JP5550195B2 - 薬剤排出部材および医療用複室容器 - Google Patents

薬剤排出部材および医療用複室容器 Download PDF

Info

Publication number
JP5550195B2
JP5550195B2 JP2012265545A JP2012265545A JP5550195B2 JP 5550195 B2 JP5550195 B2 JP 5550195B2 JP 2012265545 A JP2012265545 A JP 2012265545A JP 2012265545 A JP2012265545 A JP 2012265545A JP 5550195 B2 JP5550195 B2 JP 5550195B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
medicine
main body
sealing
needle
container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012265545A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014108323A (ja
Inventor
健司 手塚
健司 相原
太一 豊田
茂人 関本
尚彦 佐木川
慎一郎 井上
昌士 北村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Otsuka Techno Corp
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Otsuka Techno Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Pharmaceutical Co Ltd, Otsuka Techno Corp filed Critical Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP2012265545A priority Critical patent/JP5550195B2/ja
Publication of JP2014108323A publication Critical patent/JP2014108323A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5550195B2 publication Critical patent/JP5550195B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)

Description

本発明は、同時に配合すると経時変化を起こすような不安定な各種薬剤(液剤、粉末もしくは固形剤)を個別に収納する複数の収納室を備え、各室間を仕切っている封止部を開封することによって、各収納室内に収納されている薬剤を無菌状態で且つ異物を発生させることなしに混合できる医療用複室容器およびこれに取り付けられる薬剤排出部材に関する。
静脈注射により患者に投与される薬剤の中には、予め配合すると望ましくない経時的変化を起こすような不安定な薬剤がある。例えば、アミノ酸溶液とブドウ糖溶液とを配合して保存しておくと、いわゆるメイラード反応によって混合液が褐変する。また、脂肪乳剤と電解質溶液とを配合して保存しておくと、脂肪分が凝集を生じる。また、リン酸含有液とカルシウム含有液を配合しておくと、リン酸カルシウムの沈殿を生じ、望ましくない変化を起こす。
このような薬剤には、混合前の成分を個別に収納する医療用複室容器が用いられることが多い。この医療用複室容器は、個別に薬剤を収納する複数の収納室と、各収納室間を仕切り、外部から圧力を加えることにより開封し得る仕切り用弱シール部とを備える。
しかしながら、一般的な医療用複室容器は、薬剤排出部材が取り付けられた収納室に液状薬剤を収納している場合が多い。そのため、仕切り用弱シール部の開封前にゴム栓に導管を刺入すると、薬剤排出部材から混合前の薬剤が排出される可能性があった。
そこで、特許文献1は、円管状に形成された本体部と、この本体部の一端部側に第2収納室からの薬剤の流入を規制する薬剤排出機構とを備える薬剤排出部材を開示している。薬剤排出機構は、本体部における第2収納室を向く一端部に配置された密封シートを備えている。この密封シートは、リング部材を介して本体部の内壁面に固定されている。また、密封シートは、弾性材料で構成され、収納室内の圧力が高まると弾性変形するようになっている。
そして、特許文献1の医療用複室容器では、第1収納室を押圧して仕切り用弱シール部を開封した後、連通した収納室全体を押圧して薬剤排出機構を作動させる。すなわち、収納室内の圧力を高めることによって、密封シートを弾性変形させてゴム栓側に膨出させる。そして、密封シートが所定の位置まで膨出すると針部と接触して破断し、これにより収納室内の薬剤が薬剤排出部材から流れ出す。
また、特許文献2は、薬液M1収容するための第1収容室、薬液M2を収容するための第2収容室、第1収容室に連通されるポート部材、および第2収容室に連通されるポート部材を含む多室容器を開示している。第1収容室側のポート部材は、一端および他端を有する硬質樹脂製の管状部材、他端を閉じるゴム栓、管状部材の内部の通路および制御部を備える。管状部材は、他端へ向けて幾分拡径されている。ポート部材は、更にゴム栓を管状部材の拡張された他端に固定するための硬質樹脂製の保持部材を備える。制御部は、管状部材の内面に固着され環状弁座を形成する弁座部材、および環状弁座を閉鎖する弁板からなる。
そして、特許文献2では、第1収容室側のポート部材を備える多室容器から混合薬液を投与する場合、もし第1収容室または第2収容室を押圧することを忘れたり押圧が不十分である等により両室が十分連通されないような場合、すなわち両室を連通させるに十分な押圧力が生じない場合には、弁板が環状弁座から剥離されず、薬液が制御部を通過しないので、看護師等の関係者が気づくことができる。
特開2003−305107号公報 特許第4329408号公報
特許文献1の薬剤排出部材では、密封シートを針部に接触するまで膨出させる必要があるため、密封シートはかなりの弾性を有する素材に限られる。しかもその素材には、針部との接触によって容易に破断できるという特性も要求される。
しかしながら、そのような要求を満たす素材はなく、したがって、少し膨出しただけでも破断できるように、密封シートを針部の近傍に配置する必要があった。そのため、容器の輸送中等に薬剤の状態が変化して密封シートに圧力が少し加わっただけでも、密封シートが針部に誤って接触して破断するおそれがある。
本発明の目的は、混合前の薬剤が収納室から流出するのを確実に防止することができる薬剤排出部材および医療用複室容器を提供することである。
本発明の薬剤排出部材は、薬剤を収納する複数の収納室と、前記複数の収納室を仕切っていて、その使用に際して開封可能に構成された仕切り用封止部とを有する容器本体を含む医療用複室容器に取り付けられ、前記容器本体内の薬剤を排出可能な薬剤排出部材であって、一端部および他端部を有する管状に形成され、前記一端部がいずれかの前記収納室に取り付け可能な本体部であって、その内部における前記一端部と前記他端部との間に刺入部材を有する本体部と、前記本体部の前記一端部側を封止する封止部材であって、前記本体部の前記一端部に固定された固定端部およびその反対側の自由端部を有し、内部に薬剤用の流路が形成されていて、前記本体部の前記一端部と前記他端部との間を伸縮自在な伸縮部材と、前記伸縮部材の前記自由端部に設けられた封止部とを有する封止部材とを含み、前記封止部材は、前記収納室から前記封止部材に所定の圧力が作用すると、前記伸縮部材が伸長変形して前記封止部による封止が前記刺入部材によって解除され、前記容器本体から前記本体部内への薬剤の流入を可能にする(請求項1)。
この構成によれば、少なくとも伸縮部材の伸長距離と同等の長さだけ、刺入部材から離れた位置に封止部を配置することができる。これにより、封止部を刺入部材近傍に配置する必要がなくなる。そのため、薬剤の状態変化によって封止部に少々の圧力が加わっただけでは、封止部が刺入部材に接触することはない。その結果、混合前の薬剤が収納室から流出するのを確実に防止することができる。
前記伸縮部材は、前記封止部材に前記所定の圧力が作用したときに弾性変形によって伸長する弾性材料からなるチューブ部材を含んでいてもよいし、前記封止部材に前記所定の圧力が作用していないときに折り畳まれ、前記所定の圧力が作用したときに伸長する蛇腹機構を含んでいてもよい(請求項2)。前記伸縮部材は、これらのうち後者の蛇腹機構を含むことが好ましい。
蛇腹機構の構成では、伸長していないときに折り畳んでコンパクトにすることができるので、前者のチューブ部材を用いる場合に比べて、伸縮部材の通常長さに対する伸長距離の割合(伸長率)を大きくすることができる。そのため、刺入部材から伸長部材の固定端部までの距離が同じであれば、蛇腹機構の場合には通常時に折り畳まれているので、封止部が設けられる自由端部と刺入部材との距離を大きくとることができる。その結果、封止部と刺入部材との誤接触をより良好に防止することができる。また、小さなスペースに伸縮部材を配置することもできる。さらに、伸縮部材(蛇腹機構)に弾性がなくても、蛇腹機構の展開によって伸長させることができるため、伸縮部材に使用する素材の選択自由度を向上させることができる。
前記蛇腹機構は、前記本体部の軸方向と直交する径方向に折り畳まれる横方向蛇腹機構を含んでいてもよい(請求項3)。
この構成では、蛇腹機構の展開方向が蛇腹機構の伸長方向(本体部の軸方向)に交差するので、少々の圧力が前記封止部材に加わっても、刺入部材へ向かう方向への蛇腹機構の伸長を抑制することができる。そのため、封止部と刺入部材との誤接触を確実に防止することができる。
また、前記蛇腹機構は、前記本体部の軸方向に折り畳まれる縦方向蛇腹機構を含んでいてもよい(請求項4)。
この構成では、蛇腹機構の展開方向が蛇腹機構の伸長方向(本体部の軸方向)に一致するので、封止部による封止解除させたい場合に、収納室から封止部材に加わる圧力を、蛇腹機構の伸長のための力として無駄なく利用することができる。
前記本体部は、前記刺入部材に対して前記本体部の前記一端部側の内径を選択的に縮めるようにその内壁面に設けられ、前記伸縮部材を前記刺入部材に誘導するガイド部材を有していることが好ましい(請求項5)。
この構成では、本体部の他端部へ向かう方向の圧力が封止部材に均一に作用せず、伸縮部材が意図しない方向に伸長しても、伸長する伸縮部材の軌道をガイド部材によって修正することができる。
前記ガイド部材は、前記内壁面の周方向に沿って所定の間隔を空けて設けられた複数のリブを含むことが好ましい(請求項6)。
この構成では、互いに隣り合うリブの間に薬剤用の流路を残すことができるので、ガイド部材の設置による薬剤の流量の減少を最小限に留めることができる。
また、前記伸縮部材が、その外壁面に選択的に設けられた突出部をさらに含む場合、前記本体部は、前記突出部に対して係合するようにその内壁面に選択的に設けられ、前記伸縮部材を前記刺入部材にガイドするためのガイド部材を有していることが好ましい(請求項7)。
この構成では、本体部の他端部へ向かう方向の圧力が封止部材に均一に作用しない場合でも、突出部に係合するガイド部材によって、伸縮部材を刺入部材に向かって良好に伸長させることができる。
前記ガイド部材は、前記本体部の軸方向に延びる直線状のレール部を含み、前記突出部には、前記レール部に係合する係合溝が形成されていることが好ましい(請求項8)。
この構成では、レール部が係合溝に係合されることによって、その両側から突出部に挟み込まれる。そのため、レール部(ガイド部材)に対する突出部の係合ずれを確実に防止することができる。
前記封止部は、前記刺入部材によって破断可能な封止シートを含むことが好ましい(請求項9)。この構成では、封止部による封止の解除を簡単に行うことができる。
前記伸縮部材は、前記伸縮部材の前記自由端部を構成するプラスチック材料からなるフレーム部を含むことが好ましい(請求項10)。
この構成では、張力を加えた状態で封止シートをしっかりと伸縮部材(フレーム部)に固定できるので、封止シートが刺入部材に接触したときに簡単に破断することができる。
前記刺入部材は、前記本体部の内壁面に固定された支持部と、前記支持部に配置された針部とを含むことが好ましい(請求項11)。
この構成では、伸長している伸縮部材の自由端部を支持部に当接させることができるので、支持部の位置によって伸縮部材の伸長量を調節することができる。また、支持部に当接する伸縮部材の自由端部がフレーム部の場合(請求項10)には、さらに、当接時に当該自由端部が変形することを防止することができる。そのため、自由端部における薬剤の流路を一定の形状に維持することができる。
前記針部は、内部に前記本体部の前記一端部と前記他端部との間を連通させる孔が形成された中空針を含むことが好ましい(請求項12)。
この構成では、封止部による封止の解除後に中空針が伸縮部材の薬剤の流路に配置される。そのため、薬剤を伸縮部材から漏らさずに当該中空針の孔を介して、本体部の他端側へ効率よく薬剤を送ることができる。
前記針部は、周面と、当該周面から先端へ向かって連なるように形成されていて、前記先端から少なくとも複数の方向に前記伸縮部材の前記自由端部をガイド可能なガイド面とを有していることが好ましい(請求項13)。
この構成では、針部の先端に対する伸縮部材の位置ずれの許容範囲を広げることができる。
本発明の医療用複室容器は、薬剤を収納する複数の収納室と、前記複数の収納室を仕切っていて、その使用に際して開封可能に構成された仕切り用封止部とを有する容器本体と、前記容器本体に取り付けられた本発明の薬剤排出部材とを含む(請求項14)。
この構成によれば、本発明の薬剤排出部材を備えているので、混合前の薬剤が収納室から流出するのを確実に防止することができる医療用複室容器を提供することができる。
前記仕切り用封止部は、前記封止部が前記刺入部材に達するために前記伸縮部材を伸長させるのに必要な圧力と同等あるいはそれより小さい圧力で開く開封強度を有していることが好ましい(請求項15)。
この構成によれば、薬剤排出部材が取り付けられた収容室を押圧して仕切用封止部を開封する場合に、その開封前に封止部の封止が解除されることを防止することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る医療用複室容器の斜視図である。 図2は、前記医療用複室容器の平面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る薬剤排出部材の斜視図であって、分解した状態および組み立て後の状態を示している。 図4は、前記薬剤排出部材の組み立て後の断面図である。 図5は、ベースポートの斜視図である。 図6(a)(b)は、前記ベースポートの構造を説明するための図であって、図6(a)は平面図を示し、図6(b)は図6(a)の切断面VIb−VIbから見た断面図を示している。 図7は、ホールプラグの斜視図である。 図8(a)(b)は、前記ホールプラグの構造を説明するための図であって、図8(a)は平面図を示し、図8(b)は図8(a)の切断面VIIIb−VIIIbから見た断面図を示している。 図9(a)(b)(c)は、前記医療用複室容器の開封動作を説明するための図であって、図9(a)は開封前のプラグシールの位置を示し、図9(b)は開封途中の前記プラグシールの経路を示し、図9(c)は開封後の前記プラグシールの移動位置を示している。 図10(a)(b)は、ガイド部材の変形例(開封前の前記プラグシールの位置)を説明するための図であって、図10(a)は前記薬剤排出部材の全体の断面図を示し、図10(b)は図10(a)の切断面Xb−Xbから見た断面図を示している。 図11(a)(b)は、ガイド部材の変形例(開封途中の前記プラグシールの位置)を説明するための図であって、図11(a)は前記薬剤排出部材の全体の断面図を示し、図11(b)は図11(a)の切断面XIb−XIbから見た断面図を示している。 図12(a)(b)は、ガイド部材の変形例(開封後の前記プラグシールの位置)を説明するための図であって、図12(a)は前記薬剤排出部材の全体の断面図を示し、図12(b)は図12(a)の切断面XIIb−XIIbから見た断面図を示している。 図13は、前記ベースホールプラグの変形例を説明するための図である。 図14は、刺入部材の変形例を説明するための図である。
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<医療用複室容器1の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る医療用複室容器1の斜視図である。図2は、医療用複室容器1の平面図である。
医療用複室容器1は、周縁部2が融着され矩形状に形成された容器本体3と、容器本体3に取り付けられ薬剤を排出する薬剤排出部材4とを含む。
容器本体3は、長手方向に並べて配置された第1収納室5および第2収納室6を有している。2つの収納室5,6は仕切り用弱シール部7(仕切り用封止部)で仕切られている。各収納室5,6には、予め混合もしくは溶解しておくと望ましくない各種薬剤a,bがそれぞれ収納されている。例えば、アミノ酸溶液およびブドウ糖溶液を各々収納することができる。なお、一方の収納室に固形状もしくは粉末状の薬剤を収納することもできる。
容器本体3は、例えば、2枚の単層または複層のフィルムの周縁部を熱融着または接着することにより形成される袋状の容器とすることができる。フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂等、種々の樹脂を採用することができる。
また、容器本体3を構成するフィルムの少なくとも最内層を、相溶性に乏しく融点の異なる2種以上の熱可塑性プラスチックから構成されるものとすれば、仕切り用弱シール部7を容易に形成することができる。このようなプラスチックとしては、例えばスチレン系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、ポリ4−メチルペンテン、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンから選ばれる樹脂と、ポリエチレンとを混合したものを挙げることができる。これらのうち、ポリエチレンおよびポリプロピレンは、医療用として安全性が確認されていること、および製造上の取り扱い方法が確立されていることから特に好ましい。両者の混合割合は特には限定されないが、一般に1:9〜9:1の範囲より選択される。
仕切り用弱シール部7は、種々の態様により開封可能に構成することができる。例えば、容器本体3の対向するフィルム面を熱融着によって接着することによって構成することができる。そして、この仕切り用弱シール部7は、収納室5,6内の圧力が高まって所定の圧力に達すると開封し、両収納室5,6が連通するように構成されている。
薬剤排出部材4は、製造の段階で容器本体3の周縁部2に融着され、その一端部が第2収納室6に取り付けられる。
容器本体3の周縁部2の第1収納室5側には、吊掛孔8が形成されている。
<薬剤排出部材4の構成>
図3は、本発明の一実施形態に係る薬剤排出部材4の斜視図であって、分解した状態および組み立て後の状態を示している。図4は、薬剤排出部材4の組み立て後の断面図である。図5は、ベースポート9の斜視図である。図6(a)(b)は、ベースポート9の構造を説明するための図であって、図6(a)は平面図を示し、図6(b)は図6(a)の切断面VIb−VIbから見た断面図を示している。図7は、ホールプラグ10の斜視図である。図8(a)(b)は、ホールプラグ10の構造を説明するための図であって、図8(a)は平面図を示し、図8(b)は図8(a)の切断面VIIIb−VIIIbから見た断面図を示している。
まず図3および図4に示すように、薬剤排出部材4は、一端部および他端部を有する管状に形成されたベースポート9(本体部)と、ベースポート9の一端部側を封止するホールプラグ10(封止部材)と、ベースポート9の他端部側を封止するゴム栓11とを含む。ベースポート9、ホールプラグ10およびゴム栓11は互いに分離可能であり、それぞれを個別に製造した後、組み立てることによって薬剤排出部材4として使用することができる。以下、ベースポート9の一端部を薬剤側端部、ベースポート9の他端部を排出側端部という。
次に図4、図5および図6(a)(b)に示すように、ベースポート9は、薬剤側(一次側)ポート12と、排出側(二次側)ポート13とを含む。薬剤側ポート12および排出側ポート13は、共に一端部および他端部を有する管状に形成されており、薬剤側ポート12の成形後、排出側ポート13へ、インサート成型を行うことによってベースポート9を構成している。また、ベースポート9の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種プラスチック材料を採用することができる。
薬剤側ポート12の外周面における排出側端部(他端部)には、その開口面から薬剤側端部(一端部)側へ所定の間隔を空けた位置にフランジ14が設けられている。フランジ14は、薬剤側ポート12の外周面の全周に渡ってリング状に形成されている。
一方、排出側ポート13は、相対的に小さい内径を有する小径部16と、小径部16に比べて相対的に大きい内径を有する大径部17とが段差部18を介して互いに接続されることによって構成されている。段差部18には、排出側ポート13の内周面の全周に渡ってリング状の切り欠き部19が形成されている。この切り欠き部19は、薬剤側ポート12のフランジ14の形状に適合する形状に形成されている。したがって、薬剤側ポート12の排出側ポート13へのインサート成型を行う際には、フランジ14と切り欠き部19が密着することになり、両者の密着性をより高めることができる。
このフランジ14と切り欠き部19との密着は、排出側ポート13の段差部18を介して互いに接続された外周輪20と内周輪21とを有する二重構造をベースポート9に形成する。つまり、外周輪20は排出側ポート13の大径部17からなり、内周輪21は薬剤側ポート12のフランジ14よりも排出側の部分からなる。外周輪20および内周輪21は、段差部18の厚さ分だけ互いに所定の間隔を空けて立設しており、外周輪20の先端部が内周輪21の先端部よりも高くなるように形成されている。
また、図3および図4に示すように、ゴム栓11には、刺栓針を突き刺す部分に減肉部22が形成されている。この実施形態では、例えば、減肉部22は3つ形成されている。また、ゴム栓11の上下面の周縁部には、環状の溝23,24が形成されている。このゴム栓11は、図4に示すように、下面側の溝23にベースポート9の内周輪21の先端部を導入した状態でベースポート9の外周輪20をかしめて、上面側の溝24に当該外周輪20の先端部を導入することによって、ベースポート9に固定される。
再び図4、図5および図6(a)(b)を参照して、薬剤側ポート12の外周面における薬剤側端部寄りの位置には、その開口面から排出側端部側へ所定の間隔を空けた位置にフランジ25(融着用フランジ)が設けられている。フランジ25は、薬剤側ポート12の外周面の全周に渡ってリング状に形成されている。ベースポート9は、このフランジ25が周縁部2で覆われるように容器本体3に熱融着される(図1および図2参照)。この状態においてフランジ25は、周縁部2に引っ掛かるようになっていてベースポート9の抜け落ちを防止する。
また、薬剤側ポート12は、その内部における薬剤側端部と排出側端部との間に刺入部材26を有している。刺入部材26は、薬剤側ポート12の内周面(内壁面)に固定された支持部27と、支持部27に配置された針部28とを一体的に含む。
支持部27は、内周面における薬剤側ポート12を挟んでフランジ25の反対側の位置に配置され、ベースポート9の内部を薬剤側と排出側とに仕切っている。仕切られた薬剤側の空間がホールプラグ10を設置するための薬剤側空間29であり、その反対側が排出側空間30である。支持部27は、フランジ25に沿うように、ベースポート9の内周面の全周に渡って円板状に形成されている。そして、その支持部27の中心を貫通するように、薬剤側空間29と排出側空間30とを連通させる孔31が形成されている。
針部28は、支持部27の中心において薬剤側空間29に突出して設けられている。この実施形態では、針部28は、支持部27の孔31に連続する孔(以下、この孔を孔31とする。)が形成された円筒状の中空針である。中空の針部28の内径は、溶液の流量を確保するため、可能な限り大きく設定することが好ましい。例えば、医療用複室容器1と人体とを接続するチューブ(例えば輸液チューブ)の内径と同等に設定することが好ましい。この内径は、φ0.2mm以上、好ましくはφ0.4mm以上であって、φ4mm以下、好ましくは3mm以下である。これにより、医療用複室容器1の開封後、容器本体3から刺栓針内へ流れる流量を一定にすることができる。
中空の針部28は、外周面32と、当該外周面32に連なるように形成された傾斜面33,34(ガイド面)とを含む。この実施形態では、傾斜面33,34は、先端部35からV字状に分かれる2つの面(第1傾斜面33および第2傾斜面34)を含む。具体的には、図6(a)に示すように、針部28をベースポート9の軸方向から見た平面視において、針部28の孔31の接線を形成する先端部35に対して孔31の外方領域Aに第1傾斜面33が形成され、その接線の反対側の孔31を含む領域Aに第2傾斜面34が形成されている。針部28の先端部35は、第1傾斜面33および第2傾斜面34が交わるV字の先端である。
また、薬剤側ポート12は、薬剤側空間29に複数の板状のリブ36(ガイド部材)を有している。この実施形態では、薬剤側ポート12の内周面の周方向に沿って所定の間隔を空けて4つのリブ36が設けられている。4つのリブ36は、薬剤側ポート12の内周を4等分した位置に一つずつ配置されている。各リブ36は、針部28よりも長い長さで、支持部27に連なって形成されている。リブ36を針部28よりも長くすることによって、後述するように、ベース部37を確実に針部28にガイドすることができる。
次に図4、図7および図8(a)(b)に示すように、ホールプラグ10は、互いに分離可能なベース部37(伸縮部材)と、プラグシール38(封止部)とを含む。ベース部37はさらに、ブーツ部39およびフレーム部40を含む。ブーツ部39の材料としては、例えば、スチレン系(SBC)、オレフィン系(TPO)、塩化ビニル系(TPVC)、ウレタン系(PU)、エステル系(TPEE)、アミド系(TPAE)等の各種熱可塑性エラストマー等やシリコンの弾性材料を採用することができる。また、フレーム部40の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種プラスチック材料を採用することができる。また、プラグシール38の材料としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の各種プラスチックフィルムを採用できるが、破断のし易さという点においてはポリプロピレンフィルムが好ましい。なお、プラグシール38は、複数枚のシートからなっていてもよいし、一枚のシートからなっていてもよい。複数枚のシートであれば、誤ってプラグシール38に圧力をかけてしまってプラグシール38と針部28とが接触しても、プラグシール38の破断を針部28に接触したシートだけに留め、残りのシートの破断を防止することができる。
ブーツ部39は、互いに連通する一端開口および他端開口を有する蛇腹部41(蛇腹機構)と、蛇腹部41の他端開口に連通する孔を有する円筒状の接続部42とを含む。蛇腹部41は、当該接続部42を取り囲むように形成された襞を有していて、接続部42の形状が保たれた状態で襞が展開することによって伸長する。
接続部42における他端開口側の端部には、接続部42の外周面の全周に渡ってリング状の切り欠き部43が形成されている。この切り欠き部43は、円筒状のフレーム部40の形状に適合する形状に形成されている。
蛇腹部41の襞は、この実施形態では図4に示すように、接続部42から同心円状に広がる複数の折り目が形成されるように、ベースポート9の軸方向と直交する径方向(横方向)に折り畳まれている。蛇腹部41における一端開口側の端部には、当該一端開口を取り囲むようにフランジ44が一体的に設けられている。
そして、ホールプラグ10の組み立ておよびベースポート9への設置は以下の手順で行うことできる。まず、ベース部37およびプラグシール38がそれぞれ個別に成形される。このベース部37は、フレーム部40をブーツ部39へのインサート成型によって形成することができる。また、フレーム部40をブーツ部39へ熱溶着することによって形成することもできる。次に、ベース部37のフレーム部40を塞ぐようにプラグシール38が熱溶着で取り付けられることによって、ホールプラグ10が完成する。そして、完成したホールプラグ10のフランジ44をベースポート9の薬剤側開口の周縁に当接させた状態で熱溶着することによって、ホールプラグ10とベースポート9とが接合される。以上より、ホールプラグ10の設置が完了する。つまり、ホールプラグ10は、ベースポート9の薬剤側空間29に収納されることとなる。また、ホールプラグ10において、ベース部37のフランジ44がベースポート9に固定された固定端部を形成し、ベース部37のフレーム部40が伸長時に移動する自由端部を形成している。
<医療用複室容器1の開封動作>
図9(a)(b)(c)は、医療用複室容器1の開封動作を説明するための図であって、図9(a)は開封前のプラグシール38の位置を示し、図9(b)は開封途中のプラグシール38の経路を示し、図9(c)は開封後のプラグシール38の移動位置を示している。
次に、医療用複室容器1の開封動作について説明する。
まず、図9(a)に示すように、ホールプラグ10は、初期状態において蛇腹部41の襞が折り畳まれた状態になっている。また、この初期状態においてフレーム部40の先端は、リブ36で取り囲まれる位置に配置されている。
そして、医療用複室容器1内の薬剤を患者に投与するためには、液状薬剤aを収納した第1収納室5を手で押さえる等して押圧し、収納室5内の圧力を高める。これにより、仕切り用弱シール部7が開封して第1および第2収納室5,6が連通し、各収納室5,6内の薬剤a,bが混合される。続いて、第1および第2収納室5,6全体を押圧して、連通した収納室5,6内全体の圧力を高め薬剤排出部材4を作動させる。
すなわち、第1および第2収納室5,6内の圧力を高めることによって、蛇腹部41の一端開口から進入する薬剤によってプラグシール38に圧力が作用する。これにより、蛇腹部41の襞が展開されてプラグシール38が刺入部材26に向かって移動する。
そして、初期状態から所定距離移動した図9(b)の位置で、プラグシール38が針部28の先端部35によって破断され始め、容器本体3内の薬剤が、針部28の孔31を介して薬剤側空間29から排出側空間30へと流れ出す。
ブーツ部39は、プラグシール38の破断されていない領域に作用する圧力によってさらに伸長し、最終的には図9(c)に示すように、フレーム部40が刺入部材26の支持部27に当接したときにブーツ部39の伸長が止まる。この後、導管を接続した刺栓針をゴム栓11に刺入すれば、医療用複室容器1内の混合薬剤は、薬剤排出部材4から導管を経て患者に投与される。
この開封時、プラグシール38が針部28に達するためにブーツ部39を伸長させるのに必要な圧力(プラグシール38の破断に必要な圧力(封止解除強度))は、仕切り用弱シール部7を開封するために必要な開封強度より大きいものとされている。
ここで、開封強度とは、仕切り用弱シール部7の一部でも開封し、仕切り用弱シール部7によって仕切られている各収納室5,6を連通させるのに必要な力である。この開封強度および封止解除強度は、種々の方法で表すことができるが、例えば、直径100mmの円板で容器本体3の同じ容量の部分を押圧して、仕切り用弱シール部7が開封したときの力、もしくはプラグシール38が移動して針部28に達するときの押圧力とすることができる。このとき、仕切り用弱シール部7の開封に必要な押圧力は、通常の医療用複室容器と同等に設定することが可能であり、なおかつプラグシール38の破断に必要な押圧力よりも小さいことが好ましい。
なお、仕切用弱シール部7の開封に必要な押圧力は、プラグシール38の破断に必要な押圧力に合わせて適宜変更してもよい。例えば、仕切用弱シール部7を開封するとき、薬剤排出部材4を同時に作動(プラグシール38を同時に破断)するような押圧力に設定してもよい。これにより、収納室の圧力を高めるために行う押圧動作が1回(ワンアクション)で済むので、薬剤の投与に当たっての作業性を向上させることができる。
以上のように、この実施形態によれば、図9(a)〜(c)に示すように、開封時にプラグシール38の弾性力を利用するのではなく、ブーツ部39の伸長を利用してプラグシール38を針部28へ向かって移動させることができる。そのため、少なくともブーツ部39の伸長距離と同等の長さだけ、針部28の先端部35から離れた位置にプラグシール38を配置することができる。これにより、プラグシール38を針部28近傍に配置する必要がなくなる。そのため、輸送中の揺れ等によって第2収納室6内の薬剤の状態が変化してプラグシール38に少々の圧力が加わっても、プラグシール38が針部28に接触することを防止することができる。その結果、混合前の薬剤bが第2収納室6から流出するのを確実に防止することができる。
そして、このようなホールプラグ10を薬剤排出部材4に設けておけば、混合前の薬剤の排出を規制する機構を容器本体3側に設けなくてもよい。したがって、このような薬剤排出部材4を準備して容器本体3に取り付けるようにすれば、医療用複室容器1の製造設備の簡素化、製造時間の短縮化を図ることができる。
また、ブーツ部39が襞の展開によって伸長するものである。そのため、ブーツ部39の代わりに弾性変形によって伸長するチューブ部材を用いる場合に比べて、伸長していないときに折り畳んでコンパクトにすることができる。その結果、チューブ部材を用いる場合に比べて、ブーツ部39の通常長さに対する伸長距離の割合(伸長率)を大きくすることができる。したがって、針部28の先端部35からブーツ部39のフランジ44までの距離が同じであれば、蛇腹部41は初期状態(図9(a)参照)において折り畳まれているので、プラグシール38と針部28との距離を大きくとることができる。その結果、プラグシール38と針部28との誤接触をより良好に防止することができる。また、小さなスペースにホールプラグ10を配置することもできる。さらに、ブーツ部39に弾性がなくても、蛇腹部41の襞の展開によって伸長させることができるため、ブーツ部39に使用する素材の選択自由度を向上させることができる。
しかもこの実施形態では、蛇腹部41の襞の展開方向が蛇腹部41の伸長方向(ベースポート9の軸方向)に交差するので、輸送時など医療用複室容器を本来の目的で使用する前に少々の圧力がプラグシール38に加わっても、針部28へ向かう方向への蛇腹部41の伸長を抑制することができる。そのため、プラグシール38と針部28との誤接触を確実に防止することができる。
また、図4に示すように、薬剤側ポート12にリブ36が設けられ、さらに初期状態においてフレーム部40の先端が、リブ36で取り囲まれる位置に配置されている。そのため、排出側空間30へ向かう方向の圧力がプラグシール38に均一に作用せず、蛇腹部41が意図しない方向(例えば、ベースポート9の軸方向に対して斜め方向)に伸長しても、リブ36によってフレーム部40を針部28へ確実に誘導することができる。さらに、フレーム部40をガイドする部材が複数のリブ36であるため、互いに隣り合うリブ36の間に薬剤用の流路を残すことができる。したがって、ガイド部材の設置による薬剤の流量の減少を最小限に留めることができる。
また、図7および図8に示すように、ベース部37の自由端部をプラスチック材料からなるフレーム部40で構成しているので、張力を加えた状態でプラグシール38をしっかりとベース部37(フレーム部40)に固定することができる。そのため、プラグシール38が針部28に接触したときに簡単に破断することができる。
また、図4に示すように、刺入部材26が円板状の支持部27を有しているので、伸長しているベース部37のフレーム部40を支持部27に当接させることで、ブーツ部39の伸長を停止することができる。そのため、支持部27の位置によってブーツ部39の伸長量を調節することができる。さらに、ベース部37の自由端部をプラスチック材料からなるフレーム部40で構成しているので、当接時に当該自由端部が変形することを防止することができる。そのため、自由端部における薬剤の流路をフレーム部40の形状に維持することができる。
また、図9(c)に示すように、プラグシール38の破断後に中空の針部28がホールプラグ10の薬剤の流路内に入り込み、その位置に配置される。そのため、薬剤をホールプラグ10から漏らさずに当該中空の針部28の孔31を介して、排出側空間30へ効率よく薬剤を送ることができる。
また、図6(a)(b)に示すように、中空の針部28が、先端部35からV字状に分かれる2つの面(第1傾斜面33および第2傾斜面34)を有している。そのため、先端部35が針部28の外周面32よりも内方の位置(中央部寄り)に配置されている。したがって、移動中のプラグシール38が針部28の先端部35に対して横方向に多少位置ずれしても、先端部35がフレーム部40の内方領域に対向している限り、いずれかの傾斜面33,34を利用してフレーム部40をガイドして、針部28をフレーム部40内に確実に挿入することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
例えば、ベース部37は、図10〜図12に示すように、フレーム部40の外壁面に選択的に設けられた突出片48(突出部)を有していてもよい。突出片48は、リブ36(レール部)に対向する位置に一つずつ配置されている。図10〜図12では、リブ36がベースポート9の径方向(横方向)に対向するように一対設けられている。また、突出片48には、各リブ36に係合する係合溝49がベースポート9の軸方向(縦方向)に形成されている。
これにより、リブ36は、その両側から突出片48によって挟み込まれる。したがって、排出側空間30へ向かう方向の圧力がプラグシール38に均一に作用しない場合でも、突出片48に係合するリブ36によってフレーム部40を針部28へ確実に誘導することができる。しかも、リブ36が突出片48に挟み込まれているので、リブ36に対する突出片48の係合ずれを確実に防止することができる。また、図10に示すように、初期状態においてもリブ36に突出片48が係合しているので、初期状態におけるベース部37の位置ずれを防止することもできる。
例えば、前述の実施形態では、本発明の蛇腹機構の一例として、ベースポート9の軸方向と直交する径方向(横方向)に襞が折り畳まれた蛇腹部41を例示したが、図13に示すように、ベースポート9の軸方向(縦方向)に襞が折り畳まれた蛇腹部45を採用してもよい。
この構成では、蛇腹部45の襞の展開方向が蛇腹部45の伸長方向(ベースポート9の軸方向)に一致するので、プラグシール38を破断させたい場合に、第2収納室6からプラグシール38に加わる圧力を、蛇腹部45の伸長のための力として無駄なく利用することができる。
また、前述の実施形態では、本発明の針部の一例として、中空の針部28を例示したが、図14(a)(b)に示すように、円柱状の中空でない針部46であってもよい。その場合、針部46を取り囲む複数の孔47を支持部27に形成しておくことによって、プラグシール38の破断後、薬剤側空間29と排出側空間30との間を流通させることができる。なお、この複数の孔47は、フレーム部40が支持部27に当接した状態において、図14(a)に破線で示されるフレーム部40の周縁よりも内方の領域に形成されていることが好ましい。これにより、薬剤をホールプラグ10から漏らさずに当該支持部27の孔47を介して、排出側空間30へ効率よく薬剤を送ることができる。
また、前述の実施形態では、プラグシール38の破断に必要な圧力が、仕切り用弱シール部7を開封するための圧力よりも大きくなるようにしているが、仕切り用弱シール部7を開封するための圧力と等しい圧力により、プラグシール38が破断するように構成することもできる。
また、前述の実施形態では、薬剤排出部材4の排出側端部の封止をゴム栓11によって行っているが、使用に際して開封できるものであれば、特には限定されない。
また、前述の実施形態では、医療用複室容器1は、2種類の薬剤を混合可能に構成されているが、これに限定されるものではなく、3以上の収納室を備えていてもよい。すなわち、薬剤排出部材4が取り付けられる容器本体は、上記した容器本体3に限定されるものではなく、薬剤が収納された2以上の収納室を仕切り用封止部によって仕切るように構成された容器本体であれば特には限定されない。
また、前述の実施形態では、薬剤排出部材4を容器本体3の周縁部2に熱融着によって取り付けているが、容器本体3を構成する材料によっては、高周波溶着、超音波シール等の方法を使用することもできる。なお、これ以外の方法であっても、容器本体3の収納室6と薬剤排出部材4とが液密状態で接続されていれば、その接続方法は特には限定されない。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
[実験例]
以下では、針部28(例えば図9参照)の内径の好適範囲を設定するために行った滴下時間実験を示す。
具体的には、図1および図2に示した医療用複室容器1(500mL 針部28の内径:0.40mm)のゴム栓11に、18G注射針(内径:0.94mm)および23G注射針(内径:0.40mm)を穿刺し、クレンメ全開で全量滴下に要した時間をストップウォッチで測定した。検証は、18G注射針および23G注射針それぞれの注射針を用いた実験を3袋ずつ行って得られた滴下時間に基づいて行った。結果を、下記表1に示す。
Figure 0005550195
表1から、針部28の内径を0.4mm以上に設定すれば、輸液の一般的な投与速度である500mL/2時間をクリアでき、滴下速度が遅く滴下し難いなどのトラブルにつながらないことが確認できた。
1 医療用複室容器
3 容器本体
4 薬剤排出部材
5 第1収納室
6 第2収納室
7 仕切り用弱シール部
9 ベースポート
10 ホールプラグ
26 刺入部材
27 支持部
28 針部
29 薬剤側空間
30 排出側空間
31 孔(針部)
32 外周面(針部)
33 第1傾斜面(針部)
34 第2傾斜面(針部)
35 先端部(針部)
36 リブ
37 ベース部
38 プラグシール
39 ブーツ部
40 フレーム部
41 蛇腹部
44 フランジ(ブーツ部)
45 蛇腹部
46 針部
48 突出片
49 係合溝

Claims (15)

  1. 薬剤を収納する複数の収納室と、前記複数の収納室を仕切っていて、その使用に際して開封可能に構成された仕切り用封止部とを有する容器本体を含む医療用複室容器に取り付けられ、前記容器本体内の薬剤を排出可能な薬剤排出部材であって、
    一端部および他端部を有する管状に形成され、前記一端部がいずれかの前記収納室に取り付け可能な本体部であって、その内部における前記一端部と前記他端部との間に刺入部材を有する本体部と、
    前記本体部の前記一端部側を封止する封止部材であって、前記本体部の前記一端部に固定された固定端部およびその反対側の自由端部を有し、内部に薬剤用の流路が形成されていて、前記本体部の前記一端部と前記他端部との間を伸縮自在な伸縮部材と、前記伸縮部材の前記自由端部に設けられた封止部とを有する封止部材とを含み、
    前記封止部材は、前記収納室から前記封止部材に所定の圧力が作用すると、前記伸縮部材が伸長変形して前記封止部による封止が前記刺入部材によって解除され、前記容器本体から前記本体部内への薬剤の流入を可能にする、薬剤排出部材。
  2. 前記伸縮部材は、前記封止部材に前記所定の圧力が作用していないときに折り畳まれ、前記所定の圧力が作用したときに伸長する蛇腹機構を含む、請求項1に記載の薬剤排出部材。
  3. 前記蛇腹機構は、前記本体部の軸方向と直交する径方向に折り畳まれる横方向蛇腹機構を含む、請求項2に記載の薬剤排出部材。
  4. 前記蛇腹機構は、前記本体部の軸方向に折り畳まれる縦方向蛇腹機構を含む、請求項2に記載の薬剤排出部材。
  5. 前記本体部は、前記刺入部材に対して前記本体部の前記一端部側の内径を選択的に縮めるようにその内壁面に設けられ、前記伸縮部材を前記刺入部材にガイドするためのガイド部材を有している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬剤排出部材。
  6. 前記ガイド部材は、前記内壁面の周方向に沿って所定の間隔を空けて設けられた複数のリブを含む、請求項5に記載の薬剤排出部材。
  7. 前記伸縮部材は、その外壁面に選択的に設けられた突出部をさらに含み、
    前記本体部は、前記突出部に対して係合するようにその内壁面に選択的に設けられ、前記伸縮部材を前記刺入部材にガイドするためのガイド部材を有している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薬剤排出部材。
  8. 前記ガイド部材は、前記本体部の軸方向に延びる直線状のレール部を含み、
    前記突出部には、前記レール部に係合する係合溝が形成されている、請求項7に記載の薬剤排出部材。
  9. 前記封止部は、前記刺入部材によって破断可能な封止シートを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薬剤排出部材。
  10. 前記伸縮部材は、前記伸縮部材の前記自由端部を構成するプラスチック材料からなるフレーム部を含む、請求項9に記載の薬剤排出部材。
  11. 前記刺入部材は、前記本体部の内壁面に固定された支持部と、前記支持部に配置された針部とを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の薬剤排出部材。
  12. 前記針部は、内部に前記本体部の前記一端部と前記他端部との間を連通させる孔が形成された中空針を含む、請求項11に記載の薬剤排出部材。
  13. 前記針部は、周面と、当該周面から先端部へ向かって連なるように形成されていて、前記先端部から少なくとも複数の方向に前記伸縮部材の前記自由端部をガイド可能なガイド面とを有している、請求項11または12に記載の薬剤排出部材。
  14. 薬剤を収納する複数の収納室と、前記複数の収納室を仕切っていて、その使用に際して開封可能に構成された仕切り用封止部とを有する容器本体と、
    前記容器本体に取り付けられた請求項1〜13のいずれか一項に記載の薬剤排出部材とを含む、医療用複室容器。
  15. 前記仕切り用封止部は、前記封止部が前記刺入部材に達するために前記伸縮部材を伸長させるのに必要な圧力と同等あるいはそれより小さい圧力で開く開封強度を有している、請求項14に記載の医療用複室容器。
JP2012265545A 2012-12-04 2012-12-04 薬剤排出部材および医療用複室容器 Expired - Fee Related JP5550195B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012265545A JP5550195B2 (ja) 2012-12-04 2012-12-04 薬剤排出部材および医療用複室容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012265545A JP5550195B2 (ja) 2012-12-04 2012-12-04 薬剤排出部材および医療用複室容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014108323A JP2014108323A (ja) 2014-06-12
JP5550195B2 true JP5550195B2 (ja) 2014-07-16

Family

ID=51029304

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012265545A Expired - Fee Related JP5550195B2 (ja) 2012-12-04 2012-12-04 薬剤排出部材および医療用複室容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5550195B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106182104A (zh) * 2016-07-03 2016-12-07 张哲睿 一种滤网去屑螺旋搅拌原料清洗中药处理装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07171192A (ja) * 1993-12-20 1995-07-11 Material Eng Tech Lab Inc 輸液容器
JPH1128243A (ja) * 1997-07-10 1999-02-02 Material Eng Tech Lab Inc 医療用容器
JP2001252335A (ja) * 2000-03-08 2001-09-18 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 薬剤容器連結体
JP2003305107A (ja) * 2002-02-14 2003-10-28 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 薬剤排出部材及び医療用複室容器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106182104A (zh) * 2016-07-03 2016-12-07 张哲睿 一种滤网去屑螺旋搅拌原料清洗中药处理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014108323A (ja) 2014-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2012002314A1 (ja) コネクタおよびコネクタ組立体
JP5693461B2 (ja) コネクタ組立体
JP5550638B2 (ja) 医療用容器
WO2009133755A1 (ja) コネクタ組立体
WO2012117648A1 (ja) コネクタ組立体
JPWO2008062741A1 (ja) コネクタおよび輸液チューブセット
KR20040086373A (ko) 의료용 복실 용기
JP2003305107A (ja) 薬剤排出部材及び医療用複室容器
JP6117096B2 (ja) 薬剤収納容器
JP2010179063A (ja) 薬剤収納容器
US9480621B2 (en) Medical instrument
JP2011084344A (ja) 医療用複室容器
WO2011093389A1 (ja) 薬剤収納容器
WO2010004926A1 (ja) 薬剤収納容器
JP5550195B2 (ja) 薬剤排出部材および医療用複室容器
JP4535840B2 (ja) 医療用複室容器の製造方法
JP2005000228A (ja) 医療用複室容器
JP5594687B2 (ja) 薬剤排出具、及び薬剤排出具を用いた複室容器
JP2007307414A (ja) 薬剤の排出方法
JPWO2018180567A1 (ja) 薬液投与具およびガスケット付勢部材組立体
JP4497987B2 (ja) 医療用複室容器
JP5024526B2 (ja) 複室容器
JP3143416U (ja) 医療用複室容器
JP5963741B2 (ja) 薬剤収納容器
JP2005143594A (ja) 医療用複室容器

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140417

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5550195

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees