JP5751470B2 - 形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置及び方法並びにその関連装置 - Google Patents
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Description
また、特殊な構成で、2次元像の強度分布を高速に走査したり、アレイ検出器で同期検出したりする方法で高速化を達成する工夫も成されているが、装置が大掛かりであるばかりか、撮像条件と環境を複雑化するために、安定した動作を得るためには多大なコストがかかる。
これらの方法は、透明体では形状再現が実現されているものの、計測角度の精度は数度の程度である。また、金属試料では偏光角でp偏光成分の反射がゼロとならずに単に極小値を取るために反射強度の差が小さく、原理的に適用できない。
ポラリメトリーに対比して、高い計測精度が得られる偏光計測方法としては、エリプソメトリーがある。ポラリメトリーでは、光の散乱などに伴う非偏光成分を含む部分偏光を計測する。一方、エリプソメトリーでは、散乱を生じない程度に滑らかな表面での反射を扱うために、完全偏光の偏光状態を示す偏光楕円の形を計測対象とするために計測精度が高い。偏光の測定及び解析法については、山本正樹、「偏光測定と偏光解析法」、小瀬輝次 他編、「光工学ハンドブック」、朝倉書店、1986、pp. 411-427(非特許文献4)及び小澤祐市、佐藤俊一、「軸対称偏光ビーム」、光学、35巻12号(2006), pp.9-18(非特許文献5)を参照できる。
本発明の目的は、簡便な構成で、外乱に強い、人体を含む物体表面の傾斜角を精密に検知及び/又は計測できる形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置並びに光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法を提供することである。また、その物体の形状を計測する傾斜・形状計測法に用いて計測精度を確保することを可能にせしめる円偏光照明装置並びに円偏光照明手法を提供することである。
〔1〕物体の表面の反射光学特性を用いて観察物体の表面形状や傾斜を検知及び/又は計測する形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置において、該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置と、該物体表面で正反射し特定の方位角に射出された光線群の完全偏光成分を包含する偏光成分の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置を備え、反射射出された光線ごとに、その入射点を成す該物体の反射面について、偏光楕円の観測方位角値から入射面の方位を知るステップ1と、偏光楕円の楕円率理論値を包含する偏光楕円の楕円率値から入射角度を知るステップ2によって反射面の射出光線に対する傾斜角を測定することを特徴とする形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔2〕該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置が、完全円偏光を包含する円偏光を照明するものであることを特徴とする上記〔1〕に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔3〕偏光楕円の観測方位角値から入射面の方位を知るステップ1が、(1)偏光楕円の観測方位角理論値を包含する偏光楕円の観測方位角値から入射面の方位を知るものであること、又は、(2)該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置において、右円偏光と左円偏光を切り替えて入射せしめることで、反射偏光楕円の観測方位角理論値を包含する反射偏光楕円の観測方位角値が物体の表面の反射光学特性に無関係に入射面に対称に切り替わることを利用して入射面方位を特定するものであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔4〕該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置が、空間的に特定された入射光線を計測基準原点として含み、偏光画像検出装置によって特定した反射点における偏光楕円の観測値から、該反射面の光学的性質を特定できるものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔5〕該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、実質的に同一な偏光楕円を有する光線群の方位角範囲を抽出できる機構を備えることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔7〕反射光を偏光ビームスプリッターで直進するp成分と反射されるs偏光成分とに分割せしめ、それぞれを、結像レンズにより、2次元検出器上に結像せしめて、直交偏光像出力として物体像が取り出される直交直線偏光像検知ユニットを備えていることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔8〕該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、物体の縮小投影像を得ることで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔9〕該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、物体の拡大投影像を得ることで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔10〕該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、コリメーターを備えることで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔11〕該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、該装置を実質的に無限遠方に配置することで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔12〕該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、ピンホールを備えることで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔13〕人体または***を包含する人体の一部分を検知及び/又は計測物体とし、悪性腫瘍を包含する各種の病変によって引き起こされる表面傾斜角の特異的変化を検知特定するものであるマンモグラフィーを包含する医療診断装置であることを特徴とする上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔14〕患者を包含する観察物体の姿勢変化を包含する力学的処理によって、所定の応力による変形を与え、変形前後での傾斜角の変化を検知及び/又は計測することで力学的な特性を抽出することを特徴とする上記〔1〕〜〔13〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔15〕照明光を白色光として、皮膚を包含する観察物体表面からの侵入深さが波長とともに変化することを考慮した実質的な反射面として、該反射面の光学特性の変化を検知及び/又は計測することを特徴とする上記〔1〕〜〔14〕のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
〔17〕人体または***を包含する人体の一部分を検知及び/又は計測物体とし、悪性腫瘍を包含する各種の病変によって引き起こされる表面傾斜角の特異的変化を検知特定するものであることを特徴とする上記〔16〕に記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
〔18〕患者を包含する観察物体の姿勢変化を包含する処理によって、所定の変形を与え、変形前後での傾斜角の変化を検知及び/又は計測することを特徴とする上記〔16〕又は〔17〕に記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
〔19〕照明光を白色光として、皮膚を包含する観察物体表面からの侵入深さが波長とともに変化することを考慮した実質的な反射面として、該反射面の光学特性の変化を検知及び/又は計測することを特徴とする上記〔16〕〜〔18〕のいずれか一記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
〔20〕物体の表面の反射光学特性を用いて観察物体の表面形状や傾斜を検知及び/又は計測する形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置において、該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置と、該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の完全偏光成分を包含する偏光成分の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置を備え、反射射出された光線ごとに、その入射点を成す該物体の反射面、すなわち、微斜面について、偏光楕円の方位角から入射面の方位角、すなわち、接平面の法線の方位角を、そして、該偏光楕円の楕円率から反射角度、すなわち、入射角度を、それぞれ知ることによって反射面の射出光線に対する傾斜角を測定し、接平面を成す微斜面を滑らかに接続する積分操作をなすことを特徴とする形状・傾斜検知及び/又は計測法。
〔22〕観測物体表面の反射点の接平面の傾斜として、観測方向である軸成分の座標での偏微分係数を決定することを特徴とする上記〔20〕又は〔21〕に記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
〔23〕観測物体表面の反射点の接平面の法線の傾きを計測し、物体の反射点での形状・傾斜の偏微分係数を求め、該偏微分係数の時間変化及び/又は空間変化を計測し、得られた計測値を直接利用して形状の特徴及び/又は傾斜の特徴を抽出することを特徴とする上記〔20〕〜〔22〕のいずれか一に記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
〔24〕エリプソメトリーで、観測対象試料の光学的な性質を表す光学モデルを使用して計算された複素振幅反射率比と、反射された偏光楕円の楕円率角と主軸の方位角とから求められる値Ψ,Δとを使用して、接平面の傾斜並びに観測物体の形状を計測することを特徴とする上記〔20〕〜〔23〕のいずれか一に記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
発明者の提案する3D傾斜エリプソメトリーによる精密形状・傾斜計測に於いて、計測の誤差要因となる円偏光照明光の不完全性を排除し、期待されるエリプソメトリーの計測精度1%〜0.1%を実現する。また、内面を含む物体表面の傾斜・形状の光学的精密計測を可能にする。
〔25〕 物体の形状や傾斜を計測する傾斜・形状計測法に用いる円偏光照明装置であって、内面を含む、物体表面を構成する傾斜面に円偏光を入射し、規定された観察方位に正反射される反射光線の偏光特性を用いて該傾斜面の三次元傾斜角および該傾斜面を成す該物体の形状・傾斜の計測用のもので、且つ、当該円偏光照明装置は光源装置を備えるもので、該光源装置は、該物体に正対する平面または曲面から成る円形または矩形、あるいは、その組み合わせの、多面体形状の照明区画を有し、該区画が、物体の外面を囲む凹面、または、物体の内面に向けた凸面で構成され、該区画を通して該物体に向けて実質的完全円偏光を包含する円偏光を照射でき且つ該物体表面に入射させる円偏光光線群が、反射の法則に従って観測方位に正反射できる全ての入射光線成分を含むようにせしめる光源装置であることを特徴とする円偏光照明装置。
〔26〕 前記照明区画を有する光源装置が、光源、光を該区画に導く光学素子、および、円偏光子をこの順に含み、所定の偏光度の完全円偏光を包含する円偏光を該区画から所定の角度範囲の入射角光線束として射出できる機能を具備せしめるものであることを特徴とする上記〔25〕に記載の円偏光照明装置。
〔27〕 前記照明区画を有する光源装置が、実質的に偏光度99%以上の円偏光光束群を該物体に照明できることを特徴とする上記〔25〕または〔26〕に記載の円偏光照明装置。
〔28〕 前記光源装置の照明区画が円に内接する正多角形のいずれか、または、その組み合わせから成る多面体区画を成すものであることを特徴とする上記〔25〕〜〔27〕のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
〔29〕 前記光源装置が、光ファイバー素子を所定の角度に配置して照明区画に垂直に入射させるものであることを特徴とする上記〔25〕〜〔28〕のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
〔30〕 前記照明区画を有する光源装置が、少なくとも、点発光源を配列した実質的面光源、及び/又は、面発光光源と、円偏光子とを、この順に含むことを特徴とする上記〔25〕〜〔29〕のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
〔31〕 前記光源装置が少なくとも一点から発散する光束を生成する光源機構と回転楕円体反射鏡を含み、該発散点と物体の位置を該回転楕円体反射鏡の焦点に一致させて配置して、反射によって照明光線を物体に収束せしめることで照明区画に垂直に入射させることを特徴とする上記〔25〕〜〔30〕のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
〔32〕 前記光源装置が少なくとも平行な照明光束を生成する光源機構と回転放物面鏡を含み、物体の位置を該回転放物面鏡の焦点に一致させて配置して、反射によって照明光線を物体に収束せしめることで照明区画に垂直に入射させることを特徴とする上記〔25〕〜〔30〕のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
〔33〕 前記光源装置の照明区画内に照明角度原点基準を有することを特徴とする上記〔25〕〜〔32〕のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
〔34〕 照明光束の円偏光状態を右円偏光と左円偏光で時間的または空間的に選択する機能を有することを特徴とする上記〔25〕〜〔33〕のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
〔35〕 内面を含む、物体表面を構成する傾斜面に円偏光を入射し、規定された観察方位に正反射される反射光線の偏光特性を用いて該傾斜面の三次元傾斜角および該傾斜面を成す該物体の形状や傾斜を計測する傾斜・形状計測法に用いる円偏光照明手法であって、測定対象物体に正対する平面または曲面から成る円形または矩形、あるいは、その組み合わせの、多面体形状の照明区画を有しており且つ該区画が物体の外面を囲む凹面または物体の内面に向けた凸面で構成されている光源装置を使用し、該区画を通して該物体に向けて実質的完全円偏光を包含する円偏光を照射して、該物体表面に入射させる円偏光光線群が、反射の法則に従って観測方位に正反射できる全ての入射光線成分を含むようにすることを特徴とする円偏光照明手法。
本発明では、偏光の反射によって反射面の傾斜角を直接に観測する。反射による偏光状態の変化は、計測部でただ1度起こる現象である。この反射現象を除いて、光の伝搬中には偏光状態の変化は起こらない。入射偏光および反射後の射出偏光は、共に、空気や液体などの等方で均一な媒質を通過するので、伝搬中には光の偏光状態には変化を起こさない。したがって、観測環境を選ばず、観測距離にも影響されない点が最大の特徴である。
本発明では、物体の傾斜が直読できる。傾斜の局所的な変化も精密に非接触で観測できることから、簡単な画像処理によって、様々な応用が可能である。特に、環境を選ばないことから、顕微鏡下のナノサイズの試料のダイナミックス計測、悪性腫瘍による***表面の局所的な窪みを抽出するなどの人体などの医療診断、さらには、衛星画像による計測応用など、さまざまな環境での新規の検知及び/又は計測装置を提供でき、さらにそれを広範に応用できる。
さらにまた、本発明によれば、偏光カメラ等によって記録された、試料の2次元偏光像を解析して、試料の内面を含む表面の3次元傾斜と形状を精密計測できる3次元形状・傾斜計測装置で最適に用いることのできる円偏光照明装置が得られる。とくに、期待されるエリプソメトリーの計測精度1%〜0.1%を実現する構成が得られる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
【図1】球状の試料に入射した光線(太線)が各反射点で反射され、観測方位に反射される様子を示す。観測方位はz軸方向であり、x-y平面での反射の場合、反射の法則で反射光線がz軸と平行になる様子が描かれている。試料は透明であるものとしてある。
【図2】球状の試料の観測面(円となる)及び該観測面である円内部の観測点での光の偏光状態を模式的に示す。偏光の状態が、図中に楕円で示されているが、楕円の主軸方位が入射面に直交している。接平面の法線が観測方向であるz軸と成す角であって、屈折率n=1.5の媒質の偏光角φ=56°付近では、楕円率ε=0の直線偏光を経由することから、該直線偏光の内側領域(入射角がある特定の媒質の偏光角より小さい領域)を円形に影を付して示してある。影の付された領域では、左回り、影の外側の試料観測面周辺部では右回りの偏光となる。試料は透明であるものとしてある。試料が透明な細胞などの場合に該当する。
【図3】試料に吸収がある場合の図2に対応する球状の試料の観測面及び該観測面である円内部の観測点での光の偏光状態を模式的に示す。偏光の状態が、図中に楕円で示されているが、楕円の方位角が所定の量だけ回転していることがわかる。試料がアルミニウムなどの吸収体などの場合に該当する。
【図4】試料として屈折率n=1.5のガラスが空気中にある場合の入射角と偏光状態tanΨcosΔ及びtanΨsinΔとの関係を計算した結果を示す。試料が透明な細胞などの場合に該当する。
【図5】試料として屈折率n=1.5のガラスが空気中にある場合の入射角とp-s偏光成分の強度反射率との関係を計算した結果を示す。試料が透明な細胞などの場合に該当する。
【図6】試料が吸収体である場合の入射角と複素振幅反射率比Rp/Rsとの関係を計算した結果を示す。試料として酸化されたアルミニウム表面のものを想定し、波長405nm(青色発光ダイオード波長)での複素平面表示で示してある。なお、吸収があるので複素屈折率は、0.6−5.04iである。試料が金属などである場合に該当する。
【図7】試料が吸収体である場合の入射角と複素振幅反射率比Rp/RsのΨ及びΔとの関係を計算した結果を示す。試料として酸化されたアルミニウム表面のものを想定し、波長405nm(青色発光ダイオード波長)でのものである。なお、吸収があるので複素屈折率は、0.6−5.04iである。試料が金属などである場合に該当する。
【図8】試料としてアルミニウム(酸化されたアルミニウム表面を持つ)が空気中にある場合の入射角とp-s偏光成分の強度反射率との関係を計算した結果を示す。なお、吸収があるので複素屈折率は、0.6−5.04iである。試料が金属などの場合に該当する。波長405nm(青色発光ダイオード波長)での値である。
【図9】本発明の形状計測光学装置の一つである形状計測望遠鏡の構成を示す。最も簡単な基本構成で装置が示してある。
【図10】本発明の形状計測光学装置の一つである形状計測顕微鏡の構成を示す。最も簡単な基本構成の一つで装置が示してある。
【図11】本発明の形状計測光学装置の一つの構成を示す。最も単純化された基本構成の一つで装置が示してある。
【図12】本発明の形状計測光学装置の一つの構成例を示す。
【図13】本発明の形状計測光学装置の別の一つの構成例を示す。
【図14】本発明の形状計測光学装置の一つであるマンモグラフィーの構成例を示す。
【図15】本発明の形状計測光学装置の一つであるマンモグラフィーのべつの構成例を示す。
【図16】本発明で利用される直交ユニットの一つの構成を示す。
【図17】本発明の形状計測光学装置の一つの構成例を模式的に示す。
【図18】本発明の形状計測光学装置の別の一つの構成例を模式的に示す。
【図19】2次元面内に規定されたエリプソメトリーの概念を、3次元物体の内面を含む表面の正反射に拡張する場合を説明する図である。物体表面を円偏光で一様に照明し、正反射光をz方向から観測すると、z方向から見える表面内の任意の反射点で,反射の法則を満たす“明るい”正反射0次光成分光線が存在する。入射面は、入射光線と反射面の法線を含む面として定義され、反射面に垂直な法線ベクトルは、必ず入射面内に含まれ、反射角(=入射角)は法線ベクトルがz軸と成す角に等しく、任意のz方向に進む光線について、入射面の方位角と入射角が決定できれば法線ベクトルが決定される。
【図20】円偏光照明下でz方向から観測される反射偏光の楕円を示す。(a)は、誘電体試料による反射の場合を示し、(b)は、金属試料による反射の場合を示す。
【図21】右円偏光入射での観測楕円率角と入射角余弦の変換テーブルを示す。
【図22】物体表面を構成する傾斜面に円偏光を入射し、規定された観察方位に正反射される反射光線の偏光特性を用いて該傾斜面の三次元傾斜角および該傾斜面を成す該物体の形状を計測する傾斜・形状計測法の実験に使用した装置を示す。
【図23】図22の装置を使用して角錐台と半球を観測した結果を、左側と右側に並べて示す。上からa)楕円率角観測値、b)方位角観測値、c)試料写真である。
【図24】偏光子と検光子を一直線上に配置して、偏光子の透過軸を方位角0°に固定し、検光子の透過軸の方位をθとした場合の、透過光の強度変化を実線で示す。この強度変化を、右縦軸の目盛りに従って対数で示したものを、破線で表してある。
【図25】種々の消光率の偏光子によるマリュスの法則を観測強度Iの消光位置付近の方位角変化で示したものである。
【図26】複屈折を利用する位相子の位相角は原理的に入射角依存性を示すが、そうした場合、許容角度範囲が必要な精度に依存して限定される様子を説明するものである。
【図27】位相子の位相角と入射角との関係を平均屈折率1.5、1.4、1.0について計算した例を示す。
【図28】所定の精度で完全円偏光を生成するのに、偏光素子に対する光線の入射角または出射角を所定の許容角度範囲に収める必要があること、そして、許容角度を示す円内に内接する正多角形を要素とすると、それが満足できることを示す。
【図29】面発光光源に円偏光子を張り合わせることでコンパクトに構成されている照明区画の一例を示す。
【図30】光源装置の照明区画内に照明角度原点基準を有するものを構成した場合の一例を示す。
【図31】光源装置において、測定対象物体に正対する正多角形を照明区画と成す照明領域の構成例を示すものである。
【図32】光源装置において、測定対象物体に正対する正八面体を照明区画と成す照明領域の構成にファイバー光源を組合せた形態の構成の一例を示すものである。
【図33】本発明の円偏光照明装置の具体例の一つを示す。
【図34】本発明の円偏光照明装置の具体例の別の一つを示す。
【図35】本発明に従っての内面形状観察の場合の具体例の一つを示す。
【図36】本発明に従っての内面形状観察の場合の別の具体例の一つを示す。
【図37】一端を封じられた内面形状観察の場合の、本発明に従っての具体例の一つを示す。
【図38】一端を封じられた内面形状観察の場合の、本発明に従っての他の具体例の一つを示す。
【図39】回転放物面を成す試料の内面形状を例に、内面形状観察の場合の、本発明に従っての他の具体例の一つを示す。
【図40】回転楕円面を成す試料の内面形状を例に、内面形状観察の場合の、本発明に従っての他の具体例の一つを示す。
【発明を実施するための形態】
本発明では、電場及び磁場が特定の方向にしか振動していない光である偏光が物質表面で反射されたとき、光の電気ベクトルのp成分(電気ベクトルが入射面に対して平行な方向の成分)とs成分(電気ベクトルが入射面に対して垂直な方向の成分)とで振幅と位相の変化が異なることより、反射光では偏光状態が変化すること、そして(1)当該「偏光状態変化の基準は入射面方位」にあって、この偏光状態の変化は、(2)「入射角に対して単調な関数」であることを利用すれば、反射光の偏光状態を計測して、計測値から入射面の方位と入射角を算出できて、試料である物質表面であって且つ入射光を反射している微斜面、すなわち、接平面の傾斜を決定することができ、そして当該観測物質の表面は、観測視野内で連続であるとすることも利用することにより、決定された微斜面の傾斜を滑らかに接続することで、三次元形状を再現するなどの形状を検知及び/又は計測するという技術を提供している。
本発明では、制御された既知の偏り(例えば右円偏光)を有する偏光を、滑らかな表面(界面)を持つ試料物質(例えば透明な球形細胞)に周辺から一様に照射し、そして、この試料を空間的に固定された観測方位から偏光像として観測することを通して、試料の形状・傾斜検知及び/又は形状・傾斜計測を可能としている技術を提供している。
かくして、本発明は、偏光の反射特性を利用して光軸方向の座標も含めて、試料の三次元形状を決定できる技術である。
本発明では、光に対する全ての物質で共通な性質、すなわち、(a)複素振幅反射率比ρは、入射角φ=0ラジアン=0°で−1であり、φ=π/2ラジアン=90°で1であること並びに(b)入射角φが0からπ/2まで変化すると、複素平面上で複素量ρは−1から1まで単調に変化し、途中でρの実数部が0の虚軸(Δ=±π/2)を必ず通過することという二つの性質に、特定の構成、すなわち、試料周辺から円偏光で一様に照明し、鏡面反射光の偏光状態を空間的に固定された方向から観測する構成を組み合わせることによって、試料断面座標上の所定の反射点で観測された反射楕円偏光の形状から、該反射点の入射面の傾きと入射角(=反射角)を計測する、そして、さらに、計測された反射点の反射面を試料断面内の計測点間で順次滑らかに接続することで試料の形状を再構築するなどといった簡便で汎用な形状・傾斜検知及び/又は形状・傾斜計測と解析手法を提供するものである。
本発明は、上記技術を実現する形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置及び物体情報の抽出法を提供するものである。
本発明で利用する偏光計測は、従来技術の精密偏光解析法であるエリプソメトリーに関連する。エリプソメトリーは、物体表面で反射する光(一般には電磁波)の基本的な特性である「偏り」の性質を利用して、薄膜試料の屈折率と膜厚を精密計測する方法、あるいは、試料表面の光学的性質を精密計測する方法など、試料の光学的性質を計測する方法として古くから知られている。
一方、本発明の物体表面傾斜角の計測原理は、エリプソメトリーを、従来は全く用いられたことのない幾何学的な形状の精密計測に適用し、“傾斜エリプソメトリー”という新しい概念を提供する。
図1に示すように、試料の形状計測を目的として、特定の偏光状態(例えば右円偏光)の完全偏光を、滑らかな表面または界面を持つ試料物体(例えば透明な球形細胞)に周辺から一様に照射する。この試料を空間的に固定された観測方位から偏光像として観測する。観測方位をz方向とすると、z方向に反射される光線は、それぞれ、試料の表面(界面)を形成する微斜面(接平面)で鏡面反射された微斜面成分から成る。この「微斜面成分」は、「微斜面での反射の法則を満たす反射の結果」として生じている。ここで、実際の物質表面での反射では、光の波長に対して無視できない大きさの表面粗さを含む場合は、反射光は一般に部分偏光となる。しかし、全ての部分偏光は、完全偏光成分と非偏光成分との和で記述され、エリプソメトリーでは、既知の完全偏光を入射して、反射される完全偏光成分の偏光状態を計測対象とする。非偏光成分は、必要に応じて偏光度として計測する。
ここでは、先ず、標準的なエリプソメトリーで扱う完全偏光の場合を考える。
微斜面の反射は、観測方向が固定されているために、接平面の法線の傾きで定義できる。
例えば、観測方向であるz軸と成す角φ1と、z軸を回転軸としたx軸からの回転角θ1で記述できる。θ1は接平面の法線のx-y平面への射影成分の偏角に等しい。
図1に例示する球状の試料では、偏角0°のx-y平面内での反射を例に取ると、入射光線がそれぞれの反射点に太線で示されるように入射した場合に反射の法則を満たし、反射光線はz軸と平行になる。図1から明らかなように、接平面の法線の傾きφ1とθ1が、それぞれ、光線の入射角と入射面の偏角に等しい。
物質表面での光の反射では、一般に光の振幅と位相が変化するために、複素振幅反射率で反射特性が記述できる。光の偏りを考慮すると、複素振幅反射率は、入射面(入射光線と反射面の法線を含む面で定義される)内の偏りの成分である p 成分と、入射面に垂直(表面に平行)な s 成分とで異なった値をとる。入射する光の
楕円偏光は、二つの実変数で記述できる。楕円の主軸方位角と楕円率をとれば、「主軸方位角変化の基準はp-方向であり、接平面の法線を含む入射面方位に一致」する。また、楕円率の変化は、「入射角に対して単調な関数」である。本発明の傾斜エリプソメトリーでは、この2つの性質を利用して、反射完全偏光成分の偏光楕円を計測して、楕円の主軸方位角計測値から入射面の方位を決定するステップ1と、楕円の楕円率の計測値から入射角依存性の理論値を利用して算出するステップ2から、光の反射点における微斜面の傾斜を決定する。
即ち、本発明では、試料の形状・傾斜検知及び/又は形状・傾斜計測を目的として、制御された既知の偏り(例えば右円偏光)を有する完全偏光を、滑らかな表面(界面)を持つ試料物質(例えば透明な球形細胞)に周辺から一様に照射する。この試料を空間的に固定された観測方位から偏光像として観測する。
円偏光照明の場合を具体的に考察してみる。以下の記述では、特に断らない限り、偏光は偏光楕円の形がただ一つに決まった完全偏光である。具体的に円偏光を入射する条件で、透明体の表面で反射される光の偏光楕円を計算すると、図2に示すような楕円偏光群となる。図2の中央の「左」は左円偏光を、周辺の「右」は右円偏光が反射されることを示す。φ=0°の垂直入射では、反射によって光の進行方向が逆転するために偏光の回転方向が逆転し、入射された右回り円偏光は左回り円偏光として反射される。また、φ=90°のすれすれ入射では、物理現象の連続性から、入射光の偏光状態は変化せずにそのままの偏光状態で反射される。これらは、入射角φに関する境界条件に対応していて、空間の幾何学的な性質に起因するので透明体でも吸収体でも成立し、試料物質によらない。
物理現象の連続性から、右または左円偏光を入射した場合は、入射角を変化することで、反射偏光状態は、全ての物質で左(右)円偏光から右(左)円偏光まで連続に変化し、中間で必ず直線偏光状態を経由する。したがって、楕円の楕円率角で表せば、−45°から+45°まで単調増加する。つまり、円偏光入射では、入射角変化の変域は偏光状態の変域と一致していて、最大の感度が保証されている。なお、負の楕円率角は左回り、正は右回りの偏光を示す。
なお、以下の本明細書の記載において、適宜、反射による偏光状態の変化について、透明な球形細胞と吸収のある金属光沢球の場合の計算例を示す。試料に吸収がある場合にも、図1の反射の法則が成立する。しかし、偏光状態の入射角依存性は、試料に吸収がある場合は、図2から変化し、例えば、Alが表面を覆っている球では、図3のように楕円の方位角が45°回転する。この回転は、全ての反射で系統的に所定の量だけ発生する。従って、微斜面の傾斜角を算出する際にz軸の周りに一定偏角のオフセットを生じる。反射面の素材によって偏光状態が変化する様子を知るには、エリプソメトリーの解析理論が適用できる。また、このデータを用いて、球形試料に限らず、一般形状の試料の表面が観測視野内で連続であることから、決定された微斜面の傾斜を滑らかに接続することで、3次元形状が再現できる。
物体の滑らかな表面を計測するには、反射点での物体の深さ方向のz軸成分の座標z1を決定すればよい。通常の顕微鏡観察では、座標z1は決定できない。本発明の傾斜エリプソメトリーでは、偏光の反射特性を利用して反射点(x1,y1,z1) の接平面の傾斜として、z1での偏微分係数を決定できる。
一般に、顕微観測などの結像系では、倍率や観測方向を選ぶことで物質表面が十分滑らかな状態で観測できるから、接平面を成す微斜面を滑らかに接続する積分操作で、z1を順次決定することができる。
なお、接続を開始する座標は任意で、例えば観測画面中心から出発して、周辺へ接続を広げればよい。つまり、画面中のz座標は、相対値が決定できれば形を決定できる。
φ=56°付近の屈折率n=1.5の媒質の偏光角(Brewster 角 φB=tan-1n)では、ε=0の直線偏光を経由する。図2の中心部で、入射角がφBより小さい領域(直線偏光の内側)では(図2の試料輪郭線の円の内側に円形に影をつけて示す)、左回り偏光群が観察され、図2に示される影の外側の試料周辺部では、右回りの偏光群が観察されて、楕円率ε1から入射角φ1が、楕円の方位角から入射面の偏角θ1が計測できる。
しかし、偏光状態の入射角依存性は、試料に吸収がある場合は、図2から変化し、例えば、Alが表面を覆っている球では、図3のように楕円の方位角が45°回転する。この回転は、全ての反射で系統的に所定の量だけ発生する。従って、微斜面の傾斜角を算出する際にz軸の周りに一定偏角のオフセットを生じる。反射面の素材によって偏光状態が変化する様子を知るには、エリプソメトリーの解析理論が適用できる。よって、表面形状は同じ手法で再構築できる。
反射による偏光状態の変化は、物質の複素屈折率によって次のように定式化できる。
観測される反射偏光状態は、試料の反射点での複素振幅反射率のp-s成分の比
複素変数ρは、エリプソメトリー法(エリプソメトリー)のパラメーターであり〔山本正樹、「偏光測定と偏光解析法」、小瀬輝次 他編、「光工学ハンドブック」、朝倉書店、1986、pp. 411-427(非特許文献2)、特にはその(2.5.38)式を参照、非特許文献2では複素振幅反射率比ρとして記載されている〕、実際に計測される実変数Ψ・Δは複素変数ρの極座標表示に相当する。
光の偏光状態を、光の電気ベクトルの水平成分Exと垂直成分Eyを成分とするジョーンズベクトル
右回りの円偏光
試料が透明な場合、ρ1は
試料が金属である場合など、一般には、ρ1は複素数である。ここで、理論計算の基準は入射面方向であるp-方向であることに注意して、エリプソメトリーの手法〔山本正樹、「偏光測定と偏光解析法」、小瀬輝次 他編、「光工学ハンドブック」、朝倉書店、1986、p. 420(非特許文献2)参照、特にはそこに開示の(2.5.36)式参照〕を用いて、反射楕円偏光のp-方向を基準としたジョーンズベクトル成分の比
かくして、試料に吸収がある場合は、まずステップ2によって、実測楕円率と一致する理論楕円率を与える入射角をユニークに決定できる。しかる後に、その入射角での偏光楕円の主軸の方位角の理論値から、ステップ1の入射面の方位角を決定する。 計測の精度は、完全偏光の偏光状態を計測の対象とする通常のエリプソメトリー技術では、Ψ,Δで0.01°から0.001°である。計測されたΨ1,Δ1は、共に試料への入射角φ1の関数であり、入射角の計測精度も次に示すように、同等の0.01°から0.001°が達成できる。
次に、複素振幅反射率比の計算について説明する。
反射偏光の入射角依存性は、複素振幅反射率比ρを試料の光学的な性質を表す適当な光学モデルで計算して知ることができる。バルクの試料では、単純なフレネル振幅反射係数の比で記述できて、透明体でも吸収体でも共通の式で
一般に、媒質は透明で屈折率は実数であり、入射角も実数だから、スネルの法則の左辺は実数である。従って、右辺も実数となる必要があり、吸収のある物質では、屈折角も複素数となる。
図4では、透明な試料に対する変化を説明するために、屈折率n=1.5のガラスが空気中にある場合の計算例を示している。透明な物質では消衰係数k=0だから、ρの虚数部は常に0である。実数部は、入射角φが0°から90°まで増加すると、図示のように−1から1まで単調に変化する。
右円偏光で照明すると、偏光状態は、左円偏光から右円偏光まで変化する。途中の偏光角では直線偏光を通過する。したがって、楕円の楕円率角で表せば、−45°から+45°まで単調増加する。なお、負の楕円率角は左回り、正は右回りの偏光を示す。
図5は、図4で示した試料でのp-s偏光成分の強度反射率の入射角依存性を示す。
図6には、吸収体の試料での入射角依存性の例として、波長405nmでのAl試料でのρの入射角依存性を複素平面表示で示す。吸収があるために複素屈折率
入射角φが0°から90°まで増加すると、図示のように、−1から1まで単調に変化する点は透明体と同様である。しかし、Alの吸収のために虚数部がゼロとならず、途中の変化は大きく異なる。Alの場合には、むしろ、半径1の円に沿った変化で、図7に示すように、Ψ・Δが特徴的な振る舞いをする。また、図8に示す強度反射率の変化から想定されるように、p-偏光もs-偏光も反射率が高く、Ψはほぼ40°から45°の間で一定である。s-偏光反射率がp-偏光反射率よりも高いという物質の共通な性質により、Ψの最大値は45°であると考えてよい。
従って、吸収の大きい金属体などでは、図7に示すように、Δに180°(図6の複素平面上で−1に相当する)から0°(図6の複素平面上で+1に相当する)までの大きな変化が起こる。右円偏光で照明すると、偏光状態は、図7中の枠内に示すように左円偏光から右円偏光まで変化する点、途中のΔ=±90°(図6の実軸上)の主入射角ではでは直線偏光を通過する点は、透明体の場合と全く同様である。但し、観測される全ての偏光は、入射面からΨに等しい方位角だけ傾く。図7の例ではΨは常にほぼ45°傾くことになり、途中の楕円も、直線偏光も、図3に示すように一様に45°傾く(円は傾いても円)。
本発明の方法は、試料表面がバルクと異なる場合、例えば、表面が酸化膜や細胞膜などに覆われている場合にも有効である。この場合、反射面を光学的にモデル化して複素変数ρを計算し、観測された偏光状態の変化と対応付けを行えばよい。この解析計算部分には、従来技術のエリプソメトリーで行われている方法論がそのまま使用できる。つまり、光が反射して、完全偏光成分の偏光状態の変化が観測できる限り、観測値をどの様に利用し、どのような情報を抽出するかについては、エリプソメトリー技術の手法を導入すればよい。
エリプソメトリー技術については、例えば、H. G. Tompkins and W. A. McGahan, Spectroscopic EIlipsometry and Reflectometry: A User's Guide, John Wiley & Sons, New York, 1999; H. G. Tompkins, A User's Guide to Elllipsometry, Academic Press, San Diego, l993; R. M. A. Azzam and N. M. Bashara, EIlipsometry and Polarized Light, North Holland Press, Amsterdam, 1977, Second Edition, l987; R. M. A. Azzam, Selected Papers on EIIipsometry, SPIE Milestone Series MS27, l99l; Spectroscopic EIlipsometry, A. C. Boccara, C. Pickering, J. Rivory, eds, Elsevier Publishing, Amsterdam, 1993; 藤原裕之著、分光エリプソメトリー、丸善株式会社、2003 (ISBN 978-4-621-07253-0)などを参照することができ、そこに引用されている文献とともにその内容は本明細書に開示に含められる。
上記では、物体表面で反射されて特定の方位角に射出された光線群の完全偏光成分の偏光楕円の観測方位角値から入射面の方位を知るステップ1としては、偏光楕円の観測方位角理論値から入射面の方位を知ることができるものを説明してきたが、例えば、下記で説明するように、照明装置として右円偏光と左円偏光とをそれぞれ切り替えて入射させることのできるものなどを使用し、すなわち、物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態の光を一様に入射させる照明装置において、右円偏光と左円偏光を切り替えて入射せしめることで、反射偏光楕円の観測方位角理論値が物体の表面の反射光学特性に無関係に入射面に対称に切り替わることを利用して入射面方位を特定するものであってもよい。
本発明を、表面が酸化膜や細胞膜などに覆われている試料に適用したばあい、例えば、膜の厚さの変化や表面に付着している汚れなどを容易に検知できる。従って、製造ラインでの不良品形状・汚れ監視装置などへの応用が考えられる。
光源は、左または右円偏光パネル、左右円偏光切り替えパネル、偏光フィルムを備えた発光ダイオード利用パネルなどが包含され、さらに、当該分野で光学顕微鏡、共焦点顕微鏡、蛍光顕微鏡、偏光顕微鏡などのための光源として知られたものの中から適宜適切なものを選択して使用でき、所望の目的を達成できる限り特に制限はないが、例えば、白色光源、コヒレント光を出すレーザー光源などが挙げられる。代表的な光源としては、ハロゲンランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、グローバーランプ、ヘリウムネオン(He-Ne)レーザー、YAGレーザー、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどのHIDランプ(high intensity discharge lamps)などが挙げられる。光源は、408nm紫レーザダイオードなどの短波長レーザ光源と白色光源とを用いた2way光源方式など、入射光線を既知とする、入射面方位角と入射角の基準原点を包含する複数の光源を備えているものであってもよいし、あるいは単独の光源を備えるものであってもよい。光源としては、上記した発光源よりの光を1/4波長板と直線偏光子板を透過せしめるように構成したもの、あるいは、直線偏光子フィルムに1/4波長フィルムを貼りあわせたものを、例えば、観察物体を囲むようにしたものを通して、上記した発光源よりの光を照射できるようにしたもののなどが包含されてよい。
当該光を受光素子などを備える光センサで電気信号に変換することができる。光センサとしては、例えば、フォトダイオード、ダイオードアレイ、電荷結合素子(charge coupled device, CCD)型撮像素子(image sensor)、CMOS型撮像素子なども包含されてよく、さらに、光電子増倍管(photomultiplier, PMT)などと組み合わされていてよい。
本発明の技術では、エプソメトリーでもって、光学的な性質を決定することを同時に行う方法並びに装置も包含されて良い。例えば、本発明の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置における照明装置は、空間的に特定された入射光線を計測基準原点として含み、偏光画像検出装置によって特定した反射点における偏光楕円の観測値から、該反射面の光学的性質を特定できるものであることができる。このように構成すると、照明中で色を変えたり、穴を開けておいたりして、偏光画像中の1点でエプソメトリー計測することが可能である。
非偏光を入射した場合は、入射ストークスパラメーターを非偏光に置きなおして、
ロボティックス分野での形状計測では、偏光度の入射角依存性を利用する。部分偏光の偏光度Vは完全偏光成分の部分偏光に対する割合として、
非偏光照明下の形状計測の適用範囲が透明物体に限定される理由は、このΨ1の絶対値の入射角依存性を利用するという限定された計測条件にある。また、極小値を持つ遇関数であることから、同一の偏光度を与える入射角が2つ存在し、真の値を判別するアルゴリズムの工夫も必要となる(D. Miyazaki, M. Saito, Y. Sato, K. Ikeuchi, "Determining surface orientations of transparent objects based on polarization degrees in visible and infrared wavelengths," J. Opt. Soc. Am. A, 19(4), pp.687-694, 2002)。本発明ではΨ1は符号付きで決定できるので、これらのアルゴリズムは不要である。
吸収が大きい場合は、図6および図7で示すように一般にΨ1の入射角依存性が小さい。従って、このような試料物体では、ロボティックス応用の非偏光照明による形状計測は出来ない。本発明の方法が適用できず、非偏光照明を適用したい特殊な応用の場合には、物体が透明な波長の光を用いる。物体が透明な波長の光とは、複素屈折率n−ikの虚数部の消衰係数kが小さい場合で、例えば、対象物体がSiなどでは、赤外領域では透明である。非偏光照明での計測は、例えば、太陽光など、偏光させることができない光源によって計測する場合で、本発明の開示した理論体系によれば、検出する波長を物体が透明な波長に設定することで計測感度が向上できることが明らかである。上記したように、非偏光照明では、Δの情報が失われるので、Ψの情報だけで入射角依存性を計測する。直線検光子だけあれば計測が可能であるが、一般には、照明光が非偏光であることを確認するには位相子が必要となる。
ところで、軟X線領域では全ての物質が透明になる。軟X線領域でも、偏光子と位相子が開発されており、放射光光源やレーザー生成プラズマ軟X線光源などで、本発明の検知及び/又は計測を実施できる。このような場合、物質の反射率は極度に小さいので、すれすれ入射に近い領域を主として使うことが好ましい。
<表面傾斜角データの直接応用:基準化された形状データ>
本発明の応用は、以上に説明した応用に限られない。傾斜エリプソメトリーで計測できる表面傾斜角データは、形状計測に限らず、物体形状のサンプリングと統計処理などによるデーターベース構築などへも応用できると考えられる。本発明の方法、例えば、傾斜エリプソメトリーでは、倍率を変えた計測に対しても表面の傾斜を記録するので、形状に関する情報だけを抽出する。
従って、個体差で大きさが変わっても、形状を基準化できる。
さらに、本発明の傾斜エリプソメトリーの方法は、全ての電磁波に適用できる。特に、他の干渉を利用する方法と異なり、白色光をそのまま利用できる。従って、紫外光などの、吸収係数が大きく、光の侵入深さが小さい波長で形状を計測すれば、他の波長での計測結果で侵入深さの範囲の表面領域特性を評価できる。例えば、複素屈折率の波長分散は、3変数程度の分散式で記述できることから、表面の光学特性をより詳細に知ることが出来る。
さらに、本発明の傾斜エリプソメトリーの傾斜角計測は、入射角に敏感であり、外乱による振動などに起因する横シフトや縦シフト成分には感度が無い。従って、通常の環境における精密測定に適している。
例えば、人体や***などの部分の観測に適用することで、傾斜を直読できる。悪性腫瘍などは、皮下において正常細胞とは組織や力学特性が異なり、不均一である。従って、医師による触診でも診断がなされているが、本発明の傾斜エリプソメトリーを適用することにより、僅かな窪みや***などの局所的な変形は、データの微分量として容易に検出できる。特に、患者の姿勢の変化などによる***の変形を観測することにより、変形の様態が一様な正常細胞部分と明瞭に区別できることが期待できる。所定の変形には、気体流などを利用して皮膚への一定圧力を加えたり、必要に応じて***表面を走査したりすることもできる。また、体温に合わせた液体中に***が包まれる構成として、液体流を利用して更に大きな圧力変化を与えて観測することで、より深い部位の変形異常を見出すことが期待できる。観測波長を選ぶことで、腫瘍周辺に発達した血管組織の特徴を検出できる可能性もある。人体などの生体組織の光学的な観測では、散乱現象と照明光のコヒーレンスを積極的に取り込んだ光散乱計測法が発展している。この研究展開に、本明細書で開示した、「反射部分偏光の完全偏光成分の光学特性が特徴的な入射角依存性を持つ」ことを取り込むことで新たな研究進展がありうる。
本発明の傾斜エリプソメトリーでは、傾斜の直読を画像の取得と同時に行えることから、時間変化を記録することで、画像中の局所的な微細な変形を検知できる。この機能は、例えば、細胞の***やアポトーシスなどのダイナミックスを研究する上で、前駆現象を捉えるなどの応用に発展し得る。
同様な応用は、例えば、衛星画像による地表の変形の検知や海洋表面の変形の検知などへも適用が考えられる。この場合は、照明光は無限遠方からの太陽光であり、図1の光線方向を逆転した観測になるが、反射の原理は同一である。更には、電波よる計測にも適用できる。
その他、他の方法が適用しにくい液体や液滴表面の形状やダイナミクスを観測する応用にも有用である。融液中で成長する結晶のファセットやステップの観測などがこれに当たる。この計測対象は、気体中の液体、あるいは液体中の気体の界面へ一般化できる。同様に、固体と液体の界面、さらには、密度の異なる液体中の液体、気体中の気体、固体中の固体など、反射を起こし得る全ての物質界面へ適用が広がる。これらは、従来の干渉計測法などでは計測が不可能であったり困難である対象である。
<極端環境下の観測>
本発明の傾斜エリプソメトリーは、さらに、リモートセンシング法であることから、高温下、高圧化などの通常の方法を適用することが困難な環境下での定型、不定形の物体の形状の計測とダイナミックスの計測にも有用であると考えられる。
本発明の第2の実施形態に属する実施例としては、図10で示すような形状計測顕微鏡が挙げられる。該形状計測顕微鏡に関し、第1の実施例としては、照明光を右または左円偏光とする場合である。そして、第2の実施例としては、左右円偏光を切り替える場合である。
I. 複素振幅反射率比ρは、入射角φ=0°で−1であり、φ=90°で1であること
II. 入射角φが0°から90°まで変化すると、複素平面上でρは−1から1まで単調に変化し、途中でρの実数部が0の虚軸(Δ=±90°)を必ず通過すること
という2つの反射偏光特性に着目し、特定の構成を組み合わせる。すなわち、試料周辺から円偏光で一様に照明し、鏡面反射光の偏光状態を空間的に固定された方向から観測して、試料断面座標上の任意の反射点について、観測された反射楕円偏光の形状から該反射点の入射面の傾きと入射角(=反射角)を計測する。傾斜のその場観測データを直接に活用できるほか、さらに、計測された反射点の反射面を試料断面内の計測点間で順次滑らかに接続することで試料の形状を再構築する3次元形状計測応用などに利用でき、当該3次元形状計測応用では、非偏光照明で透明体に限定されて発展しているロボティックス応用の既手法の精度を完全偏光照明で改善して、簡便で汎用な形状・傾斜検知及び/又は形状計測と解析手法を提供するものである。
以下では、本発明の実施形態に属する具体例を示しながら、本発明の態様を説明するが、それは単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのもので、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。全ての実施例は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
本発明の第1の実施形態に属する実施例としては、縮小光学系装置である形状計測望遠鏡が挙げられる。図9に、該形状計測望遠鏡に関し、最も簡単な構成でもって装置が示してある。本構成は、縮小光学系装置に適用できるもので、勿論、カメラなどにも適用できる。
本発明の形状・傾斜計測光学装置における照明装置は、図9では、円偏光照明装置として示してある。該円偏光照明装置は、試料周辺を円偏光パネルで囲うことで実現できる。円偏光パネルの技術要素としては、液晶パネルに類似の要素で構成されていてよく、例えば、発光ダイオードなどの光源、拡散板、直線偏光フィルム、位相子フィルムを含んでいて、輝度が一様な円偏光パネルを構成したものが包含される。実用的には、直線偏光照明となっている液晶パネル表面に位相子フィルムを所定の方位で貼って、円偏光パネルを構成したものであってよい。拡散板を利用して輝度が面内で一様な照明パネルを構成すると、測光の原理で観測方向に無関係に明るさが決まり、形は判別できなくなることになる。したがって、照明装置は、例えば、パネルで構成した箱型としても良いことになる。実質的には、各面に液晶パネルを利用して箱型にして、中に試料を入れることでもよい。
当該偏光子アレイとしては、例えば、画素と同サイズの偏光子が約100万個あるいは所定の数敷き詰められているチップであってよい。例えば、該偏光子アレイは、透過軸方位の少しずつ異なるほぼ正方形の偏光子が敷き詰められ、その偏光子アレイの近接する4画素の輝度を演算することにより、偏光の主軸方向、平均輝度、偏光成分の強さを瞬時に得ることができるものが挙げられる。また、偏光子アレイは、透過軸方位の少しずつ異なる縦長の偏光子が横に並ぶ構成としてあり、波長板アレイは、逆に、横長の波長板が縦に並ぶ構成としてあるものであってよい。
当該カメラの2D偏光検出器からはデータ処理ユニットを経由して、ストークスパラメーターの2次元分布データが出力され、その後のデータ処理系と、表示装置、データ蓄積装置等が配設され、必要な処理が可能となっている。
図9では、右のカメラ部分に、物体の上側部から出た光線がカメラ上の下側部分に結像する様子が模式的に光線で記入してある(光軸からのずれの角度を強調してある)。望遠鏡などの縮小光学系では、一般にこのような構成になり、結像に用いられる物体上の一点から発散する光束の開き角は十分小さいので、偏光状態は一様と見てよいことになる。
本発明の第2の実施形態に属する実施例としては、拡大光学系装置である形状計測顕微鏡が挙げられる。図10に、該形状計測顕微鏡に関し、最も簡単な構成で装置が示してある。本構成は、拡大光学系装置に適用できるもので、目的を達成できる限り特に限定されず、様々な装置に適用できる。
顕微計測などの拡大光学系では、光学系のNA (Numerical Aperture; 開口数)をあげると、試料上の一点から発散する光束のうち、結像系に取り込まれる開き角が大きくなるので、光束内での偏光状態の変化が有意の大きさになることから、一般的には、図10に示したような工夫をする構成となる。
拡大光学系で偏光検出装置に像を作る場合、像の解像度を上げるには、光学系のNAを大きくとることになる。しかし、NAを上げると、試料の1点で反射する成分の取り込み角度が広がるので、入射角にも広がりが出て、入射角の関数である偏光状態に対する解像度は落ちることになる。偏光解像ピンホールは、偏光の解像度を上げたい場合に挿入して使用することになる。かくして、図10で示すように、太い実線でしめす光線成分を取り出すことができる。実際には、偏光解像ピンホールを外して得た高空間分解能の像に、ピンホールを挿入して得られた偏光解像した像を重ねることにより、測定がなされることになる。
本ピンホールの機能は、異方性軸の直交する二つの1/4波長板を一体化したフォトニック結晶波長板アレイを使用して達成するものであることもできる。例えば、異方性軸の異なる二種類の波長板が接合境界の実質上ない形態で接合しているもの、すなわち、偏光縦スリット〔株式会社フォトニックラティス(宮城県仙台市青葉区)〕を使用するものであってよい。
結像の空間解像度が重要でない応用では、結像光学系を省略してしまうこともできる。この場合、さらに単純な構成としてよい。拡大でも縮小でもピンホールと検出器の位置関係で自由に選ぶことが出来る。図11参照。
本発明では、上記構成で複数の偏光画像を取得することが可能なようにしてあってよく、精度を上げることが可能となっているものが好ましい。
ここで、照明装置、偏光画像検出装置、データ処理系などは、実施例1と同様にして構成できる。
本発明の形状・傾斜計測光学装置は、例えば、図12又は13に示す構成図で示されるような装置であってよい。いずれも周知の技術の組み合わせで構成できることは、理解されなければならないし、多くの改変及び変形が可能である。これらの光学系やコリメーターの光学系は、レンズで構成しても良いが、白色光や多波長光を利用する光学系では、鏡を利用して光学系を構成しても良い。図12に示すような構成の場合では、鏡面での位相と振幅の変化は、必要であれば、予め計測して、補正する。折り返し反射鏡は、中央に開口を持たせたものであってよい。代表的な構成では、偏光照明装置と偏光画像検出装置の間の光学系として、反射型結像系、ビームエキスパンダーなどが包含されてよい。
次に、高空間分解強度画像と高分解偏光画像をピンホールの切り替えなしに同時観測するには、例えば、図13に示すような構成とする。代表的な構成では、偏光照明装置と偏光画像検出装置の間の光学系として、結像光学系、穴あき平面鏡などが包含されてよく、さらに強度画像検出装置などが含まれていてよい。
本発明の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置は、例えば、図14又は15に示す構成図で示されるような装置であってよい。本発明の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置は、マンモグラフィーを包含する医療診断装置として構成できる。該医療診断装置は、例えば、人体または***を包含する人体の一部分を検知及び/又は計測物体とし、悪性腫瘍を包含する各種の病変によって引き起こされる表面傾斜角の特異的変化を検知特定するものであることができる。
本発明の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置は、患者を包含する観察物体の姿勢変化を包含する処理によって、所定の変形を与え、変形前後での傾斜角の変化を検知及び/又は計測することを特徴とするものであってよい。所定の変形は、気体流あるいは液体流などによる皮膚への圧力変化を用いるものであってよい。さらに、本発明の形状・傾斜計測光学装置は、照明光を白色光として、皮膚を包含する観察物体表面からの侵入深さが波長とともに変化することを考慮した実質的な反射面として、該反射面の光学特性の変化を検知及び/又は計測することを特徴とするものを包含する。
ここで、照明装置、偏光画像検出装置、データ処理系などは、実施例1と同様にして構成できる。本マンモグラフィー応用などでは、医師がわずかな窪みなどを検知しやすくする肉眼観測用の補助機器としての応用がありえる。当該検知では、患部の凹凸を明暗のコントラストに変換する機能があればよく、必ずしも定量計測を必要としなくてよい。
本発明の形状計測光学装置は、例えば、図16〜18に示す構成図で示されるような装置であってよい。本発明では、偏光状態の検知には、従来技術のエリプソメトリーの原理を利用することができる。
検知すべき偏光状態のうち、楕円率角の符号、すなわち、右回りの偏光と左回りの偏光を判別する必要が無い場合と、楕円率角の符号も含めた計測が必要な場合で偏光計測の構成を大別すると、
(A)偏光楕円の楕円率角の絶対値と方位角θを検知する「回転検光子法」に基づく構成
(B)符号(右回りが+、左回りが−)も含めた楕円率角と方位角を検知する「回転位相子法」に基づく構成
の二つがある。
(A)の「回転検光子法」の場合には、検出は、ポアンカレ球上で、楕円率角が一定のS3軸に垂直な面上のS1、S2の値またはその比を検知する。S3の情報、あるいは楕円の回転方向の情報を必要としないために、1/4波長板などの位相素子を必要としない。
(B)では、S3も含めた、楕円の回転方向も判別するための、1/4波長板などの位相素子を検出光学系に含み、ストークスパラメターを検知できる「回転位相子法」に属する検出技術を用いる。
これらの計測には、既に述べたエリプソメトリーの既存技術を適用すれば良い。
例えば、複数のチャンネルを持った検出器の各チャンネルに方位角θの異なる直線検光子を割り当てて、回転位相子信号を同時に検知し、信号処理によってcosθ信号の位相角(楕円の主軸の方位角)を必要な有効数字桁数の多重ビット信号として出力する。チャンネル数は、最低3つを設置する。チャンネル数を増加して、計測精度を向上してもよい。また、各チャネルが受け持つ検知方位角は、ポアンカレ球のS2、S3面上で互いにできるだけ離れ、且つ、互いに等間隔である配置を基準とする。
二次元偏光検出器の1つのチャンネルには、図16の直交直線偏光像検知ユニット(直交ユニット)を用いる。物体から発する偏光ビームは、偏光ビームスプリッターで直進するp-成分と反射されるs偏光成分とに分割され、それぞれ、結像レンズにより、物体像が2次元検出器上に結像され、直交偏光像出力として取り出される。破線で囲んだユニットを以下では「直交ユニット」と呼ぶ。この直交ユニットから出力される二つの偏光画像は、それぞれ、ポアンカレ球上で対称点に位置する。したがって、例えば、水平直線偏光の方位角0°に偏光検知チャンネルを配置した場合、検知される偏光状態は、水平直線偏光による画像(表チャンネル)と垂直直線偏光画像(裏チャンネル)とで構成される。
(B)のストークスパラメーター検知方式では、原理的に、1/4波長板などの位相子を用いて、偏光状態の位相を変化させた信号を得る。この場合も、高速読み取りには、回転位相子型の検知の機械的な駆動部を排除する構成が望ましい。検出系の構成は、原理的には(A)での構成と同様で、複数のチャンネルに、特定の検光子を配置する。この場合の検光子は、直線偏光子や円偏光子を含めて、特定の楕円偏光状態に直交する楕円偏光検光子となる。配置の最適構成は、検知すべき偏光状態のポアンカレ球上での分布に対して、最大の感度を得られるように、分布領域内で工夫することができる。この場合、ポアンカレ球上での検知チャンネル数は、三角測量の原理から最低3つとなる。各チャネルは、ポアンカレ球上で特定の検知座標に位置し、チャネル出力は、検知座標からの距離に比例すると考えてよい。例えば、右円偏光子(S3軸=北極)をチャンネルに選ぶと、ポアンカレ球上で直交する左円偏光(−S3軸=南極)が裏チャンネル出力に得られる。楕円偏光検光子に対しても同様で、南半球の左回り楕円に対する楕円検光子では、裏チャンネルには北半球の同一楕円率で方位角が実空間で直交する楕円検光子像が出力される。
偏光状態がポアンカレ球面上の全てにわたる場合は、ポアンカレ球上で直交するS1、S2、S3、軸上の点を取っても良いが、(A)で述べた実空間での等配3軸0°、120°、240°の直線偏光子に加えて、−S3の左円偏光子を加える4チャンネルの構成が一つの最適解である。
二次元像のストークスパラメーターを計測する基本構成を図17に示す。破線で囲まれた部分は円偏光検知の直交ユニットで、1/4波長板と直交ユニットで構成される。白色光を光源とする構成では、通常の1/4波長板の代わりに、波長依存性の少ない全反射の位相とびを利用した1/4波長プリズムを用いても良い。光軸に挿入されている部分反射鏡は、偏光特性を少なくするために、できるだけ垂直入射に近い反射角、または、斜め入射で用いる。光源側から、反射率は、1/3、1/2として、3つの直交ユニットに光を1/3ずつ等配し、それぞれ、(水平直線偏光成分S1、垂直直線偏光成分−S1)、(+45°直線偏光成分S2、−45°直線偏光成分−S2)及び、(右円偏光成分S3、左円偏光成分−S3)の直交偏光成分を検出する。
一般に、ストークスパラメーターの計測精度を上げるには、チャンネル数を増加する。この場合、光軸に沿って部分反射鏡で分割しても良いが、より精密な分割には、プリズム方式が適している。図18の9チャンネルでは、計18の偏光画像出力が得られる。さらに、部分反射鏡を組み合わせて、光軸上で分割すれば、実用上十分な36の回転位相子方式の画像出力が得られる。
本発明の技術は、反射点から広がる反射光束のうち、観測方向へ反射される光線の偏光状態と実質的に同一となる偏光状態を持つ光線群の範囲で偏光計測の精度を確保する必要性を満たす技術である。例えば、偏光カメラが十分遠方にあれば、特別な工夫は不要となるが、像の空間分解能が低下することとなる。一方、偏光カメラが近ければ、像の空間分解能は十分に大きくできるが、偏光状態の計測精度が低下してしまう。両者を両立せしめるのには、例えば、図10、図11で示したような偏光解像ピンホールや図13で示したような穴あき平面鏡を設けた装置が有用である。同様に、検出系のNAをより小さくすれば、入射角計測値の分解能を上げることができる。したがって、こうした構成を採用したものも本発明の技術に包含される。
高精度で知られる消光法のうち、P(偏光子)―S(試料)―C(1/4波長板)―A(検光子)配置を例に説明する。このPSCA配置で、Cは方位角45°に固定する。PとAの方位角を交互に調節して、消光を完成できたとする。この時、偏光子の方位角からΨを、検光子の方位角からΔが決定できる。即ち、偏光子方位角をp方向からΨ傾けた時、試料面で反射後のp偏光とs偏光の成分の強度が等しく、Δの値に関わらず、反射楕円偏光の主軸は方位角45°となる。従って、方位角45°に固定した1/4波長板によって、任意の楕円率角の楕円は、1/4波長板の中性軸から楕円率角だけ傾いた直線偏光に変換される。このとき、楕円率角はΔ/2に等しく、直線偏光を消光しているAの方位角からΔが決定される。
偏光子の性能は、最大透過強度に対する最小透過強度の比で定義される消光率
一般に、
1.偏光子の許容角度範囲が有限で、Glan-Thompsonプリズム型では最大±15°の程度であること。(参照:http://www.b-halle.de/EN/Catalog/Polarizers/Glan-Thompson Polarizing Prisms.php)また、
2.位相子の位相角は、原理的に角度依存性があること。
(1)観測方向から見える物体表面で正反射し、観測方向に進行する反射光線を生成するための全ての入射光線を供給できること。
(2)上記(1)で生成した物体表面の照明光を完全円偏光とするために、照明領域を複数の照明区画で構成すること。
(3)該照明区画は、該区画から所定の角度範囲で所定の精度の完全円偏光を物体に向けて発する機能を有し、該区画の円偏光子以降の入射光線の光路で伝搬光の円偏光状態が乱されないこと。
(4)物体で正反射された結果生じた楕円偏光が、反射光路で、その偏光状態が乱されないこと。
3D傾斜エリプソメトリーでは、一般には物体の光学的性質は既知とする。しかし、既存技術のエリプソメトリー解析によって物体表面の光学特性を既知とする機構を付加することで、物体の光学的性質を決定する機能を付加して、適用範囲を広げることができる。
この場合、
(5)既知の基準光線の入射角と方位角を与える、照明角度原点基準を持つこと。
の要件が加わる。このための構成例を、図30に示す。図30は、本発明に従って光源装置の照明区画内に照明角度原点基準を有するものを構成すればよいことを説明する。図中の破線部が照明角度原点基準であり、他の領域と透過強度あるいは透過波長の特性を変えることによって、偏光画像検出時に画像内で座標を特定する機能を持たせる。
(6)円偏光照明を右円偏光と左円偏光で時間的または空間的に選択する機構を備えること。
の要件が有用である。かくして、本発明に従い、内面を含む、物体表面を構成する傾斜面に円偏光を入射し、規定された観察方位に正反射される反射光線の偏光特性を用いて該傾斜面の三次元傾斜角および該傾斜面を成す該物体の形状・傾斜を計測する傾斜・形状計測法に用いる円偏光照明装置にあっては、該物体表面に入射させる円偏光光線群が、反射の法則に従って観測方位に正反射できる全ての入射光線成分を含ませるための、該物体に正対する平面または曲面から成る円形または矩形、およびその組み合わせの多面体形状の照明区画を備えるように構成し、さらに、該区画が、物体の外面を囲む凹面、または、物体の内面に向けた凸面で構成され、該区画を通して、該物体に向けて実質的完全円偏光を照射できるようにすればよいことが明らかである。本発明ではこうした構成を有している光源装置を備えることを特徴とする円偏光照明装置が提供されることが理解できよう。
これらを満たす最適な実施形態例を以下に示す。
図36は、内面形状観察の他の実施例を示す。本実施例では、円偏光光源と絞りを用いて、光源または絞りのいずれかを試料回転対称軸上を直線駆動走査して重ね撮像する。当該円偏光光源は、光源、光を該区画に導く光学素子、および、円偏光子をこの順に含み、所定の偏光度の完全円偏光を該区画から所定の角度範囲の入射角光線束として射出できる機能を具備せしめるもの、実質的に偏光度99%以上の円偏光光束群を該物体に照明できるもの、光源装置の照明区画が円に内接する正多角形のいずれか、または、その組み合わせから成る多面体区画を成すもの、光ファイバー素子を所定の角度に配置して照明区画に垂直に入射させるもの、少なくとも、点発光源を配列した実質的面光源、及び/又は、面発光光源と、円偏光子とを、この順に含むものなどであってよい。
図38は、一端を封じられた内面形状観察の他の実施例を示す。円偏光光源と絞りを用いて、光源または絞りのいずれかを所定の直線駆動走査で重ね撮像する。
図39は、回転放物面を成す試料の内面形状を例に、内面形状観察の他の実施例を示す。円偏光平行光束を照射する光源と絞りを用いて、偏光カメラで一括撮像することが出来る。
図40は、回転楕円面を成す試料の内面形状を例に、内面形状観察の他の実施例を示す。円偏光光源と絞りを用いて、偏光カメラで一括撮像することが出来る。 上記したように、本発明の技術は、傾斜センサーに応用できる。本発明による新技術として、反射面で傾斜センサーを構成し、リアルタイムで2軸傾斜を計測したい物体の表面・界面に配置することで新たな適用領域の発展が期待できる。この場合、センサーは円偏光照明を備えた1回反射の鏡面で構成できて、2軸の傾斜を直読できる。また、反射回数を2回の直角プリズム型、あるいは、3回のコーナーキューブ型とすれば往復光路型の1軸の傾斜センサーとなり、円偏光レーザーで照明して反射偏光状態で傾斜を計測するリモートセンシング応用が展開できる。 望遠鏡利用の新規応用として、例えば、従来は三角測量が用いられる大型建造物の計測では、必要な箇所に円偏光照明と反射面から成る2軸傾斜センサー、または、コーナーキューブ型の反射センサーによる1軸傾斜センサーを取り付けて、複数個所を同時にリアルタイム計測する応用がある。ビルや橋梁などの大型建造物全体のねじれ変形などの動特性を計測できると期待される。
本発明の円偏光照明装置及び円偏光照明手法を利用して、形状計測カメラ、形状計測望遠鏡、形状計測装置、傾斜センサー、製造ラインでの不良品形状・汚れ監視装置などを開発できる。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Claims (28)
- 物体の表面の反射光学特性を用いて観察物体の表面形状や傾斜を検知及び/又は計測する形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置において、該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置と、該物体表面で正反射し特定の方位角に射出された光線群の完全偏光成分を包含する偏光成分の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置を備え、反射射出された光線ごとに、その入射点を成す該物体の反射面について、偏光楕円を該偏光画像検出装置で計測・解析して得られた偏光楕円の観測方位角値から入射面の方位を知るステップ1と、偏光楕円を該偏光画像検出装置で計測・解析して得られた偏光楕円の楕円率値から入射角度を知るステップ2によって反射面の射出光線に対する傾斜角を測定することを特徴とする形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置が、完全円偏光を包含する円偏光を照明するものであることを特徴とする請求項1に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 偏光楕円の観測方位角値から入射面の方位を知るステップ1が、(1)偏光楕円の観測方位角値から入射面の方位を知るものであること、又は、(2)該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置において、右円偏光と左円偏光を切り替えて入射せしめることで、反射偏光楕円の観測方位角値が物体の表面の反射光学特性に無関係に入射面に対称に切り替わることを利用して入射面方位を特定するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる照明装置が、空間的に特定された入射光線を計測基準原点として含み且つ計測基準原点が入射角と方位角が既知の入射光線であり、偏光画像検出装置によって上記入射光線からの反射光を受光した位置を特定して該受光位置における偏光楕円の観測値から、反射面の光学的性質を特定できるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、反射光を空間的に少なくとも3以上の複数に分割し、互いに異なった特定の偏光楕円を検出できる検光子を複数割り当てて、偏光楕円を並列に同時検知する構造を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 反射光を偏光ビームスプリッターで直進するp成分と反射されるs偏光成分とに分割せしめ、それぞれを、結像レンズにより、2次元検出器上に結像せしめて、直交偏光像出力として物体像が取り出される直交直線偏光像検知ユニットを備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、物体の縮小投影像を得ることで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、物体の拡大投影像を得ることで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、コリメーターを備えることで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、該装置を実質的に無限遠方に配置することで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の偏光楕円を検知する偏光画像検出装置が、ピンホールを備えることで物体表面の光線位置を特定する機構を有するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 人体または***を包含する人体の一部分を上記観察物体とし、悪性腫瘍を包含する各種の病変によって引き起こされる表面傾斜角の特異的変化を検知特定するものであるマンモグラフィーを包含する医療診断装置であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 患者を包含する観察物体の姿勢変化を包含する力学的処理によって、所定の応力による変形を与え、変形前後での傾斜角の変化を検知及び/又は計測することで力学的な特性を抽出することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一に記載の形状・傾斜検知及び/又は計測光学装置。
- 物体の表面の反射光学特性を用いて観察物体の表面形状や傾斜を検知及び/又は計測する光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法であって、照明装置により、該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射せしめ、該物体表面で正反射し特定の方位角に射出された光線群の完全偏光成分を包含する偏光成分の偏光楕円を偏光画像検出装置で検知し、反射射出された光線ごとに、その入射点を成す該物体の反射面について、偏光楕円を該偏光画像検出装置で計測・解析して得られた偏光楕円の観測方位角値から入射面の方位を知り且つ偏光楕円を該偏光画像検出装置で計測・解析して得られた偏光楕円の楕円率値から入射角度を知ることによって反射面の射出光線に対する傾斜角を測定し、測定された傾斜角が該物体表面で滑らかに変化することを利用し、物体情報を抽出することを特徴とする光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
- 人体または***を包含する人体の一部分を上記観察物体とし、悪性腫瘍を包含する各種の病変によって引き起こされる表面傾斜角の特異的変化を検知特定するものであることを特徴とする請求項14に記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
- 患者を包含する観察物体の姿勢変化を包含する処理によって、所定の変形を与え、変形前後での傾斜角の変化を検知及び/又は計測することを特徴とする請求項14に記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
- 入射角と方位角が既知の入射光線を射出する光源を用い、照明光を白色光として、皮膚を包含する観察物体表面からの侵入深さが波長とともに変化することを考慮して該変化する侵入深さに応じて決定された面を実質的な反射面として、該反射面の光学特性の変化を検知及び/又は計測することを特徴とする請求項14に記載の光学的形状・傾斜検知及び/又は計測法。
- 物体の表面の反射光学特性を用いて観察物体の表面形状や傾斜を検知及び/又は計測する形状・傾斜検知及び/又は計測法において、
(1)該物体の周辺を囲んで実質的に既知の完全偏光状態を包含する偏光状態の光を一様に入射させる工程、
(2)偏光画像検出装置を用いて、該物体表面で反射し特定の方位角に射出された光線群の完全偏光成分を包含する偏光成分の偏光楕円を検知する工程、
(3)偏光画像検出装置を用いて、反射射出された光線ごとに、その入射点を成す該物体の反射面、すなわち、微斜面について、偏光楕円の方位角から入射面の方位角、すなわち、接平面の法線の方位角を知る工程、
(4)偏光画像検出装置を用いて、反射射出された光線ごとに、該偏光楕円の楕円率から反射角度、すなわち、入射角度を知る工程、
(5)偏光画像検出装置を用いて、上記工程(3)と(4)で得られた方位角と入射角から反射面の射出光線に対する傾斜角を決定する工程、そして、
(6)接平面を成す微斜面を滑らかに接続して3次元形状を再構成する工程
を含むことを特徴とする形状・傾斜検知及び/又は計測法。 - 物体の形状や傾斜を計測する傾斜・形状計測法に用いる円偏光照明装置であって、内面を含む、物体表面を構成する傾斜面に円偏光を入射し、規定された観察方位に正反射される反射光線の偏光特性を用いて該傾斜面の三次元傾斜角および該傾斜面を成す該物体の形状・傾斜の計測用のもので、且つ、当該円偏光照明装置は光源装置を備えるもので、該光源装置は、該物体に正対する平面または曲面から成る円形または矩形、あるいは、その組み合わせの、多面体形状の照明区画を有し、該区画が、物体の外面を囲む凹面で構成され、該区画を通して該物体に向けて実質的完全円偏光を包含する円偏光を照射でき且つ該物体表面に入射させる円偏光光線群が、反射の法則に従って観測方位に正反射できる全ての入射光線成分を含むようにせしめる光源装置であり、且つ、前記光源装置が(1)少なくとも一点から発散する光束を生成する光源機構と回転楕円体反射鏡を含み、該発散点と物体の位置を該回転楕円体反射鏡の焦点に一致させて配置して、反射によって照明光線を物体に収束せしめることで照明区画に垂直に入射させることを特徴とするもの、あるいは、(2)少なくとも平行な照明光束を生成する光源機構と回転放物面鏡を含み、物体の位置を該回転放物面鏡の焦点に一致させて配置して、反射によって照明光線を物体に収束せしめることで照明区画に垂直に入射させることを特徴とするものであることを特徴とする円偏光照明装置。
- 前記照明区画を有する光源装置が、光源、光を該区画に導く光学素子、および、円偏光子をこの順に含み、所定の偏光度の完全円偏光を包含する円偏光を該区画から所定の角度範囲の入射角光線束として射出できる機能を具備せしめるものであることを特徴とする請求項19に記載の円偏光照明装置。
- 前記照明区画を有する光源装置が、実質的に偏光度99%以上の円偏光光束群を該物体に照明できることを特徴とする請求項19または20に記載の円偏光照明装置。
- 前記光源装置の照明区画が円に内接する正多角形のいずれか、または、その組み合わせから成る多面体区画を成すものであることを特徴とする請求項19〜21のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
- 前記光源装置が、光ファイバー素子を所定の角度に配置して照明区画に垂直に入射させるものであることを特徴とする請求項19〜22のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
- 前記照明区画を有する光源装置が、少なくとも、点発光源を配列した実質的面光源、及び/又は、面発光光源と、円偏光子とを、この順に含むことを特徴とする請求項19〜23のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
- 前記光源装置の照明区画内に照明角度原点基準を有することを特徴とする請求項19〜24のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
- 照明光束の円偏光状態を右円偏光と左円偏光で時間的または空間的に選択する機能を有することを特徴とする請求項19〜25のいずれか一に記載の円偏光照明装置。
- 内面を含む、物体表面を構成する傾斜面に円偏光を入射し、規定された観察方位に正反射される反射光線の偏光特性を用いて該傾斜面の三次元傾斜角および該傾斜面を成す該物体の形状や傾斜を計測する傾斜・形状計測法に用いる円偏光照明手法であって、測定対象物体に正対する平面または曲面から成る円形または矩形、あるいは、その組み合わせの、多面体形状の照明区画を有しており且つ該区画が物体の外面を囲む凹面で構成されている光源装置を使用し、該区画を通して該物体に向けて実質的完全円偏光を包含する円偏光を照射して、該物体表面に入射させる円偏光光線群が、反射の法則に従って観測方位に正反射できる全ての入射光線成分を含むようにし、且つ、前記光源装置は、少なくとも一点から発散する光束を生成する光源機構と回転楕円体反射鏡を含み、該発散点と物体の位置を該回転楕円体反射鏡の焦点に一致させて配置して、反射によって照明光線を物体に収束せしめることで照明区画に垂直に入射させることを特徴とする円偏光照明手法。
- 内面を含む、物体表面を構成する傾斜面に円偏光を入射し、規定された観察方位に正反射される反射光線の偏光特性を用いて該傾斜面の三次元傾斜角および該傾斜面を成す該物体の形状や傾斜を計測する傾斜・形状計測法に用いる円偏光照明手法であって、測定対象物体に正対する平面または曲面から成る円形または矩形、あるいは、その組み合わせの、多面体形状の照明区画を有しており且つ該区画が物体の外面を囲む凹面で構成されている光源装置を使用し、該区画を通して該物体に向けて実質的完全円偏光を包含する円偏光を照射して、該物体表面に入射させる円偏光光線群が、反射の法則に従って観測方位に正反射できる全ての入射光線成分を含むようにし、且つ、前記光源装置は、少なくとも平行な照明光束を生成する光源機構と回転放物面鏡を含み、物体の位置を該回転放物面鏡の焦点に一致させて配置して、反射によって照明光線を物体に収束せしめることで照明区画に垂直に入射させることを特徴とする円偏光照明手法。
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