JP5587407B2 - アセチルアセトネート化合物を含むタイヤゴム組成物 - Google Patents

アセチルアセトネート化合物を含むタイヤゴム組成物 Download PDF

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Description

本発明の分野は、例えば、タイヤのようなゴム製の半製品または製品の製造において特に使用することのできるゴム組成物の分野である。
本発明は、さらに詳細には、これらのゴム組成物を酸化によるエージングに対して保護することを意図する劣化防止系および剤に関する。
知られている通り、天然および合成双方の本質的に不飽和のジエンゴム加硫物は、その分子鎖上での二重結合の存在により、保護されていない場合、大気への長期の暴露後、既知の酸化メカニズムのために、程度の差はあれ急速に劣化する傾向を有する。これらの複雑なメカニズムは、例えば、特許文献WO 99/02590号およびWO 99/06480号に、改めて説明されている。これらのメカニズムは、これらの二重結合の開裂およびイオウブリッジの酸化の後に、加硫物の脆化および弱化をもたらし、この劣化は、“熱酸化”による熱の共同作用或いは“光酸化”による光の共同作用下にさらに促進される。
これらの酸化現象を徐々に抑制することが、特に、例えばN−イソプロピル−N'−フェニル‐p‐フェニレンジアミン(“I‐PPD”)またはN‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N'‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン(“6‐PPD”)のようなp‐フェニレンジアミン(“PPD”または“PPDA”)誘導体、或いはキノリン誘導体(“TMQ”) (同時に優れた酸化防止剤およびオゾン劣化防止剤)のような種々の酸化防止剤の開発および上市によって可能になってきている(例えば、特許出願 WO 2004/033548号、WO 2005/063510号およびWO 2005/133666号を参照されたい)。これらの酸化防止剤は、今日、ジエンゴム組成物において、特に、タイヤ用組成物において、タイヤのエージングおよび早期磨耗に対抗するために系統的に使用されている。
これらの酸化防止剤の周知の欠点は、これらの酸化防止剤のゴム組成物中での濃度がその極めて化学的な機能により時間が経つにつれて必然的に低下すること並びにこれらの酸化防止剤が、さらに、酸化防止剤の濃厚な領域から酸化防止剤のあまり濃厚でない領域に移行する強い自然性向を有することであり、極めてその通りであるので、当業者は、比較的高価であり、さらにまた、多くの酸化防止剤の、特にp‐フェニレンジアミン誘導体の高汚染力故に、最終製品の外観に対して有害である酸化防止剤製品の比較的大量の使用に至っている。
上記の欠点を克服し、従って、タイヤのエージングに対する保護および耐性をさらに改良するために、特に、これらのタイヤ内に、酸化防止剤を、時間経過とともに、隣接領域の欠乏の度合に応じて移行により酸化防止剤を伝達することのできる酸化防止剤貯留層としての形で作動する高濃度の酸化防止剤を含むさらなるゴム層を組込む提案がなされている(例えば、特許文献 WO 2009/029114号、EP 1 319 527号またはUS 7 082 976号を参照されたい)。
しかしながら、そのような酸化防止剤貯留層の使用は、有効ではあるものの、タイヤの内部構造を改変しなければならないという、従って、特に、タイヤの製造をより複雑で且つより費用高にするという欠点を示している。
従って、ジエンゴム物品の設計者、特に、タイヤ製造業者は、現在、上記の欠点を少なくとも1部克服することを可能にする簡単で新規な解決法を探求している。
調査研究中に、本出願人等は、エージング中に、酸化防止剤をあまり消費しないという顕著な特徴を有し、結果として、上記の目的を満たすことを可能にする新規なゴム組成物を発見した。
従って、本発明の第1の主題は、少なくとも、ジエンエラストマー、補強用充填剤、架橋系、0.2phrと10phrの間の量の酸化防止剤および0.2phrと10phrの間の量のクロム(III)アセチルアセトネートを含むことを特徴とする、特にタイヤの製造において有用なゴム組成物である。
上記特定のアセチルアセトネートの存在により、酸化防止剤の消費量における有意の低減が、エージング中の上記ゴム組成物において、予期に反して観察されている。
従って、ゴム加硫物の寿命、特に、知られている通り、特に湿潤および腐蝕雰囲気下の特に厳しい走行条件に供し得るタイヤの寿命を改良することが可能である。
また、本発明は、ゴム製の半製品または製品、特に、タイヤ、特に、乗用車;SUV (スポーツ用多目的車)車両;二輪車(特に、自転車またはオートバイ);航空機;例えば、バン類、重量車両(即ち、地下鉄、バス、重量道路輸送車両(トラック、トラクター、トレーラー)、または農業用車両もしくは地ならし機のような道路外車両)或いは他の輸送または操作車両から選ばれる産業用車両に装着することを意図するタイヤの製造における本発明に従う組成物の使用に関する。
また、本発明は、本発明に従う組成物を含むゴム製の任意の半製品または製品、特に、タイヤ自体にも関する。
本発明のもう1つの主題は、本発明に従う組成物の、ゴム組成物と、このゴム組成物に接着することのできる少なくとも1つの金属補強用部材とを含む金属/ゴム複合体の製造における使用である。
本発明のもう1つの主題は、本発明に従うジエンゴム組成物とこのゴム組成物に接着することのできる少なくとも1つの金属補強用部材とを含む金属/ゴム複合体である。
本発明およびその利点は、以下の説明および実施例、さらにまた、これらの実施例に関連し、本発明に従う組成物を組込んでいる本発明に従うラジアルカーカス補強材を有するタイヤの半径断面における図表示を含む単一図面に照らせば容易に理解し得るであろう。
本発明に従う組成物を組込んでいる本発明に従うラジアルカーカス補強材を有するタイヤの半径断面における図表示である。
使用する測定および試験法
本発明に従うゴム組成物は、以下で示すように、硬化の前後において特性決定する。
A) ムーニー可塑度
フランス規格NF T 43‐005(1991年)に記載されているような振動(oscillating)稠度計を使用する。ムーニー可塑度測定は、次の原理に従って実施する:生状態(即ち、硬化前)の組成物を100℃に加熱した円筒状チャンバー内で成形する。1分間の予熱後、ローターが試験標本内で2回転/分で回転し、この運動を維持するための仕事トルクを4分間の回転後に測定する。ムーニー可塑度(ML 1 + 4)は、“ムーニー単位”(MU、1MU = 0.83ニュートン.メートル)で表す。
B) スコーチ時間
測定は、フランス規格 NF T 43‐005 (1991年)に従い、130℃で実施する。時間の関数としての稠度測定指数の変化が、分で表し且つこの指数について測定した最低値よりも5単位高い稠度測定指数(MUで表す)の上昇を得るのに必要な時間であると定義したパラメーターT5(大ローターの場合)により、上記規格に従って評価したゴム組成物のスコーチ時間を判定するのを可能にする。
C) 流動度測定
測定は、規格DIN 53529‐パート3 (1983年6月)従い、振動ディスクレオメーターによって150℃で実施する。時間の関数としての流動度測定トルクの変化によって、加硫反応の結果としての組成物の剛化の変化を説明する。測定値を規格DIN 53529‐パート2 (1983年3月)従い処理する:Tα(例えば、T95)は、α%の転換、即ち、最低トルクと最高トルクとの差のα%(例えば、95%)を達成するのに必要な時間である。
D) 引張試験
これらの試験は、弾性応力と破断点特性の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1988年9月のフランス規格NF T 46‐002に従って実施する。モジュラス測定は、特に明確に断らない限り、1998年の規格ASTM D 412 (試験標本“C”)に従って実施する;真の、即ち、試験標本の実際の断面に関しての割線モジュラスを、2回目の伸びにおいて(即ち、順応サイクル後に)、10%、100%および300%の伸びにおいて測定し、それぞれ、E10、E100およびE300で示し、MPaで表す(1999年の規格ASTM D 1349に従う標準の温度および湿度条件)。また、破壊応力(MPaでの)および破断点伸び(%での)も測定する。これらの張力測定は、全て、フランス規格NF T 40‐101(1979年12月)に従い、標準の温度(23±2℃)および湿度(50±5%相対湿度)条件下に実施する。
本発明の詳細な説明
本説明においては、特に明確に断らない限り、示すパーセント(%)は、全て質量%である。
さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいに至る値の範囲を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aからbまでに至る値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
本発明の組成物は、少なくとも、ジエンエラストマー、補強用充填剤、架橋系および0.2phrと10phrの間の酸化防止剤の混合物または反応生成物をベースとする(即ち、含む)ゴム組成物である;さらに、本発明の組成物は、0.2phrと10phrの間のアセチルアセトン酸アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含むという新規且つ本質的な特徴を有する。
A) ジエンエラストマー
用語“ジエン”エラストマー(または区別することなしにゴム)は、知られている通り、ジエンモノマー(共役型であり得るまたはあり得ない2個の炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー)に少なくとも部分的に由来するエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解されたい。
ジエンエラストマーは、知られている通り、2つのカテゴリー、即ち、“本質的に不飽和”あると言われているエラストマーまたは“本質的に飽和”であると言われているエラストマーに分類し得る。一般に、用語“本質的に不飽和”のジエンエラストマーは、15%(モル%)よりも多いジエン起源(共役ジエン)単位量を有する共役ジエンモノマーに少なくとも一部由来するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。従って、例えば、ブチルゴムまたはEPDMタイプのジエンとα‐オレフィンのコポリマーのようなジエンエラストマーは、上述の定義に属さず、特に、“本質的に飽和”のジエンエラストマー(常に15%未満の、低いまたは極めて低いジエン起原単位含有量)として説明し得る。“本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、用語“高不飽和”ジエンエラストマーは、特に、50%よりも多いジエン起源(共役ジエン類)単位量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
これらの定義を考慮すると、本発明に従う組成物において使用することのできるジエンエラストマーなる用語は、さらに詳細には、下記を意味するものと理解されたい:
(a) 好ましくは4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られる任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエンと他のジエン類または好ましくは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物との共重合によって得られる任意のコポリマー;
(c) 例えば、エチレンおよびプロピレンと、特に1,4‐ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンのような下記のタイプの非共役ジエンモノマーとから得られるエラストマーのような、エチレンと、好ましくは3〜6個の炭素原子を有するα‐オレフィンとを、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーと共重合させることによって得られる3成分コポリマー;および、
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、特に、塩素化または臭素化形。
本発明は、任意のタイプのジエンエラストマーに当てはまるけれども、タイヤ技術における熟練者であれば、本発明は、先ずは、特に上記のタイプ(a)または(b)の本質的に不飽和のジエンエラストマーと一緒に使用するものであることを理解されたい。
さら好ましくは、ジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる群から選択する。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、エマルジョン重合(ESBR)によりまたは溶液中(SSBR)のいずれかによって調製したブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)およびイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択する。
上記エラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得、分散液中または溶液中で調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型枝分れ化剤(star‐branching agent)或いは官能化剤によってカップリング化および/または星型枝分れ化或いは官能化し得る。カーボンブラックにカップリングさせるには、C‐Sn結合を含む官能基または、例えば、ベンゾフェノンのようなアミノ化官能基を挙げることができ;シリカのような補強用無機充填剤にカップリングさせるには、例えば、シラノールまたはシラノール末端を有するポリシロキサン官能基(例えば、US 6 013 718号に記載されているような)、アルコキシシラン基(例えば、US 5 977 238号に記載されているような)、カルボキシル基(例えば、US 6 815 473号またはUS 2006/0089445号に記載されているような)、或いはポリエーテル基(例えば、US 6 503 973号に記載されているような)を挙げることができる。また、他の官能化エラストマー類の例としては、エポキシ化タイプのエラストマー(SBR、BR、NRまたはIRのような)も挙げることができる。
以下が適切である:ポリブタジエン、特に、4%と80%の間の1,2‐単位含有量(モル%)を有するポリブタジエン、または80%よりも多いシス‐1,4‐単位含有量(モル%)を有するポリブタジエン;ポリイソプレン;ブタジエン/スチレンコポリマー、特に、0℃と−70℃の間、より好ましくは−10℃と−60℃の間のTg (ガラス転移温度、規格ASTM D3418に従って測定)、および/または5質量%と60質量%の間特に20質量%と50質量%の間のスチレン含有量、4%と75%の間のブタジエン成分1,2‐結合含有量(モル%)および10%と80%の間のトランス‐1,4‐結合含有量(モル%)を有するコポリマー;ブタジエン/イソプレンコポリマー、特に、5質量%と90質量%の間のイソプレン含有量および−40℃〜−80℃のTgを有するコポリマー;または、イソプレン/スチレンコポリマー、特に、5質量%と50質量%の間のスチレン含有量および−25℃と−50℃の間のTgを有するコポリマー。ブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーの場合は、5質量%と50質量%の間特に10質量%と40質量%の間のスチレン含有量、15質量%と60質量%の間特に20質量%と50質量%の間のイソプレン含有量、5質量%と50質量%の間特に20質量%と40質量%の間のブタジエン含有量、4%と85%の間のブタジエン成分1,2‐単位含有量(モル%)、6%と80%の間のブタジエン成分トランス‐1,4‐単位含有量(モル%)、5%と70%の間のイソプレン成分1,2‐+3,4‐単位含有量(モル%)および10%と50%の間のイソプレン成分トランス‐1,4‐単位含有量(モル%)を有するコポリマー、さらに一般的には、−20℃と−70℃の間のTgを有する任意のブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーが、特に適している。
特定の実施態様によれば、質量による主要量の(特に、50phrよりも多くの)ジエンエラストマーは、SBR (エマルジョン中で調製したSBR (“ESBR”)または溶液中で調製したSBR (“SSBR”)のいずれか)、或いはSBR/BR、SBR/NR (またはSBR/IR)、BR/NR (またはBR/IR)またはSBR/BR/NR (またはSBR/BR/IR)ブレンド(混合物)である。この実施態様は、特に、本発明の組成物を、タイヤにおいて、ある種のトレッド(例えば、乗用車用の)のゴムマトリックスを構成することを意図する場合である。SBR (ESBRまたはSSBR)エラストマーの場合、特に、例えば20質量%と35質量%の間の量の中程度のスチレン含有量または、例えば35質量%〜45質量%の高スチレン含有量、15%と70%の間のブタジエン成分ビニル結合含有量、15%と75%の間のトランス‐1,4‐結合含有量(モル%)および−10℃と−55℃の間のTgを有するSBRを使用する;そのようなSBRは、有利には、好ましくは90%(モル%)よりも多いシス‐1,4‐結合を有するBRとの混合物として使用する。
もう1つの特定の実施態様によれば、上記質量による主要量の(特に、50phrよりも多くの)ジエンエラストマーは、イソプレンエラストマーである。この実施態様は、特に、本発明の組成物を、タイヤにおいて、ある種のトレッド(例えば、産業用車両用の)、クラウン補強プライ(例えば、作動プライ、保護プライまたはフーププライ)、カーカス補強プライ、側壁、ビード、プロテクター、下地層、ゴムブロックおよび上記タイヤの各領域間の界面を構成する他の内部ゴムのゴムマトリックスを構成することを意図する場合である。
用語“イソプレンエラストマー”は、知られているとおり、イソプレンホモポリマーまたはコポリマー、換言すれば、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、各種イソプレンコポリマー類およびこれらエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。イソプレンコポリマーのうちでは、特に、イソブテン/イソプレンコポリマー(ブチルゴム;IIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)またはイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)が挙げられる。このイソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴムまたは合成シス‐1,4‐ポリイソプレンである;これらの合成ポリイソプレンのうちでは、好ましくは90%よりも多い、より好ましくは98%よりも多いシス‐1,4‐結合量(モル%)を有するポリイソプレンを使用する。
もう1つの特定の実施態様によれば、特に、タイヤ側壁またはチューブレスタイヤ(または他の空気不透過性部品)の気密ゴム(内部ライナー)を意図する場合、本発明に従う組成物は、少なくとも1種の本質的に飽和のジエンエラストマー、特に、少なくとも1種のEPDMコポリマーまたは少なくとも1種のブチルゴム(必要に応じて塩素化または臭素化した)を含み得る;これらのコポリマーは、単独で、または上述したような高不飽和ジエンエラストマー、特に、NRもしくはIR、BRまたはSBRとの混合物として使用する。
本発明のもう1つの特定の実施態様によれば、上記ゴム組成物は、−70℃と0℃の間のTgを示す1種以上の“高Tg”ジエンエラストマーと、−110℃と−80℃の間の、より好ましくは−105℃と−90℃の間のTgを示す1種以上の“低Tg”ジエンエラストマーとのブレンドを含む。高Tgエラストマーは、好ましくは、S‐SBR、E‐SBR、天然ゴム、合成ポリイソプレン(好ましくは95%よりも多くのシス‐1,4‐構造量(モル%)を示す)、BIR、SIR、SBIRおよびこれらのエラストマー混合物からなる群から選ばれる。低Tgエラストマーは、好ましくは、少なくとも70%に等しい量(モル%)に従うブタジエン単位を含む;低Tgエラストマーは、好ましくは、90%よりも多いシス‐1,4‐構造量(モル%)を示すポリブタジエン(BR)からなる。
結論として、本発明のゴム組成物は、1種のみのまたは数種のジエンエラストマーを含み得る;このジエンエラストマーまたはこれらのジエンエラストマーは、さらに、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマーと、実際にはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーと組合せて使用することが可能である。
B) 補強用充填剤
本発明の組成物は、タイヤの製造において使用することのできるゴム組成物を補強するその能力について知られている任意のタイプの“補強用”充填剤、例えば、カーボンブラックのような有機充填剤、知られている通りカップリング剤と組合せるシリカのような補強用無機充填剤、或いはこれら2つのタイプの充填剤の混合物を含む。
そのような補強用充填剤は、典型的には、ナノ粒子からなり、その平均粒度(質量による)は、マイクロメートル未満、一般に500nm未満、殆どの場合20nmと200nmの間、特にまたより好ましくは20nmと150nmの間である。
好ましくは、総補強用充填剤量(特に、シリカまたはカーボンブラック或いはシリカとカーボンブラックの混合物の)は、30phrと150phrの間の量である。150phrよりも多いと、タイヤのヒステリシスひいては転がり抵抗性の上昇のリスクが存在する。この理由により、総補強用充填剤量は、より好ましくは40phrと120phrの間の範囲内に含まれる。
特に好ましい例として、特に本発明のタイヤの内側のゴム組成物における使用においては、30〜100phr、特に40〜80phrのカーボンブラックまたはシリカ或いはシリカとカーボンブラックの混合物を使用する。
もう1つの特に好ましい例として、特に本発明のタイヤの外側のゴム組成物における使用においては、40〜150phr、特に50〜120phrのカーボンブラックまたはシリカ或いはシリカとカーボンブラックの混合物を使用する。
タイヤまたはそのトレッドにおいて通常使用される全てのカーボンブラック類、特に、HAF、ISAFまたはSAFタイプのブラック類(“タイヤ級”ブラック類)が、カーボンブラックとして適している。さらに詳細には、後者のうちでは、例えば、N115、N134、N234、N326、N330、N339、N347、N375、N550、N683またはN772ブラック類のような100、200、300、600または700シリーズのカーボンブラック類(ASTM級)が挙げられる。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形で、ジエン、特にイソプレンエラストマー中に既に混入させていてもよい(例えば、出願 WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、出願 WO‐A‐2006/069792号、WO‐A‐2006/069793号、WO‐A‐2008/003434号およびWO‐A‐2008/003435号に記載されているような官能化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
用語“補強用無機充填剤”は、この場合、カーボンブラックに対比して“白色充填剤”または“透明充填剤”としても知られており、それ自体で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、タイヤの製造を意図するゴム組成物を補強し得る、換言すれば、通常のタイヤ級カーボンブラックとその補強役割において置換わり得る任意の無機または鉱質充填剤(その色合およびその起原(天然または合成)の如何にかかわらない)を意味するものと理解すべきである;そのような充填剤は、一般に、知られている通り、その表面でのヒドロキシル(‐OH)基の存在に特徴を有する。
シリカ質タイプの鉱質充填剤、好ましくはシリカ(SiO2)は、補強用無機充填剤として特に適している。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、特に、共に450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/g、特に60m2/gと300m2/gの間のBET表面積とCTAB比表面積を示す任意の沈降または焼成シリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)としては、例えば、Degussa社からのUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ類;Rhodia 社からのZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ類;PPG社からのHi‐Sil EZ150Gシリカ;または、Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類が挙げられる。
補強用無機充填剤をジエンエラストマーにカップリングさせるためには、周知の通り、無機充填剤(その粒子表面)とジエンエラストマー間に化学的および/または物理的性質の満足し得る結合を付与することを意図する少なくとも二官能性のカップリング剤(または結合剤)を使用する。特に、少なくとも二官能性のオルガノシランまたはポリオルガノシロキサン類を使用する。
特に、例えば、出願 WO 03/002648号(またはUS 2005/016651号)およびWO 03/002649号(またはUS 2005/016650号)に記載されているような、その特定の構造によって“対称形”または“非対称形”と称されるシランポリスルフィド類を使用する。
下記の一般式(I)に相応する“対称形”シランポリスルフィドは、以下の定義に限定されることなく、特に適している:
(I) Z‐A‐Sx‐A‐Z
[式中、xは、2〜8 (好ましくは2〜5)の整数であり;
符号Aは、同一または異なるものであって、2価の炭化水素基(好ましくはC1〜C18アルキレン基またはC6〜C12アリーレン基、特にC1〜C10、特にC1〜C4アルキレン基、特にプロピレン)であり;
符号Zは、同一または異なるものであって、下記の3つの式の1つに相応する:
Figure 0005587407
(式中、R1基は、置換されていないかまたは置換されており、互いに同一かまたは異なるものであって、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキルまたはC6〜C18アリール基(好ましくはC1〜C6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル基、特にC1〜C4アルキル基、特にメチルおよび/またはエチル)を示し;
R2基は、置換されていないかまたは置換されており、互いに同一かまたは異なるものであって、C1〜C18アルコキシルまたはC5〜C18シクロアルコキシル基(好ましくは、C1〜C8アルコキシルおよびC5〜C8シクロアルコキシル基から選ばれた基、より好ましくはC1〜C4アルコキシル基、特にメトキシルおよびエトキシルから選ばれた基)を示す)]。
上記式(I)に相応するアルコキシシランポリスルフィド類の混合物、特に、商業的に入手可能な通常の混合物の場合、“x”指数の平均値は、好ましくは2〜5の間、より好ましくは4に近い分数である。しかしながら、本発明は、例えば、アルコキシシランジスルフィド(x = 2)によっても有利に実施し得る。
さらに詳細には、シランポリスルフィドの例としては、例えば、ビス(3‐トリメトキシシリルプロピル)またはビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド類のようなビス((C1〜C4)アルコキシル(C1〜C4)アルキルシリル(C1〜C4)アルキル)ポリスルフィド類(特に、ジスルフィド類、トリスルフィド類またはテトラスルフィド類)が挙げられる。特に、これらの化合物のうちでは、式 [(C2H5O)3Si(CH2)3S2]2を有するTESPTと略称されるビス(3‐トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、または式 [(C2H5O)3Si(CH2)3S]2を有するTESPDと略称されるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを使用する。また、好ましい例としては、特許出願WO 02/083782号(または、US 7 217 751号)に記載されているような、ビス(モノ(C1〜C4)アルコキシルジ(C1〜C4)アルキルシリルプロピル)ポリスルフィド類(特に、ジスルフィド類、トリスルフィド類またはテトラスルフィド類)、特に、ビス(モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィドも挙げられる。
アルコキシシランポリスルフィド以外のカップリング剤としては、特に、例えば、特許出願WO 02/30939号(またはUS 6 774 255号)、WO 02/31041号(またはUS 2004/051210号)およびWO 2007/061550号に記載されているような、二官能性POS (ポリオルガノシロキサン)類またはヒドロキシシランポリスルフィド(上記式(I)において、R2 = OH)、または、例えば、特許出願WO 2006/125532号、WO 2006/125533号およびWO 2006/125534号に記載されているような、アゾジカルボニル官能基を担持するシランまたはPOS類が挙げられる。
他のシランスルフィドの例としては、例えば、例えば特許または特許出願US 6 849 754号、WO 99/09036号、WO 2006/023815号およびWO 2007/098080号に記載されているような、少なくとも1個のチオール(‐SH)官能基(“メルカプトシラン”)および/または少なくとも1個のマスクドチオール官能基を担持するシラン類が挙げられる。
勿論、特に上述の出願WO 2006/125534号に記載されているような上述のカップリング剤の混合物も使用し得る。
本発明に従うゴム組成物においては、これらの組成物をシリカのような無機充填剤で補強する場合、カップリング剤の含有量は、好ましくは2phrと15phrの間、より好ましくは3phrと12phrの間の量である。
当業者であれば、もう1つの性質、特に、カーボンブラックのような有機性を有する補強用充填剤を、この補強用充填剤がシリカのような無機層によって被覆されているか或いはその表面に、官能部位、特にヒドロキシルを含み、該充填剤と上記エラストマー間の結合を形成させるためのカップリング剤の使用を必要とすることを条件として、この項で説明する補強用無機充填剤と等価の充填剤として使用し得ることを理解されたい。例としては、例えば、例えば特許文献WO 96/37547号およびWO 99/28380号に記載されているようなタイヤ用カーボンブラックが挙げられる。
C) 架橋系
架橋系は、好ましくは、加硫系、即ち、イオウ(またはイオウ供与剤)と一次加硫促進剤をベースとする系である。後で説明するような第1の非生産段階中および/または生産段階中に混入する酸化亜鉛、ステアリン酸または等価の化合物、グアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)のような各種既知の加硫活性化剤または二次促進剤を、このベース加硫系に添加する。
イオウは、0.5phrと12phrの間、特に1phrと10phrの間の好ましい量で使用する。一次加硫促進剤は、0.5phrと10phrの間、より好ましくは0.5phrと5.0phrの好ましい量で使用する。
促進剤としては、イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫用の促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、チアゾールおよびその誘導体タイプの促進剤、或いはジチオカルバミン酸亜鉛またはチウラムタイプの促進剤を使用することができる。これらの一次促進剤は、さらに好ましくは、2‐メルカプトベンゾチアジルジスルフィド(“MBTS”と略記する)、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(“CBS”と略記する)、N,N‐ジシクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(“DCBS”と略記する)、N‐(tert‐ブチル)‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(“TBBS”と略記する)、N‐(tert‐ブチル)‐2‐ベンゾチアジルスルフェンイミド(“TBSI”と略記する)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。
D) 酸化防止剤
本発明の組成物は、0.2phrと10phrの間の量の酸化防止剤、好ましくは0.3phrと6phrの間、より好ましくは0.5phrと4phrの間の量のそのような酸化防止剤含むという特徴を有する。
本発明の組成物において使用する酸化防止剤は、知られている通り、酸素の作用に起因するゴム加硫物のエージングを抑制することのできる任意の酸化防止剤である。
特に、例えば、N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N'‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン(略称“6‐PPD”としての方が良く知られている)、N‐イソプロピル‐N'‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン(“I‐PPD”と略記する)、フェニル‐シクロヘキシル‐p‐フェニレンジアミン、N',N'‐ジ(1,4‐ジメチルペンチル)‐p‐フェニレンジアミン、N,N'‐ジアリール‐p‐フェニレンジアミン(“DTPD”)、ジアリール‐p‐フェニレンジアミン(“DAPD”)、2,4,6‐トリス[N‐(1,4‐ジメチルペンチル)‐p‐フェニレンジアミノ]‐1,3,5‐トリアジンおよびそのようなジアミンの混合物のような、知られている通り置換パラ‐フェニレンジアミンとも称するパラ‐フェニレンジアミン(“PPD”または“PPDA”と略記する)の誘導体を挙げることができる。
また、例えば、1,2‐ジヒドロ‐2,2,4‐トリメチルキノリンおよび6‐エトキシ‐1,2‐ジヒドロ‐2,2,4‐トリメチルキノリンのようなキノリンの誘導体(“TMQ”)も挙げることができる。
また、例えば、出願WO 2007/121936号およびWO 2008/055683号に記載されているような置換ジフェニルアミンまたはトリフェニルアミン、特に、4,4'‐ビス(イソプロピルアミノ)トリフェニルアミン、4,4'‐ビス(1,3‐ジメチルブチルアミノ)トリフェニルアミンまたは4,4'‐ビス(1,4‐ジメチルペンチルアミノ)トリフェニルアミンも挙げることができる。
また、チオジプロピオン酸ジアルキル類またはフェノール系酸化防止剤、特に、上述の出願WO 99/02590号に詳細に記載されているような2,2'‐メチレンビス[4‐(C1〜C10)アルキル‐6‐(C1〜C12)アルキル‐フェノール]の群も挙げることができる。
勿論、本説明においては、用語“酸化防止剤”は、単独の酸化防止剤化合物または数種の酸化防止剤化合物の混合物の双方を意味し得る。
好ましくは、酸化防止剤は、置換p‐フェニレンジアミン、置換ジフェニルアミン、置換トリフェニルアミン、キノリン誘導体およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる;さらに好ましくは、酸化防止剤は、置換p‐フェニレンジアミンおよびそのようなジアミン類の混合物からなる群から選ばれる。
E) アセチルアセトネート
本発明に従う組成物の本質的な特徴は、本発明組成物が0.2phrと10phrの間の量のクロム(III)アセチルアセトネートを含むことである。
0.2phrよりも少ないと、目標とする技術効果が不適切であるリスクが存在し、一方、10phrよりも多いと、コストが増大し、初期状態およびエージング後の組成物の特定の機械的性質の悪化のリスクが存在する。これらの各理由のために、クロムアセチルアセトネートの上記量は、好ましくは0.3phrと6phrの間の量、さらにより好ましくは0.5〜2.5phrの範囲内である。
上記のクロム(III)アセチルアセトネート即ちクロムトリス(アセチルアセトネート)は、周知であり、これまでのところ、主として、ポリマー重合用の触媒として、多くの他のアセチルアセトン酸金属塩と同じ方法で使用されている (例えば、US 3 247 175号、US 3 313 796号、FR 2 087 786号またはGB 1 338 133号を参照されたい)。
F) 他の構成成分
また、本発明に従うゴム組成物は、例えば、可塑剤または増量剤オイル、後者は、性質的に芳香族または非芳香族系、特に、極めて僅かに芳香族系または非芳香族系オイル(例えば、パラフィン系オイル、または水素化しているナフテン系オイル、MESオイルまたはTDAEオイル)、植物油、エーテル可塑剤、エステル可塑剤(例えば、グリセリントリオレアート);前述した充填剤以外の充填剤、例えば、層状充填剤;例えば、出願WO 2005/087859号、WO 2006/061064号およびWO 2007/017060号に記載されているような、好ましくは30℃よりも高い高Tgを示す可塑化用炭化水素樹脂およびそのような化合物の混合物;例えば、オゾン劣化防止剤のような、他の劣化防止剤またはエージング防止剤;加硫促進剤、活性化剤または遅延剤;例えば、ヘキサメチレンチオ硫酸ナトリウムまたはN,N'‐m‐フェニレン‐ビスシトラコンイミドのような、戻り防止剤;メチレン受容体またはメチレン供与体(例えば、レゾルシノール、HMTまたはH3M)または他の補強用樹脂;ビスマレイミド;または、例えば、コバルトまたはニッケルの有機塩のような金属塩のような、金属補強部材、特に、黄銅補強部材に対する接着を促進させるための他の系のような、タイヤの製造を意図するゴム組成物において一般的に使用する添加剤の全部または一部も含み得る。当業者であれば、特定の要求条件に応じて、上記組成物の配合を如何にして調整するかは承知していることであろう。
また、本発明のゴム組成物は、カップリング剤を使用する場合のカップリング活性化剤、無機充填剤を使用する場合の無機充填剤の被覆用の薬剤、或いはゴムマトリックス中での充填剤の分散性の改善および組成物の粘度の低下のために、知られている通り、生状態における組成物の加工特性を改善することのできるより一般的な加工助剤も含有し得る。これらの被覆剤は、周知である(例えば、特許出願WO 2006/125533号、WO 2007/017060号およびWO 2007/003408号を参照されたい);例えば、ヒドロキシシランまたはアルキルアルコキシシラン、特に、例えば、(1‐オクチル)トリエトキシシランのようなアルキルトリエトキシシランのような、ヒドロキシシランまたは加水分解性シラン類;ポリオール類(例えば、ジオールまたはトリオール類);ポリエーテル類(例えば、ポリエチレングリコール類);第一級、第二級または第三級アミン類(例えば、トリアルカノールアミン類);または、ヒドロキシル化もしくは加水分解性ポリオルガノシロキサン類(例えば、α,ω‐ジヒドロキシポリオルガノシラン、特に、α,ω‐ジヒドロキシポリジメチルシロキサン)が挙げられる。
本発明の好ましい実施態様によれば、特に、本発明の組成物を金属補強部材用のカレンダー加工マトリックスを構成することを意図する場合、上記組成物は、上述のアセチルアセトネート化合物と組合せて、0.1phrと10phrの間、より好ましくは0.3phrと6phrの間、特に0.5phrと4phrの間の好ましい量に従う少なくとも1種のコバルト化合物を含む。このことは、高温および湿潤エージング条件下での接着性能の改良によってさらに反映されるある種の相乗効果が上記2つの化合物間に存在し得ることを見出したことによる。
このコバルト化合物は、好ましくは、有機コバルト化合物であり、さらに好ましくは、アビエチン酸塩、酢酸塩、アセチルアセトン酸塩、安息香酸塩、酪酸塩、ギ酸塩、リノール酸塩、マレイン酸塩、オレイン酸塩、プロピオン酸塩、トール油酸塩、ナフテン酸塩、樹脂酸塩、ステアリン酸塩およびそのような化合物の混合物(即ち、塩、複合体または他の混合誘導体)からなる群から、特に、アビエチン酸塩、アセチルアセトン酸塩、トール油酸塩、ナフテン酸塩、樹脂酸塩およびそのような化合物の混合物から選ばれる。アセチルアセトン酸、トール油酸およびナフテン酸のコバルト塩が、多くの場合において好ましい。
用語“金属補強部材”は、この場合、ゴムマトリックスを補強することのできる任意の補強用コンポーネントを意味するものと理解すべきであり、全体的に金属であるか或いは少なくともゴムマトリックスと接触させることを意図する表面または外側部分が金属製であるかどうかを問わない。この補強部材は、種々の形状で、好ましくは、個々のスレッド(単一スレッド)、フィルム(例えば、ストリップまたはバンド)またはスレッドのアッセンブリ(これらのスレッドは、一緒に撚り合せているか(例えば、ケーブルの形)、或いは本質的に互いに平行であるか(例えば、スレッドのバンドル、連続繊維または短繊維の収束物の形)のいずれかである)の形で使用し得る。
本発明の組成物およびタイヤにおいては、この補強部材は、さらに好ましくは、個々のスレッドの形、またはスレッドのアッセンブリ、例えば、当業者にとって既知のケーブルまたはストランド製造装置および方法(説明を簡単にするためにここでは説明しない)によって製造したケーブルまたはストランドの形で使用する。
好ましくは、例えば、鋼製の、特に、特許出願EP‐A‐648 891号およびWO 98/41682号に記載されているような、知られている通り“炭素鋼”と称するパーライト(またはフェライト・パーライト)炭素鋼またはステンレススチール製の補強部材を使用する。しかしながら、勿論、他の鋼または他の合金を使用することも可能である。炭素鋼を使用する場合、その炭素含有量は、好ましくは0.1%と1.2%の間、特に0.5%と1.1%の間である(鋼の質量による%);炭素含有量は、さらに好ましくは、0.6%と1.0%の間であり、そのような含有量は、タイヤにおいて要求される機械的諸性質とスレッドの具現化可能性間で良好な妥協点を示す。
好ましく使用し得る上記金属補強部材およびコバルト塩は、例えば、特許出願WO 2005/113666号にさらに詳細に記載されている。
本発明の組成物の性能をさらに改良するためには、特に、本発明の組成物が金属補強部材用のカレンダー加工マトリックスを構成する場合、1つの特定の実施態様は、ビスマレイミド化合物を使用することからなる。このタイプの化合物は、硬化剤なしで使用し得、タイヤの硬化速度に良好に適した硬化速度を有し、接着速度を活性化することが可能であり、また、本発明に従う組成物において、接着界面相の湿潤エージング条件下での耐久性を改良することも可能である。
繰返すが、ビスマレイミドは、知られている通り、下記の式に相応する:
Figure 0005587407
(式中、Rは、置換または非置換の環状または非環状の芳香族または脂肪族炭化水素基であって、そのような基は、O、NおよびSから選ばれるヘテロ原子を含むことが可能である;この基Rは、好ましくは、2〜24個の炭素原子を含む)。
さらに好ましくは、N,N'‐エチレン‐ビスマレイミド、N,N'‐ヘキサメチレン‐ビスマレイミド、N,N'‐(m‐フェニレン)‐ビスマレイミド、N,N'‐(p‐フェニレン)‐ビスマレイミド、N,N'‐(p‐トリレン)‐ビスマレイミド、N,N'‐(メチレンジ‐p‐フェニレン)‐ビスマレイミド、N,N'‐(オキシジ‐p‐フェニレン)‐ビスマレイミドおよびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれるビスマレイミドを使用する。そのようなビスマレイミドは、当業者にとって周知である。
補強用樹脂またはビスマレイミドを使用する場合、これらの成分は、本発明の組成物中に、ゴム組成物の0.1質量%と20質量%の間、より好ましくは1質量%と8質量%の間の好ましい量で存在する。上記の最高値よりも多い量においては、組成物の過剰の剛性化、ひいては組成物の弱化のリスクが存在する;上記の最低値よりも低い量においては、目標とする技術的効果が不適切であるリスクが存在する。
G) ゴム組成物の製造
上記組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の2つの連続する製造段階、即ち、110℃と190℃の間、好ましくは130℃と180℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階)、並びに、その後の典型的には110℃よりも低い低めの温度まで機械的に加工する第2段階(“生産”段階)を使用して製造し、この仕上げ段階において架橋系を混入する。
例えば、上記非生産段階は、数分間(例えば、2分と10分の間の時間)の1回の熱機械工程において実施し、その間に、必要な全てのベース成分および架橋または加硫系を除いた他の添加剤を、通常の密閉ミキサーのような適切なミキサー内に導入する。そのようにして得られた混合物を冷却した後、その場合は、加硫系を開放ミルのような開放ミキサー内に導入し、低温(例えば、30℃と100℃の間の温度)に維持する。その後、混ぜ合せた混合物を、数分間(例えば、5分と15分の間の時間)混合する(生産段階)。
好ましくは、クロムアセチルアセトネートは、非生産段階において、酸化防止剤と同時に導入する。しかしながら、本発明は、このアセチルアセトネートの全部またはその画分のみを生産段階中に導入する場合も該当する。
その後、そのようにして得られた最終組成物は、例えば、シート形状にカレンダー加工し得、或いは、押出加工して、例えば、例えばタイヤの構造体の1部を構成することを意図する、例えば、プライ、バンド、下地層または他のゴムブロック(金属補強部材で補強してもまたは補強しなくてもよい)のような半製品または複合体の製造において使用するゴム形状要素を形成させ得る。
その後、加硫(または硬化)は、既知の方法で、一般的に130℃と200℃の間の温度にて、好ましくは圧力下に、特に硬化温度、使用する加硫系および検討中の当該組成物の加硫速度に応じて、例えば、5分と90分の間で変動し得る十分な時間で実施し得る。
本発明は、“生”状態(即ち、硬化前)および“硬化”または加硫状態(即ち、加硫後)双方の上記ゴム組成物および複合体に関する。
本発明の実施例
A) タイヤにおける本発明の組成物の使用
上述した本発明のゴム組成物は、特に自動車用のタイヤにおけるゴム製の任意の半製品または製品の製造において使用することができ、この組成物は、タイヤの構造に関して外側または内側のいずれかである。
“外側”組成物(または混合物)は、この場合、タイヤの外側に向って開放している、換言すれば、空気または膨張ガスと接触しているタイヤのゴム製の任意の部品を意味するものと理解されたい;特に、好ましい例としては、トレッド、側壁またはタイヤの気密層が挙げられる。
“内側”組成物(または混合物)は、対照的に、タイヤの外側に向って開放していない、換言すれば、空気または膨張ガスと接触していない、従って、タイヤの構造の実際の内側に位置しているタイヤのゴム製の任意の部品を意味するものと理解されたい;特に、例としては、タイヤのビード領域に存在するカレンダー加工用混合物、カーカス補強材またはクラウン補強材が挙げられる。
また、本発明のゴム組成物は、金属/ゴム複合体の製造においても使用することができ、この複合体は、タイヤに組込むことを意図するかどうかを問わない。この複合体は、種々の形状で、例えば、金属補強部材を組込んでいるプライ、バンドもしくはストリップ、またはゴムブロックの形、或いは、金属補強部材を内包し、金属補強部材がゴム組成物と直接接触しているゴムシースの形で提供し得る。金属とゴム組成物との最終接着は、上記複合体を含む最終物品の硬化終了時に得ることができる;好ましくは、この硬化は、圧力下に実施する。本発明に従う複合体は、好ましくは、タイヤ、特に、ラジアルタイヤ用に意図し、そのようなタイヤのクラウン補強材、カーカス補強材またはビード領域補強材の全部または一部を構成する。
例えば、添付図面は、例えば、重量車両または乗用車用に意図する本発明に従うラジアルカーカス補強材を有するタイヤ1の半径断面を、この一般的表示において極めて図式的に示している。
このタイヤ1は、クラウン2、2つの側壁3、2つのビード4および1つのビードから他方のビードに延びているカーカス補強材7を含む。トレッド(簡略化のため、この図面には示していない)が取囲んでいるクラウン2は、それ自体知られている通り、例えば、少なくとも1枚の保護プライまたはフープクラウンプライで必要に応じて被覆したゼロ度の少なくとも2枚の重ね合せ交差クラウンプライ(“作動”クラウンプライ)からなるクラウン補強材6によって補強されている。カーカス補強材7は、各ビード4内の2本のビードスレッド5の周りに巻付けられており、この補強材7の上返し8は、例えば、タイヤ1の外側に向って位置しており、この場合、その車輪リム9に取付けて示している。カーカス補強材7は、“ラジアル”ケーブルによって補強されている少なくとも1枚のプライからなる、即ち、これらのケーブルは、実際上、互いに平行に配置されて一方のビードから他方のビードに延びて円周正中面(2つのビード4の中間に位置しクラウン補強材6の中央を通るタイヤの回転軸に対して垂直の面)と80°と90°の間の角度をなしている。
勿論、このタイヤ1は、知られている通り、気密ゴムまたは層と一般に称するゴムまたはエラストマーの層10をさらに含み、この層は、タイヤの半径方向内面を形成し且つカーカスプライをタイヤの内部空間に由来する空気の拡散から保護することを意図している。有利には、特に重量車両用のタイヤの場合、タイヤは、上記カーカスプライと上記気密層の間に位置する中間補強用エラストマー層(図面には示していない)をさらに含み得る。
本発明に従うタイヤは、その構造内に、本発明に従う少なくとも1つの組成物を含むという本質的な特徴を有する。この組成物は、“内側”組成物の場合、例えば、ビードスレッド5を含むビード領域4の1部、交差クラウンプライまたはクラウン補強材6の保護プライ、カーカス補強材7の全部または1部を構成するプライであり得る。この組成物は、“外側”組成物の場合、例えば、トレッド内、側壁3内またはタイヤの上記気密層10中に存在し得る。
本発明の特定の実施態様によれば、本発明のゴム組成物は、有利には、全てのタイプの、例えば、乗用車、バン類または重量車両用のタイヤのクラウン補強材6におけるカレンダー加工用組成物として(従って、内側混合物として)使用し得る。好ましくは、そのような場合、本発明のゴム組成物は、加硫状態(即ち、硬化後)において、4MPaよりも高い、さらに好ましくは6MPaと20MPaの間、例えば6MPaと15MPaの間のE10モジュラスを示す。
しかしながら、本発明のゴム組成物は、重量車両のような産業用車両用のカーカス補強材7における使用においても同様に有利な使用を有し得る;好ましくは、そのような場合、本発明のゴム組成物は、加硫状態において、9MPaよりも低い、さらに好ましくは4MPaと9MPaの間のE10モジュラスを示す。
B) エージング試験
この試験の必要条件として、2通りのゴム組成物(以下、C‐1およびC‐2で示す)を調製した;これら組成物の配合は下記の表1に示しており、各種成分の量は、phr (総エラストマー100質量部当りの質量部;この場合、100phrのNRからなる)で表している。
対照組成物(C‐1)は、本質的に、エラストマーおよび補強用充填剤(カーボンブラック)以外に、酸化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、イオウおよびスルフェンアミド促進剤、補強用樹脂(フェノール樹脂+メチレン供与体)、および金属補強部材に対する接着促進剤としてのコバルト塩(ナフテン酸コバルト;10質量%のコバルト金属当量を含むFluka製品)を含む。これらの組成物は、例えば、タイヤのクラウン補強材のカレンダー加工用ゴムを構成することを意図する。
本発明の組成物C‐2は、1.6phrのクロム(III)アセチルアセトネート化合物のさらなる存在においてのみ異なる。
これらの組成物は、以下の方法で製造した:補強用充填剤(カーボンブラック)、ジエンエラストマー(NR)、酸化防止剤および必要に応じての上記アセチルアセトン酸塩、さらにまた、加硫系を除く各種他の成分を、初期容器温度がほぼ60℃である密閉ミキサーに連続して導入した;ミキサーを、そのようにして約70%(容量%)充たした。その後、熱機械的加工(非生産段階)を、165℃の最高“落下”温度に達するまで、およそ2〜4分の工程で実施した。そのようにして得られた混合物を回収し、冷却し、次いで、イオウとスルフェンアミドタイプの促進剤を30℃の開放ミキサー(ホモフィッシャー)内で混入し、混ぜ合せた混合物を数分間混合した(生産段階)。
その後、そのようにして得られた組成物を、一方でその物理的または機械的性質を測定するための、さらに、他方でエージング試験を実施するための、シート(2〜3mmの厚さ)の形状にカレンダー加工した。
これらの組成物の機械的性質を下記の表2に示している。両組成物は、上記クロムアセチルアセトネートの存在(本発明に従う組成物C‐2)における有利に高い破断点伸びを別にすれば、実質的に等価の性質を有することに注目すべきである。
各組成物を硬化(150℃で25分間)した後、ゴムブロックを、55℃の温度のオーブン内に、60%の相対湿度下に1〜数週間置いて、この促進エージング中の各組成物の酸化防止剤量の減少速度を比較した。酸化防止剤量は、既知のHPLC (高性能液体クロマトグラフィー)法により、一方のエージングしていない試験標本の初期状態において、即ち、硬化処理から出て直ぐに、さらに、他方の1〜6週間のエージング後に測定した。
得られた結果を下記の表3に示している。組成物中の酸化防止剤量は相対単位で表しており、基礎点100は、初期状態(即ち、硬化処理から出た後)の対照組成物に対して選定している。
この表3を見るに、先ずは最初に、予期に反して、クロムアセチルアセトネートの存在は、硬化直後(初期状態)において、組成物中に存在する酸化防止剤の損失を実質的に(約5%)抑制することを既に可能にしていることが見出せる。
さらに、促進熱エージング後では、エージング期間を問わず、クロムアセチルアセトネートの存在は、対照組成物と比較して、経時的な酸化防止剤の消費量を特筆すべき形で抑制することを可能にしていることに注目されたい。
結論として、上記の熱エージング試験は、クロムアセチルアセトネートの添加、従って、劣化防止剤としての作用は、ゴム組成物中の酸化防止剤の消費量を実質的に抑制し、従って、クロムアセチルアセトネートを含む加硫物にひいてはタイヤにも、酸化によるエージングに対する良好な保護故の強力に改良された寿命を付与することを可能にしていること明白に実証している。
表1
Figure 0005587407
(1) 天然ゴム;
(2) N326 (規格ASTM D‐1765に従う品名);
(3) N‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N'‐フェニル‐p‐フェニレンジアミン (Flexsys社からの“Santoflex 6‐PPD”);
(4) レゾルシノール (Sumitomo社);
(5) HMT (ヘキサメチレンテトラアミン;Degussa社);
(6) ナフテン酸コバルト(Fluka社;製品番号60830);
(7) C15H21CrO6.xH2O (Aldrich社;製品番号21679‐31‐2);
(8) ヘキサメチレンチオ硫酸ナトリウム(Flexsys社からの“Duralink HTS”);
(9) N‐(tert‐ブチル)‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド (Flexsys社からの“Santocure TBBS”);
表2
Figure 0005587407
表3
Figure 0005587407
1 タイヤ
2 クラウン
3 側壁
4 ビード
5 ビードケーブル
6 クラウン補強材
7 カーカス補強材
8 カーカス補強材の上返し
9 車輪リム
10 気密層

Claims (10)

  1. 少なくとも、ジエンエラストマー、補強用充填剤、架橋系、0.2phrと10phrの間の量の酸化防止剤および0.2phrと10phrの間の量のクロム(III)アセチルアセトネートを含むことを特徴とする、ム組成物。
  2. 前記ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれる、請求項1記載の組成物。
  3. 前記補強用充填剤が、カーボンブラック、無機充填剤、およびそのような充填剤の混合物からなる群から選ばれる、請求項1または2記載の組成物。
  4. 前記補強用充填剤の量が、30phrと150phrの間の量である、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  5. 前記架橋系が、イオウおよび促進剤をベースとする、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  6. 前記クロムアセチルアセトネートの量が、0.3phrと6phrの間の量である、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  7. コバルト塩をさらに含む、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  8. 前記コバルト塩が、アビエチン酸塩、アセチルアセトン酸塩、トール油酸塩、ナフテン酸塩、樹脂酸塩、およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項記載の組成物。
  9. 前記酸化防止剤が、置換p‐フェニレンジアミン、置換ジフェニルアミン、置換トリフェニルアミン、キノリン誘導体、およびそのような化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜のいずれか1項記載の組成物。
  10. 請求項1〜のいずれか1項記載の組成物を含むタイヤ。
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