JP5576718B2 - αアミラーゼ活性を有する酵素及びその使用方法 - Google Patents
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Description
アミラーゼはバチルス及びアスペルギルスを含む多種多様な微生物によって生産され、商業的なアミラーゼの大部分は、バチルス・リケニホルミス(licheniformis)、バチルス・アミロリクエファシエンス(amyloliquefaciens)、バチルス・サブチリス(subtilis)又はバチルス・ステアロサーモフィルス(stearothermophilus)のような細菌供給源から生産されている。近年では、商業的に使用される酵素は、少なくとも中性及び弱アルカリ性のpHにおいて、その熱安定性及び性能からバチルス・リケニホルミス由来である。
一般的に、デンプンのフルクトースへの加工は、顆粒状デンプンの液化、液化デンプンのデキストロースへの糖化、精製、及び、フルクトースへの異性化の四工程で構成される。デンプン液化加工の目的は、デンプンポリマー顆粒の濃縮懸濁液を、鎖長がより短く低粘性である可溶性デキストリン溶液に転換することである。この工程は、標準的設備を用いる簡便な処理操作、及び、グルコース又は他の糖への効率的な転換に必要不可欠である。顆粒状デンプンを液化するために、顆粒状デンプンの温度を約72℃より上昇させることによって顆粒をゼラチン化することが必要である。加熱加工は、不溶性デンプン顆粒を即座に破壊して水溶性デンプン溶液を生成する。可溶化されたデンプン溶液は、次にアミラーゼによって液化される。デンプン顆粒は、69〜74%のアミロペクチン、26〜31%のアミロース、11〜14%の水、0.2〜0.4%のタンパク質、0.5〜0.9%の脂質、0.05〜0.1%の灰分、0.02〜0.03%のリン、0.1%のペントサンで構成される。顆粒のおよそ70%が非晶質であり、30%が結晶である。
液化加工に対する第二の変法では、αアミラーゼをデンプン懸濁液に加えて、その懸濁液を80〜100℃の温度で保持してデンプン顆粒を部分的に加水分解し、その部分的に加水分解したデンプン懸濁液を約105℃より高い温度での噴出を通じてポンプで送り出して、顆粒状構造を維持しているデンプンを徹底的にゼラチン化する。ゼラチン化したデンプンを冷却した後に2回目のαアミラーゼ添加を行うことによって、デンプンをさらに加水分解することができる。
この加工の第三の変法は、乾燥粉砕加工と呼ばれる。乾燥粉砕では、全粒を挽いて水と混合する。任意で、胚を浮揚分離又は同等な技術によって除去することもできる。得られた混合物は、デンプン、繊維、タンパク質及びその他穀物成分を含み、αアミラーゼを用いて液化される。乾燥粉砕加工を用いる場合は、低温にて酵素的液化を行うことが本技術分野における一般的な手法である。一般的に、デンプンを可溶性デキストリンに転換することにおいて、低温液化は高温液化よりも効率が低いと信じられている。
典型的には、ゼラチン化の後、デンプン溶液はαアミラーゼ存在下にてDE10〜20が達成されるまで、通常は1〜3時間の間、上昇させた温度で保持される。デキストロース当量(DE)は還元糖全体の濃度を測定するための業界標準であり、乾燥質量主成分に対するD-グルコースとして算出される。加水分解されていない顆粒状デンプンは事実上ゼロのDEを有し、一方D-グルコースのDEは100として定義される。
ベークド製品(パンのような)の劣化は、パン製品製造時と消費時の間の時間が長くなるにつれてさらに重大になる問題として認識されている。劣化という用語は、パンの中身の堅さの増加、パンの中身の弾力性低下、及び、パンの皮が革のように堅くなる変化のような、オーブンから出した後のパン製品の性質において消費者にとって望ましくない変化を説明することに用いられる。パンの中身の堅さは、保存の間にさらに増加して不快であると考えられるレベルまで達する。パンの中身における堅さの増加は、劣化の最も重要な一面として考えられており、それだけでなく長時間経過したパン製品は消費に適さなくなると消費者には認識されている。
4以上の重合度(DP)を有するポリマーをある割合で含むシロップ調製品加工は、困難である。米国特許第5,141,859号は、二つの連続的糖化工程を用いて行う高マルトース含有シロップ調製品のための加工を提案している。この文献は事実上、βアミラーゼ存在下での第1の糖化工程と、マルトース生成αアミラーゼ存在下における次の糖化工程を含む加工を提唱している。この文献によると、マルトース生成αアミラーゼはβアミラーゼによる第1の糖化工程後に用いられ、オリゴサッカライド(DP3〜DP7)本質的にはマルトトリオース(トリサッカライド)をマルトース及びグルコースに加水分解する。
従って、商業的なコーンスターチ液化加工に有用な酸性アミラーゼの同定及び最適化に対する産業上の必要性が存在する。これら第二世代の酸性アミラーゼは、業界標準的な酵素を越えて改良された製造及び/又は性能特徴を提供するであろう。
本明細書において議論した文献は、本出願の出願日に先行する開示を単に提供する。本明細書中のいかなる事項も、本発明が先行発明によるそのような開示に先立つ権利が与えられないことの承認として解釈すべきではない。
また本発明は前記ポリペプチドを作製する方法を提供する。
また本発明は前記核酸の変異体を提供する。
本発明は、前記核酸またはポリペプチドの配列を記録したコンピューター読取り可能媒体を提供する。
本発明は前記配列を参照配列と比較する方法を提供する。また本発明は前記配列の特徴を同定する方法を提供する。
さらに本発明はαアミラーゼ活性を有するポリペプチドの酵素機能を保持している、ポリペプチド断片または変異体を同定する方法を提供する。
また、本発明はパン生地又はパン生地から調理されたベークド製品を調理するための方法も提供する。
本発明は、前記アミラーゼを含むパン焼き用酵素添加物も提供する。
本発明の一つの側面は、配列番号1に記載の配列、それと実質的に同一な配列、及び、それらに対する相補性配列を有する、単離された核酸である。
本発明の別の側面は、配列番号1に記載の核酸配列、それと実質的に同一な配列、及び、それらに対する相補性配列に示す配列のうちの少なくとも連続する10塩基を含む、単離された核酸である。
さらに別の側面では、本発明は、配列番号2に記載の配列、及び、αアミラーゼ活性を有し配列番号2の配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有するポリペプチドをコードする変異体配列を有するポリペプチドをコードする、単離された核酸を提供する。
本発明の別の側面は、配列番号2に記載の配列及びそれと実質的に同一な配列を有するポリペプチド又はその機能的断片をコードする、単離された核酸である。
本発明の別の側面は、配列番号2に記載のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドをコードする、単離された核酸である。
さらに別の側面では、本発明は、配列番号2に記載のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列を有する、精製されたポリペプチドを提供する。
本発明の別の側面は、配列番号2に記載のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列を有するポリペプチドに対して特異的に結合する、単離又は精製された抗体である。
本発明の別の側面は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列の1つのポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドに対して特異的に結合する、単離若しくは精製された抗体又はその抗体の結合断片である。
本発明の別の側面は、配列番号2に記載のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列を有するポリペプチドを作製する方法である。この方法は、ポリペプチドをコードする核酸をプローモーターに機能可能に連結されるように宿主細胞に導入すること、及び、前記核酸の発現が可能な条件下で前記宿主細胞を培養することを含む。
本発明の別の側面は、配列番号2に記載のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のうちの少なくとも10アミノ酸を有するポリペプチドを作製する方法である。この方法は、ポリペプチドをコードする核酸をプロモーターに機能可能に連結されるように宿主細胞に導入すること、及び、前記核酸の発現が可能な条件下で宿主細胞を培養してポリペプチドを生産することを含む。
本発明の別の側面は、配列番号1に記載の核酸配列、それと実質的に同一な配列、配列番号1に記載の核酸配列に対する相補性配列、及び、上述配列のうちの少なくとも連続する30ヌクレオチドを含む断片の配列を有する核酸を得ること、並びに、配列中の一つ以上のヌクレオチドを別のヌクレオチドに変えること、配列中の一つ以上のヌクレオチドを欠失すること又は一つ以上のヌクレオチドを配列に付加することを含む、変異体を作製する方法である。
本発明の別の側面は、プロセッサ及びデータ記憶装置を含むコンピュータシステムであり、前記データ記憶装置は、配列番号1に記載の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列、又は、配列番号2に記載のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列を有するポリペプチドを保存している。
本発明の別の側面は第一配列を参照配列と比較するための方法であり、前記第一配列は、配列番号1に記載の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列を有する核酸、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドコードである。この方法は、配列を比較するコンピュータプログラムの使用を通じて第一配列及び参照配列を読むこと、及び、コンピュータプログラムを用いて第一配列と参照配列との間の相違を決定することを含む。
本発明の別の側面は、配列番号1に記載の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列、又は、配列番号2に記載のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列を有するポリペプチドにおける特徴を同定するための方法であって、配列における特徴を同定するコンピュータプログラムの使用を通じて配列を読むこと、及び、コンピュータプログラムを用いて配列における特徴を同定することを含む前記方法である。
本発明の別の側面は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドの酵素機能を保持している、配列番号2のアミノ酸配列の断片又は変異体及びそれと実質的に同一な配列を同定するためのアッセイである。このアッセイは、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド又はそれらのポリペプチド断片若しくは変異体を、前記ポリペプチド断片若しくは変異体が機能可能な条件下で基質分子と接触させること、及び、基質レベルにおける減少又はポリペプチドと基質との間の反応の特異的反応生成物レベルにおける増加のどちらかを検出し、それによって前記配列の断片若しくは変異体を同定することを含む。
本発明は、パン生地又はパン生地から調理されたベークド製品を調理するための方法も提供し、前記方法は、パンの劣化を遅らせることに有効な量で本発明のアミラーゼをパン生地に添加することを含む。本発明は、前記アミラーゼを含むパン生地、及び、小麦粉を前記アミラーゼと共に含むプレミックスも提供する。最後に本発明は、前記アミラーゼを含むパン焼き用酵素添加物を提供する。
本発明のアミラーゼの使用は、例えば、抑制されたパンの中身の固化、保持されたパンの中身の弾力性、改良されたスライス能力(例えば、より少ないパン屑、粘着性でないパンの中身)、改良された嗜好性又は風味によって測定される、改良された抗劣化効果を提供する。
次の図面は本発明の態様を説明し、クレームに含まれる本発明の範囲を制限することを意味しない。
本発明は、αアミラーゼ及びαアミラーゼをコードするポリヌクレオチドに関する。本明細書で用いられる「αアミラーゼ」という用語は、例えばデンプンを糖に加水分解し得る酵素といった、αアミラーゼ活性を有する酵素を含む。多くの既知アミラーゼとは異なり、配列番号2に記載する本発明の典型的なアミラーゼはカルシウム依存性酵素でない。
αアミラーゼのCa2+依存性を減少できることは、非常に望ましい。従って本発明の一つの側面は、市販アミラーゼ又は親アミラーゼと比較して減少したCa2+依存性を有するアミラーゼ酵素を提供する。減少したCa2+依存性は一般的に、市販酵素又親酵素に必要とされるよりも低濃度のカルシウムイオンが外側の媒体に存在する状態で、変異体が充分なデンプン分解を示すという機能的帰結に至るであろう。さらに、カルシウム錯化剤(ある種の洗浄性研磨剤のような)を含む媒体中で達成されるようなカルシウムイオン枯渇条件に対して、変異体は感受性が低いという結果に多くの場合至るであろう。
本発明のポリヌクレオチドは、αアミラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするとして同定された。本発明の典型的なαアミラーゼ酵素は配列番号2に示され、本明細書において配列番号2とも呼ばれる。そのような本発明のアミラーゼは、トウモロコシ湿式粉砕加工、洗浄剤、パン焼き加工、飲料及び油田(燃料エタノール)において特に有用である。
本発明の変異体で達成され得る性質における変化は、例えば、基質特異性、基質結合性、基質切断パターン、熱安定性、pH/活性特性、低い(例えばpH<6、特にpH<5)pH値又は高い(例えばpH>9)pH値での増加した安定性のようなpH/安定性特性、酸化に対する安定性、Ca2+依存性、特異的活性及び他の所定の性質における変化である。一例として、前記変化は、親アミラーゼと比較して減少したCa2+依存性及び/又は変化したpH/活性特性を有する変異体をもたらし得る。
トウモロコシ湿式粉砕は、コーンオイル、グルテン・ミール、グルテン・フィード及びデンプンを製造する加工である。配列番号2を含む本発明のアミラーゼはデンプンの液化に用いられ、グルコアミラーゼはグルコースを製造する糖化に用いられる。本発明のアミラーゼの性質は、従来のバチルスアミラーゼ液化シロップよりも高いデキストロースレベルに転換可能な液化シロップの製造を可能にする点でユニークである。図6a〜6b及び実施例で示され得るように、バチルス・リケニホルミス及びバチルス・ステアロサーモフィルスに由来する市販アミラーゼによって製造された液化デンプンの分子量特性は、質量のおよそ60%に相当する1000〜2000 MWの第一ピーク、30,000〜40,000 MWの第二ピークを有する二峰性分布を示す。加えて、100,000 MWより大きいところにかなりの画分が存在する。本発明のアミラーゼは、質量の10%未満が25,000 MWより大きい、1000〜2000 MWに集中した均質なMW分布を示す。高いMWのオリゴサッカライドは、糖化の間に完全にはグルコースに転換されない。結果的として、市販アミラーゼ生成物は、配列番号2及びその機能的等価物に代表されるような本発明のアミラーゼ酵素によって行われた液化加工から得られる糖化シロップよりも少ないデキストロースを含むであろう。
糖化で実証される利益に加えて、液化シロップは炭素処理され、噴霧乾燥されて、食品添加物、増粘剤、低カロリー充填剤、フィルム形成剤等として利用され得る。均質な分子量特性のマルトデキストリンは、従来のバチルス酵素によって製造された二峰性分布のマルトデキストリンと対比して優位な性能を有するであろうことが予想される(しかし未だ証明されていない)。
「液化」又は「液化する」は、デンプンをより短鎖で粘性が低いデキストリンに転換することを行う加工を意味する。一般的に、この加工はデンプンのゼラチン化を含み、同時に又はそれに続いてαアミラーゼの添加が行われる。商業的加工では、顆粒状デンプンはトウモロコシ、コムギ、マイロ、ソルガム、ライムギ又はブルガー(bulgher)を含む原料に由来するのが好ましい。しかしながら本発明は、例えば、液化に適切なデンプンを生産することが知られる他の穀物又は植物性原料といった、液化に有用である穀物デンプン原料に対して適用する。
「顆粒状デンプン」又は「デンプン顆粒」は、穀物湿式粉砕加工の典型である浸漬工程、機械的クラッキング工程、分離工程、ふるい分け工程、向流リンス工程及び遠心分離工程を通じて外皮、繊維、タンパク質、脂肪、胚及び可溶物を除去した後に残る、食用穀物の水不溶性成分を意味する。顆粒状デンプンは、詰込まれたデンプン分子(すなわち、アミロペクチン及びアミロース)をほぼ排他的に含む原型を保ったままのデンプン顆粒を含む。トウモロコシでは、顆粒状デンプン成分は約99%のデンプンを含み、残りの1%は顆粒と固く結合したタンパク質、脂肪、灰分、繊維及び微量成分で構成される。顆粒状デンプンの詰込み構造は、αアミラーゼのデンプン加水分解能力を大幅に妨害する。デンプンのゼラチン化は、顆粒を破壊して可溶性デンプン溶液を形成すること、及び、酵素加水分解を促進することに利用される。
液化の温度範囲は、一般的にデンプンの液化に有効であることが知られる全ての液化温度である。デンプンの温度は約80℃〜約115℃の間が好ましく、より好ましくは約100℃〜約110℃、最も好ましくは約105℃〜約108℃である。
一つの態様において、本発明のシグナル配列は、新規アミラーゼポリペプチドの同定に続いて同定される。タンパク質が選別され適切な細胞内位置に輸送される経路は、多くの場合、タンパク質ターゲティング経路と呼ばれる。このターゲティング系の全てにおいて最も重要な要素の一つは、新しく合成されたポリペプチドのアミノ末端のシグナル配列と呼ばれる短いアミノ酸配列である。このシグナル配列は、タンパク質を細胞内の適切な位置に導き、輸送の間又はタンパク質が最終目的地に達したときに取り除かれる。リソソームタンパク質、膜タンパク質又は分泌タンパク質の大部分は、小胞体内腔への移行のために前記タンパク質を標識するアミノ末端シグナル配列を有する。そのようなグループのタンパク質に対する100以上のシグナル配列が決定された。その配列の長さは、13から36アミノ酸残基まで変動する。種々のシグナル配列認識方法が、当業者に知られている。一つの態様では、そのようなペプチドは、シグナルPと呼ばれる方法によって同定される。シグナルPは、シグナルペプチドとその切断部位との両方を認識する複合ニューラル・ネットワークを用いる(Nielsen, H., Engelbrecht, J., Brunalk, S., von Heijne, G., ”Identification of prokaryotic and eukaryotic signal peptides and prediction of their cleavage sites.” Protein Engineering, vol.10, no.1, p.1-6(1997)、参照により、この文献は本明細書に含まれるものとする)。本発明のアミラーゼの幾つかはシグナル配列を持たないことがあり得ることが、理解されるべきである。異なるアミラーゼの核酸配列に機能可能に連結された一つのアミラーゼ由来のシグナル配列をコードする核酸配列を含むことが望ましく、場合により、非アミラーゼタンパク質由来のシグナル配列が望ましいこともある。
特定のポリペプチド若しくはタンパク質の「コード配列」又は特定のポリペプチド若しくはタンパク質を「コードするヌクレオチド配列」は、適切な制御配列の制御下に置かれた場合に転写されてポリペプチド又はタンパク質に翻訳される核酸配列である。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖を生成することに関与するDNAセグメントを意味し、コード領域に先行する領域及びコード領域に続く領域(先端部及び終端部)を含み、適用可能な場合には、個々のコードセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)も含む。
本明細書で用いられる「アミノ酸」又は「アミノ酸配列」は、天然に存在する分子若しくは合成分子のオリゴペプチド配列、ペプチド配列、ポリペプチド配列若しくはタンパク質配列、又は、それらの断片、一部分若しくはサブユニットを言う。
本明細書で用いられる「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合又は改変ペプチド結合によって互いに連結するアミノ酸、すなわちペプチドイソスターを言い、遺伝子がコードする20アミノ酸の他に改変アミノ酸を含み得る。ポリペプチドは、翻訳後プロセッシングのような天然処理、又は、本技術分野でよく知られる化学改変技術のいずれかによって改変され得る。改変は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、アミノ末端及びカルボキシ末端を含む、ポリペプチド上どの位置にも起り得る。同じ種類の改変は、所定のポリペプチド上の種々の部位に同じ又は異なる程度で存在し得ることが理解されるであろう。また所定のポリペプチドは、多くの種類の改変を有し得る。改変は、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合性付着、ヘム分子の共有結合性付着、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合性付着、脂質又は脂質誘導体の共有結合性付着、フォスファチジルイノシトールの共有接合性付着、架橋環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペリグレーション(pergylation)、タンパク質分解性プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、及び、アルギニル化のようなタンパク質へのトランスファーRNA媒介性アミノ酸付加を含む(Creighton, T.E., Proteins-Structure and Molecular Properties 2nd Ed., W.H.Freeman and Company, New York(1993);Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B.C.Johnson, Ed.,Academic Press, New York, pp.1-12(1983)を参照)。
本明細書で用いられる「精製された」という用語は、絶対的な純度を要求せず、むしろ相対的定義として意図されている。ライブラリーから得られる個々の核酸は、通常電気泳動的に均質に精製されている。それらのクローンから得られる配列は、ライブラリー又は全ヒトDNAのいずれからも直接的に得ることはできない。本発明の精製された核酸は、生物中に存在するゲノムDNAの残物から、少なくとも104〜106倍まで精製されている。しかしながら、「精製された」という用語は、ライブラリー又は他の環境に存在するゲノムDNAの残物又はその他の配列から、少なくとも1オーダー分、典型的には2又は3オーダー分、より典型的には4又は5オーダー分精製された核酸も含む。
本明細書で用いられる「組換え」という用語は、ある核酸が自然環境では隣接しない「骨格」核酸に隣接することを意味する。加えて、核酸が「濃縮」されるとは、核酸骨格分子集団の核酸挿入物の数の5%以上を代表するであろう。本発明の骨格分子は、発現ベクター、自己複製核酸、ウイルス、組込み核酸及びその他のベクター又は核酸のような、当該核酸挿入を維持すること又は操作することに用いられる核酸を含む。典型的には、濃縮された核酸は、組換え骨格分子集団中の核酸挿入物の数の15%以上を代表する。より典型的には、濃縮された核酸は、組換え骨格分子集団中の核酸挿入物の数の50%以上を代表する。一つの態様では、濃縮された核酸は、組換え骨格分子集団中の核酸挿入物の数の90%以上を代表する。
「組換え」ポリペプチド又はタンパク質は、組換えDNA技術によって生産されたポリペプチド又はタンパク質、すなわち、所望のポリペプチド又はタンパク質をコードする外因性DNA構築物によってトランスフォームされた細胞から生産されたポリペプチド又はタンパク質を言う。「合成」ポリペプチド又はタンパク質は、化学合成によって調製されたポリペプチド又はタンパク質である。固相化学的ペプチド合成法は、本発明のポリペプチド又は断片を合成することに用いることもできる。そのような方法は、1960年代初めから本技術分野において知られており(Merrifield,R.B., J.Am.Chem.Soc.,85:2149-2154,1963(Stewart,J.M. and Young,J.D., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chemical Co., Rockford, III.,pp.11-12も参照))、最近は商業的に入手可能な実験用ペプチドデザイン及び合成キット(Cambridge Research Biochemicals)が用いられている。このような商業的に入手可能な実験用キットは、一般的にH.M.Geysenらの教示(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA, 81:3998(1984))を利用しており、全てが単一プレートに接続された多数の「ロッド」又は「ピン」の先端上にポリペプチドを合成するのに役立つ。そのような系を利用する場合、ロッド又はピンのプレートは逆さにされ、対応するウェル又はリザーバーの2枚目のプレートに挿入される。前記ウェル又はリザーバーは、適切なアミノ酸をピン又はロッドの先端に付着する又は固定するための溶液を含む。そのような処理工程を反復することによって、すなわちピン及びロッドの先端を逆さにして適切な溶液に挿入することによって、アミノ酸が所望のペプチドに組立てられる。加えて、入手可能なFMOCペプチド合成系の幾つかが、利用可能である。例えば、ポリペプチド又は断片の組立ては、Applied Biosystems Inc.のモデル431A自動ペプチド合成装置を用いて固定支持体上で行うことができる。このような装置は本発明のペプチドに対して手早い入手手段を提供するが、その他既知の技術を用いて直接的合成又は一連の断片合成のいずれかによっても連結することができる。
「プラスミド」は、先行する小文字の”p”及び/又はそれに続く大文字及び/又は数字によって示される。本明細書における出発プラスミドは、商業的に入手可能であって基本的に制限無しで公然と利用可能であるか、又は利用可能なプラスミドから公知手順に従って構築可能である。加えて、本明細書に記述されるプラスミドに同等なプラスミドは本技術分野において知られており、このことは当業者にとって明らかであろう。
DNAの「消化」は、DNA上のある配列のみで作用する制限酵素を用いる、DNAの触媒的切断を言う。本明細書で用いられる種々の制限酵素は商業的に入手可能であり、用いられた反応条件、コファクター及びその他必要条件は当業者に知られているであろう。解析目的のためには、典型的には約20 μlの緩衝溶液中で1 μgのプラスミド又はDNA断片が約2ユニットの酵素と共に用いられる。プラスミド構築のためのDNA断片を単離する目的のためには、典型的には、より大容量中で20〜250ユニットの酵素を用いて5〜50 μgのDNAを消化する。特定の制限酵素に対する適切な緩衝液量及び基質量は、製造者によって明記されている。通常は37℃で約1時間のインキュベーション時間を用いるが、これは供給者の指示に従って変動し得る。消化の後、ゲル電気泳動を行って所望の断片を単離し得る。
「オリゴヌクレオチド」は、化学的に合成され得る一重鎖ポリデオキシヌクレオチド又は相補的ポリデオキシヌクレオチド二重鎖を言う。そのような合成オリゴヌクレオチドは5'リン酸を有さず、従って、キナーゼ存在下でリン酸をATPと共に添加すること無しに別のオリゴヌクレオチドに連結し得ない。合成オリゴヌクレオチドは、脱リン酸化が行われていない断片に対して連結し得る。
二つの核酸又はポリペプチドに関する「実質的に同一な」という語句は、既知の配列比較アルゴリズムの一つを使用して又は目視検査によって測定される最大一致に対して比較して整列化した場合、少なくとも50%、60%、70%、80%、幾つかの側面では90〜95%のヌクレオチド同一性又はアミノ酸残基同一性を有する二つ以上の配列を言う。典型的には、少なくとも約100残基の領域にわたって実質的な同一性が存在し、最も一般的には、配列が少なくとも約150〜200残基にわたって実質的に同一である。幾つかの態様では、そのような配列はコード領域全長にわたって実質的に同一である。
加えて「実質的に同一な」アミノ酸配列は、一つ以上の保存的又は非保存的なアミノ酸置換、欠失又は挿入によって参照配列と異なる配列であって、特に前記置換が分子の活性部位でない部位に起る場合であり、但し前記ポリペプチドは機能的特性を本質的に保持することを条件とする。保存的アミノ酸置換は、例えば、一つのアミノ酸を同じ分類の別のアミノ酸に対して置換する(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンのような疎水性アミノ酸の一つの別の疎水性アミノ酸に対する置換、又は、アルギニンのリシンに対する置換、グルタミン酸のアスパラギン酸に対する置換又はグルタミンのアスパラギンに対する置換のような、一つの極性アミノ酸の別の極性アミノ酸に対する置換)。一つ以上のアミノ酸を、例えばαアミラーゼポリペプチドから欠失させて、その生物学的活性を有意に変えること無しにポリペプチドの構造の改変を得ることもできる。例えば、αアミラーゼの生物学的活性に対して必要とされないアミノ末端又はカルボキシ末端のアミノ酸を除去することもできる。本発明の改変ポリペプチド配列は、幾つかの方法によってαアミラーゼの生物学的活性に対するアッセイを行うことができる。そのような方法は、改変ポリペプチド配列をαアミラーゼ基質と接触させること、及び、改変ポリペプチドがアッセイにおける特異的基質量を減少させるか又は機能的αアミラーゼポリペプチドと基質との酵素反応のバイオプロダクトを増加させるかを決定することを含む。
「ハイブリダイゼーション」は、核酸鎖が塩基の対合を通じて相補鎖と結合する過程を言う。ハイブリダイゼーション反応は感度が高く選択的であって、当該特定配列がサンプル中に低濃度で存在しても同定することができる。適切なストリンジェンシー条件は、例えば、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション溶液中の塩又はホルムアミドの濃度、又は、ハイブリダイゼーション温度によって決定することができ、本技術分野においてよく知られている。特に、塩濃度の減少、ホルムアミド濃度の増加、又は、ハイブリダイゼーション温度の上昇によって、ストリンジェンシーが高められ得る。
例えば、高ストリンジェンシー条件下でのハイブリダイゼーションは、約50%ホルムアミド、約37℃〜42℃にて起り得る。ハイブリダイゼーションは、約35%〜25%ホルムアミド、約30℃〜35℃の低下したストリンジェンシー条件下で起り得る。特に、ハイブリダイゼーションは、50%ホルムアミド、5×SSPE、0.3% SDS及び200 n/mlの剪断し変性させたサケ***DNA、42℃の高ストリンジェンシー条件下で起り得る。ハイブリダイゼーションは上述のような低下したストリンジェンシー条件下、但し35%ホルムアルデヒド、35℃より低い温度にて起り得る。特定レベルのストリンジェンシーに対応する温度範囲は、当該核酸のプリンのピリミジンに対する比を計算し、それに応じて温度を調整することによって、さらに狭めることができる。前記範囲及び条件に関する変動は、本技術分野においてよく知られている。
「変異体」という用語は、一つ以上の塩基対、コドン、イントロン、エクソン又はアミノ酸残基において(個々に)改変されたが本発明のαアミラーゼの生物学的活性を未だ保持する、本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドを言う。変異体は、例えば変異性PCR、シャッフリング、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発、アセンブリーPCR、有性PCR変異誘発、in vivo変異誘発、カセット変異誘発、帰納的アンサンブル変異誘発、指数的アンサンブル変異誘発、部位特異的変異誘発、遺伝子リアセンブリー、GSSM及びそれらの組合せのような方法を含む、幾つかの手段によって生成され得る。例えば、野生型アミラーゼと異なるpH又は温度にて活性を有する変異体アミラーゼを生成するための技術は、本明細書に含まれる。
酵素は広い範囲の天然及び天然でない基質に対して反応性であり、従って事実上有機リード化合物の改変を可能にする。さらに、従来の化学触媒とは違って、酵素は高い鏡像選択性及び高い位置選択性である。酵素によって示される高度な官能基特異性は、新しい活性化合物への合成経路における各反応の経過を把握することを可能にする。酵素は、本来は生理機能に関係しない多くの多様な反応も触媒し得る。例えばペルオキシダーゼは、過酸化水素によるフェノールの酸化を触媒する。ペルオキシダーゼは、酵素本来の機能に関係しないヒドロキシル化反応を触媒することもできる。他の例は、ポリペプチドの分解を触媒するプロテアーゼである。幾つかのプロテアーゼは有機溶媒中で、それら酵素本来の機能に関係しない機能である糖のアシル化を行うこともできる。
一つの側面では、本発明は、デンプンを本発明のポリペプチド(例えば、配列番号2;少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検定によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;配列番号2に対する相補性配列;及び、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列番号比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検定によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び、配列番号2からなる群より選択される配列を有するポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドから選択される精製されたポリペプチド)と接触させることを含む、デンプン含有組成物を液化するための方法を含む。一つの好ましい態様では、ポリペプチドは配列番号2に示される。デンプンは、コメ、発芽米、トウモロコシ、オオムギ、コムギ、マメ科植物及びサツマイモより選択される原料由来であり得る。本発明の方法によって製造されたグルコースシロップは、本明細書に含まれ、実施例中に記述される。そのようなシロップは、マルトースシロップ、グルコースシロップ又はそれらの組合せであってもよい。特に本発明のアミラーゼを用いて製造したシロップには、市販の酵素によって製造したシロップと比較して、高レベルのDP2画分、高レベルのDP3断片(マルトトリオース及び/又はパノース)及びかなり少ないDP7断片が存在する(実施例5を参照)。本発明の液化シロップ中に大きな断片がより少ないので(実施例5を参照)、このことは、その液化特性と一致する。
本発明は、ベーカリー製品に対して焼く前に本発明のポリペプチドを添加することを含む、ベーカリー製品の劣化を減らす方法も提供する。
本発明は、繊維の性質を改良するのに有効な量の本発明のポリペプチドを用いて繊維を処理することを含む、リグノセルロース繊維を処理するための方法も提供する。本発明は、繊維表面の効率的な脱インキに有効な量のポリペプチドを用いる、再生紙パルプの酵素的脱インキのための方法を含む。
本明細書に記述する方法のいずれも、2番目のαアミラーゼ、βアミラーゼ又はそれら組合せを添加することの可能性を含む。本発明の酵素と共に組合せて使用するのに適切な市販アミラーゼ又は他の酵素は、当業者に知られている。
本発明は、産出作業の間に形成され、完成した掘削穴を囲む地下構造物内において見出される、粘着性でデンプンを含む有害な流体を除去することによって地下構造物からの産出流体の流量を増加する方法であって、1)産出流体が掘削穴から流出することを可能にすること;2)構造物からの産出流体の流量を期待流速より減少すること;3)液体と本発明のポリペプチドとを一緒に混合することによって酵素処理剤を調剤すること;4)掘削穴内の所望する位置に酵素処理剤をポンプで注ぎ入れること;5)粘着性でデンプンを含む有害な流体を酵素処理剤で分解することにより、その流体を地下構造物から掘削穴表層に除去すること;を含む。このとき酵素処理剤は、デンプンを含む流体中のαグルコシド結合に効果的に作用する。
本発明は、酵素のユニークな触媒特性を利用している。化学変換における生体触媒の使用(すなわち、精製酵素又は未精製酵素、非生細胞又は生細胞)は、通常は特異的出発化合物と反応する特定の生体触媒の同定を必要とするが、本発明は、多くの出発化合物に存在する官能基に特異的な選択された生体触媒及び反応条件を用いる。
各生体触媒は、一つの官能基又は幾つかの関連官能基類に特異的であり、その官能基を含む多くの出発化合物と反応し得る。
生体触媒反応は、単一出発化合物から誘導体の集団を生成する。これらの誘導体は、さらなる生体触媒反応を行われて、誘導体化合物の第二集団を生成し得る。元の化合物の何千もの変形が、生体触媒誘導体化の各繰り返しごとに生成され得る。
酵素は、出発化合物分子の残りには作用せずに出発化合物の特異的部位に反応する。この過程を従来の化学的方法を用いて達成することは非常に困難である。この高度な生体触媒特異性は、ライブラリー中の単一の活性化合物を同定する手段を提供する。ライブラリーは、そのライブラリー生成に用いられた一連の生体触媒反応、いわゆる「生合成履歴(history)」によって特徴付けられる。生物学的活性に対してライブラリーをスクリーニングすること及び生合成履歴を追跡することによって、活性化合物を生成する特異的反応系列が同定される。その反応系列が反復されて、合成化合物の構造が決定される。この同定方式は、他の合成及びスクリーニングのアプローチと異なって固定化技術を必要とせず、事実上全種類のスクリーニングアッセイを用いて、化合物を溶液中遊離した状態で合成及び試験し得る。言及すべき重要事項は、官能基に関する高度な酵素反応特異性が、生体触媒的に生成されたライブラリーを作製する特異的酵素反応の「追跡」を可能にするということである。
1日あたり何千もの生体触媒反応及びスクリーニングアッセイの実施を可能にし、高レベルの精度及び再現性を保証するロボット自動制御を用いて、手順工程の大部分が行われる。結果として誘導体化合物ライブラリーを数週間のうちに生成することができ、これは従来の化学的方法を用いると何年間もかかるであろう(小分子を含む分子の改変に関するさらなる教示のために、PCT/US94/09174を参照する。これは、参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。)。
合成的遺伝子リアセンブリー法は、シャッフルされるポリヌクレオチド間における高レベルな相同性の存在に依存しない。本発明は、10100を越える異なるキメラを含む子孫分子のライブラリー(又はセット)を非確率的に作製することに使用され得る。おそらくは、合成的遺伝子リアセンブリーは、101000を越える異なった子孫キメラで構成されているライブラリーを作製することにも使用され得る。
従って一つの側面では、本発明は、計画的に選択された全体アセンブリー順序を有する最終的なキメラ核酸分子のセットを生成する非確率的方法を提供する。この方法は、便利な相互適合性の連結末端を有する複数の特異的核酸ビルディングブロックを計画的に作製する工程、及び、その核酸ビルディングブロックを設計した全体アセンブリー順序が達成されるように集合させる工程を含む。
集合させる核酸ビルディングブロックの相互適合性の連結末端は、ビルディングブロックが規定の順序に連結することを可能にする場合に、この種類の順序付けられたアセンブリーに対して“便利”であると考えられる。従って一つの側面では、核酸ビルディングブロックが連結され得る全体アセンブリー順序は、連結末端の設計によって特定される。一つ以上のアセンブリー工程が用いられる場合、核酸ビルディングブロックが連結され得る全体アセンブリー順序は、アセンブリー工程の逐次順序によっても特定される。本発明の一つの態様では、アニールしたビルディング片をリガーゼ(例えば、T4 DNAリガーゼ)のような酵素と共に処理して、ビルディング片の共有結合が達成される。
別の態様では、最終的キメラ核酸分子の子孫セットを生成する塩基としての役割を果たす前駆核酸テンプレートのセットの配列を解析することによって、核酸ビルディングブロックの設計が得られる。従って、そのような前駆核酸テンプレートは、変異誘発される、すなわちキメラ化又はシャッフルされる核酸ビルディングブロックの設計に役立つ、配列情報源としての役割を果たす。
一つの態様では、本発明は関連遺伝子ファミリー及びそれがコードする関連生成物ファミリーのキメラ化を提供する。ある特定の例示では、前記コードされる生成物が酵素である。本発明のαアミラーゼは、本明細書に記述する方法に従って変異誘発され得る。
従って本発明の一側面によると、複数の前駆核酸テンプレートの配列(例えば、配列番号1の核酸配列のポリヌクレオチド)は、相同領域に位置し得る一つ以上の境界点を選択するために整列化される。その境界点は、作製される核酸ビルディングブロックの境界を線引きすることに用いられ得る。従って、前駆分子において同定され選択された境界点は、子孫分子のアセンブリーにおいて潜在的キメラ化地点として役割を果たす。
典型的には便利な境界点が少なくとも二つの前駆テンプレートによって共有される相同性領域(少なくとも一つの相同性ヌクレオチド塩基で構成される)に存在するが、境界点は前駆テンプレートの少なくとも半分、前駆テンプレートの少なくとも3分の2、前駆テンプレートの少なくとも4分の3、好ましくは前駆テンプレートのほぼ全部によって共有される相同領域に存在し得る。なおさら好ましくは、便利な境界点が前駆テンプレート全部によって共有される相同領域に存在する。
別の態様では、この方法は、例えば体系的に区分されたライブラリーを作製するために、体系的に行われる遺伝子リアセンブリー過程を提供する。この区分は、例えば一つ一つ体系的にスクリーニングすることができる。言い換えると本発明は、連続的に進行するアセンブリー反応の選択的かつ賢明な使用と組合された特異的核酸ビルディングブロックの選択的かつ賢明な使用を通じて、幾つかの反応容器の各々において子孫生成物の特異的セットを作製することを達成し得る実験計画に役立つ。これは、体系的な実験及びスクリーニング手順を行うことを可能にする。従ってこの方法は、非常に多数の潜在的子孫分子をより小さいグループで体系的に試験することを可能にする。
特に前駆分子間に低レベルの相同性が存在する場合、高度に柔軟であるがその上網羅的かつ体系的な様式でキメラ化を行う能力によって、本発明は、多数の前駆分子で構成されるライブラリー(又はセット)の作製に役立つ。本発明の遺伝子リアセンブリーの非確率的な性質により、作製された子孫分子は、好ましくは計画的に選択された全体アセンブリー順序を有する最終的キメラ核酸分子ライブラリーを含む。ある特定の態様では、そのような作製されたライブラリーは、103〜101000より多くの異なる子孫分子種で構成される。
一つの側面では、上述のように生成した最終的キメラ核酸分子集合は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで構成される。一つの態様によると、このポリヌクレオチドは遺伝子であり、その遺伝子は人工遺伝子であってもよい。別の態様によると、このポリヌクレオチドは遺伝子経路であり、その遺伝子経路は人工遺伝子経路であってもよい。本発明は、本発明によって作製された一つ以上の人工遺伝子が、真核生物(植物を含む)において機能可能な経路のような人工遺伝子経路に取込まれてもよいことを規定する。
別の具体例では、ビルディングブロックを作製する工程の合成的性質は、後にin vitroの過程(例えば、変異誘発)又はin vivoの過程(例えば、宿主生物の遺伝子スプライシング能力を利用することによって)において任意で除去され得るヌクレオチドの設計及び導入(例えば一つ以上のヌクレオチドが、例えばコドン又はイントロン又は制御配列であり得る)を可能にする。多くの場合これらヌクレオチドの導入は便利な境界点を作る潜在的利益に加えて、その他多くの理由のためにも望まれ得ることが理解される。
従って別の態様によると、本発明は、イントロンに導入することに用いられ得る核酸ビルディングブロックを提供する。従って本発明は、本発明の人工遺伝子に導入し得る機能的イントロンを提供する。本発明は、機能的イントロンを本発明の人工遺伝子経路に導入し得ることにも役立つ。従って本発明は、一つ(又はそれ以上)の人工的に導入されたイントロンを含む人工遺伝子であるキメラポリヌクレオチドの作製を提供する。
従って本発明は、一つ(又はそれ以上)の人工的に導入されたイントロンを含む人工遺伝子経路であるキメラポリヌクレオチドの生成も提供する。好ましくは、天然に存在するイントロンが遺伝子スプライシングにおいて機能的に作用する様式で、人工的に導入されたイントロンが一つ以上の宿主細胞において遺伝子スプライシングに対して非常に機能し得る。本発明は、組換え及び/又はスプライシングのために宿主生物に導入される人工のイントロン含有ポリヌクレオチドを生成する方法を提供する。
本発明の合成的遺伝子リアセンブリー法は、各々が好ましくは二つの連結可能な末端を有する複数の核酸ビルディングブロックを利用する。各核酸ビルディングブロック上の二つの連結可能な末端は、二つの平滑末端(すなわち、各々が0ヌクレオチドの突出を有する)、好ましくは一つの平滑末端と一つの突出、より好ましくは二つとも突出であり得る。
この目的に有用な突出は、3'突出又は5'突出であり得る。従って、核酸ビルディングブロックは、1つの3'突出、又はその代わりに1つの5'突出、又はその代わりに2つの3'突出、又はその代わりに2つの5'突出を有し得る。最終的キメラ核酸分子を形成するために集合させる核酸ビルディングブロックの全体順序は、意図的な実験計画によって決定され、ランダムではない。
一つの好ましい態様によると、核酸ビルディングブロックは、2つの一重鎖核酸(一重鎖オリゴとも呼ぶ)の化学的合成、及び、二重鎖核酸ビルディングブロックを形成するためにアニールできるように前記一重鎖核酸を接触させることによって作製される。
二重鎖核酸ビルディングブロックは、可変なサイズをとり得る。それらビルディングブロックのサイズは、小さくても又は大きくてもよい。ビルディングブロックに好ましいサイズは、1塩基対(突出を含まない)〜100,000塩基対(突出を含まない)にわたる。1 bp〜10,000 bp(あいだの全整数値を含む)の下限及び2 bp〜100,000 bp(あいだの全整数値を含む)の上限を有する、他の好ましいサイズ範囲も提供される。
本発明に便利な、二重鎖核酸ビルディングブロックを作製し得る多くの方法が存在する。それらの方法は本技術分野において知られており、当業者によって容易に行うことができる。
一つの態様によると、最初に2つの一重鎖核酸を作製し、それらをアニールさせて二重鎖核酸ビルディングブロックを形成することによって、二重鎖核酸ビルディングブロックを作製する。二重鎖核酸ビルディングブロックの2つの鎖は、突出を形成する幾つかを除く全てのヌクレオチドが相補性であり得る;従って、幾つかの突出を除き、ミスマッチを含まない。別の態様によると、二重鎖核酸ビルディングブロックの2つの鎖は、突出を形成するいくつかを除く全てより少ないヌクレオチドが相補性である。従ってその態様によると、二重鎖核酸ビルディングブロックは、コドンの縮重を導入することに用いられ得る。好ましくはコドンの縮重が、本明細書に記述する部位飽和変異誘発、一つ以上のN,N,G/Tカセット又は一つ以上のN,N,Nカセットを用いて導入される。
本発明のin vivo組換え法は、特定のポリヌクレオチド又は特定の配列の未知なハイブリッド遺伝子又は対立遺伝子のプールにおいて、盲目的に行われ得る。しかしながら、特定のポリヌクレオチドの実際のDNA配列又はRNA配列を知る必要はない。
一つの側面では、本明細書に記述する本発明は、DNA、RNA又はタンパク質の徹底的な組換えのような、高度な複合直線配列の定方向分子進化を可能にする、減数性再組合せ、組換え及び選択の反復サイクルの使用に関する。
分子のin vivoシャッフリングは、変異体を提供することに役立ち、多量体を再結合する細胞本来の性質を利用して行われ得る。In vivoの組換えが分子多様性に主要な本来的経路を提供する一方、遺伝子組換えは1)相同性の認識;2)組換えキアズマの生成を導く、ストランドの切断、ストランドの侵入及び代謝の工程;及び最後の3)別個の組換え分子へのキアズマの分離;を含む相対的に複雑な過程を残す。キアズマの形成は、相同配列の認識を必要とする。
別の態様では、本発明は、少なくとも第一ポリヌクレオチド及び第二ポリヌクレオチドからのハイブリッドポリヌクレオチドを生成するための方法を含む。本発明は、少なくとも1つの部分的配列相同性領域を共有する少なくとも第一ポリヌクレオチド及び第2ヌクレオチドを適切な宿主細胞に導入することによってハイブリッドポリヌクレオチドを生成することに用いられ得る。部分的配列相同性領域は、ハイブリッドポリヌクレオチドを生成する配列再編成を生ずる過程を促進する。本明細書で用いられる「ハイブリッドポリヌクレオチド」という用語は、本発明の方法から得られ少なくとも2つの元のポリヌクレオチド配列に由来する配列を含む、複数のヌクレオチド配列である。そのようなハイブリッドポリヌクレオチドは、DNA分子間への配列組込みを促進する分子内組換え現象から得られ得る。加えて、そのようなハイブリッドポリヌクレオチドは、DNA分子に含まれるヌクレオチド配列を変えることに反復配列を利用する、分子内減数性再組合せ過程によって得られ得る。
本発明のポリヌクレオチドによってコードされる酵素はαアミラーゼのような加水分解酵素を含むが、これだけに限られない。本発明の方法によって得られるハイブリッドポリペプチドは、元の酵素では示されない特殊化された酵素活性を示し得る。例えば、加水分解酵素活性をコードするポリヌクレオチドの組換え及び/又は減数性再組合せに続いて、ハイブリッドポリヌクレオチドによってコードされる得られたハイブリッドポリペプチドは、元の酵素の各々から得た特殊化された加水分解酵素活性、すなわち加水分解酵素が作用する結合の種類及び加水分解酵素が機能する温度、に対してスクリーニングが行われ得る。従って、例えば加水分解酵素は、(a)アミド(ペプチド結合)、すなわちプロテアーゼ;(b)エステル結合、すなわちアミラーゼ及びリパーゼ;(c)アセタール、すなわちグリコシダーゼ;及び、例えばハイブリッドポリペプチドが機能する温度、pH又は塩濃度のような、元の加水分解酵素とハイブリッド加水分解酵素とを区別する化学的機能性を確かめるスクリーニングが行われ得る。
「環境ライブラリー」は、環境標本から生成され、適切な原核生物宿主内で増殖し得るクローニングベクター中に保存された、天然に存在する生物のゲノム集団を示す。クローン化DNAは初期に環境標本から直接的に抽出されることから、ライブラリーは、純培養で増殖し得る原核生物の小画分に制限されない。加えて、それらの標本中に存在する環境DNAの標準化は、元の標本に存在する種全部に由来するDNAのより等価な提示を可能にし得る。これにより、優占種と比較して数オーダー分低く提示されているかもしれない標本の微量構成要素から興味ある遺伝子を見出す効率が劇的に増加し得る。
例えば、1つ以上の非培養微生物から生成した遺伝子ライブラリーは、当該活性に対してスクリーニングされる。当該生物活性分子をコードする潜在的経路は、最初に遺伝子発現ライブラリーの形態をとる原核生物細胞内で捕獲される。当該活性をコードするポリヌクレオチドは、前記ライブラリーから単離されて宿主細胞に導入される。その宿主細胞は、新規活性又は増強された活性を有する潜在的に活性な生体分子を作り出す組換え及び/又は減数性再組合せを促進する条件下で、増殖させられる。
ポリヌクレオチドが調製され得る微生物は、真正細菌及び古細菌のような原核微生物、及び、真菌類、幾つかの藻類及び原生動物のような下等真核微生物を含む。ポリヌクレオチドは、環境標本から単離され得る。その場合核酸は、生物を培養せずに回収され得るか、又は一つ以上の培養した生物から回収され得る。一つの側面では、そのような微生物が、超好熱菌、好冷菌、低温菌、好塩菌、好圧菌及び好酸性菌のような、極端な条件を好む生物(extremophil)であり得る。極端な条件を好む微生物から単離された酵素をコードするポリヌクレオチドが、特に好ましい。そのような酵素は、100℃を越える温度である陸上の温泉及び深海の熱い噴火口、0℃を下回る温度の北極海域、死海の飽和した塩環境、pH値が0付近の石炭鉱床及び硫黄に富む地熱泉、又は、pH値が11より高い下水汚泥において、機能し得る。例えば、極端な条件を好む生物由来であるクローン化され発現された種々のアミラーゼ及びリパーゼは、広い範囲の温度及びpHの全体にわたって高い活性を示す。
上述のように選択され単離されたポリヌクレオチドは、適切な宿主細胞に導入される。適切な宿主細胞は、組換え及び/又は減数性再組合せを促進し得る細胞である。選択されたポリヌクレオチドは、適切な制御配列を含むベクター中にすでに存在するのが好ましい。そのような宿主細胞は、哺乳動物細胞のような高等真核生物細胞又は酵母細胞のような下等真核生物細胞であってもよく、好ましくは細菌細胞のような原核生物細胞であり得る。構築物の宿主細胞への導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション又はエレクトロポーレーション(Davis et al., 1986)によって行われ得る。
組換えタンパク質を発現することに使用し得る種々の哺乳動物細胞培養系に特に関連して、哺乳動物発現系の例は、サル腎臓繊維芽細胞のCOS-7株(”SV40-transformed simian cells support the replication of early SV40 mutants”(Gluzman, 1981)に記述されている)、及び例えばC127細胞株、3T3細胞株、CHO細胞株、ヒーラ細胞株及びBHK細胞株といった適合性ベクターを発現し得るその他細胞株を含む。哺乳動物発現ベクターは、複製開始点、適切なプロモーター及び適切なエンハンサーを含み、必然的にリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライス供与部位、スプライス受容部位、転写終結配列及び5'フランギング非転写配列も含むであろう。SV40のスプライス部位及びポリアデニル化部位に由来するDNA配列は、必要とする非転写遺伝子要素を提供することに用いられ得る。
当該ポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、プロモーターの活性化、形質転換体の選択又は遺伝子の増幅に対して適切に改変した従来培地で培養され得る。温度及びpH等のような培養条件は、発現のために選択した宿主細胞に前もって用いられていた条件であり、そのことは当業者にとっては明白であろう。特殊化された酵素活性を有することが同定されたクローンは、次に、増強された活性を有する酵素をコードするポリヌクレオチド配列を同定するためにシークエンシングを行われ得る。
別の側面では、本発明の方法は、1つ以上のオペロン又は遺伝子クラスター又はそれらの一部に由来する生化学経路をコードする新規ポリヌクレオチドを生成することに用いられ得ることが想定される。例えば細菌及び多数の真核生物は、その産物が関連する過程に関与する制御遺伝子に対して協調されたメカニズムを有する。遺伝子は、単一染色体上に「遺伝子クラスター」と呼ばれる構造物にクラスター形成され、クラスター全体の転写を開始する単一プロモーターを含む単一制御配列の制御下で一緒に転写される。従って、遺伝子クラスターは、その機能が通常同一又は関連的である隣接遺伝子の一群である。遺伝子クラスターによってコードされる生化学経路の例は、ポリケチドである。ポリケチドは、抗生物質(テトラサイクリン及びエリスロマイシンのような)、抗がん剤(ダウノマイシン)、免疫抑制剤(FK506及びラパマイシン)及び動物薬(モネンシン)を含む生物活性の起源に非常に富む分子である。多くのポリケチド(ポリケチド合成酵素によって生成される)は、治療薬としての価値がある。ポリケチド合成酵素は、長さ、機能性パターン及び環化パターンにおいて異なる莫大な種類の炭素鎖の生合成を触媒する、多機能的酵素である。ポリケチド合成酵素遺伝子は、遺伝子クラスターに分類される。少なくとも1種類(タイプIと命名する)のポリケチド合成酵素は、遺伝子操作及びその遺伝子/タンパク質のin vitro研究を複雑化する、大型の遺伝子及び酵素を有する。
従って、一つの態様では、本発明は、生物学的に活性なハイブリッドポリペプチドを生成し、
1)少なくとも1つの部分配列相同領域を共有する少なくとも第一ポリヌクレオチド及び第二ポリヌクレオチドを、適切な宿主細胞に機能可能な連結状態で導入すること;
2)配列再編成を促進し、機能可能に連結されたハイブリッドポリヌクレオチドが得られる条件下で、宿主細胞を増殖させること;
3)ハイブリッドポリヌクレオチドによってコードされるハイブリッドポリペプチドを発現させること;
4)増強された生物学的活性の同定を促進する条件下で、ハイブリッドポリペプチドをスクリーニングすること;及び
5)ハイブリッドポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離すること
によって、そのようなポリペプチドを増強された活性に対してスクリーニングするための方法に関する。
種々の酵素活性に対するスクリーニングのための方法は当業者に知られており、本明細書の全体にわたって議論されている。そのような方法は、本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドを単離する場合に用いられ得る。
発現ベクター中のDNA配列は、適切な発現制御配列(プロモーター)に機能可能に連結されて、RNA合成を指令する。特に有名な細菌性プロモーターは、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、λPR、PL及びtrpを含む。真核細胞性プロモーターは、前初期CMV、HSVチミジンキナーゼ、初期SV40、後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、及び、マウスメタロチオネイン-Iを含む。適切なベクター及び適切なプロモーターの選択は、当業者にとっては容易である。発現ベクターは、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、及び、転写終結部位も含む。ベクターは、発現を増幅するのに適切な配列も含み得る。プロモーター領域は、クロラムフェニコールトランスフェラーゼ(CAT)ベクター又は選択マーカーを有する他のベクターを用いて、所望の遺伝子から選択され得る。加えて、発現ベクターは、好ましくは真核細胞培養のためのデヒドロ葉酸レダクターゼ又はネオマイシン耐性、又はE.coliにおけるテトラサイクリン耐性又はアンピシリン耐性のような、形質転換された宿主細胞を選択するための表現型形質を提供する1つ以上の選択マーカー遺伝子を含む。
従って本発明の別の側面では、減数性再組合せ過程によって、新規ポリヌクレオチドが生成し得る。その方法は、連続的配列(元のコード配列)を含む構築物の作製、前記連続的配列の適切なベクターへの挿入、及び、それに続く前記ベクターの適切な宿主細胞への導入を含む。個々の分子同一性の再組合せは、構築物中で相同領域を有する連続的配列間、又は、擬似反復ユニット間の結合過程によって起る。再組合せ過程は、反復配列の複雑さ及び範囲を組換えて及び/他は減少して、新規分子種の生成が生じる。再組合せ率を増強するため、種々の処理が用いられ得る。それらは、紫外線を用いた処理、又はDNA損傷性化学物質、及び/又は増強されたレベルの「遺伝的不安定性」を示す宿主細胞株の使用を含む。従って再組合せ過程は、自己進化を指令する、相同性組換え又は擬似反復配列本来の性質を含み得る。
反復配列又は「擬似反復」配列は、遺伝的不安定性において役割を果たす。本発明では、「擬似反復」は、元々のユニット構造に限定されない反復である。擬似反復ユニットは、構築物中の配列アレイ;類似配列の連続ユニットとして存在し得る。ひとたび連結すると連続的配列間の接合部は本質的に目に見えなくなり、得られた構築物の擬似反復的性質はもはや分子レベルで連続的である。得られた構築物の複雑さを減少させるために細胞が行う欠失過程は、擬似反復配列間に作用する。擬似反復ユニットはテンプレートの事実上無限なレパートリーを提供し、そのテンプレート上で損失現象が起り得る。従って、擬似反復配列を含む構築物は、欠失(及び潜在的挿入)現象が事実上擬似反復的ユニット内全てにおいて起り得るような充分な分子弾力性を効率的に提供する。
擬似反復配列が全て同じ方向に、例えば頭部を尾部に又は尾部を頭部に連結する場合、細胞は個々のユニットを識別できない。結果として減数性過程は、配列の全体にわたって起り得る。対照的に、例えば頭部を尾部にではなく頭部を頭部に連結してユニットが存在させられる場合、その逆位は隣接ユニットの端点を線引きし、それによって欠失構造は不連続ユニット喪失に有利に働くであろう。従って、本方法に用いる配列は同じ方向にあることが好ましい。擬似反復配列のランダムな方向は再組合せ効率の喪失を生じるであろう一方、一貫した配列方向は高い効率を提供するであろう。しかしながら、近接配列の少数を同じ方向にすることは効率を減少する一方、新規分子の効率的回収に対して充分な弾力性をなお提供し得る。構築物は、同じ方向にある擬似反復配列によって高い効率を可能にするように作製することができる。
a)一重鎖で作製された場合に方向を提供する、ポリ-A頭部及びポリ-T尾部を含むプライマーを利用し得る。このプライマーは、プライマーの最初の数塩基をRNAから作製することによって得られ、そのためRNaseHによって容易に除去される;
b)ユニークな制限切断部位を含むプライマーを利用し得る。ユニークな配列の一連であるマルチクローニングサイト、反復した合成工程及びライゲーション工程を必要とし得る;
c)プライマー内部の数塩基はチオール化(thiolated)され、エキソヌクレアーゼが用いられて適切な尾を付けられた分子が生成する。
再組合せ配列の回収は、減少した反復性指数(RI)を有するクローニングベクターの同定に基づく。再組合せされたコード配列は、次に増幅によって回収され得る。生成物は、再クローン化されて発現させられる。減少したRIを有するクローニングベクターの回収は、次の工程によって行われ得る;
1)構築物が複雑さを減少した場合にのみ、安定に維持されるベクターの使用;
2)物理的手段による、短縮されたベクターの物理的回収。この場合、クローニングベクターは、標準的なプラスミド単離手段、及び、アガロースゲル又は標準的手段を利用して低分子量を除くカラムのどちらかによるサイズ分画を用いて回収され得る;
3)挿入サイズが縮小する場合に選択され得る、遮断された遺伝子を含むベクターの回収;
4)発現ベクター及び適切な選択を用いる、直接選択技術の使用。
次の例は、本発明の方法を説明する。ユニークな3つの種に由来するコード核酸配列(擬似反復配列)を記述する。各配列は、識別可能な一組の性質を有するタンパク質をコードする。配列の各々は、配列中のユニークな位置において一塩基又は数塩基が異なっている。擬似反復配列は、別々に又は集団的に増幅されてランダムなアセンブリーに連結される。それによって、連結された分子の集団において可能性のある順列及びその組合せ全部が入手可能である。擬似反復ユニットの数は、アセンブリー条件によって制御され得る。構築物中に含まれる擬似反復ユニットの平均数は、反復性指数(RI)として定義される。
形成された構築物は、公知のプロトコルに従ったアガロースゲル上でのサイズ分画を行われても又は行われなくてもよく、クローニングベクターへの挿入及び適切な宿主細胞へのトランスフェクションを行われ得る。次に前記細胞は増殖されて、「減数性再組合せ」を行われる。減数性再組合せ過程の比率は、必要に応じてDNA損傷を導入することによって刺激され得る。RIにおける減少が、「分子内」メカニズムによる反復配列間における欠失形成によって媒介されるか、又は「分子間」メカニズムを通じた組換え様の現象によって媒介されるかは、重要でない。最終的な結果は、可能性のある組合せ全部への分子の再組合せである。
前記方法は任意で、例えばタンパク質レセプター、オリゴサッカライド、ビリオン、又は他の所定の化合物若しくは構造物のような、所定の巨大分子と結合又は相互作用する能力、又は、所定の巨大分子を用いて特定の反応を触媒する能力(例えば、酵素の触媒ドメインのような)を有する個々のシャッフルされたライブラリーメンバーを同定するために、シャッフルされたプールのライブラリーメンバーをスクリーニングする追加工程を含んでもよい。
前記ライブラリーから同定されたポリペプチドは、治療、診断、研究及び関連する目的(例えば、触媒、水溶液のモル浸透圧濃度を増加する溶質等)に用いることができ、及び/又は、一つ以上のシャッフリング及び/又は選択の追加サイクルを行うことができる。
別の側面では、本発明は、ハイブリッドポリヌクレオチド又は再組合せポリヌクレオチドの生成を提供する本発明の条件下で、野生型タンパク質をコードする二重鎖テンプレートポリヌクレオチドを含むサンプルを処理することによって、生物学的活性を有する組換えタンパク質を生産する方法に関する。
本発明は、ポリヌクレオチドに点変異を導入する独自のコドンプライマー(縮重N,N,N配列を含む)の使用も提供し、それによって各アミノ酸位置に全範囲の一アミノ酸置換が表れる(遺伝子部位飽和変異誘発(GSSM))子孫ポリペプチドのセットを作製する。用いられるオリゴは連続的に、第一相同配列、縮重N,N,N配列、及び、必ずしも必要でないが好ましくは第二相同配列で構成される。N,N,N配列の縮重が全20アミノ酸に対するコドンを含むことから、そのようなオリゴの使用から得られる下流の子孫翻訳生成物はポリペプチドに沿って各アミノ酸部位に可能な全アミノ酸変化を含む。
一つの側面では、親ポリヌクレオチドテンプレート上の元のコドンの各々に全範囲のコドン置換を行うため、一つの前記縮重オリゴ(一つの縮重N,N,Nカセットで構成される)が用いられる。別の側面では、親ポリヌクレオチド上の少なくとも二つの元のコドンに全範囲のコドン置換を行うために、少なくとも二つの縮重N,N,Nカセット(同じオリゴ中でも又はそうでなくてもよい)が用いられる。従って、二つ以上のN,N,N配列が一つのオリゴに含まれて、二つ以上の部位にアミノ酸変異を導入し得る。この複数のN,N,N配列は、直接隣接し得るか、又は一つ以上の更なるヌクレオチド配列によって分離され得る。別の側面では、付加及び欠失を導入するために便利なオリゴが単独で又はN,N,N配列を含むコドンと組合せて用いられて、アミノ酸の付加、欠失、及び/又は置換の組合せ又は順列を導入し得る。
特定の例証では、連続するN,N,Nトリップレット、すなわち縮重(N,N,N)n配列を含む一つのオリゴを用いて、二つ以上の連続するアミノ酸位置を同時に変異誘発することが可能である。
しかしながら、本発明で開示される縮重トリップレット(N,N,G/T又はN,N,G/Cトリップレット配列のような)の使用は、種々の理由のために有利であることが認められる。一つの側面では、本発明は、ポリペプチド上の各アミノ酸位置及び全アミノ酸位置に可能な全範囲のアミノ酸(全20アミノ酸に対して)置換を体系的かつ非常に容易に作製する手段を提供する。従って、100アミノ酸ポリペプチドに対して、本発明は、2000の異なる種(すなわち、1つの位置あたりに可能な20アミノ酸×100アミノ酸位置)を体系的かつ非常に容易に作製する方法を提供する。縮重N,N,G/T又はN,N,G/Cトリップレット配列を含む一つのオリゴの使用を通じて、可能な20アミノ酸をコードする32の異なる配列が提供されることが認められる。従って、親ポリヌクレオチド配列が一つの前記オリゴを用いた飽和変異誘発を行われた反応容器中では、20の異なるポリペプチドをコードする32の異なる子孫ポリヌクレオチドが作製される。対照的に、部位特異的変異誘発における非縮重オリゴの使用は、反応容器あたりたった一つの子孫ポリペプチド生成物が得られる。
本発明は、開示する縮重プライマーと組合せて任意で用いてもよい、非縮重オリゴの使用も提供する。幾つかの例では、作用ポリヌクレオチド中に特異的な点変異を作製するために、非縮重オリゴを使用することが有利であることが理解される。非縮重オリゴは、特異的なサイレント点変異、対応するアミノ酸変化を生じる点変異、及び、停止コドンの作製及びポリペプチド断片の対応する発現を引き起こす点変異を作製する手段を提供する。
従って本発明の好ましい態様では、各飽和変異誘発反応容器は、全20アミノ酸が親ポリヌクレオチド中の変異誘発されるコドン位置に対応する一つの特異的アミノ酸位置に表れるような、少なくとも20の子孫ポリペプチド分子をコードするポリヌクレオチドを含む。各飽和変異誘発反応容器から作製された32倍の縮重子孫ポリヌクレオチドは、クローン化増幅(例えば、発現ベクターを用いて適切なE.coli宿主にクローン化される)及び発現スクリーニングを行われ得る。スクリーニングによって、性質における有利な変化(親ポリペプチドと比較した場合)を提示する個々の子孫ポリペプチドが同定された場合、同定されたポリペプチドは、その中に含まれる対応する有利なアミノ酸置換を同定するためにシークエンシングを行われ得る。
さらに別の側面では、部位飽和変異誘発は、スクリーニングに加えて、シャッフリング、キメラ化、組換え及び他の変異誘発方法と一緒に用いられ得る。本発明は、飽和変異誘発を含むどのような変異誘発方法の反復様式での使用も提供する。一つの態様では、どのような変異誘発方法の反復使用もスクリーニングと組合せて用いられる。
従って非制限的な例示では、本発明は、二つ以上の関連するポリヌクレオチドを適切な宿主細胞に導入して、組換え及び減数性再組合せによってハイブリッドポリヌクレオチドが作製されるような、さらなる変異誘発方法と組合せた飽和変異誘発の使用を提供する。
遺伝子の配列全体にわたって変異誘発を行うことに加えて、本発明はポリヌクレオチド配列上のどのような数の塩基の各々を交換することにも使用できる変異誘発を提供する。このとき、変異誘発される前記塩基の数は、好ましくは15〜100,000の全整数である。従って、分子に沿った全位置における変異誘発の代わりに、各数の塩基又は不連続な数の塩基(好ましくは合計15〜100,000となる、この部分集合)に変異誘発を起こさせ得る。好ましくは、ポリヌクレオチド配列に沿った各位置又は各位置群での変異誘発に対して、別々のヌクレオチドが用いられる。変異誘発される3つの位置の群は、コドンであってもよい。変異は、好ましくは変異誘発カセットともよばれる非相同的カセットを含む変異誘発プライマーを用いて導入される。好ましいカセットは、1〜500塩基を有し得る。前記非相同的カセット上の各ヌクレオチド位置は、N、A、C、G、T、A/C、A/G、A/T、C/G、C/T、G/T、C/G/T、A/G/T、A/C/T、A/C/G又はEであり、EはA、C、G又はTのいずれでもない塩基である(Eはデザイナーオリゴと呼ばれ得る)。
一般的な意味では、飽和変異誘発は、変異誘発されるように確定したポリヌクレオチド配列中に存在する(このとき変異誘発される配列は、好ましくは約15〜100,000塩基の長さである)変異誘発カセットの完全なセット(このとき各カセットは、好ましくは約1〜500塩基の長さである)を変異誘発することで構成される。従って、変異の一群(1〜100変異にわたる)が、変異誘発される各カセットに導入される。一つのカセットに導入される変異のグループ分けは、飽和変異誘発を一巡する間に第二のカセットに導入される第二の変異グループ分けと異なっていてもよく、同じでもよい。そのようなグループ分けは、特定のコドンの欠失、特定のコドンの付加、特定のコドンの分類、及び、特定のヌクレオチドカセットのグループ分けによって例示される。
変異誘発カセットに導入され得る変異のグループ分けの特に好ましい例示では、本発明は具体的に、各位置において2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20アミノ酸をコードする縮重コドン置換(縮重オリゴを用いた)、及び、それらによってコードされるポリペプチドライブラリーを提供する。
本発明の一つの側面は、配列番号1の核酸配列、それと実質的に同一な配列及びそれらに対する相補性配列のうちの一配列、又は、配列番号1の核酸配列のうちの少なくとも連続する10、15、20、25、35、40、50、75、100、150、200、300、400又は500塩基を含む断片(又はそれらに対する相補性配列)を含む、単離された核酸である。単離された核酸は、cDNA、ゲノムDNA及び合成DNAを含むDNAを含み得る。DNAは二重鎖又は一重鎖であってもよく、一重鎖の場合はコード鎖又は非コード(アンチセンス)鎖であってもよい。あるいは、単離された核酸はRNAを含み得る。
より詳細に下で議論するように、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列の一つの単離された核酸は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列の一ポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片を調製することに用いられ得る。
従って本発明の別の側面は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列の一ポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸配列の一ポリペプチドのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片をコードする、単離された核酸である。これらの核酸配列のコード配列は、配列番号1の核酸配列の一つ又はそれらの断片と同一であり得るか、又は配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列の一ポリペプチド、及び、配列番号2のアミノ酸配列のポリペプチドのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片をコードする異なるコード配列であり得る。それは、遺伝子コードの重複又は縮重の結果である。遺伝子コードは当業者によく知られており、例えばB.Lewin, Genes VI, Oxford University Press, 1997の214頁から得ることができる。この文献の開示は、参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。
配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドをコードする単離された核酸は、次のものを含み得るが、これだけに限らない;配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列のコード配列のみ、リーダー配列又はプロタンパク質配列のような付加的コード配列、及び、イントロン又はコード配列の5'及び/又は3'非コード配列のような非コード配列。従って、本明細書で用いられる「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、ポリペプチドのためのコード配列のみを含むポリヌクレオチド、及び、付加的コード配列及び/又は非コード配列を含むポリヌクレオチドを含む。
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドにおいて、アミノ酸の置換、付加、欠失、融合及び短縮を生じるヌクレオチド変化を有するポリヌクレオチドにも関する。そのようなヌクレオチド変化は、部位特異的変異誘発、ランダム化学変異誘発、エキソヌクレアーゼIII欠失及び他の組換えDNA技術を用いて、導入され得る。あるいは、そのようなヌクレオチド変化は、本明細書で提供される高、中又は低ストリンジェンシー条件下で配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同じ配列(又はそれらに対する相補性配列)のうちの少なくとも連続する10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400又は500塩基を含むプローブと特異的にハイブリダイズする核酸配列を同定することによって単離された、天然に存在する対立遺伝子変異体であり得る。
配列番号1の核酸配列、それと実質的に同一な配列及びそれらに対する相補性配列、又は、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列のうちの少なくとも連続する10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400又は500塩基を含む断片又はそれらに対する相補性配列の単離された核酸は、土壌サンプルのような生物学的サンプルが本発明の核酸配列を有する生物又は核酸配列が得られる生物を含むかどうかを決定するためのプローブとしても用いられ得る。そのような手段では、核酸が単離された生物を潜在的に含む生物学的サンプルを得て、そのサンプルから核酸を得る。プローブが上述の相補性配列と特異的にハイブリダイズすることを可能にする条件下で、前記核酸はプローブと接触させられる。
必要であれば、プローブが相補性配列と特異的にハイブリダイズすることを可能にする条件は、そのプローブを、相補性配列を含むことが知られるサンプルに由来する相補性配列、及び、相補性配列を含まないコントロール配列と接触させておくことによって決定することもできる。ハイブリダイゼーション緩衝液の塩濃度、ハイブリダイゼーション緩衝液のホルムアミド濃度又はハイブリダイゼーション温度のようなハイブリダイゼーション条件は、プローブが相補的な核酸に対して特異的にハイブリダイズすることを可能にする条件を同定するために変動させられ得る。
標識したプローブを用いてサンプル中の相補的な核酸の存在を検出する多数の方法が、当業者にはよく知られている。それらは、サザンブロット、ノーザンブロット、コロニーハイブリダイゼーション法及びドットブロットを含む。それら各手段のためのプロトコルは、Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley 503 Sons, Inc.(1997))及びSambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))の文献で提供されている。これらの開示全体は、参照により本明細書に含まれるものとする。
あるいは、サンプルが本発明の核酸配列を含む生物(例えば、核酸が単離された生物)を含むかどうかを決定するために、二つ以上のプローブ(少なくともその一つは、核酸サンプル中に存在するいずれかの相補性配列に対して特異的にハイブリダイズし得る)が増幅反応に用いられ得る。典型的には、前記プローブはオリゴヌクレオチドを含む。一つの態様では、前記増幅反応はPCR反応を含み得る。PCRプロトコルは、前述のAusubel及びSambrookの文献に記述されている。あるいは、前記増幅反応はリガーゼ連鎖反応、3SR又はストランド置換反応を含み得る(Barany,F., “The Ligase Chain Reaction in a PCR World”, PCR Methods and Applications 1:5-16,1991;E.Fahy et al.,”Self-sustained Sequence Replication(3SR):An Isothermal Transcription-based Amplification System Alternative to PCR”, PCR Methods and Applications 1:25-33,1991;及び、Walker G.T. et al., “Strand Displacement Amplification-an Isothermal in vitro DNA Amplification Technique”, Nucleic Acid Research 20:1691-1696,1992を参照。これらの開示は、参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする)。そのような手段では、サンプル中の核酸はプローブと接触させられ、増幅反応が行われて、いずれかの得られた増幅産物が検出される。増幅産物は、反応産物にゲル電気泳動を行って、そのゲルをエチジウムブロミドのようなインターカレート剤を用いて染色することによって、検出され得る。あるいは、一つ以上のプローブが放射活性同位体を用いて標識されてもよく、放射活性増幅産物の存在がゲル電気泳動後のオートラジオグラフィーによって検出され得る。
配列番号1の核酸配列、その実質的に同一な配列及びそれらに対する相補性配列、又は、配列番号1及びそれらと実質的に同一な配列の少なくとも連続する10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400又は500塩基を含む断片、又はそれらに対する相補性配列の単離された核酸は、近縁な核酸を同定及び単離するためのプローブとして用いられ得る。幾つかの態様では、近縁な核酸は、核酸が単離された生物以外の生物に由来するcDNA又はゲノムDNAであり得る。例えば、そのような別の生物は、近縁な生物であり得る。そのような手段では、プローブが近縁な配列に対して特異的にハイブリダイズすることを可能にする条件下で、核酸サンプルがプローブと接触させられる。次に、近縁な生物に由来する核酸に対する前記プローブのハイブリダイゼーションは、上述した方法のいずれかを用いて検出される。
核酸ハイブリダイゼーション反応では、特定のレベルのストリンジェンシーを達成するために用いられる条件は、ハイブリダイズされる核酸の性質に依存して変動するであろう。例えば、核酸のハイブリダイゼーション領域の長さ、相補性の度合い、ヌクレオチド配列構成(例えば、GC含量対AT含量)及び核酸の種類(例えば、RNA対DNA)が、ハイブリダイゼーション条件を選択するうえで考慮され得る。さらに考慮すべきことは、例えばフィルター上などに、核酸の一つが固定されているかどうかである。
ハイブリダイゼーションは、低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー又は高ストリンジェンシー条件下で行われ得る。核酸ハイブリダイゼーションの一例として、固定化した変性核酸を含むポリマーメンブレンは、最初に0.9 M NaCl、50 mM NaH2PO4、pH 7.0、5.0 mM Na2EDTA、0.5% SDS、10×デンハルト及び0.5 mg/ml ポリリボアデニル酸で構成される溶液中45℃で30分間プレハイブリダイズさせられる。次に、およそ2×107 cpm(比放射能4〜9×108 cpm/μg)の32Pで末端標識したオリゴヌクレオチドプローブが溶液に加えられる。12〜16時間のインキュベーションの後、そのメンブレンは0.5% SDSを含む1×SET(150 mM NaCl、20 mM Tris-HCl、pH 7.8、1 mM Na2EDTA)中で室温にて30分間洗滌され、続いて新しい1×SET中でオリゴヌクレオチドプローブのTmより10℃低い温度にて30分間洗滌される。そのメンブレンは、次に、ハイブリダイゼーションシグナルの検出のためのオートラジオグラフィーフィルムに露光させられる。
長さが14〜70ヌクレオチドのプローブに対しては、融解温度(Tm)は次の式を用いて計算される(式中、Nはプローブの長さである):Tm=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(G+Cの割合)−(600/N)。
ハイブリダイゼーションがホルムアミドを含む溶液中で行われる場合、融解温度は次の方程式を用いて計算され得る(式中、Nはプローブの長さである):Tm=81.5+16.6(log[Na+])+0.41(G+Cの割合)−(0.63%ホルムアミド)-(600/N)。
プレハイブリダイゼーションは、6×SSC、5×デンハルト試薬、0.5% SDS、100 μgの変性断片化サケ***DNA中、又は、6×SSC、5×デンハルト試薬、0.5% SDS、100 μgの変性断片化サケ***DNA、50%ホルムアミド中で行われ得る。SSC溶液及びデンハルト溶液の調製法は、前述のSambrookらの文献に記載されている。
ハイブリダイゼーションは、上述のプレハイブリダイゼーション溶液に検出可能なプローブを添加することによって行われる。プローブが二重鎖DNAを含む場合は、ハイブリダイゼーション溶液に添加する前にそのプローブを変性させる。フィルターは、プローブがそれに対する相補性配列又は相同配列を含むcDNA又はゲノムDNAにハイブリダイズするのに十分な時間、ハイブリダイゼーション溶液と接触させられる。長さが200ヌクレオチドを越えるプローブに対しては、ハイブリダイゼーションはTmより15〜25℃低い温度で行われ得る。オリゴヌクレオチドプローブのような短いプローブに対しては、ハイブリダイゼーションはTmより5〜10℃低い温度で行われ得る。典型的には、6×SSC中でのハイブリダイゼーションは、およそ68℃で行われる。通常、50%ホルムアミド含有溶液中でのハイブリダイゼーションは、およそ42℃で行われる。
上述のハイブリダイゼーションの全ては、高ストリンジェンシー条件下であるとみなされ得る。
プローブにハイブリダイズしている核酸は、オートラジオグラフィー又は他の通常の技術によって同定される。
前述の手段は、プローブ配列に対して減少したレベルの相同性を有する核酸を同定するために改変され得る。例えば、検出可能なプローブに対して減少した相同性の核酸を得るために、低下したストリンジェンシー条件が用いられ得る。例えば、ハイブリダイゼーション温度は、約1 MのNa+濃度を有するハイブリダイゼーション緩衝液において、68℃から42℃まで5℃ずつ低下され得る。ハイブリダイゼーションに続いて、フィルターは、2×SSC、0.5% SDSでハイブリダイゼーション温度にて洗滌され得る。そのような条件で、50℃より高い場合は「中程度の」条件、50℃より低い場合は「低度の」条件であるとみなされる。「中程度の」ハイブリダイゼーション条件の具体例は、上のハイブリダイゼーションが55℃で行われる場合である。「低ストリンジェンシー」のハイブリダイゼーション条件の具体例は、上のハイブリダイゼーションが45℃で行われる場合である。
あるいは、ハイブリダイゼーションは、ホルムアミドを含む6×SSCのような緩衝液中、42℃の温度で行われ得る。この場合、ハイブリダイゼーション緩衝液中のホルムアミド濃度は、プローブに対して減少したレベルの相同性を有するクローンを同定するために、50%から0%まで5%ずつ低下され得る。ハイブリダイゼーションに続いて、フィルターは6×SSC、0.5% SDS、50℃で洗滌され得る。そのような条件で、ホルムアミドが25%より多い場合は「中程度の」条件、ホルムアミドが25%より少ない場合は「低度の」条件であるとみなされる。「中程度の」ハイブリダイゼーションの具体例は、上のハイブリダイゼーションが30%ホルムアミドで行われる場合である。「低ストリンジェンシーの」ハイブリダイゼーションの具体例は、上のハイブリダイゼーションが10%ホルムアミドで行われる場合である。
加えて、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片の配列を有するポリペプチドに対して、配列アラインメントアルゴリズム(例えば、デフォルトパラメータを用いたFASTAバージョン3.0t78アルゴリズムのような)を用いて決定した場合に少なくとも約99%、95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%又は少なくとも50%の相同性を有するポリペプチドをコードする核酸を単離するために、上記手段が用いられ得る。
本発明の別の側面は、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列、又は、それらのうちの少なくとも連続する約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片を含む、単離又は精製されたポリペプチドである。上で議論されるように、そのようなポリペプチドは、適切な宿主細胞においてコードするポリペプチドの発現を操作し得る配列にコード配列が機能可能に連結されるように、ポリペプチドをコードする核酸をベクターに挿入することによって得られ得る。例えば発現ベクターは、プロモーター、翻訳開始のためのリボソーム結合部位及び転写ターミネーターを含み得る。そのようなベクターは、発現を増幅するために適切な配列も含み得る。
細菌においてポリペプチド又はその断片を発現するために適切なプロモーターは、E.coliのlacプロモーター又はtrpプロモーター、lacIプロモーター、lacZプロモーター、T3プロモーター、T7プロモーター、gptプロモーター、ラムダPRプロモーター、ラムダPLプロモーター、3-リン酸グリセレートキナーゼ(PGK)のような糖分解酵素をコードするオペロンに由来するプロモーター、及び、酸性ホスファターゼプロモーターを含む。真菌のプロモーターは、∀因子プロモーターを含む。真核生物プロモーターは、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、熱ショックプロモーター、初期SV40プロモーター、後期SV40プロモーター、レトロウイルス由来のLTR、及び、マウスメタロチオネイン-Iプロモーターを含む。原核細胞、真核細胞又はウイルスにおいて遺伝子発現を制御することが知られるその他のプロモーターも、用いられ得る。
真核細胞においてポリペプチド又はその断片を発現するためのベクターは、発現レベルを増加するためのエンハンサーも含み得る。エンハンサーは、通常は長さが約10〜300 bpのDNAのシス作用エレメントであって、プロモーターに対してその転写を増加するために作用する。例は、複製開始点の後側100〜270 bpにあるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後側にあるポリオーマエンハンサー、及び、アデノウイルスエンハンサーを含む。
加えて、発現ベクターは典型的には、ベクターを含む宿主細胞の選択を可能にするために一つ以上の選択マーカー遺伝子を含む。そのような選択マーカーは、真核細胞培養のためにジヒドロ葉酸レダクターゼをコードする遺伝子又はネオマイシン耐性を与える遺伝子、E.coliにテトラサイクリン耐性又はアンピシリン耐性を与える遺伝子、及び、S.セレビシエのTRP1遺伝子を含む。
幾つかの態様では、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片をコードする核酸は、翻訳されたポリペプチド又はその断片の分泌を指令し得るリーダー配列と共に適切な状態で構築される。任意で、そのような核酸は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片が、増加した安定性又は簡略化された精製といった所望の特徴を与えるN-末端識別ペプチドのような異種ペプチド又は異種ポリペプチドと融合した融合ポリペプチドをコードすることもできる。
適切なDNA配列は、種々の手段によってベクターに挿入され得る。一般的には、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いた挿入物及びベクターの消化に続いて、DNA配列がベクター中の所望の位置に連結される。あるいは、挿入物及びベクターの両方における平滑末端が連結され得る。種々のクローニング技術が、Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley 503 Sons, Inc. 1997)及びSambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))の文献で開示されており、これらの開示全体は、参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。そのような手段及びその他手段は、当業者の能力の範囲内であろう。
用いられ得る特定の細菌ベクターは、よく知られるクローニングベクターの遺伝子エレメントを含む商業的に入手可能なプラスミドであるpBR322(ATCC 37017)、pKK223-3(Pharmacia Fine Chemicals,Uppsala,Sweden)、GEM1(Promega Biotec, Madison, WI, USA)、pQE70、pQE60、pQE-9(Qiagen)、pD10、psiX174、pBluescript II KS、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A(Stratagene)、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)、pKK232-8及びpCM7を含む。特定の真核生物ベクターは、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG(Stratagene)、pSVK3、pBPV、pMSG及びpSVL(Pharmacia)を含む。しかしながら、宿主細胞内において複製可能かつ生存可能である限りは、その他どのベクターをも用いることができる。
宿主細胞は、原核細胞、真核細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞又は植物細胞を含む当業者によく知られる宿主細胞のどれであってもよい。適切な宿主の代表的な例として、次に挙げられるものがあり得る;E.coli、ストレプトマイセス、バチルス・サブチリス、ネズミチフス菌、及び、シュードモナス属、ストレプトマイセス属及びスタフィロコッカス属に属する種々の種のような細菌細胞;酵母のような真菌細胞;ドロソフィラS2及びスポドプテラSf9のような昆虫細胞;CHO、COS又はボウズ・メラノーマのような動物細胞;及び、アデノウイルス。適切な宿主の選択は、当業者の能力の範囲内である。
ベクターは、トランスフォーメーション、トランスフェクション、トランスダクション、ウイルス感染、遺伝子銃又はTi-媒介性遺伝子導入を含む種々の技術のどれを用いても宿主細胞に導入することができる。特定の方法は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、リポフェクション又はエレクトロポーレーション(Davis, L., Dibner, M., Battey,I., Basic Methods in Molecular Biology,(1986))を含む。
細胞は、典型的には、遠心分離によって収穫され、物理的又は化学的手段によって破壊されて、得られた未精製抽出物はさらなる精製のために保持される。タンパク質発現のために使用される微生物細胞は、凍結融解サイクリング、超音波、機械的破壊又は細胞溶解試薬の使用を含む都合のよい方法のいずれかによって破壊され得る。そのような方法は、当業者によく知られている。発現したポリペプチド又はその断片は、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸性抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含む方法によって、組換え細胞培養物から回収及び精製され得る。タンパク質のリフォールディング工程を、必要に応じて、ポリペプチドの構造を完全にすることに用いることもできる。必要であれば、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を最終精製工程のために用いることができる。
種々の哺乳動物細胞系も、組換えタンパク質を発現させるために用いることができる。哺乳動物発現系の例は、サル腎臓繊維芽細胞のCOS-7系統株(Gluzman, Cell, 23:175,1981に記述されている)、及び、C127細胞株、3T3細胞株、CHO細胞株、ヒーラ細胞株及びBHK細胞株のような、適合性ベクターからタンパク質を発現し得る他の細胞株を含む。
宿主細胞中の構築物は、組換え配列によってコードされる遺伝子産物を生産するために、通常の様式で用いられ得る。組換え体生産手段に使用される宿主に依存して、ベクターを含む宿主細胞によって生産されるポリペプチドは、グリコシル化されるか、又はグリコシル化されないこともある。本発明のポリペプチドは、開始メチオニンのアミノ酸残基を含んでも、又は含まなくてもよいこともある。
ポリペプチド又はその断片をコードする核酸に機能可能に連結されたプロモーターを含むDNA構築物から転写されたmRNAを用いて、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片を生産するために、無細胞翻訳系を用いることもできる。幾つかの態様では、そのDNA構築物は、in vitroの転写反応を行われるのに先立って線形化され得る。転写されたmRNAは、次にウサギ網状赤血球抽出物のような適切な無細胞翻訳抽出物と共にインキュベートされて、所望のポリペプチド又はその断片が生産される。
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドの変異体、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片の変異体にも関する。「変異体」という用語は、前記ポリペプチドの誘導体又はアナログを含む。特に、そのような変異体は、どの組合せでも存在し得る一つ以上の置換、付加、欠失、融合及び短縮によって、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドとはアミノ酸配列で異なり得る。
変異体は、天然に存在し得るか、又はin vitroで作製され得る。特に、そのような変異体は、部位特異的変異誘発、ランダム化学変異誘発、エキソヌクレアーゼIII欠失法及び標準的クローニング技術のような遺伝子工学技術を用いて作製され得る。あるいは、そのような変異体、断片、アナログ又は誘導体は、化学合成又は改変手段を用いて作製することができる。
例えば、変異体は、変異性PCRを用いて作製され得る。変異性PCRでは、DNAポリメラーゼの複写忠実度が低い条件下でPCRが行われて、PCR産物の全長に沿って高い比率の点変異が得られる。変異性PCRは、Leung,D.W.,et al., (Technique, 1:11-15, 1989)及びCaldwell, R.C.&Joyce G.F.,PCR Methods Applic.,2:28-33、1992に記述されている。これらの開示は、参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。簡単に言うと、そのような手段では、PCR産物の全長に沿って高い比率の点変異を達成するために、変異誘発される核酸は、PCRプライマー、反応緩衝液、MgCl2、MnCl2、Taqポリメラーゼ及び適切な濃度のdNTPと共に混合される。例えば、その反応は、20 fモルの変異誘発される核酸、30 pモルの各PCRプライマー、50 mM KCl、10 mM Tris HCl(pH 8.3)及び0.01%ゼラチンを含む反応緩衝液、7 mM MgCl2、0.5 mM MnCl2、5ユニットのTaqポリメラーゼ、0.2 mM dGTP、0.2 mM dATP、1 mM dCTP及び1 mM dTTPを用いて行われ得る。PCRは、94℃で1分間、45℃で1分間及び72℃で1分間を30サイクル行ってもよい。しかしながら、それらのパラメータが適切に変動され得ることは、理解されるであろう。変異誘発された核酸は適切なベクターにクローン化されて、その変異誘発された核酸によってコードされるポリペプチドの活性が評価される。
変異体を作製するための別の方法は、アセンブリーPCRである。アセンブリーPCRは、短いDNA断片の混合物に由来するPCR産物のアセンブリーを含む。一つの反応の産物が別の反応の産物をプライミングしながら、多数の異なるPCR反応が同じバイアル中で並行して起る。アセンブリーPCRは、1996年7月9日に出願され“Method of DNA Reassembly by Interrrupting Synthesis”と題された米国特許第5,965,408号に記述されている。この開示は、参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。
変異体を作製するさらに別の方法は、有性PCR変異誘発である。有性PCR変異誘発では、配列相同性に基づくDNA分子のランダムな断片化の結果として、異なるが高度に近縁なDNA配列のDNA分子間にin vitroで強制的な相同組換えが起こり、それに続いて、PCR反応におけるプライマー伸長による交差の固定が起る。有性PCR変異誘発は、Stemmer, W.P., PNAS, USA, 91:10747-10751, 1994に記述されており、この開示は参照により本明細書に含まれるものとする。簡単に言うと、そのような手段では、組換えられる複数の核酸はDNaseを用いて消化されて、50〜200ヌクレオチドの平均サイズを有する断片が作製される。所望の平均サイズの断片は、精製されてPCR混合物中に再懸濁される。PCRは、核酸断片間の組換えを促進する条件下で行われる。例えば、0.2 mMの各dNTP、2.2 mM MgCl2、50 mM KCl、10 mM Tris HCl、pH 9.0、0.1% トライトンX-100の溶液中に精製した断片を10〜30 ng/mlの濃度で再懸濁することによって、PCRが行われ得る。反応混合物100 μlあたり2.5ユニットのTaqポリメラーゼを加えて、次の手順を用いてPCRが行われる;94℃で60秒間に続いて、94℃で30秒間、50〜55℃で30秒間、72℃で30秒間のサイクルを30〜45回、それから72℃で5分間。しかしながら、それらのパラメータは必要に応じて変動され得ることが、理解されるであろう。幾つかの態様では、オリゴヌクレオチドがPCR反応物に含まれ得る。他の態様では、DNAポリメラーゼIのKlenow断片が第1のPCR反応物セットに用いられてもよく、Taqポリメラーゼが続く次のPCR反応物セットに用いられてもよい。組換え配列は単離されて、その組換え配列によってコードされるポリペプチドの活性が評価される。
変異体は、in vivo変異誘発によっても作製され得る。幾つかの態様では、一つ以上のDNA修復経路において変異を保有するE.coli株のような細菌株中で当該配列を増殖させることによって、当該配列におけるランダム変異が作製される。そのような「ミューテーター」株は、野生型の親よりも高いランダム変異率を有する。そのような株の一つでDNAを増殖させることは、最終的にはDNA中にランダム変異を作製するであろう。in vivo変異誘発のための使用に適するミューテーター株は、“Methods for Phenotype Creation from Multiple Gene Populations”と題され1991年10月31日に公開されたPCT公開番号WO 91/16427に記述されている。この開示は、参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。
帰納的アンサンブル変異誘発も、変異体を作製することに用いられ得る。帰納的アンサンブル変異誘発は、アミノ酸配列では異なるが表現型上は近縁である変異体の多様な集団を作製するために開発されたタンパク質工学(タンパク質変異誘発)のためのアルゴリズムである。この方法は、組合せカセット変異誘発の連続的なラウンドを制御するフィードバックメカニズムを用いる。帰納的アンサンブル変異誘発は、Arkin, A.P. and Youvan, D.C., PNAS, USA, 89:7811-7815, 1992に記述されており、この開示は参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。
幾つかの態様では、変異体は指数的アンサンブル変異誘発を用いて作製される。指数的アンサンブル変異誘発は、高い割合のユニークかつ機能的な変異を有する組合せライブラリーを作製するための方法であって、残基の小グループは、各変化した位置において機能的タンパク質を生じさせるアミノ酸を明らかにするために並行してランダム化される。指数的アンサンブル変異誘発は、Delegrave, S. and Youvan, D.C., Biotechnology Research, 11:1548-1552, 1993に記述されており、この開示は参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。ランダム変異誘発及び部位特異的変異誘発はArnold, F.H., Current Opinion in Biotechnology, 4:450-455, 1993に記述されており、これらの開示は参照により、そのまま本明細書に含まれるものとする。
幾つかの態様では、変異体はシャッフリング法を用いて作製される。シャッフリング法では、別個のポリペプチドをコードする複数の核酸の一部が一緒に融合させられて、キメラ化ポリペプチドをコードするキメラ化核酸配列を作製する。この方法は“Method of DNA Reassembly by Interrupting Synthesis”と題され、1996年7月9日に出願された米国特許第5,965,408号、及び、“Production of Enzymes Having Desired Activities by Mutagenesis”と題され、1996年5月22日に出願された米国特許第5,939,250号に記述されており、これらの両方は参照により、本明細書に含まれるものとする。
保存的置換体は、ポリペプチド中の所定のアミノ酸を類似した特徴の別のアミノ酸によって置換した置換体である。保存的置換として典型的に示されるのは、次の置換である;アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンのような脂肪族アミノ酸の、別の脂肪族アミノ酸との置換;セリンのスレオニンとの置換、又は、スレオニンのセリンとの置換;アスパラギン酸及びグルタミン酸のような酸性残基の、別の酸性残基との置換;アスパラギン及びグルタミンのようなアミド基を有する残基の、アミド基を有する別の残基との置換;リシン及びアルギニンのような塩基性残基の、別の塩基性残基との交換;及び、フェニルアラニン、チロシンのような芳香族残基の、別の芳香族残基との置換。
他の変異体は、配列番号2のアミノ酸配列のポリペプチドの一つ以上のアミノ酸残基が置換基群を含む変異体である。
さらに他の変異体は、ポリペプチドが、ポリペプチドの半減期を増加する化合物のような別の化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と結合させられた変異体である。
さらなる変異体は、リーダー配列、分泌配列、プロタンパク質配列、又は、ポリペプチドの精製、濃縮又は安定化を促進する配列のような、付加的アミノ酸をポリペプチドに融合させた変異体である。
幾つかの態様では、断片、誘導体及びアナログは、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドと同様な生物学的機能又は活性を保持する。別の態様では、断片、誘導体及びアナログはプロタンパク質を含み、そのような断片、誘導体又はアナログは、プロタンパク質部分の切断によって活性化されて、活性型ポリペプチドを生成し得る。
配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片に対して相同性を有するポリペプチド又は断片は、上述した技術を用いて、前記ポリペプチド又は断片をコードする核酸を単離することによって得ることができる。
あるいは、相同性ポリペプチド又は断片は、生化学的な濃縮手段又は精製手段を通じて得られ得る。潜在的な相同性ポリペプチド又は断片の配列は、タンパク分解性消化、ゲル電気泳動及び/又はミクロシークエンシングによって決定され得る。予定相同性ポリペプチド又は断片の配列は、上述したプログラムのいずれかを用いて、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドの一つ、又は、それらのうちの少なくとも連続する約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片の一つと比較され得る。
本発明の別の側面は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドの酵素機能を保持する、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列の断片又は変異体を同定するためのアッセイである。例えば、そのようなポリペプチドの断片又は変異体は、生化学的反応を触媒することに用いることができる。このことは、その断片又は変異体が、配列番号2のアミノ酸配列のポリペプチドの酵素活性を保持していることを示している。
断片又は変異体が、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチドの酵素活性を保持しているかどうかを決定するためのアッセイは、次の工程を含む;ポリペプチドの断片又は変異体を、前記ポリペプチドの断片又は変異体が機能可能な条件下で基質分子と接触させる工程;及び、基質レベルにおける減少、又は、前記ポリペプチドと基質との間の反応の特異的反応生成物レベルにおける増加のどちらかを検出する工程。
配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片は、デンプンの液化及び糖化にも用いられ得る。液化は、本発明のポリペプチド又はそれらの断片を用いて、これまでの酵素に用いたよりも低いpHで行われ得る。一つの態様では、液化はpH 4.5で行われる。加えて、本発明のポリペプチド又はそれらの断片は、この方法でこれまで用いられている酵素よりもカルシウム依存性が少ない。液化では、アミラーゼがデンプンを加水分解するために用いられる。好ましい態様では、本発明のポリペプチド又はそれらの断片は、90〜95℃で熱安定性である。
配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片は、そのポリペプチド又は断片に対して特異的に結合する抗体を作製することにも用いられ得る。得られた抗体は、ポリペプチドを単離又は精製するため、又は、生物学的サンプル中にポリペプチドが存在するかどうかを決定するために、イムノアフィニティークロマトグラフィー手段にて用いられ得る。そのような手段では、抽出物のようなタンパク質調製品又は生物学的サンプルは、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片の一つに対して特異的に結合し得る抗体と接触させられる。
生物学的サンプル中に存在するタンパク質の抗体に対する結合能力は、当業者によく知られる種々の手段のいずれかを用いて決定され得る。例えば、蛍光試薬、酵素標識又は放射性同位体のような検出可能な標識により抗体を標識化することによって、結合が決定され得る。あるいは、サンプルに対する抗体の結合は、その上に前記検出可能な標識を有する二次抗体を用いて検出され得る。特定のアッセイは、ELISAアッセイ、サンドイッチアッセイ、ラジオイムノアッセイ及びウエスタンブロットを含む。
配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片に対して作製されるポリクローナル抗体は、例えば人間以外の動物といった動物へのポリペプチドの直接注射又は投与によって得ることができる。そのようにして得られた抗体は、次にポリペプチド自体に結合するであろう。そのような様式では、ポリペプチド断片のみをコードする配列であっても、全体的な本来のポリペプチドに対して結合し得る抗体を作製することに用いることができる。そのような抗体は次に、前記ポリペプチドを発現している細胞から前記ポリペプチドを単離するために用いられ得る。
モノクローナル抗体の調製のために、連続継代細胞株培養によって生産された抗体を提供する技術が用いられ得る。例は、ハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein, Nature, 256:495-497, 1975、この開示は、参照により本明細書に含まれるものとする)、トリオーマ(trioma)技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., Immunology Today 4:72, 1983、この開示は、参照により本明細書に含まれるものとする)及びEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp 77-96、この開示は、参照により本明細書に含まれるものとする)を含む。
配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列のポリペプチド、又は、それらのうちの少なくとも連続する5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100又は150アミノ酸を含む断片に対して作製された抗体は、他の生物及びサンプルから同様なポリペプチドをスクリーニングすることに用いられ得る。そのような技術では、生物由来のポリペプチドは前記抗体と接触されられて、前記抗体を特異的に結合するポリペプチドが検出される。上述する手段のいずれも、抗体結合を検出するために用いられ得る。そのようなスクリーニングアッセイの一つが、”Methods for Measuring Cellulase Activities”, Methods in Enzymology, Vol 160, pp.87-116に記述されており、これは、参照によりそのまま本明細書に含まれるものとする。
本明細書で用いられる「配列番号1に記載の核酸配列」という用語は、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列の核酸配列、配列番号1の核酸配列に対する相同性配列、それらの断片、及び、前記配列の全てに対する相補性配列を含む。前記断片は、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列のうちの少なくとも連続する10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、150、200、300、400又は500ヌクレオチドを含む配列番号1の一部を含む。配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列の相同性配列及び相同性断片は、前述の配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%又は50%の相同性を有する配列を言う。相同性は、デフォルトパラメータを用いるFASTAバージョン3.0t78を含む、本明細書に記述するどのコンピュータプログラム及びパラメータを用いても決定され得る。相同性配列は、配列番号1の核酸配列に記載の核酸配列においてチミジンをウリジンと置換えたRNA配列も含む。そのような相同性配列は、本明細書に記述されるどの手段を用いても得ることができ、又はシークエンシングエラーの収集から得ることもできる。配列番号1に記載の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列の核酸配列は、慣用的一文字形式(traditional single character format)(Stryer, Lubert. Biochemistry, 3rd Ed., W.H Freeman & Co., New Yorkの裏表紙内側を参照)又は配列中のヌクレオチドのアイデンティティを示す他のどの形式でも表すことができることが、理解されるであろう。
配列番号1に記載の核酸配列、及び、配列番号2に記載のポリペプチド配列を、コンピュータによって読取り及びアクセスが可能であるどの媒体上でも保存、記録及び操作することが可能であることが、当業者には理解されるであろう。本明細書で用いられる「記録」及び「保存」という用語は、コンピュータ媒体上において情報を保存するためのプロセスを言う。当業者であれば、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載の一つ以上の核酸配列、及び、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載の一つ以上のポリペプチド配列を含む製品を作製するために、コンピュータで読取り可能な媒体上において情報を記録するための現在知られるどの方法も容易に用いることができる。本発明の別の側面は、配列番号1に記載の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列のうちの少なくとも2、5、10、15又は20の核酸配列を記録している、コンピュータで読取り可能な媒体である。
コンピュータで読取り可能な媒体は、磁気的に読取り可能な媒体、光学的に読取り可能な媒体、電子的に読取り可能な媒体及び磁気/光学媒体を含む。例えば、コンピュータで読取り可能な媒体は、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD-ROM、デジタル多目的ディスク(DVD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は読出し専用記憶装置(ROM)、又は、当業者によく知られるその他の種類の媒体であり得る。
本発明の態様は、システム(例えば、インターネットを基盤とするシステム)、特に、本明細書に記述される配列情報を保存及び操作するコンピュータシステムを含む。コンピュータシステム100の一例を、図1にブロックダイヤグラム形態で説明する。本明細書で用いられる「コンピュータシステム」は、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列のヌクレオチド配列、又は、配列番号2のアミノ酸配列に記載のポリペプチド配列を解析するために用いられるハードウエア構成要素、ソフトウエア構成要素及びデータ記憶構成要素を言う。コンピュータシステム100は典型的に、配列データの処理、アクセス及び操作を行うためのプロセッサを含む。プロセッサ105は、例えばインテル・コーポレーションからのペンティアム(登録商標)III、又は、サン、モトローラ、コンパック、AMD又はIBMからの同様なプロセッサのような、よく知られる種類の中央処理装置であり得る。
典型的には、コンピュータシステム100は、データ記憶のためのプロセッサ105及び一つ以上の内部データ記憶構成要素110、及び、データ記憶構成要素に保存されたデータを検索するための一つ以上のデータ検索デバイスを含む、汎用システムである。当業者であれば、現在利用可能なコンピュータシステムのいずれも適することが容易に理解できる。
ある特定の態様では、コンピュータシステム100は、メインメモリ115(好ましくはRAMとして実装される)、及び、データを記録しているハードデバイス及び/又はその他のコンピュータで読取り可能な媒体のような一つ以上の内部データ記憶デバイス110、に接続されたバスに接続されるプロセッサ105を含む。幾つかの態様では、コンピュータシステム100は、内部データ記憶デバイスに保存されたデータを読むための一つ以上のデータ検索デバイス118をさらに含む。
データ検索デバイス118は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、磁気テープドライブ又はリモートデータ記憶システムに接続し得る(例えば、インターネットを介して)モデム等を表す。幾つかの態様では、内部データ記憶デバイス110は、制御論理及び/又は記録されたデータを含む、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、磁気テープ等のような取外し可能であってコンピュータで読取り可能な媒体である。コンピュータシステム100は、有利には、一旦データ検索デバイスに挿入してデータ記憶構成要素から制御論理及び/又はデータを読むことに適切なソフトウエアを含んでもよく、又はそれによってプログラミングされてもよい。
配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列のヌクレオチド配列、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列にアクセスする及びそれらを処理するためのソフトウエア(検索ツール、比較ツール及びモデリングツール等のような)は、実行の間、メインメモリ115に属し得る。
幾つかの態様では、コンピュータシステム100は、コンピュータで読取り可能な媒体に保存された配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列を、コンピュータで読取り可能な媒体に保存された参照ヌクレオチド配列又は参照ポリペプチド配列と比較するための配列比較アルゴリズムをさらに含み得る。「配列比較アルゴリズム」は、ヌクレオチド配列をデータ記憶装置中に保存された他のヌクレオチド配列及び/又は化合物と比較するために、コンピュータシステム100において実装される(局所的に又は間接的に)一つ以上のプログラムを言う。例えば配列比較アルゴリズムは、コンピュータで読取り可能な媒体に保存された配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列のヌクレオチド配列、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列を、コンピュータで読取り可能な媒体に保存された参照配列と比較して、相同性又は構造モチーフを同定し得る。本特許明細書の他の箇所で特定される種々の配列比較プログラムは、特に本発明のこのような側面における使用に対して熟慮されている。タンパク質及び/又は核酸配列相同性は、本技術分野で知られる多様な配列比較アルゴリズム及びプログラムのどれを用いても評価することができる。そのようなアルゴリズム及びプログラムはTBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTA及びCLUSTALWを含むが、決してこれだけには限られない(Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85(8):2444-2448, 1988;Altschul et al., J. Mol. Biol. 215(3):403-410, 1990;Thompson et al., Nucleic Acids Res. 22(2):4673-4680, 1994;Higgins et al., Methods Enzymol. 266:383-402, 1996;Altschul et al., J. Mol. Biol. 215(3):403-410, 1990;Altschul et al., Nature Genetics 3:266-272, 1993)。
配列比較のために、典型的には一つの配列が、比較されるテスト配列に対する参照配列としてふるまう。配列比較アルゴリズムを用いる場合は、テスト配列及び参照配列はコンピュータに入力され、部分列座標が指定されて、必要に応じて、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。デフォルトプログラムパラメータを用いることができる、又は、代替パラメータを指定することができる。配列比較アルゴリズムは、次にプログラムパラメータに基づいて、参照配列に相対するテスト配列の配列同一性パーセンテージを計算する。
BLASTアルゴリズムは、二つの配列間の類似性の統計分析も行う(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873, 1993を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される一つの類似性測定値は、二つのヌクレオチド配列間又は二つのアミノ酸配列間に偶然起り得るマッチングによって確率の指標を提供する最小合計確率(P(N))である。例えば、テスト核酸の参照核酸に対する比較における最小合計確率が約0.2より少ない、より好ましくは約0.01より少ない、最も好ましくは約0.001より少ない場合に、テスト核酸は参照配列に対して類似であると考えられる。
(1)BLASTP及びBLAST3は、タンパク質配列データベースに対して、アミノ酸クエリー配列を比較する;
(2)BLASTNは、ヌクレオチド配列データベースに対して、ヌクレオチドクエリー配列を比較する;
(3)BLASTXは、タンパク質配列データベースに対して、クエリーヌクレオチド配列(両ストランド)の6つのフレームの概念的翻訳産物を比較する;
(4)TBLASTNは、全6リーディングフレーム(両ストランドの)中で翻訳されたヌクレオチド配列データベースに対して、クエリータンパク質配列を比較する;及び
(5)TBLASTXは、ヌクレオチド配列データベースの6つのフレームの翻訳物に対して、ヌクレオチドクエリー配列の6つのフレームの翻訳物を比較する。
BLASTプログラムは、本明細書で「ハイスコアリングセグメントペア」と呼ばれる類似セグメントをクエリーアミノ酸配列又はクエリー核酸配列とテスト配列との間で同定することによって、相同的な配列を同定する。そのテスト配列は、好ましくはタンパク質配列データベース又は核酸配列データベースから得られる。ハイスコアリングセグメントペアは、好ましくはスコアリング行列の手法によって同定され(すなわち、整列化され)、その手法の多くは本技術分野において知られている。好ましくは、使用されるスコアリング行列がBLOSUM62行列(Gonnet et al., Science 256:1443-1445, 1992;Henikoff and Henikoff, Proteins 17:49-61, 1993)である。それより好ましさを欠くが、PAM行列又はPAM250行列を用いることもできる(例えばSchwartz and Dayhoff, eds., 1978, Matrices for Detecting Distance Relationships;Atlas of Protein Sequence and Structure, Washington:National Biomedical Research Foundationを参照)。BLASTプログラムは、米国国立医学図書館を通じて、例えばwww.ncbi.nlm.nih.govからアクセス可能である。
上のアルゴリズムと共に使用されるパラメータは、配列の長さ、及び、検討される相同性の程度に依存して、適合させることができる。幾つかの態様では、パラメータは、ユーザーからの指示がない場合はアルゴリズムによって用いられるデフォルトパラメータであり得る。
プロセス200は初期(start)状態201で始まり、次に、比較される新しい配列がコンピュータシステム100中のメモリに保存される状態202に移行する。上で議論したように、そのメモリは、RAM又は内部記憶デバイスを含むどの種類のメモリであってもよい。
次にプロセス200は、解析及び比較のために配列データベースが開かれる状態204に移行する。その次にプロセス200は、データベース中に保存された第一配列がコンピュータ上でメモリに読込まれる状態206に移行する。次に状態210で、第一配列が第二配列と同じであるかを決定するための比較が行われる。このステップが、新しい配列とデータベース中の第一配列との間の抽出比較を行うことに制限されないことに注目することが重要である。二つのヌクレオチド配列又は二つのタンパク質配列を、たとえそれらが同一でなくても、比較するためのよく知られた方法は、当業者に知られている。例えば、二つのテストされた配列間の相同性レベルを上昇させることを目的として、一つの配列にギャップを導入することができる。比較の際に、ギャップ又は他の特徴を配列に導入するかどうかを制御するパラメータが、通常はコンピュータシステムのユーザーによって入力される。
二つの配列の比較が状態210で行われてから、その二つの配列が同じであるかどうかの決定が決定状態212で行われる。もちろん、「同じ」という用語は、完全に同一である配列に制限されない。ユーザーによって入力された相同性パラメータの範囲内にある配列は、プロセス200において「同じ」として特徴付けられるであろう。
二つの配列が同じであると決定された場合、プロセス200は、データベースから配列の名前がユーザーに対して表示される状態214に移行する。この状態は、表示された名前を有する配列が入力された相同性の制約を満たすことをユーザーに知らせる。保存された配列の名前がユーザーに表示されてから、プロセス200は、データベース中にさらなる配列が存在するかどうかを決定する決定状態218に移行する。データベース中にそれ以上配列が存在しない場合、次にプロセス200は終了状態220で終結する。しかしながら、データベース中にさらなる配列が存在する場合、次にプロセス200は、ポインターがデータベース中の新しい配列に移動されることによって新しい配列に対して比較を行い得る状態224に移行する。このようにして、その新しい配列は、データベース中の全配列と整列化され比較される。
従って本発明の一つの側面は、プロセッサ、配列番号1及びその実質的に同一な配列に記載の核酸配列又は配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列を保存しているデータ記憶デバイス、配列番号1及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列又は配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列に対して比較される参照ヌクレオチド配列又は参照ポリペプチド配列を検索可能なように保存しているデータ記憶デバイス、及び、比較を行うための配列コンペアラー(comparer)を含むコンピュータシステムである。配列コンペアラーは、比較される配列間の相同性レベルを表示するか、又は配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列の上述核酸コードの構造的モチーフ又は配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列中の構造的モチーフを同定するか、又は、これらの核酸コード及びポリペプチドコードに対して比較される配列中の構造モチーフを同定し得る。幾つかの態様では、データ記憶デバイスは、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列のうちの少なくとも2、5、10、15、20、25、30、40又はそれ以上、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列のうちの少なくとも2、5、10、15、20、25、30、40又はそれ以上を保存し得る。
本発明の別の側面は、配列番号1及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列と参照ヌクレオチド配列との間、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列と参照ヌクレオチド配列との間の相同性レベルを決定するための方法である。この方法は、相同性レベルを決定するコンピュータプログラムの使用を通じて核酸コード又はポリペプチドコード及び参照ヌクレオチド配列又は参照ポリペプチド配列を読むこと、及び、コンピュータプログラムを用いて核酸コード又はポリペプチドコードと参照ヌクレオチド配列又は参照ポリペプチド配列との間の相同性を決定することを含む。そのコンピュータプログラムは、相同性レベルを決定するためのコンピュータプログラムのいずれであってもよく、本明細書で具体的に列挙したものを含む(例えば、デフォルトパラメータを用いる又は改変パラメータのいずれかを用いる、BLAST2N)。この方法は、上述のコンピュータシステムを用いて実装され得る。この方法は、コンピュータプログラムの使用を通じて配列番号1に記載の核酸配列の少なくとも2、5、10、15、20、25、30、40若しくはそれ以上又は配列番号2のアミノ酸配列に記載のポリペプチド配列の少なくとも2、5、10、15、20、25、30、40若しくはそれ以上を読むこと、及び、核酸コード又はポリペプチドコードと参照ヌクレオチド配列又は参照ポリペプチド配列との間の相同性を決定することによっても行われ得る。
二つの文字が同じであるかどうかの決定は、決定状態264で行われる。それらが同じであった場合は、プロセス250は次に、第一配列及び第二配列中の隣の文字が読まれる状態268に移行する。そして次に、その隣の文字が同じかどうかの決定が行われる。それらが同じであった場合は、プロセス250は、二つの文字が同じでなくなるまで、このループを継続する。隣の二つの文字が同じでないという決定が行われた場合は、プロセス250は、それ以上読むべき文字又は配列があるかどうかを決定する決定状態274に移行する。
それ以上読むべき文字が無い場合は、プロセス250は次に、第一配列と第二配列との間の相同性レベルをユーザーに表示する状態276に移行する。相同性のレベルは、第一配列中の配列総数のうちの配列間で同じであった文字の割合を計算することによって決定される。従って、第一の100ヌクレオチド配列中の全部の文字が第二配列中の全部の文字と整列化された場合、相同性レベルは100%であろう。
あるいは、コンピュータプログラムは、配列番号1の核酸配列及びそれと実質的に同一な配列の核酸コードが参照核酸配列と一つ以上の位置で異なるかどうかを決定することを目的として、本発明に記載の核酸配列のヌクレオチド配列を一つ以上の参照ヌクレオチド配列と比較するコンピュータプログラムであり得る。任意で、そのようなプログラムは、参照ポリヌクレオチド又は配列番号1及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列のどちらかの配列に関して挿入、欠失又は置換されたヌクレオチドの長さ及びアイデンティティを記録してもよい。一つの態様では、コンピュータプログラムは、配列番号1及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列が、参照ヌクレオチド配列に関して一ヌクレオチド多型性(SNP)を含むかどうかを決定するプログラムであり得る。
他の態様では、コンピュータベースのシステムは、配列番号1に記載の核酸配列又は配列番号2のアミノ酸配列に記載のポリペプチド配列、及び、それらと実質的に同一な配列に存在する特徴を同定するためのアイデンティファイヤーをさらに含む。
「アイデンティファイヤー」は、配列番号1及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列に存在する、ある特徴を同定する一つ以上のプログラムを言う。一つの態様では、アイデンティファイヤーは、配列番号1及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列中のオープンリーディングフレームを同定するプログラムを含み得る。
特徴データベースが状態306で開かれると、プロセス300は、第一特徴をデータベースから読む状態308に移行する。次に、第一特徴属性と第一配列との比較が状態310で行われる。次に決定状態316で第一配列中に特徴属性が見出されたかどうかが決定される。属性が見出された場合、プロセス300は次に、見出された特徴名をユーザーに表示する状態318に移行する。
プロセス300は次に、データベース中にさらなる特徴が存在するかどうかの決定が行われる決定状態320に移行する。それ以上特徴が存在しない場合は、プロセス300は次に終了状態324で終結する。しかしながら、さらなる特徴が存在する場合は、次にプロセス300は状態326で次の配列特徴を読み、次の特徴属性が第一配列に対して比較される状態310に折り返して戻る。
注目すべきことは、決定状態316で第一配列中に特徴属性が見出されなかった場合は、データベース中に存在するさらなる特徴を決定することを目的として、プロセス300が決定状態320に直接移行することである。
従って、本発明の別の側面は、配列番号1及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列又は配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列に存在する特徴を同定する方法であって、この方法は、特徴を同定するコンピュータプログラムの使用を通じて核酸コード又はポリペプチドコードを読むこと、及び、コンピュータプログラムを用いて核酸コード中に存在する特徴を同定することを含む。一つの態様では、コンピュータプログラムは、オープンリーディングフレームを同定するコンピュータプログラムを含む。その方法は、コンピュータプログラムの使用を通じて配列番号1及びそれと実質的に同一な配列に記載の核酸配列の単一配列若しくは少なくとも2、5、10、15、20、25、30若しくは40、又は、配列番号2のアミノ酸配列及びそれと実質的に同一な配列に記載のポリペプチド配列の単一配列若しくは少なくとも2、5、10、15、20、25、30若しくは40を読むこと、並びに、コンピュータプログラムを用いて核酸コード若しくはポリペプチドコードに存在する特徴を同定することによって行われ得る。
用いられ得るプログラム及びデータベースは次のものを含むが、これだけに限られない:MacPattern(EMBL)、DiscoveryBase(Molecular Applications Group)、GeneMine(Molecular Applications Group)、Look(Molecular Applications Group)、MacLook(Molecular Applications Group)、BLAST及びBLAST2(NCBI)、BLASTN及びBLASTX(Altschul et al, J. Mol. Biol. 215:403, 1990)、FASTA(Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85:2444, 1988)、FASTDB(Brutlag et al. Comp. App. Biosci. 6:237-245, 1990)、Catalyst(Molecular Simulations Inc.)、Catalyst/SHAPE(Molecular Simulations Inc.)、Cerius2.DBAccess(Molecular Simulations Inc.)、HypoGen(Molecular Simulations Inc.)、Insight II(Molecular Simulations Inc.)、Discover(Molecular Simulations Inc.)、CHARMm(Molecular Simulations Inc.)、Felix(Molecular Simulations Inc.)、DelPhi(Molecular Simulations Inc.)、QuanteMM(Molecular Simulations Inc.)、Homology(Molecular Simulations Inc.)、Modeler(Molecular Simulations Inc.)、ISIS(Molecular Simulations Inc.)、Quanta/Protein Design(Molecular Simulations Inc.)、WebLab(Molecular Simulations Inc.)、WebLab Diversity Explorer(Molecular Simulations Inc.)、Gene Explorer(Molecular Simulations Inc.)、SeqFold(Molecular Simulations Inc.)、MDL Available Chemicals Directoryデータベース、MDL Drug Data Reportデータベース、Comprehensive Medicinal Chemistryデータベース、Derwent's World Drug Indexデータベース、BioByteMasterFileデータベース、Genbankデータベース及びGenseqnデータベース。他の多数のプログラム及びデータベースが本発明の開示を与えることが、当業者に理解されるであろう。
上のプログラムを用いて検出され得るモチーフは、ロイシンジッパー、へリックス-ターン-へリックスモチーフ、グリコシル化部位、ユビキチン化部位、αへリックス及びβシートをコードする配列;コードタンパク質の分泌を指令するシグナルペプチドをコードするシグナル配列;ホメオボックスのように転写調節に関係する配列、酸性ストレッチ、酵素活性部位、基質結合部位及び酵素切断部位を含む。
生体触媒反応は、単一出発化合物から誘導体の集団を生成する。その誘導体は、誘導体化合物の第二の集団を生成するために、別のラウンドの生体触媒反応を行われ得る。生体触媒誘導体化の各反復を用いて、元の小分子又は化合物の無数の変型を生成することができる。
酵素は出発化合物分子の残りの部位に影響を与えることなく出発化合物の特異的部位に反応し、その過程を通常の化学的手法を用いて達成することは非常に困難である。この高度な生体触媒特異性は、ライブラリー中に存在する単一活性化合物を同定する手段を提供する。ライブラリーは、ライブラリーを生成するために用いられる一連の生体触媒反応、いわゆる「生合成履歴」によって特徴付けられる。生物学的活性に対するライブラリーのスクリーニング及び生合成履歴の追跡は、活性化合物を生成する特異的反応系列を明らかにする。反応系列は反復されて、合成される化合物の構造が決定される。この同定の様式は、他の合成及びスクリーニングのアプローチと異なって固定化技術を必要とせず、化合物は事実上どの種類のスクリーニングアッセイを用いても溶液中に遊離した状態で合成及び試験され得る。注目すべき重要なことは、官能基に対する酵素反応の高度な特異性が、生体触媒的に生成されたライブラリーを作製する特異的酵素反応の「追跡」を可能にすることである。
手順工程の大部分は、1日あたり何千もの生体触媒反応及びスクリーニングアッセイの実行、及び、高レベルの精度及び高レベルの再現性を可能にするロボット自動制御を用いて行われる。結果として、現在の化学的手法を用いて生成するには数年かかるであろう誘導体化合物のライブラリーを、およそ数週間で生成することができる。
特定の態様では、本発明は、本明細書に記述するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド又はその酵素的に活性な断片を小分子と接触させることによって改変小分子を生成することを含む、小分子を改変するための方法を提供する。改変小分子のライブラリーは、ライブラリー中に存在する改変小分子が所望の活性を示すかを決定するために試験される。所望の活性の改変小分子を生成する特異的生体触媒反応は、ライブラリーの一部を生成することに用いた生体触媒反応物の各々を体系的に除き、次にライブラリーの一部に生成された小分子を所望の活性を有する改変小分子の有無に関して試験することによって同定される。所望の活性の改変小分子を生成する特異的生体触媒反応は、任意で繰り返されてもよい。生体触媒反応は、小分子の構造中に見出される別個の構造部分と反応する生体触媒の一群を用いて行われ、各生体触媒は一つの構造部分又は一群の関連する構造部分に対して特異的であり、各生体触媒は別個の構造部分を含む別個の小分子の多数と反応する。
(1)αアミラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列を含む単離された核酸であって、前記配列が、
配列番号1;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号1に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択される前記核酸。
(2) 配列番号1;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
からなる群より選択される配列と高ストリンジェンシー条件下においてハイブリダイズする相補性配列を含む、(1)記載の単離された核酸配列。
(3) 配列番号1;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
からなる群より選択される配列と中ストリンジェンシー条件下においてハイブリダイズする相補性配列を含む、(1)記載の単離された核酸。
(4) 配列番号1;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
からなる群より選択される配列と低ストリンジェンシー条件下において、ハイブリダイズする相補性配列を含む、(1)記載の単離された核酸。
(5) 少なくとも約200残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体である、(1)記載の単離された核酸。
(6) 配列全体にわたって配列番号1に対して少なくとも約50%の相同性を有する変異体である、(1)記載の単離された核酸。
(7) 配列番号1に対して少なくとも約55%の相同性を有する変異体である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(8) 配列番号1に対して少なくとも約60%の相同性を有する変異体である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(9) 配列番号1に対して少なくとも約65%の相同性を有する変異体である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(11) 配列番号1に対して少なくとも約75%の相同性を有する変異体である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(12) 配列番号1に対して少なくとも約80%の相同性を有する変異体である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(13) 配列番号1に対して少なくとも約85%の相同性を有する変異体である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(14) 配列番号1に対して少なくとも約90%の相同性を有する変異体である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(15) 配列番号1に対して少なくとも約95%の相同性を有する変異体である、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(16) 配列比較アルゴリズムがデフォルトパラメータを用いたFASTAバージョン3.0t78である、(1)記載の単離された核酸。
(17) 配列番号1;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号1に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択される配列のうちの少なくとも連続する10塩基を含む、単離された核酸。
(18) 配列が、少なくとも約200残基の領域にわたって配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約50%の相同性を有する、(17)記載の単離された核酸。
(19) 配列が、全体にわたって配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約50%の相同性を有する、(17)記載の単離された核酸。
(20) 配列が、配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約55%の相同性を有する、(17)〜(19)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(22) 配列が、配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約65%の相同性を有する、(17)〜(19)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(23) 配列が、配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約70%の相同性を有する、(17)〜(19)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(24) 配列が、配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約75%の相同性を有する、(17)〜(19)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(25) 配列が、配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約80%の相同性を有する、(17)〜(19)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(26) 配列が、配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約85%の相同性を有する、(17)〜(19)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(27) 配列が、配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約90%の相同性を有する、(17)〜(19)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(28) 配列が、配列番号1からなる群より選択される配列に対して少なくとも約95%の相同性を有する、(17)〜(19)のいずれか1つに記載の単離された核酸。
(29) 配列番号2;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号2に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び、
配列番号2からなる群より選択される配列を有するポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドをコードする、単離された核酸。
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号2に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び、
配列番号2からなる群より選択される配列を有するポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドからなる群より選択される、精製ポリペプチド。
(31) アミノ酸配列が、少なくとも約200残基の領域にわたって配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約50%の相同性を有する、(30)記載の精製ポリペプチド。
(32) アミノ酸配列が、配列全体にわたって配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約50%の相同性を有する、(30)記載の精製ポリペプチド。
(33) アミノ酸配列が、配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約55%の相同性を有する、(30)〜(32)のいずれか1つに記載の精製ポリペプチド。
(34) アミノ酸配列が、配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約60%の相同性を有する、(30)〜(32)のいずれか1つに記載の精製ポリペプチド。
(35) アミノ酸配列が、配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約65%の相同性を有する、(30)〜(32)のいずれか1つに記載の精製ポリペプチド。
(36) アミノ酸配列が、配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約70%の相同性を有する、(30)〜(32)のいずれか1つに記載の精製ポリペプチド。
(37) アミノ酸配列が、配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約75%の相同性を有する、(30)〜(32)のいずれか1つに記載の精製ポリペプチド。
(38) アミノ酸配列が、配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約80%の相同性を有する、(30)〜(32)のいずれか1つに記載の精製ポリペプチド。
(39) アミノ酸配列が、配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約85%の相同性を有する、(30)〜(32)のいずれか1つに記載の精製ポリペプチド。
(41) アミノ酸配列が、配列番号2からなる群より選択される配列に対して少なくとも約95%の相同性を有する、(30)〜(32)のいずれか1つに記載の精製ポリペプチド。
(42) 配列番号2、及び、配列全体にわたって配列番号2に対して少なくとも約50%の相同性を有する配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、(30)記載の精製ポリペプチド。
(43) 配列番号2;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号2に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、及び、
配列番号2からなる群より選択される配列を有するポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチド、からなる群より選択されるポリペプチドに対して特異的に結合する精製抗体。
(44) 配列番号2からなる群より選択されるポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドに対して特異的に結合する、(43)記載の精製抗体。
(45) ポリクローナル抗体である、(43)の抗体。
(46) モノクローナル抗体である、(43)の抗体。
(47) 配列番号2;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号2に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び、
配列番号2からなる群より選択される配列を有するポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドを生産する方法であって、前記ポリペプチド発現を可能にする条件下で前記ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入する工程、及び、前記ポリペプチドを回収する工程を含む前記方法。
(48) 配列番号2からなる群より選択される配列のうちの少なくとも10アミノ酸を含むポリペプチドを生産する方法であって、前記ポリペプチド発現を可能にする条件下でプロモーターに機能可能に連結し前記ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入する工程、及び、前記ポリペプチドを回収する工程を含む前記方法。
(49) 配列番号1;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号1に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択されるポリヌクレオチドを含む核酸、及び、前記配列のいずれかのうちの少なくとも連続する30ヌクレオチドを含む断片を得ること、並びに、
前記ポリヌクレオチドにおいて一つ以上のヌクレオチドを別のヌクレオチドに改変すること、前記ポリヌクレオチドにおいて一つ以上のヌクレオチドを欠失すること、又は、前記ポリヌクレオチドに一つ以上のヌクレオチドを付加することを含む、変異体を作製する方法。
(51) 改変が変異性PCRによって導入される、(50)の方法。
(52) 改変がシャッフリングによって導入される、(50)の方法。
(53) 改変がオリゴヌクレオチド特異的変異誘発によって導入される、(50)の方法。
(54) 改変がアセンブリーPCRによって導入される、(50)の方法。
(55) 改変が有性PCR変異誘発によって導入される、(50)の方法。
(56) 改変がin vivo変異誘発によって導入される、(50)の方法。
(57) 改変がカセット変異誘発によって導入される、(50)の方法。
(58) 改変が帰納的アンサンブル変異誘発によって導入される、(50)の方法。
(59) 改変が指数的アンサンブル変異誘発によって導入される、(50)の方法。
(61) 改変が遺伝子リアセンブリーによって導入される、(50)の方法。
(62) 改変が遺伝子部位飽和変異誘発によって導入される、(50)の方法。
(63) 配列番号1の核酸配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する核酸変異体配列;
配列番号1に対する相補性核酸配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する核酸変異体配列に対する相補性核酸配列;
配列番号2のポリペプチド配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列;
配列番号2に対する相補性ポリペプチド配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列に対する相補性ポリペプチド配列;
からなる群より選択される配列が保存されている、コンピュータで読取り可能な媒体。
(64) 配列番号1の核酸配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する核酸変異体配列;
配列番号1に対する相補性核酸配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する核酸変異体配列に対する相補性核酸配列;
配列番号2のポリペプチド配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列;
配列番号2に対する相補性ポリペプチド配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列に対する相補性ポリペプチド配列;
からなる群より選択される配列が保存されているデータ記憶デバイス、及び、プロセッサを含むコンピュータシステム。
(65) 少なくとも一つの参照配列を保存したデータ記憶デバイス、及び、配列比較アルゴリズムをさらに含む、(64)のコンピュータシステム。
(66) 配列比較アルゴリズムが、多型性を指し示すコンピュータプログラムを含む、(65)のコンピュータシステム。
(67) 配列における一つ以上の特徴を同定するアイデンティファイヤーをさらに含む、(64)のコンピュータシステム。
(68) 配列を比較するコンピュータプログラムの使用を通じて第一配列及び第二配列を読む工程、及び、第一配列と第二配列との間の相違をコンピュータプログラムを用いて決定する工程を含む第一配列と第二配列とを比較するための方法であって、前記第一配列が、
配列番号1の核酸配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する核酸変異体配列;
配列番号1に対する相補性核酸配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する核酸変異体配列に対する相補性核酸配列;
配列番号2のポリペプチド配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列;
配列番号2に対する相補性ポリペプチド配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列に対する相補性ポリペプチド配列;
からなる群より選択される前記方法。
(69) 第一配列と第二配列との間の相違を決定する工程が、多型性を同定する工程をさらに含む、(68)の方法。
配列番号1の核酸配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する核酸変異体配列;
配列番号1に対する相補性核酸配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する核酸変異体配列に対する相補性核酸配列;
配列番号2のポリペプチド配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列;
配列番号2に対する相補性ポリペプチド配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列に対する相補性ポリペプチド配列;
からなる群より選択される前記方法。
(71) 炭素-ハロゲン結合の加水分解を促進する条件下において、デンプンを含む物質を配列番号2及び配列番号2と実質的に同一な配列からなる群より選択されるポリペプチドと接触させることを含む、デンプン結合を加水分解する方法。
(72) ハロアルカン又はハロカルボン酸の分解を促進する条件下において、デンプンを含むサンプルを、
配列番号2のポリペプチド配列;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列;
配列番号2に対する相補性ポリペプチド配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有するポリペプチド変異体配列に対する相補性ポリペプチド配列;
からなる群より選択される配列を有するポリペプチドと接触させる工程を含む、デンプンの分解を触媒する方法。
(73) 配列番号1及び少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析若しくは目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する配列の断片によってコードされ、配列番号2及び少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析若しくは目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する配列のポリペプチドの少なくとも一つの特徴を保持する、機能性ポリペプチド断片若しくはその変異体を同定するためのアッセイであって、
配列番号2及び少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析若しくは目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する配列のポリペプチド;
配列番号1、少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析若しくは目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する配列、及び、前記いずれかの配列に対する相補性配列によってコードされる、ポリペプチド断片又はそれらの変異体;
を特定のポリペプチドが機能し得る条件下において基質分子と接触させる工程、及び、ポリペプチドと基質との間の反応によって生じる基質量減少若しくは反応生成物量増加のどちらかを検出する工程であって、前記基質量減少若しくは反応生成物量増加によって機能性ポリペプチドの存在が示される前記工程を含む前記アッセイ。
(74) 長さが約10〜50ヌクレオチドであって、配列番号1からなる群より選択される核酸配列の核酸標的領域に対して少なくとも50%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有するオリゴヌクレオチドを含む核酸プローブであって、
中〜高ストリンジェンシー条件下において前記核酸標的領域とハイブリダイズして検出可能な標的-プローブ二重鎖を形成する前記核酸プローブ。
(75) オリゴヌクレオチドがDNAである、(74)のプローブ。
(76) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも55%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(77) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも60%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(78) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも65%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(79) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも70%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(81) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも80%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(82) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも85%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(83) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも90%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(84) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも95%の相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(85) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して完全な相補性である少なくとも連続する10ヌクレオチドのセグメントを有する、(74)のプローブ。
(86) オリゴヌクレオチドが15〜50塩基の長さである、(74)のプローブ。
(87) プローブが検出可能な同位体標識をさらに含む、(74)のプローブ。
(88) プローブが、蛍光分子、化学発光分子、酵素、コファクター、酵素基質及びハプテンからなる群より選択される検出可能な非同位体標識をさらに含む、(74)のプローブ。
(89) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも90%の相補性である少なくとも連続する15ヌクレオチドのセグメントを有し、中〜高ストリンジェンシー条件下において核酸標的領域とハイブリダイズして検出可能な標的-プローブ二重鎖を形成する、(86)のプローブ。
(91) オリゴヌクレオチドが、核酸標的領域に対して少なくとも97%の相補性である少なくとも連続する15ヌクレオチドのセグメントを有し、中〜高ストリンジェンシー条件下において核酸標的領域とハイブリダイズして検出可能な標的-プローブ二重鎖を形成する、(86)のプローブ。
(92) 配列番号1の少なくとも一つの断片と同じ配列又は完全に相補性な配列を有するαアミラーゼ遺伝子の単離又は同定のための、ポリヌクレオチドプローブ。
(93) 配列番号2;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号2に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び、配列番号2からなる群より選択される配列を有するポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドを含み、液体である、タンパク質調製品。
(94) 配列番号2;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号2に対する相補性配列;及び、
少なくとも100残基の領域にわたって配列番号2に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、及び、配列番号2からなる群より選択される配列を有するポリペプチドのうちの少なくとも連続する10アミノ酸を有するポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドを含み、前記ポリペプチドが固体である、タンパク質調製品。
(95) 配列番号1;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号1に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;
からなる群より選択されるポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも一つのポリペプチド及び前記ポリペプチド断片を、少なくとも一つの小分子と混合して、少なくとも一つの生体触媒反応を介して少なくとも一つの改変小分子を生産する工程を含み、前記少なくとも一つのポリペプチドがαアミラーゼ活性を有する、小分子を改変するための方法。
(96) 少なくとも一つのポリペプチドが複数個のポリペプチドを含み、少なくとも一つの小分子が複数個の小分子を含み、それにより、複数個の生体触媒反応を介して複数個の改変小分子が生成されて改変小分子ライブラリーを形成する、(95)の方法。
(97) 所望の活性を示す特定改変小分子がライブラリー中に存在するかを決定するために、ライブラリーを試験する工程をさらに含む、(96)の方法。
(98) ライブラリーを試験する工程が、改変小分子の一部に対して所望の活性を有する特定改変小分子の有無を試験することによって、ライブラリーに含まれる複数個の改変小分子の一部を生成するために用いられる一つの生体触媒反応以外の全てを体系的に排除する工程、及び、所望の活性の特定改変小分子を生成する特異的生体触媒反応を同定する工程をさらに含む、(97)の方法。
(99) 特異的生体触媒反応が所望の活性の改変小分子を生成し、それが反復して行われる、(98)の方法。
各生体触媒は、特定の構造部分又は関連する構造部分の一群に対して特異的であって;かつ、
各生体触媒が、特定の生体触媒に対して特異的である特定の構造部分を含む複数個の小分子と反応する、(93)の方法。
(101) αアミラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列を含むクローニングベクターであって、前記配列が、
配列番号1;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号1に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;からなる群より選択される、前記クローニングベクター。
(102) αアミラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする配列を含む宿主細胞であって、前記配列が、
配列番号1;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号1に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;からなる群より選択される、前記宿主細胞。
(103) 配列番号1;
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体;
配列番号1に対する相補性配列;及び、
少なくとも約100残基の領域にわたって配列番号1に対して配列比較アルゴリズムを用いた解析又は目視検査によって決定する場合に少なくとも約50%の相同性を有する変異体に対する相補性配列;からなる群より選択される配列を有するポリヌクレオチド、及び、低〜高ストリンジェンシー条件下において前記配列を有する核酸とハイブリダイズする単離された核酸を含む宿主細胞内で複製し得る、発現ベクター。
(104) ベクターが、ウイルスベクター、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミド、フォスミド、バクテリオファージ、人工染色体、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター及びアデノ随伴ウイルスベクターからなる群より選択される、(101)又は(103)記載のベクター。
(105) (103)に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
(106) 宿主が、原核生物、真核生物、真菌、酵母、植物及び代謝性に富む宿主からなる群より選択される、(47)、(102)、(103)又は(105)のいずれか1つに記載の宿主細胞。
(107) デンプンを(30)のポリペプチドと接触させることを含む、デンプン含有組成物を液化するための方法。
(108) (107)の方法によって製造された液化シロップ。
(109) オリゴサッカライドのシロップ特性を有する、(108)の液化シロップ。
(111) 対象物を洗滌に充分な条件下で(30)のポリペプチドと接触させることを含む、対象物を洗滌するための方法。
(112) 繊維製品を糊抜きに充分な条件下で(30)のポリペプチドと接触させることを含む、繊維製品の糊抜きのための方法。
(113) 繊維を、繊維特性の改良に有効な量である(30)のポリペプチドと処理する、リグノセルロース繊維の処理のための方法。
(114) (30)のポリペプチドを繊維表面の効率的な脱インキに有効な量で使用する、再生紙パルプの酵素的脱インキのための(113)記載の方法。
(115) デンプンを液化に充分な条件下で(30)のポリペプチドと接触させることを含む、デンプン液化のための方法。
(116) (30)のポリペプチドを含む洗浄性添加剤。
(117) ポリペプチドが、配列番号2に示されるポリペプチド又はその機能的変異体である、(107)〜(116)のいずれか1つに記載の方法。
(118) 有効量の(30)のポリペプチドを用いてデンプンを液化し可溶性デンプン加水分解物を得ること、及び、前記可溶性デンプン加水分解物を糖化することによってシロップを得ることを含む、高マルトースシロップ又は高グルコースシロップ又は混合シロップを製造するための方法。
(119) デンプンが、コメ、発芽米、トウモロコシ、オオムギ、コムギ、マメ科植物及びサツマイモより選択される原料に由来する、(107)、(115)又は(118)のいずれか1つに記載の方法。
(120) 2番目のαアミラーゼ、βアミラーゼ又はそれらの混合物の添加をさらに含む、(107)、(115)又は(118)のいずれか1つに記載の方法。
(121) 産出作業の間に形成され、完成した掘削穴を囲む地下構造物内に見出される、粘着性でデンプンを含む有害な流体を除去することによって、前記地下構造物からの産出流体の流量を増加させる方法であって、
前記産出流体を前記掘削穴から流れ出させること;
前記構造物からの前記産出流体の流量を期待流速より減少させること;
水溶性流体と(30)のポリペプチドを一緒に混合することによって、酵素処理剤を調剤すること;
前記掘削穴内部の所望する位置に前記酵素処理剤をポンプで注入すること;
前記粘着性でデンプンを含む有害な流体を、前記酵素処理剤によって分解して前記地下構造物から前記掘削穴の表層に移動させること;
を含み、前記酵素処理剤がデンプンを含む流体中のαグルコシド結合に効果的に作用する前記方法。
(122) 酵素が配列番号2に示される、(121)の方法。
本実施例は、新規酸性アミラーゼの同定を示す。スクリーニング処理は、中性及び低いpHの条件下で行った。低いpHのサンプルから作製したDNAライブラリーを、発見のための標的とした。この試みは、デンプンを分解する能力を有する数百のクローンの発見を提供した。DNA配列解析及びバイオインフォマティック解析は、それらの遺伝子の多くを以前に同定されていないアミラーゼとして分類した。
生化学研究
アミラーゼゲノムクローンの生化学的分析は、その大部分がpH 6より低い最適pHを有することを示した。それらのゲノムクローンのライセートは、70℃、80℃、90℃又は100℃でインキュベーションしてからpH 4.5で残留活性を測定することによって、熱寛容性に対して試験した。80℃の熱処理後に50%より高く活性を維持しているクローンを、さらなる分析のために選択した。これらのクローンを90℃にて10分間、pH 6.0及びpH 4.5でインキュベートし、残留活性に対してpH 4.5で試験した。幾つかのクローンは、その処理後に40%より高い活性を維持していた。比較として、進化したアミラーゼである配列番号2の残留活性は、第二世代酵素の最高値と等価であった。配列番号2の特異的活性は、より強力であった。
90℃、pH 4.5の熱処理後に残留活性を有するクローンの熱安定性を、pH 4.5において室温、70℃及び90℃で測定した。表1は、配列番号7(B.ステアロサーモフィルスのアミラーゼ)及び配列番号8(B.リケニホルミスのアミラーゼ)の加水分解率は高温で減少するが、一方配列番号9に対する加水分解率は、温度が70℃に上昇されるまで増加し続け90℃で50%付近まで減少しただけであることを示している。
候補の評価
B.リケニホルミスのアミラーゼと比較したときの90℃でのデンプン加水分解率及び特異的活性を90℃の熱処理後のpH 4.5における残留活性に基づいて、デンプン液化アッセイにおいて配列番号5を進化したアミラーゼの配列番号2と比較した。
1.2つの基質溶液を、次のように調製する:
a)2%の可溶性デンプン(ジャガイモ)のpH 8溶液は、2 gのジャガイモデンプンを100 mlのpH 8の100 mMリン酸ナトリウムに溶解する;
b)2%の可溶性デンプン(ジャガイモ)のpH 10溶液は、2 gのジャガイモデンプンを100 mlの100 mM炭酸ナトリウムに溶解する。
両溶液は、デンプンが溶解するまで、混合しながら熱湯浴上で30〜40分間加熱する。
2.炭酸ナトリウム一水和物64 mg/ml、炭酸水素ナトリウム24 mg/ml及びBCA(4,4'-ジカルボキシ-2,2'-二キノリン二ナトリウム塩)(Sigma Chemical cat # D-8284)1.95 mg/mlから、溶液Aを調製する。これを蒸留水に加えた。
3.硫酸銅五水和物1.24 mg/mlとL-セリン1.26 mg/mlを混合して、溶液Bを調製する。混合物を蒸留水に加える。
4.溶液A及び溶液Bが1:1の割合の作用試薬(working reagent)を調製する。
5.蒸留水中10 mMマルトースのマルトース標準溶液を調製する。その10 mMマルトースを所望のpHの2%可溶性デンプンに混合して、最終濃度0、100、200、300、400、600 μMにする。一連の時点の各々に対して標準曲線を作製する。標準溶液10 μlを作用試薬に添加することによって標準曲線が決定されるので、結果として0、1、2、3、4、6 nmoleマルトースとなる。
6.基質溶液を1 mlずつ微小遠心分離チューブに分注して、ヒートブロック又は加熱した水浴上で所望の温度に平衡化する(5分)。酵素溶液50 μlをチューブの蓋の内側に加える。
7.溶液の平衡化を行っている間に、両溶液A及びBの5 mlを混合する。96ウェルPCRプレートに100 μlずつ分注する。それを氷上に静置する。
8.5分間の温度平衡化の後、チューブの蓋を閉めて、逆さにして、3回ボルテックスミキサーで攪拌する。直ちにプレートに10 μlずつ分注して、t=0(ゼロ時点)とした。酵素混合物をヒートブロック上に置き、所望の各時点で10 μlずつ分注する(例えば、0、5、10、15、20、30分)。
9.標準曲線のための標準溶液10 μlの添加のため、必ず12ウェルは空けておく(作用試薬のみを分注する)。
10.全時点を集めて標準溶液を加えたら、プレートを覆って80℃で35分間加熱する。プレートを10分間氷冷する。全部のウェルに100 μlのH2Oを加える。混合して100 μlを平底の96ウェルプレートに分注し、560 nmで吸光度を読取る。
11.各サンプルの時点の値を、それ自身のt=0に対してゼロ点調整する(t=0のA560平均値を他のA560平均値から減算する)。A560(実験値)をμmoleに変換する(A560(実験値)を標準曲線の傾きで割る(A560/μmole))。時点とμmoleの傾きを作製して(μmole/分)、100を掛ける(μmole値はアッセイで用いた10 μlを説明するだけであって、1 ml rxn中に作製された量ではない。)特異的活性を得るために、その傾き(μmole/分)をタンパク質のmgで割る。全部の測定点を少なくとも二つ組で行うべきであり、最もよいのは三つ組みで行うことである。実施例の標準曲線を、図5に示す。
スクリーニングするプラーク数は、プレートあたり約10,000 pfuであるべきである。各DNAライブラリーに対して、λZap発現増幅ライセートに対するpfu力価に依存して、単離されたライブラリーあたり少なくとも50,000プラーク、単離されていないライブラリーあたり少なくとも200,000プラークをスクリーニングするべきである。
λライブラリーの力価決定
1) μlのλZap発現増幅したライブラリーストックを、E.coli MRF'細胞(OD600=1.0) 600 μLに加えた。MRF'ストックを希釈するために、10 mM MgSO4を用いる。
2)37℃で15分間インキュベートする。
3)懸濁液を50℃のNZYトップアガー5〜6 mLに移して、穏やかに混合する。
4)アガー溶液を、直ちに広い(150 mm)NYZ培地プレート上に注ぐ。
5)トップアガーを完全に凝固させて(およそ30分)から、プレートを逆さにする。
6)そのプレートを39℃で8〜12時間インキュベートする。
7)プラークの数を概算する。ファージ力価は、プレートあたり10,000 pfuを与えるように定量する。必要に応じて、SM緩衝液を用いてライブラリファージの一定分量を希釈する。
基質のスクリーニング
1)増幅したライブラリー由来のλZap発現物(50,000 pfu)を、E.coli MRF'細胞(OD600=1.0)600 μLに加えた。非環境ライブラリーに対して、4つのチューブを調製する(チューブあたり50,000 pfu)。
2)37℃で15分間インキュベートする。
3)ファージ/細胞の懸濁液をインキュベートしている間、レッドスターチ(red starch)基質1.0 mL(1.2% w/v)を50℃のNZYトップアガー6.0 mLに加えて充分に混ぜる。必要となるまで、溶液を50℃で維持する。
4)細胞懸濁液の1/5(10,000 pfu)を基質/トップアガー溶液に移して、穏やかに混ぜる。
5)溶液を、直ちに広い(150 mm)NZY培地プレート上に注ぐ。
6)トップアガーを完全に凝固させて(およそ30分)から、プレートを逆さにする。
7)残りの細胞懸濁液に対して、手順4-6を4回繰返す(各回1/5の懸濁液)。
8)プレートを39℃で8〜12時間インキュベートする。
9)プラークの周囲の透明化ゾーン(ハロー(halo))についてプレートを観察した。
10)ハローを有するプラークをアガーから円形に取出し、滅菌したミクロチューブに移す。広い口径の200 μLピペットチップが、所望のプラークを含むアガー塊を取出す(芯を抜く)ことにうまく機能する。
11)ファージを、SM緩衝液500 μLに再懸濁する。さらなる細胞増殖を阻害するために、クロロホルム20 μLを加える。
12)純粋なファージ懸濁液は、次の工程の前に、室温で4時間又は一晩インキュベートする。
1)再懸濁したファージ懸濁液10 μLを、E.coli MRF'細胞(OD600=1.0)500 μLに加える。
2)37℃で15分間インキュベートする。
3)ファージ/細胞懸濁液をインキュベートしている間、レッドスターチ基質1 mL(1.2% w/v)を50℃のNZYトップアガー6.0 mLに加えて充分に混ぜる。必要となるまで、溶液を50℃で維持する。
4)細胞懸濁液を基質/トップアガー溶液に移して、穏やかに混合する。
5)溶液を、直ちに広い(150 mm)NZY培地プレート上に注ぐ。
6)トップアガーを完全に凝固させて(およそ30分)から、プレートを逆さにする。
7)プレートを39℃で8〜12時間インキュベートする。
8)単一プラーク(純粋なクローン)の周囲の透明化ゾーン(ハロー)に対してプレートを観察した。単一プラークが単離できなかった場合は、力価を調整して、再度ファージ懸濁液を蒔く。
9)ハローを有する単一プラークをアガーから円形に取出し、滅菌したミクロチューブに移す。広い口径の200 μLピペットチップが、所望のプラークを含むアガー塊を取出す(芯を抜く)ことにうまく機能する。力価を増幅するために、5つの単一活性プラークの中心を取出してミクロチューブに入れる。
10)ファージを、SM緩衝液500 μLに再懸濁する。さらなる細胞増殖を阻害するために、クロロホルム20 μLを加える。
11) 純粋なファージ懸濁液は、次の工程の前に、室温で4時間又は一晩インキュベートする。この純粋なファージ懸濁液は、ファージ懸濁液にDMSOを加えて(7% v/v)−80℃で保存する。
純粋なクローンの切出し
1)純粋なファージ懸濁液100 μLをE.coli MRF'細胞(OD600=1.0)200 μLに加える。
それに、エックスアシスト(ExAssist)ヘルパーファージ(>1×106 pfu/mL;Stratagene)1.0 μLを加える。切出しのために、2059ファルコンチューブを用いる。
2)懸濁液を37℃で15分間インキュベートする。
3)細胞懸濁液に、2×YT培地3.0 mLを加える。
4)振盪しながら、30℃で少なくとも6時間又は一晩インキュベートする。
5)チューブを20分間、70℃に移行する。このファージミド懸濁液は、4℃で1〜2ヶ月間保存することができる。
6)ファージミド懸濁液100 μLをE.coli Exp 505細胞(OD600=1.0)200 μLを含むミクロチューブに移す。
7)懸濁液を37℃で15分間インキュベートする。
8)その懸濁液にSOB 300 μLを加える。
9)懸濁液を37℃で30〜45分間インキュベートする。
10)懸濁液100 μLを、Zap発現DNAライブラリーのためのカナマイシン(カナマイシン50 μg/mLを含むLB培地)を含む小さい(90 mm)LB培地プレート又はZap II DNAライブラリーのためのアンピシリン(カナマイシン100 μL/mLを含むLB培地)を含む小さい(90 mm)LB培地プレートに移す。
11)懸濁液の残りを、別の小さいLB培地プレートに移す。
12)懸濁液をプレート上に均一に分布させるために、滅菌ガラスビーズを用いる。
13)プレートを30℃で12〜24時間インキュベートする。
14)プレートのコロニーを観察する。
15)適切な抗生物質を含むLB液体培地に単一コロニーを接種して、30℃で12〜24時間インキュベートする。
16)液体培養物(15% v/v)に80%グリセロールを加えることによって、グリセロールストックを調製して−80℃で保存することができる。
1)液体培養物50 μLをミクロチューブに移す。同じチューブにpH 7の8%アミロペクチン・アズーレ(Azure)500 μLを加える。各クローンに対して2つのチューブを調製する。
2)活性を、50℃において3時間及び一晩で試験する。コントロールとしてpH 7の緩衝液を用いる。
3)このテスト試料を氷水浴で5分間冷却する。
4)エタキノール(Ethaqnol)750 μLを加えて、完全に混ぜる。
5)13000 rpm(16000 g)で5分間、遠心分離する。
6)上清のODを595 nmで測定する。
RFLP分析
1)液体培養物1.0 mLを滅菌ミクロチューブに移す。
2)13200 rpm(16000 g)で1分間遠心分離する。
3)上清を捨てる。同じ滅菌ミクロチューブに液体培養物をさらに1 mL加える。
4)13200 rpm(16000 g)で1分間遠心分離する。
5)上清を捨てる。
6)プラスミド単離のためのQIAprepスピンミニキットのプロトコルに従う。
7)バイオフォトメーター(BioPhotometer)を用いて、DNA濃度を調べる。
8)第1の二重消化のためにSac I及びKpn Iを用いる。37℃で1時間インキュベートする。
9)第2の二重消化のためにPst I及びXho Iを用いる。37℃で1時間インキュベートする。
10)消化したサンプルに、泳動用のダイを加える。
11)その消化したサンプルを、1.0%アガロースゲル上で120ボルトにて1〜1.5時間泳動する。
12)ゲルイメージャーを用いてゲルを観察する。異なった消化パターンを有するクローン全てを、配列解析に持込む。
宿主培養物の調製
1.XL1-Blue MRF'宿主細胞の一夜培養を開始する。画線培養プレートに由来する単一コロニーを用いて、テトラサイクリン20 μg/mLを補充したLB 10 mLに接種する。一夜培養液を37℃で振盪しながら、少なくとも16時間増殖させる。
2.無菌技術を用いて、LBTet一夜培養物に由来するXL1-Blue MRF'宿主を新しいLBTet一日培養液100 mLに接種する。
3.37℃の振盪機中でODが0.75〜1.0に達するまで増殖させる。
4.宿主細胞を10分間の1000×gでペレットにして、OD5になるように10 mM MgSO4に穏やかに再懸濁する。
5.力価測定及びピンツーリング(pintooling)に用いるために、少量の宿主細胞をOD1まで希釈する。
6.宿主調製品は、1週間までは氷上又は4℃で保存して用いることができる。
注解
- 一日培養の増殖時間を短縮するためには、LBに通常の1/2のテトラサイクリン濃度を用いる(1/2×=10 μg/mL)、又は抗生物質を全て取り除く。
- テトラサイクリンを用いて選択する際には、NZYを使用しない。NZY培地中の高いMg2+濃度は、テトラサイクリンを不活性化させる。
λライブラリーの力価測定
7.ラックに3つの滅菌ミクロチューブを置いた。
8.1つのチューブに調製した宿主細胞を995 μL、残り2つのチューブの各々にはOD1に調製した宿主細胞を45 μL分注した。
9.995 μLの宿主細胞を含むチューブにλライブラリーを5 μL加えて、ボルテックスミキサーによって混合した。これにより、希釈係数が200となった。
10.先の希釈物を、調製した宿主細胞45 μLを含む残りの2つのチューブに連続して5 μL加えて、1/2,000及び1/20,000の希釈物を調製した。各希釈物を作製した後に、ボルテックスミキサーによって混合した。
11.37℃で15分間インキュベートすることによって、ファージを宿主に吸着させた。
12.その間に、OD1に調製した宿主細胞100 μLを3つのファルコン2059チューブの各々にピペットで移し入れた。
13.各希釈物5 μLを、宿主細胞を含む別々の2059チューブに加えた。
14.トップアガー3 mLを各チューブに加えてから素早く90 mmのNZYプレート上に注ぎ、各々を蒔いた。トップアガーが硬化する前に、平らで均一に分布させた。
15.プレートを逆さにして、37℃で一晩インキュベートした。
16.プラークを数えて、ライブラリーストックの力価を計算した(μLあたりのプラーク形成単位(pfu))。
準備
計画したスクリーニングの量に対して、充分な量のXL1-Blue MRF'宿主培養物を上述のように調製する。
1.QFill2ディスペンサーと適合する種々のボトルをオートクレーブする。それらは、蓋の周囲のシーリングリングを含む250 mLの広口コーニングボトルである。
2.スクリーニングのために利用可能な充分量のプレート、トップアガー、BODIPYスターチ、レッドスターチ溶液等があることを確認する。
3.Automationからの代表値(representative)を用いて、2日目のロボット運転の予定を立てる。
第1日目
1.1536ウェルプレート(黒)を、ライブラリースクリーン番号及びプレート番号で標識する。半分の幅になるように切断したタフ-タグ(Tough-Tag)(商標)チューブステッカーが、1536ウェルプレートを標識するために理想的である。
2.スクリーニングのために必要なライブラリー、宿主細胞及びNZY培地の体積を算出する。これは、Excelスプレッドシートを用いて容易に行なわれる。
3.算出した量のλライブラリー及びOD5の宿主細胞を、滅菌した250 mLの広口コーニングボトル(シーリングリングを含む)で混合する。
4.37℃で15分間、吸着を起こさせる。
5.算出した量のNZY培地を加えて、よく混ぜる。これを細胞-ファージ-培地懸濁液と呼ぶ。
6.ファルコン2059チューブで細胞-ファージ-培地懸濁液50 μLをOD1の宿主細胞250 μLと混合してから、9 mLのトップアガーを用いて150 mmのNZYプレート上に蒔くことによって付随(concomitant)力価を実行する。付随力価プレートを37℃で一晩インキュベートする。
7.その懸濁液の残りをディスペンサーに装填して、各々の標識した1536のウェルのプレートにウェルあたり4 μLずつ入れる。ディスペンサーが幾つかのウェルに空気の泡を残している場合は、そのプレートを200×gで1分間遠心分離することによって空気の泡を取除くことができる。
8.アッセイプレートの少なくとも2つのウェル位置AD46に、ポジティブコントロールファージ0.5 μLを加える。その目的のために、強力なアミラーゼ陽性のλクローンを用いる。
9.アッセイプレートを95%以上に加湿したインキュベータ中で、37℃にて一晩インキュベートする。
17.付随力価プレート上のpfuを計数して、ウェルあたりの平均播種密度を決定する(ウェルあたりのpfu)。
18.各ライブラリースクリーニングの少なくとも2つのプレート(好ましくはポジティブコントロールを含む2つ)に、次のようにピンツール(pintool)を行う。
a)ピンツールを行うための表面としての役割を果たす2つの宿主菌叢プレートを調製する:
OD1の宿主細胞250 μLを2%レッドスターチ2 mLと混合して、9 mLのトップアガーを用いて150 mmのNZYプレート上に蒔く。プレート全体にわたって均一な赤の色合いにするために、トップアガーが固まる間、各プレートをできる限り水平に保つ。
b)2回火炎滅菌した1536の位置のピンツールを用いて、宿主菌叢プレート上にスクリーニングプレートを少なくとも2つ複製する。
c)ピンツールを行ったレシピエントプレートを、層流フード中で蓋を外して約15〜30分間置く(過剰な水分を蒸発除去するため)。
d)蓋を元に戻して、逆さにして37℃でインキュベートする。
19.2×BODIPYスターチ基質緩衝液を、次のように調製する:
a)全部のスクリーニングプレートに対してウェルあたり4 μLで必要とされる2×基質緩衝溶液の全体積(ディスペンサーが必要とする余分なデッドスペース体積を含む)を算出して、その算出した体積の100 mM CAPS pH 10.4を、使用するディスペンサーに対して適切な容器に測り入れる。
b)必要量の2×基質緩衝液(上の工程a)で算出した)を最終濃度20〜30 μg/mLで作るのに充分なBODIPYスターチの0.5 mgチューブを取出す。
c)各0.5 mgチューブにDMSO 50 μLを入れ、光から保護して、頻繁にボルテックスミキサーで攪拌しながら室温で溶解する。これは15分より長くかかり、BODIPYスターチの幾つかの製品ロットは、他のものよりもよく溶解する。
d)各チューブにpH 10.4の100 mM CAPS緩衝液50 μLを加えて、ボルテックスミキサーによって混合する。
e)全部のチューブの内容物をプールしてミクロチューブに入れ、最高速度で1分間遠心分離することによって、溶解しなかった凝集物を除去する。
f)その上清を、上の工程a)で計量した100 mM CAPSの残りに加える。
g)ホイルで包むことにより、この2×基質緩衝液を光から保護する。
20.プレート及び基質緩衝液を自動制御室に運び、次のパラメータを用いてロボットをプログラミングする:
a)ウェルあたりの基質緩衝液4 μLを除く。
b) 読取りの間は37℃でインキュベーションしながら、第1番目は基質を入れた1時間後に読取り、第2番目は9時間後に読取り、第3番目は17時間後に読取る。
c)励起フィルター:485 nm;発光フィルター:535 nm
d)Spectrafluorゲインを70にセットする。
e)使用するインキュベータがアッセイプレートを光から保護することを確認する。
1.関連するアッセイプレート上のウェルに対応する全ての位置において、ピンツールを行ったプレートを細菌叢中の透明化について調べる。ピン位置のいずれかにおけるレッドスターチの透明化についても調べる。ポジティブコントロールを含むプレートをピンツーリングに用いた場合、赤色の地色に広い透明化ゾーンを見ることができるであろう。レッドスターチに透明化ゾーンを形成する汚染物質にも注意する(実施例4の最後の「レッドスターチに透明化ゾーンを形成する汚染物質」の注解を参照)。
2.ロボットコンピュータによって制作されたデータファイルから、推定ヒットを同定する。Engineeringによって制作されたKANALプログラムは、データ解析を簡単にする。大まかに言うと、推定ヒットは、バックグラウンドより少なくとも1.5倍増加しているシグナル強度を有するウェルとして特徴付けられる。
3.各々の推定に対して、ウェルから2 μLを取って、500 μLのSM緩衝液及び50 μLのCHCl3を含むチューブに加える。混合するためにボルテックスを行い、4℃で保存する。これ以降はこの溶液を4e-3ストックと呼ぶ。元のスクリーニングプレートは、少なくともブレイクアウト(breakout)が完了するまで、光から保護して4℃で保存すべきである。
これが、推定ヒットを取り出す推奨方法である。この方法は、BODIPYスターチに関する活性の確認を基にする、液相アッセイである。あるいは、レッドスターチを含む固相プレート上に推定ヒットを直接蒔いて、ヒットあたり2,000〜3,000 pfuを透明化ゾーンについて調べることもできる。しかしながら、レッドスターチ上の透明化ゾーンを観察できないことは、推定ヒットが偽陽性であることを必ずしも示さない。その場合、本来同定された形式(すなわち、基質としてBODIPYを用いている液相)を用いてアッセイすることを必要とする。加えて、非常に弱い陽性は、下に詳しく述べた方法を用いることによって、さらに容易に同定することができる。
1.50 mLの滅菌コニカルチューブ中で、OD5の宿主細胞0.5 mLをNZY 45.5 mLと混合する。これを、宿主-培地懸濁液と呼ぶ。
2.各々の推定ヒットを分析するために、3つの滅菌ミクロチューブの各々に宿主-培地懸濁液を1 mLずつ分注する。
3.12チャンネルピペットマンを、分注量20 μL、分注数2×のマルチディスペンスモードにセットする。ピペットマンに、汚染されていない滅菌チップ一式を装着する。
4.約1 mLの宿主-培地懸濁液を新しい滅菌溶液深皿(basin)に注ぎ、マルチチャンネルピペットマンに装填する。
5.黒色384ウェルプレートの最後の行(行P)に、ウェルあたり20 μLを分注する(12チャンネル×2=24ウェル)。この行は、コントロールのために後で用いる。
6.深皿の表面にチップを接触させてピペットマンのリセットボタンを押すことによって、チップに残った液体を排出する。ピペットマンを寝かせて置き、チップの汚染を防ぐ。この時点では、チップを変える必要はない。
7.深皿中の残りの液体を、はね返り汚染を避けるように注意しながら、廃棄物容器(ビーカーのような)に注ぐ。
8.第一の推定を分析するために、4e-3ストック(アミラーゼに対するλミクロタイタースクリーニングの第2日目を参照)を111 μLとって、1 mLの宿主-培地懸濁液を含む3つのチューブのセット(工程2)の最初のチューブに加える。ボルテックスミキサーによって混合する。これが希釈物Aである。
9.希釈物Aを111 μL取って、セットの次のチューブに加える。ボルテックスミキサーによって混合する。これが希釈物Bである。
10.希釈物Bを111 μL取って、セットの最後のチューブに加える。ボルテックスミキサーによって混合する。これが希釈物Cである。その時点で、各々が10倍ずつ異なる濃度の3つのファージ希釈物を有するはずである。
11.希釈物C(3つのサンプルのうち最も低濃度)の内容物を溶液深皿に注ぎ、マルチチャンネルピペットマンに装填する。
12.384ウェルプレートの最初の行に、ウェルあたり20 μLを分注する(12チャンネル×2=24ウェル)。
13.深皿の表面にチップを接触させてピペットマンのリセットボタンを押すことによって、チップに残った液体を排出する。ピペットマンを寝かせて置き、チップの汚染を防ぐ。この時点では、チップを変える必要はない。
14.上述のように深皿を空ける。
15.希釈物Bの内容物を同じ深皿に注ぎ、マルチチャンネルピペットマンに装填する。
16.384ウェルプレートの2番目の行に、ウェルあたり20 μLを分注する。
17.工程13-16を同様に行い、希釈物Aをプレートの3番目の行に分注する。
18.3つの希釈物全てをプレートの最初の3つの行に入れ終えた後で、チップ全部と溶液深皿をバイオハザード廃棄物容器に捨てる。
19.汚染されていない滅菌チップ一式をピペットマンに装着して、新しい滅菌溶液深皿を開封する。
20.プレート上の残りの行を行Oまで用いて、残りの推定ヒットの各々に対して工程8-19を繰返す。最後の行(行P)をコントロールのために残しておくと、1つの384ウェルプレート上で5つの推定ヒットを分析することができる。
21.各コントロールの0.5 μLを別々のウェルに加える。少なくとも2〜3の別々のコントロール、好ましくは活性範囲をカバーする別々のコントロールを用いる。
22.95%以上に加湿したインキュベーター中に、アッセイプレートを37℃で一晩インキュベートする。
1.384の位置のピンツールを使用すること以外は、アミラーゼに対するλミクロタイタースクリーニングの第2日目に対して記述したのと同じ方法を用いて、レッドスターチを含む宿主菌叢上に全てのブレイクアウトプレートをピンツールする。
2.次のように、2×BODIPYスターチ基質緩衝液を調製する:
a)ウェルあたり20 μLとして必要とされる2×基質緩衝溶液の全体積(ディスペンサーが必要とする余分なデッドスペース体積を含む)を全ブレイクアウトプレートに対して算出して、用いるディスペンサーに適切な容器に、その量の100 mM CAPS pH 10.4をはかり取る。
b)必要量の2×基質緩衝液(上の工程a)で算出した)を最終濃度20〜30 μg/mLで作るために充分なBODIPYスターチの0.5 mgチューブを回収する。
c)各0.5 mgチューブにDMSO 50 μLを入れて、光から保護して、頻繁にボルテックスミキサーで攪拌しながら室温で溶解する。これは15分より長くかかり、BODIPYスターチの幾つかの製品ロットは他のものよりもよく溶解する。
d)各チューブにpH 10.4の100 mM CAPS緩衝液50 μLを加えて、ボルテックスミキサーによって混合する。
e) 全部のチューブの内容物をプールしてミクロチューブに入れ、最高速度で1分間遠心分離することにより、溶解しなかった凝集物を除去する。
f) その上清を、上の工程a)で測定した100 mM CAPSの残りに加える。
g)ホイルで包むことにより、この2×基質緩衝液を光から保護する。
3.全部のブレイクアウトプレートに、ウェルあたり20 μLを分注する。
4.全部のプレートをアルミニウムホイルで包み、室温で2〜6時間インキュベートする。
5.次の設定を用いて各プレートをSpectrafluorで読取る。
a)蛍光を読取る(励起フィルター:485 nm;発光フィルター:535 nm)。
b)プレート定義:384ウェル黒色
c)トップから読取る。
d)最適ゲイン
e)フラッシュ数:3
6.得られたExcelスプレッドシート上に、各推定ヒットの3行を別々のグラフに記して、活性を調べる。ポジティブコントロールはバックグラウンドを越えるシグナルを必ず生じるようにする。
7.ウェルのうち真のシグナルを有すると思われる推定の各々に対して、次のように陽性ウェルからサンプルを収穫する:
a)最高値の初回希釈物を示す行から陽性ウェルを選択する。
b)500 μLのSM及び50 μLのCHCl3を含むチューブに、そのウェルから2 μLを移す。これをブレイクアウトストックと呼ぶ。
c)4℃で保存する。
8.先に記述した方法を用いて、レッドスターチを用いた150 mmのNZYプレート上に各ブレイクアウトストックの約10 μLを蒔く。その目的は、幾つかの(少なくとも20)よく分離したプラークを得ることであり、その分離したプラークからコアを抜く。
1.関連するアッセイプレート上のウェルに対応する細菌叢において、ピンツールを行ったプレートを条件に合った透明化の発生について調べる。ポジティブコントロール及び試験した推定ヒットのレッドスターチにおける透明化も調べる。レッドスターチ中に透明化ゾーンを形成する汚染物質にも注意する(下を参照)。
2.ブレイクアウトストックの希釈物を含む固相プレートから、幾つかの分離したプラークのコアを抜いて、各々を500 μLのSM及び50 μLのCHCl3に入れる。これを分離ストックと呼ぶ。
3.次に上述の方法を用いて、その分離ストックをBODIPYスターチで別々に試験することができる。工程2でコアを抜いたプラークがレッドスターチの地色に透明化ゾーンを生じた場合は、本工程を省略することができる。次に分離ストックを、上述の方法を用いてBODIPYスターチで別々に試験する。しかしながら、工程2でコアを抜いたプラークがレッドスターチの地色に透明化ゾーンを生じた場合は、本工程を省略してもよい。
第1日目
1.ファルコン2059チューブ中で、OD1のXL1-Blue MRF'宿主200 μL、λ分離ストック100 μL及びエックスアシストファージストック1 μLを混合する。
2.37℃の振盪機中で15分間インキュベートする。
3.3 mLのNZY培地を加える。
4.30℃の振盪機中で一晩インキュベートする。
第2日目
1.切出しチューブを70℃まで20分間加熱する。
2.1000×gで10分間遠心分離する。
3.ファルコン2059チューブ中で、上清50 μLをOD1のEXP505宿主200 μLと混合する。
4.37℃の振盪機中で15分間インキュベートする。
5.300 μLのSOB培地を加える。
6.37℃の振盪機中で30〜45分間インキュベートする。
7.滅菌ガラスビーズを用いて、広いLBKan50プレート上に50 μLを蒔く。プレートが「乾燥している」場合には、余分なSOB培地を加えて、細胞の分配を助けることができる。
8.プレートを30℃で少なくとも24時間インキュベートする。
9.シークエンシング及び/又はRFLPのために、分離物を培養する。
30℃での増殖は、プラスミドのコピー数を減少させて、幾つかのアミラーゼクローンの見かけ上の毒性を軽減することに用いられる。
レッドスターチ中に透明化ゾーンを形成する汚染物質
アミラーゼ活性に対してファージをアッセイするために固形培地上にレッドスターチを用いる場合、一般的にはレッドスターチ中に透明化ゾーンを形成する汚染コロニー形成ユニット(cfu)が見られる。ピンツールを行ったプレートに対して、特定のウェル位置で整列化する場合はいつでも、汚染物質からアミラーゼ陽性ファージクローンを識別することが重要である。汚染微生物の供給源は、おそらくは、調製後にオートクレーブ又はフィルタリングによって滅菌できない2%レッドスターチ貯蔵液である。それら汚染微生物はレッドスターチを代謝することによって生存する日和見性生物であると考えられる。それらの汚染物質を減少させるために、2%レッドスターチ溶液を作製する際に滅菌技術を使用して、その貯蔵液は4℃又は氷上で保存する。その貯蔵液は1〜2週間ごとに交換するか、又は汚染物質の高発生が観察されるときはいつでも交換する。
9つの断片(各々は約150 bp)は、オープンリーディングフレーム全体を網羅している配列番号6、配列番号66、配列番号67の親クローンの各々から増幅した。そのプライマーを、表3で与える。
リアッセンブリーされたαアミラーゼのスクリーニング
配列番号6、配列番号66、配列番号68の親クローンに由来するpMYCを含むトランスフォームされたシュードモナス・フルオレセンス(MB214)を、FACSによって96ウェルプレート又は384ウェルプレートに分取し、6 M尿素を用いて処理した。RBBスターチ及び/又はFITCスターチを基質として用いた第1のスクリーニングを、より詳しく下に記述するように行った。RBBスターチを基質として用い、誘導した培養物を用いて液化アッセイにより、増加した活性クローンをスクリーニングした。液化データに基づいて、新しく増加した活性クローンを保存してシークエンシングを行った。
リアッセンブリーされたアミラーゼをトランスフォームしたライブラリー(MB214(Pf))を集めて、96ウェルプレート(又は384ウェルプレート)において、ウェルあたり1細胞にてテトラサイクリンを補充したLB50 μl中に分取した。そのプレートを30℃で24時間インキュベートした。保存のために、各ウェルに対応する複製プレートを作製した。各ウェル及び複製プレートに12 M尿素45 μlを加えて、10分間振盪した。プレートを室温で少なくとも1時間静置して、そのライセートを4℃で保存した。
RBBスターチ基質(50 mM NaAc緩衝液中に1%のRBB不溶性コーンスターチを含む、pH=4.5)75 μlを、新しい96ウェルプレート(V底)の各ウェルに加えた。バイオメック(Biomek)又はザイマーク(Zymark)を用いて、基質を含む各ウェルに酵素ライセート5 μlを移した。そのプレートをアルミニウムシーリングテープでシールして、振盪器上で短時間振盪した。そのプレートを90℃で30分間インキュベートし、続いて室温で約5〜10分間冷却した。100 μlの100%エタノールを各ウェルに加え、そのプレートをシールして振盪器上で短時間振盪した。次に、ベンチトップ(bench-top)遠心機を用いて、そのプレートを4000 rpmで20分間遠心分離した。100 μlの上清を、バイオメックによって新しい96ウェルプレート(平底)に移して、OD595を読取った。コントロール:配列番号10、配列番号66、配列番号68。
FITCスターチを用いたアッセイ
基質(100 mM NaAc緩衝液中に0.01%のFITCスターチを含む、pH=4.5)50 μlを、新しい384ウェルプレートの各ウェルに加えた。基質を含む各ウェルに酵素ライセート5 μlを移し、そのプレートを室温で一晩インキュベートした。各ウェルに対して、基質の偏光変化(励起485 nm、発光535 nm)を読んだ。コントロール:配列番号10、配列番号66、配列番号68。好ましくは、全部のアッセイに96ウェルプレートを用いる。
新しい活性クローンの確認
標準的プロトコルを用いて、スクリーニング由来の陽性クローンの各々を増殖させて誘導した。増殖(すなわち、時間に伴う細胞密度)、細胞レベルあたりでの活性(RBBスターチアッセイ及び液化アッセイ)、発現(タンパク質ゲル)及びタンパク質の溶解性(顕微鏡分析による)に対して、各クローンを調査した。確かめられた新しい増殖したクローンを、発酵に移行させた。親より強度なアミラーゼ活性を有する一つのクローンは、配列番号2(配列番号1によってコードされる)に記載の酵素を含んでいる。
この実施例は、市販のバチルス・リケニヒルミス及びバチルス・ステアロサーモフィルスのアミラーゼに対して、本発明の酵素である配列番号10及び配列番号2から得られた液化オリゴサッカライドパターンを特徴付ける。これらの結果から、本発明のアミラーゼ及び市販のアミラーゼによって作製されたシロップに由来する糖化の経過及び最終デキストロースレベルを考察した。
3つの市販の酵素、ジェネンコア・スペザイム(Genencor Spezyme)AA及び他の2つは全て、目標デキストロース当量(DE)を達成するために推奨用量の2倍より多く必要とした。デキストロース当量(DE)は還元糖全体の濃度を測定するための業界標準であって、乾燥質量主に対するD-グルコースとして算出される。加水分解されていない顆粒状デンプンは事実上0のDEを有しているが、一方D-グルコースのDEは100として定義されている。
本実施例により、全バチルスアミラーゼの「2倍用量」効果を確認する。本発明によればまた、配列番号2について試験で観察した用量も、より通常条件下で必要とされるであろう値の2倍であるという提案が更に信頼性を増す。予測した「通常」の用量、pH 4.5で19DEに到達するデンプン1キロあたり60〜70ユニット、は実験上の液化データと一致する。
本発明のアミラーゼによって生成したオリゴサッカライドパターンは、バチルスアミラーゼによるものの特性と異なっている。バチルスアミラーゼに対する分子量分布(光散乱及び粘性による検出を用いたゲル透過クロマトグラフィー)は、たとえ18DEであっても、非常に高分子量範囲(300,000より大きい)に実質的な画分を有する二峰性である。18DEにおける配列番号2は、20,000より大きいものが無い均一な分布を示す。このことは、本発明のシロップに対する低い粘性に一致している。HPLCによって測定されたDP(重合度)特性も、作用パターンにおけるその相違を反映している。
先の研究及び本研究では、本発明のアミラーゼシロップ対バチルスシロップの糖化後の最終グルコースレベルは両方の場合について同じである。しかしながら、現在では本質的研究及びGPC研究から充分な糖化データを得て、本発明のアミラーゼについて非デキストロース残留物はバチルスアミラーゼシロップと異なることが確認されている。デキストロース及びマルトースのレベルは両方に対して本質的に同じであるが、本発明のアミラーゼは、バチルス酵素に対してより高レベルのDP3画分とより少ない量の「高重合度のもの」を有する。糖化後の本発明のシロップがDP7より大きな画分を低い含有量で有することは、液化後に高分子量断片が存在しないことと一致する。
配列番号2のアミラーゼ濃縮物は、加熱処理、細胞洗滌、精密濾過法を用いたアルカリ性抽出及び限外濾過によって、発酵ブロスから調製した(全収率48%)。UF濃縮物を酢酸で中和し、30%グリセロールと共にpH4.5に調合した。スラリー形態の活性レベルは、市販製品の代表値(120 U1/g-0.5 kg/tスターチ)であった。
5 mMのPNP-α-D-ヘキサ-(1→4)-グルコピラノシドを含むpH 7.0の50 mM MOPS 950 μLを含む1 mLのキュベットを、80℃まで予備加熱したベックマンDU-7400分光光度計のペルティエ温度制御装置の中に置いた。分光光度計は405 nmでブランクをとり、キュベットに50 μLの酵素溶液を加えてよく混合し、OD405 nmにおける増加を1分間のインターバルにわたってモニターした。50 mM MOPS 950 mL中の1 μモル/mL PNP 50 μLのpH 7.0、80℃におけるOD405 nmの応答から、ΔOD405 nm/分の比率をμモル/分の標準ユニットに変換する。一つの標準的な熱安定性αアミラーゼのディヴァーサ(Diversa)ユニット(DTAA)は、規定したアッセイ条件下で1 μモル/mL/分のpNPの放出を触媒する酵素量と同等である。
標準的なグルコアミラーゼ活性のアッセイ
5 mMのpNP-α-D-グルコピラノシドを含むpH 7.0の50 mM MOPS 950 μLを含む1 mLのキュベットを、60℃まで予備加熱したベックマンDU-7400分光光度計のペルティエ温度制御装置の中に置いた。分光光度計は405 nmでブランクをとり、キュベットに50 μLの酵素溶液を加えてよく混合し、OD405 nmにおける増加を1分間のインターバルにわたってモニターした。50 mM MOPS 950 mL中の1 μモル/mL PNP 50 μLのpH 7.0、60℃におけるOD405 nmの応答から、ΔOD405 nm/分の比率をμモル/分の標準ユニットに変換する。グルコアミラーゼの一つの標準的なDiversaユニット(DGA)は、規定したアッセイ条件下で1 μモル/mL/分のpNPの放出を触媒する酵素量と同等である。
DEを測定するために、ネオクプロイン(neocuproine)法を用いた。選択したサンプルを、本発明の両手法及びGPCフェーリング手法を用いたGPC分析によって測定した。
ネオクプロインアッセイ
サンプル100 μlをネオクプロイン溶液A(40 g/L炭酸ナトリウム、16 g/Lグリシン、0.45 g/L硫酸銅)2.0 mlに加えた。それにネオクプロイン溶液B(1.2 g/Lネオクプロインハイドロクロリド Sigma N-1626)2.0 mlを加えた。そのチューブを混合して熱湯浴中で12分間加熱し、冷却し、DI水で体積10 mlに希釈して、分光光度計で450 nmにおけるODを読取った。同時に0.2 mg/mlグルコース標準ランの応答から、サンプル中のグルコース当量を推定した。
正確な希釈率を記録しながら、デンプンサンプルをDI水で約1〜16倍に希釈する。希釈したサンプル10 mlをDI水20 mlに加えた。10 mlのフェーリング溶液A及びBを、希釈したデンプンに加えた。そのサンプルを3分間煮沸して、氷冷した。10 mlの30% KI及び10 mlの6N H2SO4を加えた。その溶液を0.1 Nチオ硫酸ナトリウムで再度滴定した。滴定量を記録して、DEを算出することに用いる。
残留デンプンの定量
ステーリー(Staley)ヨウ素法を用いて、糖化後のサンプルの残留デンプンを調べた。
サンプル20 gを広い秤量皿に量り取った。ヨウ素溶液45 μLをその秤量皿に加えて、デンプン溶液をよく混合した。濃青色はデンプンの存在を示し、淡青緑色は少量のデンプンを示し、淡緑色は微量のデンプンを示し、黄色〜赤色はデンプンが存在しないことを示す。ヨウ素溶液は、1 Lの水に21.25 gのヨウ素及び40.0 gのヨウ化カリウムを溶解することによって調製する。
オリゴサッカライド特性
液化炭水化物及び糖化炭水化物の特性は、屈折率検出を用いて、HPLC(カルシウム形態Bio-Rad Aminex HPX-87Cカラム−80C)によって測定した。
ゲル透過クロマトグラフィー
分子量の分布は、屈折率による質量検出を用いたPLアクアゲル(Aquagel)-OHカラム上のクロマトグラフィー(ウォーターズ・モデル2410)によって決定した。連続的な粘性及び光散乱測定のために、ビスコテック・モデルT60検出器を用いた。
キャピラリー電気泳動
ベックマン・コールターP/ACE MDQグリコプロテインシステム-溶解シリカキャピラリー上のAPTS誘導体化されたオリゴサッカライドの分離-レーザー誘起された蛍光による検出。
ライン(line)のデンプンは、GPC処理からそのまま、液化の前にpH、DS(乾燥固形)及びカルシウムレベルを調整し得る60リットルの供給タンクにポンピングされる。アミラーゼをスラリーに添加する。32% DSスラリーは、容積移送式ポンプによって0.7リットル/分でジェット(jet)- 蒸気噴射によってデンプンスラリーが瞬間的に100℃より高温に加熱される、加圧式混合チャンバー -にポンピングされる。ゼラチン化され部分的に液化されたデンプンは、その温度で所望の滞留時間(5分)を与えられるように、配管ネットワークを通じて(依然圧力を受けて)ポンピングされる。圧力はフラッシュ・タンクに放出され、サンプルを取り出すことができる。サンプルは、繰返して(in duplicate)取出した。
第2の液化
液化したデンプンを1リットルのガラスボトルに集めて、水浴中に95℃で90分間保持した。
糖化
液化したデンプンを60℃に冷却し、pHを4.5に調整して、そのサンプルをグルコアミラーゼで処理した。糖化の経過を、長時間にわたりHPLCによってモニターした。
分析のための液化シロップの調製
これらの試みは、3つのアミラーゼ;配列番号10、配列番号2、市販のB.リケニホルミスアミラーゼに対してDEが約12及び18である液化シロップを得るために行った。3つのレベルのグルコアミラーゼを用いて、シロップを糖化した。その液化シロップを、HPLC及びゲル透過クロマトグラフィーによっても分析した。
糖化
あらゆる残留アミラーゼを不活性化するために、各アミラーゼを用いて生成した液化シロップを、90分間の第2の液化の後、直ちに6N HClを用いてpH 約2.5に調整した。次にそのシロップをpH 4.5に調整し、60℃の水浴中に置いて、3つのレベルのグルコアミラーゼを用いて糖化した。糖化の程度を、HPLCによって18〜88時間の時点でモニターした。
標準用量 0.04%の2倍強度のグルコアミラーゼ 及び2つの低容量(50%及び25%)を用いて、その液化シロップを糖化して、糖化の経過における相違をモニターした。先のプロット及び下の表が示すように、配列番号2のシロップでは早い時点でグルコースレベルがより高い。相違の幾つかは高い出発点によるが、分子量特性の相違も要因である(配列番号2の液化シロップ中のオリゴサッカライド より小さく、より均一である - はグルコアミラーゼに対して優れた基質であるべきであるし、明らかに優れている)。
糖化の経過 - 時間に対する%デキストロースの進行 0.04%グルコアミラーゼ
糖化の経過 時間に対する%デキストロースの進行 - 0.02%グルコアミラーゼ
これらの研究及び先の糖化研究全部において、本発明のアミラーゼ液化シロップ及びB.リケニホルミス液化シロップの糖化後に達成された最終グルコースレベルは、本質的に同一である。DP2(マルトース)レベルも同様である。これらの大きな断片はグルコアミラーゼに対して質の良くない基質であり、仮に小さな断片に変換されて最終的にグルコースに変換されたとしても、ゆっくりと変換される傾向がある。
分子量の分布
本発明のアミラーゼ(配列番号10及び配列番号2)、市販のバチルス・リケニホルミス及び市販のバチルス・ステアロサーモフィルスによってDE12及び18に液化されたシロップの分子量分布を、屈折率、光散乱及び粘性による検出を用いたゲル透過クロマトグラフィーによって測定した。リケニホルミスアミラーゼ及びステアロサーモフィルスアミラーゼの両方は、二峰性分布- 2000に集中した第1のピーク、160,000を過ぎた範囲まで広がっている段部を有する32,000の第2のピーク を生じる。低い分子量ピークは、サンプルの全体質量のおよそ60%を表している。本発明のアミラーゼは、約30,000を超えたところに非常に小さなピークを有するが、2000の単一ピークを示している。
HPLC
本発明のアミラーゼ及び市販のアミラーゼによって生成したDE12及び18のシロップを、HPLCによって分析した。両技術(クロマトグラム/電気泳動図は別表に示した)は、アミラーゼの各種類のフィンガープリント特徴を示す。オリゴサッカライドパターンは、リケニホルミスアミラーゼ対ステアロサーモフィルスアミラーゼ対本発明のアミラーゼで異なっている。本発明の液化シロップは、オリゴサッカライド中のさらなる枝分かれの徴候を示す。HPLCはDP15より低い範囲のオリゴサッカライドを分離するだけであって、この技術では、さらに大きな断片は見えない。バチルスアミラーゼは、アミロース画分よりアミロペクチン画分を少なく加水分解する様式でデンプンを液化する事が知られている。それらのDP30より高いアミロペクチン断片は32,000に集中する高分子量画分に含まれており、結果として、バチルス液化シロップのHPLC分析において枝分かれの少ない徴候が示される。
本発明のアミラーゼ由来のDP15より低いオリゴサッカライドは、アミロース及びアミロペクチンの両方に由来する断片を含む。
本発明は本発明の好ましい態様を参照して記述してきたが、本発明の趣旨から離れることなく種々の改変を行い得ることが理解されるべきである。従って本発明は、次の請求の範囲によってのみ制限される。
Claims (3)
- 配列番号7に記載のアミノ酸配列を有する、αアミラーゼ活性を有する単離、合成又は組換えポリペプチド。
- 有効量の請求項1のポリペプチドを用いてデンプンを液化し可溶性デンプン加水分解物を得ること、及び、前記可溶性デンプン加水分解物を糖化することによってシロップを得ることを含む、高マルトースシロップ又は高グルコースシロップ又は混合シロップを製造するための方法。
- デンプンが、コメ、発芽米、トウモロコシ、オオムギ、コムギ、マメ科植物及びサツマイモより選択される原料に由来する、請求項2に記載の方法。
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