JP5716274B2 - 樹脂組成物並びにこれを成形してなるフィルム、プレート及び射出成形品 - Google Patents
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Description
また第2の本発明は、構造の一部に下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位(b)とを含む脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)からなる混合物(X)を主成分とする樹脂組成物であって、前記脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)中に占める前記(b)の割合が45モル%以上、80モル%以下であり、前記混合物(X)中に占める脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)の割合が1質量%以上、99質量%以下であることを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。
本発明に用いる脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)としては、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位とを含むポリカーボネート樹脂が用いられる。
これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記の中でも工業的に入手が容易であり、植物原料由来であるイソソルビドを用いることが最も好ましく、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
尚、シクロヘキサンジメタノールの中でも、工業的に入手が容易である、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.60g/dlに精密に調整し、温度20.0℃±0.1℃で測定され、通常、0.20dl/g以上1.0dl/g以下で、好ましくは0.30dl/g以上0.80dl/g以下の範囲内である。
脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が過度に低いと、レンズ等に成形した際の機械的強度が低下する傾向がある。また、脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が過度に大きいと、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品の歪みが大きくなり易い傾向がある。
エステル交換法は、前記構造の一部に前記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物と、シクロヘキサンジメタノールと、必要に応じて用いられるその他のジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、エステル交換反応を行う製造方法である。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(B)は、ホモポリマー及びコポリマーのいずれであってもよい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)は、分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、さらに分岐構造と直鎖構造との混合物であってもよい。
なお、本発明においては、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)を1種のみを単独、又は2種以上を混合して使用してもよい。
本発明における混合物(X)は、ガラス転移温度が単一となる特徴を有する混合物である。
また、上記動的粘弾性測定のほか、示差走査熱量測定などによってもガラス転移温度が単一であることを確認することができる。具体的には、JIS K7121に準じて、加熱速度10℃/分で示差走査熱量計(DSC)を用いてガラス転移温度を測定した際に、ガラス転移温度を示す変曲点が1つだけ現れるものであるということもできる。
ネート樹脂(B)のガラス転移温度以下の範囲にあることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、混合物(X)を主成分とする。混合物(X)が主成分であれば、他に、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂や、樹脂以外の添加剤を配合することも出来る。
成形加工性や諸物性のさらなる向上・調整を目的として配合する、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂やコア−シェル型、グラフト型又は線状のランダム及びブロック共重合体のようなゴム状改質剤などが挙げられる。前記ポリカーボネート樹脂以外の樹脂の配合量としては、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、1質量%以上、30質量%以下の割合で配合することが好ましく、3質量%以上、20質量%以下の割合で配合することがより好ましく、5質量%以上、10質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル) ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル) ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。 これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
前記熱安定剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で熱安定剤を配合することにより、添加剤のブリード等を生じることなく樹脂の分子量低下や変色を防止することができる。
また、本発明の樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート) 、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ
プロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。前記酸化防止剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で酸化防止剤を配合することにより、酸化防止剤のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂の酸化劣化を防止することができる。
また、本発明の樹脂組成物に対して表面滑性の付与を目的として、滑剤を配合することができる。前記滑剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシル基および/ ま
たはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物の耐候性をさらに向上する目的で、紫外線吸収剤、光安定剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤、光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2−(3−t
ert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。紫外線吸収剤の融点としては、特に120〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃ 以上の紫外線吸収剤を使用すると、成形品表面のガスによる曇りが減少し改善される。具体的には、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2 '−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル) −5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用され、これらのうちでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル) −6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールが好ましい。これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。 前記紫外線吸収剤、光安定剤の配合量は、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で紫外線吸収剤、光安定剤を配合することにより、紫外線吸収剤、光安定剤のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生
じることなく、樹脂組成物の耐候性を向上することができる。
さらに、本発明の樹脂組成物の耐加水分解性をさらに向上するため、エポキシ系化合物を配合することができる。エポキシ系化合物の具体例としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポ
キシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポ
キシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル) ブチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチルー3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6'−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−N−ブチル−3−tブチル−4,5−エポキシ-シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。前記エポキシ系化合物の配合量としては、本発明の樹脂組成物100質量%に対して、0.0001質量%以上、5質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲でエポキシ系化合物を配合することにより、エポキシ系化合物のブリード、樹脂組成物からなる各種成形品の機械特性低下を生じることなく、樹脂組成物の耐加水分解性を向上することができる。
本発明の樹脂組成物には、上記以外にも、可塑剤、顔料、染料、充填剤等の添加剤をさらに配合することもできる。
本樹脂組成物を0.2mm厚みに成形した場合におけるJIS K7361−1に基づき測定した全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。かつ、JIS K7105に基づき測定したヘーズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1.8%以下であることがさらに好ましく、1.5%以下であることが特に好ましい。全光線透過率、及び、ヘーズがかかる範囲内にあることで、透明性が必要とされる様々な用途に広く用いることが可能である。
本樹脂組成物は、フィルム、プレート、または、射出成形品等に成形することができる。具体的には、脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)及び、必要に応じてその他の樹脂や添加剤等の原料を直接混合し、押出機或いは射出成型機に投入して成形するか、または、前記原料を二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製した後、このペレットを押出機或いは射出成型機に投入して成形する方法を挙げることができる。いずれの方法においても、ポリカーボネート樹脂の加水分解による分子量の低下を考慮する必要があり、均一に混合させるためには後者を選択するのが好ましい。そこで、以下後者の製造方法について説明する。
なお、本明細書中に表示される原料及び試験片についての種々の測定値及び評価は次の
様にして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向を縦方向、その直交方向を横方向と呼ぶ。
ウベローデ粘度計を使用し、ポリカーボネート樹脂試料の塩化メチレン溶液(0.6g/dl)を調製し、20℃におけるηspを測定し、以下の式(I)及び(II)より粘度平均分子量(Mv)を求めた。
ηsp/C=[η]×(1+0.28ηsp) (I)
[η]=1.23×10-4×(Mv)0.83 (II)
(式(I)中、ηspはポリカーボネート樹脂試料の塩化メチレン中20℃で測定した比粘度であり、Cはこの塩化メチレン溶液の濃度である。塩化メチレン溶液としては、ポリカーボネート樹脂試料の濃度が0.6g/dlの溶液を使用する。)
中央理化社製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として、塩化メチレンを用い、温度20.0℃±0.1℃でポリカーボネート樹脂試料の還元粘度を測定した。濃度は0.60g/dlになるように、精密に調整した後に測定した。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、 相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求めた。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
この数値が高いほど分子量が大きい。
示差走査熱量計(メトラー社製「DSC822」)を用いて、試料約10mgを10℃/minの昇温速度で加熱して測定し、JIS K7121(1987)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた折線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度Tigを求めた。
JIS K7105に基づいて、全光線透過率および拡散透過率を測定し、ヘーズを以下の式で算出した。厚み0.2mmでの全光線透過率が80%以上、ヘーズが3%以下であるものを合格とした。
[ヘーズ]=[拡散透過率]/[全光線透過率]×100
JIS K7127に基づき、横方向が測定方向となるように長さ120mm、幅10mm、厚み0.2mmの試験片を作製し、インテスコ社製万能材料試験機MODEL205を用いて、温度23℃ 、試験速度200mm/分の条件で引張り破壊強度・伸度の測
定を行なった。引張破壊強度が50MPa以上、引張破壊伸度が100%以上のものを合格とした。
JIS K7127に基づき、横方向が測定方向となるように長さ400mm、幅10mm、厚み0.2mmの試験片を作製し、インテスコ社製万能材料試験機MODEL20
5を用いて、温度23℃、引張速度5mm/minの条件で引張弾性率の測定を行った。引張弾性率は2.0GPa以上を合格とした。
ハイドロショット高速衝撃試験器(島津製作所社製「HTM−1型」)を用いて、縦方向100mm×横方向100mmの大きさに切り出したシートを試料とし、クランプで固定し、温度23℃でシート中央に直径が1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で落として衝撃を与え、試料が破壊するときの破壊エネルギー(kgf・mm)を測定した。破壊エネルギーが100kgf・mm以上のものを合格とした。
長さ5mm×幅5mm(厚みはそれぞれの試験片により異なる)の評価用サンプルを用いて、JIS K7196に基づき、TMAによる軟化温度の測定を行った。温度23℃、相対湿度50%、圧子への圧力0.5N、昇温速度5℃/分にてTMA曲線を測定し、圧子が侵入を始めるよりも低温側に認められる直線部分を高温側に延長し、侵入速度が最大となる部分の接線の低温側への延長との交点を針侵入温度とし、この値から軟化温度を算出した。TMA軟化温度は70℃以上を合格とした。
島津製作所社製「高化式フローテスターCFT−500C型」を用いて、内径1mm、長さ2mmのノズルを用いて、温度200℃、せん断速度100sec−1とした時の溶融粘度を測定した。200℃、100sec−1における粘度が1,000Pa・s以上、20,000Pa・s以下であるものを合格とした。
各評価項目を総合して、各実施例及び比較例について以下の4基準をもって判定した。
◎:ガラス転移温度が単一であり、全光線透過率、ヘーズ、引張破壊強度・伸度、引張弾性率、耐衝撃性、耐熱性、流動性の全てが合格となるもの。
○:ガラス転移温度が単一であり、全光線透過率、ヘーズ、引張破壊強度・伸度、引張弾性率、耐衝撃性、耐熱性、流動性の全てが合格となるものの、流動性が若干劣るもの(10,000以上であるもの)。
△:ガラス転移温度が単一であり、全光線透過率、ヘーズ、引張破壊強度・伸度、耐衝撃性、耐熱性、流動性が合格となり、引張弾性率が劣るものの実用的に問題ないレベルのもの。
×:ガラス転移温度が単一でない、または、全光線透過率、ヘーズ、引張破壊強度・伸度、引張弾性率、耐衝撃性、耐熱性、流動性の内、1項目以上が不合格となり、実用的に問題があるレベルのもの。
PC1:
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=30/70モル%、
ガラス転移温度=80℃、還元粘度 0.69dl/g
PC2:
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=50/50モル%、
ガラス転移温度=101℃、還元粘度 0.57dl/g
PC3:
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=60/40モル%、
ガラス転移温度=110℃、還元粘度 0.51dl/g
PC4:
イソソルビドに由来する構造単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位=10/90モル%、
ガラス転移温度=50℃、還元粘度 0.51dl/g
PC5:
イソソルビドに由来する構造単位/トリシクロデカンジメタノールに由来する構造単位=50/50モル%、
ガラス転移温度=110℃、還元粘度 0.60dl/g
PC6:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンS3000、
ガラス転移温度=150℃、還元粘度 0.49dl/g、
粘度平均分子量=20,000
PC1、及び、PC6を混合質量比90:10の割合でドライブレンドした後、40mmφ同方向二軸押出機を用いて220℃で混練した後、Tダイより押出し、次いで約80℃のキャスティングロールにて急冷し、厚み0.2mmのシートを作製した。得られたシートについて、ガラス転移温度、引張破壊強度・伸度、引張弾性率、耐衝撃性、耐熱性、流動性の評価を行った。結果を表1に示す。
PC1、及び、PC6を混合質量比60:40の割合で混合し、キャスティングロール温度を100℃とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
PC1、及び、PC6を混合質量比20:80の割合で混合し、キャスティングロール温度を130℃とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
PC2、及び、PC6を混合質量比60:40の割合で混合し、キャスティングロール温度を120℃とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
PC3、及び、PC6を混合質量比60:40の割合で混合し、キャスティングロール温度を120℃とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
PC4、及び、PC6を混合質量比60:40の割合で混合し、キャスティングロール温度を110℃とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
脂肪族ポリカーボネート樹脂を使用せずに、PC6のみを用い、キャスティングロール温度を130℃とし、シートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
PC5、及び、PC6を混合質量比60:40の割合で混合し、キャスティングロール温度を100℃とした以外は実施例1と同様の方法でシートの作製、評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (8)
- 構造の一部に下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(a)とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位(b)とを含む脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)からなる混合物(X)を主成分とする樹脂組成物であって、前記脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)中に占める前記(b)の割合が45モル%以上、80モル%以下であり、前記混合物(X)中に占める脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)の割合が1質量%以上、99質量%以下であり、前記混合物(X)はガラス転移温度が単一であり、かつ、該ガラス転移温度が前記脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度以上、前記芳香族ポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度以下の範囲にあることを特徴とする樹脂組成物。
- 前記混合物(X)中に占める脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)の割合が、50質量%以上、99質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記脂肪族ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度が75℃以上、105℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記混合物(X)のガラス転移温度が、75℃以上、130℃以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなるフィルム。
- 前記樹脂組成物を厚み0.2mmに成形したときのJIS K7361−1に基づき測定した全光線透過率が80%以上であり、かつ、JIS K7105に基づき測定したヘーズが3%以下であることを特徴とする請求項5に記載のフィルム。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなるプレート。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物を射出成形してなる射出成形品。
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