JP5635685B2 - ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
(1−1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。尚、「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定するCRC(無加圧下吸水倍率)が5[g/g]以上であることをいい、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定するExt(水可溶分)が0〜50重量%であることをいう。
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、任意にグラフト成分を含み、繰り返し単位として、アクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を主成分とする重合体を意味する。
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Assoiations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定方法(EDANA Recommended Test Metods)の略称である。尚、本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称することもある)を意味する。具体的には、不織布袋中の吸水性樹脂0.200gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、30分間自由膨潤させた後、更に遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位;[g/g])である。
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.900gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、2.06kPa(0.3psi,21[g/cm2])の荷重下で1時間膨潤させた後の吸水倍率(単位;[g/g])である。尚、ERT442.2−02では、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的にはAAPと同一内容である。又、荷重条件を4.83kPa(0.7psi,50[g/cm2])に変更して測定することもある。
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.000gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量をpH滴定で測定した値(単位;重量%)である。溶解ポリマー量の測定はpH滴定で行う。
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される吸水性樹脂の粒度分布を意味する。又、吸水性樹脂の重量平均粒子径(D50)及び粒子径分布幅は欧州特許第0349240号明細書7頁25〜43行に記載された「(1) Average Particle Diameter and Distribution of Particle Diameter」と同様の方法で測定する(詳細な測定条件等は、国際公開第2004/069915やERT420.2−02を適宜参照)。尚、粒子状の含水ゲル状架橋重合体の粒子径を測定する場合には、特開2000−063527号公報に開示された方法に準じて測定する。
「Moisture Content」は、吸水性樹脂に含まれる水分又は揮発成分を意味し、含水率と称する。具体的には、吸水性樹脂1gを105℃で3時間乾燥した際の乾燥減量から算出した値(単位;重量%)である。尚、本発明では乾燥温度を180℃に変更し、1サンプルに付き5回測定しその平均値を採用した。又、含水ゲル状架橋重合体の含水率は、試料を3g、乾燥時間を16時間に変更して測定を行った。又、{100−含水率(重量%)}で算出される値を、本発明では「樹脂固形分」とし、吸水性樹脂及び含水ゲル状架橋重合体の双方に適用する。
本発明における「通液性」とは、荷重下又は無荷重下での膨潤ゲルの粒子間を通過する液の流れ性のことをいい、代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity/生理食塩水流れ誘導性)や、GBP(Gel Bed Permeability/ゲル床透過性)がある。
本明細書において、「トラバース・コンベア」とは、図1〜図4を一例とする後述の(2−3)ゲル移送工程で説明する粒子状含水ゲルの運搬機器を指し、回転ベルトが左右に所定角度の回転機能を有するベルトコンベアから構成される装置である。尚、本明細書では装置全体を指す場合は「トラバース・コンベア」と表記し、ベルトコンベアを指す場合は、単に「ベルト」と表記する。尚、左右に運動するベルトは実質水平であるが、後述する所定の傾斜を有していてもよい。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。又、重量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。又、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。更に、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。さらに、物性等の測定に関しては特に断りがない場合は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%で測定する。
(2−1)重合工程
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分とする水溶液を重合して、含水ゲルを得る工程である。
本発明で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、その原料(単量体)として、アクリル酸(塩)を主成分として使用し、通常、水溶液状態で重合される。また、本発明においてアクリル酸(塩)を主成分として使用する場合、アクリル酸(塩)以外の親水性または疎水性の不飽和単量体(以下、「他の単量体」と称することもある)を使用することもできる。このような他の単量体としては、重合により吸水性樹脂となるものであれば特に限定されないが、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性不飽和単量体;これらの酸基含有単量体のエステル化物(例えば、(メトキシ)ポリエチレングリコールアクリレート);メルカプト基含有不飽和単量体;フェノール性水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体等が挙げられる。これら他の単量体を使用する場合、その使用量は、得られる吸水性樹脂の吸水特性を損なわない程度であれば、特に限定されないが、全単量体の重量に対して、50重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。なお、必要に応じて使用する上記他の単量体を使用する場合、その使用量の下限は、その種類や目的、効果に応じて適宜決定され特に制限されない。なお、以下では、アクリル酸(塩)及び他の単量体を一括して、「アクリル酸(塩)系単量体」とも称する。
本発明で使用される単量体水溶液には、重合禁止剤が含まれている。当該重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、国際公開第2008/096713号に開示されるN−オキシル化合物、マンガン化合物、置換フェノール化合物等が挙げられる。中でも置換フェノール化合物が好ましく、メトキシフェノール類が特に好ましい。当該メトキシフェノール類として、具体的には、o,m,p−メトキシフェノールや、メチル基、t−ブチル基、水酸基の1又は2以上の置換基を有するメトキシフェノール類等が挙げられるが、本発明の課題をより解決するためにも、本発明においてはp−メトキシフェノールが特に好ましい。上記重合禁止剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
本発明で使用されるアクリル酸(塩)系単量体には、本発明の課題をより解決するためにも、更に鉄分を含み得る。当該鉄分は、単量体水溶液中でイオンの形態で存在するが、その含有量は、アクリル酸(塩)系単量体の総重量(固形分)に対してFe2O3換算で0〜10ppmが好ましく、以下順に0〜5ppm、0を超えて5ppm以下、0.001〜5ppm、0.001〜4ppmが好ましく、0.005〜3ppmが最も好ましい。上記鉄分含有量がFe2O3換算で10ppm以下の場合、得られる吸水性樹脂の着色を防ぐことができ、又、一般的には鉄分含有量が少ない方が好ましいが、N.D(検出限界以下)としてもコストに見合った効果が得られなかったり、レドックス重合等で重合速度が遅くなったりする虞がある。
本発明において、単量体水溶液は、内部架橋剤を含む。これにより、得られる吸水性樹脂の吸水性能が向上できる。当該内部架橋剤としては特に限定されないが、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等の熱分解骨格又は(ポリ)エチレングリコール骨格を有する内部架橋剤を挙げることができる。これらのうち、上記熱分解骨格又は(ポリ)エチレングリコール骨格を有する内部架橋剤が好ましく使用される。これらの内部架橋剤は反応性を考慮して1種又は2種以上を併用することができ、中でも2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を使用することが好ましい。尚、内部架橋剤は、反応系に一括添加でも分割添加でもよい。
本発明において、得られる吸水性樹脂の吸水性能(特に吸水速度の向上)の観点から、界面活性剤を使用してもよい。当該界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、国際公開第97/017397号、米国特許第6107358号等に開示された界面活性剤を例示することができ、具体的には、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、アクリル酸(塩)系単量体や吸水性樹脂と、反応性又は重合性を有するものであってもよい。界面活性剤の使用量は、特に制限されないが、アクリル酸(塩)系単量体に対して、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0.001〜20重量%程度である。
本発明において、単量体水溶液は、キレート剤を含んでもよい。これにより、吸水性樹脂の、色安定性(ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を、高温高湿条件下で、長期間保存する場合の色安定性)の向上や耐尿性(ゲル劣化防止)が向上できる。当該キレート剤は、重合後の含水ゲルや乾燥後の吸水性樹脂粉末に添加することができるが、好ましくは単量体水溶液に添加してもよい。なお、特開2012−031292号公報の段落〔0090〕〜〔0096〕に開示される各種のキレート剤が、本発明にも好ましく適用される。
本発明において使用される重合開始剤は、重合形態によって適宜選択され、特に限定されないが、例えば、光分解型重合開始剤、熱分解型重合開始剤、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、適用される重合方法は、噴霧重合、液滴重合、バルク重合、沈殿重合、水溶液重合又は逆相懸濁重合等を挙げることができるが、本発明の課題解決には、単量体を水溶液とする水溶液重合が好ましい。
本工程は、上述した重合中又は重合後(又は重合後の貯蔵後)の含水ゲルを細分化して、粒子状含水ゲルを得る工程である。尚、下記(2−5)粉砕工程、分級工程での「粉砕」と区別して、本工程での操作を「ゲル粉砕」という。
本発明において、ゲル粉砕された粒子状含水ゲルは必要により貯蔵され、トラバース・コンベア(ゲル移送工程)を用いて通気ベルト型連続乾燥機(乾燥工程)に供給されるが、乾燥工程に供給される前の粒子状含水ゲルの温度として、50℃以上が好ましく、50〜120℃がより好ましく、50〜100℃が更に好ましく、60〜100℃が特に好ましい。尚、当該粒子状含水ゲルの温度は以下の方法により制御することができる。なお、ゲル粉砕後の粒子状含水ゲルを貯蔵する場合、重合を促進させるために上記温度範囲に加熱または保温することが好ましく、更に減圧下または不活性ガス気流下で貯蔵することが好ましい。また、当該貯蔵はホッパー等を用いて適宜行われるが、その貯蔵時間としては0.5分〜3時間程度で適宜選択されるが、貯蔵を行わずに重合機やゲル粉砕機とトラバース・コンベア(ゲル移送工程)、乾燥工程とを連結してもよい。
含水ゲルの移送性向上及び乾燥後の物性向上の観点から、粒子状含水ゲルの水可溶分(以下、「ゲルExt」と称することもある)は10重量%以下であり、以下順に7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、3重量%以下が好ましく、特に2重量%以下が好ましい。上記含水ゲルの水可溶分が10重量%を超える場合、含水ゲルの粘着性が増大し、移送性の低下等を招くため好ましくない。尚、含水ゲルの水可溶分は、重合時の架橋剤量等で適宜調整することができる。
本工程は、上記ゲル粉砕工程(ゲル粉砕後の任意の貯蔵工程を含む)で得られた粒子状含水ゲル状架橋重合体(粒子状含水ゲル)を、次工程の乾燥工程で用いる通気ベルト型連続乾燥機に供給するために、粒子状含水ゲルを移送する工程である。
本発明において、トラバース・コンベアのベルト温度を所定範囲内に制御するが、かような温度制御や異物混入の防止、作業環境の改善、吸水性樹脂の着色や物性等の観点から、トラバース・コンベア本体が実質的に覆われた状態で乾燥機(好ましくは通気ベルト型連続乾燥機)と連結されてなることが好ましい。すなわち、本発明は、トラバース・コンベアおよび通気ベルト型連続乾燥機を有する吸水性樹脂の製造装置であって、前記トラバース・コンベアの本体は、実質的に覆われた状態で、通気ベルト型連続乾燥機と連結されている、吸水性樹脂の製造装置をも提供する。また、トラバース・コンベア本体の粒子状含水ゲルの投入口(入口側)が重合機やゲル粉砕機と配管等で連結され、更に、覆い(カバー)で覆われて非開放系(含水ゲルにとってクローズド・システム)であることが好ましい。より好ましくは、吸水性樹脂の重合機またはゲル粉砕機が、貯蔵槽を介して、トラバース・コンベア本体と非開放系で連結されてなる。
本発明のトラバース・コンベアのベルト速度は、特に制限されないが、0.1〜10.0[m/s]が好ましく、0.1〜5.0[m/s]がより好ましく、0.1〜2.0[m/s]が更に好ましく、0.1〜1.5[m/s]が特に好ましく、0.1〜1.0[m/s]が最も好ましい。上記ベルト速度が10.0[m/s]を超える場合、粒子状含水ゲルの飛散による乾燥効率の低下を招く虞があり、又、上記ベルト速度が0.1[m/s]未満の場合、乾燥工程において、粒子状含水ゲルの熱劣化や吸水性樹脂の性能低下を招く虞があるため、好ましくない。
本発明のトラバース・コンベアのベルト傾斜角は、特に制限されないが、水平方向を0°として、±10°未満が好ましく、±5°未満がより好ましく、±1°未満が更に好ましい。尚、ベルト傾斜角の下限値としては0°(実質水平)である。トラバース・コンベアのベルト傾斜角を上記範囲内とすることで、生産性及び乾燥効率が高くなる。
本発明のトラバース・コンベアにおける最大トラバース角は、トラバース・コンベアの有効長と乾燥機(好ましくは、通気ベルト型連続乾燥機)ベルトの有効幅によって決定されるが、制御容易性の観点から、10〜60°が好ましく、15〜45°がより好ましい。当該最大トラバース角が10°未満の場合、乾燥ベルトの両端付近に粒子状含水ゲルを散布するには、トラバース・コンベアが長くなる場合があり好ましくない。一方、最大トラバース角が60°を超える場合、乾燥ベルトの両端に散布されるゲル層の高さが高くなる場合があり好ましくない。なお、最大トラバース角が10°とは、乾燥機ベルトの進行方向に対するトラバース・コンベアの向きが−10〜+10°の範囲内で周回運動することをいう。
本発明のトラバース・コンベアのベルト幅は、重合機の性能(生産能力)に依存するが、含水ゲルの生産量、ベルトの蛇行防止、吸水性樹脂の性能等の観点から、0.1〜1mが好ましく、0.1〜0.8mがより好ましく、0.1〜0.7mがさらにより好ましく、0.1〜0.5mが特に好ましい。また、ベルト厚みとしては、上述した観点から、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmの範囲内で適宜設計することができる。また、ベルト表面には、必要に応じて、突起やパターン(例えば、十字や菱型等)も有してもよく、更に形状として平面ベルトでもよく、湾曲したトラフ(特に断面の両端が上向きに湾曲)を有してもよく、両端に堰を有してもよいが、好ましくは平面ベルトが使用される。なお、ベルト表面の色については、特に限定されず、白色、青色、黒色等、適宜選択できる。
本発明のトラバース・コンベアのベルト材質(表面材質)は、特に制限されないが、水に対する接触角が60°以上であり、かつ、熱変形温度が20℃以上であることが好ましく、上記性質を有していれば、当該ベルトは単体であっても複合体であってもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイソブチレン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、天然又は合成ゴム等の樹脂等から選ばれる1種であればよい。中でも、トラバース・コンベアのベルト表面材質が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びシリコン樹脂が好ましく、シリコン樹脂やハロゲン化ポリオレフィン樹脂がより好ましく、シリコン樹脂やフッ素化ポリオレフィン等のフッ素化樹脂が特に好ましい。
本発明のトラバース・コンベアのベルト表面粗さ(Rz)(JIS B 0601−2001)は、特に制限されないが、800nm以下が好ましく、以下順に、500nm以下、300nm以下、200nm以下、185nm以下が好ましく、170nm以下が最も好ましい。尚、表面粗さ(Rz)の下限値は特に限定されないが、10nm以上、更には20nm以上である。又、ベルト表面粗さ(Ra)(JIS B 0601−2001)は250nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。これらの表面粗さは、触針式表面粗さ測定器を用いてJIS B 0651−2001に準拠して測定することができる。表面粗さを制御する手段として、例えば、ステンレス鋼をバフ研磨、電解研磨等を利用することができる。当該トラバース・コンベアのベルトは、種々の材料から構成されるが、良好な引っ張り強度や可撓性、反復曲げ応力下での良好な疲れ強さが求められ、ステンレス鋼が好ましい。
本発明において、トラバース・コンベアは、粒子状含水ゲルと同じ温度又は低い温度で制御される。粒子状含水ゲルよりも高い温度の場合、トラバース・コンベアのベルトへのゲル付着が増加する場合がある。
本発明において、トラバース・コンベアのベルト上に積載される粒子状含水ゲルのゲル層高は、ベルトの進行方向の断面平均高さ(ゲル層高)として、好ましくは3〜30cm、より好ましくは5〜30cm、更に好ましくは5〜20cm、特に好ましくは6〜15cm、最も好ましくは7〜12cmに制御される。ここで断面平均高さはゲル層高の最大高さ(通常は中央付近)を含んで、ゲル層断面の両端間(通常は高さ0cm)の断面高さを平均して規定できる。
本発明の課題を解決するために、トラバース・コンベアのベルト上における粒子状含水ゲルの幅方向の面積占有率は、ベルト幅に対して10〜96%が好ましく、10〜95%がより好ましく、10〜90%がさらにより好ましく、50〜90%が特に好ましい。上記面積占有率が96%を超える場合、トラバース・コンベアから粒子状含水ゲルのこぼれが生じ、一方、10%未満の場合、トラバース・コンベア本体が無駄に大きくなるため、好ましくない。なお、本明細書において、「トラバース・コンベアのベルト上における粒子状含水ゲルの幅方向の面積占有率」は、下記方法によって測定される値を意味する。
トラバース・コンベアのベルト上における粒子状含水ゲルの面積占有率は、ベルト上に含水ゲルの積載が完了した地点から乾燥機に粒子状含水ゲルを投入するまでの面積を含水ゲルの占有面積として、この占有面積を含水ゲルを積載したベルトの全面積で除した割合(%)である。すなわち、当該ベルトの面積(含水ゲルを積載したベルトの全面積)を(A)、この面積に積載される含水ゲルの占有面積を(B)とした場合、式:(B/A)×100(%)で表される値を面積占有率という。
本発明において、トラバース・コンベアのベルト上に積載される粒子状含水ゲルの嵩比重は、0.8[g/cm3]未満が好ましく、下限値としては0.4[g/cm3]以上である。当該嵩比重は、上記ベルト上に積載された粒子状含水ゲルの重量と、レーザー式距離計やレーザー式変位センサー、超音波式距離計等の走査による粒子状含水ゲルのゲル層高、ベルト幅から算出される体積から求められる。
トラバース・コンベアを用いて粒子状含水ゲルを乾燥機に供給することについては、非特許文献1のFig.3.6や特許文献5のFig.2及びFig.3に示され、更に、特許文献1、10〜12、14、15でも示されている。中でも特許文献11では、ベルト速度を0.4[m/s]とするゲル付着防止技術を開示する。
乾燥後の吸水性樹脂の着色防止や残存モノマー低減の観点から、ゲル粉砕後、乾燥機に供給されるまでの大気との接触時間は短い方が好ましい。即ち、ゲル粉砕工程から乾燥工程に供給されるまでの大気との接触時間は180秒以内が好ましく、120秒以内がより好ましく、60秒以内が更に好ましく、30秒以内が特に好ましい。又、下限についてはトラバース・コンベアの回転速度[m/s]や長さ[m]で決定されるが、1秒以上が好ましく、5秒以上がより好ましく、7秒以上が更に好ましい。当該接触時間が長いと、乾燥後に着色が見られる虞があるため、好ましくない。
本工程は、上記ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを、上述したゲル移送工程を経て乾燥し、乾燥重合体を得る工程である。ここで、乾燥される粒子状含水ゲルの含水率は(粒子状含水ゲル状架橋重合体の含水率が乾燥前で)、ゲル粉砕工程で記載した範囲であり、実質的に含水率は変化しない。
本発明の乾燥工程において、上記通気ベルト型連続乾燥機での乾燥(熱風)温度は110〜230℃が好ましく、150〜230℃がより好ましく、160℃〜200℃が更に好ましく、165〜195℃が特に好ましい。当該乾燥(熱風)温度を110〜230℃とすることで、乾燥時間の短縮が図れ、吸水性樹脂の着色を低減することができるため、好ましい。なお、上記乾燥温度は、上記範囲内で一定温度であってもよいし、乾燥状況に応じて適宜変化させてもよい。
本発明の乾燥工程において、上記通気ベルト型連続乾燥機で用いられる熱風は、少なくとも水蒸気を含有し、かつ露点が好ましくは30〜100℃、より好ましくは30〜80℃であることが好ましい。熱風の露点を上記範囲に制御することで残存モノマーを低減することができ、更に、乾燥重合体の嵩比重の低下を防止することができる。尚、上記露点は、粒子状含水ゲルの含水率が少なくとも10重量%以上、好ましくは20重量%以上の時点での値とする。
本発明の乾燥工程において、上記通気ベルト型連続乾燥機での熱風の風速は、0.8〜3.0[m/s]が好ましく、0.8〜2.5[m/s]がより好ましく、1.0〜2.0[m/s]が更に好ましい。上記風速を上記範囲内とすることで、得られる乾燥重合体の含水率を所望する範囲に制御でき、その結果として得られる吸水性樹脂の吸水速度が向上する。なお、上記熱風の風速は、上記範囲内で一定であってもよいし、乾燥状況に応じて適宜変化させてもよい。
本発明の乾燥工程において、上記通気ベルト型連続乾燥機での乾燥時間は、粒子状含水ゲルの表面積及び乾燥機の仕様等に依存し、所望する含水率となるように適宜設定すればよいが、好ましくは10〜120分間、より好ましくは20〜60分間である。
上記ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルの嵩比重は、その後のゲル移送工程で若干変化し、当該乾燥工程で通気ベルトに積載される未乾燥状態の粒子状含水ゲルの嵩比重は、好ましくは0.7[g/cm3]未満、より好ましくは0.6[g/cm3]未満、更に好ましくは0.55[g/cm3]未満であり、下限値として好ましくは0.35[g/cm3]以上である。
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体(含水ゲル等の乾燥物)を必要により粉砕(粉砕工程)し、更に分級(分級工程)によって粒度を制御し、吸水性樹脂粉末を得る工程である。
本工程は、上記粉砕工程、分級工程で得られた吸水性樹脂粉末を表面架橋し、得られる吸水性樹脂の通液性(SFC)や加圧下吸水倍率(AAP)を向上させる工程である。上記「表面架橋」とは、吸水性樹脂粉末の表面又は表面近傍を架橋することをいい、又、「表面又は表面近傍」とは、通常、厚さが数十μm以下の表層部分又は全体の厚さの1/10以下の表層部分を意味するが、これらの厚さは目的に応じて適宜決定される。
本発明で使用される共有結合性表面架橋剤としては、特に限定されず、種々の有機又は無機の表面架橋剤を例示することができるが、中でも有機表面架橋剤が好ましい。当該有機表面架橋剤としては、例えば、モノ,ジ,トリ又はテトラ−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;多価アミン化合物又はそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物;(モノ,ジ又はポリ)オキサゾリジノン化合物;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート化合物;オキセタン化合物;2−イミダゾリジノン等の環状尿素化合物等が挙げられる。中でも高温での反応が必要な、多価アルコール化合物、アルキレンカーボネート化合物、オキサゾリジノン化合物からなる脱水エステル化反応性表面架橋剤が特に好ましい。これらの有機表面架橋剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。更に、複数の多価アルコール化合物、または多価アルコールと他の脱水反応性表面架橋剤の併用が好ましく、特に1:9〜9:1、更には2:8〜8:2の重量比で併用されることにより、より高物性の吸水性樹脂が得られる。
本発明において、表面架橋剤の使用量は特に限定されないが、吸水性樹脂粉末100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。尚、表面架橋剤を2種以上使用する場合には、上記表面架橋剤の使用量は合計量を意味する。共有結合性表面架橋剤とイオン結合性表面架橋剤を併用する場合でも、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、それぞれ好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部で併用される。又、表面架橋剤に合わせて好ましくは水が使用される。このときの水の使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。さらに、親水性有機溶媒を使用してもよく、その使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、0〜10重量部が好ましく、0〜5重量部がより好ましい。
吸水性樹脂の物性向上のために、微粉除去工程、更に好ましくは分級工程で除去された微粉を乾燥工程以前の工程への微粉回収工程を含む。微粉の除去によって、通液性(例えばSFC)や加圧下吸水倍率(例えばAAP)が向上し、更に、微粉を回収することで収率アップや吸水速度(例えばFSR)も向上する。
本発明の製造方法においては、上述した工程以外に、重合時に蒸発したモノマーの回収工程、造粒工程、微粉除去工程等を必要に応じて設置することができる。また、経時色調の安定性向上やゲル劣化防止等を目的として、添加剤を単量体又は含水ゲルに添加してもよい。
本発明の製造方法では、特に吸水性樹脂の3つ以上の物性が制御される場合に好ましく適用される。各物性の制御は、好ましくは4つ以上、5つ以上、6つ以上、という多機能化及び高物性化された吸水性樹脂の製造方法で好適にその効果が発揮される。制御される物性としては、下記に記載した、(a)加圧下吸水倍率(AAP)、(b)通液性(SFC)、(c)無加圧下吸水倍率(CRC)、(d)水可溶分(Ext)、(e)残存モノマー、(f)初期着色、(g)含水率の他に、自由膨潤倍率(FSC)、粒子径、pH、流下速度、嵩比重、呼吸域粉塵、粉塵等があり、これらを高度に制御する製造方法に好ましく適用される。制御される物性やその測定方法は適宜決定されるが、上記EDANA測定方法等は、下記の吸水性樹脂の物性測定に適用できる。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、紙オムツでのモレを防止するため、2.06kPa(0.3psi)の加圧下での0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液に対する吸水倍率(AAP)が、好ましくは20[g/g]以上、より好ましくは22[g/g]以上、更に好ましくは23[g/g]以上に制御される。加圧下吸水倍率(AAP)の上限値は、特に限定されず高いほど好ましいが、他の物性やコストとのバランスから40[g/g]以下が好ましい。同様に、4.83kPa(0.7psi)での加圧下での0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液に対する吸水倍率(AAP)は、好ましくは20[g/g]以上、より好ましくは22[g/g]以上、更に好ましくは23[g/g]以上(上限は30[g/g]以下)に制御される。本明細書において、特に記載のない場合、AAPはERT442.2−02に記載の測定方法において、荷重条件を2.06kPaから4.83kPaに変更した値を示す。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、紙オムツでのモレを防止するため、加圧下での液の通液特性である0.69%生理食塩水流れ誘導性(SFC)は好ましくは1[×10−7・cm3・s・g−1]以上、より好ましくは10[×10−7・cm3・s・g−1]以上、更に好ましくは50[×10−7・cm3・s・g−1]以上、特に好ましくは100[×10−7・cm3・s・g−1]以上に制御される。又、好ましくは1000[×10−7・cm3・s・g−1]以下、より好ましくは500[×10−7・cm3・s・g−1]以下である。当該SFCは、上記粒度制御後の表面架橋で適宜制御される。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、無加圧下吸水倍率(CRC)は好ましくは10[g/g]以上であり、より好ましくは20[g/g]以上、更に好ましくは25[g/g]以上、特に好ましくは27[g/g]以上に制御される。CRCは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性のバランスから、好ましくは50[g/g]以下、より好ましくは45[g/g]以下、更に好ましくは40[g/g]以下である。当該CRCは、重合時の架橋剤の種類や量で適宜調整することができるが、本発明で好ましくは上述したように、乾燥工程以降で水可溶分を増加させて、CRCを上記範囲に調整することが好ましい。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、水可溶分(Ext)が好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下であり、更に好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。当該水可溶分は少ない程好ましいが、生産性等の観点から通常1重量%以上とされる。当該水可溶分(Ext)は、重合時の架橋剤の種類や量で適宜調整することができるが、本発明で好ましくは上述したように、CRCを上記範囲となるように、乾燥工程以降で水可溶分を増加させることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、残存モノマー(残存単量体)量が好ましくは0〜700ppm、より好ましくは0〜600ppm、特に好ましくは0〜500ppmである。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、初期色調に優れ、例えば、ハンターLab表面色系(国際公開第2008/096713に開示される測定方法が本発明にも適用される。)において、L値(Lightness)が好ましくは85以上、より好ましくは87以上、更に好ましくは89以上であり、b値が好ましくは−5〜10、より好ましくは−5〜5、更に好ましくは−4〜4であり、a値が好ましくは−2〜2、より好ましくは−1〜1、更に好ましくは−0.5〜1、最も好ましくは0〜1である。YI(黄色度)は、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、特に好ましくは6以下であり、WB(ホワイトバランス)は、好ましくは70以上、更に好ましくは75以上、特に好ましくは77以上である。更に、かかる吸水性樹脂は、経時色調にも優れ、長期保存の促進試験(モデル)である高温高湿でも十分な白色度を示す。当該初期色調は、上記重合禁止剤や空気との接触時間又は乾燥温度で決定できる。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂の含水率は、吸水速度や耐衝撃性の観点から、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%に調整される。
本発明にかかる製造方法により得られる吸水性樹脂の用途は、特に限定されず、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生用品、農園芸用保水剤、廃液固化剤や、工業用止水材等、吸収性物品に使用することができる。
以下、実施例に従って発明を説明するが、本発明は実施例に限定され解釈させるものではない。尚、特に断りのない限り、各実施例での各工程は実質常圧(大気圧の±5%、更に好ましくは1%以内)で行なわれ、同一工程では意図的な加圧又は減圧による圧力変化は加えずに実施した。物性等の測定に関しては、特に断りのない限り、常圧下、室温(20〜25℃)、相対湿度40〜50%RH下で行った。
底面の直径が約5cmのアルミカップ(重量W1[g])に、吸水性樹脂約1gを量り取り(重量W2[g])、180℃の無風乾燥機中において3時間静置し、乾燥させた。乾燥後のアルミカップと吸水性樹脂粉末との合計重量(W3[g])を測定し、次式により含水率(重量%)を求めた。
本発明において粒子状含水ゲルの重量平均粒子径(D50)は、特開2000−63527号公報段落「0091」〜「0093」に記載の方法に準拠して測定した。
250ml容量のビーカーに0.9%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)200gを秤取り、その水溶液中に吸水性樹脂1.00gを加えて蓋をし、16時間攪拌することにより樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を、濾紙を用いて濾過することにより得られた濾液約50.0gを秤取り、これを測定溶液とした。
本発明において、吸水性樹脂の水可溶分(Ext)及び粒子状含水ゲルのゲル水可溶分(ゲルExt)は、ERT470.2−02に準じて測定した。
VHCl.s;溶解したポリマーを含む濾液をpH10からpH2.7にするのに必要とするHCl量[ml]
VHCl.b;Blank(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)をpH10からpH2.7にするのに必要とするHCl量[ml]
CHCl;HCl溶液の濃度[モル/l]
Mw;アクリル酸(塩)ポリマー中のモノマーユニットの平均分子量[g/モル]
(例えば、中和率73モル%の場合、Mwは88.1[g/モル])
Fdil;溶解したポリマーを含む濾液の希釈度
ms;測定前の粒子状含水ゲルの重量[g]
Wn;粒子状含水ゲルの樹脂固形分[重量%]
である。
本発明において、吸水性樹脂のCRC及び粒子状含水ゲルのゲルCRCは、ERT441.2−02に準じて測定した。
msi;測定前の含水ゲルの重量[g]
mb;自由膨潤して水切り後のBlank(不織布製の袋のみ)の重量[g]
mwi;自由膨潤して水切り後の含水ゲルの重量[g]
Wn;含水ゲルの樹脂固形分[重量%]
である。
本発明で得られる吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、米国特許第5669894号明細書の記載に従って測定した。
吸水性樹脂の粒度分布、残存モノマー量等の物性については、上述したEDANAのERT又は米国特許出願公開第2006/204755号明細書に準じて測定した。
アクリル酸(重合禁止剤としてp−メトキシフェノール70ppm(アクリル酸に対して)含有)、48.5重量%水酸化ナトリウム水溶液(不純物として鉄分0.7ppm(Fe2O3換算で1ppm(アクリル酸に対して))含有)、イオン交換水、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシド単位数;平均9)、及びキレート剤としてジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウムを含む単量体水溶液(a)を作製した。当該単量体水溶液(a)の単量体濃度は40重量%、中和率75モル%であり、不純物として鉄分(Fe2O3換算)0.3ppm(対単量体)、更に重合禁止剤57ppm(対単量体)を含んでいた。又、上記内部架橋剤の使用量は0.09モル%(対単量体)、上記キレート剤の使用量は100ppm(対単量体)であった。
上記製造例1で得られた粒子状含水ゲル(a)を、ゲル粉砕後5分以内に、図1に示すトラバース・コンベアのベルト(以下、「コンベアベルト」と称する)上に4.5[t/hr]で連続的に供給し、その後更に通気ベルト型連続乾燥機の通気ベルト上にゲル層の幅が1.8mとなるように供給して、比較乾燥重合体(1)を得た。尚、当該トラバース・コンベアはミートチョッパーの排出口から2m下方に、又、通気ベルト型連続乾燥機はトラバース・コンベアから0.5m下方に、それぞれ配置した。
コンベアベルト上の粒子状含水ゲルのゲル層高;5cm
粒子状含水ゲルを保持している部分の大きさ;2.2×0.3m
コンベアベルトの表面温度(連続稼働時);33℃(周辺の雰囲気温度25℃)
コンベアベルトのトラバース角;−20〜+20°(進行方向を0°として)
コンベアベルトのトラバース周期(1往復する時間);10秒間
尚、粒子状含水ゲル(a)をミートチョッパーからトラバース・コンベアへの移送(落下)に要する時間及びトラバース・コンベアから通気ベルト型連続乾燥機のベルト上への移送(落下)に要する時間は無視できる程度であり、従って、トラバース・コンベアでの滞留時間としては、粒子状含水ゲル(a)を保持している部分の長さ2.2m及びコンベアベルトの速度0.2[m/s]とから11秒間と算出される。即ち、ゲル粉砕工程から乾燥工程に供給されるまでの大気との接触時間としては11秒間であった。
比較例1において、トラバース・コンベア及び通気ベルト型連続乾燥機の上流側を閉空間となるように覆いを設け、乾燥機からの熱を当該覆い内に取り入れた以外は、比較例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(1)及び吸水性樹脂(1)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(1)の物性を表1に、吸水性樹脂(1)の物性を表2に示す。
比較例1において、コンベアベルトの裏面からヒーターで、コンベアベルトの表面温度を80℃に加温した以外は、比較例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(2)及び吸水性樹脂(2)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(2)の物性を表1に、吸水性樹脂(2)の物性を表2に示す。
実施例1において、コンベアベルトの速度を7[m/s]とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(3)及び吸水性樹脂(3)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(3)の物性を表1に、吸水性樹脂(3)の物性を表2に示す。
比較例1において、コンベアベルトの表面材質をフッ素樹脂(水の接触角105°)とした以外は、比較例1と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(2)及び比較吸水性樹脂(2)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(2)の物性を表1に、比較吸水性樹脂(2)の物性を表2に示す。
実施例1において、コンベアベルトの表面材質をフッ素樹脂(水の接触角105°、耐熱温度:200℃以上)とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(4)及び吸水性樹脂(4)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(4)の物性を表1に、吸水性樹脂(4)の物性を表2に示す。
実施例2において、コンベアベルトの表面温度を130℃とした以外は、実施例2と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉末(3)及び比較吸水性樹脂(3)を得た。得られた比較吸水性樹脂粉末(3)の物性を表1に、比較吸水性樹脂(3)の物性を表2に示す。
製造例1において、ポリエチレングリコールジアクリレートの使用量を0.05モル%(対単量体)とした以外は、製造例1と同様の操作を行い粒子状含水ゲル(b)を得た。得られた粒子状含水ゲル(b)の含水率は49.4重量%、中和率は75.2モル%、ゲルCRCは32.5[g/g]、水可溶分(ゲルExt)は6.4重量%、粉温(乾燥工程に供給される前の粒子状含水ゲル(b)の温度)は86℃、重量平均粒子径(D50)は1.6mm、粒子径5mm以上の粗大な粒子は全体の0.7重量%であった。
実施例1において、粒子状含水ゲル(a)に代えて粒子状含水ゲル(b)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(5)及び吸水性樹脂(5)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(5)の物性を表1に、吸水性樹脂(5)の物性を表2に示す。
製造例1において、内部架橋剤をN,N’−メチレンビスアクリルアミドに変更しその使用量を0.026モル%(対単量体)とした以外は、製造例1と同様の操作を行い粒子状含水ゲル(c)を得た。得られた粒子状含水ゲル(c)の含水率は49.2重量%、中和率は75.1モル%、ゲルCRCは38.5[g/g]、水可溶分(ゲルExt)は10.9重量%、粉温(乾燥工程に供給される前の粒子状含水ゲル(c)の温度)は88℃、重量平均粒子径(D50)は1.7mm、粒子径5mm以上の粗大な粒子は全体の2.1重量%であった。
実施例1において、粒子状含水ゲル(a)に代えて粒子状含水ゲル(c)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(6)及び吸水性樹脂(6)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(6)の物性を表1に、吸水性樹脂(6)の物性を表2に示す。
実施例5において、分級工程で発生する微粉(目開き150μmのJIS標準篩通過物)を連続的に回収し、含水ゲル(b)と共にミートチョッパー(多孔板を有するスクリュー型押出機)に連続的に投入した以外は実施例5と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(7)及び吸水性樹脂(7)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(7)の物性を表1に、吸水性樹脂(7)の物性を表2に示す。
実施例6において、分級工程で発生する微粉(目開き150μmのJIS標準篩通過物)を連続的に回収し、含水ゲル(c)と共にミートチョッパー(多孔板を有するスクリュー型押出機)に連続的に投入した以外は実施例6と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉末(8)及び吸水性樹脂(8)を得た。得られた吸水性樹脂粉末(8)の物性を表1に、吸水性樹脂(8)の物性を表2に示す。
実施例1〜4及び比較例1〜3により、コンベアベルトの表面温度を40〜120℃に制御することが安定運転及び/又は物性に重要であることが分かる。なお、上記表2において、吸水性樹脂(1)〜(8)及び比較吸水性樹脂(1)〜(3)の各含水率は何れも1重量%前後(固形分99重量%)であった。また、残存モノマーは、対応する吸水性樹脂粉末(表面架橋前)とほぼ同程度であった。
2 配管、
3 トラバース・コンベア、
4 通気ベルト型連続乾燥機、
5 乾燥機(乾燥室)、
6 冷却室、
7 トラバース・コンベアのベルト表面温度装置位置、
8 粒子状含水ゲル状架橋重合体(粒子状含水ゲル)、
9 乾燥重合体(吸水性樹脂)。
Claims (30)
- 重合禁止剤とアクリル酸(塩)と内部架橋剤とを含む単量体水溶液を重合して、含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程、上記重合と同時又は重合後に含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕し、粒子状含水ゲル状架橋重合体を得るゲル粉砕工程、粒子状含水ゲル状架橋重合体をトラバース・コンベアで通気ベルト型連続乾燥機に供給し、かつ、粒子状含水ゲル状架橋重合体を乾燥する乾燥工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
上記粒子状含水ゲル状架橋重合体の温度が50℃以上であり、
上記トラバース・コンベアのベルト温度が40〜120℃である、
および/または、
上記トラバース・コンベア上の上記粒子状含水ゲル状架橋重合体の水可溶分が10重量%以下であり、乾燥工程以降で水可溶分を増加させてなることを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。 - 重合禁止剤とアクリル酸(塩)と内部架橋剤とを含む単量体水溶液を重合して、含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程、上記重合と同時又は重合後に含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕し、粒子状含水ゲル状架橋重合体を得るゲル粉砕工程、粒子状含水ゲル状架橋重合体をトラバース・コンベアで通気ベルト型連続乾燥機に供給し、かつ、粒子状含水ゲル状架橋重合体を乾燥する乾燥工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
上記トラバース・コンベアのベルト温度が40〜120℃であることを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。 - 上記内部架橋剤が熱分解骨格又は(ポリ)エチレングリコール骨格を有する、請求項1または2に記載の製造方法。
- 上記水可溶分の増加幅が1〜10重量%である、請求項1または3に記載の製造方法。
- 上記水可溶分の増加が乾燥工程での加熱によって行われる、請求項1、3または4に記載の製造方法。
- 上記粒子状含水ゲル状架橋重合体の無加圧下吸水倍率(CRC)が30[g/g]未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベア本体が実質的に覆われた状態で乾燥機と連結されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベア本体が30℃以上の雰囲気下にある、請求項7に記載の製造方法。
- 上記ゲル粉砕工程で得られる粒子状含水ゲル状架橋重合体の重量平均粒子径(D50)が0.1〜5mmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト速度が0.1〜10.0[m/s]である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液中のアクリル酸の中和率が60モル%を超えてなる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記乾燥工程以降に、粉砕工程、分級工程及び表面架橋工程を更に含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記分級工程で得られた微粉を、乾燥工程以前の工程に回収する微粉回収工程を更に含む、請求項12に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアで乾燥機に供給される粒子状含水ゲル状架橋重合体に、上記微粉が含まれる、請求項13に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト温度と粒子状含水ゲル状架橋重合体との温度差が0〜30℃である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記ゲル粉砕工程で得られる粒子状含水ゲル状架橋重合体が上記通気ベルト型連続乾燥機に供給されるまでの大気との接触時間が180秒以内である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト幅が0.1〜1mであり、その幅方向の粒子状含水ゲル状架橋重合体の面積占有率が10〜90%である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト上に積層される粒子状含水ゲル状架橋重合体のゲル層高が3〜30cmであり、乾燥機のゲル層高より低い、請求項1〜17のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記粒子状含水ゲル状架橋重合体の含水率が乾燥前で30〜70重量%である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト傾斜角が水平方向を0°として±10°未満である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト表面粗さ(Rz)が800nm以下である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト表面材質が、水に対する接触角が60°以上であり、かつ、熱変形温度が20℃以上である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト表面が樹脂コーティングされている、請求項1〜22のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記トラバース・コンベアのベルト表面材質が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びシリコン樹脂から選ばれる1種である、請求項23に記載の製造方法。
- 上記重合工程で用いられる重合反応装置が連続ベルト式反応装置である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の製造方法。
- 上記重合工程で用いられる重合反応装置が連続混練機である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の製造方法。
- 粒子状含水ゲル状架橋重合体が、ニーダー重合時でのゲル粉砕、または重合後の多孔板を有するスクリュー型押出機によるゲル粉砕によって得られる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の製造方法。
- トラバース・コンベアおよび通気ベルト型連続乾燥機を有する吸水性樹脂の製造装置であって、前記トラバース・コンベアの本体は、実質的に覆われた状態で、通気ベルト型連続乾燥機と連結されている、吸水性樹脂の製造装置。
- 吸水性樹脂の重合機またはゲル粉砕機が、貯蔵槽を介して、トラバース・コンベア本体と非開放系で連結されてなる、請求項28に記載の製造装置。
- トラバース・コンベアのベルト接触面または上部空間を加熱または保温する手段をさらに有する、請求項28または29に記載の製造装置。
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