる範囲で可能な限り薄いレジパターンQPの濃度は、1.12である。そこで、本実施の形態では、パッチ画像Q2の濃度検出においては、1.12の検知精度が最も高くなるようなk値を採用した。こうすることで、精度良く、レジパターンQPの濃度を決定できるからである。
図13に示すように、イエローについては、k値=2.00として、算出式p−k×sにより、パッチ画像Q2の画像濃度と検知出力(mV)との関係が規定される。図13に示すような出力と濃度との関係の濃度変換テーブル(p−k×s)を、予め実測により取得し、それをテーブル115aに格納しておく。そして、この濃度変換テーブル(p−k×s)を用いて、パッチ画像Q2の検知結果を濃度に変換することが可能である。
従って、各色毎に、パッチ画像Q1とパッチ画像Q2とで、濃度検出時に用いるk値を異ならせる。濃度安定化制御用(パッチ画像Q1の濃度検知用)のk値及び色ずれ補正用のレジパターン濃度制御用(パッチ画像Q2の濃度検知用)のk値は、予めROM113(図4)に格納されている。このように制御種類によってk値を異ならせた場合の検知結果を図14に示す。図14は、図9と図13に示す検知結果を合わせて示したものである。これらが、各制御種類における濃度変換テーブル(p−k×s)である。
図14からわかるように、濃度安定化制御用のパッチ画像Q1の出力結果は、濃度0.1〜1.2の範囲で出力の差が大きい。具体的には、パッチ画像Q1では70.4mVの差があるのに対して、色ずれ補正用のレジパターンQPの濃度制御のためのパッチ画像Q2では57mVの差である。パッチ画像Q1では、その差分だけ、濃度に対する検知結果の感度が高いことになり、パッチ画像Q2に比し精度の高い検知が得られる。
一方、パッチ画像Q2では、濃度1.12の1点のみを決定することから、その近傍の検知結果の感度が高くなっている。濃度1.12の近傍である濃度1.0〜1.2の範囲の出力の差を比較すると、パッチ画像Q2では、差分が16mVあるのに対して、パッチ画像Q1では、差分が13mVに留まっている。従って、この濃度領域においては、パッチ画像Q2は、濃度に対する検知結果の感度が高く、パッチ画像Q1に比し精度の高い検知が得られる。
上記のように、濃度安定化制御時と、色ずれ補正用のレジパターン濃度制御時とでk値を変えて画像形成装置を動作させた場合の処理フローを図15に示す。
まず、ステップS101では、制御部110のCPU111は、画像形成を行う。このステップにおいて、CPU111は、画像形成においては、前回のステップS105で決定されγ補正回路209に記憶(更新)されたLUTを用いて画像濃度を制御する。また、このステップにおいて、CPU111は、画像形成の300枚ごとの紙間で色ずれ補正も実行する。その色ずれ補正の際のレジパターンQPの濃度は、前回のステップS107で決定されたパッチ濃度を用いて制御する。初期時には、工場出荷時に設定された値で画像形成及び色ずれ補正を行う。
次に、ステップS102では、CPU111は、画像形成が継続しているか否かを判別し、継続していればステップS103に処理を進め、継続していなければ本処理を終了させる。
ステップS103では、CPU111は、前回の制御(ステップS104〜S107における濃度安定化制御や色ずれ補正用のレジパターン濃度制御)が行われてから5000枚の画像形成が行われたか否かを判別する。CPU111は、前回の制御から5000枚の画像形成が行われていない場合は、前記ステップS101に処理を戻す。一方、CPU111は、前回の制御から5000枚の画像形成が行われた場合には、画像形成を停止し、ステップS104に処理を進める。
ステップS104では、制御部110のCPU111は、濃度安定化制御用のk値をROM113から読み込み、それを算出式p−k×sにおけるk値に設定する。次に、ステップS105では、濃度安定化制御が行われる。すなわち、CPU111が、濃度安定化制御用の画像パターンをROM113から読み込み、パターンジェネレータ192を制御してパッチ画像Q1を感光ドラム1に形成する。CPU111は、上述のように、パッチ画像Q1を画像濃度センサ12で読み込む。そして、上記の算出式p−k×sによって得られる算出値(出力値mV)を、テーブル115aに格納された図9、図14に示すような濃度変換テーブル(p−k×s)を参照して画像濃度に変換する。
こうして、検知結果として得られた画像濃度から、CPU111は、ターゲット濃度に対しての逆関数を求め、この逆関数を、LUTとしてγ補正回路209に書き込む。すなわち、LUTを更新する。次回のステップS105が実行されるまで、ここで更新されたLUTが、画像形成に採用される。
次に、ステップS106では、CPU111は、色ずれ補正用のレジパターン濃度制御用のk値をROM113から読み込み、それを算出式p−k×sにおけるk値に設定する。次に、ステップS107では、色ずれ補正用のレジパターン濃度制御が行われる。すなわち、CPU111が、色ずれ補正用の画像パターンをROM113から読み込み、パターンジェネレータ192を制御してパッチ画像Q2を感光ドラム1に形成する。
CPU111は、上述のように、パッチ画像Q2を画像濃度センサ12で読み込む。そして、上記の算出式p−k×sによって得られる算出値(出力値mV)を、テーブル115aに格納された図13、図14に示すような濃度変換テーブル(p−k×s)を参照して画像濃度に変換する。
こうして、検知結果として得られた画像濃度から、CPU111は、レジパターンQPの濃度を目標濃度(1.12)にするためのパッチ濃度を決定する。すなわち、レジパターンQPの濃度を目標濃度に一致させるためのレーザ出力信号を決定する。次回のステップS107の処理が実行されるまで、色ずれ補正では、ここで決定したパッチ濃度(レーザ出力信号)が採用される。
なお、色ずれ補正用のレジパターン濃度制御時にも、色ずれ補正時専用のLUTを用いるようにしてもよい。その場合は例えば、CPU111は、図10に示したのと同様に、パッチ画像Q2の検知結果のターゲット濃度に対しての逆関数を求め、色ずれ補正時専用のLUTとしてγ補正回路209に書き込む(更新する)。そして、色ずれ補正時においては、上記更新されたLUTを使用して、レジパターンQPの画像濃度を目標濃度(1.12)に制御する。
ステップS107の実行後は、CPU111は、処理を前記ステップS101に戻す。
このようにして、k値及び濃度変換テーブルを、制御の種類(濃度安定化制御、色ずれ補正用のレジパターン濃度制御)ごとに変える。
比較のために、図16に、k値及び濃度変換テーブルを、制御の種類ごとに変えた場合と、各制御で共通にした場合の画像濃度の推移を示す。各制御で共通にする場合とは、濃度安定化制御用のk値及び濃度変換テーブルのみを使った場合と、色ずれ補正用のレジパターン濃度制御用のk値及び濃度変換テーブルのみを使った場合とを含む。また、図17に、図16と同様の条件における色ずれの推移の結果を示す。
いずれも、A4サイズで、画像比率5%の画像を連続20000枚通紙した際の推移である。図16の濃度推移はイエローを例示し、図17の色ずれはマゼンタを基準としたときのイエローの主走査のずれを示している。これらからわかるように、制御の種類ごとにk値と濃度変換テーブルとを変えた場合だけが、良好な濃度推移と良好な色ずれ推移を共に確保することができる。
本実施の形態によれば、互いに濃度域が異なっているパッチ画像Q1とパッチ画像Q2の各濃度を検出するときの、正反射光を検知する第1受光部12bの出力値pに対する、乱反射光を検知する第2受光部12cの出力値sの重み付けを異ならせた。これにより、濃度域の異なったパッチ画像Qの濃度をそれぞれ高い精度で検出することができる。
具体的には、画像形成における画像濃度補正用のパッチ画像Q1の濃度検出時に比べ、色ずれ補正に用いるレジパターンQPの濃度を決めるためのパッチ画像Q2の濃度検出時の、第2受光部12cの出力値sの重み付けを大きくした。これにより、画像濃度の安定化制御を適切に行える。それと同時に、色ずれ補正に用いるレジパターンQPの濃度を適切に制御することができる。レジパターンQPの濃度が目標濃度に制御される結果、レジパターンQPの濃度が安定し、クリーニング不良が生じることなく高精度の色ずれ補正を行える。
ところで、本実施の形態においては、パッチ画像Q1、パッチ画像Q2は、それぞれ画像濃度補正用、色ずれ補正に用いるレジパターンQPの濃度制御用としたが、これらに限られない。すなわち、濃度検出時のk値を異ならせて重み付けを変える観点からは、2つのパッチ画像Qの濃度域が異なっていればよい。そして、一方のパッチ画像Qの濃度域が低域または高域に片寄っていれば、その領域での検出精度が高くなるように、k値を設定すればよい。濃度域の片寄りについては、各パッチ画像Qの中心濃度で判断すればよい。ここでの中心濃度とは、最高濃度と最低濃度との中間の濃度のことである。そして、中心濃度が高い方のパッチ画像Qの濃度検出に、乱反射光の検知結果の重み付けを重くすればよい。
なお、パッチ画像Qが形成される像担持体は、感光ドラム1に限られず、記録媒体等の転写体、あるいは中間転写体であってもよい。
なお、図15のフローにおいて、ステップS104、S105の処理とステップS106、S107の処理との順序を逆にしてもよい。また、これらの2つの処理は、いずれも、5000枚の画像形成ごとに同時期に行ったが、それぞれ別々のタイミングで行うようにしてもよい。また、それぞれの制御間隔は5000枚の画像形成ごとに限られず、枚数は変更してもよい。
なお、パッチ画像Q(図8、図12)の濃度のレベル(段階)数は例示であり、問わない。また、これらの濃度は無段階で変化しているものであってもよい。
ところで、第1受光部12bの出力値pと第2受光部12cの出力値sとの重み付けを制御種類によって異ならせる手法は、k値の変更によるものに限られない。例えば、図18に変形例を例示するように、画像濃度センサ12と感光ドラム1との相対的な角度を変更する手法を用いてもよい。
図18(a)、(b)は、変形例における画像濃度センサ12とその制御機構の模式図である。画像濃度センサ12は感光ドラム1に対して角度を可変に構成される。上記したCPU111に加え、画像濃度センサ12を可動するためのアクチュエータ120を備える。図18(a)は、発光部12aから真っ直ぐ出射された光が感光ドラム1の表面で反射し、その正反射光が第1受光部12bに真っ直ぐ入射する状態を示している。上記説明した実施の形態では、この図18(a)に示す状態で画像濃度センサ12が固定されていた。
濃度安定化制御時におけるパッチ画像Q1の濃度検出時には、図18(a)に示す状態となるようにCPU111が制御する。図18(a)に示す状態では、第1受光部12bへの正反射光の入射角θは0°である。
これに対し、色ずれ補正に用いるレジパターンQPの濃度を決めるためのパッチ画像Q2の濃度検出時には、図18(b)に示す状態となるように、CPU111が制御する。すなわち、CPU111の制御に従って、アクチュエータ120が画像濃度センサ12を可動し、感光ドラム1との対向角度を変える。そうすると、第1受光部12bへの正反射光の入射角θが0°より大きくなって、例えば、5°となる。
ところで、この変形例においては、制御種類によってk値も濃度変換テーブルも変えることなく同じものを用いる。例えば、一律に濃度安定化制御用のものを採用する。変えるのは、画像濃度センサ12の姿勢(角度)だけである。図18(b)の状態とすることで、第1受光部12bへの正反射光成分が減少する。一方、第2受光部12cに入射する乱反射光成分はあまり変化しない。その結果、パッチ画像Q1の濃度検出時に比べ、パッチ画像Q2の濃度検出時には、第2受光部12cの出力値sの重み付けが相対的に大きくなる。
この変形例によっても、濃度域の異なったパッチ画像Qの濃度をそれぞれ高い精度で検出することに関し、k値を異ならせる上記の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
なお、この変形例においては、第1受光部12bへの正反射光の入射角θを可変にすればよい。従って、画像濃度センサ12の構成を変更するならば、必ずしも画像濃度センサ12全体の角度を可変とする構成に限定する必要はない。例えば、第1受光部12bの向きを可変とする、第2受光部12cの向きを可変とする、あるいは、発光部12aからの出射光の角度を可変とする構成も考えられる。