JP5574644B2 - 離型剤、樹脂組成物、及び樹脂成形体 - Google Patents
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Description
離型剤としては、例えば、脂肪酸誘導体、ワックス及び金属石鹸等が用いられている。しかし、脂肪酸誘導体やワックスは高温で成形する時にそれ自身が揮発性のため蒸気として消失する場合があり、前記金属石鹸は、樹脂自身の分解を引き起こしたりする場合がある。
ワックスである離型剤について、具体的には、鉱物系のモンタン酸系ワックス(例えば、特許文献1及び2参照)や、ポリエチレン系ワックス(例えば、特許文献3参照)が知られている。
また、モンタン酸系ワックスは、天然の褐炭から抽出、精製されるため、製造コストが高いという問題がある。更に、近年では、天然の褐炭鉱山の枯渇により供給不安が起こり価格が高騰している問題もある。従って、モンタン酸系ワックスに代わる離型剤が求められている。
即ち、本発明の目的は、モンタン酸系ワックスに代わる離型剤として、樹脂組成物を成形する際の離型性を向上させる離型剤を提供することである。
また、本発明の目的は、成形時の離型性に優れた樹脂組成物及び樹脂成形体を提供することである。
即ち、前記課題を解決するための具体的手段は、以下のとおりである。
<1> 下記一般式(i)で示される極性基含有ポリオレフィン重合体を含む離型剤。
Xは、カルボン酸基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸オニウム塩基、エステル基、アミド基、無水マレイン酸基、無水マレイン酸から誘導される金属塩基、又は、無水マレイン酸から誘導されるオニウム塩基を表す。
Rは、炭素数20以下のアルキレン基、炭素数20以下のアルケニレン基、炭素数20以下のアルキニレン基、炭素数20以下のアリーレンアルキレン基、炭素数20以下のアルキレンアリーレン基、炭素数20以下のアリーレン基、または、複素環を有する炭素数20以下の2価の基を表す。
nは平均官能基数を表し、0.50以上である。)
<3> 前記一般式(i)において、Xがカルボン酸基又はカルボン酸金属塩基であり、nが0.50以上1.50以下である<1>又は<2>に記載の離型剤。
Xは、カルボン酸基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸オニウム塩基、エステル基、アミド基、無水マレイン酸基、無水マレイン酸から誘導される金属塩基、又は、無水マレイン酸から誘導されるオニウム塩基を表す。
Rは、炭素数20以下のアルキレン基、炭素数20以下のアルケニレン基、炭素数20以下のアルキニレン基、炭素数20以下のアリーレンアルキレン基、炭素数20以下のアルキレンアリーレン基、炭素数20以下のアリーレン基、または、複素環を有する炭素数20以下の2価の基を表す。
nは平均官能基数を表し、0.50以上である。)
<6> 前記一般式(i)において、Xがカルボン酸基又はカルボン酸金属塩基であり、nが0.50以上1.50以下である<4>又は<5>に記載の樹脂組成物。
<7> <4>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形体。
また、本発明によれば、成形時の離型性に優れた樹脂組成物及び樹脂成形体を提供することができる。
本発明の離型剤は、前記一般式(i)で示される極性基含有ポリオレフィン重合体(以下、「一般式(i)で示される重合体」ともいう)を含む。
一般式(i)中、Aは炭素原子数2〜20のオレフィンの重合体を表す。
ここで、炭素原子数2〜20のオレフィンの重合体としては、炭素原子数2〜20のα−オレフィン類及び炭素数4〜20のジエン類から選択される1種以上を重合させてなるホモ重合体または共重合体が好ましい。
前記炭素原子数2〜20のα−オレフィン類としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族α−オレフィン類、脂環式α−オレフィン類および芳香族α−オレフィン類等が挙げられる。
前記脂環式α−オレフィン類としては、例えば、アリルシクロヘキサン、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられ、前記芳香族α−オレフィン類としては、例えば、スチレン、アリルベンゼン等が挙げられる。
これらの中で、好ましくは、炭素数2〜10のα−オレフィン類であり、より好ましくは、炭素数2〜8のα−オレフィン類であり、特に好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。
上記脂肪族ジエン類としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,4−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、1,3−エイコサジエン等が挙げられる。
前記脂環式ジエン類としては、例えば、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−2,5−ジエン等が挙げられ、 前記芳香族ジエン類としては、例えば、p−ジビニルベンゼン等が挙げられる。
これらの中で、好ましくは炭素数4〜10の脂肪族ジエン類および炭素数4〜12の脂環式ジエン類であり、より好ましくは炭素数4〜9の脂肪族ジエン類および炭素数4〜10の脂環式ジエン類であり、特に好ましくは、ブタジエン、イソプレン、ビニルノルボルネン及びビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−2,5−ジエンが挙げられる。
また重合体のGPCにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.0以下の範囲である。
前記カルボン酸基(及びその塩;即ち、カルボン酸金属塩基及びオニウム塩基)としては、カルボキシル基(及びその塩)であってもよいし、多価カルボン酸(例えばジカルボン酸)中の炭素鎖から水素原子が1つ失われて得られる基(及びその塩)であってもよい。
前記ジカルボン酸の例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸基(及びその塩)としては、カルボキシル基(及びその塩)が好ましい。
1A族の金属原子のカチオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等のカチオンが挙げられ、2A族の金属原子のカチオンとしては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等のカチオンが挙げられ、3A族の金属原子のカチオンとしては、例えば、スカンジウム、イットリウム、サマリウム等のカチオンが挙げられ、4A族の金属原子のカチオンとしては、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等のカチオンが挙げられ、5A族の金属原子のカチオンとしては、例えば、バナジウム、ニオブ、タンタル等のカチオンが挙げられ、6A族の金属原子のカチオンとしては、例えば、クロム、モリブデン、タングステン等のカチオンが挙げられ、7A族の金属原子のカチオンとしては、例えば、マンガン、テクネチウム、レニウム等のカチオンが挙げられ、8族の金属原子のカチオンとしては、例えば、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金等のカチオンが挙げられ、1B族の金属原子のカチオンとしては、例えば、銅、銀、金等のカチオンが挙げられ、2B族の金属原子のカチオンとしては、例えば、亜鉛、カドミウム、水銀等のカチオンが挙げられ、3B族の金属原子のカチオンとしては、例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等のカチオンが挙げられ、4B族の金属原子のカチオンとしては、例えば、ゲルマニウム、錫、鉛等のカチオンが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族置換基が置換したアンモニウムカチオン、芳香族置換基が置換したアンモニウムカチオン等が挙げられる。
前記スルホニウムカチオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族置換基が置換したスルホニウムカチオン、芳香族置換基が置換したスルホニウムカチオン等が挙げられる。
前記スルホキソニウムカチオンとしては、特に限定されるものではないが、脂肪族置換基が置換したスルホキソニウムカチオン、芳香族置換基が置換したスルホキソニウムカチオン等が挙げられる。
脂肪族が置換したホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリエチルホスフィニウム、テトラブチルホスホニウム、トリオクチルメチルホスホニウム、テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ホスホニウム等が挙げられる。また、芳香族が置換したホスホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルホスホニウム、ブチルトリフェニルホスホニウム、ビニルトリフェニルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、1,1−ジフェニルホスホラニウム、2,4,6−トリフェニリホスホリニウム、シクロヘキシルトリフェニルホスホニウム、トリフェニル(2−ピリジルメチル)ホスホニウム、(2−ヒドロキシエチル)トリフェニルホスホニウム等が挙げられる。
脂肪族置換基が置換したホスファゼニウムカチオンとしては、例えば、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム、テトラキス[トリス(ピロリジン−1−イル)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム等が挙げられる。また、芳香族置換基が置換したホスファゼニウムカチオンとしては、例えば、テトラキス[トリス(ジフェニルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム等が挙げられる。
これらオニウムカチオンの中で、好ましくは、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及びホスファゼニウムカチオンであり、さらに好ましくは、テトラブチルアンモニウム、テトラフェニルホスホニウム及びテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムが挙げられる。
上記脂肪族エステル類としては、例えば、マレイン酸ジメチル及びテトラエチルエテンテトラカルボキシレート等が、前記脂環式エステル類としては、例えば、ジメチル−1,4−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボキシレート及びジメチル−7−オキサビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2,5−ジエン−2,3−ジカルボキシレート等が、前記芳香族エステル類としては、例えば、2−フェニルマレイン酸ジメチル等が各々挙げられる。
上記脂肪族アミド類としては、例えば、N,N’−メチルマレアミド等が、前記脂環式アミド類としては、例えば、(z)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1,4−ジアゾシン−5,8−ジオン等が、前記芳香族アミド類としては、例えば、2−フェニルマレアミド等が各々挙げられる。
これらの基は無置換でも置換されていてもよい。
直鎖のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−デシレン基、n−オクタデシレン基、フルオロエチレン基、ヒドロキシエチレン基、ジヒドロキシプロピレン基、ビニルカルボニルオキシエチレン基、等が挙げられる。
分岐のアルケニレン基としては、例えば、イソプロペニレン基、イソペンチレン基、ヒドロキシプロペニレン基、アミノプロペニレン基、ヒドロキシメチルペンテニレン基等が挙げられる。
環状のアルケニレン基としては、シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基、ジシクロペンタジエニレン基、ヒドロキシシクロヘキシレン基、アミノシクロヘキシレン基、ジヒドロキシシクロヘキシレン基、ジアミノシクロヘキシレン基等が挙げられる。
直鎖のアルキニレン基としては、例えば、プロピニレン基、ブチニレン基等が挙げられる。分岐のアルキニレン基としては、例えば、メチルプロピニレン基、メチルブチニレン基等が挙げられる。
環状のアルキニレン基としては、例えば、エチニルシクロヘキシレン基、プロピニルシクロペンチレン基等が挙げられる。
芳香族炭化水素類を含むアリーレンアルキレン基としては、例えば、ベンジレン基、ヒドロキシベンジレン基、ジヒドロキシベンジレン基、トリヒドロキシベンジレン基、アミノベンジレン基、ジアミノベンジレン基、トリアミノベンジレン基、メルカプトベンジレン基、ジメルカプトベンジレン基、トリメルカプトベンジレン基、ジフルオロベンジレン基、ペンタフルオロフェニルメチレン基、ビニルフェニルメチレン基、フェネチレン基、ナフチルメチレン基等が挙げられる。
芳香族ヘテロ環類を含むアリーレンアルキレン基としては、例えば、ピリジルメチレン基、チオフェニルメチレン基、フリルメチレン基等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、フェニレン基、ヒドロキシフェニレン基、ジヒドロキシフェニレン基、トリヒドロキシフェニレン基、アミノフェニレン基、ジアミノフェニレン基、トリアミノフェニレン基、メルカプトフェニレン基、ジメルカプトフェニレン基、トリメルカプトフェニレン基、ジクロロフェニレン基、メトキシフェニレン基、メトキシカルボニレン基、ニトロフェニレン基、テトラフルオロフェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
芳香族へテロ環類から水素原子を2つ除いた残基としては、例えば、ピリジレン基、クロロピリジレン基、ヒドロキシピリジレン基、アミノピリジレン基、メルカプトピリジレン基、チエニレン基、クロロチエニレン基、フリレン基、ピラゾリレン基、チアゾリレン基、等が挙げられる。
ここで、平均官能基数は、一般式(i)で示される重合体1分子当りの官能基(−SRX基)の数の平均値である。例えば、nが1.00の場合、平均値として、重合体1分子に官能基(前記一般式(i)中の−SRX基)が1つ結合していることを意味する。
なお、一般式(i)で示される重合体は、実際には、i)片末端が−SRX基を有する重合体、ii)内部に−SRX基を有する重合体、iii)両末端に−SRX基を有する重合体、iv)片末端および内部に−SRX基を有する重合体、v)両末端および内部に−SRX基含有置換基を有する重合体、vi)両末端および内部全てが飽和炭化水素である重合体、の六種類の重合体の集合体と推定される。したがって、本発明において前記nが1未満の値をとる理由は、当該nが、末端等に結合していないvi)の飽和炭化水素である重合体(n=0)を含めた平均値として求められるものであるためである。
前記nの上限値は、離型性の観点より、好ましくは100.00であり、より好ましくは10.00であり、更に好ましくは5.00であり、更に好ましくは2.00であり、更に好ましくは1.50であり、特に好ましくは1.30である。
前記nの好ましい範囲としては、前記下限値のいずれか1つと前記上限値のいずれか1つとの組み合わせの範囲が好適であり、例えば、0.50以上5.00以下が好ましく、0.50以上1.50以下がより好ましい。
即ち、重合体の主鎖と−SRX基の1H-NMRの積分値の比より求めることができる。特にAが、エチレンの重合体である場合はAの末端のメチル基と−SRX基の1H-NMRの積分値の比より簡便に求めることができる。また、後に記すように二重結合を有する重合体から合成する場合には、含有二重結合数の平均値がわかっていれば、その平均値と二重結合の転化率から求めることもできる。
好ましい組み合わせは、前記Aが、エチレン単独の重合体であるか、または、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体であって、前記Xが、カルボン酸基またはカルボン酸金属塩基であって、前記Rが、炭素数20以下のアルキレン基であって、nが0.50〜5.00である組み合わせである。
より好ましい組み合わせは、エチレン単独の重合体であるか、または、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体であって、前記Xが、カルボン酸基またはカルボン酸金属塩基であって、前記Rが、炭素数1〜6のアルキレン基であって、nが0.50〜1.50である組み合わせである。
前記一般式(i)で示される極性基含有ポリオレフィン重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、二重結合含有重合体と極性基を含有するチオール化合物とを、ラジカル開始剤の存在下で反応させることで得られるものである。
また、前記二重結合含有重合体は、1H−NMRとGPCにより計算される末端不飽和率(M)が、全片末端の70mol%以上(より好ましくは75mol%以上、さらに好ましくは80mol%以上)であることが好ましい。
二重結合含有重合体の末端ビニル基含有率(L)又は末端不飽和率(M)が上記範囲であると、前記一般式(i)中のnの値を0.50以上に調整し易い。
以上のような、好ましい二重結合含有重合体を製造する方法については後述する。
法)
前記二重結合含有重合体の、1H−NMRで測定されたビニル、ビニレンおよびビニリデン型の二重結合のピークは、ビニル基に基づく3プロトン分のピークのうち2プロトン分のピーク(H1)が4.9〜5.0ppm付近、残りの1プロトン分が5.7〜5.9ppm付近に観測される。またビニレン基に由来する2プロトン分のピーク(H2)が5.0ppm付近に観測される。さらにビニリデン基に由来する2プロトン分のピーク(H3)が4.7ppm付近に観測される。これらの積分値(H1〜H3)から計算される、末端ビニル基含有率は(L)は下式(1)で定義される。
L(mol%)=(H1/Ho)×100 ・・・ (1)
(但し、Ho=H1+H2+H3である)
M(mol%)=[{Ho/Ha}/{2/(Mn/7)}]×100
={(Ho×Mn)/(Ha×14)}×100 ・・・ (2)
(ここで、Mn/7は、二重結合含有重合体の分子式をCnH2nとし、分子量12×
n+1×2n=14n=Mnとした時の全水素数2nである。)
水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンに完全に溶解させた後、120℃において
測定した。ケミカルシフトは、重水素化−1,1,2,2−テトラクロロエタンのピーク
を5.91ppmとして、他のピークのケミカルシフト値を決定した。
極性基が金属塩やオニウム塩である重合体は、対応するカルボン酸または無水マレイン酸と、無機塩またはオニウム塩と、から得ることもできる。
前記無機塩としては特に限定されるものではないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウムなどの金属の水酸化物や塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化亜鉛などの金属のハロゲン化物等が挙げられる。
また塩交換により種種の塩へと誘導することも可能である。
塩の合成および塩交換の反応に用いる溶媒としては本発明を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、水や、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロロエタン、パークロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族類;ニトロベンゼン等の置換芳香族類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール等のアルコール類などが挙げられる。これら溶媒は、単独で用いても、二種類以上混合して用いてもよい。
以上で説明したとおり、前記一般式(i)で表される重合体は、二重結合含有重合体を原料として製造される。
二重結合含有重合体の好ましい範囲(末端ビニル基含有率(L)または末端不飽和率(M))については前述のとおりである。
このような好ましい二重結合含有重合体を製造する方法としては、例えば、特許第3934999号公報に記載されているオレフィン重合用触媒の存在下において、エチレンおよび炭素数3以上20以下のα−オレフィンからなる群から選ばれる1種以上のオレフィンを重合又は共重合させる方法により合成できる。
前記オレフィン重合用触媒として、具体的には、下記一般式(I)で表される遷移金属化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物と、からなるオレフィン重合用触媒が好ましい。
〜 一般式(I)で表される遷移金属化合物 〜
一般式(I)中、Mは周期律表第4〜5族の遷移金属を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルであり、好ましくは4族の金属原子であり、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムであり、より好ましくはジルコニウムである。
一般式(I)中、R11は、炭素数1〜5の直鎖炭化水素基又は水素原子を示す。R11の炭素数1〜5の直鎖炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましい。
前記R11として、より好ましくは、メチル基、エチル基、及び水素原子である。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
上記のうち、R12〜R16としてはハロゲン原子又は炭化水素基が好ましい。
前記有機アルミニウムオキシ化合物としては、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物又は結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水又は結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷又は水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
前記有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独で又は2種以上組み合せて用いることができる。
前記有機アルミニウムオキシ化合物としては、市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、東ソー・ファインケム(株)製のMMAO(修飾メチルアルミノキサン)等が挙げられる。
前述の不飽和結合含有ポリオレフィン重合体を合成する際のオレフィンの重合は、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法又は気相重合法のいずれにおいても実施できる。
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素又はこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
有機アルミニウムオキシ化合物は、有機アルミニウムオキシ化合物中のアルミニウム原子と、一般式(I)で示される遷移金属化合物中の全遷移金属(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。
前述の一般式(i)で表されるポリオレフィン重合体を合成し易いという観点からは、モル比〔(Al/M〕は、1000〜10000が更に好ましく、1000〜5000が特に好ましい。
重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2G、好ましくは常圧〜50kg/cm2Gの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
本発明の離型剤は、前記一般式(i)で示される重合体を含む。
また、本発明の離型剤は、上記重合体以外のその他の離型剤を含んでいてもよいし、離型剤以外の成分を含んでいてもよい。
本発明の離型剤は、公知のポリエチレン系ワックスである離型剤と比較し、優れた離型性を有する。
また、本発明の離型剤による離型性は、公知のモンタン酸系の離型剤と比較しても近い程度であるか、または、同等以上であるため、公知のモンタン酸系の離型剤に代わる離型剤として好適である。
また、本発明の離型剤はモンタン酸系の離型剤と併用してもよく、この場合には、モンタン酸系の離型剤の使用量を減らすことができる。
本発明における極性基含有ポリオレフィン重合体(前記一般式(i)で示される重合体)は熱的に安定であり、特に前記エンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチックと高温で混合される場合でも、これらの樹脂の機械物性の変化を抑制しながら、これらの樹脂に離型性を付与することができる。
前記「高温」としては、例えば200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、特に好ましくは300℃以上である。前記「高温」の上限には特に限定はないが、例えば350℃である。
従って、本発明の離型剤は、融点が200℃以上(好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、特に好ましくは300℃以上)の樹脂の離型性を向上させる用途に好適である。該樹脂の融点の上限には特に限定はないが、例えば350℃である。
また、本発明の離型剤は、ガラス転移点が40℃以上(好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上)の樹脂の離型性を向上させる用途に好適である。該樹脂のガラス転移点の上限には特に限定はないが、例えば300℃である。
また、本発明の離型剤は、前記範囲の融点と前記範囲のガラス転移点との双方を満たす樹脂の離型性を向上させる用途にも好適である。
前記その他の成分としては、前記重合体以外の他の離型剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、難燃剤、帯電防止剤、核剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、可塑剤、分散剤、相溶化剤、発泡剤、充填剤、補強剤等が挙げられる。
本発明の離型剤は、前記その他成分の分散性を向上する機能を有する。従って、得られた成形体の表面平滑性、摺動性、光沢、透明性、印刷性、溶接適性、滑り特性及びブロッキング特性を向上させる。
また、本発明の離型剤の別の使用形態としては、本発明の離型剤を含まない樹脂組成物と、本発明の離型剤と、を成形時に成形機に装入する形態であってもよい。
また、本発明の離型剤の使用形態としては、溶媒に溶解させて溶液状態とするか、または、溶媒に加熱溶解させた後、冷却してペースト状態とし、得られた溶液またはペーストを、金型に塗布または印刷する形態であってもよい。
また、本発明の離型剤は、例えば、押出機の成形機内部の樹脂滞留部が原因で発生するダイ先端の目やにの生成を防止する効果や、例えば、射出成形金型のベントが閉塞することで発生するショートショットやガス焼けなどを低減する効果を有する。
従って、本発明の離型剤を用いることで、長時間の連続射出成形が可能となることがあり、これらの効果により、成形サイクルの短縮化が図られ効率化、省力化等の利点がもたらされる。
更に、本発明の離型剤を用いることにより、電気・電子部品に用いられるエンジニアリングプラスチックの成形品(樹脂成形体)において、離型性向上を達成し、且つ、はんだ付け工程におけるリフロー耐熱性を向上させ、成形品における靭性を向上させることができる。
ここで、滑剤としての機能とは、例えば、樹脂組成物中に含有させることで樹脂組成物の流動性を向上させる機能や、樹脂組成物中に含有させることで混練時に樹脂組成物にかかるシェアを低減させる機能、成形品表面の状態を向上させる機能、等である。
本発明の樹脂組成物は、前記一般式(i)で示される重合体(又は前記本発明の離型剤)と、樹脂と、を含む。
また、本発明の樹脂成形体は、上記本発明の樹脂組成物を成形して得られたものである。
このため、本発明の樹脂組成物または樹脂成形体は、成形の際、金型からの離型性に優れる。
前記樹脂としては、離型性向上効果の観点より、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましく、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、またはポリブチレンテレフタレート樹脂がより好ましい。
また、前記樹脂としては、離型性向上効果をより効果的に得る観点より、融点が200℃以上(好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上、特に好ましくは300℃以上)の樹脂が好適である。該樹脂の融点の上限には特に限定はないが、例えば350℃である。
また、前記樹脂としては、ガラス転移点が40℃以上(好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上)の樹脂も好適である。該樹脂のガラス転移点の上限には特に限定はないが、例えば300℃である。
また、前記樹脂としては、前記範囲の融点と前記範囲のガラス転移点との双方を満たす樹脂が好ましい。
また、本発明の樹脂組成物に含まれるその他の成分としては、既述の本発明の離型剤のその他の成分として列挙した成分が挙げられる。
まず、本実施例における化合物の分析に用いた分析装置および測定条件等について説明する。
(1)分子量、分子量分布
重合体の分子量測定に際しては、本文中に記載のGPC装置および条件で測定を行った。
(2)1H−NMRスペクトル
日本電子社製JNM−GSX270型または日本電子社製EX400型用いて、本文中に記載の方法で測定した。
(3)赤外線吸収スペクトル
日本分光社製FT/IR−6100を用いて測定した。
(4)FD−質量分析
日本電子社製JMS−SX102Aを用いて分析した。
(5)融点(Tm)
本実施例中、特に断りの無い限り、融点(Tm)は以下のようにして測定した。
即ち、島津製作所製DSC−60Aを用い、以下の条件で測定して得られたピークトップ温度を採用し、融点(Tm)とした。
・セル:アルミニウム
・キャリアーガス:窒素(50ml/分)
・温度プログラム:30℃(10℃/分)→100℃(5分固定)→350℃(5分固定)
(6)5%減量温度(Thermogravimetric Analysis(TGA))
島津製作所製DTG−60を用い、以下の条件で測定して得られた減量カーブから解析により求めた。
・セル:アルミニウム
・キャリアーガス:空気(100ml/分)
・温度プログラム:30℃(10℃/分)→100℃(10分固定)→400℃(5分固定)
<二重結合含有重合体(P−1)の作製>
極性基含有ポリオレフィン重合体の原料となる二重結合含有重合体(P−1)を、 以下のようにして合成した。
充分に乾燥、窒素置換した100mlの反応器に、5−クロル−3−クミルサリチルアルデヒド15.4g(56.1mmol)、トルエン60ml、及びメチルアミン4.42g(40%メタノール溶液、56.9mmol)を仕込み、室温で5時間撹拌した。この反応溶液を減圧濃縮することにより、下記式(xii)で示される赤褐色オイル16.0g(収率99%)を得た。
・1H−NMR:δ(CDCl3)1.71(s,6H),3.33(s,3H),7.10−7.44(m,7H),8.16(s、1H),13.8(s,1H)
・1H−NMR:δ(CDCl3)1.67(s,6H),1.92(s、6H),2.30(s,6H),7.00−7.60(m,12H),7.70(s,2H),7.79(s,2H)
・FD−質量分析:734
得られた二重結合含有重合体(P−1)の物性は以下の通りである。
・融点(Tm) ・・・ 116℃(DSC)
・Mw=1380,Mw/Mn=2.20(GPC)
・末端ビニル化率(L)=94mol%(1H−NMRから計算)
・末端不飽和率(M)=100mol%
還流管の付いた1000mLフラスコに、上記で得られた重合体(P−1)100g、3−メルカプトプロピオン酸14.5g、トルエン200gを仕込み、100℃で攪拌しながら重合体を完全に溶解させた。
次に、得られた溶液を90℃に冷却し、AIBN1.80gを添加して、90℃で2時間攪拌した。その後、得られた溶液を100℃に昇温し、熱水200gを加え、5分間攪拌後、静置して水槽を分離した。同じ水洗操作を3回繰り返した後、80℃にて減圧乾燥を行い、反応生成物の固体108gを得た。
原料のオレフィンの転化率は100%であり、生成物は単一であり一般式(I)で示される重合体の前記例示化合物(1)(一般式(I)において、A:エチレンの単独重合により形成される重合体(Mw=1490)、R:CH2CH2、X:COOH、n:0.94)であった。
生成物の物性は以下のとおりである。
・IR:2917cm−1,2849cm−1,1712cm−1,1473cm−1,1463cm−1,1267cm−1,1198cm−1,941cm−1,730cm−1,669cm−1
上記で得られた例示化合物(1)100g、トルエン200gを仕込み、110℃で攪拌しながら重合体を完全に溶解させた。得られた溶液に、水酸化カルシウム(5.07g、68.5mmol)を分割装入し、110℃で、熱水100gを加え2時間攪拌した。
その後、10%CaCl2水溶液100gを加え、5分間攪拌後、静置して水槽を分離した。次に、熱水200gを加え、5分間攪拌後、静置して水槽を分離した。同じ水洗操作を2回繰り返した後、80℃にて減圧乾燥を行い、反応生成物の固体109gを得た。
一般式(I)で示される重合体の前記例示化合物(2)(一般式(I)においてA:エチレンの重合により形成される基(Mw=1490)、R:CH2CH2、X:COOCa1/2、n:0.94)であった。
生成物の物性は以下のとおりである。
・IR:2917cm−1,2849cm−1,1555cm−1,1473cm−1,1463cm−1,1309cm−1,730cm−1,719cm−1
〔実施例1−1〕
ポリアミド樹脂(宇部興産製、UBEナイロン:1015GC6A、融点223℃)と、前記例示化合物(1)(離型剤)と、を表2に示すような量比で混合し、二軸押出機(パーカーコーポレーション製、HK25D、シリンダー温度260℃)に装入し、溶融混練してペレット(樹脂組成物)を得た。ペレットの作製量は3kgとした。
即ち、島津製作所製DSC−60Aを用い、以下の条件で測定して得られたピークトップ温度を採用し、融点とした。
−条件−
・セル:アルミニウム
・キャリアーガス:窒素(50ml/分)
・温度プログラム:30℃(10℃/分)→350℃
離型応力値はN=15ショットの平均値とした。
結果を表2に示す。
コップ型金型:φ50×50×1.6mmt、勾配0.5°
金型温度:80℃
成形機:クロックナーF−85
シリンダー温度:NT/C1/C2/C3=280℃/250℃/250℃/240℃
測定装置:ニレコ社モバック100
センサー:M100A、ストレンゲージ式、受圧部ピンφ2.5
離型剤として、例示化合物(1)の代わりに、例示化合物(2)を用いた以外は、実施例1−1と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
離型剤として、例示化合物(1)を用いなかったこと(即ち、離型剤を無添加としたこと)以外は、実施例1−1と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
離型剤の種類及び量を下記表2に示すようにしたこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
なお、リコワックスEは、クラリアント(株)製のモンタン酸系離型剤である。
結果を表2に示す。
実施例1−1〜1−4では、モンタン酸系離型剤を用いた比較例1−2と同等以上の離型性を示した。
〔実施例2−1〕
実施例1−1において、ポリアミド樹脂をポリカーボネート樹脂(帝人化成製、パンライト:G−3410R、ガラス転移点150℃)に変更し、ペレット作製時の二軸押し出し機のシリンダー温度を280℃に変更し、射出成形時の成形機のシリンダー温度を「NT/C1/C2/C3=290℃/280℃/270℃/260℃」に変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
上記ガラス転移点は、既述の1015GC6Aの融点測定と同様の条件で測定し、自動計算により求めた。具体的には、接線交点からオンセット及びオフセットを求め、得られたオンセット(147℃)とオフセット(154℃)との中間点(150℃)を、ガラス転移点とした。
結果を表3に示す。
離型剤として、例示化合物(1)の代わりに、例示化合物(2)を用いた以外は、実施例2−1と同様の操作を行った。
結果を表3に示す。
離型剤として、例示化合物(1)を用いなかったこと(即ち、離型剤を無添加としたこと)以外は、実施例2−1と同様の操作を行った。
結果を表3に示す。
離型剤の種類及び量を下記表3に示すようにしたこと以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
なお、リコモントCaV−102は、クラリアント(株)製のモンタン酸系離型剤である。
結果を表3に示す。
また、実施例2−1〜2−4では、モンタン酸系の離型剤(比較例2−2)よりも優れた離型性を示した。
〔実施例3−1〕
実施例1−1において、ポリアミド樹脂を変性ポリフェンレンエーテル樹脂(旭化成ケミカルズ製、ザイロン:G701V、ガラス転移点210℃)に変更し、金型温度を75℃に変更し、ペレット作製時の二軸押し出し機のシリンダー温度を260℃に変更し、射出成形時の成形機のシリンダー温度を「NT/C1/C2/C3=300℃/280℃/270℃/260℃」に変更した以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
結果を表4に示す。
離型剤として、例示化合物(1)の代わりに、例示化合物(2)を用いた以外は、実施例3−1と同様の操作を行った。
結果を表4に示す。
離型剤として、例示化合物(1)を用いなかったこと(即ち、離型剤を無添加としたこと)以外は、実施例3−1と同様の操作を行った。
結果を表4に示す。
離型剤の種類及び量を下記表4に示すように変更したこと以外は実施例3−1と同様な操作を行った。
結果を表4に示す。
また、実施例3−1〜3−4では、モンタン酸系離型剤(比較例3−2)よりも優れた離型性を示した。
以上のように、本発明の離型剤は、離型性が極めて悪い変性ポリフェニレンエーテル樹脂に用いた場合でも、優れた離型性を示すことが確認された。
〔実施例4−1〕
実施例1−2において、ポリアミド樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ製、トレコン:1101G−30、融点226℃)に変更し、金型温度を75℃に変更し、ペレット作製時の二軸押し出し機のシリンダー温度を260℃に変更し、射出成形時の成形機のシリンダー温度を「NT/C1/C2/C3=270℃/250℃/240℃/230℃」に変更した以外は実施例1−1と同様の操作を行った。
結果を表5に示す。
離型剤として、例示化合物(2)を用いなかったこと(即ち、離型剤を無添加としたこと)以外は、実施例4−1と同様の操作を行った。
結果を表5に示す。
離型剤の種類及び量を下記表5に示すように変更したこと以外は実施例4−1と同様な操作を行った。
結果を表5に示す。
表5に示すように、実施例4−1では、離型剤が無添加である比較例4−1及びモンタン酸系離型剤を用いた比較例4−2に対し、極めて優れた離型性を示した。
Claims (7)
- 下記一般式(i)で示される極性基含有ポリオレフィン重合体を含む離型剤。
(一般式(i)中、Aは、炭素原子数2〜20のオレフィンの重合体を表す。
Xは、カルボン酸基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸オニウム塩基、エステル基、アミド基、無水マレイン酸基、無水マレイン酸から誘導される金属塩基、又は、無水マレイン酸から誘導されるオニウム塩基を表す。
Rは、炭素数20以下のアルキレン基、炭素数20以下のアルケニレン基、炭素数20以下のアルキニレン基、炭素数20以下のアリーレンアルキレン基、炭素数20以下のアルキレンアリーレン基、炭素数20以下のアリーレン基、または、複素環を有する炭素数20以下の2価の基を表す。
nは平均官能基数を表し、0.50以上である。) - 前記一般式(i)において、Aが、エチレン単独の重合体であるか、または、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体である請求項1に記載の離型剤。
- 前記一般式(i)において、Xがカルボン酸基又はカルボン酸金属塩基であり、nが0.50以上1.50以下である請求項1又は請求項2に記載の離型剤。
- 下記一般式(i)で示される極性基含有ポリオレフィン重合体と、樹脂と、を含み、
前記樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはポリブチレンテレフタレート樹脂である樹脂組成物。
(一般式(i)中、Aは、炭素原子数2〜20のオレフィンの重合体を表す。
Xは、カルボン酸基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸オニウム塩基、エステル基、アミド基、無水マレイン酸基、無水マレイン酸から誘導される金属塩基、又は、無水マレイン酸から誘導されるオニウム塩基を表す。
Rは、炭素数20以下のアルキレン基、炭素数20以下のアルケニレン基、炭素数20以下のアルキニレン基、炭素数20以下のアリーレンアルキレン基、炭素数20以下のアルキレンアリーレン基、炭素数20以下のアリーレン基、または、複素環を有する炭素数20以下の2価の基を表す。
nは平均官能基数を表し、0.50以上である。) - 前記一般式(i)において、Aが、エチレン単独の重合体であるか、または、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの少なくとも1種との共重合体である請求項4に記載の樹脂組成物。
- 前記一般式(i)において、Xがカルボン酸基又はカルボン酸金属塩基であり、nが0.50以上1.50以下である請求項4又は請求項5に記載の樹脂組成物。
- 請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形体。
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