JP5582136B2 - 有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置 - Google Patents

有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5582136B2
JP5582136B2 JP2011504809A JP2011504809A JP5582136B2 JP 5582136 B2 JP5582136 B2 JP 5582136B2 JP 2011504809 A JP2011504809 A JP 2011504809A JP 2011504809 A JP2011504809 A JP 2011504809A JP 5582136 B2 JP5582136 B2 JP 5582136B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric material
stretching
organic piezoelectric
ultrasonic
organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011504809A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2010106924A1 (ja
Inventor
憲司 大沼
博美 赤堀
雄一 西久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2011504809A priority Critical patent/JP5582136B2/ja
Publication of JPWO2010106924A1 publication Critical patent/JPWO2010106924A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5582136B2 publication Critical patent/JP5582136B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/01Manufacture or treatment
    • H10N30/04Treatments to modify a piezoelectric or electrostrictive property, e.g. polarisation characteristics, vibration characteristics or mode tuning
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/01Manufacture or treatment
    • H10N30/09Forming piezoelectric or electrostrictive materials
    • H10N30/098Forming organic materials
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T29/00Metal working
    • Y10T29/42Piezoelectric device making

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)

Description

本発明は、高周波・広帯域に適した超音波振動子を構成する有機圧電材料を製造するための、有機圧電材料の延伸処理方法および製造方法、それにより製造された有機圧電材料を用いた超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置に関する。
超音波は、通常、16kHz以上の音波を総称して言われ、非破壊および無害でその内部を調べることが可能なことから、欠陥の検査や疾患の診断などの様々な分野に応用されている。その一つに、被検体内を超音波で走査し、被検体内からの超音波の反射波(エコー)から生成した受信信号に基づいて当該被検体内の内部状態を画像化する超音波診断装置がある。この超音波診断装置では、被検体に対して超音波を送受信する超音波探触子が用いられている。この超音波探触子としては、送信信号に基づいて機械振動して超音波を発生し、被検体内部で音響インピーダンスの違いによって生じる超音波の反射波を受けて受信信号を生成する振動子を備えて構成される超音波送受信素子が用いられる。
そして、近年では、超音波探触子から被検体内へ送信された超音波の周波数(基本周波数)成分ではなく、その高調波周波数成分によって被検体内の内部状態の画像を形成するハーモニックイメージング(Harmonic Imaging)技術が研究、開発されている。このハーモニックイメージング技術は、(1)基本周波数成分のレベルに比較してサイドローブレベルが小さく、S/N比(signal to noise ratio)が良くなってコントラスト分解能が向上すること、(2)周波数が高くなることによってビーム幅が細くなって横方向分解能が向上すること、(3)近距離では音圧が小さくて音圧の変動が少ないために多重反射が抑制されること、および(4)焦点以遠の減衰が基本波並みであり高周波を基本波とする場合に較べて深速度を大きく取れることなどの様々な利点を有している。
このハーモニックイメージング用の超音波探触子は、基本波の周波数から高調波の周波数までの広い周波数帯域が必要とされ、その低周波側の周波数領域が基本波を送信するための送信用に利用される。一方、その高周波側の周波数領域が高調波を受信するための受信用に利用される(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に開示されている超音波探触子は、被検体にあてがわれて当該被検体内に超音波を送信し当該被検体内で反射して戻ってきた超音波を受信する超音波探触子である。この超音波探触子は、所定の第1の音響インピーダンスを有する配列された複数の第1の圧電素子からなる、所定の中心周波数の超音波からなる基本波の、被検体内に向けた送信、および当該被検体内で反射して戻ってきた超音波のうちの基本波の受信を担う第1圧電層を備えている。また、前記第1の音響インピーダンスよりも小さい所定の第2の音響インピーダンスを有する配列された複数の第2の圧電素子からなる、前記被検体内で反射して戻ってきた超音波のうちの高調波の受信を担う第2圧電層を備えている。なお、当該第2圧電層は、前記第1圧電層の、この超音波探触子が被検体にあてがわれる側の全面に重ねられている。したがって、当該超音波探触子は、このような構成によって広い周波数帯域で超音波を送受信することができる。
ハーモニックイメージングにおける基本波は、出来る限り狭い帯域巾を有する音波がよい。それを担う圧電素子には、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbOなどの単結晶、ZnO、AlNなどの薄膜、Pb(Zr,Ti)O系などの焼結体を分極処理した、いわゆるセラミックスの無機圧電体が広く利用されている。高周波側の受信波を検知する圧電素子には、より広い帯域巾の感度が必要でこれらの無機材料は適さない。高周波、広帯域に適した圧電素子として、ポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」とも略称する。)などの有機系高分子物質を利用した有機圧電体が知られている(例えば特許文献2参照)。この有機圧電体は、無機圧電体と比較して、可撓性が大きく、薄膜化、大面積化、長尺化が容易で任意の形状、形態のものを作ることができる、等の特性を有する。
この有機圧電体からなる素子は、無機圧電体からなる素子と比較して十分な圧電特性を有しているとは言えず、分子の配向性、分極量をより高めるために、フィルムの延伸、融点以下での熱処理、それらを組み合わせた分極方法などの追加処理を施すことが有効であることが知られている(例えば特許文献2、3参照)。しかしながら、これら公知の方法でPVDFを主成分とする圧電体を作製すると、確かに圧電特性は向上するものの、結晶化度が高いため(特許文献4参照)、有機圧電体としての利点である可撓性が失われるばかりでなく、脆弱化してしまう。また、PVDFはガラス転移温度を室温以下に有するため、熱処理温度から室温に冷却しても分子運動が十分に凍結されず、内部に潜む残留応力を除去したとしても時間に応じてフィルムが変形してしまう。すなわち、超音波診断装置用途の探触子としては、加工適性が十分でなくなってしまうばかりか、超音波探触子の受信感度が低下したり、絶縁破壊強度が低下するという、超音波探触子特有の新たな問題が見出された(特許文献5および6参照)。
特許4125416号明細書 特開昭60−217674号公報 特開2003−80593号公報 特開平8−36917号公報 特開平5−42592号公報 特願2008−174577号明細書
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、平面性、加工特性、および圧電特性に優れ、かつ高周波・広帯域に適した有機圧電材料を製造するための、有機圧電材料の延伸処理方法および製造方法、それにより製造された有機圧電材料を用いた超音波振動子、および超音波医用画像診断装置を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の手段により解決することができる。
1.未延伸の有機圧電材料を1次延伸する1次延伸工程、1次延伸された有機圧電材料に熱処理を行う熱処理工程、熱処理された有機圧電材料を室温まで冷却する間に2次延伸処理する冷却工程を、順次行う有機圧電材料の延伸処理方法であって、
該1次延伸工程から冷却工程では有機圧電材料に張力を掛け続けて張力を解除せず、該熱処理は張力が0.1〜500kPaの範囲内になるように保ちながらの加熱処理であることを特徴とする有機圧電材料の延伸処理方法。
2.前記加熱処理が100〜140℃の温度範囲内であり、前記熱処理の時間が30分〜10時間の範囲であることを特徴とする1に記載の有機圧電材料の延伸処理方法。
3.前記1次延伸が二軸延伸又は一軸延伸であり、延伸倍率は2〜10倍であり、2次延伸処理が延伸長手方向に10%以下延伸させる延伸処理であることを特徴とする2に記載の有機圧電材料の延伸処理方法。
4.前記有機圧電材料が、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体からなり、当該フッ化ビニリデンが95〜60モル%、当該トリフルオロエチレンが5〜40モル%の含有比率の範囲であることを特徴とする1から3のいずれか1項に記載の有機圧電材料の延伸処理方法。
5.1から4のいずれか1項に記載の有機圧電材料の延伸処理方法により製造される有機圧電材料に分極処理することを特徴とする有機圧電材料の製造方法。
6.5に記載の有機圧電材料の製造方法によって製造される有機圧電材料および電極を有することを特徴とする超音波振動子。
7.6に記載の超音波振動子を有することを特徴とする超音波探触子。
8.電気信号を発生する手段と、前記電気信号を受けて超音波を被検体に向けて送信し、前記被検体から受けた反射波に応じた受信信号を生成する複数の振動子が配置された超音波探触子と、前記超音波探触子が生成した前記受信信号に応じて、前記被検体の画像を生成する画像処理手段とを有する超音波医用画像診断装置において、前記超音波探触子が、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子の両方を具備し、かつ、該超音波振動子のどちらか一方もしくは両方が、6に記載の超音波振動子であることを特徴とする超音波医用画像診断装置。
本発明の上記手段により、平面性、加工特性、および圧電特性に優れ、かつ高周波・広帯域に適した有機圧電材料を製造するための、有機圧電材料の延伸処理方法および製造方法、それにより製造された有機圧電材料を用いた超音波振動子、および超音波医用画像診断装置を提供することができる。
超音波探触子の主要部の構成を示す概略図である。 各工程における張力の変化の例を示す概略図である。
本発明は、未延伸の有機圧電材料を1次延伸する1次延伸工程、1次延伸された有機圧電材料に加熱処理を行う熱処理工程、熱処理された有機圧電材料を室温まで冷却する間に2次延伸処理する冷却工程を、順次行う有機圧電材料の延伸処理方法であって、
該1次延伸工程から冷却工程では有機圧電材料に張力を掛け続けて張力を解除せず、該熱処理は張力が0.1〜500kPaの範囲内になるように保ちながらの加熱処理であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果の観点から、前記熱処理が、0.1〜500kPaの範囲内になるように張力が保たれながら、100〜140℃の温度範囲内で、30分〜10時間の時間内で加熱する加熱処理であることが好ましくさらに、続いて室温まで冷却される間に行われる2次延伸処理が、延伸長手方向に10%以下の範囲で延伸させる延伸処理であることが好ましい。
また、前記有機圧電材料が、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体からなり、フッ化ビニリデンが95〜60モル%、トリフルオロエチレンが5〜40モル%の含有比率の範囲であることが好ましい。さらに、前記有機圧電材料の電気機械結合定数が、0.3以上である態様であることが好ましい。
本発明の有機圧電材料の延伸処理方法は、未延伸の有機圧電材料を1次延伸処理した後に熱処理する有機圧電材料の延伸処理方法であって、前記有機圧電材料を、1次延伸工程の後、張力を解除せず(張力を0とすることなく)、張力は掛け続けて、1次延伸処理終了後から熱処理が終了するまでの間、延伸長手方向に沿った張力が0.1〜500kPaの範囲内になるように保ちながら加熱処理し、続いて熱処理された有機圧電材料を室温まで冷却する間に、さらに延伸処理する態様の製造方法である。
この場合、前記加熱処理を、0.1〜500kPaの範囲内になるように張力を保ちながら、100〜140℃の温度範囲内で、30分〜10時間の時間内で行うことが好ましく、さらに続いて熱処理された有機圧電材料を室温まで冷却する間に延伸長手方向に10%以下の延伸処理をすることが好ましい。
本発明に係る有機圧電材料を超音波振動子に用いる場合、当該有機圧電材料は、超音波振動子の長辺方向と延伸処理をされた方向とが垂直になるように作製されたものであることが好ましい。また、当該有機圧電材料が、超音波振動子の長辺方向と延伸処理をされた方向とが平行になるように作製されたものであることも好ましい。
当該超音波振動子は、超音波医用画像診断装置に好適に用いることができる。その場合、電気信号を発生する手段と、前記電気信号を受けて超音波を被検体に向けて送信し、前記被検体から受けた反射波に応じた受信信号を生成する複数の振動子が配置された超音波探触子と、前記超音波探触子が生成した前記受信信号に応じて、前記被検体の画像を生成する画像処理手段とを有する超音波医用画像診断装置において、前記超音波探触子が、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子の両方を具備し、かつ、該超音波振動子のどちらか一方もしくは両方が、本発明の超音波振動子であることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、および本発明を実施するための最良の形態・態様について詳細な説明をする。
(超音波振動子)
本発明の超音波振動子は、超音波送信用振動子と超音波送信用振動子を具備する超音波医用画像診断装置用探触子(プローブ)に用いられる超音波振動子である。
本発明の超音波振動子は膜状の圧電材料からなる層(または膜)(以下、圧電体層」または「圧電体膜」という。)を挟んで一対の電極を配設して構成され、複数の振動子を例えば1次元配列して超音波探触子が構成される。
そして、複数の振動子が配列された長軸方向の所定数の振動子を口径として設定し、その口径に属する複数の振動子を駆動して被検体内の計測部位に超音波ビームを収束させて照射すると共に、その口径に属する複数の振動子により被検体から発する超音波の反射エコー等を受信して電気信号に変換する機能を有している。
(有機圧電材料)
本発明の超音波振動子を構成する圧電材料の構成材料としての有機圧電材料としては低分子材料、高分子材料を問わず採用でき、低分子の有機圧電材料であれば、例えば、フタル酸エステル系化合物、スルフェンアミド系化合物、フェノール骨格を有する有機化合物などが挙げられる。高分子の有機圧電材料であれば、例えば、ポリフッ化ビニリデン、あるいはポリフッ化ビニリデン系共重合体、ポリシアン化ビニリデンあるいはシアン化ビニリデン系共重合体あるはナイロン9、ナイロン11などの奇数ナイロンや、芳香族ナイロン、脂環族ナイロン、あるいはポリ乳酸や、ポリヒドロキシブチレートなどのポリヒドロキシカルボン酸、セルロース系誘導体、ポリウレアなどが挙げられる。良好な圧電特性、加工性、入手容易性等の観点から、高分子の有機圧電材料、特にフッ化ビニリデンを主成分とする高分子材料であることを要する。
具体的には、大きい双極子モーメントをもつCF基を有する、ポリフッ化ビニリデンの単独重合体またはフッ化ビニリデンを主成分とする共重合体であることを要する。なお、共重合体における第二組成分としては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロパン、クロロフルオロエチレン等を用いることができる。
例えば、フッ化ビニリデン/3フッ化エチレン共重合体の場合、共重合比によって厚さ方向の電気機械結合定数(圧電効果)が変化するので、前者の共重合比が60〜99モル%であること、さらには、85〜99モル%であることが好ましい。
なお、フッ化ビニリデンを85〜99モル%にして、パーフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロアルコキシエチレン、パーフルオロヘキサエチレン等を1〜15モル%にしたポリマーは、送信用無機圧電素子と受信用有機圧電素子との組み合わせにおいて、送信基本波を抑制して、高調波受信の感度を高めることができる。
上記有機圧電材料は、セラミックスからなる無機圧電材料に比べ、薄膜化できることからより高周波の送受信に対応した振動子にすることができる点で有利である。
本発明においては、当該有機圧電材料は、厚み共振周波数における比誘電率が10〜50であることが好ましく、比誘電率の調整は、当該有機圧電材料を構成する化合物が有するCF基やCN基のような極性官能基の数量、組成、重合度等の調整、および後述する分極処理によって行うことができる。
なお、本発明の超音波振動子を構成する有機圧電材料は、複数の高分子材料を積層させた構成とすることもできる。この場合、積層する高分子材料としては、上記の高分子材料の他に下記の比誘電率の比較的低い高分子材料を併用することができる。
なお、下記の例示において、括弧内の数値は、高分子材料(樹脂)の比誘電率を示す。例えば、メタクリル酸メチル樹脂(3.0)、アクリルニトリル樹脂(4.0)、アセテート樹脂(3.4)、アニリン樹脂(3.5)、アニリンホルムアルデヒド樹脂(4.0)、アミノアルキル樹脂(4.0)、アルキッド樹脂(5.0)、ナイロン−6−6(3.4)、エチレン樹脂(2.2)、エポキシ樹脂(2.5)、塩化ビニル樹脂(3.3)、塩化ビニリデン樹脂(3.0)、尿素ホルムアルデヒド樹脂(7.0)、ポリアセタール樹脂(3.6)、ポリウレタン(5.0)、ポリエステル樹脂(2.8)、ポリエチレン(低圧)(2.3)、ポリエチレンテレフタレート(2.9)、ポリカーポネート樹脂(2.9)、メラミン樹脂(5.1)、メラミンホルムアルデヒド樹脂(8.0)、酢酸セルロース(3.2)、酢酸ビニル樹脂(2.7)、スチレン樹脂(2.3)、スチレンブタジエンゴム(3.0)、スチロール樹脂(2.4)、フッ化エチレン樹脂(2.0)等を用いることができる。
なお、上記比誘電率の低い高分子材料は、圧電特性を調整するため、或いは有機圧電材料の物理的強度を付与するため等の種々の目的に応じて適切なものを選択することが好ましい。
(有機圧電材料の作製方法)
本発明に係る有機圧電材料は、上記高分子材料を主たる構成成分として有し、室温以上、融点から10℃低い温度以下の温度において、延伸可能なフィルム状であり、まず、二軸延伸処理又は一軸延伸処理(1次延伸)される。そして、張力を上記一定の範囲に保ちながら熱処理され、続いて熱処理された有機圧電材料が室温まで冷却される間に二段階目の延伸(2次延伸)をして作製することができる。
フッ化ビニリデンを共重合成分として有する共重合体を含有する有機圧電材料を振動子とする場合、フィルム状に形成し、ついで電気信号を入力するための表面電極を形成する。
フィルム形成は、溶融法、流延法など一般的な方法を用いることができる。ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体の場合、フィルム状にしたのみで自発分極をもつ結晶型を有することが知られている。
(1次延伸工程)
延伸製膜の方法については、種々の公知の方法を採用することができる。例えば、上記高分子材料をエチルメチルケトン(MEK)などの有機溶媒に溶解した液をガラス板などの基板上に流延し、常温にて溶媒を乾燥させ、所望の厚さのフィルムを得て、このフィルムを室温で所定の倍率の長さに延伸する。当該延伸は、所定形状の有機圧電材料が破壊されない程度に一軸・二軸方向に延伸することができる。延伸倍率は2〜10倍、好ましくは2〜6倍である。
なお、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体および/またはフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体において、230℃における溶融流動速度(Melt Flow Rate)が0.03g/min以下である。より好ましくは、0.02g/min以下、更に好ましくは、0.01g/min以下である高分子圧電体を使用すると高感度な圧電体の薄膜が得られる。
(熱処理工程)
熱処理工程では、1次延伸処理された有機圧電材料を、1次延伸工程の後、張力を解除せず(張力を0にすることはなく)、張力は掛けた状態にして引き続き、延伸長手方向に沿った張力が0.1〜500kPaの範囲内になるように保ちながら加熱処理する。
本発明においては、1次延伸工程の後、張力を解除することなく、張力を掛け続けるが、その際の張力としては、0.1kPa以上であることが好ましい態様である。
有機圧電材料の加熱処理としては、フィルム面内に効率的かつ均一に熱を与えるためにチャック、クリップなどで端部を支持して、フィルムの融点よりも10℃低い温度を上限とした温度付近下に置くことが好ましい。
この際に、フィルム面にヒートプレート等の熱源を直接触れるような形態で熱を与えることは、加熱の際に収縮する材料の場合、平面性を損なうので好ましくない。
例えば、ポリフッ化ビニリデンを主成分とする有機圧電材料の場合、融点が150℃〜180℃にあることから、110℃以上、140℃以下の温度で加熱処理をすることが好ましい。
またその時間は、30分以上行うことで効果が発現し長ければ長いほど結晶成長が促進するが時間とともに飽和することから、現実的には10時間程度、長くとも一昼夜程度である。
尚、延伸長手方向に沿った張力とは、延伸工程での延伸処理で付加された張力と平行な方向に沿った張力である。
熱処理中の張力は、仕上がりの平面性の観点から0.1〜500kPaの範囲内であることが必要である。
(冷却工程)
冷却工程は、熱処理された有機圧電材料の温度を室温まで低下させ有機圧電材料を冷却する工程であり、有機圧電材料を室温まで冷却する間に2次延伸処理を行う。
2次延伸処理は、弛緩処理である。
ここでいう弛緩処理とは、熱処理およびその終了後室温まで冷却される過程でフィルムにかかる収縮ないしは膨張しようとする力に追従しながら、フィルム両端の応力を変化させることである。弛緩処理は、フィルムが弛むことで平面性が保てなくなったり、応力が大きくなって破断したりしない限り、応力を緩和させるように縮めても、さらに張力をかける方向に延伸しない程度に広げても良い。
本発明においては、延伸した方向をプラスと定めた場合、長さにして10%程度、フィルムが冷却中に伸びる場合は、たるみに追従するように最大でも10%程度、二段階目の延伸を行う。フィルムをピンと張った状態にする、たるみをなくす程度に延伸チャックを稼動させることを本発明では2次延伸処理(二段階目の延伸)と呼ぶことにする。
本発明の各工程で付加される張力の変化の例を、図2に示す。図2において、縦軸は張力であり横軸は時間を表し、aは1次延伸工程を、bは熱処理工程を、cは冷却工程を表す。
(分極処理)
本発明に係る有機圧電材料は、分極処理されて超音波振動子に用いられるが、分極処理における分極処理方法としては、従来公知の直流電圧印加処理、交流電圧印加処理またはコロナ放電処理等の方法が適用され得る。
例えば、コロナ放電処理法による場合には、コロナ放電処理は、市販の高電圧電源と電極からなる装置を使用して処理することができる。
放電条件は、機器や処理環境により異なるので適宜条件を選択することが好ましい。
高電圧電源の電圧としては−1〜−20kV、電流としては1〜80mA、電極間距離としては、1〜10cmが好ましく、印加電圧は、0.5〜2.0MV/mであることが好ましい。
電極としては、従来から用いられている針状電極、線状電極(ワイヤー電極)、網状電極が好ましいが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
(基板)
基板としては、本発明に係る有機圧電材料の用途・使用方法等により基板の選択は異なる。本発明においては、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマーのようなプラスチック板またはフィルムを用いることができる。
また、これらの素材の表面をアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素等で覆ったものでもよい。またアルミニウム、金、銅、マグネシウム、珪素単体、希土類のハロゲン化物の単結晶の板またはフィルムでもかまわない。
(電極)
本発明に係る有機圧電材料を有する超音波振動子は、有機圧電材料を有する圧電体膜(層)の両面上または片面上に電極を形成し、その圧電体膜を分極処理することによって作製されるものである。
当該電極は、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)などを主体とした電極材料を用いて形成する。
電極の形成に際しては、まず、チタン(Ti)やクロム(Cr)などの下地金属をスパッタ法により0.02〜1.0μmの厚さに形成する。
その後、上記金属元素を主体とする金属およびそれらの合金からなる金属材料、さらには必要に応じ一部絶縁材料をスパッタ法、その他の適当な方法で1〜10μmの厚さに形成する。
これらの電極形成はスパッタ法以外でも微粉末の金属粉末と低融点ガラスを混合した導電ペーストをスクリーン印刷やディッピング法、溶射法で形成することもできる。
さらに、圧電体膜の両面に形成した電極間に、所定の電圧を供給し、圧電体膜を分極することで超音波振動子が得られる。
(超音波探触子)
本発明の超音波振動子は、超音波探触子に用いられる。
本発明の超音波探触子は、超音波送信用振動子と超音波受信用振動子を具備し、本発明の超音波振動子は、超音波受信用振動子として用いられることが好ましい。
超音波探触子において、超音波の送受信の両方をひとつの振動子で担ってもよいが、より好ましくは、送信用と受信用で振動子は分けて探触子内に構成される。
送信用振動子を構成する圧電材料としては、従来公知のセラミックス無機圧電材料でも、有機圧電材料でもよい。
超音波探触子は、送信用振動子の上もしくは並列に超音波受信用振動子を配置することができる。
より好ましい実施形態としては、超音波送信用振動子の上に本発明の超音波振動子で構成される超音波受信用振動子を積層する構造が良く、その際には、本発明の超音波振動子は他の高分子材料(支持体として上記の比誘電率が比較的低い高分子(樹脂)フィルム、例えば、ポリエステルフィルム)の上に添合した形で送信用振動子の上に積層してもよい。
その際の受信用振動子と他の高分子材料と合わせた膜厚は、探触子の設計上好ましい受信周波数帯域に合わせることが好ましい。
実用的な超音波医用画像診断装置および生体情報収集に現実的な周波数帯から鑑みると、その膜厚は、40〜150μmであることが好ましい。
なお、当該探触子には、後述するようなバッキング層、音響整合層、音響レンズなどを設けても良い。また、多数の圧電材料を有する振動子を2次元に並べた探触子とすることもできる。複数の2次元配列した探触子を順次走査して、画像化するスキャナーとして構成させることもできる。
図1は、超音波探触子の構成の例を示す概略断面図である。
超音波探触子10は、支持体2を挟んで、送信用圧電材料の両側に電極5を有する超音波振動子と、受信用圧電材料の両側に電極5を有する超音波振動子を有し、各々の超音波振動子の外側に音響レンズ6およびバッキング層を有する。
(音響レンズ)
音響レンズは、屈折を利用して超音波ビームを集束し分解能を向上するために配置される。
当該音響レンズは、超音波を収束するとともに、生体とよく密着して生体の音響インピーダンス(密度×音速;(1.4〜1.6)×10kg/m・sec)と整合させ、超音波の反射を少なくしうること、レンズ自体の超音波減衰量が小さいことが必要条件とされている。
すなわち、超音波ビームを集束するため人体と接触する部分に、従来ゴム等の高分子材料をベースにして作られた音響レンズが設けられている。ここに用いられるレンズ材料としては、その音速が人体のそれより十分小さくて、減衰が少なく、又、音響インピーダンスが人体の皮膚の値に近いものが望まれる。
レンズ材が、音速が人体のそれより十分小さければ、レンズ形状を凸状となすことができ、診断を行う際に滑りが良くなり、安全に行えるし、また、減衰が少なくなれば、感度良く超音波の送受信が行え、さらに、音響インピーダンスが人体の皮膚の値に近いものであれば、反射が小さくなり、換言すれば、透過率が大きくなるので、同様に超音波の送受信感度が良くなるからである。
本発明において、音響レンズを構成する素材としては、従来公知のシリコンゴム、フッ素シリコンゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム等のホモポリマー、エチレンとプロピレンとを共重合させてなるエチレン−プロピレン共重合体ゴム等の共重合体ゴム等を用いることができる。これらのうち、シリコン系ゴムを用いることが好ましい。
本発明に使用されるシリコン系ゴムとしては、シリコンゴム、フッ素シリコンゴム等が挙げられる。
就中、レンズ材の特性上、シリコンゴムを使用することが好ましい。シリコンゴムとは、Si−O結合からなる分子骨格を有し、そのSi原子に複数の有機基が主結合したオルガノポリシロキサンをいい、通常は、その主成分はメチルポリシロキサンで、全体の有機基のうち90%以上はメチル基である。メチル基に代えて水素原子、フェニル基、ビニル基、アリル基等を導入したものも使用することができる。
当該シリコンゴムは、例えば、高重合度のオルガノポリシロキサンに過酸化ベンゾイルなどの硬化剤(加硫剤)を混練し、加熱加硫し硬化させることにより得ることができる。
必要に応じてシリカ、ナイロン粉末等の有機または無機充填剤、硫黄、酸化亜鉛等の加硫助剤等を添加してもよい。
ブタジエン系ゴムとしては、ブタジエン単独またはブタジエンを主体としこれに少量のスチロールまたはアクリロニトリルが共重合した共重合ゴム等が挙げられる。
就中、レンズ材の特性上、ブタジエンゴムを使用することが好ましい。ブタジエンゴムとは、共役二重結合を有するブタジエンの重合により得られる合成ゴムをいう。
ブタジエンゴムは、共役二重結合を有するブタジエン単独が1,4または1.2重合することにより得ることができる。ブタジエンゴムは、硫黄等により加硫させたものが使用できる。
音響レンズにおいては、シリコン系ゴムとブタジエン系ゴムとを混合し加硫硬化させることにより得ることができる。
例えば、シリコンゴムとブタジエンゴムとを適宜割合で混練ロールで混合し、過酸化ベンゾイルなどの加硫剤を添加し、加熱加硫し架橋(硬化)させることにより得ることができる。
その際に、加硫助剤として、酸化亜鉛を添加することが好ましい。酸化亜鉛は、レンズ特性を落とさずに、加硫促進を促し、加硫時間を短縮できる。
他に、着色剤や音響レンズの特性を損なわない範囲内で他の添加剤を添加してもよい。シリコン系ゴムとブタジエン系ゴムとの混合割合は、その音響インピーダンスが人体に近似しているとともに、その音速が人体より小さく、減衰が少ないものを得るには、通常、1:1が好ましいが、当該混合割合は適宜変更可能である。
なお、上記シリコン系ゴム等のゴム素材をベース(主成分)として、音速調整、密度調整等の目的に応じ、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機充填剤や、ナイロンなどの有機樹脂等を配合することもできる。
(バッキング層)
超音波探触子は、超音波振動子の背面に配置し、後方への超音波の伝搬を抑制することを目的としてバッキング層を備えることも好ましい。これにより、パルス幅を短くすることができる。
(音響整合層)
音響整合層(「λ/4層」ともいう。)は、振動子と生体間の音響インピーダンス差を少なくし、超音波を効率よく送受信するために多層配置される。
(超音波医用画像診断装置)
本発明の上記超音波探触子は、種々の態様の超音波診断装置に用いることができる。例えば、患者などの被検体に対して超音波を送信し、被検体で反射した超音波をエコー信号として受信する圧電体振動子が配列されている超音波探触子(プローブ)を備えている超音波医用画像診断装置が好ましい。
また当該超音波探触子に電気信号を供給して超音波を発生させるとともに、当該超音波探触子の各圧電体振動子が受信したエコー信号を受信する送受信回路と、送受信回路の送受信制御を行う送受信制御回路を備えていることが好ましい。
更に、送受信回路が受信したエコー信号を被検体の超音波画像データに変換する画像データ変換回路を備え、当該画像データ変換回路によって変換された超音波画像データでモニタを制御して表示する表示制御回路と、超音波医用画像診断装置全体の制御を行う制御回路を備えた超音波医用画像診断装置が好ましい。
このような超音波医用画像診断装置は、制御回路には、送受信制御回路、画像データ変換回路、表示制御回路が接続されており、制御回路はこれら各部の動作を制御している。
そして、超音波探触子の各圧電体振動子に電気信号を印加して被検体に対して超音波を送信し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる反射波を超音波探触子で受信する。
なお、上記送受信回路が「電気信号を発生する手段」に相当し、画像データ変換回路が「画像処理手段」に相当する。
上記のような超音波診断装置によれば、本発明の圧電特性および耐熱性に優れかつ高周波・広帯域に適した超音波振動子の特徴を生かして、従来技術と比較して画質とその再現・安定性が向上した超音波像を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(有機圧電材料の作製と評価)
実施例1
フッ化ビニリデン(以下VDF)とトリフルオロエチレン(以下3FE)のモル比率が75:25であるポリフッ化ビニリデン共重合体粉末(重量平均分子量29万)を50℃に加熱したエチルメチルケトン(以下MEK)、ジメチルホルムアミド(以下DMF)の9:1混合溶媒に溶解した液をガラス板上に流延した。
その後、50℃にて溶媒を乾燥させ、厚さ約140μm、融点155℃のフィルム(有機圧電材料)を得た。
このフィルムをチャックにかかる荷重が測定できるロードセル付きの一軸延伸機によって、室温で3.8倍に延伸した。
1次延伸終了後、フィルム端の応力が20kPaになるまでチャックを移動させた。続いて、チャックから外すことなく、応力が100kPaを保つように、チャック間距離を制御しながら135℃において1時間熱処理を行った。その後、少しずつチャック間距離を延伸方向に弛緩処理(2次延伸処理)を行いながら、室温まで冷却した。チャック位置から計算した、2次延伸量(弛緩量)は、熱処理終了後のフィルムの長さを基準として9%延伸と求められた。
得られた熱処理後のフィルムの膜厚は43μmであった。ここで得られたフィルムの両面に表面抵抗が20Ω以下になるように金/アルミニウムを蒸着塗布して表面電極付の試料を得た。
つづいて、この電極に室温にて、0.1Hzの交流電圧を印可しながら分極処理を行った。分極処理は低電圧から行い、最終的に電極間電場が100MV/mになるまで徐々に電圧をかけていった。
最終的な分極量は、圧電材料をコンデンサと見たてた際の残留分極量、すなわち膜厚、電極面積、印可電場に対する電荷蓄積量から求め、本発明の試料1を得た。
試料の1次延伸倍率、1次延伸直後の張力、熱処理温度、熱処理時間、熱処理中の張力、冷却工程での2次延伸量(弛緩量)を表1にまとめた。
その他の本発明の試料および比較の試料については、表1に示す条件で試料1同様に製膜、電極付けを行って分極済の試料1〜12を得た。
[有機圧電材料の平面性]
上記のようにして得られた、電極付きの有機圧電材料を延伸方向に100mm、延伸方向と直交する方向に20mmの長方形に切り出した。切り出した圧電膜を透明なアクリル板の上に置き、金属板片を介して上から10kg/cm(980kPa)の荷重で押しつけ、アクリル板側からの目視によって平面性を評価した。
A:しわがなく、電極および圧電体膜にヒビが入っていない
B:しわがないが、電極および圧電体膜にヒビが入っており、実用上耐えない
C:しわがあり、電極および圧電体膜にヒビが入っており、実用上耐えない
[有機圧電材料の評価方法]
上記のようにして得られた電極付の試料の両面の電極にリード線を付け、アジレントテクノロジー社製インピーダンスアナライザ4294Aを用いて、25℃雰囲気下において、40Hzから110MHzまで等間隔で600点周波数掃引した。厚み共振周波数における比誘電率の値を求めた。
同様に、厚み共振周波数付近の抵抗値のピーク周波数P、コンダクタンスのピーク周波数Sをそれぞれ求めたとき、下記式にて電気機械結合定数kを求めた。電気機械結合定数としては、0.3以上が実用的に良好な範囲である。
=(α/tan(α)) ただし、α=(π/2)×(S/P)
インピーダンスアナライザを用いて厚み共振周波数から電気機械結合定数を求める方法としては、電子情報技術産業協会規格JEITA EM−4501(旧EMAS−6100)圧電セラミック振動子の電気的試験方法に記載の円盤状振動子の厚みたて振動に4.2.6項に準拠している。上記評価結果を表1に示す。
Figure 0005582136
表1に示した結果から明らかなように、本発明の範囲内で実施された試料については、平面性および圧電特性に優れていることが分かる。また、容易に振動子への加工ができ、加工適性が優れていることが分かった。
実施例2
(超音波探触子の作製と評価)
成分原料であるCaCO、La、BiとTiO、および副成分原料であるMnOを準備し、成分原料については、成分の最終組成が(Ca0.97La0.03)Bi4.01Ti15となるように秤量した。
次に、純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて8時間混合し、十分に乾燥を行い、混合粉体を得た。
得られた混合粉体を、仮成形し、空気中、800℃で2時間仮焼を行い、仮焼物を作製した。
次に、得られた仮焼物に純水を添加し、純水中でジルコニア製メディアを入れたボールミルにて微粉砕を行い、乾燥することにより圧電セラミックス原料粉末を作製した。
微粉砕においては、微粉砕を行う時間および粉砕条件を変えることにより、それぞれ粒子径100nmの圧電セラミックス原料粉末を得た。
それぞれ粒子径の異なる各圧電セラミックス原料粉末にバインダーとして純水を6質量%添加し、プレス成形して、厚み100μmの板状仮成形体とし、この板状仮成形体を真空パックした後、235MPaの圧力でプレスにより成形した。
次に、上記の成形体を焼成した。最終焼結体の厚さは20μmの焼結体を得た。なお、焼成温度は、それぞれ1100℃であった。1.5×Ec(MV/m)以上の電界を1分間印加して分極処理を施した。
〈受信用積層振動子の作製〉
前記実施例1において作製した電子線照射済みのポリフッ化ビニリデン共重合体のフィルム(有機圧電体膜)と厚さ50μmのポリエステルフィルム(支持体)をエポキシ系接着剤にて貼り合わせた積層振動子を作製した。
その後、上記と同様に分極処理をした。
次に、常法に従って、上記の送信用圧電材料(無機圧電セラミック焼結体)の上に受信用積層振動子を積層し、かつバッキング層と音響整合層を設置し超音波探触子を試作した。
なお、比較例として、上記受信用積層振動子の代わりに、ポリフッ化ビニリデン共重合体のフィルム(有機圧電体膜)のみを用いた受信用積層振動子を上記受信用積層振動子に積層した以外、上記超音波探触子と同様の探触子を作製した。
次いで、上記2種の超音波探触子について受信感度と絶縁破壊強度の測定をして評価した。
なお、受信感度については、5MHzの基本周波数fを発信させ、受信2次高調波fとして10MHz、3次高調波として15MHz、4次高調波として20MHzの受信相対感度を求めた。
受信相対感度は、ソノーラメディカルシステム社(Sonora Medical System,Inc:2021Miller Drive Longmont,Colorado(0501 USA))の音響強度測定システムModel805(1〜50MHz)を使用した。
絶縁破壊強度の測定は、負荷電力Pを5倍にして、10時間試験した後、負荷電力を基準に戻して、相対受信感度を評価した。
感度の低下が負荷試験前の1%以内のときを良、1%を超え10%未満を可、10%以上を不良として評価した。
上記評価において、本発明に係る受信用圧電(体)積層振動子を具備した探触子は、比較例に対して約1.2倍の相対受信感度を有しており、かつ絶縁破壊強度は良好であることを確認した。
すなわち、本発明の超音波振動子は、超音波医用画像診断装置に用いる超音波探触子にも好適に使用できることが確認された。
1 受信用圧電材料
2 支持体
3 送信用圧電材料
4 バッキング層
5 電極
6 音響レンズ
10 超音波探触子

Claims (8)

  1. 未延伸の有機圧電材料を1次延伸する1次延伸工程、1次延伸された有機圧電材料に加熱処理を行う熱処理工程、熱処理された有機圧電材料を室温まで冷却する間に2次延伸処理する冷却工程を、順次行う有機圧電材料の延伸処理方法であって、
    該1次延伸工程から冷却工程では有機圧電材料に張力を掛け続けて張力を解除せず、該熱処理は張力が0.1〜500kPaの範囲内になるように保ちながらの加熱処理であることを特徴とする有機圧電材料の延伸処理方法。
  2. 前記加熱処理が100〜140℃の温度範囲内であり、前記熱処理の時間が30分〜10時間の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の有機圧電材料の延伸処理方法。
  3. 前記1次延伸が二軸延伸又は一軸延伸であり、延伸倍率は2〜10倍であり、2次延伸処理が延伸長手方向に10%以下延伸させる延伸処理であることを特徴とする請求項2に記載の有機圧電材料の延伸処理方法。
  4. 前記有機圧電材料が、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体からなり、当該フッ化ビニリデンが95〜60モル%、当該トリフルオロエチレンが5〜40モル%の含有比率の範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機圧電材料の延伸処理方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の有機圧電材料の延伸処理方法により製造される有機圧電材料に分極処理することを特徴とする有機圧電材料の製造方法。
  6. 請求項5に記載の有機圧電材料の製造方法によって製造される有機圧電材料および電極を有することを特徴とする超音波振動子。
  7. 請求項6に記載の超音波振動子を有することを特徴とする超音波探触子。
  8. 電気信号を発生する手段と、前記電気信号を受けて超音波を被検体に向けて送信し、前記被検体から受けた反射波に応じた受信信号を生成する複数の振動子が配置された超音波探触子と、前記超音波探触子が生成した前記受信信号に応じて、前記被検体の画像を生成する画像処理手段とを有する超音波医用画像診断装置において、前記超音波探触子が、送信用超音波振動子と受信用超音波振動子の両方を具備し、かつ、該超音波振動子のどちらか一方もしくは両方が、請求項6に記載の超音波振動子であることを特徴とする超音波医用画像診断装置。
JP2011504809A 2009-03-18 2010-03-05 有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置 Expired - Fee Related JP5582136B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011504809A JP5582136B2 (ja) 2009-03-18 2010-03-05 有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009066225 2009-03-18
JP2009066225 2009-03-18
PCT/JP2010/053633 WO2010106924A1 (ja) 2009-03-18 2010-03-05 有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置
JP2011504809A JP5582136B2 (ja) 2009-03-18 2010-03-05 有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010106924A1 JPWO2010106924A1 (ja) 2012-09-20
JP5582136B2 true JP5582136B2 (ja) 2014-09-03

Family

ID=42739587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011504809A Expired - Fee Related JP5582136B2 (ja) 2009-03-18 2010-03-05 有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20120004555A1 (ja)
JP (1) JP5582136B2 (ja)
WO (1) WO2010106924A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012205726A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Toshiba Corp 超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法
JP6188335B2 (ja) * 2013-01-31 2017-08-30 積水化学工業株式会社 漏洩検出器、漏洩位置特定方法および配管装置
JP2015112326A (ja) * 2013-12-12 2015-06-22 キヤノン株式会社 プローブ、被検体情報取得装置
JP6633834B2 (ja) * 2015-04-02 2020-01-22 株式会社イデアルスター 圧電膜、およびその製造方法
WO2017163936A1 (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 富士フイルム株式会社 音響波プローブ用組成物、これを用いた音響波プローブ用シリコーン樹脂、音響波プローブおよび超音波プローブ、ならびに、音響波測定装置、超音波診断装置、光音響波測定装置および超音波内視鏡
JP6995669B2 (ja) * 2018-03-05 2022-01-14 株式会社クレハ 圧電体フィルム、圧電体フィルムの製造方法、および、圧電体デバイス
US11155023B2 (en) 2019-01-04 2021-10-26 Rohr, Inc. Stretching and deployment of a sensor network for large structure monitoring
CN110007009A (zh) * 2019-04-08 2019-07-12 苏州佳世达电通有限公司 超音波探头及其制作方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5723286A (en) * 1980-07-18 1982-02-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd Manufacture of film for piezoelectricity or pyroelectricity
JPS5780602A (en) * 1980-11-05 1982-05-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd Method of producing piezoelectric or pyroelectric film
JP2005213376A (ja) * 2004-01-29 2005-08-11 Mitsui Chemicals Inc ポリ乳酸系樹脂と無機化合物からなる高分子圧電材料
JP2008187079A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Tokai Rubber Ind Ltd 電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜およびその製造方法

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3197538A (en) * 1960-10-31 1965-07-27 Pennsalt Chemicals Corp Stretch orientation of polyvinylidene fluoride
JPS5130595B2 (ja) * 1972-04-06 1976-09-01
JPS5569902A (en) * 1978-11-21 1980-05-27 Kureha Chemical Ind Co Ltd Preparing piezoelectric* electrically scorchable film
JPS606220B2 (ja) * 1979-04-11 1985-02-16 三菱油化株式会社 ポリ弗化ビニリデンもしくは弗化ビニリデン共重合体の延伸薄膜製造法
US4510300A (en) * 1982-04-08 1985-04-09 E. I. Du Pont De Nemours And Company Perfluorocarbon copolymer films
US4510301A (en) * 1982-06-01 1985-04-09 E. I. Du Pont De Nemours And Company Fluorocarbon copolymer films
JPS5962115A (ja) * 1982-10-01 1984-04-09 Kureha Chem Ind Co Ltd 誘電体フイルム
US4577132A (en) * 1983-07-05 1986-03-18 Toray Industries, Inc. Ultrasonic transducer employing piezoelectric polymeric material
US4778867A (en) * 1987-07-21 1988-10-18 Seymour Pries Ferroelectric copolymers of vinylidene fluoride and trifluoroethylene with increased Curie temperature and their methods of production
JPH0542592A (ja) * 1991-08-09 1993-02-23 Shin Etsu Chem Co Ltd ポリフツ化ビニリデン樹脂延伸フイルムの製造方法
JP2681032B2 (ja) * 1994-07-26 1997-11-19 山形大学長 強誘電性高分子単結晶、その製造方法、およびそれを用いた圧電素子、焦電素子並びに非線形光学素子
JP3742574B2 (ja) * 2001-09-10 2006-02-08 弘二 大東 強誘電性高分子膜の製造方法
JP5392090B2 (ja) * 2007-11-21 2014-01-22 コニカミノルタ株式会社 超音波受信用振動子、その製造方法、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5723286A (en) * 1980-07-18 1982-02-06 Matsushita Electric Ind Co Ltd Manufacture of film for piezoelectricity or pyroelectricity
JPS5780602A (en) * 1980-11-05 1982-05-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd Method of producing piezoelectric or pyroelectric film
JP2005213376A (ja) * 2004-01-29 2005-08-11 Mitsui Chemicals Inc ポリ乳酸系樹脂と無機化合物からなる高分子圧電材料
JP2008187079A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Tokai Rubber Ind Ltd 電歪型アクチュエータ用誘電体エラストマー膜およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20120004555A1 (en) 2012-01-05
WO2010106924A1 (ja) 2010-09-23
JPWO2010106924A1 (ja) 2012-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5582136B2 (ja) 有機圧電材料の延伸処理方法、有機圧電材料の製造方法、超音波振動子、超音波探触子および超音波医用画像診断装置
JP5493520B2 (ja) 有機圧電材料の製造方法、有機圧電材料、超音波振動子、超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置
JP5392090B2 (ja) 超音波受信用振動子、その製造方法、超音波探触子及び超音波医用画像診断装置
JP5083210B2 (ja) アレイ型超音波探触子及びその製造方法
WO2011121882A1 (ja) 積層型圧電体および積層型圧電体の製造方法ならびに前記積層型圧電体を用いた超音波トランスデューサおよび超音波診断装置
JP5347503B2 (ja) 超音波探触子、超音波探触子の製造方法
JP5633509B2 (ja) 有機圧電材料、超音波探触子及び超音波画像検出装置
Chen et al. High frequency PMN–PT single crystal focusing transducer fabricated by a mechanical dimpling technique
JP5533651B2 (ja) 有機圧電材料の製造方法、超音波振動子及び超音波医用画像診断装置
WO2010061726A1 (ja) 有機圧電材料、超音波振動子および超音波探触子
JP2011155573A (ja) 超音波振動子、それを用いた超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置
Ma et al. Lead-free ultrasonic phased array transducer for human heart imaging
JP2010114122A (ja) 有機圧電体、超音波振動子、超音波探触子および超音波画像検出装置
JP5464213B2 (ja) 有機圧電材料、その製造方法、それを用いた超音波振動子、超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置
JP5423540B2 (ja) 超音波トランスデューサおよび超音波診断装置
JP2010182994A (ja) 有機圧電材料、超音波振動子および超音波探触子
JP2010165770A (ja) 有機圧電体、有機圧電材料、超音波振動子および超音波探触子
JP2011155574A (ja) 積層型超音波振動子、それを用いた超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置
Zou et al. Development of cardiac phased array with large-size PZN-5.5% PT single crystals
JP2010263407A (ja) 超音波探触子、および超音波探触子を用いた超音波診断装置
Zhang et al. High frequency single crystal ultrasonic transducers up to 100 MHz for high resolution ophthalmic imaging applications
JP2009155372A (ja) 有機高分子材料、有機複合材料、有機圧電材料、有機圧電膜、超音波振動子、超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置
WO2010001633A1 (ja) 有機圧電材料とその製造方法、超音波振動子、超音波医用画像診断装置
WO2010016291A1 (ja) 有機圧電材料、その作製方法、それを用いた超音波振動子、超音波探触子および超音波画像検出装置
WO2010029783A1 (ja) 有機圧電材料、有機圧電体膜、超音波振動子、その製造方法、超音波探触子、及び超音波医用画像診断装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130301

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130415

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20130726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140617

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140630

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5582136

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees