本発明の一実施形態を以下に図1〜図16を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両走行支援装置は、車両1に搭載されたカメラ(撮像手段)2と制御装置3とを備える。
カメラ2は、CCDカメラ、CMOSカメラ等により構成される。このカメラ2は、車両1(以下、自車両1ということがある)のフロントウィンドウを介して自車両1の前方を撮像するように車室内に配置されている。なお、カメラ2は、車室外に配置されていてもよい。また、カメラ2は、単眼カメラ及びステレオカメラのいずれであってもよい。
車両1にはさらに、自車両1の車速、加速度、ヨーレートに応じた検出信号をそれぞれ出力する車速センサ4、加速度センサ5、及びヨーレートセンサ6と、運転者による自車両1のステアリングホイールの操作力(回転駆動力)に応じた検出信号を出力するトルクセンサ7と、操舵装置8及び制動装置9が搭載されている。
操舵装置8は、自車両1の前輪操舵機構をアクチュエータにより駆動するように構成されている。また、制動装置9は、自車両1の各車輪の制動力を油圧機構により発生するように構成されている。
制御装置3は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路、A/D変換回路等を含む電子回路ユニットにより構成される。なお、制御装置3は、相互に通信可能な複数の電子回路ユニットにより構成されていてもよい。
この制御装置3には、カメラ2の撮像画像データ(映像信号)及び上記各センサ4〜7の検出信号が入力される。そして、制御装置3は、入力されたデータを用いて各種制御処理を実行する。
この場合、制御装置3は、プログラムを実行することにより実現される機能(ソフトウェアにより実現される機能)又はハードウェアにより実現される機能として、レーンマーカー検出部11、道路形状認識部12、及び走行支援制御部13を備える。
レーンマーカー検出部11は、カメラ2による自車両1の前方の撮像画像からエッジ検出、ハフ変換等の公知の画像処理手法を用いて自車両1の左側及び右側で路面に付設されているレーンマーカーを検出する。その検出手法としては、例えば、特開2006−309605号公報、特開2006−309499号公報、特開2007−018154号公報、PCT国際公開公報WO2007/077682等に記載されている手法を採用することができる。
レーンマーカー検出部11の処理により、自車両1の左右の両側のそれぞれおいて、実線状のレーンマーカー(連続的に延在するレーンマーカー)、破線状のレーンマーカー、あるいは、ボッツドッツもしくはキャッツアイ等の点鋲状のレーンマーカーの存在位置が検出される。レーンマーカーの存在位置は、自車両1の走行路面にほぼ平行な平面上での位置として表される。例えば、図4に示すように、自車両1の前後方向のX軸と車幅方向のY軸とを座標軸として、自車両1に対して固定された車両座標系を想定したとき、レーンマーカーの存在位置は、車両座標系のXY座標平面上での座標位置として表される。
より詳しくは、レーンマーカー検出部11により検出された左右それぞれのレーンマーカーは、図4に例示する如く点列として表現される。この点列を構成するそれぞれの点が、撮像画像から推定されたレーンマーカーのエッジ上の一つの代表点を表している。そして、上記車両座標系のXY座標平面上での当該点の座標位置が、レーンマーカーの存在位置を表す。
なお、図4に示す例は、自車両1の左側と右側とにそれぞれ実線状のレーンマーカーLm0_L,Lm0_Rとが付設されている場合の例である。また、レーンマーカーの存在位置を、路面(大地)に対して固定されたワールド座標系での位置として表すことも可能である。
また、レーンマーカー検出部11は、自車両1の左側及び右側でそれぞれ検出したレーンマーカーの種別も判定する。この場合、例えば、検出したレーンマーカーの点列を構成する点の配列パターン(隣り合う点どうしの間の間隔の変化等)に基づいて、レーンマーカーの種別が判定される。レーンマーカーの種別は、本実施形態では、実線状のレーンマーカー、破線状のレーンマーカー、点鋲状のレーンマーカー、及びその他のレーンマーカーの4種類、あるいは、実線状のレーンマーカー、破線状もしくは点鋲状のレーンマーカー、及びその他のレーンマーカーの3種類に分類される。
道路形状認識部12は、レーンマーカー検出部11により得られた検出データ(レーンマーカーの点列及び種別)を用いて、自車両1の前方におけるカメラ2の撮像領域に存在する所定構造の道路形状を認識する。
道路形状認識部12が認識する所定構造の道路形状というのは、高速道路等の道路の分岐箇所(自車両1が走行している本線路から分岐路が分岐する箇所)、合流箇所(自車両1が走行している本線路に合流路が合流する箇所)、あるいは、坂道(上り坂又は下り坂)が存在することを示す道路形状である。
従って、道路形状認識部12の処理は、換言すれば、上記分岐箇所、合流箇所、及び坂道を検知対象箇所として、自車両1の前方におけるカメラ2の撮像領域に該検知対象箇所のいずれかが存在する場合に、その検知対象箇所の存在及び該検知対象箇所の種別を道路形状に基づいて検知する処理である。そして、道路形状認識部12は、検知した検知対象箇所の種別(道路形状の構造の種別)を示すデータを出力する。
なお、本実施形態での「坂道」は、自車両1が走行中の路面に対して相対的に上り勾配を有する坂道(相対的な上り坂)、又は、相対的に下り勾配を有する坂道(相対的な下り坂)である。
ここで、道路形状認識部12が検知対象とする分岐箇所は、より詳しくは、図5に示すように、自車両1が走行している高速道路等の道路の本線路TL0から分岐する分岐路TL1の始端部(図5の二点鎖線の枠部A)に、該本線路TL0と分岐路TL1とを区分するレーンマーカー(以降、分岐区分レーンマーカーという)が付設されていない構造の分岐箇所である。
なお、図5の分岐箇所は、分岐路TL1が本線路TL0から自車両1の右側に分岐する箇所であるが、分岐路TL1が自車両1の左側に分岐する場合でも同様である。
以降、上記のように分岐区分レーンマーカーが付設されていない構造の分岐箇所を第1構造分岐箇所という。
また、道路形状認識部12が検知対象とする合流箇所は、より詳しくは、図6に示すように、自車両1が走行している高速道路等の道路の本線路TL0に合流する合流路TL2の終端部(図6の二点鎖線の枠部B)に、該本線路TL0と合流路TL2とを区分するレーンマーカー(以降、合流区分レーンマーカーという)が付設されておらず、且つ、合流路TL2における左右のレーンマーカーLm2_L,Lm2_Rのうちの本線路TL0に近い側のレーンマーカー(図6では、左側のレーンマーカーLm2_L)の終端部が、本線路TL0の内側に突出しているような構造の合流箇所である。
なお、図6の合流箇所は、合流路TL2が自車両1の右側から本線路TL0に合流する箇所であるが、合流路TL2が自車両1の左側から合流する場合でも同様である。
以降、上記のように合流区分レーンマーカーが付設されておらず、且つ、合流路TL2の片側のレーンマーカー(本線路TL0に近い側のレーンマーカー)の終端部が、本線路TL0の内側に突出しているような構造の合流箇所を第1構造合流箇所という。
上記第1構造分岐箇所及び第1構造合流箇所は、例えば米国の一部の州等において見られるものである
上記第1構造分岐箇所及び第1構造合流箇所と、坂道とを検知する道路形状認識部12の処理の具体的な詳細は後述する。
補足すると、図7に示すような構造の合流箇所も存在する。この合流箇所は、自車両1が走行している高速道路等の道路の本線路TL0に合流する合流路TL2の終端部(図7の二点鎖線の枠部C)に合流区分レーンマーカーが付設されていないことは、図6に示した如き第1構造合流箇所と同じである。
ただし、図7に示すような構造の合流箇所では、合流路TL2の左右のレーンマーカーLm2_L,Lm2_Rのうちの本線路TL0に近い側のレーンマーカー(図7では、左側のレーンマーカーLm2_L)の終端部が、本線路TL0の内側に突出していない。この点が、第1構造合流箇所と相違する。
以降、このような構造の合流箇所を第2構造合流箇所という。この第2構造合流箇所は、分岐区分レーンマーカーが付設されている分岐箇所、及び合流区分レーンマーカーが付設されている合流箇所と同様に、道路形状認識部12の検知対象外のものである。
走行支援制御部13は、自車両1が高速道路等の道路を走行している状況で、自車両1の走行位置が自車両1の左側及び右側のレーンマーカーの間の領域内に保たれるように、走行支援を行う。
この場合、走行支援制御部13は、レーンマーカー検出部11により検出された左右それぞれのレーンマーカーの点列を近似するライン(以降、近似ラインという)を表す所定種類の関数を最小二乗法等の手法により求める。その関数としては、例えば2次関数もしくは3次関数が用いられる。
さらに、走行支援制御部13は、上記の如く求めた関数によりそれぞれ表される左側のレーンマーカーの近似ラインと右側のレーンマーカーの近似ラインとの間の中央のラインを、自車両1の目標走行経路として設定する。
例えば図4に示す例では、左側及び右側のレーンマーカーLm0_L,Lm0__Rにそれぞれ対応して求められた関数により表される近似ラインが、図中に一点鎖線で示すラインとして得られる。この場合、これらの近似ラインの間の中央のライン(図中に破線で示すライン)が目標走行経路として設定される。
そして、走行支援制御部13は、自車両1の実際の走行経路を目標走行経路に概ね沿わせるように前記操舵装置8及び制動装置9の両方または一方を制御する。
例えば、カメラ2の撮像画像等から認識される自車両1の横方向の位置(目標走行経路に対する相対位置)と、前記車速センサ4、加速度センサ5、及びヨーレートセンサ6の検出信号によりそれぞれ示される自車両1の車速、加速度及びヨーレートの検出値とに基づいて、既定の演算処理により自車両1の目標運動状態(自車両1の横方向の目標加速度や目標ヨーレート)が決定される。そして、目標運動状態と、前記トルクセンサ7により示されるステアリングホイールの操作力の検出値とに基づいて、自車両1の横方向の位置を目標走行経路上の位置に近づけるか、もしくは、目標走行経路上からずれ難くするように、操舵装置8及び制動装置9の両方又は一方が制御される。
なお、自車両1の走行経路を目標走行経路に沿わせるように自車両1の操舵や制動を制御する手法は、種々様々な手法が公知となっており、その任意の手法を採用することができる。
レーンマーカー検出部11により自車両1の左右のそれぞれのレーンマーカーが両方とも検出されている状況では、走行支援制御部13は、上記の如く走行支援制御を行う。
一方、例えば図5に示した如き第1構造分岐箇所、あるいは、図6に示した如き第1構造合流箇所では、分岐路TL1の始端部又は合流路TL2の終端部に、本線路TL0に沿って延在するレーンマーカー(分岐区分レーンマーカー又は合流区分レーンマーカー)が存在しない。
この場合、図5に示すように、自車両1が第1構造分岐箇所の手前を走行しているときには、分岐路TL1における左右のレーンマーカーLm1_L,Lm1_Rのうちの片側(自車両1から見て分岐路TL1寄り側)のレーンマーカーLm1_Rが、本線路TL0の片側のレーンマーカーLm0_Rに連なるものとして(レーンマーカーLm0_Rの一部として)レーンマーカー検出部11により検出されることとなる。ただし、その分岐路TL1のレーンマーカーLm1_Rは、自車両1が走行中の本線路TL0の延在方向を示すレーンマーカーではない。
このため、仮に、本線路TL0の片側のレーンマーカーLm0_Rに連なる、分岐路TL1のレーンマーカーLm1_Rを、本線路TL0のレーンマーカーとみなして目標走行経路を設定すると、該目標走行経路が、本線路TL0における本来の所要の目標走行経路からずれてしまう。
また、図6に示すように、自車両1が第1構造合流箇所の手前を走行しているときには、合流路TL2における左右のレーンマーカーLm2_L,Lm2_Rのうちの本線路TL0に突出しているレーンマーカーLm2_Lの終端部が、本線路TL0の片側(自車両1から見て合流路TL2寄り側)のレーンマーカーLm0_Rに連なるものとして(レーンマーカーLm0_Rの一部として)レーンマーカー検出部11により検出されることとなる。ただし、その合流路TL2のレーンマーカーLm2_Lは、自車両1が走行中の本線路TL0の延在方向を示すレーンマーカーではない。
このため、仮に、本線路TL0の片側のレーンマーカーLm0_Rに連なる、合流路TL2のレーンマーカーLm2_Lの終端部を、本線路TL0のレーンマーカーとみなして目標走行経路を設定すると、該目標走行経路が、本線路TL0における本来の所要の目標走行経路からずれてしまう。
そこで、走行支援制御部13は、道路形状認識部12により図5に示す如き第1構造分岐箇所又は図6に示す如き第1構造合流箇所が検知された場合には、直ちに、自車両1の左右の両側のうち、分岐路TL1又は合流路TL2側と反対側にある本線路TL0のレーンマーカーLm0_Lの近似ラインから所定幅を有する仮想的な車線領域(図5及び図6の示す点描領域。以降、仮想レーンという)を決定する。そして、走行支援制御部13は、この仮想レーンの幅方向の中央を通るラインを目標経路として設定する。
なお、上記のように仮想レーンを決定するということは、自車両1の左右の両側のうちの分岐路TL1又は合流路TL2側に、仮想的なレーンマーカーのラインを、反対側の本線路TL0のレーンマーカーLm0_Lとの間隔が上記所定幅となるように決定することと等価である。
上記仮想レーンの幅は、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所が検知される以前にレーンマーカー検出部11により検出されたレーンマーカーの点列の過去履歴に基づいて決定される。例えば、図5及び図6に示す如く、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所が検知される直前の所定期間でレーンマーカー検出部11により検出された本線路TL0の左右のレーンマーカーLm0_L,Lm0_Rの点列の近似ラインの間の間隔W0(すなわち、本線路TL0の幅の推定値)の平均値が、仮想レーンの幅として決定される。
換言すれば、仮想レーンの幅は、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所の手前における本線路TL0の幅にほぼ一致するように決定される。
そして、走行支援制御部13は、仮想レーンにおいて上記の如く設定した目標走行経路に、自車両1の実際の走行経路を概ね沿わせるように前記操舵装置8及び制動装置9の両方または一方を制御する。その制御は、自車両1の左右のレーンマーカーの両方がレーンマーカー検出部11により検出されている場合と同様に行われる。
補足すると、図7に示したような第2構造合流箇所は、本実施形態では、前記したように前記道路形状認識部12の検知対象外の合流箇所であるので、該道路形状認識部12では検知されない合流箇所である。
ただし、本実施形態では、第2構造合流箇所は、走行支援制御部13で検知されるようになっている。すなわち、走行支援制御部13は、レーンマーカー検出部11によって、自車両1の左右のレーンマーカーのうちの一方側のレーンマーカーだけが継続的に検出され、且つ、他方側のレーンマーカーが、自車両1の進行方向で自車両1から所定の距離以下の範囲内に検出されなくなった場合(他方側のレーンマーカー検出が途切れた場合)に、他方側のレーンマーカーが検出されない箇所を、本線路への合流路の合流箇所(第2構造合流箇所)と認識する。
例えば、図7に示す例では、走行支援制御部13は、本線路TL0の右側のレーンマーカーLm0_Rが検出されない箇所、すなわち、二点鎖線の枠部Cの箇所を、本線路TL0への合流路TL2の合流箇所と認識する。
そして、走行支援制御部13は、このように第2構造合流箇所を検知した場合には、前記第1構造合流箇所が道路形状認識部12により検知された場合と同様に、仮想レーン、目標走行経路を設定して、走行支援制御を行う。
また、分岐区分レーンマーカーが付設されている分岐箇所、あるいは、合流区分レーンマーカーが付設されている合流箇所では、自車両1が走行している本線路に沿って延在する分岐区分レーンマーカー又は合流区分レーンマーカーが、該本線路の片側のレーンマーカーの一部としてレーンマーカー検出部11により検出されることとなる。このため、これらの分岐箇所又は合流箇所では、自車両1が分岐箇所又は合流箇所の無い本線路を走行している場合と同様に、レーンマーカー検出部11により自車両1の左右の両側のレーンマーカーが検出される。
従って、これらの分岐箇所又は合流箇所では、走行支援制御部13は、自車両1が分岐箇所又は合流箇所の無い本線路を走行している場合と同様に、目標走行経路を設定して、走行支援制御を行う。
次に、説明を後回しにした前記道路形状認識部12の処理を詳細に説明する。
道路形状認識部12は、図3のブロック線図で示すように、第1道路形状検知部21、第2道路形状検知部22、道路形状選択部23、道路形状適否評価部24、及び道路形状確定出力部25の処理を所定の制御処理周期で逐次実行することで、前記第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道を示す道路形状を検知して、道路形状の種別を決定する。そして、決定した道路形状の種別を逐次、道路形状確定出力部25から出力する。
具体的には、道路形状認識部12は、まず、第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22の処理を実行する。
第1道路形状検知部21は、自車両1の前方におけるカメラ2の撮像領域に、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道が存在する場合に、それらをできるだけ早期に区別して検出し得るような構成された処理によって、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道の有無を検知する処理部である。その処理は、所定の制御処理周期で次のように実行される。
第1道路形状検知部21は、各制御処理周期において、レーンマーカー検出部11により検出された自車両1の左右のレーンマーカーの点列を用いて、その点列を近似する近似ラインを表わす関数を最小二乗法等の手法により求める。
この場合、左右のレーンマーカーの点列の近似ラインを表す関数としては2次関数が用いられる。ただし、3次以上の関数を用いてもよい。
なお、上記近似ラインを表す関数は、レーンマーカー検出部11等で算出しておき、それを第1道路形状検知部21に入力するようにしてもよい。
そして、第1道路形状検知部21は、左右のレーンマーカーのそれぞれについて、自車両1から既定の所定距離DIST1だけ前方の位置(以降、前方監視位置という)における近似ラインの接線の傾きa_L,a_Rを算出する。a_Lは左側のレーンマーカーの近似ラインの接線の傾き、a_Rは、右側のレーンマーカーの近似ラインの接線の傾きである。
これらの傾きa_L,a_Rは、例えば車両座標系におけるX軸方向(自車両1の前後方向)に対する傾斜角度、あるいは、X軸方向の座標成分の単位変化量当たりのY軸方向の座標成分の変化量により表される。この場合、実施形態では、便宜上、自車両1から見て、右斜め前方に延びる接線の傾きを正の傾き、左斜め前方に延びる接線の傾きを負の傾きと定義する。
なお、傾きa_L,a_Rは、例えば車両座標系におけるY軸方向(自車両1の車幅方向)に対する傾斜角度等により表すことも可能である。
さらに、第1道路形状検知部21は、これらの傾きa_L,a_Rの差の絶対値|a_L−a_R|(以降、左右傾き差Daという)を算出する。これらの傾きa_L,a_R及び左右傾き差Daは、現在時刻から所定時間T1前までの一定期間内の各制御処理周期で算出されたものが図示しないメモリに記憶保持される。
また、第1道路形状検知部21は、上記前方監視位置における左右のレーンマーカーのそれぞれの近似ラインの間の間隔Wを、該前方監視位置での車線幅Wとして算出する。
次いで、第1道路形状検知部21は、現在時刻の制御処理周期で算出した傾きa_L,a_R及び左右傾き差Daのそれぞれの値(現在値)と、過去の一定期間(例えば、前記所定時間T1前の時刻t1と、T1よりも短い所定時間T2の時刻t2(t1よりも後の時刻)との間の期間)でのa_L,a_R,Daのそれぞれの平均値a_L_ave,a_R_ave,Da_aveとの差(a_L−a_L_ave),(a_R−a_R_ave),(Da−Da_ave)をそれぞれ算出する。
これらの平均値a_L_ave,a_R_ave,Da_aveは、現在時刻の直前でのa_L,a_R,Daの平均的な値に相当するものである。
(a_L−a_L_ave),(a_R−a_R_ave),(Da−Da_ave)は、それぞれ、現在時刻での前方監視位置におけるa_L,a_R,Daの変化量(直前の値に対する変化量)を意味する。以降、(a_L−a_L_ave)を左傾き変化量Δa_L、(a_R−a_R_ave)を右傾き変化量Δa_R、(Da−Da_ave)を左右傾き差変化量ΔDaという。
補足すると、左傾き変化量Δa_L、右傾き変化量Δa_R、左右傾き差変化量ΔDaをそれぞれ、例えばa_L,a_R,Daの現在値の、直前の瞬時値(例えば1制御処理周期前の時刻での瞬時値)に対する変化量として算出することも考えられる。ただし、その場合には、ノイズの影響で、当該変化量の信頼性が低下しやすい。このため、本実施形態では、a_L,a_R,Daの変化量Δa_L,Δa_R,ΔDaの基準値として、過去の一定期間の平均値を用いることで、該変化量Δa_L,Δa_R,ΔDaの信頼性を高めるようにしている。
第1道路形状検知部21はさらに、前記前方監視位置における車線幅Wと、それよりも手前側(自車両1寄り側)の車線幅W_base、例えば自車両1の位置での車線幅W_baseとの差(W−W_base)を、前方監視位置での車線幅変化量ΔWとして算出する。
なお、手前側の車線幅W_baseとして、例えば、a_L_ave,a_R_ave,Da_aveと同様に、過去の一定期間でのWの算出値の平均値を用いてもよい。
次いで、第1道路形状検知部21は、左傾き変化量Δa_L、右傾き変化量Δa_R、左右傾き差変化量ΔDa、及び車線幅変化量ΔWをそれぞれに対応してあらかじめ定められた所定の閾値を比較することで、図8に示す規則に従って、道路形状の種別を仮決定する。
ここで、第1道路形状検知部21による道路形状の検知手法の原理を説明しておく。
図9を参照して、高速道路等の道路の本線路TL0を走行している自車両1の前方(カメラ2の撮像領域)に第1構造分岐箇所が存在する場合を想定する。この場合には、本線路TL0の左右のレーンマーカーLm0_L,Lm0_Rのうちの分岐路TL1側のレーンマーカー(図9では、Lm0_R)は、第1構造分岐箇所の開始位置P1(より詳しくは、分岐路TL1の始端部(本線路TL0との境界部)のうち最も自車両1に近い位置)で分岐路TL1の片側のレーンマーカー(図9では、Lm1_R)に連なる。
このため、本線路TL0の分岐路TL1側のレーンマーカーの近似ラインL01(図9では、Lm0_Rの近似ライン)は、本線路TL0側から分岐路TL1側に曲がるラインとなりやすい。そして、この場合、通常、図9に示す如く、第1構造分岐箇所の開始位置P1直後付近の位置での上記近似ラインL01の接線の傾きが、その位置よりも自車両1寄り側(自車両1から見て手前側)の接線の傾きから比較的大きく変化する。
なお、この場合、自車両1の右側に分岐路TL1がある第1構造分岐箇所では、上記近似ラインL01の接線の傾きは、図9に示す如く右向き(負の向き)に変化する。逆に、自車両1の左側に分岐路TL1がある第1構造分岐箇所では、上記近似ラインL01(この場合、自車両1の左側のレーンマーカーの近似ライン)傾きは、左向き(正の向き)に変化する。
一方、本線路TL0の分岐路TL1と反対側のレーンマーカーの近似ラインL02(図9では、Lm0_Lの近似ライン)は、第1構造分岐箇所の開始位置P1の直後付近の位置での上記近似ラインL02の接線の傾きは、通常、その位置よりも自車両1寄り側(自車両1から見て手前側)の接線の傾きと同じもしくはほぼ同じ傾きに保たれる。
従って、自車両1の前方に第1構造分岐箇所が存在する場合、通常、前記前方監視位置が、第1構造分岐箇所の開始位置P1の直後近辺の位置に達した時に、左傾き変化量Δa_L及び右傾き変化量Δa_Rのいずれか一方の大きさが比較的大きな値となると共に、他方の大きさが十分に小さい値(ゼロ近辺の値)となる。併せて、左右傾き差変化量ΔDaも比較的大きなものとなる。さらには、第1構造分岐箇所の開始位置P1の手前側よりも後ろ側の車線幅が広がることから、車線幅変化量ΔWが正の値となる。
そして、この場合、自車両1の右側に分岐路TL1が存在する場合には、右傾き変化量Δa_Rが負の値となり、自車両1の左側に分岐路TL1が存在する場合には、左傾き変化量Δa_Lが正の値となる。
次に、図10を参照して、本線路TL0を走行している自車両1の前方(カメラ2の撮像領域)に第1構造合流箇所が存在する場合を想定する。この場合には、本線路TL0の左右のレーンマーカーLm0_L,Lm0_Rのうちの合流路TL2側のレーンマーカー(図10では、Lm0_R)は、第1構造合流箇所の開始位置P2(より詳しくは、合流路TL2の終端部(本線路TL0との境界部)のうち最も自車両1に近い位置)で、合流路TL2の片側のレーンマーカー(図10では、Lm2_L)の終端部(本線路TL0に張り出した部分)に連なる。
このため、本線路TL0の合流路TL2側のレーンマーカーの近似ラインL03(図10では、Lm0_Rの近似ライン)は、本線路TL0側から合流路TL2の終端部側に曲がるラインとなりやすい。そして、この場合、通常、図10に示す如く、第1構造合流箇所の開始位置P2の直後付近の位置での上記近似ラインL03の接線の傾きが、その位置よりも自車両1寄り側(自車両1から見て手前側)の接線の傾きから比較的大きく変化する。
なお、この場合、自車両1の右側に合流路TL2がある第1構造合流箇所では、上記近似ラインL03の接線の傾きは、図10に示す如く左側向き(負の向き)に変化する。逆に、自車両1の左側に合流路TL2がある第1構造合流箇所では、上記近似ラインL03(この場合、自車両1の左側のレーンマーカーの近似ライン)傾きは、右側向き(正の向き)に変化する。
一方、本線路TL0の合流路TL2と反対側のレーンマーカーの近似ラインL04(図10では、Lm0_Lの近似ライン)は、第1構造合流箇所の開始位置P2の直後付近の位置での上記近似ラインL04の接線の傾きは、通常、その位置よりも自車両1寄り側(自車両1から見て手前側)の接線の傾きと同じもしくはほぼ同じ傾きに保たれる。
従って、自車両1の前方に第1構造合流箇所が存在する場合、通常、前記前方監視位置が、第1構造合流箇所の開始位置P2の直後近辺の位置に達した時に、左傾き変化量Δa_L及び右傾き変化量Δa_Rのいずれか一方の大きさが比較的大きな値となると共に、他方の大きさが十分に小さい値(ゼロ近辺の値)となる。併せて、左右傾き差変化量ΔDaも比較的大きなものとなる。さらには、第1構造合流箇所の開始位置P2の手前側よりも後ろ側の車線幅が狭まることから、車線幅変化量ΔWが負の値となる。
そして、この場合、自車両1の右側に合流路TL2が存在する場合には、右傾き変化量Δa_Rが正の値となり、自車両1の左側に合流路TL2が存在する場合には、左傾き変化量Δa_Lが負の値となる。
次に、例えば、自車両1の前方に、自車両1が走行中の路面に対して相対的に上り勾配となる路面(走行中の路面に対する相対的な上り坂)が存在する状況(例えば、実際の下り坂の出口手前、あるいは、実際の上り坂の入り口手前を走行している状況)で、図11に示す如く、自車両1が、左右の実際のレーンマーカーLm0_L,Lm0_Rの間のほぼ中央位置で走行している場合を想定する。
この場合には、図11に示す如く、自車両1の左右の実際のレーンマーカーLm0_L,Lm0_Rがほぼ平行に延在していても、カメラ2の撮像画像から認識される左側のレーンマーカーLm0_Lの近似ラインL0_Lと、右側のレーンマーカーLm0_Rの近似ラインL0_Rとは、それぞれ、左側、右側に曲がる(換言すれば、左右の近似ラインL0_L,L0_Rの間隔が広がっていくように両近似ラインL0_L,L0_Rが曲がる)ものとなる。
そして、自車両1の、ある前方位置P3での各近似ラインL0_L(又はL0_R)の接線の傾きが該前方位置P3よりも手前側の位置での該近似ラインL0_L(又はL0_R)の接線の傾きから比較的大きく変化する。
従って、自車両1の前方に、自車両1が走行中の路面に対して相対的に上り勾配となる路面(走行中の路面に対する相対的な上り坂)が存在する場合には、通常、前記前方監視位置が、ある前方位置P3に達した時に、左傾き変化量Δa_L及び右傾き変化量Δa_Rの大きさが比較的大きくなると共に、Δa_Lが正の値(左側への変化量)、Δa_Rが負の値(右側への変化量)となる。併せて、左右傾き差変化量ΔDaも比較的大きなものとなる。さらには、前方位置P3の手前側よりも後ろ側の車線幅が広がることから、車線幅変化量ΔWが正の値となる。
さらに、例えば、自車両1の前方に、自車両1が走行中の路面に対して相対的に下り勾配となる路面(走行中の路面に対する相対的な下り坂)が存在する状況(例えば、実際の下り坂の入口手前、あるいは、実際の上り坂の出口手前を走行している状況)で、図12に示す如く、自車両1が、左右の実際のレーンマーカーLm0_L,Lm0_Rの間のほぼ中央位置で走行している場合を想定する。
この場合には、図12に示す如く、自車両1の左右の実際のレーンマーカーLm0_L,Lm0_Rがほぼ平行に延在していても、カメラ2の撮像画像から認識される左側のレーンマーカーLm0_Lの近似ラインL0_Lと、右側のレーンマーカーLm0_Rの近似ラインL0_Rとは、それぞれ、右側、左側に曲がる(換言すれば、左右の近似ラインL0_L,L0_Rの間隔が狭まっていくように両近似ラインL0_L,L0_Rが曲がる)ものとなる。
そして、図12に例示する如く、自車両1の、ある前方位置P4での各近似ラインL0_L(又はL0_R)の接線の傾きが、該前方位置P4よりも手前側の位置での該近似ラインL0_L(又はL0_R)の接線の傾きから比較的大きく変化する。
従って、自車両1の前方に、自車両1が走行中の路面に対して相対的に下り勾配となる路面(走行中の路面に対する相対的な下り坂)が存在する場合には、通常、前記前方監視位置が、ある前方位置P4に達した時に、左傾き変化量Δa_L及び右傾き変化量Δa_Rの大きさが比較的大きくなると共に、Δa_Lが負の値(右側への変化量)、Δa_Rが正の値(左側への変化量)となる。併せて、左右傾き差変化量ΔDaも比較的大きなものとなる。さらには、前方位置P4の手前側よりも後ろ側の車線幅が狭まることから、車線幅変化量ΔWが負の値となる。
以上のように、自車両1の前方に第1構造分岐箇所、又は第1構造合流箇所、又は坂道の入口もしくは出口が存在する場合、基本的には、前方監視位置が、ある前方位置に達した時に、左右傾き差変化量ΔDaが変化量が比較的大きなものとなる。同時に、左傾き変化量Δa_L、右傾き変化量Δa_R、車線幅変化量ΔWのそれぞれの大きさもしくは極性が、それぞれの道路形状の構造に応じた特徴を有するものとなる。
以上が、第1道路形状検知部21で道路形状を検知するための基本的な原理である。
図8の説明に戻って、第1道路形状検知部21は、各制御処理周期において、左右傾き差変化量ΔDa、左傾き変化量Δa_L、右傾き変化量Δa_R、及び車線幅変化量ΔWのそれぞれの算出値に関して、ΔDa>TH1(ΔDa)、且つ、Δa_L>TH1(Δa)、且つ、|Δa_R|<TH1(|Δa|)、且つ、ΔW>TH1(ΔW)である場合には、自車両1の前方に、左側に分岐する第1構造分岐箇所が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
なお、任意の変数Qに関して、|Q|は、Qの絶対値を意味する(例えば|Δa_R|は、Δa_Rの絶対値)。
また、第1道路形状検知部21は、ΔDa>TH1(ΔDa)、且つ、|Δa_L|<TH1(|Δa|)、且つ、Δa_R<−TH1(Δa)、且つ、ΔW>TH1(ΔW)である場合には、自車両1の前方に、右側に分岐する第1構造分岐箇所が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
また、第1道路形状検知部21は、ΔDa>TH1(ΔDa)、且つ、Δa_L>TH3(Δa)、且つ、Δa_R<−TH3(Δa)、且つ、ΔW>TH1(ΔW)である場合には、自車両1の前方に、自車両1が現在走行中の路面に対して相対的に上り勾配を有する坂道(相対的な上り坂)が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
また、第1道路形状検知部21は、ΔDa>TH1(ΔDa)、且つ、Δa_L<−TH2(Δa)、且つ、|Δa_R|<TH2(|Δa|)、且つ、ΔW<−TH2(ΔW)である場合には、自車両1の前方に、左側に合流路TL2がある第1構造合流箇所が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
また、第1道路形状検知部21は、ΔDa>TH1(ΔDa)、且つ、|Δa_L|<TH2(|Δa|)、且つ、Δa_R>TH2(Δa)、且つ、ΔW<−TH2(ΔW)である場合には、自車両1の前方に、右側に合流路TL2がある第1構造合流箇所が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
また、第1道路形状検知部21は、ΔDa>TH1(ΔDa)、且つ、Δa_L<−TH3(Δa)、且つ、Δa_R>TH3(Δa)、且つ、ΔW<−TH2(ΔW)である場合には、自車両1の前方に、自車両1が現在走行中の路面に対して相対的に下り勾配を有する坂道(相対的な下り坂)が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
上記TH1(ΔDa)、TH1(Δa)、TH1(|Δa|)、TH1(ΔW)、TH3(Δa)、TH2(Δa)、TH2(|Δa|)、TH2(ΔW)は、それぞれ、あらかじめ実験的に定められた所定値(>0)の閾値である。そして、本実施形態では、TH1(Δa)=TH3(Δa)である。ただし、TH1(Δa),TH3(Δa)は、互いに異なる値に設定されていてもよい。
なお、本実施形態では、第1道路形状検知部21による道路形状の検知の信頼性を極力高めるために、車幅変化量ΔWに関する条件を1つの必要条件として用いているが、車幅変化量ΔWに関する条件を省略してもよい。
以上の如く第1道路形状検知部21は、図8に示す規則によって、自車両1の前方に、第1構造分岐箇所、又は、第2構造合流箇所、又は坂道が存在する場合にそれを検知して、道路形状の種別を仮決定する。
この場合、自車両1の前方監視位置での車線幅が手前側よりも広がる状況で、該車線幅が左右いずれかの片側だけに広がるような場合に、第1構造分岐箇所が検知され、左右の両側に広がるような場合に坂道(相対的な上り坂)が検知される。
また、自車両1の前方監視位置での車線幅が手前側よりも狭まる状況で、該車線幅が左右いずれかの片側だけで狭まるような場合に、第1構造合流箇所が検知され、該車線幅が左右の両側で狭まるような場合に坂道(相対的な下り坂)が検知される。
補足すると、自車両1の前方に坂道が存在する場合において、自車両1が左右のレーンマーカーのいずれか一方側に偏った位置で走行している状況では、左傾き変化量Δa_L及びΔa_Rの大きさ及び極性が、自車両1の前方に第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所が存在する場合と同様になる場合がある。
従って、自車両1の前方に坂道が存在する場合に、その道路形状が、図8に示す規則によって、第1構造分岐箇所ま又は第2構造分岐箇所と誤検知される虞がある。
そのため、本実施形態では、坂道が、最終的に第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所として誤検知されるのを極力防止するために、第1構造分岐箇所及び第1構造合流箇所に加えて、坂道をも検知するようにしている。
また、図8に示す規則で使用する閾値について補足すると、第1構造合流箇所は、第1構造分岐箇所に較べて一般に出現頻度が小さい。このため、本実施形態では、自車両1の前方に第1構造合流箇所が実際には存在しないのに、誤って第1構造合流箇所が検知されるのを極力防止するために、前記閾値TH2(Δa)を閾値TH1(Δa)よりも大きい値に設定すると共に、閾値TH2(|Δa|)を閾値TH1(|Δa|)よりも小さい値に設定している。
また、第1構造合流箇所で、合流路TL2の左右のレーンマーカーのうち、本線路TL0の内側の突出するレーンマーカーの終端部の突出量は、比較的小さい場合が多い。そして、本実施形態では、このように当該突出量が比較的小さい第1構造合流箇所でも検知し得るようにするために、車線幅変化量ΔWに関する閾値TH2(ΔW)を閾値TH1(ΔW)よりも小さい値に設定している。
第1道路形状検知部21は、以上のように各制御処理周期で仮決定した道路形状の検知結果(第1構造分岐箇所、第1構造合流箇所、及び坂道のいずれも検知されない場合を含む)をメモリに時系列的に記憶保持する。例えば、現在時刻から所定時間T3前までのN1個の検知結果が、逐次更新されつつ記憶保持される。なお、所定時間T3は、十分に短い時間(例えば3制御処理周期の時間等)に設定されている。
そして、第1道路形状検知部21は、N1個の検知結果のうち、所定値以上の頻度で出現し、且つ、最も高い頻度を有する検知結果により示される道路形状の種別を、自車両1の前方に存在する道路形状の種別として決定して出力する。
例えば、N1=3とした場合、3個の検知結果のうち、2個以上の検知結果が同じである場合に、その2個以上の検知結果により示される道路形状の種別が、自車両1の前方に存在する道路形状の種別として決定される。
さらに、第1道路形状検知部21は、道路形状の種別の検知結果によらずに、自車両1の左右のレーンマーカーの近似ラインの傾き変化量Δa_L,Δa_Rの変化の傾向を示す評価値(以降、傾き変化評価値という)を決定して出力する。この傾き変化評価値は、左傾き変化量Δa_L及び右傾き変化量Δa_Rのいずれが比較的大きいものとなっている場合に、それに応じて値が増減される評価値であり、該評価値の値によって、左右のレーンマーカーの近似ラインのどちらが左右方向に曲がっているかを示されるようになっている。
なお、第1道路形状検知部21は、検知した道路形状の種別を出力するほか、傾き変化情報検知した道路形状に対応して、車線幅が左右いずれかの片側だけに広がっているのか、あるいは、左右の両側に広がっているのか、あるいは、左右いずれかの片側だけが狭まっているのか、左右の両側が狭まっているのかを示す傾き変化情報を第2道路形状検知部22に出力する。
この傾き変化情報には、図8に示した規則により決定される情報(図8中の「片側広がり」、「両側広がり」、「片側狭まり」、「両側狭まり」という情報)と、前記傾き変化評価値とが含まれる。
以上が第1道路形状検知部21の処理である。この第1道路形状検知部21の処理では、左右の各レーンマーカーの近似ラインの接線の傾きの変化を逐次監視することで、特に自車両1の前方に第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所が存在する場合に、それを早期に検知できる。
例えば図9に示す例では、自車両1の前方監視位置が第1構造分岐箇所の開始位置P1の直後の位置に達した状況で、該第1構造分岐箇所が検知される。また、例えば図10に示す例では、自車両1の前方監視位置が第1構造合流箇所の開始位置P2の直後の位置に達した状況で、該第1構造合流箇所が検知される。
次に、前記第2道路形状検知部22の処理を説明する。
第2道路形状検知部22は、自車両1の前方におけるカメラ2の撮像領域に、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道が存在する場合に、それらを第1道路形状検知部21よりも高い信頼性で検出し得るように構成された処理によって、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道の有無を検知する処理部である。その処理は、所定の制御処理周期で次のように実行される。
第2道路形状検知部22は、各制御処理周期において、レーンマーカー検出部11により検出された自車両1の左右のレーンマーカーの点列を用いて、その点列を直線により近似する直線近似ラインを表わす一次関数を最小二乗法等の手法により求める。
これにより、左側のレーンマーカーの直線近似ラインの傾きa2_L(以降、左傾きa2_Lという)と、右側のレーンマーカーの直線近似ラインの傾きa2_R(以降、右傾きa2_Rという)とが算出される。各直線近似ラインの傾きの極性は、第1道路形状検知部21で算出される前記接線の傾きの極性と同じである。
なお、上記直線近似ラインを表す一次関数は、レーンマーカー検出部11等で算出しておき、それを第2道路形状検知部22に入力するようにしてもよい。
さらに、第2道路形状検知部22は、左傾きa2_Lと右傾きa2_Rとの差である左右傾き差Da2(=a2_L−a2_R)と、左傾きa2_Lと右傾きa2_Rとの和である左右傾き和Aa2(=a2_L+a2_R)とを算出する。
さらに、第2道路形状検知部22は、自車両1の位置での左右のレーンマーカーの直線近似ラインの間隔を車線幅W2として算出する。なお、例えば自車両1から既定の所定距離DIST2だけ前方の位置における左右のレーンマーカーの直線近似ラインの間隔を車線幅W2として算出するようにしてもよい。
次いで、第2道路形状検知部22は、左傾きa2_L、右傾きa2_R、左右傾き差Da2、及び車線幅W2をそれぞれに対応してあらかじめ定められた所定の閾値を比較することで、図13に示す規則に従って、道路形状の種別を仮決定する。
なお、図13の傾き変化情報(「両側広がり」、「両側狭まり」、「片側広がり」、「片側狭まり」という情報)は、前記第1道路形状検知部21から第2道路形状検知部22に与えられる情報である。該傾き変化情報は、第1道路形状検知部21により第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道が検知された場合には、図8に示した規則に従って決定される情報である。また、第1道路形状検知部21により第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道が検知された場合には、傾き変化情報は、前記傾き変化評価値に基づき特定される情報である。
図13を参照して、第2道路形状検知部22は、各制御処理周期において、傾き変化情報が「両側広がり」(車線幅が両側に広がっている状況)であり、且つ、a2_L>TH4(a2)(左側のレーンマーカーの直線近似ラインが自車両1の前後方向に対して左向きに傾いている状況)であり、且つ、a2_R<−TH4(a2)(右側のレーンマーカーの直線近似ラインが自車両1の前後方向に対して右向きに傾いている状況)であり、且つ、W2<TH4(W2)(車線幅が広すぎない状況)である場合には、自車両1の前方に、自車両1が現在走行中の路面に対して相対的に上り勾配を有する坂道(相対的な上り坂)が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
また、第2道路形状検知部22は、各制御処理周期において、傾き変化情報が「両側狭まり」(車線幅が両側で狭まっている状況)であり、且つ、a2_L<−TH4(a2)(左側のレーンマーカーの直線近似ラインが自車両1の前後方向に対して右向きに傾いている状況)であり、且つ、a2_R>TH4(a2)(右側のレーンマーカーの直線近似ラインが自車両1の前後方向に対して左向きに傾いている状況)であり、且つ、W2<TH4(W2)(車線幅が広すぎない状況)である場合には、自車両1の前方に、自車両1が現在走行中の路面に対して相対的に下り勾配を有する坂道(相対的な下り坂)が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
また、第2道路形状検知部22は、各制御処理周期において、傾き変化情報が「片側広がり」(車線幅が片側だけ広がっている状況)であり、且つ、Da2>TH4(Da2)(左右のそれぞれのレーンマーカーの直線近似ラインが自車両1の前方に向かって離反していくように互いに傾いている状況)であり、且つ、|Aa2|>TH4(|Aa2|)(左右のそれぞれのレーンマーカーの直線近似ラインの一方が、他方よりも顕著に自車両1の前後方向の対して大きく傾いている状況)であり、且つ、W2<TH4(W2)(車線幅が広すぎない状況)である場合には、自車両1の前方に、第1構造分岐箇所が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
また、第2道路形状検知部22は、各制御処理周期において、傾き変化情報が「片側狭まり」(車線幅が片側だけ狭まっている状況)であり、且つ、Da2<−TH5(Da2)(左右のそれぞれのレーンマーカーの直線近似ラインが自車両1の前方に向かって接近していくように互いに傾いている状況)であり、且つ、|Aa2|>TH4(|Aa2|)(左右のそれぞれのレーンマーカーの直線近似ラインの一方が、他方よりも顕著に自車両1の前後方向の対して大きく傾いている状況)であり、且つ、W2<TH4(W2)(車線幅が広すぎない状況)である場合には、自車両1の前方に、第1構造合流箇所が存在することを、道路形状の検知結果として仮決定する。
上記TH4(a2)、TH4(Da2)、TH5(Da2)、TH4(|Aa2|)は、それぞれ、あらかじめ実験的に定められた所定値(>0)の閾値である。なお、本実施形態では、TH4(Da2)は、TH4(a2)よりも大きい値(例えば2倍程度の値)に設定されている。
補足すると、自車両1の左右のレーンマーカーの間の間隔(車線幅)広すぎる場合には、レーンマーカー検出部11による各レーンマーカーの検出位置が自車両1のピッチング等の影響を受けやすくなって、該検出位置の信頼性が低下しやすくなる。このため、本実施形態では、第2道路形状検知部22の処理で、W2<TH4(W2)という条件を1つの必要条件として、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道を検知するようにしている。ただし、例えば各レーンマーカーの位置をより精度よく検出できるような場合には、車線幅W2に関する条件を省略してもよい。
また、前記したように第1構造合流箇所は、第1構造分岐箇所に較べて一般に出現頻度が小さい。このように出現頻度が小さい第1構造合流箇所を的確に検知することができるようにするために、本実施形態では、閾値TH5(Da2)は、閾値TH4(Da2)よりも小さい値に設定している。
以上の如く第2道路形状検知部22は、図13に示す規則によって、自車両1の前方に、第1構造分岐箇所、又は、第2構造合流箇所、又は坂道が存在する場合にそれを検知して、道路形状の種別を仮決定する。なお、坂道に関する条件と、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所に関する条件とが両方とも成立する場合もある。その場合には、道路形状の検知結果として、坂道が優先的に仮決定される。
第2道路形状検知部22は、次に、各制御処理周期において、上記の如く仮決定した道路形状の種別の検知結果(第1構造分岐箇所、第1構造合流箇所、及び坂道のいずれも検知されない場合を含む)に応じて、第1構造分岐箇所、第1構造合流箇所、及び坂道のそれぞれに対応するカウンタのカウント値を増減させる。このカウンタは、それぞれに対応する種類の道路形状が検知結果として連続的に仮決定されることの発生度合を表すものである。
具体的には、例えば第1構造分岐箇所に対応するカウンタのカウント値は、道路形状の検知結果として第1構造分岐箇所が自車両1の前方に存在することが仮決定される毎に1だけカウントアップされる。
また、該カウント値は、道路形状の種別の検知結果として第1構造分岐箇所以外の構造の道路形状(第1構造合流箇所又は坂道)が自車両1の前方に存在することが仮決定される毎にゼロにリセットされる。
さらに、該カウント値は、道路形状の種別の検知結果が、第1構造分岐箇所、第1構造合流箇所、及び坂道のいずれも検知されない場合の検知結果となる都度、1だけカウントダウンされる。
第1構造合流箇所及び坂道にそれぞれ対応するカウンタについても上記と同様である。
そして、第2道路形状検知部22は、第1構造分岐箇所、第1構造合流箇所、及び坂道のいずれかに対応するカウンタのカウント値が、あらかじめ定めた所定の閾値TH6を超えた場合に、該カウンタに対応する道路形状の種別を、検知結果として決定して出力する。
以上が第2道路形状検知部22の処理である。この第2道路形状検知部22の処理によって、自車両1の前方に第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道が存在する場合に、これらの構造の道路形状を、比較的高い信頼性で検知することができる。
道路形状認識部12は、以上の如く第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22の処理を実行した後、次に、道路形状選択部23の処理を実行する。
道路形状選択部23は、第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22のそれぞれの検知結果(道路形状の種別)がそれぞれに対応してあらかじめ定められた所定の制約条件を満たす場合に、その制約条件を満たす検知結果を選択して出力する。この場合、第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22の検知結果の両方が制約条件を満たす場合には、道路形状選択部23は、第2道路形状検知部22の検知結果を優先的に選択して出力する。
上記制約条件は、第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22のそれぞれに関して、検知結果の信頼性が損なわれるか、又はその可能性が高いと考えられる状況で得られた検知結果を除外するための条件である。
具体的には、図14に示す如く、第1道路形状検知部21の検知結果に関しては、検知された道路形状が坂道である場合と、坂道以外の道路形状(第1構造分岐箇所又は第2構造分岐箇所)である場合とのそれぞれ場合に対応して、制約条件が設定されている。
第1道路形状検知部21の検知結果が坂道以外の道路形状である場合の制約条件としては、レーンマーカーの過去の認識状態に関する制約条件と、自車両1のピッチング状態に関する制約条件と、自車両1の前方の車線がカーブ路面である場合のレーンマーカーの点列状態(カーブ点列状態)に関する条件と、合流箇所におけるレーンマーカーの点列状態(合流箇所点列状態)に関する制約条件と、レーンマーカーの種別に関する制約条件と、前回の制御処理周期での検知結果(前回検知結果)に関する制約条件との6種類の制約条件が用いられる。
なお、合流箇所点列状態に関する制約条件は、検知された道路形状が第1構造合流箇所である場合にのみ適用される条件である。従って、検知された道路形状が第1構造分岐箇所である場合には、合流箇所点列状態に関する制約条件を除く5種類の制約条件が適用される。
ここで、レーンマーカーの過去の認識状態に関する制約条件は、レーンマーカー検出部11によって、自車両1の左右のレーンマーカーを両方とも正常に検出することができている状態が、現在時刻までに所定時間T4以上、継続しているという条件である。
この制約条件が成立しない状況は、レーンマーカー検出部11によるレーンマーカーの検出の開始直後等、検出されるレーンマーカーの点列の近似ラインが変動しやすい状況である。このため、レーンマーカーの過去の認識状態に関する上記の制約条件が成立していることを、第1道路形状検知部21の検知結果(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所)を選択するための必要条件としている。なお、このことは、第1道路形状検知部21の検知結果が坂道である場合、あるいは、第2道路形状検知部22の検知結果についても同様である。
また、ピッチングに関する制約条件は、自車両1がピッチング状態(自車両1のピッチング方向の姿勢変化が頻繁に生じる状態)でないという条件である。なお、ピッチング状態であるか否かは、例えばカメラ2の撮像画像、あるいは加速度センサの出力、あるいは自車両1のサスペンション機構の上下動状態等に基づいて判断される。
この制約条件が成立しない状況は、自車両1がピッチング状態となっている状況である。このような状況では、レーンマーカー検出部11により検出される自車両1の左右のレーンマーカーの点列の変動が生じやすい。このため、ピッチングに関する上記の制約条件が成立していることを、第1道路形状検知部21の検知結果(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所)を選択するための必要条件としている。
また、カーブ点列状態に関する制約条件は、自車両1の前方の車線がカーブ路面である場合に、該カーブ路面の外側のレーンマーカーの点列が、自車両1から所定距離DIST3以上の遠方まで、レーンマーカー検出部11により検出されているという条件である。
この制約条件が成立しない状況は、例えば図15に例示するように、自車両1の前方のカーブ路面の外側(図15中の破線枠の部分)のレーンマーカーの点列(図15では自車両左側のレーンマーカーLm0_Rの点列)が検出されていない状況である。このような状況では、第1道路形状検知部21の処理によって、自車両1の前方に第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所が存在すると誤検知される虞がある。そこで、カーブ点列状態に関する上記の制約条件が満たされることを、第1道路形状検知部21の検知結果(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所)を選択するための必要条件としている。なお、このことは、第2道路形状検知部22の検知結果についても同様である。
また、合流箇所点列状態に関する制約条件は、第1構造合流箇所が検知された場合に、自車両1の左右のレーンマーカーのうち合流路TL2側のレーンマーカーが、自車両1から所定距離DIST4以上の箇所(合流路TL2の終端部に相当する箇所(例えば図6の二点鎖線の枠部Bの箇所))で、レーンマーカー検出部11により検出されていないという条件である。
この制約条件が成立しない状況は、第1道路形状検知部21により検知された第1構造合流箇所で、本来、存在しないはずのレーンマーカー(合流路TL2の終端部のレーンマーカー)が検出されている状況である。従って、合流箇所点列状態に関する上記の制約条件が成立しない状況は、第1道路形状検知部21により第1構造合流箇所が誤検知された可能性が高い状況である。
また、レーンマーカーの種別に関する制約条件は、自車両1の左右のレーンマーカーのうち、近似ラインの接線の傾きの変化量(前記左傾き変化量Δa_L又は右傾き変化量Δa_R)が大きくなったと判定された側のレーンマーカーの種別が、前記実線状のレーンマーカー又は前記その他のレーンマーカー(実線状、破線状及び点鋲状のレーンマーカーのいずれでもないレーンマーカー)であるという条件である。
この制約条件に関して、分岐路TL1における左右のレーンマーカー又は合流路TL2における左右のレーンマーカー(本線路TL0に突出している部分を含む)は、通常、実線状のレーンマーカーである。従って、レーンマーカーに関する上記の制約条件が成立しない状況は、第1道路形状検知部21により第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所が誤検知された可能性が高い状況である。
また、前回検知結果に関する制約条件は、前回の制御処理周期で検知された道路形状が、坂道ではないという条件である。
本実施形態では、自車両1の前方に坂道が存在する場合に、該坂道が第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所として誤検知するのを極力防止する。このため、本実施形態では、前回検知結果に関する上記の制約条件が満たされることを、第1道路形状検知部21の検知結果(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所)を選択するための必要条件としている。
道路形状選択部23の処理では、第1道路形状検知部21の検知結果が坂道以外の道路形状である場合には、この場合に適用する上記6種類又は5種類の制約条件のいずれかが成立しない場合には、第1道路形状検知部21の検知結果(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所)が誤っている虞がある。
そこで、道路形状選択部23の処理では、第1道路形状検知部21の検知結果が坂道以外の道路形状である場合には、この場合に適用する上記6種類又は5種類の制約条件の全てが満たされる場合に、第1道路形状検知部21の検知結果(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所)を選択して出力することを許容する。
一方、第1道路形状検知部21の検知結果が坂道である場合の制約条件としては、レーンマーカーの過去の認識状態に関する制約条件と、カーブ点列状態に関する条件と、レーンマーカーの種別に関する制約条件と、車線幅に関する制約条件との4種類の制約条件が用いられる。
この場合、レーンマーカーの過去の認識状態に関する制約条件と、カーブ点列状態に関する条件と、レーンマーカーの種別に関する制約条件とは、第1道路形状検知部21の検知結果が坂道以外である場合と同じである。
また、車線幅に関する制約条件は、自車両1の左右のレーンマーカーの点列の直線近似ライン(一次関数による近似ライン)により認識される車線幅が、あらかじめ定めた所定の下限値Wminと上限値Wmaxとの間の範囲内の値であるという条件である。
高速道路等の道路の通常の坂道の車線幅は、上記範囲内に収まる。このため、車線幅に関する上記の制約条件が満たされることを、第1道路形状検知部21の検知結果(坂道)を選択するための必要条件としている。
上記4種類の制約条件のいずれかが成立しない場合には、第1道路形状検知部21の検知結果(坂道)が誤っている虞がある。
そこで、道路形状選択部23の処理では、第1道路形状検知部21の検知結果が坂道である場合には、この場合に適用する制約条件として図14に示した4種類の制約条件の全てが満たされる場合に、第1道路形状検知部21の検知結果(坂道)を選択して出力することを許容する。
また、第2道路形状検知部22の検知結果に関しては、検知された道路形状が坂道である場合と、坂道以外の道路形状(第1構造分岐箇所又は第2構造分岐箇所)である場合とのそれぞれ場合に対応して、図14に示す如く制約条件が設定されている。
第2道路形状検知部22の検知結果が坂道以外の道路形状である場合の制約条件としては、レーンマーカーの過去の認識状態に関する制約条件と、カーブ点列状態に関する条件と、レーンマーカーの種別に関する制約条件との3種類の制約条件が用いられる。
これらの3種類の制約条件は、第1道路形状検知部21の検知結果の場合の制約条件と同じである。
これらの3種類の制約条件のいずれかが成立しない場合には、第2道路形状検知部22の検知結果(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所)が誤っている虞がある。
そこで、道路形状選択部23の処理では、第2道路形状検知部22の検知結果が坂道以外の道路形状である場合には、この場合に適用する制約条件として図14に示した3種類の制約条件の全てが満たされる場合に、第2道路形状検知部22の検知結果(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所)を選択して出力することを許容する。
一方、第2道路形状検知部22の検知結果が坂道である場合の制約条件としては、レーンマーカーの過去の認識状態に関する制約条件と、レーンマーカーの種別に関する制約条件と、車線幅に関する制約条件との3種類の制約条件が用いられる。
これらの3種類の制約条件のうち、レーンマーカーの種別に関する制約条件と、車線幅に関する制約条件は、第1道路形状検知部21の検知結果の場合の制約条件と同じである。
また、レーンマーカーの過去の認識状態に関する制約条件は、この制約条件におけるパラメータの値以外は、第1道路形状検知部21の検知結果の場合の制約条件、あるいは、第2道路形状検知部22の検知結果が坂道以外の道路形状である場合と同じである。
すなわち、第2道路形状検知部22の検知結果が坂道である場合におけるレーンマーカーの過去の認識状態に関する制約条件は、自車両1の左右のレーンマーカーを両方とも正常に検出することができている状態が、現在時刻までに所定時間T5以上、継続しているという条件である。
そして、この場合、上記所定時間T5が、第1道路形状検知部21の検知結果に関する前記所定時間T4よりも短い時間とされている。これは、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所よりも、坂道の方が、道路形状選択部23の選択対象となりやすくするためである。
第2道路形状検知部22の検知結果が坂道である場合には、上記の3種類の制約条件のいずれかが成立しない場合には、第2道路形状検知部22の検知結果(坂道)が誤っている虞がある。
そこで、道路形状選択部23の処理では、第2道路形状検知部22の検知結果が坂道である場合には、この場合に適用する制約条件として図14に示した3種類の制約条件の全てが満たされる場合に、第2道路形状検知部22の検知結果(坂道)を選択して出力することを許容する。
なお、第2道路形状検知部22の検知結果が坂道である場合、自車両1の前方の道路がカーブ路面なっていることは事実上、無い。このため、第2道路形状検知部22の検知結果が坂道である場合の制約条件して、前記カーブ点列状態に関する制約条件が除外されている。
道路形状選択部23は、第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22のそれぞれの検知結果のうち、図14に示した全ての制約条件が満たされる検知結果を選択して出力する。この場合、第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22のそれぞれの検知結果の両方が、制約条件を満たす場合には、信頼性がより高い第2道路形状検知部22の検知結果が選択される。
そして、道路形状選択部23は、出力する検知結果(選択結果)を、所定時間T6の期間、保持(ラッチ)する。例えば、ある制御処理周期の時刻で、道路形状が第1構造分岐箇所であるという検知結果を選択した場合には、当該時刻から所定時間T6が経過するまでの期間は、道路形状が第1構造分岐箇所であるという検知結果が継続的に出力される。
以上が、道路形状選択部23の処理である。
道路形状認識部12は、道路形状選択部23の処理の実行後、次に、道路形状適否評価部24の処理を実行する。
道路形状適否評価部24は、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が適切なものであるか否かを評価する。
ここで、道路形状認識部12は、基本的には、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別を、検知した道路形状(第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所又は坂道)の確定結果として出力する。そして、この出力が前記走行支援制御部13で使用される。
ただし、特に、第1道路形状検知部21の検知結果が道路形状選択部23により選択された場合に、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が誤っている可能性もある。そのため、本実施形態では、道路形状認識部12は、検知した道路形状の確定結果を出力することと並行して、道路形状選択部23の選択結果が保持(ラッチ)される期間(前記所定時間T6の期間)において、該選択結果により示される道路形状を道路形状適否評価部24により補完的に評価する。そして、この評価処理によって、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が不適切である(誤っている可能性がある)と評価された場合に、道路形状認識部12は、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別を確定結果として出力することを中止する。
上記道路形状適否評価部24の処理は、次のように実行される。
すなわち、道路形状適否評価部24は、自車両1の左右のレーンマーカーのそれぞれの直線近似ライン(一次関数による近似ライン)の傾きの差、すなわち、前記第2道路形状検知部22の処理に関して説明した左右傾き差Da2と、該直線近似ラインにより認識される車線幅(自車両1から所定距離DIST5だけ前方の位置での車線幅)の時間的変化率dWとが、どのような状態になっているかを制御処理周期毎に判断する。そして、道路形状適否評価部24は、その判断結果に応じて3種類の評価値1,2,3のいずれか1つの評価値を増加させる。なお、上記車線幅の時間的変化率dWは、例えば現在時刻の制御処理周期での車線幅と前回の制御処理周期での車線幅との差として算出される。
さらに詳細には、3種類の評価値のうち、評価値1は、自車両1の前方に第1構造分岐箇所が存在する状況の如く、自車両1の前方の車線幅(本線路TL0の車線幅)が左右の片側に広がる状況に対応する評価値、評価値2は、自車両1の前方に第1構造合流箇所が存在する状況の如く、自車両1の前方の車線幅(本線路TL0の車線幅)が左右の片側で狭まる状況に対応する評価値である。また、評価値3は、自車両1の前方に坂道が存在する状況の如く、自車両1の前方の車線幅(本線路TL0の車線幅)が左右の両側に広がるか、もしくは、左右の両側で狭まる状況に対応する評価値である。
以降、評価値1を片側広がり評価値1、評価値2を片側狭まり評価値、評価値3を坂道評価値3という。
そして、道路形状適否評価部24は、図16に示す如く、左右傾き差Da2と車線幅の時間的変化率dWとに応じて、片側広がり評価値1、片側狭まり評価値、及び坂道評価値3のいずれかの値を1だけ増加させる。
具体的には、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が、第1構造分岐箇所である場合においては、道路形状適否評価部24は、Da2>TH6(Da2)であり、且つ、dWが車線幅の増加方向の値である場合に、片側広がり評価値1を増加させる。
上記TH6(Da2)は、あらかじめ定められた所定値(>0)の閾値である。また、dWが車線幅の増加方向の値であるか否かは、例えばdWがゼロよりも大きいか否か、あるいは、dWが、ゼロより若干大きい正の値の閾値よりも大きいか否かによって判断される。
また、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が、第1構造合流箇所である場合においては、道路形状適否評価部24は、Da2<−TH6(Da2)であり、且つ、dWが車線幅の減少方向の値である場合に、片側狭まり評価値1を増加させる。
Da2<−TH6(Da2)であり、且つ、dWが車線幅の減少方向の値である場合には、道路形状適否評価部24は、片側狭まり評価値2を増加させる。
この場合、dWが車線幅の減少方向の値であるか否かは、例えばdWがゼロよりも小さいか否か、あるいは、dWが、ゼロより若干小さい負の値の閾値よりも小さいか否かによって判断される。
また、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が、坂道である場合においては、道路形状適否評価部24は、|Da2|>TH6(|Da2|)である場合に、坂道評価値3を増加させる。
上記TH6(|Da2|)は、あらかじめ定められた所定値(>0)の閾値である。この閾値TH6(|Da2|)は、例えば、片側広がり評価値1又は片側狭まり評価値2に関する閾値TH6(Da2)と同じ値である。ただし、TH6(|Da2|)をTH6(Da2)と異ならせてもよい。
なお、各評価値1,2,3は、前記したカーブ点列状態に関する制約条件が成立しない状況では、値が減少される。また、片側広がり評価値1及び片側狭まり評価値2は、自車両1のピッチングが比較的顕著に発生している状況でも、その値が減少される。
また、自車両1の左右のいずれか一方のレーンマーカーがレーンマーカー検出部11により検出できない状況では、分岐又は合流により該一方のレーンマーカーが離れたために検知できなくなったとして、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別に対応する評価値の値が既定の最大値に設定される。
以上のようにして評価値1,2,3の値を逐次更新することで、左右のレーンマーカーのそれぞれの直線近似ラインにより認識させる車線幅(自車両1から所定距離DIST5だけ前方の位置での左右の直線近似ラインの間隔)の変化状態が連続的に監視される。そして、これらの評価値1,2,3は、基本的には、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が正しい場合に、該種別に対応する評価値1又は2又は3の値が逐次増加されていくこととなる。
従って、各評価値1,2,3の値は、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別の確からしさの度合いを表す指標値である。
次に、道路形状適否評価部24は、上記の如く片側広がり評価値1又は片側狭まり評価値2又は坂道評価値3の更新を開始してから前記所定時間T6が経過したときに、該評価値1又は2又は3の値等に基づいて、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別の適否を決定する。
具体的には、道路形状適否評価部24は、自車両1の左右のレーンマーカーの直線近似ラインにより認識される自車両1前方の車線幅(自車両1から所定距離DIDT6だけ前方の位置の車線幅)と、車線幅学習値(例えば、自車両1の現在位置での車線幅)との差ΔW2の絶対値|ΔW2|を算出すると共に、自車両1の左右のレーンマーカーの直線近似ラインにより認識される自車両1の現在位置での車線幅と、車線幅学習値(例えば、1制御処理周期の前の時刻における自車両1の位置での車線幅)との差ΔW3の絶対値|ΔW3|を算出する。
なお、上記車線幅学習値は、自車両1の左右のレーンマーカーの過去の検出データ(例えば現在時刻から所定時間T7前までの期間の検出データ)に基づいて算出される車線幅(自車両1の後方側の平均的な車線幅)であってもよい。
そして、道路形状適否評価部24は、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が、第1構造分岐箇所である場合においては、片側広がり評価値1の値が、所定の閾値TH7(ES)よりも大きいという条件と、上記絶対値|ΔW2|が所定の閾値TH7(|ΔW2|)よりも大きいという条件と、上記絶対値|ΔW3|が所定の閾値TH8(|ΔW3|)よりも大きいという条件とのうちのいずれかの1つの条件が成立する場合に、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別(第1構造分岐箇所)が適切であると判断する。
また、上記3つの条件のいずれも成立しない場合には、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別(第1構造分岐箇所)が適切でない(誤っている)と判断する。
また、道路形状適否評価部24は、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が、第1構造合流箇所である場合においては、片側狭まり評価値2の値が、所定の閾値TH7(ES)よりも大きいという条件と、上記絶対値|ΔW2|が所定の閾値TH7(|ΔW2|)よりも大きいという条件と、上記絶対値|ΔW3|が所定の閾値TH8(|ΔW3|)よりも大きいという条件とのうちのいずれかの1つの条件が成立する場合に、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別(第1構造合流箇所)が適切であると判断する。
また、上記3つの条件のいずれも成立しない場合には、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別(第1構造合流箇所)が適切でない(誤っている)と判断する。
また、道路形状適否評価部24は、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が坂道である場合においては、坂道評価値3の値が、所定の閾値TH8(ES)よりも大きいという条件と、上記絶対値|ΔW2|が所定の閾値TH7(|ΔW2|)よりも大きいという条件とのうちのいずれかの1つの条件が成立する場合に、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別(坂道)が適切であると判断する。
また、上記2つの条件のいずれも成立しない場合には、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別(坂道)が適切でない(誤っている)と判断する。
補足すると、上記各閾値TH7(ES),TH8(ES),閾値TH7(|ΔW2|),閾値TH7(|ΔW3|)はそれぞれ、あらかじめ実験的に決定された閾値である。本実施形態では、閾値TH8(ES)は、評価値1,2に関する閾値TH7(ES)と異る値である。ただし、TH8(ES)=TH7(ES)であってもよい。また、TH8(|ΔW3|)は、本実施形態では、自車両1の前方の車線幅ΔW2に関する閾値TH7(|ΔW2|)よりも小さい値である。ただし、例えば、TH8(|ΔW3|)=TH7(|ΔW2|)であってもよい。
また、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別が、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所である場合にΔW2と比較する閾値と、該道路形状の種別が第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所である場合にΔW3と比較する閾値と、該道路形状の種別が坂道である場合にΔW2と比較する閾値とを互いに異ならせるようにしてもよい。
以上のようにして、道路形状適否評価部24は、道路形状選択部23の選択結果により示される道路形状の種別の適否を評価する。この場合、特に、第1道路形状検知部21で使用されていないパラメータ(具体的には、Da2、dW)を使用して、道路形状の種別の適否を評価することで、道路形状選択部23により、第1道路形状検知部21の検知件結果が選択された場合に、その選択結果により示される道路形状の種別の適否を補完的に評価することができる。
道路形状認識部12は、道路形状適否評価部24の処理を上記の如く実行することと並行して、道路形状確定出力部25の処理を実行する。この道路形状確定出力部25は、道路形状の種別の検知結果を最終的に確定して出力する。この出力が、道路形状認識部12による道路形状の種別の実際の検知結果として、前記走行支援制御部13で前記した如く利用される。
道路形状確定出力部25は、具体的には、道路形状適否評価部24による評価が確定するまでの期間(前記評価値1,2,3の値の更新している期間)では、道路形状選択部23の選択結果(第1道路形状検知部21又は第2道路形状検知部22により検知された道路形状の種別)をそのまま出力する。
そして、道路形状確定出力部25は、道路形状適否評価部24が、当該選択結果が適切であるとの評価を決定し、その旨のデータ(フラグ等)を出力した場合には、道路形状選択部23の選択結果をさらに所定時間T8の期間、継続的に出力する。
一方、道路形状適否評価部24が、当該選択結果が不適切であるとの評価を決定し、その旨のデータ(フラグ等)を出力した場合には、道路形状確定出力部25は、道路形状選択部23の選択結果を出力することを直ちに中止する。
以上により道路形状認識部12の出力(走行支援制御部13の処理で利用する道路形状の種別の検知結果を示す出力)が決定される。
以上が道路形状認識部12の処理の詳細である。
以上説明した実施形態によれば、道路形状認識部12は、自車両1の前方(カメラ2の撮像領域)に、第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所が存在する場合に、これらの分岐箇所又は合流箇所の存在を、坂道と区別して早期に検知することができる。特に、第1道路形状検知部21では、左右のレーンマーカーの近似ライン(例えば二次関数により表される近似ライン)の接線の傾きの変化を監視することで、自車両1の前方に第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所が存在する場合に、これらの第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所を坂道と区別して検知することを効果的に早期に行うことができる。
また、道路形状認識部12は、第1道路形状検知部21と第2道路形状検知部22とを備えることで、一方の道路形状検知部21又は22で第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所を検知できない場合でも、他方の道路形状検知部22又は21で第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所を検知できる。
さらに、第2道路形状検知部22により第1構造分岐箇所又は第1構造合流箇所を検知できる状況では、該第2道路形状検知部22の検知結果を道路形状認識部12から出力させることができるので、該道路形状認識部12の出力の信頼性を高めることができる。
さらに、道路形状認識部12は、道路形状適否評価部24を備えるので、誤った検知結果を継続的に出力するようなことを防止することができる。
ここで、以上説明した実施形態と本発明の対応関係とについて補足しておく。前記実施形態では、レーンマーカー検出部11、道路形状認識部12及び走行支援制御部13によって、それぞれ本発明におけるレーンマーカー検出手段、対象箇所検知手段、走行支援処理実行手段が実現される。
また、第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22によって、それぞれ本発明における第1検知手段、第2検知手段が実現される。また、道路形状適否評価部によって、本発明における評価手段が実現される。
また、前記実施形態における近似ライン(2次関数等により表される近似ライン)、あるいは、直線近似ラインは、本発明における延在ラインに相当する。
なお、以上説明した実施形態では、道路形状認識部12に、第1道路形状検知部21及び第2道路形状検知部22の両方を備えるようにしたが、いずれか一方だけを備えるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、走行支援制御部13は、操舵装置8又は制動装置9を制御するようにしたが、自車両1の実際の走行経路が、左右のレーンマーカーの間の中央付近の位置から逸脱しそうな場合に、自車両1を左右のレーンマーカーの間の中央付近の位置に戻すことを運転者に対して誘導する報知(表示等の視覚的報知、あるいは、音声等による聴覚的報知、あるいは、ステアリングホイールの操作抵抗力の変化等の体感的な報知)を行うようにしてもよい。