JP5708523B2 - 有機el用インク組成物およびそれを用いた有機el素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、正孔輸送層と発光層とを含む有機層を形成してなる有機EL素子における正孔輸送層を形成するために、基板上に印刷される、正孔輸送性を有する物質を含む有機EL用インク組成物、および、そのような有機EL用インク組成物を用いた有機EL素子の製造方法に関する。
一般に、有機EL素子は、基板上に、基板側から下部電極、有機層、上部電極を順次積層することにより形成される。ここで、有機層としては、下部電極側(基板側)から、正孔輸送層、有機EL(エレクトロルミネッセンス)材料よりなる発光層が順に積層されてなる積層構造とされたものが一般的である。
これら、有機EL素子の電極および各層は、スパッタや蒸着等の真空雰囲気による成膜法により形成される。一方、近年では、スパッタや蒸着による材料の無駄を省き、コスト低減を図る等の観点から、印刷による成膜も提案されてきている。
ここで、有機層のうち正孔輸送層には、正孔輸送性を有する物質である1,3,5−トリス[N,N−ビス(4’−メチル−4−ビフェニリル)アミノ]ベンゼン(分子構造式は後述の図2参照)が採用される(特許文献1参照)。以下、この物質を化合物Aということにする。
しかし、この化合物Aは、溶媒に溶解しにくく難溶性であるため、印刷用のインクとなりにくいため、従来では真空蒸着により形成されていた。
一方、有機EL素子において印刷により成膜を行うものとしては、重合性の導電性材料よりなるインク組成物を印刷するものが提案されている(特許文献2参照)。このものでは、印刷物に光照射等を行うことにより重合させるようにしている。
特開2010−56364号公報 特開2007−197587号公報
しかしながら、有機EL素子における有機層を印刷により形成するにあたって、上記特許文献2のような重合性材料を用いた場合、成膜後に未重合部が残存するため、信頼性が低くなってしまう恐れがある。そこで、上記した化合物Aを印刷により成膜したいのであるが、上記したように、この化合物Aは難溶性であるため、印刷による成膜は実現されていない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、正孔輸送性を有するが難溶性の物質である化合物Aを含み、印刷により適切に成膜できる有機EL用インク組成物を提供すること、および、当該有機EL用インク組成物を用いた有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、溶媒の引火点以下の温度で、印刷による膜形成に必要な濃度まで、化合物Aが溶解できるような溶媒とすることに着目し、鋭意検討を行った。
溶媒の引火点以上の温度で化合物Aを溶解させたものの場合、化合物Aの析出を防止するために当該引火点以上の温度で印刷を行うことになる。そうすると、印刷時の雰囲気中に酸素が存在する場合には、当該印刷中に溶媒が引火する恐れがある。
そのため、溶媒の引火点以下の温度で、印刷による膜形成に必要な濃度まで、化合物Aが溶解できるような溶媒とすることに着目した。そして、この着目点に基づき、各種の溶媒について、溶解性や成膜性等を検討した結果、溶媒としては、1−ブロモナフタレンが好適であることを見出した。
請求項1に記載の発明は、この検討結果に基づいて創出されたものであり、基板(10)上に、正孔輸送層(30)と発光層(40)とを含む有機層(60)を形成してなる有機EL素子(S1)における正孔輸送層(30)を形成するために、基板(10)上に印刷される、正孔輸送性を有する物質を含む有機EL用インク組成物であって、
物質としての後述の図2で表される化合物Aと、1−ブロモナフタレンを最多重量成分として含む溶媒と、を含んで構成され、化合物Aが溶媒に溶解または均一に分散されてなることを特徴とする。
本発明における1−ブロモナフタレンには、化合物Aが1−ブロモナフタレンの引火点(109℃)以下で印刷による膜形成に十分な濃度で溶解する。そのため、本発明によれば、正孔輸送性を有するが難溶性の物質である化合物Aを含み、印刷により適切に成膜できる有機EL用インク組成物を提供することができる。
請求項3に記載の発明では、基板(10)上に、基板(10)側から順に下部電極(20)、正孔輸送層(30)および発光層(40)が積層されてなる有機層(60)、上部電極(50)を、順に形成してなる有機EL素子の製造方法であって、正孔輸送性を有する物質を含む有機EL用インク組成物を用意する用意工程と、正孔輸送層(30)を形成するために、有機EL用インク組成物を印刷する印刷工程と、を備え、
用意工程では、有機EL用インク組成物として、物質としての後述の図2で表される化合物Aと、1−ブロモナフタレンを最多重量成分として含む溶媒と、を含んで構成され、化合物Aが前記溶媒に溶解または均一に分散されてなるインク組成物を用意し、印刷工程では、1−ブロモナフタレンの引火点である109℃以下の温度で印刷を行うことを特徴とする。
それによれば、正孔輸送性を有するが難溶性の物質である化合物Aを含み、印刷により適切に成膜できる有機EL用インク組成物を用いた有機EL素子の製造方法を提供することができる。
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明の実施形態にかかる有機EL素子の概略的な断面構成を示す概略断面図である。 図1中の正孔輸送層を構成する化合物Aの化学構造を示す図である。 上記実施形態における有機EL素子の製造方法を示す工程図である。 化合物Aの各種溶媒に対する溶解特性を示すグラフである。 1−ブロモナフタレンにおける温度と化合物Aの溶解濃度との関係を示すグラフである。 実施形態の有機EL素子と比較例の有機EL素子との輝度特性を示す図表である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL素子S1の概略断面構成を示す図である。この有機EL素子S1は、大きくは、基板10上に、基板10側から順に下部電極20、正孔輸送層30および発光層40が積層されてなる有機層60、上部電極50を、順に形成してなる。
具体的には、本実施形態の有機EL素子Sは、透明な基板10の一面に配置された陽極としての下部電極20、下部電極20における基板10と反対の面に配置された正孔輸送層30、正孔輸送層30における上部電極20と反対の面に配置された発光層40、発光層40における正孔輸送層30と反対の面に配置された陰極としての上部電極50を有する。ここでは、正孔輸送層30と発光層40とにより有機層60が構成されている。
基板10は、ガラスやプラスチック等からなる透明な基板よりなる。下部電極20は、透明または半透明であり。この下部電極20の構成材料としては、透明または半透明であり、電極を形成することのできる周知の導電性物質を採用することができる。本実施形態では、酸化インジウムスズ(ITO)からなる下部電極20を採用している。
下部電極20における基板10と反対の面には、正孔輸送層30が配置されている。この正孔輸送層30は、図2に示される化合物Aにより形成される膜として構成されている。具体的には、正孔輸送層30は、化合物Aを用いて印刷法により形成される。
この印刷法に関しては、たとえばスピンコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、スプレー法等が挙げられる。本実施形態では、印刷時の化合物Aの針状結晶の析出を抑止して均一な膜(たとえば厚さ数十nm)を得るため、印刷後に真空中にて脱気処理を行っている。
この化合物Aで形成された正孔輸送層30は、正孔輸送層30上に高分子型の発光層40を印刷法にて形成する際に、正孔輸送層30が溶媒に溶けることが無い。そのため、発光層40の構成材料の選択自由度を向上することができる。
発光層40は、たとえばポリフルオレン系などの、LUMO値が2.6eV未満の高分子材料からなる。この発光層40は、単層でもよいし、複数層を積層してなる構成であってもよい。
一般的に、LUMO値2.6eV未満を示す材料は、LUMO値が2.6eV以上の材料よりも分子量が大きく、高分子であるため、真空蒸着法により形成することができない。このため、高分子型の発光層40は、正孔輸送層30と同様の印刷法により形成される。この結果、低分子材料からなる発光層40を採用する構成に比べて、有機EL素子S1の製造プロセス中における真空蒸着工程を低減することができる。
上部電極50は、発光層40に接するとともに、発光層40側から順に、電子注入層51、第1金属層52、第2金属層53が積層されてなる3層構造をなしている。
電子注入層51は、発光層40との界面で電気二重層を形成し、これにより電子注入障壁を低減できる材料を採用することができる。このような材料としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物が挙げられる。本実施形態では、電子注入層51は、アルカリ金属のフッ化物であるLiFからなる。
第1金属層52は、高分子材料(LUMO値が2.6eV未満の高分子材料)からなる発光層40との界面で、電子注入障壁を低減できる材料を採用することができる。このような材料としては、仕事関数が小さい金属(換言すれば発光層40の高分子のLUMO値に近い仕事関数を持つ金属)、具体的にはアルカリ金属またはアルカリ土類金属が挙げられる。
本実施形態では、第1金属層52が、アルカリ土類金属であるCa(仕事関数2.87eV)からなる。第2金属層53は、大気中で安定であり、抵抗が低い材料を採用することができる。本実施形態では、第2金属層53はAlからなる。
このような有機EL素子S1においては、陽極である下部電極20と陰極である上部電極50との間に電界を印加し、下部電極20から正孔輸送層30を介してホールが、一方、上部電極50から電子がそれぞれ発光層40へ注入、輸送され、発光層40にて電子とホールとが再結合し、そのときのエネルギーによって発光層40が発光するものである。そして、その発光は、たとえば基板10側から取り出されるようになっている。
次に、本有機EL素子S1の製造方法について、図3を参照して述べる。本製造方法では、基板10上に、基板10側から順に下部電極20、正孔輸送層30および発光層40が積層されてなる有機層60、上部電極50を、順に形成することにより、有機EL素子S1を製造する。
まず、基板用意工程では、基板10を用意する。次に、下部電極形成工程では、スパッタ等により下部電極20を形成する。本実施形態では、スパッタによりITOからなる下部電極20を形成する。
次に、正孔輸送層30を形成する。まず、正孔輸送性を有する物質を含む有機EL用インク組成物を用意する(用意工程)。このインク組成物の用意工程では、有機EL用インク組成物として、上記図2に示した化合物Aと、1−ブロモナフタレンを最多重量成分として含む溶媒と、を含んで構成され、化合物Aが溶媒に溶解または均一に分散されてなるインク組成物を用意する。
具体的には、1−ブロモナフタレンの引火点である109℃以下で、溶媒に化合物Aを溶解させる。1−ブロモナフタレンには、引火点である109℃以下の温度で、化合物Aが0.5重量%以上、溶解するが、この溶解濃度は、印刷による膜形成に十分な濃度である。正孔輸送層30は、少なくとも数十nm程度の膜厚が必要であるが、当該溶解濃度が0.5重量%未満であると、当該膜厚の確保ができない。
そして、印刷工程では、正孔輸送層30を形成するために、有機EL用インク組成物を下部電極20上に印刷する。この印刷においては、上記した各印刷法を採用し、1−ブロモナフタレンの引火点である109℃以下の温度で印刷を行う。また、この印刷は、大気中で行ってもよいが、雰囲気中の酸素を極力少なくするため、窒素等の不活性ガス中で起き行うことが望ましい。
次に、印刷された上記インク組成物において、溶媒を除去して乾燥させる。このとき溶媒の除去は、加熱によるものであってもよいが、常温で真空脱気することが望ましい。本実施形態では、真空脱気を行い、溶媒の除去を行う。
続いて、加熱乾燥工程では、加熱して十分に乾燥させる。こうして、下部電極20の上に、化合物Aよりなる正孔輸送層30が形成される。次に、発光層形成工程では、この正孔輸送層30の上に、上述したように、高分子型の発光層40を、印刷法により形成する。こうして、有機層60ができあがる。
次に、この発光層40の上に、上記した電子注入層51、第1金属層52、第2金属層53を、順次、蒸着法により成膜することにより、上部電極50を形成する。こうして、本実施形態の有機EL素子S1ができあがる。
ところで、本実施形態によれば、正孔輸送層30を形成するために基板10上に印刷される正孔輸送性を有する物質を含む有機EL用インク組成物として、化合物Aと1−ブロモナフタレンを最多重量成分として含む溶媒とを含んで構成され、化合物Aが溶媒に溶解または均一に分散されてなる有機EL用インク組成物が提供される。
上述したが、正孔輸送層30の膜厚としては数十nm以上が必要であり、そのためには、溶媒中の溶質の濃度が少なくとも0.5重量%以上は必要となる。その点、1−ブロモナフタレンには、化合物Aが1−ブロモナフタレンの引火点(109℃)以下で印刷による膜形成に十分な濃度(0.5重量%以上)で溶解する。
そのため、本実施形態の有機EL用インク組成物によれば、正孔輸送性を有するが難溶性の物質である化合物Aを含み、印刷により適切に正孔輸送層30を成膜することのできる有機EL用インク組成物が提供される。
そして、本実施形態の上記製造方法においては、化合物Aと1−ブロモナフタレンを最多重量成分として含む溶媒とよりなる有機EL用インク組成物を用意する用意工程と、1−ブロモナフタレンの引火点である109℃以下の温度で、正孔輸送層30を形成するために有機EL用インク組成物を印刷する印刷工程と、を備えている。
ここで、印刷工程を不活性ガス雰囲気で行っても、完全に酸素が無い状態とすることは困難であり、微量の酸素が存在することは回避しにくい。そのようなことから、印刷雰囲気中に酸素が存在しても、本実施形態のインク組成物ならば、溶媒の引火点以下の温度で印刷を行えるため、引火することはない。そして、十分な膜形成が行え、膜厚を確保した正孔輸送層30が形成される。
また、本実施形態の製造方法では、印刷工程の後、常温で真空脱気を行うことにより、印刷された有機EL用インク組成物から溶媒を除去し、その後、加熱による乾燥を行って正孔輸送層30を形成している。
本発明者の検討によれば、印刷された有機EL用インク組成物に対して、溶媒の除去を加熱蒸発により行うと、化合物Aの針状結晶が部分的に発生しやく、膜質が不均一になりやすい。それに対して、本発明者の検討によれば、真空脱気により溶媒を除去すれば、均一な膜を形成しやすい。
[溶媒の検討例]
次に、溶媒の引火点以下の温度で、印刷による膜形成に必要な濃度まで、化合物Aが溶解できるような溶媒を選択するにあたって、各種の溶媒について本発明者が行った検討例を述べる。下記の検討例に基づいて、1−ブロモナフタレンに至ったのである。
図4には、本発明者の検討の結果、得られた、各種溶媒に対する化合物Aの溶解特性を示している。ここでは、溶媒の種類に相当する指標として、図4中の横軸に示される溶解度計算値Δδを用いた。
この溶解度計算値Δδは、よく知られているHansen法による溶解度パラメータ計算にて求められる溶媒の固有物性値で、数値が小さいほど化合物Aが溶解しやすいことを示す。つまり、図4では、横軸の中央から左側に行くにつれて化合物Aが溶けやすい溶媒であり、右側に行くにつれて化合物Aが溶けにくい溶媒であることを意味する。
また、図4中の左側の縦軸の溶解温度(0.5wt%)は、化合物Aが膜形成に必要な0.5重量%、溶媒に溶解するときの温度を示している。そして、溶解度計算値Δδと当該溶解温度(単位:℃)との関係は実測にて求め、図4中の太い実線グラフにて示してある。また、当該実線グラフ上の白三角プロットは、1−ブロモナフタレンの値を示している。また、図4中の右側の縦軸の引火点(単位:℃)は、溶媒の固有物性値であり、溶解度計算値Δδと引火点との関係は、破線の折れ線グラフにて示してある。
この図4において、丸で囲んだ値は、1−ブロモナフタレンの値である。これからわかるように、引火点以下で膜形成に必要な溶解濃度(0.5重量%)を実現できる溶媒は、1−ブロモナフタレンのみである。一方、その他の溶媒では、溶媒の引火点を超えた温度でないと0.5重量%の溶解濃度が実現できない。こうして、本発明者は、1−ブロモナフタレンを溶媒として選定したのである。
この1−ブロモナフタレンの溶媒温度と化合物Aの溶解濃度との関係については、図5に示されるように、温度と濃度との間に一次的に増加する比例関係があり、90℃にて0.5重量%の濃度が実現され、109℃では1重量%の濃度が実現される。つまり、本実施形態のインク組成物としては、化合物Aと溶媒との合計重量に対して、化合物が0.5重量%以上1重量%以下の割合で含有されたものとなる。
[具体例]
次に、本実施形態の効果について、本実施形態の具体例を参照して、より詳細に述べる。
ガラス等からなる透明な基板10の一面上に、下部電極20としてのITOを150nmの厚さで形成した後、その上に、上記有機EL用インク組成物として1−ブロモナフタレン(95%以上)に化合物Aを0.5重量%溶解させてなるインク組成物を、スピンコートにより印刷した。
この印刷の後、速やかに真空度0.1Pa以下での真空脱気により溶媒を除去した後、露点温度が−60℃以下の窒素雰囲気にて、150℃、1時間の乾燥処理を施すことにより、膜厚30nmの正孔輸送層30を形成した。
次に、アメリカンダイソース社製のPoly[(9,9−dioctylfluorenyl−2,7−diyl)−co−(1,4−benzo−{2,1’,3}−thiadiazole)](ADS233YE)を精製して重量平均分子量40000とした高分子発光材料を、キシレン溶媒に溶解させて塗布液を作製し、この塗布液を正孔輸送層30の上にスピンコートで塗布した。そして、これを120℃で乾燥させることにより、厚さ100nmの発光層40とした。
次に、真空蒸着法により、電子注入層51として厚さ1nmのLiFを形成した後、厚さ2nmのCaよりなる第1金属層52を形成した。次いで、真空蒸着法により、第2金属層53として厚さ100nmのAlを形成した。
そして、最後に、グローブボックス中で金属缶(図示略)と素子が形成された基板10とを、光硬化性樹脂で貼り合わせることにより、素子を封止した。こうして、本実施形態の具体例としての有機EL素子S1を作成した。
(比較例)
比較例として、化合物Aを真空蒸着法により膜厚30nmで形成して、これを正孔輸送層30としたこと以外は、上記具体例と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして形成された具体例の有機EL素子S1と比較例の有機EL素子とについて、輝度特性を評価した。その結果が図6に示される。
初期の輝度特性として、上下電極10、50間にDC電圧10Vを印加したときの電流密度(単位:mA/cm)および輝度(単位:cd/m)を測定した。また、輝度耐久性として、初期輝度を1000cd/mに設定し、これを85℃環境下で200時間、DC駆動させた後の輝度を求め、1000cd/mの初期輝度からの輝度低下を百分率で表した。
図6に示されるように、本実施形態の具体例の有機EL素子S1における初期輝度特性は、電流密度25.9mA/cm、輝度1534cd/mであり、比較例における初期輝度特性は、電流密度24.7mA/cm、輝度1710cd/mであった。また、輝度耐久性については、本実施形態が73%、比較例が75%であった。
このように、本実施形態のインク組成物を用いて印刷により正孔輸送層30を形成した有機EL素子S1は、従来の真空蒸着により正孔輸送層30を形成したものに比べて、初期特性、耐久性とも遜色なく、同等の輝度特性を示すことが確認された。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、有機層60は、基板10側から正孔輸送層30、発光層40が順に積層されてなるものであったが、さらに発光層40と上部電極50との間に電子輸送層が介在し、この電子輸送層も有機層60を構成するものであってもよい。
また、上記具体例では、溶媒としては、純度が95%以上の1−ブロモナフタレンを用いたが、1−ブロモナフタレンを最多重量成分として含む溶媒であって、引火点以下で印刷による膜形成に必要な溶解濃度が確保できるものであるならばよい。もちろん、1−ブロモナフタレンが100%のものでもよい。
10 基板
20 下部電極
30 正孔輸送層
40 発光層
50 上部電極
60 有機層

Claims (5)

  1. 基板(10)上に、正孔輸送層(30)と発光層(40)とを含む有機層(60)を形成してなる有機EL素子(S1)における前記正孔輸送層を形成するために、前記基板上に印刷される、正孔輸送性を有する物質を含む有機EL用インク組成物であって、
    前記物質としての次の化学式1で表される化合物Aと、
    Figure 0005708523
    1−ブロモナフタレンを最多重量成分として含む溶媒と、を含んで構成され、
    前記化合物Aが前記溶媒に溶解または均一に分散されてなることを特徴とする有機EL用インク組成物。
  2. 前記化合物Aと前記溶媒との合計重量に対して、前記化合物Aは、0.5重量%以上1重量%以下の割合で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL用インク組成物。
  3. 基板(10)上に、前記基板側から順に下部電極(20)、正孔輸送層(30)および発光層(40)が積層されてなる有機層(60)、上部電極(50)を、順に形成してなる有機EL素子の製造方法であって、
    正孔輸送性を有する物質を含む有機EL用インク組成物を用意する用意工程と、
    前記正孔輸送層を形成するために、前記有機EL用インク組成物を印刷する印刷工程と、を備え、
    前記用意工程では、前記有機EL用インク組成物として、前記物質としての次の化学式2で表される化合物Aと、
    Figure 0005708523
    1−ブロモナフタレンを最多重量成分として含む溶媒と、を含んで構成され、前記化合物Aが前記溶媒に溶解または均一に分散されてなるインク組成物を用意し、
    前記印刷工程では、1−ブロモナフタレンの引火点である109℃以下の温度で印刷を行うことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  4. 前記用意工程では、前記有機EL用インク組成物として、前記化合物Aと前記溶媒との合計重量に対して、前記化合物Aが、0.5重量%以上1重量%以下の割合で含有されているものを用意することを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記印刷工程の後、常温で真空脱気を行うことにより、印刷された前記有機EL用インク組成物から前記溶媒を除去し、その後、加熱による乾燥を行って前記正孔輸送層を形成することを特徴とする請求項3または4に記載の有機EL素子の製造方法。
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