JP5642590B2 - トナーバインダー組成物およびトナー組成物 - Google Patents
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Description
低温定着性と耐ホットオフセット性のいずれにも極めて優れた、ポリエステル系トナーバインダーからなるトナー組成物が知られている(特許文献1参照)。しかし、近年、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立(定着温度幅の拡大)の要望がますます高まっており、更なる改良が求められていた。
すなわち本発明は、下記のとおりである。
(I) 少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有し、カルボン酸成分(x)が、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上含有し、ジカルボン酸(x1)が、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体、イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体、フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上であり、かつ、さらに少なくとも、3価以上のポリカルボン酸(x2)をも含有し、ポリオール成分(y)が、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有する、ポリエステル樹脂(A)、ならびに分子内に少なくとも2つの脂肪族または芳香族の環状構造を有し、飽和炭素原子の数が5〜50個である化合物(B)を含有するトナーバインダー組成物であって、化合物(B)が特定の一般化学式で表される環状リン酸エステルの金属塩(B3)であるトナーバインダー組成物。
(II) 上記のトナーバインダー組成物と着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種類以上の添加剤を含有するトナー組成物。
本発明のトナーバインダー組成物中に含有されるポリエステル樹脂(A)は、少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有するポリエステル樹脂であって、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立させる(定着温度幅の拡大)観点から、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上含有し、かつ、さらに少なくとも、3価以上のポリカルボン酸(x2)をも含有するカルボン酸成分(x)と、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)が80モル%以上含有されたポリオール成分(y)とを構成単位とする。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等、好ましくは炭素数1〜4)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
なお、本発明においては、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)において、芳香族ジカルボン酸とその同一ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とは、1種として数える。
これら(x1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から好ましくは、以下に挙げた(1)〜(3)から選ばれる2種以上である。
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
好ましい組合せとしては(1)と(2)、および(1)と(3)であり、さらに好ましくは、(1)と(2)の重量比が(1)/(2)=3/7〜7/3であり、(1)と(3)の重量比が(1)/(3)=3/7〜7/3である。
カルボン酸成分(x)のうち、(x1)以外のジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク、アジピン、およびセバシン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えば、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン、フマル、シトラコン、およびメサコン酸)およびこれらのエステル形成性誘導体;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体であり、さらに好ましくは、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらのエステル形成性誘導体である。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
また、(x)中の3価以上のポリカルボン酸(x2)の量としては20モル%以下が好ましく、さらに好ましくは1〜15モル%、とくに好ましくは2〜12モル%である。
また、(x)中の芳香族モノカルボン酸(x3)の量としては10モル%以下が好ましく、さらに好ましくは0.1〜9.5モル%、とくに好ましくは0.5〜9モル%である。
これら(y1)のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、分子末端に1級水酸基を有する、分岐のない脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等)が好ましい。なお、ポリエステル樹脂(A)のうち後述する線形ポリエステル樹脂(A1)の場合は、炭素数3〜6の分岐のある脂肪族ジオール(1,2−プロピレングリコール等)も好ましい。
保存安定性の観点から、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールがさらに好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。
ポリオール成分(y)のうち、(y1)以外のジオールとしては、炭素数11〜36のアルキレングリコール(1,12−ドデカンジオール等);炭素数11〜36のアルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン〔アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)。以下のポリオキシアルキレン基も同じ〕エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
これらのうち好ましいものは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール、およびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ポリオール成分(y)とカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
線形ポリエステル樹脂(A1)は、通常、前記ジオール〔(y1)および必要により(y1)以外〕と、ジカルボン酸〔(x1)および必要により(x1)以外〕および必要により芳香族モノカルボン酸(x3)とを、重縮合させて得られる。また分子末端を前記ジカルボン酸もしくは3価以上のポリカルボン酸(x2)の無水物で変性したものであってもよい。
架橋ポリエステル樹脂(A2)は、通常前記のジカルボン酸〔(x1)および必要により(x1)以外〕およびジオール〔(y1)および必要により(y1)以外〕と共に、前記の3価以上のポリカルボン酸(x2)および/または3価以上のポリオールを反応させて得られる。
3価以上のポリカルボン酸(x2)および/または3価以上のポリオールとしては、ノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)、および炭素数9〜20の3価以上の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)が好ましく、さらに好ましくは、3〜6価の芳香族ポリカルボン酸である。
(A2)を得る場合の3価以上のポリカルボン酸(x2)と3価以上のポリオールの比率は、これらのモル数の和が、全ポリオール成分(y)と全カルボン酸成分(x)のモル数の合計に対して、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜25モル%、とくに好ましくは3〜20モル%である。
また、架橋ポリエステル樹脂(A2)のTHF不溶解分は、好ましくは1〜70重量%である。下限は、さらに好ましくは2重量%であり、上限は、さらに好ましくは60重量%、とくに好ましくは50重量%である。上記範囲のTHF不溶解分を含有させることは、耐ホットオフセット性が向上する点で好ましい。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。
架橋ポリエステル樹脂(A2)の酸価は、好ましくは0〜100である。酸価が100以下であるとトナー化時の帯電特性が低下しない。酸価は、帯電量の観点から、さらに好ましくは4〜80、とくに好ましくは10〜60である。
(A2)の水酸基価は、好ましくは0〜100、さらに好ましくは0〜80、とくに好ましくは0〜50である。水酸基価が100以下であるとトナー化時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
なお、試料中に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製ラボプラストミルMODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
(A)のうち、線形ポリエステル樹脂(A1)のMpは、さらに好ましくは1000〜15000、とくに好ましくは1500〜12000である。Mpが1000以上であると定着に必要な樹脂強度が発現し、15000以下であるとトナー化時の低温定着性が良好である。
また、架橋ポリエステル樹脂(A2)のMpは、トナーの耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、2000〜20000がさらに好ましく、とくに好ましくは3000〜10500、とくに好ましくは4000〜9000である。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上で最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
なお、上記および以下において、Tgはセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
架橋ポリエステル樹脂(A2)のTmは、120〜170℃が好ましく、さらに好ましくは125〜160℃、とくに好ましくは130〜150℃である。
この範囲であると、耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。本発明において、Tmは以下の方法で測定される。
<軟化点〔Tm〕>
高化式フローテスター{たとえば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点〔Tm〕とする。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、および連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、およびバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
(B1)ロジン酸の金属塩
(B2)下記一般式(1)で表されるアミド化合物
X−Q−Z−Q−X (1)
[式中、Xはロジン酸の残基、Qは−CONH−または−NHCO−、Zはナフタレン、ベンズアニリド、およびジフェニルスルホンのいずれかに由来する2価の基。]
(B3)下記一般式(2)で表される環状リン酸エステルの金属塩
金属塩とするためにロジン酸と反応させる金属化合物としては、硫酸塩、硝酸塩、珪酸塩、酢酸塩、リン酸塩、水酸化物、硫化物、酸化物などの有機および無機金属化合物が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ハイドロカルマイト、珪酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アルミニウムイソプロポキシド、および酢酸亜鉛等が挙げられる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー組成物100部に対して、好ましくは1〜40部、さらに好ましくは3〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、さらに好ましくは40〜120部である。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
[線形ポリエステル樹脂(A1−1)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の製造例で用いる反応槽も同様)中に、テレフタル酸460部(2.8モル)、イソフタル酸307部(1.8モル)、1,2−プロピレングリコール695部(9.1モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水と1,2−プロピレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収された1,2−プロピレングリコールは216部(2.8モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(A1−1)とする。
線形ポリエステル樹脂(A1−1)のTgは60℃、Tmは95℃、Mpは4500、AVは50、OHVは79、THF不溶解分は0%、比重は1.22であった。
[線形ポリエステル樹脂(A1−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸460部(2.8モル)、イソフタル酸307部(1.8モル)、エチレングリコール573部(9.2モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を加え、180℃で1時間保持した後取出した。回収されたエチレングリコールは200部(3.2モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(A1−2)とする。
線形ポリエステル樹脂(A1−2)のTgは59℃、Tmは92℃、Mpは4500、AVは49、OHVは77、THF不溶解分は0%、比重は1.21であった。
[線形ポリエステル樹脂(A1−3)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸407部、イソフタル酸407部、エチレングリコール570部、無水トリメリット酸26部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の粘度で取り出した。回収されたエチレングリコールおよび結合水は411部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを線形ポリエステル樹脂(A1−3)とする。
線形ポリエステル樹脂(A1−3)のTgは60℃、Tmは99℃、Mpは8000、AVは2、OHVは40、THF不溶解分は0%、比重は1.22であった。
[架橋ポリエステル樹脂(A2−1)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸460部(2.8モル)、イソフタル酸307部(1.8モル)、エチレングリコール573部(9.2モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸88部(0.46モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは245部(4.0モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを架橋ポリエステル樹脂(A2−1)とする。
架橋ポリエステル樹脂(A2−1)のTgは60℃、Tmは140℃、Mpは6000、AVは27、OHVは1、THF不溶解分は3%、比重は1.25であった。
[架橋ポリエステル樹脂(A2−2)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸463部(2.8モル)、フタル酸308部(1.9モル)、エチレングリコール576部(9.3モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸88部(0.46モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは227部(3.7モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを架橋ポリエステル樹脂(A2−2)とする。
架橋ポリエステル樹脂(A2−2)のTgは58℃、Tmは142℃、Mpは7000、AVは26、OHVは0.1、THF不溶解分は2%、比重は1.26であった。
[架橋ポリエステル樹脂(A2−3)の合成]
反応槽中に、イソフタル酸461部(2.8モル)、フタル酸308部(1.9モル)、エチレングリコール575部(9.3モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸88部(0.46モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは224部(3.6モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを架橋ポリエステル樹脂(A2−3)とする。
架橋ポリエステル樹脂(A2−3)のTgは57℃、Tmは138℃、Mpは6700、AVは28、OHVは1、THF不溶解分は1%、比重は1.25であった。
[架橋ポリエステル樹脂(A2−4)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸310部(1.9モル)、イソフタル酸465部(2.8モル)、アジピン酸36部(0.25モル)、エチレングリコール610部(9.8モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸52部(0.27モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは262部(4.2モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを架橋ポリエステル樹脂(A2−4)とする。
架橋ポリエステル樹脂(A2−4)のTgは60℃、Tmは150℃、Mpは10500、AVは10、OHVは0、THF不溶解分は1%、比重は1.25であった。
[架橋ポリエステル樹脂(A2−5)の合成]
反応槽中に、テレフタル酸440部(2.7モル)、イソフタル酸235部(1.4モル)、アジピン酸7部(0.05モル)、エチレングリコール554部(8.9モル)、重合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水とエチレングリコールを留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸103部(0.54モル)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは219部(3.5モル)であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これを架橋ポリエステル樹脂(A2−5)とする。
架橋ポリエステル樹脂(A2−5)のTgは56℃、Tmは135℃、Mpは4800、AVは37、OHVは50、THF不溶解分は5%、比重は1.24であった。
[化合物(B−1)の製造]
攪拌機、冷却器付水抜管、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応装置中にデヒドロアビエチン酸100部を仕込み、窒素気流下、200℃で攪拌しながら48%水酸化カリウム溶液10.3部を滴下した後、250℃に昇温し、同温度で1時間保温した。その後、減圧度6.7kPaで減圧し、固体状のデヒドロアビエチン酸カリウムである化合物(B−1)101部を得た。
[化合物(B−2)の製造]
製造例9と同様の手段を用い、48%水酸化カリウム水溶液を48%水酸化ナトリウム水溶液とすることで、固体状のデヒドロアビエチン酸ナトリウムである化合物(B−2)101部を得た。
[化合物(B−3)の製造]
セパラブルフラスコに、1,5−ジアミノナフタレン9.18部(0.058モル部)を含有するテトラヒドロフラン溶液189.19部とトリエチルアミン12.91部(0.128モル部)を仕込み、室温で攪拌しながら、デヒドロアビエチン酸クロライド37.86部(0.116モル部)を含有するテトラヒドロフラン溶液150部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、攪拌しながら1晩放置した後、トリエチルアミン塩酸塩を濾別除去した。反応液を濃縮して、粗結晶42部を得た後、これにメチルエチルケトン1138.8部を加えて溶解し、次いで全量が390部になるまで該溶液を濃縮して再結晶させた。得られた粗結晶23.5部をさらにメチルエチルケトン895.6部に溶解し、全量が334.3部になるまで該溶液を濃縮して再結晶させた。減圧下120℃にて乾燥し、ナフタレンとデヒドロアビエチン酸のアミドの結晶である化合物(B−3)13.2部を得た。
[化合物(B−4)の製造]
キシレン48部およびイソプロピルアルコール36部からなる混合溶媒に、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスホン酸49.2mmolを加え、さらに水酸化リチウム1水和物70.9mmolを水24部に溶解させた溶液を15分間で滴下した。1時間攪拌後、分散液から82℃で溶媒を留去して得られた系を25℃まで冷却して、固相を濾取した。固相を水で洗浄後乾燥し、下記化学式で表されるリン酸エステルリチウム塩である化合物(B−4)を得た。
上記製造例で得られた線形ポリエステル樹脂(A1−1)〜(A1−3)、架橋ポリエステル樹脂(A2−1)〜(A2−5)、および化合物(B−1)〜(B−4)を表1の配合比(部)に従い配合し、ポリエステル樹脂(A)と化合物(B)からなる本発明のトナーバインダー組成物、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。(カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]、カルナバワックス、荷電制御剤T−77[保土谷化学(製)])
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で140℃で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−12)、および比較用のトナー組成物(RT−1)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表2に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。定着ロール通過後ホットオフセットが発生しない上限温度をホットオフセット発生温度とした。
Claims (7)
- 少なくともカルボン酸成分(x)とポリオール成分(y)を構成単位として有し、カルボン酸成分(x)が、芳香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体から選ばれる2種以上のジカルボン酸(x1)を合計で80モル%以上含有し、ジカルボン酸(x1)が、下記(1)〜(3)から選ばれる2種以上であり、かつ、さらに少なくとも、3価以上のポリカルボン酸(x2)をも含有し、ポリオール成分(y)が、炭素数が2〜10の脂肪族ジオール(y1)を80モル%以上含有する、ポリエステル樹脂(A)、ならびに分子内に少なくとも2つの脂肪族または芳香族の環状構造を有し、飽和炭素原子の数が5〜50個である化合物(B)を含有するトナーバインダー組成物であって、化合物(B)が下記一般式(2)で表される環状リン酸エステルの金属塩(B3)であるトナーバインダー組成物。
(1)テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(2)イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
(3)フタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体
1〜4のアルキル基を表し、M1はアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルミニ
ウム原子を表し、M1がアルカリ金属原子の場合pは1、qは0であり、M1がアルカリ土類金属原子の場合pは2、qは0であり、M1がアルミニウム原子の場合、pは1または
2、qは3−pである。]
- (A)100重量部に対する(B)の含有量が0.001〜30重量部である請求項1記載のトナーバインダー組成物。
- ポリエステル樹脂(A)のテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーのピークトップ分子量が1000〜20000である請求項1または2のいずれか記載のトナーバインダー組成物。
- ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が30〜75℃である請求項1〜3のいずれか記載のトナーバインダー組成物。
- ポリエステル樹脂(A)が、架橋ポリエステル樹脂(A2)、および必要により線形ポリエステル樹脂(A1)で構成される請求項1〜4のいずれか記載のトナーバインダー組成物。
- 線形ポリエステル樹脂(A1)のフローテスターによる軟化点が70〜120℃であり、架橋ポリエステル樹脂(A2)のフローテスターによる軟化点が120〜170℃である請求項5記載のトナーバインダー組成物。
- 請求項1〜6のいずれか記載のトナーバインダー組成物と着色剤、並びに必要により、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種類以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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