JP5609754B2 - 近赤外線カットフィルタガラス - Google Patents
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しかし、半導体層の膜厚を増加すると、長波長成分(赤外領域の光)の感度が上がるという別の問題が生じる。これは、特許文献2(段落0018、0094)等に詳細に説明されているが、要約すると、半導体層による電磁波の吸収係数は、長波長側の成分の方が、短波長側の成分よりも小さいという特性がある。このことは、半導体層に入射した電磁波の内の短波長側の成分は、半導体層での吸収の割合が大きく、半導体層の表面で吸収されてしまう度合いが大きいのに対して、長波長側の成分は、半導体層での吸収の割合が小さいので、半導体層の表面で吸収されてしまう度合いが小さく、より深いところまで達することを意味する。このため、半導体層の膜厚を増加することにより固体撮像素子の感度を向上する場合、固体撮像素子への入射光における長波長の成分を従来以上に確実にカットする必要がある。
近赤外線カットフィルタガラスにおける近赤外域の光のカット性能を向上する方法としては、以下に述べる方法が知られている。
1つの方法として、近赤外域の光を吸収するCu2+成分を含むCuOのガラスへの添加量を増やすことである。しかしながら、CuOの添加量を単に増やすだけでは近赤外域の透過率は低く抑えられるものの、可視域透過率も併せて低下するという弊害が生じる。
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、可視域透過率を高くすることおよび近赤外域透過率を低く抑えることとの両立ができ、かつ高い耐候性を備えた近赤外線カットフィルタガラスを低コストで提供することを目的とする。
具体的には、ガラス成分中の銅イオンについて、紫外域に吸収を持ち可視域の透過率を低くする要因となるCu+成分よりも近赤外域に吸収を持つCu2+成分の比率が極力多く存在するようにした。
また、ガラス中のCu2+の構造の歪みが小さい場合、Cu2+の近赤外域の光の吸収性が上がることに着目し、ガラス中の修飾酸化物のフィールドストレングスが弱い方が非架橋酸素を配位させやすく、Cu2+周りの歪みが小さくなると考えた。これは、Cu2+周りの歪みが小さくなると、2Eg→2T2gのバンド間のエネルギー差が小さくなり、Cu2+の吸収ピークが長波長側へ移動するためである。
これらにより、ガラス中のCu2+の存在比率が高く、かつCu2+による近赤外域の光の吸収を一層高く機能させることができる近赤外線カットフィルタガラスとして好適なリン酸塩系ガラス組成を見出した。
下記酸化物換算の質量%表示で、
P2O5 65〜74%、
Al2O3 5〜10%、
B2O3 0.5〜3%、
Li2O 0〜10%、
Na2O 3〜10%、
Li2O+Na2O 3〜15%、
MgO 0〜2%、
CaO 0〜2%、
SrO 0〜5%、
BaO 3〜9%、
MgO+CaO+SrO+BaO 3〜15%、
CuO 0.5〜20%、
を含み、K2Oを実質的に含まず、
Na2O/(Li2O+MgO+CaO+SrO+BaO) 0.5〜3、
であることを特徴とする。
P2O5/Al2O3 6.5〜10、
(BaO+B2O3)/Al2O3 0.3〜2.4、
であることを特徴とする。
また、本発明の近赤外線カットフィルタガラスは、実質的にF、PbO、As2O3、Sb2O3、CeO2、V2O5、SiO2、希土類元素を含まないことを特徴とする。
ガラス成分中の銅は、ガラスの溶融温度が高いほど還元される、つまりCu2+が還元されてCu+になる、傾向にある。よって、Cu2+を多く存在させるためには、ガラスの溶融温度を極力低くすることが有効である。なお、本発明の近赤外線カットフィルタガラスの溶融温度は、1150℃以下が好ましく、1100℃以下がより好ましく、1080℃以下がさらに好ましい。
そのため、ガラスの溶融温度を高くする効果があるAl2O3に対してガラスの溶融温度を低くする効果があるBaO、B2O3の比率を大きくする。これらのガラス成分中のバランスは、(BaO+B2O3)/Al2O3を大きくすればいいが、大きすぎる場合、耐候性の低下につながるため、これらの比は0.3〜2.4の範囲である。さらにこれらの比は、0.3〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。
そのため、ガラス中のCu2+の6配位構造の歪みを小さくするには、ガラス中に非架橋酸素の数が多く、かつ、修飾酸化物のフィールドストレングス(フィールドストレングスは、価数Zをイオン半径rの2乗で割った値:Z/r2であり、カチオンが酸素を引き付ける強さの程度を表す)が小さいことが必要であると考えた。
そのため、ガラスに含有する網目状酸化物のバランスは、P2O5/Al2O3が6.5〜10の範囲である。さらにこれらの比は、7〜10が好ましく、7〜9.5がより好ましい。
これらより、ガラス中の修飾酸化物のフィールドストレングスの平均値を小さくするためには、フィールドストレングスが相対的に小さいNa2Oを他の修飾酸化物と比較し多く含有することが効果的であることがわかる。
そのため、ガラスに含有する修飾酸化物のバランスは、Na2O/(Li2O+MgO+CaO+SrO+BaO)を大きくすればよいが、大きすぎる場合、耐候性の低下につながるため、これらの比は0.5〜3の範囲である。さらにこれらの比は、0.5〜2.5が好ましく、0.7〜2がより好ましい。
そして、ガラス中のCuOの含有量を増やしたり、誘電体多層膜(近赤外線カット膜)を設けることなく、近赤外線カットフィルタガラスの可視域透過率を高く維持しつつ近赤外域の光のカット性を向上することが可能である。なお、所望の分光特性を得るために本発明の近赤外線カットフィルタガラスに誘電体多層膜(近赤外線カット膜)を設けることは当然可能であるが、ガラスの近赤外線カット性が高いため、設ける誘電体多層膜の層数を少なくすることが可能であり、ガラスに誘電体多層膜を設ける場合であっても近赤外線カットフィルタガラスの製造コストを従来と比べて低くすることができる。
これらガラスは、表に示す組成(質量%)となるよう原料を秤量・混合し、内容積約1000ccの白金ルツボ内に入れて、900〜1200℃で1〜3時間溶融、清澄、撹拌後、およそ100〜400℃に予熱した縦100mm×横100mm×高さ20mmの長方形のモールドに鋳込み後、約1℃/分で徐冷してサンプルとした。また、上記サンプル作製時に目視で観察し、得られたガラスサンプルには泡や脈理のないことを確認した。なお、各ガラスの原料は、P2O5の場合はH3PO4またはメタリン酸塩原料を、Al2O3の場合はAl(PO3)3またはAl(OH)3を、B2O3の場合はH3BO3を、Li2Oの場合はLiCO3を、Na2Oの場合はNaCO3を、K2Oの場合はKCO3を、MgOの場合はMgOを、CaOの場合はCaCO3を、SrOの場合はSrCO3を、BaOの場合はBaPO3を、CuOの場合はCuOを、それぞれ使用した。
なお、上記において、ガラスの分光特性は、透過率50%を示す波長が631nmとなるように換算(半値補正)した透過率特性を用いている。これは、ガラスの透過率は厚みによって変化するが、均質なガラスであれば、光の透過する方向におけるガラスの厚さと透過率がわかれば、所定の厚さの透過率を計算によって求めることができるためである。半値補正の具体的な方法としては、紫外可視近赤外分光光度計にて測定した透過率と、ガラスの屈折率から算出した反射率とからガラスの吸光係数を求め、波長631nmの透過率が50%となる肉厚を計算し、この肉厚での透過率に換算する。
ガラスの溶融温度は、異なる温度で溶融したガラスブロックを目視観察し、異物の混入が見られない一番低い温度を表に示す。
このため、本発明の近赤外線カットフィルタガラスは、近赤外線カット能を補うための近赤外線カット膜(誘電体多層膜)をガラス表面に設ける必要がなくなるため、近赤外線カットフィルタガラスを低コストで製造することが可能となる。また、ガラスの可視域透過率が高く、近赤外線カット性が高いため、固体撮像素子用の近赤外線カットフィルタ用ガラスとして好適に用いることができる。
Claims (3)
- 下記酸化物換算の質量%表示で、
P2O5 65〜74%、
Al2O3 5〜10%、
B2O3 0.5〜3%、
Li2O 0〜10%、
Na2O 3〜10%、
Li2O+Na2O 3〜15%、
MgO 0〜2%、
CaO 0〜2%、
SrO 0〜5%、
BaO 3〜9%、
MgO+CaO+SrO+BaO 3〜15%、
CuO 0.5〜20%、
を含み、K2Oを実質的に含まず、
Na2O/(Li2O+MgO+CaO+SrO+BaO) 0.5〜3、
であることを特徴とする近赤外線カットフィルタガラス。 - P2O5/Al2O3 6.5〜10、
(BaO+B2O3)/Al2O3 0.3〜2.4、
であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線カットフィルタガラス。 - 実質的にF、PbO、As2O3、Sb2O3、CeO2、V2O5、SiO2、希土類元素を含まないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の近赤外線カットフィルタガラス。
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