JP5563500B2 - グラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法 - Google Patents

グラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭素原子が互いに二次元的に結合して成る一原子層シートであるグラフェン及び、当該グラフェンが積層された構造の炭素分子薄膜の合成方法に関する。
グラフェンは、炭素原子のsp2結合により形成された六員環構造が二次元的に連続して結合したハニカムシート構造として表される一原子層シートである。グラフェンが複数積層されたものを、ここでは炭素分子薄膜と呼ぶこととする。近年、その電子・正孔移動度やスピン輸送特性等の特徴的な性質が注目され、デバイス等への応用が期待されるナノ材料である。
グラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法としては、金属を触媒として合成する方法が広く知られている。この方法では、炭素原子の供給源となるガス等を触媒金属に供給し、ガス分子の分解と炭素原子の結合によるグラフェン構造の形成反応を経て、触媒金属表面にグラフェン及び炭素分子薄膜が形成される。
グラフェンは二次元平面構造を有するため、グラフェンが合成される金属表面は、原子レベルで平坦であることが、欠陥の少ないグラフェンの合成には理想的と考えられる。そのため、当該金属表面が、金属結晶面であると理想的である。
また、グラフェンは、数十ナノメートル程度の微小な広さであっても、特徴となる構造と物性を有すると考えられるが、デバイス等への応用を考慮した場合には、均一な範囲がなるべく広くなるように製造することが望ましい。
これらの要件を満たすために、触媒金属となるイリジウム(111)などの金属単結晶を基板として用い、その表面により均一なグラフェン、炭素分子薄膜を合成する手法等がこれまでに報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
J.Coraux et al. ,"Growth of graphene on Ir(111)", New Journal of Physics, vol.11, 023006, 2009.
しかしながら、上述した金属単結晶を基板とする場合、金属単結晶基板の作製は、超高真空下で、高温での触媒金属の塗布と高温加熱の繰り返し処理が必要になるなど手間がかかり、必要な条件が厳しく、作製に多大な困難が伴う。
例えば、上述した非特許文献1のイリジウム(111)の金属単結晶基板の作製では、1×10-5Pa程度の超高真空性能を持つチャンバー内で、1120Kに加熱した基板上にイリジウムをスパッタリングし、その後1570Kで加熱するという工程を繰り返すことで、数百ナノメーターの厚さを持つイリジウム(111)基板を作製している。
このような超高真空・超高温処理プロセスを実現する装置の作製には、高い技術と多くの費用が必要となり、実施できる事業者も限られる。また、市場でこのような金属単結晶基板を多量に調達しようとすると、コスト的負担が大きくなる。
本発明は、上記の問題を解決するグラフェン及び炭素分子薄膜の合成法を提供するものであり、一般的な製膜法で作製された金属薄膜を用いて、触媒となる金属結晶を調製し、低コストにてより広い均一領域を有するグラフェン及び炭素分子薄膜を容易に合成する方法を提供することを目的とする。
本発明に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法は、触媒金属の結晶粒を作製する第1工程と、グラフェン及び炭素分子薄膜を合成する第2工程とから成り、第1工程は、不活性ガスと水素ガス雰囲気下で触媒金属を加熱し、第1の所定温度まで昇温する工程と、昇温後、第1の所定温度のまま、第1の所定時間にわたって保持する工程と、触媒金属が再配列する温度範囲を含む範囲で一定となる第1の所定降温速度で降温する工程とを含む。
さらに、第2工程は、不活性ガスと水素ガス雰囲気下で触媒金属を加熱し、第2の所定温度まで昇温する工程と、第2の所定温度まで昇温後、第2の所定時間にわたって炭素原料ガスを更に供給する工程と、第2の所定温度から触媒金属が再配列する温度範囲を含む範囲で一定となる第2の所定降温速度で降温する工程とを含む。
さらに、第1及び第2の所定温度、および第1及び第2の所定降温速度を制御することにより、触媒金属の多結晶面を作製して、当該多結晶面の各結晶粒の平均粒径を増大させるとともに、各結晶粒の結晶方位を揃える方向に制御して、当該多結晶面上にグラフェン及び炭素分子薄膜を合成する。これにより、欠陥の少ない質の高いグラフェン及び炭素分子薄膜を得ることができる。
また、第2工程において、第2の所定温度まで昇温後、第2の所定温度に保持して、第2の所定時間にわたって炭素原料ガスを更に供給する工程と、炭素原料ガスを排気して、不活性ガスと水素ガス雰囲気下で、第2の所定降温速度で降温する工程とを含む。
また、第1工程を複数回にわたって実行した後に、第2工程を実行する。その際、上記第1の所定温度と、第1の所定時間と、第1の所定降温速度、及び第2の所定温度と、第2の所定時間と、第2の所定降温速度とをそれぞれ独立に制御することで、触媒金属の結晶粒を作製し、当該結晶粒の結晶面上にグラフェン及び炭素分子薄膜を合成することができる。上記第1工程を複数回繰り返す場合は、それぞれの第1の所定温度、第1の所定時間、及び第1の所定降温速度をそれぞれ独立に制御してもよい。
また、本発明に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法は、不活性ガスおよび水素ガス雰囲気下で触媒金属を加熱し、所定温度に至るまで昇温する工程と、昇温後、所定の時間にわたって炭素原料ガスを更に供給する工程と、触媒金属が再配列する温度範囲を含む範囲で一定となる所定の降温速度で降温する工程とを含み、所定温度および所定の降温速度を制御することにより、触媒金属の多結晶面を作製して、当該多結晶面の各結晶粒の平均粒径を増大させるとともに、各結晶粒の結晶方位を揃える方向に制御して、当該多結晶面上にグラフェン及び炭素分子薄膜を合成する。
また、昇温後、所定温度に保持して、所定の時間にわたって炭素原料ガスを更に供給する工程と、炭素原料ガスを排気して、不活性ガスおよび水素ガス雰囲気下で、所定の降温速度で降温する工程とを含む。
以上説明した本発明によれば、一般的な製膜法で作製された金属薄膜を用いて触媒となる金属結晶を調製し、低コストにて、より広い均一領域を有するグラフェン及び炭素分子薄膜を容易に合成できるという優れた効果が得られる。
本発明の実施の形態1に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1〜3に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法で用いる電気炉を模式的に示した図である。 本発明の実施の形態1〜3に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法において触媒金属基板を降温するときの温度変化を示したタイムチャートである。 本発明の実施の形態1〜3と同様に、所定の降温速度に制御する過程を経た触媒金属表面の原子間力顕微鏡(AFM)像(a)と、制御せずに自然に冷ました触媒金属表面のAFM像(b)である。 本発明の実施の形態1〜3と同様に、昇温、降温過程を経た後のニッケル表面の結晶方位を解析した結果である。(a)、(b)ともに1回の昇温、降温過程を経たものであり、(a)は降温速度を制御した場合、(b)は制御せずに自然に冷ました場合の走査電子顕微鏡(SEM)像である。(a’)、(b’)は、それぞれ、(a)、(b)の破線部分に対し、各結晶粒の結晶方位を、後方散乱電子回折(EBSD)により解析したマッピング像である。 本発明の実施の形態1〜3に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法により合成されたものの断面を観察した透過型電子顕微鏡像(TEM像)の写真である。結晶粒界の部分を観察した例である。 発明の実施の形態1〜3に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法により合成されたものの一例を観察した透過型電子顕微鏡像(TEM像)及び電子回折像の写真である。膜に対し垂直方向から観察したTEM像(a)と、その拡大像(b)と、(a)の円形で囲んだ領域に対する電子回折像(c)である。 本発明の実施の形態2に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3と同様に、触媒金属結晶粒作製工程を3回繰り返したニッケル表面のAFM像(a)と、触媒金属結晶粒作製工程を実行する前の、無定形状態のニッケル表面のAFM像(b)である。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法を示すフローチャートである。
まず、基板に触媒金属を塗布する。基板としては、例えば、研磨したシリコンウェハを熱酸化して表面に二酸化ケイ素(SiO2)を形成した平滑基板を使用する。基板はこれに限らず、平滑であり、グラフェンの合成温度において触媒金属と反応しない材料からなるものであればよい。例えば他に、酸化マグネシウム(MgO)やサファイア(Al23)などが挙げられる。
上記基板の上に、例えば、ニッケル(Ni)などの触媒金属を300nmの厚さで塗布して触媒金属基板を作製する。ここで、触媒金属を塗布する方法としては、金属を融解、蒸発させて塗布する方法(蒸着)または、高速粒子によって当該触媒金属のターゲットから金属原子を弾き飛ばして塗布する方法(スパッタリング法)など一般的な製膜法を採用することができる。
なお、触媒金属の厚さは、上述した300nmに限らず、任意の厚さで良いが、後述する昇温過程を経ることで触媒金属が凝集し、基板が露出することがないよう、後述する所定温度θ11や、その所定温度θ11での保持時間T1、触媒金属種、触媒金属と基板との親和性等も考慮して適宜選択すればよい。また、触媒金属としては、ニッケル(Ni)の他に、コバルト(Co)、鉄(Fe)、銅(Cu)など、グラフェンの合成場として作用しうる金属種が使用可能で、基板と反応しないものを適宜選択すればよい。
図2は、触媒金属基板10を処理する際に用いる電気炉20を模式的に示した図である。図2に示すように、電気炉20は、密閉容器22と、密閉容器22を加熱するヒータ24とを備え、密閉容器22の一端から各種ガスを供給するとともに、密閉容器22の他端からポンプ(図示せず)によりガスを排気することができる構成となっている。
この電気炉20を用いて触媒金属基板10を加熱する処理は以下のとおりである。
まず、触媒金属基板10を電気炉の内部に装填し、不活性ガス(例えば、アルゴンガスなど)及び水素ガス雰囲気下で、所定温度(例えば、900℃など)に至るまで昇温する(ステップS100)。こうして、触媒金属基板10の温度が所定温度に達した後、その、所定時間にわたって、炭素原料ガスを更に供給する(ステップS110)。これは、所定温度に保持した状態で行えばよい。炭素原料ガスは、触媒金属の上にグラフェンや炭素分子薄膜を形成するための原料ガスである。次いで、触媒金属基板10の温度を所定の降温速度(例えば、−12.5℃/minなど)で降温させる(ステップS120)。この降温は、例えば、密閉容器22内のガスを排気した後、不活性ガスと水素ガス雰囲気下で行えばよい。
以下、ステップS100〜S120の各処理内容を詳細に説明する。
まず、触媒金属基板10を電気炉の内部に装填し、不活性ガス及び水素ガス雰囲気下で、所定温度(例えば、900℃など)に至るまで昇温する(ステップS100)。
図2に示すように、触媒金属基板10を密閉容器22に装填したまま、密閉容器22の内部にある気体をポンプにより排気した後、不活性ガスであるアルゴンガス180sccmと水素ガス20sccmとを密閉容器22の一端から供給するとともに、ポンプによって他端側で排気することによって密閉容器22内の圧力を5×104Pa程度に維持する。
密閉容器22内の圧力は、数百Paから、常圧(大気圧)付近までの任意の圧力でよく5×104Pa程度では、実施上、安全で、高真空・高耐圧性を備えた高性能な容器を使用する必要がない。その他、ガスの拡散、均一性をより高めるに、5×103Pa程度の低圧としても良い。また、アルゴンガスや水素ガスの流量は上記数値に限らず、密閉容器22内の設定圧力を鑑みて適した流量とすればよい。水素ガスは、触媒金属表面の酸化物を還元する作用等を有する。不活性ガスであるアルゴンガスはキャリアガスであり、流量はゼロとしても良い。なお、sccmは流量の単位であり、0℃・1013hPaの流体が1分間に1cm3流れることを示す。
このような条件下で、ヒータ24を稼働させ、触媒金属基板10を所定温度θ11に至るまで、例えば60℃/minのペースで加熱する。
なお、所定温度θ11は、触媒金属の沸点より低く、表面の触媒金属原子が再配列可能であり、かつ後述する処理でグラフェンを合成できる温度であればよい。所定温度θ11が高いほど、より短い保持時間(ゼロを含む)で、表面からより深い位置にある触媒金属原子の再配列が可能になる。このため、所定温度θ11は、触媒金属の種類、触媒金属の膜厚、保持時間などを考慮して適宜変更すればよい。また、昇温速度は、上述した60℃/minという数値に限られず、速やかに所定温度θ11へ到達する値であればよい。
続いて、触媒金属基板10の温度が所定温度に達した後、その所定温度に保持して、所定時間T11にわたって、炭素原料ガスを更に供給する(ステップS110)。具体的には、触媒金属基板10の温度を所定温度θ11に維持したまま、所定時間T11(例えば、5分間など)にわたってメタンガス10sccmをアルゴンガスと水素ガスに追加して流すことで、グラフェン及び炭素分子薄膜の構成材料となる炭素原子を供給する。なお、所定時間T11は、所定温度に保持する時間と同じでもよく、また、これより短くても良い。
ここで、グラフェン及び炭素分子薄膜の構成材料となる炭素原料ガスとしては、メタンガスに限られず、他の飽和炭化水素ガス、エチレン(C24)などの不飽和炭化水素ガス、エタノール(C25OH)などアルコールの気化ガスを用いてもよい。
また、所定温度θ11は炭素供給源となるガス分子が分解し、触媒金属の触媒作用により炭素原子からグラフェンが形成される反応が進む温度であればよい。したがって、使用するガス種や触媒金属種によって、所定温度θ11を適宜選択可能である。メタンガスを流す時間は、少なくとも、グラフェンの形成が可能な量の炭素が触媒金属に供給されうる時間以上であれば良く、適宜変更することができる。一般的に、炭素源の供給量(流量)は、グラフェンの層数等に影響すると考えられるため、所望のグラフェン及び炭素分子薄膜の形態などを鑑みて適宜変更すればよい。
次いで、密閉容器22内のガスを排気した後、アルゴンガスと水素ガス雰囲気下で、触媒金属基板10の温度を所定の降温速度(例えば、−12.5℃/minなど)で降温させる(ステップS120)。
具体的には、まず、密閉容器22内のメタンガス、アルゴンガス、水素ガスを一旦すべて排気して炭素源となるガスを排除し、この後、再びアルゴンガス180sccmと水素ガス20sccmを5×104Paの圧力下で流す状態にする(はじめに5×103Pa程度の低圧とした場合は、その圧力下で流す)。このような条件下で、触媒金属基板10の温度を所定温度θ11から所定温度θ12(例えば、100〜150℃など)まで、所定の降温速度Δθ1(例えば、12.5℃/min)で冷ます。なお、メタンガス、アルゴンガス、水素ガスを一旦すべて排気せずに、そのままメタンガス、アルゴンガス、水素ガスを流しながら、所定の降温速度で冷ましても良い。また、降温途中でメタンガスを停止して、アルゴンガス、水素ガスのみにしても良い。
上記所定の降温速度Δθ1は、加熱を停止して制御せずに自然に冷ました場合に比較して、降温初期、つまり、温度が高い領域での冷却速度が遅くなるように設定する。所定の降温速度で冷ます温度範囲は、触媒金属原子が移動して再配列する温度範囲を含む範囲であれば良い。また、降温速度は上記値に限らず、結晶粒の形成がより促進される降温速度であればよく、触媒金属種の特性等により適宜選択すればよい。以上のように、本実施の形態によれば、到達する所定の温度、炭素原料ガスを更に供給する所定の時間、および所定の降温速度を制御することで、後述するように粒径などの結晶粒の形態を制御するところに特徴がある。
図3は、本実施の形態に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法において、触媒金属基板10を所定の降温速度で降温するときの温度変化を実線で示し、降温速度を制御せずに自然に冷ました場合の温度変化を点線で示したタイムチャートである。縦軸は温度を示しており、横軸は降温を開始してからの経過時間を示している。所定の降温速度Δθ1は、制御せずに自然に冷ました場合に比べて、図3に示すように、降温開始初期の比較的高い温度領域での降温速度が遅く一定となるよう設定すればよい。
所定の降温速度で冷ます温度範囲は、触媒金属原子が移動して再配列する温度範囲を含む範囲であればよい。また、降温速度は上記値に限らず、結晶粒の形成がより促進される降温速度であればよく、触媒金属種の特性等により適宜選択すればよい。なお、前述したように、降温前の温度(所定温度θ11)が、炭素供給源となるガス(炭素原料ガス)分子が分解し、触媒金属の触媒作用により炭素原子からグラフェンが形成される反応が進む温度であれば、金属原子は移動して再配列などが可能な状態となる。
降温過程で触媒金属原子(ニッケル原子)が再配列して固定し、ニッケルの結晶粒が表面に形成される。図4は、降温速度を制御した場合としなかった場合の触媒金属基板の表面を比較した原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)像である。図4(a)は制御して降温速度Δθ1により降温して得られた触媒金属基板のAFM像であり、図4(b)は制御せずに自然に冷まして得られた触媒金属基板のAFM像である。図4から、所定の降温速度に制御せずに自然に冷ました場合に比べると、制御して降温速度Δθ1で降温した場合に形成される触媒金属の結晶粒の粒径は、大きいものが増えることが分かる。
図5は、後方散乱電子回折(EBSD:Electron Back-Scatter Diffraction)により、降温速度を制御した場合(a)としなかった場合(b)のニッケル結晶粒の結晶方位を解析した結果の一例である。また、図5の(a’)および図5の(b’)は、それぞれ、走査電子顕微鏡の二次電子像(SEM像)の破線で囲った部分に対応する領域にある各結晶粒の結晶方位を、濃淡で示したものである。同図では、結晶粒の結晶面方位が(111)に揃うほど、高い濃度で(より黒く)示されている。
図5の(a)は、濃度が高く広い部分が多く、これは、結晶面方位が(111)に近く結晶粒が大きい部分が多く出現していることを示している。一方、図5の(b)は、濃度が高く広い部分が少なく、濃度が高い部分は小さく分散しており、これは、結晶面方位が(111)に近く結晶粒が大きい部分が少ないことを示している。これらの観察結果から、上述した所定の降温速度に制御した触媒金属基板の場合には、表面に形成される触媒金属の結晶粒の結晶面方位が、(111)の方位に揃う傾向があることが分かる。また、結晶粒がより大きくなる方が、より(111)の方位に揃う傾向が見られる。
ニッケル(111)結晶面の格子定数は0.2497nmであり、グラフェンの格子定数は0.246nmであることから非常に適合性が良く、ニッケル(111)結晶面で合成されるグラフェンは、格子定数値の近い結晶面の影響を受けることが考えられ、質の高い均一な単結晶グラフェン及び炭素分子薄膜が形成されやすいと考えられる。よって、触媒金属の結晶面を大きくし、各結晶面の面方位を揃えるこの方法により、より大きな均一領域を有するグラフェン及び炭素分子薄膜を簡便に得ることができる。
さらに、本発明による触媒金属面には、図4及び図5に示すとおり、多数の結晶面が存在している。このそれぞれの結晶面上に形成されるグラフェン及び炭素分子薄膜は、ひと続きで繋がっているものの、層数が変化する傾向がある。図6は、結晶粒と結晶粒の間である粒界部分で、グラフェンの層数が大きく変化している様子を観察した透過型電子顕微鏡像(TEM像)である。このように、それぞれの結晶粒に対応する領域ごとに、形状、層数の異なるひと続きの炭素分子薄膜を得ることができる。それぞれの領域を、微細加工技術により切り離せば、所望の形状、層数の部分のみの利用も可能である。
また、本発明によりグラフェンが複数層形成された炭素分子薄膜は、それぞれ規則的に積み重なった(スタッキングした)構造をとる傾向がある。図7の(a)に平面TEM像、図7の(b)にその拡大像、図7の(c)に電子回折像を示す。図7の(c)は、図7の(a)において円で囲んだ領域の電子回折像である。図7の(a)では、ひと続きの炭素分子薄膜の中に、各結晶粒に対応した形状で区分された領域が見える。各区分の境界は、図7の(b)に示すとおり、炭素分子薄膜にしわがより、垂直に立った状態になるため現れると考えられる。
図7の(c)に示すように、グラフェンの六員環単位格子構造に起因する回折像が得られる。もし、各グラフェン層がランダムな回転角度で単に積み重なった乱層の炭素分子薄膜であれば、環状の回折像が観測されると予測できるが、図7の(c)に示す結果から、炭素分子薄膜は乱層ではなく、スタッキングしていることが分かる。回転角度の異なるいくつかの成分が見られるのは、スタッキングした単結晶グラフェンが、測定領域内に複数存在することを示している。
グラフェンがスタッキングした場合、ランダムな回転角度で単に積み重なった乱層の場合とは異なる物性を示す。代表的な例として、バンド構造に与える影響が知られており、例えば、二層にスタッキングした炭素分子薄膜(二層グラフェン)は、その面に垂直方向に電界を印加することで、バンドギャップが形成される。このバンドギャップを利用することで、二層グラフェンをチャネルとした超高速電界効果トランジスタのオンオフ動作が可能になる。
このように、本発明によれば、結晶粒に対応した大きさの均質なグラフェン及び炭素分子薄膜を得ることができ、また、炭素分子薄膜はスタッキングした構造として合成することができるため、微細加工技術などと組み合わせることで、その特徴を利用した応用が可能になる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法について説明する。実施の形態1で説明したもの(電気炉)と同一の構成要素については、同一の符号を付すとともに詳しい説明を省略することにする。以下、本発明の実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図8は、本発明の実施の形態2に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法を示すフローチャートである。
ステップS200の、触媒金属基板10を昇温する処理については、実施の形態1で説明したステップS100と同一なのでその説明を省略する。
次に、触媒金属基板10の温度を所定時間T21にわたって所定温度θ21に保持する(ステップS210)。実施の形態1では、触媒金属基板10の温度が所定温度θ11に至るまで加熱した後、所定時間T11にわたってメタンガスをアルゴンガスと水素ガスに追加して流すのに対し(図1のステップS110)、実施の形態2では、触媒金属基板10の温度が所定温度θ21(例えば、900℃など)に至るまで加熱した後、メタンガス110を流さずにアルゴンガス及び水素ガスのみを供給した状態で所定時間T21(例えば、0〜60分間など)にわたって触媒金属基板10の温度を所定温度θ21に保持する(ステップS210)。この処理は、触媒金属の結晶粒の形成を促すために行うものであり、所定温度θ21が低いほど、長い時間に設定すればよい。逆に、所定温度θ21が十分に高ければ、所定時間T21はゼロであってもよい。
この後、触媒金属基板10を所定温度θ21から所定温度θ22(例えば、100〜150℃など)まで、所定の降温速度Δθ21(例えば、−12.5℃/minなど)で制御して降温する(ステップS220)。所定温度θ22は、触媒金属の金属原子が動いて再配列しなくなる程度の低い温度とすればよい。
このように実施の形態2では、メタンガスの供給を伴わない、昇温及び降温過程を経て予め触媒金属層に触媒金属の結晶粒を形成する触媒金属結晶粒作製工程を設ける。このため、グラフェン及び炭素分子薄膜合成工程の結果得られる結晶粒の大きさは、実施例1のように1回の昇温・保持・降温過程によるグラフェン合成と比較して、より大きな結晶面を有する結晶粒が形成される。このため、大きな結晶面に対応する均質なグラフェンをより簡便に合成することができる。
また、金属触媒のニッケルを基板に塗布した際、ニッケルは無定形状態となっており、実施の形態1のように触媒金属結晶粒作製工程を予め設けない場合、ニッケルが無定形状態から結晶化する過程と並行してグラフェンの合成も進む反応過程となる。このため、反応過程の進み具合により触媒金属表面に結晶面がうまく形成されない場合、グラフェンが形成できない、または、質が劣化する結果となりやすいと考えられる。これに対し実施の形態2では、予め触媒金属結晶粒作製工程により、触媒金属表面は既に結晶粒が並んでいる状態であるため、炭素原子の反応もよりスムーズに進行すると考えられ、欠陥の少ない質の高いグラフェンが得られやすい。
所定温度θ22に達した後、再び触媒金属基板10を所定温度θ23(例えば900℃など)に至るまで昇温する(ステップS230)。昇温開始までの間に時間をおいてもよい(例えば10分など)。
次いで、実施の形態1で説明した図1のステップS110と同様に、触媒金属基板10の温度を所定温度θ23(例えば、900℃など)に維持したまま、所定時間T22(例えば、5分など)にわたってメタンガス(例えば10sccm)をアルゴンガスと水素ガスに追加して流した後(ステップS240)、密閉容器22内のガスを排気し、アルゴンガスと水素ガス雰囲気下で、所定の降温速度Δθ24(例えば、−12.5℃/minなど)のペースで所定温度θ24(例えば、100〜150℃など)に至るまで降温した後(ステップS250)、触媒金属基板10を密閉容器22から取り出す。所定時間T22は、所定温度θ23に維持する時間と同じでもよいし、それより短くても良い。また、密閉容器22内のガスを一旦すべて排気せずに、そのままメタンガス、アルゴンガス、水素ガスを流しながら降温しても良い。また、降温途中でメタンガスを停止して、アルゴンガス、水素ガスのみにしても良い。
このような処理を経ることにより、触媒金属の結晶粒の上に形成された本実施の形態に係るグラフェン及び炭素分子薄膜を得ることができる。触媒金属層に結晶粒を形成する第1段階と、グラフェン及び炭素分子薄膜を形成する第2段階とに分けることにより、触媒金属の結晶粒の拡大をより促進し、この触媒金属の結晶粒の上に形成されるグラフェン及び炭素分子薄膜の低欠陥化と、均一領域の拡大を、容易にはかれる。
なお、上述した実施の形態2では、ステップS200〜S220の触媒金属結晶粒作製工程と、ステップS230〜S250のグラフェン及び炭素分子薄膜合成工程とで、昇温時の所定温度θ21、θ23、降温時の所定の温度θ22、θ24、所定の保持時間T21、T22及び、所定の降温速度Δθ22、Δθ24は、それぞれ必ずしも同じ値にする必要はなく、適宜変更することができる。ステップS200〜S220の触媒金属結晶粒作製工程では、触媒金属の原子が移動して再配列することが可能な程度の温度及び保持時間を選択すればよく、ステップS230〜S250のグラフェン及び炭素分子薄膜合成工程では、グラフェン及び炭素分子薄膜の合成が可能な程度の温度及び保持時間を選択すればよい。また、降温速度も結晶粒の形成がより促進される降温速度であればよく、触媒金属種の特性等により適宜選択し、それぞれの工程で適宜独立に制御すればよい。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法について説明する。なお、実施の形態1で説明したものと同一の構成要素については、同一の符号を付すとともに詳しい説明を省略することにする。
図9は、本発明の実施の形態3に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法を示すフローチャートである。以下、本発明の実施の形態1,2との相違点を中心に説明する。
ステップS300は、触媒金属層に触媒金属の結晶粒を形成する処理であり、具体的な処理内容は、実施の形態2で説明した、触媒金属基板10を所定温度θ21に至るまで加熱し(図8のステップS200)、所定温度θ21のまま触媒金属基板10を所定時間T21にわたって保持した後(図8のステップS210)、所定温度θ22に至るまで所定の降温速度Δθ21で冷却する(図8のステップS220)という一連の触媒金属結晶粒作製工程を、複数回(例えば、3回など)にわたって実行するものである。このようにすることによって、触媒金属層に形成される結晶粒の平均粒径を増大させ、結晶方位をそろえることができる。
図10に、触媒金属結晶粒作製工程を3回にわたって実行し、より大きな結晶面が形成されたニッケル表面の観察像(図10(a))を、触媒金属結晶粒作製工程を行う前の無定形状態の表面像(図10(b))と併せて示す。
なお、複数回の触媒金属結晶粒作製工程それぞれの到達温度、及び保持時間は同じに限らず、また、触媒金属結晶粒作製工程とグラフェン及び炭素分子薄膜合成工程との到達温度、及び保持時間も同じに限らない。触媒金属結晶粒作製工程では、触媒金属原子が移動して再配列することが可能な程度の温度及び時間を適宜選択すればよく、グラフェン及び炭素分子薄膜合成工程ではグラフェン合成反応が進む温度及び時間を適宜選択すれば良い。降温速度も結晶粒の形成がより促進される降温速度であればよく、触媒金属種の特性等により適宜選択し、それぞれの工程で適宜独立に制御すればよい。
また、本発明では、金属原子の移動が無くなるのに十分な温度まで一旦降温する触媒金属結晶粒作製工程を複数回行っており、このようにすることで、降温せず長時間高温のまま保持する場合と比較して、より効率よく触媒金属の結晶粒の粒径の増大を行っている。
続いて、実施の形態2で説明した図8のステップS230〜S250の処理と同様に、触媒金属基板10を所定温度θ23に至るまで加熱し(ステップS310)、触媒金属基板10の温度を所定温度θ23(例えば、900℃など)に維持したまま、所定時間T22(例えば、5分など)にわたってメタンガス(例えば10sccm)をアルゴンガスと水素ガスに追加して流した後(ステップS320)、密閉容器22内のガスを排気した後、アルゴンガスと水素ガス雰囲気下で、所定の降温速度Δθ24(例えば、−12.5℃/minなど)のペースで所定温度θ24(例えば、100〜150℃など)に至るまで降温する(ステップS330)。このような処理を経ることにより、触媒金属層表面の結晶粒の結晶面上にグラフェン及び炭素分子薄膜を得ることができる。なお、密閉容器22内のガスを排気せずに、メタンガス、アルゴンガス、水素ガスの雰囲気下で降温しても良い。
触媒金属結晶粒作製工程の回数を制御することにより、金属結晶粒の粒径を制御することも可能である。このように金属結晶粒の粒径を制御することで、グラフェン及び炭素分子薄膜の形状、層数の異なる均一結晶領域の大きさを容易に制御することができ、所望の大きさ、層数を有するグラフェン及び炭素分子薄膜を得ることができる。
[変形例]
なお、上述した実施の形態1〜3における触媒金属基板は、触媒金属を塗布しないで、触媒金属の自立基板を用いてもよい。また、炭素の原料となるメタンガスを流す工程では、段階的に複数の到達温度に制御し、そのある段階でメタンガスを流すようにしても良い。例えば、950℃まで一旦昇温し、所定の時間保持した後、900℃まで降温し、所定の時間保持している間にメタンガスを流すという段階的な温度制御を行う工程でも良い。また、触媒金属基板を加熱するゾーンのさらに上流側に、炭素原料ガスが分解する温度まで加熱したゾーンを設けても良い。
[実施の形態4]
実施の形態1〜3に係る合成法により合成されたグラフェン及び炭素分子薄膜を利用するに際し、次のように剥離して利用することもできる。
グラフェン及び炭素分子薄膜が合成された触媒金属基板を、酸の水溶液(例えば塩酸と水を1:3の割合で混合した希塩酸)中に浸漬させる。触媒金属を平滑基板に例えば300ナノメートルの厚さで塗布した形態の場合は、浸漬後しばらくすると、グラフェン及び炭素分子薄膜が合成された触媒金属層が、平滑基板から脱離して水溶液面に浮いてくる。
このように脱離して浮上した状態で、今度はグラフェン及び炭素分子薄膜を転写したい任意の基板(例えばガラス基板)を、酸の水溶液中に入れ、グラフェン及び炭素分子薄膜が合成された触媒金属層の下に配置する。やがて触媒金属が酸によりエッチングされ、グラフェン及び炭素分子薄膜の層のみ、酸の水溶液面に浮かんだ状態となる。酸の水溶液を吸引して取り出し、代わりに水を入れることを繰り返すことで、酸の成分を洗い流すことができる。
このように酸成分を洗い流して十分中性になったところで、水を吸引して取り出し、グラフェン及び炭素分子薄膜を上記任意の基板上に着地させ、乾燥させる。このようにすることで、触媒金属からグラフェン及び炭素分子薄膜を剥離して利用することが可能になる。水溶液を入れる容器の大きさを、転写したい任意の基板と合わせることにより、放置しておけば、水が蒸発してそのまま転写が完了するようにすることもできる。
以上に説明した本発明に係るグラフェン及び炭素分子薄膜の製造方法によれば、一般的な金属塗布法によって作製でき、入手が容易な無定形状態の触媒金属を用いて簡便な手法により、触媒金属層の結晶粒の大きさを制御し、その結晶面上に広い均一領域を有する質の良いグラフェン及び炭素分子薄膜を、低コストにて合成することができる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形及び組み合わせが実施可能であることは明白である。
本発明は、グラフェン及び炭素分子薄膜の製造業に利用可能である。
10…触媒金属基板、20…電気炉、22…密閉容器、24…ヒータ。

Claims (5)

  1. 触媒金属の結晶粒を作製する第1工程と、グラフェン及び炭素分子薄膜を合成する第2工程とから成り、
    第1工程は、
    不活性ガスと水素ガス雰囲気下で触媒金属を加熱し、第1の所定温度まで昇温する工程と、
    昇温後、前記第1の所定温度のまま、第1の所定時間にわたって保持する工程と、
    前記触媒金属が再配列する温度範囲を含む範囲で一定となる第1の所定降温速度で降温する工程と
    を含み、
    第2工程は、
    不活性ガスと水素ガス雰囲気下で触媒金属を加熱し、第2の所定温度まで昇温する工程と、
    前記第2の所定温度まで昇温後、第2の所定時間にわたって炭素原料ガスを更に供給する工程と、
    前記第2の所定温度から、触媒金属が再配列する温度範囲を含む範囲で一定となる2の所定降温速度で降温する工程と
    を含み、
    前記第1及び前記第2の所定温度、および前記第1及び前記第2の所定降温速度を制御することにより、前記触媒金属の多結晶面を作製して、当該多結晶面の各結晶粒の平均粒径を増大させるとともに、各結晶粒の結晶方位を揃える方向に制御して、当該多結晶面上にグラフェン及び炭素分子薄膜を合成する
    ことを特徴とするグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法。
  2. 前記第2工程において、
    前記第2の所定温度まで昇温後、前記第2の所定温度に保持して、前記第2の所定時間にわたって炭素原料ガスを更に供給する工程と、
    前記炭素原料ガスを排気して、不活性ガスと水素ガス雰囲気下で、前記第2の所定降温速度で降温する工程と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法。
  3. 前記第1工程を複数回にわたって実行した後に、前記第2工程を実行することを特徴とする請求項1または2に記載のグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法。
  4. 不活性ガスおよび水素ガス雰囲気下で触媒金属を加熱し、所定温度に至るまで昇温する工程と、
    昇温後、所定の時間にわたって炭素原料ガスを更に供給する工程と、
    前記所定温度から、前記触媒金属が再配列する温度範囲を含む範囲で一定となる降温速度で降温する工程と
    を含み、
    前記所定温度および前記所定の降温速度を制御することにより、前記触媒金属の多結晶面を作製して、当該多結晶面の各結晶粒の平均粒径を増大させるとともに、各結晶粒の結晶方位を揃える方向に制御して、当該多結晶面上にグラフェン及び炭素分子薄膜を合成する
    ことを特徴とするグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法。
  5. 前記昇温後、前記所定温度に保持して、前記所定の時間にわたって炭素原料ガスを更に供給する工程と、
    前記炭素原料ガスを排気して、不活性ガスおよび水素ガス雰囲気下で、前記所定の降温速度で降温する工程と
    を含むことを特徴とする請求項に記載のグラフェン及び炭素分子薄膜の合成方法。
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