JP5644209B2 - ゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブの設計及び選定方法 - Google Patents
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Description
なお、スイートエリアとは、スイートスポットで打撃した場合とほぼ同等の飛距離(例えば、ボールの最大初速の99%程度)を得ることができる領域を指す。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
ヘッド本体4の金属材料は、チタン合金やアルミニウム合金などの高強度の低比重金属が好ましく用いられる。また、クラウン部2には、フェース面1側でかつヒール5寄りの位置にシャフト6に接続するホーゼル7が設けられている。
コンピュータ20は、CPU22と、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM24、RAM26、ハードディスク装置28、ディスク装置30、キーボード32、マウス34、ディスプレイ36、プリンタ38、入出力インターフェース40などを有している。
ROM24は制御プログラムなどを格納し、RAM26はワーキングエリアを提供するものである。
有限要素解析プログラムは、以下のプログラムを含んで構成されている。
1)有限要素モデルを作成するためのプログラム:
本実施の形態ではゴルフクラブヘッドおよびゴルフボールの有限要素モデルを作成するためのプログラムである。
2)有限要素モデルを用いて有限要素法によるシミュレーション(解析)を行うためのプログラム:
本実施の形態では、ゴルフクラブヘッドの有限要素モデルとゴルフボールの有限要素モデルとを用いて衝突解析を行うためのプログラムである。
キーボード32およびマウス34は、操作者による操作入力を受け付けるものである。
ディスプレイ36はデータを表示出力するものであり、プリンタ38はデータを印刷出力するものであり、ディスプレイ36およびプリンタ38によってデータを出力する。
入出力インターフェース40は、外部機器との間でデータの授受を行うものである。
図4に示すように、この計算装置は、モデル作成手段20Aと、フェース面速度分布設定手段20Bと、設計値仮設定手段20Cと、飛距離算出手段20Dと、設計値変更手段20Eとを含んで構成されている。
これら各手段20A乃至20Eは、コンピュータ20が前記の有限要素解析プログラムおよび前記の計算プログラムを実行することによって実現されるものである。
各手段20A乃至20Eについては本実施の形態の設計方法と共に説明する。
また、以下の各処理は、コンピュータ20が有限要素解析プログラムおよび前記の計算プログラムを実行することに行われるものである。
ここで有限要素とは、有限要素法による解析を行うための要素であって、梁要素、シェル要素及び固体要素などが例示される。また、計算に必要な物性値としては、ロフト角、重心深さ、バルジ&ロール半径、FP値(フェースプログレッション)や、慣性モーメント、ヘッド質量などが例示される。
このスピード分布とは、ヘッド本体4を有するゴルフクラブをスイングしたときに、インパクト直前におけるフェース面1のスピードの分布を意味するものである。
スピード分布は、シャフト6の長さに依存する成分と、ヘッド本体4のローリング(シャフト6の回りの回転)による成分とから主に決定される。
図5に示すように、前者のシャフト6の長さに依存する成分は、シャフト6の中心軸の延長線Lの垂線が、ヘッド本体4のソール部3に接する点Aにおいて最大となる。
また、後者のヘッド本体4のローリングに依存する成分は、シャフト6の中心軸の延長線Lから最も離れた点B(ヘッド本体4のトウ8側端部)において最大となる。
従って、スピード分布は、図6に示すように、フェース面1のヒール5側の上部aからトウ側8の下部gへ向けて次第に大きくなるように分布する。
なお、図6においては、速度0.5m/s毎に等高線vを示している。
なお、このステップS12は図4の設計値仮設定手段20Cに相当する。
ステップS13、S14はコンピュータ20が有限要素解析プログラムを実行することで行われ、ステップS15はコンピュータ20が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
なお、ステップS13,S14、S15は、第4ステップに相当し、かつ、図4の飛距離算出手段20Dに相当する。
ステップS16、S17、S18は、コンピュータ20が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
ステップS16、S17、S18は、第5ステップに相当し、かつ、図4の設計値変更手段20Eに相当する。
1)角度θを90°とすることが望ましい。
この理由は、等高線vに対して90°に近い方向が、スピードの傾きが最も大きい(短い距離で、スピード差が最も大きい方向)であることから、フェーススピードの効果を最も大きくできる可能性が高いためである。
2)仮の重心点Pの位置は、図9に示すように、ゴルフクラブヘッドのヒール側へ向けて移動させるようにすることが望ましい。
この理由は、フェースセンター近辺(最も人が打球する確率の高い位置)で、ボール初速が最高値になるようにするためである。すなわち、スピード分布はフェーススピードがトウ8側に至るほど高くなるので、必ず重心点Pよりもトウ8側に最高初速点が位置することになるためである。ここで、最高初速点とは、ボール初速が最高となる打点をいう。
3)仮の打点Dの位置については、図10に示すように、フェース面1の幾何学中心(フェースセンター)から30mm以内の領域内、より好ましくは、フェースセンターから上方(クラウン部2側)の半円内の領域内で変化させることが望ましい。
この理由は次のように説明される。実際にゴルファーがゴルフクラブをスウィングしてゴルフクラブヘッドのフェース面でボールを打撃した場合の打点がフェースセンターを中心にして高い確率で分布していること、言い換えると、フェースセンターを中心に、ゴルファーが打点する確率が高い位置であること。さらに、フェースセンターが重心点P(フェース面上重心位置)の配置位置にも近いこと。これらのことから、飛距離が最大となる打点がフェースセンターに近いことが予測されるためである。
第1の実施の形態では、ゴルフクラブヘッドの設計方法について説明したが、第2の実施の形態では、上記設計方法を利用することにより、個々のプレイヤー毎に異なるフェース面1のスピード分布に応じて、すなわち、個々のプレイヤーの適性に応じた最適のゴルフクラブを選定するゴルフクラブの選定方法について説明する。
ハードディスク装置28は、ゴルフクラブヘッドの有限要素解析を行う第1の実施の形態と同様の有限要素解析プログラムと、この有限要素解析プログラムによって得られたシミュレーション結果を用いてプレイヤーの適性に応じて打球の飛距離が最大となるゴルフクラブヘッドを選定する専用の計算プログラムを格納している。
図12に示すように、この計算装置は、モデル作成手段20Fと、フェース面速度分布平均打点設定手段20Gと、設計値仮設定手段20Hと、飛距離算出手段20Iと、打点間距離算出手段20Jと、設計値変更手段20Kとを含んで構成されている。
これら各手段20F乃至20Kは、コンピュータ20が前記の有限要素解析プログラムおよび前記の計算プログラムを実行することによって実現されるものである。
各手段20F乃至20Kについては以下に示す選定方法と共に説明する。
この平均打点Fの測定には、上述した特開2005−34619号公報に記載されたゴルフクラブヘッドの挙動計測装置を用いることができる。
なお、平均打点Fを測定する代わりに、一般的なプレイヤーの打点であるフェース面1のフェースセンターを、平均打点Fとしてもよい。
なお、このステップS22は図12の設計値仮設定手段20Hに相当する。
ステップS23、S24はコンピュータ20が有限要素解析プログラムを実行することで行われ、ステップS25、S26、S27、S28はコンピュータ20が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
なお、ステップS23、S24、S25は、第4ステップに相当し、かつ、図12の飛距離算出手段20Iに相当する。
ステップS26、S27、S28は、第5ステップに相当し、かつ、図12の打点間距離算出手段20Jに相当する。
ステップS29、S30は、コンピュータ20が前記の計算プログラムを実行することで行われる。
ステップS29、S30は、第6ステップに相当し、かつ、図12の設計値変更手段20Kに相当する。
また、ローリングに依存する成分が中程度のプレイヤーの場合には、図15(b)に示すように、フェース面1内のスピード差は小さくなり(例えば、3m/sec)、最大飛距離点Zは重心点Pに近くなる(例えば、5〜10mm)。
そして、ローリングに依存する成分が小さいプレイヤーの場合には、図15(c)に示すように、フェース面1内のスピード差は更に小さくなり(例えば、2m/sec)、最大飛距離点Zは重心点Pとほぼ重なるようになる(例えば、1〜5mm)。
また、ローリングに依存する成分が比較的小さくなるほど、プレイヤーは、重心点Gが自己の平均打点Fにヒール5側から近づくようなゴルフクラブヘッドを選定すればよい。
また、仮の重心点Pの位置は、上記の図9に示すように、ゴルフクラブヘッドのヒール側へ向けて移動させるようにすることが望ましい。
更に、仮の打点Dの位置については、上記の図10に示すように、フェースセンターから30mm以内の領域内、より好ましくは、フェースセンターから上方(クラウン部2側)の半円内の領域内で変化させることが望ましい。
2 クラウン部
3 ソール部
4 ヘッド本体
5 ヒール
6 シャフト
7 ホーゼル
8 トウ
Claims (14)
- フェース面で打撃したゴルフボールの飛距離が最大となるゴルフクラブヘッドを、プレイヤーの適性に応じて設計するゴルフクラブヘッドの設計方法であって、前記ゴルフクラブヘッド及びゴルフボールをそれぞれ複数の有限要素に分割する第1ステップと、
前記プレイヤーが前記ゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブで前記ゴルフボールを打撃する直前における前記フェース面のスピード分布を設定する第2ステップと、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の仮の重心位置を前記フェース面に対して垂直に投影した仮の重心点と、前記ボールを打撃する仮の打点とを、前記スピード分布の等高線に対して角度θをなす方向に沿って前記フェース面に設定する第3ステップと、
前記仮の重心点及び仮の打点が設定されたフェース面を有するゴルフクラブヘッドが、該仮の打点において、所定のヘッドスピードで前記ゴルフボールに衝突したときの該ゴルフボールの初速、打ち出し角度及びバックスピン量から該ゴルフボールの飛距離を算出する第4ステップと、
前記ゴルフボールの飛距離が最大となるように、前記仮の重心点の位置、仮の打点の位置及び角度θの少なくとも1つを変化させる第5ステップと、を含むゴルフクラブヘッドの設計方法。 - 前記第5ステップにおいて、前記角度θを90°一定とした請求項1に記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
- 前記第5ステップにおいて、前記仮の重心点の位置を前記ゴルフクラブヘッドのヒール側へ向けて移動させるようにした請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
- 前記第5ステップにおいて、前記仮の打点の位置が前記フェース面の幾何学中心から30mm以内になるようにした請求項1〜3のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
- 前記ゴルフクラブヘッドが、中空構造のヘッド本体を有するウッド型のゴルフクラブヘッドである請求項1〜4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの設計方法。
- ゴルフクラブヘッドにシャフトを取り付けてなるゴルフクラブの設計方法であって、前記ゴルフクラブヘッドは、請求項1〜5に記載のゴルフクラブヘッドの設計方法により設計されるゴルフクラブの設計方法。
- 重心位置をフェース面に投影した重心点が既知である複数のゴルフクラブヘッドの中から、該フェース面で打撃したゴルフボールの飛距離が最大となるゴルフクラブヘッドを、プレイヤーが自己の適性に応じて選定する方法であって、
前記ゴルフクラブヘッド及びゴルフボールをそれぞれ複数の有限要素に分割する第1ステップと、
前記プレイヤーが前記ゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブで前記ゴルフボールを打撃する直前における前記フェース面のスピード分布と、該プレイヤーの平均打点とを設定する第2ステップと、
前記ゴルフクラブヘッドのヘッド本体の仮の重心位置を前記フェース面に対して垂直に投影した仮の重心点と、前記ボールを打撃する仮の打点とを、前記スピード分布の等高線に対して角度θをなす方向に沿って前記フェース面に配置する第3ステップと、
前記仮の重心点及び仮の打点が設定されたフェース面を有するゴルフクラブヘッドが、該仮の打点において、所定のヘッドスピードで前記ゴルフボールに衝突したときの該ゴルフボールの初速、打ち出し角度及びバックスピン量から求められる該ゴルフボールの飛距離を、該仮の打点の位置を変更する毎に算出する算出する第4ステップと、
前記ゴルフボールの飛距離が最大となる仮の打点と前記平均打点との間の距離を求める第5ステップと、
前記距離が最小となるように、前記仮の重心点の位置及び角度θの少なくとも1つを変化させる第6ステップと、を含むゴルフクラブヘッドの選定方法。 - 前記第2ステップにおいて、前記平均打点を前記フェース面の幾何学中心に設定した請求項7に記載のゴルフクラブヘッドの選定方法。
- 前記第6ステップにおいて、角度θを90°一定とした請求項7又は8に記載のゴルフクラブヘッドの選定方法。
- 前記第6ステップにおいて、前記仮の重心点の位置を前記ゴルフクラブヘッドのヒール側へ向けて移動させるようにした請求項7〜9のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの選定方法。
- 前記第6ステップにおいて、前記仮の打点の位置が前記フェース面の幾何学中心から30mm以内になるようにした請求項7〜10のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの選定方法。
- 前記重心位置をフェース面に投影した重心点が既知である複数のゴルフクラブヘッドのそれぞれに、前記重心点の位置を記載した表示媒体を付すようにした請求項7〜11のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの選定方法。
- 前記ゴルフクラブヘッドが、中空構造のヘッド本体を有するウッド型のゴルフクラブヘッドである請求項7〜12のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの選定方法。
- ゴルフクラブヘッドにシャフトを取り付けてなるゴルフクラブの選定方法であって、前記ゴルフクラブヘッドは、請求項7〜13に記載のゴルフクラブヘッドの選定方法により選定されるゴルフクラブの選定方法。
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