JP5708236B2 - ゴルフクラブの選定方法および設計方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に開示された技術では、慣性特性スペックが既知の基本クラブをスウィングして得られるボール初速の計測結果から統計的手法に基づいて用いて最適な慣性特性スペックを有するゴルフクラブを選定する。
また、特許文献2に開示された技術では、サンプル用のゴルフクラブのシャフトに掛かる曲げモーメントの計測結果に基づいてたわみ挙動データを解析し、その解析結果に基づいてゴルファーに適した曲げ剛性分布を有するシャフトを選定する。
そこで、本発明者らは、ゴルファーによるゴルフクラブのスウィングに着目して以下の知見を得た。
すなわち、ゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する直前においてフェース面がゴルフクラブのシャフト軸回りに変位する単位時間当たりの変位量をフェースローテーションとした場合、ゴルフクラブヘッドのフェース面の速度分布は、スウィングの速度に加えてフェースローテーションの影響を受けて変化する。
したがって、同一のゴルフクラブをスウィングしてもフェースローテーションが異なると、フェース面の速度分布が変化する。
そのため、フェースローテーションが異なり、したがってフェース面の速度分布が異なると、ゴルフボールを打撃したときの最高初速点の位置も異なることになる。
最高初速点の位置は打球の飛距離に大きな影響を与える要素であることから、フェースローテーションを考慮してゴルフクラブの選定を行うことが、打球の飛距離を向上させる上で有効であると考えられる。
また、ゴルファーのスウィングに応じて打球の飛距離を向上する上で有利なゴルフクラブを設計することができるゴルフクラブの設計方法を提供することにある。
以下、本発明のゴルフクラブの選定方法に係る実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、ゴルフクラブ10は、ゴルフクラブヘッド12と、シャフト14とを備えている。
本例では、ゴルフクラブヘッド12がウッドタイプである場合について説明するが、ゴルフクラブヘッド12は、アイアンタイプ、あるいは、ユーティリティでもよく限定されるものではない。
ゴルフクラブヘッド12は、ゴルフボールを打撃するフェース面16と、そのフェース面16に連接するクラウン部18およびソール部20とを外殻とする金属製の中空構造のヘッド本体から構成されている。
ヘッド本体の金属材料は、チタン合金やアルミニウム合金などの高強度の低比重金属が好ましく用いられる。
また、クラウン部18には、フェース面16側でかつヒール26寄りの位置にシャフトに接続するホーゼル22が設けられている。なお、符号24はトウを示す。
重心点Gは、ゴルフクラブヘッド12の重心位置をフェース面16に垂直に投影した点をいう。
フェースセンターラインCLは、フェース面16のうちゴルフボールを打撃する領域として規定された領域のトウ−ヒール方向における中央を通りかつトウ−ヒール方向と直交する方向に延在する直線をいう。
言い換えると、フェースセンターラインCLは、フェース面16の幾何学的中心である中心点を通りかつトウ−ヒール方向と直交する方向に延在する直線をいう。
フェース面16の中心点、フェースセンターラインCLの規定方法として以下に説明するような従来公知のさまざまな規定方法が採用可能である。
図2乃至図5はフェース面16の中心点C、フェースセンターラインCLの規定方法の一例を示す説明図である。
(1)まず、図2に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平な地面上にゴルフクラブヘッド12を載置する。このときのゴルフクラブヘッド12の状態を基準状態とする。なお、ライ角およびフック角の設定値は、例えば製品カタログに記載された値である。
すなわち、図2に示すように、トウ24及びヒール26を結ぶ地面と平行な線(以下水平線という)の概略中心点と交差する垂線f0を引く。
この垂線f0とフェース面16の上縁とが交差するa0点と、垂線f0とフェース面16の下縁とが交差するb0点の中点を仮中心点c0とする。
(4)次に図4に示すように水平線g0とフェース面16のトウ24側の縁とが交差するd0点と、水平線g0とフェース面16のヒール26側の縁とが交差するe0点の中点を仮中心点c1とする。
(5)次に図5に示すように仮中心点c1を通る垂線f1を引き、この垂線f1とフェース面16の上縁とが交差するa1点と、垂線f1とフェース面16の下縁とが交差するb1点の中点を仮中心点c2とする。
ここで、仮中心点c1とc2とが合致したならばその点をフェース面16の中心点Cとして規定する。
仮中心点c1とc2が合致しなければ、(2)乃至(5)の手順を繰り返す。
なお、フェース面16は曲面を呈しているため、水平線g0の中点、垂線f0、f1の中点を求める場合の水平線g0の長さ、垂線f0、f1の長さはフェース面16の曲面に沿った長さを用いるものとする。
そして、フェースセンターラインCLは、中心点Cを通りかつトウ−ヒール方向と直交する方向に延在する直線で定義される。
ここで、図7に示すように、重心位置G0と重心点Gとを結ぶ直線Lpを含む多数の平面H1、H2、H3、…、Hnを考える。
ゴルフクラブヘッド12を各平面H1、H2、H3、…、Hnに沿って破断したときの断面において、図8に示されるように、ゴルフクラブヘッド12の外面の曲率半径r0を測定する。
曲率半径r0の測定に際して、フェース面16上のフェースライン、パンチマーク等が無いものとして扱う。
曲率半径r0は、フェース面16の中心点Cから外方向(図8における上方向、下方向)に向かって連続的に測定される。
そして、測定において曲率半径r0が最初に所定の値以下となる部分をフェース面16の周縁を表わす輪郭線Iとして定義する。所定の値は例えば200mmである。
多数の平面H1、H2、H3、…、Hnに基づいて決定された輪郭線Iによって囲まれた領域が、図7、図8に示すように、フェース面16として定義される。
次に、図9に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平な地面上にゴルフクラブヘッド12を載置する。
直線LTは、フェース面16のトウ側点PTを通過して鉛直方向に延在する。
直線LHは、フェース面16のヒール側点PHを通過して鉛直方向に延在する。
直線LCは、直線LTおよび直線LHと平行である。直線LCと直線LTとの距離は、直線LCと直線LHとの距離と等しい。
符号Puは、フェース面16の上側点を示し、符号Pdはフェース面16の下側点である。上側点Puおよび下側点Pdは、いずれも直線LCと輪郭線Iとの交点である。
中心点Cは、上側点Puと下側点Pdとを結ぶ線分の中点で定義される。
フェースセンターラインCLは、中心点Cを通りかつトウ−ヒール方向と直交する方向に延在する直線であり、直線LCがフェースセンターラインCLとなる。
フェース面16のスピード分布とは、ゴルファーがゴルフクラブ10でゴルフボールを打撃したときに、打撃直前におけるフェース面16のスピードの分布を意味するものである。
スピード分布は、シャフト14の長さに依存する成分と、ゴルフクラブヘッド12のローリング(シャフト14の回りの回転)による成分とから主に決定される。
また、後者のゴルフクラブヘッド12のローリングに依存する成分は、シャフト14の中心軸の延長線Lから最も離れた点B(ゴルフクラブヘッド12のトウ24側端部)において最大となる。
従って、フェース面16のスピードは、図11に示すように、フェース面16のヒール26側の上部aからトウ24側の下部gへ向けて次第に大きくなるように分布する。
なお、図11においては、速度0.5m/s毎に等高線vを示している。
フェースローテーションFRは、ゴルフクラブヘッド12がゴルフボールを打撃する直前においてフェース面16がシャフト14の軸回りに変位する単位時間当たりの変位量である。本実施の形態では、フェースローテーションFRの単位を、分当たりの回転数(rpm)とするが、どのような単位とするかは任意である。
まず、図13(A)、(B)を参照して野球のバット2でボール4を打つ場合を例に説明する。
なお、バット2の重心位置をバット2の表面に垂直に投影した点を重心点Gとする。
図13(A)に示すように、バット2が平行に移動された場合、重心点Gでボール4を打つとボール4の飛距離が最大となる。言い換えると、ボール4の初速を最高にする最高初速点Pvは重心点Gと一致する。
図13(B)に示すように、バット2がスウィングされた(回転運動された)場合、バット2の重心点Gで打つよりも、重心点Gよりもバット2の先端側で打ったほうがボール4の飛距離が長くなる。
この理由は以下のとおりである。
バットスイングは回転運動のため、バット2とボール4の衝突の瞬間におけるバット2の速度分布は、重心点Gの箇所より先端側ほど速い。
衝突速度と衝突効率の関係から、打球速度が最高となるバット2上の位置である最高初速点Pvは、重心点Gよりも衝突速度が速い先端側へ移動する。
したがって、フェース面16上における最高初速点Pvは、重心点Gよりフェース面16の速度分布が速い先端側へ移動する。
図15(A)はフェースローテーションFRが小さい場合のゴルフクラブヘッド12の動きを示す模式図、(B)はフェースローテーションFRが大きい場合のゴルフクラブヘッド12の動きを示す模式図である。
図中、符号w1、w2はゴルフクラブヘッド12に設けた2箇所の指標を示す。符号w3は指標w1、w2を通る直線を示す。符号θはゴルフクラブヘッド12がフェースローテーションFRしたときの単位時間当たりの直線w3の回転角度(角速度)を示し、回転角度θはゴルフクラブヘッド12のフェースローテーションFRに相当する。
横軸はトウ−ヒール方向におけるフェース面16上の座標軸(X軸)を示し、左側がトウ、右側がヒールである。
縦軸はクラウン部−ソール部方向におけるフェース面16上の座標軸(Y軸)を示し、上側がクラウン部、下側がソール部である。
また、図中符号Vfはフェース面16の速度分布(m/sec)を示す。
本例では、縦軸がフェースセンターラインCLと合致しており、したがって、横軸はフェースセンターラインCLと直交する直線である。
すなわち、フェース面16のうちゴルフボールを打撃する領域として規定された領域の輪郭とフェースセンターラインCLとが交わる2点をフェースセンターラインCLの両端とし、フェースセンターラインCLの中点をフェース面16の中心点とする。
より詳細には、ライ角通りにゴルフクラブヘッド12をセットした状態でゴルフクラブヘッド12のフェース面16のトウ側からヒール側に向かう水平方向をX方向とし、鉛直上向きの方向をY方向とする。
また、横軸と縦軸の交点(原点)は、以下に定義されるフェース面16の中心点と一致フェース面16の中心点の座標は(0,0)である。
また、ゴルフクラブヘッド12のフェースローテーションFRが大きいほど(回転が速いほど)フェース面16の速度分布の等高線vの間隔は狭くなる。
なお、図16、図17、図18において、直線Mは、フェース面16の中心点を通りかつ等高線vと直交する直線を示す。
直線MとX軸(フェースセンターラインCLと直交する直線)とがなす角度φは、等高線vが横軸となす傾斜の度合いを示している。
すなわち、フェースローテーションFRが小さいほど角度φが大きくなる(等高線vの傾斜が小さくなる)傾向となり、フェースローテーションFRが大きくなるほど角度φが小さくなる(等高線vの傾斜が大きくなる)傾向となる。
また、クラウン部−ソール部方向における打点の分布のばらつきは、トウーヒール方向における打点のばらつきよりも大きい傾向にある。
このような結果から、打点の分布は、フェースセンターラインCLが最も高く、フェースセンターラインからトウ−ヒール方向に離れるほど低下するものといえる。
したがって、最高初速点PvをフェースセンターラインCL上に配置すれば、打球の飛距離を大きく確保することができることになる。
前述したように、最高初速点PvはフェースローテーションFRの影響を受けて重心点Gから移動することがわかっている。
そのため、最高初速点PvがフェースセンターラインCL上に配置されるように、より好ましくはフェース面16の中心点上に配置されるように、フェースローテーションFRに応じて重心点Gを設定すればよいことになる。
図19では、フェースローテーションFRが200rpm、400rpm、800rpmである場合について説明する。
フェースローテーションFRが小さいほど、フェース面16の中心点から重心点Gまでの距離が短く、かつ、X方向(横軸)と中心点および重心点Gとを結ぶ直線とがなす角度が大きい。
フェースローテーションFRが大きいほど、フェース面16の中心点から重心点Gまでの距離が長く、かつ、X方向と中心点および重心点Gとを結ぶ直線とがなす角度が小さい。
すなわち、図20に示すように、最高初速点Pvは重心点Gから直線Mに沿って速度分布が速い方に移動する。したがって、X方向と中心点および重心点Gとを結ぶ直線Mとがなす角度は、前述した角度φに等しい。
あるゴルファーのフェースローテーションFRが特定できれば、最高初速点PvがフェースセンターラインCL上、あるいは、フェース面16の中心点に配置されるために必要な重心点Gの位置を特定でき、この特定された重心点Gを有するゴルフクラブヘッド(ゴルフクラブ)を選定すれば、当該ゴルファーにとって打球の飛距離を向上させるゴルフクラブを提供することができる。
図21は複数のゴルファーによって番手が異なるゴルフクラブをスウィングしたときのフェースローテーションFRを実測した結果を示す説明図である。
横軸はゴルフクラブの番手を示し、縦軸はフェースローテーションFR(rpm)を示す。
被験者となるゴルファーはA1〜A10の10人である。
ゴルフクラブは、ウッド系のゴルフクラブとして、1番、3番(フェアウェイウッド)を用い、アイアン系のゴルフクラブとして3番〜9番、ピッチングウェッジの合計10本を用いた。
図21に示すように、同一のゴルファーにおけるフェースローテーションFRのばらつきは±50rpmに収まっていることがわかった。
この結果から、同一のゴルファーであれば、ゴルフクラブの番手に拘らずフェースローテーションFRがほぼ一定であるという前提が成立するものと考えられる。
横軸はフェースローテーションFR(rpm)、縦軸は合計人数に占める割合(%)である。
なお、フェースローテーションFRは以下のような範囲で区切っている。
横軸におけるフェースローテーションFRと、その範囲を以下に示す。
100rpm:0以上200rpm未満
200rpm:200以上300rpm未満
300rpm:300以上400rpm未満
400rpm:400以上500rpm未満
500rpm:500以上600rpm未満
600rpm:600以上700rpm未満
700rpm:700以上800rpm未満
800rpm:800rpm以上
ゴルファーは合計502人である。
フェースローテーションFRの最小値は209rpm、最大値は804rpm、平均値は426rpmであった。
図22から、フェースローテーションFRの範囲は200〜800rpm程度となることがわかった。
なお、図21、図22におけるフェースローテーションFRの計測は、ゴルフクラブヘッドの3次元的な挙動を計測する計測装置によって行った。
このような挙動計測装置としては、例えば、特開2005−34619号公報に開示されているように、ゴルフクラブヘッドに設けた複数のマーカの変位をカメラで連続的に撮影し、その三次元座標の時系列データを計算機で処理することによって、ゴルフクラブヘッドの3次元的な挙動を計測するものが挙げられる。
また、フェースローテーションFRの計測は、以下のような装置によって行うこともできる。
例えば、図15(A),(B)に示すように、ゴルフクラブヘッドに設けた2つの指標w1,w2の変位をカメラで連続的に撮影し、その時系列データを計算機で処理することによって、フェースローテーションFRを求めることができる。あるいは、図15(A),(B)に示す2つの指標w1,w2を反射マーカで構成し、これら2つの反射マーカの位置を2次元のラインセンサにより時系列データとして取得し、これら時系列データを計算機で処理することによって、フェースローテーションFRを求めることができる。
このような装置として、例えば、特開2009−18043号公報に開示されているように、ゴルフクラブヘッドのヒール側の速度Shとトウ側の速度Stとの差をδとし、ヘッドスピードをHとしたときに比率δ/Hで定義されるローリング比率Rを求める装置(特開2009−18043号公報)を利用することができる。
また、ゴルフクラブヘッドの挙動を検出するセンサは、カメラやラインセンサなどの光学的なセンサに限定されず、ゴルフクラブのグリップ部に磁気センサを取り付け、グリップ端の移動軌跡および向きを時系列データとして取得し、これら時系列データを計算機で処理することによって、フェースローテーションFRを求めてもよい。(例えば特許第3624761号など)
上述したように、ゴルフクラブヘッドのフェースローテーションFRを計測する装置として、従来公知のさまざまなゴルフクラブヘッドの挙動を計測する計測装置が使用可能である。
本実施の形態では、ゴルフクラブを選定する選定装置がコンピュータで構成されている。
図23は選定装置を構成するコンピュータ30の構成を示すブロック図である。
コンピュータ30は、CPU32と、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM34、RAM36、ハードディスク装置38、ディスク装置40、キーボード42、マウス44、ディスプレイ46、プリンタ48、入出力インターフェース50などを有している。
ROM34は制御プログラムなどを格納し、RAM36はワーキングエリアを提供するものである。
キーボード42およびマウス44は、操作者による操作入力を受け付けるものである。
ディスプレイ46はデータを表示出力するものであり、プリンタ48はデータを印刷出力するものであり、ディスプレイ46およびプリンタ48によってデータを出力する。
入出力インターフェース50は、外部機器との間でデータの授受を行うものである。
これら各手段は、コンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することによって実現されるものである。
この相関マップ3002は、例えば以下のような手順で構成される。
1)重心点Gの位置が既知であるゴルフヘッドクラブ12を備えるゴルフクラブ10を用意する。
2)スウィングロボットにより、ある値に設定されたフェースローテーションFRでゴルフクラブ10をスウィングさせ、フェース面16の全面にわたって設定された複数の打点でゴルフボールを打撃して各打点における初速を計測し、最高初速となった打点を最高初速点Pvとする。
このような計測を、フェースローテーションFRの値を変更させて繰り返して実行する。
3)この結果、フェースローテーションFRと、最高初速点Pvの位置と、重心点Gの位置との相関関係が得られる。
この相関関係から、最高初速点Pvの位置がフェースセンターラインCL上に位置するという条件を満たした場合におけるフェースローテーションFRと重心点Gの位置との関係を示す相関関係を表す相関マップ3002を作成する。
したがって、重心点算出手段30Aは、フェースローテーションFRの値に基づいて相関マップ3002から重心点Gの位置を算出(特定)する。
フェースセンターラインCLから重心点Gまでの距離を離間距離としたとき、フェースローテーションFRが大きい方の範囲に対応する離間距離が、フェースローテーションFRが小さい方の範囲に対応する離間距離よりも大である。
重心点Gの位置がフェースセンターラインCLからヒール寄り6mm以内の範囲であると、図26、図27、図28の実験例1〜32に示すように、重心点Gの位置が前記の範囲外である場合よりも打球の飛距離を確保する上でより有利となる。
これは、重心点Gの位置がフェースセンターラインCLからヒール寄り6mm以内の範囲であると、最高初速点Pvの位置をフェースセンターラインCLあるいはその近傍に近づける上で有利であるからである。
予めフェースローテーションFRの第1の閾値を400rpm±50rpmの範囲内で設定すると共に、第2の閾値を600rpm±50rpmの範囲内で設定する。
フェースローテーションFRが第1の閾値未満である範囲を小範囲とし、第1の閾値以上第2の閾値未満である範囲を中範囲とし、第2の閾値以上である範囲を大範囲としフェースローテーションFRを3つの範囲に区分する。
小範囲に対応する重心点Gの位置は、フェースセンターラインからヒール寄り0mm以上2mm未満とする。
中範囲に対応する重心点Gの位置は、フェースセンターラインからヒール寄り2mm以上4mm未満とする。
大範囲に対応する重心点Gの位置は、フェースセンターラインからヒール寄り4mm以上6mm以下とする。
後述する実験例では、第1の閾値を400rpmとし第2の閾値を600rpmとしており、実験例1〜11が小範囲、実験例12〜22が中範囲、実験例23〜32が大範囲である。
重心点Gの位置が上記の規定された範囲内にあると、図26、図27、図28に示すように、重心点Gの位置が前記の範囲外である場合よりも打球の飛距離を確保する上でより有利となる。
これは、フェースローテーションFRの小範囲と中範囲と大範囲とに応じて重心点Gの位置の範囲を異ならせることにより、最高初速点Pvの位置をフェースセンターラインCLあるいはその近傍に近づける上でより有利であるからである。
例えば範囲を4つ以上に区分してもよい。しかしながら、むやみに範囲を細分化すると、相関マップ3002を作成するために多くの実測結果が必要となり、コストを抑制する上で不利となる。また、後述する実験例で説明するように、範囲の数を3つとしても、打球の飛距離を確保する上で十分である。
また、フェースローテーションFRを小範囲と大範囲との2つの範囲に区分してもよい。この場合、小範囲に対応する重心点Gの位置は、フェースセンターラインからヒール寄り0mm以上3mm未満とし、大範囲に対応する重心点Gの位置は、フェースセンターラインからヒール寄り3mm以上6mm以下とすればよい。
すなわち、ゴルフクラブ選定手段30Bは、選定し得る複数のゴルフクラブ10の重心点Gの位置をデータベースとして備えており、重心点算出手段30Aによって算出された重心点Gの位置に基づいてデータベースからゴルファーのフェースローテーションFRに適したゴルフクラブ10を選定する。
フェースローテーションFRをその値の大小に応じて2つ以上の範囲に区分し、フェースセンターラインCL上の最高初速点Pvを任意に1点定め、かつ、フェース面16が規定されたロフト角度になるように水平面に配置された状態で重心点Gから水平面に至る重心高さFGHが17mm以上23mm以下である。
フェース面16のトウ側からヒール側に向かう水平方向をX方向としたとき、X方向と、最高初速点Pvおよび重心点Gを結ぶ直線とがなす角度を角度φとしたとき、フェースローテーションFRが大きい方の範囲に対応して算出された重心点Gに対応して定められる角度φ1よりも、フェースローテーションFRが小さい範囲に対応して算出された重心点Gに対応して定められる角度φ2が大である。
重心高さFGHが17mm以上23mm以下の範囲内であると、地面に置かれているボールを打撃する場合、ゴルフクラブヘッド12の重心位置とボールの重心位置が近接し、よりボール初速を向上させるために有利である。
φ1<φ2の関係にあると、図16〜図20に示すように、最高初速点Pvおよび重心点Gを結ぶ直線が、フェース速度分布を示す等高線vと直交する直線Mに近づくので、ボール速度を効果的に向上させる上で有利となる。
重心高さFGHが17mm以上23mm以下であり、フェースローテーションFRが小範囲である場合、角度φは37°以上〜54°以下、フェースローテーションFRが中範囲である場合、角度φは20°以上37°未満、フェースローテーションFRが大範囲である場合、角度φは5°〜20°未満である。
重心高さFGHが17mm以上23mm以下の範囲内であると、地面に置かれているボールを打撃する場合、ゴルフクラブヘッド12の重心位置とボールの重心位置が近接し、よりボール初速を向上させるために有利である。
角度φが上記の範囲にあると、図16〜図20に示すように、最高初速点Pvおよび重心点Gを結ぶ直線が、フェース速度分布を示す等高線vと直交する直線Mに近づくので、ボール速度を効果的に向上させる上で有利となる。
なお、フェースローテーションFRおよび重心点Gの位置を小範囲と大範囲との2つの範囲に区分する場合、角度φは以下のように例示される。
フェースローテーションFRが小範囲である場合、角度φは29°以上〜54°以下、フェースローテーションFRが大範囲である場合、角度φは5°〜29°未満である。
すなわち、図29に示すように、ゴルフクラブヘッド12のロフト角度αが大きくなるにつれて、重心高さFGHが次第に小さな値となり、かつ、ロフト角度αが最大値である場合の重心高さFGHとロフト角度αが最小値である場合の重心高さFGHとの差が2mm以上3mm以下であるほうが好ましい。
ロフト角度αと重心高さFGHとの関係について説明する。
図30に示すように、地面から4mm浮いた位置にあるゴルフボールをソール部20が地面に接した状態のゴルフクラブヘッド12(アイアンクラブ)でインパクトした場合の、最適な重心高さFGHをシミュレーションによって求めた。
この場合、最適な重心高さFGHとは、ボール初速が最大となる値であり、言い換えると、フェース面16のスイートスポットでゴルフボールをインパクトできる値である。
図31にシミュレーション結果を示す。
横軸はアイアンクラブの番手およびロフト角度α、縦軸は重心高さFGHを示す。
また、ゴルフクラブヘッド12のヘッドスピード(H/S)は35m/sec、40m/sec、45m/secの3段階とした。
図31から明らかなように、何れのヘッドスピードにおいてもロフト角度αが最大値である場合の重心高さFGHとロフト角度αが最小値である場合の重心高さFGHとの差が2.5mm以内であった。
したがって、ロフト角度αが最大値である場合の重心高さFGHとロフト角度αが最小値である場合の重心高さFGHとの差が2mm以上3mm以下であれば、使用上問題ないものと言える。
ゴルフ店やゴルフ練習場などの施設においてゴルフクラブ10の選定を行う場合を例にとって説明する。
ゴルファーがゴルフクラブ10をスウィングしたときのフェースローテーションFRを前記の挙動計測装置によって計測する(ステップS10:フェースローテーションFR計測ステップ)。この場合、施設のサービス提供者は、ゴルファーに対して計測用のゴルフクラブ10を提供する。あるいは、ゴルファーは、自らが持参したゴルフクラブ10を用いても良い。
これにより、重心点算出手段30Aは、フェースローテーションFRに基づいて相関マップ3002から重心点Gの位置を算出する(ステップS12:重心点算出ステップ)。
これは、フェース面16の下端から鉛直方向において高さ40mmを超える領域で打球を行わないためである。
具体的には、選定されたゴルフクラブ10をコンピュータ30のディスプレイ46に表示させ、あるいは、プリンタ48によって印刷出力させる。
このように出力されたゴルフクラブ10の選定結果に基づいて施設のサービス提供者は、ゴルファーにとって最適なゴルフクラブ10を提供し、あるいは、ゴルフクラブ10の情報(メーカーや型番など)を提供する。
したがって、ゴルファーのスウィングに応じて打球の飛距離を向上する上で有利なゴルフクラブを選定することができる。
例えば、選定するゴルフクラブを、アイアンゴルフクラブセットを構成する複数のゴルフクラブとする。
この場合、複数のゴルフクラブは、ロフト角度が28度未満のゴルフクラブを1本以上、ロフト角度が28度以上40度未満のゴルフクラブを1本以上、ロフト角度40度以上のゴルフクラブを1本以上を含む。具体的には、複数のゴルフクラブは、ロフト角度が28度未満のゴルフクラブとして、例えば、4番手(4番アイアン)、5番手(5番アイアン)、6番手(6番アイアン)のうちの1本以上、ロフト角度が28度以上40度未満のゴルフクラブとして、7番手(7番アイアン)、8番手(8番アイアン)、9番手(9番アイアン)のうちの1本以上、ロフト角度40度以上のゴルフクラブとして、PW(ピッチングウェッジ)、AW(アプローチウェッジ)、SW(サンドウェッジ)のうちの1本以上を含む。
また、複数のゴルフクラブは、ロフト角度αが大きくなるにつれて、重心高さFGHが次第に小さな値となり、かつ、ロフト角度αが最大値である場合の重心高さFGHとロフト角度αが最小値である場合の重心高さFGHとの差が2mm以上3mm以下であるものとする。
このように選定した複数のゴルフクラブ10でアイアンゴルフクラブセットを構成すると、以下の効果が奏される。
本発明の選定方法により選定された複数のゴルフクラブを用いることにより、ゴルファーが目標とする打点、すなわち、フェースセンターラインCL上でかつロフト角度α毎の最適重心高さ位置FGHの打点で打球する上で有利となり、最高初速を達成する上で有利となる。
すなわち、飛距離に最も影響するパラメータは初速であることから、本発明の選定方法により選定された複数のゴルフクラブを用いることにより、ゴルフククラブの番手毎に意図した飛距離を得る上で有利となり、スコアアップを実現する上で有利となる。
次に実験例について図26、図27、図28を参照して説明する。
試料として、重心点Gの位置を変えたゴルフクラブヘッド12を備えるゴルフクラブ10(アイアンクラブ)を作成し、各ゴルフクラブ10をスウィングロボットを用いてスウィングさせ、フェース面16の中心点でゴルフボールを打撃したときの最大飛距離を計測した。
実験条件は、以下のとおりである。
1)フェースローテーションFRは、200rpm、400rpm、800rpmの3種類とし、フェースローテーションFRが前述した小■範囲、中■範囲、大■範囲の3つの■範囲に区分されるようにした。
2)重心点Gの位置は、フェース面16の中心点を原点(0,0)とし、ヒール側を+(正)、トウ側を−(負)の数値として表記した。
3)最大飛距離は、フェースローテーションFRの小■範囲、中■範囲、大■範囲のそれぞれにおいて、最大飛距離が最大となった値を100とした指数で示した。
4)ゴルフクラブの番手は5番とした。
5)打撃回数は、ほぼセンターラインCLで打球したときの回数が5球以上になるまで試打を行ない、データは5球の平均値とした。
6)なお、実験例9、10、11、20、21、22、30、31、32では、ゴルフクラブセットとして計測を行った。この場合、ゴルフクラブの番手は5番、6番、7番、8番、9番、PWの6本とし、これら6本のゴルフクラブについて上記と同じ方法で試打して最大飛距離を計測しゴルフクラブセットごとに平均値を求めた。
(フェースローテーションFRの小範囲)
重心点Gの位置:フェースセンターラインCLからヒール寄り0mm以上2mm未満
角度φ:37°以上〜54°以下
(フェースローテーションFRの中範囲)
重心点Gの位置:フェースセンターラインCLからヒール寄り2mm以上4mm未満
角度φ:20°以上37°未満
(フェースローテーションFRの大範囲)
重心点Gの位置:フェースセンターラインCLからヒール寄り4mm以上6mm以下
角度φ:5°以上20°未満
また、フェースローテーションFRの小範囲、中範囲、大範囲の各範囲において、重心高さFGHは各範囲とも17mm以上23mm以下である。
また、クラブセットの場合、ロフト角度αが最大値である場合の重心高さFGHとロフト角度αが最小値である場合の重心高さFGHとの差が2mm以上3mm以下である。
実験例1は、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である。
実験例2〜4は、重心点Gの位置が規定された範囲を逸脱しており、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である。
実験例5は、重心点Gの位置が規定された範囲内であり、重心高さFGHが規定された範囲を下回っており、角度φが規定された範囲内である。
実験例6は、重心点Gの位置が規定された範囲内であり、重心高さFGHが規定された範囲を上回っており、角度φが規定された範囲内である。
実験例7は、重心点Gの位置、重心高さFGHが規定された範囲内であり、角度φが規定された範囲を下回っている。
実験例8は、重心点Gの位置、重心高さFGHが規定された範囲内であり、角度φが規定された範囲を上回っている。
実験例9は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲内である。
実験例10は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲を下回っている。
実験例11は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲を上回っている。
図26から明らかなように、フェースローテーションFRが200rpm(小範囲)である場合、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である実験例1の最大飛距離が最も大きい。
重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φの何れか1つが規定された範囲外である実験例2〜8は最大飛距離が実験例1に比較して低下している。
また、実験例9、10、11のクラブセットの場合、重心高さFGHの差が規定された範囲内である実験例9の最大飛距離が最も大きく、重心高さFGHの差が規定された範囲外である実験例10、11の最大飛距離は実験例9に比較して低下している。
実験例12は、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である。
実験例13〜15は、重心点Gの位置が規定された範囲を逸脱しており、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である。
実験例16は、重心点Gの位置が規定された範囲内であり、重心高さFGHが規定された範囲を下回っており、角度φが規定された範囲内である。
実験例17は、重心点Gの位置が規定された範囲内であり、重心高さFGHが規定された範囲を上回っており、角度φが規定された範囲内である。
実験例18は、重心点Gの位置、重心高さFGHが規定された範囲内であり、角度φが規定された範囲を下回っている。
実験例19は、重心点Gの位置、重心高さFGHが規定された範囲内であり、角度φが規定された範囲を上回っている。
実験例20は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲内である。
実験例21は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲を下回っている。
実験例22は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲を上回っている。
図27から明らかなように、フェースローテーションFRが400rpm(中範囲)である場合、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である実験例12の最大飛距離が最も大きい。
重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φの何れか1つが規定された範囲外である実験例13〜19は最大飛距離が実験例12に比較して低下している。
また、実験例20、21、22のクラブセットの場合、重心高さFGHの差が規定された範囲内である実験例20の最大飛距離が最も大きく、重心高さFGHの差が規定された範囲外である実験例21、22の最大飛距離は実験例20に比較して低下している。
実験例23は、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である。
実験例24、25は、重心点Gの位置が規定された範囲を逸脱しており、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である。
実験例26は、重心点Gの位置が規定された範囲内であり、重心高さFGHが規定された範囲を下回っており、角度φが規定された範囲内である。
実験例27は、重心点Gの位置が規定された範囲内であり、重心高さFGHが規定された範囲を上回っており、角度φが規定された範囲内である。
実験例28は、重心点Gの位置、重心高さFGHが規定された範囲内であり、角度φが規定された範囲を下回っている。
実験例29は、重心点Gの位置、重心高さFGHが規定された範囲内であり、角度φが規定された範囲を上回っている。
実験例30は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲内である。
実験例31は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲を下回っている。
実験例32は、クラブセットであり、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内であり、重心高さFGHの差が規定された範囲を上回っている。
図28から明らかなように、フェースローテーションFRが800rpm(大範囲)である場合、重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φが規定された範囲内である実験例23の最大飛距離が最も大きい。
重心点Gの位置、重心高さFGH、角度φの何れか1つが規定された範囲外である実験例24〜29は最大飛距離が実験例23に比較して低下している。
また、実験例30、31、32のクラブセットの場合、重心高さFGHの差が規定された範囲内である実験例30の最大飛距離が最も大きく、重心高さFGHの差が規定された範囲外である実験例31、32の最大飛距離は実験例30に比較して低下している。
次に、本発明のゴルフクラブの設計方法について説明する。
第1の実施の形態では、フェースローテーションFRの計測結果に基づいて最高初速点PvがフェースセンターラインCL上に位置するために必要な重心点Gの位置を決定し、その重心点Gに基づいてゴルフクラブを選定した。
これに対して第2の実施の形態では、予めフェースローテーションFRを設定しておき、この設定したフェースローテーションFRに基づいて最高初速点PvがフェースセンターラインCL上に位置するために必要な重心点Gの位置を算出し、その重心点Gに基づいてゴルフクラブヘッドの設計を行う。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、あるいは、簡単に行う。
図23を流用して説明すると、コンピュータ30は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
ただし、ハードディスク装置38は、フェースローテーションFRに基づいて、最高初速点がフェースセンターラインCL上に位置するために必要な重心点Gを有するゴルフクラブヘッドを設計する専用の計算プログラムを格納している点が第1の実施の形態と異なる。
これら各手段は、コンピュータ30が前記の計算プログラムを実行することによって実現されるものである。
この相関マップ3010は、第1の実施の形態における相関マップ3002と同様に構成されている。
重心点算出手段30Cは、フェースローテーションFRが入力されると、それらフェースローテーションFRを受け付け、フェースローテーションFRの値に基づいて相関マップ3010から重心点Gの位置を算出(特定)する。
設計手段30Dとしては、ゴルフクラブヘッド12を設計するために使用される従来公知のさまざまな設計プログラムやゴルフクラブヘッド12の設計変数を有するデータベースを含んで構成される。
このような設計変数として、例えば、重心距離、重心高さ、重心深さ、慣性モーメントなどが例示される。
まず、設計オペレータがキーボード42やマウス44などを操作することによってフェースローテーションFRがコンピュータ30に入力され、あるいは、入出力インターフェース50からデータとしてフェースローテーションFRがコンピュータ30に入力される(ステップS20)。
重心点算出手段30Cは、入力されたフェースローテーションFRを受け付けて設計に供するフェースローテーションFRとして設定する(ステップS22:フェースローテーションFR設定ステップ)。
次いで、重心点算出手段30Cは、設定したフェースローテーションFRに基づいて相関マップ3010から重心点Gの位置を算出する(ステップS24:重心点算出ステップ)。
次いで、設計手段30Dは、算出された重心点Gの位置に基づいてゴルフクラブヘッド12の設計変数を決定する(ステップS26:設計ステップ)。
次いで、コンピュータ30は、決定された設計変数をコンピュータ30のディスプレイ46に表示させ、あるいは、プリンタ48によって印刷出力させる(ステップS28)。
したがって、ゴルファーのスウィングに応じて打球の飛距離を向上する上で有利なゴルフクラブを設計することができる。
また、本実施の形態では、ゴルフクラブ10について説明したが、複数のゴルフクラブ10からなるゴルフクラブセットに対しても本発明は無論適用可能である。
Claims (6)
- ゴルファーによりスウィングされたゴルフクラブのゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する直前におけるゴルフクラブヘッドの挙動を計測し該計測結果に基づいてゴルフクラブを選定するゴルフクラブの選定方法であって、
前記ゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する直前においてフェース面がゴルフクラブのシャフト軸回りに変位する単位時間当たりの変位量をフェースローテーションとし、
前記フェース面のうちゴルフボールを打撃する領域として規定された領域のトウ−ヒール方向における中央を通りかつトウ−ヒール方向と直交する方向に延在する直線をフェースセンターラインとし、
前記ゴルフクラブヘッドの重心位置を前記フェース面に垂直に投影した点を重心点としたとき、
ゴルファーによりスウィングされたゴルフクラブのフェースローテーションを計測するフェースローテーション計測ステップと、
前記計測されたフェースローテーションで変位する前記フェース面の前記フェースセンターラインでゴルフボールを打撃したときの初速が最高初速となるために必要な重心点の位置を算出する重心点算出ステップと、
前記算出された重心点の位置に基づいて前記ゴルファーのフェースローテーションに適したゴルフクラブを選定する選定ステップとを含み、
予め前記フェースローテーションの第1の閾値を400rpm±50rpmの範囲内で設定すると共に、第2の閾値を600rpm±50rpmの範囲内で設定し、
前記フェースローテーションが前記第1の閾値未満である範囲を小範囲とし、前記第1の閾値以上前記第2の閾値未満である範囲を中範囲とし、前記第2の閾値以上である範囲を大範囲とし前記フェースローテーションを3つの範囲に区分し、
前記小範囲に対応する重心点の位置は、前記フェースセンターラインからヒール寄り0mm以上2mm未満であり、
前記中範囲に対応する重心点の位置は、前記フェースセンターラインからヒール寄り2mm以上4mm未満であり、
前記大範囲に対応する重心点の位置は、前記フェースセンターラインからヒール寄り4mm以上6mm以下である、
ことを特徴とするゴルフクラブの選定方法。 - 前記フェースセンターライン上の最高初速点を任意に1点定め、かつ、前記フェース面が規定されたロフト角度になるように水平面に配置された状態で前記重心点から水平面に至る重心高さが17mm以上23mm以下であり、
前記フェース面のトウ側からヒール側に向かう水平方向をX方向としたとき、
前記X方向と、前記最高初速点および前記重心点を結ぶ直線とがなす角度を角度φとしたとき、
前記フェースローテーションが小範囲である場合、角度φは37°以上〜54°以下、前記フェースローテーションが中範囲である場合、20°以上37°未満、前記フェースローテーションが大範囲である場合、角度φは5°〜20°未満である、
ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブの選定方法。 - 前記ゴルフクラブヘッドのロフト角度が大きくなるにつれて、前記重心高さが次第に小さな値となり、かつ、前記ロフト角度が最大値である場合の前記重心高さと前記ロフト角度が最小値である場合の前記重心高さとの差が2mm以上3mm以下である、
ことを特徴とする請求項2項記載のゴルフクラブの選定方法。 - 前記選定するゴルフクラブは、アイアンゴルフクラブセットを構成する複数のゴルフクラブであり、
前記複数のゴルフクラブは、ロフト角度が28度未満のゴルフクラブを1本以上と、ロフト角度が28度以上40度未満のゴルフクラブを1本以上と、ロフト角度40度以上のゴルフクラブを1本以上とを含む、
ことを特徴とする請求項3記載のゴルフクラブの選定方法。 - 前記重心点算出ステップにおけるゴルフボールを打撃する前記フェースセンターラインの箇所は、前記フェース面が規定されたロフト角度になるように前記ゴルフクラブヘッドが水平面に配置された状態で、前記フェース面の下端から鉛直方向において高さ40mmに位置する箇所までの領域である、
ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のゴルフクラブの選定方法。 - ゴルフクラブヘッドがゴルフボールを打撃する直前においてフェース面がゴルフクラブのシャフト軸回りに変位する単位時間当たりの変位量をフェースローテーションとし、
前記フェース面のうちゴルフボールを打撃する領域として規定された領域のトウ−ヒール方向の中央を通りかつトウ−ヒール方向と直交する方向に延在する直線をフェースセンターラインとし、
前記ゴルフクラブヘッドの重心位置を前記フェース面に垂直に投影した位置を重心点としたとき、
前記フェースローテーションが設定されるフェースローテーション設定ステップと、
前記設定されたフェースローテーションで変位する前記フェース面の前記フェースセンターラインでゴルフボールを打撃したときの初速が最高初速となるために必要な重心点の位置を、前記設定されたフェースローテーションに対応する重心点の位置として算出する重心点算出ステップと、
前記算出された重心点の位置に基づいてゴルフクラブヘッドの設計変数を決定する設計ステップとを含み、
予め前記フェースローテーションの第1の閾値を400rpm±50rpmの範囲内で設定すると共に、第2の閾値を600rpm±50rpmの範囲内で設定し、
前記フェースローテーションが前記第1の閾値未満である範囲を小範囲とし、前記第1の閾値以上前記第2の閾値未満である範囲を中範囲とし、前記第2の閾値以上である範囲を大範囲とし前記フェースローテーションを3つの範囲に区分し、
前記小範囲に対応する重心点の位置は、前記フェースセンターラインからヒール寄り0mm以上2mm未満であり、
前記中範囲に対応する重心点の位置は、前記フェースセンターラインからヒール寄り2mm以上4mm未満であり、
前記大範囲に対応する重心点の位置は、前記フェースセンターラインからヒール寄り4mm以上6mm以下である、
ことを特徴とするゴルフクラブの設計方法。
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