JP5810627B2 - タンデムアンギュラ型玉軸受及びタンデムアンギュラ型玉軸受用外輪側組立品 - Google Patents

タンデムアンギュラ型玉軸受及びタンデムアンギュラ型玉軸受用外輪側組立品 Download PDF

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Description

この発明は、自動車用のデファレンシャルギヤ、トランスファ装置等の回転機械装置に組み込まれて、ラジアル荷重及びスラスト荷重が加わった状態で回転する回転軸を支承する為のタンデムアンギュラ型玉軸受の改良に関する。
自動車用のデファレンシャルギヤを構成するピニオン軸をデファレンシャルケース内に回転自在に支持する為の各種構造に就いては、特許文献1〜6に記載されている通り、従来から広く知られている。自動車用のデファレンシャル装置の運転時に、ピニオン軸には、大きなラジアル荷重及びスラスト荷重が同時に加わる為、ピニオン軸を支持する為の軸受には、ラジアル、スラスト両方向の負荷容量が十分に大きなものを使用する必要がある。この為、例えば特許文献1に記載されている、接触角の方向が互いに異なる、背面組み合わせ型の1対の円すいころ軸受を用いて、ピニオン軸をデファレンシャルケースの内部に、回転自在に支持している。
転がり軸受の技術分野では周知であるが、円すいころ軸受は、玉軸受に比べて、負荷容量が大きい代わりに、動トルク(回転抵抗)が大きくなる。この為、近年に於ける自動車の省燃費化の流れにより、デファレンシャルケースに対してピニオン軸を支持する為の1対の転がり軸受のうちの少なくとも一方の転がり軸受として、ラジアル、スラスト両方向の荷重を支承可能な、タンデムアンギュラ型玉軸受を使用する事が、前記特許文献1に記載されている様に、従来から考えられている。タンデムアンギュラ型玉軸受は、運転時に円すいころ軸受の場合の様な大きな滑り接触を伴わないので、動トルクを低く抑えられ、デファレンシャルギヤの抵抗を低くできる。
図15は、特許文献2に記載されている、アンギュラ型の玉軸受により構成した、デファレンシャルギヤ用のピニオン軸の回転支持装置の従来構造の1例を示している。尚、デファレンシャルギヤ全体の構造及び作用は従来から周知であり、特許文献1〜6にも記載されている為、図示並びに詳しい説明を省略し、以下、回転支持装置部分の構造に就いてのみ説明する。デファレンシャルケースの内部に1対の玉軸受1、2を、互いに離隔した状態で配置し、これら両玉軸受1、2によりピニオン軸3を支持している。これら両玉軸受1、2は、それぞれ玉に接触角を持たせたアンギュラ型玉軸受であり、これら両玉軸受1、2の接触角の方向を互いに逆向きとしている。従って、ピニオン軸3は、デファレンシャルケースの内部に、ラジアル荷重だけでなく、両方向のスラスト荷重を支承される状態で、回転自在に支持される。
両玉軸受1、2のうち、比較的大きなラジアル荷重及びスラスト荷重を支承するピニオンギヤ4の側(図15の左側、以下「ピニオンギヤ側」と言う)にある玉軸受1として、タンデムアンギュラ型玉軸受を使用している。これに対して、比較的小さなラジアル荷重及びスラスト荷重しか支承しないピニオンギヤ4から反対側(図15の右側、以下「反ピニオンギヤ側」と言う)の玉軸受2は、単列アンギュラ型玉軸受を使用している。尚、ピニオンギヤ側だけでなく、反ピニオンギヤ側もタンデムアンギュラ型玉軸受とする構造に就いても、特許文献2〜6に記載されている通り、従来から知られている。ピニオンギヤ側の玉軸受1は、ラジアル荷重に加えて、このピニオンギヤ4と噛合したリングギヤ(図示省略)から離れる方向(図15の右向き)のスラスト荷重を支承する。これに対して反ピニオンギヤ側の玉軸受2は、ラジアル荷重に加えて、前記リングギヤに近付く方向(図15の左向き)のスラスト荷重を支承する。
この例の場合、タンデムアンギュラ型玉軸受である、ピニオンギヤ側の玉軸受1は、外輪5と、内輪6と、複数個の玉7と、1対の保持器8、9とを備える。外輪5は、内周面に、互いに内径が異なる、複列アンギュラ型の外輪軌道10、11を設けている。両外輪軌道10、11の内径は、ピニオンギヤ側の外輪軌道10の方が大きく、反ピニオンギヤ側の外輪軌道11の方が小さい。又、内輪6は、外輪5の内径側に外輪5と同心に配置されており、外周面のうちで両外輪軌道10、11に対向する部分に、互いに外径が異なる、複列アンギュラ型の内輪軌道12、13を設けている。両内輪軌道12、13の外径は、ピニオンギヤ側の内輪軌道12の方が大きく、反ピニオンギヤ側の外輪軌道13の方が小さい。更に、各玉7は、両外輪軌道10、11と両内輪軌道12、13との間に、それぞれの列毎に複数個ずつ、両列で同じ方向の(並列組み合わせ型の)接触角を付与された状態で、転動自在に設けられている。又、両保持器8、9は、互いに直径が異なり、それぞれが両列の玉7を、転動自在に保持している。尚、これら両列の玉7の直径は、互いに同じである場合も、互いに異なっている場合もある。
この従来構造の第1例のタンデムアンギュラ型玉軸受1は、円すいころ軸受と異なり、運転時に大きな滑り接触を伴わないので、動トルクを低く抑えられ、デファレンシャルギヤの抵抗を低くできる。又、複列に配置した玉7により、ピニオンギヤ4と前記リングギヤとの噛合部で発生するラジアル荷重及びスラスト荷重を支承する為、これら両方向の荷重に関する負荷容量も十分に確保できる。但し、この玉軸受1では、タンデムアンギュラ型の構造に起因して、耐久性に就いて十分な信頼性を確保する観点から、次の様な改良が必要とされている。
即ち、玉軸受1を構成する外輪5は、デファレンシャルケースの内部に設けられた支持部21の支持孔22内に、締り嵌めで内嵌する必要があり、同じく内輪6はピニオン軸3に、締り嵌めで外嵌する必要がある。この理由は、デファレンシャルギヤの運転時に、外輪5及び内輪6と相手部材との嵌合部でクリープが発生する事を防止して、これら両嵌合部に、摩耗に基づくがたつきが発生する事を防止する為である。但し、玉軸受1の構成各部材を互いに分離しない様に組み立てた状態で、外輪5を支持孔22に、同じく内輪6をピニオン軸3に、それぞれ締り嵌めで嵌合固定する事はできない。この理由は、この嵌合固定作業に伴い、両外輪軌道10、11と両内輪軌道12、13の一部であって、各玉7の転動面が接触している部分に、ブリネル圧痕が形成され、玉軸受1の運転時に、過大な振動や騒音が発生する原因となるだけでなく、耐久性が著しく損なわれる為である。
この為、玉軸受1を、支持孔22の内周面とピニオン軸3の外周面との間に組み付ける場合には、例えば特許文献3に記載されている様に、予め、即ち、玉軸受1の構成各部材の組み立てを完了する以前に、支持孔22に外輪5を締り嵌めで内嵌し、ピニオン軸3に内輪6を締り嵌めで外嵌してから、外輪5と内輪6とを、各玉7を介して組み合わせている。この際、各玉7は、外輪5と内輪6との組み合わせに先立って、これらのうちの一方の軌道輪の周面部分(両外輪軌道10、11の内径側部分、又は、両内輪軌道12、13の外径側部分)に、両保持器8、9に保持された状態で配置しておく。そして、他方の軌道輪を、この他方の軌道輪を嵌合固定した部材と共に、各玉7の内径側部分又は外径側部分に進入させる。そして、各玉7の転動面を、それぞれの外輪軌道及び内輪軌道に接触させる。
この様な玉軸受1の組立作業の際、外輪5を内嵌固定したデファレンシャルケースと、内輪6を外嵌固定したピニオン軸3との位置決めを十分に精度良く行い、内輪6の中心軸と外輪5との中心軸とが正確に一致した状態のまま、内輪6と外輪5とを軸方向に近付け、外輪5の内径側に内輪6を進入させれば、組立後の玉軸受1の耐久性に、特に問題を生じる事はない。但し、組立装置の精度のばらつきや調整不良等により、内輪6の中心軸と外輪5の中心軸とが不一致のまま、例えば、これらに傾斜や偏心が存在する状態のまま、或いは、両列の玉7同士の間に傾斜がある等、各玉7の配置状態のずれが存在した状態のまま、内輪6と外輪5とを組み合わせると、一方の軌道輪に保持されている各玉7の転動面と、他方の軌道輪の周面とが勢い良く突き当たったり、強く擦れ合ったりする可能性がある。この様な可能性は、両保持器8、9により保持した各玉7を、一方の軌道輪の周面部分に配置する場合にも生じ得る。
一方、外輪5の内周面及び内輪6の外周面のうち、両外輪軌道10、11及び両内輪軌道12、13は、平滑な研磨面となっているが、これらの軌道から外れた部分は、粗面であったり、尖った角部が存在したりする。外輪5と内輪6との組み合わせ時に、これら粗面や角部が、各玉7のうちの一部の転動面に勢い良く突き当たったり、強く擦れ合ったりすると、その転動面に傷等の損傷が発生する可能性がある。この様な損傷の発生は、玉軸受1を組み込んだデファレンシャルギヤの運転時に、大きな振動や騒音を発生し易くするばかりか、玉の過度の寿命低下の原因となる為、タンデムアンギュラ型玉軸受の耐久性を損なう可能性がある。
又、図16〜18は、特許文献6に記載されている、タンデムアンギュラ型玉軸受の従来構造の別の例を示している。この従来構造の第2例のタンデムアンギュラ型玉軸受も、基本的な構造は、従来構造の第1例と同様である。尚、第1例でも同様であるが、大径側玉列を構成する各玉7と小径側玉列を構成する各玉7とに、互いに同じ向きの(並列組み合わせ型の)接触角が付与されている。これら両列の接触角θ1、θ2の大きさは、同じにする(θ1=θ2)事もできるし、異ならせる(θ1≠θ2)事もできる。
この従来構造の第2例に於いては、外輪5aは、大径側、小径側両外輪軌道10、11の軸方向片側(軸方向に関して「片側」とは、図16〜18の左側を言う。一方、図16〜18の右側を、軸方向に関して「他側」と言う。)に溝肩部を設けておらず、軸方向他側にのみ溝肩部16b、17bを設けている。これに対して、内輪6aは、大径側、小径側両内輪軌道12、13の軸方向両側に、それぞれ溝肩部18a、18b、19a、19bを設けている。又、大径側、小径側両保持器8、9は、各ポケット14、15内に各玉7を保持した状態で、各玉7が、各ポケット14、15内から径方向に抜け出る事を阻止できる様に構成されている。
この従来構造の第2例のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み立てる場合、先ず、図17に実線で示す様な、内輪側組立品31を組み立てる。この為に、同図に鎖線で示す様に、各玉7を、大径側、小径側両保持器8、9の各ポケット14、15内に保持する。尚、大径側保持器8の各ポケット14内に保持されている各玉7を、大径側保持器8を弾性変形させる事なく、大径側保持器8の外径側に最も寄せた状態での、これら各玉7の内接円の直径は、少なくとも大径側内輪軌道12の軸方向両側部分に存在する溝肩部18a、18bの外径よりも小さい。又、小径側保持器9の各ポケット15内に保持されている各玉7を、小径側保持器9を弾性変形させる事なく、小径側保持器9の外径側に最も寄せた状態での、各玉7の内接円の直径は、少なくとも小径側内輪軌道13の軸方向両側に存在する溝肩部19a、19bの外径よりも小さい。そして、上述の様に各玉7を大径側、小径側両保持器8、9の各ポケット14、15内に保持したならば、次いで、同図に矢印で示す様に、これら大径側、小径側両保持器8、9に保持された各玉7を、内輪6aの外径側に、内輪6aの軸方向他側から進入させる。これにより、同図に実線で示す様に、大径側、小径側両保持器8、9に保持された各玉7を、大径側、小径側両内輪軌道12、13の外径側に組み付ける。この際、大径側、小径側両保持器8、9に保持された各玉7は、大径側、小径側両保持器8、9を弾性変形させて、これら各玉7の内接円の直径を拡げつつ、各溝肩部18b、19a、19bを通過する。そして、通過後は、大径側、小径側両保持器8、9の弾性的復元により前記各玉7の内接円の直径が縮まり、これら各玉7が大径側、小径側両内輪軌道12、13の外径側に組み付けられた状態となる。
この様にして、内輪側組立品31を完成させた状態で、大径側、小径側両保持器8、9に保持された各玉7は、大径側、小径側両保持器8、9の各ポケット14、15内から外径側に抜け出る事を阻止されており、且つ、大径側、小径側両内輪軌道12、13から軸方向に抜け出る事を、各溝肩部18a、18b、19a、19bによって阻止されている。この為、内輪6aと大径側、小径側両保持器8、9と各玉7とは、内輪側組立品31として一体的に取り扱う事が可能となる。この内輪側組立品31を組み立てたならば、その後、図18に示す様に、内輪側組立品31を外輪5aの内径側に、外輪5aの軸方向片側から挿入する。これにより、図16に示す様に、大径側、小径側両保持器8、9に保持された各玉7を、大径側、小径側両外輪軌道10、11の内径側に組み付ける事によって、タンデムアンギュラ型玉軸受の組み立てを完了する。尚、この従来構造の第2例の場合、大径側、小径側両外輪軌道10、11の軸方向片側部分には、それぞれ溝肩部が存在しない為、上述の様な内輪側組立品31の挿入作業を、円滑に行う事ができる。
従来構造の第2例では、タンデムアンギュラ型玉軸受を、外輪5aと内輪側組立品31との、2つの要素に分けて取り扱える。この為、この内輪側組立品31を軸受メーカーで組み立ててから出荷すれば、デファレンシャル装置等の各種回転機械装置の組立現場で、このタンデムアンギュラ型玉軸受を使用箇所に組み付ける作業を容易に行う事ができる。
この様な従来構造の第2例の場合も、従来構造の第1例と同様に、このタンデムアンギュラ型玉軸受を、デファレンシャルケースの内部に設けられた支持部材21の支持孔22の内周面とピニオン軸3の外周面との間に組み付ける場合には、外輪5aを支持孔22に締り嵌めで内嵌し、内輪6aをピニオン軸3の先端寄り部分に締り嵌めで外嵌してから、これら外輪5aと内輪6aとを、各玉7を介して組み合わせる。
従来構造の第2例のタンデムアンギュラ型玉軸受を用いる場合には、内輪6aをピニオン軸3の先端寄り部分に締り嵌めで外嵌する以前から、内輪6aを大径側、小径側両保持器8、9及び各玉7と共に、内輪側組立品31として一体的に取り扱える。即ち、内輪側組立品31を組み立てた状態でも、内輪6aをピニオン軸3に締り嵌めで外嵌する作業を、内輪6aの軸方向端面を押圧する事によって行えば、この外嵌作業に伴って、大径側、小径側両内輪軌道12、13のうち、各玉7の転動面が接触している部分に、圧痕が形成される事はない。この為、タンデムアンギュラ型玉軸受を支持孔22の内周面とピニオン軸3の外周面との間に、構成部材を損傷せずに組み付ける作業を、容易に行う事ができる。
ところが、この従来構造の第2例のタンデムアンギュラ型玉軸受に於いても、次の様な解決すべき問題がある。
第1の問題は、大径側、小径側両外輪軌道10、11の軸方向片側部分に、それぞれ溝肩部が存在しない事に起因する問題である。例えば、一部のデファレンシャルギヤの様に、運転時にのみ軸受に潤滑油が供給される装置に、このタイプのタンデムアンギュラ型玉軸受を組み付けて使用すると、停止時に、大径側、小径側両外輪軌道10、11の下端部に潤滑油が溜まったままの状態にならず、これらの大径側、小径側両外輪軌道10、11の下端部の軸方向片側部分を通じて潤滑油が外部に流失する。この為、運転を再開した際の初期潤滑を良好にするのが難しいと言う問題がある。
第2の問題は、内輪側組立品31を組み立てた状態で、この内輪側組立品31の径方向の最外部に、複数個の玉7が露出した状態となる事に起因する問題である。即ち、タンデムアンギュラ型玉軸受を組み立てる前の、搬送中に、内輪側組立品31を構成する各玉7が他の物品にぶつかり易く、これら各玉7の転動面に、傷等の損傷が生じ易いといった問題がある。
この様な問題も、タンデムアンギュラ型玉軸受の耐久性の低下に結び付く問題である為、その解決が強く望まれている。
これまでも、動トルクの低減等、タンデムアンギュラ型玉軸受の特性を改善しようとする試みは多くなされている。しかしながら、特許文献1〜6を含む公知文献に於いては、タンデムアンギュラ型玉軸受の組立時に、各玉の転動面が損傷する事を防止する為の技術に就いては、何ら記載されていない様に、上述の様な問題に就いては、十分な解決が図られていないのが現状である。
特開平11−48805号公報 特開2004−169890号公報 特開2004−183745号公報 特開2009−138795号公報 特表2002−523710号公報 特開2004−124996号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、デファレンシャルケース等のハウジングの内部に設けられた支持部等の固定部分の内周面と、回転軸の外周面との間に組み付ける際に、各玉の転動面に、過度の寿命低下の原因となる程の、傷等の損傷が発生する事を防止して、運転時に過大な振動や騒音が発生する事がなく、且つ、優れた耐久性を確保できるタンデムアンギュラ型玉軸受を提供する事を目的とする。
又、本発明は、タンデムアンギュラ型玉軸受に於いて、2つの要素に分けて取り扱える様にすると共に、その搬送中に複数個の玉が他の物品にぶつかりにくい構造を実現しようとするものである。
本発明のタンデムアンギュラ型玉軸受は、従来から知られているタンデムアンギュラ型玉軸受と同様に、基本的に、内周面の軸方向片側に直径が相対的に大きい大径側外輪軌道を、同じく軸方向他側に直径が相対的に小さい小径側外輪軌道を、それぞれ有する外輪と、外周面の軸方向片側に直径が相対的に大きい大径側内輪軌道を、同じく軸方向他側に直径が相対的に小さい小径側内輪軌道を、それぞれ有する内輪と、円周方向複数箇所にポケットを有する、直径が相対的に大きい円環状の大径側保持器と、円周方向複数箇所にポケットを有する、直径が相対的に小さい円環状の小径側保持器と、前記大径側保持器の各ポケット内に保持された状態で、前記大径側外輪軌道と前記大径側内輪軌道との間に転動自在に設けられた、大径側玉列を構成する複数個の玉と、前記小径側保持器の各ポケット内に保持された状態で、前記小径側外輪軌道と前記小径側内輪軌道との間に転動自在に設けられた、小径側玉列を構成する複数個の玉とを備えている。又、前記大径側玉列を構成する各玉と前記小径側玉列を構成する各玉とに、互いに同じ向きの接触角が付与されている。
特に、本発明のタンデムアンギュラ型玉軸受に於いては、前記外輪は、前記大径側外輪軌道の軸方向両側部分、及び、前記小径側外輪軌道の軸方向他側部分に、それぞれ溝肩部を備えている。
同時に、前記内輪を、前記大径側内輪軌道の軸方向片側部分、及び、前記小径側内輪軌道の軸方向片側部分に、それぞれ溝肩部を備えると共に、前記大径側内輪軌道の軸方向他側部分、及び、前記小径側内輪軌道の軸方向他側部分には、それぞれ溝肩部を備えない様にする。
又、前記大径側保持器及び前記小径側保持器を、前記各ポケットの内径側の開口周縁部に係り代を全周に亙り設けたものとする事で、これら各ポケットの内径側の開口幅を前記各玉の直径よりも少しだけ小さくし、これら各ポケット内に前記各玉を保持した状態で、これら各ポケット内からこれら各玉が内径側に抜け出る事を阻止している。
更に、前記大径側保持器の各ポケット内に保持されている各玉を、この大径側保持器を弾性変形させる事なく、この大径側保持器の内径側に最も寄せた状態での、これら各玉の外接円の直径は、前記大径側外輪軌道の軸方向両側に存在する溝肩部の内径よりも大きくしている。
本発明に於いて、好ましくは、前記外輪が、前記大径側外輪軌道の軸方向両側部分、及び、前記小径側外輪軌道の軸方向両側部分に、それぞれ溝肩部を備える様にする。
代替的に、前記外輪は、前記小径側外輪軌道の軸方向片側部分に溝肩部を備えない様にする。更に、前記大径側保持器及び前記小径側保持器が、前記外輪とこの大径側保持器及びこの小径側保持器と前記各玉とを玉軸受としての完成状態と同じ位置関係で組み合わせて成る、外輪側組立品を構成した状態で、互いに近い側の端部同士が軸方向に関して対向する形状を備える様にする。
本発明の技術的範囲から外れる別発明に係るタンデムアンギュラ型玉軸受は、従来から知られているタンデムアンギュラ型玉軸受と同様に、外輪と、内輪と、複数個の玉とを備える。前記外輪は、内周面に、互いに内径が異なる、それぞれがアンギュラ型である2列の外輪軌道を設けている。又、前記内輪は、前記外輪の内径側にこの外輪と同心に配置され、外周面に互いに外径が異なる、それぞれがアンギュラ型である2列の内輪軌道を設けている。更に、前記各玉は、前記両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、それぞれの列毎に複数個ずつ、両列同士の間で同じ方向の接触角を付与された状態で、転動自在に設けられている。
特に、別発明に係るタンデムアンギュラ型玉軸受は、前記外輪の内周面のうちで、内径が小さい外輪軌道から、この外輪の軸方向両端面のうちで内径が大きい側の端面との連続部までの部分全体、及び、前記内輪の外周面のうちで、外径が大きい内輪軌道から、この内輪の軸方向両端面のうちで外径が小さい側の端面との連続部までの部分全体が、断面形状に関して微分不能な角部、即ち、尖った角部を有さず、且つ、研磨加工された平滑面となっている。
尚、本発明の解釈に於いては、外輪の内周面は、外輪の表面のうちで径方向内方から見た場合に見得る面全体と定義されるものとする。従って、はっきりと径方向内方に向いた内周面部分だけでなく、この内周面部分と軸方向端面との間に存在する、断面円弧形の連続部に関しても、外輪の内周面に含まれる。尚、この連続部は、前記内周面部分と連続する境界から外周縁部までを言う。同様に、内輪の外周面は、内輪の表面のうちで径方向外方から見た場合に見える面全体と定義され、はっきりと径方向外方を向いた外周面部分だけでなく、この外周面部分と軸方向端面との間に存在する、断面円弧形の連続部に関しても、この連続部の前記外周面部分と連続する境界から内周縁部までが、内輪の外周面に含まれるものとする。
尚、本発明のタンデムアンギュラ型玉軸受は、例えば自動車の動力伝達系統に組み込まれる機械装置を構成する回転軸、即ちデファレンシャル装置やトランスファ装置を構成するピニオン軸等を、回転自在に支持すると共に、この回転軸に作用するラジアル、アキシアル両方向の荷重を支承する為の用途に、好適に使用する事ができる。
本発明のタンデムアンギュラ型玉軸受によれば、大径側若しくは小径側の両外輪軌道のうちの少なくとも大径側外輪軌道の軸方向両側に溝肩部が設けられている。この為、例えば、一部のデファレンシャルギヤの様に、運転時にのみ軸受に潤滑油が供給される装置に於いて、本発明のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み付けて使用すれば、運転の停止時に、両外輪軌道のうち、軸方向両側に溝肩部が存在する外輪軌道の下端部に、潤滑油が溜まったままの状態にできる。従って、運転を再開した際の、両列の初期潤滑を良好にできる。即ち、両外輪軌道のそれぞれの軸方向両側に溝肩部が存在する場合には、運転の停止時に、これら大径側及び小径側の両外輪軌道の下端部に潤滑油が溜まったままの状態になる。この為、運転を再開した際には、これら両下端部に溜まっている潤滑油によって、両列の初期潤滑を良好にできる。又、大径側外輪軌道にのみ、軸方向両側に溝肩部が設けられている場合には、運転の停止時に、この大径側外輪軌道の下端部にのみ潤滑油が溜まったままの状態になる。但し、運転の再開と同時に、この大径側外輪軌道の下端部に溜まった潤滑油の一部が、当該外輪軌道を転走する玉に押されて外部に溢れ出し、これが小径側外輪軌道に入り込む事で、大径側外輪軌道を含む列だけでなく、小径側外輪軌道を含む列に関しても、初期潤滑を良好にする事ができる。
更に、外輪と、大径側及び小径側の両保持器と、大径側及び小径側の両玉列を構成する各玉とを、タンデムアンギュラ型玉軸受の組み立て完了時と同じ状態に組み合わせる事により、これら各部品を外輪側組立品として一体的に取り扱う事を可能としている。
この場合、タンデムアンギュラ型玉軸受を、外輪側組立品と内輪との2つの構成要素に分けて取り扱える。この為、この外輪側組立品を軸受メーカー等で組み立ててから出荷すれば、デファレンシャル装置等の各種回転機械装置の組立現場で、本発明のタンデムアンギュラ型玉軸受を使用箇所に組み付ける作業を容易に行う事が可能となる。
特に、本発明の場合、外輪側組立品を組み立てた状態で、複数個の玉は、外輪の内径側に配置される。この為、タンデムアンギュラ型玉軸受を組み立てる前の、搬送中に、各玉が他の物品にぶつかって損傷すると言った問題が発生する事を回避できる。
尚、本発明を実施する場合に好ましくは、前記各玉の硬度を、軌道輪(少なくとも内輪)の硬度よりも高くする。高くする程度としては、ロックウェル硬度(HRc)で、凡そ1若しくはそれ以上とする。この様に、前記各玉の表面の硬度を高くすれば、これら各玉の表面の損傷を、より確実に抑えられる。
又、前述した様な、別発明に係るタンデムアンギュラ型玉軸受によれば、デファレンシャルケースの様なハウジングの内部に設けられた支持部等の固定部分の内周面と、回転軸の外周面との間に組み付ける際に、各玉の転動面に、過度の寿命低下の原因となる程の、傷等の損傷が発生する事を防止できる。即ち、別発明に係るタンデムアンギュラ型玉軸受では、外輪の内周面及び内輪の外周面のうちで、前記固定部分に内嵌固定した外輪と、回転軸に外嵌固定した内輪とを組み合わせる際に、前記玉の転動面が接触する可能性のある部分全体を、尖った角部がなく、しかも平滑面となる様にしている。従って、前記組み付け作業の際に、何れかの玉の転動面が、前記外輪の内周面又は前記内輪の外周面の何れの部分に勢い良く突き当たったり、或いは強く擦れ合ったりした場合でも、当該玉の転動面に、上述の様な傷等の損傷が発生する事がない。この為、タンデムアンギュラ型玉軸受の運転時に、何れかの玉の転動面の損傷に起因する過大な振動や騒音の発生を防止でき、しかも、タンデムアンギュラ型玉軸受の耐久性を十分に確保する事ができる。
本発明に関する参考例の第1例を示す、タンデムアンギュラ型玉軸受の半部断面図。 同じく、外輪の内周面及び内輪の外周面のうち、断面形状の曲率半径を確保すべき部分を示す為の半部断面図。 同じく、外輪の内周面及び内輪の外周面のうち、外輪軌道及び内輪軌道から外れた部分で表面を平滑にすべき部分を示す為の半部断面図。 同じく、外輪を支持部に内嵌するのに先立って、この外輪の内径側に玉を組み付ける状態を示す半部断面図。 同じく、内径側に複数個の玉を組み付けた外輪を支持部に内嵌固定した後、これら各玉の内径側に、予めピニオン軸に外嵌固定した内輪を組み付ける状態を示す半部断面図。 本発明の実施の形態の第1例を示す、タンデムアンギュラ型玉軸受の断面図。 同じく、玉を保持した保持器の一部を示す断面図。 同じく、外輪側組立品を組み立てる状況を示す断面図。 同じく、外輪側組立品と内輪とを組み合わせてタンデムアンギュラ型玉軸受を完成させる状況を示す断面図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、タンデムアンギュラ型玉軸受の断面図。 同じく、外輪側組立品を組み立てる状況を示す断面図。 本発明に関する参考例第2例を示す、タンデムアンギュラ型玉軸受の断面図。 同じく、外輪側組立品を組み立てる状況を示す断面図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、タンデムアンギュラ型玉軸受の断面図。 従来構造のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み込んでいる、デファレンシャルギヤを構成するピニオン軸の回転支持部の1例を示す半部断面図。 従来構造のタンデムアンギュラ型玉軸受の別例を示す断面図。 同じく、内輪側組立品を組み立てる状況を示す断面図。 同じく、外輪と内輪側組立品とを組み合わせてタンデムアンギュラ型玉軸受を完成させる状況を示す断面図。
参考例の第1例]
図1〜5は、別発明に係る、本発明に関する参考例の第1例を示している。タンデムアンギュラ型玉軸受である本参考例の玉軸受1aは、外輪5bと、内輪6bと、複数個の玉7と、1対の保持器8、9とを備える。外輪5bは、内周面に、互いに内径が異なる、それぞれがアンギュラ型である2列の外輪軌道10、11を設けている。又、内輪6bは、外輪5bの内径側に外輪5bと同心に配置されており、外周面のうちで両外輪軌道10、11に対向する部分に、それぞれがアンギュラ型であって互いに外径が異なる、2列の内輪軌道12、13を設けている。運転時には、外輪5bと内輪6bとの間に、このうちの外輪5bを図1の左方に、内輪6bを同じく右方に、それぞれ押圧する方向のスラスト荷重が加わる。デファレンシャルギヤに組み込んだ状態では、内輪6bのうち外周面が大径である側が入力側となって、内輪6bに、図1〜3、5で右向きのスラスト荷重が加わる。これに対して、外輪5bのうち内周面が小径である側がこのスラスト荷重の出力側となり、このスラスト荷重に対する反力として外輪5bに、図1〜5で左向きの力が加わる。
両外輪軌道10、11の内径は、外輪5bに対する前記反力の作用方向前側(図1の左側)の外輪軌道10の方が大きく、同じく後側(図1の右側)の外輪軌道11の方が小さい。又、両内輪軌道12、13の外径は、内輪6bに対する前記スラスト荷重の作用方向後側(図1の左側)の内輪軌道12の方が大きく、同じく前側(図1の右側)の内輪軌道13の方が小さい。更に、各玉7は、両外輪軌道10、11と両内輪軌道12、13との間に、それぞれの列毎に複数個ずつ、且つ、両列同士の間で同じ方向の接触角α、βを付与された状態で、転動自在に設けられている。即ち、玉軸受1aは、並列組合せ型である。尚、接触角α、βは、同じでも、互いに異なっていても良い。又、両保持器8、9は、互いに直径が異なり、それぞれが両列の玉7を転動自在に保持している。尚、この玉軸受1aの基本的構成に就いては、図15に示した従来のタンデムアンギュラ型玉軸受1と同様である。
特に、本参考例の玉軸受1aの場合には、外輪5bの内周面のうちで、内径が小さい外輪軌道11から、外輪5bの軸方向両端面のうちで内径が大きい側の端面23との連続部までの部分全体を、断面形状に関して微分不能な角部がなく、即ち尖った角部がなく、滑らかに連続させ、且つ、研磨加工された平滑面としている。又、内輪6bの外周面のうちで、外径が大きい内輪軌道12から、内輪6bの軸方向両端面のうちで外径が小さい側の端面24との連続部までの部分全体を、断面形状に関して微分不能な角部がなく滑らかに連続させ、且つ、研磨加工された平滑面としている。尚、両端面23、24そのものは、必ずしも平滑面とする必要はないが、平滑面とする事は自由である。但し、両端面23、24と外輪5bの内周面又は内輪6bの外周面との連続部である、角部25a、25gは、何れも平滑面とする。
上述の点に就いて、図2〜3を参照しつつ、更に詳しく説明する。外輪5bの内周面のうちで両外輪軌道10、11部分、内輪6bの外周面のうちで両内輪軌道12、13部分は、従来から回転砥石による研磨加工を施して、平滑面としている。本参考例では、この部分のみならず、従来の構造では、特に研磨加工等の特別な加工が施される事なく、粗面や尖った角部がそのまま残されていた、前記両周面のうちで各軌道10〜13部分以外の部分に就いても、研磨加工を施して、平滑面としている。
例えば、図2に破線の丸印で示した、外輪5bの内周面のうちの6箇所位置、内輪6bの外周面のうちの3箇所位置の、合計9箇所位置の角部25a〜25iのうち、各軌道10、11、13の側縁部分に存在する角部25c、25d、25f、25h、25iに関しては、特別な加工が施されない限り、これら各軌道10、11、13を研磨加工する際に形成されるエッジ形状(断面形状が微分不能な尖端)がそのまま残される。又、残りの角部25a、25b、25e、25gに関しても、隣接する面を切削加工する際に形成されるエッジ形状がそのまま残される。要するに、特別な加工が施されない限り、何れの角部25a〜25iに於いても、微分不能な断面形状、即ち、或る1点に関して単一の接線を設定できない、断面形状の曲率半径がほぼ0である尖った形状がそのまま残される事になる。
又、図3に鎖線の楕円印により示した、外輪5bの内周面、内輪6bの外周面の2箇所位置ずつ、合計4箇所位置の傾斜面部26a〜26d、並びに、両外輪軌道10、11の大径側から連続する2箇所の円筒面部27a、27bに関しても、特別な加工が施されない限り、切削加工面や熱処理肌がそのまま残される。この様な粗面は、玉軸受1の組立時に、玉7の転動面を損傷させる原因となり易い。
本参考例の場合、外輪5bの内周面及び内輪6bの外周面に、両外輪軌道10、11部分及び両内輪軌道12、13以外の部分まで研磨加工を施して、各傾斜面部26a〜26d及び各円筒面部27a、27bを平滑面としている。即ち、各傾斜面部26a〜26d及び両円筒面部27a、27bに於ける表面粗さを、算術平均粗さ(Ra)で約0.4μmとなる平滑面としている。尚、各傾斜面部26a〜26d及び両円筒面部27a、27bの表面粗さに関しては、後述する様に、各軌道10〜13と同時に研磨する事を考慮して、上述の様にRa0.4μm程度としている。但し、Ra0.6μm程度、更にはRa0.8μm程度であっても、玉7の転動面の損傷防止の面では問題がない。表面粗さの値は、小さい程、玉7の転動面の損傷防止や良質の軌道10〜13を得る面からは好ましいが、過度に小さくしても、加工コストが嵩むだけになる。加工コストを考慮した場合、表面粗さRaを0.2μmよりも小さくする事は現実的ではない。
各傾斜面部26a〜26d及び両円筒面部27a、27bを上述の様な平滑面とすれば、これら各面部26a〜26d、27a、27bと各玉7の転動面とが、多少強く擦れ合ったとしても、これら各玉7の転動面に、過度の寿命低下の原因となる程の損傷が生じる事はない。尚、各面部26a〜26d、27a、27bの表面粗さは、後述する超仕上加工前に於ける、各軌道10〜13の表面粗さと同じとする事が、加工の容易化の面からは好ましい。この理由に就いては後述する。
更に、外輪5bの内周面のうちで、端面23から小径側の外輪軌道11までに存在する各面同士の間部分に存在する角部25a〜25f、並びに、内輪6bの外周面のうちで、端面24から傾斜面部26dまでの間部分に存在する角部25g〜25iに関しては、研磨加工により、断面形状の曲率半径が0.2mm以上である凸曲面であって、各面部26a〜26d、27a、27bと同等の平滑面としている。各角部25a〜25iの断面形状に関する曲率半径の上限値は特に規制されない。この曲率半径が大きい程、各玉7の転動面の損傷を防止する面からは有利になるが、徒に大きくしても、それ以上の損傷防止効果は期待できず、軌道面に隣接する角部25c、25d、25f、25h、25iに関しては、玉7の保持機能や転走面の幅寸法確保の面から弊害を生じる。従って、前記曲率半径の最大値は、これらの点や、場合によっては保持器8、9の形状や材質等を考慮して、設計的考慮により規制される。デファレンシャルギヤやトランスファ装置のピニオン軸支持用のタンデムアンギュラ型玉軸受の場合、1mmを超える程度まで曲率半径を大きくする事は、好ましくない。尚、各角部25a〜25iの断面形状は、単一円弧でも、或いは、互いに曲率半径の異なる複数の円弧を組み合わせて、滑らかに連続させた複合円弧でも良い。この場合、最も曲率半径が小さな円弧部分の曲率半径を0.2mm以上とする。
各角部25a〜25iの断面形状の曲率半径を大きくする事も合わせて、外輪5bの内周面及び内輪6bの外周面の形状及び性状(表面粗さ)を上述の様にする作業は、それぞれが加工すべき周面の母線形状と一致する母線形状を有する、所謂総型の回転砥石により行う事が好ましい。この理由は、当該周面の形状及び性状を一挙に加工できて、加工能率を良好にできるだけでなく、当該周面を幅方向に分割して別々の砥石により加工する場合の様に、分割部分に尖った段差等が生じる可能性をなくせる為である。この様な理由で、総型の回転砥石により前記両周面に仕上げ加工を施す事が好ましいが、総型の回転砥石の場合、全幅に亙って同じ性状とする事が現実的である。この様な理由から、各傾斜面26a〜26dの表面粗さは、各軌道10〜13の表面粗さと同じとする事が好ましい。尚、角部25b、25c同士の間部分、角部25e、25f同士の間部分に存在する円筒面部27a、27bに就いても、総型の回転砥石による加工を行い、同様の平滑面とする。この理由は、両円筒面部27a、27bに関しても、玉軸受1aの組み立て時に、各玉7の転動面と擦れ合うからである。
又、各軌道10〜12部分は、上述した様に、表面粗さRaを0.4μm程度の平滑面とした後、超仕上げ加工を施す。この超仕上げ加工に伴って、又、各軌道10〜12とこれら各軌道10〜12に隣接する部分との境目に、断面形状に関して、極く僅かな曲がり部が形成される、即ち、各軌道10〜12に隣接する部分の母線が、これら各軌道10〜12の断面形状の円弧に対し、完全には接線方向に存在しない状態となる可能性がある。但し、この様な曲がり部の曲がり角度、即ち、前記完全な接線方向に対する前記母線の方向のずれは極めて小さく、前記曲がり部が各玉7の転動面に、過度の寿命低下の原因となる程の、傷等の損傷を与える事はない。従って、この様な超仕上げ加工に伴って生じる曲がり部は、別発明の解釈に於いては、微分不能な角部とは扱われない。
上述の様な、本参考例のタンデムアンギュラ型玉軸受1aを、デファレンシャルケースの内部に設けられた支持部21aに設けた支持孔22aの内周面と、ピニオン軸3aの外周面との間(図5参照)に組み付けるには、最初に、図4に示す様に、両列の玉7をそれぞれ保持器8、9に保持した状態で、外輪5bの内周面に設けた、複列の外輪軌道10、11の内径側に組み付ける。両外輪軌道10、11に隣接する、両円筒面部27a、27bの内径は、両外輪軌道10、11の底部(最も内径が大きくなった部分)の内径よりも、少しだけ小さくなっている。この為、両保持器8、9に保持された各玉7は、これら両保持器8、9を弾性変形させて、各玉7の外接円の直径を縮めつつ、前記大径側の端縁部を通過する。そして、通過後は、これら両保持器8、9の弾性的復元により各玉7の外接円の直径を拡げ、これら各玉7の転動面の一部を、両外輪軌道10、11に弾性的に当接させる。この結果、図5の右上部分に示す様に、各玉7が外輪5bの内径側に、両保持器8、9を介して、不用意に分離しない様に組み付けられる。従って、両円筒面部27a、27bの内径は、材質、厚さ、形状、寸法等により定まる、両保持器8、9の弾性変形量等を考慮して、組み立て容易性と組み立て後の非分離性とを両立させられる様に、設計的に定める。
何れにしても、上述の様な組み付け作業の際、各玉7が、外輪5bの内周面に存在する角部25a〜25fや傾斜部26a、26bに突き当たったり擦れ合ったりする可能性がある。しかしながら、これら各角部25a〜25fは、曲率半径が0.2mm以上の凸曲面であるし、両傾斜部26a、26b及び両円筒面部27a、27bは平滑面であるから、各玉7の転動面が、過度の寿命低下の原因となる程の損傷を受ける事はない。尚、この様に、これら各玉7を外輪5bの内径側に組み付ける作業は、軸受の製造工場で行う事ができる。
上述の様に内径側に各玉7を組み付けた外輪5bは、デファレンシャルギヤの組立工場に運ばれ、図5の右上部分に示す様に、支持孔22aに、締り嵌めで内嵌固定する。この内嵌固定作業は、外輪5bの大径側の端面23を押圧する事により行える為、各玉7の転動面が両外輪軌道10、11に強く押し付けられる事はなく、これら両外輪軌道10、11にブリネル圧痕が形成される事はない。
この様にして、支持孔22aの内径側に外輪5bを内嵌固定したならば、次いで、この外輪5bの内径側に保持された各玉7の内径側に、内輪6bを挿入する。この内輪6bは、この挿入作業に先立って、図5の左下部分に示す様に、ピニオン軸3aに、締り嵌めで外嵌固定しておく。この様に各玉7の内径側に内輪6bを、図5に太矢印で示す様に挿入する際に、これら各玉7が、この内輪6bの外周面に存在する角部25g〜25iや傾斜面部26c、26dに突き当たったり擦れ合ったりする可能性がある。但し、これら各角部25g〜25iにしても、曲率半径が0.2mm以上の凸曲面であるし、両傾斜面部26c、26dにしても平滑面であるから、各玉7の転動面が、過度の寿命低下の原因となる程の損傷を受ける事はない。
これらにより、タンデムアンギュラ型玉軸受である本参考例の玉軸受1aを、支持部21aとピニオン軸3aとの間に組み付ける際に、各玉7の転動面に、過度の寿命低下の原因となる程の、傷等の損傷が発生する事を防止できる。この為、玉軸受1aを組み込んだデファレンシャルギヤ等の運転時に、何れかの玉7の転動面の損傷に基づいて、過大な振動や騒音が発生する事がなく、しかも、この玉軸受1a及びこれを組み込んだデファレンシャルギヤ等の装置の耐久性を十分に確保できる。
[実施の形態の第1例
図6〜9は、本発明に係る、実施の形態の第1例を示している。本例のタンデムアンギュラ型玉軸受は、外輪5cと、内輪6cと、大径側、小径側両保持器8a、9aと、大径側、小径側両玉列を構成する複数個の玉7とを備える。外輪5cは、内周面に、互いの内径が異なる、複列アンギュラ型の大径側、小径側両外輪軌道10、11を設けている。又、内輪6cは、外周面に、互いの外径が異なる、複列アンギュラ型の大径側、小径側両内輪軌道12、13を設けている。又、大径側、小径側両保持器8a、9aは、全体を円環状に構成すると共に、円周方向等間隔の複数箇所にポケット14a、15aを有する。又、大径側玉列を構成する各玉7は、大径側保持器8aの各ポケット14a内に保持された状態で、大径側外輪軌道10と大径側内輪軌道12との間に転動自在に設けられている。又、小径側玉列を構成する各玉7は、小径側保持器9aの各ポケット15a内に保持された状態で、小径側外輪軌道11と小径側内輪軌道13との間に転動自在に設けられている。又、この状態で、大径側玉列を構成する各玉7と小径側玉列を構成する各玉7とに、互いに同じ向きの(並列組み合わせ型の)接触角が付与されている。これら両列の接触角θ1、θ2の大きさは、同じにする(θ1=θ2)事もできるし、異ならせる(θ1≠θ2)事もできる。以上に述べた、タンデムアンギュラ型玉軸受の基本的構成に就いては、従来構造と同様である。
特に、本例の場合、前記外輪5cは、大径側、小径側両外輪軌道10、11の軸方向両側に、それぞれ溝肩部16a、16b、17a、17bを設けている。これに対して、前記内輪6cは、大径側、小径側両内輪軌道12、13の軸方向片側(軸方向に関して「片側」とは、図6、8〜13の左側を言う。反対に、図6、8〜13の右側を、軸方向に関して「他側」と言う。)にのみ溝肩部18a、19aを設けており、軸方向他側には溝肩部を設けていない。又、大径側、小径側両保持器8a、9aは、各ポケット14a、15a内に各玉7を保持した状態で、これら各玉7がこれら各ポケット14a、15a内から少なくとも内径側に抜け出る事を阻止できる構成を有している。具体的には、図7に詳示する様に、大径側、小径側両保持器8a(9a)の各ポケット14a(15a)の内径側の開口幅(開口部直径)Wを、各玉7の直径Dよりも少しだけ小さく(W<D)している。これにより、これら各ポケット14a(15a)の内径側の開口周縁部に、(D−W)/2弱(「弱」はポケット隙間による)の幅寸法を有する係り代32を、全周に亙って設けている。
上述の様に構成する本例のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み立てる場合には、先ず、図8に実線で示す様な、外輪側組立品33を組み立てる。この為に、最初に、同図に鎖線で示す様に、各玉7を、大径側、小径側両保持器8a、9aの各ポケット14a、15a内に保持する。尚、この大径側保持器8aの各ポケット14a内に保持されている各玉7を、この大径側保持器8aを弾性変形させる事なく、この大径側保持器8aの内径側に最も寄せた状態での、これら各玉7の外接円の直径は、少なくとも大径側外輪軌道10の軸方向両側部分に存在する溝肩部16a、16bの内径よりも大きい。又、小径側保持器9aの各ポケット15a内に保持されている各玉7を、この小径側保持器9aを弾性変形させる事なく、この小径側保持器9aの内径側に最も寄せた状態での、これら各玉7の外接円の直径は、少なくとも小径側外輪軌道11の軸方向両側に存在する溝肩部17a、17bの内径よりも大きい。
何れにしても、上述の様に各玉7を大径側、小径側両保持器8a、9aの各ポケット14a、15a内に保持したならば、次いで、同図に矢印で示す様に、これら大径側、小径側両保持器8a、9aに保持された各玉7を、外輪5cの内径側に、この外輪5cの軸方向片側から挿入する。これにより、同図に実線で示す様に、大径側、小径側両保持器8a、9aに保持された各玉7を、大径側、小径側両外輪軌道10、11の内径側に組み付ける。この際に、大径側、小径側両保持器8a、9aに保持された各玉7は、これら大径側、小径側両保持器8a、9aを弾性変形させて、これら各玉7の外接円の直径を縮めつつ、各溝肩部16a、16b、17aを通過する。そして、通過後は、大径側、小径側両保持器8a、9aの弾性的復元により各玉7の外接円の直径が拡がり、これら各玉7が大径側、小径側両外輪軌道10、11の内径側に組み付けられた状態となる。
この様にして外輪側組立品33を完成させた状態で、大径側、小径側両保持器8a、9aに保持された各玉7は、これら大径側、小径側両保持器8a、9aの各ポケット14a、15a内から内径側に抜け出る事を阻止されており、且つ、大径側、小径側両外輪軌道10、11の内側から軸方向に抜け出る事を、各溝肩部16a、16b、17a、17bによって阻止されている。この為、外輪5cと大径側、小径側両保持器8a、9aと各玉7とは、外輪側組立品33として一体的に(非分離状態で)取り扱う事が可能となる。この様な外輪側組立品33を組み立てたならば、その後、図9に矢印で示す様に、この外輪側組立品33の内径側に内輪6cを、この外輪側組立品33の軸方向片側から挿入する。これにより、図6に示す様に、大径側、小径側両保持器8a、9aに保持された各玉7を、大径側、小径側両内輪軌道12、13の外径側に組み付ける事によって、タンデムアンギュラ型玉軸受の組み立てを完了する。尚、本例の場合、大径側、小径側両内輪軌道12、13の軸方向他側部分には、それぞれ溝肩部が存在しない為、上述の様な内輪6cの挿入作業は、円滑に行える。
上述の様に構成する本例のタンデムアンギュラ型玉軸受によれば、このタンデムアンギュラ型玉軸受を、外輪側組立品33と内輪6cとの、2つの要素に分けて取り扱える。この為、この外輪側組立品33を軸受メーカーで組み立ててから出荷すれば、デファレンシャル装置等の各種回転機械装置の組立現場で、前記タンデムアンギュラ型玉軸受を使用箇所に組み付ける作業を容易に行える。
例えば、本例のタンデムアンギュラ型玉軸受を、デファレンシャル装置を構成するピニオン軸の先端寄り(ピニオンギヤ寄り)部分を支持する転がり軸受として使用する場合には、外輪側組立品33を組み立てた状態で、外輪5cを、デファレンシャルケース内に設けた支持孔22に締り嵌めで内嵌すると共に、内輪6cを、ピニオン軸3の先端寄り部分に締り嵌めで外嵌する。この場合に、外輪5cは、この外輪5cの軸方向端面を押圧する事によって、前記支持孔22に締り嵌めで内嵌する事ができる。この為、この内嵌作業に伴って、大径側、小径側両外輪軌道10、11のうち各玉7が接触している部分に圧痕が形成される事はない。その後、外輪側組立品33の内径側に内輪6cを、前述の図9に示す様に挿入する事によって、本例のタンデムアンギュラ型玉軸受を、支持孔22とピニオン軸3との間に、容易に組み付ける事ができる。
又、本例のタンデムアンギュラ型玉軸受の場合には、大径側、小径側両外輪軌道10、11の軸方向両側に、それぞれ溝肩部16a、16b、17a、17bを設けている。この為、例えば、一部のデファレンシャル装置の様に、運転時にのみ軸受に潤滑油が供給される装置に、本例のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み付けて使用する場合には、運転の停止時に、大径側、小径側両外輪軌道10、11の下端部に、潤滑油が溜まったままの状態にできる。この為、運転を再開した際に、これら両下端部に溜まった潤滑油によって、両列の初期潤滑を良好にできる。
尚、本例の構造を実施する場合も、好ましくは、前述の図1〜5に示した参考例の第1例の場合と同様に、外輪5cの内周面のうちで、内径が小さい外輪軌道11から、この外輪5cの軸方向両端面のうちで内径が大きい側の端面23との連続部までの部分全体を、尖った角部がなく、滑らかに連続し、且つ、研磨加工された平滑面とする(別発明に係る態様を合わせて実施する)。又、内輪6cの外周面のうちで、外径が大きい内輪軌道12から外径が小さい側の端面24との連続部までの部分全体を滑らかに連続し、且つ、研磨加工された平滑面とする。これら両端面23、24の性状、これら両端面23、24と外輪5cの内周面又は内輪6cの外周面との連続部である角部の性状に関しても、前記参考例の第1例と同様にする。この様な構成を採用すれば、上述した本例による作用・効果に加えて、本例のタンデムアンギュラ型玉軸受の組み付け作業時に各玉7の転動面に、傷等の損傷が発生する事を防止できて、タンデムアンギュラ型玉軸受及びこれを組み込んだ回転機械装置の耐久性を十分に確保できる。
[実施の形態の第2例
図10〜11は、本発明に係る、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、外輪5d及び大径側保持器8bの一部の形状が、上述した実施の形態の第1例の場合と異なる。即ち、この外輪5dは、大径側外輪軌道10の軸方向両側部分、及び、小径側外輪軌道11の軸方向他側部分にのみ、それぞれ溝肩部16a、16b、17bを設けており、小径側外輪軌道11の軸方向片側部分には、溝肩部を設けていない。又、大径側保持器8bは、軸方向他端部に内向フランジ状の鍔部34を形成し、この鍔部34の外側面を小径側保持器9aの軸方向片端面に、軸方向に対向させている。
上述の様な本例のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み立てる場合には、先ず、図11に実線で示す様な、外輪側組立品33aを組み立てる。この為に、最初に、同図に鎖線で示す様に、各玉7を、大径側、小径側両保持器8b、9aの各ポケット14a、15a内に保持する。次いで、同図に矢印で示す様に、これら大径側、小径側両保持器8b、9aに保持された各玉7を、外輪5dの内径側に、この外輪5dの軸方向片側から挿入する。これにより、同図に実線で示す様に、大径側、小径側両保持器8b、9aに保持された各玉7を、大径側、小径側両外輪軌道10、11の内径側に組み付ける。この際に、小径側保持器9aに保持された各玉7は、各溝肩部16a、16bの存在に拘らず、小径側外輪軌道11の内径側に、円滑に挿入する事ができる。これに対して、大径側保持器8bに保持された各玉7は、この大径側保持器8bを弾性変形させて、これら各玉7の外接円の直径を縮めつつ、溝肩部16aを通過する。そして、通過後は、大径側保持器8bの弾性的復元により各玉7の外接円の直径が拡がり、これら各玉7が大径側外輪軌道10の内径側に組み付けられた状態となる。
この様にして外輪側組立品33aを完成させた状態で、大径側、小径側両保持器8b、9aに保持された各玉7は、これら大径側、小径側両保持器8b、9aの各ポケット14a、15a内から内径側に抜け出る事を阻止される。又、大径側保持器8bに保持された各玉7は、大径側外輪軌道10の内側から軸方向に抜け出る事を、この大径側外輪軌道10の軸方向両側に存在する溝肩部16a、16bによって阻止される。又、小径側保持器9aに保持された各玉7は、小径側外輪軌道11の内側から軸方向片側に抜け出る事を、小径側保持器9aの軸方向片端面が大径側保持器8bの鍔部34の外側面に当接(係合)する事によって阻止されると共に、同じく軸方向他側に抜け出る事を、小径側外輪軌道11の軸方向他側に存在する溝肩部17bによって阻止される。従って、外輪5dと、大径側、小径側両保持器8b、9aと、各玉7とを、外輪側組立品33aとして一体的に取り扱う事ができる。この様な外輪側組立品33aを組み立てたならば、その後、この外輪側組立品33aの内径側に内輪6cを、この外輪側組立品33aの軸方向片側から挿入する。これにより、図10に示す様に、大径側、小径側両保持器8b、9aに保持された各玉7を、大径側、小径側両内輪軌道12、13の外径側に組み付ける事によって、タンデムアンギュラ型玉軸受の組み立てを完了する。
上述の様に構成する本例のタンデムアンギュラ型玉軸受の場合も、このタンデムアンギュラ型玉軸受を、外輪側組立品33aと内輪6cとの、2つの要素に分けて取り扱える。この為、この外輪側組立品33aを軸受メーカーで組み立ててから出荷すれば、デファレンシャル装置等の各種回転機械装置の組立現場で、前記タンデムアンギュラ型玉軸受を使用箇所に組み付ける作業を容易に行える。
又、本例のタンデムアンギュラ型玉軸受の場合には、大径側外輪軌道10の軸方向両側に、それぞれ溝肩部16a、16bを設けている。この為、例えば、一部のデファレンシャル装置の様に、運転時にのみ軸受に潤滑油が供給される装置に、本例のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み付けて使用する場合には、運転の停止時に、大径側外輪軌道10の下端部に、潤滑油が溜まったままの状態にできる。従って、運転を再開した際の両列の初期潤滑が良好になる。即ち、大径側外輪軌道10を含む列に関しては、この大径側外輪軌道10の下端部に溜まった潤滑油によって、当該列の初期潤滑を良好にできる。一方、小径側外輪軌道11を含む列に関しては、運転の再開と同時に、大径側外輪軌道10の下端部に溜まった潤滑油の一部が、この大径側外輪軌道10部分を転走する玉7により押されて外部に溢れ出し、これが小径側外輪軌道11に入り込む事で、当該列の初期潤滑が良好になる。その他の構成及び作用は、好ましくは前記外輪5dの内周面及び前記内輪6cの外周面を平滑面とする事も含めて、前述した実施の形態の第1例の場合と基本的には同様である。
特に、本例の構造の場合には、前記大径側、小径側両保持器8b、9aに保持された各玉7を、大径側、小径側両外輪軌道10、11の内径側に組み付ける際に、このうちの大径側保持器8bに保持された各玉7が、前記溝肩部16aに接触するだけで済む為、これら各玉7の損傷防止の面から有利になる。しかも、前記大径側保持器8bに鍔部34を形成している為、前記小径側外輪軌道11の軸方向片側部分に溝肩部を形成しなくても、前記外輪側組立品33aの組立状態で、前記小径側保持器9aに保持された各玉7が、前記小径側外輪軌道11の内側から軸方向片側に抜け出る事も有効に防止できる。従って、本例の構造の場合には、図10に示した様に玉軸受を組み立てた後に、前記内輪6cを左側(軸方向片側)に円滑に引き抜く事ができ、この様に引き抜いた後にも、前記外輪側組立品33aがばらける事を防止できる。
参考例の第2例
図12〜13は、本発明に関する参考例の第2例を示している。本参考例の場合には、外輪5e及び大径側、小径側両保持器8c、9cの一部の形状が、前述の図6〜9に示した実施の形態の第1例の場合と異なる。即ち、外輪5eは、大径側外輪軌道10の軸方向他側部分、及び、小径側外輪軌道11の軸方向両側部分にのみ、それぞれ溝肩部16b、17a、17bを設けており、大径側外輪軌道10の軸方向片側部分には、溝肩部を設けていない。又、大径側保持器8cは、内周面の軸方向他端部に内向係合部35を、全周に亙って設けている。又、小径側保持器9cは、外周面の軸方向片端部に外向係合部36を、全周に亙って設けている。そして、この外向係合部36と内向係合部35とを、これら両係合部35、36の内側面同士が対向する状態で係合させている。
上述の様な本参考例のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み立てる場合には、先ず、図13に実線で示す様な、外輪側組立品33bを組み立てる。この為に、最初に、同図に鎖線で示す様に、大径側保持器8cの内向係合部35と小径側保持器9cの外向係合部36とを係合させた状態で、これら大径側、小径側両保持器8c、9cの各ポケット14a、15a内に、各玉7を保持する。次いで、同図に矢印で示す様に、これら大径側、小径側両保持器8c、9cに保持された各玉7を、外輪5eの内径側に、この外輪5eの軸方向片側から挿入する。これにより、同図に実線で示す様に、大径側、小径側両保持器8c、9cに保持された各玉7を、大径側、小径側両外輪軌道10、11の内径側に組み付ける。この際に、小径側保持器9cに保持された各玉7は、この小径側保持器9cを弾性変形させて、これら各玉7の外接円の直径を縮めつつ、溝肩部17aを通過する。そして、通過後は、小径側保持器9cの弾性的復元により各玉7の外接円の直径が拡がり、これら各玉7が小径側外輪軌道11の内径側に組み付けられた状態となる。これに対して、大径側保持器8cに保持された各玉7は、大径側外輪軌道10の内径側に、円滑に挿入する事ができる。
この様にして外輪側組立品33bを完成させた状態で、大径側、小径側両保持器8c、9cに保持された各玉7は、これら大径側、小径側両保持器8c、9cの各ポケット14a、15a内から内径側に抜け出る事を阻止される。又、小径側保持器9cに保持された各玉7は、小径側外輪軌道11の内側から軸方向に抜け出る事を、この小径側外輪軌道11の軸方向両側に存在する溝肩部17a、17bによって阻止される。又、大径側保持器8cに保持された各玉7は、大径側外輪軌道10の内側から軸方向片側に抜け出る事を、大径側保持器8cの内向係合部35と小径側保持器9cの外向係合部36とが係合している事によって阻止されると共に、同じく軸方向他側に抜け出る事を、大径側外輪軌道10の軸方向他側に存在する溝肩部16bによって阻止される。従って、外輪5eと、大径側、小径側両保持器8c、9cと、各玉7とを、外輪側組立品33bとして一体的に取り扱う事ができる。この様な外輪側組立品33bを組み立てたならば、その後、この外輪側組立品33bの内径側に内輪6aを、この外輪側組立品33bの軸方向片側から挿入する。これにより、図12に示す様に、大径側、小径側両保持器8c、9cに保持された各玉7を、大径側、小径側両内輪軌道10、11の外径側に組み付ける事によって、タンデムアンギュラ型玉軸受の組み立てを完了する。
上述の様に構成する本参考例のタンデムアンギュラ型玉軸受の場合も、このタンデムアンギュラ型玉軸受を、外輪側組立品33bと内輪6aとの、2つの要素に分けて取り扱える。この為、この外輪側組立品33bを軸受メーカーで組み立ててから出荷すれば、デファレンシャル装置等の各種回転機械装置の組立現場で、前記タンデムアンギュラ型玉軸受を使用箇所に組み付ける作業を容易に行える。
又、本参考例のタンデムアンギュラ型玉軸受の場合には、小径側外輪軌道11の軸方向両側に、それぞれ溝肩部17a、17bを設けている。この為、例えば、一部のデファレンシャル装置の様に、運転時にのみ軸受に潤滑油が供給される装置に、本例のタンデムアンギュラ型玉軸受を組み付けて使用する場合には、運転の停止時に、小径側外輪軌道11の下端部に、潤滑油が溜まったままの状態にできる。従って、運転を再開した際の両列の初期潤滑が良好になる。即ち、小径側外輪軌道11を含む列に関しては、この小径側外輪軌道11の下端部に溜まった潤滑油によって、当該列の初期潤滑を良好にできる。一方、大径側外輪軌道10を含む列に関しては、運転の再開と同時に、小径側外輪軌道11の下端部に溜まった潤滑油の一部が、この小径側外輪軌道11を転走する各玉7に押されて外部に溢れ出し、これが大径側外輪軌道10に入り込む事で、当該列の初期潤滑が良好になる。その他の構成及び作用は、好ましくは前記外輪5eの内周面及び前記内輪6aの外周面を平滑面とする事も含めて、前述の図6〜9に示した実施の形態の第1例の場合と同様である。
尚、上述した各実施の形態及び参考例では、大径側、小径側両保持器として、本体部分、即ち各玉を保持する部分の形状が円筒状であるものを採用した。但し、本発明を実施する場合に、大径側、小径側両保持器として、本体部分の形状が非円筒状のもの、例えば、部分円すい筒状のものも採用する事ができる。
[実施の形態の第3例
図14は、本発明及び別発明に係る、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、外輪5dの軸方向中間部内周面で1対の外輪軌道10、11の間部分、並びに内輪6cの軸方向中間部外周面で1対の内輪軌道12、13の間部分に、それぞれ係止溝37a、37bを、全周に亙って形成している。これら両係止溝37a、37bは、支持部21a(図5参照)の内径側から前記外輪5dを抜き取ったり、或いはピニオン軸3a(図5参照)の周囲から前記内輪6cを抜き取ったりする際に、抜き取り治具の先端部を係止する為に利用する。この様な前記両係止溝37a、37bは、この抜き取り治具の先端部を係止し易くする為、断面形状が矩形であり、保持器8b、9aと干渉しない部分に形成している。尚、一般的には、支持部21aの内径側から前記外輪5dを抜き取る場合には、抜き取り治具の先端部を、この外輪5dの内周面の小径側端部の肩部に係止する。又、ピニオン軸3aの周囲から前記内輪6cを抜き取る際には、抜き取り治具の先端部を、この内輪6cの外周面の大径側端部の肩部に係止する。但し、負荷容量確保の為に玉7、7の直径を大きくする等の限界設計を行った場合には、前記各肩部の軸方向厚さが小さくなり、これら各肩部が損傷する可能性がある。この様な場合に、前記両係止溝37a、37bの一方又は双方を設ける事がある。
本例の場合には、上述の様な係止溝37a、37bを設けた構造で、これら両係止溝37a、37bの開口部両側縁、即ち、これら両係止溝37a、37bの両内側面と、前記外輪5dの内周面又は前記内輪6cの外周面との連続部を、タンデムアンギュラ型玉軸受の組立時に、各玉7、7の転動面を傷めにくい、平滑面としている。具体的には、前記各連続部に研磨加工を施す事により、断面形状の曲率半径が0.2mm以上である凸曲面としている。又、この様な連続部の研磨加工に就いても、総型の回転砥石によりその他の部分と同時に実施できる。前記両係止溝37a、37bを設け、それぞれの開口部両側縁を平滑面とした点以外の作用・効果は、前述の図1〜5に示した参考例の第1例、前述の図10に示した実施の形態の第2例と同様であるから、重複する説明は省略する。尚、前記両係止溝37a、37bの開口部両側縁を平滑面とする事は、別発明に係る態様に関してのみ実施する(例えば、前述の図1〜5に示した構造に係止溝を設ける)事もできる。
本発明は、自動車用のデファレンシャルギヤ、トランスファ装置等の自動車用駆動系に組み込まれる装置に限らず、各種回転機械装置に組み込まれて、ラジアル荷重及びスラスト荷重が加わった状態で回転する回転軸を支承する為のタンデムアンギュラ型玉軸受に適用できる。又、組立順序に関しても、特に明示されている場合を除き、図示の例に限らず、前述した特許文献3に記載されている様に、各玉及び保持器を内輪の外径側に組み付けた状態で、この内輪をピニオン軸等の回転軸に外嵌固定し、その後、ハウジング等に内嵌固定した外輪を、各玉の周囲に組み付ける事もできる。更には、外輪、内輪等の軌道輪を相手部材に嵌合固定してから、当該軌道輪の内径側又は外径側に玉を、保持器と共に組み付ける事もできる。
1、1a 玉軸受
2 玉軸受
3、3a ピニオン軸
4 ピニオンギヤ
5、5a〜5e 外輪
6、6a〜6c 内輪
7 玉
8、8a〜8c 大径側保持器
9、9a、9c 小径側保持器
10 大径側外輪軌道
11 小径側外輪軌道
12 大径側内輪軌道
13 小径側内輪軌道
14、14a ポケット
15、15a ポケット
16a、16b 溝肩部
17a、17b 溝肩部
18a、18b 溝肩部
19a、19b 溝肩部
21、21a 支持部
22、22a 支持孔
23 端面
24 端面
25a〜25j 角部
26a〜26d 傾斜面部
27a、27b 円筒面部
31 内輪側組立品
32 係り代
33、33a、33b 外輪側組立品
34 鍔部
35 内向係合部
36 外向係合部
37a、37b 係止溝

Claims (4)

  1. 内周面の軸方向片側に直径が相対的に大きい大径側外輪軌道を、同じく軸方向他側に直径が相対的に小さい小径側外輪軌道を、それぞれ有する外輪と、
    外周面の軸方向片側に直径が相対的に大きい大径側内輪軌道を、同じく軸方向他側に直径が相対的に小さい小径側内輪軌道を、それぞれ有する内輪と、
    円周方向複数箇所にポケットを有する、直径が相対的に大きい円環状の大径側保持器と、
    円周方向複数箇所にポケットを有する、直径が相対的に小さい円環状の小径側保持器と、
    前記大径側保持器の各ポケット内に保持された状態で、前記大径側外輪軌道と前記大径側内輪軌道との間に転動自在に設けられた、大径側玉列を構成する複数個の玉と、
    前記小径側保持器の各ポケット内に保持された状態で、前記小径側外輪軌道と前記小径側内輪軌道との間に転動自在に設けられた、小径側玉列を構成する複数個の玉とを備え、
    前記大径側玉列を構成する各玉と前記小径側玉列を構成する各玉とに、互いに同じ向きの接触角が付与されているタンデムアンギュラ型玉軸受に於いて、
    前記外輪が、前記大径側外輪軌道の軸方向両側部分、及び、前記小径側外輪軌道の軸方向他側部分に、それぞれ溝肩部を備えており、
    前記内輪は、前記大径側内輪軌道の軸方向片側部分、及び、前記小径側内輪軌道の軸方向片側部分に、それぞれ溝肩部を備えると共に、前記大径側内輪軌道の軸方向他側部分、及び、前記小径側内輪軌道の軸方向他側部分に、それぞれ溝肩部を備えておらず、
    前記大径側保持器及び前記小径側保持器は、前記各ポケットの内径側の開口周縁部に係り代を全周に亙り設ける事で、これら各ポケットの内径側の開口幅を前記各玉の直径よりも少しだけ小さくし、これら各ポケット内にこれら各玉を保持した状態で、これら各ポケット内からこれら各玉が内径側に抜け出る事を阻止しており、
    前記大径側保持器を弾性変形させる事なく、この大径側保持器の各ポケット内に保持されている各玉をこの大径側保持器の内径側に最も寄せた状態での、これら各玉の外接円の直径が、前記大径側外輪軌道の軸方向両側に存在する溝肩部の内径よりも大きくなっている、
    事を特徴とする、タンデムアンギュラ型玉軸受。
  2. 前記外輪は、前記小径側外輪軌道の軸方向両側部分に、それぞれ溝肩部を備えている請求項1に記載したタンデムアンギュラ型玉軸受。
  3. 前記外輪は、前記小径側外輪軌道の軸方向片側部分に溝肩部を備えておらず、前記大径側保持器及び前記小径側保持器は、前記外輪とこの大径側保持器及びこの小径側保持器と前記各玉とを玉軸受としての完成状態と同じ位置関係で組み合わせて成る、外輪側組立品を構成した状態で、互いに近い側の端部同士が軸方向に関して対向する形状を備える、請求項1に記載したタンデムアンギュラ型玉軸受。
  4. 請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したタンデムアンギュラ型玉軸受を構成する為、前記外輪と、前記大径側保持器と、前記小径側保持器と、前記各玉とを組み合わせて成る、タンデムアンギュラ型玉軸受用外輪側組立品
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