本発明に係る放射線撮影システムの好適な実施形態を、図1〜図10を参照しながら以下詳細に説明する。
[本実施形態の構成]
図1及び図2は、本実施形態に係る放射線撮影システム10の概略構成を示す。
本実施形態に係る放射線撮影システム10は、病院又は診療所等の医療機関12に適用される。なお、図2では、病院よりも小規模の診療所(医療機関12)を図示している。該医療機関12には、例えば、医師が患者を診察する2つの診察室14、X線撮影等の放射線撮影が行われる撮影室16、患者に対する各種の処置が行われる処置室18、及び、患者が待機する待合室20が設けられている。
各診察室14には、医師による読影診断を行うためのビューア等のワークステーション(処理装置)22がそれぞれ配置されている。
一方、撮影室16には、患者である被写体24に対して放射線撮影を行う2つの撮影装置26、28が配設されている。撮影装置26は、被写体24の胸部等の放射線画像を撮影する立位撮影装置であり、撮影装置28は、被写体24の胸部を含む広範囲の放射線画像を撮影する臥位撮影装置である。
撮影装置26では、放射線源32から立位状態の被写体24に対して放射線30が照射され、該被写体24を透過した放射線30が撮影台34内の蓄積性蛍光体パネル(放射線変換パネル)36に導かれることにより、被写体24の放射線画像情報が蓄積性蛍光体パネル36に記録される。
なお、蓄積性蛍光体パネル36は、放射線30を透過可能なカセッテ38に収容され、該カセッテ38が撮影台34の側部に配設されたスロット40に装填されることで、撮影装置26での被写体24に対する上述の放射線撮影が可能な状態となる。
一方、撮影装置28では、ベッド等の撮影台42の側部に配設されたスロット44にカセッテ38を装填することにより、被写体24に対する放射線撮影が可能となる。すなわち、撮影台42に被写体24が横臥した状態で、放射線源32から臥位状態の被写体24に対して放射線30が照射され、該被写体24を透過した放射線30が撮影台42内のカセッテ38に収容された蓄積性蛍光体パネル36に導かれることにより、被写体24の放射線画像情報が蓄積性蛍光体パネル36に記録される。
放射線源32は、アーム46を介して立設状態に設置された基台48に支持されている。この場合、アーム46の先端部に取り付けられた放射線源32は、該アーム46の軸を中心として回動することにより、放射線30の照射方向を撮影台34側又は撮影台42側に向けることができる。また、基台48に対してアーム46を上下動させることにより、撮影台42に横臥した被写体24に対する放射線源32の高さ位置を調整することもできる。
撮影室16内には、蓄積性蛍光体パネル36に記録された放射線画像情報を読み取る読取装置(画像取得装置)50がさらに配設されている。
読取装置50には、外部メモリとしてのUSB(Universal Serial Bus)メモリ52が接続されるUSB端子54と、外部メモリとしてのメモリカード56が挿入されるカードスロット58と、放射線画像情報等を含む各種情報を表示可能な表示部59とが配設されている。
なお、図1には、読取装置50に対して2つの外部メモリ(USBメモリ52、メモリカード56)が接続可能な場合を図示しているが、本実施形態では、少なくとも1つの外部メモリが読取装置50に接続可能であればよい。また、本実施形態において、外部メモリは、持ち運び可能な補助記憶装置であればよく、このような補助記憶装置としては、半導体メモリを用いた上述のUSBメモリ52又はメモリカード56に限定されることはなく、外付けのHDDであってもよい。USBメモリ52又はメモリカード56であれば、持ち運びが容易である。
撮影室16の外壁には、医師又は技師(診療所等の比較的小規模の医療施設であれば医師)が操作可能な操作パネル60が配設されている。操作パネル60は、医師又は技師の操作によって設定された情報を読取装置50に供給し、さらには、医師又は技師の操作により放射線源32を制御する。具体的に、医師又は技師は、操作パネル60を操作することにより、(1)被写体24である患者の氏名、性別、年齢等の患者情報、(2)被写体24の撮影部位や被写体24に対する撮影方法、(3)放射線撮影に使用する撮影装置、(4)放射線源32から放射線30を出力する際に必要な管電圧、管電流、放射線30の照射時間等の撮影条件、の各情報を設定することができる。なお、上記(1)〜(3)の情報は、被写体24に対するオーダ情報に対応する。設定された各情報は、読取装置50に供給される。また、操作パネル60は、放射線源32からの放射線30の出力を開始させるための曝射ボタンとしても機能する。
さらに、撮影室16には、医師又は技師や被写体24である患者が撮影室16に出入りするためのドア62や、撮影室16外にいる医師又は技師が撮影室16内を観察するための窓64も設けられている。
さらにまた、撮影室16の外壁には、読取装置50と有線で接続され、無線通信による信号の送受信が可能な送受信機(第1通信装置)66が配設されている。また、医療機関12内の所定箇所には、無線通信の中継装置としての無線アクセスポイント68が配置され、各診察室14には、ワークステーション22に接続され、無線通信による信号の送受信が可能な送受信機(第2通信装置)70が配設されている。
そして、送受信機66、無線アクセスポイント68及び各送受信機70によって、医療機関12内には、無線LAN72が構築される。すなわち、無線LAN72は、インフラストラクチャモードの無線LANであり、該無線LANの子機である送受信機66、70が無線アクセスポイント68を介して信号の送受信を行うようになっている。
この場合、各診察室14においては、医師の机74上にワークステーション22が配置されている。従って、各送受信機70としては、ワークステーション本体76に対する内蔵型(拡張スロット挿入型、内蔵組み込み型等)の子機、又は、外付け型(USB接続型等)の子機であることが好ましい。なお、図1及び図2では、一例として、外付け型の送受信機70を図示している。また、ワークステーション本体76にも、USBメモリ52が接続されるUSB端子77と、メモリカード56が挿入されるカードスロット78とが配設されている。
一方、撮影室16においては、放射線30の撮影室16外への漏洩を防止するために、壁面全体に鉛等の放射線遮蔽部材79が設けられている。そのため、撮影室16内から外部(例えば、診察室14)に無線通信により信号を送信しようとすれば、放射線遮蔽部材79によって前記信号に応じた電波が遮蔽されてしまう。
そこで、本実施形態では、撮影室16外に配設された送受信機66と読取装置50とを有線で接続し、読取装置50から送受信機66を介して外部との間で無線LAN72経由での信号の送受信を行うようにしている。従って、送受信機66としては、撮影室16の外壁に設置可能な、無線LANコンバータタイプの子機であることが望ましい。
なお、図1及び図2では、診察室14にワークステーション22を配置した場合を図示しているが、ワークステーション22に代替して、コンソールを配置してもよい。
図3は、蓄積性蛍光体パネル36に記録された放射線画像情報を読み取る読取装置50の内部構成図である。
蓄積性蛍光体パネル36は、照射された放射線30(図1参照)のエネルギを蓄積する蓄積性蛍光体層を支持体上に形成したもので、励起光を照射することにより、蓄積されたエネルギに応じた輝尽発光光を出力し、一方で、所定光量の消去光を照射することにより、残存するエネルギを除去して再使用することが可能である。また、カセッテ38は、蓄積性蛍光体パネル36を蓋部材92を介して収脱可能に収容するもので、その外面部には、内部に収納されている蓄積性蛍光体パネル36を個別に識別するための固有番号、サイズ、感度等の識別情報が記録されたバーコード88(図1参照)が装着されている。
読取装置50は、ケーシング80の上部に、カセッテ装填部84を備えている。カセッテ装填部84には、矢印A方向にスライド自在な蓋部材82が配設される。蓋部材82とケーシング80上部とによって形成された装填口86には、放射線画像情報が記録された蓄積性蛍光体パネル36を収容するカセッテ38が装填される。この場合、カセッテ38は、蓋部材92を下にした状態でカセッテ装填部84に装填される。なお、ケーシング80は、外部からの放射線30(図1参照)の侵入を阻止すべく、鉛等の重金属を含む材料で形成される。
装填口86に近接して、カセッテ38に配設されたバーコード88の識別情報を読み取るバーコードリーダ90と、カセッテ38の蓋部材92のロックを解除するロック解除機構94と、蓋部材92が開蓋されたカセッテ38から蓄積性蛍光体パネル36を吸着して取り出す吸着盤96と、吸着盤96によって取り出された蓄積性蛍光体パネル36を挟持搬送するニップローラ98とが配設される。
ニップローラ98に連設して、複数の搬送ローラ100a〜100g及び複数のガイド板102a〜102fが配設され、これらにより湾曲搬送路104が構成される。読取装置50の小型化を図るために、湾曲搬送路104は、カセッテ装填部84から下方向に延在した後、最下部において略水平状態となり、次いで、略鉛直上方向に延在している。
ニップローラ98と搬送ローラ100aとの間には、読取処理が終了した蓄積性蛍光体パネル36に残存する放射線画像情報を消去するための消去ユニット106が配設される。消去ユニット106は、消去光を出力する冷陰極管等の消去光源108を有する。
湾曲搬送路104の最下部に配設される搬送ローラ100d、100e間には、プラテンローラ110が配設される。そして、プラテンローラ110の上部には、蓄積性蛍光体パネル36に蓄積記録された放射線画像情報を読み取る走査ユニット112が配設される。
走査ユニット112は、励起光であるレーザビーム114を導出して蓄積性蛍光体パネル36を走査する励起部116と、レーザビーム114によって励起されて出力される放射線画像情報に係る輝尽発光光を読み取る読取部118とを備える。
励起部116は、レーザビーム114を出力するレーザ発振器120と、レーザビーム114を蓄積性蛍光体パネル36の主走査方向(図3の紙面に対して垂直方向)に偏向する回転多面鏡であるポリゴンミラー122と、レーザビーム114を反射させ、プラテンローラ110上を通過する蓄積性蛍光体パネル36に導く反射ミラー124とを備える。
読取部118は、一端部がプラテンローラ110上の蓄積性蛍光体パネル36に近接して配置される集光ガイド126と、集光ガイド126の他端部に連結され、蓄積性蛍光体パネル36から得られた輝尽発光光を電気信号に変換するフォトマルチプライヤ128とを備える。従って、フォトマルチプライヤ128によって読み取られた放射線画像情報が送受信機66に供給される。なお、集光ガイド126の一端部には、輝尽発光光の集光効率を高めるための集光ミラー130が近接して配設される。
放射線画像情報が読み取られた蓄積性蛍光体パネル36は、ガイド板102f側まで一旦搬送された後、再び走査ユニット112の下部を介してカセッテ装填部84側に戻される。蓄積性蛍光体パネル36がカセッテ装填部84側に戻された場合、ニップローラ98と搬送ローラ100aとの間に配設された消去ユニット106を構成する消去光源108は、蓄積性蛍光体パネル36に向けて消去光を出力し、蓄積性蛍光体パネル36に残存する放射線画像情報を除去する。残存する放射線画像情報に対する消去処理が終了した蓄積性蛍光体パネル36は、ニップローラ98及び吸着盤96を用いてカセッテ38に収容される。カセッテ38に蓄積性蛍光体パネル36が収容された状態で、蓋部材92が閉蓋されると共に、医師又は技師によりカセッテ排出ボタン134(図4参照)が操作されることにより、カセッテ38は、カセッテ装填部84から抜き取られ、次の放射線撮影に使用される。
図4は、放射線撮影システム10の制御ブロック図を示す。
読取装置50は、読取装置制御部131を有する。読取装置制御部131には、読取装置50の電源スイッチ132、カセッテ38を読取装置50から排出させるためのカセッテ排出ボタン134、カセッテ38のバーコード88(図1参照)を読み取るバーコードリーダ90、走査ユニット112(図3参照)を制御する走査ユニット制御部136、消去ユニット106を制御する消去ユニット制御部138、湾曲搬送路104を制御して蓄積性蛍光体パネル36を搬送するパネル搬送制御部140、及び、放射線画像情報の取り違えを防止するために、1枚分の放射線画像情報を記憶可能な程度の記憶容量を有する画像メモリ(一時記憶部)144が接続されている。また、読取装置制御部131には、画像メモリ144よりも大きな記憶容量を有するUSBメモリ52又はメモリカード56や、表示部59も接続される。
一方、ワークステーション22は、制御部150を有する。制御部150には、キーボードやマウス等の操作部152、ディスプレイ等の表示部154、ワークステーション22が取得した放射線画像情報等の各種情報に対して所定の判断処理を行う判断処理部156、前記各種情報が記憶される画像メモリ158と、放射線画像情報に対して所定の画像処理を行う画像処理部160とが接続されている。また、ワークステーション22には、前述したUSBメモリ52又はメモリカード56も接続される。
判断処理部156は、無線LAN72を介して送受信機70により受信された放射線画像情報(第2の放射線画像情報)を含む各種情報と、外部メモリ(USBメモリ52、メモリカード56又は外付けのHDD)から取り込んだ放射線画像情報(第1の放射線画像情報)を含む各種情報とに基づいて、これらの各種情報が読取装置50で実際に読み取られた被写体24の放射線画像情報(真の画像情報)を示す情報(真の情報)であるか否かの判断処理を実行する。
なお、図4では、1つの外部メモリ(USBメモリ52又はメモリカード56)のみが読取装置制御部131と接続され、あるいは、制御部150と接続されている場合を図示している。
[本実施形態の動作]
本実施形態に係る放射線撮影システム10は、以上のように構成されるものであり、次に、放射線撮影システム10の動作について、図5〜図8のフローチャートを参照しながら説明する。この動作の説明では、必要に応じて、図1〜図4も参照しながら説明する。
ここでは、先ず、送受信機66と送受信機70との間の無線LAN72の通信状態が良好であり、この結果、読取装置50からワークステーション22への放射線画像情報を含む各種情報の送信が成功した場合について、図5を参照しながら説明する。次に、送受信機66と送受信機70との間の無線LAN72の通信状態が良くないために、読取装置50からワークステーション22への各種情報の送信が失敗し、この結果、外部メモリ(USBメモリ52、メモリカード56又は外付けのHDD)に各種情報を記憶して、医師(又は技師)がワークステーション22まで該外部メモリを持ち運ぶことになった場合について、図6〜図8を参照しながら説明する。
なお、ここでは、病院よりも小規模の診療所(医療機関12)において、医師が患者を撮影室16に案内して該患者に対する放射線撮影を行うものとする。
先ず、無線LAN72の通信状態が良好であり、従って、読取装置50から無線LAN72経由でワークステーション22に放射線画像情報を含む各種情報が送信される場合について説明する。
図5のステップS1において、診察室14(図1及び図2参照)で医師が患者を診察した結果、該患者に対する放射線撮影が必要と判断した場合、医師は、患者を撮影室16まで案内する。撮影室16内において、医師は、撮影装置26、28のうち、患者の撮影部位に対する放射線撮影にとり適切な撮影装置26又は撮影装置28を選択し、選択した撮影装置26、28の撮影台34、42のスロット40、44に、蓄積性蛍光体パネル36が収容されたカセッテ38を装填する。
次に、医師は、撮影台34又は撮影台42に対して被写体24である患者を位置決めした後に、放射線30の照射方向が被写体24側となるように、アーム46に取り付けられた放射線源32を回動させる。ここで、医師が撮影装置26を選択した場合、被写体24は、撮影台34に対して立位状態で位置決めされるので、放射線源32は、撮影台34の方向に向けられる。また、医師が撮影装置28を選択した場合、被写体24は、撮影台42に対して臥位状態で位置決めされる(横臥している)ので、放射線源32は、撮影台42の方向に向けられる。
撮影装置26又は撮影装置28に対する被写体24の位置決めがなされた状態で、医師は、撮影室16から出てドア62を閉めた後、窓64を通して撮影室16内の被写体24の状態を観察しつつ、撮影室16外に配設された操作パネル60を操作して、被写体24の患者情報及び撮影部位、被写体24に対する撮影方法、選択した撮影装置等のオーダ情報、さらには、放射線源32の管電圧、管電流、放射線30の照射時間等の撮影条件の各情報を設定する。これらの情報は、読取装置50に供給される。読取装置50は、これらの情報を後述する放射線画像情報に関連する情報として、画像メモリ144に記憶する。
なお、診察室14において、ワークステーション22に代替して、コンソールが配置される場合には、該コンソールにおいて前記各情報を設定し、無線LAN72経由で読取装置50に前記各情報を送信してもよい。
このようにして各情報の設定が完了することにより、放射線撮影の撮影準備が完了した後のステップS2において、医師は、曝射ボタンとしての操作パネル60を操作して、放射線源32からの放射線30の出力を開始させる。これにより、放射線源32は、操作パネル60で設定された管電圧及び管電流に応じた線量の放射線30を、被写体24に対して前記照射時間だけ照射する。この結果、被写体24を透過した放射線30は、撮影台34又は撮影台42内のカセッテ38を透過して蓄積性蛍光体パネル36に導かれる。従って、蓄積性蛍光体パネル36には、被写体24の放射線画像情報が蓄積記録される。
次に、医師は、被写体24である患者を解放して待合室20に誘導した後に、放射線画像情報が記録された蓄積性蛍光体パネル36を収容するカセッテ38を撮影台34又は撮影台42から抜き取り、読取装置50のカセッテ装填部84(図3参照)に装填する。
ステップS3において、カセッテ38が装填されると、カセッテ装填部84に配設されているバーコードリーダ90がカセッテ38に装着されたバーコード88を読み取り、蓄積性蛍光体パネル36の固有番号、サイズ、感度等の識別情報を取得する。取得した識別情報は、画像メモリ144に記憶される。
識別情報が読み取られると、ロック解除機構94が駆動され、蓋部材92のロック状態が解除されて開蓋される。次いで、吸着盤96が蓄積性蛍光体パネル36を吸着し、カセッテ38から蓄積性蛍光体パネル36を取り出してニップローラ98間に供給する。ニップローラ98により挟持された蓄積性蛍光体パネル36は、搬送ローラ100a〜100g及びガイド板102a〜102fからなる湾曲搬送路104を介して、走査ユニット112の下部に搬送される。
蓄積性蛍光体パネル36は、搬送ローラ100d及び100eにより略水平方向に副走査搬送される。一方、励起部116を構成するレーザ発振器120から出力されたレーザビーム114は、高速で回転するポリゴンミラー122によって反射偏向された後、反射ミラー124を介して下面部がプラテンローラ110により支持された蓄積性蛍光体パネル36に導かれ、蓄積性蛍光体パネル36を主走査する。
蓄積性蛍光体パネル36は、レーザビーム114が照射されることで励起され、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた輝尽発光光を出力する。この輝尽発光光は、蓄積性蛍光体パネル36の主走査方向に沿って近接配置された集光ガイド126の下端部に直接入射し、あるいは、集光ミラー130を介して入射する。集光ガイド126に入射した輝尽発光光は、内部で反射を繰り返し、上端部のフォトマルチプライヤ128に導かれる。フォトマルチプライヤ128は、入射した輝尽発光光を電気信号に変換し、これによって、蓄積性蛍光体パネル36に蓄積記録されている放射線画像情報が読み取られる。
走査ユニット112によって読み取られた放射線画像情報は、画像メモリ144に一時的に記憶される。前述のように、画像メモリ144には、放射線撮影前に操作パネル60で設定された患者情報、撮影条件等の各情報や、バーコードリーダ90により読み取られた識別情報が記憶されているので、放射線画像情報は、これらの情報と関連付けられて記憶される。
なお、放射線画像情報が読み取られた蓄積性蛍光体パネル36は、ガイド板102f側まで一旦搬送された後、再び走査ユニット112の下部を介してカセッテ装填部84側に戻される。そして、蓄積性蛍光体パネル36は、ニップローラ98と搬送ローラ100aとの間において、消去光源108から消去光が照射されることにより、残存する放射線画像情報が除去される。消去処理後の蓄積性蛍光体パネル36は、ニップローラ98及び吸着盤96を用いてカセッテ38に収容される。これにより、蓋部材92が閉蓋され、医師がカセッテ排出ボタン134(図4参照)を操作することにより、カセッテ38は、カセッテ装填部84から抜き取られ、次の放射線撮影に使用される。
次のステップS4において、読取装置制御部131は、画像メモリ144に記憶された、被写体24の放射線画像情報と、該放射線画像情報に関連する患者情報、撮影条件、識別情報等の各種情報とを送受信機66に供給(送信)する。送受信機66は、これらの情報を無線LAN72経由で送受信機70に向けて送信する。無線LAN72での通信状態が良好である場合、送信された各種情報は、無線アクセスポイント68を介して送受信機70に送信され、送受信機70は、受信した各種情報をワークステーション22に供給する(ステップS5)。
ワークステーション22の制御部150は、送受信機70からの各種情報の供給に基づいて、各種情報が受信されたことを示す受信完了通知を送受信機70に供給する(ステップS6)と共に、受信した各種情報を画像メモリ158に記憶する(ステップS7)。
そして、ステップS8において、画像処理部160は、画像メモリ158に記憶された放射線画像情報に対して所定の画像処理を施し、表示部154に表示させる。医師は、表示部154に表示された放射線画像情報に基づき、必要な読影診断を行う。なお、前記画像処理では、例えば、画像メモリ158に記憶された患者情報、撮影条件、識別情報等の各情報のうち、読影診断に必要な情報を放射線画像情報と組み合わせるような処理が行われる。
一方、ステップS6において、制御部150から送受信機70に受信完了通知が供給された場合、送受信機70は、受信完了通知を無線LAN72経由で送受信機66に向けて送信する。無線LAN72での通信状態が良好である場合、受信完了通知は、無線アクセスポイント68を介して送受信機66に送信され、送受信機66は、受信した受信完了通知を読取装置50に供給する(ステップS9)。
読取装置50の読取装置制御部131は、受信完了通知の受信によって、放射線画像情報を含む各種情報の送信に成功したことを認識すると共に、画像メモリ144に記憶された各種情報を消去する(ステップS10)。これにより、画像メモリ144は、次の放射線撮影により得られる放射線画像情報等を記憶可能な状態に至る。
次に、送受信機66と送受信機70との間の無線LAN72の通信状態が良くないために、外部メモリに放射線画像情報を記憶してワークステーション22にまで持ち運ぶ場合について説明する。
この例としては、下記の(1)〜(3)のケースが想定される。
(1)送受信機66から送受信機70に対して無線LAN72経由での送信を試みたが、(連続して)送信に失敗したので、無線LAN72経由での放射線画像情報等の各種情報の送信を諦め、外部メモリに各種情報を記憶してワークステーション22にまで持ち運ぶ場合(図6参照)。
(2)上記(1)の場合において、ワークステーション22への外部メモリの持ち運び後、無線LAN72の通信状態が良くなったために、無線LAN72経由でのワークステーション22への各種情報の送信が再開された場合(図7及び図8参照)。
(3)上記(1)の場合において、放射線撮影が複数回(繰り返し)行われる結果、放射線撮影毎にワークステーション22に各種情報を送信する必要がある場合(図5及び図6参照)。
次に、(1)〜(3)のケースについて、それぞれ説明する。なお、これらの説明では、前述の図5の説明とは異なる内容のみ説明し、共通する内容については、その詳細な説明を省略する。
先ず、(1)のケースについて、図6を参照しながら説明する。
ステップS3後のステップS11において、読取装置制御部131は、ステップS4と同様に、画像メモリ144に記憶された放射線画像情報を含む各種情報を送受信機66に供給して、無線LAN72経由で送受信機70に送信させる。
次に、読取装置制御部131は、ステップS12において、送受信機66が各種情報の送信に成功したか否かを判断する。例えば、読取装置制御部131は、送受信機66への各種情報の供給後、所定時間内に送受信機66経由で受信完了通知を受信できたか否かで、送信成功を判断すればよい。
ステップS12において、送信が失敗したと判断した場合(ステップS12:NO)、読取装置制御部131は、ステップS13において、送信が1回失敗したことをカウントし、次に、カウント回数(送信に(連続して)失敗した回数を示す送信失敗回数)nが所定の回数閾値Nに到達したか否かを判定する(ステップS14)。
ステップS14において、n<Nであれば(ステップS14:NO)、読取装置制御部131は、ステップS11に戻り、送受信機66に各種情報を供給して再度送信を試みる。なお、ステップS14において、回数閾値Nは、適宜設定可能である。例えば、N=1であれば、1回の送信失敗で次のステップS15の処理に移り、N=5であれば、連続して5回の送信失敗で次のステップS15の処理に移る。
一方、ステップS14において、n=Nとなった場合には(ステップS14:YES)、読取装置制御部131は、無線LAN72経由での送信を連続してN回試みたが、無線LAN72の通信状態が回復しない(良好とはならない)ために送信に失敗したので、これ以上送信を試みても送信成功には至らない、と判断する。
次に、読取装置制御部131は、送信失敗を示す通信エラー情報を作成し、作成した通信エラー情報を画像メモリ144に記憶すると共に、画像メモリ144に記憶された全ての情報(放射線画像情報、通信エラー情報、患者情報、撮影条件等の各種情報)を読取装置50に接続された外部メモリ(USBメモリ52、メモリカード56又は外付けのHDD)に記憶する(ステップS15)。外部メモリへの各種情報の記憶後、読取装置制御部131は、無線LAN72経由での送信失敗と、外部メモリへの各種情報の記憶処理の完了とを、表示部59に表示させる。
医師は、表示部59の表示内容を視認することにより、無線LAN72経由での各種情報の送信に失敗した結果、外部メモリに各種情報が記憶されたことを認識することができる。次に、医師は、読取装置50から外部メモリを取り出し(抜き取り)、撮影室16から診察室14まで持ち運ぶ(ステップS16)。
なお、ステップS15において、外部メモリに各種情報を記憶する場合、外部メモリへの各種情報の書き込み中に読取装置50から外部メモリを取り外すと、データ破壊となるおそれがある。そのため、読取装置制御部131は、例えば、記憶処理が完了するまでは書き込み中であることを表示部59に表示させ、記憶処理の完了後、外部メモリの取り外しが可能であることを表示部59に表示させることにより、外部メモリの取り外しのタイミングを医師に通知することが好ましい。
ステップS17において、医師が外部メモリ(USBメモリ52、メモリカード56又は外付けのHDD)をワークステーション本体76に接続すると、制御部150は、外部メモリに記憶された各種情報を取り込む(ステップS18)。
判断処理部156は、ステップS18における外部メモリからの各種情報の取り込みと、通信エラー情報の内容とを把握することにより、無線LAN72での通信状態が良くないために通信エラーが発生したと判断する(ステップS19)と共に、外部メモリから取り込んだ放射線画像情報を含む各種情報が、読取装置50で実際に取得した放射線画像情報(真の画像情報)を含む真の情報であると判断する(ステップS20)。なお、ステップS19において、判断処理部156は、通信エラーの発生と判断したときに、通信エラーが1回発生したことをカウントしてもよい。通信エラーの発生をカウントすることで、そのカウント回数を無線LAN72のメンテナンス等の実施の判断材料とすることができる。
次に、制御部150は、判断処理部156での判断結果に基づいて、ステップS7の処理を実行し、外部メモリから取り込んだ放射線画像情報を含む各種情報を画像メモリ158に記憶する。
なお、ステップS12において、送信失敗回数nが回数閾値Nに到達する前に無線LAN72による送信に成功した場合(ステップS12:YES)、読取装置50は、ステップS10の処理に移行する。
次に、(2)のケースについて、図7及び図8を参照しながら説明する。
ステップS16後のステップS21において、読取装置50の読取装置制御部131は、無線LAN72の通信状態が回復すれば、画像メモリ144に記憶された放射線画像情報等の各種情報を送受信機66に再度供給する。これにより、送受信機66は、ステップS4と同様に、各種情報を無線LAN72経由で送受信機70に送信する。この場合、無線LAN72での通信状態の回復により、各種情報は、無線アクセスポイント68を介して送受信機70に送信され、送受信機70は、受信した各種情報をワークステーション22に供給する(ステップS22)。
ワークステーション22では、ステップS19後のステップS23において、判断処理部156が外部メモリからの各種情報と送受信機70から受信した各種情報とをつき合わせる。そして、両者が一致する場合に(ステップS24:YES)、判断処理部156は、両者とも、読取装置50で読み取られた被写体24の放射線画像情報を含む真の情報であると判断する(ステップS25)。次に、制御部150は、判断処理部156での判断結果に基づいて、ステップS6と同様に、受信完了通知を送受信機70に供給する(ステップS26)。
また、前述のように、外部メモリからの各種情報と、送受信機70から受信した各種情報とのいずれもが真の情報であるため、画像メモリ144には、いずれか一方の情報のみ記憶すればよい。そこで、制御部150は、判断処理部156での判断結果に基づいて、送受信機70から受信された各種情報を画像メモリ144に記憶すると共に、外部メモリからの各種情報を消去する(ステップS27)。すなわち、送受信機70から受信された各種情報を優先的に選択して画像メモリ144に記憶する。これは、無線LAN72の通信状態が良好な場合には、無線LAN72経由で放射線画像情報等の各種情報が送られてくるため、送受信機70から受信された各種情報の方が、外部メモリからの各種情報よりも信頼性が高いと考えられるからである。
ステップS27の処理後、ワークステーション22では、画像メモリ144に記憶された、送受信機70から受信された各種情報を用いてステップS8の処理が行われる。
一方、ステップS26において、制御部150から送受信機70に受信完了通知が供給されると、送受信機70は、受信完了通知を無線LAN72経由で送受信機66に向けて送信し、送受信機66は、受信した受信完了通知を読取装置50に供給する(ステップS28)。この結果、読取装置50では、ステップS10の処理が行われる。
なお、外部メモリからの各種情報と、送受信機70から受信した各種情報とのいずれもが真の情報であるため、ステップS27の処理に代えて、ステップS29のように、制御部150は、判断処理部156での判断結果に基づいて、画像メモリ144に外部メモリからの各種情報を記憶する一方で、送受信機70から受信された各種情報を消去してもよい(ステップS29)。すなわち、外部メモリからの各種情報を優先的に選択して画像メモリ144に記憶する。これは、外部メモリからの各種情報は、確実に真の情報である一方で、送受信機70から受信された各種情報は、無線LAN72の通信状態が回復したとはいえ、電波状況によっては、読取装置50の画像メモリ144に記憶されている各種情報と略同一の状態とは必ずしも言えない場合があり得るためである。
また、ステップS24において、判断処理部156は、外部メモリからの各種情報と、送受信機70から受信した各種情報とをつき合わせた結果、両者が一致しない場合には(ステップS24:NO)、いずれか一方の情報を真の情報と判断すると共に、他方の情報を偽の情報と判断し(ステップS30)、次に、偽の情報を消去する(ステップS31)。
具体的に、判断処理部156は、送受信機70から受信した各種情報を真の情報と判断し、外部メモリからの各種情報を偽の情報と判断した場合には(ステップS30)、偽の情報(外部メモリからの各種情報)を消去し(ステップS31)、その後、ステップS6以降の処理を実行する。この場合、判断処理部156では、無線LAN72の通信状態が良好であれば、無線LAN72経由で放射線画像情報等の各種情報が送られてくるため、送受信機70から受信された各種情報の方が、外部メモリからの各種情報よりも信頼性が高く、従って、送受信機70から受信した各種情報を真の情報とし、外部メモリからの各種情報を偽の情報として判断する。
一方、判断処理部156は、外部メモリからの各種情報を真の情報と判断し、送受信機70から受信した各種情報を偽の情報と判断した場合には(ステップS30)、送受信機70から受信した各種情報を消去し(ステップS31)、その後、画像メモリ144に真の情報(外部メモリからの各種情報)を記憶する(ステップS7)。この場合、判断処理部156では、外部メモリからの各種情報は、確実に真の情報である一方で、送受信機70から受信された各種情報は、無線LAN72の通信状態が回復したとはいえ、電波状況によっては、読取装置50の画像メモリ144に記憶されている各種情報と略同一の状態とは必ずしも言えない場合があり得るため、外部メモリからの各種情報を真の情報と判断し、送受信機70から受信した各種情報を偽の情報と判断する。
なお、上記(2)のケースでは、ステップS17でのワークステーション22と外部メモリとの接続後に、無線LAN72の通信状態が回復して各種情報の送信が可能になった場合(ステップS21、S22)について説明した。本実施形態では、この説明に限定されることはなく、ステップS16とステップS17との間、すなわち、医師が読取装置50から外部メモリを抜き取り、ワークステーション22に外部メモリを接続するまでの間に、無線LAN72の通信状態が回復して各種情報が送信される場合であっても、ステップS23以降のつき合わせに関わる一連の処理を行うことが可能である。つまり、本実施形態では、外部メモリへの記憶後、又は、外部メモリの持ち運び後に、外部メモリからの各種情報と、通信状態の回復により無線LAN72経由で受信できた各種情報とをつき合わせ、両者が一致するか否かを判断することができる。
また、上記(2)のケースにおいて、ステップS23、S24では、外部メモリからの各種情報の全てと、無線LAN72経由で受信できた各種情報の全てとをつき合わせる必要はなく、一部の情報同士をつき合わせて両者が一致するか否かを判断してもよい。すなわち、無線LAN72の通信状態が所定時間内に回復しなくても、無線LAN72経由で受信中の情報又は空データと、外部メモリから既に取得している各種情報(のうち、受信中の情報又は空データに対応する情報)とを比較し、両者が一致するか否かを判断してもよい。
さらに、(2)のケースにおいて、ステップS23、S24における上記の説明では、判断処理部156が自動的に外部メモリからの各種情報と無線LAN72経由で受信できた各種情報との一致を判断しているが、両者を表示部154に表示させ、医師に両者が一致しているか否かを判断させてもよい。この場合、医師は、表示部154に表示された表示内容を視認して、両者が一致しているか否かを判断し(ステップS24)、操作部152を操作して判断結果を入力する。これにより、判断処理部156は、医師により入力された判断結果に基づいて、ステップS24以降の処理を行うことが可能となる。
また、ステップS23、S24のつき合わせ処理後のステップS27、S29、S30、S31において、つき合わせ結果に基づく消去対象の情報の決定についても、判断処理部156ではなく、医師に決定させてもよい。この場合、表示部154は、外部メモリからの各種情報、無線LAN72経由で受信できた各種情報、及び、判断結果を表示し、医師は、表示部154に表示された各情報を視認して消去対象の情報を決定し、操作部152を操作して決定内容を入力する。これにより、制御部150は、医師により入力された決定内容に基づいて、消去対象の情報を消去することができる。
なお、両者が真の情報である場合での消去対象の情報の決定に関しては、判断処理部156において、医師による判断を支援するための判断材料を、上記の各種情報及び判断結果と共に表示部154に表示させてもよい。この場合の判断材料としては、無線LAN72の設定条件等の事前の設定に基づく内容であることが望ましい。例えば、送受信機66、70及び無線アクセスポイント68の現在の設置場所では、通信状態が安定傾向にあるので、無線LAN72経由で受信された各種情報が画像メモリ158に優先的に記憶されるべき情報であり、従って、外部メモリからの各種情報を消去することが望ましい、等の内容である。
また、判断処理部156におけるステップS24の判断処理において、両者が一致しない判断結果となった場合(ステップS24:NO)、判断処理部156は、表示部154に両者の画像情報を表示させて、医師に偽の画像情報(偽の情報)を選択させてもよい。例えば、判断処理部156は、偽の情報と真の情報とを表示部154にポップアップ表示等させることにより、医師が操作部152を操作して選択しやすくすればよい。なお、真の情報であるか、あるいは、偽の情報であるかは、例えば、画像データが壊れたことで偽の情報となっている可能性があれば、医師は、表示部154の表示内容を視認すれば、一目で真の情報であるか、又は、偽の情報であるかの見分けが付くレベルであると考えられる。あるいは、偽の情報については、画像データが壊れているために、表示部154上で、画像ファイルが開けない可能性もある。従って、医師は、表示部154の表示内容に従って、真の情報と偽の情報とを容易に特定することができ、操作部152を操作して、消去すべき偽の情報を制御部150に指示することができる。
また、判断処理部156は、過去の偽の画像情報を画像メモリ158に予め保存しておき、上記のポップアップ表示等において、保存された偽の画像情報を表示部154に表示可能としてもよい。これにより、ステップS24の処理で一致しなかった2つの情報を示す画像が表示部154に表示されるときに、画像メモリ158に予め保存された前記偽の画像情報も併せて表示部154に表示させることで、医師により消去すべき偽の情報の選択を一層容易に行うことができる。
次に、(3)のケースについて、図5及び図6を参照しながら説明する。
放射線撮影が複数回(繰り返し)行われる場合、図6のステップS12において、読取装置制御部131は、1枚の放射線画像情報の送信について送信失敗と判断すると(ステップS12:NO)、送信失敗のカウントをし(ステップS13)、次に、1枚の放射線画像情報を含む該1枚の放射線画像情報に関わる各情報と通信エラー情報とを外部メモリ(USBメモリ52、メモリカード56又は外付けのHDD)に記憶する(ステップS15)。その後、読取装置50では、ステップS2の処理に戻り、次の放射線撮影が行われる。
従って、複数回の放射線撮影において、無線LAN72の通信状態が良くないために放射線画像情報等の各種情報を無線通信によりワークステーション22に送信できない場合には、読取装置制御部131での判断処理毎に、放射線画像情報を含む各種情報が、1枚分の放射線画像情報程度の記憶容量しかない画像メモリ144にではなく、画像メモリ144よりも大容量の外部メモリに記憶されるので、容量不足の発生を回避しつつ、複数枚の放射線画像情報等を確実に記憶することができる。従って、(3)のケースの場合、読取装置50では、放射線画像情報を読み取る毎に、画像メモリ144ではなく、外部メモリに直接記憶することも可能である。
また、(3)のケースにおける上記の説明では、N=1に設定し、1回の送信失敗の後、ステップS13、S15の処理を直ちに行う場合について説明した。(3)のケースは、この説明に限定されることはなく、放射線撮影の間隔が比較的長い場合には、Nを所望の回数に設定し、1枚の放射線画像情報等の各種情報の送信について、何回も送信を試みてもよい(ステップS14の処理を実行する)ことは勿論である。
さらに、(3)のケースにおいて、無線LAN72の通信状態の回復により、放射線画像情報の送信が成功した場合(ステップS12:YES)、読取装置50では、ステップS10の処理を実行して、画像メモリ144又は外部メモリに記憶された各種情報を消去して、次の放射線画像情報を記憶可能な状態にしてもよいことは勿論である。
なお、前述のように、消去ユニット106による蓄積性蛍光体パネル36に対する放射線画像情報の消去処理により、カセッテ38に収容される蓄積性蛍光体パネル36を繰り返し使用可能であるため、複数回の放射線撮影では、1台のカセッテ38を繰り返し用いればよい。あるいは、蓄積性蛍光体パネル36が収容されたカセッテ38を複数用意して、これらのカセッテ38を使用して複数回の放射線撮影を実行してもよい。
また、上記の(3)のケースについては、下記のように実施することも可能である。
前述したように、(3)のケースでは、無線LAN72の通信状態の回復により、放射線画像情報の送信が成功すれば(ステップS12:YES)、ステップS10の処理が実行され、画像メモリ144又は外部メモリに記憶された各種情報を消去して、次の放射線画像情報を記憶可能な状態となる。また、(3)のケースでは、読取装置50において放射線画像情報を読み取る毎に、画像メモリ144ではなく、外部メモリに直接記憶することも可能である。
しかしながら、全ての放射線撮影を完了し、これらの撮影で得られた放射線画像情報を外部メモリに全て記憶して、医師がワークステーション22まで持ち運ぶ方が、無線LAN72の通信回復を待って該無線LAN72経由でワークステーション22に送信するよりも、短時間でワークステーション22において放射線画像情報を取得できるのであれば、医師による外部メモリでの持ち運びを優先的に実施することが好ましい。
また、無線LAN72において、通信接続と通信切断とが繰り返す不安定な通信状態であれば、無線LAN72経由での放射線画像情報の送信を諦めて、医師による外部メモリの持ち運びを行う。この場合、複数個の外部メモリを用意し、1回の放射線撮影毎に外部メモリに放射線画像情報を記憶し、医師又は技師は、該外部メモリをワークステーション22まで持ち運ぶ。この場合、放射線撮影の間隔が比較的あいている場合や、放射線撮影の回数が比較的少なければ、医師又は技師の作業負担が小さいものと考えられる。なお、この場合、無線LAN72の通信状態の回復により、後の放射線撮影により取得された放射線画像情報が、医師又は技師のワークステーション22への到着前に、無線LAN72経由で先にワークステーション22に送信される可能性がある。そのような場合でも、前述したステップS23、S24のつき合わせ処理を実行することにより、どの放射線撮影で得られた放射線画像情報であるのかが特定できるため、ワークステーション22側での放射線画像情報の取得の前後は、特に問題にはならない。
さらに、予め用意できる外部メモリの個数をワークステーション22に登録しておけば、各外部メモリの種類等によって、オーダ情報と、放射線撮影の回数(読取装置50における読取予定枚数)と、データサイズとが、ワークステーション22側において推測できるので、各外部メモリにおいて記憶可能な放射線画像情報の枚数を決定することが可能となる。このように、各外部メモリに対して記憶可能な放射線画像情報の枚数が決定されるので、決定した情報を各外部メモリに記憶させておくか、あるいは、ワークステーション22から無線LAN72経由で読取装置50に予め通知しておけば、読取装置50で蓄積性蛍光体パネル36から放射線画像情報を読み取って、外部メモリに記憶する場合に、前記枚数に到達すれば、表示部59に外部メモリの交換(新たな外部メモリへの差し替え)等を促す表示を行うことが可能となる。
さらに、外部メモリの記憶容量に対して放射線画像情報のデータ量がそれ程大きくなければ、表示部59において当該外部メモリの交換の表示が行われても、該記憶容量にある程度の余裕がある可能性が考えられる。そこで、表示部59で前述の表示がされても、新たな外部メモリが用意できておらず、しかも、記憶容量にある程度の余裕があれば、表示部59の表示内容に従わず、現在使用している外部メモリを引き続き使い続けてもよい。この場合、医師又は技師は、読取装置50の図示しない操作部を操作し、あるいは、表示部59がタッチパネル式の表示器であれば、該表示器を操作することにより、新たな外部メモリが用意できていないことを読取装置50に認識させてもよい。
また、(2)及び(3)のケースでは、無線LAN72の通信状態によっては、無線LAN72経由での放射線画像情報の送信を諦めて、読取装置50は、外部メモリに放射線画像情報を記憶する場合について説明した。
本実施形態では、外部メモリに放射線画像情報を一旦記憶しても、通信状態が回復してきた場合には、外部メモリに記憶された放射線画像情報を読取装置50に戻して、画像メモリ144に記憶し、無線LAN72経由でワークステーション22に送信してもよい。
また、外部メモリを画像メモリ144の代わりに利用して、読取装置50が蓄積性蛍光体パネル36から放射線画像情報を読み取る毎に該放射線画像情報を外部メモリに記憶し、通信状態が回復したら、無線LAN72経由で外部メモリに記憶された各放射線画像情報をワークステーション22に送信してもよい。これは、外部メモリに放射線画像情報を記憶してワークステーション22まで持ち運ぶ予定であったものが、例えば、5枚の放射線画像情報を外部メモリに記憶する予定のところ、3枚目まで記憶したときに、通信状態が回復したので、5枚の放射線画像情報を全て無線LAN72経由で送信する場合に適用可能である。これにより、読取装置50において現在読取中の4枚目の放射線画像情報をそのまま無線LAN72経由でワークステーション22に送信することが可能になると共に、外部メモリに既に記憶されている1枚目〜3枚目の放射線画像情報についても、読取装置50に一旦移動させて、無線LAN72経由でワークステーション22に送信することで、現時点で読取装置50が読み取った画像情報であるかのように送信することも可能となる。
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係る放射線撮影システム10によれば、読取装置50(に接続された送受信機66)とワークステーション22(に接続された送受信機70)との間の無線LAN72の通信状態が良好である場合、読取装置50は、蓄積性蛍光体パネル36から取得した放射線画像情報を含む各種情報を無線通信によりワークステーション22に送信することができる。また、通信状態が良くないために、送信に失敗した場合、読取装置50は、蓄積性蛍光体パネル36から取得した放射線画像情報を含む各種情報を外部メモリ(USBメモリ52、メモリカード56又は外付けのHDD)に記憶する。
従って、ワークステーション22が外部メモリから各種情報を取り込んだときに、判断処理部156は、通信状態が良好ではない(各種情報の送信に失敗した)と判断することができる。また、外部メモリへの記憶後又は外部メモリの持ち運び後に、通信状態の回復により、ワークステーション22が各種情報を受信できたときに、判断処理部156は、通信状態が良好になって送受信機66が各種情報の送信に成功したと判断することができる。
さらに、判断処理部156は、送受信機70で受信できた各種情報の少なくとも一部と外部メモリからの各種情報の少なくとも一部とをつき合わせて両者が一致するか否かを判断することにより、ワークステーション22で取得した情報(送受信機70で受信された各種情報、外部メモリからの各種情報)が、読取装置50で実際に取得された真の情報であるか否かを判断することもできる。
なお、本実施形態では、送受信機70で受信できた各種情報の全体と外部メモリからの各種情報の全体とをつき合わせて比較してもよいし、通信状態の回復によって各種情報の少なくとも一部が受信できている場合には、受信できた各種情報の少なくとも一部と、それに対応する外部メモリからの各種情報の少なくとも一部とをつき合わせて比較してもよい。いずれの場合であっても、上記のつき合わせを実行することが可能である。
このように、本実施形態によれば、ワークステーション22が判断処理部156を有することにより、読取装置50とワークステーション22との間の通信状態を認識することが可能になると共に、ワークステーション22が取得した放射線画像情報等を含む各種情報が真の情報であるか否か(読取装置50で実際に取得された各種情報であるか否か)を判断することが可能となる。
また、判断処理部156は、送受信機70で受信された放射線画像情報と、外部メモリからの放射線画像情報とをつき合わせた結果、両者が一致すれば、両者とも真の画像情報であると判断し、両者が一致しなければ、いずれか一方の情報が真の画像情報であると判断するので、ワークステーション22では、真の画像情報のみに対して所定の画像処理を行うことが可能となる。
さらに、ワークステーション22では、両者とも真の画像情報であると判断処理部156が判断した場合には、一方の画像情報に対してのみ画像処理を行うと共に、他方の画像情報を消去し、両者が一致しないと判断処理部156が判断した場合には、真の画像情報に対してのみ画像処理を行うと共に、偽の画像情報を消去する。そのため、ワークステーション22は、真の画像情報のみに対して画像処理を行うことができる。また、偽の画像情報が消去されることで、ワークステーション22が誤って偽の画像情報に対して画像処理を実行することを回避することができる。
さらにまた、送信失敗回数nが回数閾値Nに到達する前に無線LAN72経由での各種情報の送信に成功した場合には、画像メモリ144に記憶された各種情報が消去されるので、読取装置50では、次の放射線画像情報を取得することが可能になる。
また、送信失敗回数nが回数閾値Nに到達すれば、無線LAN72経由での各種情報の送信を諦め、外部メモリに通信エラー情報及び放射線画像情報等の各種情報を記憶するので、医師又は技師が外部メモリをワークステーション22まで持ち運ぶことにより、各種情報の送信失敗をワークステーション22に確実に通知することが可能となる。
さらに、読取装置50側における放射線画像情報の取得及び送信を複数回(繰り返し)行う場合でも、送信失敗回数nが回数閾値Nに到達する前に各種情報の送信に成功すれば、画像メモリ144に記憶された各種情報を消去できるので、次の放射線画像情報を取得することが可能になる。
一方、読取装置50では、放射線画像情報の取得及び送信を複数回(繰り返し)行う場合にも、送信失敗回数nが回数閾値Nに到達すれば、無線LAN72経由での放射線画像情報の送信を諦め、外部メモリに各種情報を記憶させるので、医師又は技師が外部メモリをワークステーション22まで持ち運ぶことにより、各種情報の送信失敗をワークステーション22に確実に通知することが可能となる。
従って、ワークステーション22において、持ち運ばれた外部メモリから各種情報を取得した場合に、判断処理部156は、通信エラー情報に基づいて、読取装置50が各種情報の送信に失敗したと判断すると共に、外部メモリからの各種情報が真の情報であると判断することができる。
また、判断処理部156における各種情報の送信失敗の判断後、ワークステーション22が無線LAN72経由で各種情報を受信した場合、判断処理部156は、送受信機70からの各種情報と外部メモリからの各種情報とをつき合わせ、両者が一致すれば、両者とも真の情報であると判断すると共に、読取装置50とワークステーション22との間で無線通信による信号の送受信が再開されたと判断することができる。
さらに、判断処理部156は、送受信機70からの各種情報が真の情報であると判断した場合、該真の情報が受信されたことを示す受信完了通知を、無線LAN72経由で読取装置50に送信するため、読取装置50は、受信完了通知を受信することにより、各種情報の送信が成功したことを容易に認識できると共に、画像メモリ144に記憶された各種情報を消去することで、次の放射線画像情報の取得が可能になる。
また、撮影室16は、放射線30の外部への漏洩を防止するために、鉛等の放射線遮蔽部材79で覆われている。従って、撮影室16の外に配置された送受信機66と送受信機70とを介して、読取装置50とワークステーション22との間で無線通信による信号の送受信を可能とすることにより、病院や診療所等の医療機関12に本実施形態を容易に適用することが可能となる。
さらに、送受信機66、70が無線LAN72の子機であり、無線LAN72の無線アクセスポイント68を介して信号の送受信が行われるので、医療機関12内において、本実施形態に係る放射線撮影システム10を容易に構築することができる。
また、外部メモリは、持ち運び可能な補助記憶装置であることが望ましく、特に、半導体メモリを用いたUSBメモリ52又はメモリカード56であれば、医師又は技師による外部メモリの持ち運びが容易である。
[本実施形態の変形例]
次に、本実施形態の変形例について、図9及び図10を参照しながら説明する。なお、この変形例の説明において、図1〜図8における本実施形態と同じ構成要素については、同一の参照符号を付けて、その詳細な説明を省略する。
図9及び図10は、読取装置50とワークステーション22との間の信号の送受信を、無線LAN72に代えて、有線LAN180で行う点で、図1〜図8の実施形態とは異なる。
すなわち、図9及び図10の変形例は、前述した無線LAN72の送受信機66、無線アクセスポイント68、及び、送受信機70を、有線LAN180のLANアダプタ(第1の通信装置)170、ハブ又はルータ等の中継機(中継装置)172、及び、ワークステーション22のワークステーション本体76に内蔵されるインターフェース部(第2の通信装置)174にそれぞれ置き換え、LANアダプタ170と中継機172との間をLANケーブル176で接続し、中継機172とインターフェース部174との間をLANケーブル178で接続した点以外は、図1〜図8の実施形態と同様の構成である。
従って、図9及び図10の変形例においても、読取装置50は、有線LAN180を介して放射線画像情報を含む各種情報をワークステーション22に送信可能であるため、図1〜図8の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、有線LAN180による信号の送受信であるため、無線LAN72のように、電波状況が悪くなるという問題が発生しない。従って、図9及び図10の変形例では、図1〜図8の実施形態と比較して、より安定に且つ高速に、読取装置50から有線LAN180を介してワークステーション22に放射線画像情報を含む各種情報を送信することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。