JP5534526B2 - 複合成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
従って、軽量かつ機械的強度に優れており、また擦れ音や軋み音の発生も防止することができて、自動車の内装材や建築用吸音材や住宅用吸音材等に使用することができる新たな複合成形体の開発が望まれていた。
また、上記の製造方法により得られる複合成形体は、通気性を有している発泡成形体の表面または表裏面に、繊維層が設けられているので、この繊維層が緩衝材となり発泡成形体が直接に自動車ボディに接触することがなく、擦れ音や軋み音の発生を防止することができる。また、繊維層との積層構造とすることで、成形体の機械的強度を向上させることができる。
図1は、本発明の製造方法により得られる複合成形体を示す斜視図であり、図中、1は発泡成形体、2は発泡成形体1の表面に設けた繊維層である。前記発泡成形体1は、発泡ポリスチレン樹脂や発泡ポリオレフィン樹脂などの発泡性樹脂粒子を、型内に充填して加熱発泡して得られる無数の発泡セルで構成されたものである。
前記繊維層2は、植物、動物、化学繊維等の繊維を主成分とするものであり、機械的強度の大きい植物繊維ではマニラ麻からなるものが特に好ましい。
図2に示すように、本発明の製造方法により得られる発泡成形体1は、型内において発泡性樹脂粒子が加熱発泡して得られる無数の発泡セル11で構成されており、隣接する発泡セル11、11は、接触面11a、11a、においてそれ自体が軟化溶融して結合している。即ち、その融着結合部は文字通り発泡樹脂素材が融合しているので、発泡樹脂素材と全く同一の物性を持っている。この発泡成形体1は、少なくとも3個の発泡セル11に囲まれる空間12が連なって形成される連通気孔からなる3次元細気孔を備えていて、通気性を有し、かつ次の物性を有するものである。
その他、発泡セルの形状としては円形の粒体に限らず、多角状の粒体や、円筒状あるいは多角形筒状の棒状体でもよく、要は通気性を有する発泡成形体を構成するものであればよい。
この繊維層2は、自動車用内装材として用いた場合に、発泡成形体1が共材または異種材と接触して擦れ音や軋み音を発生するのを防止する緩衝材としての目的で設けるもので、植物、動物、化学繊維を主成分とするものであり、機械的強度の大きい植物繊維ではマニラ麻からなるものが特に好ましい。
なお、図示のものでは、繊維層2を片方の表面にのみ設けた場合を示しているが、表裏面の双方に設けることもできる。また、用途に応じて特性の異なる2層以上の繊維層を設けることができるのも勿論である。
しかも、繊維層2は通気性を有しているため、発泡成形体1の吸音効果を阻害することはない。また、発泡成形体1と繊維層2の複合物とすることで、成形体としての機械的強度を向上させることが可能となる。なお、前記JIS‐K7221の規定に従って曲げ強度を測定した結果は、曲げ応力が0.45MPa以上であり、発泡成形体単体の強度に比べて約2倍に向上していることが確認できた。
図3に、本発明の成形に使用する容器の一例を示す。この容器3は、四角枠状のものであり、底部に前記の通気性を有している発泡成形体1をセットして、この発泡成形体1に紙漉き技術における簾の役割をはたす構成とする。
次いで、図4の上図に示すように、この容器3内に所定量の繊維を分散させた溶液10を注ぐ。この繊維を分散させた溶液10は、例えば、繊維を水に入れて放置後、ミキサーで撹拌して得ることができる。なお、4は回収用容器である。
繊維を分散させた溶液を漉くのは、自然落下でもよいが、成形時間を短縮するには、回収用容器4側に吸引器(図示せず)に連結した吸引口5を設けておき、簾の下面側から吸引力を作用させて繊維を分散させた溶液を漉くようにするとよい。その後、容器から取り出して乾燥させれば、発泡成形体1の表面に、繊維層2を設けた複合成形体が得られる。
更には、用途に応じて任意に着色効果、消臭効果、芳香効果、防虫効果、難燃効果などをもたせることができ、自動車の内装材だけでなく、建築用吸音材や住宅用吸音材等にも使用することができる。
この発泡成形体から、150×150×25mmの板状体を切り出し、これを図4に示す溶器3の底面にセットした。
繊維を分散させた溶液は、小片に切断したマニラ麻1.125gを0.5リットルの水に入れて放置後、ミキサーで30秒間撹拌して得た。
図4に示すように、前記発泡成形体を簾として、この簾の上面から下面に向けて繊維を分散させた溶液を漉くことにより、発泡成形体の表面に繊維層を膠着させた。これを容器から取り出した後、乾燥させて図1に示すような発泡成形体の表面に、繊維層(約0.11mm)が膠着した複合成形体を得た。
(1)通気性について
通気性は通気度試験機を使用して測定した。一定の流量[m3/cm2sec]のエアを通し、この時の圧力差[kPa]を測定し、通気抵抗[kPa sec/m]を求めた。本発明の複合成形体の通気抵抗は1.74[kPa sec/m]であり、発泡成形体単体の通気抵抗1.40[kPa sec/m]に比べて20%以上抵抗値が上昇していることが確認できた。これは、車内装材、建築用吸音材等として十分な通気性である。
吸音性は、垂直入射吸音率測定器を使用し、資料は厚さ25mm、800〜5000Hzの周波数領域の測定(JIS A1405-1)を行なった。
図5は、本発明の複合成形体の周波数と吸音率の関係を示すグラフであるが、発明品1が発泡成形体単体(従来品)の吸音性とほぼ同等の吸音率であることが確認できた。また、例えば繊維の叩解度、繊維量等の条件を変えることにより吸音率のピーク周波数を変化させることも可能であることが確認できた(発明品2)。
曲げ限界強度は、JIS‐K7221‐2に準拠する方法で測定した結果を、図6に示す。測定した限界荷重より計算した曲げ応力は、0.45MPaであり、発泡成形体単体の強度(0.23MPa)に比べて約2倍に向上していることが確認できた。
擦れ音及び軋み音の評価は、発泡成形体をガラス板上で荷重を加えて、手動で往復回転運動させたときに音が発生するかどうか評価した。発泡成形体単体では擦れ音及び軋み音が発生したが、発明品では音は発生しなかった。
2 繊維層
3 容器
4 回収用容器
5 吸引口
10 繊維を分散させた溶液
10a 回収溶液
11 発泡セル
11a 接着面
12 空間
Claims (2)
- 発泡性樹脂粒子を金型内で加熱発泡して得られる無数の発泡セルが接触面において相互に融着され、かつ発泡セル間に連通気孔が形成されて通気性を有している発泡成形体を簾として、この簾の上面から下面に向けて繊維を分散させた溶液を漉くことにより、発泡成形体の表面に繊維層を膠着させることを特徴とする複合成形体の製造方法。
- 簾の下面側から吸引、もしくは簀の上面側から加圧して繊維を分散させた溶液を漉くようにした請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
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