JP5754115B2 - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変圧器の鉄心材料として好適な方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板については、磁気特性向上のため、インヒビターと呼ばれる析出物を使用して仕上焼鈍中にGoss方位を有する粒を二次再結晶させることが一般的な技術として使用されている。例えば、特許文献1にはAlN、MnSを使用する方法が、特許文献2にはMnS、MnSeを使用する方法が開示され 、工業的に実用化されている。これらのインヒビターを用いる方法は、安定して二次再結晶粒を発達させるために1300℃以上の高温でのスラブ加熱を必要とする。
さらには、これらのインヒビターの働きを強化するために、特許文献3にはPb、Sb、Nb、Teを利用する方法が、特許文献4にはZr、Ti、B、Nb、Ta、V、Cr、Moを利用する方法が開示されている。
中でも、Nbに関しては、特許文献5に記載されているように、熱間圧延時に生じる鋼板の耳われを効果的に減少させる作用も有しており、磁気特性向上のみならず、製品歩留まりも向上させるため、有用な技術である。
特公昭40-15644号公報 特公昭51-13469号公報 特公昭38-8214号公報 特開昭52-24116号公報 特公平6-63031号公報
特許文献5では、耳割れ防止のために、方向性電磁鋼板にNbを添加するにあたり、添加量を磁気特性の劣化しない範囲に規制している。しかしながら、磁束密度は比較的良好な値となっているが、鉄損については満足できるレベルではなく、Nbを添加する際の課題として残っている。
本発明は、かかる事情に鑑み、鉄損が劣化せず、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記問題点を解決するため、鉄損特性の劣化の理由を中心に、鋭意研究調査を重ねた。
その結果、仕上焼鈍後、析出物(主に炭化物)が形成され、鋼中に析出物が留まっているために、鉄損(ヒステリシス損)が増大することが明らかとなった。更に、この鉄損劣化は単なるNb析出物の総量では評価できないことも新規に見出した。
種々の条件で作製した製品板相当の方向性電磁鋼板について、加工や熱処理を加える前後でのヒステリシス損と析出物量の間の相関について調査を行った。その結果、加工や熱処理により同じ量だけ析出Nb量が増加しても、鉄損が劣化する場合と劣化しない場合があることを確認した。
また、鋭意調査の結果、析出物径として0.1μm程度以下の微細なNbC生成量が多いほど鉄損の劣化は顕著であり、反対に粗大なNbCの生成はあまり鉄損を劣化させないことが分かった。更に、製品板に対して熱処理のみを行う場合よりも、製品板に対して曲げ加工を行った後に熱処理を行う場合の方が微細なNb析出物が顕著に増加することを見出した。これは、加工により鋼板内に導入された歪がNb析出物の核となること、すなわち、析出物生成サイトの増加による結果と考えられる。
しかしながら、出荷後の製品板に対する用途について、メーカー側で限定を加えることは難しい。特に、加工の意図なく材料に変形が加えられた場合や、誤用による鉄損劣化を防止することは困難であると考えられる。そこで、出荷前すなわち製品板の段階で鉄損劣化の問題を解決するため、筆者らは鋭意検討を行った。その結果、製品板において鋼中のNbをなるべく析出させることが有効であることを見出した。更に、製品板段階の鋼中のNb存在状態は、仕上焼鈍工程における平均冷却速度に大きく依存することを知見した。すなわち、仕上焼鈍工程の冷却を緩冷化するほど鋼中のNbは析出し易くなり、これを利用して製品板段階のNbを析出状態で存在させることで鉄損劣化を防止することが可能となる。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] mass%で、C:0.002〜0.100%、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜1.00%、Al:0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下で含有し、さらにNb:0.001〜0.015%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するスラブに対して熱間圧延し、次いで、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し再結晶焼鈍し、仕上焼鈍後、仕上焼鈍温度から600℃まで0.3℃/分以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
[2]前記[1]において、さらに、成分組成として、mass%で、Ni:0.01〜1.50%、Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Sn:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0.50%,Mo:0.005〜0.10%、B:0.0002〜0.0025%、V:0.001〜0.010%、Ta:0.001〜0.010%のうち、いずれか一種または二種以上を含有することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
[3]mass%で、C:0.005%未満、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜1.00%、Nb:0.001〜0.015%を含有し、かつAl:0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下で、残部Feおよび不可避的不純物からなり、さらに、固溶Nb量が0.0006%以下であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
なお、本明細書において、鋼の成分を示す%は、すべてmass%である。
本発明によれば、耳割れ低減の為に添加したNbについて、製品板段階での存在状態を制御することにより、鉄損劣化を防止することが可能となる。これによりNb添加効果を最大限に活用することができ、品質安定化などの有用性がもたらされる。
仕上焼鈍工程の平均冷却速度と、製品板中の固溶Nb量との関係を示す図である。 製品板中の固溶Nb量と、巻きコア試験による鉄損の劣化量との関係を示す図である。
以下に、本発明の詳細を説明する。
本発明の成分組成の限定理由について説明する。
C:0.002〜0.100%
Cは0.100%を超えると、再結晶焼鈍(脱炭焼鈍)後に磁気時効の起こらない範囲である0.005%未満に低減することが困難になる。一方、0.002%に満たないとNb炭化物のインヒビター効果が発揮されず、磁気特性劣化を引き起こす。よって、Cは0.002%以上0.100%以下とする。
Si:2.0〜8.0%
Siは鋼の比抵抗を高め、鉄損を改善させるために必要な元素である。2.0%未満だと十分な効果が得られない。一方、8.0%を超えると鋼の加工性が劣化し、圧延が困難となる。よって、Siは2.0%以上8.0%以下とする。
Mn:0.005〜1.00%
Mnは熱間加工性を良好にするために必要な元素である。0.005%未満だと十分な効果が得られない。一方、1.00%を超えると製品板の磁束密度が低下する。よって、0.005%以上1.00%以下とする。
Nb:0.001〜0.015%
Nbは本発明の根幹を成す元素であり、本発明では、Nbの炭化物をインヒビターとして用いるところに特徴がある。そのため、Nbを0.001%以上0.015%以下の範囲で添加させることが必須である。Nbが多いとヒステリシス損は増加する傾向が認められるため、好ましくは、0.001%以上0.005%以下である。
Al: 0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下
Alは0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下に低減することが、鋼板を良好に二次再結晶させる上で必須である。Al、N、S、Seは極力低減することが磁気特性の観点からは望ましいが、低減するためにコスト高となる場合がある。これらを考慮した場合、Al:0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下であれば鋼中に残存させても問題はない。よって、Al:0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下とする。AlとSeは仕上焼鈍時に鋼中から純化することが困難な元素であることから、Alは0.008%以下、Seは0.002%以下とすることが好ましい。また、N、Sの軽元素は鋼スラブ作成前の成分調整時に完全に除去する事は困難であり、特殊な処理を行わない場合は、0.002%ほど鋼中に残存しているのが一般的である。
残部はFeおよび不可避的不純物である。
なお、本発明ではその他にも以下に述べる元素を目的に応じ適宜含有させることができる。
Ni:0.01〜1.50%、Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Sn:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0.50%,Mo:0.005〜0.10%、B:0.0002〜0.0025%、V:0.001〜0.010%、Ta:0.001〜0.010%のうち、いずれか一種または二種以上を含有する。
鉄損を低減させる目的で、Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%, P:0.005〜0.50%のうちいずれか一種または二種以上を添加できる。また磁束密度を向上させる目的で、Ni:0.01〜1.50%、Sb:0.005〜0.50%、Sn:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0.50%、Mo:0.005〜0.10%、B:0.0002〜0.0025%、V:0.001〜0.010%、Ta:0.001〜0.010%のうち、いずれか一種または二種以上を添加できる。それぞれの元素の添加量が下限量より少ない場合には磁気特性向上効果がなく、上限量を超えると二次再結晶粒の発達が抑制され磁気特性が劣化する。
次に本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について、説明する。
上記成分組成を有するスラブに対して熱間圧延し、次いで、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し再結晶焼鈍する。次いで、仕上焼鈍を行い、引き続き、仕上焼鈍温度から600℃まで0.3℃/分以下の平均冷却速度で冷却する。必要に応じて、熱間圧延後に熱延板焼鈍を施すこともできる。ここで、平均冷却速度とは、最終焼鈍の保持温度から600℃前後の低温までの単位時間あたりの冷却速度である。例えば最終焼鈍を1100℃で行い、600℃までの冷却を1時間で行った場合の平均冷却速度は、(1100℃-600℃)/60分=8.3℃/分である。途中で冷却速度を変化させた場合には、1100℃から600℃まで冷却させるトータルの所要時間で除したものを平均冷却速度とする。
上記成分を有する溶鋼は通常の造塊法、連続鋳造法でスラブを製造してもよいし、100mm以下の厚さの薄鋳片を直接鋳造法で製造してもよい。スラブは通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後加熱せずに直ちに熱延してもよい。薄鋳片の場合には熱間圧延してもよいし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進んでもよい。熱間圧延前のスラブ加熱温度は、Al、N、S、Seを低減した成分系であることから、高温焼鈍を必要としない。1250℃以下の低温とすることがコストの面で望ましい。
次いで、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。良好な磁性を得るためには、熱延板焼鈍温度は800℃以上1150℃以下が好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると熱延でのバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を実現することが困難になり二次再結晶の発達が阻害される場合がある。熱延板焼鈍温度が1150℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化し、整粒の一次再結晶組織を実現する上で不利となる場合がある。
熱延板焼鈍後、必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷延を施した後、脱炭を兼ねた再結晶焼鈍を行う。このとき、冷間圧延を100℃〜300℃の温度に上昇させて行うこと、および冷間圧延途中で100〜300℃の範囲での時効処理を1回または複数回行うことが、再結晶集合組織を変化させて磁気特性を向上させるためには有効である。再結晶焼鈍では脱炭が必要となる事から、雰囲気を湿潤雰囲気とすることが望ましい。再結晶焼鈍後は、浸珪法によってSi量を増加させる技術を併用してもよい。
次いで、仕上焼鈍を行い、引き続き行われる冷却では、平均冷却速度を0.3℃/分以下とする。
鉄損を重視してフォルステライト被膜を形成させる場合にはMgOを主体とする焼鈍分離剤を適用した後に仕上焼鈍を施すことにより二次再結晶組織を発達させると共にフォルステライト被膜を形成させることが可能である。
打ち抜き加工性を重視してフォルステライト被膜を必要としない場合には、焼鈍分離剤を適用しないか、適用する場合でもフォルステライト被膜を形成するMgOは使用せずにシリカやアルミナ等を用いる。
これら焼鈍分離剤を塗布する際は水分を持ち込まない静電塗布を行うことが有効である。また、耐熱無機材料シート(シリカ、アルミナ、マイカ)を用いてもよい。
仕上焼鈍は二次再結晶発現のために800℃以上で行うことが望ましい。また、二次再結晶を完了させるために800℃以上の温度で20時間以上保持させることが望ましい。打ち抜き性を重視してフォルステライト被膜を形成させない場合には二次再結晶が完了すればよいので保持温度は850〜950℃が望ましく、保持までで仕上焼鈍を終了することも可能である。鉄損を重視するためやトランスの騒音を低下させるためにフォルステライト被膜を形成させる場合には、1200℃程度まで昇温させることが望ましい。
上記仕上焼鈍後、仕上焼鈍温度から600℃まで0.3℃/分以下の平均冷却速度で冷却する。
本発明において、Nbの添加は、製造工程の途中段階での耳割れ低減に必須であるが、製品板となった後は鉄損劣化の主因ともなり得るため、鋼中のNbの存在形態ならびに製造方法には注意を要する。一般に、製品板を出荷後に加工・熱処理することによって鋼中に析出物が生成すると鉄損が劣化することが知られている。多くの析出物形成元素は、仕上焼鈍工程において鋼板から除去されるために問題ならないが、調査の結果、Nbは純化が難しい元素であることが分かった。
そこで、筆者らは、鋼中にNbを残存させたままで、鉄損を劣化させないための条件を検討した。その結果、仕上焼鈍工程の冷却条件が特性変化(鉄損の劣化)に対して大きく影響することを見出した。具体的には、仕上焼鈍後の冷却を緩冷化することで製品板段階での鋼中の固溶Nbを少なくすることが重要であるとの結論に達した。仕上焼鈍工程の緩冷化による固溶Nb量の減少が、製品板に出荷後加工・熱処理を行った場合に生成する析出物量を低減させ、特性劣化を抑制しているものと考えられる。特性向上に特に有効な添加Nb量は0.001〜0.005%であり、この添加量範囲において、仕上焼鈍後の平均冷却速度と固溶Nb量、および鉄損劣化の相関を調査したところ、仕上焼鈍温度から600℃までの平均冷却速度が0.3℃/分以下の緩冷条件では鉄損の劣化が認められないことが明らかとなった。以上より、鈍化焼鈍後の600℃までの冷却は0.3℃/分以下の平均冷却速度で行うこととする。
仕上焼鈍後は、付着した焼鈍分離剤を除去するため、水洗やブラッシング、酸洗を行うことが有用である。その後、平坦化焼鈍を行い形状を矯正することが鉄損低減のために有効である。
鋼板を積層して使用する場合には、鉄損を改善するために、平坦化焼鈍前もしくは後に、鋼板表面に絶縁コーティングを施すことが有効である。鉄損低減のために鋼板に張力を付与できるコーティングが望ましい。バインダーを介した張力コーティング塗布方法や物理蒸着法や化学蒸着法により無機物を鋼板表層に蒸着させコーティングとする方法を採用すると、コーティング密着性に優れ、かつ著しい鉄損低減効果があるため望ましい。
鉄損低減のために、磁区細分化処理を行うことが望ましい。処理方法としては一般的に実施されているような、最終製品板に溝をいれたりレーザーやプラズマにより線状に熱歪や衝撃歪を導入したりする方法や、最終仕上板厚に達した冷間圧延板などの中間製品にあらかじめ溝をいれたりする方法でよい。
以上により、本発明の方向性電磁鋼板(製品板)が得られる。本発明の方向性電磁鋼板は、C:0.005%未満、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜1.00%、Nb:0.001〜0.015%を含有し、かつAl:0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下で、残部Feおよび不可避的不純物からなる。そして、上述したように、仕上焼鈍工程の緩冷化により固溶Nb量の減少を図っているため、製品板における固溶Nb量は0.0006%以下となる。
mass%で、C:0.035%、Si:3.1%、Mn:0.21%、S:0.002%、Al:0.005%、N:0.002%、Nb:0.002%、Se:0.001%以下(検出限界以下を示す)を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを連続鋳造にて製造し、1230℃でスラブ加熱した後、熱間圧延により2.6mmの厚さとした。その後、1050℃で90秒保持する熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延により0.23mmの板厚とした。次いで、均熱条件が840℃で80秒、50%N2-50%H2湿潤雰囲気での再結晶焼鈍を施した。次いで、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃で10時間保持する仕上焼鈍、冷却を行った。ここで、仕上焼鈍後の鋼中固溶Nb量を変化させる目的から、仕上焼鈍後の冷却は、平均冷却速度を10℃/分から0.1℃/分の範囲で変化させた。その後、リン酸マグネシウムとほう酸を主体とした張力付与コーティング形成を兼ねた平坦化焼鈍を850℃で40秒の条件で施した。得られた製品板相当のサンプルをエプスタインサイズとし、JIS C2550に記載の方法で磁気測定を行った。
次いで、客先における加工・熱処理を想定した模擬試験として、巻きコア試験を行なった。具体的には、磁気測定を行ったエプスタインサンプルに、直径φ=40mmの丸棒を中心として板の両端が同じ方向となる様に180°の角度で曲げる曲げ加工を表裏両面に対して実施した。その後、サンプルを平坦化に矯正してから、Ar雰囲気下、800℃、3hrの歪取り焼鈍を行なった。再度、上記と同様の方法にて磁気測定を行ない、製品板相当のサンプルとの磁気測定結果を比較することで曲げ加工による鉄損の劣化量(ΔW17/50)を評価した。
図1に、仕上焼鈍後の平均冷却速度と、鋼中の固溶Nb量との関係を示す。なお、この時のNb以外の組成は、C:0.001〜0.002%、Si: 3.1%、Mn:0.21%、Al:0.001%以下(検出限界以下を示す)、N:0.0005%以下(検出限界以下を示す)、S:0.0005%以下(検出限界以下を示す)、Se:0.001%以下(検出限界以下を示す)であった。図1より、平均冷却速度を遅くするほど鋼中のNb析出物形成が促進され、製品板段階での固溶Nb量が減少していることが分かる。また、仕上焼鈍後の平均冷却速度と鉄損劣化量の関係について、表1に一例を示す。平均冷却速度が早い場合に鉄損の劣化量(ΔW17/50)の値が大きくなっていることが分かる。
次いで、図2に、製品板における鋼中の固溶Nb量と、巻きコア試験による鉄損の劣化量(ΔW17/50)との関係を示す。図2から、製品板での固溶Nb量が少ないほど巻きコア試験による鉄損の劣化量が小さいことが分かる。これは、製品板段階で鋼中に残存する固溶Nb量が多いほど、巻きコア試験の段階で新たに生成する析出Nb量が多くなり、析出物が直接的あるいは加工により導入された歪との相互作用により鉄損を劣化させるものと推定される。0.05W/kg程度の鉄損劣化はNbを添加しない場合でも認められることから、図2より鋼中の固溶Nb量を0.0006%程度以下とすることで実質的にNb添加による鉄損の劣化はほとんどないものと判断される。更に、図1より、固溶Nb量を0.0006%程度以下とするための条件として、仕上焼鈍後の平均冷却速度を0.3℃/分程度以下とすれば良いことが分かる。
表2に記載の成分組成を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを連続鋳造にて製造し、1250℃でスラブ加熱した後、熱間圧延により2.8mmの厚さとした。次いで、1000℃で50秒保持する熱延板焼鈍を施した後、冷間圧延により0.30mmの板厚とした。次いで、均熱条件が840℃で80秒、50%N2-50%H2湿潤雰囲気での再結晶焼鈍を施した。次いで、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、1200℃で10時間保持する仕上焼鈍を行い、冷却した。なお、仕上焼鈍後の平均冷却速度を表2に示す。次いで、リン酸マグネシウムとほう酸を主体とした張力付与コーティング形成を兼ねた平坦化焼鈍を850℃で40秒の条件で施した。得られた製品板相当のサンプルをエプスタインサイズとし、JIS C2550に記載の方法で磁気測定を行った。また、サンプルから固溶Nb量を測定した。結果を表2に併記する。
次いで、客先における加工・熱処理を想定した模擬試験として、巻きコア試験を行なった。具体的には、磁気測定を行ったエプスタインサンプルに、直径φ=40mmの丸棒で180°の角度に曲げる曲げ加工を表裏両面に対して実施した。その後、サンプルを平坦化に矯正してから、Ar雰囲気下、800℃×3hrの歪取り焼鈍を行った。再度、JIS C2550に記載の方法で磁気測定を行った。得られた鉄損と巻きコア試験前の鉄損との差(ΔW17/50)を曲げ加工による鉄損の劣化量として、表2に併記する。
表2から明らかなように、本発明例では、鉄損の劣化量(ΔW17/50)の値が小さく鉄損劣化が防止されているのが分かる。

Claims (3)

  1. mass%で、C:0.002〜0.100%、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜1.00%、Al:0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下で含有し、さらにNb:0.001〜0.015%を含み、残部はFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するスラブに対して熱間圧延し、次いで、1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し再結晶焼鈍し、仕上焼鈍後、仕上焼鈍温度から600℃まで0.1〜0.3℃/分の平均冷却速度で冷却し、固溶Nb量が0.0006%以下かつ鉄損劣化量(ΔW17/50)が0.05W/kg以下である製品板を製造する巻きコア用方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. さらに、成分組成として、mass%で、Ni:0.01〜1.50%、Cr:0.01〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Sn:0.005〜0.50%、Bi:0.005〜0.50%,Mo:0.005〜0.10%、B:0.0002〜0.0025%、V:0.001〜0.010%、Ta:0.001〜0.010%のうち、いずれか一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の巻きコア用方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. mass%で、C:0.005%未満、Si:2.0〜8.0%、Mn:0.005〜1.00%、Nb:0.001〜0.015%を含有し、かつAl:0.010%以下、N:0.005%以下、S:0.005%以下、Se:0.005%以下で、残部Feおよび不可避的不純物からなり、さらに、固溶Nb量が0.0006%以下であり、鉄損劣化量(ΔW17/50)が0.05W/kg以下であることを特徴とする巻きコア用方向性電磁鋼板。
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