JP5645421B2 - 超音波画像装置および遅延制御方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、各トランスデューサおよび各焦点について、厳密計算に基づいた遅延時間を装置に格納しておき、この遅延時間を用いて送受信ビームの遅延制御を行うことが開示されている。また、遅延時間をリアルタイムに計算することも開示しているが、具体的な数値演算アルゴリズムは開示されていない。
特許文献2には、音響レンズや組織表面の脂肪層による屈折の影響を補正し、被検体脂肪層下の組織領域の画質劣化を抑制する超音波画像装置が開示されている。比較的厚みがありまた被検体対象によって厚みの異なる脂肪層の屈折の影響を抑制するために、各トランスデューサに対する遅延時間は、スネル則に基づく遅延時間補正近似式を用いて演算により求められる。特許文献2の手法は、隣接するトランスデューサでの遅延時間をもとに、次のトランスデューサについての遅延時間を漸化式により計算している。これにより、演算時間の短縮を図るものである。
する遅延時間を予め格納しておく必要がある。そのため、高画質を求める目的で受信時のダイナミックフォーカスの焦点点数を多数とるためには、遅延時間を格納する大規模なメモリが必要となる。一般にトランスデューサ素子数が多いほど、また、受信ダイナミックフォーカスの焦点数が多いほど解像度が向上する。また、被検体深くまで撮像することが望まれる。いずれの場合にも記憶すべき遅延時間の数が増大し、回路規模が大きくなってしまうという欠点がある。
被検体内部の部位から反射され又は発生される超音波を、前記部位とは異なる音速を有する媒質を介して受信する受信素子を複数有する超音波受信部と、
前記超音波受信部の少なくとも一部の受信素子に対応した受信チャネルの受信信号に対して、受信ビームの焦点位置から受信素子までの伝播時間に応じた遅延制御を行って受信
ビーム信号を形成する受信ビーム形成部と、
前記受信ビーム信号を用いて画像を生成する画像処理部と、
を有する超音波画像装置であって、
前記受信ビーム形成部は、焦点の深さ変化に対応した伝播時間の変化分を計算済みの伝播時間に加算して次の焦点についての伝播時間を求める処理を繰り返すことで、複数の焦点に関する伝播時間を順次算出するものであり、
前記繰り返し処理は各受信チャネルについて独立に実行可能であり、前記受信ビーム形成部は、少なくとも一部の受信チャネルについて並列に伝播時間を算出し、
前記受信ビーム形成部は、前記焦点の深さ変化分と、前記焦点の深さ変化分と前記部位の音速と前記媒質の音速とに従って漸化式により求められる前記部位に対応する漸化パラメタ及び前記媒質に対応する漸化パラメタと、に基づいて、前記焦点の深さ変化に対応した伝播時間の変化分を求める、
ことを特徴とする。
る診断装置に適用されて有効な技術である。このような診断装置として、トランスデューサ(超音波送受信部)から被検体に超音波パルスを入射し、被検体内から反射した超音波エコーを受信して画像化する超音波エコー診断装置が挙げられる。また、別の例として、被検体にパルス光を照射し、被検体内部で光音響効果によって発生する超音波を受信して受信信号に変換し、該受信信号を用いて画像化する光音響イメージング装置が挙げられる。本明細書では、被検体内部から到来する超音波を受信して画像化する装置のことを総称して超音波画像装置と呼んでいる。
[超音波伝播時間算出のための近似漸化式の導出]
本発明における超音波の屈折を考慮した伝播時間の近似計算方法の一例を以下に説明する。図7に、焦点21からトランスデューサ203へ伝播する超音波の屈折の様子を示す。ここでトランスデューサ203の位置をx、焦点距離のうち媒質26内にある部分即ち媒質26の厚みをd、焦点距離(焦点深さ)のうち媒質27内にある部分をz、媒質26内の屈折角をθ、媒質27内の屈折角をθ’とすると以下の関係式が成立する。zが負の値となるときは、焦点21が媒質26内にあり、この場合には従来と同様の一様音速を仮定した超音波伝播時間計算ができるので、zが非負の場合について説明する。zが負、非負の場合により従来方法と切り替えて駆動させてもよい。zをこれ以降深度と呼ぶ。
化していく時に、dzに対する増分を考えることで、超音波伝播時間Tiについて以下の近似的な漸化式が成立する。
タξi、ηiから求められる。なお、dTiを求めるためのパラメタであって、それ自体が漸
化式によって求められるパラメタのことを、本明細書では漸化パラメタと称する。
加算することで超音波伝播時間Ti+1が近似的に演算できる。
パラメタγと焦点刻みdzは全トランスデューサで共通であり、各トランスデューサの位置xと初期値ξ0、η0、T0、z0が与えられると、上記漸化式により焦点刻みdzごとの超音
波伝播時間Ti+1が順次演算されていく。
上記近似漸化式により漸化的に計算を行っていくと、一般に近似による誤差が蓄積するため、深度が大きくなるにつれて誤差が大きくなる。これを避けるために特定の基準深度zmにおいて予め高精度に計算しておいた基準漸化パラメタξm、ηm、基準伝播時間Tmを利用して誤差の蓄積を修正するようにしてもよい。基準深度を適当な間隔で複数設定することにより、定期的に誤差補正が行われることになる。
式を解く。
深度についてのみ行えばよいのでそれほど時間を要さない。
また、初期深度z0を非ゼロにとる場合にも、基準値を求めるのと同様の方法により初期値を求めることができる。つまり、式7においてzmをz0としてhについて根をもとめこのhを式8に用いて計算するか、あるいは実測により求めればよい。
上記漸化式は漸化パラメタの有理多項式で記述されており、その計算は四則演算のみを含み、超越関数や開平などの演算を含まないため、演算処理をデジタル回路として容易に実装することができる。特に汎用CPUの搭載や汎用PCの利用を行わなくとも簡便に実装可能である。また、MPUやGPUを用いて実装することもできる。
、全トランスデューサに共通なパラメタγと焦点の刻みdzのみから順次演算が可能である。つまり、漸化計算中に他のトランスデューサでの演算結果を用いる必要がないので、トランスデューサごとに並列に実行可能である。よって、従来の超音波画像診断装置で行われているチャンネルごとの並列なビームフォーミング処理に適用して画像形成の実行処理を高速に行うことができる。
次に超音波パルスエコー法で受信ダイナミックフォーカスを行う場合について説明する
。超音波パルスエコー法では初めに超音波パルスを送信する。送信された超音波パルスは媒体を進行する。同時に送信超音波パルス位置で反射された超音波エコーが媒体を伝播し上記のように各トランスデューサに伝播する。各トランスデューサで受信する超音波エコーは、超音波パルスの送信時から送信超音波パルスの進行時間と上記の反射した超音波の超音波伝播時間だけ遅れた時間に現れる。各時刻に於いて反射点即ち送信超音波パルスの位置から各トランスデューサまでの反射超音波の伝播時間の差異を遅延をかけて加算することで受信信号のフォーカスが行われる。同時にその時点での送信超音波パルス位置に加算信号の値を配した時系列信号を作成することで、送信パルスの進行にそった深度方向一次元の媒体反射強度分布が得られる。送信パルスの送信位置と受信トランスデューサの位置を変えることで媒体反射強度の画像が得られる。このように受信ダイナミックフォーカスを行う際には、超音波パルスの進行に合わせて受信焦点21の深度を変えながら上記のようにして求めたトランスデューサごとの超音波伝播時間に応じて遅延させて加算する。さらに加算した信号値は送信超音波パルスの位置に応じて時間に配置されたに時系列加算信号とされることが好ましい。以下この処理について説明する。
化式によって求められる値である。Paddrは送信直後からメモリ内に格納された受信信号
のアドレス位置の増加分に相当する。なお、式9の第1項、第2項は送信超音波パルスが焦点まで到達する伝播時間に対応し、第3項は受信超音波が焦点からトランスデューサまで到達する伝播時間に対応する。特定のiに関して各受信チャネルについて上記のアドレ
ス位置の信号値を加算したものは、対応する受信ダイナミックフォーカスの焦点即ちその時点での送信超音波パルス位置での反射強度に対応する。受信焦点iの位置を送信超音波
パルスの進行に合わせて順次深くしていくことで、指標iにそって送信超音波パルスの進
行に合わせた反射強度に対応する時系列信号を得ることができる。特に本発明ではTiが深さに応じて漸化的に求められるために指標iにそって順次計算ができる。
度の初期値を媒質26と媒質27の境界にとるとPaddrは以下のようになる。
ーサの受信信号について、算出したアドレス位置からの受信信号値を読み出して加算することで、焦点ziに対応した整相加算信号が得られる。焦点刻みdzをクロック周波数にとっているために、略クロック周波数に対応する時間刻みでの送信超音波パルスの進行に合わせた深さ方向に解像度が高い時系列信号が得られる。
なお、アドレス位置Paddrは、式10によってではなく以下の漸化式によって求めても
良い。
番号として使用できる。
ていれば、メモリからの読み込みと同時に整相加算処理が行われ一層に高速化が成される。これを実現する手法として事前にアドレス位置を計算することが考えられるが、この方式ではアドレス位置を格納するメモリが必要となる。特に高い画像解像度を得るために受信焦点の間隔を細かくとると、多くのメモリアドレス値を格納するためのメモリ容量が必要となる。これに対して本発明では、受信超音波の伝播時間を受信焦点の深度に応じて漸化式的に演算処理により算出するため、アドレス位置の算出を整相加算処理の進行と同期して並行して処理できる。そのため誤差補正のための基準アドレスを比較的少数格納する以外には、多量のメモリアドレス値を格納するメモリを用意せずに高速なビームフォーミングが行える。またメモリアドレス値格納メモリ容量から来る、受信焦点数に対する大幅な制約がなくなるため、より高密度な受信焦点にたいする受信ダイナミックフォーカスがおこなえ、屈折補正を行うことと合いまった高解像度化がなされる。
上述したように近似漸化式計算での誤差の蓄積を防ぐため、基準焦点(基準深度)における基準伝播時間による補正処理を含むことも好ましい。図6に受信ダイナミックフォーカスに於ける誤差補正を含むメモリアドレス計算処理例を示す。
演算し、超音波伝播時間Tiより読み出しアドレス値を求める(ステップS3)。基準深度となったとき(S2:YES)には、対応する基準伝播時間より基準アドレス値を求めこれをアドレス値とする(ステップS4)。同時に漸化式のパラメタを補正基準値ξm、ηmに更新する。
以上の説明は漸化式の計算を、式2、式3、式4、式5を用いて行っている。しかしながら、本発明は受信チャネルごとに独立して漸化式計算が行えることが特徴であり、必ずしも上記の式に拘る必要はない。本発明の効果は、受信チャネルごとに、受信焦点が変化するにつれて、一連の漸化演算で順次アドレス計算を行っていくやりかたであれば得られる。
ていく方式であれば、他の計算式を採用しても良い。よって、超音波伝播時間の増分dTi
を各受信チャネルが独立して計算可能な近似式あれば、式3、式4、式5以外の式を用いてもよい。
特に上述した近似補正を行う場合には、基準深度間で受信チャネルごとに一定の増分を利用してもよい。つまり、zm≦zi < zm+1を満たす深度ziではdTi=Δmとしてもよい。再
び図6を用いてこの処理の説明を加える。
準データは受信チャネルごとに設定されている。
分Δmを用いる。一方、基準深度でのアドレス値算出(ステップS4)では、その基準深度
での基準伝播時間Tmからアドレス値を求める。
ば式7、式8を利用して算出されたより精度の高い超音波伝播時間の曲線に各基準深度zmの間隔ごとにフィッティングした傾きを利用できる。隣接する2つの基準深度zm, zm+1の間での基準伝播時間Tm, Tm+1の変化を利用してもよい。この場合は隣接する基準伝播時間Tmから基準伝播時間増分Δmを簡素に計算できる(Δm=dz・(Tm+1-Tm)/(zm+1-zm))ため基準伝播時間増分Δmをテーブルに格納する必要がない。
くなり、実現するデジタル回路が格段に省略できる。一方近似精度は式3、式4、式5を用いた場合より悪くなるため、より多くの基準深度zmにおける基準伝播時間Tmが必要になるため、格納するメモリ容量が増加する。
いるが、深度刻みdzが変化する場合は基準深度間での伝播時間の増加率を利用すればよい。すなわち、dTi=dzi・(Tm+1-Tm)/(zm+1-zm)により伝播時間を求めればよい。いずれの
場合も、基準深度間における超音波伝播時間増分は、隣接基準深度における基準伝播時間の変化量に基づいて求められているといえる。
式3〜5の近似漸化式による計算と線型補間による計算の中間として、各基準深度zmごとに伝播時間増分dTiを深度の多項式で近似することもできる。
がある。本方式では、多項式の係数を基準深度ごとに格納する必要があるが、超音波伝播時間増分を一定とする場合に比べて近似精度が増加するので、基準深度の数が少なくて済むという利点をもつ。また、式3、式4、式5を用いた場合より近似精度は劣化するが、超音波伝播時間増分dTiの計算が簡略できるという利点を有する。
超音波伝播時間増分dTmの近似方法としては、少数のパラメタで表現でき、簡略に数値
化できるものであればよく、多項式以外に、スプライン関数やウェーブレット関数、各種直交関数展開などが利用できる。何れも隣接基準深度間で式7、式8を利用した計算値や実測値にパラメタフィッティングを行い、上記同様に基準深度での更新時にパラメタの更新を行って、基準深度間での漸化式計算式2にパラメタで指定した近似関数を利用することができる。
本実施例に係る超音波画像診断装置(超音波エコー診断装置)について図1を用いて説明する。
11は表示部を示す。
る。これらは入力部301より入力パラメタとして入力するか、あるいは介在板306が固定板などのように装置に固有の場合には、その一部は事前に決まったもとのとして、制
御部302に格納されている。xはトランスデューサアレイ305上でのトランスデュー
サの位置を、その送信ビーム中心から測ったものであり、トランスデューサアレイ305のトランスデューサ素子間隔と送信ビーム中心からの素子の位置で決定される。この式を適用して開口を形成する各トランスデューサに対応した各送信チャネルに対して、所望の送信焦点位置に対する遅延量が演算される。
信部303の送信チャネル、受信ビームフォーマ308の受信チャネルを開口312のトランスデューサ数より多く、特にトランスデューサアレイ305の全トランスデューサ数と同数にしても良い。
るため走査変換処理を行う。また画像処理部310では同時に、輝度信号列内のデータを表示手段のピクセルと整合させる各種補間処理、座標変換処理、画像フィルタリング処理などを行い、画像表示データを作成する。ここでは説明の簡便のため、画像処理部310の基本動作のみを記載したが、画質向上のための諸動作を追加してもよく、動作の仔細の違いも本発明を適用する際の障害とはなりえない。
表示部311は、CRT、液晶ディスプレイなどであり、画像処理部310から出力される画像を表示する。
以上の動作を繰り返すことで、被検体307の断層画像がほぼリアルタイムに表示部311に表示される。
次に図2を用いて受信ダイナミックフォーカスを行う受信ビームフォーマ(受信ビーム形成部)308について説明する。
次に図3を用いて読み出しアドレス計算部(メモリアドレス計算部)13についてより詳しく説明する。図3では、デジタル回路で読み出しアドレス計算部13を構成する場合の各ブロックの概略を示している。図3に示す構成は、漸化的に読み出しアドレス計算を行っていく際に、前述したように複数の基準深度(基準焦点)で基準伝播時間に基づく較正を加えながら処理を進める実施例である。また本実施例では受信ダイナミックビームフォーミングの受信焦点刻みを超音波画像診断装置での処理の同期のために使用されるシステムクロック周波数の周期に対応して設定する。システムクロック周波数の周期はメモリ12に格納されたデジタル受信信号の時間解像度に対応しており、受信ダイナミックビームフォーミングの受信焦点刻みをこれに対応させることで受信信号の全深度に渡って焦点があった整相加算ができる。これにより超音波画像装置で形成する画像の解像度が向上する。このとき受信焦点刻みはdz、クロック周波数の周期をTclkとすると、dz=Vtis×Tclk
となる。またクロック信号は整相加算のための信号読み出しの基準として使用される。
5、屈折アドレス増分演算ブロック64で演算に用いる演算用パラメタが制御部302から事前に各ブロックにセットされる。具体的には、音速Vtis、Vm、介在板306厚みd、
ダイナミックフォーカスの焦点刻みなどがセットされる。
、切り替え器66から出力されて一時メモリ604に格納される。加算器69は、一時メモリ604内のアドレス増分値と、前クロックで算出され一時メモリ605に格納された出力アドレス値とを加算して、出力アドレス値6005を計算する。このようにして、クロック信号6000に同期して、受信焦点の深さに対応したアドレス値が漸化式的に計算して順次出力することができる。
行わないときには、超音波伝播時間やそれに対応するアドレスの更新を行う必要がないため構成の一部を簡略化できる。
次に屈折アドレス増分演算ブロック64内処理の実施例に関して図4を用いて説明する。本実施例では式3、式4、式5を用いた漸化式演算を実施するためのものである。図4(a)に式3、式4、式5を用いた漸化式演算処理の概略ブロックを示す。ここでは説明を明瞭にするため、式との対応が比較的わかり易い構成としたが、本発明の実施形態は本構成にとらわれるものではない。
の漸化計算を進める。同時に一時メモリ707に格納された値は演算サブブロック78へ入力され、ここでパラメタメモリ714、715に格納された値を用いて式3.(a)に示した演算を行って屈折補正を行った伝播時間増分を求める。さらにこれを式11などによりアドレス換算し、アドレス増分値6004を得る。
ドレス増分演算ブロック64の処理を簡素化することもできる。
次に図5を用いてメモリ読み出し制御部14の実施例について説明する。本実施例ではメモリ読み出しアドレスを実数として計算しているので、従来より高精度の受信ビームのフォーカスが行えるという利点がある。以下に説明するメモリ読み出し制御もこの利点を効果的に利用するためのものである。具体的には、メモリ12より読み出した時間的に連続するふたつの受信信号値を用いて、出力アドレス値6005の小数アドレス部分に対応する補間を行う。これにより、メモリ12に格納した受信信号の時間解像度より細かい精度の計算が可能となる。ただし、以下に説明する受信信号補間による受信信号読み出しは本発明に必須のものではなく、また補間方法も例示にすぎず、補間する信号値をふたつ以上にとったりすることができ、具体的な補間演算の処理は以下の方法に限定されることはない。
算器86へ入力する。加算器86は乗算器85と一時メモリ83に格納された受信信号値をSn+1を加算して加算部15へ出力する。
補間を行った値が加算部15へ出力される。この補間により、メモリ12にはシステムクロック間隔によって決められる時間刻みで受信信号が格納されているが、その中間の時間の超音波伝播時間に対応する受信信号を得ることができる。このため整相加算を行う受信信号値の時間精度が、クロック周波数の周期で丸められることがなく、精度よく整相加算が行われる。
に開示されている。
(1)被検体表面に2次元配列トランスデューサアレイ(2次元配列受信素子アレイ)を
位置決めし、被検体に単パルスの電磁エネルギーを照射する。
(2)電磁エネルギーの照射直後から、各トランスデューサ(各受信素子)の受信光音響
信号をサンプリングして記憶する。
(3)映像化する被検体内の点r'について、光音響波が点r'から各トランスデューサの位
置rに達する伝播時間を計算し、伝播時間に対応する各トランスデューサの信号を加算し
て点r'の画像値とする。
(4)画像化する各点r'についてステップ(3)を繰り返す。
また、特開2005-21380号公報には、光音響映像法による画像と通常の超音波エコー画像の双方を、共通のトランスデューサを使用して交互に再構成する装置が開示されている。
図9(a)は光音響映像法における三次元画像再構成のためのボクセルデータ構造の概念図である。図9(b)は光音響映像法において特定のボクセルでのデータを作成するための概念を説明する図である。図9(c)は本実施例における処理方法を説明するための図である。
する光音響波の強度を求める。
タンサファイアレーザレーザ装置にSHG変換器を装着して使用することができる。また高出力LDアレイ光源を利用することもできる。またレーザ照射部102には、発光したレーザ光ビームを被検体307に照射、とくに均一に照射するためにビーム拡大器や拡散板など各種光学機器を備える。
られる。これにより各トランスデューサで受信した受信光音響信号の時系列のデータ列が並列処理でデジタル化され、メモリ12へ格納される。メモリ12には、トランスデューサごとに、デジタル化された受信光音響信号の時系列のデータ列が格納される。例えばメモリ12は各トランスデューサに対して個別に用意された一次元メモリで構成されてもよい。また二次元アレイ的に構成されたメモリにトランスデューサごとにアクセスできるように構成してもよい。
値と読み出された信号値とを加算し、その結果をメモリ要素内へ再格納する)。ここで配列メモリ106内の参照するメモリ要素は、当該メモリ読み出し制御部14に対応した行の上にある。
深さ間隔dzを用いて、第一の実施例と同様に順次深さが変化するボクセルの光音響波伝播時間に対応するアドレスを算出する。これを用いてメモリ読み出し制御部14が、配列メモリ106の対応する行内のメモリ要素に順次上記の加算処理を行っていく。
共通の読み出しアドレス計算部13でアドレスを算出できる。また、ボクセル配列91がその底面で縦横均等に分割されている場合には、幾何学的対称性より当該トランスデューサを中心とした同心円状に位置するボクセル列91bが同一のトランスデューサ・ボクセル列間距離xを与える。このようにして読み出しアドレス計算部13の数をNより少数に
することができる。
セル列の組に関して、共通の読み出しアドレス計算部13でメモリ読み出しアドレスの計算を行うことができる。特に近年GPUでの多数コアによる多数並列処理が可能となったため、本実施例の並列処理をGPUを含んだデジタル回路で実装することが可能である。
スデューサとボクセル列の組み合わせに対して、漸化的な伝播時間の算出がほぼ独立に行
えるため、これらに対して並列処理を簡便におこなうことが可能になり、全体の処理時間が短縮できる。さらにトランスデューサ・ボクセル列間距離xが同一なトランスデューサ
とボクセル列の組み合わせに対して、読み出しアドレス計算部13を共通とすることで回路規模の増大を抑制できる。
即ち、光音響映像法の三次元画像再構成ではトランスデューサアレイが二次元配列となり、またボクセル配置のボクセル数も解像度の点から細かいことが望ましい。このため処理に必要な光音響波の伝播時間の数は多数のものとなる。このため、特許文献1に示された一般的な屈折経路の計算は、その経路の種類が多数になるため、処理時間がかかり実時間処理には不適であった。また事前に遅延時間を計算し格納していく場合には、多数の遅延時間値の格納が必要となる。特に撮像条件によりボクセル配列を変えるたびに新たな遅延時間値の組が必要になり、全ての場合を含んでこれらを格納するのは非現実的であった。そのため、ボクセル配列を変えるたび再度遅延時間値を計算する必要があり、結果的に装置規模を増大させる結果となっていた。
めこの方法で簡便に並列化を行うには、深さ方向に対する並列化となる。ボクセル配列の縦・横・深さ方向の個数がそれぞれ、Nx,Ny,Nzであるときに、Nz個の計算を並列に行える。これに対し本発明ではトランスデューサとボクセル列の組に対する並列化であり、Nx×Ny個の計算を並列に行える。一般に三次元画像化に好適な均一なボクゼル配列をとると、各方向に対する区切り数Nx,Ny,Nzは同程度となるため、本実施例の並列度(同時に並列化可能な処理の数)は特許文献2に示された方法に比べ大きく取れる。特に解像度を向上するために区切り数が多く、またトランスデューサ数が多くなるほど並列度の差が大きくとれる。
算では、近似精度も不均一となり、処理のパラメタも増加する。本実施例では、焦点の深さに対する刻みをボクセル配列の深さ刻みととることで、均一な刻みに対する近似漸化式処理を行えるため、処理も単純化できる。
13 読み出しアドレス計算部
14 メモリ読み出し制御部
305 トランスデューサアレイ
307 被検体
308 受信ビームフォーマ
Claims (14)
- 被検体内部の部位から反射され又は発生される超音波を、前記部位とは異なる音速を有する媒質を介して受信する受信素子を複数有する超音波受信部と、
前記超音波受信部の少なくとも一部の受信素子に対応した受信チャネルの受信信号に対して、受信ビームの焦点位置から受信素子までの伝播時間に応じた遅延制御を行って受信ビーム信号を形成する受信ビーム形成部と、
前記受信ビーム信号を用いて画像を生成する画像処理部と、
を有する超音波画像装置であって、
前記受信ビーム形成部は、焦点の深さ変化に対応した伝播時間の変化分を計算済みの伝播時間に加算して次の焦点についての伝播時間を求める処理を繰り返すことで、複数の焦点に関する伝播時間を順次算出するものであり、
前記繰り返し処理は各受信チャネルについて独立に実行可能であり、前記受信ビーム形成部は、少なくとも一部の受信チャネルについて並列に伝播時間を算出し、
前記受信ビーム形成部は、前記焦点の深さ変化分と、前記焦点の深さ変化分と前記部位の音速と前記媒質の音速とに従って漸化式により求められる前記部位に対応する漸化パラメタ及び前記媒質に対応する漸化パラメタと、に基づいて、前記焦点の深さ変化に対応した伝播時間の変化分を求める、
ことを特徴とする超音波画像装置。 - 前記漸化パラメタを求めるための漸化式は、隣接する焦点深さでの漸化パラメタの値の多項式で記述される、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像装置。 - 前記伝播時間の変化分は焦点深さの多項式として求められる、ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像装置。
- 前記伝播時間の変化分は定数である、ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像装置。
- 前記受信ビーム形成部は、
特定の焦点深さについて予め求められた伝播時間である基準伝播時間を記憶しており、
前記繰り返し処理において焦点深さが前記特定の焦点深さに達した場合は、当該焦点深さにおける伝播時間を記憶されている基準伝播時間とし、この基準伝播時間に基づいて次の焦点深さにおける伝播時間を算出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波画像装置。 - 前記受信ビーム形成部は、特定の焦点深さについて予め求められた伝播時間と漸化パラメタである基準伝播時間と基準漸化パラメタを記憶しており、
前記繰り返し処理において焦点深さが前記特定の焦点深さに達した場合は、当該焦点深さにおける伝播時間および漸化パラメタを記憶されている基準伝播時間および基準漸化パラメタとし、これらの基準伝播時間および基準漸化パラメタに基づいて次の焦点深さにおける伝播時間および漸化パラメタを算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波画像装置。 - 前記受信ビーム形成部は、特定の焦点深さについて予め求められた伝播時間と、前記特定の焦点深さ以降の焦点について用いるべき前記多項式の係数とを記憶しており、
前記繰り返し処理において焦点深さが前記特定の焦点深さに達した場合は、当該焦点深さにおける伝播時間を記憶されている基準伝播時間とし、それ以降の処理については前記記憶された係数を用いた前記多項式によって前記伝播時間の変化分を求める、
ことを特徴とする請求項3に記載の超音波画像装置。 - 前記受信ビーム形成部は、複数の基準焦点について予め求められた伝播時間を記憶しており、
前記繰り返し処理において焦点が前記基準焦点のいずれかに達した場合は、当該焦点における伝播時間を記憶されている基準伝播時間とし、それ以降の処理における前記伝播時間の変化分は、当該焦点深さにおける基準伝播時間と次の基準焦点における基準伝播時間とから求められる値とする、
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波画像装置。 - 前記受信ビーム形成部は、
各受信チャネルに対応して、
受信チャネルに対応する受信素子から順次受信される受信信号を時系列的に格納するメモリと、
前記メモリからの読み出しを制御するメモリ読み出し制御部と、
前記メモリの読み出しアドレスを計算するメモリアドレス計算部と、
を有しており、
前記受信ビーム信号の形成は、前記メモリアドレス計算部によって計算された読み出しアドレスにしたがって前記メモリ読み出し制御部によって前記メモリから読み出された各受信チャネルの受信信号を加算することによって行われるものであり、
前記メモリアドレス計算部は、複数の焦点について順次算出される伝播時間に対応した読み出しアドレス位置を算出して、複数の焦点に対応する読み出しアドレスを順次計算する、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の超音波画像装置。 - 前記メモリアドレス計算部は、読み出しアドレスを実数形式で計算するものであり、
前記受信ビーム形成部は、計算された実数形式の読み出しアドレスのうち整数部分に対応するアドレスとその次のアドレスに格納された2つの受信信号を、実数形式の読み出しアドレスの小数部分に応じて補間し、補間された受信信号を用いて受信ビーム信号を形成する、
ことを特徴とする請求項9に記載の超音波画像装置。 - 前記超音波受信部は、超音波を被検体に向けて送信する超音波送信部を兼ねており、
被検体に超音波を照射し、被検体内で反射された反射超音波を受信して被検体内の画像を形成する、
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の超音波画像装置。 - 被検体に向けてパルス光を照射する光照射部をさらに有しており、
被検体にパルス光を照射し、光音響効果によって被検体内で発生された超音波を受信して被検体内の画像を形成する、
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の超音波画像装置。 - 被検体内部の部位から反射され又は発生される超音波を、前記部位とは異なる音速を有する媒質を介して受信し、受信ビームの焦点位置と受信素子の間の伝播時間に応じた遅延処理を行って受信ビームを形成する超音波画像装置における遅延制御方法であって、
焦点深さの変化に対応した伝播時間の変化分を算出する処理と、算出された伝播時間の変化分を計算済みの伝播時間に加算して次の焦点についての伝播時間を求める処理とを、繰り返すことで複数の焦点に関する伝播時間を順次算出するものであり、
前記繰り返し処理は各受信チャネルについて独立に実行可能であり、少なくとも一部の受信チャネルについて並列に伝播時間を算出し、
前記伝播時間の変化分は、前記焦点の深さ変化分と、前記焦点の深さ変化分と前記部位の音速と前記媒質の音速とに従って漸化式により求められる前記部位に対応する漸化パラメタ及び前記媒質に対応する漸化パラメタと、に基づいて、算出される、
ことを特徴とする遅延制御方法。 - 被検体内部の部位から反射され又は発生される超音波を、前記部位とは異なる音速を有する媒質を介して受信し、受信ビームの焦点位置と受信素子の間の伝播時間に応じた遅延処理を行って受信ビームを形成する超音波画像装置における遅延制御プログラムであって、
コンピュータに、
焦点深さの変化に対応した伝播時間の変化分を算出する処理と、算出された伝播時間の変化分を計算済みの伝播時間に加算して次の焦点についての伝播時間を求める処理とを、繰り返させることで複数の焦点に関する伝播時間を順次算出させるものであり、
前記繰り返し処理は各受信チャネルについて独立に実行可能であり、少なくとも一部の受信チャネルについて並列に伝播時間を算出し、
前記伝播時間の変化分は、前記焦点の深さ変化分と、前記焦点の深さ変化分と前記部位の音速と前記媒質の音速とに従って漸化式により求められる前記部位に対応する漸化パラメタ及び前記媒質に対応する漸化パラメタと、に基づいて、算出される、
ことを特徴とする遅延制御プログラム。
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