JP5748576B2 - 現像部材、プロセスカートリッジ、電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、表面層の電気抵抗の低減を図るために、表面層にカーボンブラック等の導電性粒子を添加した場合、表面層の弾性が低下する。その結果、長期間に亘って現像ローラを現像ブレードに当接させた状態で高温高湿(例えば、温度40℃、相対湿度95%)の環境下で放置したときに、現像ローラの現像ブレードとの当接部に、容易に回復しない変形(以降、永久圧縮歪)が生じることがあった。現像ローラの永久圧縮歪が生じた部分では、トナーに対する摩擦電荷付与能やトナーのコート量が異なってくる。そのため、かかる現像部材を用いて電子写真画像を形成した場合、電子写真画像にスジ状の欠陥が生じることがある。
更に、本発明者らは、上記特許文献1に係る現像ローラを用いて、低温低湿(例えば、温度0℃、相対湿度15%)の環境下で電子写真画像の形成を行った。その結果、トナーの微粉が現像ローラに固着し、トナーに対する摩擦電荷付与能が経時的に低下していく場合があった。
そこで、本発明の目的は、多様な環境の下でも安定してトナーに対して適度な摩擦電荷を付与することができ、かつ、その性能が経時的に低下し難い現像部材を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、多様な環境の下でも安定して高品位な電子写真画像を長期に亘って形成することのできる電子写真画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することにある。
以下、現像ローラ1について詳細に説明する。
図2に本発明に係る現像部材である現像ローラの長手方向に対して平行な断面図を示す。表面層4は、少なくともポリウレタンと、カーボンブラックと、分子内にアミノ基を有するアクリル樹脂(以下、アミノ基含有アクリル樹脂という)とを含んでいる。また、表面層4は、ポリウレタンを含有するマトリクス相11とポリウレタンを含有するドメイン相12とからなる相分離構造を有し、アミノ基含有アクリル樹脂が前記ドメイン相に偏在している。
また、アミノ基含有アクリル樹脂が、ドメイン相に偏在されていることで、現像ローラ表面にトナーが融着し難くなっており、現像ローラの経時的な性能変化が抑制される。本発明者らは、特許文献1に係る現像ローラを用いて低温低湿条件下で電子写真画像を形成したときに、現像ローラの表面にトナーが固着する理由について検討した。その結果、当該固着は、以下のようなメカニズムにより生じているものと推測した。すなわち、アミノ基含有アクリル樹脂が均一に分散された表面層を具備する現像ローラは、トナーに対して高い摩擦電荷付与性を有するため、トナーの帯電量が増し、トナーの現像ローラ表面への静電的な付着力も上昇する。ここで、特に小粒径のトナーや、トナーの微粉は、静電的付着力が強く、現像ローラの表面の全面にわたって強く固着する。この場合、現像ローラに接触配置されているトナー供給ローラ等の部材が、現像ローラ表面に形成されたトナー層の下部、すなわち、現像ローラの表面にまで入り込むことが困難となる。その結果、現像ローラ表面に固着したトナーの掻き取りが不十分となり、トナー融着が更に進んでいく。
アミノ基含有アクリル樹脂を単に分散させた表面層の場合、表面層の電気抵抗が上昇する傾向にある。そのメカニズムは明らかではないが、以下のように推察される。すなわち、アミノ基含有アクリル樹脂は一般に電気抵抗が高いため、当該樹脂を含む表面層の電気抵抗が高くなる。また、当該樹脂が、表面層中のカーボンブラックの分散剤として働き、カーボンブラックのパーコレーションが抑制される。さらに、当該樹脂がカーボンブラックの表面を覆うことで、カーボンブラック自体の見かけの抵抗を上昇させる。その結果、単にアミノ基含有アクリル樹脂を含有させただけの表面層を具備する現像部材は電気抵抗が上昇するものと考えられる。
一方、本発明においては、アミノ基含有アクリル樹脂をドメイン相に偏在させたことで、連続相であるマトリクス相中のアミノ基含有アクリル樹脂の量が相対的に少なくなっている。加えて、マトリクス相中のカーボンブラックのアミノ基含有アクリル樹脂による過分散、および、アミノ基含有アクリル樹脂によるカーボンブラックの被覆が抑制される。これらの理由により、マトリクス相の電気抵抗の上昇が抑制され、表面層自体の電気抵抗の上昇も抑制されているものと考えられる。
さらに、本発明に係る表面層は、相分離構造を有することにより、圧縮永久歪みが生じにくくなっている。その理由は、マトリクス相とドメイン相とが互いにポリウレタンを含み、応力に対する固有振動数が近く、外力に対する高い応答性を有するためであると考えられる。また、マトリクス相とドメイン相が相分離構造からなるため、互いの界面はウレタン結合などを介して密に架橋されているものと考えられる。そのため、外力を受けた際の当該界面における塑性変形が抑制され、優れた弾性が発揮されるものと考えられる。
(A) σM,A/σM,T≦0.0001
(B) (σD,A/σD,T)/(σM,A/σM,T)≧10
(σD,A/σD,T)/(σM,A/σM,T)が10以上となることで、アミノ基含有アクリル樹脂がドメイン相に偏在されていることは示される。さらに、σM,A/σM,Tが0.0001以下の場合、マトリクス相中に含まれるアミノ基含有アクリル樹脂は十分少なく、マトリクス相の帯電付与性が適度に維持されるとともに、現像ローラの電気抵抗の上昇が抑制される。これにより、本発明の効果である低温低湿環境下におけるトナー融着、および現像時における現像ローラ表面へのカウンターチャージに起因する画像弊害が抑制される。
導電性の軸芯体2の材料は、表面が導電性であればとくに限定されず、炭素鋼、合金鋼、鋳鉄、導電性樹脂の如き材質の中から、適宜選択して用いることができる。
軸芯体の周面を被覆する導電性の弾性層3は、使用される装置において要求される弾性を現像ローラに付与するために設けられる。具体的な構成としては、中実体、発泡体のいずれであってもよい。また、弾性層は、単層であっても、複数の層からなっていてもよい。例えば、現像ローラや帯電ローラにおいては、感光体、およびトナーと常に圧接しているので、これらの部材間において相互に与えるダメージを低減するため、低硬度、低圧縮永久歪の特性を持つ弾性層が設けられる。
以下のようにして、実施例および比較例に係る現像ローラの製造に用いる弾性層ローラを作製した。軸芯体としてステンレス(SUS304)製の、直径8mmの軸芯体を用意した。この軸芯体の周面に、プライマー(商品名:DY35−051、東レダウコーニング社製)を塗布し、温度150℃で30分間焼き付けた。焼き付け後のプライマーの厚さは1μmであった。
プレポリマー型ポリエーテルポリオール1(PO1)は以下のように合成した。ポリテトラメチレングリコール(商品名:PTMG2000、三洋化成工業社製)100質量部に、鎖延長用イソシアネート化合物(商品名:タケネートD140N、三井武田ケミカル社製)21質量部を加えた。さらにエチレングリコール4質量部、1,1,1−トリメチロールプロパン4質量部をメチルエチルケトン(MEK)溶媒中で段階的に混合した。これを窒素雰囲気下で温度80℃にて5時間反応させて、プレポリマー型ポリエーテルポリオール1(PO1)を得た。
・ポリエーテルポリオール3(PO3)(商品名:PTG−L2000、テトラハイドロフランと3−メチルテトラハイドロフランとからなる。保土谷化学工業株式会社製)
・ポリエーテルポリオール4(PO4)(商品名:PTG−L1000、テトラハイドロフランと3−メチルテトラハイドロフランとからなる。保土谷化学工業株式会社製)
・ポリエーテルポリオール5(PO5)(商品名:PTXG−1800、テトラハイドロフランとネオペンチルグリコールとからなる。旭化成せんい株式会社製)
・ポリエステルポリオール6(PO6)(商品名:P−5010、1−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とからなる。株式会社クラレ製)
・ポリエステルポリオール7(PO7)(商品名:P−3050、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとセバシン酸とからなる。株式会社クラレ製)
・ポリエステルポリオール8(PO8)(商品名:P−2050、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとセバシン酸とからなる。株式会社クラレ製)
・ポリエステルポリオール9(PO9)(商品名:L−205AL、ダイセル化学工業株式会社製)
・ポリエステルポリオール10(PO10)(商品名:F1212−29、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とイソフタル酸とからなる。ADEKA製)
プレポリマー型イソシアネート化合物1(Pre1)は以下のように合成した。
・ポリプロピレングリコール(商品名:エクセノール720、旭硝子株式会社製):100質量部
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業社製):95質量部
窒素雰囲気下において、上記材料を温度90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物に、温度50℃の条件下、MEKオキシム28質量部を滴下し、プレポリマー型イソシアネート1(Pre1)を得た。
・PO4(商品名:PTG−L1000、保土谷化学社製):100質量部
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業社製):82質量部
窒素雰囲気下において、上記材料を温度90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物に、温度50℃の条件下、MEKオキシム43質量部を滴下し、プレポリマー型イソシアネート2(Pre2)を得た。
・PO10(商品名:F1212−29、ADEKA製):100質量部
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業社製):77質量部
窒素雰囲気下において、上記材料を温度90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物に、温度50℃の条件下、MEKオキシム48質量部を滴下し、プレポリマー型イソシアネート3(Pre3)を得た。
・PO8(商品名:P−2050、株式会社クラレ製):100質量部
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−200、日本ポリウレタン工業社製):76質量部
窒素雰囲気下において、上記材料を温度90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物に、温度50℃の条件下、MEKオキシム35質量部を滴下し、プレポリマー型イソシアネート4(Pre4)を得た。
・PO9(商品名:L−205AL、ダイセル化学工業株式会社製):100質量部
・ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(商品名:コスモネートM−100、三井化学ポリウレタン社製):155質量部
窒素雰囲気下において、上記材料を温度90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70質量%になるように加えた。その後、反応物に、温度50℃の条件下、MEKオキシム38質量部を滴下し、プレポリマー型イソシアネート5(Pre5)を得た。
攪拌機、冷却器、温度計および窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコに、以下のものを仕込んだ。
・(メタ)アクリル酸エステルモノマーとして、メタクリル酸メチル:2.5g
・アミノ基含有モノマーとして、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド:55.1g
・溶媒としてメチルエチルケトン:50g
・重合開始材としてジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート):2.0g
これらを仕込み、攪拌しながら、窒素導入下還流状態で2時間溶液重合し、アミノ基含有アクリル樹脂1(CCR1)の溶液を得た。
・ポリオール(A)、PO7:100質量部
・ポリオール(B)、PO3:33質量部
・イソシアネート化合物、Pre2:123質量部
表面層形成用塗料の材料として、上記成分を混合してポリウレタン成分とした。極性が適度に異なる2種のポリオールは、そのブレンド比によってマトリクス相とドメイン相とからなる海島型の相分離構造の制御が可能である。従って、ここではポリオール(A)がマトリクス相、ポリオール(B)がドメイン相のポリウレタンのソフトセグメントを主に形成する。
アミノ基含有アクリル樹脂およびポリウレタンの原料のMnの測定は以下のように行った。
GPCカラム(商品名:TSKgel SuperHM−M、東ソー株式会社製)2本を直列につないだ高速液体クロマトグラフ分析装置(商品名:HLC−8120GPC、東ソー株式会社製)を用いた。溶媒にテトラヒドロフラン(THF)、温度40℃、流速0.6 ml/min、RI(屈折率)検出器の測定条件下において、測定サンプルを0.1質量%のTHF溶液として測定した。検量線作成用の標準試料として数種の単分散標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)を用いて検量線の作成を行い、これを基に得られた測定サンプルの保持時間から、数平均分子量(Mn)を求めた。
アミノ基含有アクリル樹脂およびポリウレタンの原料のSP値の測定は以下のように行った。
溶剤を完全に揮散させたサンプル0.5gを30mlサンプル管に入れ、良溶媒としてMEKを3.0ml加え、十分に撹拌、溶解した。次に、50mlビュレットを用いて貧溶媒としてノルマルヘキサンを滴下し、溶液が白濁を生じるのに要した滴下量を測定した。SP値(δ)は、各溶媒のSP値および、サンプルの溶解に要したMEKと白濁を生じるのに要したノルマルヘキサンとの体積分率から、以下の式で計算した。
δ=δMEK×φMEK+δHexane×φHexane
φMEK=VMEK/(VMEK+VHexane)
φHexane=VHexane/(VMEK+VHexane)
δHexane:ノルマルヘキサンのSP値(7.0)
φMEK:MEKの体積分率
φHexane:ノルマルヘキサンの体積分率
VMEK:サンプルの溶解に要したMEK量(3.0ml)
VHexane:白濁を生じるのに要したノルマルヘキサンの滴下量(測定値)
現像ローラ表面のTOF−SIMSによる分析は以下のように行った。
・測定機種 TRIFT IV(商品名:アルバックファイ社製)
・一次イオン種 Au1
・一次イオン電流(DC) 600[pA]
・一次イオンエネルギー 30[kV]
・試料電位 +3.0〜+3.2[kV]
・二次イオン検出モード Positive
・測定真空度 1×10−8[Pa]
・測定領域 100μm×100μm
・測定積算時間 9000秒
・検出質量範囲 1.5〜1850amu
これによりマッピングされた測定領域において、マトリクス相とドメイン相を分離し、それぞれの総イオン強度およびアミノ基由来のイオン強度を算出した。アミノ基由来のイオンは、例えば、アミノ基としてN(CH3)を含む場合、[C2H4N]、[C3H8N]および[C4H10N]の如きイオンとして観測される。
電流値測定装置としては、図5に示されるような装置を用いた。現像ローラ1は、現像ローラの軸芯体の両端にそれぞれ4.9Nの荷重をかけて、直径50mmの金属ローラ37に当接させた。金属ローラ37を不図示の駆動手段により表面速度50mm/secで駆動回転することにより、現像ローラ1を従動回転させた。次いで、高圧電源38から現像ローラの軸芯体に+50Vの電圧を印加した。金属ローラ37とグランドとの間に配設した既知の電気抵抗を有する抵抗器39の両端の電位差をディジタル・マルチメータ40(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER、FLUKE社製)を用いて、5秒間計測した。計測した電位差の平均値と抵抗器の電気抵抗とから、現像ローラを介して金属ローラに流れた電流値を求めた。
弾性層ローラA1にエキシマUV処理を施すことで、表面処理を行った。弾性層ローラA1の軸芯体を回転軸とし30rpmで回転させながら、波長172nmの紫外線を細管エキシマランプ(商品名:細管エキシマUV照射ユニット、ハリソン東芝ライティング製)で、積算光量150mJ/cm2となるように照射し処理を行った。照射時の弾性層ローラA1の弾性層表面とエキシマランプとの距離は2mmとした。その後、浸漬塗工法を用いて表面層形成用塗料A1を塗工することで、表面層形成用塗料の塗膜を形成した。
また、現像ローラA1の電流値は154μAであった。
さらに、下記に示す画像評価を現像ローラA1に行った。各種評価結果を表8に示す。
実施例1の表面層形成用塗料A1をA2〜A32に変更した以外は、実施例1と同様にして、現像ローラA2〜A32を作製した。
実施例2〜32における現像ローラA2〜A32の各種特性の評価および画像評価を実施例1の現像ローラA1同様に行った。現像ローラA2〜A32の評価結果を表8に示す。
実施例1の表面層形成用塗料A1をB1〜B6に変更した以外は、実施例1と同様にして、現像ローラB1〜B6を作製した。
比較例1〜6における現像ローラB1〜B6の各種特性の評価および画像評価を実施例1の現像ローラA1同様に行った。現像ローラB1〜B6の評価結果を表9に示す。
本発明の画像評価に用いたレーザープリンタは、市販のレーザープリンタ(商品名:HP Color LaserJet CP4525dn Printer、ヒューレッドパッカード社製)の記録メディアの出力スピードを55ppmに改造したものである。改造は、高圧電源の設定、モーターのギア、紙搬送を適宜調節して行った。また、現像ブレードの固定位置の変更や、現像ブレードとプロセスカートリッジ容器との間にスペーサを挟むことで、現像ローラ上のトナー担持量が0.50mg/cm2となるように調節した。
新品の現像ローラを新品のプロセスカートリッジ(商品名:CE260X、色:黒、ヒューレッドパッカード社製)に組み込み、このプロセスカートリッジを温度35℃、湿度85%RHの環境に48時間放置した。放置後、同環境において、プロセスカートリッジを当該レーザープリンタ改造機に組み込み、1%の印字率で連続10000枚の画像出力を行った。その後、同環境において白ベタ画像を出力した。反射濃度計(商品名:TC−6DS/A、東京電色社製)を用い、非印字範囲(基準)および印字範囲(白ベタ画像部)の反射率を測定し、基準に対する白ベタ画像部の反射率の低下量(%)を「カブリ」とした。このカブリを下記基準で評価した。各実施例および比較例で作製した現像ローラにおける結果を表8および表9に示す。
A:カブリが1%未満。
B:カブリが1%以上2%未満。
C:カブリが2%以上3%未満。
D:カブリが3%以上。
新品の現像ローラを新品のプロセスカートリッジ(商品名:CE260X、色:黒、ヒューレッドパッカード社製)に組み込み、この電子写真プロセスカートリッジを温度40℃、湿度95%RHの環境に30日間放置した。その後、さらに温度23℃、湿度50%RHの環境に24時間放置した。放置後、同環境において、プロセスカートリッジを当該レーザープリンタ改造機に組み込み、ハーフトーン画像を10枚出力した。このハーフトーン画像および画像評価直後の現像ローラの歪み量を測定し、下記評価条件で、現像ローラの変形に由来する画層弊害を評価した。尚、現像ローラ表面の歪み量は、レーザー変位センサ(商品名:LT−9500V、キーエンス社製)を用いて測定した。エアブローでトナーを除去した現像ローラの表面に対して、垂直方向にレーザー変位センサを設置し、現像ローラを任意の回転数で回転駆動して現像ローラ表面の周方向の変位を読み取り、歪み量を測定した。歪み量は、現像ローラの長手方向に43mmピッチの5点で測定を行い、5点の平均値とした。各実施例および比較例で作製した現像ローラにおける結果を表8および表9に示す。
A:ハーフトーン画像において、現像ローラの変形に由来するスジ状の画層弊害が全く確認されない。また、現像ローラ表面の歪み量が1μm未満である。
B:ハーフトーン画像において、現像ローラの変形に由来するスジ状の画層弊害が極わずかに確認される。また、スジと対応する位置での現像ローラ表面の歪み量が1μm以上3μm未満である。
C:ハーフトーン画像において、現像ローラの変形に由来するスジ状の画層弊害が確認される。また、スジと対応する位置での現像ローラ表面の歪み量が3μm以上6μm未満である。
D:ハーフトーン画像において、現像ローラの変形に由来する著しいスジ状の画層弊害が確認される。また、スジと対応する位置での現像ローラ表面の歪み量が6μm以上である。
新品の現像ローラを新品のプロセスカートリッジ(商品名:CE263A、色:マゼンタ、ヒューレッドパッカード社製)に組み込み、このプロセスカートリッジを温度0℃、湿度15%RHの環境に48時間放置した。放置後、同環境において、プロセスカートリッジを当該レーザープリンタ改造機に組み込み、1%の印字率で連続画像出力を行った。現像ローラ表面にトナーが融着すると、トナーに与える摩擦帯電性が低下することによるカブリが画像上に顕在化する。そのため、低温低湿環境におけるトナー融着の評価は、白ベタ画像部分に3%を超えるカブリが観察される出力枚数を計測するとともに、下記評価基準で、画像評価後の現像ローラの外観評価をすることで行った。また、出力1000枚毎に反射濃度計(商品名:TC−6DS/A、東京電色社製)を用い、非印字範囲(基準)および印字範囲(白ベタ画像部)の反射率を測定した。基準に対する白ベタ画像部の反射率の低下量(%)を「カブリ」とした。さらに、連続印字枚数が10000枚を超えた場合、該現像ローラを新品のプロセスカートリッジに組み込み、継続してトナー融着の評価を行った。尚、現像ローラの観察前に、エアブローでトナー融着に寄与しないトナーを除去することで、外観評価を行った。各実施例および比較例で作製した現像ローラにおける結果を表8および表9に示す。
A:3%以上のカブリが、連続印字15000枚でも確認されない。さらに、画像評価後の現像ローラの観察において、トナー融着物が確認されない、もしくは、極わずかに確認される。
B:3%以上のカブリが、連続印字12000枚以上15000枚未満で確認された。さらに、画像評価後の現像ローラの観察において、トナー融着物がわずかに確認される。
C:3%以上のカブリが、連続印字8000枚以上12000枚未満で確認された。さらに、画像評価後の現像ローラの観察において、トナー融着物が確認される。
D:3%以上のカブリが、連続印字8000枚未満で確認された。さらに、画像評価後の現像ローラの観察において、顕著なトナー融着物が確認される。
ゴースト評価は、上記トナー融着の画像評価と同様の環境下で3000枚印刷後に行った。画像端の現像ローラ1周分に相当する領域に、白地にベタ黒のマーク(正方形および円形)を等間隔で配置した画像を出力し、それ以外の領域に、ハーフトーン画像を出力し、ハーフトーン画像上への当該マークのゴーストの出現程度を下記の基準にて評価した。 A:濃淡差が全く見られない。
B:監察する角度によってわずかな濃淡差が確認できる。
C:ゴーストが現像ローラ1周分確認できる。
D:ゴーストが現像ローラ1周分明確に確認できる。
E:現像ローラ2周分以上に渡って確認できる。
4 表面層
11 マトリクス相
12 ドメイン相
Claims (6)
- 表面が導電性の軸芯体と、該軸芯体の周面を被覆する導電性の弾性層と、該弾性層の周面を被覆する導電性の表面層とを具備している現像部材であって、
該表面層は、ポリウレタンとカーボンブラックと分子内にアミノ基を有するアクリル樹脂とを含有し、
該表面層は、ポリウレタンを含有するマトリクス相とポリウレタンを含有するドメイン相とからなる海島型の相分離構造を有し、
該アクリル樹脂が該ドメイン相に偏在していることを特徴とする現像部材。 - 前記マトリクス相に含有されるポリウレタンは分子内にエステル基を含み、前記ドメイン相に含有されるポリウレタンは分子内にエーテル基を含む請求項1または2に記載の現像部材。
- 電子写真画像形成装置本体に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは、少なくとも現像部材、現像ブレード、トナー容器を有し、かつ該現像部材が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 感光体と、該感光体に当接して配置される現像部材とを有する電子写真画像形成装置であって、該現像部材が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像部材であることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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