JP5640973B2 - ポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体 - Google Patents

ポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体 Download PDF

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Description

本発明はガスバリア性に優れ、異なるポリエステルを積層しているにも関わらず層間接着力に優れるポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体に関する。
従来より、食品や薬品、最近では電子部品等の内容物の変質を防ぐために、外部からのガスの浸入を遮断する効果をもつ包装材が必要とされている。この目的に使用されるガスバリア性に優れたフィルム材料としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体を積層したフィルムやポリアミド等からなるガスバリア性フィルムを組み合わせた複合フィルムが開発されている。しかし、エチレン・ビニルアルコール共重合体やポリアミド等のフィルムは、ガスバリア性に湿度依存性があり、高湿下でガスバリア性が大幅に劣化する問題があった。
湿度依存性の少ないガスバリア性ポリマーとして、ポリグリコール酸(以下PGAと略す)が挙げられる。一般的に、このようなガスバリア性に優れるポリマーは高価であるため、他の安価な樹脂からなる層に薄い層として積層される場合が多い(例えば、特許文献1〜3参照)。
ところが、前述の特許文献1や2では、ポリグリコール酸の層と熱可塑性樹脂層との層間接着性を確保するために、それらの層の間に接着層を用いる方法は具体的に開示されているが、それらを直接積層した場合の層間接着性改良方法に関しては明確な指導原理が開示されていない。また、特許文献3ではポリグリコール酸の層とポリ乳酸の層を直接積層し、層間接着性を改良するために、延伸点を赤外線ヒーターなどで加熱する方法が開示されているが、その層間接着性の改良効果は殆ど認められなかった。
また、近年ガスバリア性の要求レベルはさらに高まっており、上記のフィルムではガスバリア性が不十分となりつつあった。さらに、近年の環境意識の高まりに伴い、生分解性を有するガスバリアフィルムに対する要求が高まりつつあった。
特許第3978070号公報 特許第3913847号公報 特開2006−130847号公報
そこで本発明の目的は、ポリグリコール酸の層と、それとは異なるポリエステル層を直接積層しているにも関わらず、層間接着性に優れ、かつ優れたガスバリア性、加工性、実用性を有する積層フィルム、およびその蒸着フィルム、ラミネート体、包装体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、「ポリグリコール酸以外のポリエステル」を主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面に、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が直接積層された構成を含み、当該樹脂層間の層間接着力を高めることで、優れたガスバリア性と加工性、実用性を両立したポリエステル系積層フィルムを提供できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
すなわち、本発明のポリエステル系積層フィルムは、「ポリグリコール酸以外のポリエステル」を主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面に、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が直接積層された構成を含み、前記A層が層間接着改良剤を含有することを特徴とする。
また、別の構成として、本発明のポリエステル系積層フィルムは、「ポリグリコール酸以外のポリエステル」を主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面に、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が直接積層された構成を含み、A層とB層との層間接着力が25g/15mm以上であることを特徴とする。さらに、この形態のポリエステル系積層フィルムの好ましい態様として、前記A層が層間接着改良剤を含有することを特徴とする。
さらに好ましい態様として、前記層間接着改良剤が、コモノマー成分としてエチレン成分、アクリル酸系誘導体成分、および、グルシジル基含有成分からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の成分を含有するポリマーであること、前記B層が、層間接着改良剤を含有すること、前記A層及び/またはB層の層間接着改良剤の含量が、各層の全成分100質量%に対して0.1〜30質量%であること、前記層間接着改良剤のA層及び/またはB層中で分散している各領域のアスペクト比が5以上30以下であること、A層のポリエステルが、脂肪族ポリエステルであること、B層のポリグリコール酸が、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位をコモノマー単位として含有するコポリマーであること、前記ヒドロキシカルボン酸単位が、ポリグリコール酸の全てのモノマー単位100mol%に対して、1〜30mol%であること、前記ヒドロキシカルボン酸単位が、乳酸単位であること、B層がフィルムの少なくとも片方の表面層であることを特徴とする。
また、前記ポリエステル系積層フィルムを用いた好ましい態様として、前記ポリエステル系積層フィルムの少なくとも片面に、金属または無機酸化物からなる蒸着層を有する蒸着フィルム、前記ポリエステル系積層フィルムおよび前記蒸着フィルムを含んでなるラミネート体、前記ポリエステル系積層フィルムおよび前記蒸着フィルムを含んでなる包装体が挙げられる。
本発明のポリエステル系積層フィルムは、異なるポリエステルを主たる構成成分とする層が直接積層されているにも関わらず、層間接着力に優れるため、加工性、実用性に優れたるフィルムとすることができ、さらに前述のポリエステルの一方にポリグリコール酸を使用しているので、酸素、水蒸気などのガスバリア性、にも優れるフィルムとすることができる。そのため、本発明のポリエステル系積層フィルムに蒸着層を設けたり、ラミネート体や包装体に加工することも容易であり、包装材料用や一般工業用フィルムなどとして好適に用いることができる。
以下に、望ましい実施の形態とともに、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル系積層フィルムの形態は、「ポリグリコール酸以外のポリエステル」を主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面に、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が直接積層された構成を含み、前記A層が層間接着改良剤を含有することを特徴とするフィルムである
本発明のポリエステル系積層フィルム(以下、単に本発明のフィルムと略称する場合がある)は、「ポリグリコール酸以外のポリエステル」を主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面に、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が直接積層された構成を含む。このような積層構成とすることにより、優れたバリア性を示しながら、コストメリットに優れたフィルムとすることができる。また、本発明のポリエステル系積層フィルムは、このような直接積層された構成であっても、下記の通り優れた層間接着力を付与できるため、加工性、加工後の実用性に優れる。また、元来、層間接着力を付与するためには、A層とB層の間に接着用の別の層(以下、接着層と記載する)を用いることが一般的である。しかしながら、同手法ではA層、B層の他に接着層のために押出機、共押出装置が必要であり、かつフローマークなどの積層ムラのないフィルムとするためには、(特に共押出積層法として下記に示す手法のうちからフィードブロック法を用いる場合)これら少なくとも3種の層の溶融粘度を精度良く制御する必要があった。これに対して、本発明のポリエステル系積層フィルムでは、A層とB層を直接積層することから、付加的に押出機、共押出装置を導入する必要が無く、上記のような接着層の積層ムラを懸念する必要もない。したがって、本発明のフィルムは、経済的に優れており、共押出時のハンドリング性に優れる。
本発明のフィルムのA層は、層間接着改良剤を含有する。層間接着改良剤は、製膜工程で積層される各層間の接着力を向上させる物質と定義される。当該層間接着改良剤を含有することにより、印刷、ラミネート、コーティング、製袋、蒸着などの加工工程において、A層とB層の間で剥離が生じにくく、最終製品へと問題なく加工できる。このため、本発明のフィルムは、加工性に優れている。また、当該ポリエステル系積層フィルムを用いた最終製品について、例えば製袋により内容物を充填した袋に加工した場合であっても、当該袋はA層とB層の間で層間剥離しにくく、袋の開封性に優れる。このため、本発明のフィルムは、加工後の実用性にも優れている。
当該層間接着改良剤は、ポリマーであることが好ましく、該ポリマーのモノマー成分は、エチレン成分、アクリル酸系誘導体成分、グリシジル基含有成分から選ばれる少なくとも1つ以上の成分を含有するものが好ましい。
さらに、層間接着改良剤は、アクリル酸系誘導体成分を含有するものが好ましく、より好ましくは、アクリル酸系誘導体成分とグリシジル基含有成分を含有するものである。
また、層間接着改良剤は、グリシジル基を含有するアクリル酸系誘導体成分以外に他の成分を共重合したコポリマーであることがより好ましく、共重合成分はエチレン成分であることが好ましい。 層間接着改良剤にグリシジル基を導入する方法としては、下記で示されるアクリル酸系誘導体成分として導入することが好ましい。
CH=CRCOOR
ここで、R及びRは水素あるいは炭素数1〜8のアルキル基、エポキシ基、グリシジル基であることが好ましい。より好ましくは、Rは溶融成形時のハンドリング性(例えば、押出機の腐食防止)の観点から、メチル基、エチル基、t−ブチル基、n−ブチル基、グリシジル基であることが好ましく、なかでもグリシジル基が最も好ましい。R及びRの両方がグリシジル基であることも好ましく例示される。
さらに、食品包装用途に使用される場合は、溶融成形性、米国FDAをはじめとする機関から提供される食品衛生法の観点から、層間接着改良剤は、モノマー成分としてアクリル酸誘導体成分だけでなく、オレフィン成分、特にエチレン成分が共重合されていることが好ましい。さらに、当該エチレン成分、アクリル酸系誘導体成分の他に、グリシジル基含有成分または無水マレイン酸に代表される酸無水物誘導体成分を共重合成分として含有することも、層間密着力が更に改良できる場合があるので、好ましい。
当該層間接着改良剤としては、最も好ましい形態であるグリシジル基を含有するアクリル酸系誘導体成分とエチレン成分のコポリマーの例として、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)製“エルバロイ”、“エルバロイAC”、“ハイミラン”、“ニュクレル”、“HPR”;Arkema製“Lotader MAH”、“Lotader GMA”、“BONDINE”;住友化学(株)製“BONDFAST”;日本ポリエチレン(株)製“REXPEARL ET”、E. I. du Pont de Nemours and Company製“Biomax strong”などが挙げられる。これらのなかでも、FDAに適合しており(CFR 175. 105)、層間接着改良効果が高く、延伸加工性も同時に改良されることから、“Biomax strong 120”が最も好ましい。
本発明のフィルムのA層とB層との間の層間密着力は、25g/15mm以上であることが好ましい。ここで、層間密着力とは、後述する通り、本発明の積層フィルムの片面を、ポリウレタン系接着剤を用いて未延伸ポリプロピレンフィルムとドライラミネートし、公知の引張試験機を用いて剥離試験を行う際に得られる荷重値の最大値と最小値の平均値である。本発明のポリエステル系積層フィルムは、層間密着力を上記の態様とすることにより、印刷、ラミネート、コーティング、製袋、蒸着などの加工工程において、A層とB層の間で剥離が生じにくく、最終製品へと問題なく加工できる。このため、本発明のフィルムは、加工性に優れている。また、当該ポリエステル系積層フィルムを用いた最終製品について、例えば製袋により内容物を充填した袋に加工した場合であっても、当該袋はA層とB層の間で層間剥離しにくく、袋の開封性に優れる。このため、本発明のフィルムは、加工後の実用性にも優れている。なお、上記測定方法によれば、最も層間接着力が低い、異なるポリエステルであるA層とB層の間の界面で層間剥離が発生する場合が多いが、層間剥離が本発明のフィルム内のA層とB層の間の界面以外で発生する場合、あるいは凝集破壊が生じる場合も考えられる。このような場合には、A層とB層の間の層間接着力は、測定された荷重値以上であると結論すればよい。また、本発明のA層とB層との間の層間接着力は、高いほど好ましく、40g/15mm以上であることがより好ましく、80g/15mm以上であることが更に好ましい。A層とB層との間の層間接着力は、特に上限は設けられないが、1000g/15mm程度が上限と推察される。
また、本発明のフィルムのB層は、層間接着改良剤を含有していてもよい。B層が層間接着改良剤を含有することにより、層間接着力が向上する場合がある。ただし、A層の主たる構成成分であるポリエステルがポリ乳酸である場合は、A層のみに層間接着改良剤を含有せしめた方が、層間接着力が高い傾向にある。層間接着改良剤としては、A層と同様の構造を持つものが好ましい。
本発明のフィルムにおいて、A層の層間接着改良剤の含量は、各層の全成分100質量%に対して、0.1〜30質量%であることが好ましい。また、B層の層間接着改良剤の含量は、各層の全成分100質量%に対して、0.1〜30質量%であることが好ましい。層間接着改良剤の含量が0.1質量%未満であると、十分な層間接着力を発現できない場合がある。一方、当該層間接着改良剤の含量が30質量%を超えると、層間接着力の改良効果が飽和する傾向にあり、得られるフィルムの表面粗さが上昇し、バリア性が悪化する場合がある。当該層間接着改良剤の含量は、各層の全成分100質量%に対して、より好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%、最も好ましくは2〜10質量%である。ただし、B層上に直接蒸着層を形成する場合は、層間接着改良剤の含量は最小限とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。
本発明のフィルムにおいて、層間接着改良剤のA層及び/またはB層中で分散している各領域のアスペクト比は、5以上30以下であることが好ましい。アスペクト比がこの範囲にある場合、層間接着改良剤は層状のアロイ構造を形成し、界面を安定化する。特に、層間接着改良剤が基等の反応性官能基を有する場合、製膜時に加熱されると反応性官能基を起点としてA層とB層を形成する樹脂同士が反応し、グラフトコポリマーが形成されるものと推定される。アスペクト比が5未満の場合、層間の接着に関与する官能機の割合が低下し、十分な接着力が得られない。アスペクト比が30を越える場合は、高倍率の延伸を行った場合であり、伸度等の特性が低下する。A層とB層間の接着力と他のフィルム特性のバランスが良くなることから、アスペクト比は、10以上20以下であることがより好ましい。アスペクト比は押し出し温度、延伸倍率や延伸温度、熱固定温度により制御できる。また、アスペクト比はフィルムの断面写真をイメージ変換ソフト等を用いて解析することにより生産できる。
本発明のフィルムのA層の主たる構成成分であるポリエステル(以下、単にA層のポリエステルと略称する場合がある)としては、「ポリグリコール酸以外のポリエステル」であれば特に限定されず、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルおよびこれらのブレンド物あるいはコポリマーが挙げられ、本発明では下記に定義されるポリグリコール酸とは区別される。A層のポリエステルが芳香族ポリエステルである場合、得られるフィルムの耐熱性及び経時安定性が向上することで高いバリア性を発現できる。また、A層のポリエステルがポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルである場合、生分解性を有するガスバリアフィルムとできるので好ましい。
なお、ここでいう「ポリグリコール酸以外のポリエステル」を主たる構成成分とする層(A層)とは、本発明では、A層を構成するポリマー100質量%に対して、その成分が70質量%以上であるものと定義される。即ち、A層の主たる構成成分であるポリエステルが脂肪族ポリエステルであることは、脂肪族ポリエステルが、A層のポリマー全成分100質量%に対して、70質量%以上であることを意味し、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルのブレンド物であることは、芳香族ポリエステルおよび脂肪族ポリエステルの総量が、A層のポリマー全成分100質量%に対して、70質量%以上であることを意味する。なお、A層における主たる構成成分である「ポリグリコール酸以外のポリエステル」の上限に関しては、本発明のフィルムでは、A層を構成するポリマー100質量%に対して99.9質量%以下である。
本発明のフィルムにおいて、A層の「ポリグリコール酸以外のポリエステル」である芳香族ポリエステルや脂肪族ポリエステルとしては、酸成分とグリコール成分とをエステル結合させてなる種々のポリエステルを用いることができる。酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能酸等を用いることができる。一方、グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール;ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール等を用いることができる。さらに、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルを共重合してもよい。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種類以上を併用してもよく、2種類以上のポリエステルをブレンドして使用してもよい。
芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、およびこれらにイソフタル酸、セバシン酸、ダイマー酸を共重合したポリエステルを単体、もしくは二種以上ブレンドしたものなどが好適に用いられる。また、生分解性に優れる脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート、ポリ3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ジオールとコハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなる脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。また、ポリ−ブチレンサクシネート−テレフタレート、ポリ−ブチレンアジペート−テレフタレートなどの脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルの共重合体も好適に用いることができる。
本発明のフィルムにおいて、A層の主たる構成成分である「ポリグリコール酸以外のポリエステル」の質量平均分子量は、安定製膜性、良好な延伸性、実用的な機械特性を満足させるため、5万〜50万g/molであることが好ましく、より好ましくは10万〜25万g/molである。なお、ここでいう質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でクロロホルム溶媒にて測定を行い、ポリメチルメタクリレート換算法により計算した分子量をいう。
また、耐熱性、樹脂の供給安定性、植物度の観点から、A層の主たる構成成分である「ポリグリコール酸以外のポリエステル」として特に好適に用いられる脂肪族ポリエステルは、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とするポリ乳酸である。ここで、ポリ乳酸は、乳酸以外のほかのコモノマー成分を含有していてもよい。当該コモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類などを挙げることができる。
前述のA層のポリエステルとして好ましく用いられるポリ乳酸としては、樹脂の可溶性の観点から、L−乳酸リッチのポリ乳酸(ポリL−乳酸)が好ましく用いられる。ポリL−乳酸としては、該ポリL−乳酸の全乳酸単位100mol%中のL−乳酸単位の含有量(ポリL−乳酸の全乳酸単位100mol%中のL−乳酸単位の含有量を、以後L体量という)が50〜100mol%のものが用いられる。結晶性、樹脂の可溶性の観点から、ポリL−乳酸のL体量は、より好ましくは80〜100mol%であり、さらに好ましくは95〜100mol%であり、最も好ましくは97〜100mol%である。一方、D−乳酸リッチのポリ乳酸(ポリD−乳酸)を用いる場合は、該ポリD−乳酸の全乳酸単位100mol%中のD−乳酸単位の含有量(ポリD−乳酸の全乳酸単位100mol%中のD−乳酸単位の含有量を、以後D体量という)が50〜100mol%のものが用いられる。結晶性の観点から、ポリD−乳酸のD体量は、より好ましくは80〜100mol%であり、さらに好ましくは95〜100mol%であり、最も好ましくは97〜100mol%である。
ポリ乳酸の結晶性は、L−乳酸単位、あるいはD−乳酸単位の含有割合に応じて変化する。すなわち、ポリL−乳酸中のD体量が高いほど、ポリL−乳酸の結晶性は低くなり、非晶性に近づく。一方、ポリL−乳酸中のD体量が低いほど、ポリL−乳酸の結晶性は高くなる。同様に、ポリD−乳酸の結晶性は、L体量に応じて変化する。つまり、ポリD−乳酸中のL体量が高いほど、ポリD−乳酸の結晶性は低くなり、非晶性に近づき、逆にポリD−乳酸中のL体量が低ければ、ポリD−乳酸の結晶性は高くなる。なお、結晶性の高いポリ乳酸に結晶性の低いポリ乳酸を配合すると、延伸性の観点から好ましい。
本発明のフィルムにおいて、A層の主たる構成成分である、「ポリグリコール酸以外のポリエステル」として、ポリ乳酸を用いる場合、当該ポリ乳酸としては、Nature Works製4032D(D体量=1.4%)、4042D(D体量=4.25%)、4050D(D体量=5.5%)などが挙げられる。これらのなかでも結晶性が高い4032Dが好ましく用いられる。また、A層の延伸性を改良するために、4032DとNature Works製4060D(D体量=12%)などを適宜ブレンドしても構わない。
本発明のフィルムのA層に用いる樹脂には、経済性などの観点から、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムや、他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムをブレンドして使用してもかまわない。
また、本発明のフィルムのA層には下記で定義されるポリグリコール酸を少量添加しても構わない。つまりA層における主たる構成成分以外の成分として、ポリグリコール酸を使用することができる。ポリグリコール酸を少量A層に含有させることにより、A層とB層の層間接着力が向上する場合がある。A層に含有するポリグリコール酸の量は、A層を構成するポリマー100質量%において0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。A層にポリグリコール酸を少量含有させる方法としては、本発明の効果が損なわれない限り、特に限定されないが、上記したように本発明のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムをA層の樹脂組成物にブレンドして使用することができる。
また、下記に詳述する通り、本発明のフィルムを製造する際には、少なくとも一方向に70℃以下で延伸することが重要である。70℃以下でフィルムを延伸可能とするために、A層のガラス転移温度(Tg)は、65℃以下であることが好ましい。ここでいうガラス転移温度とは、JIS K7121(1999)に記載されている方法にしたがって、示差走査熱量計(DSC)により測定した値であり、20℃/分で昇温した時の中間点ガラス転移温度である。A層のTgが65℃を越えると、少なくとも一方向に70℃以下で延伸すると製膜安定性が悪化する場合がある。また、製膜安定性を保持するために延伸温度を上げると、B層の配向結晶化が著しく進行し、特にB層を本発明のフィルムの最表層に用いる場合、B層が粗面化し、得られるフィルムのバリア性が悪化する場合がある。70℃以下で安定製膜を可能とし、得られるフィルムのブロッキングを防止し、フィルムの機械物性を十分高めるためには、A層のTgは、より好ましくは0〜65℃であり、さらに好ましくは30〜65℃であり、最も好ましくは40〜60℃である。A層のポリエステルとしてポリ乳酸を使用する場合、70℃以下の製膜安定性を保持するためには、A層の構成成分(樹脂組成物)には、ポリ乳酸のTgを下げる働きをする可塑剤などの成分や、非晶性のポリ乳酸を含有せしめることができる。
本発明のフィルムのB層は、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする。ここで、ポリグリコール酸を主たる成分とする層(B層)とは、本発明では、B層を構成するポリマー100質量%に対して、その成分が70質量%以上100質量%以下であるものと定義される。即ち、B層は、下記で定義されるポリグリコール酸を70質量%以上100質量%以下含有することが必要である。B層がポリグリコール酸を主たる構成成分とすると、ポリグリコール酸の高い結晶性からガスバリア性の高い層が形成され、フィルム全体としてもガスバリア性が著しく向上する。また、A層のポリエステルとしてポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを用いる場合には、フィルム全体の生分解性を高めることができる。B層のポリグリコール酸の含量は、ガスバリア性の観点から、好ましくはB層を構成するポリマー100質量%に対して80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
本発明のフィルムにおいて、B層の主たる構成成分であるポリグリコール酸(以下、B層の主たる構成成分であるポリグリコール酸を、単にB層のポリグリコール酸と略称する場合がある)は、本発明では、B層のポリグリコール酸に含まれる全モノマー単位を100mol%とした場合に、グリコール酸単位をモノマー単位として70mol%以上100mol%以下含有することを意味する。B層のポリグリコール酸の分子構造をこのように制御することにより、優れたガスバリア性、耐熱性を付与することができる。B層のポリグリコール酸のグリコール酸単位の含有量は、好ましくはB層のポリグリコール酸に含まれる全モノマー単位を100mol%とした場合に80mol%以上、より好ましくは90mol%以上である。
一方、B層のポリグリコール酸としてグリコール酸単位以外に少量の共重合成分を導入すると、ガスバリア性は若干低下するが、ポリグリコール酸の結晶性を抑制でき、延伸工程での粗面化を低減できる。成形加工時の押出温度を低下できたり、延伸性を向上できる場合があるので好ましい。B層のポリグリコール酸に共重合可能なコモノマー単位としては、例えば、シュウ酸エチレン、ラクチド、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、βーメチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなど)、トリメチレンカーボネート、及び1,3−ジオキサンなどの環状モノマー;乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、こはく酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物などを挙げることができる。これらのなかでも、共重合させやすく、かつ物性に優れた共重合体が得られやすい点で、ラクチド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネートなどの環状化合物;乳酸などのヒドロキシカルボン酸などが好ましく用いられる。特に、A層における主たる構成成分のポリエステルとしてポリ乳酸を用いる場合、B層のポリグリコール酸として、ヒドロキシカルボン酸のなかでも乳酸単位と共重合させたポリグリコール酸を用いることにより、ポリグリコール酸の融点が下がるため押出温度をポリ乳酸の押出温度に近付けることができ、A層との層間接着力を向上できる場合があることから好ましい。
また、ポリグリコール酸中のコモノマー単位の共重合量(コモノマー単位の量)は、B層のポリグリコール酸に含まれる全モノマー単位を100mol%とした場合に1〜30mol%であることが好ましい。共重合量が1mol%未満であると、上記した効果が得られない場合がある。共重合量が30mol%を越えると、ポリグリコール酸の優れたガスバリア性が損なわれる場合がある。共重合量は、より好ましくは3〜20mol%、さらに好ましくは5〜15mol%である。
B層のポリグリコール酸は、グリコール酸の脱水重縮合、グリコール酸アルキルエステルの脱アルコール重縮合、グリコリドの開環重合などにより合成することができる。これらのなかでも、グリコリドを少量の触媒(例えば、有機カルボン酸錫、ハロゲン化錫、ハロゲン化アンチモン等のカチオン触媒)の存在下に、およそ120℃から250℃の温度に加熱して、開環重合する方法によってポリグリコール酸を合成する方法が好ましい。開環重合は、塊状重合法または溶液重合法によることが好ましい。
B層を構成する全成分の溶融粘度は、270℃、100sec−1において1000poise〜10000poiseであることが好ましく、より好ましくは2000poise〜6000poise、さらに好ましくは2500poise〜5500poiseである。270℃、100sec−1におけるB層を構成する全成分の溶融粘度が1000poise未満であると、B層の主たる構成成分であるポリグリコール酸の分子量が低く、分解しやすくなる場合がある。また、B層を構成する全成分の溶融粘度が10000poiseを越えると、押出工程で押出機への負荷や濾圧が高くなる、A層との共押出積層が困難になる場合がある。
本発明のフィルムのA層、B層は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、例えば、難燃剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、防湿剤、撥水剤、防水剤、離型剤、カップリング剤、鎖延長剤、末端封鎖剤、酸素吸収剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、結晶核剤、粘着性付与剤、脂肪酸エステル低分子量体・ワックスなどの有機滑剤、ポリシロキサンなどの消泡剤、顔料・染料などの着色剤を含有しても構わない。添加剤は、本発明のフィルムのA層および/またはB層に、それぞれの層の全成分100質量%に対して、0〜30質量%含有せしめることができる。
例えばB層には、B層のポリグリコール酸の溶融安定性を向上させるため、熱安定剤として、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物、重金属不活性化剤、炭酸金属塩などを含有せしめることができる。これらの熱安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明のフィルムの層構成は、A層の少なくとも片面にB層が直接積層された構成、A層/B層(“/”は積層界面を示す)の構成を含んでいれば特に限定されず、例えば、A層/B層、A層/B層/A層、B層/A層/B層などの構成から本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択すればよい。さらに、添加剤飛散・ブリードアウト抑制、コーティング膜・蒸着膜易接着、易印刷性付与、ヒートシール性付与、プリントラミネート性付与、光沢付与、滑り性付与、離型性付与、イージーピール性付与、表面硬度向上、平滑性付与、表面粗度向上、手切れ性付与、表面親水性付与、光学特性制御、表面耐熱性付与、隠蔽性向上など、種々の目的に応じて、適宜その他の樹脂層を1層以上積層してもよい。例えば、B層/A層/C層、A層/B層/C層などの厚み方向に非対称なフィルム層構成とすることもできる。また、C層とB層あるいはA層の層間接着力が不足する場合は、C層とA層あるいはB層の間に接着層D層を用いることもできる。この場合、例えば、B層/A層/D層/C層、A層/B層/D層/C層などのフィルム層構成とすることができる。ここで、C層としては、ヒートシール層として使用することが好ましく、後述するように、D体量が高いポリL−乳酸、L体量が高いポリD−乳酸などの所謂非晶性ポリ乳酸が好ましく例示される。ここで、D層としては、ポリ乳酸に対して低融点の生分解性ポリマーが好ましく、例えばポリブチレンアジぺート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンアジぺート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンアジぺートなどが挙げられる。
ここで直接積層された構成とは、A層とB層の間に接着層などの中間層を有さず、直接積層される形で接触している態様を意味する。具体的には例えば、A層/B層、A層/B層/A層、B層/A層など、上記に例示した構成が挙げられる。当該直接積層された構造は、より好ましくはA層とB層が下記に詳述する通り、共押出法により積層された構造であることが好ましい。
その他の樹脂層としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができ、特に限定されない。A層の主たる構成成分である「ポリグリコール酸以外のポリエステル」として、脂肪族ポリエステルを用いる場合、屑フィルムの回収性などの観点から上記で定義された脂肪族ポリエステルあるいはその共重合体をその他の樹脂層の主たる構成成分として用いることが好ましい。
本発明のフィルムにおいて、B層は少なくとも片面の表面層であることが好ましい。上記の例示のうち、A層/B層、B層/A層/B層、B層/A層/C層、B層/A層/D層/C層がこれに対応する。B層を最表層とすることにより、下記に詳述する通り、B層上に蒸着することが可能となり、B層の分解を抑制するとともに、良質な蒸着膜を形成するとともに、ガスバリア性に優れた蒸着フィルムとすることができる。
例えば、A層の主たる構成成分である「ポリグリコール酸以外のポリエステル」としてポリ乳酸を用いる場合、B層/A層/C層のフィルム構成として、C層にD体量が高いポリL−乳酸、L体量が高いポリD−乳酸などの所謂非晶性ポリ乳酸を用いることが好ましい。ヒートシール性を付与するためにC層を積層する場合にC層に用いるポリL−乳酸のD体量は8〜20mol%が好ましく、ポリD−乳酸のL体量は8〜20mol%が好ましい。D体量が高く、本発明のフィルムにヒートシール性を付与するために好ましく用いられるポリL−乳酸としては、例えば、Nature Works製4060D(D体量=12%)が挙げられる。
本発明のフィルムの厚みは、特に制限はないが、包装材料に加工した際のハンドリング性、蒸着加工適性の観点より、5〜100μmである事が好ましく、より好ましくは8〜50μm、さらに好ましくは10〜25μmである。また、本発明のフィルムにおいて、B層がフィルム厚みに占める比率は、フィルム全体の厚みを1としたとき、0.01〜0.3であることが好ましい。B層の厚み(ここでいうB層の厚みは、B層が複数層存在する場合は、B層の合計厚みを意味する。)の比率が0.01未満であると、フィルムのガスバリア性が悪い場合があり、0.3を越えるとフィルムの延伸性が悪化する場合がある。B層の厚みの比率は、より好ましくは0.02〜0.25、さらに好ましくは0.025〜0.2である。
本発明のフィルムは、二軸配向していることが好ましい。フィルムが二軸配向していることにより、良好なガスバリア性を発現できる。本発明のフィルムを二軸配向せしめるためには、下記に別途詳述する公知の二軸延伸方法を用いることが好ましい。
本発明のフィルムは、表面の縦方向屈折率(Nx),横方向屈折率(Ny),厚み方向屈折率(Nz)を測定し、(Nx+Ny)/2−Nzで求められる面配向係数(fn;以下、フィルムのfnと略称する場合がある)が0.01〜0.1であることが好ましい。より好ましくは0.02〜0.08であり、さらに好ましくは0.03〜0.07である。fnが0.01未満であると、面配向が低いため、ガスバリア性が悪化する場合がある。fnが0.1を越えるとフィルムが劈開しやすくなる場合がある。本発明のフィルムのfnを0.01〜0.1の範囲にするためには、当該フィルムを二軸延伸して製造する際に、延伸工程の延伸温度、延伸倍率、熱固定工程での熱処理温度などにより配向を制御する方法が好ましく用いられる。また、下記の通り本発明のフィルムの少なくとも片面に蒸着層を設けて蒸着フィルムとする場合は、蒸着後であっても、蒸着層を酸で除去し、面配向係数を確認することができる。
本発明のフィルムのB層が表面層であり、B層上に蒸着層を設ける場合、B層の中心線平均粗さ(Ra)が3nm〜50nmであることが重要である。B層のRaが3nm未満であると、フィルムの滑り性に劣り、製膜中の巻き取り工程や印刷、ラミネート、コーティング、製袋、蒸着などの加工工程において、巻き取り・巻き出し時にブロッキングや静電気による帯電を誘発しやすくなり、ハンドリング性に劣るとともにガスバリア性の著しい悪化を招く場合がある。一方、B層のRaが50nmを越えると、B層上に均一な蒸着層が形成されなかったり、蒸着膜にピンホールが発生するため、ガスバリア性が著しく悪化することが多い。B層のRaは、より好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは15〜40nmである。B層のRaは、本発明のフィルムを二軸延伸して製造する際に、延伸工程の延伸温度、延伸倍率、熱固定工程の熱固定温度などによりB層のポリグリコール酸の結晶化を制御することにより調整できる。逐次二軸延伸における一例を挙げれば、延伸温度を70℃以下、面積倍率を4.0倍以上として二軸延伸を行い、熱処理することで達成可能である。また、ポリグリコール酸は熱安定性が低く、溶融ポリマー中にゲルなどの異物が生じやすいが、こういった異物が粗大な突起となり、しばしば表面を荒らすことから、それを取り除くために、ステンレス繊維を焼結圧縮したフィルターやステンレス鋼粉体を焼結したフィルターを用いて、押出機から押し出された溶融ポリマーを濾過することが好ましい。製膜方法の詳細については後述する。
本発明のフィルムの縦方向、横方向のヤング率は、それぞれ2.5GPa以上であることが好ましい。ヤング率が2.5GPa未満であると、例えば本発明のフィルムを蒸着して蒸着フィルムに加工する際、張力によりフィルムが伸びたり、蒸着時の熱によりフィルムの構造変化が誘発され、ガスバリア性が悪化する場合がある。また、蒸着後もその後の加工工程などで加工張力によりフィルムが伸び、蒸着膜にクラックが生じるため、ガスバリア性が悪化する場合がある。本発明のフィルムの縦方向、横方向のヤング率は、それぞれ、より好ましくは3〜8GPa、さらに好ましくは4〜8GPaである。本発明のフィルムの縦方向、横方向のヤング率を2.5GPa以上にするためには、本発明のフィルムを二軸延伸法により製造し、その延伸工程の延伸温度、倍率、熱固定工程での熱固定温度などにより面配向を制御する方法が好ましく用いられる。
本発明のフィルムの120℃で15分間熱処理した際の縦方向、横方向の収縮率は、それぞれ10%以下であることが好ましい。熱収縮率が10%を越えると、印刷、ラミネート、コーティング、製袋、蒸着などの加工工程において、加工の際に掛かる熱でフィルムが大きく収縮し、ハンドリング性に劣る場合がある。また、収縮によるフィルムの構造変化によりガスバリア性が著しく悪化する場合がある。縦方向、横方向の熱収縮率は、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。熱収縮率を10%以下にするためには、例えば、本発明のフィルムの製造において、熱固定工程の熱固定温度、熱固定時間を制御する事が好ましい。なお、本発明のフィルムの熱収縮率は、特に下限は設けないが、安定に製造できる範囲は、−2%程度と推察される(伸びることも許容される)。さらに、縦方向、横方向ともに0であることが最も好ましい。
本発明のフィルムは、上記の通り二軸配向していることが好ましい。本発明のフィルムを二軸配向せしめるためには、特に限定されないが、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法などの公知の二軸延伸法、あるいはそれらを組み合わせた方法を用いることができる。
以下に、本発明のフィルムの製造方法について述べる。
押出機(a)から、「ポリグリコール酸以外のポリエステル」を主たる構成成分とする、A層に用いる樹脂組成物を溶融押出し、フィルターによる異物除去、ギアポンプによる流量適性化を行った後、内部に複数のマニホールドを有するマルチマニホールド口金、または口金上部に設置したフィードブロックに供給する。また、押出機(b)から、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする、B層に用いる樹脂組成物を溶融押出し、押出機(a)とは別の流路で、フィルターによる異物除去、ギアポンプによる流量適正化を行った後、上記のマルチマニホールド口金またはフィードブロックに供給する。A層、B層以外のその他の樹脂層を積層する場合には、別の押出機(複数であってもよい)から、目的に応じた樹脂組成物を溶融押出し、同様にして別の流路からマルチマニホールド口金またはフィードブロックに供給する。なお、上記マルチマニホールド口金またはフィードブロックは、必要なフィルム層構成に応じて、必要な層数分だけ流路が設けられている必要がある。各押出機から押し出された溶融樹脂は、上記の通りマルチマニホールド口金またはフィードブロックにて合流せしめ、口金よりシート状に共押出される。当該多層シートは、エアナイフまたは静電印加などの方式により、キャスティングドラムに密着させ、冷却固化せしめて未延伸シートとする。
ここで、ゲルや熱劣化物などの異物による表面荒れを防ぐため、製膜時のフィルターとして平均目開き5〜40μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターを使用することが好ましい。また上記ステンレス繊維を焼結圧縮したフィルターの後に、平均目開き10〜50μmのステンレス鋼粉体を焼結したフィルターをこの順で連続濾過する、あるいは一つのカプセル中に上記2種類のフィルターを併せ持つ複合フィルターを使用することは、ゲルや熱劣化物を効率良く取り除くことができるため好ましく、製膜エッジや巻き芯部分の再利用が可能となるコストメリットがあり望ましい。
本発明のフィルムの延伸条件は、B層のポリグリコール酸の結晶性と配向を調整し、製膜性を向上させ、(B層が本発明のフィルムの最表層となる場合)表面を平滑化させるために、少なくとも一方向に延伸することが好ましく、二方向に延伸することがより好ましい。
本発明のフィルムを逐次二軸延伸法で製造する場合、該未延伸シートをロールに通して予熱し、引き続き周速差を設けたロール間に通し、縦方向に延伸し、ただちに樹脂のガラス転移温度以下に冷却、引き続き該縦一軸延伸フィルムをテンターに導いて横延伸し、次いで横方向に弛緩を与えつつ、熱固定して巻取る。あるいは、縦方向、横方向を同時に延伸する方法により延伸してもよく、縦方向の延伸、横方向の延伸を複数回数組み合わせて行う方法などにより延伸してもよく、あるいは縦−横延伸後に縦方向および/または横方向に一回以上再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸法を用いる場合は、一軸延伸後のポリグリコール酸の結晶性が増大し、B層が粗面化することがあるため、次に記す範囲内の延伸温度、延伸倍率でフィルムを作成することが好ましい。これに対して、本発明のフィルムをテンター式同時二軸延伸法で製造する場合、未延伸シートを一挙に縦・横方向に延伸できるため、粗面化しにくく、表面平滑性の観点から好ましい。また、一挙に縦・横方向に延伸できるため、延伸性が向上し、高倍率延伸が可能になり、高配向化、高ヤング率化が可能となる場合があるので好ましい。
逐次二軸延伸法で製造する場合は、縦方向の延伸温度を40〜70℃とすることが好ましい。縦方向の延伸温度は、より好ましくは40〜65℃であり、さらに好ましくは50℃〜60℃である。縦延伸倍率は2.0〜5.0倍が好ましく、より好ましくは2.5〜4.5倍であり、さらに好ましくは3.0〜4.5倍である。横方向の延伸温度も70℃以下であることが好ましく、具体的には40〜70℃とすることが好ましい。横方向の延伸温度は、より好ましくは40〜65℃であり、さらに好ましくは45〜55℃である。横延伸倍率は2.0〜5.0倍が好ましく、より好ましくは2.5〜4.5倍であり、さらに好ましくは3.0〜4.5倍である。逐次二軸延伸方式の場合、縦延伸、横延伸いずれの延伸温度も70℃を越えると、横延伸工程で予熱の段階からポリグリコール酸の結晶化が進みやすく、B層が本発明のフィルムの最表層となる場合、延伸・熱固定後にB層表面が粗れやすくなる。また、縦延伸倍率と横延伸倍率の積である面積倍率が4.0倍以下であると、熱固定工程でのポリグリコール酸の熱結晶化が進み、粗面化する傾向にある。更に、層間接着改良剤のアスペクト比を本発明の範囲内とするには、4倍以上15倍以下とする必要がある。
同時二軸延伸法で製造する場合は、延伸温度を40〜70℃とすることが好ましい。延伸温度は、より好ましくは40〜65℃であり、さらに好ましくは50℃〜60℃である。延伸倍率は、層間接着改良剤のアスペクト比を本発明の範囲内とするには、4倍以上15倍以下とする必要がある。また、縦横のフィルム物性のバランスを崩れないようにするために、縦延伸倍率と横延伸倍率の比は、0.5以上2以下であることが好ましい。
延伸後は、好ましくは120℃以上、A層のポリエステルとB層のポリグリコール酸のうち低い方の融点以下の温度、より好ましくは130℃以上、A層のポリエステルとB層のポリグリコール酸のうち低い方の融点よりも5℃以上低い温度、さらに好ましくは140℃以上、A層のポリエステルとB層のポリグリコール酸のうち低い方の融点よりも10℃以上低い温度で弛緩熱処理し、冷却することが好ましい。弛緩熱処理時の加熱時間は、層間接着改良剤を十分に反応させるため、30秒以上5分以下とすることが好ましい。また、適正な延伸後、このような条件下で弛緩熱処理することにより、(B層が本発明のフィルムの最表層となる場合)B層の表面平滑性を保つとともに、低熱収縮率と、高弾性率、一定の面配向係数の範囲を満たし、カールを抑制した平面性の良好なフィルムを得ることができる。弛緩熱処理温度をA層のポリエステルとB層のポリグリコール酸のうち低い方の融点よりも高い温度とすると、当該融点を有する層が融解、無配向化し、製膜性が著しく損なわれる場合がある。また、弛緩熱処理温度をB層のポリグリコール酸の融点以上とした場合、ポリグリコール酸が融解し、当該弛緩熱処理後の降温結晶化によりB層が再び結晶化するため、(B層が本発明のフィルムの最表層となる場合)B層が粗面化する場合がある。一方、弛緩熱処理温度を120℃未満とすると、得られるフィルムの耐熱性が大幅に低下したり、印刷、ラミネート、コーティング、製袋、蒸着などの加工工程において、加工の際に掛かる熱でフィルムが大きく収縮し、ハンドリング性に劣る場合がある。
本発明のフィルムの少なくとも片面には、蒸着により蒸着層を設けて蒸着フィルムとして用いることが好ましい。本発明のフィルムの少なくとも片面に蒸着層を設けることにより、ガスバリア性を著しく向上できる。また、易分解性である、B層のポリグリコール酸の分解速度を低減することができる。
本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、B層はフィルムの少なくとも片面の最表層であり、かつ当該B層上に蒸着層が形成されることが好ましい。そのような構成としては、例えば、蒸着層/B層/A層が挙げられる。例えば、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて蒸着層/B層/A層のA層側に、B層やその他の樹脂層を積層することもできる。B層上に蒸着層を形成することにより、B層の分解を著しく抑制することができる。また、フィルムの両表層に蒸着層を形成することもできる。
当該蒸着層に用いる金属または無機酸化物としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化セリウム、酸化カルシウム、ダイアモンド状炭素膜、あるいはそれらの混合物などが挙げられる。生産性を保持あるいは向上させながら、ガスバリア性をも向上させるために、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素がより好ましく用いられる。アルミニウムを用いた蒸着層は、経済性、ガスバリア性能に優れていることから好ましく、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を用いた蒸着層は、透明性に優れ、コストの点からも好ましい。
本発明のフィルムを蒸着フィルムとして用いる場合、蒸着層の形成方法としては、真空プロセスが用いられる。真空プロセスとしては、特に限定されないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法などが好ましく用いられる。例えば、無機酸化物の蒸着層を設けるためには、生産性、コストの点から反応性蒸着法がより好ましく用いられる。
真空プロセスでは、ガスバリア性の一層の向上のためには、蒸着前フィルムの表面をプラズマ処理やコロナ処理することが好ましい。コロナ処理を施す際の処理強度は5〜50W・min/m2が好ましく、より好ましくは10〜45W・min/m2である。また、金属または無機酸化物からなる蒸着層を設ける前に、プラズマ放電下において核付金属蒸着層を設けることは、蒸着層の密着性向上ひいてはそれに伴うガスバリア性向上の観点から好ましい。この場合、プラズマ放電を酸素および/または窒素ガス雰囲気で行うことが好ましく、核付金属として銅を用いることが好ましい。
反応性蒸着法によって酸化アルミニウムを蒸着させるには、アルミニウム金属やアルミナを抵抗加熱のボート方式やルツボの高周波誘導加熱、電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下でフィルム上に酸化アルミニウムを堆積させる方式が好ましく採用される。酸化雰囲気を形成するための反応性ガスとしては酸素が用いられるが、酸素を主体に水蒸気や希ガスを加えたガスでもよい。更にオゾンを加えたり、イオンアシストなどの反応を促進する手法を併用してよい。酸化珪素の蒸着層を反応性蒸着法によって形成させるには、Si金属、SiOやSiOを電子ビーム加熱方式で蒸発させ、酸化雰囲気下フィルム上に酸化珪素を堆積させる方式が採用される。酸化雰囲気を形成する方法は、上記の方法が用いられる。
また、蒸着層の厚さは特に限定されないが、生産性、ハンドリング性、外観から5〜100nmが好適であり、さらに好ましくは5〜50nmである。蒸着層の厚さが5nm未満であると、蒸着層欠陥が発生しやすく、ガスバリア性が著しく悪化する場合がある。蒸着層の厚さが100nmより厚くなると、蒸着時のコストが高くなったり、蒸着層の着色が顕著になり、外観的に劣る場合がある。
本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、当該蒸着フィルムの水蒸気透過度は、1.5g/m/day以下であることが好ましい。蒸着フィルムの水蒸気透過度が1.5g/m/dayを越えると、水蒸気バリア性に劣り、当該蒸着フィルムを包装材料として用いて包装体に加工した際、内容物の鮮度保持性に劣る場合がある。蒸着フィルムの水蒸気透過度は、より優れた水蒸気バリア性が求められる用途には、より好ましくは1g/m/day以下であり、さらに好ましくは0.5g/m/day以下、最も好ましくは0.3g/m/day以下である。なお、水蒸気バリア性は良好であるほど好ましく、特に下限は設けられないが、0.01g/m/day程度が実現可能な下限と推察される。蒸着フィルムの水蒸気透過度は、蒸着層が形成される層の平均表面粗さ、(B層が本発明のフィルムの最表層であり、かつB層上に蒸着層を形成する場合)B層の積層厚み、フィルムのfn、蒸着層の金属または無機酸化物の種類、蒸着層の厚さ、蒸着層の欠陥(ピンホール、スクラッチなど)量などにより制御できる。
本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、当該蒸着フィルムの酸素透過度は、2cc/m/day/atm以下であることが好ましい。蒸着フィルムの酸素透過度が2cc/m/day/atmを越えると、酸素バリア性に劣り、当該蒸着フィルムを包装材料として用いて包装体に加工した際、内容物の鮮度保持性に劣る場合がある。蒸着フィルムの酸素透過度は、より優れた酸素バリア性が求められる用途には、より好ましくは1cc/m/day/atm以下であり、さらに好ましくは0.5cc/m/day/atm以下、最も好ましくは0.2cc/m/day/atm以下である。なお、酸素バリア性は良好であるほど好ましく、特に下限は設けられないが、0.01cc/m/day/atm程度が実現可能な下限と推察される。蒸着フィルムの酸素透過度は、蒸着層が形成される層の平均表面粗さ、(B層が本発明のフィルムの最表層であり、かつB層上に蒸着層を形成する場合)B層の積層厚み、フィルムのfn、蒸着層の金属または無機酸化物の種類、蒸着層の厚さ、蒸着層の欠陥(ピンホール、スクラッチなど)量などにより制御できる。
本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、当該蒸着フィルムの蒸着層密着力は、25g/15mm以上であることが好ましい。蒸着層接着力が25g/15mm未満であると、本発明のフィルムのA層−B層間での剥離よりも蒸着層−本発明のフィルム間の密着力が低い傾向にあり、本発明のフィルムを加工する際の加工性、ハンドリング性に劣っていたり、加工後の包装体の実用性に劣る場合がある。蒸着層密着力は、より好ましくは30g/15mm以上、さらに好ましくは50g/15mm以上、最も好ましくは80g/15mm以上である。蒸着層密着力は、高いほど好ましく、特に上限は設けられないが、1000g/15mm程度が実現可能な上限と推察される。蒸着フィルムの蒸着層密着力は、蒸着層が形成される層の結晶性、蒸着層が形成される層の平均表面粗さ、(B層が本発明のフィルムの最表層であり、かつB層上に蒸着層を形成する場合)B層の積層厚み、フィルムのfn、蒸着層の金属または無機酸化物の種類、蒸着層の厚さなどにより制御できる。
本発明のフィルムおよび蒸着フィルムは、包装材料として各種包装体に好ましく用いられる。当該包装体としては、特にこれらに限定されるわけではないが、縦ピロー包装体、横ピロー包装体、三方シール包装体、四方シール包装体、真空包装体、スタンドパウチ、上包み包装体などが挙げられる。
これら包装体では、本発明のフィルムの少なくとも片面にヒートシール性が要求される。このためには、本発明のフィルムにヒートシール層(C層)を形成したフィルム構成とし(例えば、B層/A層/C層)、これに適宜蒸着層を形成させ(例えば、蒸着層/B層/A層/C層)、C層をヒートシール層として用いることができる。また、ヒートシール力を更に高めるためには、ポリプロピレン単体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いたポリエチレンもしくはポリプロピレンもしくはエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、公知の非晶ポリエステル、アクリル系樹脂などに代表されるヒートシール性樹脂を、本発明のフィルムの少なくとも片面に形成することができる。当該ヒートシール性樹脂は、押出ラミネート法やウェットコーティング法により直接本発明のフィルム上に形成することができる(ラミネート体構成例:本発明のフィルム/ヒートシール性樹脂層)。また、当該ヒートシール性樹脂からなるフィルムを、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系接着剤などに代表される公知の接着剤からなる接着層を介して本発明のフィルムにドライラミネートしたり、ポリエチレン系樹脂に代表される熱可塑性樹脂からなる接着層を介して本発明のフィルムに押出ラミネート(ポリサンドラミネート)する方法を用いることもできる(ラミネート体構成例:本発明のフィルム/接着層/ヒートシール性樹脂層)。
さらに、本発明のフィルムには、目的に応じて適宜上記した以外の他のフィルムをラミネートしてラミネート体とすることができ、該ラミネート体を用いて包装体に加工できる。例えば、少なくとも片面に1層以上の印刷層を形成した印刷フィルムを、上記に例示した接着層を用い、上記に例示したラミネート方法で本発明のフィルムにラミネートすることができる(例えば、印刷フィルム/接着層/本発明のフィルム/接着層/ヒートシール樹脂層)。印刷面は、目的に応じて外面、内面にするか選択すればよい。また、本発明のフィルムのガスバリア性能をさらに高めるために、アルミ箔をラミネートしたり、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)などに代表されるガスバリア性樹脂を上記に例示したラミネート方法でラミネートすることもできる。ここでラミネート体とは、本発明のフィルムの少なくとも一方の層に、上述したヒートシール性樹脂、アルミ箔、エチレン・ビニルアルコール共重合体、その他のフィルム等のラミネート材をラミネートして得られるものを意味する。
また、ラミネート前の本発明のフィルムのガスバリア性を更に向上するために、コート剤をインラインおよび/またはオフラインで本発明のフィルムに塗布してもよい。当該コート剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、EVOH、アクリル、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、およびポリエステルウレタンなどから選ばれる少なくとも1種の樹脂を水、有機溶媒あるいはそれらの混合溶媒中に溶解あるいはエマルジョン化させたものが好ましく用いられる。本発明のフィルムを蒸着フィルムに加工して用いる場合、当該コート剤は蒸着前にアンカーコート剤としてフィルム表面に塗布してもよいし、蒸着後にオーバーコート剤として蒸着層上に塗布してもよいし、その両方を行ってもよい。いずれの場合もコート剤としてガスバリア性の高い樹脂を用いることにより、本発明の蒸着フィルムのガスバリア性を高められる。また、アンカーコート層を形成することにより、アンカーコート層とその上に形成される蒸着層との密着性を改良することによりガスバリア性を向上できる場合がある。オーバーコート層を形成することにより、蒸着層の欠陥(ピンホール、スクラッチなど)を補完することによりガスバリア性を向上できる場合がある。
本発明のフィルムのA層がポリ乳酸に代表される生分解性を有する脂肪族ポリエステルである場合、上記したヒートシール層、接着層、印刷フィルムに代表される他のフィルムなどのラミネート材にも生分解性を有する材料を用いることにより、得られるラミネート体、包装体に生分解性を付与することができる。また、これら材料の植物度が高いほど、ラミネート体、包装体の植物度が向上するので好ましい。
このようにして得られたラミネート体は、縦型あるいは横型の製袋充填機、真空包装機、角折包装機など公知の加工機により製袋され、内容物を充填されることにより、上記に例示した包装体へと加工される。この際、充填される内容物としては、例えば、スナック、キャンディ、チョコレート、クッキー、チーズ、珍味、生肉、魚の切り身などの水産物、青果物、冷菓、和菓子、洋菓子などの菓子類;おにぎり、寿司、てんぷら、ハンバーグ、麺などの食品類;小麦粉、砂糖、醤油、みそ、マヨネーズ、ケチャップなどの調味料;石鹸、スポンジ、シャンプー、リンス、ボディソープなどのバス用品;液体洗剤;コーヒー豆;氷塊;化学薬品、農薬;ビニールテープ;金属あるいはプラスチックの各種部品;工業製品;本などが挙げられるが、特に限定されない。
本発明のフィルムおよび蒸着フィルムは、ガスバリア性に優れるため、これらを用いたラミネート体、包装体も、極めて優れたガスバリア性を発現しうる。また、本発明のフィルムあるいは蒸着フィルムは、異なるポリエステルを主たる構成成分とするA層、B層を直接積層しているにも関わらず、層間接着力に優れることから、ラミネート体、包装体へと加工する加工工程において、A層とB層の間で剥離が生じにくく、加工性に優れる。さらに、例えば、層間接着力に劣るフィルムを上記と同様にして袋状に製袋して内容物を充填した際、当該袋を開封する際に層間接着力に劣る層間の界面で剥離が生じ、ラミネート体の構成の一部が開封されずに残ってしまうことがある。本発明のフィルムおよび蒸着フィルムを用いた包装体は、A層、B層を直接積層しているにも関わらず、層間接着力に優れることから、上記したような開封性不良が発生しにくく、実用性に優れる。以上のことから、本発明のフィルムおよび蒸着フィルムは、優れたガスバリア性を示しながら、同時に、従来技術ではなし得なかった良好な層間接着性を発現し、加工性、実用性に優れたラミネート体、包装体とすることができる。以上のことから、本発明のフィルムおよび蒸着フィルムは、包装用、工業用などに好ましく用いることができる。
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明のフィルムについて説明する。
[測定及び評価方法]
本発明で用いた特性の評価方法は、下記の通りである。
1.層間接着力
本発明のフィルムと未延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPと称することがある。)の縦方向を揃えて、下記条件でドライラミネートした。
・コロナ処理: ハンディタイプのコロナ処理装置(Densok Precision Industries Corp製、Type:Pinhole Tester、No. F4366、コテ型電極(電極の処理部寸法:厚み=1mm、幅=70mm)を使用)を用いた。当該装置のダイヤルを“弱”方向に一杯回しきった状態を0回転とし、“強”方向に1回転させ、速度45mm/秒、電極−フィルム間距離0.33mmの条件下で電極を2回走らせることにより、本発明のフィルムのラミネート面を大気中でコロナ放電処理した。
・CPP:東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO #60 ZK93KM
・接着剤:東洋モートン(株)製AD503/cat10
・配合量:AD503/cat10/酢酸エチル=20質量部/1質量部/20質量部
・ラミネート面:本発明のフィルムについては、B層が最表層である場合は、B層上とし、B層がいずれの最表層でもない場合は、下記の通り、フィルム両面とした。CPPについては、コロナ処理面をラミネート面とした。
・塗布:メタバー#12を使用し、CPPのラミネート面(コロナ処理面)側に接着剤を塗布した。
・乾燥:80℃、45秒
・ラミネート:乾燥後、CPP上の接着剤塗布面を本発明のフィルムのラミネート面にラミネートした。
・硬化:40℃、48時間
得られたサンプルから幅15mmの試験片を切り出し、下記条件で剥離試験を行った。剥離力曲線において、上限値と下限値を読みとり、層間接着力とした。
・剥離試験機:大英科学精機製作所製引張試験機
・剥離角度:180°
・剥離速度:200mm/分
・チャート速度:20mm/分
・剥離方向:縦方向
同じサンプルについて6本の試験片を採取し、同様の測定をそれぞれに行った。得られた6本の平均値を層間接着力(g/15mm)とした。なお、B層が本発明のフィルムのいずれの最表層でもない場合、フィルムの片面にCPPをラミネートした試験片について3回、フィルムのもう一方の面にCPPをラミネートした試験片についても3回、計6回の測定を行い、同様にして層間接着力を測定した。
2.質量平均分子量(M
ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、40℃、1mL/分で、カラム(HFIP−LG+HFIP−806M×2本:SHODEX)を通し、分子量82.7万、10.1万、3.4万、1.0万、0.2万の分子量既知のPMMA(ポリメタクリル酸メチル)標準物質の示差屈折率検出による溶出時間から求めた検量線をあらかじめ作成し、その溶出時間から、質量平均分子量を計算した。ただし、ポリグリコール酸は、昭和電工(株)製「Shodex−104」を用いて、5mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解させたヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒とし、40℃、0.6mL/分で、カラム(HFIP−606M、2本およびプレカラム)を通し、異なる7種の分子量のPMMA標準物質の示差屈折率検出による溶出時間から求めた検量線をあらかじめ作成し、その溶出時間から、質量平均分子量を計算した。
3.共重合成分量
日本電子製JNM−30AL400を用いて、溶液プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)によりスペクトルを測定し、各ピークの積分強度より求められる組成比から質量%の形で算出した。
測定条件は溶媒を重水素化クロロホルムとして室温にて溶解、試料濃度20mg/mLとし、パルス幅を11μs/45°、パルス線繰り返し時間を9秒、積算回数を256回とし、23℃で測定した。ただし、ポリグリコール酸は、Bruker製AVANCE400を用いて、溶液プロトン核磁気共鳴法(H−NMR)によりスペクトルを測定し、各ピークの積分強度より求められる組成比から質量%の形で算出した。測定条件は溶媒をCDCl:HFIP=1:1として室温にて溶解、試料濃度20mg/mLとし、パルス幅を4.4μs/45°、取り込み時間を9秒、積算回数を8回とし、27℃で測定した。
4.A層のガラス転移温度(Tg)
JIS K7121(1999)に基づいて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いた。サンプルパンにA層から削り取った樹脂組成物のサンプルを5mgずつ秤量し、昇温速度は20℃/minで走査した。示差走査熱量測定チャートのガラス転移の階段状の変化部分において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状の変化部分の曲線とが交わる点から、Tgを求めた。測定は同じサンプルについて3回行い、得られた値の平均値を当該サンプルのTg(℃)とした。
5.溶融粘度
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、口金長さを10mm、口金径を1.0mm、荷重を5、10、15、20kgと変更して、測定温度270℃、予熱時間5分で測定した。剪断速度と溶融粘度の関係を測定し、100sec−1における溶融粘度を求めた。測定は同じサンプルについて3回行い、得られた値の平均値を当該サンプルの溶融粘度(poise)とした。
6.各層の厚み
本発明のフィルムの横方向のセンター部からサンプルを切り出した。凍結ミクロトーム法を用い、サンプル片の縦方向−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。このフィルム断面の薄膜切片を、透過型電子顕微鏡を用いて倍率2万倍(必要に応じて倍率は変更した)でフィルム断面写真を撮影し、フィルム横方向のセンター部の各層の厚み(μm)を確認した。
7.フィルム厚み
ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B7503(1997)、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの縦方向および横方向に10cm間隔で10点測定し、それらの平均値を当該サンプルのフィルム厚みとした(単位:μm)。
8.フィルムの面配向係数(fn)
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、本発明のフィルムの縦方向屈折率(Nx),横方向屈折率(Ny),厚み方向屈折率(Nz)を測定し、下式から面配向係数(fn)を算出した。マウント液はサリチル酸メチルを用いた。
fn=(Nx+Ny)/2−Nz
9.B層の中心線平均表面粗さ(Ra)
JIS B0601(2001)に従って、触針式表面粗さ計(小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器、型式:ET30HK)を用いてフィルムの蒸着される面について以下の条件で測定を行った。なお、この時の条件は、以下とした。
・触針走査方向:フィルムの横方向
・測定モード:触針式(STYLUS)
・処理モード:8(ROUGHNESS)
・測定長さ:1mm
・触針径:円錐型0.5μmR
・荷重:16mg
・カットオフ:250μm
・測定ライン数:30本
・走査速度:100μm/秒
・ピッチ:X方向4μm、Y方向10μm
・SLOPE COMP:ON
・GAIN:×1
・測定面積:0.2988mm
・標準面積:0.1mm
中心線平均表面粗さは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(X)で表した時、次の式によって求められる値(μm)を中心線平均表面粗さRaとする。
Ra=(1/L)∫|f(X)|dx。
なお、同じ測定をサンプル毎に測定個所を変えて3回行い、得られた値の平均値を算出し、当該フィルムの蒸着される層のRa(μm)とした。
10.フィルムのヤング率
JIS K7127(1999、試験片タイプ2)、JIS K7161(1994)に準じて、(株)オリエンテック製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、25℃、65%RHにて測定した。サンプルを測定方向:15cm、直交方向:1cmのサイズに切り出し、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、縦方向および横方向のヤング率を測定した。同じ測定を各サンプルの各方向について5回ずつ行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの縦方向および横方向のヤング率(GPa)とした。
11.熱収縮率
本発明のフィルムを縦方向および横方向に長さ200mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。サンプルに150mmの間隔で標線を描き、3gの錘を吊して120℃に加熱した熱風オーブン内に15分間設置し、加熱処理を行った。熱処理後に標線間の距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、寸法安定性の指標とした。同じ測定を各サンプルの各方向について5回ずつ行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの縦方向および横方向の熱収縮率とした。
12.水蒸気透過度
温度38℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名、“パ−マトラン”(登録商標)W3/31)を使用してJIS K7129(2000)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて測定した。また、測定は蒸着層側から水蒸気流を当て、反対側で検出する測定方式で、2回行い、2つの測定値の平均値を当該サンプルの水蒸気透過率(g/m/day)とした。
13.酸素透過度
温度23℃、湿度0%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の酸素透過率測定装置(機種名、“オキシトラン”(登録商標)(“OXTRAN ”2/20))を使用して、JIS K7126−2(2006)に記載の電解センサ法に基づいて測定した。また、測定は蒸着層側から酸素気流を当て、反対側で検出する測定方式で、2回行い、2つの測定値の平均値を当該サンプルの酸素透過度(cc/m/day/atm)とした。
14.蒸着層の密着力
本発明のフィルムに蒸着層を形成して得られた蒸着フィルムと未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)の縦方向を揃えて、下記条件でドライラミネートした。
・CPP:東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO #60 ZK93KM
・接着剤:東洋モートン(株)製AD503/cat10
・配合量:AD503/cat10/酢酸エチル=20/1/20質量部
・塗布:メタバー#12を使用し、CPPのコロナ処理面側に接着剤を塗布した。
・乾燥:80℃、45秒
・ラミネート:乾燥後、CPP上の塗布面を本発明の蒸着フィルムの蒸着面にラミネートした。
・硬化:40℃、48時間
得られたサンプルから幅15mmの試験片を取り出し、下記条件で剥離試験を行った。剥離力曲線において、上限値と下限値を読み取り、蒸着層の密着力とした。
・剥離試験機:大英科学精機製作所製引張り試験機
・剥離角度:180°
・剥離速度:200mm/分
・チャート速度:20mm/分
・剥離方向:縦方向
・サンプル幅:15mm
同じサンプルについて3本の試験片を採取し、同様の測定を3回行った。得られた値の平均値を蒸着層の密着力(g/15mm)とした。
15.実効延伸倍率
スリット状口金から押出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめた未延伸シートに、長さ1cm四方の升目をそれぞれの辺がフィルムの縦方向、横方向に平行になるようにスタンプで刻印した後、延伸・巻き取りを行い、得られたフィルムの升目の長さ(cm)を測定し、これを縦方向・横方向の実効延伸倍率とした。
16.蒸着層の厚さ
本発明のフィルムの横方向のセンター部からサンプルを切り出した。凍結ミクロトーム法を用い、サンプル片の縦方向−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。このフィルム断面の薄膜切片を、透過型電子顕微鏡を用いて倍率2万倍(必要に応じて倍率は変更した)でフィルム断面写真を撮影し、フィルム横方向のセンター部の各層の厚み(μm)を確認した。
エポキシ樹脂を用いた樹脂包埋法により、ウルトラミクロトームを用い、本発明の蒸着フィルムの横方向−厚み方向に断面を有する超薄切片を採取した。採取した超薄切片を下記条件にて透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察し、蒸着層の厚さを測定した。なお、同じサンプルについて同様の測定を2回行い、得られた値の平均値を蒸着層の厚さ(nm)とした。
・装置:(株)日立製作所製 透過型電子顕微鏡(TEM)H−7100FA
・加速電圧:100kV
・観察倍率:40000倍。
17.加工性、実用性評価
長さ1000m、厚さ15μmの本発明の蒸着フィルムの蒸着面に、厚さ20μmの二軸延伸ポリ乳酸フィルム(東レ株式会社製“エコディア”)を、反対の面に厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP;東レフィルム加工(株)製“トレファン”NO #20 9141)を、それぞれウレタン系接着剤(上記1および15用いた接着剤を同様の配合量、乾燥条件を用い、乾燥後塗布厚みが4μmとなるように塗布した)を介してドライラミネートし、得られたロールを40℃で48時間エージングした。該ラミネート体をCPP側が内側になるようにして、(株)フジキカイ製縦型ピロー包装機(FUJI FW−77)を用いて、フィルムを筒状に挿入し、製袋した。なお、この際、内容物は何も充填しなかった。得られた袋について、下記の基準で官能評価を行った。なお、袋の開封は、両手で袋の口部のシール部近傍を右手と左手の人差し指と親指でそれぞれつかみ、外側に袋を広げることで、シール部を剥がして開封した。
GOOD:フィルムにシワや伸びなどが入らず、製袋品の形状がよい。かつ、袋の開封が問題なく行える。
ENOUGH:フィルムにシワや伸びなどが入らず、製袋品の形状がよい。かつ、袋の開封時に袋は開封できるが、本発明のフィルム内で一部層間剥離が生じ、デラミが観察される。
BAD:フィルムに大きなシワや伸びなどがみられ、製袋品の形状が悪い。あるいは、袋の開封時に本発明のフィルム内で層間剥離が全面に生じ、一部のフィルム層が開封されずに残存する。
18.層間接着改良剤のアスペクト比
以下の手順でフィルムの断面写真から計算した。
1)断面写真の撮影
・装置 透過型電子顕微鏡(日立製H-7100FA型)
・加速電圧 100kV
・試料調整 RuO染色超薄膜切片法
・観察面 水平方向:長手方向、垂直方向:厚み方向となるようにフィルムを切断した面
水平方向:横方向、垂直方向:厚み方向となるようにフィルムを切断した面
・観察倍率 8000倍
・撮影領域 14μm×14μm
2)アスペクト比の計算
1)で観察したそれぞれの断面につき写真2枚ずつ、以下の条件でアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)製ソフトウエア"ImageJ"を用いてそれぞれ数値化し、計4枚の平均値を求めた。
・A層中で分散している層間接着改良剤の各領域のデータ化
TEM写真をGif化し、上記ソフトで読み込む。濃度を255段階に分割し、濃度の濃いものから90番目までを層間接着改良剤からなる領域とした。
・個数カウントおよびアスペクト比の自動計算
画像のザラツキを拾わないため、50ピクセル以上のものに限定し「Shape descriptors」機能で自動計算を行い、各写真の平均値を求めた。アスペクト比=水平方向の長さ/垂直方向の長さとした。
(実施例)
本発明の実施例、比較例で用いた原料は下記の通りである。
[PGA]
グリコリド(GL)90質量部、L−ラクチド(LLA)10質量部、および触媒として二塩化スズ2水和物0.003質量部からなる重合原料を仕込み、170℃で24時間加熱して塊状重合した後、2時間以上かけて冷却して重合物を取り出した。得られた共重合体を、平均粒径5mm以下に粉砕した後、真空乾燥機中減圧下120℃で2時間処理して、低分子量揮発成分を除いた後、この脂肪族ポリエステル100質量部に対して、0.03質量部のホスファイト系酸化防止剤(旭電化工業社製「アデカスタプPEP8」)を添加し、220〜240℃(供給部から順にC1=220℃、C2=230℃、C3=240℃、ダイ=230℃)に設定した2軸スクリュー混練押出機((株)東洋精機製作所製「ラボプラストミル2D25S」に5mmφストランドダイを取付)中で、滞留時間約5分で溶融押出を行い、押出ストランドを空冷しながら、径約5mm、長さ約10mmのペレットを得た。ペレットは、分子量18万、融点221℃、Tg42℃、270℃および100sec−1での溶融粘度3500poiseのホモポリグリコール酸樹脂を準備し、回転式真空乾燥機にて120℃で8時間乾燥して用いた。
[PGLLA1]
上記PGAの製造方法において、GL100質量部をGL90質量部、L−ラクチド(LLA)10質量部とした以外は同様の方法で、ペレットを作成した。ペレットは、分子量17万、融点205℃ Tg40℃ 270℃および100sec−1での溶融粘度 3000poiseのL−乳酸10mol%ランダム共重合ポリグリコール酸であった。
[PGLLA2]
上記PGAの製造方法において、GL100質量部をGL90質量部、LLA20質量部とした以外は同様の方法で、ペレットを作成した。ペレットは、分子量17万、融点205℃ Tg40℃ 270℃および100sec−1での溶融粘度 3000poiseのL−乳酸30mol%ランダム共重合ポリグリコール酸であった。
[PGLLA3]
上記PGAの製造方法において、GL100質量部をGL90質量部、LLA30質量部とした以外は同様の方法で、ペレットを作成した。ペレットは、分子量17万、融点205℃ Tg40℃ 270℃および100sec−1での溶融粘度 3000poiseのL−乳酸35mol%ランダム共重合ポリグリコール酸をであった。
[cPLA]
回転式真空乾燥機にて100℃で4時間乾燥した結晶性ポリL−乳酸(Nature Works製“Ingeo”4032D;D体量=1.4mol%、融点=168℃、Tg=58℃)。
[aPLA]
回転式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥した非晶性ポリL−乳酸(Nature Works製“Ingeo” 4060D;D体量=12mol%、Tg=58℃)。
[EA1]
静置式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥したグリシジル基含有エチレンアクリレート系コポリマー(E. I. du Pont de Nemours and Company製“Biomax”strong 120)。
[EA2]
静置式真空乾燥機にて50℃で8時間乾燥したグリシジル基含有エチレンアクリレート系コポリマー(Arkema製lotaderAX8900)。
[PLA−PEG]
数平均分子量8,000のポリエチレングリコール62質量部とL−ラクチド38質量部とオクチル酸スズ0.05質量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で、窒素雰囲気下160℃で3時間重合することで、数平均分子量8,000のポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2,500のポリ乳酸セグメントを有するブロック共重合体可塑剤を作成し、層間接着改良剤として使用した。
[caPLA]
上記cPLAを85質量%、aPLAを15質量%ブレンドし、シリンダー温度200℃の二軸押出機に供給して、溶融混練により均質化した後、チップ状にペレタイズした。得られたチップは、回転式真空乾燥機にて100℃で4時間乾燥した。
本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。なお、所望の厚み構成のフィルムを得るためには、特に断りのない限り、各押出機のポリマーの押出量を所定の値に調節した。また、比較例1以外のフィルムは、層間接着試験後に剥離面を確認したところ、A層/B層間の界面であることを確認した。さらに蒸着フィルムとする際は、特に断りがない限り、B層上に蒸着した。比較例1のみ、A層上に蒸着した。また、表面粗さは、フィルムの蒸着する面に対して測定した。
(実施例1)
単軸押出機(a)に、A層の樹脂組成物として、cPLAを95質量部、EA1を5質量部予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き25μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させ、2層タイプの口金に供給した。また、単軸押出機(b)に、B層の樹脂として、PGAを100質量部供給し、250℃で押出し、押出機(a)とは別の流路で、平均目開き25μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、口金に供給した。なお、この際流路(ポリマー管)の設定温度としては235℃を用いた。
次いで、各押出機からの溶融ポリマーが押出機(b)/押出機(a)の順で積層されるように口金内で合流せしめ、口金よりシート状に共押出した。この際、当該押出シートを30℃の温度の鏡面金属ドラムにキャストしてシート状に冷却固化した。また、押出機(b)から供給したB層が金属ドラムに接触するようにして、キャストした。
得られた未延伸シートを、ロール延伸機にて70℃で縦方向に3倍に延伸し、直ちに室温に冷却した。次いで、得られた一軸延伸フィルムを、テンターに導入し、両エッジをクリップで把持しながら、60℃で横方向に3.5倍延伸し、引き続き横方向に3%の弛緩を与えながら150℃で熱処理をし、冷却後、巻き取った。得られた二軸配向フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。
23℃、65%の雰囲気下、ロールの状態で24時間エージングの後、得られた二軸配向フィルムを、フィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットした。1.00×10−2Paの高減圧状態にした後に、0℃の冷却金属ドラム上に走行させた。この際、アルミニウム金属を加熱蒸発し、B層上に蒸着層を形成した。このようにして得られた蒸着フィルムを48時間エージングして、本発明の蒸着フィルムを得た。なお、蒸着フィルムの光学濃度は、蒸着中にオンラインで確認し、2.5となるよう蒸着厚みを制御した。
得られたフィルムの製膜条件を表1に、フィルムおよび蒸着フィルムの評価結果を表2、表3に示す。得られたフィルムは、A層に特定の層間接着改良剤を含有し、アスペクト比が18.4と高いことから、高い層間接着力を示すとともに、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封時にフィルムの一部でデラミが確認されたものの、実用性に支障無いレベルであった。
(実施例2)
実施例1において、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例2とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。得られたフィルムは、A層に特定の層間接着改良剤を含有し、アスペクト比が15.8と高いことから、高い層間接着力を示すとともに、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性に優れていた。
(実施例3)
単軸押出機(a)に、A層の樹脂組成物として、cPLAを95質量部、EA1を5質量部予め混合したブレンド原料を供給し、220℃で押出し、平均目開き25μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させ、3層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、単軸押出機(b)に、B層の樹脂として、PGAを100質量部供給し、250℃で押出し、押出機(a)とは別の流路で、平均目開き25μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。なお、この際流路(ポリマー管)の設定温度としては235℃を用いた。さらに、単軸押出機(c)に、aPLA100質量部を供給し、220℃で押出し、平均目開き25μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。
次いで、各押出機からの溶融ポリマーが押出機(b)/押出機(a)/押出機(c)の順で積層されるようにマルチマニホールド口金内で合流せしめ、口金よりシート状に共押出した。この際、当該押出シートを30℃の温度の鏡面金属ドラムにキャストしてシート状に冷却固化した。また、押出機(b)から供給したB層が金属ドラムに接触するようにして、キャストした。
得られた未延伸シートを、ロール延伸機にて70℃で縦方向に3倍に延伸し、直ちに室温に冷却した。次いで、得られた一軸延伸フィルムを、テンターに導入し、両エッジをクリップで把持しながら、60℃で横方向に3.5倍延伸し、引き続き横方向に3%の弛緩を与えながら145℃で熱処理をし、冷却後、巻き取った。得られた二軸配向フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。
23℃、65%の雰囲気下、ロールの状態で24時間エージングの後、得られた二軸配向フィルムを、フィルム走行装置を具備した真空蒸着装置内にセットした。1.00×10−2Paの高減圧状態にした後に、0℃の冷却金属ドラム上に走行させた。この際、アルミニウム金属を加熱蒸発し、B層上に蒸着層を形成した。このようにして得られた蒸着フィルムを48時間エージングして、本発明の蒸着フィルムを得た。なお、蒸着フィルムの光学濃度は、蒸着中にオンラインで確認し、2.5となるよう蒸着厚みを制御した。
得られたフィルムの製膜条件を表1に、フィルムおよび蒸着フィルムの評価結果を表2、表3に示す。
得られたフィルムは、A層に特定の層間接着改良剤を含有し、アスペクト比が18.5と高いことから、高い層間接着力を示すとともに、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性に優れていた。
(実施例4)
実施例3において、B層とA層の厚みをそれぞれ1μmと17μmとしたこと以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例4とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=1/17/2μmであった。得られたフィルムは、A層に特定の層間接着改良剤を含有し、アスペクト比が18.6と高いことから、高い層間接着力を示すとともに、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性に優れていた。
(実施例5)
実施例3において、押出機(a)、押出機(b)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを実施例5とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、A層及びB層に特定の層間接着改良剤を含有し、アスペクト比がそれぞれ18.2及び17.8と高いことから、高い層間接着力を示すとともに、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封時にフィルムの一部でデラミが確認されたものの、実用性に支障無いレベルであった。
(実施例6)
実施例5において、押出機(b)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを実施例6とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、A層に特定の層間接着改良剤を含有し、アスペクト比が18.8と高いことから、極めて高い層間接着力を示すとともに、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性に優れていた。
(実施例7)
実施例5において、押出機(b)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを実施例7とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、A層及びB層に特定の層間接着改良剤を含有し、アスペクト比がそれぞれ17.9及び18.3と高いことから、極めて高い層間接着力を示すとともに、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性に優れていた。
(実施例8)
実施例7において、押出機(a)、(b)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを実施例7とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、A層及びB層に特定の層間接着改良剤を含有し、アスペクト比がそれぞれ22.2及び21.3と高いことから、高い層間接着力を示すとともに、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性に優れていた。
(実施例9)
実施例1において、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例9とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。得られたフィルムは、A層の層間接着改良剤が減少したことにより、アスペクト比は28.2と大きいが、層間接着力が実用範囲内で低下した。包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、実用特性を充たしていた。
(実施例10)
実施例1において、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例10とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。得られたフィルムは、A層の層間接着改良剤が増加したことにより、アスペクト比は7.1と小さいが、層間接着力がより向上し、力学物性、寸法安定性は低下したが、包装材料として実用範囲内であった。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、実用特性を充たしていた。
(実施例11)
実施例1において、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例11とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。得られたフィルムは、A層の層間接着改良剤が更に増加したことにより、アスペクト比は5.2と小さいが、層間接着力がより向上した。力学物性、寸法安定性は低下したが、包装材料として実用範囲内であった。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高いが、表面が粗くなったため、水蒸気バリア性、酸素バリア性は若干悪化したが実用範囲内であった。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、実用特性を充たしていた。
(実施例12)
実施例1において、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例12とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。得られたフィルムは、A層に層間接着改良剤を添加し、アスペクト比が18.3と高いことから、層間接着力がより向上し、包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性は低下したが実用範囲内、酸素バリア性は優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、実用特性を充たしていた。
(実施例13)
実施例1において、押し出し量を1/2.6とし、延伸倍率を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例13とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。得られたフィルムは、A層の層間接着改良剤のアスペクト比が3.5と小さくなり、層間接着力が低下したが実用範囲内であった。包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、実用特性を充たしていた。
(実施例14)
実施例1において、押し出し量を1.5倍とし、延伸倍率を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例14とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。得られたフィルムは、A層の層間接着改良剤のアスペクト比が34.5と大きくなり、層間接着力は向上した。力学物性、寸法安定性は低下したが、包装材料として実用範囲内であった。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、実用特性を充たしていた。
(実施例15)
実施例6において、押出機(b)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを実施例15とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、A層に層間接着改良剤を添加し、アスペクト比が18.5と高く、更に、B層のポリ乳酸単位の共重合量が増加したことにより、層間接着力がより高くなった。包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性に優れていた。
(実施例16)
実施例6において、押出機(b)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを実施例16とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、A層に層間接着改良剤を添加し、アスペクト比が19.1と高く、更に、B層のポリ乳酸単位の共重合量が増加したことにより、層間接着力がより高くなった。包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高かった。ポリ乳酸単位が多くなりすぎたために、水蒸気バリア性、酸素バリア性は低下したが、実用範囲内であった。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性に優れていた。
(実施例17)
実施例1において、押出機(a)に供給する樹脂を表1に示すとおりに変更した以外は同様にして製造した二軸配向フィルムおよび蒸着フィルムを実施例17とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、B層/A層=2/18μmであった。得られたフィルムは、A層の層間接着改良剤を変化させたこと及びアスペクト比が8.3と小さくなったことから、層間接着力は若干低下したが十分なものであった。包装材料として用いるのに十分な力学物性、寸法安定性を有していた。また、蒸着フィルムの蒸着層との接着力は高く、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。さらに、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋には、シワなどの不良は観察されず、かつ開封性も実用範囲内であった。
(比較例1)
単軸押出機(a)に、caPLAを100質量部供給し、220℃で押出し、平均目開き25μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させ、3層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、単軸押出機(b)に、caPLAを100質量部供給し、220℃で押出、押出機(a)とは別の流路で、平均目開き25μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。次いで、各押出機からの溶融ポリマーが押出機(b)/押出機(a)の順で積層されるようにマルチマニホールド口金内で合流せしめ、口金よりシート状に冷却固化した。また、押出機(b)から供給した樹脂層が金属ドラムに接触するようにして、共押出した。この際、当該押出シートを30℃の温度の鏡面金属ドラムにキャストしてシート状キャストした。
得られた未延伸シートを、ロール延伸機にて80℃で縦方向に2.8倍に延伸し、直ちに室温に冷却した。次いで、得られた一軸延伸フィルムを、テンターに導入し、両エッジをクリップで把持しながら、75℃で横方向に3.5倍延伸し、引き続き横方向に5%の弛緩を与えながら140℃で熱処理をし、冷却後、巻き取った。得られた二軸配向フィルムの厚み構成は、A層/B層=18/2μmであった。
23℃、65%の雰囲気下、ロールの状態で24時間のエージングの後、得られた二軸配向フィルムを、実施例1と同様にして、蒸着層をA層上(押出機(b)から供給した樹脂層の表面上)に形成した。
得られたフィルムの製膜条件を表1に、フィルムおよび蒸着フィルムの評価結果を表2、表3に示す。得られたフィルムは、層間接着力には優れ(いずれの層間でも剥離せず、CPP−フィルム間で剥離)、袋の開封製に優れていたものの、B層を含有していないため、ガスバリア性に劣っていた。
(比較例2)
実施例3において、押出機(a)に供給する樹脂から、層間接着改良剤であるEA1を除き、caPLAを100質量部供給した以外は同様に製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを比較例2とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、A層/B層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、蒸着後のガスバリア性は良好であったが、A層およびB層に層間接着改良剤を含有しないため、層間接着力に劣っていた。このため、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、開封時に全面的な層間剥離を生じ、開封性に著しく劣っていた。
(比較例3)
実施例6において、押出機(a)に供給する樹脂から、層間接着改良剤であるEA1を除き、caPLAを100質量部供給した以外は同様に製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを比較例3とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、A層/B層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、蒸着後のガスバリア性は良好であったが、A層およびB層に層間接着改良剤を含有しないため、層間接着力に劣っていた。このため、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、開封時に全面的な層間剥離を生じ、開封性に著しく劣っていた。
(比較例4)
特許文献3(特開2006−130847号)の実施例1に開示された、延伸点を加熱する方法に基づき層間接着力の改良効果を得るべく、検討を行った。
押出機(b)、押出機(c)にA層の樹脂組成物として、cPLAを100質量部供給し、それぞれ220℃で押出し、平均目開き25μmのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させ、3層タイプのマルチマニホールド口金に供給した。また、短軸押出機(a)にはB層の樹脂組成物として、PGAを100質量部供給し、250℃で押出し、平均目開き25ミクロンのステンレス鋼繊維を焼結圧縮したフィルターにてポリマーを濾過させた後、マルチマニホールド口金に供給した。次いで、各押出機からの溶融ポリマーが押出機(b)/押出機(a)/押出機(c)の順で積層されるようにマルチマニホールド口金内で合流せしめ、口金よりシート状に共押出した。この際、当該押出シートを30℃の温度の鏡面金属ドラムにキャストしてシート状に冷却固化した。また、押出機(b)から供給したA層が金属ドラムに接触するようにして、キャストした。
得られた未延伸シートを、ロール延伸機にて60℃で縦方向に3倍に延伸し、直ちに室温に冷却した。この際、低速ロールと高速ロールの間に設置した赤外線ヒーターを用いて、積層シートの延伸点を加熱した。次いで、得られた一軸延伸フィルムを、テンターに導入し、両エッジをクリップで把持しながら、80℃で横方向に3.5倍延伸し、引き続き160℃で熱処理をし、冷却後、巻き取った。この際、熱処理時間が3秒となるように、ライン速度を調整した。得られた二軸配向フィルムの厚み構成は、A層/B層/A層=6/6/6μmであった。
23℃、65%の雰囲気下、ロールの状態で24時間のエージングの後、得られた二軸配向フィルムを、実施例1と同様にして、蒸着層をA層上(押出機(b)から供給した樹脂層の表面上)に形成した。
得られたフィルムの製膜条件を表1に、フィルムおよび蒸着フィルムの評価結果を表2、表3に示す。得られたフィルムは、蒸着後のガスバリア性は良好であったが、層間接着力に劣っていた。このため、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、開封時に全面的な層間剥離を生じ、開封性に劣っていた。
(比較例5)
比較例2において、縦延伸工程中の低速ロールと高速ロールの間の延伸点を、比較例4と同様にして赤外線ヒーターを用いて加熱した以外は同様に製造した二軸配向フィルム及び蒸着フィルムを比較例5とした。なお、当該フィルムの厚み構成は、A層/B層/C層=2/16/2μmであった。得られたフィルムは、蒸着後のガスバリア性は良好であったが、A層およびB層に層間接着改良剤を含有しないため、層間接着力に劣っており、延伸点加熱の効果は殆ど全く確認されなかった。このため、当該蒸着フィルムを用いて作製した袋は、開封時に全面的な層間剥離を生じ、開封性に著しく劣っていた。
Figure 0005640973
Figure 0005640973
Figure 0005640973
ただし、表中の記載は下記の通り。
MD:フィルムの縦方向。
TD:フィルムの横方向。
PGA:ポリグリコール酸。
PGLLA:L−乳酸10mol%ランダム共重合ポリグリコール酸。
cPLA:Nature Works製“Ingeo”4032D。
aPLA:Nature Works製“Ingeo”4060D。
caPLA:85質量%のcPLAと15質量%のaPLAのメルトブレンド物。
EA1:E. I. du Pont de Nemours and Company製“Biomax”strong 120。
EA2:Arkema製lotaderAX8900。
表1〜3に示すとおり、本発明のフィルムは異なるポリエステルを積層しているにも関わらず、層間接着力に優れていた。当該フィルムを用いた蒸着フィルムは、高い蒸着層密着力と優れたガスバリア性を示した。また、当該蒸着フィルムを用いた包装体は、製袋加工性に優れ、開封性に優れることから、加工性、実用性に優れていた。さらに、本発明のフィルムは、製膜工程、蒸着工程においてもトラブルの発生はなく、製膜安定性、蒸着加工性に優れていた。一方、B層、A層いずれにも層間接着改良剤を含有しない比較例のフィルムは、層間接着力が低いため、加工性、実用性に劣っていた。
以上のことから、本発明のフィルムは、B層およびA層に層間接着改良剤を含有することから、接着層を用いずにB層、A層が直接積層しても層間接着力に優れ、かつ優れたガスバリア性、加工性、実用性を示した。また、これらの優れた特性値は、例えば、フィルムの厚み構成、層間接着改良剤の含有量、B層のポリグリコール酸の分子構造などにより制御することができた。
本発明はガスバリア性に優れ、異なるポリエステルを積層しているにも関わらず層間接着力に優れるポリエステル系積層フィルム、それを用いた蒸着フィルム、ラミネート体、および包装体に関するものである。

Claims (13)

  1. ポリグリコール酸以外のポリエステルを主たる構成成分とする層(A層)の少なくとも片面に、ポリグリコール酸を主たる構成成分とする層(B層)が直接積層された構成を含み、前記A層が層間接着改良剤を含有し、該層間接着改良剤がグリシジル基含有エチレンアクリレート系コポリマーであることを特徴とするポリエステル系積層フィルム。
  2. 前記B層が、層間接着改良剤を含有する請求項1記載のポリエステル系積層フィルム。
  3. 前記A層及び/またはB層の層間接着改良剤の含有量が、各層の全成分100質量%に対して0.1〜30質量%である請求項1または2に記載のポリエステル系積層フィルム。
  4. 前記A層とB層との層間接着力が25g/15mm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム。
  5. 前記層間接着改良剤のA層及び/またはB層中で分散している各領域のアスペクト比が5以上30以下である請求項1〜のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム。
  6. 前記A層のポリエステルが、脂肪族ポリエステルである請求項1〜のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム。
  7. 前記B層のポリグリコール酸が、グリコール酸単位以外のヒドロキシカルボン酸単位をコモノマー単位として含有するコポリマーである請求項1〜のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム。
  8. 前記ヒドロキシカルボン酸単位が、ポリグリコール酸の全てのモノマー単位100mol%に対して、1〜30mol%である請求項に記載のポリエステル系積層フィルム。
  9. 前記ヒドロキシカルボン酸単位が、乳酸単位である請求項またはに記載のポリエステル系積層フィルム。
  10. 前記B層がフィルムの少なくとも片方の表面層である請求項1〜のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルムの少なくとも片面に、金属または無機酸化物からなる蒸着層を有する蒸着フィルム。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム、又は請求項11に記載の蒸着フィルムを含んでなるラミネート体。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル系積層フィルム、又は請求項11に記載の蒸着フィルムを含んでなる包装体。
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