JP5621352B2 - スラストころ軸受 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば自動車用変速機(手動及び自動)、トランスファ、或はカークーラ用コンプレッサ等の電装品の回転部分に装着して、この回転部分に加わるスラスト荷重を支承するスラストころ軸受の改良に関する。具体的には、運転時に作用する回転抵抗(動トルク)の低減を図る事により、スラストころ軸受を組み込んだ各種機械装置の性能向上を図るものである。尚、本発明の対象となるスラストころ軸受には、転動体である各ころとして、軸方向寸法(長さ)に対する直径(太さ)が大きな、一般的なころを使用するものに限らず、軸方向寸法に対して直径が小さなニードルを使用する、所謂ニードル軸受も含む。
変速機やカークーラ用コンプレッサの回転部分に加わるスラスト荷重を支承する為にスラストころ軸受が広く使用されている。先ず、この様なスラストころ軸受の従来構造の第1例に就いて、図9により説明する。このスラストころ軸受は、複数個のころ1と、1対のレース2a、2bと、1個の保持器3とを備える。このうちの各ころ1は、放射方向に配列されている。又、前記両レース2a、2bは、それぞれが金属板により円輪状に形成されたもので、互いに同心に配置されている。そして、互いに対向する面を、前記各ころ1の転動面を転がり接触させる為の軌道面4a、4bとしている。図示の例では、前記レース2a、2bの外周縁又は内周縁から、互いに対向するレース2b、2aに向けほぼ直角に折れ曲がったフランジ部5a、5bを形成している。又、前記保持器3は、第一、第二の保持器素子6、7を組み合わせて成る。これら両保持器素子6、7は、それぞれが金属板を折り曲げ形成し、断面コ字形で全体を円輪状としている。これら両保持器素子6、7は、それぞれに放射方向に形成した矩形の透孔8、8の位相を互いに一致させた状態で嵌合組み合わせ、これら各透孔8、8を形成した部分を、前記各ころ1を転動自在に保持する為のポケット9としている。
それぞれが上述の様な形状を有する、前記各ころ1と、前記両レース2a、2bと、前記保持器3とは、図9の(B)に示す様に、この保持器3のポケット9内に前記各ころ1を保持すると共に、これら各ころ1を、互いに同心に配置した前記両レース2a、2bによりサンドイッチ状に挟んだ状態に組み合わせる。この状態で、これら両レース2a、2b同士の相対回転が可能になる。そこで、例えば一方のレース2aをケーシング等の固定部分に、他方のレース2bをギヤ等の回転部材に、それぞれ添設させれば、この固定部分に対しこの回転部材を、この回転部材に加わるスラスト荷重を支承しつつ、回転自在に支持できる。
スラストころ軸受の基本構成は上述の通りであるが、スラストころ軸受は、それぞれが放射方向に配置された各ころ1の転動面と両レース2a、2bの軌道面4a、4bとの間で差動滑りが生じ、この差動滑りに基づいて、回転抵抗(動トルク)が大きくなる事が避けられない。一方、近年に於ける省資源化の流れ等により、各種機械装置の回転支持部の回転抵抗を低くする事が要求されており、前記スラストころ軸受に関しても、回転抵抗を低減する事が要求されている。スラストころ軸受の回転抵抗を大きくする要因は各種存在するが、そのうちの大きな要因としては、次の(1) 〜(3) に示す要因が挙げられる。
(1) 各ころの転動面と、この転動面と転がり接触する1対の軌道面との間の、差動滑りに基づく摩擦。
(2) これら両軌道面の径方向に関して、前記各ころの軸方向外端面と、これら各ころを転動自在に保持しているポケットの内面との摩擦。
(3) 前記各ころを保持する保持器と相手面との間に作用する摩擦。
上述した(1)〜(3)の要因のうち、(1)の要因に基づく摩擦を低減する為に、各ころの転動面と軌道面と転がり接触部の面圧を、これら各転動面の軸方向中央部(ピッチ円上及びその近傍部分)で高く、両端部に向かう程低くする事が考えられる。この様な面圧分布は、差動滑りが無いか、あっても小さい、各転動面の軸方向中央部の面圧に比べて、差動滑りが大きくなる各転動面の軸方向両端部の面圧を低くする事を意味する為、前記(1) の要因に基づく摩擦を低減できる。又、この様な面圧分布を実現できる構造として、例えば特許文献1〜3に記載されている様に、各軌道面の断面形状を、径方向中間部が各ころに向けて膨らんだ凸円弧形にする事が考えられる。
図10の(A)(B)は、このうちの特許文献1に記載された、従来構造の2例を示している。これら両従来構造の場合には、レース2a′、2b′、2a″、2b″の幅方向(径方向)中間部を湾曲させる事により、各軌道面4a′、4b′、4a″、4b″の断面形状を凸円弧状としている。又、図示は省略するが、特許文献2には、各レースの幅方向(径方向)中間部の厚さを両端部の厚さよりも大きくする事で、各軌道面の断面形状を凸円弧状とする構造が記載されている。この様な構造を採用する事により、各転動面の軸方向中央部の面圧に比べて軸方向両端部の面圧を低くできる。
或いは、特許文献4〜5に記載されている様に、各ころの転動面にクラウニングを施す事が考えられる。即ち、図11に示す様に、ころ1aの転動面10の母線形状を凸円弧として、このころ1aの外径を、軸方向中央部で大きく、軸方向両端部に向かうに従って漸次小さくなる様にしている。この様な構造によっても、各転動面の軸方向中央部の面圧に比べて軸方向両端部の面圧を低くできる。
上述した特許文献1〜5に記載された構造は、転がり接触部の面圧分布を改善して、各転動面及び軌道面の転がり疲れ寿命の改善を図る事を目的としたものであるが、前記凸円弧形の曲率半径やクラウニングの落ち量を適正に規制する事により、上述の様な機構で、前記(1) の要因に基づく摩擦を低減できる。
又、前記(2)の要因に基づく摩擦を低減する為に、各ころの軸方向端面を、これら各ころの径方向中央部が軸方向に突出した凸面とする事が考えられる。即ち、前記(2)の要因に基づく摩擦は、前記各ころの公転運動に基づく遠心力により、これら各ころの軸方向両端面のうちで、保持器の径方向に関して外端面が、これら各ころを保持した各ポケットのうちで、この径方向外端部内面に押し付けられた状態で擦れ合う事により生じる。この擦れ合いは、前記各ころの自転運動に基づくものと、公転運動に基づくものとがある。これら各ころの軸方向端面を前記凸面とする事により、このうちの自転運動に基づく擦れ合いの半径を小さくして、前記(2)の要因に基づく摩擦を低減できる。この様にして摩擦を低減できる構造として、特許文献1、6に示す様に、各ころの軸方向端面を部分球面状の凸面とする構造が知られている。
更に、前記(3)の要因に基づく摩擦を低減する為に、保持器の軸方向に関する位置決めを、各ポケットの周方向両側縁と各ころの転動面との係合に基づいて図る、ころ案内構造とする事が考えられる。前記(3)の要因に基づく摩擦が大きくなる態様としては、保持器の軸方向片面と何れかの軌道面とが油膜を介して擦れ合い、この油膜に作用する大きな剪断抵抗に基づいて前記保持器が回転する事に対する抵抗が大きくなる事が考えられる。これに対して、例えば特許文献6、7に記載されている様に、保持器の軸方向に関する位置決めを、ころ案内構造により図れば、前記(3)の要因に基づく摩擦を低減できる。
上述の様に、特許文献1〜7に記載された発明の構造は、何れも、前記(1)〜(3)のうちの何れかの要因に基づく、スラストころ軸受の回転抵抗の増大を抑えられる。但し、これら(1)〜(3)の要因を総て低減できる構造ではなく、この回転抵抗を、必ずしも十分には低減できない。又、単に前記(1)〜(3)の要因を解消してスラストころ軸受の回転抵抗を低減する事のみを考慮して、前記特許文献1〜7に記載された発明の構造を組み合わせても、各ころの姿勢が不安定になる(自転軸が保持器の径方向からずれ易くなる)等により、却って前記スラストころ軸受の回転抵抗が大きくなる可能性がある。即ち、前記(1)の要因に基づく回転抵抗を低減すべく、軌道面の断面形状を凸円弧形とすると共に、各ころの軸方向端面を部分球面状の凸面とした場合、これら各ころの姿勢が不安定になり、必ずしも前記スラストころ軸受の回転抵抗を低減できない。
特開平7−119740号公報 特開2007−16810号公報 特開2007−170447号公報 特開2001−65574号公報 特開2007−327596号公報 特開2008−240750号公報 特開2004−156738号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、各ころの姿勢を不安定にする事なく、前述した(1)〜(3)の様な総ての要因に基づく摩擦を低減して、回転抵抗を安定して低く抑えられるころ軸受の構造を実現すべく発明したものである。
本発明のスラストころ軸受は、前述した従来から知られているスラストころ軸受と同様に、複数のころと、少なくとも1枚のレースと、保持器とを備える。
このうちの各ころは、放射方向に配列されている。
又、前記レースは、軸受鋼板、肌焼鋼板等の硬質で、厚さTの金属板により円輪状に形成されて、これら各ころの転動面を転がり接触させる軌道面を有する。
又、前記保持器は、円輪状の主部、及び、この主部の径方向中間部に放射方向に形成されて、それぞれの内側に前記各ころを転動自在に保持する複数のポケットを有する。
特に、本発明のスラストころ軸受に於いては、前記レースを構成する金属板の厚さTが、0.5〜1.5mmである。
又、前記レースの軌道面のうち、このレースの径方向に関する中間部分がスラスト荷重を負荷する事により弾性変形可能な、前記各ころの転動面側に突出する断面凸形状である。この場合に、前記中間部分の断面形状を、例えば、中央部が前記各ころの転動面側に突出する凸円弧状とする。
又、前記レースの軌道面のうち、前記中間部分である断面凸形状部分の突出高さをHとした場合に、前記厚さTが0.5〜1mmの範囲では、前記突出高さHを5〜40μmとし、前記厚さTが1〜1.5mmの範囲では、前記突出高さHを5〜30μmとする。
又、前記保持器の軸方向に関する位置決めが、前記各ポケットの周方向両側縁と前記各ころの転動面との係合に基づいて図られるころ案内構造である。
更に、前記各ころの軸方向端面のうち、これら各ころの径方向に関する中央部が、これら各ころの中心軸に対し直交する方向に存在する平坦面であり、同じく径方向に関する外寄り部分が、直径方向外側に向かうに従って前記各ころの軸方向中央部に向かう方向に傾斜した傾斜面である。
尚、前記平坦面の直径は、好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記各ころの直径の20〜80%とする。尚、この値は、より好ましくは、40〜75%、最も好ましくは50〜70%とする。
上述の様に構成する本発明のスラストころ軸受を実施する場合に、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記保持器を、それぞれが金属板を折り曲げ形成した第一、第二の保持器素子を組み合わせて成る組み合わせ保持器とする。この場合に、これら第一、第二の保持器素子はそれぞれ、ポケットを形成する為の矩形の透孔を円周方向複数個所に形成した円輪状の平板部の内外両周縁部を軸方向に関して同じ側に折り曲げる事により、内径側、外径側両円筒部を形成して成るものとする。そして、前記第一、第二の保持器素子の前記平板部を軸方向に関して互いに逆側に配置すると共に、これら両平板部に形成した前記各透孔の円周方向に関する位相を一致させた状態で、前記第一の保持器素子の内径側円筒部を前記第二の保持器素子の内径側円筒部に外嵌する。同時に、この第一の保持器素子の外径側円筒部をこの第二の保持器素子の外径側円筒部に内嵌させる。又、これら各保持器素子の円周方向に関する前記各透孔の幅は、各ころの外径よりも小さくする。そして、これら各透孔の周方向両側縁とこれら各ころの転動面との係合に基づき、これら各ころに対する前記保持器の軸方向に関する位置決めを図る。
或いは、請求項4に記載した発明の様に、前記保持器を、1枚の金属板を、径方向に関する断面形状をクランク形に曲げ形成する事により造られたものとする。具体的には、前記保持器を、この保持器の軸方向一端寄り部分に配置された内径側平板部と、同じく軸方向他端寄り部分に配置された中間平板部と、同じく軸方向一端寄り部分に配置された外径側平板部とを備え、各ポケットを、前記内径側平板部からこの外径側平板部に亙って形成したものとする。そして、これら各ポケットの周方向両側縁のうちで、これら内径側、外径側両平板部に対応する部分と各ころの転動面との係合に基づき、前記保持器がこれら各ころに対して軸方向他端側に変位する事を阻止し、同じく前記中間平板部に対応する部分とこれら各ころの転動面との係合に基づき、前記保持器がこれら各ころに対して軸方向一端側に変位する事を阻止する事により、これら各ころに対する前記保持器の軸方向に関する位置決めを図る。
上述の様に構成する本発明のスラストころ軸受によれば、前述した(1)〜(3)の様な要因に基づく摩擦を低減して、回転抵抗を安定して低く抑えられる。
先ず、レースの軌道面の径方向中間部分の断面形状を、例えば凸円弧状等の凸形状としている為、この軌道面と各ころの転動面との転がり接触部での差動滑りが大きくなる、これら各ころの軸方向両端部分の面圧を低く抑えられる。この為、この差動滑りに基づく回転抵抗の増大を抑えられる。
但し、前記差動滑りに基づく回転抵抗の増大を抑える為に、前記転がり接触部の面圧を、軸方向中央部で高く、軸方向両端部で低くすると、そのままでは、前記各ころの姿勢が不安定になり、これら各ころの中心軸の方向と、保持器の直径方向とがずれ易くなる。言い換えれば、これら各ころの公転方向に一致する、この保持器の周方向と、これら各ころが転がろうとする方向(各ころの中心軸に対し直角な方向)とがずれ易くなる。そして、ずれた場合には、そのずれの大きさに応じて、前記転がり接触部で発生する滑りが大きくなり、前記回転抵抗が大きくなる。これに対して本発明の場合には、前記各ころの軸方向端面のうち、これら各ころの径方向に関する中央部を、これら各ころの中心軸に対し直交する方向に存在する平坦面としている為、この平坦面とポケットの内面との係合により、前記各ころの中心軸と前記保持器の直径方向とがずれる事を抑えられて、このずれに基づいて前記転がり接触部で発生する滑りを抑えられる。この場合でも、前記各ころの軸方向端面のうちの径方向に関する外寄り部分を傾斜面としている為、これら各ころの自転に基づく、これら各ころの軸方向端面と前記ポケットの内面との擦れ合い部の回転半径を小さく抑えられて、この擦れ合い部での摩擦抵抗を抑えられる。
更に、本発明の場合には、前記保持器の軸方向に関する位置決めを、ころ案内構造で図っている為、この保持器の軸方向両側面と、前記各ころの転動面が転がり接触する1対の軌道面とを十分に離隔させる事ができる。この為、互いに対向するこれら両軌道面と前記保持器の軸方向両側面との間には、何れの側に関しても、この保持器の回転抵抗を増大させる様な(互いに対向する面同士の間に掛け渡される様な)油膜が形成される事はない。この為、前記保持器の回転抵抗の低減を図る事でも、スラストころ軸受の動トルクの低減を図れる。
しかも、本発明のスラストころ軸受の場合には、前述した各構成要件を適切に組み合わせる事により、負荷容量を低減する事なく、動トルクを低減できる。言い換えれば、動トルクを同じとした場合には、負荷容量の増大を図れる。
本発明の実施の形態の第1例を示す、一方のレースのみを省略して示す部分切断斜視図(A)、両方のレースを省略して示す部分断面図(B)、一方のレース及び保持器を省略して示す部分切断斜視図(C)。 レースの断面形状の5例を示す、部分断面図(A)〜(D)及び軌道面の母線を示す線図(E)。 ころの端面形状に関して、(A)は本発明に属する形状を、(B)(C)は本発明から外れる形状を、それぞれ示す部分側面図。 本発明の技術的範囲から外れる比較例の構造を示す、図1と同様の図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、ころ及び保持器を取り出した状態で示す断面図(A)、(A)のP部を拡大して示す斜視図(B)。 レースの軌道面の凸曲面部の有無がスラストころ軸受の動トルクに及ぼす影響を知る為に行った実験のうち、アキシアル荷重が500Nの場合の結果を示す線図。 同じく1000Nの場合の結果を示す線図。 本発明の実施に使用できるレースの形状の別の3例を示す断面図。 従来から知られているころ軸受の第1例を、組み立て前の状態(A)と組み立て後の状態(B)とで示す部分断面図。 同第2〜3例を示す部分断面図。 クラウニングを施したころの1例を示す側面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜4を参照しつつ、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第1例に就いて説明する。本例のスラストころ軸受は、複数のころ1b、1bと、1対のレース2Aと、1個の保持器3aとを備える。尚、図面には、これら各ころ1b、1b及び保持器3aを明りょうに示す為、1対のレースのうちの一方のレース2Aのみを描き、他方のレースは省略している。
前記各ころ1b、1bは、前記レース2Aの片面に形成した軌道面4Aに沿って、放射方向に配列されている。即ち、前記各ころ1b、1bの中心軸を、前記レース2Aの径方向に配置している。本例の場合、これら各ころ1b、1bとして、それぞれの転動面10にクラウニングを施したものを使用している。尚、これら各ころ1b、1bの転動面10のクラウニングに関しては、明りょう化の為に、誇張して(曲率半径を実際の場合よりも小さくして)示している。本発明を実施する場合、前記転動面10のクラウニングは必須ではなく、省略する事もできる。更に、本例のスラストころ軸受の場合には、前記各ころ1b、1bの軸方向両端面のうち、これら各ころ1b、1bの径方向に関する中央部に、それぞれ平坦面11、11を形成している。これら各平坦面11、11の方向は、前記各ころ1b、1bの中心軸に対し直交する方向である。
又、前記各ころ1b、1bの軸方向両端面のうちで径方向に関する外寄り部分に、図3の(A)に示す様に、直径方向外側に向かうに従ってこれら各ころ1b、1bの軸方向中央部に向かう方向に傾斜した、傾斜面12を形成している。尚、これら各ころ1b、1bの中心軸の方向に対する、この傾斜面12の傾斜角度は、図3の(C)に示す様な、一般的な面取りとして形成される傾斜面12aの傾斜角度よりも大きく(90度に近く)している。この構成により、前記傾斜面12の軸方向寸法Lを大きくする事なく、この傾斜面12の径方向に関する幅寸法W12を確保して、前記平坦面11の直径dを適正寸法にできる様にしている。即ち、この平坦面11の直径dを、前記各ころ1b、1bの直径Dの20〜80%{d=(0.2〜0.8)D}としている。
又、前記両レース2Aは、後述する様な硬質の金属板に、プレスによる打ち抜き、折り曲げ等の加工を施す事により、断面L字形で全体を円輪状に形成している。このうちの円輪部13の片面を前記軌道面4Aとすると共に、内周縁部に、円筒状のフランジ部5bを形成している。そして、この軌道面4Aのうち、前記レース2Aの径方向に関する中間部分を、この軌道面4Aの全周に亙り連続する凸曲面部14としている。この構成により、本例のスラストころ軸受に負荷(スラスト荷重)が加わらない状態で、前記軌道面4Aと前記各ころ1b、1bの転動面10とが、この転動面10の軸方向中間部でのみ当接し、軸方向両端部では当接しない様にしている。そして、負荷が加わった状態では、前記軌道面4Aと前記各ころ1b、1bの転動面10とが、この転動面10の軸方向全長に亙って転がり接触するが、接触部の当接圧が、この転動面10の軸方向中間部で高く、軸方向両端部で低くなる様にしている。
前記凸曲面部14を含む、前記レース2Aの断面形状は、使用形態に応じて設計的に規制するが、例えば図2の(A)〜(E)に示す様な形状を採用できる。このうちの(A)に示した断面形状は、比較的曲率半径を大きくする事により、前記凸曲面部14の幅寸法Wを大きく(前記各ころ1b、1bの軸方向に関する長さ寸法に近く)し、且つ、この凸曲面部14を円輪部13の幅方向(径方向)中央部に設置したものである。これに対して(B)に示した断面形状は、比較的曲率半径を小さくする事により、前記凸曲面部14の幅寸法wを小さく(前記各ころ1b、1bの軸方向に関する長さ寸法よりも十分に短く)すると共に、設置位置を円輪部13の径方向外側に偏らせたものである。図2の(B)の場合、この様に前記凸曲面部14の設置位置を偏らせ、前記円輪部13のうちでこの凸曲面部14よりも径方向に関して外側部分に存在する外径側平面部15の幅寸法aを、同じく内側部分に存在する内径側平面部16の幅寸法bよりも小さく(a<b)している。
前記(B)に示した断面形状を採用する事により、前記幅寸法wが小さな凸曲面部14を採用した場合にも、スラストころ軸受がスラスト荷重を支承する際に、この凸曲面部14が滑らかに押し潰される様にしている。この理由は、次の通りである。前記スラストころ軸受がスラスト荷重を支承する際には、前記凸曲面部14が押し潰される結果、この凸曲面部14の径方向に関する幅寸法が拡がる。この様に凸曲面部14の幅寸法が拡がる際には、外径側平面部15の外径が拡がるか、又は前記内径側平面部16の内径が縮まるかして、前記幅寸法の拡張分を吸収する必要がある。前記(B)に示した断面形状によれば、前記外径側平面部15の幅寸法aを小さくして、この外径側平面部15の外径が拡がり易くして、前記凸曲面部14が滑らかに押し潰される様にしている。
尚、前記(B)に示した断面形状とは異なり、凸曲面部14を円輪部13の径方向内側に偏らせ、内径側平面部16の幅寸法を小さくしても、この円輪部13の内周縁部のフランジ部5bの存在により、この内径側平面部16の内径が縮まる事に対する抵抗を十分に小さくはできない。従って、前述の図9の上側のレース2aの様に、フランジ部5aが外径側に存在する場合には、凸曲面部14を円輪部13の径方向内側に偏らせ、内径側平面部16の幅寸法を小さくする事が好ましい。何れにしても、前記外径側、内径側両平面部15、16は、前記レース2Aをバックアップする何れかの面(例えば、ケーシング等の固定部分又はギヤ等の回転部材の一部に存在する平面)に当接させた状態で互いに同一平面上に位置させて、前記スラスト荷重を支承する際に、前記凸曲面部14の弾性変形が円滑に行われる様にする。
上述の様に、スラストころ軸受がスラスト荷重を負荷して凸曲面部14が押し潰される際には、円輪部13の内外両周縁のうちで、フランジ部を設けていない側の端縁の直径が拡がるか、又は縮まる。この際、この端縁のうちで、前記レース2Aをバックアップする前記何れかの面と擦れ合う部分が尖っていると、当該部分がこの面に食い込んで(この面に引っ掛かりやかじりを生じて)、前記凸曲面部14が押し潰される事に対する抵抗が大きくなる可能性がある。そこで、この様な原因による抵抗の増大を防止する為に、図2の(C)(D)に示す様に、前記端縁のうちで前記何れかの面と擦れ合う部分を凸曲面とする事が好ましい。このうちの(C)に示した構造は、円輪部13の外周縁部全体を前記何れかの面から離れる方向に湾曲させて凸曲面17aを形成したもの、(D)に示した構造は、円輪部13の外周縁部のうちで前記何れかの面と対向する部分に凸曲面17bを形成したものである。
何れの構造によっても、前記凸曲面部14が押し潰されて、その幅寸法が拡がる際に、前記端縁が前記何れかの面に食い込む事を防止して、前記凸曲面部14が押し潰される事に対する抵抗を、安定して低く抑えられる。又、前記凸曲面17a、17bの存在により、前記円輪部13と前記何れかの面との擦れ合い部に潤滑油が入り込み易くなり、前記凸曲面部14の幅寸法の拡縮に伴って、この擦れ合い部にフレッチング摩耗等の損傷が発生する事を抑えられる。同様に、前記凸曲面部14と反対側に存在する凹曲面の幅方向(径方向)両端縁部と平坦面部との連続部にも凸曲面17c、17dを形成して、これら各連続部と前記何れかの面とが強く擦れ合わない様にしたり、擦れ合い部に潤滑油が入り込み易くする事が好ましい。前記(C)に示した凸曲面17aは、レース2Aの一部を塑性変形する事により形成するが、前記(C)(D)に示した凸曲面17b〜17dは、塑性加工の他、バレル加工やショット加工により形成する事もできる。
又、レース2Aに形成する凸曲面部14の断面形状は、図2の(A)〜(C)に示す様に、途中で曲率半径が変化しない単一円弧としても、或いは、(D)に示す様に、互いに曲率半径が異なる複数の円弧を滑らかに連続させた複合円弧としても良い。複合円弧とする場合に好ましくは、径方向外側部分の曲率半径を大きく、同じく内側部分の曲率半径を小さくする。この理由は、スラストころ軸受の運転時に各ころ10、10は、遠心力により径方向外方に変位し、前記凸曲面部14のうちで径方向外寄り部分に転がり接触する為、径方向外側部分の曲率半径を大きくする事が、前記各ころ10、10の姿勢を安定化させる面から有利な為である。
又、凸曲面部14の断面形状は、正弦波曲線形状、放物線形状、正規分布形状等も採用可能である。このうちの正弦波曲線形状の1例を、図2の(E)に示す。この正弦波曲線形状は、例えばy=K・sinθで表される。更には、特許文献4記載されている様な、対数クラウニング形状する事もできる。
前記何れかの面と対向する部分に凸曲面17b〜17dを形成する事は、凸曲面部14の断面形状の相違に関係なく、同じである。
又、前記レース2Aの径方向に関する、前記凸曲面部14の位置は、前記保持器3aのポケット9a、9a内に保持された前記各ころ1b、1bの位置との関係で適切に規制する。具体的には、前記レース2Aの径方向に関する、前記凸曲面部14の中心を、前記各ころ1b、1bの長さ方向のほぼ中央位置にする。言い換えれば、この凸曲面部14の幅方向中央位置の直径と、前記各ころ1b、1bのピッチ円直径(PCD)とをほぼ同じとする。但し、この凸曲面部14の径方向位置は、この凸曲面部14の断面形状や前記各ころ1b、1bの転動面10の母線形状(クラウニングが存在するか否か)、円筒ころ軸受の使用状態(円筒ころ軸受全体が公転するか否か)等に応じて適宜設定する。
何れの場合でも、前記レース2Aを構成する金属板の厚さ寸法T、前記凸曲面部14の高さHは、前記スラストころ軸受の寸法、負荷容量等の仕様に応じて設計的に定める。例えば、前記厚さ寸法Tは、0.1〜3mmの範囲とする。本例のスラストころ軸受は、使用状態で前記レース2Aを、スラスト方向に互いに対向する1対の面のうちの何れかの面に当接させ、当該面によりバックアップした状態で使用する。従って、この面の剛性さえ十分に高ければ、スラスト荷重を支承する面からは、前記厚さ寸法が小さくても問題を生じにくい。但し、本例のスラストころ軸受の場合、スラスト荷重を負荷する際に、前記凸曲面部14を弾性変形させつつ、前述した様な(軸方向中間部で高く、軸方向両端部で低くなる)面圧分布を実現する。この様な面圧分布を実現する際、前記凸曲面部14を、適切に弾性変形させて、前記転がり接触部の軸方向全長に亙り、偏荷重や過大な荷重が加わらない様にする(偏荷重を吸収し、部分的に過大な荷重が加わる事を防止する)必要がある。この様な点を考慮した場合、前記厚さ寸法Tが0.1mm以下では、前記偏荷重を吸収する能力が乏しくなり(極く小さな偏荷重でも前記凸曲面部14が変形してしまい)、偏荷重に基づいて部分的に過大な面圧が加わる事を防止できない。これに対して、前記厚さ寸法Tが3mmを超えると、スラスト荷重に基づいて弾性変形し難しくなり、偏荷重が加わった場合にこれを吸収しにくくなるだけでなく、過大なスラスト荷重が加わった場合に、割れ等の損傷が発生する可能性を生じる。
又、前記レース2Aを構成する硬質金属板の材質としては、SUJ2等の軸受鋼、SK5等のSK鋼、浸炭鋼等が好ましく、一般的には、これらを所定の形状に加工した後、熱処理により硬化したものを使用する。この様な条件で造られた前記レース2Aの表面硬度は、一般的には、Hv600を超える。この様な高い硬度を有するレース2Aの場合、板厚が大きくなると、前記凸曲面部14部分を、押し潰し方向に弾性変形させる事が困難になる。硬質金属板の材質によっては、上述した様に、前記厚さ寸法Tを0.1〜3mmの範囲で選択可能であるが、前記硬質金属板が、SUJ2等の軸受鋼、SK5等のSK鋼(炭素工具鋼)、浸炭鋼の何れかである場合には、前記厚さ寸法を、好ましくは0.5〜2mmの範囲に、より好ましくは0.7〜1mmの範囲に規制する。
又、前記凸曲面部14の高さHは、前記スラストころ軸受の使用時に加わるスラスト荷重の大きさ(負荷容量)や前記厚さ寸法Tを含む、各種使用条件等を考慮して適宜決定する。一般的には、前記高さHを、凡そ1〜100μmの範囲に規制する事が好ましい。この高さHが1μm未満の場合には、前記凸曲面部14の弾性変形に基づく面圧分布の調節による、前記差動滑りの摩擦低減効果を殆ど得られない。これに対して、前記高さHが100μmを超えると、通常の使用状態で前記凸曲面部14が十分に押し潰されず、前記各ころ1b、1bと前記軌道面4Aとの転がり接触部の面積を十分に確保できなくなり、この転がり接触部の面圧が過大になって、前記各ころ1b、1bの転動面10や前記軌道面4Aの転がり疲れ寿命を確保しにくくなる。そこで、前記高さHを凡そ1〜100μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは5〜40μmの範囲に規制する。より具体的には、前記厚さTとの関係で、次の様に規制する事が好ましい。
厚さTが0.5〜1mmの場合 : 高さHを5〜40μm
厚さTが1〜1.5mmの場合 : 高さHを5〜30μm
厚さTが2mm以上の場合 : 高さHを5〜20μm
即ち、この厚さTが大きくなる程、前記凸曲面部14が押し潰されにくくなる為、上述の様に高さHの最大値を小さく抑える。そして、この凸曲面部14が十分に押し潰される様にして、この凸曲面部14と前記各ころ1b、1bの転動面10との転がり接触部の当接面積を確保して、この転がり接触部の面圧が過大になる事を防止し、スラストころ軸受の耐久性を確保する。
尚、前記凸曲面部14の高さHは、前記レース2Aを構成する金属板の厚さTに対する比で規制する事もできる。例えば、上述の範囲と一部重複するが、この厚さTが、例えば0.8mm程度(0.7〜1mm)である場合には、前記高さHを、この厚さTの1/200〜1/20(4〜40μm)とする事が好ましい。より好ましくは、前記高さHを、前記厚さTの1/200〜1/50(4〜16μm)の範囲に規制する。この高さHをこの範囲に規制すれば、前記スラストころ軸受にスラスト荷重が負荷された際に、前記凸曲面部14を適切に弾性変形させて、このスラスト荷重が偏荷重や過大な大きさであった場合にも、前記転がり接触部の面圧が部分的に上昇する事を抑えられる効果に加えて、衝撃荷重を和らげる等の付加的な効果も顕著なものとなる為、好ましい。
更に、これらの効果を得る為に、前記凸曲面部14の径方向に関する幅寸法Wに就いても、適切に規制する。具体的には、この幅Wを、前記高さHの100倍以上(W≧100H)とする事が好ましく、より好ましくは、200倍以上(W≧200H)とする。但し、前記幅Wは、前記円輪部13の幅{図2の(B)の、a+w+b}の70%以下{W≦0.7(a+w+b)}とする。
以上に述べた、前記レース2Aに関する好ましい仕様をまとめると、次の様になる。
先ず、材質は、SK材(JIS G 4401の炭素工具鋼)が最も好ましい。
又、前記厚さ寸法Tは、0.7〜1mmの範囲に規制する事が最も好ましい。
又、前記高さHは、前記厚さTの1/200〜1/50(3.5〜20μm)の範囲に規制する事が、最も好ましい。
更に、前記幅Wは、前記高さHの200倍以上(0.7mm以上)、前記円輪部13の幅の70%以下に規制する事が、最も好ましい。
次に、前記保持器3aは、鋼板、ステンレス鋼板等の1枚の金属板を、径方向に関する断面形状をクランク型に曲げ形成する事により、一体に構成している。具体的には、前記保持器3aは、内径側から外径側に向けて順番に、ガイド円筒部18と、ガイド円輪部19と、内径側円筒部20と、内径側平板部21と、内径側段部22と、中間平板部23と、外径側段部24と、外径側平板部25と、外径側円筒部26とを備える。このうちのガイド円筒部18の内径は、前記レース2Aの内周縁部に形成したフランジ部5bの外径よりも僅かに大きくして、このフランジ部5bに前記ガイド円筒部18を、回転自在に外嵌可能としている。本例の場合、前記保持器3aのうち、前記各ころ1b、1bを転動自在に保持する為の本体部分は、前記各部18〜26のうちの、内径側円筒部20と、内径側平板部21と、内径側段部22と、中間平板部23と、外径側段部24と、外径側平板部25と、外径側円筒部26とが構成している。前記ガイド円輪部19は、この様な保持器2Aの本体部分を、前記フランジ部5bの周囲に、このフランジ部5bと同心に配置する役目を有する。
前記保持器2Aの本体部分は、この保持器2Aの軸方向一端(図1の上端)寄り部分に配置された前記内径側平板部21の外周縁と、同じく軸方向他端(図1の下端)寄り部分に配置された前記中間平板部23の内外両周縁と、同じく軸方向一端寄り部分に配置された前記外径側平板部25の内周縁とを、それぞれ前記内径側、外径側両段部22、24により連続させると共に、前記内径側平板部21の内周縁から前記内径側円筒部20を、前記外径側平板部25の外周縁から前記外径側円筒部26を、それぞれ連続させて成る。前記各ポケット9a、9aは、それぞれ、前記各平板部21、23、25及び前記両段部22、24を打ち抜く状態で、前記内径側、外径側両円筒部20、26同士の間部分に、放射状に設けている。
前記各平板部21、23、25の周方向両端縁部には、それぞれ係止突片27a、27b、27cを、前記各ポケット9a、9a内に突出する状態で形成している。これら各ポケット9a、9aの周方向両端部に互いに対向する状態で配置されて互いに対となる係止突片27a、27b、27cの先端同士の間隔は、前記各ころ1b、1bのうちで当該係止突片27a、27b、27cに整合する部分の外径よりも僅かに小さくしている。前記各ポケット9a、9a内に前記各ころ1b、1bを保持する際には、前記互いに対となる係止突片27a、27b、27cの先端同士の間隔を弾性的に拡げつつ、前記各ころ1b、1bを前記各ポケット9a、9a内に押し込む。この押し込みを完了した状態で、前記各係止突片27a、27b、27cの先端縁部と前記各ころ1b、1bの転動面との係合に基づき、前記保持器2Aがこれら各ころ1b、1bに対して軸方向に変位する事を抑える。即ち、これら各ころ1b、1bを前記各ポケット9a、9a内に転動自在に保持した状態で、所謂ころ案内の構造により、前記各ころ1b、1bに対する前記保持器2Aの軸方向に関する位置決めを図る。
又、上述の様に前記各ころ1b、1bを前記各ポケット9a、9a内に保持した状態で、これら各ころ1b、1bの軸方向端面の中央部に形成した前記平坦面11が、前記外径側円筒部26の内周面に対向する。
上述の様に構成する本例のスラストころ軸受によれば、前述した様な理由により、前記各ころ1b、1bの表面と相手面との接触部に作用する摩擦を低減して、回転抵抗を安定して低く抑えられる。
先ず、前記レース2Aの軌道面4Aの径方向中間部分に前記凸曲面部14を形成すると共に、前記各ころ1b、1bの転動面にクラウニングを施している為、差動滑りに基づく回転抵抗の増大を抑えられる。即ち、前記軌道面4Aと前記各ころ1b、1bの転動面10との転がり接触部のうち、これら各ころ1b、1bのピッチ円から径方向に外れた部分(前記軌道面4Aの外径寄り部分及び内径寄り部分=前記転動面10の軸方向両端寄り部分)では、これら各ころ1b、1bに関する、前記転動面10の周速と公転速度とに差が生じ、この差分だけの滑り(前記差動滑り)が発生する。これに対して本例の構造によれば、前記凸曲面部14及び前記クラウニングの存在に基づき、前記差動滑りが大きくなる、前記各ころ1b、1bの軸方向両端部分の面圧を低く抑えられる。そして、この面圧を低くできる分だけ、前記差動滑りに基づく回転抵抗の増大を抑えられる。
尚、上述の様な、差動滑りに基づく回転抵抗を低減する為には、前記各ころ1b、1bの転動面には、必ずしもクラウニングを施す必要はない。前記レース2Aの軌道面4Aの径方向中間部分に前記凸曲面部14を形成するのみで、前記各ころ1b、1bとして、転動面が単なる円筒状の、一般的なものを使用しても良い。何れにしても、本例の構造によれば、前記差動滑りに基づく回転抵抗の増大を抑えられる事に加えて、スラストころ軸受が偏荷重を受ける等により、前記各ころ1b、1bの中心軸と前記レース2Aの基準面(外径側、内径側両平面部15、16)とが非平行になった場合でも、前記凸曲面部14が前記転動面10の変位に伴って弾性変形し、前記転動面10の軸方向端縁と前記軌道面4Aとの接触によるエッジロードの発生防止を図れる。そして、これら転動面10や軌道面4Aに、早期剥離等の損傷が発生する事を防止できて、スラストころ軸受の寿命向上を図れる。
上述の様に、何れの形状のころ1b、1bを使用した場合でも、前記凸曲面部14を設ける事により、前記差動滑りに基づく回転抵抗を抑えられ、スラストころ軸受の寿命延長を図れるが、そのままでは、前記各ころ1b、1bの姿勢が不安定になる。即ち、前記転がり接触部の面圧を、前記転動面10の軸方向中央部で高く、軸方向両端部で低くすると、そのままでは、前記各ころ1b、1bの姿勢が不安定になり、これら各ころ1b、1bの中心軸の方向と、前記保持器2Aの直径方向とがずれ易くなる。言い換えれば、これら各ころ1b、1bの公転方向に一致する、前記保持器2Aの周方向と、これら各ころ1b、1bが転がろうとする方向とがずれ易くなる。そして、ずれた場合には、そのずれの大きさに応じて、前記転がり接触部で発生する滑りが大きくなり、前記回転抵抗が大きくなる。
これに対して本例のスラストころ軸受の場合には、前記各ころ1b、1bの軸方向端面の中央部に前記平坦面11を形成し、前記スラストころ軸受の運転時に、この平坦面11を前記保持器3aの外径側円筒部26の内周面に係合させる様にしている。即ち、本例のスラストころ軸受の運転時に前記各ころ1b、1bは、公転運動に基づく遠心力により、前記ポケット9a、9a内で、前記保持器3aの径方向外側に変位し、その結果、前記平坦面11が前記外径側円筒部26の内周面に当接する。この平坦面11の直径dは、前記各ころ1b、1bの直径Dの20%以上確保している為、この平坦面11と前記外径側円筒部26の内周面との係合(当接)により、前記各ころ1b、1bの中心軸と前記保持器3aの直径方向とがずれる事を抑えられて、このずれに基づいて前記転がり接触部で発生する滑りを抑えられる。一方、前記平坦面11の直径dは、各ころ1b、1bの直径の80%以下に抑えている為、これら各ころ1b、1bの自転に基づく、これら各ころ1b、1bの軸方向端面と前記外径側円筒部26の内周面との擦れ合い部の回転半径を小さく抑えられて、この擦れ合い部での摩擦抵抗を抑えられる。
尚、上述の様な、前記平坦面11を形成する事による効果を得る為には、この平坦面11の直径dを、前記各ころ1b、1bの直径Dの20〜80%の範囲に規制する必要がある。この値が20%未満の場合には、これら各ころ1b、1bの姿勢が不安定になり易く、これら各ころ1b、1bの自転方向と公転方向とのずれに基づく摩擦抵抗が大きくなり易くなる。例えば、図3の(A)に示す様な本例の構造に対して、図3の(B)に示す様な、軸方向端面を部分球状凸面とした構造の場合には、ころの姿勢が不安定になる。これに対して、前記値が80%を超えると、前記平坦面11と前記外径側円筒部26の内周面との摩擦が大きくなり、スラストころ軸受の動トルクの低減効果を十分に図れなくなる。例えば、図3の(C)に示す様に、軸方向端面の平坦面の直径を大きくした構造の場合には、ころの自転に基づくこの軸方向端面と相手面との摩擦が大きくなり、動トルクの低減を十分に図れなくなる。これらの点を考慮して、前記平坦面11の直径dを前記各ころ1b、1bの直径Dの20〜80%の範囲に規制するが、より好ましくは、この値を40〜75%、最も好ましくは50〜70%の範囲に規制する。
又、前記平坦面11の直径dを適切に規制する事による、摩擦抵抗の低減効果は、特に、高速運転時のスラストころ軸受の動トルクを低減する面から、顕著に得られる。低速でも効果はあるが、ころのピッチ円直径とスラストころ軸受の軸受回転速度(min-1)との積(dmn値)が40万を超える様な高速での運転時に、ころの安定性確保と摺接部の油膜形成の効果(ころが安定するから油膜が形成され易く、又、高速になると油膜が形成され易い)との相乗作用により、より顕著なトルク低減効果を示す。尚、この油膜形成が効果的に行われる様にする為には、前記ころ1bの転動面10と平坦面11とを連続させる部分を、前述した様に、このころ1bの中心軸に対する傾斜角度が大きな、前記傾斜面12とするか、曲率半径の大きな面取り(凸曲面状の傾斜面)とする。好ましくは、曲率半径の大きな面取りとし、面取り部の軸方向長さをできるだけ短くして、ころ1bの転動面10の有効長さを確保し、且つ、この転動面10から前記平坦面11までの部分に、バリやカエリの発生を抑制する。この様な傾斜面12や面取りを形成して、前記転動面10の有効長さを確保すれば、スラストころ軸受の定格荷重が低下する事がなく、このスラストころ軸受の耐久性が低下する事もない。
更に、本例のスラストころ軸受の場合には、前記保持器3aの軸方向に関する位置決めを、ころ案内構造で図っている。即ち、前記各ポケット9a、9aの円周方向両端縁からこのポケット内に突出させた各係止突片27a、27b、27cの先端縁と前記各ころ1b、1bの転動面10、10との係合により、これら各ころ1b、1bに対して前記保持器3aが、この保持器3aの軸方向に変位する事を防止している。この為、図1の(A)(B)から分かる様に、この保持器3aの軸方向両側面と、前記各ころ1b、1bの転動面が転がり接触する1対の軌道面4Aとを十分に離隔させる事ができる。この為、互いに対向するこれら両軌道面4Aと前記保持器3aの軸方向両側面との間には、何れの側に関しても、この保持器3aの回転抵抗を増大させる様な(互いに対向する面同士の間に掛け渡される様な)油膜が形成される事はない。又、潤滑油の量が少なく、この様な油膜が形成されない状況下でも、前記両軌道面4Aと前記保持器3aの軸方向両側面との擦れ合いを防止して、この保持器3aの回転抵抗の増大を抑えられる。
即ち、図4に示す様な、本発明の技術的範囲から外れる比較例の構造の様に、保持器3bの軸方向片面とレース2Bの軌道面4Bとの係合(当接)により図る構造の場合には、これら保持器3bの軸方向片面とレース2Bの軌道面4Bとの間に油膜が形成され、この油膜が、これら保持器3bとレース2Bとの相対回転に対する抵抗になる。或いは、前記両面が直接擦れ合って、この抵抗が大きくなる。これに対して本例の場合には、この様な油膜が形成されたり、前記両面が直接擦れ合う事を防止して、前記保持器3aの回転抵抗の低減を図れ、スラストころ軸受の動トルクの低減を図れる。尚、この効果を確実に得る為に、前記保持器3aの軸方向に関する厚さtは、前記各ころ1b、1bの直径Dの55〜85%{t=(0.55〜0.85)D}とする事が好ましい。より好ましくは、65〜85%{t=(0.65〜0.85)D}とする。
以上の様に、本例のスラストころ軸受の場合には、前述した各構成要件を適切に組み合わせる事により、負荷容量を低減する事なく、動トルクを低減できる。言い換えれば、動トルクを同じとした場合には、負荷容量の増大を図れる。
[実施の形態の第2例]
図5は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、保持器3cとして、第一、第二の保持器素子6a、7aを組み合わせたものを使用している。この様な保持器3cの基本的構造に就いては、前述の図9〜10に示した従来構造の保持器3の場合と同様である。特に、本例のスラストころ軸受の場合には、前記保持器3cの軸方向に関する位置決めを、上述した実施の形態の第1例の場合と同様に、ころ案内により図り、前記保持器3cの軸方向両側面と相手面との間に、回転抵抗の増大に繋がるほどの油膜が形成されない様に、十分な隙間が形成される様にしている。又、本例の構造の場合には、ころ1c、1cとして、転動面10を単純な円筒形としたものを使用している。その他の部分の構造及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
本発明の効果を確認する為に行った実験に就いて説明する。先ず、レースの軌道面の凸曲面部(中凸)の有無がスラストころ軸受の動トルクに及ぼす影響を知る為に行った実験に就いて、図6〜7を参照しつつ説明する。尚、これら図6〜7のうちの図6はスラスト荷重が500Nの場合に就いて、図7は同じく1000Nの場合に就いて、それぞれ示している。この様な図6〜7に示す様に、各ころの転動面と転がり接触する1対の軌道面の何れにも凸曲面部を設けない場合(両方中凸無し)と、駆動側(回転側)の軌道面にのみ凸曲面部を設ける場合(回転側のみ中凸)と、被駆動側(つれ回り側)の軌道面にのみ凸曲面部を設ける場合(つれ回り側のみ中凸)と、両方の軌道面に凸曲面部を設ける場合(両方中凸有り)とのそれぞれに就いて、スラストころ軸受の動トルクを測定した。潤滑油の供給量を1000ml/minと500ml/minとの2段階に、スラスト荷重を500Nと1000Nとの2段階に、それぞれ変化させた。潤滑油の種類は、オートマチックフルード(ATF)とし、油温は80℃とした。この様な実験の結果を表す図6〜7から分かる様に、前記スラストころ軸受の動トルクは、1対の軌道面の両方に凸曲面部を設ける場合に最も低くなり、次いでつれ回り側のみ設ける場合、回転側のみ設ける場合の順で低く、何れの軌道面にも凸曲面部を設けない場合に、最も動トルクが大きくなる。
次に、軌道面の凸曲面部と、ころの軸方向端面の中央部の平坦面と、ころによる保持器の位置決めとを総て組み合わせる事が、スラストころ軸受の低トルク化に及ぼす影響を知る為に行った実験に就いて説明する。
実験条件は、次の通りである。
軸受サイズ(内径×外径×ころ径) : 22×38×2.5(単位mm)
レースの軌道輪材質 : SK5
レースの厚さ : 0.8mm
回転速度 : 5000min-1
スラスト荷重 : 500N
潤滑油 : オートマチックフルード(ATF)
油温 : 100℃
凸曲面部の高さ : 10μm
ころの端面中央部の平坦面の直径 : 1.5mm
保持器の軸方向厚さ : 1.8mm
以上は、実施例1、2に関する条件で、実施例1の保持器は図5に示した構造のものであり、実施例2の保持器は図1に示した構造のものである。
又、比較例1として、軌道面に凸曲面部を設けているが、各ころの端面を、図3の(B)に示す様な部分球面状の凸曲面としたものを使用した。又、比較例2として、図5に示した構造の保持器を軌道輪案内としたものを、比較例3として、図1に示した構造の保持器を軌道輪案内としたものを、比較例4として、図1に示した構造で、軌道面に凸曲面部を備え、且つ、保持器の位置決めをころ案内としているが、ころの端面を部分球面状の凸曲面としたものを、それぞれ使用した。他の条件は、実施例1、2の場合と同様である。
そして、これら、実施例1、2、比較例1〜4のそれぞれに就いて、上述した運転条件下での動トルクを測定した。動トルクの値は、比較例1の値を1000とし、それとの比較で、それぞれ以下に示す。
実施例1 : 749
実施例2 : 793
比較例1 : 1000
比較例2 : 946
比較例3 : 952
比較例4 : 971
以上に述べた実験の結果から明らかな通り、軌道面の凸曲面部と、ころの軸方向端面の中央部の平坦面と、ころによる保持器の位置決めとの総ての要素を組み合わせる事により、スラストころ軸受に関して、これら各要素による個々の効果を足し合わせた以上の効果を得る事ができる。
本発明を実施する場合に、前述の図10の(B)に示す様な、フランジ部を持たない、平板状のレースを使用する事もできる。この場合に、レースの組み付け方向を識別できる様にする必要がある。この場合に於いて、特許文献2に記載されている様な、両面に凸曲面部を形成したレースを使用すれば、組み付け方向の識別が不要な構造で、軌道面に凸曲面を設ける事に伴う作用・効果を得られる。又、前述した実施例1の実験結果から分かる様に、凸曲面部は、1対のレースの両方に形成する事が好ましいが、周辺構造の制限等に応じて、片側のレースにのみ凸曲面部を設けても、或る程度の効果を得られる。但し、その場合には凸曲面部を設けるレースを、停止又は回転速度が低い側のレースとする事が好ましい。
又、本発明を実施する場合に使用するレースとしては、前述の図2の(A)〜(D)に示した様な、円輪部13に単一凸円弧状の凸曲面部14を形成したものに限らず、図8の(A)〜(C)に示す形状の凸曲面部14を形成したものも採用できる。このうちの(A)に示したレース2Cは、二重の同心円状の凸曲面部14を形成したもの、(B)に示したレース2Dは、角部を丸めた(曲面とした)三角状の凸曲面部14を形成したもの、(C)に示したレース2Eは、角部を丸めた(曲面とした)台形状の凸曲面部14を形成したものである。何れの形状を有するレース2C〜2Eを採用した場合でも、前述した(1)〜(3)の様な要因に基づく摩擦を低減して、回転抵抗を安定して低く抑えられる。尚、図8の(A)に示したレース2Cを採用する場合には、前述の(1)に示した差動滑りに基づく摩擦を低減する為には、内径側の凸部と外径側の凸部との距離を短くする事が好ましい。
1、1a、1b、1c ころ
2a、2b、2a′、2b′、2a″、2b″、2A、2B、2C、2D、2E
レース
3、3a、3b、3c 保持器
4a、4b、4a′、4b′、4a″、4b″、4A、4B 軌道面
5a、5b フランジ部
6、6a 第一の保持器素子
7、6b 第二の保持器素子
8、8a 透孔
9、9a、9b ポケット
10 転動面
11 平坦面
12、12a 傾斜面
13 円輪部
14 凸曲面部
15 外径側平面部
16 内径側平面部
17、17a、17b、17c 凸曲面
18 ガイド円筒部
19 ガイド円輪部
20 内径側円筒部
21 内径側平板部
22 内径側段部
23 中間平板部
24 外径側段部
25 外径側平板部
26 外径側円筒部
27a、27b、27c 係止突片

Claims (4)

  1. 放射方向に配列された複数のころと、
    厚さTの金属板により円輪状に形成されて、これら各ころの転動面を転がり接触させる軌道面を有する、少なくとも1枚のレースと、
    円輪状の主部、及び、この主部の径方向中間部に放射方向に形成されて、それぞれの内側に前記各ころを転動自在に保持する複数のポケットを有する保持器とを備えたスラストころ軸受に於いて、
    前記レースを構成する金属板の厚さTが0.5〜1.5mmであり、
    このレースの軌道面のうち、このレースの径方向に関する中間部分が、スラスト荷重を負荷する事により弾性変形可能な、前記各ころの転動面側に突出する断面凸形状であり、
    前記レースの軌道面のうち、前記中間部分である断面凸形状部分の突出高さをHとした場合に、
    前記厚さTが0.5〜1mmの範囲では、前記突出高さHが5〜40μmであり、
    前記厚さTが1〜1.5mmの範囲では、前記突出高さHが5〜30μmであり、
    前記保持器の軸方向に関する位置決めが、前記各ポケットの周方向両側縁と前記各ころの転動面との係合に基づいて図られるころ案内構造であり、
    前記各ころの軸方向端面のうち、これら各ころの径方向に関する中央部が、これら各ころの中心軸に対し直交する方向に存在する平坦面であり、同じく径方向に関する外寄り部分が、直径方向外側に向かうに従って前記各ころの軸方向中央部に向かう方向に傾斜した傾斜面である事を特徴とするスラストころ軸受。
  2. 各ころの軸方向端面の中央部に存在する平坦面の直径が、これら各ころの直径の20〜80%である、請求項1に記載したスラストころ軸受。
  3. 保持器が、それぞれが金属板を折り曲げ形成した第一、第二の保持器素子を組み合わせて成る組み合わせ保持器であり、これら第一、第二の保持器素子はそれぞれ、ポケットを形成する為の矩形の透孔を円周方向複数個所に形成した円輪状の平板部の内外両周縁部を軸方向に関して同じ側に折り曲げる事で、内径側、外径側両円筒部を形成して成るものであり、前記保持器は、前記第一、第二の保持器素子の前記平板部を軸方向に関して互いに逆側に配置すると共に、これら両平板部に形成した前記各透孔の円周方向に関する位相を一致させた状態で、前記第一の保持器素子の内径側円筒部を前記第二の保持器素子の内径側円筒部に外嵌すると共に、この第一の保持器素子の外径側円筒部をこの第二の保持器素子の外径側円筒部に内嵌させており、これら各保持器素子の円周方向に関する前記各透孔の幅は、各ころの外径よりも小さく、これら各透孔の周方向両側縁とこれら各ころの転動面との係合に基づき、これら各ころに対する前記保持器の軸方向に関する位置決めを図っている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したスラストころ軸受。
  4. 保持器が、1枚の金属板を、径方向に関する断面形状をクランク形に曲げ形成する事により造られて、この保持器の軸方向一端寄り部分に配置された内径側平板部と、同じく軸方向他端寄り部分に配置された中間平板部と、同じく軸方向一端寄り部分に配置された外径側平板部とを備え、各ポケットを、前記内径側平板部からこの外径側平板部に亙って形成したものであり、これら各ポケットの周方向両側縁のうちで、これら内径側、外径側両平板部に対応する部分と各ころの転動面との係合に基づき、前記保持器がこれら各ころに対して軸方向他端側に変位する事を阻止し、同じく前記中間平板部に対応する部分とこれら各ころの転動面との係合に基づき、前記保持器がこれら各ころに対して軸方向一端側に変位する事を阻止する事により、これら各ころに対する前記保持器の軸方向に関する位置決めを図っている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したスラストころ軸受。
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