JP5737549B2 - 重合性液晶組成物、及び、それを用いたコレステリック反射フィルム、反射型偏光板 - Google Patents
重合性液晶組成物、及び、それを用いたコレステリック反射フィルム、反射型偏光板 Download PDFInfo
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Description
しかしながら、選択反射の波長領域を拡大する際に、これら上記方法では、コレステリック反射フィルムを作製するのに長い時間がかかり、生産性に問題があった。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を1つのみ有し、かつ、トラン骨格を有する液晶化合物は、重合性官能基を有し、かつ、メソゲン基にトラン骨格を有し、さらには単独でネマチック相を示す化合物であれば、特に制限はないが、トラン骨格の有する特徴から、重合性基はラジカル重合性官能基が好ましい。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を1つのみ有し、かつ、トラン骨格を有する液晶化合物は、具体的には一般式(1)
で表される液晶化合物が好ましいが、重合性官能基とメソゲン基の間にスペーサーが入っていてもよい。
これらの液晶化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
本発明の重合性液晶組成物における一般式(1)で表される化合物の含有率は10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%が特に好ましい。
b)(重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物)
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を1つのみ有する液晶化合物は、単独又は他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す。重合性官能基を1つのみ有する化合物であれば、特に限定はなく、公知慣用のものを用いることができる。
重合性官能基は、ビニル基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が上げられるが、生産性の観点から、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
これらの式において、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又はシアノ基を表すことが好ましい。
c)(重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物)
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物は、単独又は他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す。重合性官能基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定はなく、公知慣用のものを用いることができる。
例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行,1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編,1994年)、あるいは、特開平4−227684号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−116538号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報、特開2004−125842号公報等に記載されているような、1,4−フェニレン基1,4−シクロヘキレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、ビニル基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基といった重合性官能基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物が挙げられる。中でも、重合性基を有する棒状液晶化合物が、液晶温度範囲として室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。
重合性官能基は、ビニル基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が上げられるが、生産性の観点から、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
Rは水素原子、フェニル基、シクロヘキシル基、ナフチル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基又はフッ素原子が特に好ましい。
d)(重合性官能基を少なくとも1つ以上有するキラル化合物)
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を少なくとも1つ以上有するキラル化合物であれば特に限定はなく、公知慣用のものを用いることができる。
例えば、特開平11−193287号公報、特開2001−158788号公報、特表2006−52669号公報、特開2007−269639号公報、特開2007−269640号公報、2009−84178号公報等に記載されているような、イソソルビド、イソマンニット、グルコシド等のキラルな糖類を含み、かつ、1,4−フェニレン基1,4−シクロヘキレン基等の剛直な部位と、ビニル基、アクリロイル基、(メタ)アクリロイル基、また、マレイミド基といった重合性官能基を有する重合性キラル化合物、特開平8−239666号公報に記載されているような、テルペノイド誘導体からなる重合性キラル化合物、NATURE VOL35 467〜469ページ(1995年11月30日発行)、NATURE VOL392 476〜479ページ(1998年4月2日発行)等に記載されているような、メソゲン基とキラル部位を有するスペーサーからなる重合性キラル化合物、あるいは特表2004−504285号公報、特開2007−248945号公報に記載されているような、ビナフチル基を含む重合性キラル化合物が挙げられる。中でも、らせんねじれ力(HTP)の大きなキラル化合物は、本発明の重合性液晶組成物が作りやすく好ましい。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、重合性官能基を少なくとも1つ以上有するキラル化合物は、具体的には以下に示されるような液晶化合物が例示されるが、これらに限定される訳ではない。
これらのキラル化合物は、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる重合開始剤は、本発明の重合性液晶組成物を重合させるために用いる。重合を光照射によって行う場合に使用する光重合開始剤としては公知慣用のものが使用できる。
例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、2−メチル−1−[(メチルチオ)フェニル]−2−モリホリノプロパン−1(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)。ベンジルメチルケタ−ル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア369」)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア379」)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア819」)、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアOXE01」)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアOXE02」)。2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ−ドプレキンソップ社製「カンタキュア−ITX」)とp−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、アシルフォスフィンオキシド(BASF社製「ルシリンTPO」)、などが挙げられる。光重合開始剤の含有率1〜10質量が好ましく、2〜7質量%が特に好ましい。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
本発明の組成物は前記重合性液晶組成物と溶剤を含むものであるが、組成物で用いられる溶剤は、基材上に塗布した際に基材、あるいは、基材上に形成されている配向膜を完全させず、本発明の重合性液晶組成物が欠陥なく配向できれば、使用する溶剤としては特に限定はないが、重合性液晶化合物が良好な溶解性を示す溶媒が好ましい。そのような溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。
溶剤の比率は、本発明に用いられる重合性液晶組成物が通常塗布により行われることから、塗布した状態を著しく損なわない限りは特に制限はないが、重合性液晶組成物の固形分と溶剤の比率が0.1:99.9〜80:20が好ましく、塗布性を考慮すると、1:99〜60:40がさらに好ましい。
本発明の重合性液晶組成物はプレーナー配向した状態で重合するため、必要に応じてプレーナー配向を促進する界面活性剤、又は高分子を用いる。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、プレーナー配向を促進する界面活性剤は、重合液晶組成物に可溶で、かつ、重合性液晶組成物の塗布乾燥時に、基材とは反対側の空気界面に偏析する材料であれば、使用する界面活性剤としては特に限定はないが、重合性官能基を有する液晶化合物よりも表面張力が小さい界面活性剤が好ましい。そのような界面活性剤としては、例えば、フッ素含有ノニオン系界面活性剤、オルガノシラン系界面活性剤、ポリアクリル酸エステル系界面活性剤、等が挙げられる。前記界面活性剤は、重合した際により強固なフィルムにするために重合性基を有してもよい。
本発明の重合性液晶組成物で用いられる、プレーナー配向を促進する高分子も、重合液晶組成物に可溶で、かつ、重合性液晶組成物の塗布乾燥時に、基材とは反対側の空気界面に偏析する材料であれば、使用する高分子としては特に限定はないが、重合性官能基を有する液晶化合物よりも表面張力が小さい高分子が好ましい。そのような高分子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、パラフィン、流動パラフィン、塩素化ポリプロピレン、塩素化パラフィン、又は塩素化流動パラフィン、ポリフッ化ビニリデン、等が挙げられる。
前記高分子の質量平均分子量は200〜1000000であることが好ましく、300〜100000であることがさらに好ましく、400〜10000であることが特に好ましい。
本発明の重合性液晶組成物は、均一に塗布するため、膜厚の均一なコレステリック反射フィルムを得るため、あるいは、各々の目的に応じて汎用の添加剤を使用することもできる。例えば、レベリング剤、チキソ剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、表面処理剤、重合禁止剤等の添加剤を液晶の配向能を著しく低下させない程度添加することができる。
(コレステリック反射フィルム)
本発明のコレステリック反射フィルムは、プレーナー配向した重合性液晶組成物の硬化物によって構成されるコレステリック反射フィルムであって、該重合性液晶組成物が、a)重合性官能基を1つのみ有し、かつ、トラン骨格を有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、b)重合性官能基を1つのみ有し、トラン骨格を含まない液晶化合物を1種又は2種以上含有し、c)重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、d)重合性官能基を1つ以上有するキラル化合物を1種又は2種以上含有し、e)重合開始剤を1種又は2種以上含有することを特徴とするものである。
本願発明のコレステリック反射フィルムは偏光反射帯域が250nm以上であるコレステリック反射フィルムが特に好ましい。
(コレステリック反射フィルムの製法)
本発明のコレステリック反射フィルムに用いられる基材は、液晶デバイス、ディスプレイ、光学部品や光学フィルムに通常使用する基材であって、本発明の重合性液晶組成物の塗布後の乾燥時、あるいは、液晶デバイス製造時における加熱に耐えうる耐熱性を有する材料であれば、特に制限はない。そのような基材としては、ガラス基材、金属基材、セラミックス基材やプラスチック基材等の有機材料が挙げられる。特に基材が有機材料の場合、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン又はポリスチレン等が挙げられる。中でもポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアリレート、ポリカーボネート等のプラスチック基材が好ましい。
本発明の重合性液晶組成物の塗布性や接着性向上のために、これらの基材の表面処理を行っても良い。表面処理として、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、シランカップリング処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基材表面に有機薄膜、無機酸化物薄膜や金属薄膜等を蒸着など方法によって設ける、あるいは、光学的な付加価値をつけるために、基材がピックアップレンズ、ロッドレンズ、光ディスク、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルター、等であっても良い。中でも付加価値がより高くなるピックアップレンズ、位相差フィルム、光拡散フィルム、カラーフィルターは好ましい。
(塗布)
本発明のコレステリック反射フィルムを得るための塗布法としては、アプリケーター法、バーコーティング法、スピンコーティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法、ディッピング等、公知慣用の方法を行うことができる。通常は、溶剤で希釈した重合性液晶組成物を塗布するので、塗布後は乾燥させることになる。
(重合工程)
本発明の重合性液晶組成物の重合操作については、重合性液晶組成物中の溶剤を乾燥等で除去した後、プレーナー配向した状態で一般に紫外線等の光照射、あるいは加熱によって行われる。重合を光照射で行う場合は、具体的には390nm以下の紫外光を照射することが好ましく、250〜370nmの波長の光を照射することが最も好ましい。但し、390nm以下の紫外光により重合性液晶組成物が分解などを引き起こす場合は、390nm以上の紫外光で重合処理を行ったほうが好ましい場合もある。この光は、拡散光で、かつ偏光していない光であることが好ましい。
本発明の反射型偏光板は、基材、コレステリック反射フィルム、位相差フィルムが順次積層された反射型偏光板又は基材、コレステリック反射フィルム、位相差フィルム、直線偏光フィルムが順次積層された反射型偏光板であって、該コレステリック反射フィルムが前記本発明のコレステリック反射フィルムを用いるものである。
又、反射型偏光板中に2つ以上の位相差フィルムを有し、該位相差フィルムが位相差の異なる位相差フィルムを用いた態様も好ましい。基材、及び、コレステリック反射フィルムの積層は、前記コレステリック反射フィルムの製法に記載したとおりである。位相差フィルムの積層は、以下に示す方法が挙げられる。
本発明のコレステリック反射フィルム上に配向膜を形成し、その上に前記液晶化合物を含有する溶液を塗布乾燥し、前記液晶化合物が1軸配向した状態で重合することによって得られる。配向膜を形成しなくても前記液晶化合物が1軸配向する場合は、本発明のコレステリックフィルムの上に直接前記液晶化合物を含有する溶液を塗布乾燥し、重合することによって得られる。配向膜を用いる場合、配向膜は上記基材の項で記載したとおり、公知慣用のものが用いられる。
(コレステリック反射フィルムに貼合する場合)
上記基材上に上記塗布の方法で塗布乾燥を行い、上記重合工程と同じ方法で位相差フィルムを得る。得られた位相差フィルムに接着剤、あるいは、接着フィルムを貼り合せた後、本発明のコレステリック反射フィルム、及び、前記位相差フィルムを接着剤、あるいは、接着フィルムを介して貼合することによって得られる。接着剤、あるいは、接着フィルムを用いる場合、接着剤、接着フィルムは、光学フィルム用途の公知慣用のものが用いられる。
さらに上記位相差フィルムの上に直線偏光フィルムを設ける場合、通常は貼合方式で積層する。
積層方法は、上記コレステリック反射フィルム上に位相差フィルムを積層する方法と同様である。
(重合性液晶組成物(1)の調製)
式(A−1)で表される液晶化合物17.7部、式(B−1)で表される液晶化合物17.7部、式(C−1)で表される液晶化合物22.1部、式(C−2)で表される液晶化合物30.9部、式(D−1)で表されるキラル化合物8.2部、式(E−1)で表される重合開始剤2.8部、式(E−2)で表される重合開始剤0.1部、流動パラフィン(G−1)0.5部を混合して本発明の重合性液晶組成物(1)を得た。得られた重合性液晶組成物に4−メトキシ−1−ナフトール(H−1)0.07部、シクロヘキサノン(F−1)60部を加えた後、60℃で溶解させ、本発明の重合性液晶組成物(2)を得た。
本発明の重合性液晶組成物(2)の調製と同様にして本発明の重合性液晶組成物(3)〜(17)及び比較例の重合性液晶組成物(18)〜(22)を得た。表1から表5に、本発明の重合性液晶組成物(1)〜(17)及び比較例の重合性液晶組成物(18)〜(22)の具体的な組成を示す。
配向膜用ポリイミド溶液を厚さ0.7mmのガラス基材にスピンコート法を用いて塗布し、100℃で10分乾燥した後、200℃で60分焼成することにより塗膜を得た。得られた塗膜をラビング処理して、本発明のコレステリック反射フィルム用基材とした。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。
ラビングした基材に本発明の重合性液晶組成物(2)をスピンコート法で塗布し、65℃で3分乾燥した。得られた塗膜を60℃のホットプレート上に置き、バンドパスフィルターで365nm付近のみの紫外光(UV光)が得られるように調整を行った高圧水銀ランプを用いて、15mW/cm2の強度で10秒間UV光を照射した。次にバンドパスフィルターを取り外し、70mW/cm2の強度で20秒間UV光を照射することで本発明のコレステリック反射フィルムを得た。
得られたコレステリック反射フィルムの選択反射波長を分光光度計(U−4100「株式会社 日立製作所製」を用いて測定すると図1に示すように偏光反射帯域は凡そ260nmであった。
実施例1と同様にして、実施例2〜14のコレステリック反射フィルムを得た。得られたコレステリック反射フィルムの偏光反射帯域は、表6に示すようにいずれも250nm以上であった。したがって、本発明の重合性液晶組成物を用いて作製したコレステリック反射フィルムは、可視光のほぼ全域を反射できる優れたコレステリック反射フィルムといえる。また、コレステリック反射フィルムを作製する際の塗布、乾燥、照射、いずれも従来よりも短時間で行うことができ、生産性にも優れているといえる。
重合性液晶組成物(18)〜(22)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜5のコレステリック反射フィルムを得た。得られた反射フィルムの偏光反射帯域は、表7に示したようにいずれも160nm以下であった。
本発明の重合性液晶組成物(2)をラビング処理したPETフィルムにバーコーターで塗布し、90℃で2分乾燥した。得られた塗膜を60℃に保持し、バンドパスフィルターで365nm付近のみのUV光が得られるように調整を行った高圧水銀ランプを用いて、15mW/cm2の強度で10秒間UV光を照射した。次にバンドパスフィルターを取り外し、70mW/cm2の強度で20秒間UV光を照射することで実施例15のコレステリック反射フィルムを得た。
得られたコレステリック反射フィルムの選択反射波長を測定したところ、実施例1と同様に偏光反射帯域は図2に示すように凡そ260nmであった。
実施例15と同様にして実施例16〜28のコレステリック反射フィルムを得た。得られたコレステリック反射フィルムの偏光反射帯域は、表8に示すようにいずれも250nm以上であった。
ポリビニルブチラール(製品名「エスレックBM−2」積水化学工業株式会社製)2部をエタノ−ル49部、2−ブトキシエタノール49部に溶解させた。得られたポリビニルブチラール溶液を実施例1で得られたコレステリック反射フィルムにスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。得られた塗膜をラビング処理した。ラビング処理は、市販のラビング装置を用いて行った。
次に位相差フィルム用の重合性液晶組成物(製品名:UVキュアラブル液晶「UCL−017」DIC株式会社製)のトルエン溶液(固形分比率:20%)を上記ラビング処理した基材にスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて、30mW/cm2の強度で15秒間UV光を照射し、実施例29の反射型偏光板を得た。
得られた反射型偏光板の分光特性を分光光度計(U−4100「株式会社 日立製作所製」を用いて測定した。測定は、実施例27の反射型偏光板と検出器の間に市販の直線偏光板を置き、実施例29の反射型偏光板と市販の直線偏光板のそれぞれの偏光方向が平行になる場合(パラレルニコル)と垂直になる場合(クロスニコル)で透過率を測定した。パラレルニコルの場合、透過率は可視光領域で90%以上となった。クロスニコルの場合、透過率は可視光領域でほぼ0%となった。
実施例29で用いたUCL−017のトルエン溶液を表面ラビング処理したポリアセチルセルロースフィルムに塗布し、60℃で3分乾燥した。得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて、30mW/cm2の強度で15秒間UV光を照射し、重合性液晶組成物からなる位相差フィルムが得られた。市販の透明両面粘着テープの片側の剥離層を剥してから、得られた位相差フィルムの上に貼り、もう一方の剥離層を剥した後に実施例15のコレステリック反射フィルムの上に貼り合せ、実施例30の反射型偏光板を得た。得られた反射型偏光板の分光特性を実施例29と同じ方法で行ったところ、実施例29と同様に良好な偏光特性が得られた。
実施例29のポリビニルブチラール溶液を実施例29の反射型偏光板の上にスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。
次に位相差フィルム用の重合性液晶組成物(製品名:UVキュアラブル液晶「UCL−018」DIC株式会社製)のキシレン溶液(固形分比率:25%)を上記反射型偏光板にスピンコート法で塗布し、80℃で2分乾燥した。得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて、30mW/cm2の強度で20秒間UV光を照射し、実施例31の反射型偏光板を得た。
実施例31で用いたUCL−018のキシレン溶液を表面処理したポリアセチルセルロースフィルムに塗布し、60℃で3分乾燥した。得られた塗膜に高圧水銀ランプを用いて、30mW/cm2の強度で20秒間UV光を照射し、重合性液晶組成物からなる位相差フィルムが得られた。市販の透明両面粘着テープの片側の剥離層を剥してから、得られた位相差フィルムの上に貼り、もう一方の剥離層を剥した後に実施例30の反射型偏光板の上に貼り合せ、実施例32の反射型偏光板を得た。
実施例15のコレステリック反射フィルムに、市販のX線照射装置を用いて、室温下5kGyのX線を照射し、実施例33のコレステリック反射フィルムを得た。
得られたコレステリック反射フィルムの密着性の評価は、JIS−K5400に記載のクロスカット試験により行った。クロスカット試験は、カッターを用いて、2mm間隔で縦横に切れ目を入れ、25のマス目を作った。このマス目の上に セロハンテープを貼り付け、剥したときのマス目を数えたところ、21マス残った。
実施例15のコレステリック反射フィルムに、市販の電子線照射装置を用いて、室温下10kGyの電子線を照射し、実施例34のコレステリック反射フィルムを得た。
実施例33と同様にして密着性の評価を行ったところ、21マス残った。
Claims (17)
- a)重合性官能基を1つのみ有し、かつ、トラン骨格を有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、b)重合性官能基を1つのみ有し、トラン骨格を含まない液晶化合物を1種又は2種以上含有し、c)重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、d)重合性官能基を1つ以上有するキラル化合物を1種又は2種以上含有し、e)重合開始剤を1種又は2種以上含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
- a)重合性官能基を1つのみ有し、かつ、トラン骨格を有液晶化合物が、一般式(1)
で表される請求項1記載の重合性液晶組成物。 - 一般式(1)で表される化合物の含有率が10〜80質量%である請求項1又は2記載の重合性液晶組成物。
- 重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を2種類以上含有する請求項1記載の重合性液晶組成物。
- 重合性官能基を1つのみ有し、トラン骨格を含まない液晶化合物を2種類以上を含有する請求項1から4の何れか一項に記載の重合性液晶組成物。
- 重合開始剤の含有率が1〜10質量%である請求項1〜5の何れか一項に記載の重合性液晶組成物。
- プレーナー配向を促進するフッ素含有のノニオン系界面活性剤、オルガノシラン系界面活性剤、ポリアクリル酸エステル系界面活性剤から選択される界面活性剤、又は質量平均分子量が200〜1000000であるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、パラフィン、流動パラフィン、塩素化ポリプロピレン、塩素化パラフィン、塩素化流動パラフィン、ポリフッ化ビニリデンから選択される高分子を必須成分とする請求項1〜6の何れか一項に記載の重合性液晶組成物。
- プレーナー配向を促進する前記界面活性剤、又は高分子の含有率が0.01〜3質量%である請求項7記載の重合性液晶組成物。
- 請求項1から8の何れか一項に記載の重合性液晶組成物及び溶剤を1種又は2種以上含有する組成物。
- プレーナー配向した重合性液晶組成物の硬化物によって構成されるコレステリック反射フィルムであって、該重合性液晶組成物が、a)重合性官能基を1つのみ有し、かつ、トラン骨格を有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、b)重合性官能基を1つのみ有し、トラン骨格を含まない液晶化合物を1種又は2種以上含有し、c)重合性官能基を2つ以上有する液晶化合物を1種又は2種以上含有し、d)重合性官能基を1つ以上有するキラル化合物を1種又は2種以上含有し、e)重合開始剤を1種又は2種以上含有することを特徴とするコレステリック反射フィルム。
- a)重合性官能基を1つのみ有し、かつ、トラン骨格を有液晶化合物が、一般式(1)
で表される請求項10記載のコレステリック反射フィルム。 - 偏光反射帯域が250nm以上である請求項10又は11記載のコレステリック反射フィルム。
- 基材を有するコレステリック反射フィルムであって、該基材がプラスチックフィルムである請求項10記載のコレステリック反射フィルム。
- 基材、コレステリック反射フィルム及び位相差フィルムが順次積層された反射型偏光板であって、該コレステリック反射フィルムが請求項10から13の何れか一項に記載のコレステリック反射フィルムであることを特徴とする反射型偏光板。
- 基材、コレステリック反射フィルム、位相差フィルム及び直線偏光フィルムが順次積層された反射型偏光板であって、該コレステリック反射フィルムが請求項10から13の何れか一項に記載のコレステリック反射フィルムであることを特徴とする反射型偏光板。
- 反射型偏光板中に2つ以上の位相差フィルムを有し、該位相差フィルムが位相差の異なる位相差フィルムを有する請求項14又は15記載の反射型偏光板。
- X線照射処理又は電子線照射処理を施した請求項10から13の何れか一項に記載のコレステリック反射フィルム。
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