以下、図面を参照し、本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対位置等は、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置500の構成を示す断面図である。画像形成装置500は、転写式電子写真プロセスを用いたタンデムタイプのカラーレーザプリンタである。図1に示されるように、画像形成装置500は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)500Aを有し、この装置本体500Aの内部には、シートに画像を形成する画像形成部U(Ua、Ub、Uc、Ud)が設けられる。画像形成部U(Ua、Ub、Uc、Ud)は、『像担持体』である感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、『転写装置』である1次転写帯電器24(24a、24b、24c、24d)等を含む。少なくとも感光体ドラム3については、プロセスカートリッジに含まれ、プロセスカートリッジとして装置本体500Aに組み込まれる構成となっていても良い。
前述のように、装置本体500Aの内部には第1画像形成部Ua、第2画像形成部Ub、第3画像形成部Uc、第4画像形成部Udの4つの『画像形成部』が併設され、各々異なった色のトナー像が静電像、現像、転写のプロセスを経て形成される。各画像形成部Ua、Ub、Uc、Udは、それぞれ専用の『像担持体』である電子写真感光体ドラム(以下、単に『感光体ドラム』という)3a、3b、3c、3dを具備する。各感光体ドラム3a、3b、3c、3d上には各色のトナー像が形成される。各感光体ドラム3a〜3dに隣接して『中間転写体』である中間転写ベルト130が設置され、感光体ドラム3a〜3d上に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト130上に1次転写され、2次転写部で記録材P上に転写される。さらに、トナー像が転写された記録材Pは、定着装置100で加熱及び加圧によりトナー像が定着されて記録画像形成物として装置外の排送トレイ6に排出される。
感光体ドラム3a、3b、3c、3dの外周には、それぞれドラム帯電器2a、2b、2c、2d、現像器1a、1b、1c、1d、1次転写帯電器24a、24b、24c、24d及びクリーナ4a、4b、4c、4dが設けられる。また、装置本体500Aの上部にはレーザスキャナ5a、5b、5c、5dが設置されている。
感光体ドラム3a〜3dは矢印の反時計方向に回転駆動され、その周面がドラム帯電器2a〜2dにより所定の極性及び電位に一様に1次帯電される。その各感光体ドラム3a〜3dの一様な帯電面に対してレーザスキャナ5a〜5dから出力される、画像信号に応じて変調されたレーザ光による走査露光がなされて、各感光体ドラム3a〜3d上に画像信号に応じた静電像が形成される。レーザスキャナ5a〜5dには、それぞれ、光源装置、ポリゴンミラー等が設置されている。光源装置から発せられたレーザ光をポリゴンミラーを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズにより感光体ドラム3a、3b、3c、3dの母線上に集光して露光La、Lb、Lc、Ldする。これにより、感光体ドラム3a〜3d上に画像信号に応じた静電像が形成される。
現像器1a、1b、1c、1dには、現像剤としてそれぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナーが、図示しない供給装置により所定量充填されている。現像器1a、1b、1c、1dは、それぞれ感光体ドラム3a、3b、3c、3d上の静電像を現像して、シアントナー像、マゼンタトナー像、イエロートナー像及びブラックトナー像として可視化する。
中間転写ベルト130は、3本のローラ13、14、15間に懸回されていて、矢印の方向(時計回り方向)に感光体ドラム3a、3b、3c、3dと同じ周速度をもって回転駆動されている。第1画像形成部Uaの感光体ドラム3a上には、第1色のイエロートナー画像が担持される。この第1色のイエロートナー画像は、感光体ドラム3aと中間転写ベルト130とのニップ部を通過する過程で、中間転写ベルト130に印加される1次転写バイアスにより形成される電界と圧力により、中間転写ベルト130の外周面に1次転写されていく。以下、同様に、第2、第3、第4の画像形成部Ub、Uc、Udの感光体ドラム3b、3c、3d上には、第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像が担持される。これらの第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のブラックトナー画像は、順次に中間転写ベルト130上に重畳転写されていく。そして、中間転写ベルト130上に目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。
2次転写ローラ11は、中間転写ベルト130が懸回された3本のローラ13、14、15のうちのローラ14と共に中間転写ベルト130を挟んで圧接し、中間転写ベルト130との間に2次転写ニップ部を形成している。一方、記録材Pは給送カセット10から1枚分離給送されて、記録材搬送手段としてのレジストローラ12にて所定の時間待機させられた後に中間転写ベルト130上の画像と位置が合うように所定のタイミングで搬送開始される。そして、記録材Pは転写前ガイドを通過して中間転写ベルト130と2次転写ローラ11との当接ニップである2次転写ニップ部に所定のタイミングで給送される。そして、2次転写バイアス電源から印加された2次転写バイアスにより、中間転写ベルト130上に重畳転写された合成カラートナー画像が記録材Pへ一括して2次転写される。
2次転写ニップ部にて合成カラートナー画像の転写を受けた記録材Pは、中間転写ベルト130から分離されて定着装置9へ順次導入され、記録材Pに熱と圧力を加えることでトナー像が定着される。
1次転写が終了した感光体ドラム3a、3b、3c、3dは、それぞれのクリーナ4a、4b、4c、4dにより転写残トナーをクリーニング、除去され、引き続き次以降の静電像の形成に備えられる。中間転写ベルト130上に残留したトナー及びその他の異物は、中間転写ベルト130の表面にクリーニングウエブ(不織布)21を当接して、拭い取るようにしている。
両面コピーモードが選択されている場合には、定着装置100を出た第1面側画像形成済みの記録材Pがフラッパ(切替部材)16により再循環搬送機構側のシートパス17側に導入される。さらに、記録材Pは、スイッチバックシートパス18の内部に入り、次いでスイッチバックシートパス18から引き出し搬送されて再搬送シートパス19に誘導される。記録材Pは、再搬送シートパス19からレジストローラ12、転写前ガイドを通過して中間転写ベルト130と2次転写ローラ11との当接ニップである2次転写ニップ部に表裏反転状態で所定のタイミングで再導入される。これにより、記録材Pの第2面側に対して、中間転写ベルト130上のトナー画像の2次転写がなされる。2次転写ニップ部にて第2面に対するトナー画像の2次転写を受けた記録材Pは中間転写ベルト130から分離されて定着装置100へ再導入され、トナー画像の定着処理を受けて両面コピーとして装置外の排送トレイ6に排出される。
画像形成装置500は、装置本体500Aの内部の画像形成部Ua〜Udその他の機器の駆動を制御するコントローラ200を備える。このコントローラ200は、後述するが、離接ユニット170bの駆動を制御可能である(図3参照)。
カラー画像の場合は、多色のトナーが2層〜4層の層を形成しているため、カラー画像形成の可能な電子写真画像形成装置においては、トナーについて白黒用の装置とは異なった特徴を有している。つまり、このトナーには、熱を印加した際の溶融性、混色性が良いことが要求されるため、軟化点が低く、且つ溶融粘度の低いシャープメルト性のトナーが使用される。このシャープメルトトナーを使用することにより、複写物の色再現範囲の広いカラーコピーを得ることができる。このようなシャープメルトトナーは、例えば、ポリエステル樹脂またはスチレン−アクリルエステル樹脂等のような結着樹脂、着色剤(染料、昇華性染料)、荷電制御剤等のトナー形成用材料を溶融混練、粉砕、分級することにより製造される。
図2は、定着装置100の構成を示す断面図である。図2に示されるように、定着装置100は、記録材Pにトナー像を定着させる『定着部材』である定着ローラ101と、定着ローラ101とニップ部を形成して記録材Pを加圧する『加圧部材』である加圧ローラ102と、を備える。また、定着装置100は、加熱及び解除機構170を備える。加熱及び解除機構170は、定着ローラ101の上方に、『外部加熱手段』である加熱ユニット170aと、『離接手段』である離接ユニット170b(図3(a)参照)と、『形状保持手段』であるベルト保持ころ55(図3(a)、図3(b)参照)と、を備える。
定着ローラ101は、不図示の駆動源によって、矢印R方向に所定の速度、例えば500mm/secの周速で回転駆動されるようになっている。定着ローラ101は、外径74mm、厚み6mm、長さ350mmの円筒状で金属製(本実施例では、アルミニウム製)の芯金を備える。芯金上には、耐熱性の弾性層として、シリコーンゴム(本実施例では、JIS−A硬度20度)が3mmの厚さで被覆されている。弾性層上には、トナーとの離型性向上のために、耐熱性の離型層としてフッ素系樹脂(本実施例では、PFAチューブ)が100μmの厚さで被覆されている。定着ローラ101の芯金の内部には、発熱体として、例えば定格電力1200Wのハロゲンヒータ111が配置されて、定着ローラ101の表面温度が所定の温度となるように内部から加熱されている。定着ローラ101の表面温度は、定着ローラ101に接触する温度検知手段としてのサーミスタ121によって検出される。そして、この検出温度に基づいて、『温度制御(調整)手段』であるヒータ制御器150がハロゲンヒータ111をON/OFFすることで、所定の目標温度、例えば200℃にて制御される。
加圧ローラ102は、定着ローラ101に不図示の加圧手段により、所定の圧力で加圧されて、定着ローラ101と定着ニップ部Nを形成しており、矢印S方向に所定の速度、例えば500mm/secの周速で、定着ローラ101と従動回転される。加圧ローラ102は、外径54mm、厚み5mm、長さ350mmの円筒状で金属製(本実施例では、アルミニウム製)の芯金を備える。芯金上には、耐熱性の弾性層として、シリコーンゴム(本実施例では、JIS−A硬度15度)が3mmの厚さで被覆されている。弾性層上には、トナーとの離型性向上のために、耐熱性の離型層としてのフッ素系樹脂(本実施例では、PFAチューブ)が100μmの厚さで被覆されている。加圧ローラ102の芯金の内部には、発熱体として、例えば定格電力300Wのハロゲンヒータ112が配置されて、加圧ローラ102の表面温度が所定の温度となるように内部から加熱されている。加圧ローラ102の表面温度は、加圧ローラ102に接触する温度検知手段としてのサーミスタ122によって検出され、ヒータ制御器150によってハロゲンヒータ112がON/OFFされ、所定の目標温度、例えば130℃にて制御される。
なお、この定着ニップ部Nに、記録材P上に担持した未定着のトナーKを挿通して、記録材P上にトナーKを定着させる。つまり、未定着のトナーKを担持した記録材Pを定着ニップ部Nで狭持して加熱することで定着する。
次に、加熱ユニット170aの構成について説明する。まず、加熱ユニット170aの主要な構成の概略について説明する。加熱ユニット170aは、『発熱体』であるハロゲンヒータ113、114を有する。また、加熱ユニット170aは、ハロゲンヒータ113が内部に含まれる第1加熱ローラ103と、ハロゲンヒータ114が内部に含まれる第2加熱ローラ104と、を備える。さらに、加熱ユニット170aは、ハロゲンヒータ113、114から伝熱されて定着ローラ101に接触することでニップ部を形成しつつ定着ローラ101を外部から加熱可能な外部加熱ベルト105を有する。外部加熱ベルト105は、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104に巻回されており、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の熱は外部加熱ベルト105に供給される。
図2に示されるように、定着ローラ101の外周面に外部加熱ベルト105が配置されている。そして、外部加熱ベルト105を張架する第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104が定着ローラ101に所定の圧力で押圧されることで、外部加熱ベルト105が定着ローラ101と当接ニップ部Neを形成している。また、外部加熱ベルト105は定着ローラ101に対して当接及び退避可能に構成されている。外部加熱ベルト105は、矢印Fの方向に所定の速度、例えば500mm/secの周速で、定着ローラ101に従動しながら回転するようになっている。つまり、外部加熱ベルト105は、定着ローラ101の外面に接触しながら定着ローラ101を加熱する。
なお、外部加熱ベルト105を張架する第1加熱ローラ103は、定着ローラ101の回転方向の下流側に配置される支持ローラである。第1加熱ローラ103は、外径30mm、厚み3mm、長さ350mmの円筒状で金属製(本実施例では、アルミニウム製)の芯金を備える。芯金上には、外部加熱ベルト105の内面との摩耗を防止するために、耐熱性の摺動層としてのフッ素系樹脂(本実施例では、PFAチューブ)が20μmの厚さで被覆されている。第1加熱ローラ103の芯金の内部には、『発熱体』である『第1発熱体』として、例えば定格電力1000Wのハロゲンヒータ113が配置されて、外部加熱ベルト105の表面温度が所定の温度となるように内部から加熱されている。外部加熱ベルト105の表面温度は、温度検知手段として、第1加熱ローラ103と外部加熱ベルト105の第1接触領域D1に接触するサーミスタ123によって検出される。そして、検出された温度に基づいて、ヒータ制御器150はハロゲンヒータ113をON/OFFし、所定の目標温度、例えば220℃によって制御(温度調節)する。
外部加熱ベルト105を張架する第2加熱ローラ104は、第1加熱ローラ103とほぼ同様の構成で、定着ローラ101の回転方向の上流側に配置される。第2加熱ローラ104も外部加熱ベルト105の内面に接触して、外部加熱ベルト105を加熱する。したがって、第2加熱ローラ104は第1加熱ローラ103によって加熱された外部加熱ベルト105の領域を加熱する。第2加熱ローラ104は、外径30mm、厚み3mm、長さ350mmの円筒状で金属製(本実施例では、アルミニウム製)の芯金を備える。芯金上には、外部加熱ベルト105の内面との摩耗を防止するために、耐熱性の摺動層としてのフッ素系樹脂(本実施例では、PFAチューブ)が20μmの厚さで被覆されている。第2加熱ローラ104の芯金の内部には、『発熱体』である『第2発熱体』として、例えば定格電力1000Wのハロゲンヒータ114が配置されて、外部加熱ベルト105の表面温度が所定の温度となるように内部から加熱されている。
外部加熱ベルト105は、外形60mm、厚み50μm、長さ350mmの金属製の基材を備える。基材上には、トナーとの付着を防止するために、耐熱性の摺動層としてのフッ素系樹脂(本実施例では、PFAチューブ)が20μmの厚さで被覆されている。外部加熱ベルト105の表面温度は、温度検知手段として、第2加熱ローラ104と外部加熱ベルト105の第2接触領域D2に接触するサーミスタ124によって検出される。そして、検出された温度に基づいて、ヒータ制御器150はハロゲンヒータ114をON/OFFし、所定の目標温度、例えば220℃によって制御(温度調節)する。ここで、外部加熱ベルト105の目標温度を定着ローラ101の目標温度よりも高く設定しているのは、以下の理由による。すなわち、外部加熱ベルト105の温度が定着ローラ101の温度よりも高温に保たれていた方が、定着ローラ101の表面温度の記録材Pによる降下に対してレスポンス(熱の感応精度)良く外部加熱ベルト105から定着ローラ101に熱が供給されるためである。
図3(a)は、加熱及び解除機構170の構成を示す拡大断面図であり、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間した状態を示している。図3(a)に示されように、加熱及び解除機構170は、定着ローラ101及び外部加熱ベルト105の間を離間及び接触させる『離接手段』である離接ユニット170bを備える。離接ユニット170bは、定着ローラ101に対して加圧しながら接触するので『加圧手段』や『接触手段』として機能し、定着ローラ101から加圧を解除しながら離間するので『加圧解除手段』や『離間手段』として機能する。第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104は、その長手方向の両端部側をそれぞれ図示しない断熱ブッシュとベアリングとを介して支持フレーム30に回転自在に支持されている。ここで、断熱ブッシュのツバは、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の外径より大きく形成されており、外部加熱ベルト105のローラ長手方向への移動規制部材を兼ねている。
離接ユニット170bは、後述していくが、支持フレーム30、アーム32、加熱加圧ばね35、ばね33、圧解除アーム36等を備える。支持フレーム30は、図3(a)中の表面側と裏面側の両端部で支持軸31によりアーム32に回動自在に支持されている。支持フレーム30は、ばね33により支持軸31を中心に矢印aの方向に回動するように付勢されている。第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104が定着ローラ101から離間している図3(a)の状態では、支持フレーム30に設けた突き当て部30aがアーム32に突き当たるようになっている。
アーム32は、図示しない定着装置フレームに対して支持軸34を中心に回動自在に設けられている。そして、アーム32の自由端側には、アーム32を下方へと付勢する加熱加圧ばね35が設けられている。そのため、アーム32は、支持軸34を中心に矢印bの方向に回動するように付勢されている。
アーム32の自由端部の下方には、『離接手段』の一部である圧解除アーム36が回動軸36aを中心として回動自在に設けられている。圧解除アーム36は、定着ローラ101から外部加熱ベルト105を離間可能であると共に、定着ローラ101に外部加熱ベルト105を接触可能である。圧解除アーム36の先端が上方を向いているときには、アーム32の自由端部には圧解除アーム36の先端が当接している。
次に、図3(a)に示されるように、加熱及び解除機構170は、『形状保持手段』である『ベルト支持部材』としてのベルト保持ころ55を備える。すなわち、外部加熱ベルト105の下方には、『形状保持手段』であるベルト保持ころ55が配置されている。『形状保持手段』であるベルト保持ころ55は、離接ユニット170bの駆動によって定着ローラ101から外部加熱ベルト105が離間したときに、以下のように作用する。すなわち、ベルト保持ころ55は、外部加熱ベルト105の形状が『ニップ部の形状』である当接ニップ部Neの形状を保持するように加熱ユニット170aを支持する。詳しくは、ベルト保持ころ55は、外部加熱ベルト105の部位のうちの定着ローラ101と対向する対向部位を、当接ニップ部Neの形状を維持するように外部加熱ベルト105の形状を保持する。ベルト保持ころ55は、外部加熱ベルト105に対して定着ローラ101の側から当接しながら外部加熱ベルト105を下方から支持する部材である。ベルト保持ころ55は、外部加熱ベルト105と当接するころ形状の部材である。
外部加熱ベルト105は、定着ローラ101から離間しているときに、第1加熱ローラ103、第2加熱ローラ104、支持フレーム30に設けられたベルト保持ころ55によって張架されている。ベルト保持ころ55で外部加熱ベルト105を張架することによって外部加熱ベルト105の形状は当接ニップ部Neの形状を維持することが可能となっている。
なお、支持フレーム30にはころ軸56が取り付けられており、ころ軸56を中心にベルト保持ころ55が回動自在になっている。また、ベルト保持ころ55は、外部加熱ベルト105のベルト長手方向の両端部を保持している。外部加熱ベルト105の形状が当接ニップ部Neの形状で維持されるために、定着ローラ101に対する外部加熱ベルト105の退避量が小さく設定可能となっている。
図3(b)は、加熱及び解除機構170の構成を示す拡大斜視図であり、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間した状態を示している。図3(b)に示されるように、互いに平行に配置される第1加熱ローラ103と第2加熱ローラ104に外部加熱ベルト105が懸架され、この外部加熱ベルト105の外側で第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の間にベルト保持ころ55が配置される。ベルト保持ころ55は、外部加熱ベルト105のベルト幅方向の端部を保持する。外部加熱ベルト105の下方には定着ローラ101が配置されて、外部加熱ベルト105及び定着ローラ101は接触及び離間を自在に行えるようにしなければならない。そのために、ベルト保持ころ55の位置は、そのような接触及び離間の邪魔にならないように、外部加熱ベルト105の幅方向の全てに亘って配置されてはいない。
前述のように、ベルト保持ころ55が外部加熱ベルト105を支持することで、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から確実に離間され、外部加熱ベルト105から定着ローラ101への直接的な伝熱は遮断される。なお、第1加熱ローラ103は、長手方向の両端部に寄り規制板153といった外部加熱ベルト105の回転位置を規制する部材を有する。また、第2加熱ローラ104は、長手方向の両端部に寄り規制板154といった外部加熱ベルト105の回転位置を規制する部材を有する。
図4(a)は、加熱及び解除機構170の構成を示す拡大断面図であり、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に接触した状態を示している。図4(a)に示されるように、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に対し当接した状態では、加熱加圧ばね35とばね33により外部加熱ベルト105は第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104によって定着ローラ101に加圧される構成になっている。第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104は、定着ローラ101に対して総圧力約98N(約10kg)で圧接されており、定着ローラ101の回転に対して外部加熱ベルト105は従動しながら回転する。そして、外部加熱ベルト105と定着ローラ101との当接ニップ部Ne(接触長さ)がとれるようになっている。なお、離接ユニット170bの駆動によって定着ローラ101に外部加熱ベルト105が接触(当接)したときに、『形状保持手段』であるベルト保持ころ55は、支持フレーム30の動作によって外部加熱ベルト105から離間している。
図4(b)は、加熱及び解除機構170の構成を示す拡大斜視図であり、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に接触した状態を示している。図4(b)に示されるように、外部加熱ベルト105が定着ローラ101へと下ろされた状態では、外部加熱ベルト105の下側は定着ローラ101で押し上げられることから、凹むこととなる。そうなると、外部保持ころ55は外部加熱ベルトから離間した状態となる。
以上の図3(a)及び図4(a)を参照して述べた構成は、以下のように簡単に言える。図4(a)に示されるように、圧解除アーム36がアーム32から離間している場合には、外部加熱ベルト105が定着ローラ101を加圧する。支持フレーム30に対するベルト保持ころ55の位置は変化しないので、外部加熱ベルト105が定着ローラ101の上に乗ることによって、ベルト保持ころ55は外部加熱ベルト105から離間することになる。
また、図3(a)に示されるように、圧解除アーム36がアーム32を上方に押し上げている場合には、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間する。前述のごとく支持フレーム30に対するベルト保持ころ55の位置は変化しないので、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間することによって、ベルト保持ころ55の上に外部加熱ベルト105が乗ることになる。
圧解除アーム36は、『制御装置』であるコントローラ200で制御される『駆動器』であるモータMにより回動される。モータMは、公知の技術であるバネクラッチ、モータ等を利用して構成される。モータMの駆動力で圧解除アーム36が回転しベルト保持ころ55が移動することから、離接ユニット170bの圧解除アーム36による定着ローラ101と外部加熱ベルト105との間の離間と接触の動作、並びに、ベルト保持ころ55による外部加熱ベルト105の形状の保持と保持解除の動作は、同一の『駆動器』である『回動手段(回動装置)』としてのモータMの駆動力で駆動するといえる。
次に、外部加熱ベルト105が離間状態から加圧状態になるまでの動作を、図3(a)及び図4(a)を用いて説明する。図3(a)は、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間している状態、即ち、スタンバイ状態(画像形成の待機時)を示している。この状態から、画像形成装置500へ画像形成開始信号が入力される。画像形成開始信号の入力には、画像形成装置を複写機として使用する場合は液晶等の操作部よりスタートボタンが押されることによる信号の入力がある。または、画像形成装置500がパーソナルコンピュータ等の外部機器とネットワーク接続されたプリンタとして使用される場合は、外部機器からの印刷命令による信号の入力でも良い。このような信号が入力されると、画像形成装置500の内部の各種画像形成機器の画像形成準備動作が開始され、定着装置100の定着準備動作も開始される。
そして、定着準備動作が開始され、定着ローラ101、加圧ローラ102、第1加熱ローラ103、第2加熱ローラ104の温度が定着を開始するに足りる温度に達すると、定着動作が開始される。なお、本実施例では、第4画像形成部Udの感光体ドラム1dへの画像露光開始タイミングを基に定着動作を開始するように構成されている。詳細には、第4画像形成部Udの感光体ドラム1dへの露光開始タイミングから所定時間経過した後、着脱機構の動作を開始させるように制御している。
また、中間転写ベルト130の2次転写部への記録材Pの搬送タイミング、即ち、レジストローラ12の搬送開始タイミングもこの画像露光開始タイミングを基に行われるように構成されている。圧解除アーム36を矢印cの方向に回動させ、アーム32が矢印bの方向に回動し、支持フレーム30、即ち外部加熱ベルト105が定着ローラ101の方向に移動を開始する。
そして、先ず第2加熱ローラ104が定着ローラ101に当接し 更に圧解除アーム36が矢印cの方向に回動すると、支持フレーム30が支持軸31を中心に矢印aの逆方向に回動する。そして、第1加熱ローラ103も定着ローラ101に加圧当接した状態になり、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に加圧当接されるようになり加圧動作が終了する。この図4(a)の状態において、第1加熱ローラ103、104は加熱加圧ばね35とばね33により定着ローラ101に加圧される。
コントローラ200は、定着動作開始時に、モータMにより圧解除アーム36を矢印cの方向に回動させて図3(a)から図4(a)への動作を実行させる。また、コントローラ200は、定着動作終了時には、モータMにより圧解除アーム36を矢印cの方向とは逆方向に回動させて、図4(a)から図3(a)への動作を実行させる。そして、初めの図3(a)の状態、すなわち、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間している状態に戻し、つぎの定着動作開始時までその状態を保持させる。
スタンバイ時では、定着ローラ101の弾性層101b及び加圧ローラ102の弾性層102bの変形又は歪防止のため、加圧ローラ102、第1加熱ローラ103、第2加熱ローラ104は、定着ローラ101から離間される。スタンバイ中に各ローラが離間せずに圧着したままの構成の場合、定着ニップ部N、当接ニップ部Neでの弾性層の変形又は歪がプリント中にも残存して、画像上に、横スジや光沢スジ(ムラ)等が発生して画像品質が低下してしまう。そのため、スタンバイ中に各ローラを離間する。
図5(a)及び図5(b)は、厚い記録材Pが定着ニップを通過する前後の定着ローラ101の表面温度の推移を示すグラフである。図5(a)は、外部加熱ベルト105が無い場合の定着ローラ101の表面温度の推移を示しており、図5(b)は、外部加熱ベルト105が有る場合の定着ローラ101の表面温度の推移を示している。図5(a)及び図5(b)において、横軸は時間(秒)であり、縦軸は定着ニップ部の温度(定着ニップ部Nでの定着ローラ101の表面温度)(℃)を示している。また、記録材Pの記録材搬送速度は500mm/sec、記録材Pには250g/m2のものが用いられ、これらの条件下で実験した。
図5(a)中で、時間Aは、記録材Pが定着ニップ部Nに突入する時間である。時間Eは、定着ヒータの熱応答の開始時間である。図5(a)に示されるように、外部加熱ベルト105が無い場合には、記録材Pが定着ニップ部Nに突入(時間A)すると、記録材Pに熱が奪われるため定着ローラ101の表面温度が降下する(時間A−時間E)。そして、定着ヒータの熱応答が始まると、定着ローラ101の表面温度が上昇して復帰する(時間E以後)。定着ローラ101の温度降下は約20℃にもなり、グロス低下はもちろんのこと、低温オフセットが発生し定着不良になってしまう。
図5(b)中で、時間Dは、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に当接する時間である。時間Bは、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に当接したポイント(箇所)が最初に定着ニップ部Nに到達する時間である。時間Aは、記録材Pが定着ニップ部Nに突入する時間である。時間Cは、定着ヒータの熱応答の開始時間である。図5(b)に示されるように、外部加熱ベルト105が有る場合に、まず、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に当接する(時間D)。外部加熱ベルト105が定着ローラ101に当接したポイントが定着ニップ部Nに到達する(時間B)。記録材Pが定着ニップ部Nに到達する以前に外部加熱ベルト105が定着ローラ101に熱の供給を開始するために、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に当接した箇所が定着ニップ部Nに最初に到達した時間Bから定着ローラ101が温度上昇を開始する。そして、定着ローラ101の温度は、記録材Pが定着ニップ部Nに到達する時間Aまで上昇し続ける。この場合、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に当接して定着ローラ101の定着ニップ部Nの温度が上昇する最中(時間B−時間Aの間)に、コントローラ200は、記録材Pの先端が定着ニップ部Nに到達するように記録材Pの搬送タイミングを制御する。
記録材Pが定着ニップ部Nに到達すると記録材Pから熱が奪われるため、定着ローラ101の温度低下が始まる(時間A)。その後、定着ヒータの熱応答が始まると、定着ローラ101の表面温度は上昇して復帰する(時間C以後)。この場合に、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に熱を供給することで、定着ローラ101の温度降下は約7℃に抑えられる。その結果、複数の記録材Pへ画像形成を高画像生産性を維持しつつ、定着ローラ101の温度降下は定着ローラ101の温度200℃と比較して10℃以下になり定着ローラ101の表面温度の変動を抑制することが可能になる。そして、グロス変化は約15%に抑えられ、高画質で高生産性が可能となることが判明した。
図6は、定着装置9の定着ニップ部Nの温度変化に対応する記録材Pのグロス(光沢度)の変化(画像表面の粗さ)を示すグラフである。図6に示されるように、定着不良が発生しない状態においても、外部加熱ベルト105が無い場合(図5(a)参照)では、定着ニップ部Nの温度は200℃から約20℃低下することで、グロスは40%から約10%まで低下する。このようにグロス変動が大きい場合には、定着された記録材Pは高画質にはなり得ない。
これに対して、外部加熱ベルト105が有る場合(図5(b)参照)では、元の定着ローラ101の定着ニップ部Nが200℃から193℃へと低下するので、グロスは40%から25%まで低下する。グロス変動はレンジで15%となっており、定着された記録材Pは高画質になり得る。従って、高画質画像を形成するためにはグロス変動がレンジで20%以下となるようにするのが好ましい。
なお、画像形成速度(定着速度)は非常に高速度である。これに対して記録材Pやトナーによる定着ローラ101の温度低下を補うために外部加熱部材として外部加熱ベルト105が用いられることで、複数の記録材Pを連続して定着ニップ部Nに通紙して定着を施す連続画像形成ジョブに対応できる。
また、外部加熱ベルト105は、定着ローラ101の温度低下を補うためのものであるので、定着ローラ101の温調温度よりも高い温度に温調温度が設定されている。このような外部加熱ベルト105を定着ローラ101に当接してから記録材Pが定着ニップ部Nを通過するまでの時間が長過ぎると、定着ローラ101の表面温度が上昇し過ぎてしまい、定着不良の原因となってしまう。そこで、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に当接してからの所定時間以内に、記録材Pの先端が定着ニップ部Nに突入開始するように制御する。ここにいう所定時間以内としては、例えば、外部加熱ベルト105で定着ローラ101における定着ニップ部Nの外面温度が温調温度(200℃)よりも所定の温度(具体的には10℃)上昇するまでの時間内が挙げられる。
この上昇温度10℃は前述のグロスむらに対処する時間であるので、この数値に限定されなくても良く、装置個々に適正な数値に設定されても良い。同様に、下降温度10℃は前述のグロスむらに対処する時間であるので、この数値に限定されなくても良く、装置個々に適正な数値に設定されても良い。
実施例1では、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に対して当接及び退避する動作は、記録材Pが搬送されるタイミング(記録材Pが定着ローラ101と加圧ローラ102との定着ニップ部Nに進入するタイミング)に対応して行われた。そのために、最下流の第4画像形成部(画像形成ステ−ション)Udの画像書き出しタイミング(感光体への露光開始タイミング)をトリガーにして(基準タイミングにして)、外部加熱ベルト105の定着ローラ101に対する当接開始タイミングの制御を行った。
また、複数の記録材Pへの連続画像形成ジョブの最後の記録材Pへの定着処理が終了すると、外部加熱ベルト105は、定着ローラ101から直ちに退避するように制御される。ここで、外部加熱ベルト105の温度が定着ローラ101の温度よりも高く設定されているために、定着処理の終了後に外部加熱ベルト105の離間が遅くなると定着ローラ101の温度が上昇し過ぎてしまうという不具合が懸念される。ところが、外部加熱ベルト105の離間動作が開始すると、『形状保持手段』であるベルト保持ころ55があるために直ぐに定着ローラ101及び外部加熱ベルト105は離間するために、定着ローラ101の温度上昇は低く抑えられる。
また、定着装置100は、外部加熱ベルト105を回転駆動させる『第1回転駆動手段』である第1モータM1と、定着ローラ101を回転駆動させる『第2回転駆動手段』である第2モータM2と、を備える。加えて、コントローラ200は、離接ユニット170bが定着ローラ101に外部加熱ベルト105を接触させたときに、外部加熱ベルト105の周速度及び定着ローラ101の周速度が同一になるように第1モータM1及び第2モータM2の回転駆動を制御する。このために、例えば、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間している状態で、不図示のモータで第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の少なくともいずれか一方を駆動して外部加熱ベルト105を定着ローラ101の表面速度で回転させる。そうすれば、外部加熱ベルト105が定着ローラ101へ当接する時に、外部加熱ベルト105と定着ローラ101との摺擦がなくなるために、外部加熱ベルト105と定着ローラ101との摺擦傷を更に低減することができる。
図7(a)は、実施例2に係る定着装置が備える加熱及び解除機構270の構成を示す断面図である。実施例2の加熱及び解除機構270の構成のうち実施例1の加熱及び解除機構170と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例2においても、実施例1と同様の画像形成装置に適用することができるため、画像形成装置の説明は省略する。実施例2の加熱及び解除機構270が実施例1の加熱及び解除機構170と異なる点は、以下の点である。
すなわち、『形状保持手段』である第1支持アーム57及び第2支持アーム58が、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104に対して定着ローラ101の側から当接しながら、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の各々を支持する。つまり、第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、『ローラ支持部材』として機能する点である。このときに、第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の間の距離が維持されるように外部加熱ベルト105を介して支持している。そして、第1支持アーム57及び第2支持アーム58が第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104を支持することによって、ニップ形状を維持するように外部加熱ベルト105の形状を保持する点である。
このような構成とした趣旨は以下のようなものである。外部加熱ベルト105の応答性をより向上させようとすると、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の熱を瞬時に定着ローラ101に伝える構成が要望されてくる。そのためには外部加熱ベルト105の厚さを薄くする必要が生じてくる。外部加熱ベルト105を薄くすると、実施例1のベルト保持ころ55では、ベルト保持ころ55はベルト長手方向の両端部のみしか保持していないため、外部加熱ベルト105が座屈してしまう。そして、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間時に当接ニップ部Neの形状を維持することができなくなってしまう。実施例2は上記課題を解決することを目的としている。
加熱及び解除機構270では、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104はその両端部側をそれぞれ図示しない断熱ブッシュとベアリングとを介して支持フレーム30に回転自由に軸受で支持されている。ここで、断熱ブッシュのツバは第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の外径より大きくなっており、外部加熱ベルト105のローラ長手方向への移動規制部材を兼ねている。支持フレーム30は手前側と奥側の両端部を支持軸31によりアーム32に回動自在に支持されている。また、支持フレーム30はばね33により支持軸31を中心に矢印aの方向に回動するように付勢されており、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104が定着ローラ101から離間している。図7(a)の状態では、支持フレーム30に設けた突き当て部30aがアーム32に突き当たるようになっている。アーム32は図示しない定着装置フレームに対し、支持軸34を中心に回動自在になっている。そしてアーム32の自由端側には加熱加圧ばね35が設けてあり、支持軸34を中心に矢印bの方向に回動するように付勢されている。
図7(a)に示されるように、定着装置は、記録材Pにトナー像を定着させる『定着部材』である定着ローラ101と、定着ローラ101とニップ部を形成して記録材Pを加圧する『加圧部材』である加圧ローラ102と、を備える。また、定着装置は、定着ローラ101の上方に、『外部加熱手段』である加熱ユニット170aと、『離接手段』である離接ユニット170bと、『形状保持手段』である第1支持アーム57及び第2支持アーム58と、を備える。
『外部加熱手段』である加熱ユニット170aは、外部加熱ベルト105と、外部加熱ベルト105が懸架される『2本のローラ』である第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104と、を備える。『離接手段』である離接ユニット170bは、後述していくが、支持フレーム30、アーム32、加熱加圧ばね35、ばね33、圧解除アーム36等を備える。
『形状保持手段』である第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104に対して定着ローラ101の側から当接しながら、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の各々を支持する。このときに、第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の間の距離が維持されるように外部加熱ベルト105を介して支持している。そして、第1支持アーム57及び第2支持アーム58が第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104を支持することによって、ニップ形状を維持するように外部加熱ベルト105の形状を保持するようになっている。離接ユニット170bの駆動によって定着ローラ101に外部加熱ベルト105が接触(当接)したときに、『形状保持手段』である第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、外部加熱ベルト105から離間している。なお、外部加熱ベルト105には、長手方向の両端部に寄り規制板といった回転位置を規制する部材が取り付けられ、この寄り規制板に対向する位置に第1支持アーム58及び第2支持アーム58が配置される構成であれば良い。
第1支持アーム57は、第1加熱ローラ103を支持する支持部57bと、加圧バネ59で加圧される被加圧部57cと、支持部57b及び被加圧部57cが軸支される軸57aと、を有する。第2支持アーム58は、第1加熱ローラ104を支持する支持部58bと、加圧バネ60で加圧される被加圧部58cと、支持部58b及び被加圧部58cが軸支される軸58aと、を有する。
外部加熱ベルト105は、離間時に加熱ローラ103と支持フレーム30に設けた第1支持アーム57で外部加熱ベルト105を挟み込む。そして、加熱ローラ104と支持フレーム30に設けた第2支持アーム58とによって外部加熱ベルト105を挟み込み込むことにより張架されている。外部加熱ベルト105と定着ローラ101とが離間している時に、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104と、支持フレーム30に設けた第1支持アーム57及び第2支持アーム58によって、外部加熱ベルト105を挟み込まれる。このことにより、離間状態で外部加熱ベルト105の形状は当接ニップ部Neの形状を維持することが可能となっている。なお、第1及び第2支持アーム57、58は、支持フレーム30に対して軸57a、58aを中心に回動自在になっており、加圧ばね59、60によって外部加熱ベルト105を押圧している。
第1支持アーム57の支持部57bは、第1加熱ローラ103に当接する板状の部材である。第1支持アーム57は、支持部57bの板面の表面に『柔軟性部材』であるパット61aを有する。第2支持アーム58の支持部58bは、第2加熱ローラ104に当接する板状の部材である。第2支持アーム58は、支持部58bの板面の表面に『柔軟性部材』であるパット61bを有する。これは、第1及び第2支持アーム57、58によって外部加熱ベルト105を傷つけないようにするためである。パット61a、61bは、第1及び第2支持アーム57、58の外部加熱ベルト105との当接部に設けられている。パット61a、61bは耐熱性のあるアラミド繊維でできた不織布でできている。また、パット61a、61bはベルト長手方向全域を押圧している。上記構成により、腰の無いベルト、例えば樹脂(ポリイミド)でできた薄い(30μm)ベルトを用いた構成においても外部加熱ベルト105が離間時に定着ローラ101とのニップ形状を維持して離間可能となる。そして外部加熱ベルト105の形状を当接ニップ部Neの形状を維持することが可能となったため、定着ローラ101に対する外部加熱ベルト105の退避量を小さく設定可能となっている。
図7(b)は、加熱及び解除機構270の構成を示す斜視図である。図7(b)に示されるように、第1支持アーム57は、外部加熱ベルト105のベルト幅方向に沿って延びている。特に、第1支持アーム57の支持部57bは、外部加熱ベルト105のベルト幅方向に沿って延びている。また、第1支持アーム57は、第1加熱ローラ103の斜め下方に配置され、かつ、第1加熱ローラ103及び定着ローラ101の間を回避した位置に配置される。第1支持アーム57が外部加熱ベルト105のベルト幅方向の寸法の全てに亘って平行となるように配置されるのは、以下のことも理由の1つとして挙げられる。すなわち、第1支持アーム57が第1加熱ローラ103の斜め下方に配置されることから、第1支持アーム57及び定着ローラ101の接触及び離間の邪魔にならないためということである。
また、同様に、第2支持アーム58は、外部加熱ベルト105のベルト幅方向に沿って延びている。特に、第2支持アーム58の支持部58bは、外部加熱ベルト105のベルト幅方向に沿って延びている。また、第2支持アーム58は、第2加熱ローラ104の斜め下方に配置され、かつ、第2加熱ローラ104及び定着ローラ101の間を回避した位置に配置される。第2支持アーム58が外部加熱ベルト105のベルト幅方向の寸法の全てに亘って平行となるように配置されるのは、以下のことも理由の1つとして挙げられる。すなわち、第2支持アーム58が第2加熱ローラ104の斜め下方に配置されることから、第2支持アーム58及び定着ローラ101の接触及び離間の邪魔にならないためということである。
図8は、加熱及び解除機構270の構成を示す断面図である。外部加熱ベルト105が定着ローラ101に対し当接した図8の状態において、加熱加圧ばね35とばね33により外部加熱ベルト105は第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104を介して定着ローラ101に加圧される構成になっている。第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104は定着ローラ101に対して、総圧力約98N(約10kg)で圧接されており、定着ローラ101の回転に対して外部加熱ベルト105は従動して回転する。そして、外部加熱ベルト105と定着ローラ101との当接ニップ部Ne(接触長さ)が取れるようになっている。
ここで、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に対し当接した図8の状態では、定着フレームに設けたストッパ62、63により、支持アーム57、58は加圧ばね58、59の付勢力に反して軸57a、58aを中心にd、e方向に回動する。支持アーム57、58が回動することにより支持アーム57、58に設けたパット61a、61bは外部加熱ベルト105から離間し、外部加熱ベルト105は定着ローラ101に対して従動回転可能となる。
以上説明したように、外部加熱ベルト105の応答性をより向上させようとした場合においても、外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間時に当接ニップ部Neの形状を維持することが可能となり実施例1と同様な効果が得られることが可能となる。
なお、離接ユニット170bの圧解除アーム36、並びに、第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、同一の『駆動器』である『回動手段(回動装置)』としてのモータMの駆動力で駆動する。
以上、実施例1及び2の定着装置によれば、形状保持手段は、離接ユニット170bの駆動で定着ローラ101から外部加熱ベルト105が離間したときに、外部加熱ベルト105の形状が当接ニップ部Neの形状を保持するように加熱ユニット170aを支持する。したがって、離接ユニット170bが定着ローラ101に外部加熱ベルト105を接触させる場合に、外部加熱ベルト105の全体が、略同時に定着ローラ101に接触することができる。そのために、外部加熱ベルト105及び定着ローラ101が摺擦する現象が抑制される。その結果、摺擦傷による画像不良が低減されて、外部加熱ベルト105及び定着ローラ101の耐久寿命が延びる。
また、外部加熱ベルト105がニップ形状を維持することから、外部加熱ベルト105がニップ形状を維持しない場合に比べて、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に対して直ちに離接可能となる。したがって、定着ローラ101の温度が容易に調節される。その結果、正確にグロスが調節される。
さらに、特にジョブ後にラスト(最後)の記録材Pが定着ローラ101を通過すると、直ちに外部加熱ベルト105が定着ローラ101から離間可能となる。したがって、定着ローラ101の過度な温度変化が抑制可能となる。そのために、ジョブ後直ちに所定の温度に定着ローラ101がスタンバイ可能となる。その結果、次のジョブが早く受付可能となる。
また、外部加熱ベルト105が、ニップ形状を維持した状態で離接する。したがって、外部加熱ベルト105が離接するための空間の省スペース化が実現される。また、外部加熱ベルト105の移動距離の短距離化が実現される。その結果、離接ユニット170bの構成の簡略化が実現される。
実施例1の定着装置では、ベルト保持ころ55が外部加熱ベルト105に対して定着ローラ101の側から当接しながら外部加熱ベルト105を支持する。したがって、外部加熱ベルト105は定着ローラ101の形状に対応したニップ形状を維持する。その結果、ニップ形状を維持するための構成の簡略化が実現される。
実施例1の定着装置では、ベルト保持ころ55は、外部加熱ベルト105と当接するころ形状の部材である。その結果、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に接触する場合に、摺擦によるダメージが低減可能となり、ベルト保持ころ55によって外部加熱ベルト105の劣化が抑制される。
実施例2の定着装置では、『形状保持手段』である第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104に定着ローラ101の側から当接しながら、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の各々を支持する。すなわち、第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、『ローラ支持部材』として機能する。このときに、第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の間の距離が維持されるように外部加熱ベルト105を介して支持している。したがって、外部加熱ベルト105は定着ローラ101の形状に対応したニップ形状を維持する。その結果、外部加熱ベルト105が、腰の無いベルト例えば樹脂製の薄いベルトであった場合でも、外部加熱ベルト105は定着ローラ101とのニップ形状を維持しながら離間され、外部加熱ベルト105が定着ローラ101に接触するようなことは防止される。
実施例2の定着装置では、第1支持アーム57及び第2支持アーム58の各々は、第1加熱ローラ103及び第2加熱ローラ104の各々に当接する板状の部材である。その結果、外部加熱ベルト105が2箇所で支持されることになるから、外部加熱ベルト105の支持が安定する。
実施例2の定着装置では、第1支持アーム57及び第2支持アーム58の各々は、板面の表面にパット61a、61bを有する。その結果、外部加熱ベルト105及び定着ローラ101が離接される場合に、外部加熱ベルト105及びベルト保持ころ55の摺擦による摺擦傷の発生が抑制される。
実施例1及び2の定着装置では、離接ユニット170bが定着ローラ101に外部加熱ベルト105を接触させたときには、『形状保持手段』が外部加熱ベルト105から離間している。したがって、定着ローラ101が定着動作をする間には、外部加熱ベルト105が『形状保持手段』に対して摺擦する現象が低減される。その結果、ベルト保持ころ55による外部加熱ベルト105の劣化が防止される。加えて、定着動作状態及びスタンバイ状態が確実に切り替えられる。
実施例1及び2の定着装置では、離接ユニット170bが定着ローラ101に外部加熱ベルト105を接触させたときに、外部加熱ベルト105の周速度及び定着ローラ101の周速度が同一になるように第1モータM1及び第2モータM2の回転駆動が制御される。したがって、外部加熱ベルト105及び定着ローラ101の摺擦が低減される。その結果、外部加熱ベルト105及び定着ローラ101の摺擦傷の発生が抑制される。
実施例1及び2の定着装置では、離接ユニット170bの圧解除アーム36、並びに、ベルト保持ころ55は、同一のモータMの駆動力で駆動する。離接ユニット170bの圧解除アーム36、並びに、第1支持アーム57及び第2支持アーム58は、同一のモータMの駆動力で駆動する。その結果、モータMの数が低減され、構成の単純化が実現される。
なお、前述の実施例の説明では、外部加熱部材としての外部加熱ベルト105を定着部材対としての定着ローラ101に対して当接及び退避可能に構成した場合について説明したが、この構成に限定されない。他の構成として、外部加熱ベルト105が定着部材対としての加圧ローラ102に対して当接及び退避可能に構成することでも良い。
また、定着部材対として定着ローラ101、加圧ローラ102からなる2本のローラ系で構成したが、ローラの他にベルト状のものを用いて構成しても良いことはいうまでもない。