JP5728426B2 - マルチガスセンサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被測定ガスに含まれる窒素酸化物濃度およびアンモニア濃度の検出に適したマルチガスセンサの製造方法に関する。
近年、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する技術として、尿素SCR(選択触媒還元)システムが注目されている。尿素SCRシステムは、アンモニア(NH3)と窒素酸化物(NOx)とを化学反応させて、窒素酸化物を窒素(N2)に還元することにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するシステムである。
この尿素SCRシステムでは、窒素酸化物に対して供給されるアンモニアの量が過剰になると、未反応のアンモニアが排気ガスに含まれたまま外部に放出されるおそれがあった。このようなアンモニアの放出を抑制するために、排気ガスに含まれるアンモニアの濃度を測定するセンサ素子を含む、複数種類のガス濃度を測定可能なマルチガスセンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
その一方で、被測定ガスに含まれる特定ガス成分の濃度、例えば窒素酸化物の濃度を検出する検出素子に対して、安定したガス濃度検出を行う処理(以下、「トリートメント」と表記する。)が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
当該トリートメントは、2つのトリートメントにて行われている。第1トリートメントでは、一般に検出素子において電極を固体電解質体に設けただけでは、素子が十分に活性せず十分なセンサ特性が得られないことから実施されている。第1のトリートメントとしては、検出素子を所定の雰囲気に晒した状態で加熱し、かつ、検出素子の電極間に予め設定した大きさの交番電圧を印加することにより、当該電極の活性化を促す。第2トリートメントでは、第1トリートメントにて電極の活性を向上させることができる反面、初期活性が向上しすぎてセンサ特性に初期変動が発生することから実施されている。第2トリートメントとしては、当該第1トリートメント後に、水分を略一定状態にしたリーン雰囲気に晒した状態で加熱し、検出素子の電極に通電を行う。
特開2011−075546号公報 特開2004−294079号公報
特許文献2に記載されたトリートメントは、特定ガス成分の濃度、例えば窒素酸化物の濃度を検出する検出素子に対しては検出感度を高めることができるが、他の特定ガス成分の濃度、例えばアンモニアの濃度を検出する他の検出素子に対しては、検出感度を低下させるおそれがあった。
つまり、窒素酸化物濃度の検出素子およびアンモニア濃度の検出素子を備えるセンサ素子部を有するマルチガスセンサに対して、第1トリートメントにて窒素酸化物濃度を検出する検出素子の電極の活性化を促すトリートメントを行うと、アンモニア濃度を検出する検出素子の検出感度が低下することとになり、第2トリートメント後においても、アンモニア濃度を検出する検出素子の検出感度が回復せず、マルチガスセンサが全体として良好に機能しなくなる問題があった。これは、第1トリートメントがリッチ雰囲気下にて行われるためであると考えられる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、検出対象である個々の特定ガス成分濃度の検出感度を全体的に高めることができるマルチガスセンサの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のマルチガスセンサの製造方法は、被測定ガスに含まれる窒素酸化物濃度を検出するNOx検出素子、および、前記被測定ガスに含まれるアンモニア濃度を検出するアンモニア検出素子であって、ジルコニアを主体とするアンモニア用固体電解質体と、白金を主体とする基準電極と、金を主体とするアンモニア電極と、を有するアンモニア検出素子が一体に設けられたセンサ素子部を有するマルチガスセンサの製造方法であって、前記センサ素子部をリッチ雰囲気にて第1の温度領域に加熱しつつ、前記NOx検出素子の電極間に予め設定した大きさの交番電圧を印加して、前記NOx検出素子の電極を活性化させる第1トリートメント工程と、該第1トリートメント工程の後に、水分が15体積%を越えて30体積%以下に設定されたリーン雰囲気にて、前記センサ素子部を第2の温度領域に加熱しつつ、前記NOx検出素子の電極に通電を行う第2トリートメント工程と、を有することを特徴とする。
本発明のマルチガスセンサの製造方法によれば、第1トリートメント工程を行うことによりNOx検出素子の電極の活性化を促すことができる。その上、リッチ雰囲気にて行われた第1トリートメント工程後に水分が15体積%を越えて30体積%以下に設定されたリーン雰囲気にて、第2トリートメント工程を行うことにより、第1トリートメント工程により低下したアンモニア検出素子の検出感度を回復させることができる。
具体的には、第1トリートメント工程を行うことにより、NOx検出素子の電極表面が清浄化されて、電極における活性が向上する。その一方で、アンモニア検出素子では電極の触媒活性が向上することにより、逆に検出感度が低下する。
これに対し、第1トリートメント工程の後に上述の条件にて第2トリートメント工程を行うと、アンモニア検出素子の電極における触媒活性は抑制される。これにより、第1トリートメント工程によって低下したアンモニア検出素子の検出感度が回復する。なお、第2トリートメント工程では、第1トリートメント工程にて、NOx検出素子の電極の初期活性が向上しすぎてセンサ特性に初期変動が発生することについても、電極の活性がある程度なまされ、安定したガス濃度検出を行うことができる。
本発明のマルチガスセンサの製造方法によれば、第1トリートメント工程を行うことによりNOx検出素子の電極の活性化を促すことができ、かつ、第2トリートメント工程を行うことにより、第1トリートメント工程により低下したアンモニア検出素子の検出感度を回復させることができるため、検出対象である個々の特定ガス成分濃度の検出感度を全体的に高めることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るマルチガスセンサの構成を説明する長手方向に沿う断面図である。 本発明の一実施形態に係るマルチガスセンサ装置の構成を説明するブロック図である。 アンモニアセンサ部の構成を説明する展開図である。 比較例および実施例1から実施例14までの回復率を表した棒グラフである。
この発明の一実施形態に係るマルチガスセンサ装置1について、図1から図4までを参照しながら説明する。本実施形態のマルチガスセンサ装置1は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガス(被測定ガス)に含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化する尿素SCRシステムに用いられるものである。より具体的には、排気ガスに含まれるNOxと、アンモニア(尿素)とを反応させた後の排気ガスに含まれる一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)およびアンモニアの濃度を測定するものである。
なお、本実施形態のマルチガスセンサ装置1が適用されるエンジンは、上述のディーゼルエンジンであってもよいし、ガソリンエンジンにも適用することができ、特にエンジンの形式を限定するものではない。
マルチガスセンサ装置1には、図1および図2に示すように、センサ本体であるマルチガスセンサ2と、マルチガスセンサ2を制御すると共にセンサ出力を演算処理することにより、NO、NO2およびアンモニアの濃度を算出する制御部3と、が主に設けられている。
マルチガスセンサ2には、図1に示すように、センサ素子部10と、主体金具110と、セパレータ134と、接続端子138と、が主に設けられている。なお、以下の説明では、マルチガスセンサ2のセンサ素子部10が配置されている側(図1の下側)を先端側、接続端子138が配置されている側(図1の上側)を後端側と表記する。
センサ素子部10は、軸線O方向に延びる板形状を有する。センサ素子部10の後端には電極端子部10A、10Bが配置されている。図1においては、図示を容易にするために、センサ素子部10に形成された電極端子部を、電極端子部10Aおよび電極端子部10Bのみとしているが、実際には、後述するNOxセンサ部11やアンモニアセンサ部21が有する電極等の数に応じて、複数の電極端子部が形成されている。なお、センサ素子部10のより詳細な説明は後述する。
主体金具110は、マルチガスセンサ2をディーゼルエンジンの排気管に固定するネジ部111が外表面に形成された筒状の部材である。主体金具110には、軸線方向に貫通する貫通孔112と、貫通孔112の径方向内側に突出する棚部113と、が主に設けられている。棚部113は、貫通孔112の径方向外側から中心に向かって先端側へ近づく傾きを有する内向きのテ―パ面として形成されている。
また、主体金具110は、センサ素子部10の先端側を、貫通孔112から先端側に突出させ、センサ素子部10の後端側を貫通孔112の後端側に突出させた状態で保持するものである。
主体金具110の貫通孔112の内部には、先端側から後端側に向かって順に、センサ素子部10の径方向周囲を取り囲む筒状の部材であるセラミックホルダ114、粉末充填層である滑石リング115,116、セラミックスリーブ117が積層されている。
セラミックスリーブ117と主体金具110の後端側の端部との間には、加締めパッキン118が配置されている。セラミックホルダ114と主体金具110の棚部113との間には、金属ホルダ119が配置されている。金属ホルダ119は、滑石リング115やセラミックホルダ114を保持するものである。主体金具110の後端側の端部は、加締めパッキン118を介してセラミックスリーブ117を先端側に向かって押し付けるように加締められる部分である。
主体金具110の先端側の端部には、外部プロテクタ121および内部プロテクタ122が設けられている。外部プロテクタ121および内部プロテクタ122は、先端側の端部が閉塞されたステンレス鋼などの金属材料から形成された筒状の部材である。内部プロテクタ122は、センサ素子部10の先端側の端部を覆った状態で主体金具110に溶接され、外部プロテクタ121は、内部プロテクタ122を覆った状態で主体金具110に溶接されている。
主体金具110の後端側の端部には、筒状に形成された外筒131の先端側の端部が固定されている。さらに、外筒131の後端側の端部である開口には、当該開口を閉塞するグロメット132が配置されている。
グロメット132には、リード線141が挿通されるリード線挿通孔133が形成されている。リード線141は、センサ素子部10の電極端子部10Aや、電極端子部10Bに電気的に接続されるものである。
セパレータ134は、センサ素子部10の後端側に配置された筒状に形成された部材である。セパレータ134の内部に形成された空間は、軸線方向に貫通する挿通孔135である。セパレータ134の外表面には、径方向外側に突出する鍔部136が形成されている。
セパレータ134の挿通孔135には、センサ素子部10の後端部が挿入され、電極端子部10A、10Bがセパレータ134の内部に配置される。
セパレータ134と外筒131との間には、筒状に形成された保持部材137が配置されている。保持部材137は、セパレータ134の鍔部136と当接すると共に、外筒131の内面とも当接することにより、セパレータ134を外筒131に対して固定保持するものである。
接続端子138は、セパレータ134の挿通孔135内に配置される部材であり、センサ素子部10の電極端子部10Aや電極端子部10Bと、リード線141と、をそれぞれ独立に電気的に接続する導電部材である。なお、図1では、図示を容易にするために、2つの接続端子138のみが図示されている。
マルチガスセンサ装置1の制御部3は、図2に示すように、マルチガスセンサ装置1が搭載された車両の車両側制御装置であるECU200と電気的に接続されている。ECU200は、制御部3で算出された排気ガス中のNO濃度、NO2濃度およびアンモニア濃度を示すデータを受信し、受信データに基づいてディーゼルエンジンの運転状態の制御処理を実行したり、触媒に蓄積されたNOxの浄化処理を実行したりするものである。
ここで、センサ素子部10の構成の詳細について、図2を参照しながら説明する。なお、図2では説明の便宜のために、センサ素子部10の長手方向に沿う断面図のみを表示している。
センサ素子部10には、NOxセンサ部(NOx検出素子)11と、アンモニアセンサ部(アンモニア検出素子)21と、が主に設けられている。本実施形態におけるNOxセンサ部11、アンモニアセンサ部21は、それぞれ公知のNOxセンサと同様な構成、公知のアンモニアセンサと同様な構成を有している。
NOxセンサ部11は、主に、絶縁層10e、第1固体電解質体12a、絶縁層10d、第3固体電解質体16a、絶縁層10c、第2固体電解質体18a、及び絶縁層10b、10aが、この順に積層された構造となっている。上述の各絶縁層10a、10b、10c、10d、10eはアルミナを主体として形成されている。
さらにNOxセンサ部11には、第1測定室S1が第1固体電解質体12aと第3固体電解質体16aとの層間に設けられ、NOx測定室に相当する第2測定室S2が、第1固体電解質体12aと第2固体電解質体18aとの層間に、第3固体電解質体16aを貫通して設けられている。
被測定ガスが導入される第1測定室S1の入口端(図2の左側の端)には、第1拡散抵抗体14が配置されている。第1測定室S1における入口端と反対側の端(図2の右側の端)には、第1測定室S1と第2測定室S2とを区画する第2拡散抵抗体15が配置されている。上述の第1拡散抵抗体14および第2拡散抵抗体15はアルミナ等の多孔質物質から形成され、被測定ガスの透過性を有している。
NOxセンサ部11には、さらに、NOxセンサ部11や、アンモニアセンサ部21を活性温度にまで昇温し、それぞれのセンサを構成する固体電解質体における酸素イオンの導電性を高めるヒータ19が設けられている。ヒータ19は、白金または白金を含む合金を、センサ素子部10の長手方向に沿って延びる長尺板状に形成したものであり、絶縁層10bおよび絶縁層10aの間に埋設されるものである。
その他にNOxセンサ部11には、第1ポンピングセル12と、酸素濃度検出セル16と、第2ポンピングセル18と、が設けられている。
第1ポンピングセル12は、酸素イオン導電性を有するジルコニアを主体とする第1固体電解質体12aと、白金を主体とする内側第1ポンピング電極12bおよび外側第1ポンピング電極12cと、から主に構成されている。
内側第1ポンピング電極12bは、第1固体電解質体12aにおける第1測定室S1に露出する面に設けられている。さらに内側第1ポンピング電極12bは、多孔質体からなる保護層12dによって第1測定室S1側の表面が覆われている。
外側第1ポンピング電極12cは、内側第1ポンピング電極12bの対極となる電極であり、内側第1ポンピング電極12bとの間に第1固体電解質体12aを挟んで配置されるものである。絶縁層10eにおける外側第1ポンピング電極12cが配置された領域に相当する部分は、くり抜かれて多孔質体12eが充填されている。多孔質体12eは、外側第1ポンピング電極12cと外部との間でガス(酸素)の出入りを可能とするものである。
酸素濃度検出セル16は、ジルコニアを主体とする第3固体電解質体16aと、白金を主体とし、第3固体電解質体16aを間に挟んで配置された検知電極16bおよび基準電極16cと、から主に構成されている。
検知電極16bは、第3固体電解質体16aにおける第1測定室S1に露出する面であって、内側第1ポンピング電極12bよりも下流側、言い換えると、第2拡散抵抗体15側の領域に設けられている。
検知電極16bの対極である基準電極16cは、絶縁層10cを切り抜いて形成した基準酸素室17の内部に配置されている。この基準酸素室17の内部には、多孔質体が充填されている。基準酸素室17には、第1測定室S1から送りこまれた酸素が存在し、基準酸素室17内の酸素が酸素基準とされている。
第2ポンピングセル18は、ジルコニアを主体とする第2固体電解質体18aと、白金を主体とする内側第2ポンピング電極(電極)18bおよび第2ポンピング対電極(電極)18cと、から主に構成されている。
内側第2ポンピング電極18bは、第2固体電解質体18aにおける第2測定室S2に露出する領域に設けられている。第2ポンピング対電極18cは、第2固体電解質体18aにおける基準酸素室17に露出する領域であって、基準電極16cと対向する部分に設けられている。
さらに、上述の内側第1ポンピング電極12b、検知電極16b、および、内側第2ポンピング電極18bは、それぞれ基準電位に接続されている。
その一方で、アンモニアセンサ部21は、NOxセンサ部11の外表面、より具体的には、絶縁層10eの上に形成されている。アンモニアセンサ部21は、NOxセンサ部11における基準電極16cと軸線O方向に略同位置(例えば図2の上側)に配置されている。
本実施形態では、NOxセンサ部11の第2固体電解質体18aの制御温度を600℃としたときに、NOxセンサ部11の外表面の温度が650℃となる位置に、アンモニアセンサ部21が配置されている。
アンモニアセンサ部21は、図2および図3に示すように、白金を主体とする基準電極(電極)21aと、ジルコニアを主体とするアンモニア用固体電解質体23と、酸化コバルトおよびジルコニアを主体とする中間層(電極)21bと、金を主体とするアンモニア電極(電極)21cと、から主に構成されている。さらに、アンモニアセンサ部21は、多孔質からなる保護層24によって一体に覆われている。
基準電極21aは、その電極表面で可燃性ガスが燃焼する電極であり、例えばPt単体であるか、またはPtを主成分とする材料で構成されている。さらに、基準電極21aは、絶縁層10eの外側面(図3の上側の面)に配置された矩形状の電極であり、絶縁層10eの長手方向(図3の左右方向)に延びる、白金を主体とする基準電極リード25が設けられている。基準電極リード25の後端側(図3の右側)の端部は、電極端子部を形成している。
アンモニア用固体電解質体23は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等の酸素イオン伝導性材料で構成されたものであり、絶縁層10eとの間に基準電極21aを挟んで配置されるものである。
中間層21bは、アンモニア用固体電解質体23の外側面であって、基準電極21aと対向する位置に配置されたものである。
なお、本実施形態では、中間層21bは、酸化コバルトとジルコニアとを主体としていたが、酸素イオン導電性の固体電解質成分(つまりはジルコニア)を50重量%以上含有するとともに、Mn,Cu,NiおよびCeの群から選ばれる1種以上の金属の酸化物である第1金属酸化物を含む層であっても良い。また、例えば、第1金属酸化物が、酸化コバルト(Co34)である場合には、被検出ガスに含まれるH2Oによって、アンモニアセンサ部21におけるアンモニア濃度の感度の変動が抑制される。上述の第1金属酸化物は、金属酸化物または複合酸化物の形態をとるものである。なお、中間層21bに含まれる固体電解質成分は、本発明のガスセンサを構成する固体電解質体と同一の組成であってもよいし、異なる成分であってもよい。
中間層21bに含有される第1金属酸化物の割合は、1質量%から50質量%までであることが好ましい。第1金属酸化物の含有割合が1質量%未満であると、中間層21bのアンモニアガスに対する選択性が十分に確保できないおそれがある。また、第1金属酸化物の含有割合が50質量%を超えると、中間層21bの固体電解質成分の割合が少なくなり、中間層21bの酸素イオン伝導性が低下するおそれがある。
さらに、中間層21bが多孔質であることが好ましい。中間層21bを多孔質体から形成することにより、中間層21bのアンモニアガスに対する選択性が向上し、アンモニアセンサ部21におけるアンモニアガスの検出感度が向上する。
なお、中間層21bに第1金属酸化物が含まれるか否かは、アンモニアセンサ部21の断面をEPMA(電子線マイクロアナライザ)で分析することにより確認できる。一般的には、切断面の3ヶ所をEPMAで分析し、分析結果の平均値によって確認できる。
アンモニア電極21cは、中間層21bの外側面に配置されたものである。言い換えると、アンモニア電極21cは、基準電極21aとの間にアンモニア用固体電解質体23および中間層21bを挟んで配置されたものである。
アンモニア電極21cには、アンモニア電極リード21dがアンモニア電極21cから後端側に向かって延びて形成されている。アンモニア電極リード21dは、白金を主成分とする材料で形成されている。また、アンモニア電極リード21dの後端側の端部は、電極端子部を形成している。
また、アンモニア電極21cは、Auを70重量%以上含有する材料から形成された電極であり、検知電極として働くものである。なお、アンモニア電極21cには、上述の第1金属酸化物が含まれていても、含まれていなくても良いが、含まれない形態とすれば、アンモニア電極21cにおけるアンモニアガスの燃焼が抑制され、アンモニア電極21cと中間層21bとの界面に到達するアンモニアガスが減少しにくい。言い換えると、アンモニアセンサ部21の検知精度が向上し、特に、10ppm付近の低濃度のアンモニアを高い精度で検出することが可能となる。
また、Auを70重量%以上含有する材料からアンモニア電極21cを形成することにより、アンモニア電極21cにおける集電体としての能力が確保される。なお、Auの含有量が70重量%未満の材料を用いてアンモニア電極21cを形成すると、アンモニア電極21cにおける集電体としての能力確保が難しくなる。つまり、アンモニアセンサ部21によるアンモニアガスの検知が困難になる。
アンモニア電極21cを、Zr,Y,AlおよびSiの群から選ばれる1種以上の金属の酸化物である第2金属酸化物を含む多孔質電極として形成することで、アンモニア電極21cにガス透過性を付与することができる。そのため、アンモニアガスがアンモニア電極21cを透過することができ、アンモニア電極21cと中間層21bとの界面まで容易に到達することができる。なお、アンモニア電極21cは、第2金属酸化物を5質量%から30質量%までの割合で含有していることが好ましい。
アンモニア電極21cと中間層21bとの界面まで到達したアンモニアガスは、当該界面において酸素イオンと反応(電極反応)する。そのため、アンモニア電極21cと中間層21bとがアンモニアガスの検知部として機能することができる。ここで、第1金属酸化物を、アンモニア電極21cと中間層21bとの界面に存在させることにより、アンモニア電極21cおよび中間層21bにおける例えばHCガス等のアンモニアガス以外のガスに対する感度を低下させ、アンモニアガスの選択性を向上させることができる。
アンモニアガスの選択性が向上する理由は明らかではないが、上述の界面に介在する第1金属酸化物が、電極反応場を修飾するためと考えられている。さらに、第1金属酸化物は、酸性の性質を有するため、塩基性分子であるNH3と強く相互作用し、他のガスよりもNH3に対する電極反応が有利に進むと考えられている。これらのことから、アンモニア電極21cおよび中間層21bにおけるアンモニアガスの選択性が向上していると考えられている。
なお、本実施形態では、アンモニア電極21cと中間層21bとを分けて設けているが、アンモニア電極21cに、中間層21bに含まれる酸化コバルトを含有させて、中間層21bを省略してもよい。
保護層24は、アンモニア電極21cへの被毒物質の付着を防止すると共に、外部からアンモニアセンサ部21に流入する被測定ガスの拡散速度を調整するものである。保護層24を形成する材料としては、アルミナ(酸化アルミニウム)、スピネル(MgAl24)、シリカアルミナ、および、ムライトの群から選ばれる少なくとも1種の材料を例示できる。保護層24による被測定ガスの拡散速度は、保護層24の厚さや、粒径や、粒度分布や、気孔率や、配合比率などを調整することにより調整される。
なお、上述の実施形態のように保護層24を設けてもよいし、保護層24を設けることなくアンモニア電極21cなどを露出させてもよく、特に限定するものではない。
制御部3には、図2に示すように、回路基板上に配置されたアナログ回路である制御回路50と、マイクロコンピュータ60と、が設けられている。
マイクロコンピュータ60は、制御部3の全体を制御するものである。マイクロコンピュータ60には、中央演算処理装置であるCPU61と、記憶手段であるRAM62およびROM63と、信号入出力部64と、A/Dコンバータ65と、クロック(図示せず。)と、が主に設けられている。マイクロコンピュータ60は、ROM63などに予め格納されたプログラムをCPU61が実行することにより、各種の処理を行うものである。
制御回路50は、基準電圧比較回路51と、Ip1ドライブ回路52と、Vs検出回路53と、Icp供給回路54と、Ip2検出回路55と、Vp2印加回路56と、ヒータ駆動回路57と、起電力検出回路58と、から主に構成されている。
Ip1ドライブ回路52は、NOxセンサ部11の外側第1ポンピング電極12cに電気的に接続され、Vs検出回路53およびIcp供給回路54は、基準電極16cに並列に電気的に接続されている。Ip2検出回路55およびVp2印加回路56は、第2ポンピング対電極18cに並列に電気的に接続され、ヒータ駆動回路57は、ヒータ19に電気的に接続されている。
起電力検出回路58は、アンモニアセンサ部21における基準電極21aおよびアンモニア電極21cに電気的に接続されている。さらに、起電力検出回路58は、基準電極21aおよびアンモニア電極21cの間の起電力である、アンモニア起電力EMFを検出してマイクロコンピュータ60に出力している。
Ip1ドライブ回路52は、内側第1ポンピング電極12bと外側第1ポンピング電極12cとの間に第1ポンピング電流Ip1を供給するとともに、供給した第1ポンピング電流Ip1を検出するものである。
Vs検出回路53は、検知電極16bと基準電極16cとの間の電圧Vsを検出し、検出した結果を基準電圧比較回路51に出力するものである。基準電圧比較回路51は、基準電圧(例えば、425mV)とVs検出回路53の出力(電圧Vs)とを比較し、比較した結果をIp1ドライブ回路52に出力するものである。
Ip1ドライブ回路52は、電圧Vsが上述の基準電圧と等しくなるようにIp1電流の流れる向きと、大きさとを制御するとともに、第1測定室S1内の酸素濃度をNOxが分解しない程度の所定値に調整するものである。
Icp供給回路54は、検知電極16bと基準電極16cとの間に微弱な電流Icpを流すものであり、電流Icpを供給することで、酸素を第1測定室S1から基準酸素室17内に送り込み、基準電極16cを基準となる所定の酸素濃度に晒させるものである。
Vp2印加回路56は、内側第2ポンピング電極18bと第2ポンピング対電極18cとの間に、一定電圧Vp2(例えば、450mV)を印加し、NOxを窒素と酸素に分解させるものである。一定電圧Vp2は、被測定ガス中のNOxガスが酸素とN2ガスに分解する程度の電圧である。
Ip2検出回路55は、第2ポンピングセル18に流れる第2ポンピング電流Ip2を検出するものである。第2ポンピング電流Ip2は、NOxの分解により生じた酸素が第2測定室S2から第2固体電解質体18aを介して第2ポンピング対電極18c側に汲み出される際に流れる電流である。
Ip1ドライブ回路52は、検出した第1ポンピング電流Ip1の値をA/Dコンバータ65に出力するものであり、Ip2検出回路55は、検出した第2ポンピング電流Ip2の値をA/Dコンバータ65に出力するものである。A/Dコンバータ65は、第1ポンピング電流Ip1および第2ポンピング電流Ip2の値をデジタル変換し、信号入出力部64を介してCPU61に出力するものである。
次に、制御回路50による制御について以下に説明する。
まず、エンジンが始動されて外部から制御回路50に電力が供給されると、ヒータ駆動回路57からヒータ19に電力が供給される。電力が供給されたヒータ19は熱を発生して、第1ポンピングセル12、酸素濃度検出セル16、および、第2ポンピングセル18を活性化温度まで加熱させる。
ヒータ19によってNOxセンサ部11が目標とする温度まで加熱されると、それに伴ってNOxセンサ部11の上に配置されたアンモニアセンサ部21もの所望温度に昇温される。
さらに、Icp供給回路54から、検知電極16bと基準電極16cとの間に電流Icpが供給される。すると酸素が第1測定室S1から基準酸素室17内に送り込まれ、送りこまれた酸素は酸素基準となる。
第1ポンピングセル12や、酸素濃度検出セル16や、および、第2ポンピングセル18が活性化温度に加熱されると、第1ポンピングセル12により、第1測定室S1内の酸素の汲み出しが行われる。つまり、第1測定室S1に流入した被測定ガス(排ガス)中の酸素が、第1ポンピングセル12の内側第1ポンピング電極12bから外側第1ポンピング電極12cに向かって汲み出される。
第1測定室S1内の酸素濃度は、酸素濃度検出セル16の電極間電圧Vsに対応した濃度になる。Ip1ドライブ回路52は、電極間電圧Vsが上述の基準電圧となるように、第1ポンピングセル12に流れる第1ポンピング電流Ip1を制御する。このようにすることで、第1測定室S1内の酸素濃度は、NOxが分解しない程度に調整される。
第1測定室S1において酸素濃度が調整された被測定ガスは、次に、第2測定室S2に流入する。第2測定室S2において被測定ガスに含まれるNOxは、窒素と酸素に分解される。つまり、第2ポンピングセル18の電極間電圧として、Vp2印加回路56から一定電圧Vp2(例えば450mV)が印加されると、NOxは窒素と酸素に分解される。一定電圧Vp2は、被測定ガス中のNOxガスが酸素とN2ガスに分解する程度の電圧であり、酸素濃度検出セル16の制御電圧の値より高い電圧である。
NOxの分解により生じた酸素は、第2ポンピングセル18により第2測定室S2から汲み出される。このとき第2ポンピングセル18には、酸素を汲み出すために第2ポンピング電流Ip2が供給される。第2ポンピング電流Ip2とNOx濃度との間には直線比例関係があるため、Ip2検出回路55によって検知される第2ポンピング電流Ip2は、NOx濃度と直線比例する値となる。
その一方で、アンモニアセンサ部21の基準電極21aとアンモニア電極21cとの間には、被測定ガスに含まれるアンモニア濃度に応じて起電力が発生する。起電力検出回路58は、基準電極21aとアンモニア電極21cとの間の起電力をアンモニア起電力として検出する。
マイクロコンピュータ60のCPU61は、ROM63に記憶されている各種のデータに基づいて、第2ポンピング電流Ip2の値、アンモニア起電力EMFから酸素濃度の影響を取り除く処理を行い、さらに、NO濃度やNO2濃度等のNOx濃度、および、アンモニア濃度を算出する処理を行う。なお、これらの処理としては、上述の特許文献1などに記載された処理を用いることができ、特に限定するものではない。
次に、本実施形態の特徴であるNOxセンサ部11およびアンモニアセンサ部21が形成されたセンサ素子部10の製造方法について説明する。ここでは、アンモニアセンサ部21の製造方法およびセンサ素子部10の検出感度を高める処理について説明する。なお、NOxセンサ部11の製造方法は公知の製造方法であるため、本実施形態ではその詳細な説明を省略する。
まず、アンモニアセンサ部21の製造方法について以下に説明する。
最初に、絶縁層10eの上に基準電極21aを形成するPt、アルミナ(共素地として用いる無機酸化物)バインダおよび有機溶剤を含む電極ペースト(以下、「Pt系ペースト」と表記する。)をスクリーン印刷により配置し、所定温度(約1400℃以上)で焼成する。
焼成された基準電極21aの上に、アンモニア用固体電解質体23を形成する固体電解質体の成分となる酸化物粉末、バインダおよび有機溶剤を含むペーストをスクリーン印刷により配置し、所定温度(例えば、1500℃)で焼成する。以上により、基準電極21a、および、アンモニア用固体電解質体23が形成される。
次いで、アンモニア用固体電解質体23の上に、中間層21bを形成する上記第1金属酸化物および固体電解質成分を含むペーストをスクリーン印刷により配置し、所定温度(例えば、1000℃)で焼成することにより、中間層21bが形成される。
さらに、中間層21bの上に、アンモニア電極21cを形成するAu系ペーストをスクリーン印刷により配置し、所定温度(例えば、1000℃)で焼成することにより、アンモニア電極21cが形成される。最後に、基準電極21a、アンモニア用固体電解質体23、中間層21bおよびアンモニア電極21cを覆うように、アルミナ等を含むペーストをスクリーン印刷により配置し、所定温度(例えば、1000℃)で焼成することにより、保護層24が形成される。以上によりアンモニアセンサ部21が形成される。
続いて、センサ素子部10に対してリッチトリートメント(第1トリートメント工程)、および、リーントリートメント(第2トリートメント工程)が行われる。リッチトリートメントは、NOxセンサ部11の電極の活性化を促すことを目的として行われ、リーントリートメントは、リッチトリートメントによって低下したアンモニアセンサ部21の検出感度の回復、およびNOxセンサ部11の電極の初期変動の発生を抑制することを目的として行われる。
リッチトリートメントでは、センサ素子部10はリッチ雰囲気の中に配置され、素子の温度が500℃から800℃となるように加熱される。この状態で、NOxセンサ部11の各電極に、電圧が0.8Vであり、半周期が60sのステップ状の交番電圧が、3サイクル印加される。
ここで、リッチ雰囲気とは、理論空燃比(λ=1)に対して酸素の割合が少ない雰囲気のことである。つまり、理想的な完全燃焼ができる空気と燃料との混合比である理論空燃比で燃焼されたガス雰囲気を基準としたときに、当該ガス雰囲気よりも酸素の割合がすくない(酸素分圧が低い)ガス雰囲気のことである。
上述のリッチ雰囲気としては、例えば、H2が数体積%で、残部がN2であるガスに対して、水分が0体積%を超え、5体積%以下の割合で含むものが挙げられる。なお、リッチ雰囲気としては、COが1体積%、CO2が10体積%、残部がN2のガスに対して、水分が0体積%を超え、5体積%以下の割合で含むものも例示できる。
上述のリッチトリートメントが行われたセンサ素子部10に対して、続いてリーントリートメントが行われる。
リーントリートメントでは、センサ素子部10はリーン雰囲気の中に配置され、素子の温度が650℃から850℃、より好ましくは750℃となるように加熱される。この状態で、NOxセンサ部11の各電極及びヒータ19に対して、90秒間の通電および10秒間の非通電が交互に繰り返される。
なお、リーン雰囲気とは、O2が1体積%から20体積%、水分が15体積%を越えて30体積%以下で、残部がN2であるガスを例示することができる。より好ましくは、O2が10体積%、水分が20体積%で、残部がN2であるガスを例示することができる。
次に、上述のセンサ素子部10の製造方法で説明したリーントリートメントの条件を変動させた際のアンモニアセンサ部21の検出感度の回復率を測定した実験結果について説明する。回復率の測定は、リッチトリートメントおよびリーントリートメントを行う前のアンモニアセンサ部21の検出感度であるアンモニア起電力(以下、「初期感度」と表記する。)を測定した後、当該アンモニアセンサ部21にリッチトリートメントおよびリーントリートメントを行い、その後のアンモニアセンサ部21の検出感度であるアンモニア起電力(以下、「処理後感度」と表記する。)を測定することで行われる。回復率は、処理後感度(mV)/初期感度(mV)×100の計算式により求められている。
さらに、初期感度および処理後感度を測定する際に用いられた被測定ガスは、O2が10体積%、CO2が5体積%、H2Oが5体積%、残部がN2のガスに、NH3を50ppm含有させたものを用いている。また、初期感度および処理後感度の測定時における、被測定ガスの温度は150℃、流速は7.5m/sであり、アンモニアセンサ部21の温度は650℃である。
以下に示す表1では、リーントリートメントの際のリーン雰囲気に含まれる水分(H2O)の割合を、1体積%から30体積%の範囲で変化させた場合の回復率の変動を示している。つまり、実施例1は水分が1体積%の例であり、実施例2は10体積%、実施例3は15体積%、実施例4は20体積%、実施例5は25体積%、実施例6は30体積%の例である。
なお、実施例1から5までのリーン雰囲気は、上述のように変動する水分の他にO2が10体積%含まれ、残部がN2の雰囲気である。また、リーントリートメント時のアンモニアセンサ部21の温度は750℃であり、リーントリートメントの処理時間は20分である。
Figure 0005728426
上記の表1によれば、水分の体積%が1体積%から20体積%に増加する伴い、回復率が64%から95%まで上昇している。その後、水分の体積%が20体積%を超えて増加すると、回復率は徐々に減少する(図4参照)。アンモニアセンサ部21の回復率の値が85%以上の場合を合格と判定すると、水分の体積%が15体積%を越えて30体積%以下の範囲が合格範囲となる。
なお、上記の表1には比較例として、アンモニアセンサ部21に対してリッチトリートメントのみを行い、リーントリートメントを行わなかった例を記載している。比較例における回復率は51%である。
さらに、リーントリートメント時におけるアンモニアセンサ部21の温度を650℃から850℃までの範囲で変化させた場合の回復率の変動を以下の表2に示す。つまり、実施例7はアンモニアセンサ部21の温度が650℃の例であり、実施例8は700℃、実施例9は750℃、実施例10は800℃、実施例11は850℃の例である。
なお、実施例7から11までのリーン雰囲気は、O2が10体積%、H2Oが10体積%含まれ、残部がN2の雰囲気である。また、リーントリートメントの処理時間は20分である。
Figure 0005728426
上記の表2によれば、アンモニアセンサ部21の温度を650℃から850℃までの範囲で変化させても、回復率の値は85%以上であることが判る。その中でも、アンモニアセンサ部21の温度が750℃の場合が、最も高い回復率(95%)になることが判る(図4参照)。
そして、リーントリートメント時におけるリーン雰囲気に含まれるO2の濃度を1体積%から20体積%まで変化させた場合の回復率の変動を以下の表3に示す。つまり、実施例12はO2を1体積%とした例であり、実施例13は10体積%、実施例14は20体積%とした例である。
なお、実施例12から14までのリーン雰囲気は、上述のように変動するO2の他に水分が20体積%含まれ、残部がN2の雰囲気である。また、リーントリートメント時のアンモニアセンサ部21の温度は750℃であり、リーントリートメントの処理時間は20分である。
Figure 0005728426
上記の表3によれば、リーン雰囲気に含まれるO2の濃度を1体積%から20体積%まで変化させても、回復率の値は85%以上であることが判る。その中でも、O2が10体積%の場合が、最も高い回復率(95%)になることが判る(図4参照)。
上記のマルチガスセンサ2の製造方法によれば、リッチトリートメントを行うことによりNOxセンサ部11の電極の活性化を促すことができ、かつ、リーントリートメントを行うことにより、リッチトリートメントにより低下したアンモニアセンサ部21の検出感度を回復させることができる。言い換えると、マルチガスセンサ2における検出対象であるNO濃度、NO2濃度およびNH3濃度の検出感度を全体的に高めることができる。
2…マルチガスセンサ、10…センサ素子部、11…NOxセンサ部(NOx検出素子)、18b…内側第2ポンピング電極(電極)、18c…第2ポンピング対電極(電極)、21…アンモニアセンサ部(アンモニア検出素子)、21a…基準電極(電極)、21b…中間層(電極)、21c…アンモニア電極(電極)

Claims (1)

  1. 被測定ガスに含まれる窒素酸化物濃度を検出するNOx検出素子、および、前記被測定ガスに含まれるアンモニア濃度を検出するアンモニア検出素子であって、ジルコニアを主体とするアンモニア用固体電解質体と、白金を主体とする基準電極と、金を主体とするアンモニア電極と、を有するアンモニア検出素子が一体に設けられたセンサ素子部を有するマルチガスセンサの製造方法であって、
    前記センサ素子部をリッチ雰囲気にて、第1の温度領域に加熱しつつ、前記NOx検出素子の電極間に予め設定した大きさの交番電圧を印加して、前記NOx検出素子の電極を活性化させる第1トリートメント工程と、
    該第1トリートメント工程の後に、水分が15体積%を越えて30体積%以下に設定されたリーン雰囲気にて、前記センサ素子部を第2の温度領域に加熱しつつ、前記NOx検出素子の電極に通電を行う第2トリートメント工程と、
    を有することを特徴とするマルチガスセンサの製造方法。
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