以下に、添付図面を参照して、本発明に係る点火判定手法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る点火判定手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る点火判定手法を適用したエアバッグECUについての実施例を図2〜図12を用いて説明することとする。
また、以下では、サテライトセンサが、車両の車体前部の左右に配置されている場合を例に挙げて説明することとする。また、以下では、かかるサテライトセンサをまとめて「フロントセンサ」と記載する場合がある。
まず、本発明に係る点火判定手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る点火判定手法の概要を示す図である。なお、図1の(A)には、車両50を上方からみた場合の概略図を、図1の(B)には、従来の手法の概要を、図1の(C)には、本発明に係る点火判定手法の概要を、それぞれ示している。
図1の(A)に示すように、車両50は、車体前部の右方に右フロントセンサ121を、同じく左方に左フロントセンサ122を、車室にエアバッグECU10をそれぞれ備えているものとする。また、エアバッグECU10は、その内部にフロアセンサ11aおよび11bと、マイコン13と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)14とを、それぞれ備えているものとする。
ここで、図1の(B)に示すように、従来の手法によれば、たとえば、フロアセンサ11aは、マイコン13における「メイン点火判定」専用の加速度センサとして用いられていた。また、フロアセンサ11bは、「セーフィング判定」専用の加速度センサとして用いられていた(図中の「フロアのみ」参照)。
なお、ここにいう「メイン点火判定」とは、点火判定の系統を2系統に冗長化した場合に、マイコン13において判定される点火判定の系統を指す。また、同様に、「セーフィング判定」とは、ASIC14において判定される点火判定の系統を指す。
このため、車両50に搭載する加速度センサの点数が点火判定の系統に応じて増えることとなり、高コスト化を招いていた。
そこで、図1の(C)に示したように、本発明に係る点火判定手法では、エアバッグECU10あるいは10aの内部に単一のフロアセンサ11を備えることとしたうえで、かかるフロアセンサ11を、マイコン13における「メイン点火判定」と、ASIC14における「セーフィング判定」とで併用することとした。
具体的には、図1の(C−a)に示したように、フロアセンサ11のセンサ信号を、マイコン13とASIC14とにそれぞれ入力することとしたうえで、マイコン13においては「メイン点火判定」を、ASIC14においては「セーフィング判定」をそれぞれ行うこととした。
このとき、ASIC14においては、「セーフィング判定」専用の加速度センサを減らすことで精度が低下する可能性があるというデメリットを補うために、併せて右フロントセンサ121および左フロントセンサ122のセンサ信号を入力し、かかるセンサ信号に基づく判定結果と、フロアセンサ11のセンサ信号に基づく判定結果との論理積をとって「セーフィング判定」を行うこととした(図中の(フロント&フロア)参照)。
これにより、精度を低下させることなく、搭載する加速度センサの点数を減らすことができる。すなわち、低コストで、かつ、精度よく、エアバッグの誤動作を防止することができる。
また、図1の(C−b)に示したように、右フロントセンサ121および左フロントセンサ122のセンサ信号をマイコン13にのみ入力することとしたうえで、かかるセンサ信号に関する処理をマイコン13に特化させることとしてもよい。
具体的には、図1の(C−b)に示したように、マイコン13においては、従来からの「メイン点火判定」と併せて、右フロントセンサ121および左フロントセンサ122のセンサ信号に基づく「セーフィング判定」を行う(図中の「フロントのみ」参照)。そして、かかる「メイン点火判定」結果と「セーフィング判定」結果との論理積をとって、マイコン13における点火判定結果とする(図中の「&」参照)。
また、ASIC14においては、フロアセンサ11のセンサ信号に基づく「セーフィング判定」を行う(図中の「フロアのみ」参照)。
このようにした場合、右フロントセンサ121および左フロントセンサ122に関して懸念される通信途絶に関する処理をマイコン13に特化させることができるので、ASIC14の回路構造を簡素化することができる。すなわち、さらなる低コスト化を図ったうえで、精度よく、エアバッグの誤動作を防止することができる。
このように、本発明に係る点火判定手法では、エアバッグECU10あるいは10aの内部に単一のフロアセンサ11を備えることとしたうえで、かかるフロアセンサ11を、マイコン13における「メイン点火判定」と、ASIC14における「セーフィング判定」とで併用することとした。
したがって、本発明に係る点火判定手法によれば、低コストで、かつ、精度よく、エアバッグの誤動作を防止することができる。
以下では、図1を用いて説明した点火判定手法を適用したエアバッグECUについての実施例1および実施例2を順に説明する。なお、実施例1では、マイコン13において「メイン点火判定」を、ASIC14において「セーフィング判定」を、それぞれ行うエアバッグECU10について説明することとする(図1の(C)の(C−a)参照)。
また、実施例2では、マイコン13において「メイン点火判定」およびフロントセンサに基づく「セーフィング判定」を、ASIC14においてフロアセンサに基づく「セーフィング判定」を、それぞれ行うエアバッグECU10aについて説明することとする(図1の(C)の(C−b)参照)。
本実施例1では、マイコン13においてメイン点火判定を、ASIC14においてセーフィング判定を、それぞれ行う場合について説明する。図2は、実施例1に係るエアバッグECU10の構成を示すブロック図である。なお、図2では、エアバッグECU10の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
図2に示すように、エアバッグECU10は、フロアセンサ11と、サテライト通信I/F(インタフェース)12と、マイコン13と、ASIC14とを備えている。
また、マイコン13は、ADC(Analog to Digital Converter)13aと、演算処理部13bおよび13gと、Hiマップ判定部13cと、Loマップ判定部13dと、SPI(Serial Peripheral Interface)13eおよび13oと、途絶検出部13fと、フロント信号判定部13hと、ANDゲート13iおよび13jと、ORゲート13kとをさらに備えている。
なお、図2に示すように、本実施例1に係るエアバッグECU10では、Hiマップ判定部13cと、Loマップ判定部13dと、フロント信号判定部13hと、ANDゲート13iおよび13jと、ORゲート13kとが、メイン点火判定部として機能する。
また、ASIC14は、ADC14aと、演算処理部14bおよび14gと、コンパレータ14cおよび14hと、SPI14eおよび14oと、途絶検出部14fと、ANDゲート14iおよび14jと、ORゲート14kと点火回路14pとをさらに備えている。
なお、図2に示すように、本実施例1に係るエアバッグECU10では、コンパレータ14cおよび14hと、ANDゲート14iおよび14jと、ORゲート14kとが、セーフィング判定部として機能する。
フロアセンサ11は、エアバッグECU10の内部に配置され、車室における加速度を検出する加速度センサである。なお、機械式、光学式などの種別は特に限られるものではない。また、フロアセンサ11は、検出した加速度を含むセンサ信号を、マイコン13のADC13a、および、ASIC14のADC14aに対して出力する。
サテライト通信I/F12は、エアバッグECU10と分離して配置されるサテライトセンサとの通信を行う通信デバイスである。サテライトセンサは、主に車体周縁部の加速度を検出する加速度センサである。
なお、本実施例1においては、かかるサテライトセンサとして、右フロントセンサ121および左フロントセンサ122が、車両50のフロント部左右にそれぞれ配置されているものとする(図1参照)。そして、サテライト通信I/F12は、かかる右フロントセンサ121および左フロントセンサ122からのセンサ信号を、マイコン13のSPI13e、および、ASIC14のSPI14eに対して出力する。
マイコン13は、いわゆる演算処理装置であり、フロアセンサ11、右フロントセンサ121および左フロントセンサ122からの各センサ信号に基づき、冗長構成における主系の点火判定(メイン点火判定)を行う制御部である。なお、以下では、フロアセンサ11からのセンサ信号を「フロア信号」と、右フロントセンサ121および左フロントセンサ122からのセンサ信号を「フロント信号」と記載する。
ADC13aは、フロアセンサ11から入力したフロア信号を、アナログ信号からデジタル信号へ変換して演算処理部13bへ出力する変換回路である。
演算処理部13bは、ADC13aから入力したフロア信号に基づく演算値(以下、「フロア信号値」と記載する)を算出する処理を行う処理部である。なお、かかる算出処理には、フィルタを介して行われるノイズ除去などが含まれる。また、演算処理部13bは、算出したフロア信号値を、Hiマップ判定部13cおよびLoマップ判定部13dに対して出力する処理を併せて行う。
Hiマップ判定部13cは、演算処理部13bから入力したフロア信号値と所定の高位閾値である「Hiマップ」とを比較する処理を行う処理部である。また、Hiマップ判定部13cは、フロア信号値がHiマップを超える場合には点火を可とする点火判定オン信号を、フロア信号値がHiマップ以下である場合には点火を不可とする点火判定オフ信号を、ORゲート13kに対して出力する処理を併せて行う。
Loマップ判定部13dは、演算処理部13bから入力したフロア信号値と所定の低位閾値である「Loマップ」とを比較する処理を行う処理部である。また、Loマップ判定部13dは、フロア信号値がLoマップを超える場合には点火を可とする点火判定オン信号を、フロア信号値がLoマップ以下である場合には点火を不可とする点火判定オフ信号を、ANDゲート13iおよび13jに対して出力する処理を併せて行う。
なお、Loマップ判定部13dにおける処理動作は、後述する途絶検出部13fにおいて通信途絶が検出された場合、あるいは、後述するフロント信号判定部13hにおいてフロント信号に基づく「フロント信号値」(後述)が所定の「フロント閾値」(後述)を超えた場合に、有効となる。
SPI13eは、サテライト通信I/F12から入力したフロント信号を途絶検出部13fに対して出力するシリアルバスである。
途絶検出部13fは、SPI13eから入力するフロント信号について通信途絶が生じていないか否かを判定する処理を行う処理部である。また、途絶検出部13fは、通信途絶が生じていないと判定した場合には、入力したフロント信号を演算処理部13gに対して出力する。
また、途絶検出部13fは、通信途絶が生じていると判定した場合には、点火を可とする点火判定オン信号を、ANDゲート13jに対して出力する。なお、途絶検出部13fにおける途絶検出処理の詳細については、図3を用いて後述する。
演算処理部13gは、上述した演算処理部13bと同様に、途絶検出部13fから入力したフロント信号に基づく演算値(以下、「フロント信号値」と記載する)を算出する処理を行う処理部である。また、演算処理部13gは、算出したフロント信号値を、フロント信号判定部13hに対して出力する処理を併せて行う。
フロント信号判定部13hは、演算処理部13gから入力したフロント信号値と、フロント信号値に関する所定の閾値である「フロント閾値」とを比較する処理を行う処理部である。また、フロント信号判定部13hは、フロント信号値がフロント閾値を超える場合には点火を可とする点火判定オン信号を、フロント信号値がフロント閾値以下である場合には点火を不可とする点火判定オフ信号を、ANDゲート13iに対して出力する処理を併せて行う。
ANDゲート13iは、Loマップ判定部13dおよびフロント信号判定部13hのそれぞれから入力した点火判定オン/オフ信号の論理積演算を行うことによって、Loマップ判定部13dおよびフロント信号判定部13hの双方から点火判定オン信号が出力された場合にのみ、点火判定オン信号をORゲート13kに対して出力する。また、それ以外の場合には、点火判定オフ信号をORゲート13kに対して出力する。
ANDゲート13jは、Loマップ判定部13dおよび途絶検出部13fのそれぞれから入力した点火判定オン/オフ信号の論理積演算を行うことによって、Loマップ判定部13dおよび途絶検出部13fの双方から点火判定オン信号が出力された場合にのみ、点火判定オン信号をORゲート13kに対して出力する。また、それ以外の場合には、点火判定オフ信号をORゲート13kに対して出力する。
ORゲート13kは、論理和演算を行うことによって、Hiマップ判定部13c、ANDゲート13iあるいはANDゲート13jのいずれか一つから点火判定オン信号が出力された場合に、点火判定オン信号をSPI13oに対して出力する。また、それ以外の場合には、点火判定オフ信号をSPI13oに対して出力する。
SPI13oは、ORゲート13kから入力した点火判定オン/オフ信号を、ASIC14のSPI14oに対して出力するシリアルバスである。
ASIC14は、いわゆる集積回路であり、フロアセンサ11、右フロントセンサ121および左フロントセンサ122からの各センサ信号に基づき、冗長構成における冗長系の点火判定(セーフィング判定)を行う制御部である。
ADC14aは、上述したADC13aと同様に、フロアセンサ11から入力したフロア信号を、アナログ信号からデジタル信号へ変換して演算処理部14bへ出力する変換回路である。
演算処理部14bは、上述した演算処理部13bと同様に、ADC14aから入力したフロア信号に基づいてフロア信号値を算出する処理を行う処理部である。また、演算処理部14bは、算出したフロア信号値を、コンパレータ14cに対して出力する処理を併せて行う。
コンパレータ14cは、演算処理部14bから入力したフロア信号値と、フロア信号値に関する所定のセーフィング判定閾値である「閾値1」とを比較したうえで、フロア信号値が閾値1を超える場合にはセーフィング判定オン信号を、フロア信号値が閾値1以下である場合にはセーフィング判定オフ信号を、ANDゲート14iおよびANDゲート14jに対して出力する。
SPI14eは、上述したSPI13eと同様に、サテライト通信I/F12から入力したフロント信号を途絶検出部14fに対して出力するシリアルバスである。
途絶検出部14fは、上述した途絶検出部13fと同様に、SPI14eから入力するフロント信号について通信途絶が生じていないか否かを判定する処理を行う処理部である。また、途絶検出部14fは、通信途絶が生じていないと判定した場合には、入力したフロント信号を演算処理部14gに対して出力する。
また、途絶検出部14fは、通信途絶が生じていると判定した場合には、セーフィング判定オン信号を、ANDゲート14jに対して出力する。なお、途絶検出部14fにおける途絶検出処理の詳細については、図3を用いて後述する。
演算処理部14gは、上述した演算処理部13gと同様に、途絶検出部14fから入力したフロント信号に基づいてフロント信号値を算出する処理を行う処理部である。また、演算処理部14gは、算出したフロント信号値を、コンパレータ14hに対して出力する処理を併せて行う。
コンパレータ14hは、演算処理部14gから入力したフロント信号値と、フロント信号値に関する所定のセーフィング判定閾値である「閾値2」とを比較したうえで、フロント信号値が閾値2を超える場合にはセーフィング判定オン信号を、フロント信号値が閾値2以下である場合にはセーフィング判定オフ信号を、ANDゲート14iに対して出力する。
ANDゲート14iは、コンパレータ14cおよびコンパレータ14hのそれぞれから入力したセーフィング判定オン/オフ信号の論理積演算を行うことによって、コンパレータ14cおよびコンパレータ14hの双方からセーフィング判定オン信号が出力された場合にのみ、セーフィング判定オン信号をORゲート14kに対して出力する。また、それ以外の場合には、セーフィング判定オフ信号をORゲート14kに対して出力する。
ANDゲート14jは、コンパレータ14cおよび途絶検出部14fのそれぞれから入力したセーフィング判定オン/オフ信号の論理積演算を行うことによって、コンパレータ14cおよび途絶検出部14fの双方からセーフィング判定オン信号が出力された場合にのみ、セーフィング判定オン信号をORゲート14kに対して出力する。また、それ以外の場合には、セーフィング判定オフ信号をORゲート14kに対して出力する。
ORゲート14kは、論理和演算を行うことによって、ANDゲート14iあるいはANDゲート14jのいずれかからセーフィング判定オン信号が出力された場合に、セーフィング判定オン信号を点火回路14pに対して出力する。また、それ以外の場合には、セーフィング判定オフ信号を点火回路14pに対して出力する。
SPI14oは、SPI13oから入力した点火判定オン/オフ信号を、点火回路14pに対して出力するシリアルバスである。
点火回路14pは、ORゲート14kからセーフィング判定オン信号が、SPI14oから点火判定オン信号が、それぞれ入力した場合にのみ、スクイブへの点火を行う着火ユニットである。また、それ以外の場合には、点火回路14pは、スクイブへの点火を行わない。
なお、上述した「Hiマップ」、「Loマップ」、「フロント閾値」、「閾値1」および「閾値2」といった所定の閾値に関する情報は、検証実験などによって求められたうえで、メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイス(図示せず)へあらかじめ記憶される。
ここで、途絶検出部13fおよび14fが行う途絶検出処理について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、途絶検出部13fおよび14fにおける途絶検出処理を説明するための図である。なお、図3の(A)には、通信途絶が生じていない場合を、図3の(B)には、通信途絶が生じている場合を、それぞれ示している。
また、図3に示したように、途絶検出部13fおよび14fからの出力は、時間t1においてなされるものとする。
図3の(A)に示したように、途絶検出部13fおよび14fは、車両50の車体前部に配置されたフロントセンサ(右フロントセンサ121あるいは左フロントセンサ122)とエアバッグECU10との通信途絶が生じていないと判定した場合(図中の「○」印参照)、セーフィング判定をオンとしない。すなわち、セーフィング判定はオフのまま、入力したフロント信号を、時間t1において後段へと出力する。
また、図3の(B)に示したように、途絶検出部13fおよび14fは、フロントセンサとエアバッグECU10との通信途絶が生じていると判定した場合(図中の「×」印参照)、強制的にセーフィング判定を所定時間Tの間、一時的にオンとする。すなわち、セーフィング判定オン信号を、時間t1から所定時間Tの間だけ後段へと出力する。なお、かかる点は換言すれば、通信途絶時には、フロントセンサにおいて所定時間Tの間だけ所定以上の加速度が検出されているものとみなす、ともいえる。
つづいて、メイン点火判定部(図2参照)におけるフロア信号に関する閾値の選択動作について、図4を用いて説明しておく。図4は、メイン点火判定部における閾値の選択動作を説明するための図である。
なお、図4の(A)には、フロント信号値がフロント閾値を超えない場合を、図4の(B)には、フロント信号値がフロント閾値を超える場合を、それぞれ示している。
図4の(A)に示したように、フロント信号判定部13hにおいて、フロント信号値とフロント閾値とが比較され、フロント信号値がフロント閾値を超えないと判定された場合、フロア信号に関する閾値(以下、「フロア閾値」と記載する)としてHiマップが選択される。
すなわち、フロントセンサにおいて検知された加速度が小さい場合、フロア信号値の閾値を高位閾値とすることで、換言すれば、Loマップ判定部13dの動作を無効化することで、雑音成分などによるエアバッグの誤動作を防止することができる。
また、図4の(B)に示したように、フロント信号判定部13hにおいて、フロント信号値がフロント閾値を超えると判定された場合、フロア閾値としてLoマップが選択される。
すなわち、フロントセンサにおいて検知された加速度が大きい場合、フロア信号値の閾値を低位閾値とすることで、換言すれば、Loマップ判定部13dの動作を有効化することで、車両50がオフセット衝突などに基づく偏りのある衝撃を受けた場合であっても、確実にエアバッグを展開することが可能となる。
また、図4の(C)に示したように、途絶検出部13fにおいてフロント信号についての通信途絶が検出された場合、フロア閾値としてLoマップが選択される。すなわち、衝突によってフロントセンサや通信線などに故障が生じて通信途絶が発生した場合であっても、フロア信号値の閾値を低位閾値とすることで、フロア信号に基づいて確実にエアバックを展開し、乗員を保護することが可能となる。また、オフセット衝突のようなフロアセンサに信号が伝わりづらい衝突で通信途絶が発生した場合でも、エアバッグの展開が遅れることを防ぐことができる。
次に、実施例1に係るエアバッグECU10が実行する処理手順について図5を用いて説明する。図5は、実施例1に係るエアバッグECU10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図5に示したように、実施例1に係るエアバッグECU10においては、フロアセンサからのフロア信号が、マイコン13およびASIC14に対してそれぞれ入力される。また、フロントセンサからのフロント信号についても、マイコン13およびASIC14に対してそれぞれ入力される。
そして、マイコン13においては、入力されたフロア信号およびフロント信号に基づいてマイコン処理を行う(ステップS101)。なお、かかるステップS101のマイコン処理の内容については、図6を用いて後述する。
そして、マイコン13は、ステップS101のマイコン処理において判定された点火判定結果を、ASIC14に対して通知した後(ステップS102)、処理を終了する。
また、ASIC14においては、入力されたフロア信号およびフロント信号に基づいてASIC処理を行う(ステップS103)。なお、マイコン13によって通知された点火判定結果は、かかるASIC処理において取得される。かかるステップS103のASIC処理の内容については、図7を用いて後述する。
そして、ASIC14は、ステップS103のASIC処理を行った後、処理を終了する。
次に、図5のステップS101に示したマイコン処理の詳細な処理手順について、図6を用いて説明する。図6は、実施例1に係るエアバッグECU10におけるマイコン処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6に示したように、実施例1に係るエアバッグECU10におけるマイコン13は、フロアセンサからのフロア信号については(ステップS201,「フロア」)、ADC13aにおいてA/D変換を行う(ステップS202)。そして、演算処理部13bが、信号値演算、すなわち、フロア信号値の算出を行う(ステップS203)。また、フロア閾値については、既定値としてHiマップが選択される(ステップS204)。
また、フロントセンサからのフロント信号については(ステップS201,「フロント」)、途絶検出部13fが、通信途絶があるか否かを判定する(ステップS205)。ここで、通信途絶があると判定された場合(ステップS205,Yes)、フロア閾値については、Loマップが選択される(ステップS206)。
また、ステップS205の判定条件を満たさなかった場合(ステップS205,No)、演算処理部13gが、信号値演算、すなわち、フロント信号値の算出を行う(ステップS207)。
そして、フロント信号判定部13hが、フロント信号値がフロント閾値を超えるか否かを判定する(ステップS208)。ここで、フロント信号値がフロント閾値を超えると判定された場合(ステップS208,Yes)、フロア閾値についてLoマップが選択される(ステップS209)。また、ステップS208の判定条件を満たさなかった場合(ステップS208,No)、フロア閾値についてHiマップが選択される(ステップS210)。
そして、Hiマップ判定部13cあるいはLoマップ判定部13dが、フロア信号値がフロア閾値を超えるか否かを判定する(ステップS211)。ここで、フロア信号値がフロア閾値を超えると判定された場合(ステップS211,Yes)、実施例1に係るエアバッグECU10におけるマイコン13は、マイコン処理における点火判定をオン、すなわち、マイコン処理においては点火を可と判定したうえで(ステップS212)、処理を終了する。
なお、ステップS211の判定条件を満たさなかった場合(ステップS211,No)、マイコン処理における点火判定をオフ、すなわち、マイコン処理においては点火を不可と判定したうえで(ステップS213)、処理を終了する。
次に、図5のステップS103に示したASIC処理の詳細な処理手順について、図7を用いて説明する。図7は、実施例1に係るエアバッグECU10におけるASIC処理の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示したように、実施例1に係るエアバッグECU10におけるASIC14は、フロアセンサからのフロア信号については(ステップS301,「フロア」)、ADC14aにおいてA/D変換を行う(ステップS302)。そして、演算処理部14bが、信号値演算、すなわち、フロア信号値の算出を行う(ステップS303)。
そして、コンパレータ14cが、フロア信号値が閾値1を超えるか否かを判定する(ステップS304)。ここで、フロア信号値が閾値1を超えると判定された場合(ステップS304,Yes)、フロア信号に基づくセーフィング判定をオンとする(ステップS305)。また、ステップS304の判定条件を満たさなかった場合(ステップS304,No)、フロア信号に基づくセーフィング判定をオフとする(ステップS306)。
また、フロントセンサからのフロント信号については(ステップS301,「フロント」)、途絶検出部14fが、通信途絶があるか否かを判定する(ステップS307)。ここで、通信途絶があると判定された場合(ステップS307,Yes)、フロント信号に基づくセーフィング判定をオンとする(ステップS308)。
また、ステップS307の判定条件を満たさなかった場合(ステップS307,No)、演算処理部14gが、信号値演算、すなわち、フロント信号値の算出を行う(ステップS309)。
そして、コンパレータ14hが、フロント信号値が閾値2を超えるか否かを判定する(ステップS310)。ここで、フロント信号値が閾値2を超えると判定された場合(ステップS310,Yes)、フロント信号に基づくセーフィング判定をオンとする(ステップS311)。また、ステップS310の判定条件を満たさなかった場合(ステップS310,No)、フロント信号に基づくセーフィング判定をオフとする(ステップS312)。
そして、フロア信号およびフロント信号の双方においてセーフィング判定がオンであるか否かを判定する(ステップS313)。ここで、双方においてセーフィング判定がオンであると判定された場合(ステップS313,Yes)、点火回路14pは、マイコン13からの点火判定結果を取得する(ステップS314)。
そして、点火回路14pは、マイコン13からの点火判定結果において点火判定がオンであるか否かを判定する(ステップS315)。ここで、点火判定がオンであると判定された場合(ステップS315,Yes)、点火回路14pは、スクイブへの点火を行ったうえで(ステップS316)、処理を終了する。
なお、ステップS315の判定条件を満たさなかった場合(ステップS315,No)、点火回路14pは、スクイブへの点火を行うことなく(ステップS317)、処理を終了する。
また、ステップS313の判定条件を満たさなかった場合についても(ステップS313,No)、スクイブへの点火を行うことなく(ステップS318)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例1では、フロア信号およびフロント信号の双方に基づき、マイコンがメイン点火判定を、ASICがセーフィング判定を、それぞれ行うこととしたうえで、マイコンにおいては点火判定オンと、ASICにおいてはセーフィング判定オンと、それぞれ判定された場合にのみ、点火回路が、スクイブへの点火を行うようにエアバッグECUを構成した。
また、途絶検出部が、フロント信号に関する通信途絶を検出した場合には、フロント信号に基づく点火判定を一時的に強制的にオンとするようにエアバッグECUを構成した。したがって、衝突によってフロントセンサや通信線に故障が生じて通信途絶が発生したような場合であっても、フロアセンサからの信号に基づいて確実にエアバックを展開して乗員を保護することが可能となる。また、オフセット衝突のようなフロアセンサに信号が伝わりづらい衝突で通信途絶が発生した場合でも、フロア信号値の閾値を低位閾値とすることで、エアバッグの展開が遅れることを防ぐことができる。
ところで、上述した実施例1では、フロア信号およびフロント信号の双方に基づき、マイコン13においてメイン点火判定を、ASIC14においてセーフィング判定を、それぞれ行う場合について説明した。しかし、フロント信号の通信途絶に関する処理をマイコン13に特化させることで、ASIC14においてはフロア信号のみに基づくセーフィング判定を行うこととしてもよい。そこで、以下に示す実施例2では、かかる場合について説明することとする。
本実施例2では、フロント信号の通信途絶に関する処理をマイコン13に特化させることで、ASIC14においてはフロア信号のみに基づくセーフィング判定を行う場合について説明する。図8は、実施例2に係るエアバッグECU10aの構成を示すブロック図である。なお、図8では、図2に示した実施例1に係るエアバッグECU10と同一の構成要素には同一の符号を付しており、以下では、上述した実施例1と重複する構成要素についての説明は省略するか簡単な説明にとどめることとする。
図8に示したように、実施例2に係るエアバッグECU10aは、マイコン13に、演算処理部13lと、第2セーフィング判定部として機能するコンパレータ14hと、ORゲート13mと、ANDゲート13nとをさらに備える点で、上述した実施例1に係るエアバッグECU10とは異なる。
また、図8に示したように、実施例2に係るエアバッグECU10aは、ASIC14に、フロア信号に基づく処理を行う、ADC14aと、演算処理部14bと、第1セーフィング判定部として機能するコンパレータ14cと、SPI14oと、点火回路14pとを備え、フロント信号に基づく処理を行う各処理部を備えない点で、上述した実施例1に係るエアバッグECU10とは異なる。
まず、実施例2に係るエアバッグECU10aのマイコン13について説明する。途絶検出部13fは、SPI13eから入力するフロント信号について通信途絶が生じていないか否かを判定する処理を行う処理部である。
また、途絶検出部13fは、通信途絶が生じていないと判定した場合には、入力したフロント信号を演算処理部13gおよび演算処理部13lに対して出力する。また、途絶検出部13fは、通信途絶が生じていると判定した場合には、セーフィング判定オン信号を、ANDゲート13jおよびORゲート13mに対して出力する。
演算処理部13lは、途絶検出部13fから入力したフロント信号に基づくフロント信号値を算出する処理を行う処理部である。また、演算処理部13lは、算出したフロント信号値を、コンパレータ14hに対して出力する処理を併せて行う。
第2セーフィング判定部として機能するコンパレータ14hは、演算処理部13lから入力したフロント信号値と、フロント信号値に関する所定のセーフィング判定閾値である「閾値2」とを比較する。そして、フロント信号値が閾値2を超える場合にはセーフィング判定オン信号を、フロント信号値が閾値2以下である場合にはセーフィング判定オフ信号を、ORゲート13mに対して出力する。
ORゲート13mは、論理和演算を行うことによって、コンパレータ14hあるいは途絶検出部13fのいずれかからセーフィング判定オン信号が出力された場合に、セーフィング判定オン信号をANDゲート13nに対して出力する。また、それ以外の場合には、セーフィング判定オフ信号をANDゲート13nに対して出力する。
ANDゲート13nは、ORゲート13kから入力した点火判定オン/オフ信号のオン/オフと、ORゲート13mから入力したセーフィング判定オン/オフ信号のオン/オフとの論理積演算を行うことによって、ORゲート13kから点火判定オン信号が、ORゲート13mからセーフィング判定オン信号が出力された場合にのみ、マイコン13における点火判定オン信号をSPI13oに対して出力する。また、それ以外の場合には、点火判定オフ信号をSPI13oに対して出力する。
つづいて、実施例2に係るエアバッグECU10aのASIC14について説明する。第1セーフィング判定部として機能するコンパレータ14cは、演算処理部14bから入力したフロア信号値と、フロア信号値に関する所定のセーフィング判定閾値である「閾値1」とを比較する。そして、フロア信号値が閾値1を超える場合にはセーフィング判定オン信号を、フロア信号値が閾値1以下である場合にはセーフィング判定オフ信号を、点火回路14pに対して出力する。
点火回路14pは、コンパレータ14cからセーフィング判定オン信号が、SPI14oから点火判定オン信号が、それぞれ入力した場合にのみ、スクイブへの点火を行う着火ユニットである。また、それ以外の場合には、点火回路14pは、スクイブへの点火を行わない。
なお、換言すれば、点火回路14pは、メイン点火判定部、第1セーフィング判定部および第2セーフィング判定部のいずれにおいてもエアバッグを起動すると判定された場合にのみ、エアバッグの起動を指示する起動制御ユニットであるともいうことができる。
このように、実施例2に係るエアバッグECU10aにおいては、フロント信号の通信途絶に関する処理をマイコン13に特化させることとしたうえで、ASIC14においてはフロア信号のみに基づくセーフィング判定を行うこととした。
したがって、実施例1に係るエアバッグECU10と比較して、ASIC14の構造を簡素化することができるので、低コスト化を図ることができるというメリットを有する。また、マイコン13についても、フロント信号の通信途絶に関する処理部(たとえば、途絶検出部13f)を、メイン点火判定部と第2セーフィング判定部とで共用化することができるので、やはりASIC14の構造を簡素化することで低コスト化を図ることができる。
次に、実施例2に係るエアバッグECU10aが実行する処理手順について図9を用いて説明する。図9は、実施例2に係るエアバッグECU10aが実行する処理手順を示すフローチャートである。
図9に示したように、実施例2に係るエアバッグECU10aにおいては、フロアセンサからのフロア信号が、マイコン13およびASIC14に対してそれぞれ入力される。また、フロントセンサからのフロント信号については、マイコン13に対してのみ入力される。
そして、マイコン13においては、入力されたフロア信号およびフロント信号に基づいてマイコン処理を行う(ステップS401)。なお、かかるステップS401のマイコン処理の内容については、図10を用いて後述する。
そして、マイコン13は、ステップS401のマイコン処理において判定された点火判定結果を、ASIC14に対して通知した後(ステップS402)、処理を終了する。
また、ASIC14においては、入力されたフロア信号に基づいてASIC処理を行う(ステップS403)。なお、マイコン13によって通知された点火判定結果は、かかるASIC処理において取得される。かかるステップS403のASIC処理の内容については、図12を用いて後述する。
そして、ASIC14は、ステップS403のASIC処理を行った後、処理を終了する。
次に、図9のステップS401に示したマイコン処理の詳細な処理手順について、図10を用いて説明する。図10は、実施例2に係るエアバッグECU10aにおけるマイコン処理の処理手順を示すフローチャートである。
図10に示したように、実施例2に係るエアバッグECU10aにおけるマイコン13は、フロアセンサからのフロア信号については(ステップS501,「フロア」)、ADC13aにおいてA/D変換を行う(ステップS502)。そして、演算処理部13bが、信号値演算、すなわち、フロア信号値の算出を行う(ステップS503)。また、フロア閾値については、既定値としてHiマップが選択される(ステップS504)。
また、フロントセンサからのフロント信号については(ステップS501,「フロント」)、メイン点火判定系とセーフィング判定系との2系統に分岐する。まず、メイン点火判定系については、途絶検出部13fが、通信途絶があるか否かを判定する(ステップS505)。
ここで、通信途絶があると判定された場合(ステップS505,Yes)、フロア閾値については、Loマップが選択される(ステップS506)。また、ステップS505の判定条件を満たさなかった場合(ステップS505,No)、演算処理部13gが、信号値演算、すなわち、フロント信号値の算出を行う(ステップS507)。
そして、フロント信号判定部13hが、フロント信号値がフロント閾値を超えるか否かを判定する(ステップS508)。ここで、フロント信号値がフロント閾値を超えると判定された場合(ステップS508,Yes)、フロア閾値についてLoマップが選択される(ステップS509)。また、ステップS508の判定条件を満たさなかった場合(ステップS508,No)、フロア閾値についてHiマップが選択される(ステップS510)。
一方、セーフィング判定系については、フロント信号に基づく第2セーフィング判定処理を行ったうえで(ステップS511)、判定結果をステップS513へ受け渡す(図中の丸印で囲まれた「1」参照)。なお、かかるステップS511の第2セーフィング判定処理の内容については、図11を用いて後述する。
つづいて、Hiマップ判定部13cあるいはLoマップ判定部13dが、フロア信号値がフロア閾値を超えるか否かを判定する(ステップS512)。ここで、フロア信号値がフロア閾値を超えると判定された場合(ステップS512,Yes)、ステップS511の第2セーフィング判定処理の判定結果について、セーフィング判定がオンであるか否かを判定する(ステップS513)。
ここで、セーフィング判定がオンであると判定された場合(ステップS513,Yes)、実施例2に係るエアバッグECU10aにおけるマイコン13は、マイコン処理における点火判定をオン、すなわち、マイコン処理においては点火を可と判定したうえで(ステップS514)、処理を終了する。
なお、ステップS512の判定条件を満たさなかった場合(ステップS512,No)、あるいは、ステップS513の判定条件を満たさなかった場合(ステップS513,No)、マイコン処理における点火判定をオフ、すなわち、マイコン処理においては点火を不可と判定したうえで(ステップS515)、処理を終了する。
次に、図10のステップS511に示した第2セーフィング判定処理の詳細な処理手順について、図11を用いて説明する。図11は、実施例2に係るエアバッグECU10aにおけるマイコン処理の第2セーフィング判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、説明を分かりやすくするために、図11のステップS601には、フロントセンサからのフロント信号について、通信途絶があるか否かを判定するステップを示しているが、本ステップは、上述した図10のステップS505と同一のステップであるとみなしてもよい。
図11に示したように、実施例2に係るエアバッグECU10aにおけるマイコン13は、フロントセンサからのフロント信号について、途絶検出部13fが、通信途絶があるか否かを判定する(ステップS601)。ここで、通信途絶があると判定された場合(ステップS601,Yes)、フロント信号に基づくセーフィング判定をオンとしたうえで(ステップS602)、処理を終了する。
また、ステップS601の判定条件を満たさなかった場合(ステップS601,No)、演算処理部13lが、信号値演算、すなわち、フロント信号値の算出を行う(ステップS603)。
そして、第2セーフィング判定部として機能するコンパレータ14hが、フロント信号値が閾値2を超えるか否かを判定する(ステップS604)。ここで、フロント信号値が閾値2を超えると判定された場合(ステップS604,Yes)、フロント信号に基づくセーフィング判定をオンとしたうえで(ステップS605)、処理を終了する。
また、ステップS604の判定条件を満たさなかった場合(ステップS604,No)、フロント信号に基づくセーフィング判定をオフとしたうえで(ステップS606)、処理を終了する。
次に、図9のステップS403に示したASIC処理の詳細な処理手順について、図12を用いて説明する。図12は、実施例2に係るエアバッグECU10aにおけるASIC処理の処理手順を示すフローチャートである。
図12に示したように、実施例2に係るエアバッグECU10aにおけるASIC14は、フロアセンサからのフロア信号について、ADC14aにおいてA/D変換を行う(ステップS701)。そして、演算処理部14bが、信号値演算、すなわち、フロア信号値の算出を行う(ステップS702)。
そして、第1セーフィング判定部として機能するコンパレータ14cが、フロア信号値が閾値1を超えるか否かを判定する(ステップS703)。ここで、フロア信号値が閾値1を超えると判定された場合(ステップS703,Yes)、点火回路14pは、マイコン13からの点火判定結果を取得する(ステップS704)。
そして、点火回路14pは、マイコン13からの点火判定結果において点火判定がオンであるか否かを判定する(ステップS705)。ここで、点火判定がオンであると判定された場合(ステップS705,Yes)、点火回路14pは、スクイブへの点火を行ったうえで(ステップS706)、処理を終了する。
なお、ステップS705の判定条件を満たさなかった場合(ステップS705,No)、点火回路14pは、スクイブへの点火を行うことなく(ステップS707)、処理を終了する。
また、ステップS703の判定条件を満たさなかった場合についても(ステップS703,No)、スクイブへの点火を行うことなく(ステップS708)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例2では、マイコンが、フロア信号およびフロント信号の双方に基づいてメイン点火判定を、フロント信号に基づいてセーフィング判定における第2のセーフィング判定を、それぞれ行い、ASICが、フロア信号に基づいてセーフィング判定における第1のセーフィング判定を行うこととしたうえで、マイコンにおいては点火判定オンと、ASICにおいてはセーフィング判定オンと、それぞれ判定された場合にのみ、点火回路が、スクイブへの点火を行うようにエアバッグECUを構成した。したがって、低コストで、かつ、精度よく、エアバッグの誤動作を防止することができる。
なお、上述した実施例2では、第1セーフィング判定部をASIC14に、第2セーフィング判定部をマイコン13に、それぞれ設けた場合を例に挙げて説明したが(図8参照)、構成例を限定するものではなく、たとえば、第1セーフィング判定部をマイコン13に、第2セーフィング判定部をASIC14に、それぞれ設けることとしてもよい。
また、上述した実施例1および実施例2では、サテライトセンサが、車両の車体前部に配置されている場合について主に説明したが、車体側部あるいは車体後部など、車両の他の箇所へ配置されている場合についても本発明を適用することができる。
また、上述した実施例1および実施例2では、乗員保護装置が、エアバッグである場合について主に説明したが、エアバッグと同様に、車両の衝突検知時に起動するプリテンショナーなどの乗員保護装置の乗員保護制御装置について本発明を適用することとしてもよい。