JP5740216B2 - 液晶配向膜、およびそれを具備する液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶配向膜、およびそれを具備する液晶表示装置に関する。
現在、液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特性をいかし、ノートPC、携帯情報端末、デスクトップモニタ、デジタルカメラなど様々な用途で使用されている。液晶表示装置は、大画面化やモニター用途への展開に伴い視野角の拡大が求められている。
液晶表示装置(LCD)は、液晶セル及び偏光板を有する。偏光板は保護フィルムと偏光膜とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。
例えば、透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。一方、反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート、及び偏光板の順に配置する。
液晶セルは、液晶分子、それを封入するための二枚の基板、及び液晶分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶分子の配向状態の違いで、ON/OFF表示を行い、透過型、反射型及び半透過型のいずれにも適用できる。液晶セルの表示モードは、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、STN(Super Twisted Nematic)などに分類されうる。
しかしながら、従来の液晶表示装置で表示し得る色やコントラストは、LCDを見る時の視認角度によって変化する。そのため、液晶表示装置の視野角特性は、CRTの性能を超えるまでには至っていない。
液晶表示装置の視野角が、自発光型の陰極線管(CRT)表示装置やプラズマ表示装置と比べて、狭い理由は次の2つの理由からである。一つ目の理由は、液晶表示装置が一般に2枚の偏光フィルムで液晶層を挟む構造を有しているため、光の進行方向の違いから生じる液晶層のリターデーションの違いが透過強度に影響を与えるためである。すなわち、斜め方向ではリターデーションが大きくなるため、入射直線偏光が楕円偏光になり、暗状態での光漏れ量が増え、コントラストの低下に繋がるためである。
2つ目の理由は、垂直方向から見た場合、2つの偏光子の吸収軸は直交しており光もれは少ないが、斜め視野角の場合、2つの偏光子の角度が90度からずれるため光漏れを生じる。
そのため、液晶表示装置の視野角特性を改善するためには、1)液晶複屈折の補正と、2)偏光子軸補正とが必要とされる。1)と2)の補正を、独立にもしくは同時に補正するために、視野角補償用の位相差フィルムが、液晶表示装置に適用されてきた。
これまでに、上述の様々な表示モードに応じて、種々の光学特性を有する位相差フィルムが用いられ、コントラスト視野角特性を改善したLCDが提案されている。特に、OCB、VA、IPSの3つのモードは広視野角モードとして全方位に渡り広いコントラスト視野角特性を有するようになり、近年では、40インチを超える大サイズLCDもテレビ用途として既に家庭に普及し始めている。
液晶を内包する液晶セルの外部に、これらの位相差フィルムを複数枚用いた視野角拡大やコントラスト向上の方法が提案されている(非特許文献1および2,特許文献1〜4を参照)。
現在、ツイスティド・ネマチック(TN)方式の液晶表示装置では、位相差薄膜としてディスコティック液晶からなる視野角拡大フィルムを貼付することによって視野角拡大が図られている。しかしながら、視野角拡大フィルムを2枚張り合わせることが必要で、コスト削減のためにも部品点数の削減が求められている。
一方、IPSモードにおいては基板面内で液晶分子がスイッチングするため、斜め視野から見た場合、1)液晶複屈折による光もれは生じないが、2)偏光子軸補正は必要である。一般的には、二軸性位相差フィルム1枚もしくは二軸性位相差フィルムを2枚用いた偏光軸補正が行われている。これらの二軸性位相差フィルムは高価で、コスト削減のためにも部品点数の削減が求められている。
VAモードは、正面から見た場合の表示特性がTNモードと同様に優れているのみならず、光学補償フィルムを適用することで広い視野角特性を発現することもあり、現在最も普及しているLCDモードとなっている。VAモードでは、フィルム面の方向に正の屈折率異方性を有する一軸配向性位相差板(正のa−plate)とフィルム面に垂直な方向に光学軸を有する負の一軸性位相差板(負のc−plate)を用いることでより広い視野角特性を実現できる。しかしながらこれらも位相差フィルム2枚が必要で、コスト削減のためにも部品点数の削減が求められている。
これらの位相差フィルムとして、ポリイミドフィルムを用いることが知られている(特許文献5)。特許文献5の液晶表示装置は、液晶配向膜と位相差薄膜とを別個に有しており、少なくとも2枚の位相差フィルムが必要であった。
また、液晶表示装置において、無電圧の状態での液晶は、所定方向に配向する必要がある。そのため液晶表示装置は、TFT基板およびカラーフィルター側基板の透明電極上に、液晶が所定のプレチルト角を有して配向させるための液晶配向膜を有する。液晶配向膜として、ポリイミドフィルムを用いることも提案されている(特許文献6)。
特開平11−305217号公報 特開2006−293108号公報 特開2005−300382号公報 国際公開第2009/004861号 特開2008−107766号公報 特開2003−176356号公報
Deng-KeYang, Shin-Tson Wu、「Fundamentals of Liquid Crystal Devices」, John & Wiley 2006, p.213〜234 Pochi The and Claire Gu、「Optics of Liquid Crystal Displays, John & Wiley & Sons 1999, p.357〜385
上述の通り、液晶表示装置では、斜め視野でのコントラストの低下を防止する為の位相差フィルムが用いられてきた。本発明は、液晶表示装置における液晶配向膜を、光学的に負の一軸異方性を有し、かつ光軸が薄膜面に対して垂直または概垂直である位相差膜とすることにより、液晶表示装置における位相差フィルムの使用枚数を低減し、低コスト化に貢献することを目的とする。
具体的に本発明は、液晶表示装置において、透明電極上に配置されうる液晶配向膜であって、高透明性を有し、かつ高複屈折性をも有し、位相差を生じさせることが可能な液晶配向膜を提供する。このような液晶配向膜を用いることで、液晶表示装置において用いられる位相差フィルムの枚数(通常は2枚〜4枚である)を減らすことができる。
[1]液晶を配向させる機能を有する液晶配向膜であって、
前記液晶配向膜の光軸が膜面に対して略垂直であり、かつ光学的に負の一軸異方性を有する位相差を発現する、液晶配向膜。
[2]対向する2枚の透明電極基板と、前記2枚の透明電極基板の間に配置された液晶層と、前記2枚の透明電極基板のそれぞれに成膜され、前記液晶を配向させる液晶配向膜と、を含む液晶表示装置であって、
前記2枚の透明電極基板のいずれか一方に成膜された前記液晶配向膜が、請求項1の液晶配向膜である、液晶表示装置。
[3]前記[2]に記載の液晶表示装置であって、該液晶表示装置の液晶配向モードがIPSモードである、液晶表示装置。
[4]前記[2]に記載の液晶表示装置であって、該液晶表示装置の液晶配向モードがTNモードである、液晶表示装置。
[5]液晶層よりも光出射側に配置された位相差膜をさらに有し、
前記位相差膜の光軸が膜面に対して平行であって、かつ光学的に負の一軸異方性を有する、[3]または[4]に記載の液晶表示装置。
[6]前記液晶配向膜が、下記一般式(A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(B−1)〜(B−3)で表されるジアミンを反応させて得られるポリイミド材料を含む、[1]に記載の液晶配向膜。
(一般式(A)中、Rは炭素数4〜27の4価の基を示し、かつ 脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、もしくは縮合多環式芳香族基を示すか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基を示すか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基を示す)
[7]前記液晶配向膜が、下記式(C−1)で表される繰返し構造単位で構成されるブロックと、下記式(C−2)で表される繰返し構造単位で構成されるブロックとを有するブロックポリイミドを含む、[1]に記載の液晶配向膜。
(式(C−1)または式(C−2)において、
mは、式(C−1)で表される繰返し構造単位の繰返し数を示し、nは、式(C−2)で表される繰返し構造単位の繰返し数を示し、かつmの平均値:nの平均値=1:9〜9:1であり;
一般式(C−1)及び(C−2)中、R及びR”はそれぞれ独立して、炭素数4〜27の4価の基であり、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、もしくは縮合多環式芳香族基を示すか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基を示すか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基を示し;
一般式(C−2)において、R’は、炭素数4〜51の2価の基であり、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基(但し、1,4-シクロヘキシレン基を除く)、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基もしくは縮合多環式芳香族基であるか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基であるか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である)
[8]前記一般式(C−2)において、R'は、一般式(B−2)で表されるジアミン由来のユニットである、[7]に記載の液晶配向膜。
[9]前記一般式(C−1)または前記一般式(C−2)中、R及びR”はそれぞれ独立して、下記式(R1)〜(R3)のいずれかで示される、[7]に記載の液晶配向膜。
本発明の液晶配向膜は、液晶を配向させる機能とともに、位相差を生じさせる機能を有する。つまり、本発明の液晶配向膜は、液晶を配向させる機能と、位相差により斜め視野角特性を改善する機能とを、同時に奏する。従って、本発明の液晶配向膜を用いれば、液晶表示装置における、別個の位相差フィルムが不要となりうる。そのため、本発明の液晶配向膜を用いれば、構成部品点数を少なくしながら、液晶表示装置の視野角特性や、コントラストのさらなる向上が図れる。
液晶表示装置の断面概略図である。 液晶配向モードがIPSモードのときの液晶表示装置の各部材の積層構成の概要を示す。 図2のIPSモードの液晶表示装置について、波長550nmでの暗状態でのもれ光の視野角依存性を示す。 ポアンカレ球表示で偏光状態の変化を説明する図である。 液晶配向モードがTNモードのときの液晶表示装置の各部材の積層構成の概要を示す。 ポアンカレ球表示で偏光状態の変化を説明する図である。
本発明は、液晶表示装置において用いられる液晶配向膜に関する。典型的な液晶表示装置の断面概略図を図1に示す。液晶表示装置は、2つの直交した偏光フィルム100と200と、偏光フィルム100と200との間にあるカラーフィルター側基板70とTFT側基板80と、カラーフィルター側基板70とTFT側基板80との間にある液晶層30と、を有する。
カラーフィルター側基板70は、カラーフィルター側ガラス基板20と、透明電極膜21と、液晶配向膜22とを有し、カラーフィルター側ガラス基板20と透明電極膜21との間に、カラーフィルター40がある。TFT側基板80は、TFT(図示せず)が形成されたガラス基板10と、透明電極膜11と、液晶配向膜12とを有する。
また、液晶表示装置は、ガラス基板20と偏光フィルム200との間にある位相差フィルム50と、ガラス基板10と偏光フィルム100との間にある位相差フィルム60とを有する。さらに、偏光フィルム200の、ガラス基板20と対向する側とは反対側に、位相差フィルム55(不図示)を設けることもあるし;偏光フィルム100の、ガラス基板10と対向する側とは反対側に、位相差フィルム65(不図示)を設けることもある。
本発明の液晶配向膜は、図1における液晶配向膜12および液晶配向膜22の両方もしくは一方として用いられうる。本発明の液晶配向膜は、1)光学的に負の一軸異方性を有し、2)その光軸が膜面に対して略垂直であることを特徴とする。さらに、本発明の液晶配向膜の厚み方向の複屈折Δnが、0.01〜0.3であることが好ましい。
このような本発明の液晶配向膜を、図1における液晶配向膜12または液晶配向膜22として用いることで、位相差フィルム50および/または位相差フィルム60が省略されうる。つまり、本発明の液晶配向膜を用いることで、偏光フィルムと液晶セルを構成する透明基板との間に配置される位相差フィルムのうちの一方または両方を有さない液晶表示装置が提供されうる。「位相差フィルムを有さない」とは、偏光フィルムの保護フィルムに位相差機能が付与されていないことを含む。さらには、本発明の液晶表示装置は、位相差フィルム55や65(不図示)を有していなくてもよい。
本発明の液晶配向膜は、特定の構造を有するテトラカルボン酸二無水物と、特定の構造を有するジアミンを含むジアミンとを、溶剤中で反応させてなるポリアミド酸(以下、「特定のポリアミド酸」ともいう)を含むポリアミド酸含有溶液を、基板上に塗布した後、加熱乾燥してイミド化することで得られる。
本発明において、ポリアミド酸とは、ポリアミド酸ユニットの一部がイミド閉環されたポリアミド酸イミドであってもよい。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸二無水物は、下記一般式(A)で表される。
一般式(A)中、Rは、炭素数4〜27である4価の有機基であり、脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、もしくは縮合多環式芳香族基でありうる。あるいは置換基Rは、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基であるか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基でありうる。
一般式(A)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環族テトラカルボン酸二無水物であってもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の例には、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、4,4'-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2-ビス[(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,3-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(2,3-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(2,3-ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(2,3-ジカルボキシベンゾイル)ベンゼン二無水物、4,4'-イソフタロイルジフタリックアンハイドライドジアゾジフェニルメタン-3,3',4,4'-テトラカルボン酸二無水物、ジアゾジフェニルメタン-2,2',3,3'-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-チオキサントンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラキノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-キサントンテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物などが含まれる。
脂環族テトラカルボン酸二無水物の例には、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3,5-トリカルボン酸-6-酢酸二無水物、1-メチル-3-エチルシクロヘキサ-1-エン-3-(1,2),5,6-テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロ-1,4,5,8-ジメタノナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-テトラリン-1,2-ジカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物などが含まれる。
テトラカルボン酸二無水物がベンゼン環などの芳香環を含む場合には、芳香環上の水素原子の一部もしくは全ては、フルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、およびトリフルオロメトキシ基などから選ばれる基で置換されていてもよい。また、テトラカルボン酸二無水物がベンゼン環などの芳香環を含む場合には、目的に応じて、エチニル基、ベンゾシクロブテン-4'-イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、ニトリロ基、及びイソプロペニル基などから選ばれる架橋点となる基を有していてもよい。テトラカルボン酸二無水物には、好ましくは成形加工性を損なわない範囲内で、ビニレン基、ビニリデン基、およびエチニリデン基などの架橋点となる基を、主鎖骨格中に組み込まれていてもよい。
なお、テトラカルボン酸二無水物の一部は、ヘキサカルボン酸三無水物類、オクタカルボン酸四無水物類であってもよい。ポリアミドまたはポリイミドに分岐を導入するためである。
これらテトラカルボン酸二無水物は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに一般式(A)における置換基Rは、例えば下記式(R1)〜(R4)で表されうる。
〔−Y−は、単結合,−CO−,−O−,−SO−,−S−,−CH−,−C(CH−,−CF−,−C(CF−,−O−Ph−O−,−O−Ph−C(CH−Ph−O−を示す〕
一般式(A)における置換基Rは、なかでも、上記式(R1)で表される基、式(R3)で表される基、および式(R2)におけるYが単結合である基(3,3',4,4'-ビフェニレン基)が好ましい。
置換基Rを適切に選択することで、ポリイミド液晶配向膜の位相差を高めうる効果に加えて、熱線膨張係数、接着性などの配向膜特性を任意に制御されうる。
このように、液晶配向膜に求められる特性に応じて、置換基Rを選択することが好ましい。また、置換基Rは1種単独であってもよく、2種以上の組合せであってもよい。例えば、2種以上のRが、ポリアミド酸にランダムに配列されていてもよい。
(ジアミン)
ポリアミド酸を構成するジアミンは、下記一般式(B−1)〜(B−3)で表されるジアミンを少なくとも一種含む。ジアミンには、下記(B−1)〜(B−3)で表されるジアミンが2種以上含まれていてもよく、また(B−1)〜(B−3)で表されるジアミン以外のジアミン(B−4)が含まれていてもよい。
ポリアミド酸を構成するジアミンは、式(B−1)で表されるジアミンを必須として含むことがとりわけ好ましい。式(B−1)で表されるジアミンは、ポリアミド酸を構成する全ジアミン単位を100mol%とするとき、50〜95mol%含むことが好ましく、70〜90mol%の範囲であればより好ましい。
一般式(B−1)で表されるシクロヘキサジアミンにおけるシクロヘキサン骨格は、以下の2種類の幾何異性体(シス体/トランス体)をとりうる。トランス体は、下記一般式(B−11)示され、シス体は下記一般式(B−12)で表される。
一般式(B−1)におけるシクロヘキサン骨格のシス/トランス比は、50/50〜0/100であることが好ましく、30/70〜0/100であることがより好ましい。トランス体の割合が高くなると、一般的にポリアミド酸の分子量が増大しやすいため、自己支持性のある膜の形成が容易になり、工程c)において、ポリアミド酸からなる膜を剥離しやすくなる。ポリアミド酸に含まれるシクロヘキサン由来のユニットのシス/トランス比は、核磁気共鳴分光法によって測定されうる。
また、一般式(B−2)で表されるノルボルナンジアミンのアミノメチル基の位置は特に制限はない。例えば、一般式(B−2)で表されるノルボルナンジアミンとして、アミノメチル基の位置が異なる構造異性体、あるいはS体、R体を含む光学異性体等を含んでもよい。これらはどのような割合で含まれてもよい。
一般式(B−3)で表される1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンにおける下記一般式(X)で表される1,4-ビスメチレンシクロヘキサン骨格は、2種類の幾何異性体(シス体/トランス体)をとりうる。トランス体は、下記一般式(X1)で示され、シス体は下記一般式(X2)で表される。
1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン由来のユニットのシス/トランス比は、40/60〜0/100であることが好ましく、20/80〜0/100であることがより好ましい。ポリアミド酸に含まれる1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン由来のユニットのシス/トランス比は、核磁気共鳴分光法によって測定されうる。
前記シス/トランス比は、ポリアミド酸の原料モノマーである1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンにおける、シス/トランス比によって調整されうる。つまり、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンは、その幾何異性を保ったまま、酸二無水物と反応してポリアミド酸を与える。
ジアミンには、上述の一般式(B−1)〜(B−3)で表されるジアミン以外のジアミンが含まれていてもよい。他のジアミンは、下記の一般式(B−4)で表される。
一般式(B−4)において、R’は、炭素数4〜51の2価の基であり;かつ脂肪族基、単環式脂肪族基(但し、1,4-シクロヘキシレン基を除く)、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基もしくは縮合多環式芳香族基であるか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基であるか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である。
上記一般式(B−4)で表されるジアミンの例には、ベンゼン環を有するジアミン、芳香族置換基を有するジアミン、スピロビインダン環を有するジアミン、シロキサンジアミン類、エチレングリコールジアミン類、アルキレンジアミン類、脂環族ジアミン類等が含まれる。
ベンゼン環を有するジアミンの例には、以下の<1>〜<6>が含まれる。
<1>p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミンなどのベンゼン環を1つ有するジアミン;
<2>3,3'-ジアミノジフェニルエーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、3,3'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、3,4'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,4'-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジ(3-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ジ(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタン、1-(3-アミノフェニル)-1-(4-アミノフェニル)-1-フェニルエタンなどのベンゼン環を2つ有するジアミン;
<3>1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノ-α,α-ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6-ビス(3-アミノフェノキシ)ピリジンなどのベンゼン環を3つ有するジアミン;
<4>4,4'-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(3-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン環を4つ有するジアミン;
<5>1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル]ベンゼンなどのベンゼン環を5つ有するジアミン;
<6>4,4'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'-ビス[4-(4-アミノ-α,α-ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホンなどのベンゼン環を6つ有するジアミンが含まれる。
芳香族置換基を有するジアミンの例には、3,3'-ジアミノ-4,4'-ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'-ジアミノ-4,4'-ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'-ジアミノ-4-フェノキシベンゾフェノン、3,3'-ジアミノ-4-ビフェノキシベンゾフェノン等が含まれる。
スピロビインダン環を有するジアミンの例には、6,6'-ビス(3-アミノフェノキシ)-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン、6,6'-ビス(4-アミノフェノキシ)-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン等が含まれる。
シロキサンジアミン類の例には、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(4-アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ビス(3-アミノブチル)ポリジメチルシロキサン等が含まれる。
エチレングリコールジアミン類の例には、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル、ビス(2-アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2-ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、1,2-ビス[2-(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2-ビス[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル等が含まれる。
アルキレンジアミンの例には、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン等が含まれる。
脂環族ジアミン類の例には、シクロブタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ジ(アミノメチル)シクロヘキサン〔1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを除くビス(アミノメチル)シクロヘキサン〕、ジアミノビシクロヘプタン、ジアミノメチルビシクロヘプタン(ノルボルナンジアミンなどのノルボルナンジアミン類を含む)、ジアミノオキシビシクロヘプタン、ジアミノメチルオキシビシクロヘプタン(オキサノルボルナンジアミンを含む)、イソホロンジアミン、ジアミノトリシクロデカン、ジアミノメチルトリシクロデカン、ビス(アミノシクロへキシル)メタン〔またはメチレンビス(シクロヘキシルアミン)〕、ビス(アミノシクロヘキシル)イソプロピリデン等が含まれる。
(好ましいポリアミド酸)
ポリアミド酸含有溶液に含まれるポリアミド酸としては、特に一般式(A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と一般式(B−1)で表されるジアミンとのポリアミド酸ブロック(下記一般式(C)で表される)と、一般式(A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と一般式(B−4)で表されるジアミンとのポリイミド酸ブロック(下記一般式(D)で表される)とが、結合したブロックポリアミド酸イミドが好ましい。
一般式(C)および(D)中、R及びR”はそれぞれ独立して、炭素数4〜27の4価の基であり、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、もしくは縮合多環式芳香族基を示すか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基を示すか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基を示す。具体的には、上述の一般式(A)で表されるテトラカルボン酸二無水物におけるRと同様である。
また、一般式(D)において、R’は、炭素数4〜51の2価の基であり、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基(但し、1,4−シクロヘキシレン基を除く)、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基もしくは縮合多環式芳香族基であるか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基であるか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である。具体的には、上記一般式(B−4)で表されるジアミンのR’と同様である。
本発明においては、特に、一般式(D)におけるR’がノルボルナン類であることが好ましい。すなわち、R’が上述の一般式(B−2)で表されるジアミンを含むポリイミドであることが好ましい。
式(C)と式(D)におけるmとnは、各ブロックにおける繰返し構造単位の繰返し数を示す。mの平均値とnの平均値はそれぞれ独立して、2〜1000であることが好ましく、5〜500であることがさらに好ましい。
mとnの比率は、mの平均値:nの平均値=95:5〜10:90であることが好ましく、mの平均値:nの平均値=90:10〜20:80であることがより好ましい。式(C)で表される繰返し構造単位の繰返し数mの割合が一定以上であると、ブロックポリイミドの熱膨張係数が小さくなる。また、繰返し数mの割合が一定以上であると、ブロックポリイミドの可視光透過率も高まる。一方、シクロヘキサンジアミンは一般的に高価であるため、式(C)で表される繰返し構造単位の繰返し数mの割合を小さくすると、低コスト化が図られる。
ブロックポリイミドに含まれる、式(C)で表される繰返し構造単位の総数と、式(D)で表される繰返し構造単位の総数との比も、(C):(D)=95:5〜10:90であることが好ましく、(C):(D)=90:10〜20:80であることがより好ましい。
また、ブロックポリアミド酸イミドに含まれる、一般式(C)で表される全てのブロックにおいて、式(C)で表される繰返し構造単位の繰返し数が、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。このように、ブロックポリイミドに含まれる式(C)で表されるブロックの全てが、一定数以上の繰返し構造単位を含むことで、そのブロック由来の特性が得られやすくなる。
各ブロックにおける繰返し構造単位の繰返し数は、例えば以下の方法で測定することができる。すなわち、下記一般式(C’)で表されるオリゴマーと標識付封止剤とを反応させて、第1の標識付オリゴマーを得る。同様に、下記一般式(D’)で表されるオリゴマーと標識付封止剤とを反応させて第2の標識付オリゴマーを得る。そして、それぞれのオリゴマーの標識付きの末端基数を、H-NMR測定法などにより定量することによって、各ブロックにおける繰返し構造単位の繰返し数を求めることもできる。
一般式(C’)及び(D’)におけるR、R’、R”、m、nは、上述した一般式(C)及び(D)と同様である。
また、本発明の工程a)で用いるポリアミド酸含有溶液は、式(B−3)で表されるジアミン由来のユニットを含むポリアミド酸を含むことも好ましい。すなわち、下記一般式(E)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有するポリアミド酸含有溶液とすることも好ましい。
一般式(E)中、Rは炭素数4〜27の4価の基を示し、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、もしくは縮合多環式芳香族基を示すか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基を示すか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基を示す。具体的には、上記一般式(A)で表されるテトラカルボン酸二無水物におけるRと同様である。
式(B−3)で表されるジアミン由来のユニットを含むポリアミド酸におけるジアミンユニットには、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン以外のジアミン由来のユニットが含まれていてもよい。例えば、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと、他のジアミンとが、ポリアミド酸にランダムに配列されていてもよい。ただし、ポリアミド酸の全ジアミンユニットのうちの10〜100モル%は、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン由来のジアミンユニットであることが好ましい。
(ポリアミド酸含有溶液)
ポリアミド酸含有溶液中のポリアミド酸の濃度は、20重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは10重量%以下である。
また、N-メチル-2-ピロリドンを溶媒としたときの、本発明のポリアミド酸含有溶液(濃度0.5g/dl)の35℃での対数粘度は、0.1〜3.0dl/gであることが好ましい。ポリアミド酸含有溶液の塗布が容易になるからである。
溶剤としては、上述のテトラカルボン酸二無水物及びジアミンを溶解可能であれば特に制限はなく、例えば非プロトン性極性溶剤または水溶性アルコール系溶剤等を用い得る。
非プロトン性極性溶剤の例には、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスフォラアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等;エーテル系化合物である、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-(メトキシメトキシ)エトキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどが含まれる。
水溶性アルコール系溶剤の例には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-ブテン-1,4-ジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ジアセトンアルコールなどが含まれる。
これらの溶剤を単独、もしくは2種以上を混合して用いることができる。なかでも、溶剤の好ましい例には、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンもしくはこれらの組み合わせが含まれる。
ポリアミド酸含有溶液は、上述のテトラカルボン酸二無水物と、上述のジアミンとを、溶剤中で反応させて得られる。溶剤中のジアミンのモル数をX、テトラカルボン酸二無水物のモル数をYとしたとき、Y/Xを0.9〜1.1とすることが好ましく、0.95〜1.05とすることがより好ましく、0.97〜1.03とすることがさらに好ましく、0.99〜1.01とすることが特に好ましい。このような範囲とすることにより得られるポリアミド酸の分子量(重合度)を適度に調整することができる。
重合反応の手順に特に制限はない。例えばまず、撹拌機及び窒素導入管を備えた容器を用意する。窒素置換した容器内に後述の溶媒を投入し、得られるポリアミド酸の固形分濃度が50重量%以下となるようにジアミンを加えて、温度調整して攪拌及び溶解させる。この溶液に、ジアミン化合物に対して、モル比率が1となるようにテトラカルボン酸二無水物を加え、温度を調整して1〜50時間程度攪拌することにより、ポリアミド酸を含有するポリアミド酸含有溶液を得ることができる。
ポリアミド酸としてブロックポリアミド酸イミドを用いる場合には、例えば、アミン末端のポリアミド酸溶液に、酸無水物末端のポリイミド溶液を加えて、攪拌することによりポリアミド酸イミドを生成させればよい。ポリアミド酸のジアミンユニットとして、シクロヘキサン含有ジアミン(ジアミン(B−1)または(B−3))を含むことが好ましく;ポリイミドのジアミンユニットとして、シクロヘキサン含有ジアミン以外のジアミン(ジアミン(B−2)または(B−4))を含むことが好ましい。ジアミンユニットとして、シクロヘキサン含有ジアミン(ジアミン(B−1)または(B−3))を含むポリイミドは、溶媒に溶解しにくいことがあるからである。ポリアミド酸は、前述の通り製造すればよい。
本発明の液晶表示装置用の液晶配向膜は、ポリアミド酸含有溶液を基板上に塗布し、熱処理を行うことで形成されうる。具体的には、例えば、ディップ法、ロールコータ法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法などによって、ポリアミド酸含有溶液を基板上に塗布した後;風乾、真空乾燥、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥することによって形成されうる。加熱条件は、使用する樹脂、溶媒、塗布量により異なるが、通常50〜400℃で、1〜300分間加熱することが好ましい。
液晶配向膜は、液晶表示装置における液晶セルを構成する一対の基板(バックライト側の基板と視認側の基板)の両方またはいずれか一方に配置される。バックライト側の基板とは、例えば図1におけるTFT側基板80であり;視認側の基板とは、例えば図1におけるカラーフィルター側基板70である。
本発明の液晶配向膜の膜厚は0.5〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。液晶配向膜が厚くなると、液晶に印加される電圧が減少し装置に求められる電圧の増大をもたらす。
本発明の液晶配向膜は、その表面(液晶層30と接する面)を、ラビング処理されている。ラビング処理の手法は特に限定されず、通常の手法が用いられうる。
本発明の液晶配向膜は位相差を発現する。そのため本発明の液晶配向膜は、液晶表示装置において光が液晶層を透過する過程で発生する複屈折を、補正する機能を有する。
本発明の液晶配向膜はポリイミド系樹脂からなり;ポリイミド系樹脂の分子鎖は基板面に平行に配向しやすい。そのため、膜厚方向と膜面に平行な方向とで、屈折率差(膜としての複屈折率)を有する。また、膜面内での分子の配向はランダムであるので、膜面に平行な方向での屈折率の異方性はない。すなわち、本発明の液晶配向膜の膜面内方向にx軸、y軸をとり、膜面に対して垂直方向にz軸をとると、各方向での屈折率はnx≧ny>nzとなる。つまり、本発明の液晶配向膜は、光学的に負の一軸異方性を有し、かつ、光軸が膜面に対して略垂直な位相差フィルム(負のCプレート)として機能する。
液晶配向膜の厚み方向の複屈折Δn(=nx−nz)は、0.01〜0.5であることが好ましい。より好ましくは、0.03以上であり、さらに好ましくは0.05以上である。複屈折が0.01よりも小さいと、液晶の位相差を補償するために必要な位相差薄膜の膜厚が過剰になる。
面内レタデーションRe、および厚み方向のレタデーションKは、それぞれ、下記式により求められる。下記式において、nxは液晶配向膜の面内における最大屈折率であり、nyは該位相差フィルムの面内における最大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率であり、nzはフィルムの法線方向の屈折率である。また、dは位相差フィルムの厚さである。Sは正負の複屈折を区別するためのサインであり、最大屈折率nxが延伸方向と一致する場合は+、最大屈折率nxが延伸方向と直交する方向と一致する場合は−を採用する。
Re=S(nx−ny)×d
K={(nx+ny)/2−nz}×d
本発明の液晶配向膜の光軸は、液晶を挟む2枚の基板の基板面に対して略垂直方向にある。そのため、液晶表示装置の画面を、画面に対して垂直方向に観察した場合には、本発明の液晶配向膜による位相差補償効果は奏されない。しかしながら、液晶モードが垂直配向方式である液晶表示装置では、電圧無印加時において液晶が垂直に配向されており、液晶層の位相差もほぼゼロであるため、そもそも位相差を補償する必要がない。すなわち、液晶モードが垂直配向方式である液晶表示装置では、電圧無印加時に、位相差を補償せずとも良好な黒表示が得られる。
しかしながら、液晶モードが垂直配向方式である液晶表示装置においても、画面に対して斜め方向に観察した場合には、電圧無印加時においても液晶層に位相差がある。そのため、この位相差を補償しなければ光漏れが生じて、良好な黒表示が得られず、コントラスト低下の原因となる。したがって、本発明の液晶配向膜を、垂直配向方式の液晶表示装置に適用すると、画面に対して斜め方向でのコントラスト向上、ひいては視野角拡大に特に顕著な効果を奏する。
(ポリアミック酸溶液Aの合成)
1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,4-BAC)を、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)に加えて攪拌した。1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,4-BAC)のシス/トランス比は9/91であった。ここに、粉状の3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を装入し、攪拌、脱泡してポリアミド酸(ポリイミド前駆体ポリマー)を含む溶液(ポリイミド前駆体ポリマーワニス)を得た。得られたポリアミド酸の固有対数粘度は、0.94dL/g(35℃、0.5g/dL)であった。
(ポリアミック酸溶液Bの合成)
温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた300mLの5つ口セパラブルフラスコに、1,4-ジアミノシクロヘキサン(CHDA)16.0g(0.140モル)と、N-メチルピロリドン(NMP)168gとを加えて攪拌した。透明溶液になったら、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)37.1g(0.126モル)を粉状のまま装入し、反応容器を120℃に保持したオイルバス中に5分間浴した。BPDA装入後しばらくして塩が析出し、不均一系のまま粘度が増大した。オイルバスを外してから、さらに18時間室温で攪拌し、末端にCHDA由来のアミノ基を有するポリアミド酸オリゴマーを含む溶液(ポリイミド前駆体ポリマーワニス)を得た。
上記とは別個に、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた300mLの5つ口セパラブルフラスコに、ノルボルナンジアミン(NBDA)12.3g(0.0800モル)と、N-メチルピロリドン(NMP)125gとを加えて攪拌した。透明溶液になったら、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)29.4g(0.100モル)を粉状のまま装入し、反応容器を120℃に保持したオイルバス中に5分間浴した。BPDA装入後、一時的に塩が析出したが、すぐに粘度増大を伴いながら再溶解し均一透明溶液となることを確認した。
セパラブルフラスコに冷却管とディーンスターク型濃縮器を取付けて、キシレン80.0gを反応溶液に追加して、脱水熱イミド化反応を180℃で4時間攪拌した。キシレン留去後、末端にBPDA由来の酸無水物構造を有するポリイミドオリゴマー溶液(ポリイミドオリゴマーワニス)を得た。
次に、末端にCHDA由来のアミノ基を有するポリアミド酸オリゴマー溶液(ポリアミド酸オリゴマーワニス)と、末端にBPDA由来の酸無水物構造を有するポリイミドオリゴマー溶液(ポリイミドオリゴマーワニス)とを混合した。これらを攪拌後、脱泡して、ブロックポリアミド酸イミドワニスを得た。得られたブロックポリアミド酸イミドワニスの固有対数粘度は、0.74dL/g(35℃、0.5g/dL)であった。また、得られたブロックポリアミド酸イミドは、ポリアミド酸オリゴマーと、ポリイミドオリゴマーとがそれぞれランダム化されることなく、ポリマー化したものであり、ポリアミド酸ブロックの数:ポリイミドブロックの数は、ほぼ2:1であった。
[実施例1]
図2は、実施例1で用いた液晶表示装置αの概略構成を示す。液晶表示装置αの液晶配向モードは、IPSモードである。液晶層30-1は、セル厚3μmの面内レタデーションRe=+290nmのIPS液晶である。偏光フィルム100および200は、市販のヨウ素系偏光フィルム(日東電工製:G1220DU)であり、互いの吸収軸を直交させて配置した。ただし、偏光フィルム100および200の保護フィルム(TAC:トリアセチルセルロース)をとりはずし、余分な位相差の発生を抑えた。
カラーフィルター側ガラス基板20と出力側偏光フィルム200との間に配置された−A位相差フィルム50-1は、GV4020(旭化成ケミカル製)を使用した。−A位相差フィルム50-1の位相差は、Re=−138nmであり、その光学軸を、バックライト側偏光子100の吸収軸と一致させた。
液晶配向膜12-1はポリアミック酸溶液Aを用いて、液晶配向膜22-1はポリアミック酸溶液Bを用いて形成した。それぞれ具体的な手順を以下に示す。
TFT側ガラス基板10の透明電極膜11上に、仕上がりの厚みが0.05μmになるようにポリアミック酸溶液Aをスピナーで塗布した。塗布膜を、120℃で20分間乾燥後、さらに熱処理することによって、ポリイミド樹脂薄膜を得た。得られたポリイミド樹脂薄膜をラビング処理して、液晶配向膜12-1とした。
240℃で30分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はnx=1.636、膜厚方向の屈折率はnz=1.633であり、複屈折はΔn=―0.003であり、位相差はほとんど発生しなかった。
一方、カラーフィルター側ガラス基板20の透明電極膜21に、仕上がりの厚みが1μmになるようにポリアミック酸溶液Bをスピナーで塗布した。塗布膜を、120℃で20分間乾燥、さらに熱処理することによって、ポリイミド樹脂薄膜を得た。得られたポリイミド樹脂薄膜をラビング処理して、液晶配向膜22-1とした。
240℃で30分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はnx=1.737、膜厚方向の屈折率はnz=1.597であり、複屈折はΔn=−0.14であり、550nmでの位相差はK=−90nmであった。
波長550nmにおける位相差は、大塚電子(株)製レタデーション測定装置(型式RETS−100)を用いて、回転検光子法にて、サンプル平面に測定光を入射角0°で入射し測定することで求めた。
図2に示したIPSモードの液晶表示装置αについて、波長550nmでの暗状態でのもれ光の視野角依存性を図3に示す。図3におけるθは頂角、Φは偏光板吸収軸からの煽り角度である。斜め視野の状態での最大の透過率は0.9%であった。これに対して、−A位相差フィルム50-1を配置せず、液晶配向膜12-1および22-1の代わりに、位相差を発生しない液晶配向膜を用いた場合の、最大透過率は4%であった。このように、1枚の−A位相差フィルム50-1を配置することによって、偏光板軸補正が可能となり、斜め視野での高コントラスト化が実現されることがわかった。
このコントラスの改善効果を、偏光状態の変化をポアンカレ球表示することで説明する。図4は赤道面に偏光状態を表すストークスベクトルを投影したものである。図4における赤道上のTは第一の偏光フィルム100の透過軸上にあり、Aは第二の出射側偏光フィルム200の吸収軸上にある。
第一の偏光フィルム100を通過したときの偏光状態は、ポアンカレ球赤道上のTで表記される。第一の偏光フィルム100を通過した光は、第一の液晶配向膜12-1を通過するが第一の配向膜は位相差を発生しないため、通過後もポアンカレ球上の位置は変化せず、Tの位置のままである。
第一の偏光フィルム100を通過した光は、次に、IPS液晶層30を通過する。IPS液晶は、複屈折を有するが、その光学軸は第一の偏光フィルム100の吸収軸方向と一致する。そのため、ポアンカレ球上では原点とTを結ぶ軸の周りで位相差分だけ回転するため、その位置は変化せずTの位置のままである。
IPS液晶層30を通過した光は、次に、厚み方向に複屈折を有する液晶配向膜22-1を通過する。液晶配向膜22-1は、−C位相差フィルムとして機能するため、S軸周りに回転しV点にシフトする。
さらに、液晶配向膜22-1を通過した光は、−A位相差フィルム50-1によりTを回転中心として回転角90度だけ右回転されA点にシフトする。A点は、出射側偏光フィルムの吸収軸であるため全ての光は完全に吸収され、斜め視野角でも漏れ光を低減することが可能となる。
[実施例2]
図5は、実施例2で用いた液晶表示装置βの概略構成を示す。液晶表示装置βの液晶配向モードは、TNモードである。液晶層30-2は、セル厚5μmのTN液晶とした。偏光フィルム100および200を、市販のヨウ素系偏光フィルム(日東電工製:G1220DU)とした。ただし、偏光フィルム100および200の保護フィルム(TAC:トリアセチルセルロース)はとりはずし、余分な位相差の発生を抑制した。
バックライト側偏光フィルム100とTFT側ガラス基板10の間に位相差フィルム60-2を配置した。位相差フィルム60-2は、面内方向に屈折率の大きい+A位相差フィルムであり、550nmでの位相差はRe=127nmであった。+A位相差フィルム60-2の光学軸を、出射側の偏光フィルム200の吸収軸に一致させた。
TFT側ガラス基板10の透明電極膜11上に、仕上がりの厚みが1.8μmになるようにポリアミック酸溶液Bをスピナーで塗布した後、120℃で20分間乾燥、さらに熱処理することによって、ポリイミド樹脂薄膜を得た。得られたポリイミド樹脂薄膜をラビング処理して、液晶配向膜12-2とした。
240℃で30分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜の、膜面に平行な方向の屈折率はn1=1.707、膜厚方向の屈折率はn2=1.567であり、複屈折はΔn=−0.14であった。波長550nmにおける位相差は、大塚電子(株)製リタデーション測定装置(型式RETS−100)で求めたところ、K=−230nmであった。
一方、カラーフィルター側ガラス基板上20の透明電極膜21上には、厚み60nmの液晶配向膜22-2を形成した。まず、ポリアミック酸溶液Aをスピナーで塗布した塗布膜を、120℃で20分間乾燥後、さらに熱処理することによって、ポリイミド樹脂薄膜を得た。得られたポリイミド樹脂薄膜をラビング処理して、液晶配向膜22-2とした。240℃で30分間熱処理したときのポリイミド樹脂薄膜の膜面に平行な方向の屈折率はnx=1.636、膜厚方向の屈折率はnz=1.633であり、複屈折はΔn=―0.003であり、位相差はほとんど発生しなかった。
図5に示したTNモードの液晶表示装置について、波長550nmでの暗状態での視野角依存性を観測したところ、斜め視野の状態でも透過率は0.8%以下であった。液晶配向膜12-2および22−2が位相差を有さず、かつ位相差フィルム60も具備しないTNセルでは、斜め視野各で20%程度のもれ光が発生する。このように、1枚の位相差フィルム60-2を配置することによって、偏光板軸補正が可能となり、斜め視野での大幅な高コントラスト化が実現されることがわかった。
このコントラスの改善効果を、偏光状態の変化をポアンカレ球表示することで説明する。図6は、赤道面に偏光状態を表すストークスベクトルを投影したものである。
第一の偏光フィルム100を通過したときの偏光状態は、ポアンカレ球赤道上のTで表記される。第一の偏光フィルム100を通過した光は、次に、+A位相差フィルム60-2を通過する。+A位相差フィルム60-2を通過した光は、原点とAとを結ぶ軸を回転中心として回転角90度だけ右回転されR点にシフトする。
+A位相差フィルム60-2を通過した光は、次に、液晶配向膜12-2を通過する。液晶配向膜12-2は、膜厚方向の複屈折を有する−C位相差フィルムとして機能するため、S軸を中心に回転して、V点までシフトする。
さらに、液晶配向膜12-2を通過した光は、TN液晶層30-2を通過する。TN液晶層30-2は、暗視野時(電圧印可時)に棒状液晶分子が基板に垂直に立ったいわゆるVA液晶ライクな配向となるため、いわゆる+A位相差フィルムとして機能する。そのため、S軸を回転中止として左回転してA点にシフトする。A点は、出射側偏光フィルムの吸収軸上にあるため全ての光は完全に吸収され、斜め視野角でも漏れ光を低減することが可能となる。
本発明の液晶配向膜は液晶表示装置に用いることができ、液晶表示装置における位相差フィルムの使用枚数を低減し、低コスト化に貢献する。
10 ガラス基板
20 ガラス基板
11,21 透明電極膜
12,22 液晶配向膜
12-1,22-1 液晶配向膜
12-2,22-2 液晶配向膜
30,30-1,30-2 液晶層
40 カラーフィルター
50,60 位相差フィルム
50-1 −A位相差フィルム
60-2 +A位相差フィルム
70 カラーフィルター側基板
80 TFT側基板
100,200 偏光フィルム
θ 頂角
φ 偏光板吸収軸からの煽り角度

Claims (9)

  1. 液晶を配向させる機能を有する液晶配向膜であって、
    前記液晶配向膜の光軸が膜面に対して略垂直であり、かつ光学的に負の一軸異方性を有する位相差を発現する、液晶配向膜。
  2. 対向する2枚の透明電極基板と、前記2枚の透明電極基板の間に配置された液晶層と、前記2枚の透明電極基板のそれぞれに成膜され、前記液晶を配向させる液晶配向膜と、を含む液晶表示装置であって、
    前記2枚の透明電極基板のいずれか一方に成膜された前記液晶配向膜が、請求項1の液晶配向膜である、液晶表示装置。
  3. 請求項2に記載の液晶表示装置であって、該液晶表示装置の液晶配向モードがIPSモードである、液晶表示装置。
  4. 請求項2に記載の液晶表示装置であって、該液晶表示装置の液晶配向モードがTNモードである、液晶表示装置。
  5. 液晶層よりも光出射側に配置された位相差膜をさらに有し、
    前記位相差膜の光軸が膜面に対して平行であって、かつ光学的に負の一軸異方性を有する、請求項3または4に記載の液晶表示装置。
  6. 前記液晶配向膜が、下記一般式(A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(B−1)〜(B−3)で表されるジアミンを反応させて得られるポリイミド材料を含む、請求項1に記載の液晶配向膜。
    (一般式(A)中、Rは炭素数4〜27の4価の基を示し、かつ 脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、もしくは縮合多環式芳香族基を示すか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基を示すか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基を示す)
  7. 前記液晶配向膜が、下記式(C−1)で表される繰返し構造単位で構成されるブロックと、下記式(C−2)で表される繰返し構造単位で構成されるブロックとを有するブロックポリイミドを含む、請求項1に記載の液晶配向膜。
    (式(C−1)または式(C−2)において、
    mは、式(C−1)で表される繰返し構造単位の繰返し数を示し、nは、式(C−2)で表される繰返し構造単位の繰返し数を示し、かつmの平均値:nの平均値=1:9〜9:1であり;
    一般式(C−1)及び(C−2)中、R及びR”はそれぞれ独立して、炭素数4〜27の4価の基であり、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基、もしくは縮合多環式芳香族基を示すか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基を示すか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基を示し;
    一般式(C−2)において、R’は、炭素数4〜51の2価の基であり、かつ脂肪族基、単環式脂肪族基(但し、1,4-シクロヘキシレン基を除く)、縮合多環式脂肪族基、単環式芳香族基もしくは縮合多環式芳香族基であるか、環式脂肪族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式脂肪族基であるか、または芳香族基が直接もしくは架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である)
  8. 前記一般式(C−2)において、R'は、一般式(B−2)で表されるジアミン由来のユニットである、請求項7に記載の液晶配向膜。
  9. 前記一般式(C−1)または前記一般式(C−2)中、R及びR”はそれぞれ独立して、下記式(R1)〜(R3)のいずれかで示される、請求項7に記載の液晶配向膜。
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