JP5610764B2 - 色材分散組成物 - Google Patents
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Description
色材は、本発明の色材分散組成物を着色するものであり、従来公知の染顔料が使用できるが、耐久性の点から顔料(有機顔料、無機顔料)が好ましい。
有機顔料としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、多環式顔料(キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジオキサジン系、チオインジゴ系、アントラキノン系、キノフタロン系、金属錯体系、ジケトピロロピロール系等)、染料レーキ系顔料等を使用することができる。無機顔料としては、白色・体質顔料(酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、クレー、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、有彩顔料(黄鉛、カドミニウム系、クロムバーミリオン、ニッケルチタン、クロムチタン、黄色酸化鉄、ベンガラ、ジンククロメート、鉛丹、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロム、バナジン酸ビスマス等)、黒色顔料(カーボンブラック、ボーンブラック、グラファイト、鉄黒、チタンブラック等)、光輝材顔料(パール顔料、アルミ顔料、ブロンズ顔料等)、蛍光顔料(硫化亜鉛、硫化ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウム等)を使用することができる。染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等を使用することができる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、アシッドオレンジ7、アシッドレッド37、アシッドレッド180、アシッドブルー29、ダイレクトレッド28、ダイレクトレッド83、ダイレクトイエロー12、ダイレクトオレンジ26、ダイレクトグリーン28、ダイレクトグリーン59、リアクティブイエロー2、リアクティブレッド17、リアクティブレッド120、リアクティブブラック5、ディスパースオレンジ5、ディスパースレッド58、ディスパースブルー165、ベーシックブルー41、ベーシックレッド18、モルダントレッド7、モルダントイエロー5、モルダントブラック7等を挙げることができる。
キノンイミン系染料としては、例えば、C.I.ベーシックブルー3、ベーシックブルー9等を挙げることができる。
ニトロ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1、アシッドオレンジ3、ディスパースイエロー42等を挙げることができる。
分散剤は、色材への相互作用部位と分散媒(液媒体やバインダー樹脂)への相互作用部位とを有し、色材の分散媒への分散を安定化する働きを持つものであり、従来公知の分散剤を使用することができる。一般的には、樹脂型分散剤(高分子分散剤)、界面活性剤(低分子分散剤)、色素誘導体に分類される。
バインダー樹脂は、分散剤により分散された色材を均一に保持する分散媒であり、色材の分散安定性を補助するとともに、塗布性や乾燥後の塗膜性能を左右する成分である。本発明のバインダー樹脂は、式(1)で表される構成単位を主鎖中に含む樹脂であり、色材分散性に非常に優れ、かつ、特に、密着性、耐熱性、硬化性、透明性等の乾燥後の塗膜性能に優れる。
本発明のバインダー樹脂における上記のような特徴の発現は、式(1)で表される構成単位に含まれるテトラヒドロフラン環、及びテトラヒドロフラン環の両隣にあるメチレン基に起因すると推定している。テトラヒドロフラン環は、いわゆるLewis塩基(孤立電子対の供与体)としての作用があり、その作用は強塩基であるアミン類ほど強くなく、適度な塩基性を有するため、分散剤の作用を妨害することなく色材及び分散剤に相互作用し、分散剤により分散された色材をより安定化すると考えられる。また、このLewis塩基性により、テトラヒドロフラン環と基材表面の官能基とが相互作用しやすくなるため、良好な密着性も発現すると考えられる。さらに、テトラヒドロフラン環の酸素補足性により、熱や活性エネルギー線を用いたラジカル硬化における酸素による硬化阻害を低減し、優れた表面硬化性、薄膜硬化性が発現すると考えられる。
平均官能基数=A/P
A:単位質量に含まれる式(1)で表される構成単位のモル数[mol/g]
P:単位質量に含まれる本発明のバインダー樹脂のモル数[mol/g]
Aは、式(1)で表される構成単位の種類が2種類以上ある場合も含めると、次式のように算出できる。
A=ΣAx(X=1,2,3,・・・)
Ax=単位質量×(Cx/100)/Fx
Ax:単位質量に含まれる、X(X=1,2,3,・・・)種類目の式(1)で表される構成単位のモル数[mol/g]
Cx:単位質量に含まれる、X(X=1,2,3,・・・)種類目の式(1)で表される構成単位の質量割合[質量%]
Fx:X(X=1,2,3,・・・)種類目の式(1)で表される構成単位の分子量[g/mol]
Pは、本発明のバインダー樹脂の数平均分子量(Mn)を用いて次式のように近似できる。
P=単位質量/Mn
Mn:本発明のバインダー樹脂の数平均分子量
したがって、平均官能基数は、Cx、Fx、Mnを用いて次式のように表される。
平均官能基数=Mn×Σ{(Cx/100)×(1/Fx)} 。
Cx:重合した全単量体に対する、重合したX(X=1,2,3,・・・)種類目の式(2)で表される単量体の質量割合[質量%]
Fx:X(X=1,2,3,・・・)種類目の式(2)で表される単量体の分子量[g/mol]
さらに、重合に用いた各単量体の反応率がいずれも同様に高い(例えば、各単量体の反応率がいずれも90モル%以上となる)場合には、Cxは次のように近似できる。
Cx:単量体成分中の、X(X=1,2,3,・・・)種類目の式(2)で表される単量体の質量割合[質量%] 。
液媒体は、分散剤により分散された色材を均一に保持する分散媒であり、主に色材分散組成物の粘度、塗布特性や乾燥特性等を調整する働きを持つ液状物質である。このような液媒体としては、目的、用途に応じて、従来公知の液媒体を適宜選択して使用することができる。
本発明の色材分散組成物は、各用途の目的や要求特性に応じて、更に上記の必須成分以外の成分が配合されても良い。例えば、光硬化型インクにおいては、上記必須成分に加え、光重合性単量体、光開始剤を配合するのが好ましく、空気硬化型塗料においては、上記必須成分に加え、亜麻仁油などの乾性油、オクチル酸コバルトなどのドライヤーを配合するのが好ましい。
[合成例1〜5]
表1に示すように、式(2)で表される単量体である各α−アリルオキシメチルアクリル酸エステル(AMA−R)を、特開平10−226669に準じて、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを用い、アリルアルコールと対応する各α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル(HMA−R)とから合成した。
以下に、式(1)で表される構成単位を主鎖中に含む樹脂の合成について記述する。なお、得られた樹脂溶液の固形分の測定、樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定及び式(1)で表される構成単位の平均官能基数の算出、樹脂粉末の取り出し、1H−NMRの測定などは、次のように行った。
樹脂溶液をアルミカップに約0.3gはかり取り、アセトン約2gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥した。熱風乾燥機を用い、140℃で3時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、重量を測定した。重量減少量から、樹脂溶液の固形分を計算した。
樹脂溶液をテトラヒドロフランで希釈し孔径0.45μmのフィルターで濾過したものを、下記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)装置、及び条件で測定した。
装置:HLC−8220GPC(東ソー製)
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:標準ポリスチレン(東ソー製)
分離カラム:TSKgel SuperHZM−M(東ソー製)。
平均官能基数=Mn×{(単量体成分中のAMA−Rの重量割合[質量%]/100)×(1/AMA−Rの分子量)}。
樹脂溶液の一部をテトラヒドロフランで希釈し、過剰のヘキサンに投入して再沈殿を行った。沈殿物を濾過により取り出した後、70℃で真空乾燥(5時間以上)することによって樹脂の白色粉末を得た。
上記のように得られた白色粉末200mgをテトラメチルシランを含有する重ジメチルスルホキシド3gに溶解し、核磁気共鳴装置(200MHz、Varian製)により測定した。
反応槽として、4口セパラブルフラスコに温度計、冷却管、ガス導入管、攪拌装置を取り付けたものを準備し、反応槽内を窒素置換した。窒素気流下、反応槽にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)223.7部を仕込み、90℃に昇温した。一方、滴下槽Aには合成例1で得たAMA−M20.0部、メタクリル酸ベンジル(BZMA)110.0部、メタクリル酸メチル(MMA)41.4部、メタクリル酸(MAA)28.6部を攪拌混合したものを、滴下槽Bにはt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(PBO)4.7部とPGMEA37.3部を攪拌混合したものを、滴下槽Cには3−メルカプトプロピオン酸(MPA)3.0部とPGMEA39.0部を攪拌混合したものを準備した。
滴下槽Aに準備する混合液を、AMA−M60.0部、BZMA110.0部、MMA1.4部、MAA28.6部をよく攪拌混合したものに変えたこと以外は、実施例1−1と同様にして樹脂溶液を得た。また、上記の再沈殿操作により樹脂の白色粉末を得た。分析結果を表3に示す。
また、得られた樹脂粉末を用い、1H−NMRを測定した。1H−NMRチャートを図1に示す。
滴下槽Aに準備する混合液を、AMA−M60.0部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)110.0部、MMA1.4部、MAA28.6部をよく攪拌混合したものに変えたこと以外は、実施例1−1と同様にして樹脂溶液を得た。分析結果を表3に示す。
反応槽として、4口セパラブルフラスコに温度計、冷却管、ガス導入管、攪拌装置を取り付けたものを準備し、反応槽内を窒素置換した。窒素気流下、反応槽にPGMEA208部を仕込み、90℃に昇温した。一方、滴下槽Aにはスチレン(ST)96.8部を、滴下槽BにはAMA−M60.0部、MMA1.4部、MAA28.6部、PBO5.0部をよく攪拌混合したものを、滴下槽CにはMPA3.0部とPGMEA92.0部をよく攪拌混合したものを準備した。
滴下槽Aに準備する環モノマーの種類を表2に示すものに変えたこと以外は、実施例1−2と同様にして樹脂溶液を得た。分析結果を表3に示す。
反応槽として、4口セパラブルフラスコに温度計、冷却管、ガス導入管、攪拌装置を取り付けたものを準備し、反応槽内を窒素置換した。窒素気流下、反応槽にPGMEA213.5部を仕込み、90℃に昇温した。一方、滴下槽Aには合成例1で得たAMA−M121.8部、MMA78.2部を攪拌混合したものを、滴下槽BにはPBO4.7部とPGMEA42.0部を攪拌混合したものを、滴下槽Cには3−メルカプトプロピオン酸メチル(MPM)3.5部とPGMEA44.5部を攪拌混合したものを準備した。
滴下槽AにAMA−M200.0部を準備したこと以外は、実施例1−9と同様にして樹脂溶液及び樹脂の白色粉末を得た。分析結果を表3に示す。
また、得られた樹脂粉末を用い、1H−NMRを測定した。1H−NMRチャートを図2に示す。
滴下槽Aに準備する環モノマーの種類を表2に示すものに変えたこと以外は、実施例1−10と同様にして樹脂溶液及び樹脂の白色粉末を得た。分析結果を表3に示す。
滴下槽Aに準備する混合液を、BZMA110.0部、MMA61.4部、MAA28.6部を攪拌混合したものに変えたこと以外は、実施例1−1と同様にして樹脂溶液を得た。また、上記の再沈殿操作により樹脂の白色粉末を得た。分析結果を表3に示す。
反応槽として、4口セパラブルフラスコに温度計、冷却管、ガス導入管、攪拌装置を取り付けたものを準備し、反応槽内を窒素置換した。窒素気流下、反応槽にPGMEA111.8部及び2−プロパノール(IPA)111.8部を仕込み、IPAが還流し内温が89℃となるまで昇温した。一方、滴下槽Aにはジメチル−2,2‘−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート(MD)20.0部、BZMA110.0部、MMA41.4部、MAA28.6部をよく攪拌混合したものを、滴下槽Bにはt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(PBO)4.7部、PGMEA18.6部、IPA18.6部を攪拌混合したものを、滴下槽Cには3−メルカプトプロピオン酸(MPA)3.0部、PGMEA19.5部、IPA19.5部を攪拌混合したものを準備した。
なお、MDは、非特許文献1及び特許文献2に記載の主鎖にテトラヒドロピラン環を有する樹脂を得ることができる単量体である。
反応槽に仕込むPGMEAの量を163.7部とし、滴下槽Aに準備する混合液を、MD60.0部、BZMA110.0部、MMA1.4部、MAA28.6部、PGMEA60.0部をよく攪拌混合したものに変えたこと以外は、実施例1−1と同様にして樹脂溶液を得た。分析結果を表3に示す。
滴下槽Aに準備する混合液を、ベンジルマレイミド(BZMI)60.0部、BZMA110.0部、MMA1.4部、MAA28.6部、PGMEA60.0部をよく攪拌混合したものに変えたこと以外は、比較例1−1と同様にして樹脂溶液を得た。また、上記の再沈殿操作により樹脂の白色粉末を得た。分析結果を表3に示す。
なお、BZMIは、耐熱性の高い樹脂として知られている主鎖にイミド環構造を有する樹脂を得ることができる単量体である。
滴下槽AにMMA200.0部を準備したこと以外は、実施例1−9と同様にして樹脂溶液及び樹脂の白色粉末を得た。分析結果を表3に示す。
AMA-M121.8部のかわりにMD128.1部を用いたこと以外は、実施例1−9と同様にして重合反応を行ったが、重合中にゲル化し、樹脂溶液及び樹脂の粉末を得ることはできなかった。
実施例1−3と比較例1−3との対比、及び実施例1−9と比較例1−6との対比から、非特許文献1及び特許文献2に記載の主鎖にテトラヒドロピラン環を有する樹脂は、重合時に異常な高分子量化、或いはゲル化を起こし易いのに対し、本発明のバインダー樹脂はそのような現象を起こし難く、製造安定性に優れることが分かる。
[実施例2−1]
(色材分散組成物の調製)
まず、分散剤としてSOLSPERSE24000GR(日本ルーブリゾール製)をPGMEAに溶解させ20%としたものと、バインダー樹脂溶液として実施例1−1で得られた樹脂溶液を20%にPGMEAで希釈したものを用意した。
次に、色材としてC.I.ピグメントグリーン36(Monastral Green 6Y−CL、Heubach製)3.75部、及びC.I.ピグメントイエロー150(Yellow Pigment E4GN−GT、Lanxess製)2.5部を、分散剤としてSOLSPERSE12000(日本ルーブリゾール製)0.2部を225mlマヨネーズ瓶にはかり取った。さらに予め用意しておいた上記の20%分散剤溶液3.75部、及び上記の20%バインダー樹脂溶液14.0部、PGMEA25.8部、径1.0mmのジルコニアビーズ50部を225mlマヨネーズ瓶にはかり取り、フタをした。これをペイントシェーカーにて3時間振とうして分散処理を行った後、色材分散組成物とジルコニアビーズを分別して色材分散組成物を得た。
分散処理直後の色材分散組成物のメジアン径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(LB−500、堀場製作所製)により測定し、メジアン系が100nm以下となっているものを○、100nmを超えているものを×とした。結果を表4に示す。
分散処理直後の分散状態が良好なもの(メジアン径が100nm以下のもの)を恒温室(23℃)で保存し、分散処理をしてから1日後、2週間後、4週間後の粘度をコーンプレート型回転粘度計(TVE22LT、東機産業製)を用いて測定した。また、粘度増加率を次式に従って算出した。結果を表4に示す。
粘度増加率[%]=2週間後(または4週間後)の粘度/1日後の粘度×100−100
[実施例2−2〜2−8]
バインダー樹脂溶液を表4に示すとおりに変えたこと以外は、実施例2−1と同様にして色材分散組成物の調製、及び分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
マヨネーズ瓶に充填する色材分散組成物の構成成分の種類と量を次のように変えたこと以外は、実施例2−1と同様にして色材分散組成物の調製、及び分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
C.I.ピグメントブルー15:6(Heliogen Blue L6700F、BASF製):5.0部
C.I.ピグメントバイオレット23(Hostaperm Violet RL−NF、Clariant製):1.25部
SOLSPERSE24000GRの20%PGMEA溶液:3.75部
SOLSPERSE12000:0.2部
実施例1−2で得られた樹脂溶液をPGMEAで20%に希釈したもの:14.0部
PGMEA:25.8部。
マヨネーズ瓶に充填する色材分散組成物の構成成分の種類と量を次のように変えたこと以外は、実施例2−1と同様にして色材分散組成物の調製、及び分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
C.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF、チバスペシャリティケミカルズ製):4.4部
C.I.ピグメントレッド177(Cromophtal Red A3B、チバスペシャリティケミカルズ製):1.85部
SOLSPERSE24000GRの20%PGMEA溶液:5.0部
実施例1−2で得られた樹脂溶液をPGMEAで20%に希釈したもの:13.75部
PGMEA:25.0部。
マヨネーズ瓶に充填する色材分散組成物の構成成分の種類と量を次のように変えたこと以外は、実施例2−1と同様にして色材分散組成物の調製、及び分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
カーボンブラック(MA220、三菱化学製):6.25部
SOLSPERSE24000GRの20%PGMEA溶液:3.75部
SOLSPERSE12000:0.2部
実施例1−2で得られた樹脂溶液をPGMEAで20%に希釈したもの:14.0部
PGMEA:25.8部。
バインダー樹脂溶液を表4に示すとおりに変えたこと以外は、実施例2−1と同様にして色材分散組成物の調製、及び分散安定性の評価を行った。結果を表4に示す。
実施例2−1〜2−2と比較例2−1との対比から、式(1)で表される構成単位を含むことにより一般的なバインダー樹脂より分散安定性が向上することが分かる。また、実施例2−1〜2−2と比較例2−2〜2−3との対比から、その効果は非特許文献1及び特許文献2に記載の主鎖にテトラヒドロピラン環を有する樹脂よりも高いことが分かる。なお、比較例2−3において分散不良となっているのは、バインダー樹脂(比較例1−3)が異常な高分子量化を起こしているためと考えられる。さらに、実施例2−3〜2−8から、その他の共重合成分を変えても、また、式(1)で表される構成単位におけるRを変えても、分散安定性に優れることが分かる。
密着性は、バインダー樹脂が大きく寄与する乾燥後の塗膜性能の1つであり、式(1)で表される構成単位の密着性に対する効果を明確に評価するため、バインダー樹脂のみで評価した。また、樹脂構造としては、カルボキシル基などの酸基やアミンなどの強塩基を含まない樹脂構造とした。
実施例1−9で得られたバインダー樹脂の粉末をIPACに溶解し、39%の溶液とした。これをバーコーターを用いてフロート板ガラスに塗布し、室温で10分間自然乾燥した後、熱風乾燥器を用い70℃で5分間乾燥し、厚さ10μmのバインダー樹脂塗膜を得た。この塗膜の密着性を、JIS K 5600−5−6(クロスカット法)に従い、0〜5の6段階に評価した。結果を表5に示す。
用いたバインダー樹脂の粉末を表5に示すとおりに変えたこと以外は、実施例3−1と同様にして密着性を評価した。結果を表5に示す。
酸素による重合阻害を低減する効果を評価する指標として、光ラジカル硬化における表面硬化性を用いた。表面硬化性は、バインダー樹脂が大きく寄与する乾燥後の塗膜性能の1つであり、式(1)で表される構成単位の表面硬化性に対する効果を明確に評価するため、色材と分散剤を含まない光硬化性樹脂組成物を調製し評価した。
実施例1−9で得られたバインダー樹脂の粉末1.2部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)2.8部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア1173、チバスペシャリティケミカルズ製)0.2部、IPAC6.0部を攪拌混合して均一な溶液とし、これをバーコーターを用いてフロート板ガラスに塗布した。室温で10分間自然乾燥した後、熱風乾燥器を用い70℃で5分間乾燥し、厚さ10μmの光ラジカル硬化性の塗膜を得た。次に、この塗膜に一定光量を照射できる超高圧水銀ランプを用いてUVを照射し、表面を指触しタック性を確認した。UV照射と指触を繰り返し、表面がタックレスとなった時のUV積算照射量[J/cm2]を記録した。UV積算照射量が少ないほど、表面硬化性が良好であることになる。結果を表6に示す。
用いたバインダー樹脂の粉末を表6に示すとおりに変えたこと以外は、実施例4−1と同様にして表面硬化性を評価した。結果を表6に示す。
実施例3−1〜3−2、4−1〜4−2と、比較例3−1、4−1との対比から、式(1)で表される構成単位を含むことにより、密着性及び表面硬化性が向上していることが分かる。また、実施例3−3〜3−6、4−3〜4−6から、式(1)で表される構成単位におけるRを変えても、その効果が発現することが分かる。
耐熱分解性は、バインダー樹脂が大きく寄与する乾燥後の塗膜性能の1つであり、式(1)で表される構成単位の耐熱分解性に対する効果を明確に評価するため、バインダー樹脂のみで評価した。
実施例1−2で得られたバインダー樹脂の粉末を、次の測定機器、及び条件下で測定し、ダイナミックTG曲線を得た。得られたTG曲線から5%重量減少温度を得た。結果を表7に示す。
装置:Thermo Plus TG8120(リガク製)
雰囲気:窒素フロー100ml/分
昇温条件:階段状等温制御(SIAモード)、昇温速度=10℃/分、質量変化速度値=0.005%/秒。
実施例5−1と同様にして各バインダー樹脂の5%重量減少温度を測定した。結果を表7に示す。
透明性は、バインダー樹脂が大きく寄与する乾燥後の塗膜性能の1つであり、透明性の差異を明確にするため、バインダー樹脂のみで評価した。
実施例1−2で得られたバインダー樹脂の粉末をPGMEAに溶かして30%溶液とし、この溶液の波長400nmにおける透過率[%]を分光光度計(UV−3100、島津製)で測定し、加熱前の透過率とした。一方、バインダー樹脂の粉末をガラス容器に入れ、230℃で1.5時間加熱してからPGMEAに溶かして30%溶液とし、波長400nmにおける透過率[%]を測定し、これを加熱後の透過率とした。また、加熱前と加熱後の透過率を用い、次式に従って透過率保持率[%]を算出した。結果を表8に示す。
透過率保持率[%]=加熱後透過率/加熱前透過率×100。
比較例1−4で得られたバインダー樹脂の粉末を用い、実施例6−1と同様にして透明性の評価を行った。結果を表8に示す。
実施例5−1〜5−3と比較例5−1との対比から、式(1)で表される構成単位を含むことにより耐熱分解性が向上し、実施例5−1〜5−3と比較例5−2との対比から、そのレベルは既知の耐熱樹脂(主鎖にイミド環を含有する樹脂)並の耐熱分解性であることが分かる。また、実施例6−1と比較例6−2との対比から、主鎖にイミド環を含有する樹脂よりも高い透明性を有し、耐熱分解性と透明性を高いレベルで両立していることが分かる。
Claims (4)
- 色材、分散剤、バインダー樹脂、及び液媒体を含む色材分散組成物において、前記バインダー樹脂が、下記式(1)で表される構成単位を主鎖中に含む樹脂、であることを特徴とする色材分散組成物。
- 前記バインダー樹脂が下記式(2)で表される単量体を含む単量体成分を重合する工程を含む製造方法により得られることを特徴とする請求項1記載の色材分散組成物。
- 請求項1または2に記載の色材分散組成物に用いられるバインダー樹脂であって、前記バインダー樹脂が、下記式(1)で表される構成単位を主鎖中に含む樹脂、であることを特徴とする色材分散組成物用バインダー樹脂。
- 請求項2記載の色材分散組成物に用いられるバインダー樹脂であって、前記バインダー樹脂が、下記式(2)で表される単量体を含む単量体成分を重合する工程を含む製造方法により得られ、かつ、下記式(1)で表される構成単位を主鎖中に含む樹脂、であることを特徴とする色材分散組成物用バインダー樹脂。
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