JP5651329B2 - 熱成形容器 - Google Patents

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Description

本発明は、熱成形容器に関し、さらに詳しくは、レトルト処理に耐えうる深絞りの熱成形容器に関し、ポリプロピレン系シートを融解ピーク温度以下の温度で固相圧空成形することにより得られる熱成形容器に関する。
従来より、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いた容器が製造されている。熱可塑性樹脂の中でも、プロピレン系樹脂組成物は、耐熱性、剛性、耐衝撃性、あるいは衛生面に優れていることから、食品等の容器として好適に用いられており、特に、高い耐熱性を必要とする電子レンジでのレンジアップ容器、高温充填が必要な容器等に使用範囲が広がってきている。
食品容器として、容器の口径に対して内容物を収容する本体が長い容器、いわゆる深絞り容器は、口径に比較し内容量を多くできる、持ちやすいといった点で有効である。
このような深絞り容器は、射出成形によって成形される場合がある。射出成形は、用いる金型によって所望の形状に成形し易いという利点から、深絞り容器成形に適している。しかし、射出成形は、多数個取りにした場合の金型費用が高い、生産スピードが熱成形容器と比較し遅い、薄肉成形品を生産しにくいという問題を有している。
一方、熱可塑性樹脂をシート状に押出成形した後、そのシートを再加熱して所望の容器を得る、真空成形、真空圧空成形、固相圧空成形等の熱成形法は、成形し易く生産性が高いことから、大量生産に向く上、多層化製品を得るのも容易なことから、広く普及している。
しかし、真空成形、真空圧空成形等のシートを溶融した状態で容器を成形する熱成形法は、融点以上の温度まで再加熱して容器とするため、深さ/口径比の大きい深絞り容器を得にくく、商品として価値のある容器を成形することが難しい。
近年は食品の安全性確保のために、高温レトルト処理に耐えられる包装材料が求められてきており、フィルム材料については、耐熱性、シール性を兼ね備えた材料が各種提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。一方、シートからの熱成形容器についても各種材料の提案がなされてきている(特許文献3および特許文献4参照)が、固相圧空成形による深絞り容器成形が可能なレトルト耐熱シート材料として満足するには十分ではなく、レトルト処理が可能な深絞り熱成形容器が求められている。
特開2006−150892号公報 特開2006−307120号公報 特開2006−282259号公報 特開2008−207818号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ポリプロピレン系シートを融解ピーク温度以下の温度で圧空成形することで製造可能であり、レトルト処理が可能な深絞り構造を有する熱成形容器を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系シートを、融解ピーク温度以下の温度で固相圧空成形すると、レトルト処理に対する耐熱性を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリプロピレン系シートを用いて固相圧空成形により得られる熱成形容器において、主層は下記の要件(i)〜(ii)を満たすプロピレン系樹脂組成物からなり、容器の深さ/口径の比が1以上の深絞り構造を有することを特徴とする熱成形容器を提供する。
要件(i):メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.2〜1.5g/10分
要件(ii):示差走査熱量計(DSC)で測定された融解ピーク温度が165℃以上
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、さらに、バリア層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体層またはMXD6ポリアミド樹脂層を有することを特徴とする熱成形容器が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、プロピレン系樹脂組成物が、有機リン酸塩系結晶核剤を含有することを特徴とする熱成形容器が提供される。
本発明の熱成形容器は、レトルト処理によっても、容器の変形が非常に小さいため、特に食品容器や医療容器等に、広く適用することが可能である。
また、本発明の熱成形容器は、特定のポリプロピレン系シートを用いて、これにプラグアシスト成形における固相圧空成形法を適用すれば、容器の大小、形状の違いがあるにもかかわらず、レトルト処理による変形の少ない容器状の成形品を、歩留まり良く、高速サイクルで、安定して容易に成形することができるという効果を有する。
本発明の熱成形容器は、ポリプロピレン系シートを用い、固相圧空成形により得られる熱成形容器であり、シートの主層は、下記の要件(i)〜(ii)に示す特性・性状を有するプロピレン系樹脂組成物が用いられ、成形容器は、その深さ/口径の比が1以上の深絞り構造を有する。
要件(i):メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.2〜1.5g/10分
要件(ii):示差走査熱量計(DSC)で測定された融解ピーク温度が165℃以上
以下、本発明を項目毎に、順次説明する。
1.プロピレン系樹脂組成物
本発明においては、熱成形を行う材料シートの主層として、特定のプロピレン系樹脂組成物(A)が用いられている。
係るプロピレン系樹脂組成物(A)は、前記要件(i)〜(ii)に示す特性・性状を有するものである。
要件(i)メルトフローレート(MFR):
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物(A)は、前記要件(i)に示すとおり、温度230℃、2.16Kg荷重で測定するメルトフローレート(MFR)が0.2〜1.5g/10分であることを特徴とする。
MFRが0.2g/10分未満では、溶融流動性が低下しシート成形が困難になる。一方、MFRが1.5g/10分を超えると、容器成形時の成形温度が低下し、レトルト処理時の容器の変形が大きくなり、収縮率が大きくなる。この中でも、MFRは0.4〜1.0g/10分であることが好ましい。
尚、メルトフローレート(MFR)は、JIS K6921−2の「プラスチック−ポリプロピレン(PP)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び性質の求め方」に準拠して、試験条件:230℃、荷重2.16kgfで測定した値である。
プロピレン系樹脂組成物(A)のメルトフローレート(MFR)の調製は、従来から公知の方法で可能であり、通常は、プロピレン系樹脂組成物(A)の重合条件である温度や圧力を調節したり、重合時に添加する水素等の連鎖移動剤の添加量を制御することにより、容易に行うことができる。
要件(ii)融解ピーク温度
また、プロピレン系樹脂組成物(A)は、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimeter)により、測定された融解ピーク温度が165℃以上であることを特徴とする。融解ピーク温度が165℃未満の場合は、容器の剛性および耐熱性が低下するとともに、容器成形時の成形温度が低下することで、レトルト処理時の容器の変形が大きくなる。融解ピーク温度は167℃以上がより好ましい。
融解ピーク温度を調整するには、重合反応系へ供給するα−オレフィン等の共重合モノマーの量を制御することにより、容易に調整することができる。
なお、融解ピーク温度の具体的測定は、セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を融解ピーク温度とした(単位:℃)。
2.プロピレン系樹脂組成物(A)の製造方法
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物(A)を製造するための重合用触媒としては、チーグラーナッタ型触媒、メタロセン触媒等が挙げられ、特に限定はされないが、165℃以上の融解ピーク温度の重合体を得るためには、塩化マグネシウム担持型のチーグラーナッタ型触媒が好ましい。
プロピレン系樹脂組成物(A)の重合方法としては、スラリー法、バルク法、溶液法、気相法等の各種汎用プロセスが適用できる。これら重合反応は、単独反応器だけでなく、複数用いて多段にしてもよく、重合方法も例えばバルク法−気相法等、複数組み合わせて用いることもできる。
プロピレン系樹脂組成物(A)としては、プロピレンの単独ホモ重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合ゴム成分を含むブロック共重合体等が挙げられ、一種類でも、二種類以上の混合物としても、用いることができるが、165℃以上の融解ピーク温度の重合体を得るためには、プロピレンの単独ホモ重合体が好ましい。
プロピレン共重合体に用いるα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられ、このα−オレフィンは、一種類でなく、二種類以上の多元系共重合体でもよい。
具体的には、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ペンテン−1共重合体、プロピレン−ペンテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−4−メチル−ペンテン−1共重合体、プロピレン−オクテン−1共重合体のような、各種二元あるいは三元共重合体が挙げられる。
プロピレンの単独ホモ重合体は、α−オレフィンを少量共重合させたものでもよく、この場合α−オレフィンの割合は、0.1〜1モル%程度あれば十分である。
また、重合に用いる触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付されたものが好ましい。予備重合処理を行うことにより、本重合を行った際に、ゲルの生成を防止できる。その理由としては、本重合を行った際の重合体粒子間で長鎖分岐が均一に分布させることができるためと考えられ、また、そのことにより溶融物性を向上することができる。
予備重合時に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が触媒成分に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に触媒成分を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
また、上記の各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
2−1.触媒の使用/プロピレン重合について
重合様式は、前記触媒成分を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、通常0℃以上、150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75℃以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上、5.0MPa以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また活性向上効果のために、補助的に水素を用いることができる。水素は、プロピレンに対してフィード比で、0〜1mol%の範囲で用いるのがよく、好ましくは0.0001mol%以上であり、さらに好ましくは0.001mol%以上用いるのがよい。
使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
また、プロピレンモノマー以外に、炭素数2〜20(モノマーとして使用するものを除く)程度のα−オレフィンをコモノマーとして使用する共重合を行ってもよい。プロピレン系樹脂組成物中の(総)コモノマー含量は、0.1モル%以上、1モル%以下の範囲であり、上記コモノマーを複数種使用することも可能である。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンである。
この中では、本発明に係るプロピレン系樹脂組成物(A)を溶融物性と触媒活性をバランスよく得るためには、エチレンを0.5モル%以下で用いるのが好ましい。
特に剛性の高い重合体を得るためには、重合体中に含まれるエチレンを0.2モル%以下になるように、エチレンを用いるのがよく、更に好ましくはプロピレン単独重合である。プロピレン系樹脂組成物(A)は、融解ピーク温度の高いプロピレンホモ重合体が好ましく、具体的な銘柄としては、例えば、日本ポリプロ株式会社社製の商品名「ノバテックPP」が好ましく挙げられる。
3.その他の配合剤
本発明に用いられるプロピレン系樹脂組成物(A)には、通常ポリオレフィンに使用する公知の他の重合体を0〜20重量%の割合で配合することができる。
他の重合体としては、プロピレン単独あるいはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の重合体、各種熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
詳細には、プロピレン系樹脂組成物(A)を80重量%以上、残りの0〜20重量%の部分は、汎用の各種プロピレン(共)重合体、E−P−R、低密度または高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、各種エラストマー等のような樹脂、エラストマー、充填剤、添加剤のような材料が任意に配合できる。これらの配合材料は、プロピレン系樹脂組成物(A)の主層である基材層としての役割を果たす特性を備えたものである。
本発明に用いられるプロピレン系樹脂組成物(A)には、耐レトルト性を向上させるために、プロピレン系樹脂組成物に結晶核剤が配合されていることが好ましい。
結晶核剤の配合量は、プロピレン系樹脂組成物(A)100重量部に対し、0.01〜1重量部の範囲であり、好ましくは0.02〜0.8重量部、より好ましくは0.04〜0.5重量部である。結晶核剤の配合量がこの範囲未満の場合、耐レトルト性の向上効果が十分に得られにくく、この範囲を超えると経済性の観点から好ましくない。
本発明において好ましく用いられる結晶核剤としては、有機カルボン酸金属塩、有機リン酸金属塩、ソルビトール系誘導体、ロジンの金属塩等、アミド系核剤を挙げることができる。これらの結晶核剤の中で、有機リン酸金属塩が耐レトルト性向上効果の面で特に好ましい。
結晶核剤は、市販のものを使用できる。例えば、アデカ社製の商品名アデカスタブNA11やNA21、新日本理化社製の商品名ゲルオールMD、ミリケン社の商品名ミラッドNX3988やミラッドNX8000などが挙げられる。
また、プロピレン系樹脂組成物(A)には、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤など、通常ポリプロピレンに用いることのできる各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤およびチオ系酸化防止剤などが例示でき、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類が例示でき、光安定剤および紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などが例示できる。
4.ポリプロピレン系シート
本発明で使用されるポリプロピレン系シートは、少なくともプロピレン系樹脂組成物(A)を用いた主層からなるシートであり、2層以上の多層構造であってもなんら差し支えない。例えば、主層と最内層との間に、EVOHやPAといったバリア性樹脂層および接着層を配置したバリアシートを設けても、最外層に高光沢層や低光沢層といった意匠性を持たせた層を配置することも可能である。
特にレトルト処理を行う医療容器、食品容器では、内容物の酸化劣化を防ぐために、バリア性樹脂との他層構成にすることが好ましい。本発明のプロピレン系シートは、容器本体部分を構成する主層と、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、MXD6ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン(PVDC),無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、非結晶ポリエチレンテレフタレート、低発泡ポリスチレンなどからなる各種材料を積層した、ガスバリヤー性を考慮した、いわゆる3層構造、4層構造の積層体とすることもできる。
MXD6ポリアミドは、メタキシリレンジアミンとアジピン酸を主成分として用いて得られるポリアミドである。ガスバリヤー性の層としては、前記のうち、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)あるいはMXD6ポリアミドが好ましい。
本発明で使用されるポリプロピレン系シートの厚みは、0.3〜4mmであることが好ましく、0.5〜3.5mmがさらに好ましく、0.8〜3mmが特に好ましい。厚みが0.3mmを大きく下回る場合は、容器の剛性が損なわれ、厚みが4mmを大きく上回る場合は、シート成形が困難になる恐れがある。
さらに、本発明で使用されるポリプロピレン系シートのバリア層と主層の厚み比(バリア層/主層)は、0.02以上2以下であることが好ましく、0.04以上0.15以下がより好ましく、0.06以上0.12以下がさらに好ましい。バリア層と主層の厚み比が0.02未満になると、レトルト処理時にバリア樹脂が吸水しバリア性能が低下する恐れがある。2を超えると、容器成形時のバリア層の伸びムラが発生し、容器の商品価値が低下する恐れがある。
このようなポリプロピレン系シートは、通常ポリプロピレンの成形に用いられる複数のダイを備えた押出機を用い、フィードブロックやマルチマニホールドを用いて複数層のポリプロピレン系シートに成形することができる。
ポリプロピレン系シートの具体的製造法としては、プロピレン系樹脂組成物(A)を、公知の単軸又は二軸のスクリュー押出機に通して、コートハンダーダイからシート状に押出した後、(内部で冷却水や油が循環している)金属ロール表面に、エアーナイフ、エアーチャンバー、硬質ゴムロール、スチールベルト、金属ロールにて押さえつけ冷却固化されることによって得ることができる。又、シート両面をスチールベルトで挟んで冷却固化することもできる。
このようなシートの冷却方法の中では、シート両面に金属ロール及び/又はスチールベルトを使用する方法が表面凹凸の少ないシート表面、つまり透明性に優れたシートを得られることから最も好ましい方法である。
5.熱成形容器
本発明の熱成形容器は、ポリプロピレン系シートを用い、固相圧空成形により得られる、深さ/口径の比が1以上の深絞り構造を有するものである。
本発明の熱成形容器は、容器の形状が角型や丸型に関係無く、容器本体の底面部までの(最大)深さと容器本体の(最大)幅(口径)との比である絞り比が1.0以上である必要があり、好ましくは1.2以上であることが望ましい。絞り比が1.0以上であるものは、一般に深絞り容器と呼ばれ、プラグアシスト固相圧空成形で得られ、容器の剛性、衝撃強度に優れたものであるが、固相圧空成形ではレトルト処理による変形の小さな容器は得られにくい。しかし、本発明によれば、容易にレトルト処理による変形の小さな容器を得ることができる。
この様な多層熱成形容器は、ポリプロピレン系シートを用い、該シートを主層の融解ピーク温度以下の温度で軟化させ、通常ポリプロピレンシートの成形に用いられる、好ましくはプラグアシスト固相圧空成形機により得ることができる。
このような成形における加熱方法としては、間接加熱、熱板加熱、熱ロール加熱などが挙げられる。該シートの融解ピーク温度を越える温度で成形を行なうと、得られる多層熱成形容器の透明性、光沢、肉厚均一性が悪化し、アシストプラグが付着し、成形不能となりやすい。
本発明では、このような固相圧空成形を、ポリプロピレン系シートを構成する主層のプロピレン系樹脂組成物(A)の融解ピーク温度より低い温度でプラグアシスト成形をする。
プラグアシスト熱成形は、プロピレン系樹脂組成物(A)からなる主層の融解ピーク温度以下で行う際、好ましくは融解ピーク温度較差5〜30℃の範囲になるような温度で加熱をすることにより主層を軟化させ、次に、アシストプラグを押し下げることにより、ポリプロピレン系シートを容器状にし固相圧空成形により容器状に予備賦形をして、引き続き、該予備賦形部分に対して、空気圧を付加して該ポリプロピレン系シートを金型キャビティ表面に密着させることにより深絞り構造の容器を成形することができる。
6.熱成形容器の用途
本発明の熱成形容器は、意匠性に優れレトルト処理が可能なため、食品容器、洗剤容器、医療用容器等の各種分野の容器に用いることができ、特に、飲料食品分野などにおいて、広く用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、多層熱成形容器またはその構成成分についての諸物性は、下記の評価方法に従って測定、評価し、また、使用した樹脂(使用材料)としては下記のものを用いた。
[1.評価方法]
(1)メルトフローレート(MFR)[単位:g/10分]:
プロピレン系樹脂組成物(A)は、JIS K7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(2)融解ピーク温度(Tm):
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を使用し、プロピレン系樹脂組成物を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して、結晶化させた時の結晶最大ピーク温度(℃)として結晶化温度(Tc)を求め、その後、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度(℃)として融解ピーク温度(Tm)を求めた。
(3)容器の絞り比:
深絞り成形体の口部外径および深さをノギスで測定し、その比(深さ/外径)を絞り比とした。
(4)容器成形温度:
容器成形機内の成形直前のシート表面温度を非接触式放射温度計で測定した。
(5)成形性(プラグ付着性):
実施各例によって得られたポリプロピレン系シートを用いて30分間連続して容器成形を行い、プラグへの付着物が発生するかを確認した。
○:付着なし
×:付着発生し、成形不能
(6)熱レトルト性:
得られた多層熱成形容器を所定温度のオーブン中で30分間処理し、その前後の容積を測定し、体積収縮率を測定した。
[2.使用材料]
(1)プロピレン系樹脂組成物
EA9FT:(日本ポリプロ社製プロピレン重合体、以下同じ)
MFR=0.4g/10min、融解ピーク温度168℃
FA9H:
MFR=0.5g/10min、融解ピーク温度167℃
EA6A:
MFR=1.9g/10min、融解ピーク温度165℃
EA9:
MFR=0.5g/10min、融解ピーク温度161℃
EG8B:
MFR=0.7g/10min、融解ピーク温度145℃
(実施例1)
スクリュウ口径50mmの押出機に前記EA9FTペレットを投入し、樹脂温度230℃にて加熱溶融可塑化してT型ダイスより押出して得たポリプロピレン系シートを、表面温度が60℃に制御された鏡面仕上げの金属製キャストロ−ルにて挟み冷却固化させながら1m/minの速度で連続的に引き取り、幅500mm、全体厚み2.0mmのシートを得た。
次いで、このシートを用いて、固相圧空成形機RDM50K(イーリッヒ社製)で口径75mmφ、深さが105mmの熱成形容器(絞り比1.4)を成形した。成形直前のシート温度は155℃であった。
この熱成形容器について、前述の各種評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
EA9FTの代わりに、EA9Hを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
評価結果を表1に示す。
(実施例3)
EA9FTの代わりに、EA9HにアデカスタブNA11(アデカ社製)を0.1部添加し単軸造粒機で造粒したペレットを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
評価結果を表1に示す。
(実施例4)
EA9FTの代わりに、EA9FT/EA6A=50/50のドライブレンド品を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。その評価結果を表1に示す。
(実施例5)
スクリュウ口径50mmの押出機に前記EA9FTペレットを投入し、スクリュウ口径40mmの押出機にEVOHペレット(BX6804B:日本合成化学工業社製)を投入し、さらに他のスクリュウ口径40mmの押出機に接着性樹脂(モディックP604V:三菱化学社製)を投入、樹脂温度230℃にて加熱溶融可塑化してT型ダイスより押出して得たポリプロピレン系シートを、表面温度が60℃に制御された鏡面仕上げの金属製キャストロ−ルにて挟み冷却固化させながら1m/minの速度で連続的に引き取り、幅500mm、EVOHの層厚み0.1mm、接着性樹脂の厚み各0.1mm、全体厚み1.6mmの3種5層シートを得た。次いで、このシートを用いて、固相圧空成形機RDM50K(イーリッヒ社製)で口径75mmφ、深さが80mmの熱成形容器を成形した。
この多層熱成形容器について、前述の各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
EVOHの代わりに、MXD6ナイロン(S7007:三菱ガス化学社製)を用いた以外は、実施例5と同様に実施した。その評価結果を表1に示す。
(比較例1)
EA9FTの代わりに、EA6Aを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
評価結果を表2に示す。
(比較例2)
EA9FTの代わりに、EA9を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
評価結果を表2に示す。
(比較例3)
EA9FTの代わりに、EG8Bを用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
評価結果を表2に示す。
(比較例4)
口径75mmφ、深さ105mmの容器(絞り比1.4)の代わりに、口径95mmφ、深さ80mmの容器(絞り比0.84)を成形以外は、比較例1と同様に実施した。
評価結果を表2に示す。
Figure 0005651329
Figure 0005651329
上記表1および表2から明らかなように、本発明の構成をすべて満足する実施例1〜6では、固相圧空成形でレトルト処理による変形の小さな熱成形容器が安定的に得られたのに対し、本発明の構成を満たさない比較例1〜4では、得られた熱成形容器は、成形が不安定となったり、レトルト処理で大きな変形が発生したり、絞り比が小さく商品価値の劣る熱成形容器であった。
本発明の多層熱成形容器は、固相圧空成形による意匠性に優れた、レトルト処理が可能な容器であるため、食品容器や飲料容器分野などにおいて、広く用いることができる。そのため、その産業上の利用可能性は非常に大きい。

Claims (3)

  1. ポリプロピレン系シートを用いて固相圧空成形により得られる熱成形容器において、主層は下記の要件(i)〜(ii)を満たすプロピレン系樹脂組成物からなり、容器の深さ/口径の比が1以上の深絞り構造を有することを特徴とする熱成形容器。
    要件(i):メルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)が0.2〜1.5g/10分
    要件(ii):示差走査熱量計(DSC)で測定された融解ピーク温度が165℃以上
  2. さらに、バリア層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体層またはMXD6ポリアミド樹脂層を有することを特徴とする請求項1に記載の熱成形容器。
  3. 前記プロピレン系樹脂組成物が、有機リン酸塩系結晶核剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱成形容器。
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