JP5645421B2 - 超音波画像装置および遅延制御方法 - Google Patents

超音波画像装置および遅延制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、被検体内で反射または発生する超音波を受信して画像化する超音波画像装置、特に、受信ビームを形成するために複数の受信素子から取得される信号に超音波伝播時間に応じた遅延補正を行うデジタル超音波画像装置に係わる。
超音波は被曝のおそれがなく基本的に無侵襲であるため、超音波画像診断が広く利用されている。特に、近年、超音波画像装置のデジタル化の進展により超音波ビーム形成のための遅延時間制御を容易かつ高精度に行えるようになった。これにより高画質の生体断層画像をコンパクトな装置で得ることが可能になり、各部位の診断に適用されている。また、超音波を被検体に照射しそのエコーを受信して画像化する超音波エコー診断装置以外に、パルス光を照射して被検体内部で発生する光音響波(超音波)を受信して画像化する光音響イメージング装置も提案されている。
従来の超音波画像装置では、超音波ビーム形成のための遅延時間制御は、音速一定の媒質を超音波が伝播することを前提に行われることが多い。一方、被検体である生体組織と超音波の送受信を行うトランスデューサ間に、生体組織と音速が異なる材質、例えば超音波探触子表面の音響レンズ層や生体組織を固定するための固定板が存在する場合には、音速が異なる領域で超音波の屈折が生じる。この結果、従来の遅延時間の制御では超音波ビームの焦点が良好に形成されずに、画質が劣化するという課題を有していた。また被検体表面に厚い脂肪層が存在する場合にも、脂肪層と脂肪層下の生体組織の音速が異なるため、同様に超音波の屈折が生じ、脂肪層下の組織が鮮明に画像化されないという問題点も有していた。
被検体とトランスデューサの間に音速が異なる層がある場合の遅延量は、スネルの法則を用いて屈折経路を考慮することで、解析的に求めることができる。特許文献1、2では、このようにスネルの法則を用いて遅延時間の補正を行うことが提案されている。
特許文献1には、各トランスデューサおよび各焦点について、厳密計算に基づいた遅延時間を装置に格納しておき、この遅延時間を用いて送受信ビームの遅延制御を行うことが開示されている。また、遅延時間をリアルタイムに計算することも開示しているが、具体的な数値演算アルゴリズムは開示されていない。
特許文献2には、音響レンズや組織表面の脂肪層による屈折の影響を補正し、被検体脂肪層下の組織領域の画質劣化を抑制する超音波画像装置が開示されている。比較的厚みがありまた被検体対象によって厚みの異なる脂肪層の屈折の影響を抑制するために、各トランスデューサに対する遅延時間は、スネル則に基づく遅延時間補正近似式を用いて演算により求められる。特許文献2の手法は、隣接するトランスデューサでの遅延時間をもとに、次のトランスデューサについての遅延時間を漸化式により計算している。これにより、演算時間の短縮を図るものである。
米国特許6,607,489号公報 国際公開WO01−026555号公報
しかしながら、特許文献1では、全てのトランスデューサについての、全ての焦点に関
する遅延時間を予め格納しておく必要がある。そのため、高画質を求める目的で受信時のダイナミックフォーカスの焦点点数を多数とるためには、遅延時間を格納する大規模なメモリが必要となる。一般にトランスデューサ素子数が多いほど、また、受信ダイナミックフォーカスの焦点数が多いほど解像度が向上する。また、被検体深くまで撮像することが望まれる。いずれの場合にも記憶すべき遅延時間の数が増大し、回路規模が大きくなってしまうという欠点がある。
さらに、介在する圧迫板厚が変化するとそれに応じて新たな遅延時間の組が必要となる。特許文献1では屈折を含んだ超音波伝播経路の厳密計算を行って遅延時間を求める演算手段を含んだ装置も開示されており、介在する圧迫板厚に応じて遅延時間の組を演算できるが、超音波伝播経路計算の具体的な数値演算アルゴリズムは開示されていない。このため、一般的な数値演算を効率的に行うためのMPUなどの数値演算専用プロセッサや汎用PCのCPUなどを用いて遅延時間算出の演算を行うことになる。しかしながら、受信時のダイナミックフォーカスでは各トランスデューサの遅延時間を、送信超音波パルスの伝播タイミングに合わせ高速に変化させる必要がある。このため制御を行うための汎用PCで遅延時間を計算し、超音波ビームフォーミングを行うデジタル回路中にそれらを読み込んで使用する場合にも、デジタル回路中に遅延時間を格納する大規模なメモリが必要となる。あるいはPCからデジタル回路中に高速にデータ転送を行う手段が必要になる。何れも回路規模の増大と高価な装置構成となる。また数値演算専用のMPUを組み込むことも同様に超音波ビームフォーミングを行うデジタル回路の大規模高価格化を招く。このように特許文献1に従った場合には、従来のデジタル回路の規模を増大させ装置の大型化や高価格化を招いたり、処理速度や設定解像度の限界が従来より劣ったものになる。従来の超音波診断装置の有する利点である画像観察のリアルタイム性や、コンパクトな装置構成からくる広範囲で柔軟な診断適用性が損なわれてしまう。
特許文献2には、音速の異なる媒質が厚くなっても近似した遅延時間の誤差を小さくできるという利点や、処理が比較的高速に行えるという利点がある。しかしながら、この手法に従ってリアルタイムで焦点を変化させる受信ダイナミックフォーカスを行う際には、未だ以下のような課題を有している。即ち、順次漸化式的に演算を行っていく処理が、トランスデューサの位置に関する漸化式を用いているため、焦点ごとに全てのトランスデューサに関する遅延量の計算を行う必要がある。このため、少数の焦点に関して、多数のトランスデューサを有する機器の処理に対しては実時間処理が良好に行われる。しかし、受信ダイナミックフォーカスを行う場合は、焦点ごとに漸化式による計算をやり直さなければならないため処理量が増加するため実時間処理には不向きである。高解像度化のために多数の受信焦点を設定する場合は、この問題がさらに顕著となる。
一方従来の超音波画像装置における受信処理では、各トランスデューサに関する信号処理、特に受信信号の増幅やデジタル化、遅延時間制御などを、チャネルごとにほぼ独立に並列に処理することで、実時間での高速な画像形成を実現している。しかしながら特許文献2に従った処理では上記のように受信焦点変更ごとに、トランスデューサ全体にわたった遅延時間再設定のための漸化式処理を行わなければならないため、この並列処理動作を効果的に利用することができない。多数の受信焦点を設定した全体処理を実時間でおこなうために、結果的に別途遅延時間計算を行う演算処理回路や、計算結果を格納するメモリ容量を必要としてしまうことになる。
このため、特許文献2に従った処理で受信ダイナミックフォーカスを行うには、従来のデジタル回路に大幅な変更、特に使用メモリや演算回路の増加を伴うか、あるいは受信焦点の数を少なくして、焦点変更時の遅延時間再設定の時間を少なくする必要がある。これにより受信フォーカスの受信焦点数を増加させ受信時の解像度向上を測ることができないなどの課題を有していた。
一方、光音響映像法による超音波画像装置でも、上記から派生する課題を有していた。特に三次元画像作成を旨とする光音響映像法では、超音波パルスエコー法の受信ダイナミックフォーカスと同様に各深さに対して受信超音波の伝播時間を見積もる必要がある。さらに使用するトランスデューサアレイは二次元配列で、解像度を向上するため多数のトランスデューサを用いるのが好ましい。このため従来の光音響映像法による超音波画像診断装置では三次元画像を作成する画像再構成の処理量が膨大となり、実時間で画像を作成、表示することが難しい。データ取得後の処理は汎用PCを用いて事後的に行われるため従来の超音波パルスエコー法を用いた超音波画像診断装置に比べ実時間での診断が行い難いという問題点を有していた。
上記のような問題点を考慮して、本発明は、超音波画像装置において超音波の伝播経路を考慮した遅延量算出処理を高速に行うことを目的とする。
上記問題点を解決するために、本発明は、
被検体内部の部位から反射され又は発生される超音波を、前記部位とは異なる音速を有する媒質を介して受信する受信素子を複数有する超音波受信部と、
前記超音波受信部の少なくとも一部の受信素子に対応した受信チャネルの受信信号に対して、受信ビームの焦点位置から受信素子までの伝播時間に応じた遅延制御を行って受信
ビーム信号を形成する受信ビーム形成部と、
前記受信ビーム信号を用いて画像を生成する画像処理部と、
を有する超音波画像装置であって、
前記受信ビーム形成部は、焦点の深さ変化に対応した伝播時間の変化分を計算済みの伝播時間に加算して次の焦点についての伝播時間を求める処理を繰り返すことで、複数の焦点に関する伝播時間を順次算出するものであり、
前記繰り返し処理は各受信チャネルについて独立に実行可能であり、前記受信ビーム形成部は、少なくとも一部の受信チャネルについて並列に伝播時間を算出し、
前記受信ビーム形成部は、前記焦点の深さ変化分と、前記焦点の深さ変化分と前記部位の音速と前記媒質の音速とに従って漸化式により求められる前記部位に対応する漸化パラメタ及び前記媒質に対応する漸化パラメタと、に基づいて、前記焦点の深さ変化に対応した伝播時間の変化分を求める、
ことを特徴とする。
本発明によれば、各受信チャネルについて深さ方向について漸化式的な計算をして複数の焦点位置に対応する伝播時間を算出するので、複数のチャネルについて並列に伝播時間を計算でき遅延時間算出を高速に行える。
実施例1に係る超音波画像装置を示す図 実施例1に係る受信ビームフォーマを説明する図。 実施例1に係る読み出しアドレス計算部を説明する図。 実施例1に係る屈折補正アドレス増分演算ブロックを説明する図。 実施例1に係るメモリ読み出し制御部を説明する図。 メモリアドレス計算処理のフローチャート。 超音波伝播時間を説明する図。 受信ダイナミックフォーカスを説明する図。 光音響影像法を説明する図。 実施例2に係る超音波画像装置を示す図。
本発明は、被検体から反射・発生する超音波を複数の受信素子で受信して受信信号に変換し、受信素子ごとの超音波伝播時間に応じた遅延制御を行って受信ビーム信号を形成す
る診断装置に適用されて有効な技術である。このような診断装置として、トランスデューサ(超音波送受信部)から被検体に超音波パルスを入射し、被検体内から反射した超音波エコーを受信して画像化する超音波エコー診断装置が挙げられる。また、別の例として、被検体にパルス光を照射し、被検体内部で光音響効果によって発生する超音波を受信して受信信号に変換し、該受信信号を用いて画像化する光音響イメージング装置が挙げられる。本明細書では、被検体内部から到来する超音波を受信して画像化する装置のことを総称して超音波画像装置と呼んでいる。
<超音波伝播時間の算出処理>
[超音波伝播時間算出のための近似漸化式の導出]
本発明における超音波の屈折を考慮した伝播時間の近似計算方法の一例を以下に説明する。図7に、焦点21からトランスデューサ203へ伝播する超音波の屈折の様子を示す。ここでトランスデューサ203の位置をx、焦点距離のうち媒質26内にある部分即ち媒質26の厚みをd、焦点距離(焦点深さ)のうち媒質27内にある部分をz、媒質26内の屈折角をθ、媒質27内の屈折角をθ’とすると以下の関係式が成立する。zが負の値となるときは、焦点21が媒質26内にあり、この場合には従来と同様の一様音速を仮定した超音波伝播時間計算ができるので、zが非負の場合について説明する。zが負、非負の場合により従来方法と切り替えて駆動させてもよい。zをこれ以降深度と呼ぶ。
Figure 0005645421
但し、ここでVtisは媒質27での音速、Vは媒質26での音速であり、Tは焦点21で反射・発生した超音波がトランスデューサ203に到達するまでの伝播時間である。式1(a)は屈折のスネル則、式1(b)は焦点21とトランスデューサ203の幾何学的関係、式1(c)は超音波伝播経路の長さと音速の関係を表す。
焦点21よりも深い位置にある焦点211を考える。媒質26の厚みが変わらない場合には焦点距離の変化は、zの変化分dzのみになる。このため焦点の深さがdzごとに順次変
化していく時に、dzに対する増分を考えることで、超音波伝播時間Tiについて以下の近似的な漸化式が成立する。
Figure 0005645421
ここで、ξi、ηiをそれぞれの深度zに対応する式1におけるcosθ’,cosθとして(ξi=cosθ’,ηi=cosθ)、焦点の深さがdzだけ変化したときの超音波伝播時間変化dTiは以下のように表せる。
Figure 0005645421
さらに、dξi、dηiは以下のriを用いて、次のように表せる。
Figure 0005645421
γは以下に示す量で、媒質26、媒質27が決まれば、漸化式計算においては定数である。このように超音波伝播時間の増分dTiは、それ自体が漸化式により求められるパラメ
タξi、ηiから求められる。なお、dTiを求めるためのパラメタであって、それ自体が漸
化式によって求められるパラメタのことを、本明細書では漸化パラメタと称する。
Figure 0005645421
上記の関係式(近似漸化式)を用いると、ある深度zでのξi、ηi、dTi が判っていれば、dzだけ深度の変化した焦点でのξi+1、ηi+1が演算できる。これを用いて超音波伝播時間の増分dTi が分かり、さらにはこの増分dTiを計算済みの超音波伝播時間Ti
加算することで超音波伝播時間Ti+1が近似的に演算できる。
この漸化式を用いて、焦点の深さが順次深い方向(dz>0)、または焦点の深さが順次浅い方向(dz<0)へ計算を進めていくことで、深さの異なる複数の焦点に付いての超音波伝播時間Ti+1の列が近似的に順次算出できる。計算方向はどちらでも構わないが、受信ダイナミックフォーカスなどに適用するときには、送信パルス伝播に応じて、焦点の深さが順次深くなる方向に計算していくのが好ましい。
上記近似漸化式は焦点の刻みdzの絶対値が小さいほど近似の精度が高くなる。特に、受信信号(受信素子が超音波を受信することにより生成(変換)した信号)をデジタル信号にサンプリングするクロック周波数の周期はデジタル受信信号の時間解像度の限界であるため、これに対応するようにdzを選択することが好ましい。このとき、細密の焦点の刻みはクロック周波数の周期の間に送信超音波パルスが媒質26内を進む距離になり、クロック周波数の周期をTclkとすると、|dz|=Vtis×Tclkとなる。
[初期値]
パラメタγと焦点刻みdzは全トランスデューサで共通であり、各トランスデューサの位置xと初期値ξ0、η0、T0、z0が与えられると、上記漸化式により焦点刻みdzごとの超音
波伝播時間Ti+1が順次演算されていく。
初期値ξ0、η0、T0、は各トランスデューサについて予め計算された値をもちいればよい。特に焦点の深さが深くなる方向へ順次計算する場合には、初期深度z0を零、即ち初期の焦点を媒質26と媒質27の境界にとることができる。このとき焦点から各トランスデューサまでの超音波伝播は媒質26内のみなので、初期値T0、ξ0、η0は各トランスデューサに付いて一様音速での従来の超音波伝播時間と同様に以下のように計算できる。
Figure 0005645421
媒質26の厚みdが不変の場合には別途計算した値を固定してもよく、dが変化する場合には計算値をテーブルとして用意しておけばよい。また初期化時の計算として組み込んでも良い。
[誤差補正]
上記近似漸化式により漸化的に計算を行っていくと、一般に近似による誤差が蓄積するため、深度が大きくなるにつれて誤差が大きくなる。これを避けるために特定の基準深度zmにおいて予め高精度に計算しておいた基準漸化パラメタξm、ηm、基準伝播時間Tmを利用して誤差の蓄積を修正するようにしてもよい。基準深度を適当な間隔で複数設定することにより、定期的に誤差補正が行われることになる。
基準深度zmの時のξm、ηm、Tmを求めるためには、始めにhについての以下の四次方程
式を解く。
Figure 0005645421
このとき得られる根のうち、実根でかつ、0<h<dを満たす最小のものを用いて、基準値ξm、ηm、Tmが以下のように表せる。
Figure 0005645421
このようにして基準深度zmにおける高精度な値を予め数値計算により求めておき、焦点深度が基準深度zmに達したら、それ以降はξm、ηm、Tmを新たな初期値として漸化式計算を続ける。なお、上記の計算、特に四次方程式の計算は複雑であるが、比較的少数の基準
深度についてのみ行えばよいのでそれほど時間を要さない。
基準伝播時間は実測によって求めても良い。具体的には、超音波装置を用いて、実際に基準深度zmに設定したハイドロフォンなどの点状音源からの超音波パルスを、各トランスデューサで受信する。そして、受信パルスの到達時間より、基準伝播時間Tmを実際に計測し、これを近似誤差の補正に用いてもよい。この場合は基準漸化パラメタξm、ηmは式8.(c)を逆に解いてhを求め、これを式8.(a)、式8.(b)に代入して求めればよい。
基準伝播時間Tmはあくまでも補正として用いる量であるため、その数は全てのトランスデューサを合わせても、上記近似漸化式で求める焦点刻みdzごとの超音波伝播時間Tiの数よりはるかに少ない数にすることができる。特に受信時のダイナミックフォーカスにおいて各受信焦点での超音波伝播時間Tiの値を順次求める際には、基準伝播時間Tm及び基準漸化パラメタ値ξm、ηmを格納しておいても、全受信焦点での超音波伝播時間を格納するよりも少ない容量のメモリで済む。
[変形]
また、初期深度z0を非ゼロにとる場合にも、基準値を求めるのと同様の方法により初期値を求めることができる。つまり、式7においてzをz0としてhについて根をもとめこのhを式8に用いて計算するか、あるいは実測により求めればよい。
初期深度z0を非ゼロにとった場合には、焦点の深さを深い方向に漸化式で計算を進めていくことも、また焦点の深さを浅い方向に漸化式で計算を進めていくこともできる。焦点の深さを浅い方向に漸化式で計算を進めていく場合には、深度ziが負になった時点で上記漸化式による計算を止める。深度ziが負となるときは、焦点21が媒質26内にあり、この場合には従来と同様の一様音速の場合による伝播時間の計算へ切り替えればよい。
上記説明で焦点の刻みdzは、漸化式の各ステップで固定としたが、全トランスデューサで共通であれば、漸化式の各ステップで変化させてもよい。特に深度が深くなるにつれて超音波伝播時間の変化分dTiは小さくなり、近似の精度も高くなってくるために、深度が深くなるにつれてdzの絶対値を大きくとることで、計算処理を省略することができる。
[本計算式の利点]
上記漸化式は漸化パラメタの有理多項式で記述されており、その計算は四則演算のみを含み、超越関数や開平などの演算を含まないため、演算処理をデジタル回路として容易に実装することができる。特に汎用CPUの搭載や汎用PCの利用を行わなくとも簡便に実装可能である。また、MPUやGPUを用いて実装することもできる。
また上記漸化式の計算は各トランスデューサに個別なパラメタxと初期値ξ0、η0、T0
、全トランスデューサに共通なパラメタγと焦点の刻みdzのみから順次演算が可能である。つまり、漸化計算中に他のトランスデューサでの演算結果を用いる必要がないので、トランスデューサごとに並列に実行可能である。よって、従来の超音波画像診断装置で行われているチャンネルごとの並列なビームフォーミング処理に適用して画像形成の実行処理を高速に行うことができる。
特に、焦点の深度を順次深くしていく順番で超音波伝播時間を求めていく場合は、送信超音波パルスの伝播タイミングに対応させ、順次受信焦点を深深度に移動させながら受信ビームの焦点調節を行って行く際に好適な構成となっている。
<受信ダイナミックフォーカス>
次に超音波パルスエコー法で受信ダイナミックフォーカスを行う場合について説明する
。超音波パルスエコー法では初めに超音波パルスを送信する。送信された超音波パルスは媒体を進行する。同時に送信超音波パルス位置で反射された超音波エコーが媒体を伝播し上記のように各トランスデューサに伝播する。各トランスデューサで受信する超音波エコーは、超音波パルスの送信時から送信超音波パルスの進行時間と上記の反射した超音波の超音波伝播時間だけ遅れた時間に現れる。各時刻に於いて反射点即ち送信超音波パルスの位置から各トランスデューサまでの反射超音波の伝播時間の差異を遅延をかけて加算することで受信信号のフォーカスが行われる。同時にその時点での送信超音波パルス位置に加算信号の値を配した時系列信号を作成することで、送信パルスの進行にそった深度方向一次元の媒体反射強度分布が得られる。送信パルスの送信位置と受信トランスデューサの位置を変えることで媒体反射強度の画像が得られる。このように受信ダイナミックフォーカスを行う際には、超音波パルスの進行に合わせて受信焦点21の深度を変えながら上記のようにして求めたトランスデューサごとの超音波伝播時間に応じて遅延させて加算する。さらに加算した信号値は送信超音波パルスの位置に応じて時間に配置されたに時系列加算信号とされることが好ましい。以下この処理について説明する。
まず、図8を用いて受信ダイナミックフォーカスの概要を説明する。図8(a)に受信フォーカスの概要図、(b)に各トランスデューサの受信信号を格納するメモリ内での受信信号の格納の様子を模式的に示す。説明の簡便にために3つのトランスデューサ200、201、202、2つの受信焦点212、213のみを考慮する。また、音速が異なる層に関しては記載を省略する。トランスデューサ201,202はトランスデューサ200を中心として対称な位置にあるものとする。トランスデューサ200、201、202から取得(出力)される受信信号を各々400、401、402で表す。
また各トランスデューサ200、201、202から取得される受信信号400、401、402は、各々対応する受信チャネルとして受信処理を行う。以降では各トランスデューサに関する処理を受信チャネルに対する処理とも称する。
各トランスデューサが超音波を受信することで順次変換される受信信号400、401、402は超音波の受信された時間に応じたアドレスのメモリに時系列的に格納されている。アドレス順に従って超音波エコー深度は深くなっていく。受信焦点212からの超音波エコー信号は、受信信号400についてアドレス位置40に格納されており、受信信号401、402についてはアドレス位置41に格納されている。同様に受信焦点213からの超音波エコー信号は、受信信号400についてはアドレス位置42に格納されており、受信信号401、402についてはアドレス位置43に格納されている。
アドレス位置40は送信超音波パルスが中心軸20に沿って焦点212まで伝播する時間と、超音波反射が焦点212からトランスデューサ200まで伝播する時間を加えたものに対応している。またアドレス位置41は同じく送信超音波パルスが中心軸20に沿って焦点212まで伝播する時間と、超音波反射が焦点212からトランスデューサ201,202まで伝播する時間を加えたものに対応している。これらのアドレス位置は、前記の漸化式演算によって得られた受信超音波の伝播時間を、送信超音波パルスの伝播時間に加えることにより求められる。また、トランスデューサ201,202のように対称位置にあるトランスデューサに関しては受信超音波の伝播時間が同じになるため、アドレス位置の算出はどちらか一方のトランスデューサに関して行えばよい。
具体的には、各受信チャネルについての、アドレス位置Paddrは以下のように表せる。
Figure 0005645421
ここで、iは受信ダイナミックフォーカスの焦点を表す指標である。Tiは上述の近似漸
化式によって求められる値である。Paddrは送信直後からメモリ内に格納された受信信号
のアドレス位置の増加分に相当する。なお、式9の第1項、第2項は送信超音波パルスが焦点まで到達する伝播時間に対応し、第3項は受信超音波が焦点からトランスデューサまで到達する伝播時間に対応する。特定のiに関して各受信チャネルについて上記のアドレ
ス位置の信号値を加算したものは、対応する受信ダイナミックフォーカスの焦点即ちその時点での送信超音波パルス位置での反射強度に対応する。受信焦点iの位置を送信超音波
パルスの進行に合わせて順次深くしていくことで、指標iにそって送信超音波パルスの進
行に合わせた反射強度に対応する時系列信号を得ることができる。特に本発明ではTiが深さに応じて漸化的に求められるために指標iにそって順次計算ができる。
特に焦点刻みdzをクロック周波数の周期にあわせて細密にとり(dz=Vtis・Tclk)、深
度の初期値を媒質26と媒質27の境界にとるとPaddrは以下のようになる。
Figure 0005645421
このときiを読み出し番号として利用し、各受信チャネルについて、iにそって順次メモリに格納された受信信号値を読み出して、全受信チャネルに対して加算していくことで、境界下の媒質27内での整相加算信号が得られる。より具体的には、送信超音波パルスが焦点ziまで伝播する時間タイミングに対応して、各トランスデューサについて焦点ziからの超音波伝播時間Tiを求めて、アドレス位置Paddrを算出する。それぞれのトランスデュ
ーサの受信信号について、算出したアドレス位置からの受信信号値を読み出して加算することで、焦点ziに対応した整相加算信号が得られる。焦点刻みdzをクロック周波数にとっているために、略クロック周波数に対応する時間刻みでの送信超音波パルスの進行に合わせた深さ方向に解像度が高い時系列信号が得られる。
なお、アドレス位置Paddrは、式10によってではなく以下の漸化式によって求めても
良い。
Figure 0005645421
媒質26内での整相加算信号は従来の遅延制御方法を用いて得られるので、媒質26と媒質27の境界で処理を切り替えればよい。その場合には、iは境界より下での読み出し
番号として使用できる。
受信ダイナミックフォーカスの整相加算の時系列信号は、送信パルスの伝播タイミングに従って時系列に配列されるのが望ましい。アドレス位置の計算は受信フォーカスが深くなっていく順に行われるのがビームフォーミング処理の時間を短縮する上で好ましい。
特に、上記のように整相加算の処理が送信超音波パルスの伝播タイミングに応じて行われるために、時系列の受信信号をメモリへの格納しつつ、処理に応じた一定のタイムラグを確保した上で、整相加算のための読み込み動作を開始することができる。これにより一部の並列処理が可能となり、ビームフォーミング全体の処理時間が短縮される。
対象の焦点からの超音波信号を受信したタイミングまでにアドレス位置の計算が完了し
ていれば、メモリからの読み込みと同時に整相加算処理が行われ一層に高速化が成される。これを実現する手法として事前にアドレス位置を計算することが考えられるが、この方式ではアドレス位置を格納するメモリが必要となる。特に高い画像解像度を得るために受信焦点の間隔を細かくとると、多くのメモリアドレス値を格納するためのメモリ容量が必要となる。これに対して本発明では、受信超音波の伝播時間を受信焦点の深度に応じて漸化式的に演算処理により算出するため、アドレス位置の算出を整相加算処理の進行と同期して並行して処理できる。そのため誤差補正のための基準アドレスを比較的少数格納する以外には、多量のメモリアドレス値を格納するメモリを用意せずに高速なビームフォーミングが行える。またメモリアドレス値格納メモリ容量から来る、受信焦点数に対する大幅な制約がなくなるため、より高密度な受信焦点にたいする受信ダイナミックフォーカスがおこなえ、屈折補正を行うことと合いまった高解像度化がなされる。
このように本発明では、一連の漸化演算で受信焦点の深度を深くしながら順次アドレス計算を行っていくことで、従来の構成から大幅な増加を伴わないデジタル回路構成で、従来と同様に高速で、かつ屈折補正を行った良質な画像化が行われる。
[誤差補正]
上述したように近似漸化式計算での誤差の蓄積を防ぐため、基準焦点(基準深度)における基準伝播時間による補正処理を含むことも好ましい。図6に受信ダイナミックフォーカスに於ける誤差補正を含むメモリアドレス計算処理例を示す。
初めにステップS1にて、漸化式の初期値ξ0、η0、T0、を例えば式6を用いて演算し設定する。同時に近似の誤差補正のための、基準深度zm、基準伝播時間Tm、基準漸化パラメタξm、ηmからなるテーブルを読み込んで設定する。ここでは基準伝播時間Tmをアドレス値として記述する。また深度に対応する読み出しカウンタを初期化する。
次に、深度が基準深度になるかを判定する(ステップS2)。基準深度でないとき(S2:NO)には、前記の漸化式の計算により、その深度でのξi、ηi、及び超音波伝播時間Ti
演算し、超音波伝播時間Tiより読み出しアドレス値を求める(ステップS3)。基準深度となったとき(S2:YES)には、対応する基準伝播時間より基準アドレス値を求めこれをアドレス値とする(ステップS4)。同時に漸化式のパラメタを補正基準値ξm、ηmに更新する。
このようにして求めたアドレス値から実際のメモリのアドレスを求め、受信ビームフォーミングの整相加算処理に使用する(ステップS5)。次に読み出しカウンタを進め、深度を焦点刻みdz分進める(ステップS6)。読み出しカウンタが終了する深度に達するまで、アドレス算出の処理を反復し、読み出しカウンタが終了する深度に達した場合は処理を終了する。
このように、各受信チャネルにおいて、読み出しカウンタが進むごとに受信信号を格納したメモリのアドレス位置が求められる。このようにして求めたアドレス位置の受信信号値を読み出し、これらを全受信チャネルについて加算することで、受信ダイナミックフォーカスの整相加算処理が行われる。
<その他の計算式>
以上の説明は漸化式の計算を、式2、式3、式4、式5を用いて行っている。しかしながら、本発明は受信チャネルごとに独立して漸化式計算が行えることが特徴であり、必ずしも上記の式に拘る必要はない。本発明の効果は、受信チャネルごとに、受信焦点が変化するにつれて、一連の漸化演算で順次アドレス計算を行っていくやりかたであれば得られる。
つまり、式3〜5のように、他の受信チャネルに関する演算結果を利用せずに深度刻みdz分に対する超音波伝播時間Tiの増分dTiをもとめ、これを式2によって漸化的に加算し
ていく方式であれば、他の計算式を採用しても良い。よって、超音波伝播時間の増分dTi
を各受信チャネルが独立して計算可能な近似式あれば、式3、式4、式5以外の式を用いてもよい。
・固定増分dTi
特に上述した近似補正を行う場合には、基準深度間で受信チャネルごとに一定の増分を利用してもよい。つまり、zm≦zi < zm+1を満たす深度ziではdTi=Δmとしてもよい。再
び図6を用いてこの処理の説明を加える。
初めに初期化(ステップS1)として、初期値ξ0、η0、T0を読み込むとともに、基準深度zm、基準伝播時間Tm、基準伝播時間増分Δmからなるテーブルを読み込む。これらの基
準データは受信チャネルごとに設定されている。
基準深度以外でのアドレス算出(ステップS3)では、伝播時間Tiを式2に従って演算して、この値からアドレス値を求める。このとき、増分dTiはそのときの、基準伝播時間増
分Δmを用いる。一方、基準深度でのアドレス値算出(ステップS4)では、その基準深度
での基準伝播時間Tmからアドレス値を求める。
これ以降の処理は上記と同様である。つまり、アドレス値から実際の読み出しアドレスを算出し(ステップS5)、読み出しカウンタ値を増加させ(ステップS6)、読み出し終了まで処理を繰り返す。
基準伝播時間増分Δmは各基準深度zmの間隔ごとに設定されたものであればよく、例え
ば式7、式8を利用して算出されたより精度の高い超音波伝播時間の曲線に各基準深度zmの間隔ごとにフィッティングした傾きを利用できる。隣接する2つの基準深度zm, zm+1の間での基準伝播時間Tm, Tm+1の変化を利用してもよい。この場合は隣接する基準伝播時間Tmから基準伝播時間増分Δmを簡素に計算できる(Δm=dz・(Tm+1-Tm)/(zm+1-zm))ため基準伝播時間増分Δmをテーブルに格納する必要がない。
本例では増分dTiを求める演算処理が省略あるいは簡素化できるため、演算処理が小さ
くなり、実現するデジタル回路が格段に省略できる。一方近似精度は式3、式4、式5を用いた場合より悪くなるため、より多くの基準深度zmにおける基準伝播時間Tmが必要になるため、格納するメモリ容量が増加する。
また、上記例では深度刻みdzを一定としているので、基準伝播時間増分Δmを利用して
いるが、深度刻みdzが変化する場合は基準深度間での伝播時間の増加率を利用すればよい。すなわち、dTi=dzi・(Tm+1-Tm)/(zm+1-zm)により伝播時間を求めればよい。いずれの
場合も、基準深度間における超音波伝播時間増分は、隣接基準深度における基準伝播時間の変化量に基づいて求められているといえる。
・深度の多項式による増分dTiの近似
式3〜5の近似漸化式による計算と線型補間による計算の中間として、各基準深度zmごとに伝播時間増分dTiを深度の多項式で近似することもできる。
Figure 0005645421
ここで、dTi (m)はある受信チャネルについて、基準深度zmと基準深度zm+1の間で使用する超音波伝播時間増分である。F(x)(zi-zm)は深度ziと基準深度zmの差(zi-zm)の多項式であり、受信チャネル、基準深度ごとにその係数がきめられる。係数は例えば式7、式8を利用して算出された値にフィッティングして決められる。ハイドロフォンなどの点状音源からの超音波パルスを受信した信号の実測値をもとにフィッティングを行ってもよい。
図6に示した処理の流れにおいて、初期化時(S1)と基準深度での更新時(S4)に、基準深度zm、基準伝播時間Tmに加えて多項式F(x)(zi-zm)の各係数を初期化、更新する必要
がある。本方式では、多項式の係数を基準深度ごとに格納する必要があるが、超音波伝播時間増分を一定とする場合に比べて近似精度が増加するので、基準深度の数が少なくて済むという利点をもつ。また、式3、式4、式5を用いた場合より近似精度は劣化するが、超音波伝播時間増分dTiの計算が簡略できるという利点を有する。
・その他
超音波伝播時間増分dTmの近似方法としては、少数のパラメタで表現でき、簡略に数値
化できるものであればよく、多項式以外に、スプライン関数やウェーブレット関数、各種直交関数展開などが利用できる。何れも隣接基準深度間で式7、式8を利用した計算値や実測値にパラメタフィッティングを行い、上記同様に基準深度での更新時にパラメタの更新を行って、基準深度間での漸化式計算式2にパラメタで指定した近似関数を利用することができる。
以上では主に受信時のビームフォーミングのためのメモリアドレス計算に本発明を利用する例について記載したが、送信時のビームフォーミングに本発明を適用して遅延制御を行うこともできる。
以上の説明は、おもに超音波を被検体に照射してその反射超音波(エコー)を受信して画像化する超音波エコー診断装置を例に説明した。しかしながら、パルス光を被検体に照射して光音響効果によって生じる光音響波(超音波)を受信して画像化する光音響イメージング装置でも、同様の受信ビームフォーミングを行う必要があるので同様に適用できる。
また、被検体とトランスデューサアレイの間に、介在板や音速の異なる層が1つある場合を例に説明したが、このような層が2つ以上あっても構わない。また、このような音速の異なる層が存在しない場合に本発明を適用しても構わない。
以下に本発明を超音波画像診断装置に適用する場合の例を、実施例を用いてより詳細に説明する。
[全体構成]
本実施例に係る超音波画像診断装置(超音波エコー診断装置)について図1を用いて説明する。
図1(a)は、本実施例に係る超音波画像装置の構成を示す。図1(b)は、本実施例に係わる超音波画像装置に於ける超音波ビームを示す。図1(c)は、図1(b)に示した超音波ビームに対応して超音波画像装置で形成される画像あるいは画像データを示す。
図1(a)で、301は入力部、302は制御部、303は送信部、304は送受開口選択スイッチ、305はトランスデューサアレイ、306は介在板、307は被検体、308は受信ビームフォーマである。また、309は信号処理部、310は画像処理部、3
11は表示部を示す。
入力部301は被検体を撮像する上での条件に基づいた各種パラメタを制御部302に入力するためのものであり、一般的なスイッチ、ボリューム類あるいはキーボード等からなる。入力するパラメタは一般の超音波画像診断装置と同等であるが、本実施例に関して特に特徴的なものとして、介在板306の厚みと音速及び被検体307の音速が入力される。但し、本超音波画像装置を超音波マンモグラフィーとして構成し、介在板306が被検体307である***を固定する圧迫版であるような場合には、介在板306の厚み及び音速は予め既知で装置に固定的である。このような場合は、これらのパラメタは制御部302内の不揮発性メモリなどに予め格納されていてもよい。また、被検体307の音速は、撮像する被検体307の部位により、予め格納された数種類の値より選択したり、予め格納されている代表値を用いても良い。
制御部302は入力されたパラメタに基づいて、超音波画像装置を初期化し各種設定を行ったのち、他の各手段を制御する。制御部302は、初めに送信制御信号を送信部303に送り、送信遅延が与えられた送信超音波駆動パルスを発生させ、同時に、送受開口選択スイッチ304で送受開口の選択と送信用への切り替えを行う。続いてトランスデューサアレイ305よりの超音波パルスの送信終了直後に送受開口選択スイッチ304を受信用に切り替える。その後受信ビームフォーマ308、信号処理部309の処理を制御し、送受開口選択スイッチ304で送受開口を新たに選択し、以上の制御動作を繰り返すことで超音波送受ビームの走査を行う。1フレーム分の走査が終了した時点で、画像処理部を制御してフレーム画像を作成する。
送信部303では、制御部302からの送信制御信号をもとに、トランスデューサアレイ305上の各トランスデューサを駆動して超音波を発生するための送信駆動パルスを生成する。さらに同時に、送信収束ビームを作成するために、送信焦点とトランスデューサアレイ305上の各トランスデューサの位置に合わせた遅延を、各トランスデューサの送信駆動パルスに与える。また後述するように、送信用開口を構成するために送受開口選択スイッチ304で選択されたトランスデューサのみに対して、送信駆動パルスの生成とその遅延が行われる。
ここで与える遅延は送信ビームを収束するためのものである。送信では、パルス状の超音波を一瞬送信するだけなので通常一つの焦点のみしか設定できない。そのため、設定する遅延時間の組の数は少なくてすみ、制御部302に各遅延時間の量を格納しておいてもメモリ量の大幅な増加とはならない。そのため、焦点に対し、予め計算された屈折補正遅延量を制御部302に格納しておいて使用することができる。
さらに、送信ビームの収束性は、受信ビームの収束性ほど画質には関与しないため、屈折補正を行わない従来の遅延制御処理と同様に行ってもよい。この場合には簡単な演算処理で遅延制御が行われるため装置構成が簡略化されるが、特に以下に示す平均音速近似による遅延量算出が有効である。
Figure 0005645421
ここで、Vtisは被検体307での音速、Vmは介在板306での音速、dは介在板306の厚み、fは送信焦点距離でトランスデューサアレイ305から送信焦点までの深度であ
る。これらは入力部301より入力パラメタとして入力するか、あるいは介在板306が固定板などのように装置に固有の場合には、その一部は事前に決まったもとのとして、制
御部302に格納されている。xはトランスデューサアレイ305上でのトランスデュー
サの位置を、その送信ビーム中心から測ったものであり、トランスデューサアレイ305のトランスデューサ素子間隔と送信ビーム中心からの素子の位置で決定される。この式を適用して開口を形成する各トランスデューサに対応した各送信チャネルに対して、所望の送信焦点位置に対する遅延量が演算される。
上式は、トランスデューサと焦点を結ぶ直線上を超音波が伝播するとして音速の差を考慮して遅延時間を求めたものである。屈折による影響は考慮されないが、音速が異なる媒質中での各々の伝播時間は近似的に補正されている。特に演算として従来の一様音速中での遅延時間を求めるもと類似しており、演算量の増加も少ないため、従来の遅延量算出デジタル信号処理回路に若干の変更を加えることで実現可能である。このような演算処理をおこなうことで事前に各遅延時間量を格納することが不要となる。
送信部303より生成され遅延を与えられた送信駆動パルスは、送受開口選択スイッチ304を介して、トランスデューサアレイ305上の送信開口を形成する各トランスデューサへ入力され、各トランスデューサより超音波パルスが送信される。
トランスデューサアレイ305は、トランスデューサ(送受信素子)を複数有している。これらのトランスデューサは1次元状に配列されており、送受信超音波の遅延制御によるビーム形成処理により、送受信ビームの焦点位置を切り替え可能である。トランスデューサアレイは、超音波の送信と受信を行うものであり、超音波送信部と超音波受信部とを兼ねる。送受開口選択スイッチ304はトランスデューサアレイ305上の各トランスデューサと送信部303の各送信チャネル、受信ビームフォーマ308の各受信チャンネルを切り替え、接続するものである。各トランスデューサの送信・受信の切り替えを行うと同時に、トランスデューサアレイ305上で開口部分を選択し、選択するトランスデューサを切り替えることで開口を移動させ、超音波送受信ビームの走査を行う。送受開口を形成するトランスデューサの数は、例えば、数十個程度とする。
図1(b)を用いて超音波送受信ビームの走査を説明する。但し説明の簡単のために介在板306は図示しない。トランスデューサアレイ305上の一部のトランスデューサ(図では三個のトランスデューサのみ示す)を使用して開口312を構成する。開口312の各トランスデューサから送信された超音波が合成され、超音波送信ビーム313が形成される。また受信時には開口312の各トランスデューサから取得される受信信号を処理することで同様に超音波受信ビーム313が形成される。超音波ビーム313の中心は超音波ビーム走査線314を形成する。このような超音波送受信ビーム313により超音波ビーム走査線314にそった領域での被検体構造組織315の超音波エコー信号が得られる。超音波エコー信号は、超音波ビーム走査線314にそった領域での被検体の音響構造を反映し、超音波パルス伝播とともに深度に応じた時間位置に反射信号が現れる。
送受開口選択スイッチ304を切り替え、開口312を構成するトランスデューサを順次選択していくことで開口312をアレイの配列方向へ移動させる。これにより、超音波ビーム走査線314を平行に移動させられ、被検体の音響構造を反映した超音波の反射信号の断面データが得られる。
本実施例では、送受開口選択スイッチ304の切り変えで開口312を移動させ、超音波ビーム走査を行うものである。送信部303で駆動パルスの印加する送信チャネル数及び受信ビームフォーマ308で受信信号の処理を行う受信チャネル数を、開口312を構成するトランスデューサの数と同じにすることができる。このように、送信チャネル数および受信チャネル数をトランスデューサアレイ305の全トランスデューサ数より少なくすることができ、回路構成を簡略化できるという利点を有する。しかしながら一般には送
信部303の送信チャネル、受信ビームフォーマ308の受信チャネルを開口312のトランスデューサ数より多く、特にトランスデューサアレイ305の全トランスデューサ数と同数にしても良い。
また上記説明で送信時と受信時で開口312のトランスデューサ数を同数としたが、送受信で開口312の大きさを変更することもできる。また図1(b)において、説明の簡単のために送受信の超音波ビームを超音波ビーム313で共通に図示したが、一般には送受信のビームの形状は異なっていてもよい。
トランスデューサアレイ305より送信された超音波パルスは介在板306を介して被検体307に送信される。介在板306はほぼ平行平板と考えられるもので、その厚みと音速が既知であり、被検体307と音速が異なるためビーム形成時の遅延制御に補正が必要となる媒質であればどのようなものでも良い。例えば、トランスデューサアレイ305の配列方向並びに超音波送信方向と垂直な方向に超音波を収束させる音響レンズや、トランスデューサと被検体307の音響インピーダンスの差による超音波の反射を抑制するための整合層でもよい。これらのように被検体307とは音速が異なるが厚さが薄い層であってもよい。あるいは、被検体307を固定するための固定板や、被検体307の形状により直接トランスデューサアレイ305に接触できない場合に使用するスタンドオフなど、被検体307とは音速が異なり厚さが厚い層でもよい。さらに、被検体内での脂肪層としてもよい。脂肪層の場合は始めに屈折の補正を行わない通常の遅延制御による超音波の送受信によって得られた画像より、脂肪層の厚みを計測し、また通常の脂肪層の平均的な音速を利用することができる。これらを介在板306の厚みとして入力部301より入力することで、屈折補正を行った鮮明な画像を得ることができる。
介在板306を通過して被検体307へ送信された超音波パルスは被検体307内の各部位で反射され、反射された超音波は再び介在板306を介してトランスデューサアレイ305の開口で受信される。開口上の各トランスデューサでは受信した超音波を電気的な受信信号に変換し、各受信信号は受信用に切り替えられた送受開口選択スイッチ304により受信ビームフォーマ308へ入力される。受信ビームフォーマ308では入力された各受信信号から受信ビームを構成するようにして加算して、受信ビーム走査線に対応した整相加算信号を作成し、信号処理部309へ出力する。信号処理部309は整相加算信号に帯域フィルタリング処理、検波処理、ダイナミックレンジ変換処理などを行い、超音波の反射強度に対応した輝度(強度)の信号を生成し、画像処理部310へ入力される。
図1(b)と図1(c)を用いて以上の対応関係を説明する。図1(c)中の317は1つの受信チャネルから得られる輝度信号列である。輝度信号列317は、図1(b)での超音波ビーム走査線314上での超音波受信ビーム313より、上記受信ビームフォーマ308、信号処理部309を通して作成されたものである。輝度信号列上での輝度(強度)の値は超音波受信ビーム313での反射強度に対応し、その輝度信号列上での位置は超音波受信ビーム313でその反射が当該する部分の深度に対応する。送受信ビームの走査を行って作成される複数の輝度信号列の集合により、被検体307断面の超音波反射強度の二次元分布である1フレーム分の画像データ316が構成される。特に被検体構造組織315の各部の超音波反射率に対応した像分布318が形成される。
以上の動作を行うために、画像処理部310では信号処理部309から入力された深度に応じた順で時系列配列された輝度信号列を一時格納する。超音波ビーム走査に応じて複数の輝度信号列を格納し、1フレーム分の走査が終了した時点で走査変換(スキャンコンバージョン)処理を行う。表示部311は表示走査線の方向を画像横方向にとるラスタスキャンにより表示を行うが、時系列の輝度信号列は被検体207の深度即ち縦方向に配列している。そこで、画像処理部310は、表示部311の表示走査にデータ配列を合わせ
るため走査変換処理を行う。また画像処理部310では同時に、輝度信号列内のデータを表示手段のピクセルと整合させる各種補間処理、座標変換処理、画像フィルタリング処理などを行い、画像表示データを作成する。ここでは説明の簡便のため、画像処理部310の基本動作のみを記載したが、画質向上のための諸動作を追加してもよく、動作の仔細の違いも本発明を適用する際の障害とはなりえない。
また画像処理部310では、以上のような超音波の送受信による画像表示データ以外に、種々のデータを合成して画像表示データとして表示部311へ出力しても良い。このようなデータとして、制御部302に格納されている各パラメタ、被検体307の画像観察に有効なスケールなどの各種情報、入力補助のための表示データを挙げられる。
表示部311は、CRT、液晶ディスプレイなどであり、画像処理部310から出力される画像を表示する。
以上の動作を繰り返すことで、被検体307の断層画像がほぼリアルタイムに表示部311に表示される。
[受信ビームフォーマ]
次に図2を用いて受信ダイナミックフォーカスを行う受信ビームフォーマ(受信ビーム形成部)308について説明する。
アンプ付きAD変換器11は、送受開口選択スイッチ304からの受信信号出力の増幅とクロック周波数でのデジタル化を行う。メモリ12は、アンプ付きAD変換器11からの出力デジタル信号を格納する。クロック周波数にしたがって順次デジタル化された受信信号は、受信時間に対応した離散化時系列信号として、メモリ12内に格納される。読み出しアドレス計算部13は、受信ダイナミックフォーカスを行うために、各受信チャネルの各受信焦点での伝播時間に対応した読み出しアドレスを計算する。メモリ読み出し制御部14は読み出しアドレス計算部13からの読み出しアドレス値を用いてメモリ12内のデジタル信号値を読み出す。この読み出しは送信パルスの伝播タイミングに対応して行われ、各受信チャネルに対して受信深度ごとにフォーカスの揃った受信信号振幅値が出力される。加算部15がこれらを加算することで、受信ダイナミックフォーカスされた整相加算信号が得られ、信号処理部309へ出力される。なお、アンプ付きAD変換器11、メモリ12、読み出しアドレス計算部13、メモリ読み出し制御部14は、処理を並列化し実時間で画像化を行うために受信チャネル分用意される。
図2では全ての受信チャネルに関して、アドレス計算部13を具備した構成とした。しかし、トランスデューサアレイ305の構成上、トランスデューサが等間隔で配置され、受信開口を形成するトランスデューサが、その中心に対し対称に配置される場合には、対称な位置にあるトランスデューサでの伝播時間は同じになる。このため、受信開口で対称な位置に対応する受信チャネルについては、その一方のみにアドレス計算部13を設けて、他方ではその出力値を共用することで回路構成を省略することもできる。
図2には、受信ビームフォーマ308をデジタル回路で構成する際の各ブロックの概略を示している。読み出しアドレス計算部13やメモリ読み出し制御部14は、固定的なデジタル回路やFPGAなどのプログラム可能なデジタル回路によって実施できる。また、汎用のプロセッサ(CPU)等を備えるコンピュータによって実施しても構わない。受信ビームフォーマ308において、各受信チャネルが並行して遅延処理を行って受信ビームを形成する。本発明は、このような遅延制御方法として捉えることができる。また、受信ビームフォーマ308をFPGAやCPUで構成する場合は、そのプログラムを本発明の遅延制御プログラムとして捉えることができる。
[[読み出しアドレス計算部]]
次に図3を用いて読み出しアドレス計算部(メモリアドレス計算部)13についてより詳しく説明する。図3では、デジタル回路で読み出しアドレス計算部13を構成する場合の各ブロックの概略を示している。図3に示す構成は、漸化的に読み出しアドレス計算を行っていく際に、前述したように複数の基準深度(基準焦点)で基準伝播時間に基づく較正を加えながら処理を進める実施例である。また本実施例では受信ダイナミックビームフォーミングの受信焦点刻みを超音波画像診断装置での処理の同期のために使用されるシステムクロック周波数の周期に対応して設定する。システムクロック周波数の周期はメモリ12に格納されたデジタル受信信号の時間解像度に対応しており、受信ダイナミックビームフォーミングの受信焦点刻みをこれに対応させることで受信信号の全深度に渡って焦点があった整相加算ができる。これにより超音波画像装置で形成する画像の解像度が向上する。このとき受信焦点刻みはdz、クロック周波数の周期をTclkとすると、dz=Vtis×Tclk
となる。またクロック信号は整相加算のための信号読み出しの基準として使用される。
制御部302は、読み出しアドレス計算部13に、クロック信号6000,基準深度クロック値6001、アドレス較正値6002,較正用パラメタ値6003、開始終了制御信号6006,アドレス増分演算パラメタ6007を出力する。読み出しアドレス計算部13は、制御部302からのこれらの入力を受けて、超音波伝播時間に対応した読み出しアドレス値6005をメモリ読み出し制御部14に出力する。
基準深度クロック値6001は基準深度をクロック周波数の周期単位で測ったものである。クロックカウンタ61は、クロック信号6000を累積してクロック累積値を作成し、クロック周波数周期単位での時間経過をカウントする。
アドレス較正値6002は、各基準深度クロック値6001に対応した基準伝播時間でのアドレス値である。較正用パラメタ値6003は各基準深度クロック値に対応した較正用のパラメタ値である。較正用パラメタ値6003は、例えば、前述の式3、式4、式5を用いて一連の漸化演算を行う場合は基準漸化パラメタξm、ηmである。また、基準伝播時間増分Δmを用いる場合には、その基準伝播時間増分Δmをクロック数に換算したものである。また、近似多項式を使用する場合には、多項式の係数である。これら較正用パラメタ値6003は、制御部302内に基準深度クロック値を指標としたルックアップテーブルとして格納されていればよい。制御部302のルックアップテーブルから読み出された値が、それぞれ一時メモリ601、602、603に格納される。ルックアップテーブルからの読み出し値の更新は、後述の基準深度制御信号6011を制御部302へ送信することにより制御部302で行われる。またルックアップテーブルの冒頭には、走査開始クロック値、屈折補正開始クロック値、走査初期アドレス値、および屈折補正初期アドレス値が格納されている。ここで、走査開始クロック値は、受信ダイナミックフォーカスを開始する時刻に対応するクロック値である。屈折補正開始クロック値は、介在板306厚みを超音波が往復伝播する時間に対応するクロック値である。走査初期アドレス値はダイナミックフォーカスを開始する時刻に対応するアドレス値、屈折補正初期アドレス値は屈折補正を開始する時刻に対応するアドレス値である。これらのアドレス値は、介在板306内での受信ダイナミックフォーカス開始点と介在板306端に受信焦点があるとして、一様音速での通常の遅延制御をおこなう受信ビームフォーミングの読み出しクロックタイミングとアドレス値として求まる。このようにして受信ダイナミックフォーカスや屈折補正を開始するクロックカウント値とそこでの初期アドレス値が指定されるようになっている。
開始終了制御信号6006は、読み出しアドレス計算部13の動作開始終了を制御する信号ある。
アドレス増分演算パラメタ6007は、後述する一様音速アドレス増分演算ブロック6
5、屈折アドレス増分演算ブロック64で演算に用いる演算用パラメタが制御部302から事前に各ブロックにセットされる。具体的には、音速Vtis、Vm、介在板306厚みd、
ダイナミックフォーカスの焦点刻みなどがセットされる。
ここで、本実施例で使用するアドレス値について説明する。メモリ12に格納された信号を読み出すためのアドレス(番地)は整数である。しかしながら本実施例でのようにシステムクロックに対応して受信ダイナミックフォーカスの焦点刻みを設定すると、超音波伝播時間に対応した時間は実数値となる。本実施例では、漸化的にアドレス計算を行うため、アドレスを整数で記述するとアドレス値の丸め誤差が発生する。丸め誤差が発生すると、整相加算の時間精度が劣化し、さらには画像解像度が悪化する。これを防ぐため本実施例では整数部分と小数部分を含んだ実数形式でアドレス値を計算する。即ちアドレス値の上位ビットを整数部分、下位ビットを小数部分として使用する。またアドレス値の上位ビット整数部をアドレス値整数部、アドレス値の下位ビット小数部をアドレス値小数部という。アドレス値小数部のビット数は必要な精度が確保できるものであればよく、クロック周波数や撮像の深度、使用超音波の周波数にも依存するが2〜8ビット程度が望ましい。
さらに、後述のメモリ読み出し制御部14では、実数のアドレスを切り上げおよび切り捨てした2つのアドレスの受信信号値に、アドレス値小数部を用いた補間を行う。これによりメモリ12内に格納された受信信号のシステムクロック周波数周期の時間解像度を補間してより精度の高い整相加算処理が可能となり、システムクロック周波数周期にあわせた受信ダイナミックフォーカスとあわせて、更なる解像度の向上がなされる。このように、読み出しアドレス計算部13内部で使用するアドレス値は、制御部302のルックアップテーブルから得られるアドレス較正値6002を含めて、実数アドレス値である。また以降の説明でもアドレス値はこの意味で用いる。
以下に、アドレス計算部13内の各ブロックの説明を、全体動作とともに説明する。
制御部302から、基準深度クロック値6001、アドレス較正値6002が送られ一時メモリ601,602に設定された後、開始のタイミングで開始終了制御信号6006が送られる。比較器62は、開始終了制御信号6006を受けると、一様音速アドレス増分演算ブロック65の動作開始を指示する増分演算制御信号6010を出力する。比較器62は、さらに、切り替え器66が一様音速アドレス増分演算ブロック65の出力を一時メモリ604に出力するように設定する。
クロックカウンタ61のクロック累積値が、一時メモリ601内の基準深度クロック値6001(この場合には走査開始クロック値)と一致すると、比較器62から基準深度制御信号6011が切り替え器67,68、制御部302に出力される。切り替え器67は基準深度制御信号6011の入力によりアドレス較正値6002(この時点では走査初期アドレス値)を一時メモリ605へ格納し、初期のアドレス値として設定する。制御部302は基準深度制御信号6011の入力を受けて、一時メモリ601、602、603内の基準深度クロック値6001、アドレス較正値6002、較正用パラメタ値6003を更新する。このとき一時メモリ601には基準深度クロック値6001として屈折補正開始クロック値、一時メモリ602内のアドレス較正値6002としては屈折補正初期アドレス値が格納される。また一時メモリ603内の較正用パラメタ値6003としては屈折アドレス増分演算の初期パラメタが格納される。
一様音速アドレス増分演算ブロック65は、クロック信号6000に同期して介在板306内でのアドレス増分値6004を演算する。上述のようにダイナミックフォーカス処理開始時には、一様音速アドレス増分演算ブロック65から出力されるアドレス増分値が
、切り替え器66から出力されて一時メモリ604に格納される。加算器69は、一時メモリ604内のアドレス増分値と、前クロックで算出され一時メモリ605に格納された出力アドレス値とを加算して、出力アドレス値6005を計算する。このようにして、クロック信号6000に同期して、受信焦点の深さに対応したアドレス値が漸化式的に計算して順次出力することができる。
時間の経過とともに受信焦点が深くなり、やがて、受信焦点が介在板306と被検体307の境界に到達する。このとき、クロックカウンタ62のクロック累積値は屈折補正開始クロック値である。比較器62は、クロック累積値がメモリ601内の基準深度クロック値6001(この時点では、屈折補正開始クロック値)と一致すると、増分演算制御信号6010を出力する。ここでの増分演算制御信号6010は、一様音速アドレス増分演算ブロック25の動作終了と、屈折アドレス増分演算ブロック64の動作開始を指示するものである。比較器62はまた、切り替え器66が屈折アドレス増分演算ブロック64からの出力を一時メモリ604に出力するように設定する。これ以降、再度開始終了制御信号6006の入力があるまで、増分演算制御信号6010の出力を停止する。
クロック累積値が屈折補正開始クロック値と一致したとき、比較器62はまた、基準深度制御信号6011を、切り替え器67、68および制御部302に出力する。基準深度制御信号6011により切り替え器67は一時メモリ602内の屈折補正初期アドレス値を一時メモリ605へ格納し、一時メモリ603内の屈折アドレス増分演算の初期パラメタを屈折アドレス増分演算ブロック64へ入力する。制御部302は、基準深度制御信号6011の入力を受けて、一時メモリ601、602,603内の基準深度クロック値6001、アドレス較正値6002、較正用パラメタ値6003を、ルックアップテーブル内に格納されている次の基準値に更新する。
屈折アドレス増分演算ブロック64は、クロック信号6000に同期して介在板306による屈性補正を行ったアドレス増分値を演算し、一時メモリ604へ格納する。以下介在板306内における受信ダイナミックフォーカスと同様に、受信焦点の深さを深くするに応じて順次、算出されたアドレス増分値を前クロックでのアドレス値に加算して出力アドレス値6005を求める。
このように、クロック信号6000に同期して、受信焦点の深さに対応したアドレス値が漸化式的に計算して順次出力することができる。クロック累積値が一時メモリ601内の基準深度クロック値6001に一致した場合には、次の基準深度でも同様の補正が行えるように、補正用の一時メモリを更新する。つまり、基準深度クロック値6001やアドレス較正値6002、較正用パラメタ値6003を制御部302のルックアップテーブルに格納された次の値に更新する。以上の動作を繰り返し、開始終了制御信号6006より終了の信号が得られた時点で動作を停止する。
なお一様音速アドレス増分演算ブロック65または屈折アドレス増分演算ブロック64の出力と加算器69の加算、一時メモリ605内の出力アドレス値6005読み出しは、クロック信号に同期されていれば、クロックの1増分ごとに行われる必要はない。一様音速アドレス増分演算ブロック65または屈折アドレス増分演算ブロック64での演算処理に時間が掛かる場合には、その演算時間にあわせ、各ブロックの出力にあわせクロック信号の数クロックごとに加算出力動作を行ってもよい。その場合には制御部302内のルックアップテーブルに記載される基準深度クロック値6001をこの出力動作に合わせたタイミングで記載しておけばよい。
以上に述べたアドレス計算部13の実施例では、複数の基準深度に基づいて基準伝播時間に基づく較正を加えながら処理を進める実施例を説明した。しかし、このような補正を
行わないときには、超音波伝播時間やそれに対応するアドレスの更新を行う必要がないため構成の一部を簡略化できる。
一様音速アドレス増分演算ブロック65内の処理に関しては、従来技術と同様の処理を行えばよいので説明は省略する。
[[[屈折アドレス増分演算ブロック]]]
次に屈折アドレス増分演算ブロック64内処理の実施例に関して図4を用いて説明する。本実施例では式3、式4、式5を用いた漸化式演算を実施するためのものである。図4(a)に式3、式4、式5を用いた漸化式演算処理の概略ブロックを示す。ここでは説明を明瞭にするため、式との対応が比較的わかり易い構成としたが、本発明の実施形態は本構成にとらわれるものではない。
このブロック図は、大きく分けて、演算を行う演算サブブロック(実線で図示)、計算途中の値を格納する一時メモリ(点線で図示)、計算途中で変化しないパラメタを格納する一時メモリ(二重線で図示)から構成される。
一時メモリ701、702、703、704、705、706、707,708,709は演算途中の中間値を格納する。これらの一時メモリは、主に演算中の処理のタイミングを合わせる目的で設けている。但し、上記一時メモリは式3、式4、式5の各変数に対して説明のわかりやすさを目的に記載したものもあり、特に一時メモリ704,705、706などは必須のものではない。
一時メモリ710、711、712、713、714,715は漸化式による一連の漸化演算の演算途中でその値が変化しない計算パラメタを格納する。これらの計算パラメタは、演算動作開始時に、アドレス増分演算パラメタ6007として制御部302より与えられる。これらの一時メモリを特にパラメタメモリとよぶ。
演算サブブロック71,72,73,74,75,76,77,78は各々図示した演算を行う部分をサブブロックとして示したものである。
漸化演算の始めに、較正用パラメタ値6003として与えられた値が、一時メモリ701,702,703に格納される。メモリ701に格納された値とパラメタメモリ711に格納された値を用いて演算サブブロック71で式4.(b)右辺の分子部分の演算を行い演算サブブロック73に出力する。演算サブブロック72は一時メモリ701,702に格納された値を用いて式4.(a)右辺に示した演算を行い、一時メモリ704に格納する。演算サブブロック73では、演算サブブロック71よりの出力、一時メモリ703、704に格納された値、パラメタメモリ712に格納された値を用いて式4.(b)右辺に示した演算を行い、結果を一時メモリ705に格納する。演算サブブロック74は一時メモリ704.705に格納された値を用い式4.(c)右辺に示した演算を行い、結果を一時メモリ706に格納する。演算サブブロック75は一時メモリ701、705に格納された値を用い式3.(b)右辺に示した演算を行い、結果を一時メモリ707に格納する。演算サブブロック76は一時メモリ702、706に格納された値を用い式3.(c)右辺に示した演算を行い、結果を一時メモリ708に格納する。演算サブブロック77は一時メモリ703に格納された値とを用いパラメタメモリ710に格納された値を用いて式3.(d)右辺に示した演算を行い、結果を一時メモリ709に格納する。
この時点で一時メモリ707,708,709に格納された値は漸化式による第一のステップの漸化計算を終えた値が格納される。一時メモリ707,708,709に格納された値をそれぞれ一時メモリ701,702,703へ格納しなおして、第二のステップ
の漸化計算を進める。同時に一時メモリ707に格納された値は演算サブブロック78へ入力され、ここでパラメタメモリ714、715に格納された値を用いて式3.(a)に示した演算を行って屈折補正を行った伝播時間増分を求める。さらにこれを式11などによりアドレス換算し、アドレス増分値6004を得る。
これを繰り返し漸化計算のステップを順次進めていくにつれ、受信ダイナミックフォーカスの受信焦点刻みで受信焦点が深くなる際のアドレス増分値6004が順次演算されていく。求められたアドレス増分値6004は一時メモリ604に格納される。
本実施例では、屈折アドレス増分演算ブロック64内での演算量が多く、システムクロックに同期させて動作させた場合には、1クロックの周期以内に演算処理が行われない場合がある。このような場合にはアドレス計算部13内で各ブロックのクロック同期を調整する必要がある。さらにはアドレス値の演算間隔がシステムクロック周期の数分の一に落ちるため、処理時間が遅くなる。これを防ぐ意味で図4(b)に示すように、屈折アドレス増分演算ブロック64をパイプライン構成で構成することもできる。図4(b)では、図4(a)でブロック部分79を複数個と、FIFO型のメモリ710でパイプラインを構成している。ここでは説明のため4段のパイプライン構成としたが、パイプラインの段数はブロック79の演算時間によって設定される。パイプライン処理では加算器69の出力読み出しとして必要とされるタイミングに先立って処理の開始を行い、FIFO型メモリ710に一旦格納されたアドレス増分値6004を加算器69の処理タイミングで読み出して一時メモリ604へ格納していけばよい。この場合には、漸化処理の初期値が必要となるため、一時メモリ603への較正用パラメタ値6003の読み込みを先読みしておけばよい。
上記の屈折アドレス増分演算ブロック64の実施例は、演算処理アルゴリズムを実施するための例であり、特に式3、式4、式5に従った処理の説明を判りやすく示す例であるため、処理構成の一部省略や変更を行って回路構成の簡略化を測ってもよい。
さらに前述のように、式3、式4、式5を用いるのではなく、アドレス増分を部分的に一定とした基準伝播時間増分dTiをもちいたり、多項式近似的をもちいることで、屈折ア
ドレス増分演算ブロック64の処理を簡素化することもできる。
[[メモリ読み出し制御部]]
次に図5を用いてメモリ読み出し制御部14の実施例について説明する。本実施例ではメモリ読み出しアドレスを実数として計算しているので、従来より高精度の受信ビームのフォーカスが行えるという利点がある。以下に説明するメモリ読み出し制御もこの利点を効果的に利用するためのものである。具体的には、メモリ12より読み出した時間的に連続するふたつの受信信号値を用いて、出力アドレス値6005の小数アドレス部分に対応する補間を行う。これにより、メモリ12に格納した受信信号の時間解像度より細かい精度の計算が可能となる。ただし、以下に説明する受信信号補間による受信信号読み出しは本発明に必須のものではなく、また補間方法も例示にすぎず、補間する信号値をふたつ以上にとったりすることができ、具体的な補間演算の処理は以下の方法に限定されることはない。
図5中、81、82、83は一時メモリであり、それぞれ、読みだしアドレス計算部13よりの出力アドレス値6005、メモリ12より読み出した時間的に連続するふたつの受信信号値が格納される。一時メモリ81、82、83は特に必須ではないが、処理の同期をとるため、及びここでの説明のわかりやすさのために設ける。84は減算器、85は乗算器、86は加算器である。
一時メモリ81に格納された出力アドレス値6005は、上位ビット部であるアドレス整数部801と、下位ビット部であるアドレス小数部208とからなる。アドレス整数部801はメモリ12内に格納された時系列デジタル受信信号のうちの特定時間に対応する信号値を指定して読み出すために用いられる。以下の説明のため、一時メモリ81に格納されたアドレス整数部をn、アドレス小数部をqで表す。
メモリ12より、アドレス整数部801で指定したアドレスの受信信号値と、時間的に連続した部分に対応する次アドレスの受信信号値が、それぞれ一時メモリ82、83に格納される。ここで一時メモリ82に格納された受信信号値をSn、一時メモリ83に格納された受信信号値をSn+1と表す。下付き番号nはアドレス整数部801で指定したメモリアドレスを表す。
減算器84は一時メモリ82に格納された受信信号値Snから、一時メモリ83に格納された受信信号値Sn+1を減算し、その結果を乗算器85へ入力する。乗算器85は減算器84の出力と一時メモリ81に格納されたアドレス値のアドレス小数部qを乗算して、加
算器86へ入力する。加算器86は乗算器85と一時メモリ83に格納された受信信号値をSn+1を加算して加算部15へ出力する。
以上の演算により、以下の計算が行われることになる。
Figure 0005645421
これにより、時間的に隣接する受信信号値Sn、Sn+1に対してアドレス小数部qにより
補間を行った値が加算部15へ出力される。この補間により、メモリ12にはシステムクロック間隔によって決められる時間刻みで受信信号が格納されているが、その中間の時間の超音波伝播時間に対応する受信信号を得ることができる。このため整相加算を行う受信信号値の時間精度が、クロック周波数の周期で丸められることがなく、精度よく整相加算が行われる。
その後、前述した加算部15以下の処理により、各受信チャネルの受信信号が整相加算され、信号処理部309、画像処理部310を介して超音波断層画像が表示部311へ表示される。
本実施例中では、超音波送受信ビームの走査を、トランスデューサアレイ305の開口を構成する一部トランスデューサの選択と、その移動による所謂ライン走査に関するものとして説明を加えてきた。これは説明の煩雑さを防ぐためのものであり、トランスデューサアレイ305全体を開口としてもよい。この場合、各トランスデューサの送受信制御を利用して、超音波送受信ビームの送受信方向を変化させて走査を行うセクタ走査方法をおこなう超音波画像診断装置に本発明を適用することも可能である。その場合には、受信焦点の位置をトランスデューサアレイ305中心の直下に配列するのではなく、トランスデューサアレイ305中心を扇状の要とする放射線状に広がる超音波受信ビームに上に設定すればよい。超音波受信ビームの1つに対して、受信焦点の深度が深くなる順に、各トランスデューサまたは受信チャネルごとに、超音波伝播時間を求める近似漸化式を用いて、受信メモリのアドレス位置を順次漸化的に求める。このアドレス位置を用いて読み出した各トランスデューサまたは受信チャネルの受信信号値を整相加算することで、その超音波ビームに対する整相換算信号が得られる。超音波受信ビームの方向を変え、ビームを走査することで、前記同様に超音波断層画像を作成し表示することが可能である。
本発明の第二の実施例は、光音響波を用いた光音響映像法の超音波画像装置である。光音響映像法では、パルスレーザ光を被検体に照射し、熱膨張によって誘起される光音響波である超音波を検出して被検体内部構造を画像化する。
光音響映像法の具体的な手順として、例えば特表2001-507952号公報において次のよう
に開示されている。
(1)被検体表面に2次元配列トランスデューサアレイ(2次元配列受信素子アレイ)を
位置決めし、被検体に単パルスの電磁エネルギーを照射する。
(2)電磁エネルギーの照射直後から、各トランスデューサ(各受信素子)の受信光音響
信号をサンプリングして記憶する。
(3)映像化する被検体内の点r'について、光音響波が点r'から各トランスデューサの位
置rに達する伝播時間を計算し、伝播時間に対応する各トランスデューサの信号を加算し
て点r'の画像値とする。
(4)画像化する各点r'についてステップ(3)を繰り返す。
また、特開2005-21380号公報には、光音響映像法による画像と通常の超音波エコー画像の双方を、共通のトランスデューサを使用して交互に再構成する装置が開示されている。
このように、光音響映像法においても光音響波の発生点より各トランスデューサまでの光音響波の伝播時間を計算し、それを用いて時系列の受信光音響信号の位相を一致させて加算する必要がある。このため、光音響波の伝播経路に音速が異なる層が存在し屈折が生じると、超音波パルスエコー法の受信時と同様に、受信光音響信号の位相が一致せず、作成する画像解像度が低下する。本実施例は、このような光音響映像法に本発明の超音波伝播時間の補正を適用し、作成する画像解像度の低下を抑制するものである。
図9を用いて、光音響映像法による三次元画像再構成方法をより具体的に説明する。
図9(a)は光音響映像法における三次元画像再構成のためのボクセルデータ構造の概念図である。図9(b)は光音響映像法において特定のボクセルでのデータを作成するための概念を説明する図である。図9(c)は本実施例における処理方法を説明するための図である。
図9で305はトランスデューサアレイである。但し、前述の超音波エコー法とはことなり、ここでは三次元画像再構成のために二次元配列をとる。また光音響映像法では、トランスデューサアレイの各トランスデューサはレーザ照射による光音響波である超音波の受信のみを行う。
図9(a)で91は三次元ボクセル配列を表す。被検体中の撮像領域を仮想的に格子状に区切ったデータ構造をボクセルデータ配列という。これに対応する格子構造をボクセル配列、それを構成する単位格子をボクセルと称する。またボクセルデータ配列に格納されたデータ群をボクセル配列データという。光音響映像法による三次元画像再構成では、各ボクセルで発生する光音響波の強度を評価し、これを照射レーザ光吸収量として画像輝度に変換して、ボクセルデータ配列に格納する。このようにして得られた画像輝度データ(輝度ボクセル配列データ)をもとに三次元画像の表示や断層画像の再構成表示を行う。
図9(b)で91aは三次元ボクセル配列91内の特定のボクセルを表す。92はボクセル91aからトランスデューサアレイ305の各トランスデューサまでの光音響波の伝播経路を表す。ボクセル91aで発生する光音響波の強度は、トランスデューサアレイ305の各トランスデューサで受信された時系列の受信光音響信号を基に評価される。即ち、ボクセル91aからトランスデューサまでの伝播時間に応じた部分の受信信号の振幅値を、それぞれのトランスデューサについて求めて加算することで、ボクセル91aで発生
する光音響波の強度を求める。
このとき被検体が一様音速である場合には、ボクセル91aと各トランスデューサの幾何学的位置関係と、被検体の音速より伝播時間が単純に求められる。一方、被検体とトランスデューサアレイ305間に音速が異なる介在板が存在する場合、あるいは被検体の表面近傍が層状をなし、下層部と音速が異なる場合には、本発明に基づく処理により屈折の効果を含めた伝播時間が求められる。
なお、ここでは図表示の煩雑さを除くために、介在板の表示は省略している。また、各トランスデューサの位置や開口の大きさ、向きによるボクセル91aを見込む立体角の変化を較正し、ボクセル91a内で発生する光音響波強度の評価の精度を上げるために、各トランスデューサ信号の加算時に重み付け加算を行ってもよい。さらにはトランスデューサ自体の感度分布による角度指向性を考慮した重み付けを行ってよい。これらの詳細に関しては、特に被検体と異なる音速層の介在による伝播時間に屈折補正を旨とする本発明とのかかわりで二次的事項のため、ここでは詳しい説明を省略する。
本発明を光音響映像法に適用した処理の概略を図9(c)を用いて説明する。91bはボクセル配列91のうち、被検体深さ方向に配列したボクセル列である。93はこのボクセル列91bの中心軸を表す。ボクセル列中心軸93は被検体深さ方向に、二次元トランスデューサアレイ305の配列平面に対し略垂直に伸びている。
94はトランスデューサアレイ305内の任意のトランスデューサである。ここで、ボクセル列中心軸93とトランスデューサ94の距離、即ちトランスデューサ94からボクセル列中心軸93へ下ろした垂線の長さをxとする。今後このxをトランスデューサ・ボクセル列間距離という。
このとき、ボクセル列91b上の各ボクセルの深さ方向の間隔を、焦点の深さの刻みdz、トランスデューサ位置xを垂線の長さとすると、光音響波の伝播時間Tは式1と同じになる。このため、たとえば音速が異なる介在板と被検体の界面のボクセルで伝播時間を求めておけば、ボクセル列中心軸93にそって深さがdzずつ深くなる各ボクセルに関しても、順次漸化的に光音響波伝播時間増分を求めていくことで演算できる。具体的には、式2、式3、式4、式5を用いて順次漸化的に光音響波伝播時間を演算すればよい。前述の超音波エコー法を用いた装置と同様に、初期の光音響波伝播時間は一様音速の場合として求めることができる。また、初期値として任意の深さのボクセルに対して、式7、式8を用いた値を用い、深さが浅くなる方向に順次漸化的に光音響波伝播時間を演算してもよい。あるいは漸化的演算の途中で、近似誤差の蓄積を抑制するための較正を行ってもよい。さらに、漸化式の近似に多項式近似、直交関数系を用いてもよい。これらは超音波エコー法を用いた装置と同様に行うことができる。
このように深さに応じて漸化的に求めた光音響波の伝播時間を用いて、トランスデューサ94で受信された時系列の受信光音響信号のうち、ボクセル列91b上の各ボクセルから発生する光音響波強度の成分を抽出できる。このようにして得た各ボクセルから発生した光音響信号の寄与を、対応するボクセルデータ配列のデータに加算して再度格納する。次にボクセル列91bを動かし同様のことを繰り返す。これを繰り返すことで、三次元ボクセル配列91に対応するボクセルデータ配列の各データに対して、トランスデューサ94で受信された受信光音響信号による寄与を加算していくことができる。これをトランスデューサアレイ305の各トランスデューサについて行うことで、三次元ボクセル配列91に対応するボクセルデータ配列の各データに、位相が揃った受信光音響信号の加算値が得られる。
上記では説明の簡単のため、全てのボクセルとトランスデューサの組み合わせに関して光音響波の伝播時間を計算するものとした。しかし、ボクセル配列91の設定とトランスデューサアレイ305のトランスデューサ間隔の設定によっては、伝播時間の計算を共通化して行うこともできる。即ち、伝播時間は光音響波の伝播経路によって決まり、各ボクセルと各トランスデューサ、介在板の幾何学的な配置によって決定される。例えば、あるトランスデューサとボクセルの組についての伝播時間は、トランスデューサとボクセルをそれぞれ同じだけ平行移動した組についての伝播時間と同じである。このことを考慮すると、トランスデューサの二次元配列面と並行な面でのボクセル配置の間隔と、トランスデューサの間隔とを一致させるか整数比にとることが好ましい。このようにすることで、特定のトランスデューサとボクセル列91bの組み合わせについての深さ方向に漸化的に計算して求めた光音響波伝播時間の列を、同様の位置関係にある他の組み合わせについてそのまま適用することができる。
図10を用いて本実施例に基づく光音響影像法超音波画像診断装置の説明を行う。図10(a)に本実施例に基づく光音響影像法超音波画像診断装置の構成を示す。但し、第一の実施例と同等の構成要素は同じ符号を用い、説明の重複する部分は省略する。
入力部301は動作設定を入力するためのものである。制御部302は装置全体の制御を行う。レーザ発光制御部101はレーザのパルス照射を制御・駆動する。レーザ光照射部102はパルスレーザ光を被検体に照射する。また透明固定板103は介在板306との間で被検体307を固定するものであり、レーザ光を透過する素材でできている。トランスデューサアレイ305は光音響波を受信するトランスデューサが二次元的に配列されたものである。受信光音響信号処理部104はトランスデューサアレイ305で受信した受信光音響信号のSNRを上げるために増幅し、デジタル信号に変換するものであり、主にアナログ増幅器、AD変換器などにより構成される。さらにSNR向上のため周波数フィルタリング処理などを含んでも良い。画像再構成演算部105はデジタル化した受信光音響信号を基に光音響映像法を用いて三次元画像再構成を行い、各ボクセルで発生する光音響波の強度を評価したボクセル配列データを作成する。画像処理部310は画像再構成演算部105で作成されたボクセル配列データを用い、制御部302からの指示に従って、表示部311に表示する画像データを作成する。画像処理部310では、三次元画像データの表示、特に最大強度輝度投影画像(MIP)などの二次元投影データや各種断層データを作成する。表示部311は画像処理部310の出力を表示する。
特に第一の実施例との相違を記載すると、本実施例では三次元画像データの構成とその表示を行うため、入力部301より制御部302へ、表示部311で表示する表示の種類が指定入力可能である。これに基づき上記のように画像処理部310では、三次元のボクセル配列データを基に各種投影画像や断層画像を構成するための座標変換や補間、画像フィルタリングなどを行う。また各ボクセルで発生する光音響波の強度を評価したデータより輝度ボクセル配列データを作成してもよい。この輝度変換は画像再構成演算部105で行ってもよい。
また、トランスデューサアレイ305は、前述のように三次元データ取得のために二次元配列である。このトランスデューサアレイ305のトランスデューサの数をLとする。
介在板306は第一の実施例と同様に被検体307と音速が異なり、超音波を透過するほぼ平行平板状の板であるが、特にここでは透明固定板103とともに被検体307を固定する目的で設置させる。透明固定板103はパルスレーザを照射するために当該レーザ光の波長域で透明となっておればよく、形状も被検体307を保持・固定するのに好適に形状とすることが可能である。
本実施例と第一の実施例の最大の相違は、光音響影像法を用いるため、パルスレーザ光を被検体307に照射し、かつ超音波の送信を行わないことである。レーザ照射部102は、高出力でパルス発光可能なレーザ光源を含む。レーザ光の波長は、被検体307に於ける透過率が比較的高い領域の波長である。特に被検体307として生体組織を取る場合には800nmから1200nm程度の近赤外光を発光することが好ましく、YAGレーザ装置やチ
タンサファイアレーザレーザ装置にSHG変換器を装着して使用することができる。また高出力LDアレイ光源を利用することもできる。またレーザ照射部102には、発光したレーザ光ビームを被検体307に照射、とくに均一に照射するためにビーム拡大器や拡散板など各種光学機器を備える。
レーザ発光制御部101は、制御部302からの発光制御信号に基づいて、レーザ照射部102を制御駆動してパルスレーザを照射する。ついで制御部302よりの制御信号により光音響波の受信動作が開始される。レーザパルス照射により被検体307に発生した光音響波はトランスデューサアレイ305で受信され、受信光音響信号に変換され、受信光音響信号処理部104で増幅後デジタルサンプリングデータとて画像再構成演算部105へ入力される。画像再構成演算部105では画像再構成処理を行ってボクセル配列データを画像処理部310へ出力し、画像処理部310では上記の画像処理を行って表示手段311へ指定画像を表示する。
次に画像再構成演算部105の処理について図10(b)を用いてより詳しく説明する。図中104は受信光音響信号処理部、12はメモリ、13は読み出しアドレス計算部、14はメモリ読み出し制御部、106はボクセル配列データを格納するためのボクセル配列メモリである。ボクセル配列メモリ106はランダムアクセスDRAM、あるいはFIFO型メモリとランダムアクセスDRAMの組み合わせで構成することができる。但し、本図では動作説明を判りやすくするために、ボクセル配列メモリ106をN行M列の行列型のアレイメモリとして概念的に図示する。ここでNはボクセル配列のトランスデューサ配列面と平行な面内での総分割数、Mはボクセル配列の深さ方向の分割数である。即ち、ボクセル配列内の各ボクセルに対して、N行M列アレイメモリであるボクセル配列メモリ106の各要素が対応している。前述図9の概念図との対応でいえば、ボクセル配列91はN本のボクセル列91bからなり、それぞれのボクセル列91bにはM個のボクセルが含まれている。このときN行M列のボクセル配列メモリ106の各行がボクセル列91bに対応し、行内の各メモリ要素がボクセル列91bの各ボクセルに対応する。とくにボクセル配列メモリ106の各行のメモリ要素は、その対応するボクセルが、ボクセル列91bの深さにそった順に並ぶように配されるのが好ましい。
本実施例の好ましい形態では、トランスデューサアレイ305の各トランスデューサに対して、受信光音響信号処理部104内に各々1組のアナログ増幅器とAD変換器が設け
られる。これにより各トランスデューサで受信した受信光音響信号の時系列のデータ列が並列処理でデジタル化され、メモリ12へ格納される。メモリ12には、トランスデューサごとに、デジタル化された受信光音響信号の時系列のデータ列が格納される。例えばメモリ12は各トランスデューサに対して個別に用意された一次元メモリで構成されてもよい。また二次元アレイ的に構成されたメモリにトランスデューサごとにアクセスできるように構成してもよい。
さらに好ましくは、特定のトランスデューサに対して、メモリ読み出し制御部14がN個並列に処理できるように配置される。このN個のメモリ読み出し制御部14は各々、配列メモリ106のN行に対応して配置される。メモリ読み出し制御部14は第一の実施例と同様に、読み出しアドレス計算部13より出力されるメモリ読み出しアドレスを用いて、メモリ12内の光音響波伝播時間に対応する時刻の受信光音響信号の値を読み出す。読み出された信号値は、配列メモリ106の所定メモリ要素に加算される(メモリ要素内の
値と読み出された信号値とを加算し、その結果をメモリ要素内へ再格納する)。ここで配列メモリ106内の参照するメモリ要素は、当該メモリ読み出し制御部14に対応した行の上にある。
読み出しアドレス計算部13は、トランスデューサ・ボクセル列間距離xとボクセルの
深さ間隔dzを用いて、第一の実施例と同様に順次深さが変化するボクセルの光音響波伝播時間に対応するアドレスを算出する。これを用いてメモリ読み出し制御部14が、配列メモリ106の対応する行内のメモリ要素に順次上記の加算処理を行っていく。
読み出しアドレス計算部13はメモリ読み出し制御部14と同数設けてもよいが、当該トランスデューサと対応するボクセル列91bとの位置関係によって共通の読み出しアドレス計算部13でアドレス算出しても良い。たとえば、トランスデューサ・ボクセル列間距離xを同一のトランスデューサについては、複数のメモリ読み出し制御部14に対して
共通の読み出しアドレス計算部13でアドレスを算出できる。また、ボクセル配列91がその底面で縦横均等に分割されている場合には、幾何学的対称性より当該トランスデューサを中心とした同心円状に位置するボクセル列91bが同一のトランスデューサ・ボクセル列間距離xを与える。このようにして読み出しアドレス計算部13の数をNより少数に
することができる。
各読み出しアドレス計算部13において漸化的に算出されたメモリ読み出しアドレスを用いて、各メモリ読み出し制御部14が受信光音響信号の値を読み取り、配列メモリ106の各行内のメモリ要素内の値が順次並列に更新されていく。即ち、各読み出しアドレス計算部13の漸化的な演算処理に従って、配列メモリ106の列が順次更新されていく。更新する順番は、漸化的の初期値に与え方により、深度が深くなる方向へ、あるいは浅くなる方向へ、どちらでもよい。
また配列メモリ106内のデータの更新は、配列メモリ106をランダムアクセスDRAMのみで構成して、直接その値を参照、加算、格納してもよい。あるいは、各メモリ読み出し制御部14ごとに設けられた、例えばラインメモリやFIFO型のバッファメモリに一旦格納し、全ての深度にわたる処理が終了後に、ランダムアクセスDRAMへの加算更新処理をしてもよい。
異なるトランスデューサについて上記の処理を繰り返すことにより、光音響映像法の三次元画像再構成されたボクセル配列データが得られる。具体的には、各トランスデューサからの出力を受信光音響信号処理部104内で処理しメモリ12へ受信光音響信号を格納したのち、特定のトランスデューサに対応したN個のメモリ読み出し制御部14で配列メモリ106内データの更新を行ってもよい。あるいは全トランスデューサに対し並列に処理を行うために、L×N個のメモリ読み出し制御部14を用意してもよい。特に後者に関しては、同等のトランスデューサ・ボクセル列間距離xを与えるトランスデューサとボク
セル列の組に関して、共通の読み出しアドレス計算部13でメモリ読み出しアドレスの計算を行うことができる。特に近年GPUでの多数コアによる多数並列処理が可能となったため、本実施例の並列処理をGPUを含んだデジタル回路で実装することが可能である。
本実施例は、音速が異なる介在板による屈折の効果を含んだ光音響波である超音波の伝播時間を、順次深さが異なる対象に対し近似漸化式を用いて漸化的にもとめ、それを用いて光音響映像法の三次元画像再構成をおこなう装置である。順次深さが異なるボクセルに対し漸化的に伝播時間をもとめ、それをもとに各トランスデューサ、各ボクセル列について並列に処理を行っていくことで全体の処理時間が短縮され、実時間で三次元画像再構成を行うことが可能となる。即ち、トランスデューサ・ボクセル列間距離xが異なるトラン
スデューサとボクセル列の組み合わせに対して、漸化的な伝播時間の算出がほぼ独立に行
えるため、これらに対して並列処理を簡便におこなうことが可能になり、全体の処理時間が短縮できる。さらにトランスデューサ・ボクセル列間距離xが同一なトランスデューサ
とボクセル列の組み合わせに対して、読み出しアドレス計算部13を共通とすることで回路規模の増大を抑制できる。
特に従来の開示技術に比べ以下のような利点を有する。
即ち、光音響映像法の三次元画像再構成ではトランスデューサアレイが二次元配列となり、またボクセル配置のボクセル数も解像度の点から細かいことが望ましい。このため処理に必要な光音響波の伝播時間の数は多数のものとなる。このため、特許文献1に示された一般的な屈折経路の計算は、その経路の種類が多数になるため、処理時間がかかり実時間処理には不適であった。また事前に遅延時間を計算し格納していく場合には、多数の遅延時間値の格納が必要となる。特に撮像条件によりボクセル配列を変えるたびに新たな遅延時間値の組が必要になり、全ての場合を含んでこれらを格納するのは非現実的であった。そのため、ボクセル配列を変えるたび再度遅延時間値を計算する必要があり、結果的に装置規模を増大させる結果となっていた。
また特許文献2に示された方法では、本発明と同様に遅延時間計算を漸化的に処理するため上記の欠点は克服されるが、漸化的な計算が本実施例でのトランスデューサ・ボクセル列間距離xを変化させる方向に行われる。漸化計算は基本的に逐次計算が必要であるた
めこの方法で簡便に並列化を行うには、深さ方向に対する並列化となる。ボクセル配列の縦・横・深さ方向の個数がそれぞれ、Nx,Ny,Nzであるときに、Nz個の計算を並列に行える。これに対し本発明ではトランスデューサとボクセル列の組に対する並列化であり、Nx×Ny個の計算を並列に行える。一般に三次元画像化に好適な均一なボクゼル配列をとると、各方向に対する区切り数Nx,Ny,Nzは同程度となるため、本実施例の並列度(同時に並列化可能な処理の数)は特許文献2に示された方法に比べ大きく取れる。特に解像度を向上するために区切り数が多く、またトランスデューサ数が多くなるほど並列度の差が大きくとれる。
さらに、定型格子的なボクセル配列や二次元トランスデューサアレイ配置では、各トランスデューサ・ボクセル列間距離xの間隔は不均一になる。このため、x方向の漸化式計
算では、近似精度も不均一となり、処理のパラメタも増加する。本実施例では、焦点の深さに対する刻みをボクセル配列の深さ刻みととることで、均一な刻みに対する近似漸化式処理を行えるため、処理も単純化できる。
以上のように本発明を光音響映像法へ用いた場合は並列化に好適な遅延時間計算の漸化的処理を行え、その結果本実施例のように全体の処理を実時間で行える光音響影像法超音波画像診断装置が提供できる。
なお、ここでは光音響影像法による超音波画像診断装置を記載したが、第一の実施例の超音波送信手段や送受開口選択スイッチを組み込むことにより、超音波エコー法を併用した画像診断装置を構成し、光音響画像と超音波画像を同時表示することも可能である。
12 メモリ
13 読み出しアドレス計算部
14 メモリ読み出し制御部
305 トランスデューサアレイ
307 被検体
308 受信ビームフォーマ

Claims (14)

  1. 被検体内部の部位から反射され又は発生される超音波を、前記部位とは異なる音速を有する媒質を介して受信する受信素子を複数有する超音波受信部と、
    前記超音波受信部の少なくとも一部の受信素子に対応した受信チャネルの受信信号に対して、受信ビームの焦点位置から受信素子までの伝播時間に応じた遅延制御を行って受信ビーム信号を形成する受信ビーム形成部と、
    前記受信ビーム信号を用いて画像を生成する画像処理部と、
    を有する超音波画像装置であって、
    前記受信ビーム形成部は、焦点の深さ変化に対応した伝播時間の変化分を計算済みの伝播時間に加算して次の焦点についての伝播時間を求める処理を繰り返すことで、複数の焦点に関する伝播時間を順次算出するものであり、
    前記繰り返し処理は各受信チャネルについて独立に実行可能であり、前記受信ビーム形成部は、少なくとも一部の受信チャネルについて並列に伝播時間を算出し、
    前記受信ビーム形成部は、前記焦点の深さ変化分と、前記焦点の深さ変化分と前記部位の音速と前記媒質の音速とに従って漸化式により求められる前記部位に対応する漸化パラメタ及び前記媒質に対応する漸化パラメタと、に基づいて、前記焦点の深さ変化に対応した伝播時間の変化分を求める、
    ことを特徴とする超音波画像装置。
  2. 前記漸化パラメタを求めるための漸化式は、隣接する焦点深さでの漸化パラメタの値の多項式で記述される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像装置。
  3. 前記伝播時間の変化分は焦点深さの多項式として求められる、ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像装置。
  4. 前記伝播時間の変化分は定数である、ことを特徴とする請求項1に記載の超音波画像装置。
  5. 前記受信ビーム形成部は、
    特定の焦点深さについて予め求められた伝播時間である基準伝播時間を記憶しており、
    前記繰り返し処理において焦点深さが前記特定の焦点深さに達した場合は、当該焦点深さにおける伝播時間を記憶されている基準伝播時間とし、この基準伝播時間に基づいて次の焦点深さにおける伝播時間を算出する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波画像装置。
  6. 前記受信ビーム形成部は、特定の焦点深さについて予め求められた伝播時間と漸化パラメタである基準伝播時間と基準漸化パラメタを記憶しており、
    前記繰り返し処理において焦点深さが前記特定の焦点深さに達した場合は、当該焦点深さにおける伝播時間および漸化パラメタを記憶されている基準伝播時間および基準漸化パラメタとし、これらの基準伝播時間および基準漸化パラメタに基づいて次の焦点深さにおける伝播時間および漸化パラメタを算出する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の超音波画像装置。
  7. 前記受信ビーム形成部は、特定の焦点深さについて予め求められた伝播時間と、前記特定の焦点深さ以降の焦点について用いるべき前記多項式の係数とを記憶しており、
    前記繰り返し処理において焦点深さが前記特定の焦点深さに達した場合は、当該焦点深さにおける伝播時間を記憶されている基準伝播時間とし、それ以降の処理については前記記憶された係数を用いた前記多項式によって前記伝播時間の変化分を求める、
    ことを特徴とする請求項3に記載の超音波画像装置。
  8. 前記受信ビーム形成部は、複数の基準焦点について予め求められた伝播時間を記憶しており、
    前記繰り返し処理において焦点が前記基準焦点のいずれかに達した場合は、当該焦点における伝播時間を記憶されている基準伝播時間とし、それ以降の処理における前記伝播時間の変化分は、当該焦点深さにおける基準伝播時間と次の基準焦点における基準伝播時間とから求められる値とする、
    ことを特徴とする請求項4に記載の超音波画像装置。
  9. 前記受信ビーム形成部は、
    各受信チャネルに対応して、
    受信チャネルに対応する受信素子から順次受信される受信信号を時系列的に格納するメモリと、
    前記メモリからの読み出しを制御するメモリ読み出し制御部と、
    前記メモリの読み出しアドレスを計算するメモリアドレス計算部と、
    を有しており、
    前記受信ビーム信号の形成は、前記メモリアドレス計算部によって計算された読み出しアドレスにしたがって前記メモリ読み出し制御部によって前記メモリから読み出された各受信チャネルの受信信号を加算することによって行われるものであり、
    前記メモリアドレス計算部は、複数の焦点について順次算出される伝播時間に対応した読み出しアドレス位置を算出して、複数の焦点に対応する読み出しアドレスを順次計算する、
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の超音波画像装置。
  10. 前記メモリアドレス計算部は、読み出しアドレスを実数形式で計算するものであり、
    前記受信ビーム形成部は、計算された実数形式の読み出しアドレスのうち整数部分に対応するアドレスとその次のアドレスに格納された2つの受信信号を、実数形式の読み出しアドレスの小数部分に応じて補間し、補間された受信信号を用いて受信ビーム信号を形成する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の超音波画像装置。
  11. 前記超音波受信部は、超音波を被検体に向けて送信する超音波送信部を兼ねており、
    被検体に超音波を照射し、被検体内で反射された反射超音波を受信して被検体内の画像を形成する、
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の超音波画像装置。
  12. 被検体に向けてパルス光を照射する光照射部をさらに有しており、
    被検体にパルス光を照射し、光音響効果によって被検体内で発生された超音波を受信して被検体内の画像を形成する、
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の超音波画像装置。
  13. 被検体内部の部位から反射され又は発生される超音波を、前記部位とは異なる音速を有する媒質を介して受信し、受信ビームの焦点位置と受信素子の間の伝播時間に応じた遅延処理を行って受信ビームを形成する超音波画像装置における遅延制御方法であって、
    焦点深さの変化に対応した伝播時間の変化分を算出する処理と、算出された伝播時間の変化分を計算済みの伝播時間に加算して次の焦点についての伝播時間を求める処理とを、繰り返すことで複数の焦点に関する伝播時間を順次算出するものであり、
    前記繰り返し処理は各受信チャネルについて独立に実行可能であり、少なくとも一部の受信チャネルについて並列に伝播時間を算出し、
    前記伝播時間の変化分は、前記焦点の深さ変化分と、前記焦点の深さ変化分と前記部位の音速と前記媒質の音速とに従って漸化式により求められる前記部位に対応する漸化パラメタ及び前記媒質に対応する漸化パラメタと、に基づいて、算出される、
    ことを特徴とする遅延制御方法。
  14. 被検体内部の部位から反射され又は発生される超音波を、前記部位とは異なる音速を有する媒質を介して受信し、受信ビームの焦点位置と受信素子の間の伝播時間に応じた遅延処理を行って受信ビームを形成する超音波画像装置における遅延制御プログラムであって、
    コンピュータに、
    焦点深さの変化に対応した伝播時間の変化分を算出する処理と、算出された伝播時間の変化分を計算済みの伝播時間に加算して次の焦点についての伝播時間を求める処理とを、繰り返させることで複数の焦点に関する伝播時間を順次算出させるものであり、
    前記繰り返し処理は各受信チャネルについて独立に実行可能であり、少なくとも一部の受信チャネルについて並列に伝播時間を算出し、
    前記伝播時間の変化分は、前記焦点の深さ変化分と、前記焦点の深さ変化分と前記部位の音速と前記媒質の音速とに従って漸化式により求められる前記部位に対応する漸化パラメタ及び前記媒質に対応する漸化パラメタと、に基づいて、算出される、
    ことを特徴とする遅延制御プログラム。
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