JP5492528B2 - リチウムイオン二次電池用電極の検査方法、ならびにこれを用いた製造方法および製造装置 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極の検査方法、ならびにこれを用いた製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極の良否を判別することが可能な検査方法、ならびにこれを用いた製造方法および製造装置に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、携帯機器用の電源として広く普及しており、電気自動車(EV:Electric Vehicle)用やハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)用の電源としても期待されている。
リチウムイオン二次電池は正極および負極の2種類の電極を備えている。これらの電極には、それぞれに対応する電極活物質が設けられている。一般的に、正極にはリチウム金属酸化物からなる正極活物質が設けられ、負極にはカーボン材料からなる負極活物質が設けられている。
リチウムイオン二次電池用電極の製造工程には、一般的に、塗布工程と乾燥工程とが含まれる。塗布工程では、電極活物質、バインダ、導電付与材が、有機溶媒に分散されて塗料化された後に集電箔の表面に塗布される。塗布工程後の乾燥工程では、集電箔の表面の有機溶媒が蒸発させられて除去される。
乾燥工程で有機溶媒が除去された後の電極では、集電箔の表面に、電極活物質、バインダ、導電付与材が分散された分散層が形成されている。この分散層における電極活物質、バインダ、導電付与材の分散の状態によって、電極の特性、特に電気抵抗が大きく変化する。
電極の電気抵抗を正確に評価するためには、一般的に、製造ロットごとにコイン型、円筒型、小型ラミネートセル型などの評価用のリチウムイオン二次電池(以下、「評価用電池」という。)を製作する必要がある。そして、評価用電池の内部抵抗により、電極の電気抵抗を評価する。
リチウムイオン二次電池は、電極の電気抵抗が高いと性能が低下する。そのため、評価用電池の内部抵抗に所定の基準値が設定され、たとえば、評価用電池の内部抵抗が基準値以下である電極が良電極である判断され、評価用電池の内部抵抗が基準値を超える電極が不良電極であると判断される。
しかし、評価用電池を製作する電極の検査は、破壊検査であるため、電極の製造歩留まりの低下を招く。また、評価用電池を製作するためには多くの手間がかかり、検査結果を短時間で得ることは困難である。したがって、評価用電池を製作することなく電極の電気抵抗を評価できることが望ましい。
上述したとおり、電極の電気抵抗は分散層における電極活物質、バインダ、導電付与材の分散の状態に大きく依存する。したがって、電極の分散層が、電極の電気抵抗が十分に低くなる状態になっているか否かを適切に評価することができれば、電極の電気抵抗の評価が可能となる。
リチウムイオン二次電池の電極の分散層の状態を評価する方法が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された方法では、X線光電子分光(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)法を用いて電極の分散層を評価している。当該方法では、XPS法によって、電極の分散層の表面の電極活物質のうちバインダに被覆されている部分の割合である被覆率を測定し、その被覆率の高低によって電極を評価している。
特開2002−008638号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、電極の分散層における電極活物質、バインダ、導電付与材の分散の状態についての情報は得られない。
さらに、XPS法では、測定対象物である電極がセットされたチャンバ内を排気して真空にする必要がある。チャンバ内を真空にするためには長時間かかるため、XPS法では評価結果を短時間で得ることは困難である。
また、XPS法で評価可能な電極の大きさはチャンバの大きさによって制限されてしまう。したがって、XPS法では大面積の電極を評価することは困難である。
また、ロールからロールへと連続的に生産する方式の電極製造においてインラインで連続的に電極を評価することを考えた時、連続的に流れるシートを真空チャンバに通すことはできない。
特許文献1に記載された方法以外にも、電極の分散層における電極活物質、バインダ、導電付与材の分散の状態を短時間であるいはインラインで検査することが可能な方法は知られていない。
そこで、本発明は、リチウムイオン二次電池用電極の良否を短時間で判別することが可能な検査方法および検査装置、ならびにこれを用いた製造方法および製造装置を提供することを目的とする。また、インラインで連続的に電極を評価することを可能とする検査方法および検査装置、ならびにこれを用いた製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願発明のリチウムイオン二次電池用電極の検査方法は、少なくとも電極活物質とバインダとが分散された分散層が形成されたリチウムイオン二次電池用電極の検査方法であって、光を前記分散層の表面に照射し、該表面からのラマン散乱光を検出するラマン分光法を用いることで、前記分散層を構成する材料の前記分散層の表面における存在量を評価するための表面評価測定を行い、該表面評価測定によって得られたスペクトルの1650(cm −1 )以上の第1の波数範囲の強度を用いて前記電極の良否を判別することを含む。また本発明の別の態様におけるリチウムイオン二次電池用電極の検査方法は、グラファイト導電材と非グラファイト系カーボン導電材との少なくとも一方と、電極活物質と、が少なくとも分散された分散層が形成されたリチウムイオン二次電池用電極の検査方法であって、光を前記分散層の表面に照射し、該表面からのラマン散乱光を検出するラマン分光法を用いることで、前記分散層を構成する材料の前記分散層の表面における存在量を評価するための表面評価測定を行い、該表面評価測定によって得られたスペクトルの1350(cm −1 )と1450(cm −1 )との間の第2の波数範囲にあるピークの強度と、前記スペクトルの1550(cm −1 )と1650(cm −1 )との間の第3の波数範囲にあるピークの強度と、の少なくとも一方を用いて前記電極の良否を判別することを含む。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池用電極の良否を短時間であるいはインラインで判別することが可能な検査方法、ならびにこれを用いた製造方法および製造装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るラマン分光法による測定によって得られたラマンスペクトルの一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るラマン強度IBのヒストグラムである。 本発明の第1の実施形態に係るラマン強度IBの平均値を示すグラフである。 良電極の分散層と不良電極の分散層との違いを示す電極の模式図である。 図3に示したラマン強度IBの平均値と電極の電気抵抗との関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るラマン強度IBのマッピング図である。 本発明の第1の実施形態に係るラマン強度IBのマッピング図である。 本発明の第2の実施形態に係るIB×IDのヒストグラムである。 本発明の第2の実施形態に係るIB×IDの平均値を示すグラフである。 図9に示したIB×IDの平均値と電極の電気抵抗との関係を示すグラフである。 本発明の第3の実施形態に係るID/IGのヒストグラムである。 本発明の第3の実施形態に係るID/IGの平均値を示すグラフである。 図12に示したID/IGの平均値と電極の電気抵抗との関係を示すグラフである。 本発明の第4の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の検査装置のブロック図である。 本発明の第5の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造方法のフローチャートである。 本発明の第5の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造装置の概略図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、ラマン分光法を用い、レーザーをリチウムイオン二次電池用電極の分散層の表面に照射し、該表面からのラマン散乱光を検出することで分散層の表面の表面評価測定を行って得られたラマンスペクトルの一例である。横軸はラマンシフト(波数)を示し、縦軸はラマン強度を示している。測定を行った電極iおよび電極iiは互いに製造ロットの異なるリチウムイオン二次電池の正極である。
電極に照射するレーザーには、スポット径1μmのYAGレーザーの第二高調波(波長532nm)を用いた。1スポットあたりのレーザーの照射時間は1秒とした。
電極iおよび電極iiには、同一組成で同量の材料が分散されており、この例では、電極材料としては正極酸化物、バインダとしてはポリフッ化ビニリデン、導電付与材としてはグラファイト導電材および非グラファイト系カーボン導電材を用いている。
正極酸化物は、たとえばコバルト酸リチウム(LiCoO2)やマンガン酸リチウム(LiMn24)などのリチウム金属酸化物からなる正極活物質である。
バインダは、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF:PolyVinylidene DiFluoride)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR:Styrene−Butadiene Rubber)、ポリイミド、テフロン(登録商標)などからなる。
導電付与材には、炭素系導電材が含まれる。また、炭素系導電材にはグラファイト導電材と非グラファイト系カーボン導電材との少なくとも一方が含まれる。グラファイト導電材は、天然黒鉛や人造黒鉛からなる。非グラファイト系カーボン導電材は、グラファイト構造でないカーボン材料である、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンブラックなどからなる。
図1に示すように電極iおよび電極iiについてのデータには共通のピークGおよびピークDがある。ピークGは1550(cm-1)と1650(cm-1)との間の波数範囲にあるグラファイトのピークである。ピークDは1350(cm-1)と1450(cm-1)との間の波数範囲にあるグラファイト構造でないカーボン材料のピークである。
すなわち、ピークGが高い電極の分散層の表面にはグラファイト導電材が多く、逆にピークGが低い電極の分散層の表面にはグラファイト導電材が少ないことがわかる。また、ピークDが高い電極の分散層の表面には非グラファイト系カーボン導電材が多く、逆にピークDが低い電極の分散層の表面には非グラファイト系カーボン導電材が少ないことがわかる。
図1に示すように、電極iiのラマンスペクトルでは、1650(cm-1)以上の波数範囲で、ラマンシフトが大きいほどラマン強度が大きくなる右上がりの傾向が見られる。一方、電極iのラマンスペクトルではそのような傾向は見られない。
ラマン分光法による測定では、測定対象物が蛍光を多く発すると、ラマンスペクトルの1650(cm-1)以上の波数範囲で右上がりの傾向があらわれる。
バインダはレーザーを照射されると蛍光を発するが、正極酸化物および導電付与材はいずれもレーザーを照射されても蛍光を発しない。そのため、分散層の表面にバインダが多い電極では、ラマンスペクトルの1650(cm-1)以上の波数範囲で右上がりの傾向があらわれることとなる。
したがって、図1に示したラマンスペクトルから、電極iiの測定スポットは電極iの測定スポットより、分散層の表面のバインダの量が多いということが読み取れる。
本実施形態では、電極の分散層の表面のバインダの量が多いか少ないかを判断するために、ラマンシフト3000(cm-1)におけるラマン強度IBを用いる。
分散層の表面にバインダが多い電極では、ラマンスペクトルの1650(cm-1)以上の波数範囲でラマン強度が右上がりに増加するため、ラマンシフト3000(cm-1)におけるラマン強度IBは、分散層の表面にバインダが少ない電極よりも十分に大きくなっている。
したがって、ラマン強度IBが大きい測定スポットの多い電極では、分散層の表面におけるバインダの面積が大きく、ラマン強度IBが小さい測定スポットの多い電極では、分散層の表面におけるバインダの面積が小さいことがわかる。
ラマン強度IBの基準とするラマンシフトは3000(cm-1)でなくてもよく、ラマンシフト1650(cm-1)以上の波数範囲で適宜決定することができる。
図2は、電極iの分散層の表面および電極iiの分散層の表面のそれぞれ4ヶ所(a部、b部、c部、d部)について、表面評価測定として、50μm×50μmの測定領域を1μm間隔でマッピング測定を行った結果を示したラマン強度IBのヒストグラムである。横軸はラマン強度IBを示し、縦軸はラマン強度IBの各範囲にある測定スポット数を示している。
図2では、電極iについてのデータが黒塗りで示され、電極iiについてのデータが白抜きで示されている。図2(a)〜(d)は、それぞれa部〜d部に対応している。電極iのいずれの測定領域でも、電極iiの対応する測定領域よりもラマン強度IBが小さい側に分布していることがわかる。
図3は、電極iおよび電極iiのラマン強度IBの平均値を示したグラフである。図3では、電極iについてのデータが黒塗りで示され、電極iiについてのデータが白抜きで示されている。
ラマン強度IBの平均値は、電極iのいずれの測定領域でも、電極iiの対応する測定領域よりも小さい。したがって、電極iiの分散層の表面は、電極iの分散層の表面よりバインダの占める面積が大きいことがわかる。
電極iおよび電極iiの断面を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)や走査型電子顕微鏡 (SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて観察した。
この電極iおよび電極iiの断面観察により、分散層の表面にバインダが少ない電極iの分散層は図4(a)に示す状態になっており、分散層の表面にバインダが多い電極iiの分散層は図4(b)に示す状態になっていることがわかった。
図4(a)は電極iの断面の模式図であり、図4(b)は電極iiの断面の模式図である。電極iおよび電極iiでは、図4(a)および図4(b)に示すように、正極酸化物2、グラファイト導電材3、非グラファイト系カーボン導電材4およびバインダ5が分散された分散層10が集電箔1の表面に形成されている。
電極iと電極iiとでは、分散層10における非グラファイト系カーボン導電材4の分散の仕方が異なっている。電極iでは、複数の非グラファイト系カーボン導電材4が集まって大きい二次粒子を形成しているが、電極iiでは、各非グラファイト系カーボン導電材4が二次粒子を形成することなくばらばらに存在する。
また、電極iでは、バインダ5が非グラファイト系カーボン導電材4の二次粒子の全体を覆っており、電極iiでは、バインダ5が各非グラファイト系カーボン導電材4を個別に覆っている。
電極iおよび電極iiの電気抵抗を評価するために、評価用のリチウムイオン二次電池を製作した。評価用電池の正極には、電極iおよび電極iiから、a部〜d部を含むようにそれぞれ切り出された試験片を用いた。評価用電池の内部抵抗が正極の電気抵抗以外の要因によって変化しないように、各評価用電池の正極以外の構成は同一とした。
図5は、評価用電池の内部抵抗の測定結果を示したグラフである。図5では、電極iについてのデータが黒塗りで示され、電極iiについてのデータが白抜きで示されている。
本実施形態では、評価用電池の内部抵抗の基準値が1.3(mΩ)に設定されている。すなわち、評価用電池の内部抵抗が1.3(mΩ)以下となる電極が良電極であると判断され、評価用電池の内部抵抗が1.3(mΩ)を超える電極が不良電極であると判断される。なおこの基準値は本評価用電池向けの値であり、セルの仕様が異なれば変化する。
図5に示すように、電極iの各部分を用いた評価用電池の内部抵抗はいずれも1.3(mΩ)以下であるが、電極iiの各部分を用いた評価用電池の内部抵抗はいずれも1.3(mΩ)を超えている。
したがって、電極iは電気抵抗の低い良電極であり、電極iiは電気抵抗の高い不良電極である。
図5に示すように、良電極である電極iのラマン強度IBの平均値はいずれの測定領域でも327(a.u.)以下であり、不良電極である電極iiのラマン強度IBの平均値はいずれの測定領域でも327(a.u.)を超えている。
したがって、ラマン強度IBの平均値が327(a.u.)以下である電極は、評価電池の内部抵抗が1.3(mΩ)以下である良電極であると予想され、ラマン強度IBの平均値が327(a.u.)を超える電極は、評価電池の内部抵抗が1.3(mΩ)を超える不良電極であると予想される。
そのため、本実施形態では、ラマン強度IBの平均値の基準値が327(a.u.)に設定される。すなわち、ラマン強度IBの平均値が327(a.u.)以下の電極が良電極と判断され、ラマン強度IBの平均値が327(a.u.)を超える電極が不良電極と判断される。
ここで、「327(a.u.)」という値は任意単位の値であるが、測定装置や装置条件に依存する値であって、測定装置と装置条件が一定であれば、同じ状態の電極から同じ値の測定値が得られる。これによって、基準値さえ決めておけば、それに対して測定値が大きいか小さいかで電極の電気抵抗が基準の電気抵抗より大きいか小さいかを求めることが可能である。
このようにラマン強度IBの平均値の基準値が決定すると、評価用電池を製作することなく、ラマン分光法によるマッピング測定によって間接的に電極の電気抵抗を評価することが可能となる。
ところで、電極iiが電極iより電気抵抗が高いのは、以下の2つの原因が可能性として考えられる。
1つ目の原因は、電極iiでは電極iよりも分散層の表面にバインダが多いことである。すなわち、分散層の表面にバインダが多い電極iiでは、電極iよりも絶縁体からなるバインダによってイオン伝導が妨げられやすい。それと比較して電極iでは例えば、粒子と粒子(電極活物質粒子同士、あるいは電極活物質粒子と導電材粒子)の隙間にバインダが局在する傾向があって、粒子の影になってラマン強度に寄与しないバインダの比率が増え、その分、分散層の表面に露出しているバインダは少なくなることが考えられる。
2つ目の原因は、電極iiでは、図4(b)に示すように、各非グラファイト系カーボン導電材が個別にバインダによって覆われていることである。すなわち、電極iiでは各非グラファイト系カーボン導電材を覆っているバインダがグラファイト系カーボン導電材間の電気伝導の妨げとなる。一方、電極iでは、二次粒子を形成している非グラファイト系カーボン導電材が互いに接触しているため、二次粒子内で良好に電気伝導される。
なお、本実施形態では、ラマンシフト3000(cm-1)におけるラマン強度IBを用いて電極の良否を判別したが、ラマンスペクトルのラマンシフト1650(cm-1)以上の波数範囲における複数のラマン強度を用いて電極の良否を判別してもよい。
たとえば、ラマンシフト3000(cm-1)におけるラマン強度を、ラマンシフト2000(cm-1)におけるラマン強度で割って得られる値を用いて電極の良否を判別することもできる。この値は電極の分散層の表面にバインダが多いほど大きくなるため、たとえば、この値の平均値が所定の基準値以下の電極は良電極であると判断され、この値の平均値が所定の基準値を超える電極は不良電極であると判断される。
図6および図7は、電極iおよび電極iiの、ラマン強度IBが327(a.u.)以下である部分を黒色で示し、ラマン強度IBが327(a.u.)を超える部分を白色で示したマッピング画像である。
図6と図7とを比較すると、いずれの測定領域でも図6では白色の部分の面積が大きく図7では黒色の部分の面積が大きいことがわかる。このように、このマッピング画像を用いることにより、電極の分散層の表面にバインダの面積が大きいかを視覚的に判断して、電極の良否の判別をすることもできる。
さらに、図6および図7に示したマッピング画像をコンピュータに取り込み、白色の部分の合計面積を算出して電極の良否を判別することもできる。白色の部分の合計面積は電極の分散層の表面にバインダが多いほど大きくなるため、白色の部分の合計面積が所定の値以下の電極は良電極であると判断され、白色の部分の合計面積が所定の値を超える電極は不良電極であると判断される。
なお、本実施形態では、大気中で測定可能なラマン分光法を用いるため、排気を行う必要がなく、短時間で電極の良否を判別することが可能であり、インラインで連続的に電極を評価することも可能となる。本実施形態ではラマン分光法を用いたが、赤外分光法や蛍光X線分析などの大気中で測定可能な他の評価方法を用いても、同様に短時間であるいはインラインで電極の良否を判別することが可能である。
また、本実施形態では、リチウムイオン二次電池の正極を例示して説明したが、本実施形態に係る電極の検査方法は、負極活物質、バインダ、導電付与材が分散された分散層が形成されたリチウムイオン二次電池の負極の検査にも同様に用いることができる。
また、本実施形態に係る電極の検査は非破壊検査であるため、検査後の電極をリチウムイオン二次電池の製造に用いることが可能である。したがって、本実施形態に係る方法で全ての電極を検査し、良品電極であると判断された電極のみをリチウムイオン二次電池の製造に用いることが可能である。これにより、リチウムイオン二次電池の製造歩留まりが向上する。
なお、本発明の他の実施形態においては酸化物以外の電極活物質を用いてもよく、たとえば導電性高分子を用いてもよい。また本発明の他の実施形態は負極に適用してもよい。その場合、グラファイト系の電極活物質と非グラファイト系導電材との組み合わせならば、ラマン分光法等において材料判別ができる。シリコン系やチタン酸リチウムやリチウム金属系の負極材料を用いた場合も、ラマン分光法等でバインダや炭素系導電材と区別できるので適用可能である。なお、本発明の他の実施形態においては導電付与材を含まない電極において、バインダの表面存在量を評価することも可能である。また、評価に用いるデータはマッピングデータでなくてもよく、例えば10μm〜10mmのスポット径での単一値を得る測定でもよい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る電極の検査方法は、ラマン分光法によるマッピング測定で得られたデータの解析方法以外は第1の実施形態に係る電極の検査方法と同様である。以下の説明では、第1の実施形態と同一の電極iおよび電極iiについてのデータを用いて説明する。
第1の実施形態では、電極の良否を判別するのに、電極の分散層の表面のバインダの量に着目し、ラマンシフト3000(cm-1)におけるラマン強度IBを用いた。一方、本実施形態では、電極の分散層の表面のバインダの量に加えて非グラファイト系カーボン導電材の量にも着目し、ラマン強度IBおよび図1に示したピークDにおけるラマン強度IDを用いる。
上述したように、図4(a)に示す良電極の分散層10の表面にはバインダ5が少なく、図4(b)に示す不良電極の分散層10の表面にはバインダ5が多い。
バインダ5の一部は非グラファイト系カーボン導電材4を覆っているため、バインダ5と非グラファイト系カーボン導電材4とは分散層10内にほぼ同様に分布する傾向がある。すなわち、非グラファイト系カーボン導電材4も、バインダ5と同様に、図4(a)に示す良電極の分散層10の表面には少なく、図4(b)に示す不良電極の分散層10の表面には多い。
したがって、良電極ではピークDが低くなり、不良電極ではピークDが高くなる。すなわち、良電極では、不良電極よりも、ラマン強度IBが小さく、かつラマン強度IDが小さくなる。
本実施形態では、このことを利用し、ラマン強度IBとラマン強度IDとを掛け合わせた値である「IB×ID」を用いて電極の良否を判別する。
図8は電極iおよび電極iiのIB×IDのヒストグラムである。図8(a)〜(d)は、それぞれa部〜d部に対応している。電極iのいずれの測定領域でも、電極iiの対応する測定領域よりもIB×IDが小さい側に分布していることがわかる。
図9は、電極iおよび電極iiのIB×IDの平均値を示したグラフである。IB×IDの平均値は、電極iではいずれの測定領域でも20000(a.u.)以下であるのに対し、電極iiではいずれの測定領域でも20000(a.u.)を超えている。
図10は、IB×IDの平均値と各評価用電池の内部抵抗とを比較するグラフである。評価用電池の内部抵抗が1.3(mΩ)以下である電極iのIB×IDの平均値はいずれの測定領域でも20000(a.u.)以下であり、評価用電池の内部抵抗が1.3(mΩ)を超える電極iiのIB×IDの平均値はいずれの測定領域でも20000(a.u.)を超えている。
したがって、IB×IDの平均値が20000(a.u.)以下である電極は、評価電池の内部抵抗が1.3(mΩ)以下である良電極であると予想され、IB×IDの平均値が20000(a.u.)を超える電極は、評価電池の内部抵抗が1.3(mΩ)を超える不良電極であると予想される。
そのため、本実施形態では、IB×IDの平均値の基準値が20000(a.u.)に設定される。すなわち、IB×IDの平均値が20000(a.u.)以下の電極が良電極であると判断され、IB×IDの平均値が20000(a.u.)を超える電極が不良電極であると判断される。
このように、本実施形態に係る検査方法では、単一のラマン分光法による測定で得られる複数の値を用いて電極の良否を判断することが可能である。そのため、各測定間で誤差が生じやすい複数の測定で得られる値を用いた検査方法よりも高い精度で電極の良否を判断することが可能である。
図10からわかるように、非グラファイト系カーボン導電材自体から来るラマン散乱光と、バインダからのラマン散乱光の両方の検出値を掛け算した値を使った方が、片方のみの値を使った場合より電極の良否を高感度に判定できる。
これは例えば、電極抵抗が高くなるパターンの一つとして、導電材の粒子一つ一つがバインダに覆われてばらばらに散在していた場合に、導電材を示すラマン散乱光とバインダを示すラマン散乱光が同じ位置から検出されるために掛け算の値が高くなることが考えられる。
このように、導電材がバインダに覆われてこの両者が一体化するような傾向は、グラファイト導電材や、炭素繊維系の導電材や、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどの他の炭素系導電材でも同じように見られると考えられる。そうした場合、導電材とバインダが同じ位置に存在するかどうかという情報は、上記の一体化物が形成されているかどうかを把握する上で重要である。
以上述べたように、リチウムイオン二次電池の電極においては、バインダと炭素系導電材の分布状態には相互に関連性があり、その関連度合いが電極の良否に影響を与えていると考えられる。従って、同じスポット光から、あるいは同じ領域のスポット光スキャンから、1回の測定でバインダからの信号と導電材からの信号を同時に検出すること、すなわち単一の表面評価測定で両方の情報を同時に測定することによって、同じ位置に両方の材料があるかどうかを高精度に検出でき、分布状態の関連度合いを高精度に評価でき、ひいては電極の良否判断をより高精度のものとできる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る電極の検査方法は、ラマン分光法によるマッピング測定で得られたデータの解析方法以外は第1の実施形態に係る電極の検査方法と同様である。以下の説明では、第1の実施形態と同一の電極iおよび電極iiについてのデータを用いて説明する。
第1の実施形態では、電極の良否を判別するのに、電極の分散層の表面のバインダの量に着目し、ラマンシフト3000(cm-1)におけるラマン強度IBを用いた。一方、本実施形態では、電極の分散層の表面の非グラファイト系カーボン導電材の量およびグラファイト導電材の量に着目し、図1に示したピークGにおけるラマン強度IGおよびピークDにおけるラマン強度IDを用いる。
上述したように、図4(a)に示す良電極の分散層10の表面には非グラファイト系カーボン導電材4が少なく、図4(b)に示す不良電極の分散層10の表面には非グラファイト系カーボン導電材4が多い。一方、グラファイト導電材3は良電極の分散層10にも不良電極の分散層10にも同様に分布している。
したがって、良電極ではピークDの高さが低くなり、不良電極ではピークDの高さが高くなるが、ピークGの高さは良電極と不良電極とで変わらない。すなわち、良電極では、不良電極よりもピークDのピークGに対する相対的な高さが低くなる。
本実施形態では、このことを利用し、ラマン強度IDをラマン強度IGで規格化した値である「ID/IG」を用いて電極の良否を判別する。
図11は電極iおよび電極iiの、ID/IGのヒストグラムである。図11(a)〜(d)は、それぞれa部〜d部に対応している。電極iのいずれの測定領域でも、電極iiの対応する測定領域よりもID/IGが小さい側に分布していることがわかる。
図12は、電極iおよび電極iiのID/IGの平均値を示したグラフである。ID/IGの平均値は、電極iではいずれの測定領域でも1.0以下であるのに対し、電極iiではいずれの測定領域でも1.0を超えている。
図13は、ID/IGの平均値と各評価用電池の内部抵抗とを比較するグラフである。評価用電池の内部抵抗が1.3(mΩ)以下である電極iのID/IGの平均値はいずれの測定領域でも1.0以下であり、評価用電池の内部抵抗が1.3(mΩ)を超える電極iiのID/IGの平均値はいずれの測定領域でも1.0を超えている。
したがって、ID/IGの平均値が1.0以下である電極は、評価電池の内部抵抗が1.3(mΩ)以下である良電極であると予想され、ID/IGの平均値が1.0を超える電極は、評価電池の内部抵抗が1.3(mΩ)を超える不良電極であると予想される。
そのため、本実施形態では、ID/IGの平均値の基準値は1.0に設定される。すなわち、ID/IGの平均値が1.0以下の電極が良電極であると判断され、ID/IGの平均値が1.0を超える電極が不良電極であると判断される。
このように、本実施形態に係る検査方法では、単一のラマン分光法による測定で得られる複数の値を用いて電極の良否を判断することが可能である。そのため、各測定間で誤差が生じやすい複数の測定で得られる値を用いた検査方法よりも高い精度で電極の良否を判断することが可能である。
(第4の実施形態)
図14は、本発明の第4の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の検査装置のブロック図である。本実施形態に係る電極の検査装置は、第1または第2または第3の実施形態に係る電極の検査方法を用いて電極の検査を行う。
本実施形態に係る電極の検査装置は、ラマン分光装置100と処理装置200とからなる。ラマン分光装置100は光源101、分光部102、ステージ103および制御部104を備えている。制御部104は光源101、分光部102およびステージ103を制御する。処理装置200としては、たとえば、パーソナルコンピュータが使用される。
ラマン分光装置100での測定では、まず、ステージ103に測定対象物である電極がセットされる。その後、光源101によってステージ103にセットされた電極の分散層の表面にレーザーが照射される。そして、分光部102が、電極の分散層の表面から発せられたラマン散乱光を検出してラマンスペクトルを得る。
ラマン分光装置100では、ステージ103が制御部104による制御に基づいて移動することにより、ステージ103にセットされた電極の分散層の表面に対するレーザーの照射位置が適宜変更可能である。これにより、ラマン分光装置100ではマッピング測定を行うことが可能となっている。
処理装置200は、ラマン分光装置100の分光部102に接続されており、分光部102により得られたラマンスペクトルを自動で読み込むように構成されている。
処理装置200は、読み込んだラマンスペクトルから、第1または第2または第3の実施形態に係る電極の検査方法を用いて電極の良否を判別する。ここでは、一例として、第1の実施形態に係る電極の検査方法を用いる場合について説明する。
処理装置200は、ラマン分光装置100によるマッピング測定によって得られた全てのラマンスペクトルからラマンシフト3000(cm-1)におけるラマン強度IBの平均値を算出する。
そして、処理装置200は、ラマン強度IBの平均値が327(a.u.)以下の電極を良電極であると判断し、ラマン強度IBの平均値が327(a.u.)を超える電極を不良電極であると判断する。
このように本実施形態に係る電極の検査装置では、ステージ103にセットされた電極の良否を自動で判別することが可能である。
さらに、本実施形態に係る電極の検査装置は、リチウムイオン二次電池の製造ライン中に設置されることが可能である。この場合、電極のステージ103への着脱も自動化することにより、無人で電極の検査を行うことができるようになるため、リチウムイオン二次電池をより効率的に製造することが可能となる。
(第5の実施形態)
図15は本発明の第5の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造方法のフローチャートである。本実施形態に係る電極の製造工程では、まず電極活物質と、グラファイト導電材と、非グラファイト系カーボン導電材と、バインダと、が分散されたスラリーを集電箔の表面に塗布する塗布工程が行われる。その後、集電箔の表面に塗布されたスラリーを乾燥させる乾燥工程が行われ、乾燥したスラリーを厚さ方向に押圧して分散層とするプレス工程が行われる。
次に、第1の実施形態に係る検査方法で分散層の表面を検査して、個々に切り出された後に良電極となる部分と不良電極となる部分とを判別する検査工程が行われる。そして、分散層の、検査工程で不良であると判断された部分に切り欠き等によりマーキングを行うマーキング工程が行われる。
本実施形態に係る電極の製造方法では、マーキング工程の後に、分散層が形成された集電箔が所定の大きさの複数の電極に切り分けられる。切り分けられた複数の電極のうち、マーキングされた電極は不良電極として廃棄され、マーキングされていない良電極のみがリチウムイオン二次電池の製造に用いられる。
マーキングは、インク塗布やインクジェットでもよい。その場合、色としては白色もしくは蛍光色が好ましい。また、切り欠きやインクなどによるマーキングを、センサーで自動的に検出し自動的に不良電極を振り分ける自動選別装置を用いても良い。
このように本実施形態に係る電極の製造方法では、不良電極がリチウムイオン二次電池の製造に用いられることを防止することができる。したがって、リチウムイオン二次電池の製造歩留まりが向上する。
図16は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法を実施可能な製造装置の概略図である。この製造装置は、集電箔11を連続的に搬送して、連続的に電極を製造する製造ラインとなっている。
この製造装置は、集電箔11を搬送する搬送ローラ300と、搬送ローラ300によって搬送された集電箔11にスラリーSを塗布する塗布装置400と、集電箔に塗布されたスラリーSに含まれる有機溶媒を蒸発させる乾燥装置500と、有機溶媒が蒸発させられたスラリーSを厚さ方向に押圧して分散層とするプレス装置600と、を有している。塗布装置400には開閉可能なシャッタ401が設けられており、シャッタ401の開閉によりスラリーSの供給を制御することが可能である。
また、この製造装置は、分散層の表面を検査するための第4の実施形態に係る検査装置700と、分散層の、検査装置700によって不良であると判断された部分に切り欠き等によりマーキングを行うマーキング装置800と、を有している。
分散層が形成された集電箔11は、マーキング装置800を通過した後に巻き取りローラ900に巻き取られる。
その後、分散層が形成された集電箔11は所定の大きさの複数の電極に切り分けられる。そして、切り分けられた複数の電極のうち、マーキングされた電極が不良電極として廃棄され、マーキングされていない良電極のみがリチウムイオン二次電池の製造に用いられる。
なお、本実施形態に係る電極の製造方法では、マーキング工程を行わなくてもよく、その場合には図16に示した電極の製造装置はマーキング装置800を備えていなくてもよい。この場合には、たとえば検査装置700に取り込まれたマッピング画像によって得られる良電極となる部分と不良電極となる部分との位置情報に基づいて、切り分けられた電極の良否を自動的に判別する構成にすることができる。
また、検査装置700によって不良電極となると判断される部分が多い場合、スラリーSの分散の具合が良好でないなどの不具合が発生している可能性が高い。本実施形態に係る電極の製造装置は、そのような場合に塗布装置400のシャッタ401を閉じて、スラリーSの供給を停止する構成を有していてもよい。このように検査手段による検査結果からの判断に基づき、電極の製造を自動的に停止する手段を設けることにより、不良電極を製造し続けてしまうことを防止することが可能である。
上記の例では塗布・乾燥工程と検査工程が一連の集電箔の搬送内で行われる例を示したが、塗布・乾燥工程が終わって一度巻き取られた電極ロールから、再び引き出して別工程としてプレスを行う工程においても本発明は適用可能である。たとえば、電極が流れる方向の順に未プレス電極ロール引き出し部、連続プレス装置、検査装置(検査手段)、巻き取り装置、と配列させた構成としてもよい。検査装置と巻き取り装置の間に、マーキング装置があってもよい。
1 集電箔
2 正極酸化物
3 グラファイト導電材
4 非グラファイト系カーボン導電材
5 バインダ
10 分散層

Claims (18)

  1. 少なくとも電極活物質とバインダとが分散された分散層が形成されたリチウムイオン二次電池用電極の検査方法であって、
    光を前記分散層の表面に照射し、該表面からのラマン散乱光を検出するラマン分光法を用いることで、前記分散層を構成する材料の前記分散層の表面における存在量を評価するための表面評価測定を行い、該表面評価測定によって得られたスペクトルの1650(cm −1 )以上の第1の波数範囲の強度を用いて前記電極の良否を判別することを含む、リチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  2. 前記スペクトルの前記第1の波数範囲にある所定の波数の強度の平均値が、所定の基準値より小さい前記電極を良電極であると判断し、前記平均値が前記基準値より大きい前記電極を不良電極であると判断する、請求項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  3. 前記分散層にはグラファイト導電材と非グラファイト系カーボン導電材との少なくとも一方が分散されており、
    前記スペクトルの前記第1の波数範囲の強度と、前記スペクトルの1350(cm−1)と1450(cm−1)との間の第2の波数範囲にあるピークの強度と、を用いて前記電極の良否を判別する、請求項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  4. 前記スペクトルの前記第1の波数範囲にある所定の波数の強度と、前記スペクトルの前記第2の波数範囲にあるピークの強度と、を掛け合わせて得られる値の平均値が、所定の基準値より小さい前記電極を良電極であると判断し、前記平均値が前記基準値より大きい前記電極を不良電極であると判断する、請求項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  5. 前記分散層には、炭素系導電材が分散されており、単一の前記表面評価測定によって、前記炭素系導電材および前記バインダの、前記分散層の表面における存在量を評価する、請求項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  6. ラファイト導電材と非グラファイト系カーボン導電材との少なくとも一方と、電極活物質と、が少なくとも分散された分散層が形成されたリチウムイオン二次電池用電極の検査方法であって、
    光を前記分散層の表面に照射し、該表面からのラマン散乱光を検出するラマン分光法を用いることで、前記分散層を構成する材料の前記分散層の表面における存在量を評価するための表面評価測定を行い、該表面評価測定によって得られたスペクトルの1350(cm−1)と1450(cm−1)との間の第2の波数範囲にあるピークの強度と、前記スペクトルの1550(cm−1)と1650(cm−1)との間の第3の波数範囲にあるピークの強度と、の少なくとも一方を用いて前記電極の良否を判別することを含む、リチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  7. 前記スペクトルの前記第2の波数範囲にあるピークの強度を、前記スペクトルの前記第3の波数範囲にあるピークの強度で割って得られる値の平均値が、所定の基準値より小さい前記電極を良電極であると判断し、前記平均値が前記基準値より大きい前記電極を不良電極であると判断する、請求項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  8. 前記電極は正極であり、前記電極活物質はリチウム金属酸化物である、請求項1からのいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  9. 前記表面評価測定はマッピング測定である、請求項1から8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の検査方法。
  10. 少なくとも電極活物質と、バインダと、が溶媒に分散されたスラリーを集電箔の表面に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程の後に前記溶媒を蒸発させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程の後に請求項1からのいずれか1項に記載の検査方法で前記分散層の良否を判断する検査工程と、
    を含むリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  11. グラファイト導電材と非グラファイト系カーボン導電材との少なくとも一方と、電極活物質と、が少なくとも溶媒に分散されたスラリーを集電箔の表面に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程の後に前記溶媒を蒸発させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程の後に請求項6または7に記載の検査方法で前記分散層の良否を判断する検査工程と、
    を含むリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  12. 前記乾燥工程と前記検査工程との間に前記スラリーを押圧して分散層とするプレス工程を含む、請求項10または11に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  13. 前記検査工程の後に前記分散層の不良と判断された部分にマーキングを行うマーキング工程を含む、請求項10から12のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  14. 少なくとも電極活物質と、バインダと、が溶媒に分散されたスラリーを集電箔の表面に塗布する塗布装置と、
    前記塗布装置に塗布された前記スラリーの前記溶媒を蒸発させる乾燥装置と、
    請求項1からのいずれか1項に記載の検査方法を用いて前記分散層の良否を判別する検査装置と、
    を有するリチウムイオン二次電池用電極の製造装置。
  15. グラファイト導電材と非グラファイト系カーボン導電材との少なくとも一方と、電極活物質と、が少なくとも溶媒に分散されたスラリーを集電箔の表面に塗布する塗布装置と、
    前記塗布装置に塗布された前記スラリーの前記溶媒を蒸発させる乾燥装置と、
    請求項6または7に記載の検査方法を用いて前記分散層の良否を判別する検査装置と、
    を有するリチウムイオン二次電池用電極の製造装置。
  16. 前記乾燥装置によって前記溶媒が蒸発させられた前記スラリーを押圧して分散層とするプレス装置を有する、請求項14または15に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造装置。
  17. 前記塗布装置、前記乾燥装置、前記検査装置の順に前記集電箔を搬送する搬送部を有する、請求項14から16のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造装置。
  18. 前記分散層の、前記検査装置による検査によって不良と判断された部分にマーキングを行うマーキング装置を有する、請求項1から17のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造装置。
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