しかしながら、コンシクエントポール型のロータでは、擬似磁極はロータに備えられたマグネットと異なる磁極として機能するものの、実際にはマグネットではない。このようにマグネットの近傍に該マグネットと異なる磁極のマグネットが無いと、マグネットの磁束は、ロータにおける擬似磁極以外の部位にも流れ易くなる。そして、回転軸及びロータコアが強磁性材料にて形成されている場合には、マグネットの磁束が回転軸に流れ込みやすいため、回転軸においてセンサマグネットが固定された部位が磁化されることがある。すると、センサマグネットによる磁界が、磁化された回転軸の影響によって歪んでしまい、回転センサによるロータの回転情報の検出精度が低下する虞がある。
また、マグネット及びロータコアからの漏れ磁束がセンサマグネットに到達すると、センサマグネットによる磁界が当該漏れ磁束によって歪んでしまうため、センサマグネットの磁界を検出する磁気センサは歪んだ回転検出信号を出力することになってしまう。そこで、マグネットが配置されたロータコアとセンサマグネットとの間に十分な空隙を設けて、マグネット及びロータコアからセンサマグネットへ漏れ磁束が到達しないようにすることが考えられるが、モータの軸方向の大型化を招いてしまうという問題が生じる。
また、回転軸が強磁性材料にて形成されている場合には、センサマグネットの磁束が回転軸の内部に漏れやすいため、センサマグネットによる磁界が弱くなる虞がある。センサマグネットによる磁界が弱くなると、磁気センサにおいて当該磁界を検出し難くなるため、磁気センサが出力する回転検出信号に基づいて検出されるロータの回転情報に誤差が生じ、当該回転情報に基づいて制御されるモータの性能が低下するという問題が出てくる。そこで、回転軸に漏れる磁束を考慮してセンサマグネットを大型化することが考えられるが、モータの大型化、重量の増大及び製造コストの増大を招いてしまう。
これらのことから、コンシクエントポール型のロータを備えたモータにおいて、センサマグネットによる磁界が歪むこと(センサマグネットの磁界が弱まることを含む)を抑制することが望まれている。しかし、特許文献1には、センサマグネットによる磁界が歪むことを抑制する構成については何ら開示されていなかった。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、センサマグネットによる磁界が歪むことを抑制することができるモータを提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、筒状の筒状部を有するケースと、前記筒状部に内嵌固定された環状のステータと、磁性体よりなる回転軸に固定された磁性体よりなるロータコアに対して一方の磁極のマグネットが周方向に複数配置されるとともに前記マグネット間に前記ロータコアの擬似磁極が配置されて前記擬似磁極が他方の磁極として機能する、前記ステータの内側に配置されたロータと、前記回転軸に一体回転可能に固定されたセンサマグネットと、前記センサマグネットと対向配置され前記センサマグネットの回転に伴う磁界の変化を検出しその検出結果に応じた回転検出信号を出力する磁気センサと、を備えたモータであって、前記ケースは、前記筒状部が強磁性材料にて形成されるとともに、強磁性材料にて形成され前記筒状部における前記センサマグネット側の軸方向の端部から径方向内側に向かって前記ロータコアにおける前記マグネットよりも内周側の部位と軸方向に対向する位置まで延びる磁束吸収部を有しており、前記磁束吸収部は、前記筒状部における前記センサマグネット側の軸方向の端部から連続的に径方向内側へ延びていることをその要旨としている。
同構成によれば、磁束吸収部は、強磁性材料にて形成されるとともに、筒状部におけるセンサマグネット側の軸方向の端部から径方向内側に向かってロータコアにおけるマグネットよりも内周側の部位と軸方向に対向する位置まで延びている。従って、マグネットのN極から出た磁束のうち、回転軸を通ってセンサマグネットの方へ流れようとする磁束は、回転軸においてセンサマグネットが固定された部位まで回り込まずに磁束吸収部を通ってマグネットのS極に戻りやすくなる。よって、回転軸においてセンサマグネットが固定された部位が磁化されることが抑制されるため、センサマグネットによる磁界が、磁化された回転軸の影響によって歪むことが抑制される。また、マグネット及びロータコアからの漏れ磁束は、当該マグネット及びロータコアと軸方向に対向する磁束吸収部に流れ込み、ケースの筒状部及びステータを通ってマグネットに戻ることができる。従って、マグネット及びロータコアからの漏れ磁束がセンサマグネットに到達することが抑制されるため、マグネット及びロータコアからの漏れ磁束によってセンサマグネットによる磁界が歪むことが抑制される。これらのことから、センサマグネットの磁界を検出する磁気センサが歪んだ回転検出信号を出力することが抑制される。更に、筒状部におけるセンサマグネット側の軸方向の端部に磁束吸収部を設けることにより、マグネット及びロータコアからセンサマグネットへ漏れ磁束が到達しないようにするために、マグネットが配置されたロータコアとセンサマグネットとの間に十分な空隙を設けなくてもよい。従って、モータの軸方向の大型化を抑制しつつ、センサマグネットによる磁界が歪むことを抑制することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記ステータは、前記筒状部に内嵌固定された環状のステータコアを備え、前記磁束吸収部は、前記ステータコアにおける前記センサマグネット側の軸方向の端面よりも前記ロータコアに軸方向に近接する近接部を有することをその要旨としている。
同構成によれば、ロータコアからの漏れ磁束が近接部から磁束吸収部内に流れやすくなる。従って、ロータコアからの漏れ磁束によってセンサマグネットによる磁界が歪むことがより抑制される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のモータにおいて、前記磁束吸収部は、前記ロータコアにおける前記センサマグネット側の軸方向の端面に近接するように軸方向に突出した近接突出部を備え、前記近接突出部は前記近接部であることをその要旨としている。
同構成によれば、近接突出部は、ロータコアにおけるセンサマグネット側の軸方向の端面に近接するように軸方向に突出した簡易な構成である。従って、簡易な構成で近接部を形成することができるため、近接部を設けたことによるモータの構成の複雑化及び製造コストの増大を抑制できる。
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載のモータにおいて、前記ロータコアにおける前記センサマグネット側の軸方向の端面には、軸方向に突出した軸方向突出部が一体に設けられ、前記磁束吸収部における前記軸方向突出部と軸方向に対向する部位は、前記近接部であることをその要旨としている。
同構成によれば、軸方向突出部は、ロータコアにおけるセンサマグネット側の軸方向の端面から軸方向に突出した簡易な構成である。そして、この簡易な構成の軸方向突出部をロータコアに設けることにより、近接部を容易に形成することができる。従って、近接部を設けたことによるモータの構成の複雑化及び製造コストの増大を抑制できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のモータにおいて、前記ロータコアと前記センサマグネットとの間に、前記ロータコアよりも磁気抵抗の大きい磁気抵抗部を設けたことをその要旨としている。
同構成によれば、ロータコアとセンサマグネットとの間に磁気抵抗部が設けられたことにより、ロータコアからの漏れ磁束は、ロータコアとセンサマグネットとの間に介在される回転軸を通ってセンサマグネットの方へ流れ難くなる。従って、回転軸におけるセンサマグネットが固定された部位が磁化されることがより抑制されるため、センサマグネットによる磁界が、磁化された回転軸の影響によって歪むことがより抑制される。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のモータにおいて、前記回転軸は、非磁性材料にて形成されるとともに、前記磁気抵抗部であることをその要旨としている。
同構成によれば、回転軸を非磁性材料にて形成することにより、磁気抵抗部を容易に形成することができる。また、回転軸が非磁性材料にて形成されたことにより、センサマグネットの磁束が回転軸の内部に漏れ難くなる。従って、センサマグネットによる磁界が弱くなることが抑制されるため、磁気センサが出力する回転検出信号に基づいて検出されるロータの回転情報に誤差が生じることが抑制される。また、センサマグネットの磁束が回転軸の内部に漏れることを考慮してセンサマグネットを大型化しなくてもよくなるため、モータの大型化、重量の増大及び製造コストの増大を抑制することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載のモータにおいて、前記ロータコアと前記回転軸との間に隙間が形成されるとともに、前記隙間は前記磁気抵抗部であることをその要旨としている。
同構成によれば、ロータコアと回転軸との間に隙間を形成することにより、磁気抵抗部を容易に形成することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のモータにおいて、前記ロータコアは、前記回転軸が圧入されて固定された固定孔を備え、前記隙間は、前記固定孔の内周面に周方向に間隔を空けて形成された前記マグネットと同数の溝部によって形成されるとともに、前記溝部の周方向位置は前記マグネットの周方向位置に対応していることをその要旨としている。
同構成によれば、溝部の周方向位置はマグネットの周方向位置に対応しているため、溝部は、回転軸とマグネットとの間に介在される。従って、各マグネットから出た磁束は、溝部によって形成される隙間に行き当たりやすくなるため、この溝部によってマグネットの磁束が回転軸に流れ込むことを効果的に抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のモータにおいて、前記ロータコアは、前記回転軸が圧入されて固定された筒状の固定筒部と、前記固定筒部から径方向外側に延びる複数の連結部と、前記連結部よりも径方向外側に設けられ前記連結部によって前記固定筒部と連結され前記擬似磁極を有する筒状の磁気路部とから構成されていることをその要旨としている。
同構成によれば、周方向に隣り合う連結部間に、固定筒部、連結部及び磁気路部よりも磁気抵抗の大きい空隙が形成される。従って、マグネットの磁束がロータコアから回転軸に流れ込むことをこの空隙によって抑制することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のモータにおいて、前記ロータコアは、径方向に沿って延び前記連結部となる積層連結部を備えた薄板状の複数枚のコアシートを、積層方向に隣り合う前記コアシートの前記積層連結部が周方向にずれるように積層して形成されていることをその要旨としている。
同構成によれば、コアシートを積層して形成されたロータコアにおいては、各コアシートの積層連結部間に空隙が存在するため、固定筒部と磁気路部との間の磁気抵抗の高い部分が形成される。積層方向に隣り合うコアシートの積層連結部が周方向にずれるようにコアシートを積層して形成されたロータコアにおいては、連結部(積層連結部)間の空隙が、積層方向に隣り合うコアシート同士で周方向にずれることになる。従って、ロータコアでは、固定筒部と磁気路部との間の磁気抵抗の高い部分において、周方向に沿って磁気抵抗の大きさにムラが生じることが抑制される。そして、マグネットから磁気路部に流れ込んだ磁束は、固定筒部と磁気路部との間の磁気抵抗の高い部分に行き当たると、この部分の磁気抵抗の大きさに応じて、回転軸の方へ流れる磁束と、磁気路部内を軸方向に沿って流れてロータコアの軸方向の端面からステータに向かう磁束とに分かれる。従って、固定筒部と磁気路部との間の磁気抵抗の高い部分において周方向に沿って磁気抵抗の大きさにムラが生じることが抑制されると、ステータに流れ込む磁束の量にムラが生じることが抑制される。従って、ロータの回転が変動することが抑制される。
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載のモータにおいて、前記磁束吸収部は、磁性材料よりなり前記センサマグネットの外周を囲繞する囲繞部を有することをその要旨としている。
同構成によれば、センサマグネットの外周は、磁性材料よりなる囲繞部にて囲繞されるため、センサマグネットの外周側から同センサマグネットの方へ流れようとする磁束は、囲繞部から磁束吸収部を流れてマグネットの方へ戻ることができる。従って、センサマグネットによる磁界が歪むことが更に抑制される。
本発明によれば、センサマグネットによる磁界が歪むことを抑制可能なモータを提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)は、本実施形態のモータM1を示す。モータM1は、インナロータ型のブラシレスモータである。
モータケース1は、強磁性材料よりなるケース本体部2と、該ケース本体部2に組付けられる図示しないエンドフレームとから構成されている。ケース本体部2は、円筒状の筒状部2aと、該筒状部2aの軸方向の一端(図1(a)において右側の端)を略閉塞する略円板状の底部2bとが一体に形成されてなるとともに、有底円筒状をなしている。そして、ケース本体部2の開口部、即ち筒状部2aにおける底部2bと反対側の端部は、略円板状の前記エンドフレーム(図示略)にて閉塞される。また、底部2bは、筒状部2aの軸方向の端部の全周に亘って形成されるとともに、底部2bの径方向の中央部には、該底部2bの径方向の中央部をケース本体部2の外側に向けて凹設することにより軸受収容部2cが形成されている。更に、軸受収容部2cの底部中央には、該軸受収容部2cの底部を軸方向に貫通する貫通孔2dが形成されている。そして、軸受収容部2cの内部には、円環状の軸受3が収容されている。
図1(a)及び図2に示すように、前記筒状部2aの内周面には円筒状のステータ11が固定されている。ステータ11を構成する略円筒状のステータコア12は、円筒状の内嵌部12aと、該内嵌部12aの内周面から径方向内側に延びる12個のティース12bとから構成されている。12個のティース12bは周方向に等角度間隔(本実施形態では30°間隔)に形成されるとともに、これらのティース12bにはコイル13が巻装されている。そして、ステータ11は、内嵌部12aが筒状部2aの内周面に圧接された状態で同筒状部2aに対して固定されている。
前記ステータ11の内側には、ロータ21が配置されている。ロータ21は、非磁性材料にて形成された円柱状の回転軸22と、磁性材料にて形成され回転軸22に固定されたロータコア23と、該ロータコア23に対して配置された5個のマグネット24とから構成されている。尚、前記回転軸22は、ロータコア23よりも磁気抵抗の大きい非磁性材料にて形成されている。
図1(a)に示すように、回転軸22の基端部は、貫通孔2dからケース本体部2の外部に突出するとともに、軸受収容部2c内に収容された前記軸受3にて軸支されている。一方、回転軸22の先端部(出力側の端部)は、前記エンドフレームを貫通してケース本体部2の外部に突出するとともに、同エンドフレームの径方向の中央部に設けられた軸受(図示略)にて軸支されている。
図1(a)及び図2に示すように、ロータコア23は、円筒状の固定部23aと、該固定部23aの外周面から径方向外側に突出した5個の擬似磁極23bとから構成されている。ロータコア23の軸方向の長さは、ステータコア12の軸方向の長さと等しく形成されている。このロータコア23は、固定部23aの径方向の中央部を軸方向に貫通した固定孔23c内に回転軸22が圧入されることにより、該回転軸22に対して一体回転可能に固定されている。そして、回転軸22に固定されたロータコア23は、ステータ11と径方向に対向するとともに、ロータコア23における底部2b側の軸方向の端面は、ステータコア12における底部2b側の軸方向の端面とほぼ同一平面内に位置する。
5個の前記擬似磁極23bは、固定部23aと一体に形成されるとともに、固定部23aの外周で周方向に間隔を空けて周方向に等角度間隔(本実施形態では72°間隔)に形成されている。また、各擬似磁極23bは、ロータコア23の軸方向の一端面から他端面にまで軸方向に沿って延びている。
ロータコア23の外周には、擬似磁極23b間にそれぞれマグネット24が配置されている。即ち、ロータコア23の外周では、周方向に隣り合うマグネット24間にそれぞれ擬似磁極23bが配置されることにより、S極のマグネット24と擬似磁極23bとが周方向に交互に並設されている。各マグネット24は、軸方向に沿って延びる略長方形状の板状をなすとともに、その軸方向の長さがロータコア23の軸方向の長さとほぼ等しく形成されている。また、各マグネット24における径方向内側の側面である内周側面24aは、固定部23aの外周面と同じ曲率の円弧状をなすとともに、同固定部23aの外周面に固着されている。更に、各マグネット24における径方向外側の側面である外周側面24bは、内周側面24aよりも大きな曲率の円弧状をなしている。また、各マグネット24の周方向の幅は、ロータコア23の外周面における擬似磁極23b間の部位の周方向の幅よりも短く形成されており、各マグネット24は、その周方向の両側の擬似磁極23bと離間している。
これらのマグネット24は、径方向外側の外周側面24b側がS極、径方向内側の内周側面24a側がN極となるように着磁されている。従って、本実施形態のロータ21では、S極及びN極のうちS極の磁極のマグネット24がロータコア23に対して周方向に5個配置されている。擬似磁極23bを有するロータコア23に対してS極のマグネット24がこのように配置されることにより、5個の擬似磁極23bは、擬似的にN極として機能する。即ち、本実施形態のロータ21は、コンシクエントポール型のロータである。
図1(a)に示すように、前記貫通孔2dからケース本体部2の外部に突出した前記回転軸22の基端には、回転センサ31を構成するセンサマグネット32が固定されている。尚、図1(b)は、センサマグネット32を図1(a)における右側方から見た図である。図1(a)及び図1(b)に示すように、直方体状をなすセンサマグネット32は、回転軸22の基端面に当接した状態で同回転軸22に対して配置されるとともに、その外周に装着された環状のホルダ33によって回転軸22の基端に該回転軸22と一体回転可能に固定されている。また、センサマグネット32は、その長手方向の一端側がN極に着磁されるとともに、他端側がS極に着磁されている。即ち、センサマグネット32は、回転軸22の直径方向の一方側の端部がN極に着磁される一方、他方側の端部がS極に着磁されている。
図1(a)に示すように、ケース本体部2における底部2b側の軸方向の端部には、駆動回路装置41が固定されている。駆動回路装置41は、有底円筒状の収容ケース42と、該収容ケース42内に収容された回路基板43とを備えている。
収容ケース42は、その開口部が前記底部2bによって閉塞されるようにケース本体部2に対して組付けられている。そして、ケース本体部2の内側から底部2bを貫通した複数の螺子44が収容ケース42にそれぞれ螺合されることにより、収容ケース42はケース本体部2に対して一体的に固定されている。このようにケース本体部2に収容ケース42が固定されることにより、回転軸22の先端部及び同回転軸22の先端に固定されたセンサマグネット32が収容ケース42内に収容されている。
また、前記回路基板43は、収容ケース42の内部でセンサマグネット32と回転軸22の軸方向に対向するように配置されるとともに、収容ケース42の底部に突出形成された螺合部42aに対して螺子45によって固定されている。回路基板43上には、センサマグネット32と回転軸22の軸方向に対向するようにホールセンサ46が配置されている。更に、回路基板43上には、ホールセンサ46と電気的に接続された検出回路(図示略)が設けられるとともに、ステータ11のコイル13への電流の供給を制御する駆動制御回路(図示略)が設けられている。この駆動制御回路は、前記検出回路と電気的に接続されるとともに、外部の電源装置に電気的に接続されている。
前記ホールセンサ46及び前記検出回路は、センサマグネット32と共に前記回転センサ31を構成するものである。ホールセンサ46は、ホール素子を備えたホールICであり、回転軸22の回転に伴うセンサマグネット32の磁界の変化を検出するとともにその検出結果に応じた回転検出信号を検出回路に出力する。そして、検出回路は、回転検出信号に基づいてロータ21の回転情報(回転位置(回転角度)、回転速度等)を検出して前記駆動制御回路に出力する。そして、駆動制御回路は、検出回路にて検出された回転情報に基づいて、ロータ21の回転速度が所望の回転速度となるように前記ステータ11のコイル13に電流を供給する。
上記のように構成された本実施形態のモータM1においては、収容ケース42はその開口部が底部2bにて閉塞されるようにケース本体部2に対して固定されているため、収容ケース42の内部に配置されたセンサマグネット32と、ケース本体部2の内部に配置されたロータコア23との間には底部2bが介在されている。そして、この底部2bは、筒状部2aの軸方向の両端部のうちセンサマグネット32側の端部を略閉塞するように形成されている。即ち、底部2bは、筒状部2aにおけるセンサマグネット32側の軸方向の端部から径方向内側に向かってロータコア23における固定部23aと軸方向に対向する位置であって回転軸22の外周面に近接する位置まで延びている。
従って、図3に示すように、モータM1においては、マグネット24から出た磁束であってロータコア23の固定部23aからセンサマグネット32側に漏れ出た磁束は、矢印αにて示すように、底部2b及びステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。同様に、マグネット24からセンサマグネット32側に漏れ出た磁束は、底部2b及びステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。そのため、ロータコア23及びマグネット24からの漏れ磁束がセンサマグネット32に到達することが抑制される。また、マグネット24から出た磁束であって、ロータコア23を通って回転軸22に漏れ出た磁束は、矢印βにて示すように、回転軸22における底部2bと径方向に対向する部位から底部2bに流れ込み、更にステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。そのため、回転軸22においてセンサマグネット32が固定された基端にまでマグネット24の磁束が流れ込むことが抑制されるため、回転軸22の基端部が磁化されることが抑制される。これらのことから、センサマグネット32による磁界が歪むことが抑制される。
また、モータM1において、回転軸22は、非磁性材料にて形成されていることから透磁率が低い。そのため、マグネット24の磁束がロータコア23から回転軸22に流れ込み難くなっている。尚、ロータコア23から回転軸22に磁束が流れ込んだとしても、上述したように、当該磁束は、回転軸22から底部2b及びステータコア12を通ってマグネット24に戻りやすくなっている。また、センサマグネット32の磁束が回転軸22に流れ込むことが抑制されるため、センサマグネット32による磁界が弱まること(センサマグネット32の磁界が歪むこと)が抑制される。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)底部2bは、強磁性材料にて形成されるとともに、筒状部2aにおけるセンサマグネット32側の軸方向の端部から径方向内側に向かってロータコア23におけるマグネット24よりも内周側の部位(即ち固定部23a)と軸方向に対向する位置まで延びている。従って、マグネット24のN極から出た磁束のうち、回転軸22を通ってセンサマグネット32の方へ流れようとする磁束は、回転軸22においてセンサマグネット32が固定された部位まで回り込まずに底部2bを通ってマグネット24のS極に戻りやすくなる。よって、回転軸22においてセンサマグネット32が固定された部位が磁化されることが抑制されるため、センサマグネット32による磁界が、磁化された回転軸22の影響によって歪むことが抑制される。また、マグネット24及びロータコア23からの漏れ磁束は、当該マグネット24及びロータコア23と軸方向に対向する底部2bに流れ込み、モータケース1の筒状部2a及びステータ11を通ってマグネット24に戻ることができる。従って、マグネット24及びロータコア23からの漏れ磁束がセンサマグネット32に到達することが抑制されるため、マグネット24及びロータコア23からの漏れ磁束によってセンサマグネット32による磁界が歪むことが抑制される。これらのことから、センサマグネット32の磁界を検出するホールセンサ46が歪んだ回転検出信号を出力することが抑制される。その結果、回転センサ31によるロータ21の回転情報の検出精度の低下が抑制される。更に、筒状部2aにおけるセンサマグネット32側の軸方向の端部にロータコア23とセンサマグネット32との間に介在される底部2bを設けることにより、マグネット24及びロータコア23からセンサマグネット32へ漏れ磁束が到達しないようにするために、マグネット24が配置されたロータコア23とセンサマグネット32との間に十分な空隙を設けなくてもよい。従って、モータM1の軸方向の大型化を抑制しつつ、センサマグネット32による磁界が歪むことを抑制することができる。
(2)回転軸22は、ロータコア23よりも磁気抵抗の大きい非磁性材料にて形成されている。従って、ロータコア23とセンサマグネット32との間にこの回転軸22が介在されると、ロータコア23からの漏れ磁束は、当該回転軸22を通ってセンサマグネット32の方へ流れ難くなる。よって、回転軸22におけるセンサマグネット32が固定された部位が磁化されることがより抑制されるため、センサマグネット32による磁界が、磁化された回転軸22の影響によって歪むことがより抑制される。その結果、回転センサ31によるロータ21の回転情報の検出精度の低下がより抑制される。また、回転軸22を非磁性材料にて形成することにより、ロータコア23とセンサマグネット32との間にロータコア23よりも磁気抵抗の大きい部位(磁気抵抗部)を容易に設けることができる。更に、回転軸22が非磁性材料にて形成されたことにより、センサマグネット32の磁束が回転軸22の内部に漏れ難くなる。従って、センサマグネット32による磁界が弱くなること(磁界が歪むこと)が抑制されるため、ホールセンサ46が出力する回転検出信号に基づいて検出されるロータ21の回転情報に誤差が生じることが抑制される。その結果、回転センサ31において検出した回転情報に基づいて制御されるモータM1の性能の低下を抑制することができる。また、センサマグネット32の磁束が回転軸22の内部に漏れることを考慮してセンサマグネット32を大型化しなくてもよくなるため、モータM1の大型化、重量の増大及び製造コストの増大を抑制することができる。
(3)有底円筒状のケース本体部2を強磁性体にて形成するとともに、底部2bをロータコア23とセンサマグネット32との間に介在させることで、容易にセンサマグネット32による磁界が歪むことを抑制することができる。そして、センサマグネット32による磁界が歪むことを抑制するための構成を別途モータM1に備える場合に比べて、モータM1の大型化を抑制することができる。
(4)底部2bは、筒状部2aにおけるセンサマグネット32側の軸方向の端部の全周に亘って形成されている。従って、ロータ21の回転位置に拘わらず、センサマグネット32の磁界が歪むことを抑制することができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のロータコア23に代えて、図4(a)及び図4(b)に示すようなコアシート51を複数枚積層してなるロータコア52をモータM1に備えてもよい。図4(a)に示すように、薄板状のコアシート51は、磁性材料よりなる金属板材をプレス加工により打ち抜いて形成されている。コアシート51は、円環状の積層固定筒部51aと、該積層固定筒部51aから径方向外側に向かって延びる4本の積層連結部51bと、積層連結部51bよりも径方向外側に設けられ同積層連結部51bによって積層固定筒部51aと連結された環状の積層磁気路部51cとから構成されている。4本の積層連結部51bは、積層固定筒部51aの周方向に等角度間隔(即ち90°間隔)に形成されるとともに、周方向に隣り合う積層連結部51b間には、空隙51dが形成されている。また、積層磁気路部51cは、径方向外側に突出する5個の積層擬似磁極部51eを備えている。5個の積層擬似磁極部51eは、周方向に等角度間隔(即ち72°間隔)に形成されている。そして、このコアシート51は、図4(b)に示すように、先に積層されたコアシート51に対して72°ずつ(即ち隣り合う積層擬似磁極部51e間の間隔と同じだけ)周方向に回転するように積層されていく。そのため、積層方向に隣り合うコアシート51においては、互いの積層連結部51bが周方向にずれることになる。また、積層されたコアシート51の積層連結部51b(連結部52b)は、螺旋状になる。そして、複数枚のコアシート51が積層されると、軸方向に積層された積層固定筒部51aによって筒状の固定筒部52aが形成されるとともに、軸方向に積層された積層磁気路部51cによって筒状の磁気路部52cが形成される。そして、積層連結部51bは、固定筒部52aと磁気路部52cとを連結する連結部52bとなる。また、磁気路部52cの周方向に等角度間隔となる5箇所には、積層擬似磁極部51eを積層してなる擬似磁極52eが形成される。尚、このロータコア52は、固定筒部52aの内側に回転軸22が圧入されて固定されることにより同回転軸22に対して一体回転可能に固定される。
このようにすると、コアシート51を積層して形成されたロータコア52においては、各コアシート51の積層連結部51b間に空隙51dが存在するため、固定筒部52aと磁気路部52cとの間の磁気抵抗の高い部分が形成される。また、積層方向に隣り合うコアシート51の積層連結部51bが周方向にずれるようにコアシート51を積層して形成されたロータコア52においては、連結部52b(積層連結部51b)間の空隙51dが、積層方向に隣り合うコアシート51同士で周方向にずれることになる。従って、ロータコア52では、固定筒部52aと磁気路部52cとの間の磁気抵抗の高い部分において、周方向に沿って磁気抵抗の大きさにムラが生じることが抑制される。そして、マグネット24から磁気路部52cに流れ込んだ磁束は、固定筒部52aと磁気路部52cとの間の磁気抵抗の高い部分に行き当たると、この部分の磁気抵抗の大きさに応じて、回転軸22の方へ流れる磁束と、磁気路部52c内を軸方向に沿って流れてロータコア52の軸方向の端面からステータ11に向かう磁束とに分かれる。従って、固定筒部52aと磁気路部52cとの間の磁気抵抗の高い部分において周方向に沿って磁気抵抗の大きさにムラが生じることが抑制されると、ステータ11に流れ込む磁束の量にムラが生じることが抑制される。従って、このロータコア52を備えたロータ21の回転が変動することが抑制されるため、モータM1における駆動時の振動及び騒音を低減することができる。
尚、コアシート51を積層してロータコア52を形成する場合、コアシート51は、必ずしも積層方向に隣り合うコアシート51の積層連結部51bが周方向にずれるように積層されなくてもよい。例えば、固定筒部52aの外周の5箇所に、積層連結部51bが軸方向に積層されてなる連結部52bが形成されるようにコアシート51を積層してロータコア52を形成してもよい。このようにすると、周方向に隣り合う連結部52b間に、固定筒部52a、連結部52b及び磁気路部52cよりも磁気抵抗の大きい空隙が形成される。従って、マグネット24の磁束がロータコア52から回転軸22に流れ込むことをこの空隙によって抑制することができる。その結果、回転軸22におけるセンサマグネット32が固定された部位が磁化されることをより抑制できるため、センサマグネット32による磁界が、磁化された回転軸22の影響によって歪むことがより抑制される。よって、回転センサ31によるロータ21の回転情報の検出精度の低下が更に抑制される。
また、積層連結部51bが軸方向に積層されてなる連結部52bが形成されるようにコアシート51を積層してロータコア52を形成する場合には、各コアシート51に積層連結部51bを周方向に等角度間隔に積層擬似磁極部51eの数と同数だけ形成し、更に、これらの積層連結部51bの周方向位置と積層擬似磁極部51eの周方向位置と一致させてもよい。このようにすると、各擬似磁極52eの径方向内側に連結部52bがそれぞれ存在することになる。そして、擬似磁極52e間に配置されたマグネット24から出た磁束は、連結部52b間の空隙に行き当たりやすくなるため、この空隙によってマグネット24の磁束が回転軸22に流れ込むことを効果的に抑制することができる。
また、筒状の固定筒部52aと、該固定筒部52aから径方向外側に延びる複数の連結部52bと、連結部52bよりも径方向外側に設けられ連結部52bによって固定筒部52aと連結され擬似磁極52eを有する筒状の磁気路部52cとから構成されるロータコアは、焼結、鋳造等によって形成されてもよい。
・図5(a)に示すように、ロータコア61の固定孔23cの内周面に、ロータコア23に対して配置されるマグネット24と同数(図5(a)に示す例では5個)の溝部62を形成してもよい。5個の溝部62は、周方向に間隔を空けて且つ周方向に等角度間隔(即ち72°間隔)に形成されている。また、5個の溝部62は、径方向外側に向かって凹設されるとともに、軸方向に沿ってロータコア23の軸方向の一端から他端まで延びている。更に、5個の溝部62は、その周方向位置がマグネット24の周方向位置に対応している。そして、固定孔23cの内周面にこれらの溝部62が形成されることにより、ロータコア61と回転軸22との間に隙間が形成されるとともに、この溝部62による隙間は、ロータコア61とセンサマグネット32(図1(a)参照)との間に設けられた、ロータコア61よりも磁気抵抗の大きい磁気抵抗部となる。
このようにすると、ロータコア61と回転軸22との間に溝部62による隙間を形成することにより、ロータコア61とセンサマグネット32との間にロータコア61よりも磁気抵抗の大きい磁気抵抗部を容易に形成することができる。そして、ロータコア61とセンサマグネット32との間に溝部62による隙間(磁気抵抗部)が設けられたことにより、ロータコア61からの漏れ磁束は、ロータコア61とセンサマグネット32との間に介在される回転軸22を通ってセンサマグネット32の方へ流れ難くなる。従って、回転軸22におけるセンサマグネット32が固定された部位が磁化されることがより抑制されるため、センサマグネット32による磁界が、磁化された回転軸22の影響によって歪むことがより抑制される。また、溝部62の周方向位置はマグネット24の周方向位置に対応しているため、溝部62は、回転軸22とマグネット24との間に介在される。従って、各マグネット24から出た磁束は、溝部62によって形成される隙間に行き当たりやすくなるため、この溝部62によってマグネット24の磁束が回転軸22に流れ込むことを効果的に抑制することができる。
また、図5(b)に示すように、ロータコア63の固定部23aに該固定部23aを軸方向に貫通する圧入許容兼磁気抵抗孔64を形成してもよい。圧入許容兼磁気抵抗孔64は、固定部23aにおいて溝部62よりも外周側となる位置に形成されるとともに、周方向に等角度間隔に擬似磁極23bと同数(図5(b)に示す例では5個)だけ形成されている。そして、5個の圧入許容兼磁気抵抗孔64は、その周方向位置が擬似磁極23bの周方向位置と一致しているため、溝部62間に位置している。このロータコア63の固定孔23cに回転軸22を圧入する際には、固定部23aにおける周方向に隣り合う溝部62間の部位が回転軸22の圧入に伴って外周側に押圧される。このとき、固定部23aにおける周方向に隣り合う溝部62間の部位であって圧入許容兼磁気抵抗孔64よりも内周側の部位が、圧入許容兼磁気抵抗孔64の径方向の幅を狭めるように径方向外側に向かって移動(塑性変形)することができる。従って、回転軸22の圧入によってロータコア23における圧入許容兼磁気抵抗孔64よりも外周側の部位が変形することが抑制される。また、圧入許容兼磁気抵抗孔64は、溝部62間に位置しているので、回転軸22に至る磁気抵抗ともなる。圧入許容兼磁気抵抗孔64を溝部62に対し周方向にラップするよう形成することで、当該磁気抵抗作用が増大する。
尚、図5(a)及び図5(b)に示す例において、溝部62の周方向位置は、必ずしもマグネット24の周方向位置に対応していなくてもよい。また、溝部62の数は、必ずしもマグネット24と同数でなくてもよく、4個以下若しくは6個以上であってもよい。更に、圧入許容兼磁気抵抗孔64の数は、必ずしも擬似磁極23bの数と同数でなくてもよく、溝部62の数に応じてその数が設定されてもよい。
・図6(a)及び図6(b)に示すように、回転軸22とロータコア71との間に抵抗凹部72(磁気抵抗部)を形成してもよい。抵抗凹部72は、固定部23aの内径を固定孔23cの直径よりも拡径して形成されている。図6(a)及び図6(b)に示す例では、固定部23aにおけるセンサマグネット32側の軸方向の端部から、センサマグネット32と反対側の軸方向の端部の手前までの領域に亘って、抵抗凹部72が形成されている。そして、抵抗凹部72の直径は、回転軸22の外径よりも大きいため、抵抗凹部72の内周面と回転軸22との間には隙間が形成される。図6(a)及び図6(b)に示す例では、抵抗凹部72の内周面と回転軸22の外周面との間に磁気抵抗となる樹脂材料73が充填されているが、この樹脂材料73は充填しなくてもよい。このロータコア71は、ロータコア71におけるセンサマグネット32と反対側の端部に形成された固定孔23cに回転軸22が圧入されることにより回転軸22に対して一体回転可能に固定されている。
このようにすると、ロータコア71と回転軸22との間に抵抗凹部72による隙間を形成することにより、ロータコア71とセンサマグネット32との間にロータコア71よりも磁気抵抗の大きい磁気抵抗部を容易に形成することができる。そして、ロータコア71とセンサマグネット32との間に抵抗凹部72による隙間(磁気抵抗部)が設けられたことにより、ロータコア71からの漏れ磁束は、ロータコア71とセンサマグネット32との間に介在される回転軸22を通ってセンサマグネット32の方へ流れ難くなる。従って、回転軸22におけるセンサマグネット32が固定された部位が磁化されることがより抑制されるため、センサマグネット32による磁界が、磁化された回転軸22の影響によって歪むことがより抑制される。
・上記実施形態では、回転軸22は非磁性材料にて形成されている。しかしながら、回転軸22は、必ずしも非磁性材料にて形成されなくてもよく、強磁性材料にて形成されていてもよい。
・図7に示すモータM2及び図8に示すモータM3のように、回転軸22の先端側(出力側)にセンサマグネットを配置してもよい。尚、図7及び図8では、上記実施形態と同一の構成に同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すモータM2においては、モータケース81は、円筒状の筒状部82a及び該筒状部の軸方向の一端を閉塞する底部82bとからなる有底円筒状のケース本体部82と、該ケース本体部82の開口部を略閉塞する円板状のエンドフレーム83とから構成されている。ケース本体部82及びエンドフレーム83は強磁性材料にて形成されている。エンドフレーム83は、複数の螺子84によって筒状部82aの軸方向の他端(即ち底部82bと反対側の端部)に固定されている。また、エンドフレーム83の径方向の中央部には、回転軸22の先端側(出力側)の部位を軸支する軸受85が固定されている。回転軸22の先端部は、エンドフレーム83を貫通してモータケース81の外部に突出している。また、エンドフレーム83の外側面83aには、モータケース81の外側に開口する収容凹部83bが凹設されるとともに、この収容凹部83bは、エンドフレーム83を貫通した回転軸22の外周に位置するように形成されている。そして、モータケース81の外部に突出した回転軸22の先端側の部位には、円環状のホルダ86にて保持された円環状のセンサマグネット87が同ホルダ86を介して一体回転可能に固定されている。センサマグネット87は、前記収容凹部83b内に収容されるように回転軸22に対して固定されており、同センサマグネット87の外周は、収容凹部83bの内周面83cによって囲繞されている。尚、エンドフレーム83において収容凹部83bの外周側の部位が囲繞部に該当する。そして、このセンサマグネット87と軸方向に対向する位置には、回路基板43上に配置されたホールセンサ46が配置されている。
このようなモータM2においては、エンドフレーム83は、筒状部82aの軸方向の両端部のうちセンサマグネット87側の端部を閉塞するように形成されている。即ち、エンドフレーム83は、筒状部82aにおけるセンサマグネット87側の軸方向の端部から径方向内側に向かってロータコア23の固定部23aと軸方向に対向する位置であって回転軸22を軸支する軸受85に当接するまで延びている。そして、モータケース81の外部に配置されたセンサマグネット87と、モータケース81の内部に配置されたロータコア23との間にはエンドフレーム83が介在されている。従って、モータM2においては、マグネット24から出た磁束であってロータコア23の固定部23aからセンサマグネット87側に漏れ出た磁束は、エンドフレーム83及びステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。同様に、マグネット24からセンサマグネット32側に漏れ出た磁束は、エンドフレーム83及びステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。そのため、ロータコア23及びマグネット24からの漏れ磁束がセンサマグネット87に到達することが抑制される。また、マグネット24から出た磁束であって、ロータコア23を通って回転軸22に漏れ出た磁束は、回転軸22における軸受85にて軸支された部位からエンドフレーム83に流れ込み、更にステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。そのため、回転軸22においてセンサマグネット87が固定された部位にまでマグネット24の磁束が流れ込むことが抑制されるため、回転軸22においてセンサマグネット87が固定された部位が磁化されることが抑制される。これらのことから、センサマグネット87による磁界が歪むことが抑制される。
また、図8に示すモータM3においては、モータケース91は、ケース本体部82と、該ケース本体部82の開口部を略閉塞する円板状のエンドフレーム93とから構成されている。エンドフレーム93の径方向の中央部には、該エンドフレーム93をモータケース91の外側から内側に向かって凹設してなるセンサ収容部93aが形成されている。センサ収容部93aは、モータケース91の外部に開口するとともに、その底部中央には、挿通孔93bが形成されている。そして、回転軸22の先端側(出力側)の部位は、この挿通孔93bを通ってモータケース91の外部に突出している。また、回転軸22におけるモータケース91の外部に突出した先端側の部位には、円環状のホルダ86にて保持された円環状のセンサマグネット87が同ホルダ86を介して一体回転可能に固定されている。センサマグネット87は、センサ収容部93a内に収容されるように回転軸22に対して固定されており、同センサマグネット87の外周は、センサ収容部93aの側壁部93c(囲繞部)によって囲繞されている。
また、モータケース91におけるエンドフレーム93側の端部には、駆動回路装置94が固定されている。駆動回路装置94は、有底円筒状の収容ケース95と、該収容ケース95内に収容された回路基板43とを備えている。収容ケース95は、その開口部がエンドフレーム93によって閉塞されるようにモータケース91に対して配置されるとともに、その開口部とケース本体部82の開口部との間にエンドフレーム93が介在された状態で複数の螺子84によってエンドフレーム93と共にケース本体部82に固定されている。そして、収容ケース95とエンドフレーム93とによって囲まれる空間の内部にセンサマグネット87が配置されるとともに、前記回路基板43上に配置されたホールセンサ46が、回転軸22の軸方向にセンサマグネット87と対向している。また、収容ケース95の底部中央には、モータケース91の外部に突出した回転軸22の先端側の部位を軸支する軸受96が固定されている。更に、回転軸22の先端部は、収容ケース95の底部中央を貫通して同収容ケース95の外部に突出している。
このようなモータM3においては、エンドフレーム93は、筒状部82aの軸方向の両端部のうちセンサマグネット87側の端部を閉塞するように形成されている。即ち、エンドフレーム93は、筒状部82aにおけるセンサマグネット87側の軸方向の端部から径方向内側に向かってロータコア23の固定部23aと軸方向に対向する位置であって回転軸22と近接する位置まで延びている。そして、モータケース91の外部に配置されたセンサマグネット87と、モータケース91の内部に配置されたロータコア23との間にはエンドフレーム93が介在されている。従って、モータM3においては、マグネット24から出た磁束であってロータコア23の固定部23aからセンサマグネット87側に漏れ出た磁束は、エンドフレーム93及びステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。同様に、マグネット24からセンサマグネット32側に漏れ出た磁束は、エンドフレーム93及びステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。そのため、ロータコア23及びマグネット24からの漏れ磁束がセンサマグネット87に到達することが抑制される。また、マグネット24から出た磁束であって、ロータコア23を通って回転軸22に漏れ出た磁束は、回転軸22におけるエンドフレーム93と径方向に対向する部位からエンドフレーム93に流れ込み、更にステータコア12を通ってマグネット24に戻ることができる。そのため、回転軸22においてセンサマグネット87が固定された部位にまでマグネット24の磁束が流れ込むことが抑制されるため、回転軸22においてセンサマグネット87が固定された部位が磁化されることが抑制される。これらのことから、センサマグネット87による磁界が歪むことが抑制される。
そして、上記のモータM2,M3は、上記実施形態の(1)、(2)及び(4)と同様の作用効果を得ることができる。また、センサマグネット87の外周は、強磁性材料よりなるエンドフレーム83における収容凹部83bの外周側の部位、若しくは、強磁性材料よりなるセンサ収容部93aの側壁部93cによって囲繞されている。そのため、センサマグネット87の外周側から同センサマグネット87の方へ流れようとする磁束は、エンドフレーム83における収容凹部83bの外周側の部位、若しくはセンサ収容部93aの側壁部93cからエンドフレーム83、93を流れてマグネット24の方へ戻ることができる。従って、センサマグネット87による磁界が歪むことが更に抑制される。
尚、上記実施形態のモータM1においても、底部2bにセンサマグネット32の外周を囲む磁性材料よりなる囲繞部を設けてもよい。また、底部2b及びエンドフレーム83、93に対して、センサマグネット32,87の外周を囲む磁性材料よりなる囲繞部を別部材により設けてもよい。
・図9(a)〜図9(c)に示すように、ステータコア12におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面よりもロータコア23に軸方向に近接する近接部を底部2bに設けてもよい。尚、図9(a)〜図9(c)では、センサマグネット32及び駆動回路装置41の図示を省略している。
図9(a)に示す例では、ロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面が、ステータコア12におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面よりも底部2bに近接した位置に位置している。そのため、ロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面と底部2bとの間の距離Y1は、ステータコア12におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面と底部2bとの間の距離Xよりも短くなっている。そして、底部2bにおいて、ロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面と軸方向に対向する部位が近接部101となっている。このようにすると、ロータコア23からの漏れ磁束が近接部101から底部2b内に流れやすくなる。従って、ロータコア23からの漏れ磁束によってセンサマグネット32による磁界が歪むことがより抑制される。
また、図9(b)に示す例では、底部2bにおいてロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面と軸方向に対向する部位を、ロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面に近接するようにモータケース1の内部に向かって軸方向に突出させることにより、近接部としての近接突出部102が形成されている。そして、ロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面と近接突出部102の先端との間の距離Y2は、ステータコア12におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面と底部2bとの間の距離Xよりも短くなっている。このようにすると、ロータコア23からの漏れ磁束が近接突出部102から底部2b内に流れやすくなる。従って、ロータコア23からの漏れ磁束によってセンサマグネット32による磁界が歪むことがより抑制される。また、近接突出部102は、ロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面に近接するように軸方向に突出した簡易な構成である。従って、簡易な構成で近接部としての近接突出部102を形成することができるため、近接突出部102を設けたことによるモータM1の構成の複雑化及び製造コストの増大を抑制できる。
また、図9(c)に示す例では、ロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面に、底部2bに近接するように軸方向に沿って突出した軸方向突出部103が一体に形成されている。従って、ロータコア23の軸方向突出部103の先端面と底部2bとの間の距離Y3は、ステータコア12におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面と底部2bとの間の距離Xよりも短くなっている。そして、底部2bにおいて、軸方向突出部103の先端面と軸方向に対向する部位が近接部104となっている。このようにすると、ロータコア23からの漏れ磁束が近接部104から底部2b内に流れやすくなる。従って、ロータコア23からの漏れ磁束によってセンサマグネット32による磁界が歪むことがより抑制される。また、軸方向突出部103は、ロータコア23におけるセンサマグネット32側の軸方向の端面から軸方向に突出した簡易な構成である。そして、この簡易な構成の軸方向突出部103をロータコア23に設けることにより、近接部104を容易に形成することができる。従って、近接部104を設けたことによるモータM1の構成の複雑化及び製造コストの増大を抑制できる。
尚、図9(a)〜図9(c)に示す例は、適宜組み合わせても良い。また、図7及び図8に示すモータM2,M3のエンドフレーム83,93に上記のような近接部を設けてもよい。
・上記実施形態では、筒状部2aと底部2bとは一体に形成されているが、別体に形成されて、螺子等により一体的に組付けられるものであってもよい。
・上記実施形態では、磁気センサとしてホールセンサ46を用いて、センサマグネット32の回転に伴う磁界の変化を検出した。しかしながら、磁気センサは、ホールセンサ46に限らず、例えば磁気抵抗素子を用いたセンサであってもよい。
・マグネット24は、径方向外側の外周側面24b側がN極、径方向内側の内周側面24a側がS極となるように着磁されたものであってもよい。この場合、ロータ21では、N極のマグネット24と擬似磁極23bとが周方向に交互に並設されるとともに、擬似磁極23bは、擬似的にS極として機能する。
・ロータ21に備えられるマグネット24の数及び擬似磁極23bの数は、5つに限らず適宜変更してもよい。また、ロータコアに対して一方の磁極のマグネット24が周方向に複数配置されるとともにマグネット24間にロータコアに備えられた擬似磁極23bが配置されて擬似磁極23bが他方の磁極として機能するように構成されるのであれば、マグネット24の形状及び擬似磁極23bの形状は適宜変更してもよい。更に、ステータ11は、筒状部2aに内嵌固定されるとともに内側にロータ21を配置可能な環状をなすように構成されるのであれば、マグネット24の数に応じてティース12bの数を変更したりその形状を変更したりしてもよい。
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載のモータにおいて、前記磁束吸収部は、前記筒状部における前記センサマグネット側の軸方向の端部の全周に亘って形成されていることを特徴とするモータ。同構成によれば、ロータの回転位置に拘わらず、センサマグネットの磁界が歪むことを抑制することができる。