JP5635419B2 - 陽極酸化皮膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウムやアルミニウム合金等のアルミニウム系基材の表面に陽極酸化皮膜を形成する方法に関するものであり、特に従来に比べて厚膜の陽極酸化皮膜を簡便且つ生産性良く形成することのできる方法に関するものである。
アルミニウムやアルミニウム合金を基材(アルミニウム系基材)とした部材の表面に、陽極酸化皮膜を形成して、その基材に耐プラズマ性や耐ガス腐食性などを付与させる陽極酸化処理は、従来から広く採用されてきた。
例えば、半導体製造設備のプラズマ処理装置に用いられる真空チャンバや、その真空チャンバの内部に設けられる電極等の各種部材は、アルミニウム合金を用いて形成されることが通常である。しかしながら、そのアルミニウム合金を無垢のままで使用すれば、耐プラズマ性や耐ガス腐食性などを維持することができないので、アルミニウム合金によって形成された部材の表面に陽極酸化処理を施して陽極酸化皮膜を形成することで、耐プラズマ性や耐ガス腐食性などを付与することで対応していた。
陽極酸化皮膜は、その用途に応じて様々な膜厚に形成されるが、陽極酸化処理を実施するには直流電源が用いられることが多い。陽極酸化処理を定電流で行う場合、膜厚の増加とともに電圧が上昇して高電圧となりアルミニウム系基材が溶解するため、厚膜の健全な陽極酸化処理アルミニウム系材料を得ることができない。膜厚と電圧の関係、およびアルミニウム系基材が溶解する電圧は、処理条件によって異なるが、通常100μm程度の膜厚が限界である。
そこで、アルミニウム系基材を溶解させないためには、アルミニウム系基材が溶解しない電圧範囲での定電圧での処理が有効であり、例えば処理を定電流処理で開始し、アルミニウム系基材が溶解する電圧未満となる「上限電圧」に達すると、その「上限電圧」での定電圧処理に切り替える方法がある。しかしながら、このような方法で、定電圧処理に切り替えると、電流密度が大きく低下し、膜厚は積算電気量(電流密度×処理時間)に比例するため、つまり、成膜速度(膜厚/時間)は、電流密度に比例するため、処理が長時間となり、生産性が悪くなるという別の問題が生じる。
こうしたことから、外観不良抑制や高速厚膜を形成する方法として、電解液浴中にて多数の電解液噴射口により電解液を被処理物に当てて陽極酸化皮膜を形成する方法等が開示されている(例えば、特許文献1〜3)。しかしながら、これらの技術では、噴射用の設備が必要となる等、設備投資によるコストアップとなる。
ところで、陽極酸化皮膜が形成される部材には、上記半導体製造装置設備のように、その用途に応じて高硬度が要求されることがある。しかしながら、これまで提案されてきた技術では、十分対応できていないのが実情である。
陽極酸化皮膜を高硬度化する方法としては、例えば特許文献4には、アルコールを添加した硫酸系電解液を用いて高硬質の陽極酸化皮膜を形成する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、陽極酸化処理による電解液中のアルコールの濃度変化の管理が煩雑になるという問題点を有している。
また、特許文献5には、アルミニウム系合金基材に陽極酸化加工が施されている表面処理部材の表面に、更に酸化物溶射皮膜を形成する方法が提案されており、得られる皮膜が高硬度であることが開示されている。しかしながら、この方法では、酸化物溶射皮膜を形成するための処理が非常に複雑であり、且つ高価な設備を必要とし、しかも複雑形状部位には適用できないという問題がある。
一方、半導体製造設備のような用途では、ガスと陽極酸化皮膜との化学反応を抑制するという観点から、陽極酸化皮膜に水和処理(通称:封孔処理)が施されることがあるが、水和処理を行なった場合には、陽極酸化皮膜の硬度が却って低下することも知られている(例えば、特許文献6)。
特開平11−236696号公報 特開2006−336050号公報 特開2008−291302号公報 特開2006−336081号公報 特開2004−332081号公報 特開平7−216588号公報
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、直流電源を用いることを前提とし、特殊な設備を用いることなく、厚膜の陽極酸化皮膜を短時間で生産性良く形成することができ、必要によって皮膜の高硬度化も図ることのできる陽極酸化皮膜の形成方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の陽極酸化皮膜の形成方法とは、アルミニウムおよびアルミニウム合金から選択されるアルミニウム系基材に、一定の電流A0を通じて陽極酸化する皮膜の形成方法であって、皮膜形成中に所定の電圧V1に到達したときに一旦通電を休止し、所定時間T1以上の間、この休電を継続した後、通電を再開する第1休電処理を複数回繰り返すこととし、
前記所定電圧V1が、下記式(1a)を満足し、
前記休電時間T1が、下記式(1b)を満足する点に要旨を有するものである。
V1<Vmin …(1a)
T1im≦T1 …(1b)
(式中、Vminは、休電処理を行わずに一定電流A0で陽極酸化処理したときに前記アルミニウム系基材が溶解しはじめる電圧の最低値を示す。T1imは、通電再開時の電圧がV1未満となるのに必要な休電時間の最低値を示す。)
本発明方法は、前記所定電圧V1が、下記式(2a)を満足し、
前記休電時間T1が、下記式(2b)を満足するようにして実施することが好ましい。また、このときのD1(目標厚さ)は、例えば100μm以上であり、前記Vminは例えば100〜150Vである。
0.5×Vmin<V1<Vmin …(2a)
min≦T1≦1.2×Tmin …(2b)
(式中、Vminは、前記に同じ。Tminは、陽極酸化皮膜の目標厚さD1を達成するために必要な休電時間の最低値を示す。)
本発明において前記アルミニウム系基材として6000系アルミニウム合金を用いたときには、陽極酸化処理液として硫酸を使用すると、前記Vmin=100〜150Vとなる。
本発明においては、休電時間が前記T1よりも長くなる第2休電処理を実施することも有効であり、こうした処理を行なうときには、第2休電処理の休電時間T2が、前記T1の1.5倍以上、5倍以下程度であることが適切である。
また第2休電処理を実施する際には、下記式(3)を満足するn回目の第1休電処理後に、前記第2休電処理を行なうことが好ましい。
0.5≦Tmin(n−1)/Tint(1)≦0.9 …(3)
(式中、Tint(1)は、1回目の第1休電処理終了から2回目の第1休電処理開始までの時間を示し、Tmin(n−1)は、n−1回目の第1休電処理終了からn回目の第1休電処理開始までの時間を示す。)
上記第2休電処理は複数回実施することもでき、複数回の第2休電処理を行なう場合には、各休電時間が異なっていても良い。
前記電圧V1は、休電処理を行わずに一定電流A0で陽極酸化処理したときに前記アルミニウム系基材が溶解しはじめる電圧の最低値(Vmin)よりも低い電圧に設定され、前記Vminはアルミニウム系基材によって異なるが、通常、電圧V1は60〜115Vが適切である。
上記の方法で陽極酸化皮膜を形成した後、80〜100℃の純水中に、
処理時間(分)≧−1.5×処理温度(℃)+270
を満たす条件で陽極酸化皮膜を浸漬する水和処理を実施することも有効であり、こうした処理を施すことによって、陽極酸化皮膜の高硬度化が図れるものとなる。
また、上記のような水和処理した後、
処理温度=120〜450℃
処理時間(分)≧−0.1×処理温度(℃)+71
を満たす条件で陽極酸化皮膜を加熱する熱処理を実施することも有効あり、陽極酸化皮膜の更なる高硬度化が図れる。
陽極酸化皮膜を形成する前に、アルミニウム系基材を純水中で水和処理することも好ましく、こうした処理を施すことによって、陽極酸化皮膜の更なる高硬度化を図ることができる。
本発明方法によれば、アルミニウムおよびアルミニウム合金から選択されるアルミニウム系基材に、一定の電流を通じて陽極酸化皮膜を形成するに際し、皮膜形成中に所定の電圧に到達したときに一旦通電を休止し、所定時間T1以上の間、この休電を継続した後、通電を再開する第1休電処理を複数回繰り返すような構成を採用することによって、特殊な設備を用いなくても、厚膜の陽極酸化皮膜を短時間で生産性良く形成することができ、このようにして基材上に陽極酸化皮膜を形成した部材は、半導体製造設備のプラズマ処理装置に用いられる真空チャンバ等の素材として有用である。
図1は、本発明の方法を実施したときの電圧および電流の経時変化を示す説明図である。 図2は、試験No.4〜7について、「休電回数」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。 図3は、図2の結果を近似曲線で表したグラフである。 図4は、図3の横軸(x軸)を休電回数から膜厚に変換した結果を示したグラフである。 図5は、限界膜厚と休電時間の関係をプロットしたグラフである。 図6は、試験No.8の休電処理について、「処理中の膜厚」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。 図7は、試験No.8の休電処理について、「休電回数」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。 図8は、試験No.9の休電処理について、「処理中の膜厚」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。 図9は、試験No.9の休電処理について、「休電回数」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。 図10は、試験No.10の休電処理について、「処理中の膜厚」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。 図11は、試験No.10の休電処理について、「休電回数」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。
陽極酸化処理を定電流で行なう場合には、成膜速度が電流に比例するために成膜速度は大きいが、膜厚の増加とともに、電圧が上昇して、高電圧にてアルミニウム系基材が溶解することになり、外観不良の原因となる。一方、定電圧で処理を行なう場合には、アルミニウム系基材が溶解する電圧未満で行うことによってアルミニウム系基材は溶解しないが、膜厚増加に伴い電流が低下して処理時間が長くなる。
本発明者らは、定電流で行なった場合に生じる上記不都合を回避するという観点から、様々な角度から検討した。その結果、アルミニウムおよびアルミニウム合金から選択されるアルミニウム系基材に、一定の電流A0を通じて陽極酸化する皮膜の形成するに際して、皮膜形成中に所定の電圧V1に到達したときに一旦通電を休止(以下、「休電」と呼ぶ)し、所定時間T1以上の間、この休電を継続した後、通電を再開する第1休電処理を複数回繰り返す構成を採用し、前記所定電圧V1が、下記式(1a)を満足する共に、前記休電時間T1が、下記式(1b)を満足するようにすれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
V1<Vmin …(1a)
T1im≦T1 …(1b)
(式中、Vminは、休電処理を行わずに一定電流A0で陽極酸化処理したときに前記アルミニウム系基材が溶解しはじめる電圧の最低値を示す。T1imは、通電再開時の電圧がV1未満となるのに必要な休電時間の最低値を示す。)
本発明方法を、図面を参照しつつより詳細に説明する。図1は、本発明の方法を実施したときの電圧および電流の経時変化を示す説明図である。本発明方法では、電圧が所定の電圧V1(「上限電圧」と呼ぶことがある)に達して一旦休電し、所定時間T1以上の間、この休電を継続した後、通電を再開する第1休電時間を複数回繰り返すようにするものである。
一旦休電した後に通電を再開するとき(電解再開時)の電圧は、休電前の上限電圧より低くなるため、設定した電流密度での処理を断続的に継続でき、且つ上限電圧をアルミニウム系基材が溶解する電圧未満に設定することで[上記式(1a)の関係]、アルミニウム系基材の溶解を抑止できるものとなる。また、休電時間T1は、通電再開時の電圧がV1未満となるのに必要な休電時間の最低値T1im以上に取り[上記式(1b)の関係]、こうした処理(第1休電処理)を繰り返すことによって、厚膜の陽極酸化皮膜を短時間で生産性良く形成することができるものとなる。
本発明方法によって、上記のような効果が得られる理由については、その全てを解明し得た訳ではないが、おそらく次のように考えることができた。陽極酸化処理時の電圧は、バリア層形成電圧とポア内の液抵抗に起因する電圧とで構成されている。また、膜厚増加に伴う電圧の上昇は、ポア内の液組成に起因する電圧が上昇するためである。そして、ポア内では、ポアの底の処理液中にて(OH-→O2-+H+反応)、アルミニウム系基材にて(Al→Al3++3e-の反応)が夫々起っており、Al3+とO2-が結合し、Al23が形成されることになる。
従って、Al23が形成されるに伴って、OH-が消費され、膜厚の増加に伴って、OH-がバルク溶液から供給されにくくなるため、ポア内のOH-濃度が低下し、電圧が上昇すると考えられる。上記のような休電処理を行なうことによって、ポア内の液(陽極酸化処理液)が更新され、電圧上昇を抑制できるものとなる。
本発明方法において、陽極酸化処理の条件(電解条件)に関してのパラメータは、「休電時間T1」と「上限電圧(電圧V1)」であり、「休電と休電の間の電解時間」は、電解再開後、「電圧が上限電圧V1に達するまでの時間」であり、「休電時間T1」と「上限電圧」等によって変化するものである。まず、「休電時間T1」について説明する。
陽極酸化皮膜の膜厚は、陽極酸化処理時の電流密度と電解時間の積である積算電気量で決定されるため、所望の膜厚を得るための総電解時間は、「休電時間T1」や「休電回数」によらず一定である。即ち、休電時間T1を含む総処理時間は、[総処理時間=総電解時間+総休電時間(休電時間T1×休電回数)]で表され、休電時間が短く、または休電回数が少ないほど、総処理時間が短くなる。
但し、休電時間T1が短いほど休電再開後の電圧の低下は小さくなって、休電と休電の間の電解時間が短くなるため、休電の回数は却って多くなる。逆に、休電時間T1が長いほど休電回数は少なくなる。即ち、休電時間と休電回数の両方を小さくすることはできない。こうした状況の下、休電時間T1や休電回数が総休電時間に与える影響について検討したところ、総休電時間を短くするには休電時間T1を短くする方が効果的であることが判明した。
一方、休電時間T1が短すぎると、休電再開後の電圧は低下せず(即ち、上限電圧のままとなって)、処理を継続することができなくなるため、適当な休電時間T1の設定が必要となる。また、膜厚の増加と共に、休電と休電の間の電解時間が短くなっていくので、所望の膜厚が得られるまでに休電と休電の間の電解時間が0にならないように適当な休電時間T1を設定する必要がある。
こうしたことから、前記休電時間T1は、通電再開時の電圧がV1未満となるのに必要な休電時間の最低値T1im以上とする必要がある[前記式(1b)]。
本発明方法において、電圧V1が、前記式(2a)を満足し、休電時間T1が、前記式(2b)を満足するようにして実施することが好ましい。また、このときのD1(目標厚さ)は、例えば100μm以上であり、前記Vminは例えば100〜150V程度である。
具体的には、アルミニウム系基材として6061合金を用い、陽極酸化処理液として硫酸(例えば、0℃、150g/L)中で、電流密度4.0A/dm2の条件にて、Vminは120Vとなるため、上限電圧(V1)を80Vとした場合の膜厚100μm以上の陽極酸化皮膜形成について検討した。その結果、設定膜厚をxとしたときに、休電時間≧0.31×e(0.0252x)(eは自然対数の底)を満足する休電時間T1とすればよいことがわかった。即ち、上記式の右辺[0.31×e(0.0252x)]は、陽極酸化皮膜の目標厚さD1を達成するために必要な休電時間T1の最低値を意味するものである。
上記した条件を満足する休電処理(第1休電処理)を繰り返し行なう中で、上記のような休電時間T1よりも長くなる休電処理(第2休電処理)を実施することは、結果的に処理時間を短縮する上で有効であることも判明した。このような第2休電処理を行なうに際し、第2休電処理の休電時間T2は、前記休電時間T1の1.5倍以上、5倍以下程度であることが好ましい。
上記のような第2休電処理を実施するに際し、その時期については、下記式(3)を満足するn回目の第1休電処理後に、前記第2休電処理を行なうものであることが好ましい。
0.5≦Tmin(n−1)/Tint(1)≦0.9 …(3)
(式中、Tint(1)は、1回目の第1休電処理終了から2回目の第1休電処理開始までの時間を示し、Tmin(n−1)は、n−1回目の第1休電処理終了からn回目の第1休電処理開始までの時間を示す。)
上記のような第2休電処理は複数回実施することもでき、複数回の第2休電処理を行なう場合には、各処理における休電時間T2は、異なっていても良い。
前記上限電圧(V1)は、休電処理を行わずに一定電流A0で陽極酸化処理したときに前記アルミニウム系基材が溶解しはじめる電圧の最低値(Vmin)よりも低い電圧に設定され、この電圧V1はアルミニウム系基材によっても異なることになるが、60〜115Vの範囲が適切である。
尚、本発明で基材として用いるアルミニウムまたはアルミニウム合金は、純アルミニウム(例えば、1000系アルにニウム)は勿論のこと、市販のアルミニウム合金(例えば、JISに規定される6061アルミニウム合金や5052アルミニウム合金)を用いることもできる。また、本発明で用いる陽極酸化処理液としては、一般的な硫酸溶液、シュウ酸溶液、リン酸溶液等、およびそれらの混合溶液を用いればよく、処理液温度も、例えば皮膜硬度の観点では低温の方が高硬度皮膜となるので、皮膜に要求される性能に応じて適宜設定すればよい。電流密度についても適宜設定すればよく、電流密度が大きいと成膜速度が大きくなり有利であるが、電圧上昇しやすいために、上限電圧に達しやすく、所望の膜厚に応じて、これらのバランスを考慮して設定すればよい。
本発明者らは、陽極酸化皮膜の高硬度化を図るための方法についてもかねてより研究しており、陽極酸化処理後に水和処理や熱処理を加えることで、皮膜を高硬度化できることを見出し、その意義が認められたので先に出願している(特願2009−169100号)。
即ち、上記の陽極酸化処理で陽極酸化皮膜を形成した後、80〜100℃の純水中に、
処理時間(分)≧−1.5×処理温度(℃)+270
を満たす条件で陽極酸化皮膜を浸漬する水和処理を実施することや、この水和処理を施した後、
処理温度=120〜450℃
処理時間(分)≧−0.1×処理温度(℃)+71
を満たす条件で陽極酸化皮膜を加熱する熱処理を実施することは、陽極酸化皮膜の高硬度化に有効である。これらの設定条件について説明する。
(水和処理の処理時間)
水和処理の処理温度を80℃〜100℃の範囲に規定しても、その処理時間が短いと陽極酸化皮膜の硬度は逆に低下するため、処理温度に応じた最低処理時間を規定することが必要である。具体的には、「処理時間(分)≧−1.5×処理温度(℃)+270」という条件を満たすようにして、水和処理を実施すれば良い。水和処理時間によって陽極酸化皮膜の硬度が変化する理由については、十分に解明できていないが、水和反応による陽極酸化皮膜における酸化物の状態変化と酸化物の体積膨張のバランスに起因とするものではないかと考えることができる。
尚、水和処理の処理時間を「処理時間(分)≧−1.5×処理温度(℃)+270」という条件を満足する範囲で、できるだけ長くする方が陽極酸化皮膜の硬度は高くなるが、要求性能に応じて適宜処理時間を設定すれば良い。但し、処理時間が長すぎると生産性に劣るため、水和処理の処理時間は、480分以下が好ましく、300分以下が更に好ましい。
(熱処理の処理温度)
熱処理の温度は、120℃〜450℃の範囲とする。熱処理の温度が120℃未満の場合は、「処理時間(分)≧−0.1×処理温度(℃)+71」という条件を満足する処理時間で熱処理を施しても、陽極酸化皮膜が高硬度化しない。その理由については十分に解明できていないが、水和反応後の脱水反応に伴う陽極酸化皮膜の構造変化が不十分であるためと考えられる。一方、熱処理の温度を450℃超とすれば、基材であるアルミニウム合金等の変形が起こりやすくなり、製品の寸法公差が外れる可能性がある。従って、熱処理の温度は、120℃〜450℃の範囲とした。
(熱処理の処理時間)
熱処理の処理温度を120℃〜450℃の範囲に規定しても、その処理時間が短いと陽極酸化皮膜の硬度は、ビッカース硬度でHv20程度かそれ以下しか上昇せず、熱処理を施す工業的意味が殆どないため、処理温度に応じた最低処理時間を規定した。具体的には、「処理時間(分)≧−0.1×処理温度(℃)+71」という条件を満たすようにして、熱処理を実施すれば良い。熱処理時間によって陽極酸化皮膜の硬度が変化する理由については、十分に解明できていないが、水和反応後の脱水反応に伴う陽極酸化皮膜の構造変化に起因とするものではないかと考えることができる。
尚、熱処理の処理時間を「処理時間(分)≧−0.1×処理温度(℃)+71」という条件を満足する範囲で、できるだけ長くする方が陽極酸化皮膜の硬度は高くなるが、要求性能に応じて適宜処理時間を設定すれば良い。但し、処理時間が長すぎると生産性に劣るため、熱処理の処理時間は、120分以下が好ましく、90分以下が更に好ましい。
また、陽極酸化皮膜の高硬度化を図る上では、陽極酸化皮膜を形成する前に、アルミニウム系基材を、純水中で水和処理することも好ましい。基材にこうした処理を施しておけば、基材表面に形成された水和皮膜の影響で陽極酸化処理初期の処理電圧を上昇させることができ、陽極酸化皮膜の高硬度化を図ることができる。尚、こうした水和処理は純水中で行われるが(上記した水和処理においても同様)、このとき用いる「純水」とは陽極酸化皮膜中に不純物が混入しないように、水中の不純物を極力低減したものである(例えば導電率が1.0μS/cm未満)。
基材を水和処理するときの条件としては、65〜100℃の純水中で0.1〜10分間程度の浸漬処理を施すことが好ましい。処理時間が短いと基材表面に十分な水和皮膜を形成できないため、0.1分(6秒)以上とするのがよいが、浸漬時間が長すぎると逆に水和皮膜が厚くなりすぎ、陽極酸化時間に長時間を要するため10分程度までとするのが良い。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することは勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
JISに規定される6061アルミニウム合金を溶製してアルミニウム合金鋳塊(サイズ:220mmW×250mmL×t100mm、冷却速度:15〜10℃)とし、その鋳塊を切断して面削(サイズ:220mmW×150mmL×t60mm)した後、均熱処理(540℃×8時間)を施した。均熱処理後、60mm厚さの素材を熱間鍛造により20mm厚の板材に鍛造した後、溶体化処理(540℃×1時間)、水焼入れし、時効処理(160〜180℃×8時間)を施して供試合金板を得た。その供試合金板より、25mm×35mm×t10mmの試験片を切り出し、その表面を面削加工した。
次いで、60℃−10%NaOH水溶液中に2分間浸漬した後水洗し、更に30℃−20%HNO3水溶液中に2分間浸漬した後水洗して表面を清浄化した後、陽極酸化処理を行った。
このとき下記表1、2に示す条件にて陽極酸化処理を行った。また、陽極酸化皮膜の目標厚さD1は200μmとした。
Figure 0005635419
Figure 0005635419
まず、表1に示した結果について考察する。試験No.1は、従来の処理条件で陽極酸化皮膜を形成した例であり、4.0A/dm2の定電流処理にて電圧が上限電圧の80Vに到達した後、80Vの定電圧処理に切り替えたもので、厚さ200μmの陽極酸化皮膜を形成するのに約871分(総処理時間)かかった。
試験No.2〜4は、休電時間T1を短くしたものである。このうちNo.2は休電時間T1を1秒として1回の休電処理を行なったものであるが、休電処理後の電解再開時に電圧が十分に低下せず、休電後に電解できないものとなっている。試験No.3は、休電時間T1を3秒として3回の休電処理を行なった例であるが、試験No.2と同様に休電処理後の電解再開時に電圧が十分に低下せず、休電後に電解できないものとなっている。試験No.4は、休電時間T1を25秒として172回の休電処理を行なった例であるが、依然として休電処理後の電解再開時に電圧が十分に低下せず、休電後に電解できないものとなっている。いずれも、厚さ200μmの陽極酸化皮膜は形成されていない。
試験No.5〜7は、休電時間T1を50〜200秒とすることによって、休電処理後の電解再開時に電圧が十分に低下し、休電後に電解が効果的に進行し、従来の例(試験No.1)よりも総処理時間が短い段階で、厚さ200μmの陽極酸化皮膜が形成されている。尚、これら試験No.5〜7の中では、休電時間T1が短いほど(試験No.5<試験No.6<試験No.7)、総処理時間が短くなっていることが分かる。
図2は、試験No.4〜7について、「休電回数」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したものである。尚、図2以降(図3〜11)に示す結果は、表に示したデータ以外に休電処理時の途中のデータも含めて示したものである。
休電回数が増加するにつれて(即ち、膜厚が増加するにつれて)、休電と休電の間の電解時間は短くなり、休電時間25秒である試験No.4では、休電回数173回目で電解再開時に電圧が低下せず電解できなくなり、このときの膜厚は193μmとなって200μmに達していなかった。
図3は、図2の結果を近似曲線で表したものである。この図3から、各休電時間での「休電と休電の間の電解時間」が0となる休電回数を求めた。尚、図3に示した各近似式は、休電と休電の間の電解時間をy、休電回数をxとしたときに、y=A−B・ln(x)で表され(lnは自然対数)、定数AとBは、図2の「休電と休電の間の電解時間」の実測値になるように設定したものである。また、休電時間が25秒のもの(試験No.4)については、173回目で「休電と休電の間の電解時間」が0となっているので、実測値をそのまま用いている。
図4は、図3の横軸(x軸)を休電回数から膜厚に変換した結果を示したものであり、このときの変換は、膜厚=[200(μm)/7920(秒)]×[3366(秒)+休電1回目以降当該休電回数までの総電解時間(秒)]に基づいて求めたものである。ここで、7920秒は、膜厚が200μmとなる総電解時間(秒)であり、上限電圧に達するまでの時間3366秒と、膜厚が200μmとなる休電回目以降の総電解時間4554秒(試験No.5〜7)の和であり、200μm/7920秒は成膜速度に相当する。
また3366秒は、上限電圧に達するまでの時間である(表1)。休電1回目以降当該休電回数までの総電解時間(秒)は、前記近似式[y=A−B・ln(x)]の各休電回数での「休電と休電の間の電解時間」を、当該休電回数まで積算したものである。
図4の結果から、各休電時間について、「休電と休電の間の電解時間」が0となる膜厚を求めた。この膜厚を、以下では「限界膜厚」と呼ぶ。図5は、限界膜厚と休電時間の関係をプロットしたグラフであり、休電時間をy、限界膜厚をxとしたときには、y=0.31×e(0.0252x)(eは自然対数の底)で表されるものとなる。即ち、所望の膜厚を、上記関係式の限界膜厚に代入して計算した「休電時間T1」以上の休電時間とすれば、所望の膜厚に達するまで「休電と休電の間の電解時間」が0とならずに所望の膜厚が得られることになる。尚、この実施例では、定電流処理で上限電圧に達するまでの処理での膜厚が85μmであり、上記の休電時間の設定方法は、膜厚が85μm以上の場合に適用されるものであるが、休電時間が短い場合、処理の再現性が得られにくいと想定され、膜厚が100μm以上での休電時間の設定への適用が推奨される。
上記で示した結果は、アルミニウム系基材として6060アルミニウム合金を用い、0℃の150g/Lの硫酸溶液中で、電流密度4.0A/dm2の条件で、上限電圧を80V、目標膜厚が100μm以上での陽極酸化皮膜形成方法における休電時間の設定方法について示したが、その他の処理温度や処理液組成などについても同様に、薄膜の処理結果からの近似にて、所望の膜厚に応じた休電時間の設定をすることができる。
次に、表2に示した結果について考察する。試験No.5は、休電時間T1を50秒としたものであり、表1に示した試験No.5のものと同じである。試験No.8は、休電時間T1を50秒の処理条件にて休電処理を繰り返し行い、70回目(膜厚で約170μm)の休電時の休電時間を200秒に変更したものである(第2休電処理)。同様に、試験No.9は、休電時間T1を50秒の処理条件にて休電処理を繰り返し行い、100回目(膜厚で約1850μm)の休電時の休電時間T2を200秒に変更したもの、試験No.10は、休電時間T1を50秒の処理条件にて休電処理を繰り返し行い、70回目(膜厚で約170μm)と90回目(膜厚で約195μm)の休電時の休電時間T2を200秒に変更したものである。いずれも、200秒の休電時間T2に置き換えなかった試験No.5よりも処理時間が短くなっていることが分かる。
図6は、試験No.8の休電処理について、「処理中の膜厚」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。図7は、試験No.8の休電処理について、「休電回数」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。尚、図6、7には、休電時間を最初から200秒のままのもの(表1の試験No.7)や、休電時間を最初から50秒のままのもの(表1の試験No.5)の結果も示した。また、図6に示した膜厚は、上記した関係から求めたものである(後述する図8〜11についても同じ)。
図8は、試験No.9の休電処理について、「処理中の膜厚」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。図9は、試験No.9の休電処理について、「休電回数」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。図10は、試験No.10の休電処理について、「処理中の膜厚」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。図11は、試験No.10の休電処理について、「休電回数」と「休電と休電の間の電解時間」の関係を示したグラフである。
休電回数が70回目で休電時間T2を200秒にすると(試験No.8)、休電後電解再開時の電圧が大きく低下して、次に上限電圧に達するまでの時間(即ち、電解時間)が長くなっている(図6、7)。その後、再び、50秒の休電時間T1として処理を継続すると、電解時間は徐々に短くなり、ついには50秒の休電時間T1だけを行ったときと同じ「膜厚−電解時間」の関係となる(図6)。
この結果から明らかなように、休電時間T1を50秒だけで処理するよりも、その途中で電解時間T2を長くした休電処理を行うことによって、処理時間が短くなることが分かる。電解時間は、膜厚の増加とともに短くなるため、処理の終盤で長い休電時間T2に変更することが効果的であり、試験No.9の方が試験No.8より処理時間が短くなっていることが分かる。
更に、長い休電時間T2への変更を複数回行うことで、処理時間をより短縮できる場合もあるが(試験No.10)、長い休電時間T2そのものは総処理時間を長くすることになるので、長い休電時間T2とそれによる電解時間短縮の効果のバランスを考慮して、適宜長い休電時間とするタイミングと回数を設定すればよい。
上記の知見から、休電時間が前記T1よりも長くなる第2休電処理を実施する場合には、第2休電処理の休電時間T2が、前記T1の1.5倍以上、5倍以下程度が好ましいとことが判明している。
また、第2休電処理を行うタイミングについては、前記式(3)を満足するn回目の第1休電処理後に、前記第2休電処理を行なうことが好ましいことも判明している。
[実施例2]
実施例1と同様にして、供試合金板に対して陽極酸化処理(休電処理を含む)を行った。また、陽極酸化処理を行った供試合金板に対して、各種条件で水和処理および熱処理を行った。このときの、陽極酸化、水和処理および熱処理の条件を下記表3、4(試験No.11〜47)に示す。また、上記処理を行った供試合金板における酸化皮膜表面の硬さ(ビッカース硬度)を測定した。このとき、陽極酸化皮膜の目標厚さD1は200μmとした。尚、表3、4には、表1の試験No.6の結果についても示した。また、試験No.34A(表4)は、陽極酸化皮膜を形成する前(水洗にて基材表面を清浄化した後)に、供試合金板(基材)に、80℃の純水を用いて200秒(約3分)の水和処理(この処理を「水和前処理」と呼ぶことがある)を行ったものである。
Figure 0005635419
Figure 0005635419
表3の試験No.11は、電流密度を4.0A/dm2として休電処理を行わずに陽極酸化皮膜を形成した例であり、上限電圧を120Vに設定し、電圧が120Vに達した段階で120Vの定電圧処理に切り替えたものである。しかしながら、アルミニウム系基材が溶解してしまい、健全な陽極酸化皮膜が形成できなかった。
表3の試験No.12は、電流密度を4.0A/dm2とし、上限電圧を115Vに設定し、電圧が115Vに達した段階で115Vの定電圧処理に切り替えたものである。この試験では、定電圧処理に切り替え後、電流密度が低下して、200μmの膜厚となるのに770分を要した。また皮膜の硬さはHv390であった。
表3の試験No.13、6、14、15は、電流密度を4.0A/dm2とし、上限電圧を夫々115V、80V、60V、55Vに設定し、上限電圧に達した後、100秒の休電処理を行ったものであり、膜厚が200μmになるまでの処理時間は、試験No.12に比べて大幅に短縮している。更に、試験No.13、6、14の皮膜の硬度は、試験No.12のものに比べて高くなっている。一方、試験No.13、6、14に比べて、上限電圧を低く設定した試験No.15の皮膜の硬度は試験No.12のものに比べて低くなっている。このことから、硬度にも注目する場合、アルミニウム系基材が溶解しはじめる電圧(Vmin)未満の範囲内で、溶解のリスクも鑑みながら、上限電圧V1を高く設定することが好ましいことが分かる。
皮膜の硬度は、ポーラス皮膜の固体体積率が大きいほど硬くなり、皮膜の固体体積率は、処理中の皮膜の化学溶解にて小さくなり、皮膜の化学溶解は処理時間に相関し、一方、電解電圧が大きいほど体積率は大きくなるため、これらのバランスにて、皮膜の硬度が決まっていると考えられる。
表4は、陽極酸化皮膜を形成した後、所定の条件で水和処理や熱処理を施したものであり、適切な条件でこれらの処理(水和処理だけ、または水和処理および熱処理、或は必要によって陽極酸化処理前の水和前処理)を施すことによって、陽極酸化皮膜の硬度を更に高くできることが分かる。

Claims (11)

  1. アルミニウムおよびアルミニウム合金から選択されるアルミニウム系基材に、一定の電流A0を通じて陽極酸化する皮膜の形成方法であって、
    皮膜形成中に所定の電圧V1に到達したときに一旦通電を休止し、所定時間T1の間、この休電を継続した後、通電を再開する第1休電処理を複数回繰り返すこととし、
    前記所定電圧V1が、下記式(2a)を満足し、
    前記休電時間T1が、下記式(1b)および(2b)を満足することを特徴とする陽極酸化皮膜の形成方法。
    0.5×V min <V1<V min …(2a)
    T1im≦T1 …(1b)
    min ≦T1≦1.2×T min …(2b)
    (式中、Vminは、休電処理を行わずに一定電流A0で陽極酸化処理したときに前記アルミニウム系基材が溶解しはじめる電圧の最低値を示す。T1imは、通電再開時の電圧がV1未満となるのに必要な休電時間の最低値を示す。 min は、陽極酸化皮膜の目標厚さD1を達成するために必要な休電時間の最低値を示す。
  2. 目標厚さD1が100μm以上であり、前記Vminが100〜150Vである請求項1に記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
  3. 前記アルミニウム系基材として6000系アルミニウム合金を用い、陽極酸化処理液として硫酸を使用することで前記Vmin=100〜150Vが達成されている請求項に記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
  4. 前記第1休電処理に加えて更に第2休電処理を実施し、この第2休電処理の休電時間T2は、T2>T1の関係を満足するものである請求項1〜3のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
  5. 第2休電処理の休電時間T2が、前記T1の1.5倍以上、5倍以下である請求項に記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
  6. 下記式(3)を満足するn回目の第1休電処理後に、前記第2休電処理を行なう請求項またはに記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
    0.5≦Tmin(n−1)/Tint(1)≦0.9 …(3)
    (式中、Tint(1)は、1回目の第1休電処理終了から2回目の第1休電処理回開始までの時間を示し、Tmin(n−1)は、n−1回目の第1休電処理終了からn回目の第1休電処理開始までの時間を示す。)
  7. 前記第2休電処理を複数回実施する請求項4〜6のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
  8. 前記V1を60〜115Vとする請求項1〜のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の方法で陽極酸化皮膜を形成した後、80〜100℃の純水中に、
    処理時間(分)≧−1.5×処理温度(℃)+270
    を満たす条件で陽極酸化皮膜を浸漬する水和処理を実施することを特徴とする方法。
  10. 請求項に記載の方法で水和処理した後、
    処理温度=120〜450℃
    処理時間(分)≧−0.1×処理温度(℃)+71
    を満たす条件で陽極酸化皮膜を加熱する熱処理を実施することを特徴とする方法。
  11. 陽極酸化皮膜を形成する前に、アルミニウム系基材を純水中で水和処理する請求項1〜10のいずれかに記載の陽極酸化皮膜の形成方法。
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