JP5714934B2 - 深絞り成形用共押出積層フィルム、底材および深絞り成形容器 - Google Patents

深絞り成形用共押出積層フィルム、底材および深絞り成形容器 Download PDF

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Description

本発明は、特に、ガスパック形態に代表される高衝撃強度、良好な成形性および優れた外観性を有し、酸素による内容物の変質を嫌う食品、医療品、および薬品等の包装用に適する酸素吸収機能を有する深絞り成形容器として好適な共押出フィルム、このフィルムを用いた底材および深絞り成形容器に関するものである。
深絞り成形用フィルムの製法としては、一般に接着剤により各層を積層するドライラミネート法と、いずれかの材料を基材として複数の層を同時に積層する押出ラミネート法とが知られている。
従来、深絞り成形用フィルムとしては、例えば、厚さ150〜600μmの無定形ポリエステル樹脂からなるシートに、EVOH層、Ny層およびシール層の構成からなる厚さ100μm以下の共押出フィルムを接着させる接着加工法(ドライラミネート法)により作製された、以下の層構成を有するフィルムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
無定形ポリエステルシート//共押出フィルム(EVOH層/Ny層/シール層)
上記層構成において、「シール層」とは深絞り成形容器の底材において、蓋材との接合面を構成する層をいう。また「シート」は、共押出複合フィルムとは別途作製されたシート状部材を意味する。また、上記層構成における表記「//」は、その前後に記載されている層がドライラミネート法により接合されていることを、「/」はその前後に記載されている層が共押出法により接合されていることを示している。以下においても同様の表記を使用する。また、「EVOH」はエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物樹脂を、「Ny」はポリアミド樹脂を意味する。
しかし、従来の深絞り成形用フィルムを得る工程における接着加工法では、使用するフィルムの種類によっては、接着工程において層間に気泡が入りやすく層間剥離強度が低下するとともに外観性が損なわれ、かつ残留溶剤により食品の安全性が低下するといった問題がある。また、この方法では、積層工程が複雑化するため、生産性が悪化し、製造コストがかかってしまうという問題もある。
一方、上記方法で得られた従来の成形用フィルムを深絞り成形機により成形加工する場合、フィルムの剛性から、フィルムを挟持するチャック部分でフィルムに割れが発生しやすいという問題があり、さらに、ガス置換包装で得られた前記従来の成形用フィルムからなるパック品を、4℃以下低温下でチルド流通する場合、ポリエステル樹脂の特徴から脆性破壊が起こり、パック品の底材が割れてしまうという問題がある。
また、酸素ガスバリア性の面では、これらのポリエステルシートを主体としたフィルムは、食品の鮮度を維持する方法として、包装内の空気を他のガスで置換し、密封包装するガス置換包装(ガスパック)が一般的である。ガス置換包装とは、食品を包装する際に、一旦脱気してから、窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスを充填して、酸化を防止すると同時に、保存性の延長をも期待する包装方法である。この包装のメリットは、真空包装のデミリットである内容物の形状を崩したり、変形させたりすることがなく、内容物のふんわり感・できたて感を保持できる点である。また、不活性ガスで置換することで内容物の酸化を防止することが可能である。
ガス置換をする主な目的はカビ、細菌、酵母などによる微生物的変敗と、酸素による油脂の酸化、栄養成分の分解、風味の変化、着色などの化学的変化を抑制して、内容物の鮮度保持期間を延長させることである。
これらの包材には、ガスバリア性樹脂のEVOH、MXD-Nyなどで多層化したフィルムが使用されているが、容器の外部に透過している酸素をバリアするという受動的(パッシブ)な方法なので、不活性ガスに置換した後でも、わずかではあるが容器内の酸素濃度は経時的に増加し、菓子類、もち、米飯類、調味料、ドレッシング、マヨネーズ、醤油、鰹節、削り節、生鮮食品など微量な酸素でも影響を受けやすい食品への適用は難しく、たとえ適用できても保持期限を短くする必要がある。
また、酸素の影響を受けにくい(酸化が進みにくい)油性食品や畜水産加工品などでも、食品の変質劣化を防止する点や安全性から、ガス置換した上で、脱酸素剤を封入するケースが多いが、これらの小袋型脱酸剤は、コスト高になる、封入用の専用設備が必要、飲料など液体・粘体食品には直接接触するため使えない、誤食・誤飲の危険がある、金属探知機が使えないなどの欠点がある。
また、鉄粉等の酸素吸収剤を所定の樹脂に配合する方法があり、酸素吸収性能が大きいというメリットがある反面、配合する樹脂を固有の色相に着色する必要があるため、透明性が要求される包装の分野には使用できないという制約がある。さらにこの包装材は、金属異物検知器に反応してしまうため、異物検知器が使用できないという問題や、電子レンジによる加熱で放電・発火する可能性があるなど実用上の問題がある。
特開平11−333994号公報
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その解決課題は、高衝撃強度と良好な成形性と優れた外観性とを併有し、特に、低温衝撃強度が良好である深絞り成形用共押出フィルムであるとともに、酸素吸収機能により、従来よりも長期間に亘って高い酸素ガスバリア性を持続できる透明性な包装材料で、成形性、耐衝撃性、剛性、耐ピンホール性を有した包装材料を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討したところ、所定量の酸素吸収能を有する酸素吸収性樹脂層および所定の組成を共押出しするにより得られる所定の層構成を有するフィルムであれば、高い衝撃強度、優れた成形性、優れた外観性および優れた低温衝撃強度かつ高い酸素バリア性能を有し、かつ、長期に亘り酸素バリア性を持続できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、非晶性ポリエステル樹脂層(A)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層(B)、接着性樹脂層(C)、ポリアミド樹脂層(D)、酸素吸収樹脂層(E)、およびシール性樹脂層(F)を有する共押出フィルムであって、前記(A)および(B)の極限粘度(IV) が0.64〜0.90dl/gであり、フィルム全体の厚み(t)に対する(A)および(B)の層の厚みの合計(a+b)の比〔(a+b)/t〕が0.70〜0.95であり、中間層が(D)/(E)/(D)の順に接した構成で且つ内側の(D)の層厚が4〜15μmであり、(E)がエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を主成分とし且つ遷移金属触媒を含み、23℃、50%RHの条件下で1ml/m ・day・MPa以下の酸素透過率を少なくとも180日間持続することを特徴とする深絞り成形用共押出無延伸積層フィルムに存する。
本発明によれば、従来の深絞り成形用フィルムとは異なる上記の材料および層構成を有する深絞り成形用共押出フィルムとすることによって、高い衝撃強度、良好な成形性および優れた外観性を併有する深絞り成形容器とすることができる深絞り成形用フィルムを提供することができる。また、非晶性ポリエステル樹脂をPET層へ添加することで、より一層、深絞り成形容器の低温衝撃強度を優れたものとすることができる。さらに本発明によれば、高衝撃強度と優れた外観性を有する、前記フィルムで形成された底材およびこの底材を用いた深絞り成形容器を提供することができる。
また、上記ガスバリア性多層フィルムを用いて包装材や包装体を作製した場合、優れた酸素吸収機能と優れた酸素バリア性を長期間安定して持続でき、特にガスバリア性の高い軟包装材、深絞り包装材、および軟包装体や深絞り包装体を提供することができる。
本発明によれば、主に食品分野で、賞味期限の延長、食品本来の風味や香りの維持、食品の変色・退色防止などにメリットがある。
深絞り成型用ガスバリア性多層フィルムの断面構造を示す概略図である。 本発明の実施例および比較例のフィルムを深絞り包装機でパックし、4℃で80%RHの条件下に保持したときの酸素濃度の経時変化を示すグラフである。 本発明の実施例および比較例のフィルムを深絞り包装機でパックし、30℃で80%RHの条件下に保持したときの酸素濃度の経時変化を示すグラフである。
本発明のフィルムは、非晶性ポリエステル樹脂層(A)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層(B)、接着性樹脂層(C)、ポリアミド樹脂層(D)、酸素吸収樹脂層(E)、およびシール性樹脂層(F)を有する共押出フィルムであり、下記の(1)〜(4)から選ばれる層構成を有していることが好ましい。
(1)A/B/C/D/E/D/C/F
(2)A/B/A/C/D/E/D/C/F
(3)B/A/C/D/E/D/C/F
(4)B/A/B/C/D/E/D/C/F
上記(1)〜(4)の層構成は、共押出成形時に製造条件を調整することにより作製することができる。上記(1)と(2)の層構成では、非晶性ポリエステル樹脂層(A層)を最外層に配することにより、共押出成形時に発生するオリゴマーの発生を低減できるという利点があるため好ましい。また、上記(3)の層構成では、最外層(底材を形成した場合に蓋材と接触する最内層とは反対側の層)のPET層(B層)と接着性樹脂層(C層)との間に非晶性ポリエステル樹脂層(A層)を介在させることにより、B層およびC層間において接着不良が発生するのを防止することができる。さらに上記(1)から(4)のいずれの層構成においても、酸素吸収樹脂層(E層)が隣接する上層および下層は、ポリアミド樹脂層(D層)であるため、接着樹脂層(C層)と酸素吸収樹脂層(E層)とを積層した場合に、頻繁に発生する流れムラを解消できる。また、酸素吸収樹脂層(E層)と接着樹脂層(C層)とを積層した場合よりも、ポリアミド樹脂層(D層)と接着樹脂層(C層)とを積層した場合の方が、層間剥離強度を強くすることができる。
また、本発明において、酸素吸収性樹脂(E)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物またを主成分として含むとともに、さらに被酸化性樹脂と遷移金属系触媒を含む組成物を有してなる層であることが好ましい。なお、本明細書において、「主成分として含み」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上の範囲を占める成分である。
発明のフィルムは、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(以下「PET」ともいう)層(B)の外層に非晶性ポリエステル樹脂層(以下「A層」ともいう)を積層することが好ましい。従来、外層にPET層を形成した場合には、PETが低粘性であるため、共押出法でフィルムを作製するとPET層に流れムラや表面粗れを生じてしまうとの理由から、あらかじめ作製したPETフィルムと共押出フィルムとをドライラミネート法により接着させる手法が一般的であった。本発明のフィルムは、PET層上に非晶性ポリエステル樹脂層を配置することにより、従来不適当とされてきた共押出法により作製可能としたフィルムである。
本発明のフィルムのA層で用いられる非晶性ポリエステル樹脂とは、多価アルコール成分100モル%中に1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が通常5モル%以上含まれるポリエステル樹脂をいう。非晶化度を高める観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分を10モル%以上、好ましくは12モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上含むことが望ましい。一方、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が多すぎると、フィルムの衝撃強度が低下してしまうため、上限は50モル%とすることが好ましく、47モル%以下とすることがより好ましく、45モル%以下とすることがさらに好ましい。
本発明のフィルムでは、耐破れ性、衝撃強度、耐熱性などを考慮すれば、A層で使用する非晶性ポリエステル樹脂を構成するユニット100モル%中にエチレンテレフタレートユニットが50モル%以上、好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上となるように選択することが好ましい。したがって、多価カルボン酸成分100モル%中にテレフタル酸成分(テレフタル酸またはそのエステルから形成される成分)を50モル%以上、多価アルコール成分100モル%中にエチレングリコール成分を50〜95モル%、さらには55〜90モル%、特に60〜88モル%含有させることが望ましい。
上記多価アルコール成分を形成するための多価アルコール類としては、上述した1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールの他に、1,3−プロパンジオール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどのアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール化合物またはその誘導体のアルキレンオキサイド付加物なども併用できる。
また、多価カルボン酸成分を形成するための多価カルボン酸類としては、上述のテレフタル酸およびそのエステルの他に、芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸などを用いることができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられる。またこれらの芳香族ジカルボン酸やテレフタル酸のエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリールエステルなどの誘導体が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸などや、通常ダイマー酸と称される脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。さらに、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多価カルボン酸を、必要に応じて併用してもよい。
この他、多価アルコール類、多価カルボン酸類ではないが、ε−カプロラクトンに代表されるラクトン類も一部使用してもよい。ラクトン類は、開環して両端にエステル結合を有するユニットとなるものであり、1つのラクトン類由来のユニットが、カルボン酸成分であり、かつアルコール成分であると考えることができる。よって、ラクトン類を用いる場合、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分量や、他の多価アルコール成分の量は、フィルムの全多価アルコール成分量に、ラクトン類由来のユニット量を加えた量を100モル%として計算する。また、各多価カルボン酸成分の量を計算する際も、フィルムの全多価カルボン酸成分量に、ラクトン類由来のユニット量を加えた量を100モル%とする。
A層で用いられる非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価アルコール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびエチレングリコールからなり、かつ多価カルボン酸成分がテレフタル酸からなるポリエチレンテレフタレート樹脂を好適に用いることができる。例えば、イーストマン社製の商品名PETGが市販されており、これを使用するのが好ましい。
A層の厚みは、製膜上とコスト的な観点から2〜250μmの範囲であることが好ましく、3〜100μmの範囲であることがさらに好ましく、4〜50μmの範囲であることが最も好ましい。
本発明のフィルムのPET層(以下「B層」ともいう)は、フィルムに剛性、強度、成形性を付与するための層である。B層で使用可能なPETは、エチレンテレフタレートユニットを通常80モル%以上含む樹脂である。好ましいPETは、エチレンテレフタレートユニットを83モル%以上含み、より好ましくは85モル%以上含む。
上記B層を構成するPETは、以下に記載の多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とにより形成され得る。多価カルボン酸成分としては、エチレンテレフタレートユニットを構成するテレフタル酸の他、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸のいずれも用いられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸類;2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸類;44−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4 ’−ジカルボン酸などのジカルボキシビフェニル類; 1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸およびその置換体;1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸およびその置換体などが挙げられる。また上記脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシリン酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸などが挙げられる。さらに、上記脂環式ジカルボン酸としては、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
上記多価アルコール成分としては、ポリエチレンテレフタレートユニットを構成するエチレングリコールの他、脂肪族ジオール、脂環式ジオールおよび芳香族ジオールのいずれも用いることができる。
上記脂肪族ジオールとしては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。また、上記脂環式ジオールとしては、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。さらに、上記芳香族ジオールとしては、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホンなどのビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物; キシリレングリコールなどが挙げられる。また、上記多価アルコール成分としては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールなどを用いることもできる。
このような多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を用いて上記B層に用いられるPETを調製するには、深絞り成形用共押出フィルムとしての特性を改良するため、1種類以上の多価カルボン酸成分または多価アルコール成分を組み合わせて用いることが好ましい。組み合わせられるモノマー成分の種類および含有量は、所望のフィルム特性、経済性などに基づいて適宜決定することができる。
上記PETは、単一の共重合レジンを用いてもよいし、2種類以上の共重合またはホモポリエステルの混合物を用いることも可能である。経済上の観点から、ホモのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートコポリマーなどを好適に用いることができる。例えば、SK CHEMICAL社製、商品名 SKYPET(APET)が市販されており、これを使用するのが好ましい。
B層の厚みは、リジット性(腰)およびコスト的な観点から50〜550μmの範囲であることが好ましく、100〜520μmの範囲であることがさらに好ましく、130〜50 0μmの範囲であることが最も好ましい。
本発明のフィルムは、低温において衝撃強度を付与する目的で、A層で用いられる非晶性ポリエステル樹脂およびB層で用いられるPETは、極限粘度(IV)が0.64〜0.90dl/gのものを用いる。極限粘度(IV)は、製膜後のA層とB層のシート状試料300mgを溶媒30ml(フェノ−ルと1,1,2,2−テトラクロルエタンとの混合溶媒、質量比=1:1)に溶解させ、ウベローゼ型粘度計を用いて、試料落下時間を測定し極限粘度値を計算して得ることができる。極限粘度(IV)が0.64dl/g以上であればフィルム剛性、強度および成形性に対する良好な改良効果が得られ、また、極限粘度が0.90dl/g以下であれば製膜性が良好である。両樹脂の極限粘度(IV)は、好ましくは0.65〜0.87dl/gであり、さらに好ましくは0.68〜0.85dl/gである。
B層に含有する非晶性ポリエステル樹脂の量は、PET100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがさらに好ましく、5〜15質量部であることが特に好ましい。少なすぎると耐衝撃性の効果が出ない。多すぎると腰の強さ、剛性少なくなる、コスト高になる。
本発明のフィルムは、層間剥離強度を向上させる目的で接着性樹脂層(以下「C層」ともいう)を有する。C層で用いられる接着性樹脂は、C層が隣接するB層およびポリアミド樹脂層(以下「D層」ともいう)、並びにEVOH層(以下「E層」ともいう)およびシール性樹脂層(以下「F層」ともいう)を必要な強度(好ましくは層間剥離強度が5.88N/mm幅以上、より好ましくは7.84N/15mm幅以上、さらに好ましくは9.8N/15mm幅以上)で接着させることができれば特に限定されないが、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。かかる不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。またこれら不飽和カルボン酸のエステルや無水物も用いることができる。さらに誘導体としてアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。例えば、三井化学(株)製、商品名アドマーが市販されており、これを使用するのが好ましい。中でもB層とE層とを接着させる場合、ポリオレフィンベースのものが有用である。また、E層とF層とを接着させる場合、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)タイプのものが好適に使用される。
C層の厚みは、必要な強度に接着することができれば特に制限はないが、2〜30μm、好ましくは3〜20μm、さらに好ましくは5〜15μmの範囲とすることができる。
本発明のフィルムを構成するポリアミド樹脂層(D層)は、フィルムに衝撃強度を付与し、かつガスバリア性を付与するための層である。D層で用いられる好適なポリアミド系樹脂としては、例えば、6ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、6−66ナイロン、12ナイロン、11ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、6I−6Tナイロン、MXD6ナイロン等の縮合単位の重合体またはこれら2種以上との共重合体さらにはこれらの混合物を挙げることができる。中でも6−66ナイロンまたは6ナイロンの混合物を好適に用いることができる。例えば、ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス社製の商品名NOVAMIDが市販されており、これを使用するのが好ましい。
D層は、厚すぎると製膜上困難となる場合があり、逆に薄すぎると面荒れやスジのようなトラブルの原因となる場合がある。そのため、D層の厚みは2〜25μmの範囲、好ましくは3 〜20μmの範囲、さらに好ましくは4〜15μmの範囲とすることが望ましい。
本発明のフィルムにおいて、酸素吸収性樹脂層(E)で用いられる酸素吸収性樹脂は、23℃・50%RHで1ml/m・day・MPa以下の酸素透過率以下を少なくとも180日間持続可能なものであれば特に限定されないが、被酸化性樹脂(S)と遷移金属系触媒(M)とを含む樹脂組成物が好適に用いられる。酸素吸収容量や酸素吸収速度の面から、実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を含む被酸化性樹脂(S)と遷移金属系触媒(M)とを含む樹脂組成物が好ましい。現時点において、市場で入手可能なものとしては、エバールAP(クラレ社製)、クインティア(日本ゼオン社製)等が例示できる。
被酸化性樹脂(S)は、遷移金属系触媒(M)の作用により、空気中の酸素で酸化される樹脂であり、具体的には(i)炭素側鎖を含む樹脂、(ii)キシリレン基含有ポリアミド樹脂、(iii)エチレン系不飽和基含有重合体、(iv)ポリエーテル含有重合体などが挙げられる。また、被酸化性樹脂(S)が、一般の熱可塑性樹脂、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂等、を主成分とする樹脂に(すなわち、ベース樹脂に)、遷移金属系触媒(M)とともに混合・分散されることで、酸素吸収性樹脂組成物として使用されることも好ましい。
被酸化性樹脂(S)と遷移金属系触媒(M)とを含有する組成物における酸素吸収は、被酸化性樹脂(S)の酸化を経由して行われる。この酸化は、遷移金属系触媒(M)による活性炭素原子からの水素原子の引き抜きによるラジカルの発生、このラジカルへの酸素分子の付加によるパーオキシラジカルの発生、パーオキシラジカルによる水素原子の引き抜きの各反応を経て行われるとの説が有力である。上記(i)〜(iv)の樹脂または重合体は、このような活性炭素原子を有するため、被酸化性樹脂(S)として使用できる。
炭素側鎖を有する樹脂(i)としては、(イ)変性または未変性のオレフィン樹脂、(ロ)分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族オキシカルボン酸、またはラクトンから誘導された分岐鎖含有熱可塑性ポリエステル、特に脂肪族ポリエステル、(ハ)分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジアミン、脂肪族アミノカルボン酸、またはラクタムから誘導された分岐鎖含有熱可塑性ポリアミド、特に脂肪族ポリアミド等が挙げられる。
キシリレン基含有ポリアミド樹脂(ii)としては、キシリレン基含有ポリアミド樹脂、特にキシリレンジアミンを主体とするジアミン成分とジカルボン酸成分とから誘導されたポリアミドが挙げられる。キシリレン基含有ポリアミド樹脂(ii)は、遷移金属触媒(M)との組み合わせで酸化性を有することが知られている。すなわち、遷移金属系触媒(M)によるキシリレン基含有ポリアミド樹脂のメチレン鎖(特にアリーレン基に隣接するメチレン鎖)からの水素原子の引き抜きによりラジカルが発生し、前述と同様の反応機構で酸化が進行する。
キシリレン基含有ポリアミド樹脂を例示すれば、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリパラキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド等の単独重合体、およびメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体等の共重合体、あるいはこれらの単独重合体または共重合体成分とヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような脂環式ジアミン、パラ−ビス(2アミノエチル)ベンゼンのような芳香族ジアミン、テレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムのようなラクタム、7−アミノヘプタン酸のようなω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられる。中でもm−キシリレンジアミンおよび/またはp−キシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分と、脂肪族ジカルボン酸および/または芳香族ジカルボン酸とから得られるポリアミドが好ましい。これらのキシリレン基含有ポリアミド樹脂では、ベンゼン環の隣接メチレン鎖の部分にラジカルの生成と酸素の吸収(パーオキサイドの生成)が効率よく起きるため、酸素吸収性の観点から好ましい。
エチレン系不飽和基含有重合体(iii)としては、例えば、被酸化性重合体としてポリエンから誘導される重合体を用いることが好ましい。ポリエンとしては、炭素数4〜20の不飽和炭化水素、鎖状または環状の共役または非共役ジエンから誘導された単位を含む樹脂が好適に使用される。これらの単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のトリエン、クロロプレンなどが挙げられる。
上記ポリエンは、単独でまたは2種以上を組み合わせて、あるいは他の単量体と組み合わせて単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体を形成し得る。ポリエンと組み合わせで用いられる単量体としては、炭素数2〜20のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンが挙げられ、他にスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどの単量体も使用可能である。
ポリエン系重合体としては、具体的には、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIB)、天然ゴム、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等を挙げることができるが、これらの例に限定されない。
ポリエン系重合体における炭素−炭素二重結合に隣接する炭素原子は活性を有し、水素原子の引き抜きが容易である。
ポリエーテル含有重合体(iv)としては、例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド(2,3または1,2)およびポリスチレンオキシドなどが好適に用いられる。
上記の酸素吸収性樹脂組成物は、被酸化性樹脂(S)と遷移金属触媒(M)のみで構成することも可能であるが、他の熱可塑性樹脂を主成分として混合・分散して用いることが好ましい。混合・分散量を調整して用いることで、酸素吸収性樹脂層(E)としての酸素吸収容量を調整でき、また酸素吸収後の物性低下の影響を少なくすることができる。他の熱可塑性樹脂に混合・分散して使用する場合、被酸化性樹脂(S)は、酸素吸収性樹脂組成物全量に対して1〜20質量%、好ましくは3〜10質量%の割合で存在するように調整するのが好ましい。その場合、被酸化性樹脂(S)を熱可塑性樹脂中に分散しやすくするために、エポキシまたは無水官能基等を被酸化性樹脂に導入することが好ましい。
被酸化性樹脂(S)へのエポキシまたは無水官能基等の導入をポリエン系重合体の酸変性を例として説明する。酸変性ポリエン系重合体は、炭素−炭素二重結合を有するポリエン系重合体をベースポリマーとし、このベースポリマーに不飽和カルボン酸またはその誘導体を公知の手段でグラフト共重合させることにより製造されるが、前述したポリエンと不飽和カルボン酸またはその誘導体とをランダム共重合させることによって製造することもできる。酸またはその誘導体の含有量が上記の範囲にあると、酸変性ポリエン系重合体の他の樹脂(マトリックス樹脂)への分散が良好となると共に、酸素の吸収も円滑に行われる。また、末端に水酸基を有する水酸基変性ポリエン系重合体も良好に使用することができる。
また、適切な酸素捕捉剤としての官能性被酸化性ポリジエンの具体例は、エポキシ官能化ポリブタジエン(1,4および/または1,2)、無水マレイン酸グラフト化または共重合体化ポリブタジエン(1,4および/または1,2)、エポキシ官能化ポリイソプレン、および無水マレイン酸グラフト化または共重合体化ポリイソプレン、アミン、エポキシまたは無水官能性ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド(2,3または1,2)およびポリスチレンオキシドなどである。
酸素吸収性樹脂組成物において主成分となる他の熱可塑性樹脂には、通常フィルム用途に用いられる一般的な熱可塑性樹脂が用いられる。特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)やポリアミド系樹脂がフィルムの強度を向上させやすく好適である。
有用なエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物のエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から27〜47モル%であることが好ましく、32〜44モル%であることがさらに好ましい。また、EVOHのけん化度は90%以上、好ましくは95モル%以上のものが望ましい。EVOHのエチレン含有量およびけん化度を上記範囲に保つことにより、本発明のフィルムの共押出性、フィルムの強度を良好なものとすることができる。
有用な脂肪族ポリアミドホモポリマーとしては、ポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン4)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)(ナイロン6、ポリカプロラクタムとしても知られる)、ポリ(7−アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8−アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9−アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10−アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11−アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(12−アミノドデカン酸)(ナイロン12)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン6,10)、ポリ(ヘプタメチレンピメラミド)(ナイロン7,7)、ポリ(オクタメチレンスベラミド)(ナイロン8,8)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン6,9)、ポリ(ノナメチレンアゼラミド)(ナイロン9,9)、ポリ(デカメチレンアゼラミド)(ナイロン10,9)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(ナイロン4,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6,6/6)、ヘキサメチレンアジパミド/カプロラクタムコポリマー(ナイロン6/6,6)、トリメチレンアジパミド/ヘキサメチレンアゼライアミドコポリマー(ナイロントリメチル6,2/6,2)、ヘキサメチレンアジパミド−ヘキサメチレン−アゼライアミドカプロラクタムコポリマー(ナイロン6,6/6,9/6)、ポリ(テトラメチレンジアミン−コ−シュウ酸)(ナイロン4,2)、n−ドデカン二酸とヘキサメチレンジアミンのポリアミド(ナイロン6,12)、ドデカメチレンジアミンとn−ドデカン二酸のポリアミド(ナイロン12,12)、並びにそれらのブレンドおよびコポリマー、および本明細書中に特記されていない他のポリアミドなどである。
上記のポリアミド系樹脂のうち、好適なポリアミドは、ポリカプロラクタム(一般にナイロン6とも呼ばれている)、およびポリヘキサメチレンアジパミド(一般にナイロン6,6とも呼ばれている)、並びにこれらの混合物である。中でもポリカプロラクタムが最も好適である。
ポリアミド系樹脂は、酸素吸収性樹脂層(E)のガスバリア性を向上させる目的でナノメータースケールの分散クレイをさらに含むことができる。好適なクレイは、天然または合成層状ケイ酸塩、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、バーミキュライト、バイデル石、サポナイト、ノントロナイトまたは合成フルオロマイカなどで、適切な有機アンモニウム塩によって陽イオン交換されている。好適なクレイは、モンモリロナイト、ヘクトライトである。クレイは、1nm以上100nm以下の範囲の平均厚と、50nm以上500nm以下の範囲の平均長および平均幅を有し、ポリアミド系樹脂中に10質量%以下、好ましくは2質量%以上8質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上6%質量以下の範囲の量で存在するのが好ましい。
次に遷移金属系触媒(M)について説明する。遷移金属系触媒(M)は、上記被酸化性樹脂(S)の酸化反応の触媒となるもので、遷移金属の有機酸塩または有機錯塩等が好適に使用される。用いる遷移金属系触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に銅、銀等の第I族金属;錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属;バナジウム等の第V族;クロム等のVI族;マンガン等のVII族の金属成分を挙げることができる。これらの遷移金属系触媒の中でもコバルト成分は、酸素吸収速度が大きく、特に好適なものである。
遷移金属系触媒(M)は、上述した遷移金属の低価数の無機酸塩、有機酸塩、または錯塩の形で一般に使用される。無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンオキシ酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられるが、カルボン酸塩が本発明の目的に好適であり、その具体例としては、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。一方、遷移金属の錯体としては、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとの錯体が使用され、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステルとしては、例えば、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、1,3−シクロヘキサジオン、メチレンビス−1,3ーシクロヘキサジオン、2−ベンジル−1,3−シクロヘキサジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチル−1,3−シクロヘキサンジオン、ベンゾイル−p−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセトン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ラウロイルベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタン、ビス(4−クロルベンゾイル)メタン、ビス(メチレン−3,4−ジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルフェニルメタン、ステアロイル(4−メトキシベンゾイル)メタン、ブタノイルアセトン、ジステアロイルメタン、アセチルアセトン、ステアロイルアセトン、ビス(シクロヘキサノイル)−メタンおよびジピバロイルメタン等を用いることができる。
主成分として熱可塑性樹脂を含む場合の上記酸素吸収性樹脂組成物において、遷移金属系触媒(M)は、主成分として含まれる当該熱可塑性樹脂に対して、通常10ppm以上、好ましくは50ppm以上、200ppm以下、好ましくは100ppm以下の割合で含まれることが望ましい。熱可塑性樹脂に遷移金属触媒(M)を配合する方法としては、種々の手段を用いることができる。例えば、遷移金属触媒(M)を熱可塑性樹脂に単に乾式でブレンドすることもできるが、遷移金属触媒(M)が熱可塑性樹脂に比して少量であるので、ブレンドを均質に行うために、遷移金属触媒(M)を有機溶媒に溶解し、この溶液と粉末或いは粒状の樹脂とを混合し、必要によりこの混合物を不活性雰囲気下に乾燥するのがよい。
遷移金属系触媒(M)を溶解させる溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒を用いることができる。遷移金属系触媒(M)の濃度は溶媒に対して5〜90質量%となるような濃度で用いるのがよい。
被酸化性重合体成分および遷移金属系触媒(M)の混合、並びにその後の保存は、酸素吸収性樹脂組成物の前段階での酸化が生じないように、非酸化性雰囲気中で行うのがよい。この目的に減圧下或いは窒素気流中での混合或いは乾燥が好ましい。この混合および乾燥は、ベント式または乾燥機付の押出機や射出機を用いて、成形工程の前段階で行うことができる。また、遷移金属系触媒を比較的高い濃度で含有する被酸化性重合体成分のマスターバッチを調製し、このマスターバッチを未配合の重合体と乾式ブレンドして、酸素吸収性樹脂組成物を調製することもできる。
本発明で用いられる酸素吸収性樹脂組成物は、場合により、さらに一つ以上の従来の添加剤を含んでいてもよく、その使用は当業者に周知である。そのような添加剤の使用は、組成物の処理向上、並びに該組成物から形成される生成物や製品の改良のために望ましいであろう。そのような添加剤の例は、酸化剤および熱安定剤、滑剤、離型剤、難燃剤、酸化抑制剤、染料、顔料および他の着色剤、紫外線安定剤、粒子および繊維充填剤を含む有機または無機充填剤、補強剤、成核剤、可塑剤、並びに当該技術分野で公知のその他の従来の添加剤などである。そのような添加剤は酸素吸収性樹脂組成物全量の10質量%まで使用できる。
酸素吸収性樹脂層(E)の厚みは、所望の酸素吸収能が得られるように適宜決定することができるが、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、60μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。酸素吸収性樹脂層(E)の厚みが10μm以上であれば、深絞り成形後も長期間の高酸素ガスバリア性の維持が可能であり、また40μm以下であれば十分な酸素吸収性を維持でき、かつ経済的にも好ましい。
F層を構成する樹脂としては、上記の樹脂のうち、特にフィルムの成形時に熱板にフィルム付着し難いLDPE、LLDPE、PP−PE (好ましくはPP−PEランダム共重合体)等の軟化温度の高いポリオレフィン系樹脂、またはエチレン系アイオノマーを好適に用いることができる。
上記樹脂のうち、LDPEは密度0.92以上のものが好ましく、HDPEは密度095以上のものが好適に用いられる。またエチレン系アイオノマーのベースポリマーとなるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレン成分を70〜99質量%、特に80〜95質量%、不飽和カルボン酸成分を1〜30質量%、特に5〜20質量%含有するものを挙げることができる。またエチレンと不飽和カルボン酸以外にその他の不飽和モノマー成分を0〜 25質量%、特に0〜12質量%の割合で共重合されたものを用いることができる。さらに、総和が上記条件を満たす限り、不飽和カルボン酸成分単位の異なるものを2 種以上用いてもよい。
エチレン系アイオノマーを構成する不飽和カルボン酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、無水マレイン酸などを例示でき、特にメタクリル酸またはアクリル酸が好ましい。
また、他の不飽和モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルのようなアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、あるいは酢酸ビニルなどが例示できる。
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーにおける金属カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛などの遷移金属を例示できる。金属イオンによる中和度は、特に限定されないが、平均中和度が通常3%以上、好ましくは10〜90%からなるものが好適である。
アイオノマーとしては、例えば、190℃、21.17Nにおけるメルトフローレートが0.1〜50g/10分、特に0.2〜30g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
F層の厚みは、良好なシール性が確保できれば厚みは限定されないが、5〜80μm、好ましくは8〜50μm、さらに好ましくは10〜30μmの範囲とすることができる。 本発明のフィルムは、深絞り成形用底材とした場合に優れた外観性を得る目的で、A層、B層およびF層からなる群から選ばれる少なくとも1層に着色剤を含有させることが好ましい。着色剤の含有量は、A層を構成する非晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、B層を構成するPET100質量部に対して、またはF層を構成するシール性樹脂100質量部に対して、それぞれ1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることが特に好ましい。着色剤の含有量が少なすぎると、底材として用いた場合に良好な外観が得られない場合があり、また着色剤の含有量が多すぎると、低温衝撃性が低下する場合がある。
本発明において用いる着色剤としては、無機系または有機系の顔料または染料を用いることができる。例えば、白色系の顔料としては、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性珪酸鉛、亜鉛華、硫酸亜鉛、リトポン、酸化アンチモン、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、タルク等を用いることができる。また、黒色系の顔料としては、鉄黒、黒鉛、カーボンブラック等を用いることができる。これらの中で、無機系の顔料を用いることが、優れた外観性を得る点から好ましく、特に、酸化チタンを用いることが、優れた白色の外観を得る点から好ましい。また、着色剤は、二種以上を混合して使用することもできる。
例えば、B層の厚みが200〜350μm程度であれば、ヘーズ測定による光全透過率は、18〜25%が優れた外観性を得る点から望ましく、そのためには、B層における着色剤の含有量は上記の範囲内とすることが好ましい。
上記したように、優れた外観性を付与すべくB層に着色剤を含有させた場合、本発明のフィルムにより形成した深絞り成形容器を、例えば、チルド流通等の低温条件において用いたとき、着色剤の存在によってはPETが脆くなり、低温衝撃性が低下するという問題があった。そこで、本発明においては、B層に低温衝撃性を付与する目的で、A層に用いられている樹脂と同じ非晶性ポリエステル樹脂を添加し、非晶性ポリエステル樹脂とPETとのポリマーアロイとすることで、特に0 ℃ 以下のマイナス雰囲気下にて、低温衝撃性に優れたフィルムとすることができる。
本発明のフィルムは、フィルム全体の厚み(t)に対するA層およびB層の厚みの合計(a+b)の比〔(a+b)/t〕は、0.70〜0.95であり、好ましくは0.75〜0.88であり、さらに好ましくは0.79〜0.85である。前記厚み比が0.70以上であれば、剛性に対する改良効果が得られ、また厚み比が0 .95以下であれば、成形性が劣るという問題もないため好ましい。
本発明のフィルムにおいて、ポリアミド樹脂層(D層)、酸素吸収樹脂層(E層)およびシール性樹脂層(F層)の厚み比は、通常2〜25:2〜30:5〜80であり、好ましくは3〜20:3〜25:8〜50、さらに好ましくは4〜15:5〜20:10〜30ある。D層〜F層の各層の厚み比が上記範囲内であれば、耐衝撃性、酸素バリア性およびシール性を良好に維持できるほか、製膜上のコストを安価に抑えることができ好ましい。
また、本発明のフィルムの合計厚みは、通常150〜600μmであり、好ましくは180〜550μm、さらに好ましくは200〜500μmの範囲である。フィルムの合計厚みが小さすぎると、適度な剛性が得られず、フィルムの腰が弱く、深絞り成形した後のガスパック包装容器等として利用しにくい場合がある。一方、フィルムの合計厚みが大きすぎると、フィルムの成形性、打ち抜き性に劣りやすい場合がある。
本発明のフィルムは、Tダイ法、水冷または空冷インフレーション法、チューブラ法など既存の方法により、Tダイを備えた押出機を用いて共押出しすることにより、非晶性ポリエステル樹脂層(A層)、PET層(B層)、接着性樹脂層(C層)、ポリアミド樹脂層(D層)、酸素吸収樹脂層(E層)、およびシール性樹脂層(F層)を同時に積層して作製することができる。また、本発明のフィルムは、A〜F層の各層を構成する樹脂を別々にシート化した後にプレス法やロールニップ法などを用いて積層して逐次的に作製することもできる。本発明のフィルムは、作業性および生産性等の点から好ましくは前者の方法で作製することができる。
本発明のフィルムは、深絞り包装機を用いて内容物に対応した大きさおよび形状を有する深絞り成形容器用底材に成形することができる。特に本発明のフィルムを深絞り成形容器の底材として用いる場合、光沢性に優れた深絞り成形容器を得ることができる。深絞り成形容器用底材として用いる場合、例えば、本発明のフィルムを深絞り成形型で所望の形状および大きさに成形した後(フィルム供給工程およびフィルム成形工程)、その中にスライスハム等の内容物を充填し(内容物充填工程)、さらにその上から蓋材フィルムでシールして(蓋材フィルム供給工程およびシール工程 、真空包装し(真空包装工程)、冷却し(冷却工程)、カットすることにより(切断工程)、深絞り成形容器を作製することができる。
本発明の深絞り成形容器の蓋材は、酸素バリア性の高い透明蒸着フィルムやEVOH層を含んでいることが重要である。例えば、延伸ポリプロピレン樹脂層と透明蒸着ポリエチレンテレフタレート系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層をラミネートした蓋材や延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂と共押出フィルム(EVOHとNyを含み、LLDPEをシール層としたフィルム)をラミネートした蓋材を挙げることができる。 本発明の深絞り成形容器は、上記の蓋材と本発明の底材とをヒートシール等の接着手段により接着させることにより作製することができる。
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものでない。
<酸素吸収性樹脂>
32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物ペレットとステアリン酸コバルトの95:5混合物を窒素雰囲気下で二軸押出機を用いて押出した。押出されたストランドを水浴で急冷し、次いでペレット化・乾燥し、コバルトマスターバッチとした。32モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物ペレットを窒素雰囲気下二軸押出機で押し出しながら、ポリブタジエン(エポキシ官能化ポリブタジエン−Elf−AtochemPolyBD600/PolyBD605E)を重量比5%となるように加えた。押出されたストランドを水浴で急冷し、次いでペレット化・乾燥し、酸素吸収性樹脂ペレットとした。
<複合フィルムの作製>
実施例1〜3および比較例1、参考例1として、以下の構成および厚みを有する深絞り包装用フィルムを共押出法により作製した。下記実施例および比較例で各層に使用されている樹脂は以下のとおりである。比較例2はドライラミネート法に作製した。
<製膜>
各層に用いた樹脂を以下に示す。
非晶性ポリエステル樹脂層: PETG6763 (イーストマン社製)
PET層: APET BL8050(SK CHEMICAL社製))
接着性樹脂層: アドマーNF567(三井化学社製)
ポリアミド樹脂層: NOVAMID(6−66共重合ナイロン(66ナイロン含有率15%)(ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス社製)
酸素吸収樹脂層: 前記酸素吸収性樹脂ペレットにコバルトマスターバッチをコバルトとして100ppm含有するように混合した混合樹脂
シール性樹脂層: ノバテックLD(LDPE(融点109 ℃ )(日本ポリエチレン社製)
実施例1:
下記の構成のフィルムを作成した。
非晶性ポリエステル樹脂層(15μm)/PET層(164μm)/接着性樹脂層(15μm)/ポリアミド樹脂層(4μm)/酸素吸収樹脂層(12μm)/ポリアミド樹脂層(4μm)/接着性樹脂層(8μm)/シール性樹脂層(18μm)
実施例2:
酸素吸収性樹脂として、「エバールAPシリーズ(登録商標)」=(エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン含量32モル%タイプ)((株)クラレ社製)を使用した以外は実施例1と同構成のフィルムを作成した。
実施例3:
PET層に、PET100質量部に対してTiOを4.0質量部添加した以外は、実施例1と同様の方法により深絞り成形用共押出フィルムを作成した。
比較例1:
下記の構成のフィルムを作成した。
非晶性ポリエステル樹脂層(15μm)/PET層 (169μm)/接着性樹脂層(15μm)/ポリアミド樹脂層(4μm)/酸素吸収樹脂層(5μm)/ ポリアミド樹脂層(4μm)/接着性樹脂層(8μm)/シール性樹脂層(18μm)
比較例2:
以下の層構成および各層の厚みを有するフィルムを共押出法およびドライラミネート法を組み合わせた製法により製膜した。
PET層(200μm//酸素吸収層(12μm)/ポリアミド樹脂層(5μm/接着性樹脂層(10μm)/シール性樹脂層(25μm)
各層に用いた樹脂を以下に示す。
PET層:NOVACLEAR(三菱化学社製)
接着性樹脂層:アドマーNF567(三井化学社製)
ポリアミド樹脂層:NOVAMID(6−66共重合ナイロン(66ナイロン含有率15%))(ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス社製)
シール性樹脂層:ノバテックLD(LDPE(融点109℃)(日本ポリエチレン社製)
参考例1:
実施例1のフィルムを用い、深絞り量を40mmとした以外の条件については同様にして下記の評価を行った。
<深絞り成形容器の作製>
上記の実施例および比較例にて作製したフィルムを成形して底材とし、深絞り成形容器を作製した。成形条件および用いた蓋材の構成を以下に示す。
(成形条件)
深絞り包装機:ムルチバック社製R530
成形温度:95℃
フィルム加熱時間:3秒
成形時間:2秒
窒素ガス充填時間:0.7秒
真空時間:3秒
シール温度:130℃
パック品の大きさ:縦125mm×横110mmの長方形
シール幅:5mm幅の枠シール
(蓋材の構成)
VMPET(12μm)//EVOH(8μm)/Ny(28μm)/AD(11μm)LLDPE(8μm)/凝集破壊タイプイージーピール層(3μm)/LLDPE(2μm)
蓋材における各層に用いた樹脂を以下に示す。
VMPET層:テックバリアHX(三菱樹脂社製)
EVOH層:ソアノール(エチレン含量38モル%タイプ)(日本合成化学社製)
Ny層:NOVAMID(6−66共重合ナイロン(66ナイロン含有率15%))(ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス社製)
接着性樹脂層: アドマーNF567(三井化学社製)
PEシーラント層: ノバテックPE(日本ポリエチレン社製)
<評価方法>
実施例1〜3および比較例1〜2、参考例1で得られた成形品について成形性、外観性(光沢・ヘーズ)、低温衝撃性(落下テスト)、およびハイドロショット、酸素バリア性試験、官能風味試験を以下の方法により評価した。結果を表1に示す。
<成形性評価>
深絞り包装機の成形工程において、絞り深さ35mm、入れ子の形状はリブが複雑なものとし、良好に成形ができることを以下の基準により評価した。
○:成形性良好
△: 成形性やや悪い
×: 成形性悪い
<光沢>
上記1のトレーを用い、成形品の底部の光沢(JIS K7105)を測定した。
入射角における屈折率1.567のガラス表面の光沢を100%としたときの値を標準とした。
(入射および受光角度θ:60°)
○:光沢度が170 %以上
△:光沢度が150%を超え170%以内
×:光沢度が150%以下
<透明性>
上記1のトレーを用い、成形品の底部のへ−ズ(JIS K7105)を測定した。
○:ヘーズが4%以内
△:ヘーズが4%を超え7%以内
×:ヘーズが7%以上
<低温衝撃性(落下テスト)>
各トレー内に120gの内容物を収納し、蓋材をシールした後、2ケースの段ボール箱内に2 列、5段でパック品各10個を入れて、−5℃×24時間保管後、1.0mの高さから段ボール箱を側面から落下させて、底材のフランジ部割れの有無を以下の基準により評価した。
○:フランジ部割れが全くなかった
△: 20個中1〜3個に底材フランジ部割れが見られた
×: 20個中4個以上に底材フランジ部割れが見られた
<ハイドロショット>
−10℃、−5℃、0℃、および5℃の各測定温度(雰囲気温度)において、試験針径0.5インチΦの半球状の先端を有する金属棒(撃心)で 試料フィルムを高速(3m/秒)で打ち抜いた時の衝撃破壊エネルギーを求めた。なお、ここにいう「衝撃破壊エネルギー」とは、金属棒に負荷される力と試料フィルムの伸びの積分値であり、kgf・mmの単位で表される。
<酸素バリア性試験>
(試験1.酸素濃度測定)
上記フィルムを深絞り包装機(ムルチバックR530、東京食品機械製)を使用し、パック寸法110mm×125mm、絞り深さ20mmのパック品を作成した。(フィルム加熱時間は3秒間、成形時間2秒間、真空時間3秒間、窒素充填時間0.8秒、シール温度130℃)。蓋材は、前述のとおり、VMPET(12μm)//EVOH(8μm)/Ny(28μm)/AD(11μm)LLDPE(8μm)/凝集破壊タイプイージーピール層(3μm)/LLDPE(2μm)である。
パック品の中には、内容物の変わりに蒸留水を5cc含漬させた脱脂綿を封入した。また経時的酸素濃度を測定するため、パック品の内側に非接触式酸素濃度計(ドイツ、PreSens社のFibox−3−Trace)のセンサーを貼付した。その後4℃×80%RH、30℃×80%RHの条件下に保存し、1週間毎にパック内の酸素濃度を経時測定した。その結果を表2および3に示す。
(試験2.酸素透過量測定)
上記フィルムのヒートシール層を内側として周囲をヒートシールして内側に窒素を約30ml入れた縦30cm、横20cmの袋を5個作った。この袋を23℃50%RHの環境下で保存した。180日目に5つの袋を開封して、フィルムの酸素透過率をモダンコントロール社製のOXY−TRAN100型酸素透過率測定装置を使用して23℃50%RHの条件下で測定し、5つの平均を求めて180日後の酸素透過率とした。なお、ガスバリア性樹脂(エチレン含有量38モル%タイプ)10μmの厚みの酸素透過率は23℃×50%RH条件下で0.16fm/s・Paであり、180日間の空気中標準状態(23℃×50%RH)での酸素透過量は0.61fm/s・Paであった。
<風味官能評価>
上記フィルムを深絞り包装機(ムルチバックR530 、東京食品機械社製)を使用し、成形加熱温度95℃で 、寸法110mm×125mm、絞り深さ20mmのパック品を成形した(フィルム加熱時間は3秒間、成形時間2秒間、真空時間3秒間)。得られた成形品に水で満たし、蓋材にアルミフィルムで完全に密封シールした。4℃×80%RH、30℃×80%RHの2条件で7日間保管後、パック内の臭気・味をパネリスト5人で官能評価し、平均値を代表値とした。
Figure 0005714934
評価結果をまとめて図2、図3、下記表2に示す。図2および3より、本発明の範囲のガスバリア性多層フィルムは、深絞り成形後も高い酸素ガスバリア性を長期間、安定して持続でき、また包装体を作製した場合には良好なガスバリア性能を長期間持続でき、かつ良好な成形性、低温における衝撃強度を保持したフィルムを得られた(実施例1〜3)。これに対し、酸素吸収性樹脂層が5μmと薄い場合(比較例1)、良好な酸素バリア性が得られなかった。また、深絞り量40mmの場合(参考例1)、成形後の最薄コーナー部からの酸素透過が見られ高酸素バリア性に欠けた。ドライラミネート品(比較例2)は、フィルム外観の光沢や透明性や低温における衝撃強度に劣った。これより、本発明によれば特に、高衝撃強度、良好な成形性および優れた外観性を有し、深絞り成形後も高ガスバリア性能を長期間に亘って持続できるガスバリア性多層フィルムおよび成形性・耐ピンホール性の良い包装体を提供できることが分かる。
Figure 0005714934
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うガスバリア性多層フィルム、深絞り包装体用底材もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明のフィルムは、酸素ガスバリア性が求められる包装材料として好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 非晶性ポリエステル樹脂層(A)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層(B)、接着性樹脂層(C)、ポリアミド樹脂層(D)、酸素吸収樹脂層(E)、およびシール性樹脂層(F)を有する共押出フィルムであって、前記(A)および(B)の極限粘度(IV)が0.64〜0.90dl/g であり、フィルム全体の厚み(t)に対する(A)および(B)の層の厚みの合計(a+b)の比〔(a+b)/t〕が0.70〜0.95であり、中間層が(D)/(E)/(D)の順に接した構成で且つ内側の(D)の層厚が4〜15μmであり、(E)がエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を主成分とし且つ遷移金属触媒を含み、23℃、50%RHの条件下で1ml/m ・day・MPa以下の酸素透過率を少なくとも180日間持続することを特徴とする深絞り成形用共押出無延伸積層フィルム。
  2. 酸素吸収樹脂層(E)の層厚が10μm以上40μm以下である請求項1に記載の深絞り成形用共押出無延伸積層フィルム。
  3. 請求項1〜のいずれかに記載の深絞り成形用共押出積層フィルムにより形成されていることを特徴とする底材。
  4. 請求項に記載の底材を用いることを特徴とする深絞り成形容器。
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