JP5594113B2 - 架橋高分子粒子の製造方法、及び、架橋高分子粒子 - Google Patents

架橋高分子粒子の製造方法、及び、架橋高分子粒子 Download PDF

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Description

本発明は、架橋高分子粒子の製造方法、及び、架橋高分子粒子に関する。
近年、抗体医薬等に代表されるバイオ医薬品の分野では、タンパク質等の目的物質の発現技術が著しく進展している。それに伴い、クロマトグラフィー等による精製工程での生産性の向上が求められている。
天然ポリマーであるアガロースやセルロースのような多糖類からなるゲルは、クロマトグラフィー用充填剤の担体として汎用されている。例えば、アガロースは高温で水に溶解させることができ、次いである温度(ゲル化点)に冷却すると多孔質ゲルを形成することから、アガロースが溶解した水相を有機溶剤に分散させて液滴を形成した後、ゲル化点以下に冷却することにより、アガロースゲル粒子を得ることができる。
また、セルロースについては、セルロースを溶解−再生して多孔質ゲル粒子とする方法として、チオシアン酸カルシウム水溶液への溶解を経る方法(特許文献1)、ジメチルアセトアミド又はN−メチルピロリドンの塩化リチウム溶液への溶解を経る方法(特許文献2)、イオン液体への溶解を経る方法(非特許文献1)などが報告されている。
斯かる多糖類ゲル粒子は分子中に多数の水酸基を含んでいるため、その表面は高い親水性を有している。従って、基本的に生体物質との非特異的な相互作用を生じないため、目的分子が高い精製度で得られる傾向がある。また一般に、シリカや合成ポリマー等から成る担体と比較して、生体分子に対する結合容量や、クロマトグラフィー用充填剤の洗浄に汎用されるアルカリ性溶液に対する耐性に優れている。
しかしながら、多糖類ゲル粒子をクロマトグラフィー用充填剤の担体として用いる場合には、一般に機械的強度が合成ポリマーと比較して劣り、その結果、高流速で使用すると、カラム内で粒子が変形することで流路が失われ、結果としてカラムの背圧が限りなく上昇する圧密化が生じやすい傾向があり、耐流速性に劣るという問題がある。
多糖類ゲル粒子の機械的強度及び耐流速性を向上させる最も一般的な方法は、粒子形成後に多糖類ゲル粒子を架橋することである。斯かる架橋は多糖類ゲル粒子内部の水酸基間で起こり、一般にエピクロロヒドリンなどの架橋剤を用いることにより行われる。架橋形成についてはこれまでに種々の改良法が報告され、例えば、6−12鎖長の二官能性又は多官能性架橋剤で架橋した後に、2−5鎖長の二官能性架橋剤で架橋することにより、架橋アガロースゲル粒子の機械的強度を改善できること(特許文献3)、セルロースゲル粒子を官能基間に水酸基が存在している架橋剤を用いて架橋することにより、適度な圧縮応力を有する多孔質担体を得ることができること(特許文献4)、セルロースゲル粒子を含む懸濁液に対して架橋剤とアルカリ溶液を逐次投入することにより、架橋剤全量を一度に投入する場合と比較して優れた耐流速性を有するセルロースゲル粒子が得られること(特許文献5)等が報告されている。
また、粒子内部をより効率的に架橋する方法としては、原料となる多糖類にあらかじめ官能基を導入したうえで粒子を形成し、その後該官能基を活性化して多糖鎖間を架橋する方法がある。この方法によれば、粒子形成後に架橋する方法と比較して、架橋剤が入り込みづらい微細な構造中も架橋を施すことが可能となり、従ってより高い機械的強度が得られると期待される。例えば、特許文献6には、アガロースをアリルグリシジルエーテルのエポキシ基と反応させてゲル粒子を形成した後、アリルグリシジルエーテルのアリル基を活性化して、該多糖類と架橋させることにより、架橋アガロースゲル粒子の機械的強度を改善できることが記載されている。しかしながら、当該技術ではアガロースの修飾から架橋に至るまでに多段階の反応工程を必要とし操作が煩雑である。また水中でアガロースとアリルグリシジルエーテルのエポキシ基とを反応させるために、反応系中の水によるエポキシ基の不活性化が起こり、反応効率が低くなる欠点がある。
このように、高分子粒子を担体とするクロマトグラフィー用充填剤の製造に利用できる技術は多数存在するが、バイオ医薬品市場の拡大に伴って、目標物質の精製工程における高速処理に対するニーズは急速に高まっており、当技術分野ではさらに高い耐流速性と結合容量を併せ持つクロマトグラフィー用充填剤の製造方法が強く求められている。
特許第3601229号公報 特許第3663666号公報 特開昭60−39558号公報 特開2008−279366号公報 特開2009−242770号公報 特許第4081143号公報
J.Chromatogr.A 1217(2010),1298-1304
本発明が解決しようとする課題は、クロマトグラフィー用充填剤として使用した場合に、高流速下で使用できる、すなわち大量処理に適した優れた耐流速性を有し、且つ、適当なリガンドが導入された場合には、タンパク質等の目標分子に対する高い結合容量を併せ持つ、架橋高分子粒子及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、イオン液体に溶解した高分子を、前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中で液滴分散させながら架橋剤と反応させることにより、優れた耐流速性と、適当なリガンドが導入された場合には、タンパク質に対する高結合容量とを併せ持つ架橋高分子粒子が得られ、前記課題を解決できることを見いだした。
すなわち、本発明は以下の1)〜11)に係るものである。
1)イオン液体に溶解した高分子を、前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中で液滴分散させながら架橋剤と反応させる工程を含むことを特徴とする、架橋高分子粒子の製造方法。
2)分散液にイオン液体に相溶し且つ実質的に該高分子を溶解しない媒体を加え、液滴を凝固させる工程をさらに含む、上記1)の方法。
3)高分子が、多糖類、及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上である、上記1)又は2)の方法。
4)多糖類が、セルロース、アガロース、キトサン、デキストラン、プルラン及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上である、上記3)の方法。
5)多糖類が、少なくともセルロース又はその誘導体を含む、上記4)の方法。
6)架橋剤がハロヒドリン類、ビスエポキシド類、ポリエポキシド類及びジビニルスルホンから選ばれる1種又は2種類以上である上記1)〜5)の方法。
7)上記1)〜6)の方法により製造される架橋高分子粒子。
8)上記7)の架橋高分子粒子を用いたクロマトグラフィー用充填剤。
9)上記7)の架橋高分子粒子を用いた抗体精製用クロマトグラフィー用充填剤。
10)アフィニティーリガンドが導入された、上記9)の抗体精製用クロマトグラフィー用充填剤。
11)アフィニティーリガンドがプロテインAである、上記10)の抗体精製用クロマトグラフィー用充填剤。
本発明によれば、イオン液体中に溶解した原料高分子と架橋剤との反応を進行させると同時に粒子を形成することができるため、粒子内部が効率的に架橋された剛性の高い粒子を製造することができ、結果として移動相を高流速で送液することができる優れた耐流速性を有する架橋高分子粒子が得られる。また、本発明の架橋高分子粒子に適当なリガンドを導入し、クロマトグラフィー用充填剤の担体として使用すると、架橋剤を使用しない方法で製造した高分子粒子を使用した場合と比較して、高い結合容量が得られる。従って、本発明の架橋高分子粒子はタンパク質などの生体物質を精製するクロマトグラフィー用充填剤の担体や抗体精製用吸着体として好適であり、上記生体物質の精製工程での生産性を著しく向上させることができる。
高分子粒子の耐流速性を示すグラフ。
本発明の架橋高分子粒子の製造方法は、イオン液体に溶解した高分子を、前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中で液滴分散させながら架橋剤と反応させ、形成された粒子を分離することを特徴とするものである。
以下に、本発明の架橋高分子粒子の製造方法及び、架橋高分子粒子について説明する。 尚、本明細書中、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」と同義であり、A及びBを数値範囲内に含む。
本発明において、原料高分子(原料として使用する高分子。以下、単に「高分子」ともいう。)としては、特に制限はないが、後述する有機溶剤に溶解しないか、有機溶剤に難溶性のものが好ましい。有機溶剤に難溶性のものとは、室温(25℃)で、有機溶剤100gに溶ける高分子の質量(g)が1g以下であることを意味する。
好適な高分子としては、例えば、多糖類、及びこれと類似した性質を有する、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン等の水溶性直鎖状有機高分子が挙げられる。
多糖類としては、その由来は特に制限はなく、天然多糖、合成多糖の何れでもよい。具体的には、セルロース、アガロース、キチン、キトサン、デキストラン、プルラン、デンプン、グアーガム、カラギナン、アルギン酸、アラビアガム、アラビノガラクタン、ペクチン、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、カシアガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ジェランガム、カードラン、イヌリン、シクロデキストリン等が挙げられ、これらを単独で、或いは複数を混合して用いることができる。
このうち好適な多糖類としては、セルロース、アガロース、キトサン、デキストラン、プルランが挙げられ、中でも、生体高分子の高結合容量と低非特異吸着性の観点から、セルロース、アガロースを主成分とするのが好ましく、さらに耐圧性の観点から、セルロースを主成分とするのが好ましい。
また上記の高分子は、イオン液体に溶解する限りにおいて、一部に官能基が導入された誘導体であってもよい。
斯かる誘導体としては、例えば、水酸基の一部がエステル化されたもの(エステル誘導体)、水酸基がエーテル化されたもの(エーテル誘導体)が挙げられる。具体的には、セルロースを例にとると、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、りん酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、アミノエチルセルロース、オキシエチルセルロース等が挙げられる。
本発明においては、上記原料高分子をイオン液体に溶解し、高分子のイオン液体溶液が調製される。
イオン液体としては、上記高分子を均一に溶解できるイオン液体であれば特に制限はない。ここで、「高分子を均一に溶解できる」とは、例えばイオン液体に、3質量%溶液となる分量で高分子を混合し、目視で溶解を確認できることが挙げられる。なお、前記の通り溶解すればその温度は問わない。
斯かるイオン液体としては、カチオン成分とアニオン成分とから構成され、融点が200℃以下のものが好ましく、100℃以下のものがより好ましく、50℃以下のものがさらに好ましい。また、融点の下限としては、限定されるものではないが、−100℃以上が好ましく、−30℃以上がより好ましい。
カチオン成分としては、アルキルイミダゾリウムカチオン、アルキルピリジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、アルキルフォスフォニウムカチオン、アルキルスルフォニウムカチオン、N,N−ジアルキルピロリジニウムカチオン、N,N−ジアルキルピペリジニウムカチオン、N,N−ジアルキルモルフォルニウムカチオン等が挙げられる。このうち好適にはアルキルイミダゾリウムカチオン、アルキルピリジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。ここで、「アルキル」とは、炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、このうち炭素数1〜8の直鎖アルキル基が好ましく、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖アルキル基が好適である。上記アルキル基の代わりにアルケニル基であってもよく、前記アルケニル基としては、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましく、アリル基がさらに好ましい。
カチオン成分としては、具体的には、N−メチルイミダゾリウムカチオン、N−エチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムカチオン及び1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、N−プロピルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、1,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン及び1−ブチル−2,4−ジメチルピリジニウムカチオン、トリメチルアンモニウムカチオン、エチルジメチルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン等が挙げられるが、このうち、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン等のジアルキルイミダゾリウムカチオンがより好ましく、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンが更に好ましい。
アニオン成分としては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-、I-等)、カルボン酸アニオン(例えば総炭素数1〜3のC25CO2 -、CH3CO2 -、HCO2 -等)、擬ハロゲン化物イオン(例えば、一価でありハロゲン化物に類似した特性を有するCN-、SCN-、OCN-、ONC-、N3 -等)、スルホン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン(メタンスルホン酸アニオン等)、リン酸アニオン(エチルリン酸アニオン、メチルリン酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン等)、ホウ酸アニオン(テトラフルオロホウ酸アニオン等)、過塩素酸アニオン等が挙げられ、ハロゲン化物イオン、カルボン酸アニオンが好ましい。
本発明のイオン液体としては、高分子の溶解性、融点、粘度等の観点から、好適には、アルキルイミダゾリウム塩、ジアルキルイミダゾリウム塩が挙げられ、より好適にはアルキルイミダゾリウムアセテート、アルキルイミダゾリウムクロリド、更に好適にはジアルキルイミダゾリウムアセテート、ジアルキルイミダゾリウムクロリド、更に好適には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドが挙げられる。
原料高分子の上記イオン液体への溶解は、用いる多糖類及びイオン液体の種類によっても異なるが、通常、10〜250℃、好適には25〜120℃で、1〜24時間程度、撹拌下に行うのが好ましい。
ここで、イオン液体は、溶液の粘度上昇による液滴の形成の困難性、及び高分子の濃度低下による液滴形成時の微小粒子の多発を抑制する点から、溶液中の総高分子濃度が3〜50質量%、好ましくは6〜30質量%となるように用いるのが好ましい。
尚、原料高分子のイオン液体への溶解濃度により、得られる粒子の細孔径が変化する。すなわち、高分子の溶解濃度が濃いほど粒子の細孔径が小さくなる傾向がある。従って、上記の範囲内において、総高分子濃度を調整することにより、任意の細孔径をもつ粒子を得ることができる。尚、本発明の架橋高分子粒子において細孔径に特に制限はないが、一般にクロマトグラフィー用充填剤として用いられる場合には数nm〜数μm程度が好ましい。
上記の如く調製された高分子のイオン液体溶液は、前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤(以下、単に「有機溶剤」とも称する)に加えられ、懸濁、分散される。この際に高分子と架橋剤とを反応させる。
ここで、「イオン液体と相溶性の低い有機溶剤」とは、イオン液体と有機溶剤とを体積比で1:1で混合した際に、イオン液体と有機溶剤との間に界面が形成される有機溶剤を意味する。
ここで用いられる有機溶剤は、分散媒となるものであるが、前記イオン液体と相溶性の低いものであればその種類は限定されず、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素等を挙げることができ、それらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。好ましくは芳香族炭化水素が挙げられ、より好ましくはトルエンが挙げられる。
有機溶剤の使用量は、高分子粒子の粒子径等を考慮して適宜決定すればよいが、イオン液体100質量部に対して好ましくは、50〜2000質量部、更に好ましくは50〜500質量部である。
本反応に用いられる架橋剤としては、原料高分子と反応する官能基を含有するものであれば特に制限はなく、例えばエピクロロヒドリン等のハロヒドリン類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等のビスエポキシド類、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のポリエポキシド類、ジビニルスルホン等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよいし、2種類以上の混合物として使用してもよい。
架橋剤の使用量は、粒子形成に支障を来すことなく、且つ粒子性能の向上を図る点から、高分子に対して0.5〜500質量%、好ましくは1〜200質量%である。
斯かる架橋剤は、前記高分子との反応に支障を来さなければ、その添加方法は制限されず、例えば、高分子のイオン液体溶液中に予め加えてもよいし、高分子のイオン液体溶液と有機溶剤を混合した後に加えてもよい。また、反応の進行を促進するため、架橋剤と共に触媒を加えてもよい。触媒としては、特に制限は無く、一般的な有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を使用することができる。
本発明において、架橋反応は、高分子のイオン液体溶液を有機溶剤中で分散させながら行われる。すなわち、本発明の方法では、高分子間の架橋形成は液滴中において進行し、同時に粒子形成が行われる。従って、架橋形成反応は、液滴分散を妨げるものでなければその条件は限定されないが、高分子が分解・析出せず、かつ架橋反応が進行する温度、例えば室温〜110℃、好ましくは50〜100℃で、概ね1〜48時間、好ましくは4〜24時間、混合攪拌することにより行うことができる。
分散(液滴形成)の手法としては、スタティックミキサー等の攪拌機を使用する等、公知の手段を用いることができる。攪拌時の回転数により液滴の径を制御でき、結果として生成する粒子の粒子径を制御できる。すなわち、回転数が大きいほど形成される液滴の径が小さくなることから、目的とする粒子径に応じて適宜混合器の回転速度を調節すれば良い。
尚、分散効率を上げるために、少なくともイオン液体及び有機溶剤のいずれかには、界面活性剤又は親油性高分子を添加することが好ましい。ここで、用いられる界面活性剤は、表面張力を減ずる作用を有し、分子内に疎水性部位と親水性部位をもつ有機化合物であって、前記高分子のイオン液体溶液の液滴状態を安定に保ったまま分散できるものあれば特に限定されない。
界面活性剤としては、公知の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤;
アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド等の両性界面活性剤;
しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレン脂肪酸エステル等のノニオン系の界面活性剤;
等が挙げられる。
これらのうちノニオン系の界面活性剤が好ましく、特に好ましくはソルビタンモノオレエート(SPAN80)、ソルビタントリオレエート(SPAN85)である。
親油性高分子としては、有機溶剤に溶解して粘度を上昇させ、前記高分子のイオン液体溶液の液滴状態を安定化できるものであれば特に制限はないが、増粘剤として公知の親油性高分子、例えば、セルロース誘導体等の多糖類誘導体、親油性ビニル誘導体、親油性アクリル酸系ポリマー等を用いるのが好ましい。
上記セルロース誘導体としては、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられ、親油性ビニル誘導体としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等が挙げられ、親油性アクリル酸系ポリマーとしては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
これらのうち、セルロース誘導体が好ましく、とりわけエチルセルロースが好ましい。
上記親油性高分子は、1種のみを使用することができるが、2種以上を併用することもできる。
また、当該親油性高分子は、液滴の安定性及び分散媒の粘度を考慮すると、重量平均分子量が3,000〜5,000,000であるのが好ましい。
尚、重量平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量を意味する。
界面活性剤又は親油性高分子の使用量は、分散性能やイオン液体の性質を考慮して適宜選択され得るが、例えば有機溶剤100質量部に対して、好ましくは1質量部〜100質量部、より好ましくは1質量部〜25質量部である。
界面活性剤又は親油性高分子を使用する場合、高分子のイオン液体溶液、有機溶剤及び界面活性剤の混合順序は、特に制限はないが、有機溶剤と界面活性剤又は親油性高分子との混合液を、高分子のイオン液体溶液に混合するのが好ましい。
斯くして、液滴形成の過程で高分子間の架橋が進行する。架橋度が高い場合には、液滴中で強固な粒子が生成するので、このまま遠心分離、濾過、デカンテーション等公知の方法で固液分離することにより、架橋高分子粒子を分離回収することができる。
一方、架橋度が低い場合には、高分子は液滴中で流動性を保っているので、イオン液体に相溶し且つ実質的に該高分子を溶解しない媒体と接触させることにより液滴を凝固させ架橋高分子粒子を得ることができる。
ここで、「イオン液体に相溶し且つ実質的に該高分子を溶解しない媒体」とは、常温でイオン液体と体積比で1:1で混合した際に均一に混和し、また常温で媒体100gに溶ける該高分子の質量が1g以下であることを意味する。斯かる媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール等の極性溶剤の1種又は2種以上を挙げることができる。
媒体は上記の液滴分散液に添加してもよいが、液滴の形状を保ったまま架橋高分子を凝固させることができる方法が好ましい。具体的にはイオン液体と相溶性の低い有機溶剤と、水、メタノール、エタノール等の上記媒体、必要に応じて界面活性剤又は親油性高分子を、混合・撹拌して媒体の分散液を調製後、液滴分散液に接触させる方法を挙げることができる。このときの有機溶剤は高分子溶液の分散媒と同種のものであることが好ましい。
当該媒体の使用量は、イオン液体100質量部に対して、好ましくは、20〜2,000質量部、より好ましくは50〜200質量部である。
また、液滴分散液と前記媒体との接触は、0〜100℃、好適には25〜80℃で行うことが好ましい。
斯くして調製された架橋高分子粒子は、遠心分離、濾過、デカンテーション等公知の方法で固液分離することにより回収することができる。また、回収した粒子はイオン液体及び有機溶剤に相溶性の溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノールなどで洗浄し、次いで水洗浄を行うことにより精製される。
本発明の方法で得られる架橋高分子粒子の体積平均粒径は、クロマトグラフィー用担体として用いた場合の、高流速下での圧力の上昇及びタンパク質等の精製対象物質の結合容量の低下等を考慮すると、好ましくは20〜300μm、より好ましくは30〜150μmである。
斯くして、本発明の方法によれば、高分子が液滴分散される過程で架橋形成が進行することから、粒子内部が効率的に架橋された剛性の高い粒子を製造することができる。結果として移動相を高流速で送液することができる優れた耐流速性をもつ架橋高分子粒子を製造できる(後記試験例1)。
本発明の方法により得られる架橋高分子粒子は、公知の方法(例えば、米国特許4973683号明細書、特開2009−242770号公報参照)により、さらに化学架橋が施されてもよい。化学架橋することにより、さらに粒子の剛性が高くなり、耐流速性が向上して、より高流速での使用が可能となる。架橋剤としては、原料高分子の水酸基と反応する官能基を含有するものであれば特に制限はなく、例えばエピクロロヒドリンなどのハロヒドリン類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどのビスエポキシド類、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルなどのポリエポキシド類、ジビニルスルホン等が挙げられる。これらの架橋剤は単独で使用してもよいし、2種類以上の混合物として使用してもよい。
本発明の架橋高分子粒子は、公知の方法による一つ以上の後続工程を経ることにより任意のリガンド、荷電基、疎水性基等を粒子に導入することができる。すなわち、本発明の架橋高分子粒子は、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、キレートクロマトグラフィー、共有結合クロマトグラフィー等各種クロマトグラフィー用充填剤の担体として用いることができる。
本発明の架橋高分子粒子をクロマトグラフィー用充填剤の担体として使用すると、架橋剤を使用しない一般的な方法で製造した高分子粒子を使用した場合と比較して、高い結合容量が得られる(後記試験例2)。従って、本発明の架橋高分子粒子はタンパク質等の生体物質を精製するクロマトグラフィー用充填剤の担体として好適であり、上記生体物質の精製工程での生産性を著しく向上させることができる。
例えば、抗体精製用クロマトグラフィー用充填剤として用いる場合のアフィニティーリガンドとしては、抗体に特異性の高い抗原やタンパク質、プロテインA、プロテインGやその変異体、抗体結合活性を有するペプチド等を用いることができ、中でも抗体に対する高い特異性、結合能を有するプロテインAが好適に用いられる。従って、本発明の架橋高分子粒子の水酸基の少なくとも一部を介して、公知の方法によりプロテインAを固定化することにより、抗体精製に好適なクロマトグラフィー用充填剤を提供することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。また、以下の記載は本発明の態様を概括的に示すものであり、特に理由無く、かかる記載により本発明は限定されるものではない。
1.評価方法
1.1.粒径分布の測定
レーザー散乱回折法粒度分布測定装置LS 13 320(ベックマン・コールター)により粒径分布を測定した。光学モデルはFluid R.I. Real 1.333、Sample R.I. Real 1.54 Imaginary 0を使用した。
これより、セルロース粒子の体積平均粒径、及び体積粒度の変動係数(C.V.値:(標準偏差/体積平均粒径)×100)を求めた。
1.2.粒子沈降体積
粒子を水分散し、目盛り付き容器に入れ、12時間静置後の粒子沈降体積を目視により測定した。
1.3.耐流速性の測定法
内径0.5cmのガラス製カラム(GEヘルスケア社製、Tricorn 5/200 column)に下記の実施例及び比較例で得られる粒子をベッド高20cmまで充填した。各カラムをクロマトグラフィーシステム(GEヘルスケア社製、AKTA prime)にセットして25℃の純水を流し、その際のカラム入り口とカラム出口の圧力差をカラム圧力とした。
1.4.結合容量の測定法
下記の実施例及び比較例で得られる粒子の結合容量は、プロテインA結合状態でのヒトポリクローナルIgGに対する動的結合容量で評価した。すなわち、下記の実施例及び比較例で得られるプロテインA結合粒子をそれぞれ内径0.5cmのガラス製カラム(GEヘルスケア社製、Tricorn 5/200 column)にベッド高20cmまで充填した。各カラムをクロマトグラフィーシステム(GEヘルスケア社製、AKTA prime)にセットして20mMリン酸バッファー(pH7.4)で平衡化した後、ヒトポリクローナルIgG(5mg/ml)を含む20mMリン酸バッファー(pH7.4)を線流速300cm/時間で流し、吸光度モニターで溶出液中のヒトポリクローナルIgG濃度が10%ブレークスルー(破過)の時のヒトポリクローナルIgG吸着量と充填剤体積から動的結合容量を求めた。また、上記の測定時の背圧を測定した。
実施例1 架橋高分子粒子の製造(1)
500mlセパラブルフラスコ内で1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(Aldrich社製)60gにセルロース粉末3.86g(フナコシ株式会社製)を加え、温水バスにセットし95℃に加熱し、2時間攪拌を行い溶解してセルロース溶液を得た。別の500mlセパラブルフラスコ内でトルエン(和光純薬工業社製)200mlにエチルセルロース45(和光純薬工業社製)16gを加え、温水バスにセットし80℃で2時間攪拌を行い溶解してエチルセルロース含有トルエンを得た。さらに別のセパラブルフラスコ内でトルエン150mlにエチルセルロース45を12g加え、温水バスにセットし80℃で2時間攪拌を行い溶解した後、0.2M硫酸ナトリウム水溶液62.5mlを加え400rpm、80℃で30分間攪拌を行いW/O型エマルジョンを得た。次に上記セルロース溶液にグリセロールポリグリシジルエーテル(製品名:エピオールG−100、日油社製)0.4gを加え、さらに上記エチルセルロース45含有トルエンを加えて300rpm、90℃で4時間撹拌した。この懸濁液に上記W/O型エマルジョンを加え300rpmで撹拌しながら室温に冷却した。その後、エタノール1500ml中に注いで撹拌し、静置の後デカンテーションにより上澄み液を除去した。さらにエタノール1500mlでデカンテーションを2回行った後、エタノール及び純水で濾過洗浄を行い、さらに水浴中で篩分級して沈降体積50mlの粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は64μm、C.V.値は41%であった。
実施例2
実施例1で得られた粒子25ml(沈降体積)を25mlの純水に懸濁し、さらに32重量%硫酸ナトリウム水溶液40mlを加えた。撹拌下で45%水酸化ナトリウム水溶液1ml及びNaBH4200mgを加え、50℃に昇温した。50℃で撹拌を継続しながら、45wt%水酸化ナトリウム水溶液1.5ml及びエピクロロヒドリン(和光純薬工業社製)1.2mlを1時間おきに計12回加え、さらに12時間撹拌を継続した。その後、上記の懸濁液を冷却し、純水、エタノール、純水の順で濾過洗浄を行い、さらに水浴中で篩分級して沈降体積25mlの粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は62μm、C.V.値は40%であった。
実施例3
実施例2で得られた粒子5ml(沈降体積)をサクションドライし、水を加えて計7mlの懸濁液とした。上記の懸濁液に5M水酸化ナトリウム水溶液0.8ml、NaBH424mg、及びエピクロロヒドリン(和光純薬工業社製)4mlを加え、25℃で8時間振とうした。その後、上記の反応液を純水、エタノール、純水の順で濾過洗浄を行い、沈降体積5mlの粒子を得た。
実施例4
実施例3で得られた粒子5ml(沈降体積)を、プロテインA(製品名:rPA50、RepliGen社製)102mgを含む1.5M硫酸ナトリウム、0.1Mリン酸バッファー(pH6.8)45mlで懸濁した。上記懸濁液を25℃で24時間振とうしたのち、遠心して上澄み液を除いた。残存する粒子に1Mチオグリセロール、0.5M硫酸ナトリウム水溶液(pH8.3)45mlを加えて25℃で4時間振とうしたのち、0.1Mクエン酸バッファー(pH3.2)、0.1M水酸化ナトリウム水溶液、PBS(−)で順次洗浄し、沈降体積5mlの粒子を得た。
実施例5
原料としてセルロースとプルランの2種類の多糖類の混合物を用いた以外は、実施例1の方法に従って粒子を製造した。すなわち、500mlセパラブルフラスコ内で1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(Aldrich社製)60gにセルロース粉末3.86g(フナコシ株式会社製)とプルラン0.39g(林原生物化学研究所社製)を加え、温水バスにセットし95℃に加熱し、2時間攪拌を行い溶解してセルロースとプルランの混合物の溶液を得た。別の500mlセパラブルフラスコ内でトルエン(和光純薬工業社製)200mlにエチルセルロース45(和光純薬工業社製)16gを加え、温水バスにセットし80℃で2時間攪拌を行い溶解してエチルセルロース含有トルエンを得た。さらに別のセパラブルフラスコ内でトルエン150mlにエチルセルロース45を12g加え、温水バスにセットし80℃で2時間攪拌を行い溶解した後、0.2M硫酸ナトリウム水溶液62.5mlを加え400rpm、80℃で30分間攪拌を行いW/O型エマルジョンを得た。次に上記セルロースとプルランの混合物の溶液にグリセロールポリグリシジルエーテル(製品名:エピオールG−100、日油社)0.4gを加え、さらに上記エチルセルロース含有トルエンを加えて270rpm、90℃で4時間撹拌した。この懸濁液に上記W/O型エマルジョンを加え270rpmで撹拌しながら室温に冷却した。その後、エタノール1500ml中に注いで撹拌し、静置の後デカンテーションにより上澄み液を除去した。さらにエタノール1500mlでデカンテーションを2回行った後、エタノール及び純水で濾過洗浄を行い、さらに水浴中で篩分級して沈降体積50mlの粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は65μm、C.V.値は44%であった。
実施例6
実施例5で得られた粒子を用い、実施例2に示した方法と同様の方法により、水沈降体積25mlの粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は65μm、C.V.値は35%であった。
実施例7
実施例6で得られた粒子を用い、実施例3に示した方法と同様の方法により、沈降体積5mlの粒子を得た。
実施例8
実施例7で得られた粒子を用い、実施例4に示した方法と同様の方法により、沈降体積5mlの粒子を得た。
比較例1
J.Chromatogr.A 1217(2010),1298−1304(前記非特許文献1)記載の方法に従って、セルロース粒子を製造した。すなわち、500mlセパラブルフラスコ内で1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(Aldrich社製)60gにセルロース粉末4.17g(フナコシ株式会社製)を加え、温水バスにセットし95℃に加熱し、2時間撹拌を行い溶解してセルロース溶液を得た。別の500mlセパラブルフラスコ内でmineral oil(heavy)(Aldrich社製)200mlにSpan85(分子量957)(和光純薬工業社製)9mlを加え、温水バスにセットし80℃で2時間撹拌を行い溶解してSpan85含有mineral oil(heavy)を得た。さらに別のセパラブルフラスコ内でmineral oil(heavy)150mlにSpan85 6.75mlを加え、温水バスにセットし80℃で2時間撹拌を行い溶解した後、0.2M硫酸ナトリウム水溶液62.5mlを加え400rpm、80℃で30分間撹拌を行いW/O型エマルジョンを得た。次に上記セルロース溶液に上記Span85含有mineral oil(heavy)を加え800rpm、100℃で10分間撹拌した。この懸濁液に上記W/O型エマルジョンを加え800rpmで撹拌しながら室温に冷却した。その後、エタノール1500ml中に注いで撹拌し、静置の後デカンテーションにより上澄み液を除去した。さらにエタノール1500mlでデカンテーションを2回行った後、エタノール及び純水で濾過洗浄を行い、さらに水浴中で篩分級して水沈降体積10mlの粒子を得た。この操作を複数回行い、必要量の粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は66μm、C.V.値は48%であった。
比較例2
比較例1で得られた粒子を用い、実施例2に示した方法と同様の方法により、水沈降体積25mlの粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は65μm、C.V.値は47%であった。
比較例3
比較例2で得られた粒子を用い、実施例3に示した方法と同様の方法により、沈降体積5mlの粒子を得た。
比較例4
比較例3で得られた粒子を用い、実施例4に示した方法と同様の方法により、沈降体積5mlの粒子を得た。
比較例5
架橋剤であるグリセロールポリグリシジルエーテルの添加を除いた以外は、実施例1の方法に従って粒子を製造した。すなわち、500mlセパラブルフラスコ内で1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート(Aldrich社製)60gにセルロース粉末(フナコシ株式会社製)3.86gを加え、温水バスにセットし95℃に加熱し、2時間攪拌を行い溶解してセルロース溶液を得た。別の500mlセパラブルフラスコ内でトルエン(和光純薬工業社製)200mlにエチルセルロース45(和光純薬工業社製)16gを加え、温水バスにセットし80℃で2時間攪拌を行い溶解してエチルセルロース含有トルエンを得た。さらに別のセパラブルフラスコ内でトルエン150mlにエチルセルロース45を12g加え、温水バスにセットし80℃で2時間攪拌を行い溶解した後、0.2M硫酸ナトリウム水溶液62.5mlを加え400rpm、80℃で30分間攪拌を行いW/O型エマルジョンを得た。次に上記セルロース溶液に上記エチルセルロース含有トルエンを加えて300rpm、90℃で10分間撹拌した。この懸濁液に上記W/O型エマルジョンを加え300rpmで撹拌しながら室温に冷却した。その後、エタノール1500ml中に注いで撹拌し、静置の後デカンテーションにより上澄み液を除去した。さらにエタノール1500mlでデカンテーションを2回行った後、エタノール及び純水で濾過洗浄を行い、さらに水浴中で篩分級して水沈降体積50mlの粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は67μm、C.V.値は36%であった。
比較例6
比較例5で得られた粒子を用い、実施例2に示した方法と同様の方法により、水沈降体積25mlの粒子を得た。得られた粒子の体積平均粒径は72μm、C.V.値は34%であった。
比較例7
比較例6で得られた粒子を用い、実施例3に示した方法と同様の方法により、沈降体積5mlの粒子を得た。
比較例8
比較例7で得られた粒子を用い、実施例4に示した方法と同様の方法により、沈降体積5mlの粒子を得た。
試験例1 耐流速性の比較
1.3項に記載の方法に従って、実施例2、実施例6、比較例2、及び比較例6の粒子の耐流速性を評価した。結果を表1と図1に示す。実施例2及び実施例6で得られる粒子は、比較例で得られる粒子と比較して一定線流速における背圧が低く、さらに比較例の粒子では圧密化が発生する大きな線流速での送液が可能であった。すなわち、実施例2及び実施例6の粒子は比較例の粒子よりも優れた耐流速性を示した。
Figure 0005594113
試験例2 結合容量及び耐流速性の比較
1.4項に記載の方法に従って、実施例4、実施例8、比較例4、及び比較例8の粒子のヒトポリクローナルIgGに対する動的結合容量を評価した。結果を表2に示す。実施例4及び実施例8で得られる粒子は、比較例で得られる粒子と比較して、体積あたりのIgG結合容量が大きく、また背圧が低かった。
Figure 0005594113

Claims (11)

  1. イオン液体に溶解した高分子を、前記イオン液体と相溶性の低い有機溶剤中で液滴分散させながら架橋剤と反応させる工程を含むことを特徴とする、架橋高分子粒子の製造方法。
  2. 分散液にイオン液体に相溶し且つ実質的に該高分子を溶解しない媒体を加え、液滴を凝固させる工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 高分子が、多糖類、及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 多糖類が、セルロース、アガロース、キトサン、デキストラン、プルラン及びそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上である、請求項3記載の方法。
  5. 多糖類が、少なくともセルロース又はその誘導体を含む、請求項4記載の方法。
  6. 架橋剤がハロヒドリン類、ビスエポキシド類、ポリエポキシド類及びジビニルスルホンから選ばれる1種又は2種類以上である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の方法により製造される架橋高分子粒子。
  8. 請求項7記載の架橋高分子粒子を用いたクロマトグラフィー用充填剤。
  9. 請求項7記載の架橋高分子粒子を用いた抗体精製用クロマトグラフィー用充填剤。
  10. アフィニティーリガンドが導入された、請求項9記載の抗体精製用クロマトグラフィー用充填剤。
  11. アフィニティーリガンドがプロテインAである、請求項10記載の抗体精製用クロマトグラフィー用充填剤。
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